従来のドライブレコーダ等の車載電子機器は、所定のトリガ条件が満足された時点、イベント発生時点等に運転状況データや動画データを外部に送信する。所定のトリガ条件が満足されていない時点や、イベントが発生していない時点のデータは外部に送信されない。例えば、所定のトリガ条件が満たされた時点等に限定されず常時データ送信を行うような場合には、通信量の増大が懸念される。
本願の発明の目的はこれに限定されず、本明細書および図面等に開示される構成の部分から奏する効果を得ることを目的とする構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「〜できる」と記載した箇所を「〜が課題である」と読み替えた課題が本明細書には開示されている。課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、この課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。課題が明細書の記載から黙字的に把握されるものであっても、本出願人は本明細書に記載の構成の一部を補正または分割出願にて特許請求の範囲とする意思を有する。またこれら独立の課題を組み合わせた課題も開示されている。
(1)車両に搭載された撮像手段で撮像された動画像に基づいて、第1の動画データと、前記第1の動画データよりもデータ量の少ない第2の動画データとを生成し、前記第1の動画データを記憶手段に記録するとともに、前記第2の動画データを、無線通信手段を介してネットワーク上のサーバに送信する機能を備えた処理手段を有する車載電子機器とするとよい。
送信する第2の動画データのデータ量が、記憶手段に記録する第1の動画データのデータ量より少ないため、第1の動画データを送信する場合に比べて、送信するデータ量を少なくすることができる。第2の動画データを、イベント発生等の特定の時点に限定することなく常時送信する場合に、特に、送信データ量の増大を抑制する顕著な効果が得られる。例えば、法人が管理したい複数の車両に車載電子機器を搭載して、管理対象の複数の車両から第2の動画データをサーバに集めるようにするとよい。
車両に搭載された撮像手段として、例えば車両の前方を撮像して動画像を取得するカメラ等を用いるとよい。撮像手段によって、車両の全方位、車内等を撮像するようにしてもよい。第2の動画データを、第1の動画データより低解像度、低フレームレートとすることにより、第2の動画データのデータ量を第1の動画データのデータ量より少なくするとよい。例えば、第1の動画データの解像度をフルハイビジョン相当(1920×1080ピクセル)、フレームレートを30fps等とし、第2の動画データの解像度をVGA相当(640×480ピクセル)、フレームレートを5〜10fps等とするとよい。
記憶手段として、例えばSDカード等のリムーバブルメディアを用いるとよい。リムーバブルメディアを車載電子機器から取り外して、パソコン、タブレット端末等の外部の電子機器に装着することにより、リムーバブルメディアに記録された第1の動画データを外部の電子機器で再生することができる。SDカード等のリムーバブルメディアは、信頼性の点で要求仕様を満たすことが困難な場合がある。例えば、記録したはずの動画データを読み出せなくなる故障が発生する場合がある。第2の動画データをサーバに送信することにより、リムーバブルメディアに記録したはずの第1の動画データを読み出せないような故障が発生した場合でも、サーバから第2の動画データを読み出すことが可能である。
記憶手段として、リムーバブルメディアに代えて車載電子機器に内蔵された記憶装置を用いてもよい。記憶手段として内蔵の記憶装置を用いる場合には、無線LAN等を介して第1の動画データを外部の機器に転送するとよい。
第2の動画データを送信する無線通信手段として、例えばLTE、4G等の移動体無線通信規格に準拠した通信モジュールを用いるとよい。これにより、車両が移動体無線通信のサービス対象エリア内に位置するときに、第2の動画データをサーバに送信することが可能になる。上りの通信速度として、例えば512kbpsを確保するようにするとよい。
サーバに、受信した第2の動画データを蓄積する機能、及び蓄積された第2の動画データをクライアント端末からの要求に応じてネットワーク経由で配信する機能を持たせるとよい。
(2)前記処理手段が前記第2の動画データを前記サーバに送信する機能を実行するとき、前記車両に対して外部から与えられる衝撃の有無に関わらず前記第2の動画データを前記サーバに送信する車載電子機器とするとよい。
車両に衝撃が与えられた時点のみならず、例えば通常走行時でも第2の動画データがサーバに送信される。衝撃発生時のみの動画データを送信する場合に比べて、より多くの情報をサーバが取得することができる。多くの情報を種々の用途、例えばライブ配信、オンデマンド配信、機械学習等に利用する機能をサーバに持たせるとよい。
例えば、処理手段は、車両のアクセサリスイッチがオンになっている期間、第2の動画データをサーバに常時送信するようにするとよい。
(3)前記処理手段が前記第2の動画データを前記サーバに送信する機能は、前記第2の動画データをリアルタイムに前記サーバに送信する機能を含む車載電子機器とするとよい。
サーバに、第2の動画データをライブ配信する機能を持たせると、ライブ配信された第2の動画データを受信するクライアント端末のユーザ(車両の管理者)は、管理対象の車両に搭載された撮像手段で撮像された動画をほぼリアルタイムに確認することが可能になる。
撮像手段で撮像した動画像の各フレームに関連付けて車両情報を付加することにより動画データを生成し、この動画データをトランスコードして第1の動画データ及び第2の動画データを生成するとよい。元の動画データと、新たに生成される第1の動画データ及び第2の動画データとのフレームレートを変更しない場合には、各フレームに関連付けて付加されている車両情報は、新たに生成される第1の動画データ及び第2の動画データの各フレームにそのまま対応付ければよい。
例えば、データ量が少ない第2の動画データのフレームレートを、元の動画データのフレームレートより低くし、車両情報をそのまま第2の動画データの各フレームに対応付けると、第2の動画データにおいて車両情報の欠落が生じてしまう。車両情報の欠落を防止するために、第2の動画データの生成処理において、車両情報とフレームとの対応付けを変更する処理を行うとよい。例えば、元の動画データの複数のフレームに対応付けられている車両情報を、第2の動画データの1つのフレームに対応付けさせるような処理を行うとよい。
(4)前記処理手段は、前記撮像手段で撮像された動画像に基づいて、第3の動画データと、前記第3の動画データよりもデータ量の少ない第4の動画データとを生成し、前記車両の車両情報を前記第3の動画データの各フレームに関連付けて付加することにより前記第1の動画データを生成し、前記車両情報を前記第4の動画データの各フレームに関連付けて付加することにより前記第2の動画データを生成する車載電子機器とするとよい。
第1の動画データと第2の動画データとのフレームレートが異なる場合でも、フレームレートに応じて各フレームに関連付けて車両情報を付加することができる。動画データの再生装置に、第1の動画データまたは第2の動画データを再生するときに、現在表示されているフレームの画像を取得した時点の車両情報を、第1の動画データまたは第2の動画データから取り出す機能を持たせるとよい。各フレームに関連付けて車両情報が付加されているため、第1の動画データまたは第2の動画データから容易に、当該フレームに関連付けられた車両情報を取り出すことができる。
車両情報は、第1の動画データまたは第2の動画データのフレームヘッダ等に付加するとよい。車両情報として、例えばGPSデータ、リアルタイムクロックの時刻情報、前後上限左右方向の加速度情報、端末識別情報(端末ID)等を含めるとよい。GPSデータには、例えば現在時刻情報、現在位置情報(緯度及び経度)、走行速度情報、進行方向情報、現在の高度情報、有効無効情報等が含まれる。リアルタイムクロックの時刻情報は、GPSデータに含まれる現在時刻情報に基づいて定期的に校正するとよい。加速度情報は、車両に搭載した加速度センサまたは車載電子機器に内蔵された加速度センサ等によって取得するとよい。
端末識別情報として、例えばSIMカードのID番号を用いるとよい。この場合には、端末識別情報は車載電子機器に固有のものとなる。端末識別情報として、SIMカードのID番号に代えて、複数の車載電子機器のそれぞれに与えられたID番号等を用いてもよい。また、1台の車両を複数の運転者が運転する可能性があり、運転者ごとに動画データを管理したい場合には、端末識別情報に加えて、現在運転中の運転者を識別するための運転者識別情報を用いて動画データを運転者に関連付けるようにするとよい。例えば、車両の走行前に、運転者が所持するIDカードに記録された運転者ID情報を車載電子機器が読み取るようにするとよい。IDカードとして、IC運転免許証、FeriCa等の非接触型ICカード、SDカード等の接触型ICカード等を用いるとよい。
(5)前記処理手段は、前記車両にイベントが発生したと判定する判定条件に基づいてイベントの発生を検出し、イベント発生の有無を前記車両情報の一部とする車載電子機器とするとよい。
車両情報を含む第2の動画データを受信したサーバに、車両情報を読み取って車両にイベントが発生したか否かを判定し、判定結果に応じて特有の処理を実行する機能を持たせるとよい。イベントが発生したか否かを判定する機能を持つサーバは、第2の動画データに対してイベント発生時に特有の処理を行うことができる。例えば、イベント発生時に車載電子機器が特有の処理を行うことなく、車載電子機器の代わりにサーバがその特有の処理を行うようにするとよい。例えば、イベント発生時にイベント発生時点の前後の動画像を、常時録画する記憶領域とは別の記憶領域に記録する機能(イベント録画機能)をサーバに持たせるとよい。サーバにイベント録画機能を持たせた場合、車載電子機器ではイベント録画を行わないようにするとよい。
車両に発生するイベントとして、急ハンドル操作、急ブレーキ操作、衝撃の発生等を採用するとよい。これらのイベントの発生は、車両に搭載した加速度センサまたは車載電子機器に内蔵の加速度センサ等によって検出するようにするとよい。判定条件として、例えば加速度センサによる加速度の検出結果が所定の判定閾値を超えたこととするとよい。イベント発生の有無を表す車両情報として、イベントが発生したか否かを表すイベントフラグとするとよい。イベントフラグを、急ハンドル操作、急ブレーキ操作、衝撃の発生等のイベント種別ごとに設けるとさらによい。
(6)前記処理手段は、前記サーバから前記判定条件の更新指令を受信すると、前記判定条件を更新し、更新後の前記判定条件に基づいてイベントの発生を検出する車載電子機器とするとよい。
車両の管理者は、車両に搭載された車載電子機器を直接操作することなく、サーバを介して判定条件を更新することができる。例えば、検出されたイベントの件数が多すぎる場合には、加速度の判定閾値を高くすることにより、検出感度を低下させるとよい。逆に、検出すべきイベントが見逃されてしまうような場合には、加速度の判定閾値を低くすることにより、検出感度を高めるとよい。
処理手段は、判定条件の更新指令を受けると、即時に判定条件を更新するとよい。車両の管理者は、更新後の判定条件に基づいたイベントの検出結果を確認しながら判定条件を微調整することにより、最適な判定条件を見つけ出すことができる。
(7)前記処理手段は、前記サーバから動画像の送信停止の指令を受けると、前記第2の動画データの画像部分をブランクとし、前記車両情報を付加した前記第2の動画データを前記サーバに送信する機能を有する車載電子機器とするとよい。
第2の動画データの画像部分をブランクとすることにより、データ量を少なくすることができる。例えば全てのピクセルを黒色等の単一色に設定することにより、画像部分をブランクにするとよい。動画像の送信を停止しても第2の動画データは送信するため、サーバへの車両情報の送信は継続される。車両情報の送信は継続されるが、第2の動画データのデータ量が少ないため、送信すべきデータ量も少なくなる。第2の動画データは、例えばH.264規格等の動画圧縮技術を用いて圧縮されたものとするとよい。
(8)前記処理手段は、前記無線通信手段で利用される電波の状態に基づいて前記第2の動画データの送信を行うか否かを判定し、送信を行わないと判定した場合には前記第2の動画データを前記サーバに送信する代わりに記憶手段に記録する機能を有する車載電子機器とするとよい。
電波の状態が、通信できない状態、または第2の動画データを送信するのに十分な通信速度が確保できない状態のとき、第2の動画データの送信を行わないと判定するとよい。処理手段は、送信処理を行う前に、電波の状態が第2の動画データの送信に適さないことを検知するようにするとよい。これにより、第2の動画データの送信処理の無駄なリトライを無くすことができる。
第2の動画データを記憶手段に記録しておくことにより、電波状態が回復した後に、現在取得されつつある第2の動画データをサーバに送信するとともに、記憶手段に記録されている第2の動画データを読み出してサーバに送信する機能を処理手段に付与するとよい。このようにすると、サーバに送信される第2の動画データの欠落を防止することができる。現時点の第2の動画データと、記憶手段に記録されている第2の動画データとの両方を送信するのに十分な転送速度、または十分な処理能力が確保されていない場合には、車両の運行を停止した後(例えばアクセサリスイッチをオフにした後)に、記憶手段に記録されている第2の動画データをサーバに送信する機能を処理手段に付与するとよい。このようにすると、十分な転送速度または十分な処理能力が確保されていない場合でも、第2の動画データをサーバに送信することができる。
(9)前記処理手段は、前記無線通信手段を介して前記サーバからメッセージを受信すると、出力手段から画像または音によって前記メッセージの内容を出力させる機能を有する車載電子機器とするとよい。
車両の管理者がサーバのクライアント端末を操作することにより、クライアント端末からサーバを介して車載電子機器にメッセージを送信する機能を、クライアント端末に持たせるとよい。このようにすると、車両の管理者はクライアント端末を操作することにより、車両の運転者にメッセージを送信することができる。メッセージに気付いた運転者は、メッセージの内容を運転操作等に反映させることができる。メッセージの内容として、例えば速度超過、急ハンドル及び急ブレーキの多用等を回避するように運転者に警告する内容とするとよい。その他に、運転者に知らせる必要がある一般的な業務連絡としてもよい。出力手段からのメッセージ内容の出力は、運転操作の妨げにならないように、信号待ち等で車両が停止するまで出力を待機し、車両が停止した後に行うようにするとよい。例えば、走行速度が0になると車両が停止したと判定するとよい。
車載電子機器からサーバを介して管理者に、交通事故等の緊急事態の発生を通知するメッセージを送信するようにしてもよい。例えば、車載電子機器に緊急事態の発生を通知するためのボタン等のスイッチを設け、運転者がこのスイッチを操作すると、処理手段が緊急事態の発生を通知するメッセージを送信するようにするとよい。管理者は、車両に緊急事態が発生したことを、サーバを介して知ることができる。
管理対象の複数の車両の各々に搭載された撮像手段で撮像された動画像と、動画像の各フレームに関連付けて付加された車両情報とを含む動画データを各車両から受信し、前記動画データを記憶手段に蓄積させる機能を備えた処理手段を有するサーバとするとよい。
蓄積された特定の車両の動画データを読み出して処理する装置が特定のフレームの処理を行うときに、この装置は、現時点の処理対象のフレームに関連付けられた当該車両の車両情報に容易にアクセスすることができる。蓄積された動画データを読み出して処理する機能をサーバの処理手段に持たせるとよい。動画データを読み出して処理する装置に、例えば、特定のフレームの処理、例えば表示手段に画像を表示させる処理を行うついでに、そのフレームに関連付けられている車両情報を動画データから取り出す機能を付与するとよい。
管理対象の複数の車両の各々に搭載された撮像手段で撮像された動画像と、動画像の各フレームに関連付けて付加された車両情報とを含む動画データから、前記車両情報を抽出して前記動画データとは別に前記記憶手段に蓄積させる機能を備えた処理手段を有するサーバとするとよい。
