JP6944309B2 - 吸収性物品、及び吸収性物品の製造方法 - Google Patents

吸収性物品、及び吸収性物品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、吸収性物品、及び吸収性物品の製造方法に関する。
従来、体液を吸収させることを目的とした、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド等の吸収性物品が知られている。このような吸収性物品の多くは、透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートと、これら両シートの間に設けられた吸収体とを有する本体を備えた基本構造を有している。
吸収性物品の使用時、体液は透液性の表面シート上に排出され、表面シートを通して吸収体へと吸収されていくが、表面シート上に体液が残存している状態では、体液が肌と接触して不快感が生じやすくなる。そのため、表面シートにはできるだけ体液を残さないようにすることが好ましい。よって、表面シートにおける体液の移行をコントロールするべく、表面シートに物質を塗布する等の工夫が知られている。
例えば、特許文献1、2には、トップシート(表面シート)に、血液滑性付与剤を塗布することが開示されている。特許文献1、2の開示によれば、血液滑性付与剤は、トップシートに到達した経血と接触し、経血と共に凹部に滑落するような物質である。
特許第5717685号公報 特許第5998000号公報
特許文献1には、血液滑性付与剤の塗布と、***口当接域を囲む所定のエンボスの構成とによって、経血が***口当接域の外へと拡散することを防止する吸収性物品が記載されている。また、特許文献2には、血液滑性付与剤の塗布と、畝部、溝部、及び貫通孔を有する構成とによって、横方向(面方向)の拡散を抑制する不織布が記載されている。
しかしながら、表面シートにおける体液の面方向の拡散を抑制する機能をさらに向上させ、体液の面方向での拡散をより狭い範囲に留めることができる構成が求められている。
上記の点に鑑みて、本発明の一形態は、表面シートにおける体液の拡散を抑制することによって、体液の面方向での拡散をより狭い範囲に留めて、体液が肌に接触することによる不快感等を低減できる吸収性物品を提供することを課題とする。
本発明の第一の形態は、透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に設けられた吸収体とを有する本体を備えた吸収性物品であって、前記本体は、装着時に装着者の体液排出口に対応する領域の中心を含む第1領域と、前記第1領域の周囲に延在し、当該第1領域の面積より大きい面積を有する第2領域とを有し、少なくとも前記第1領域及び前記第2領域の表面に疎水性粒子が塗布されており、前記第1領域に塗布された単位面積当たりの前記疎水性粒子の量は、前記第2領域に塗布された単位面積当たりの前記疎水性粒子の量よりも少ない。
上記第一の形態によれば、表面シートの表面に疎水性粒子が塗布されている。疎水性粒子は、体液に対する濡れ性が比較的低いので、体液が表面シート上に排出されて疎水性粒子と接触すると、体液はその位置から移行しにくい。そのため、表面シートでの体液の移動が抑制され得る。これにより、体液が面方向に拡散する範囲を小さくすることができ、体液が肌に接触することによる触覚的な不快感を低減することができる。また、使用中、体液が表面シートにおいて広がっている様子が見えることによる不快感(視覚的な不快感)も低減することができる。
但し、このような疎水性粒子による体液拡散を抑制する作用が大きいと、表面シートから吸収体への吸収速度が小さくなる傾向がある。これに対し、上記形態においては、体液排出口対応領域の中心を含む第1領域に存在する単位面積当たりの疎水性粒子の量を、第1領域の周囲に延在する第2領域に存在する単位面積当たりの疎水性粒子の量よりも少なくしている。これにより、排出された体液の大部分が最初に到達し得る第1領域において、体液を比較的速やかに吸収体へと移行させることができる。そのため、第1領域上に体液が残りにくくなり、体液排出口付近において体液が肌に付着することにより生じる不快感を低減することができる。
本発明の第二の形態では、前記第2領域に塗布された前記疎水性粒子の量は20〜100g/mであり、前記第1領域に塗布された前記疎水性粒子の量は10g/m以下である。
上記第二の形態によれば、第2領域における単位面積当たりの疎水性粒子の量の範囲が規定されているため、第2領域における体液の面方向の拡散を良好に抑制することができる効果を維持しつつ、疎水性粒子の量が過度に多くなって表面シートの多孔が閉塞される等の不都合を回避することができる。また、第1領域における単位面積当たりの疎水性粒子の量を所定値以下としているので、第1領域において体液を表面シートから吸収体へとより速やかに吸収させることができるという上述の効果を向上させることができる。
本発明の第三の形態では、前記第1領域には疎水性粒子が塗布されていない。
上記第三の形態によれば、第1領域に疎水性粒子が塗布されていないことで、体液の大部分が最初に到達する第1領域において、表面シートから吸収体への体液の吸収がさらに速やかとなる。これにより、体液排出口付近で感じられる不快感を低減することができる。第1領域に疎水性粒子が塗布されていない本形態は、特に体液の量が多い場合に好適に使用することができる。
