JP6939988B2 - 血液成分分離デバイス、血液成分分離方法、及び血液成分分析方法 - Google Patents
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Description
しかし、遠心分離法では、遠心分離の操作が煩雑であった。また、血球分離フィルターとしては、例えば、特許文献1には、血液濾過用のガラス繊維フィルター等が記載されている。しかし、従来の血球分離フィルターを用いた方法では、血球画分への血漿成分の混入を十分に防ぐことができなかった。
1実施形態において、本発明は、第1導入口と、血球と血漿とを分離するフィルターが設置されたフィルター部と、を備える第1流路と前記第1流路の前記フィルター部に接続する第2流路と、を含む、血液成分分離デバイスを提供する。
第1流路10、第2流路20、及び第3流路30の幅及び高さは、特に限定されず、試料の種類に応じて、任意に選択すればよい。例えば、これらの流路の幅及び高さは、試料が通過できる程度の大きさとすることができ、1μm以上、10μm以上、50μm以上、100μm以上等が例示される。第1流路10、第2流路20、及び第3流路30の幅は、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、全血試料を用いる場合、第1流路10の直径としては、50μm以上、80μm以上、100μm以上等が例示できる。これらの流路の幅及び高さの上限値は、特に限定されず、血液成分分離デバイスのサイズに応じて適宜選択すればよい。これらの流路の幅及び高さの上限値としては、例えば、100mm以下、50mm以下、10mm以下、5m以下、2mm以下等が挙げられる。一例として、幅0.5〜2.0mm程度、高さ0.2mm〜2.0mm程度が挙げられる。
第1流路10、第2流路20、及び第3流路30の形状は、特に限定されず、流路断面が円形であってもよく、矩形であってもよい。
第1流路10は、第1導入口12、フィルター部11、及びバルブV1を備えている。
フィルターとしては、例えば、多孔質膜や、ガラス繊維膜等が例示される。フィルターの材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ウレタン、アクリル、レーヨン、ガラス等が挙げられる。
フィルターとしては、例えば、上記素材を成形した繊維を不織布状に集積させたもの、上記素材を用いて連続孔が形成された連続気泡発泡体などの成形体、上記素材を成形した略球形の微粒子を細密充填構造となるように集積したもの、あるいはこの集積したものを焼結することにより一体成形したもの、上記素材を成形したフィルムに貫通孔を形成させたもの、あるいはフィルムの片面ないし両面にコロナ放電やプレス加工によりシボ加工したシートを多数枚積層したもの等が挙げられる。
フィルターの平均孔径は、血球を捕捉し且つ血漿の通過を阻害しない程度であればよく、例えば、2〜10μm、又は3〜8μm等が挙げられる。平均孔径は、バブルポイント試験法(JIS K 3832)や電子顕微鏡による拡大画像を用いた実測法などにより計測される。
フィルターの空隙率は、特に限定されないが、実用可能な濾過時間の確保及びフィルタの安定性を維持するために、例えば、20〜97%、30〜95%等が例示される。
バルブV1は、一例として、フィルター部11の下流側の末端の近傍に配置されている。デッドボリュームを小さくするため、例えば、バルブV1とフィルター部11とが接していることが好ましい。あるいは、バルブV1とフィルター部11との間が離れて配置されている場合であっても、バルブV1の端部とフィルター部11の端部との間の距離は広くとも数ミリ程度であることが好ましい。バルブV1の端部とフィルター部11の端部との距離は、0〜10mm程度であり、0〜5mm程度である。バルブV1をフィルター部11の近傍に配置することにより、後述する溶血工程により溶血された血球画分を第2流路20又は第3流路30を介して、効率よく回収することができる。
なお、本実施形態の血液成分分離デバイスは、バルブV1を設けない構成としてもよい。また、第1導入口12とフィルター部11とが離れて配置されている場合には、第1導入口12とフィルター部11との間にもバルブを設けるようにしてもよい。
流体制御部は、流体デバイス等で流路内の流体の流れを制御するために用いられる任意の構成を採用することができる。流体制御部としては、例えば、吸気ポンプに接続する吸気ポート、ポンプ、バルブ等が挙げられる。