動画データから車両情報を抽出して動画データとは別に記憶手段に蓄積させることにより、蓄積された車両情報にアクセスする装置は、例えば動画データを時系列で読み出すことなく、必要な車両情報を容易に取り出すことができる。蓄積された車両情報にアクセスする機能をサーバの処理手段に持たせるとよい。
(10)管理対象の複数の車両の各々に搭載された撮像手段で撮像された動画像と、動画像の各フレームに関連付けて付加された車両情報とを含む動画データを各車両から受信し、前記動画データを記憶手段に蓄積させる機能、及び前記動画データから前記車両情報を抽出して前記動画データとは別に前記記憶手段に蓄積させる機能を備えた処理手段を有するサーバとするとよい。
蓄積された特定の車両の動画データを読み出して処理する装置が特定のフレームの処理を行うときに、現時点の処理対象のフレームに関連付けられた当該車両の車両情報に容易にアクセスすることができるとともに、例えば動画データを時系列で読み出すことなく、必要な車両情報を記憶手段から容易に取り出すことができる。
蓄積された動画データを読み出して処理する機能、及び蓄積された車両情報にアクセスする機能をサーバの処理手段に持たせるとよい。
動画データは、例えばドライブレコーダ等の車載電子機器から送信するとよい。サーバの処理手段は、車両から送られてくる動画データ、車両情報等を、端末IDによりグループ分けして保存し、管理するとよい。
動画データとは別に蓄積される車両情報は、種々の検索キーで検索できるようにデータベース化しておくとよい。検索キーとして、例えば車両の識別情報、運転者の識別情報、日時情報、イベント発生の有無を示す情報等とするとよい。車両の管理者は、このデータベースにアクセスして必要な車両情報を容易に見つけ出すことができる。
(11)前記処理手段は、クライアント端末から車両を特定してライブ配信の要求があると、特定された車両から受信している前記動画データを、ライブ配信を要求したクライアント端末にライブ配信する機能、クライアント端末から車両を特定してオンデマンド配信の要求があると、特定された車両の前記動画データを前記記憶手段に蓄積から読み出して、オンデマンド配信を要求したクライアント端末にオンデマンド配信する機能を有するサーバとするとよい。
車両の管理者は、クライアント端末を操作してライブ配信を要求することにより、特定の車両で撮像されている動画像をライブで確認することができる。さらに、車両の管理者は、特定の車両及び特定の日時を指定してオンデマンド配信を要求することにより、特定の車両で過去に撮像された動画像を確認することができる。
現時点で動画像の送信が停止されている車両に関してライブ配信の要求があると、サーバの処理手段が対象の車両に対して動画像の送信を開始するように指令を送出するようにするとよい。車載電子機器に、動画像の送信を開始する指令を受けると動画像の送信を開始する機能を持たせるとよい。ライブ配信の要求があった対象の車両に搭載された車載電子機器から動画像の送信が開始されると、サーバの処理手段はクライアント端末に動画像をライブ配信するようにするとよい。車両の管理者は、クライアント端末を操作して、対象の車両からの現時点の動画像を確認することができる。
(12)前記車両情報は、対応する車両の現在位置を示す位置データを含み、
前記処理手段は、クライアント端末から車両を特定して前記動画データのライブ配信の要求があると、ライブ配信の対象となる車両以外の少なくとも1つの車両の現在位置を示す位置データを、ライブ配信を要求したクライアント端末に送信する機能を有するサーバとするとよい。
ライブ配信されている特定の車両の動画データから、その車両の位置データを取り出す機能をクライアント端末に持たせることよい。車両の管理者は、この機能を持つクライアント端末を操作して、特定の車両の現在位置を知ることができる。さらに、車両の管理者は、ライブ配信の対象となっている車両以外の車両の現在位置を示す位置データを受信する機能を持つクライアント端末を操作して、特定の車両以外の車両の現在位置を知ることができる。
ライブ配信の対象となる車両以外の車両の位置データは、クライアント端末から要求があった時のみ、そのクライアント端末に送信するようにするとよい。また、ライブ配信先のクライアント端末に、ライブ配信の対象となる車両以外の車両の位置データを常時送信するようにしてもよい。ライブ配信の対象となる車両以外の車両の位置データも、即時性を維持してクライアント端末に送信するようにするとよい。ライブ配信の対象となる車両以外の車両の位置データは、ライブ配信中の動画のフレーム間隔よりも長い時間間隔で送信するようにしてもよい。例えば、動画のフレーム間隔が約0.1秒であるとき、ライブ配信の対象となる車両以外の車両の位置データの送信間隔は1〜5秒程度としてもよい。
(13)前記車両情報は、対応する車両にイベントが発生したか否かを示すイベントフラグを含み、
前記処理手段は、管理対象の複数の車両から受信した前記動画データに含まれる前記イベントフラグに基づいて車両にイベントが発生したか否かを判定し、車両にイベントが発生したと判定した場合には、イベントが発生したと判定された車両から受信した前記動画データのうちイベント発生時点の前後のある期間の前記動画データをイベント録画データとして、イベントの発生とは無関係に前記動画データを前記記憶手段に蓄積する処理とは別に、前記記憶手段に蓄積する機能を有するサーバとするとよい。
イベント録画データを、車両から途切れることなく受信して記憶手段に蓄積した動画データ(常時録画データ)とは別に管理する機能を、処理手段に持たせるとよい。イベント録画データとして蓄積するイベント発生時点の前後の時間幅は、例えば前後1分間とするとよく、車両の管理者が任意に設定できるようにするとさらによい。また、この時間幅を、イベントの種別ごとに設定できるようにするとよい。
端末(ドライブレコーダ)ごと、またはグループごとに、設定された条件で常時録画データを削除(消去)する機能を処理手段に持たせるとよい。常時録画データの削除条件は、例えばユーザが操作するクライアント端末(例えばパソコンにインストールされたPCアプリ)によって設定できるようにするとよい。例えば動画データ取得時点から一定の期間が経過すると、処理手段が常時録画データを消去するようにするとよい。処理手段は、常時録画データを消去しても、イベント録画データは残しておくようにするとよい。常時録画データを消去することにより、常時録画データで占められる記憶手段の記憶容量を削減することができる。車両の管理者等は、常時録画データが消去された後も、事故発生時等の重要度の高いイベント録画データの内容を確認することが可能である。常時録画データの消去とは別の条件でイベント録画データの消去を行う機能を、処理手段に持たせるとよい。車両の管理者がクライアント端末を操作して、イベント録画データの消去条件を設定できる機能を、サーバの処理手段及びクライアント端末に持たせるとよい。例えば、処理手段は、イベント録画データの消去をする前に、クライアント端末を介してユーザ(車両の管理者)に消去の承認を求めるようにするとよい。車両の管理者がクライアント端末を操作して消去を承認した後に、処理手段がイベント動画データを消去するようにするとよい。このようにすると、車両の管理者が気付かないままイベント録画データが消去されてしまう事態の発生を防止することができる。
イベントフラグのチェック及びイベント録画データの蓄積処理は、動画データを受信したときにリアルタイムに行うとよい。このようにすると、車両の管理者は、イベント発生後に、直ちにサーバのイベント録画データにアクセスすることができる。イベントフラグのチェック及びイベント録画データの蓄積を、定期的に、または車両の管理者からの指令によってバッチ処理で行ってもよい。
イベントフラグのチェック及びイベント録画データの蓄積をバッチ処理で行う場合、常時録画データを消去する前にイベントフラグをチェックし、イベント録画データとして蓄積していないイベントが見つかると、そのイベント発生時点の前後のイベント録画データを蓄積するか否かを車両の管理者に問い合わせるようにするとよい。このようにすると、イベント発生時点の重要な動画データが消去されてしまう事態の発生を回避することができる。
サーバの処理手段がイベントの発生を検出すると、登録されているメールアドレスに、イベントの発生を知らせる電子メールを送信するようにするとよい。送信先のメールアドレスとして、例えば車両の管理者が操作する端末で受信することができるメールアドレスを登録しておくとよい。メール送信に代えて、車両の管理者が操作するタブレット端末等の携帯端末にプッシュ通知するようにしてもよい。このようにすることで、車両の管理者は管理対象の車両でイベントが発生したことに直ちに気付くことができる。
(14)前記処理手段は、管理対象の車両ごと及び単位期間ごとにデータ通信量を累積し、車両ごとのデータ通信量を車両と関連付けてクライアント端末に送信する機能を有するサーバとするとよい。
車両の管理者は、サーバから送信されたデータ通信量を受信して表示する機能を持つクライアント端末を操作して、車両ごとのデータ通信量を把握することができる。データ通信量を累積する単位期間として、通信料金を計算する基礎となる期間、例えば1か月とするとよい。処理手段は、管理対象のすべての車両のデータ通信量の合計値も、クライアント端末に送信するようにするとよい。データ通信量の合計値に基づいて通信料金が決まる場合、車両の管理者はデータ通信量の合計値から容易に通信料金を予測することができる。処理手段は、車両ごとに単位期間よりも長い期間、例えば1年間のデータ通信量を合計し、合計値をクライアント端末に送信するようにするとよい。
車両ごとの通信料、または合計の通信量が設定上限値を超えたら、登録されているメールアドレスに、通信量が設定上限値を超えたことを知らせる電子メールを送信する機能を処理手段に持たせるとよい。登録されたメールアドレスとして、車両の管理者が受信できるメールアドレスとするとよい。また、メール送信に代えて、管理者が操作可能なタブレット端末等にプッシュ通知するようにしてもよい。このようにすることにより、管理者は、通信量が想定値を超えたことに気付くと、動画データの送信を停止させて、通信料金が想定額を超えてしまうことを回避することができる。
(15)前記処理手段は、車両を特定してメッセージを送信する依頼をクライアント端末から受けると、特定された車両に前記メッセージの内容を送信する機能を有するサーバとするとよい。
車両の管理者は、クライアント端末を操作することにより、サーバを介して車両にメッセージを送信することができる。メッセージとして、例えば危険運転を回避するように促すメッセージ、単なる業務連絡等が挙げられる。サーバが、車両の車載電子機器からメッセージを受信すると、クライアント端末にメッセージを送信するようにするとよい。これにより、クライアント端末(PCアプリ)と車載電子機器(例えばドライブレコーダ)との間で、メッセージの交換を行うことができる。
(16)前記処理手段は、管理対象の車両のうち特定の車両で撮像された動画像の送信を停止させる指令をクライアント端末から受信すると、動画像の送信を停止させる対象となる車両に動画像の送信を停止させる指令を送信する機能を有するサーバとするとよい。
車両の管理者は、クライアント端末を操作することにより、サーバを介して特定の車両からの動画像の送信を停止させることができる。例えば、車両の管理者は、通信料金が、想定される上限値を超えた時に特定の車両からの動画像の送信を停止させるとよい。
(17)前記処理手段は、管理対象の複数の車両から受信した前記動画データに基づいて機械学習を行い、機械学習の結果を用いて、管理対象の車両から新たに受信した前記動画データについて事故が発生する危険度を予測する機能を有するサーバとするとよい。
処理手段は、動画データに含まれる動画像と車両情報とを関連付けて機械学習することにより、車両情報のみに基づく機械学習、または動画像のみに基づく機械学習に比べて、より利用価値の高い学習結果を導き出すことができる。事故が発生する危険度の予測結果を利用して、事故を未然に防止する対策を講じることができる。例えば、事故が発生しやすい場所、急ブレーキまたは急ハンドルの操作を行う頻度が高い場所等の情報に基づいて、運転に注意すべき場所を抽出することができる。
さらに、動画データに含まれる動画像を解析することにより、事故には至らなかったが事故が発生する危険性が高かった状況の発生頻度を車両ごとまたは運転者ごとに算出することができる。例えば、歩行者や自転車に異常に接近したが接触はしていないような状況の発生、一時停止違反等は、加速度センサの測定値から検出することはできない。動画データの動画像を解析することにより、このような状況の発生を検出することができる。さらに、動画像と車両情報とを関連付けることにより、歩行者や自転車を追い越すときの走行速度と、追い越し時における歩行者や自転車までの距離とを関連付けて、危険度を算出することもできる。
(18)管理対象の複数の車両の各々に搭載された撮像手段で撮像された動画像と、動画像の各フレームに関連付けて付加された車両の車両情報とを含む動画データをサーバから受信し、前記動画データに含まれる動画像を表示手段に表示させ、前記動画データに含まれる前記車両情報を取り出し、前記表示手段に表示させる動画像と関連付けて前記車両情報を表示させる機能を備えた処理手段を有するクライアント端末とするとよい。
車両情報が動画像の各フレームに関連付けて付加されているため、クライアント端末の処理手段は、現在表示されている動画像のフレーム画像と車両情報とを容易に関連付けることができる。車両情報に、車両の現在位置情報、加速度情報、走行速度情報、イベント発生の有無等を含めるとよい。このようにすると、表示手段に現在表示されている動画像のフレーム画像を取得した時点の位置情報、加速度情報、走行速度情報、イベント発生の有無等を動画データから抽出する機能を処理手段に備えるとよい。例えば、処理手段は、動画像と共に、再生中の動画像と同期させて、位置情報、加速度情報、走行速度情報、イベント発生の有無等を表示手段に表示させるとよい。
クライアント端末は、管理対象の車両を一覧表示する機能を持つとよい。車両の管理者が、一覧表示された複数の車両から1つの車両を選択すると、処理手段は、選択された車両に関する動画データをサーバから受信し、動画像を表示させるとよい。
一覧表示された車両に関して、新規の(未確認の)イベント録画データが存在する場合には、車両ごとに、未確認のイベント録画データが存在することを通知する情報(イベントインジケータ)を表示手段に表示させるとよい。管理者がイベント録画データの確認を行うと、イベントインジケータの表示しないようにするとよい。例えば、処理手段は、イベントインジケータとともに「確認」ボタンを表示させ、「確認」ボタンをクリックまたはタップすると、イベント録画データの確認が完了したこととするとよい。
車両が一覧表示された画面に、車両ごとに「データ」ボタンを表示させ、「データ」ボタンがクリックまたはタップされると、車両に関する動画データに含まれる動画像や車両情報を表示手段に表示させる車両データ画面に遷移するようにするとよい。さらに、車両ごとに「地図」ボタンを表示させ、「地図」ボタンがクリックまたはタップされると、地図と、選択された車両の地図上における位置を表示させる地図表示画面に遷移するようにするとよい。地図表示画面に遷移した時、直前の車両データ画面に表示されていた車両の現在位置が地図の中心に配置されるように、地図を表示するとよい。車両データ画面または地図表示画面に表示された「管理車両一覧」ボタンをクリックまたはタップすることにより、管理対象の車両の一覧を表示する車両一覧画面に戻るようにするとよい。
(19)さらに、データを記憶する記憶手段を有し、
前記処理手段が前記動画データに含まれる動画像を前記表示手段に表示させる機能は、前記動画データに含まれる動画像をストリーミング再生することにより実現され、前記処理手段は、ストリーミング再生に用いられる前記動画データを前記記憶手段に格納する機能を有するクライアント端末とするとよい。
一度ストリーミング再生を行うと、ストリーミング再生された動画データを再度ダウンロードすることなくクライアント端末に保存することができる。クライアント端末に保存された動画データは、サーバにアクセスすることなく再生することができる。例えば、サーバに蓄積されている動画データが保管期間を過ぎて消去されても、その動画データがクライアント端末に保存されている場合には、必要に応じて再生することができる。ストリーミング再生を行う際に、処理手段は、ストリーミング再生される動画データをクライアント端末に保存するか否かを車両の管理者に問い合わせるようにするとよい。