本発明の第四の形態では、前記第1領域の面積は75〜1300mmである。
上記第四の形態によれば、第1領域の面積が所定の大きさを有しており、表面シートから吸収体への吸収が比較的速やかに進む領域が、適切な面積を有している。これにより、体液が拡散する領域を小さい範囲に留めるという疎水性粒子による効果を維持しつつ、体液排出口から排出される体液を、体液排出口に対応する領域付近で表面シートから吸収体へとより確実に吸収させることが可能となる。
本発明の第五の形態では、前記第1領域の形状の中心と前記体液排出口に対応する領域の中心とは一致している。
上記第五の形態によれば、第1領域の形状の中心と体液排出口に対応する領域の中心とが一致しているので、第1領域を、体液排出口に対応する領域及びその近傍に確実に対応させることができる。これにより、体液排出口から排出される体液を、第1領域において、より確実に表面シートから吸収体へと吸収させることができる。
本発明の第六の形態では、前記第1領域の形状は、前記吸収性物品の前後方向中心線を対称線とした線対称の多角形、円形、又は楕円形である。
上記第六の形態によれば、第1領域が所定の形状であることによって、第1領域を、全方向に所定の拡がりを有する領域とすることができる。これにより、第1領域において、より確実に表面シートから吸収体へと吸収させることができる。
本発明の第七の形態では、透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に設けられた吸収体とを有する本体を備え、前記本体が、装着時に装着者の体液排出口に対応する領域の中心を含む第1領域と、第1領域の周囲に延在する第2領域とを有する吸収性物品の製造方法であって、前記表面シートの表面に疎水性粒子を塗布する工程を含み、前記第1領域に塗布する単位面積当たりの前記疎水性粒子の量は、前記第2領域に塗布する単位面積当たりの前記疎水性粒子の量よりも少ない。
上記第七の形態によれば、上記第一の形態と同様の効果を奏する吸収性物品の製造方法を提供することができる。
本発明の一形態によれば、表面シートにおける体液の拡散を抑制することによって、体液の面方向での拡散をより狭い範囲に留めて、体液が肌に接触することによる不快感等を低減できる吸収性物品を提供することができる。
本発明の一形態による吸収性物品の基本構造を説明するための一部破断平面図である。 本発明の一形態による吸収性物品のI−I線断面図である。 本発明の一形態による吸収性物品の平面図である。 本発明の一形態による吸収性物品の平面図である。 実施例で用いた試料を説明するための図である。 実施例における吸収試験で用いた器具を説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1に、本発明の一形態による吸収性物品の例として生理用ナプキンの一部破断図を示す。また、図2に、図1のI−I線断面を示す。図1、2に示すように、吸収性物品1は、不透液性の裏面シート2と、透液性の表面シート3と、これら両シート2、3間に設けられた吸収体4とを有する本体(吸収性物品本体)8とを備えている。吸収体4の形状保持等のために、吸収体4は、クレープ紙又は不織布等からなる被包シート5によって包まれていてもよい。
本体8は、図1に示すように、全体としては、前後方向に所定の長さを有し、前後方向と直交する方向に所定の幅を有する細長い形状を有している。本体8の幅は、図示の例では略一定となっているが、前後方向にわたって変動していてもよい。吸収性物品(生理用ナプキン)1は、前後方向に延びる中心線(前後方向中心線又は長手方向中心線)CLに対し略線対称の形状を有することができる。
また、吸収性物品本体8は、装着時に装着者の膣口、小***等を含む体液排出口に対応する領域(体液排出口対応領域)50を有しており、体液排出口対応領域50は中心50Aを有している。中心50Aは、前後方向中心線CL上にあり、体液排出口対応領域50の前後方向長さの中央に位置している。本体8は、体液排出口対応領域50を含む中央領域RMと、中央領域RMの前方にある前方領域RFと、中央領域RMの後方にある後方領域RRとを有する。
中央領域RMは、その両側方から延びる、吸収性物品1を装着の際に下着に確実に固定するためのウィングW、Wを有していてよい。前方領域RFは、ウィングW、Wの前方の起点となる位置から本体8の前端縁までの領域であり、後方領域RRは、ウィングW、Wの後方の起点となる位置から本体8の後端縁までの領域とすることができる。ウィングW、Wが設けられている場合、体液排出口対応領域50の中心50Aは、前後方向で見て、ウィングW、Wの側方の端縁部の前後方向長さの中点の位置にあるか、又はウィングW、Wの前端縁と後端縁との中間の位置にあるものとすることができる。
図1、2の例では、吸収性物品1はウィングW、Wを有しているが、吸収性物品1はウィングW、Wのない形態とすることができる。その場合、ウィングW、Wが従来形成される位置にウィングW、Wを形成した場合に、ウィングW、W前方の起点となる位置から前方の領域を前方領域RFとし、ウィングW、Wの後方の起点となる位置から後方の領域を後方領域RRとすることができる。中央領域RMの前後方向の長さは、50〜90mmとすることができる。