第1流路10において、流体は、流路の軸方向を上流から下流に向かって移動する。この方向を第1方向、または、第1流路の軸方向と称してもよい。第1方向とは、第1導入口12からフィルター部11へと向かう方向であり、また、バルブV1を備える場合、フィルター部11からバルブV1に向かう方向である。
第2流路20は、第1流路10の軸方向とは異なる方向において、第1流路10のフィルター部11に接続している。第2流路20は、フィルター部11で第1流路10と交差している。第2流路20、第2導入口22と、第1流路10との接続部を挟んだ両側に配置されるバルブV2a、V2bとを備えている。
バルブV2a、V2bは、一例として、フィルター部11の近傍に配置されている。デッドボリュームを小さくするため、例えば、バルブV2a、V2bとフィルター部11とが接していることが好ましい。あるいは、バルブV2a、V2bとフィルター部11との間が離れて配置されている場合であっても、バルブV2a、V2bの端部とフィルター部11の端部との間の距離は広くとも数ミリ程度であることが好ましい。バルブV2a、V2bの端部とフィルター部11の端部との距離は、0〜10mm程度であり、0〜5mm程度である。バルブV2a、V2bをフィルター部11の近傍に配置することにより、フィルター部11における血液成分の分離を効率よく行うことができる。
なお、本実施形態の血液成分分離デバイスは、バルブV2a、V2bを設けない構成としてもよく、バルブV2a、V2bのいずれか一方のみを設ける構成としてもよい。バルブV2aを備えることにより、第1流路10において血球成分と血漿成分とを分離している間はバルブV2aを閉じておき、血球成分と血漿成分との分離反応後にバルブV2aを解放することが可能となる。このことは、事前に第2導入口22に試薬を導入しておく場合などに有効である。また、バルブV2bを備えることにより、第2流路20に試薬などを滞留することが可能となる。このことは、フィルター部11中の成分と試薬との反応に時間を要する場合などに有効である。
第2流路20において、流体は第1方向とは異なる第2方向に移動する。第2方向は、第1流路の軸方向と異なる方向であり、第2流路の軸方向である。第2方向とは、第2導入口22からフィルター部11にむかう方向である。
第3流路30は、第1流路10の軸方向とは異なる方向において、第1流路10のフィルター部11に接続している。第3流路30は、第2流路20とは異なる位置において、フィルター部11で第1流路10と交差している。第1流路10においては、第1導入口12、第2流路20との接続部、第3流路30との接続部が、この順番で配置されている。また、第1流路10においては、第1導入口12、第3流路30との接続部、及び第2流路20との接続部が、この順番で配置されていてもよい。第3流路30は、第1流路10との接続部を挟んだ両側に配置されるバルブV3a、V3bとを備えている。
バルブV3a、V3bは、一例として、フィルター部11の近傍に配置されている。デッドボリュームを小さくするため、例えば、バルブV3a、V3bとフィルター部11とが接していることが好ましい。あるいは、バルブV3a、V3bとフィルター部11との間が離れて配置されている場合であっても、バルブV3a、V3bの端部とフィルター部11の端部との間の距離は広くとも数ミリ程度であることが好ましい。バルブV3a、V3bの端部とフィルター部11の端部との距離は、0〜10mm程度であり、0〜5mm程度である。バルブV3a、V3bをフィルター部11の近傍に配置することにより、フィルター部11における血液成分の分離を効率よく行うことができる。
なお、本実施形態の血液成分分離デバイスは、バルブV3a、V3bを設けない構成としてもよく、バルブV3a、V3bのいずれか一方のみを設ける構成としてもよい。バルブV3aを備えることにより、第1流路10において血球成分と血漿成分とを分離している間はバルブV3aを閉じておき、血球成分と血漿成分との分離反応後にバルブV3aを解放することが可能となる。また、バルブV3bを備えることにより、第3流路30に試薬などを滞留することが可能となる。このことは、フィルター部11中の成分と試薬との反応に時間を要する場合などに有効である。
血液成分分離デバイスが、血球分析部60を備えることにより、フィルター部11で分離した血球成分をそのままデバイス内で分析することができる。フィルター部11から血球分析部60までは血液成分分離デバイス上の流路を介して、血球成分が送液されるため、コンタミネーション等のおそれがなく、また簡便な血球成分の分析が可能となる。
流体制御部は、流体デバイス等で流路内の流体の流れを制御するために用いられる任意の構成を採用することができる。流体制御部としては、例えば、吸気ポンプに接続する吸気ポート、ポンプ、バルブ等が挙げられる。