「ストリーミング再生に用いられる前記動画データを前記記憶手段に格納する」とは、ストリーミング再生を終了させた後も、動画データを記憶手段から読み出して再生することができる態様で記憶手段に格納することを意味する。
動画データに含まれる動画像のストリーミング再生には、サーバからライブ配信されている動画像の再生と、オンデマンド配信されている動画像の再生とが含まれる。サーバから動画データがライブ配信されている場合には、クライアント端末で車両の周囲の状況をリアルタイムに把握することができる。クライアント端末の処理手段は、現在再生中の動画像がライブ配信されているものか、オンデマンド配信されているものか、クライアント端末に保存されているものかを区別することができる情報を表示手段に表示させるようにするとよい。ストリーミング再生することなく、サーバからクライアント端末に動画データをダウンロードする機能を備えるとさらによい。
(20)前記処理手段は、前記記憶手段に格納されている前記動画データを読み出して前記動画データに含まれる動画像を前記表示手段に表示させる機能、及び前記表示手段に表示されている動画像が、前記サーバから受信している前記動画データに基づくものか、前記記憶手段から読み出した前記動画データに基づくものかを識別可能な情報を前記表示手段に表示させる機能を有するクライアント端末とするとよい。
クライアント端末を操作する車両の管理者は、現在再生中の動画像が、サーバに保存されている動画データに基づくものか、クライアント端末に保存されている動画データに基づくものかを、表示手段に表示されている情報から容易に知ることができる。例えば、サーバに保存されている動画データに含まれる動画像を再生中に、サーバで消去された後も再生する可能性があると判断した場合には、サーバからクライアント端末に動画データをダウンロードする必要があることを認識することができる
再生中の動画像がサーバから受信している動画データに基づくものか、クライアント端末に保存されている動画データに基づくものかを識別可能な情報として、文字列、色等を採用するとよい。例えば、動画データをサーバから受信している場合には、動画像の表示画面内に「サーバの動画」という文字列を表示させ、クライアント端末に保存されている動画データを読み出している場合には、動画像の表示画面内に「端末の動画」という文字列を表示させるとよい。または、動画像の再生インジケータの色を異ならせることにより、両者を区別できるようにしてもよい。
(21)さらに、装着されたリムーバブルメディアのデータを読み取る読み取り手段を有し、
前記処理手段は、前記動画データに含まれる動画像を前記表示手段に表示させている期間に操作者が入力した日時登録指令を受けると、前記日時登録指令を受けた時点に前記表示手段に表示されている動画像のフレームの撮像日時データを指令日時として抽出し、前記読み取り手段に装着されているリムーバブルメディアに記録されている動画像から前記指令日時に基づく時点のフレームを抽出し、前記表示手段に表示させる機能を有するクライアント端末とするとよい。
リムーバブルメディアとして、車両に搭載されたドライブレコーダ等の車載電子機器によって、車両の周囲を撮像して得られた動画データを記録したものを用いるとよい。リムーバブルメディアには、車両からサーバに送信する動画データよりも高解像度、高フレームレートの動画データを記録するようにするとよい。クライアント端末で動画像を再生しているときに、より高解像度の動画像を見たい状況が生じると、車両の管理者は、クライアント端末に日時登録指令を入力するとよい。リムーバブルメディアを当該車両の車載電子機器から取り外してクライアント端末に装着することにより、日時登録指令で指令された日時から、リムーバブルメディア内の動画データに含まれる映像を容易に頭出し再生することができる。これにより、サーバから受信した動画データに含まれる動画像より高解像度の動画像で車両の周囲の状況を確認することができる。
日時登録指令が入力されると、クライアント端末の処理手段は、該当の車両の車載電子機器に対して、リムーバブルメディアを車両の管理者まで持参するように促すメッセージを、サーバ経由で送信するようにするとよい。車載電子機器は、エンジン停止の操作が行われた後に、このメッセージを運転者に対して出力するようにするとよい。このメッセージに気付いた運転者がリムーバブルメディアを車両の管理者まで持参することにより、管理者は、直ちにリムーバブルメディア内の動画データに含まれる動画像を再生することができる。
入力された日時登録指令の対象となる車両が車両基地に戻った後、WiFi等の近距離無線通信により、車載電子機器からサーバに高解像度、高フレームレートの動画データを送信するようにしてもよい。このようにすると、リムーバブルメディアを車載電子機器から取り外して管理者まで持参する手間を省くことができる。
(22)前記処理手段は、管理対象の複数の車両の少なくとも1つを特定して、特定された車両の車載電子機器の動作条件を変更する指令が入力されると、変更対象の動作条件を変更する際に前記撮像手段からの動画像の取得を停止させる必要がある場合には、動作条件の変更の指令を前記サーバに送信する前に、動画像の取得を停止させる必要があることを操作者に通知する機能を有するクライアント端末とするとよい。
車両の管理者は、車載電子機器が搭載された車両まで赴くことなく、車載電子機器の動作条件を変更することができる。動作条件を変更するために動画像の取得を停止させる必要がある場合には、クライアント端末を操作する管理者は、動作条件を変更するために動画像の取得が停止してしまうことに気付くことができる。例えば、クライアント端末の表示手段に、「動作条件変更のために○○秒間録画が停止されます。動作条件を変更していいですか。」というメッセージを表示させるとよい。管理者は、動作条件の変更と、動画像の取得との優先度を考慮して、動作条件を変更するか否かを決定することができる。
動作条件として、例えば車載電子機器がイベントの発生を検出する感度、車載電子機器がサーバに送信する動画データの解像度及びフレームレート、上書きモードのオンオフ設定、イベント発生時のビープ音のオンオフ、リムーバブルメディアの初期化、ファームウェアの更新等が挙げられる。イベントの発生を検出する感度は、例えば車両に加わる加速度の閾値で表される。上書きモードがオンのとき、リムーバブルメディアの空き容量が不足すると、古い動画像を消去して新しい動画像を上書きする。上書きモードがオフのとき、リムーバブルメディアの空き容量が不足すると、古い動画像を残し新しい動画像は記録しない。リムーバブルメディアの初期化が指令されると、車載電子機器はリムーバブルメディアを初期化した後、動画データの記録を再開する。リムーバブルメディアを初期化、またはファームウェアの更新を行う際には動画データの記録を停止させる必要がある。
動作条件変更の指令を受けた車載電子機器は、動作条件変更処理の実行を運転者に通知するようにするとよい。例えば、車載電子機器の表示手段に、「動作条件の設定を変更します。変更が終わるまでエンジンを切らないでください。」というメッセージを表示させるとよい。
(23)前記車両情報は、当該車両情報に対応付けられている前記動画データのフレームの画像を取得した時の車両の位置を示す位置データを含み、
前記処理手段は、前記サーバからライブ配信されている前記動画データを受信し、受信した前記動画データの各フレームに関連付けて付加されている位置データに基づいて、前記表示手段に地図を表示させ、位置データで示される地図上の位置に、受信している前記動画データに対応する車両を示す記号を表示させる機能を有するクライアント端末とするとよい。
クライアント端末を操作する管理者は、管理対象の特定の車両の周囲の動画像を見るとともに、地図上でその車両の位置を容易に把握することができる。位置データが動画データのフレームに対応付けられているため、クライアント端末の処理手段は、再生中の動画像の現時点のフレーム画像と、その時点の車両の位置とを容易に対応付けることができる。
(24)前記処理手段は、管理対象の複数の車両のうち少なくとも一部の車両の現在位置を示す位置データを前記サーバから受信し、前記表示手段に表示させている地図上に、受信中の前記動画データに対応付けられている車両の現在位置の他に、他の車両の現在位置に対応する地図上の位置に、車両を示す記号を表示させるクライアント端末とするとよい。
クライアント端末を操作する管理者は、管理対象の複数の車両の現在位置を容易に把握することができる。受信中の動画データに対応付けられている車両とは異なる車両に関しては、動画データを送受信することなく、位置データ等を送受信するとよい。このようにすることで、送受信データ量を少なくすることができる。
上記(10)に示したサーバに、クライアント端末から要求された特定の車両の車両情報をクライアント端末に送信する機能、及び特定の車両以外の管理対象の車両の車両情報をクライアント端末に送信する機能を持たせるとよい。
受信中の動画データに対応付けられている車両、及びその他の車両の位置を地図上に表示する場合には、動画データの動画像を表示せず、地図を表示画面いっぱいに表示するとよい。このようにすることで、大きな地図で、複数の車両の現在位置を詳細に確認することができる。動画データの動画像を表示するモードと、地図を大きく表示するモードとを管理者の操作によって切換可能にするとよい。地図が大きく表示されているモードにおいても、着目している特定の車両については動画データを継続して受信しているため、動画データの動画像を表示するモードに切り替わったとき、直ちに動画像を表示させることができる。
地図上に表示された車両を示す記号がクリックまたはタップにより選択されると、クライアント端末の処理手段は、表示手段に表示される画面を、地図表示画面から選択された車両の車両データ画面に遷移するようにするとよい。
(25)車両に搭載された撮像手段で撮像された動画像に基づく動画データ、前記車両の位置を表す位置情報、及び日時を表す時刻情報を相互に関連付けて記憶手段に記録し、かつ前記位置情報及び前記時刻情報を、前記車両を特定する車両IDと関連付けてサーバに送信する機能を備えた処理手段を有する車載電子機器とするとよい。
(26)動画像が撮像された日時を表す時刻情報、動画像が撮像された位置を表す位置情報、及び動画像を撮像した車載電子機器が搭載されている車両を特定する車両IDを前記車載電子機器から受け取り、前記時刻情報及び前記位置情報を検索キーとして車両IDを検索できるように構成されたデータベースを作成する機能を備えた処理手段を有するサーバとするとよい。
(27)前記サーバの処理手段が、クライアント端末から、前記位置情報及び前記時刻情報を指定してデータベースを検索する要求を受けると、指定された前記位置情報及び前記時刻情報を検索キーとして前記データベースを検索し、検索結果を前記クライアント端末に返信する機能を有するサーバとするとよい。
(28)確認したい画像の日時及び場所を指定する情報(時刻情報及び位置情報)を利用者に入力させる機能、及び入力された時刻情報及び位置情報を指定して、サーバに対してデータベースの検索を要求する機能、及びサーバから検索結果を受信して表示手段に表示させる機能を備えた処理手段を有するクライアント端末とするとよい。
車載電子機器からサーバに、位置情報と時刻情報に加えて動画データを送信する場合と比べて、送信データ量を少なくすることができる。これにより、データ転送にかかるコストを削減することができる。また、動画データがサーバに送信されないため、車載電子機器の所有者の了解を得ることなくサーバ上の動画データが第三者に読み出されてしまうことを防止することができ、プライバシーの保護を図ることができる。
車載電子機器が搭載された車両を特定する車両IDと、車載電子機器の所有者を特定する情報(アカウント)とを対応付けてサーバに登録しておくとよい。サーバの処理手段は、データベースの検索結果とともに、車載電子機器の所有者のアカウントをクライアント端末に返信するとよい。所有者のアカウントとともに、アカウント属性を返信するとさらによい。返信するアカウント属性に、例えば所有者の氏名または名称を含めるとよい。クライアント端末の処理手段は、データベースの検索結果とともに、所有者のアカウントまたはアカウント属性を表示手段に表示させるとよい。このようにすると、クライアント端末の利用者は、車両IDで特定される車両に搭載された車載電子機器の所有者を結いに知ることができる。
クライアント端末の利用者は、サーバから返信された検索結果を見て、車載電子機器の所有者に対して、日時及び場所を指定して動画データの提供を依頼することが可能である。車載電子機器の所有者から動画データが提供されると、提供された動画データから指定日時及び指定場所の動画像を再生することができる。この動画データは、事故、犯罪等の証拠として利用することができる。これらの証拠を犯罪捜査に活用することにより、誤認検挙を防止することができる。さらに、犯罪の現場に偶然居合わせた第三者の車両の車載電子機器で撮像された動画像が犯罪捜査に利用され得ることが社会的に認知されると、犯罪を抑止する効果が得られる。
車載電子機器からサーバへの位置情報及び時刻情報の送信には、例えばWiFi規格、LTE規格等の無線通信を利用するとよい。車載電子機器の処理手段は、位置情報及び時刻情報を、所定の時間間隔で定期的にサーバに送信(アップロード)するようにするとよい。車載電子機器の処理手段は、車載電子機器の所有者や車両の運転者による操作を必要とせず、自動的にアップロードする機能を持つとよい。車載電子機器の処理手段が自動アップロード機能を有すると、操作ミス(操作忘れ)によって位置情報と時刻情報とがアップロードされない事態の発生を防止することができる。
車載電子機器からサーバに位置情報及び時刻情報を無線で送信する方式に代えて、リムーバブルメディアに記録された動画データを読み出して動画像の再生を行う外部電子機器が、現時点までに走行した経路の位置情報及び時刻情報をサーバに送信(アップロード)する機能を持つようにしてもよい。この場合には、車載電子機器に無線通信機能を持たせる必要がない。
この機能を持つ外部電子機器として、例えばパソコン、タブレット端末、スマートフォン等を利用することができる。この機能は、パソコンにインストールされるPCビューワ、タブレット端末やスマートフォンにインストールされるアプリケーションプログラム(スマホアプリ)等で実現するとよい。この外部電子機器は、リムーバブルメディアに記録されている動画データに含まれる位置情報及び時刻情報が、既にサーバにアップロードされたものか否かを管理する機能を持つとさらによい。外部電子機器は、リムーバブルメディアが装着されると、動画データから未アップロードの位置情報及び時刻情報を抽出し、未アップロードの位置情報及び時刻情報をアップロードするとよい。このようにすると、同一情報を重複してアップロードすることを回避することができる。
サーバの処理手段は、クライアント端末に返信する検索結果に、検索によって見つかった車両の、指定された時刻の前後一定時間の位置情報及び時刻情報を含めるとよい。クライアント端末の処理手段は、返信された検索結果に基づいて、車両の走行経路が判別できる態様で表示手段に地図を表示させる機能を持つとよい。クライアント端末の利用者は、車両の走行経路を見て、有益な動画データを保有している可能性のある車載電子機器の所有者を抽出することができる。
車載電子機器として、例えばドライブレコーダを利用するとよい。車両の位置情報は、車両に搭載したGPS受信機から取得するとよい。車載電子機器にGPS受信機を内蔵するとさらによい。時刻情報は、GPS受信機、または車載電子機器の内蔵クロックから取得するとよい。「時刻情報」は、例えば「年月日」の情報及び「時分秒」の情報を含むとよい。動画データを記録する記憶手段として、例えばSDカード等のリムーバブルメディアを用いるとよい。このようにすると、リムーバブルメディアを車載電子機器から取り外して他の外部電子機器、例えばパソコン、タブレット端末等で、リムーバブルメディアに記録された動画データを読み出して動画像を再生することができる。
(29)前記クライアント端末の処理手段は、指定した日時に指定した場所を走行した車両に搭載された車載電子機器の所有者を指定して動画像の提供の依頼を受け付ける機能、及び動画データの提供を依頼するメッセージを送信する機能を有するとよい。