本体8の周縁においては、裏面シート2の外縁と表面シート3の外縁とが、ホットメルト等の接着剤やヒートシール、超音波シール等の接着手段によって接合されていてよい。また、表面シート3側の両側部には、それぞれ前後方向(長手方向)に沿ってサイド不織布7が設けられていてよい。サイド不織布7は、本体8の側方に部分的に突出し、同じく側方に突出する裏面シート2に積層され、ホットメルト等の接着剤やヒートシール、超音波シール等の接着手段によって接合されており、これにより、本体8の両側部に、上述のウィングW、Wが形成されている。
裏面シート2としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂シート等の少なくとも遮水性を有するシート材を用いることができる。ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布や、さらには防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布の積層シート等を用いることができる。また、ムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられることがさらに望ましい。このような遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。
表面シート3は、経血、おりもの、尿等の体液を速やかに透過させる透液性のシートである。表面シート3としては、有孔又は無孔の不織布や多孔性プラスチックシート等が好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の合成繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、及びこれらの混紡繊維、並びに綿等の天然繊維を単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。また、不織布の加工法としては、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等が挙げられる。これらの加工法のうち、スパンレース法は柔軟性、スパンボンド法はドレープ性に富む不織布を製造できる点で好ましく、サーマルボンド法は嵩高でソフトな不織布を製造できる点で好ましい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維、分割型繊維などの複合繊維を用いることができる。
表面シート3は、上述のように有孔であってよく、例えば、図1に示すような複数の開孔20を有していてよい。開孔20は、表面シート3の一方の側から他方の側へと貫通する貫通孔である。開孔20は、例えば、直径0.5〜2.0mmの円形、又は当該円形と同等の面積を有する楕円形、四角形等の他の形状であってよい。また、開孔20同士のピッチは、5〜15mmとすることができる。このような開孔20が表面シート3に設けられていることで、表面シート3上に粘性の高い体液が排出された場合でも、そのような体液を、より速やかに表面シート3を通して透過させることができる。よって、開孔20は、表面シート3での体液の面方向の拡散を抑制するという上述の効果に寄与する。
なお、図示の例では、表面シート3の全体にわたって開孔20が形成されているが、表面シート3の一部分、例えば、体液排出口対応領域50や中央領域RMに開孔20が形成され、それ以外の領域には形成されていない形態とすることもできる。また、体液排出口対応領域50や中央領域RMにおける開孔20の大きさ及び/又はピッチを、それ以外の領域における開孔20の大きさ及び/又はピッチと異ならせることができる。
また、図1に示すように、表面シート3には、その全体にわたって、ドット状圧搾部(エンボス)30が形成されていてよい。ドット状圧搾部30は、開孔20の間に形成されていてよく、図示の例のように、開孔20及びドット状圧搾部30によって囲まれた領域が正方形等の四角形を有するようになっていてもよい。
裏面シート2と表面シート3との間に介在される吸収体4は、体液を吸収して保持できる材料であれば限定されないが、綿状パルプと吸水性ポリマーとを含むことが好ましい。吸水性ポリマーとしては、高吸水ポリマー粒状粉(superabsorbent polymer(SAP))、高吸水ポリマー繊維(superabsorbent fiber(SAF))及びこれらの組合せを用いることができる。パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられる。化学パルプの原料材としては、広葉樹材、針葉樹材等が用いられるが、繊維長が長いこと等から針葉樹材が好適に使用される。
また、吸収体4には合成繊維を混合してもよい。合成繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、及びこれらの共重合体を使用することができ、これらのうちの2種を混合して使用することもできる。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維、分割型繊維などの複合繊維も用いることができる。なお、疎水性繊維を親水化剤で表面処理し、体液に対する親和性を付与したものを用いることもできる。