(30)前記サーバの処理手段は、動画データの提供の依頼先である所有者のアカウントを特定したメッセージを前記クライアント端末から受信すると、受信したメッセージで特定された所有者のアカウントを記憶し、前記外部電子機器において、動画データの提供が依頼されている所有者のアカウントでログインされたことを検知すると、動画データの提供の依頼があることを前記外部電子機器に通知する機能を有するとよい。
(31)前記外部電子機器の処理手段は、車載電子機器の所有者がアカウントを入力してログインすると、ログインした所有者のアカウントを前記サーバに送信し、前記サーバから動画データの提供の依頼があることが通知されると、動画データの提供が依頼されていることを通知する情報を出力手段から出力させる機能を持つとよい。
クライアント端末の利用者は、クライアント端末を操作することにより、所望の動画像の提供をその所有者に依頼することができる。車載電子機器の所有者は、外部電子機器の出力手段から表示された情報に気付き、自分が保管している動画データの提供の依頼があったことを知ることができる。
クライアント端末の処理手段は、指定の時刻情報及び位置情報に基づいてサーバが検索した結果を表示手段に表示させる際に、検索で見つかった車載電子機器の所有者のアカウント属性、例えば氏名又は名称の一覧を表示させるとよい。クライアント端末の処理手段は、表示手段に表示された所有者の一覧から、クライアント端末の利用者の操作によって一部または全ての所有者を選択できる機能を持つとよい。クライアント端末の利用者が、所有者の一覧から動画データの提供を依頼したい所有者を選択すると、クライアント端末の処理手段は、選択された所有者に対して動画データの提供を依頼する機能を持つとよい。
外部電子機器の処理手段は、車載電子機器の所有者が動画データの提供依頼を受けるか断るかを所有者に選択させる機能を持つとよい。車載電子機器の所有者が動画データの提供の依頼を受けることを選択した場合には、外部電子機器の処理手段は、リムーバブルメディアから動画データを読み出してサーバにアップロードする機能を持つとよい。アップロードする動画データを、撮像日時によって指定できるようにするとさらによい。このようにすると、車載電子機器の所有者は、提供したくない動画データを除外し、提供してもよい動画データのみを選択してアップロードすることができる。
サーバは、動画データの提供の依頼があることを外部電子機器に通知するとともに、または通知する代わりに、動画データの提供依頼先の所有者に電子メールを送信してもよい。所有者の電子メールのアドレスは、アカウント属性の1つとしてサーバに登録しておくとよい。
上記(25)から(31)に記載の発明では、車載電子機器からサーバに動画データを送信しないが、上記(1)また(24)に記載の発明のように、車載電子機器からサーバに動画データを送信するようにしてもよい。このようにすると、上記(30)に記載の発明のように、サーバがクライアント端末から動画データの提供の依頼を受けると、動画データ提供の依頼先である所有者の了解を得た後に、直ちに動画データをクライアント端末に送信することができる。
上述した(1)から(24)に示した発明は、任意に組み合わせることができる。例えば、(1)に示した発明の全てまたは一部の構成に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加える構成としてもよい。特に、(1)に示した発明に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加えた発明とするとよい。また、(1)から(24)に示した発明から任意の構成を抽出し、抽出された構成を組み合わせてもよい。本願の出願人は、これらの構成を含む発明について権利を取得する意思を有する
上述した(25)から(31)に示した発明は、任意に組み合わせることができる。例えば、(25)に示した発明の全てまたは一部の構成に、(26)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加える構成としてもよい。特に、(25)に示した発明に、(26)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加えた発明とするとよい。また、(25)から(31)に示した発明から任意の構成を抽出し、抽出された構成を組み合わせてもよい。本願の出願人は、これらの構成を含む発明について権利を取得する意思を有する
上述した本発明の特定の仕方は一例であって、一部を拡張したり、一部を限定したりしてもよい。
本願の発明の効果はこれに限定されず、本明細書および図面等に開示される構成の部分から奏する効果についても開示されており、当該効果を奏する構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「〜できる」と記載した箇所などは奏する効果を明示する記載であり、また「〜できる」と記載がなくとも効果を示す部分が存在する。またこのような記載がなくとも当該構成よって把握される効果が存在する。
車載電子機器からサーバへ送信する動画データの通信量の増大が抑制される。
[第1実施例]
図1〜図4を参照して、第1実施例による車両管理システムについて説明する。この車両管理システムは、車載電子機器、サーバ、及びクライアント端末を含む。
図1は、第1実施例による車両管理システムの車載電子機器20、サーバ40、及びクライアント端末50のブロック図である。まず、車載電子機器20の構成について説明する。
車載電子機器20は、車両に搭載された状態で動作する。カメラ22が、車両の周囲、例えば前方を撮像する。カメラ22で得られた動画像が、処理ユニット21に入力される。GPS受信機23がGPS衛星から電波を受信し、車両の現在位置情報(緯度及び経度)、現在の高度情報、及び現在時刻情報を算出する。算出結果が処理ユニット21に入力される。
方位センサ24が車両の方位を検出する。加速度センサ26が車両の前後方向、左右方向、上下方向の加速度を検出する。方位センサ24及び加速度センサ26の検出結果が処理ユニット21に入力される。
クロック27が現在時刻情報を処理ユニット21に与える。処理ユニット21は、GPS受信機23から取得した現在時刻情報に基づいてクロック27を定期的に校正する。
ディスプレイ28が、処理ユニット21からの指令により画像を表示する。スピーカ29が、処理ユニット21からの指令により音または音声を出力する。SDカードリーダ30にSDカード32が装着される。処理ユニット21は、SDカードリーダ30に装着されたSDカード32からデータの読み取り、及びSDカード32へのデータの書き込みを行う。LTEモジュール31が、処理ユニット21からのデータ送受信指令を受けて、ネットワーク60を介してサーバ40との間でデータの送受信を行う。
車両のECU35から処理ユニット21に車両に関する種々の情報が入力される。ECU35から得られる車両情報には、例えばエンジン冷却水温、エンジン回転数、速度情報等が含まれる。
処理ユニット21は、カメラ22で撮像された動画像から生成された動画データ、及び種々の車両情報を、LTEモジュール31を介してサーバ40に送信する。これらのデータの送信処理については、後に図2を参照して説明する。
サーバ40は、処理ユニット41及び記憶装置42を含む。処理ユニット41は、ネットワーク60を介して車載電子機器20及びクライアント端末50とデータの送受信を行う。処理ユニット41は、車載電子機器20から受信した種々のデータを処理し、処理結果を記憶装置42に格納する。
クライアント端末50は、処理ユニット51、記憶装置52、ディスプレイ53、及び入力装置54を含む。車両の管理者は、入力装置54を操作することにより、サーバ40または車載電子機器20に対する指令を入力する。処理ユニット51は、入力された指令に基づいてデータ処理及びデータ通信を行い、処理結果をディスプレイ53に表示させる。
図2は、車載電子機器20の処理ユニット21(図1)が実行する処理のフローチャートである。処理ユニット21の機能は、予め記憶装置に格納されているプログラムを実行することにより実現される。
車載電子機器20が搭載されている車両のアクセサリスイッチがオンにされると、処理ユニット21が、動画データを収集、格納、及び送信する動作を開始する。まず、処理ユニット21がカメラ22から所定フレーム数の動画像のデータ(オリジナル動画データ)を取り込む(ステップSA1)。さらに、処理ユニット21は、GPS受信機23、方位センサ24、加速度センサ26、ECU35から車両情報を取得する(ステップSA2)。車両情報には、GPSデータ、クロック27から得られる現在時刻情報、加速度センサ26から得られる加速度情報、端末ID、イベントフラグが含まれる。GPSデータには、位置、時刻、速度、進行方向、及び高度を示す情報、及び各有効・無効情報が含まれる。
端末IDは、複数の車載電子機器20の各々を特定するための識別情報であり、例えば、車載電子機器20の各々の処理ユニット21内の不揮発性メモリに記録されている。
イベントフラグは、車両に所定のイベント(衝撃、急加速、急ブレーキ、急ハンドル等)が発生したことを通知するためのフラグである。イベントフラグは、衝撃検知フラグ、急加速検知フラグ、急ブレーキ検知フラグ、急ハンドル検知フラグ等のイベント種別ごとのフラグを含む。処理ユニット21は、加速度センサ26による検出結果に基づいて、これらのイベントが発生したか否かを検知し、イベント発生を検知した場合に、そのイベントに対応するイベントフラグをセットする。処理ユニット21は、加速度センサ26により測定された前後、左右、上下方向の加速度の値が所定の閾値を超えているときにイベントが発生したと判定する。
処理ユニット21は、オリジナル動画データに基づいて高解像度の動画データと低解像度の動画データとを生成する(ステップSA3)。例えば、高解像度の動画データのフレームレートを28fps、解像度をフルHDとし、低解像度の動画データのフレームレートを5〜10fps、解像度をVGAとする。高解像度の動画データ及び低解像度の動画データの各フレームは、フレームヘッダと、当該フレームの画像データを格納するが画像データ部とで構成される。処理ユニット21は、各フレームのフレームヘッダに、そのフレームの画像が取得された時点の車両情報を格納する。
通常、車両情報の更新サイクルとフレームの更新サイクルとは一致しない。加速度センサ26の測定値はフレームの更新サイクルよりも短い時間刻み幅(例えば10ms)で更新される。処理ユニット21は、1つのフレームのフレームヘッダに、直前のフレームの取得時点から当該フレームの取得時点までに収集された加速度の測定値を格納する。例えば、フレームレートが10fpsで、加速度データの更新サイクルが100Hzである場合、処理ユニット21は、1つのフレームのフレームヘッダに10サイクル分の加速度の測定値を格納する。
図3は、高解像度の動画データ及び低解像度の動画データのフレーム構成の概略を示す図である。処理ユニット21は、H.264規格に準ずるコーデックを適用してオリジナル動画データを圧縮することにより、高解像度の動画データ及び低解像度の動画データを生成する。高解像度の動画データ及び低解像度の動画データは、当該フレームの画像のすべての情報を保持した複数のIフレーム、及びIフレームの画像との差異のみの情報を保持した複数のPフレームとで構成される。Iフレーム及びPフレームのいずれも、フレームヘッダ及び画像データ部を有する。画像データ部に、動画像を所定のコーデックを適用して圧縮して生成された各フレームの画像データが格納される。
処理ユニット21は、高解像度の動画データ及び低解像度の動画データを生成した後、高解像度の動画データをSDカード32(図1)に記録する(ステップSA4)。さらに、処理ユニット21は、低解像度の動画データをサーバ40(図1)に送信する(ステップSA5)。
処理ユニット21は、低解像度の動画データをサーバ40に送信する処理を行った後、処理を終了するか否かを判定する(ステップSA6)。例えば、車両のアクセサリスイッチがオフにされたら、処理ユニット21はシャットダウン処理を実行(ステップSA7)した後、処理を終了する。車両のアクセサリスイッチがオンのままである場合には、処理ユニット21はステップSA1からの処理を繰り返す。
図4は、ステップSA7のシャットダウン処理のフローチャートである。処理ユニット21が、車両のアクセサリスイッチがオフにされたことを検出すると、LTEモジュール31(図1)にシャットダウン指令を送信する(ステップSB1)。その後、処理ユニット21は、SDカード32への高解像度の動画データの記録を終結させる(ステップSB2)。さらに、LTEモジュール31からシャットダウン完了通知を受信するまで待機する(ステップSB3)。LTEモジュール31からシャットダウン完了通知を受信すると、処理ユニット21はサーバ40に対してシャットダウン完了を通知する信号を送信する(ステップSB4)。
サーバ40(図1)は、車載電子機器20から低解像度の動画データを受信すると、端末IDごとに記憶装置42に保存する。保存された低解像度の動画データの各フレームヘッダには、車両情報が格納されたままである。クライアント端末50から動画データの配信の要請があると、サーバ40は低解像度の動画データをクライアント端末50に配信する。
[第1実施例の効果]
次に、第1実施例による車両管理システムが有する優れた効果について説明する。
車載電子機器20がサーバ40に送信する低解像度の動画データは、SDカード32に記録する高解像度の動画データよりデータ量が少ない。このため、高解像度の動画データをサーバ40に送信する場合に比べて、送信するデータ量を少なくすることができる。特に、カメラ22で撮像された動画像を常時送信する場合に、データ量を削減する顕著な効果が得られる。
動画データのフレームヘッダに、そのフレームが取得された時点の車両情報が格納されている。動画データを再生するクライアント端末50に、動画データのフレームヘッダから車両情報を取り出す機能を持たせるとよい。この機能を持つクライアント端末50は、動画の再生中に、再生時点の車両情報を直ちに読み出すことができる。クライアント端末50は、車両情報を読み出すことにより、車両の位置、イベント発生の有無等の車両情報をディスプレイ53に表示させて、車両の管理者にこれらの車両情報を提供することができる。
一般的に、ネットワークから端末への下りの回線が混んでおり、端末からネットワークへの上りの回線の混み具合は下り回線に比べて少ない。低解像度の動画データを車載電子機器20からサーバ40に送信する第1実施例の方式は、一般的に混み具合の少ない上り回線を有効に利用することができるという効果を持つ。
また、SDカード32に記録された動画データは、何らかの異常の発生により再生できなくなる事態が生じやすい。第1実施例では、SDカード32に記録した高解像度の動画データを再生できない事態が生じても、サーバ40に送信しサーバ40に蓄積された低解像度の動画データをクライアント端末50に配信し、クライアント端末50でストリーミング再生することが可能である。
第1実施例では、車載電子機器20が車両への衝撃等のイベントの有無に関わらず、低解像度の動画データをサーバ40に送信する。イベントの有無に関わらず動画データを送信することを「常時送信」という場合がある。第1実施例では、サーバ40に、イベント発生時点のみならず通常走行時の車両の周囲の動画像が蓄積される。車両の管理者は、通常に走行している車両の周囲の動画像を閲覧することができる。
車載電子機器20は、ほぼリアルタイムに低解像度の動画データをサーバ40に送信するため、車両の管理者はほぼリアルタイムに車両の周囲の動画像を閲覧することが可能になる。
[第1実施例の変形例]
次に、第1実施例の変形例について説明する。
第1実施例では、端末IDを処理ユニット21の不揮発性メモリに記録しておいたが、その他の方法で端末IDを特定するようにしてもよい。例えば、LTEモジュール31に挿入されているSIMカードのID番号を端末IDとして用いてもよい。また、例えば端末IDをSDカード32に記録しておいてもよい。この場合、運転者がSDカード32を携行し、運転を開始する前にSDカード32を車載電子機器20に装着することで、端末IDを運転者に関連付けることができる。端末IDを記録するメディアとして、SDカード32に代えてICチップを埋め込んだ運転免許証、運転者が携行する非接触型ICカード等を用いてもよい。この場合には、ICチップを埋め込んだ運転免許証や非接触型ICカード等のリーダを車載電子機器20に搭載しておくとよい。
[第2実施例]
次に、図5A、図5B、及び図6を参照して第2実施例による車両管理システムについて説明する。第2実施例による車両管理システムは、第1実施例による車両管理システムの機能を有するとともに、さらに、車載電子機器20からサーバ40での低解像度の動画データの常時送信を停止させる機能を有する。
図5Aは、第2実施例による車両管理システムのクライアント端末50(図1)のディスプレイ53に表示されたメニュー画面の一例を示す図である。選択可能なメニュー項目として「常時送信開始/停止」が表示される。管理者が「常時送信開始/停止」の項目を選択すると、クライアント端末50の処理ユニット51はディスプレイ53に常時送信開始及び停止の指令を入力するための画面を表示する。
図5Bは、クライアント端末50のディスプレイ53に表示された画面の一例を示す図である。クライアント端末50の処理ユニット51(図1)は、管理対象の車両ごとに、当該車両が低解像度の動画データを常時送信中の状態か送信停止中の状態か(動画データ送信状態)を表す情報、及び車両ごとの所定期間内におけるデータ通信量、及び全車両合計のデータ通信量を一覧表の形式でディスプレイ53に表示させる。図5Bに示した例では、車両1〜3、及び車両5が、低解像度の動画データをサーバ40に常時送信中であり、車両4が送信停止中である。管理者は、画面の右端に表示されたスライダを操作することにより、車両1〜5以外の管理対象の車両に関する情報を表示させることができる。
管理者が、ディスプレイ53に表示された一覧表の内容を修正して「変更」ボタンを選択すると、クライアント端末50は、変更対象の車両の端末IDを指定して、動画データの送信開始または送信停止を指令するコマンドをサーバ40に送信する。サーバ40は、このコマンドを受信すると、変更対象の車両の車載電子機器20に、動画データの送信開始または送信停止を指令するコマンドを送信する。送信停止を指令するコマンドを受信した車載電子機器20は、低解像度の動画データの常時送信を停止する。送信開始を指令するコマンドを受信した車載電子機器20は、低解像度の動画データの常時送信を開始する。
図6は、低解像度の動画データの常時送信を停止した車載電子機器20がサーバ40に送信するデータのフレームの構成を示す図である。図3に示した第1実施例の場合と同様に、サーバ40に送信するデータは、IフレームとPフレームとを含む。各フレームは、フレームヘッダと画像データ部とを含む。低解像度の動画データの常時送信を停止しているとき、車載電子機器20は、全てのフレームの画像データ部をブランクにする。例えば、画像データ部に格納する画像を、黒色等の単一色にする。このとき、画像データ部のサイズは、低解像度の動画データを送信しているときのサイズより小さくなる。低解像度の動画データの送信を停止している期間であっても、車載電子機器20は、フレームヘッダに低解像度の動画データを常時送信しているときと同様の車両情報等のデータを格納する。
[第2実施例の効果]
次に、第2実施例による車両管理システムが持つ優れた効果について説明する。
低解像度の動画データの送信を停止している期間は、画像データ部にブランク画像が格納されるため、低解像度の動画データを送信する場合に比べて送信すべきデータ量が少なくなる。このため、通信コストの削減を図ることが可能である。
管理者は、図5Bに表示された内容から、低解像度の動画データを常時送信している車両と、常時送信を停止している車両とを、容易に把握することができる。さらに、管理者は、車両ごとのデータ通信量を把握することができる。所定期間内の全車両の合計のデータ通信量が想定される上限値を超えた場合には、低解像度の動画データの送信を停止させることにより、データ通信量が過大になることを回避することができる。また、管理者は、管理対象の車両に優先度を設け、優先度の低い車両から順番に低解像度の動画データの常時送信を停止させることができる。
[第2実施例の変形例]
第2実施例では、管理者がデータ通信量を監視し、所定期間内の合計のデータ通信量が想定される上限値を超えた場合に、低解像度の動画データの常時送信を停止させる操作を行った。管理者に代わって、サーバ40またはクライアント端末50がデータ通信量を定期的に監視するようにするとよい。管理者は、データ通信量の上限値を予め決めておき、サーバ40またはクライアント端末50に設定しておくとよい。サーバ40またはクライアント端末50は、合計のデータ通信量が上限値を超えたことを検出すると、各車両に低解像度の動画データの常時送信を停止させるコマンドを送信する。このようにすると、管理者が定期的にデータ通信量を監視することなく、データ通信量が過大になってしまう状況の発生を回避することができる。または、サーバ40またはクライアント端末50は、合計のデータ通信量が、設定されている上限値を超えたことを検出すると、管理者の登録メールアドレス宛にデータ通信量が設定上限値を超えたことを通知するメールを送信するようにするとよい。
車載電子機器20の動画データ送信状態は、必要に応じてサーバ40から車載電子機器20に問い合わせるようにするとよい。例えば、サーバ40が車載電子機器20に問い合わせコマンドを送信し、車載電子機器20から動画データ送信状態を通知する応答メッセージを受信することにより、動画データ送信状態を判定するようにするとよい。
その他の方法として、車両ごとの動画データ送信状態をサーバ40が記憶しておくようにするとよい。例えば、サーバ40は、車載電子機器20から送信されている動画データの各フレームの画像データ部がブランクであれば、当該車載電子機器20が搭載されている車両が常時送信停止中であると判定するとよい。または、動画データのフレームヘッダに動画データ送信状態を通知する情報を含めるとよい。このようにすると、サーバ40は、車両の動画データ送信状態を知る必要が生じる度に車載電子機器20に問い合わせコマンドを送信することなく、動画データ送信状態を知ることができる。
第2実施例では、車両ごとのデータ通信量と、合計のデータ通信量とをディスプレイ53に表示させたが、通信料金算出の契約条件によって表示態様を変えるとよい。車両ごとの通信量に基づいて通信料金が算出される契約の場合には、車両ごとのデータ通信量を表示させ、合計のデータ通信量は表示させないようにするとよい。契約車両全体のデータ通信量に基づいて通信料金が算出される契約の場合には、車両ごとのデータ通信量を表示させず、合計のデータ通信量のみを表示させるようにするとよい。または、車両ごとのデータ通信量と合計のデータ通信量との両方を表示させるモード、車両ごとのデータ通信量のみを表示させるモード、及び合計のデータ通信量のみを表示させるモードから1つのモードを管理者が選択できるようにするとよい。処理ユニット51は、選択されたモードで管理車両一覧の画面(図5B)をディスプレイ53に表示させるとよい。
第2実施例では、通信料金算出の単位となる期間内におけるデータ通信量を表示させたが、画面を切り替えて過去のデータ通信量の履歴を表示させるようにするとよい。例えば、車両ごとに、過去1年分の月ごとのデータ通信量及び1年間の合計のデータ通信量を表示させるとよい。
[第3実施例]
次に、図7を参照して第3実施例による車両管理システムについて説明する。第3実施例による車両管理システムは、第1実施例及び第2実施例による車両管理システムの機能に加えて、さらに車載電子機器20が低解像度の動画データの送信が可能か否かを判定する機能を有する。
第1実施例では、車載電子機器20が低解像度の動画データをサーバ40に常時送信したが、車両がトンネルに入った場合等には低解像度の動画データを送信できない場合がある。第3実施例では、以下に説明するように低解像度の動画データを送信できない場合の処理が明確化されている。
図7は、第3実施例による車載電子機器20の処理ユニット21が実行する処理のフローチャートである。以下、図2に示した第1実施例との相違点について説明する。
処理ユニット21は、高解像度の動画データをSDカード32に記録(ステップSA4)した後、電波状態に基づいて、LTEモジュール31を介したデータ送信が可能か否かを判定する(ステップSA41)。データ送信可能の場合には、処理ユニット21は第1実施例の場合と同様に低解像度の動画データを、LTEモジュール31を介してサーバ40に送信する(ステップSA5)。データ送信不可の場合には、処理ユニット21は低解像度の動画データをサーバ40に送信することなく、SDカード32に記録する(ステップSA51)。ステップSA5またはステップSA51の後、処理ユニット21は第1実施例の場合と同様に動画データの送信処理を終了するか否かを判定する(ステップSA6)。
送信処理を終了しない場合には、処理ユニット21はステップSA1からの処理を繰り返す。送信処理を終了する場合、例えばアクセサリスイッチがオフにされた場合には、処理ユニット21は、SDカード32に未送信の低解像度の動画データが残っているか否かを判定する(ステップSA61)。
未送信の低解像度の動画データが残っている場合には、処理ユニット21は、低解像度の動画データをSDカード32から読み出して、LTEモジュール31を介してサーバ40に送信する(ステップSA62)。すべての低解像度の動画データの送信が完了したら、処理ユニット21はSDカード32内の低解像度の動画データを消去する(ステップSA63)。その後、シャットダウン処理を行う(ステップSA7)。
ステップSA61で未送信の低解像度の動画データが残っていないと判定した場合には、処理ユニット21はシャットダウン処理を実行する(ステップSA7)。
[第3実施例の効果]
次に、第3実施例による車両管理システムの持つ優れた効果について説明する。
第3実施例では、走行中に低解像度の動画データを送信できなかった場合でも、低解像度の動画データを破棄することなくSDカード32に記録しておくことができる。運転者がエンジンを停止させてアクセサリスイッチをオフにした後、低解像度の動画データをサーバ40に送信する(ステップSA62)ため、走行中に取得された低解像度の動画データをサーバ40に蓄積することができる。
[第3実施例の変形例]
次に、第3実施例の変形例について説明する。第3実施例では、車両のアクセサリスイッチをオフにした後、SDカード32内の低解像度の動画データをサーバ40に送信した。第3実施例の第1変形例では、走行中に電波状態が回復したら、現在取得中の低解像度の動画データと、SDカード32内の低解像度の動画データとの両方を、サーバ40に送信する。LTEモジュール31を使用したデータ通信の通信速度が十分速い場合には、このように、現在取得中の低解像度の動画データと、SDカード32から読み出した低解像度の動画データとを並行して送信することができる。
第3実施例では、動画データの送信ができない時間帯に低解像度の動画データをSDカード32に記録したが、第3実施例の第2変形例では、低解像度の動画データを破棄し、低解像度の動画データを送信できなかった時間帯を記憶しておく。アクセサリスイッチがオフにされた後、低解像度の動画データを送信できなかった時間帯のSDカード32内の高解像度の動画データを読み出し、低解像度の動画データに変換してサーバ40に送信する。この方法だと、処理ユニット21が高解像度の動画データを低解像度の動画データに変換する機能を持つ必要があるが、低解像度の動画データでSDカード32の記憶容量が消費されることがない。
第3実施例では、低解像度の動画データと高解像度の動画データとを同一のSDカード32に記録した。第3実施例の第3変形例では、低解像度の動画データを、高解像度の動画データを記録するSDカード32とは異なる記録媒体に記録する。例えば、車載電子機器20に2枚のSDカードを装着しておき、一方を高解像度の動画データ記録用とし、他方を低解像度の動画データ記録用とするとよい。この変形例では、高解像度の動画データ記録用の領域の一部が、低解像度の動画データで消費されてしまうことがない。この場合、低解像度の動画データの全てをサーバ40に送信した後、低解像度の動画データ記録用のSDカードを自動的にフォーマットするようにするとよい。これにより、フォーマットし忘れて、低解像度の動画データがSDカードに記録できなくなるという事態の発生を防止することができる。または、サーバ40が低解像度の動画データをすべて受信した後、サーバ40が車載電子機器20に対して低解像度の動画データ記録用のSDカードのフォーマットを指令するコマンドを送信するようにしてもよい。
第3実施例では、データ送信が不可能のときに低解像度の動画データをサーバ40に送信することなくSDカード32に記録した。第3実施例の第4変形例では、データ送信が全く不可能である場合のみならず、電波状態が悪く十分な通信速度が確保できないと想定される場合にも、処理ユニット21は低解像度の動画データをサーバ40に送信することなくSDカード32に記録する。このようにすることで、無駄な送信リトライ処理を無くすことができる。
[第4実施例]
次に、図8を参照して第4実施例による車両管理システムについて説明する。第4実施例による車両管理システムは、第1実施例〜第3実施例による車両管理システムの機能に加えて、サーバ40がイベント録画を行う機能を有する。
図8は、第4実施例による車両管理システムのサーバ40が実行するフローチャートである。サーバ40(図1)の処理ユニット41は、複数の車載電子機器20の各々から受信した低解像度の動画データを、車両IDと関連付けて記憶装置42(図1)に格納する(ステップSE1)。サーバ40の処理ユニット41は、低解像度の動画データを記憶装置42に格納するときに、フレームヘッダ内のイベントフラグがセットされているか否かを判定する(ステップSE2)。
イベントフラグがセットされている場合、処理ユニット41は車両の管理者にイベントが発生したことを通知する(ステップSE3)。本実施例においては、管理者のメールアドレスがサーバ40に登録されており、処理ユニット41は、登録されているメールアドレス宛にメール送信することにより、車両ID、イベント内容、発生時刻、発生場所等を通知する。
その後、サーバ40の処理ユニット41は、イベント発生時点の前後の低解像度の動画データを、常時送信される低解像度の動画データから切り出して、イベント録画データとして記憶装置42に格納する(ステップSE4)。サーバ40のシャットダウン操作が行われるまで、ステップSE1からステップSE4までの処理を繰り返す(ステップSE5)。
[第4実施例の効果]
次に、第4実施例による車両管理システムが持つ優れた効果について説明する。第4実施例では、イベントが発生したときのイベント録画データを、車両から常時送信された低解像度の動画データとは別に管理することができる。例えば、常時送信された低解像度の動画データの蓄積量が上限値を超えたら、自動的に消去する機能をサーバ40に持たせたとき、イベント録画データは消去せず残しておくことが可能になる。例えば、イベント録画データは、管理者による消去操作が行われるまで、サーバ40が半永久的に保存しておくようにするとよい。
車両の管理者は、サーバ40から送信されたメールを見ることにより、管理対象の車両に事故等のイベントが発生したことを直ちに知ることができる。
[第4実施例の変形例]
次に、第4実施例の種々の変形例について説明する。
第4実施例の第1変形例においては、サーバ40が、第4実施例によるサーバ40の機能に加えて、イベント発生時点を車両IDごとに一覧表にまとめて記憶する機能を有する。このようにすると、イベント発生時点を検索するときに、低解像度の動画データを時系列に読み出すこと無く、既に記憶されている一覧表からイベント発生時点を短時間で見つけ出すことができる。
第4実施例では、サーバ40が、常時送信される低解像度の動画データを受信したときに、ほぼリアタイムにイベント発生の有無を判定した。第4実施例の第2変形例では、常時送信された低解像度の動画データを記憶装置42に格納するときにはイベント発生の有無を判定しない。記憶装置42に蓄積されている低解像度の動画データを消去する前に、処理ユニット41は、蓄積されている低解像度の動画データを読み出してイベントの発生を検出する。
イベントの発生を検出すると、処理ユニット41は、イベント発生時点の前後の低解像度の動画データをイベント録画データとして記憶装置42に格納する。このようにすることで、常時送信された低解像度の動画データを消去した後も、イベント録画データを残しておくことができる。常時送信された低解像度の動画データを消去するトリガとして、記憶装置42に格納されている低解像度の動画データが既定の容量を超えたとき、または管理者が消去操作を行ったとき等が挙げられる。