吸収体4の厚みは、0.5〜25mmの範囲内とすることができ、1.5〜6.5mmの範囲であると好ましい。吸収体4は、前面にわたり均一な厚みを有していなくともよく、体液排出口対応領域50及びその付近の領域、また後方領域RRの幅方向中央部分を膨出させた構造とすることもできる。また、吸収体4は、積繊又はエアレイド法によって製造されたものが好ましい。
サイド不織布7としては、撥水処理不織布又は親水処理不織布を使用することができる。例えば、経血やおりもの等が浸透するのを防止する効果又は肌触り感を高める場合は、シリコン系、パラフィン系、アルキルクロミッククロリド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いることが好ましい。また、ウィングW、Wにおける経血等の吸収性を高める場合には、不織布の材料として、親水処理された不織布を用いることが好ましい。不織布の種類としては、折り癖が付きにくく、シワになりにくく柔らかいエアスルー不織布が好ましい。
ウィングW、Wの外縁には、サイド不織布7と裏面シート2との接合のため及び剛性を高める目的で、所定の箇所に、ドット状や所定の形状を有する圧搾部(エンボス)が設けられていてもよい。
吸収性物品1の全長は、130〜450mmとすることができ、140〜360mmであると好ましい。
本発明の一形態は、図3に示すように、本体8が、装着時に装着者の体液排出口対応領域50の中心50Aを含む第1領域Aと、第1領域Aの周囲に延在し、第1領域Aの面積より大きい面積を有する第2領域B(灰色で図示)とを有し、表面シート3の表面に疎水性粒子が塗布されており、第1領域Aに塗布された単位面積当たりの疎水性粒子の量は、第2領域Bに塗布された単位面積当たりの疎水性粒子の量よりも少ない、吸収性物品である。
表面シート3は透液性であるため、体液が表面シート3上に排出されると、体液は表面シート3を通ってその下に設けられている吸収体へと移行することができる。この際、従来の吸収性物品では、体液の量や粘性等にもよるが、体液は面方向に表面シート3上を拡散し、一部は表面シート3内を拡散し得る。そのような表面シート3上を拡散した体液は、肌に接触してべたつき感等の不快感を生じさせ得る。
これに対し、本形態においては、吸収性物品の表面シート側の所定の領域に、疎水性粒子が塗布されている。ここで、疎水性粒子が塗布されている状態とは、表面シート3の表面に疎水性粒子を塗布したことにより、疎水性粒子が表面シート3の表面に存在し、場合によっては表面シート3の内部にも存在している状態である。表面シート3が不織布からなる場合には、その不織布の繊維の表面に疎水性粒子が付着した状態である。
疎水性粒子の体液に対する濡れ性は小さいので、表面シート3上に排出された体液が、表面シート3上及び/又は表面シート3内に存在する疎水性粒子に接触すると、体液はその場所から拡がりにくくなる。そのため、疎水性粒子が塗布されている表面シート3においては、疎水性粒子が塗布されていない表面シートと比較して、表面シート3における、すなわち表面シート3上及び/又は表面シート3内での、体液の拡散が抑制される。これにより、体液が表面シート3において広がる平面視での面積を小さくすることができ、体液が広い範囲で肌に接触することによる触覚的な不快感を低減することができる。また、使用中、体液が表面シート3において広がっている様子が見えることによる視覚的な不快感も低減することができる。
しかしながら、上述のような体液の拡散を抑制する作用が大きいと、表面シート3から吸収体4への吸収速度が小さくなる傾向がある。これに対し、本形態においては、体液排出口対応領域50の中心Aを含む第1領域Aに含まれる単位面積当たりの疎水性粒子の量を、第2領域Bに含まれる単位面積当たりの疎水性粒子の量よりも少なくしている。そのため、排出された体液の大部分が最初に到達し得る第1領域Aにおいて、体液を比較的速やかに移行させることができるので、第1領域Aにおいて、表面シート3から吸収体4への体液の吸収を比較的速やかに進めることができる。そのため、第1領域A上に体液が残りにくくなり、体液排出口付近において体液が肌に付着することにより生じる不快感を低減することができる。また、第1領域Aで迅速な吸収が行われるため、周囲に広がる体液の量を減らすことができ、体液の量が比較的多い場合でも体液の面方向での拡散を抑制することができる。
また、体液は第1領域Aにおいて表面シート3から吸収体4へと吸収されると、吸収体4内で第2領域Bへも拡散し得る。ここで、第1領域A及び第2領域Bの吸収体4に一旦吸収された体液が、装着時に本体8に肌が押し付けられること等によって再び表面上に戻される現象、いわゆる逆戻りが起こり得るため、不快感を生じる可能性がある。本形態では、このような体液の逆戻りも従来品とほぼ同等にすることができる。
第2領域Bの面積は、第1領域Aの面積よりも大きくすることができる。疎水性粒子の塗布量が多い第2領域Bの面積をより大きくすることで、体液が体液排出口対応領域50から周囲に広がって拡散することをより効果的に防止することができる。また、第2領域Bは、表面シート3が露出している領域から第1領域Aを除いた全ての領域としてもよいし、図示の例のように中央領域RMから第1領域Aを除いた領域、又は中央領域RMとそれに隣接する前方領域RF及び後方領域RRの少なくとも一部から第1領域Aを除いた領域とすることもできる。吸収性物品1の前方又は後方の端部に粒子を塗布しない領域を設けておくことで、経済的に有利となる。