第4実施例の第3変形例では、第2変形例と同様に、常時送信された低解像度の動画データを記憶装置42に格納するときにはイベント発生の有無を判定せず、定期的にバッチ処理でイベント発生の有無を判定する。このバッチ処理は、例えば、動画データの受信量が少ないと想定される夜間に起動するようにするとよい。
第4実施例では、イベントが発生したことを、メール送信することにより管理者に通知した。第4実施例の第4変形例では、管理者の情報端末にインストールしたアプリケーションプログラムにサーバ40がプッシュ通知することにより、イベントが発生してことを管理者に通知する。この方法によっても、管理者は、管理対象の車両にイベントが発生したことを直ちに知ることができる。
第4実施例の第5変形例では、サーバ40がイベント発生時のイベント内容、車両ID、位置情報等を統計的に解析する機能を有する。統計的な解析をすることにより、特に慎重に運転すべき地点等の運転支援情報を生成するとよい。例えば、地図上の特定の地点で急ブレーキの発生件数が多いという解析結果から、その地点では特に慎重に運転すべきであるという運転支援情報が得られる。
[第5実施例]
次に、図9A〜図11を参照して第5実施例による車両管理システムについて説明する。第5実施例による車両管理システムは、第1実施例〜第4実施例による車両管理システムの機能に加えて、以下に説明するように、サーバ40に蓄積されているデータに基づいてクライアント端末50が車両を管理するための情報を管理者に提供する機能を有する。
図9Aは、クライアント端末50のディスプレイ53に表示されたメニュー画面を示す図である。管理者がメニュー画面から「車両管理」の項目を選択すると、クライアント端末50の処理ユニット51がサーバ40から情報を受信し、管理車両一覧画面をディスプレイ53に表示させる。
図9Bは、ディスプレイ53に表示された管理車両一覧画面を示す図である。処理ユニット51は、サーバ40から受信した情報に基づいて、管理対象の車両ID、車両ごとの通信量、車両に発生した新規イベントの発生日時情報を一覧表形式で表示させる。管理対象の全車両の情報が画面内に表示できない場合には、一覧表の右端にスライダを表示させる。管理者は、スライダを操作して画面表示をスクロールすることにより、管理対象の全車両の情報を確認することができる。さらに、管理車両一覧画面に、車両データ画面に遷移するための「車両データ」ボタン、地図画面に遷移するための「地図」ボタン、及び車両毎のチェックボックスが表示される。
新規イベントの発生日時情報に対応して「確認」ボタンが表示されている。管理者が「確認」ボタンを選択すると、処理ユニット51は当該イベントの内容、及び「戻る」ボタンをディスプレイ53に表示させる。管理者がイベントの内容を確認して「戻る」ボタンを選択すると、処理ユニット51はディスプレイ53に管理車両一覧画面を表示させる。確認済のイベントの発生日時情報は、管理車両一覧画面に表示させないようにする。
管理者が、詳細情報を確認したい車両のチェックボックスにチェックを入れて「車両データ」ボタンを選択すると、処理ユニット51は、チェックされた車両に関する情報をサーバ40に問い合わせるとともに、ディスプレイ53に車両データ表示画面を表示させる。
図10は、ディスプレイ53に表示された車両データ表示画面の一例を示す図である。ディスプレイ53の表示領域が、動画表示領域71、日時入力領域72、イベントインジケータ領域73、地図表示領域74、走行速度表示領域75、車両位置表示領域76、加速度表示領域77に区分されている。以下、処理ユニット51が各表示領域に表示させる内容について説明する。
動画表示領域71に、管理車両一覧画面(図9B)で指定された車両(以下、着目車両という。)からサーバ40が受信し、かつサーバ40がクライアント端末50にライブ配信している低解像度の動画データに基づいて動画像が表示される。
イベントインジケータ領域73に、イベント発生時点及び低解像度の動画データが常時送信されていた期間を示すインジケータが表示される。例えば、イベントインジケータ領域73の縦軸が経過時間を表し、イベントが発生した時点に対応する位置にイベント発生マーク(例えば赤色のドット)が表示される。さらに、低解像度の動画データが常時送信されていた期間に対応する位置に、常時送信を示す常時送信マーク(例えば緑色の縦線)が表示される。
日時入力領域72に、カレンダ表示ボタン、「+」ボタン、及び「−」ボタンが表示される。管理者は、カレンダ表示ボタンを選択してカレンダを表示させ、表示させる動画像の取得日時情報を入力することができる。「+」ボタン及び「−」ボタンを操作することにより、イベントインジケータ領域73の縦軸のスケールを変更することができる。
地図表示領域74に、着目車両の現在位置を含む地図が表示され、車両位置表示領域76に、着目車両の現在位置の緯度及び経度の情報が数値で表示される。着目車両の現在位置情報は、サーバ40から配信された低解像度の動画データのフレームヘッダに格納されている車両情報から取得する。地図表示領域74に表示されている地図内の着目車両の現在位置に、着目車両を示すマーク(アイコン)が表示される。着目車両の現在位置が移動すると、着目車両の現在位置が地図表示領域74のほぼ中央に位置するように、地図表示領域74に表示されている地図が上下左右に自動的にスクロールされる。
走行速度表示領域75に、着目車両の現時点の走行速度が数値で表示される。着目車両の現時点の走行速度情報は、サーバ40から配信された低解像度の動画データのフレームヘッダに格納されている車両情報から取得する。
加速度表示領域77に、着目車両に加わっている前後、左右、上下方向の加速度の時間変化がグラフで表示される。横軸が経過時間を表し、縦軸が加速度の大きさを表す。前後、左右、上下方向の加速度は、例えば異なる色の折れ線で表示される。
さらに、ディスプレイ53の表示画面に複数の遷移ボタン78が表示される。複数の遷移ボタン78には、「管理車両一覧」ボタン、「地図」ボタン、「現在の画像」ボタン、及び「過去の画像」ボタンが含まれる。
管理者が「管理車両一覧」ボタンを選択すると、処理ユニット51は、管理車両一覧画面(図9B)をディスプレイ53に表示させる。
管理者が「過去の画像」ボタンを選択すると、処理ユニット51は、日時入力領域72に入力されている日時を指定して、低解像度の動画データの配信を要求するコマンドをサーバ40に送信する。サーバ40は、このコマンドを受信すると、日時情報で指定された日時の着目車両の低解像度の動画データを読み出して、クライアント端末50にストリーミング配信(オンデマンド配信)する。オンデマンド配信中は、ライブ配信は中断される。クライアント端末50は、オンデマンド配信されている低解像度の動画データに基づいて動画表示領域71に動画像を表示させる。
管理者が、イベントインジケータ領域73に表示されているイベント発生マークまたは常時送信マークをクリックまたはタップして選択することによっても、オンデマンド配信すべき動画データを取得した日時を指定することができる。さらに、管理者は、動画閲覧用の早送り、巻き戻し、スライダ等のマークを操作することにより、所望の日時の動画像を再生させることができる。
管理者が「現在の画像」ボタンを選択すると、処理ユニット51は、ライブ配信を要求するコマンドをサーバ40に送信する。サーバ40は、このコマンドを受信すると着目車両から常時送信されている低解像度の動画データをクライアント端末50にライブ配信する。クライアント端末50は、ライブ配信された低解像度の動画データに基づいて動画表示領域71に動画像を表示させる。なお、ライブ配信中は、「現在の画像」ボタンはグレーアウトされて選択不能になっている。
図11は、ディスプレイ53に表示された地図画面の一例を示す図である。以下、処理ユニット51がディスプレイ53に表示させる内容について説明する。
ディスプレイ53の表示領域のほぼ中央が着目車両の現在位置に一致するように、地図が表示される。さらに、複数の遷移ボタン78、例えば「管理車両一覧」ボタン及び「車両データ」ボタンがディスプレイ53に表示される。
着目車両の現在位置を示すアイコンが、この地図上に表示される。さらに、表示されている地図で示された領域内に管理対象の他の車両が存在する場合には、他の車両の現在位置を示すアイコンを地図上に表示させる。図11にアイコンが表示されている車両1が着目車両に相当し、車両2及び車両3が管理対象の他の車両に相当する。
次に、地図画面を表示するためのサーバ40が行う処理について説明する。
サーバ40は、管理対象の複数の車両から低解像度の動画データを受信すると、動画データのフレームヘッダ内の車両IDと現在位置情報とを関連付けて、車両の位置情報として動画データとは別に記憶する。地図画面が表示されているときは、サーバ40は、着目車両の低解像度の動画データと、管理対象の他の車両の位置情報とをクライアント端末50に送信する。着目車両以外の車両の動画データは送信しない。
車両のアクセサリスイッチがオフにされて車載電子機器20のシャットダウン処理が行われると、サーバ40は、直近に受信した動画データのフレームヘッダ内の現在位置情報を、当該車両の位置情報として記憶する。動画データの常時送信が行われておらず、受信した直近の動画データのフレームヘッダ内の走行速度が0である場合には、直近に受信した動画データのフレームヘッダ内の現在位置情報を、当該車両の位置情報として記憶する。動画データの常時送信が行われておらず、受信した直近の動画データのフレームヘッダ内の走行速度が0ではない場合には、トンネルへの進入等によって動画データの送受信が不可能になったと考えられる。この場合には、当該車両の現在位置は不定となる。
次に、クライアント端末50が行う処理について説明する。着目車両が移動すると、着目車両の現在位置がディスプレイ53の表示画面のほぼ中心に位置するように、地図を上下左右にスクロールする。
管理者が「管理車両一覧」ボタンを選択すると、処理ユニット51は、ディスプレイ53に管理車両一覧画面(図9B)を表示させる。管理者が「車両データ」ボタンを選択すると、処理ユニット51は、ディスプレイ53に車両データ表示画面(図10)を表示させる。
[第5実施例の効果]
次に、第5実施例による車両管理システムの持つ優れた効果について説明する。
管理者は、ディスプレイ53に車両データ表示画面(図10)を表示させることにより、サーバ40からライブ配信される動画データまたはオンデマンド配信される動画データに基づく動画像を閲覧することができる。管理者は、管理車両一覧画面から、管理対象の車両のうち任意の車両を選択して車両データ表示画面(図10)を表示させることができる。また、管理者は、地図画面(図11)から、着目車両のみならず、管理対象の他の車両の現在位置を知ることができる。
ディスプレイ53に地図画面(図11)が表示されているときにも、着目車両の低解像度の動画データがクライアント端末50にライブ配信されているため、ディスプレイ53に車両データ表示画面が表示されたとき、直ちに着目車両に関する情報を表示させることができる。
[第5実施例の変形例]
次に、第5実施例の変形例について説明する。変形例においては、クライアント端末50は、ライブ配信されている低解像度の動画データに基づいて動画像を表示している場合、動画表示領域71の隅に、ライブ配信中であることを管理者に知らせるための情報、例えば「ライブ」という文字列を表示させる。クライアント端末50は、オンデマンド配信されている低解像度の動画データに基づいて動画像を表示している場合、動画表示領域71の隅に、過去の映像を再生中であることを管理者に知らせるための情報、例えば「過去の映像」という文字列を表示させる。管理者は、現在閲覧中の動画像がライブ配信されているものであるのか、過去の映像であるのかに容易に気づくことができる。
ライブ配信中は、イベントインジケータ領域73の縦軸の下端を現在の日時に対応させ、上端と下端との間の領域に、現時点から遡った所定の期間の情報を表示させるとよい。または、ライブ配信中は、イベントインジケータ領域73をブランクにしてもよい。
ディスプレイ53に地図画面(図11)が表示されているとき、特定の地点を表示領域の中心に固定し、車両の現在位置を地図上で移動させてもよい。地図画面が表示された直後は、着目車両の現在位置がディスプレイ53の表示領域の中心に位置するように地図を表示させるとよい。
ディスプレイ53に地図画面(図11)が表示されているとき、着目車両以外の車両の位置情報は、動画データのフレーム間隔ではなく、フレーム間隔より長い時間刻み幅、例えば1秒間隔、5秒間隔等で送信するとよい。また、着目車両以外の車両に関する位置情報は、クライアント端末50からサーバ40に送信の要請があったときのみ送信するようにしてもよい。これにより、データ通信量の増大を抑制することができる。
第5実施例では、管理車両一覧画面(図9B)に管理対象の車両IDを表示させたが、車両IDとともに、その車両を運転している運転者の氏名を表示させるとよい。運転者の氏名は、車両IDに関連付けておくとよい。この関連付けは、サーバ40及びクライアント端末50の少なくとも一方に記憶させておくとよい。
[第6実施例]
次に、図12及び図13を参照して、第6実施例による車両管理システムについて説明する。第6実施例による車両管理システムは、第1実施例〜第5実施例による車両管理システムの機能に加えて、SDカード32(図1)に記録された指定の日時の高解像度の動画データを再生する機能を有する。
図12は、第6実施例による車両管理システムのクライアント端末50に表示された車両データ表示画面の一例を示す図である。第6実施例では、第5実施例による車両管理システムのクライアント端末50に表示された車両データ表示画面(図10)に、さらに「日時登録」ボタン79が表示される。
管理者は、動画像の再生中に「日時登録」ボタン79をクリックまたはタップすることにより、再生したい動画像の日時を登録することができる。
図13は、「日時登録」ボタン79がクリックまたはタップされたときの車両管理システムの信号送受信シーケンスを示す図である。動画像の再生中に管理者によって「日時登録」ボタン79(図12)がクリックまたはタップされたことを処理ユニット51が検出する(ステップSG1)と、クライアント端末50はサーバ40にSDカード提出指示を指令するコマンドを送信する。サーバ40は、SDカード提出指示を指令するコマンドを車載電子機器20に転送する。
SDカード提出指示を指令するコマンドを受信した車載電子機器20は、このコマンドを受信したことを記憶する。車両のエンジンが停止される(ステップSG2)と、車載電子機器20の処理ユニット21は、ディスプレイ28に、SDカードを管理者に提出するように促すメッセージを表示させる(ステップSG3)。スピーカ29から音声を出力させるようにしてもよい。
車両の運転者がこのメッセージに気付くと、車載電子機器20からSDカード32を取り外し(ステップSG4)、管理者に提出する。管理者は、運転者からSDカードを受領し、クライアント端末50に装着する(ステップSG5)。管理者がSDカード32の動画データを読み出す操作を行うと、クライアント端末50の処理ユニット51は、SDカード32に記録されている高解像度の動画データに基づいて、登録されている日時から動画像を再生する。
[第6実施例の効果]
次に、第6実施例による車両管理システムが持つ優れた効果について説明する。管理者は、ライブ配信されている低解像度の動画データに基づいて動画像を再生しているときに気に掛かる点を発見し、高解像度の動画像を確認したいと思った場合、「日時登録」ボタン79(図12)をクリックまたはタップするとよい。そうすると、対象の車両の運転者にSDカード32を提出するメッセージが通知されることにより、管理者は運転者からSDカード32を入手することができる。
管理者は、運転者から入出したSDカード32をクライアント端末50に装着して、気に掛かる点が発生した日時から高解像度の動画データに基づく動画像を頭出し再生することができる。このため、手動で頭出しを行う手間を省くことができる。低解像度の動画像からは確認が困難であった事項を、高解像度の動画像から確認する事が可能になる。
[第6実施例の変形例]
次に、第6実施例の変形例による車両管理システムについて説明する。第6実施例では、車両の運転者がSDカード32を管理者に提出することとしたが、本変形例では、以下に説明するように、SDカード32内の高解像度の動画データをサーバ40に送信する。
クライアント端末50は、サーバ40を介して車載電子機器20に、高解像度の動画データの送信を要求するコマンドを送信する。このコマンドを受信した車載電子機器20は、車両基地に戻ってエンジンが停止された後、SDカード32内の高解像度の動画データをサーバ40に送信する。この動画データの送信には、LTEモジュール31(図1)を用いるとよく、WiFi等の近距離無線通信規格に準拠した通信モジュールを用いるとさらによい。この機能を実現するために、車載電子機器20に内蔵バッテリを搭載するとよく、アクセサリスイッチをオフにした後も車両のバッテリから車載電子機器20に電源を供給するようにするとさらによい。
本変形例では、運転者がSDカード32を車載電子機器20から取り外して管理者に提出する手間を省くことができる。サーバ40に送信する高解像度の動画データとして、登録された日時の前後の所定の期間のみの動画データとするとよい。このようにすると、送信するデータ量を削減することができる。
[第7実施例]
次に、図14A及び図14Bを参照して、第7実施例による車両管理システムについて説明する。第7実施例による車両管理システムのクライアント端末50は、第1実施例〜第6実施例による車両管理システムのクライアント端末50の機能に加えて、サーバ40からライブ配信またはオンデマンド配信されている動画データをストリーミング再生するとともに、記憶装置52に保存する機能を有する。クライアント端末50に保存される動画データのフレームヘッダは、サーバ40に蓄積されている動画データのフレームヘッダと同一であり、フレームヘッダ内に車両情報が格納されている。
図14Aは、クライアント端末50のディスプレイ53に表示されたメニュー画面を示す図である。メニュー項目の一つとして「動画再生」が表示されている。管理者が「動画再生」の項目を選択すると、クライアント端末50は動画再生の処理を実行する。
図14Bは、動画再生の機能を実現するためのメニュー画面を示す図である。動画再生のメニュー項目として、「ライブ再生」、「サーバ保存動画再生」、「端末保存動画再生」、及び「SDカード保存動画再生」が表示される。管理者がいずれかのメニュー項目を選択すると、クライアント端末50は選択されたメニュー項目に対応する動画像を再生する。
管理者が「ライブ再生」の項目を選択すると、クライアント端末50は管理者にライブ再生する対象となる車両IDを問い合わせる。管理者が車両IDを入力すると、クライアント端末50はサーバ40に車両IDを特定して、ライブ配信を要求するコマンドを送信する。サーバ40が当該車両の動画像をライブ配信すると、クライアント端末50はライブ配信されている動画像を再生する。さらに、ライブ配信されている動画データを記憶装置52に保存する。
管理者が「サーバ保存動画再生」の項目を選択すると、クライアント端末50は管理者に動画像を再生する対象となる車両IDと日時とを問い合わせる。管理者が車両IDと日時情報とを入力すると、クライアント端末50は、車両IDと日時とを指定してサーバ40にオンデマンド配信を要求するコマンドを送信する。サーバ40が当該車両の指定日時からの動画像をオンデマンド配信すると、クライアント端末50はオンデマンド配信された動画像をストリーミング再生する。さらに、オンデマンド配信されている動画データを記憶装置52に保存する。
管理者が「端末保存動画再生」の項目を選択すると、クライアント端末50は管理者に動画像を再生する対象となる車両IDと日時とを問い合わせる。管理者が車両IDと日時情報とを入力すると、処理ユニット51は記憶装置52から該当の動画データを読み出して動画像の再生を行う。
管理者が「SDカード保存動画再生」の項目を選択すると、クライアント端末50は、装着されているSDカードから高解像度の動画データを読み出して、動画像の再生を行う。
[第7実施例の効果]
次に、第7実施例による車両管理システムが持つ優れた効果について説明する。
第7実施例では、サーバ40に蓄積されている動画データをクライアント端末50に蓄積することができる。例えば、サーバ40に保存される動画データに容量制限や保存期間の制限が設けられている場合であっても、サーバ40の容量制限や保存期間の制限の制約を受けることなく動画データをクライアント端末50に保存しておくことができる。
[第7実施例の変形例]
クライアント端末50がライブ配信またはオンデマンド配信されている動画像を再生するとき、その動画データをクライアント端末50の記憶装置52に保存するか否かを管理者に問い合わせるようにするとよい。処理ユニット51は、管理者が動画データを保存するように指示を入力した時のみ、動画データを記憶装置52に保存する。これにより、保管する必要のない動画データがクライアント端末50の記憶装置52に保存されてしまうことを防止することができる。
サーバ40に保存されている動画データのオンデマンド配信を受けて動画像を再生しているときと、クライアント端末50に保存されている動画データを読み出して動画像を再生しているときとで、イベントインジケータ領域73(図10)に表示される常時送信マークの色または形状を異ならせるとよい。例えば、サーバ40からオンデマンド配信を受けて動画像を再生しているときの常時送信マークは細い縦線とし、クライアント端末50に保存されている動画データを読み出して動画像を再生しているときの常時送信マークは太い縦線とするとよい。このようにすると、管理者は、現在再生中の動画像の動画データがクライアント端末50に保存されているものか否かを容易に知ることができる。
[第8実施例]
次に、図15を参照して第8実施例による車両管理システムについて説明する。第8実施例による車両管理システムは、第1実施例〜第7実施例による車両管理システムの機能に加えて、クライアント端末50、サーバ40、及び車載電子機器20の間で種々のメッセージを送受信する機能を有する。
図15は、クライアント端末50、サーバ40、及び車載電子機器20の間で送受信される種々のメッセージの送受信シーケンスを示す図である。サーバ40が、車載電子機器20から常時送信されている低解像度の動画データのフレームヘッダに埋め込まれた車両情報を解析して異常発生を検出すると(ステップSJ1)、サーバ40は車載電子機器20に警告メッセージを送信する。例えば、検出対象の異常に、走行速度の超過を含めるとよい。
車載電子機器20の処理ユニット21は、警告メッセージを受信すると、ディスプレイ28(図1)に受信したメッセージの内容を表示させるとともに、スピーカ29(図1)から警告音を出力させる(ステップSJ2)。車両の運転者は、警告メッセージに気づき、安全運転を心掛けるようになる。
車両で何らかの救援が必要になる事態、例えば交通事故等が発生したら、運転者が車載電子機器20を操作することによって救援要請を依頼することができる機能が車載電子機器20に備えられている。例えば、車載電子機器20にヘルプボタン等が備えられており、運転者がヘルプボタンを押下することにより救援要請を依頼することができる。
運転者が車載電子機器20を操作して救援要請を依頼すると(ステップSJ3)、車載電子機器20の処理ユニット21は、救援要請を依頼するメッセージをサーバ40に送信する。サーバ40は、このメッセージをクライアント端末50に転送する。クライアント端末50は、救援要請のメッセージを受信すると、救援要請のメッセージの内容をディスプレイ53(図1)に表示させる(ステップSJ4)。管理者が救援要請のメッセージに気づくと、適切な処置、例えば警察への連絡、保険会社への連絡、必要な要員の現場への派遣等の処置を取ることができる。
管理者がクライアント端末50を操作して一般的なメッセージを入力すると(ステップSJ5)、クライアント端末50は一般のメッセージを、サーバ40を経由して車載電子機器20に送信する。車載電子機器20の処理ユニット21は、受信した一般メッセージの内容をディスプレイ28に表示させる(ステップSJ6)。
運転者が車載電子機器20を操作して一般メッセージを入力すると(ステップSJ7)、車載電子機器20はサーバ40を経由してクライアント端末50に一般メッセージを送信する。クライアント端末50の処理ユニット51は、一般メッセージを受信すると、その内容をディスプレイ53に表示させる(ステップSJ8)。
このように一般メッセージの送受信を可能にすることで、車両の管理者と運転者との間でコミュニケーションをとることができる。車載電子機器20は、一般メッセージを受信すると、信号待ち等で車両が停止するまで一般メッセージの内容の表示を待機するとよい。これにより、走行中に運転者は運転操作に集中することができる。
[第9実施例]
次に、図16A及び図16Bを参照して第9実施例による車両管理システムについて説明する。第9実施例による車両管理システムは、第1実施例〜第8実施例による車両管理システムの機能に加えて、車載電子機器20がイベント発生を検出する閾値(イベント検出閾値)をクライアント端末50から変更させる機能を有する。
図16Aは、クライアント端末50のディスプレイ53に表示されたメニュー画面を示す図である。メニュー項目の一つとして「イベント検出閾値変更」が表示されている。管理者が「イベント検出閾値変更」の項目を選択すると、クライアント端末50は、変更対象の車両IDの入力を管理者に促し、車両IDが入力されるとイベント検出閾値変更の処理を実行する。
図16Bは、処理ユニット51がイベント検出閾値変更処理を実行するときにディスプレイ53に表示させた画像を示す図である。処理ユニット51は、現時点までの直近のある期間における変更対象の車両IDの前後方向(x方向)、左右方向(y方向)、及び上下方向(z方向)の加速度の測定値をグラフ形式で表示させる。このグラフは、車載電子機器20からサーバ40に常時送信される低解像度の動画データのフレームヘッダ内の車両情報に基づいて生成し、リアルタイムに更新される。さらに、グラフ中に、イベント発生を検出する加速度のx方向、y方向、z方向の閾値Tx、Ty、Tzを破線で表示させる。正側の閾値と負側の閾値との絶対値は同一である。
管理者は、マウスを操作して閾値を示す破線を変更先の閾値に相当する位置まで移動させる。この操作は、例えばドラッグアンドドロップの操作により実現される。正側の閾値を示す破線及び負側の閾値を示す破線の一方の破線を移動させれば、他方の破線も自動的に移動する。
処理ユニット51は、閾値を示す破線の移動後の位置に相当する閾値の大きさを求め、サーバ40を介して車載電子機器20に閾値変更の指令コマンドを送出する。この指令コマンドを受信した車載電子機器20は、イベント検出の閾値を直ちに変更し、変更後の閾値に基づいてイベントが発生したか否かの判定を行う。
[第9実施例の効果]
次に、第9実施例による車両管理システムが持つ優れた効果について説明する。第9実施例では、管理者が車両まで赴くことなく車載電子機器20のイベント検出閾値を変更することができる。また、管理者は、変更対象車両に加わる加速度の測定値の時間変化をグラフでリアルタイムに確認しながら、閾値を変更することができる。そのため、管理者は直感的に最適な閾値を見つけ出すことができる。
[第9実施例の変形例]
第9実施例では、閾値を変更する対象の車両IDを特定して、当該車両に搭載されている車載電子機器20のイベント検出閾値を変更したが、クライアント端末50は、特定の車両のイベント検出閾値を変更した後、管理対象の他の車両のイベント検出閾値を同一の値に変更する機能を持つとよい。このようにすると、管理対象の個々の車両に対してイベント検出閾値変更の操作を行う必要がないため、管理者の操作の手間を省くことができる。
第9実施例では、グラフに表示された閾値を示す破線を管理者の操作によって移動させることにより、変更後の閾値が指定される。そのほかの方法として、閾値を数値で入力するようにしてもよい。
第9実施例では、遠隔操作によって変更する対象をイベント検出閾値としたが、車載電子機器20のその他の設定項目を遠隔操作によって変更するようにするとよい。変更する項目によっては、変更の指令コマンドを受信した時点に直ちに変更することが好ましくない場合もある。このような設定項目は、例えば車載電子機器20が起動されたときに変更するとよい。車載電子機器20が起動された時に変更すべき項目は、処理ユニット51が、新しい設定値をバッファエリアに格納しておき、車載電子機器20が起動されたら、バッファエリアから新しい設定値を読み出すようにするとよい。例えば、ファームウェアの更新等は、車載電子機器20が起動されたときに実行するとよい。
車載電子機器20の設定項目の変更のために動画像の取得を停止しなければならいような場合には、管理者がクライアント端末50を操作した後に、処理ユニット51が、動画像の取得を一時的に停止する必要があることを管理者に知らせるとよい。管理者は、この通知を考慮して、設定項目の変更を行うべきか中止すべきかを判断することができる。例えば、クライアント端末50は、ディスプレイ53に、「設定変更のために○○秒間動画像の取得を停止します。動画像の取得を停止させて設定変更を行いますか。」という問い合わせのメッセージをディスプレイ53に表示させるとよい。
車載電子機器20は、設定項目の変更を行う前に設定項目の変更を行う旨を運転者に通知するとよい。例えば、処理ユニット21は、「設定を変更します。変更が終わるまでエンジンを切らないでください。」というメッセージをディスプレイ28に表示させるとよい。
車載電子機器20の設定項目として、イベント検出閾値の他に、例えば高解像度及び低解像度の動画データの解像度、フレームレート等が挙げられる。
[第10実施例]
次に、図17を参照して第10実施例による車両管理システムについて説明する。第10実施例による車両管理システムは、第1実施例〜第9実施例による車両管理システムの機能に加えて、所定の条件が満たされた時に車載電子機器20からサーバ40に高解像度の動画データを送信する機能を有する。
図17は、車載電子機器20、サーバ40、及びクライアント端末50の間の信号の送受信シーケンスを示す図である。車載電子機器20から低解像度の動画データがサーバ40に常時送信されている。サーバ40は、低解像度の動画データのフレームヘッダ内のイベントフラグがセットされていることを検出すると、イベントフラグがセットされている動画データを送信した車載電子機器20に対して、イベント発生日時を指定して、高解像度の動画データの送信を指示するコマンドを送信する。さらに、クライアント端末50に対して、イベントの発生を検出したことを知らせるメッセージを送信する。
このメッセージを受信したクライアント端末50の処理ユニット51は、イベントが発生したことを管理者に知らせるメッセージをディスプレイ53に表示させる(ステップSK2)。さらに、高解像度の動画像の再生を行うか否か管理者に問い合わせるメッセージをディスプレイ53に表示させる(ステップSK3)。管理者は、高解像度の動画像の再生を行うか否かをクライアント端末50に指示する。
車載電子機器20は、高解像度の動画データの送信を指示するコマンドを受信すると、イベント発生日時の前後の高解像度の動画データをサーバ40に送信する。なお、低解像度の動画データの常時送信は継続する。
サーバ40は、高解像度の動画データを受信すると、クライアント端末50に配信する。高解像度の動画像の再生を行うように指示されている場合、クライアント端末50は、配信された高解像度の動画データに基づいて動画像をストリーミング再生する(ステップSK4)。
[第10実施例の効果]
次に、第10実施例による車両管理システムが持つ優れた効果について説明する。
管理者は、車両に事故等のイベントが発生すると、そのイベント発生時点の前後の高解像度の動画像を閲覧することができる。これにより、イベント発生前後の車両の周囲の状況を詳しく知ることができる。
[第10実施例の変形例]
第10実施例では、サーバ40がイベントの発生を検出すると、イベントの種別に依らず高解像度の動画データの送信を指示するコマンドを車載電子機器20に送信した。第10実施例の変形例として、高解像度の動画データの送信指示を行う契機となるイベントの種別を限定しておくとよい。限定されるイベント種別は、管理者がクライアント端末50を操作して入力できるようにするとよい。これにより、重要度の低いイベントが発生した時には高解像度の動画データの送信が行われなくなるため、データ通信量の増大を抑制することができる。
[第11実施例]