疎水性粒子は、表面に疎水性を有する無機粒子又は有機粒子であってよい。無機粒子としては、タルク、ベントナイト、カオリン、マイカ、セリサイト、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム等が挙げられる。有機粒子としては、ナイロン、アクリル樹脂、シリコーン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステル等が挙げられる。有機粒子は、ポリマーアロイや共重合体等であってもよい。これらの粒子は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。上記の粒子のうち、無機粒子が好ましく、また適度な疎水性を有すること等から、タルクを用いることが好ましい。
また、所定の粒子の表面を、シリル化処理等の疎水化処理することによって疎水性を付与又は向上させた粒子を得て、本形態における疎水性粒子として使用することができる。上記の粒子に対して、疎水化処理を施したものを、本形態における疎水性粒子として使用することもできる。
疎水性粒子の色は特に限定されないが、白色のものが好ましい。白色の粒子を用いることで、表面シート3内や吸収体4に吸収された体液が見えにくくなり、視覚的な不快感をさらに低減させることができる。また、表面シート3は、白色又は白色に近い薄い色であることが多いので、粒子が白色であれば、塗布しても目立つことがなく、見た目に違和感を生じさせることなく吸収性物品1を使用することができる。
疎水性粒子の平均粒径は、100μm以下であると好ましい。平均粒径が当該範囲であると、塗布された粒子が、表面シートの繊維に付着しやすくなり、体液の拡散を抑制するという上述の作用を発揮しやすくなる。また、疎水性粒子の平均粒径は、1〜80μmであるとより好ましく、3〜50μmであるとさらに好ましく、5〜20μmであるとさらに好ましい。上記範囲とすることで、体液の拡散を抑制する作用を向上させるとともに、粒子のざらつき等を感じにくくすることができる。なお、本明細書における平均粒径は、レーザー回折散乱式測定法で計測した体積基準の粒度分布から算出した中位径(D50)である。
第2領域Bに塗布される疎水性粒子の量は20〜100g/mであると好ましく、30〜90g/mであるとより好ましく、40〜70g/mであるとさらに好ましい。第2領域Bに塗布される疎水性粒子の量を20g/m以上とすることで、表面シートでの体液の拡散をより良好に抑制することができる。また、第2領域Bに塗布される疎水性粒子の量を100g/mとすることで、表面シート3上に粒子が過剰に塗布され、表面シート3に形成されている多孔、すなわち上述の開孔20や、繊維間の隙間等を閉塞して、吸収性物品の厚さ方向への体液の流れを妨げることを回避できる。
第1領域Aに塗布される疎水性粒子の量は0〜10g/m以下であると好ましい。第1領域Aに10g/m以下の疎水性粒子が存在する形態は、第1領域Aにおける体液の拡散を良好に抑制することができるので、特に排出される体液の量が比較的少ない場合に好ましい。
また、第1領域Aに塗布される疎水性粒子の量は、5g/m以下と小さくすることができ、その場合、1g/m以下であるとより好ましく、0.1g/m以下であるとさらに好ましい。また、第1領域Aには疎水性粒子が塗布されていないことがさらに好ましい。排出される体液の量が比較的多い場合には表面シート3上に体液がより残りやすいので、第1領域Aに塗布される疎水性粒子の量を上記範囲として、第1領域Aにおける表面シート3から吸収体4への体液の吸収速度を高めることにより、残存する体液による不快感を低減することができる。よって、第1領域Aに疎水性粒子が塗布されていない形態は、特に体液の排出量又は排出速度が大きい場合に用いられる吸収性物品として好適に使用することができる。
第2領域Bに塗布される疎水性粒子の量と第1領域Aに塗布される疎水性粒子の量との差((第2領域Bに塗布される単位面積当たりの疎水性粒子の量)−(第1領域Aに塗布される単位面積当たりの疎水性粒子の量))は、10g/m以上であると好ましく、20g/m以上であるとより好ましく、30g/m以上であるとさらに好ましく、50g/m以上であるとさらに好ましい。上記範囲とすることにより、第1領域Aと第2領域Bとの間の境界で、第1領域Aから第2領域Bへと体液が移行しにくくなるので、第1領域A内での表面シート3から吸収体への吸収がより促進し、また表面シート3での面方向の体液の拡散をより抑制することができる。
第1領域Aの面積は、吸収性物品1のサイズや用途によって適宜決定されるが、75〜1300mmであると好ましく、100〜1200mmであるとより好ましく、200〜1000mmであるとより好ましく、250〜750mmであるとさらに好ましい。第1領域Aの面積を75mm以上とすることで、表面シート3から吸収体4への体液の移行が速やかに進む領域を、適切な面積で確保することができる。これにより、体液の多くを第1領域A内で吸収させることができ、第1領域Aからその周囲へ拡散する体液の量を減らすことができる。また、第1領域Aの面積を1300mm以下とすることで、体液が面方向に拡散しやすい範囲を小さくすることができる。
第1領域Aの形状の中心と体液排出口対応領域50の中心50Aとは、図3に示すように、一致していることが好ましい。第1領域Aの形状の中心と体液排出口対応領域50の中心50Aとが一致していることで、体液排出口から排出された体液をより確実に第1領域Aにおいて吸収させることができる。また、第1領域Aの形状の中心と体液排出口対応領域50の中心50Aとは、前後方向に10mm以下の距離を置いて離間していてもよい。
なお、体液排出口対応領域50の中心50Aは、本体8の前端から70〜100mmの位置にあってよい。また、上記中心50Aは、図1、3に示すように体液排出口対応領域50の両側に一対の前後方向圧搾溝14、14が設けられている場合には、その一対の前後方向圧搾溝の前後方向の中心の位置にあってもよい。
第1領域Aが形状は、特に限定されないが、吸収性物品1の前後方向中心線CLを対称線とした線対称の形状であると好ましく、点対称の形状であるとより好ましい。例えば、正方形、長方形、菱形といった四角形等の多角形、円形、又は楕円形とすることができる。第1領域Aがこのような形状を有していることで、全方向に所定の面積を確保することができ、第1領域Aにおいて、体液をより確実に表面シート3から吸収体4へと吸収させることができる。また、第1領域Aの形状は、特に吸収性物品1が生理用ナプキンの場合には、液排出口の形状に鑑みると前後方向に長い形状とすることが好ましい。
第1領域A及び第2領域Bにおける単位当たりの疎水性粒子の量は、各領域において均一になっていてもよいし、均一になっていなくてもよい。各領域を複数の区分に分割し、分割された区分ごとに単位面積当たりの疎水性粒子の量を異ならせることもできる。例えば、第1領域A及び第2領域Bの少なくとも一方において、前後方向又は幅方向の縞状の区分を形成し、疎水性粒子の量が比較的小さい区分と大きい区分とを交互に配置することもできる。
上述の形態においては、本体8が第1領域A及び第2領域Bを有し、各領域において塗布される疎水性粒子の量を異ならせていたが、本体8が3以上の領域を有し、塗布される疎水性粒子の量を各領域において互いに異ならせることもできる。例えば、第1領域Aと第2領域Bとの間に、第1領域Aの周りを囲むような環状の第3領域Cを設け、第3領域Cに塗布される疎水性粒子の量を、第1領域Aにおける疎水性粒子の量より大きく、第2領域Bにおける疎水性粒子の量より小さくすることができる。同様に、第1領域Aと第2領域Bとの間に2以上の領域を形成し、塗布する疎水性粒子の量を段階的に変化させてもよい。
図1、2に示すように、吸収性物品1の本体8は、表面シート3及び吸収体4が圧搾されることによって形成された圧搾溝(エンボス)を有していてよい。このような圧搾溝として、少なくとも中央領域RMの体液排出口対応領域50の側方に沿って、一対の前後方向に延びる前後方向圧搾溝14、14が設けられていると好ましい。中央領域RMは、装着時には前後方向圧搾溝14、14に沿って側方へ容易に曲げることができ、中央領域RMの幅方向中央部を身体の方向に盛り上げてフィット性を高める機能を有する。また、体液の側方への拡散を抑制する機能も有する。さらに、図1に示すように、体液の端部への移行を抑制するため及び/又は身体の形状に沿った本体8の変形を可能にするために、前方領域RFに前方圧搾溝12、後方領域RRに後方圧搾溝16が形成されていてもよい。
さらに、吸収性物品1の本体8には、図4に示すような塞止圧搾溝18が形成されてもよい。塞止圧搾溝18は、第1領域Aの前方及び後方の少なくとも一方に形成することができ、図示の例のように、前方及び後方の両方に形成されていることが好ましい。塞止圧搾溝18は、第1領域Aから前方及び/又は後方へ体液が漏れを効果的に抑制することができる。特に、第2領域Bにおいて表面シート3の表面上に体液が残っている場合でも、そのような体液が流れて漏れることを防止することができる。
図示の例では、塞止圧搾溝18は、その先端部が体液排出口対応領域50の方を向いている略V字形状を有しているが、別の形状であってもよい。例えば、塞止圧搾溝18は、直線状に又は湾曲して幅方向に延びる形状を有していてもよい。また、塞止圧搾溝18は、前後方向圧搾溝12、12の前端及び/又は後端、並びにその近傍の領域に形成されていると好ましい。
本発明の一形態は、吸収性物品の製造方法であり、具体的には、透液性の表面シート3と、不透液性の裏面シート2と、表面シート3と裏面シート2との間に設けられた吸収体4とを有する本体8を備えた吸収性物品1であって、前記本体8が、装着時に装着者の体液排出口に対応する領域の中心を含む第1領域Aと、第1領域Aの周囲に延在する第2領域Bとを有する吸収性物品1の製造方法であって、表面シート3の表面に疎水性粒子を塗布する工程を含み、第1領域Aに塗布する単位面積当たりの疎水性粒子の量は、第2領域Bに塗布する単位面積当たりの疎水性粒子の量よりも少ない、製造方法である。
表面シート3の表面に疎水性粒子を塗布する工程における塗布方法は特に限定されず、公知の塗布手段を用いることができる。例えば、疎水性粒子を液体の媒体に分散させて分散液を調製し、その分散液を公知の印刷手段を用いて本体8の所望の領域に印刷することができる。媒体としては、揮発性のものを用いてもよいし、不揮発性であって塗布後に表面シート3と疎水性粒子との結合を促進させるものを用いてもよい。印刷手段としては、フレキソ印刷、グラビア印刷等が挙げられる。疎水性粒子を液体に分散させて分散液を調製する場合、粒子及び媒体以外に、樹脂等を含有させてもよい。