次に、第11実施例による車両管理システムについて説明する。第11実施例による車両管理システムは、第1実施例〜第10実施例による車両管理システムの機能に加えて、サーバ40が、動画データに含まれる動画像、及び動画データのフレームヘッダに含まれる車両情報に基づいて機械学習する機能を有する。
例えば、サーバ40は、動画像及び車両情報に基づいて、交通事故が起きやすい場所、急ブレーキをかける可能性の高い場所、急ブレーキをかける状況等を見つけ出すことができる。さらに、事故は発生していないが、事故に至る危険性が高まった状況を動画像から見つけ出し、この状況と車両情報とを関連付けて機械学習することができる。例えば、歩行者を撥ねてはいないが、危うく撥ねそうになった状況を動画像から見つけ出すことができる。
複数の車両から収集された低解像度の動画データに機械学習を適用することによって、事故の危険性が高まった状況を見つけ出し、データベース化するとよい。また、危険が高まった原因を、速度超過、一時停止違反、歩行者や自転車への接近等に分類してデータベース化するとよい。
サーバ40は、現在受信している低解像度の動画データに学習結果を適用することにより、現在の運転が、事故の危険性が高い運転か否かを評価するとよい。評価結果を、クライアント端末50に送信して、管理者に知らせるようにするとよい。
低解像度の動画データに、動画像と車両情報とが埋め込まれているため、両者を関連付けた機械学習を容易に行うことができる。
[第12実施例]
次に、図18を参照して第12実施例による車両管理システムについて説明する。第12実施例による車両管理システムは、第1実施例〜第11実施例による車両管理システムの機能に加えて、車載電子機器20のIPアドレスが変更されたときの通信を確保する手段が明確にされる。
車載電子機器20が低解像度の動画データをサーバ40に常時送信している期間は、車載電子機器20のIPアドレスがサーバ40に常時通知されている。このため、車載電子機器20のIPアドレスが変化したときは、サーバ40は車載電子機器20のIPアドレスが変化したことを直ちに知ることができる。サーバ40は、車載電子機器20の最新のIPアドレス宛に種々のメッセージを送信すればよい。
次に、車載電子機器20から信号が何ら送信されていないときに、サーバ40が車載電子機器20の最新のIPアドレスを知る手順について説明する。
図18は、車載電子機器20とサーバ40とのメッセージの送受信のシーケンスを示す図である。サーバ40のIPアドレスは固定されており、例えば200.200.200.1である。車載電子機器20のIPアドレスは動的に変化する。車載電子機器20の当初のIPアドレスは、例えば100.100.100.1である。サーバ40のメッセージキュー90に、メッセージ#001、#002が格納されており、送信待ち状態になっている。
車載電子機器20が、サーバ40に定期的に問い合わせメッセージを送信する。問い合わせメッセージには、端末IDと、車載電子機器20のIPアドレスが含まれている。サーバ40は、問い合わせメッセージSS1を受信することにより、車載電子機器20の現在のIPアドレスを知ることができる。サーバ40は、車載電子機器20からの問い合わせメッセージSS1に含まれるIPアドレス宛にメッセージ#001を含む応答メッセージSS2を送信する。サーバ40が車載電子機器20から、メッセージ#001の受領を確認したメッセージSS3を受信すると、メッセージキュー90からメッセージ#001を消去する。
車載電子機器20が、再度問い合わせメッセージSS4を送信する。サーバ40は、車載電子機器20からの問い合わせメッセージSS4に対して、メッセージ#002を含む応答メッセージSS5を、問い合わせメッセージに含まれていたIPアドレス宛に送信する。車載電子機器20が問い合わせメッセージを送信した直後に、車載電子機器20のIPアドレスが100.100.100.2に変化した例について説明する。
車載電子機器20のIPアドレスが変化しているため、サーバ40から旧IPアドレス宛に送信した応答メッセージSS5は車載電子機器20に届かない。メッセージキュー90には、メッセージ#002が格納されて状態が継続される。
車載電子機器20が、再度問い合わせメッセージSS6を送信する。この問い合わせメッセージSS6には、車載電子機器20の新しいIPアドレスが含まれている。サーバ40は、この問い合わせメッセージSS6を受信すると、新しいIPアドレス宛に、メッセージ#002を含む応答メッセージSS7を送信する。サーバ40が車載電子機器20から、メッセージ#002の受領確認のメッセージSS8を受信すると、メッセージキュー90からメッセージ#002を消去する。これにより、メッセージキュー90は空きになる。
その後、車載電子機器20が問い合わせメッセージSS9を送信すると、サーバ40は、問い合わせメッセージSS9に含まれているIPアドレス宛に、未送信メッセージが無いことを知らせる応答メッセージSS10を送信する。車載電子機器20は、未送信メッセージが無いことを知らせる応答メッセージSS10を受信したことを知らせる受領確認のメッセージSS11をサーバ40に送信する。
第12実施例においては、車載電子機器20が定期的に問い合わせメッセージをサーバ40に送信しているため、車載電子機器20のIPアドレスが変化した場合に、サーバ40はIPアドレスの変化を知ることができる。これにより、サーバ40から車載電子機器20への通信が確保される。
[第13実施例]
次に、図19〜図22を参照して第13実施例による車両検索システムについて説明する。第1実施例〜第12実施例による車両管理システムは、車両の管理者による車両管理を支援するためのものであったが、第13実施例による車両検索システムは、位置情報及び時刻情報に基づいて車両を検索し、検索された車両に搭載された車載電子機器で撮像された動画像の提供を受ける支援を行う。
第1実施例〜第12実施例では、車載電子機器20がサーバ40(図1)に低解像度の動画データを送信し、高解像度の動画データをSDカード32に記録したが、第13実施例では、低解像度の動画データを送信せず、高解像度の動画データをSDカード32に記録する。車載電子機器20は、低解像度の動画データの代わりに、車両の現在の位置情報と時刻情報とを、車両IDとともにサーバ40に送信する。また、第1実施例〜第12実施例では、クライアント端末の利用者は車両の管理者であったが、第13実施例では、クライアント端末の利用者は車両の所有者または管理者とは何ら関係のない第三者である。
図19は、第13実施例による車両検索システムの車載電子機器20、サーバ40、クライアント端末50、及びパソコン80の間の信号の送受信のシーケンスを示す図である。複数の車両にそれぞれ搭載された複数の車載電子機器20が、車両の位置情報及び時刻情報を、車両IDとともにサーバ40に定期的に送信する。
サーバ40は、車載電子機器20から受信した情報を、位置情報と時刻情報とを検索キーとして車両IDを検索することができるデータベース45に蓄積する。さらに、サーバ40には、車両IDと、その車両に搭載された車載電子機器20の所有者のアカウントとが関連付けられて登録されている。
クライアント端末50の利用者がクライアント端末を操作して検索条件を入力すると、クライアント端末50はサーバ40に検索条件を指定して検索要求メッセージを送信する。
図20は、クライアント端末50の利用者が検索条件を入力するための画面の一例を示す図である。クライアント端末50の表示画面が、地図領域55及び検索条件入力領域56に区分されている。地図領域55に地図が表示されている。検索条件入力領域56に、検索条件となる項目が表示されている。検索条件となる項目には、「位置」、「日時」、「範囲」、及び「使用目的」が含まれる。検索条件入力領域56には、さらに「検索開始」ボタンが表示される。
クライアント端末50の利用者は、地図領域55に表示された地図をスクロールさせて、動画像を確認したい場所(位置)を地図上で指定する。地図上で位置が指定されると、検索条件入力領域56に、指定された位置が緯度及び経度で表示される。
さらに、利用者は、検索条件入力領域56の「日時」の項目を選択して、動画像を確認したい日時を指定する。例えば、開始時点の日時と終了時点の日時とにより、時間幅を持った期間を指定することができる。日時の入力は、例えばプルダウンメニューから選択することにより行われる。
さらに、利用者は、「範囲」の項目を選択して、検索対象の範囲を指定する。検索対象の範囲は、位置情報で指定された位置を中心とした半径で指定される。この半径の値の入力は、例えばプルダウンメニューから選択することにより行われる。
さらに、利用者は、動画像の使用目的を入力する。使用目的として、例えば事故状況収集、犯罪捜査、被害状況収集等が挙げられる。使用目的の入力は、例えばプルダウンメニューから選択することにより行われる。
利用者が「検索開始」ボタンをクリックまたはタップすることにより選択すると、クライアント端末50は、サーバ40に、位置情報(範囲の条件を含む)及び時刻情報を特定して検索要求メッセージを送信する。
検索要求メッセージを受信したサーバ40(図19)は、指定された位置情報及び時刻情報を検索キーとしてデータベース45を検索し、車両IDを抽出する。例えば、サーバ40は、時刻情報で特定される時間帯に、位置情報で特定される範囲内を走行していた車両の車両IDを抽出する。サーバ40は、検索結果をクライアント端末50に返信する。検索結果には、車両ID、及びその車両IDで特定される車載電子機器20の所有者のアカウント属性(例えば、氏名または名称)が含まれる。クライアント端末50は、検索結果を受信すると、検索結果を画面に表示させる。
図21は、検索結果が表示されたクライアント端末50の画面の一例を示す図である。クライアント端末50の画面が、地図領域55及び検索結果表示領域57に区画されている。クライアント端末50の処理手段は、検索結果表示領域57に、検索により抽出された車両IDに対応する所有者の氏名または名称、及びチェックボックスを表示させる。さらに、検索結果表示領域57に「依頼」ボタンを表示させる。
地図領域55には、地図、及び検索により抽出された車両の走行経路を表示させる。複数の車両が抽出された場合には、車両に搭載された車載電子機器の所有者と走行経路とが対応付けられる態様で表示される。例えば、3台の車両が抽出された場合には、各車両の所有者を一覧で表示するとともに、各所有者に対応付けて丸付き数字の記号を表示し、走行経路に、対応する丸付き数字の記号を付す。
利用者が、動画像の提供を依頼したい車載電子機器20の所有者のチェックボックスにチェックを入れて「依頼」ボタンを選択すると、クライアント端末50はサーバ40に、依頼先の所有者を特定して動画データの提供依頼メッセージを送信する。サーバ40は、依頼先の所有者のアカウントを、動画データの提供依頼先一覧に登録する。
車載電子機器20の所有者が、パソコン80(図19)のPCビューワを起動してログインすると、パソコン80はサーバ40にログイン情報を通知する。ログインした所有者のアカウントが、動画データの提供依頼先一覧に登録されている場合に、パソコン80に対して動画データの提供依頼があることを通知する。パソコン80は、この通知を受信すると、動画データの提供の依頼があることを所有者に通知する。
図22は、動画データの提供依頼が通知されたパソコン80のログイン後の画面の一例を示す図である。例えば、パソコン80の処理手段段は表示画面に、「○○さんから情報の共有依頼を受けました。」というメッセージと共に、「許可しない」ボタンと「次へ」ボタンを表示させる。
所有者が「許可しない」ボタンを選択すると、動画データをサーバ40に送信することなく、例えばSDカードに記録されている動画データを読み出して動画像を再生する処理等を実行する。所有者が「次へ」ボタンを選択すると、パソコン80は、動画データをアップロードする処理を実行するための画面に遷移する。
動画データをアップロードするための処理画面では、SDカードに記録されている動画データからアップロードしてもよい動画データを切り出す操作を行う。さらに、走行速度、車内の画像、音声データ等をアップロードしてもよいか否かの確認を行う。パソコン80は、所有者がアップロードを許可した動画データ及びその他のデータをサーバ40にアップロードする。
サーバ40は、アップロードされた動画データをクライアント端末50に転送する。クライアント端末50の利用者は、クライアント端末50を操作することにより、転送された動画データを読み出して動画像を再生することができる。
[第13実施例の効果]
次に、第13実施例による車両検索システムの持つ優れた効果について説明する。
第13実施例では、動画データの提供は後回しにして、位置情報及び時刻情報等のGPSログのみがサーバ40にアップロードされる。車載電子機器20からサーバ40に動画データを送信しないため、送信データ量を少なくすることができる。これにより、データ転送にかかるコストを削減することができる。また、動画データがサーバ40に常時送信されることがないため、車載電子機器20の所有者の了解を得ることなくサーバ40上の動画データが第三者に読み出されてしまうことを防止することができ、プライバシーの保護を図ることができる。
車載電子機器20の所有者から提供された動画データは、事故調査のための有益な情報として利用することができ、さらに、犯罪等の証拠として利用することができる。これらの証拠を犯罪捜査に活用することにより、誤認検挙を防止することができる。さらに、犯罪の現場に偶然居合わせた第三者の車両の車載電子機器20で撮像された動画像が犯罪捜査に利用され得ることが社会的に認知されると、犯罪を抑止する効果が得られる。
また、第13実施例では、動画データの提供者は、撮像された全動画データから提供してもよい動画データのみを切り出して提供することができる。さらに、走行速度、音声データ、車内の画像等、第三者に提供したくない情報はサーバ40にアップロードしないようにすることができる。これにより、プライバシーの保護を図り、情報提供者が損をすることがないようにすることができる。
[第13実施例の変形例]
次に、第13実施例の変形例による車両検索システムについて説明する。第13実施例では、車載電子機器からサーバに位置情報及び時刻情報を無線で送信したが、パソコン80等の外部電子機器が、現時点までに走行した経路の位置情報及び時刻情報をサーバ40に送信(アップロード)する機能を持つようにしてもよい。この場合には、車載電子機器20に無線通信機能を持たせる必要がない。
例えば、車載電子機器20の所有者が、動画データの記録されたSDカード32(図1)を、PCビューワがインストールされたパソコン80に装着した状態で、パソコン80がSDカード32に記録されている動画データに含まれる位置情報及び時刻情報を読み出してサーバ40にアップロードするようにするとよい。
第13実施例において、クライアント端末50とパソコン80とを必ずしも区別する必要は無い。パソコン80のPCビューワに、第13実施例によるクライアント端末50の機能を付加することにより、PCビューワがインストールされたパソコン80をクライアント端末50として使用することができる。この場合、車載電子機器20の所有者は、動画データの提供者になり得るとともに、他人の動画データの提供を受ける利用者にもなり得る。この場合、動画データを第三者に提供することは、動画データを第三者と共有することと考えることができる。
サーバ40は、パスワード付きのアカウントで車載電子機器20の所有者を管理するとよい。これにより、動画データの提供者が車載電子機器20の所有者本人であることが保証される。後に、動画データが証拠として必要になった場合に、動画データを有効なものとして取り扱うことができる。
本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求の範囲とする意思を有する。
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。
また、意匠出願への変更出願により、全体意匠または部分意匠について権利取得する意思を有する。図面は本装置の全体を実線で描画しているが、全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと、部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては、装置の一部の部材としても良いし、その部材の部分としても良い。全体意匠はもちろんのこと、図面の実線部分のうち任意の部分を破線部分とした部分意匠を、権利化する意思を有する。