また、別の塗布方法として、噴霧器を用いて、分散液を所望の領域に吹き付けることもできる。また、疎水性粒子は、流体ノズルを用いて空気とともに吹き付けることができるし、静電塗布装置を用いて塗布することもできる。
上述の形態は生理用ナプキンであったが、本形態による吸収性物品は、生理用ナプキンの他、パンティライナー、失禁パット、おむつ等としても使用することができる。体液排出口対応領域の位置及び大きさは、各用途に応じて適宜決定することができる。
以下、実施例及び比較例を提示して本発明をさらに詳説するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[試料の作製]
(実施例1)
図1に示す吸収性物品と同様の構成を有する、全長21cmの吸収性物品(生理用ナプキン)を準備した。この吸収性物品の塗布領域B(図5(a))に、ベビーパウダー(ピジョン株式会社製、「薬用ベビーパウダーJ」)を、パフを用いて、単位面積当たりの塗布量が58.8g/mとなるように均一に塗布した。実施例1において領域Bは、図5(a)に示すようにグレーで着色されている領域であり、本体の中央領域RMにおいて表面シートが露出している領域から、体液排出口対応領域の中心を含む領域(第1領域)Aを除いた領域である。本実施例においては、領域Aは直径1cmの円形の領域であり、領域Aの面積は79mmであった。また、領域Aの中心と体液排出口対応領域の中心とは一致していた。なお、粒子の塗布量は、塗布前及び塗布後で吸収性物品の重量を測定し、その重量の差を塗布面積で除することにより求めた。
(実施例2)
領域Aの円形形状の直径を2cmとし、面積を314mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして試料を作製した。
(実施例3)
領域Aの円形形状の直径を3cmとし、面積を707mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして試料を作製した。
(実施例4)
領域Aの円形形状の直径を4cmとし、面積を1256mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして試料を作製した。
(実施例5)
吸収性物品の体液排出口対応領域の前方及び後方においてそれぞれ、図5(b)に示すようなV字形状の塞止圧搾溝を形成したこと以外は、実施例3と同様にして作製した。
(比較例1)
実施例1においてベビーパウダーを塗布する前の吸収性物品を、試料とした(図5(c))。
(比較例2)
ベビーパウダーを塗布する領域を、本体の表面シートが露出している領域の全面とした(図5(d))こと以外は、実施例1と同様にして、試料を作製した。
[試験方法]
<吸収速度試験>
所定の器具60を用いて、吸収速度試験を行った。所定の器具60の概括的な斜視図及び平面図を、図6(a)及び(b)にそれぞれ示す。器具60は、中央に凹部62を有し、その底面に貫通孔64が設けられた構造を有している。器具60の底面の貫通孔64は、底面の中心で互いに交差する3本の貫通スリットの形状を有しており、各スリットの長さは23mmであった。上記器具を、体液排出口対応領域の中心と器具の中心とが一致するようにして、生理用ナプキン上に載置した。37℃の人工経血1ccを、器具60を通して注入し、人工経血が染み込むまでの時間(人工経血が表面シート上から消失するまでの時間)を測定した。1回目の吸収が終了した後、試料を3分間静置し、その後、再び人工経血1ccを1回目と同様に注入し、人工経血が染み込むまでの時間を測定し、吸収時間とした。
<拡散試験>
上記の吸収速度試験を行った試料を目視で観察し、表面シートに拡散した人工経血の部分の前後方向及び幅方向の長さを測定し、拡散長さとした。拡散長さは、前後方向及び幅方向それぞれで、最長の長さとした。なお、この観察においては、表面シートを介して、吸収体に吸収され拡散された人工経血も透けて見えるが、そのような吸収体における拡散は、拡散長さに含めない。
<逆戻り量試験>
上記の吸収速度試験を行った後、試料を1分間静置した。その後、中央領域RMをカバーする大きさのろ紙を載せ、さらにその上に錘を載せて5g/mの荷重をかけ、ろ紙が吸収した人工経血の量を測定した。
<液流れ試験>
試料を、表面シート側が上になるように30°傾斜面(水平方向に対して30°の傾斜を有する面)上に載置した。その際、生理用ナプキンの前後方向が傾斜方向と同じ方向になるようにして、且つ前方がより高い位置となるようにして載置した。固定したビュレットを用いて、1.0cm上方より1ccの人工経血を、試料の体液排出口対応領域の中心に向けて滴下した。その際、ビュレットのコックを、人工経血がビュレットから一滴ずつ連続的に滴下するようになるまで絞って、滴下を行った。
表面シート上に滴下された滴は、その位置で直ちに吸収されるか、又はその位置で吸収されず若しくは十分に吸収されず、表面シートの表面上を吸収性物品の後方に向かって流れ落ちていく。滴が流れ落ちる際に、滴が表面シートの表面上を移動した距離を目視にて測定し、その距離を液流れ長さとした。具体的には、表面シート上に滴下されて流れ始める直前の滴の後端位置と、滴が流れ落ちて流れ止まった時の滴の後端位置との前後方向の長さを、液流れ長さとした。滴が滴下位置で直ちに吸収された場合の液流れ長さは0mmである。
本試験では、滴下された人工経血1ccのうちの最初の一滴の液流れ長さを測定し、1滴目の液流れ長さとして記録した。さらに、2滴目以降の滴下について液流れ長さを測定し、1ccの液流れ長さとして記録した。この1ccの液流れ長さは、滴下された複数の滴が一緒に合わさって一筋の流れとなっている場合には、その流れの長さを、複数の滴が独立して流れて落ちていった場合には、そのうち最長の液流れ長さを示した滴の液流れ長さを記録した。
上記のような1ccの滴下を行った後、試料を3分間静置して、さらに1ccの滴下を行った。このようにして、人工経血1ccの滴下を合計5回繰り返した。
液流れ長さの評価は、以下の基準で行った。
A:0mm
B:0mm超〜20mm
C:20mm超〜40mm
D:40mm超〜70mm
E:70mm超〜110mm未満
F:110mm(吸収なし)
吸収速度試験、拡散試験、及び逆戻り量試験の各試験の結果を表1に、液流れ試験の結果を表2に示す。
Figure 0006944309
Figure 0006944309
表1より、ベビーパウダーを体液排出口対応領域の中心を含む第1領域Aに塗布し且つその周囲の第2領域Bに塗布した実施例1〜4では、拡散距離は、ベビーパウダーを表面シートに塗布していない比較例1(従来品)と比較して小さく、面方向の拡散が良好に抑制されていることが分かる。特に、第1領域Aの面積が75〜1000mmの範囲内である実施例1〜3の拡散距離は、比較例1に比べて、前後方向及び幅方向ともに顕著に小さくなっている。
また、実施例1〜4の逆戻り量も、比較例1(従来品)と同等であることも分かった。さらに、実施例1〜4の吸収時間も、比較例1(従来品)に対して、著しく大きくなることはなかった。特に、第1領域Aの面積が100〜1300mmの範囲に入る実施例2〜4では、吸収時間は、比較例1(従来品)の1.5倍以下であった。
一方、中央領域RM全面に均一にベビーパウダーを塗布した比較例2は、拡散距離が小さくなっており、面方向での拡散が抑制されているものの、逆戻り量が、実施例1〜4、比較例1(従来品)より多くなっている。また、比較例2の吸収時間も、実施例1〜4、比較例1(従来品)よりも長くなっており、実施例1〜4に比べて吸収性が十分でないことが分かった。
表2より、実施例1〜4の1滴目の液流れ長さの評価はAであり、比較例1(従来品)と同様であった。また、実施例2〜4の1ccの液流れ長さの評価も、比較例1(従来品)と同等であるか又は高くなっている。中央領域RM全面に均一にベビーパウダーを塗布した比較例2では、1滴目及び1ccの液流れ長さの評価は、いずれも実施例1〜4より低かった。
1 吸収性物品
2 裏面シート
3 表面シート
4 吸収体
5 被包シート
7 サイド不織布
8 本体(吸収性物品本体)
12 前方圧搾溝
14 中央圧搾溝
16 後方圧搾溝
18 塞止圧搾溝
20 開孔
30 ドット状圧搾部(エンボス)
50 体液排出口対応領域
50A 体液排出口対応領域の中心
A 第1領域
B 第2領域
CL 前後方向中心線
RF 前方領域
RM 中央領域
RR 後方領域
W ウィング

Claims (6)

  1. 透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に設けられた吸収体とを有する本体を備えた吸収性物品であって、
    前記本体は、装着時に装着者の体液排出口に対応する領域の中心を含む第1領域と、前記第1領域の周囲に延在し、前記第1領域の面積より大きい面積を有する第2領域とを有し
    記第2領域の表面に疎水性粒子が塗布されており、前記第1領域には疎水性粒子が塗布されていない、吸収性物品。
  2. 前記第2領域に塗布された前記疎水性粒子の量は20〜100g/m ある、請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記第1領域の面積は75〜1300mmである、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記第1領域の形状の中心と前記体液排出口に対応する領域の中心とは一致している、請求項1からのいずれか一項に記載の吸収性物品。
  5. 前記第1領域の形状は、前記吸収性物品の前後方向中心線を対称線とした線対称の多角形、円形、又は楕円形である、請求項1からのいずれか一項に記載の吸収性物品
  6. 透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に設けられた吸収体とを有する本体を備え、前記本体が、装着時に装着者の体液排出口に対応する領域の中心を含む第1領域と、第1領域の周囲に延在し、前記第1領域の面積より大きい面積を有する第2領域とを有する吸収性物品の製造方法であって、
    前記表面シートの表面に疎水性粒子を塗布する工程を含み、
    前記第2領域の表面に疎水性粒子が塗布されており、前記第1領域には疎水性粒子が塗布されていない、吸収性物品の製造方法。
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