第3流路30において、流体は第1方向とは異なる第3方向に移動する。第3方向は、第3流路30の軸方向である。第3方向とは、フィルター部11から血球分析部60または血球回収部に向かう方向である。第2流路20と第3流路30とは略平行であってもよく、この場合第2方向と第3方向とは略同一である。
上記のような構成を備えた血液成分分離デバイス100の使用方法について、例を挙げて説明する。
フィルター部を洗浄した洗浄液は、血漿分析部50において回収してもよく、第1流路10が血漿回収部や廃液回収部を備えている場合には、これらにより回収してもよい。
また、バルブV2a、V3aを開状態とし、第2導入口22から、第2流路を介して、洗浄液をフィルター部11に導入してもよい。この場合も、第3流路30を介して、第3流路30に接続する廃液回収部に、フィルター部11に残っている血漿を洗浄液とともに回収することができる。
本実施形態の血液成分分離デバイスでは、フィルターで血球を捕捉した後、洗浄液でフィルターに残っている血漿を除去することができるため、血球画分への血漿の混入量を低減することができる。これにより、血球成分分析における血漿の影響を低減し、安定した血球成分測定値を得ることが可能となる。
図2は、本実施形態の血液成分分離デバイスの変形例1を示す模式図である。血液成分分離デバイス200は、第3流路30を有さない以外は、血液成分分離デバイス100と同様の構成となっている。第2流路20の、第1流路との接続部に対する、第2導入口22とは逆側は、血球分析部60に接続している。
図3は、本実施形態の血液成分分離デバイスの変形例2を示す模式図である。血液成分分離デバイス300は、第2流路20及び第3流路30が第1流路10と交差していない以外は、血液成分分離デバイス100と同様の構成となっている。血液成分分離デバイス300において、第2流路20及び第3流路30は、それぞれフィルター部11から突き出るような構成となっている。
血液成分分離デバイス300では、フィルター部11に捕捉された血球を溶血させる溶血工程において、バルブV1を閉状態とし、バルブV2a、V3aを開状態として、第2導入口22から、第2流路20に、溶血剤を導入する。第2流路20に導入された溶血された溶血剤は、第2流路20を介してフィルター部11に到達し、血液試料がフィルター部11を移動した方向(第1方向)と同じ方向にフィルター部11を移動する。この際に、フィルターに捕捉されている血球が溶血剤により溶血される。溶血により放出された血球成分は、溶血剤とともにフィルター部11を移動し、第3流路30との接続部に到達すると、第3流路30へと移動する。そして、第3流路30を介して血球分析部60に運ばれ、血球分析部60において分析される。
図4は、本実施形態の血液成分分離デバイスの変形例3を示す模式図である。血液成分分離デバイス400は、第2流路20及び第3流路30が第1流路10に対して同方向に配置されている以外は、血液成分分離デバイス300と同様の構成となっている。
溶血工程は、血液成分分離デバイス300と同様に行うことができる。
図5は、本実施形態の血液成分分離デバイスの変形例4を示す模式図である。血液成分分離デバイス500は、第3流路30を有さず、第2流路20が第1流路10と交差しない構成となっている。第2流路20は、血球分析部60に接続している。
図6は、本実施形態の血液成分分離デバイスの変形例5を示す模式図である。血液成分分離デバイス600は、第3流路30を有さず、第2流路20が第1流路10と交差しない構成となっている。第2流路20は、血球分析部60に接続している。また、第1流路10の第1導入口12とフィルター部11との間に、第4流路40が接続している。第4流路40は、第4導入口42と、バルブV4aとを備えている。
図7は、本実施形態の血液成分分離デバイスの変形例6を示す模式図である。血液成分分離デバイス700は、プレート70内に、第1流路及び第2流路が形成されている。第1流路は第1流路10a、10bから構成されており、第2流路は第2流路20a、20b、20cから構成されている。
第1流路10aは、第1導入口12、及びフィルター部11を有している。
第1流路10bは、流路制御部としてのポンプ部P1、及び血漿分析部50を備えている。第1流路10bは、バルブV1fを介して、インレットI1に接続している。インレットI1は、プレート70の下方に配置される図示しない試薬貯留部に接続している。そのため、バルブV1fを開状態とすることにより、インレットI1から、第1流路10bに試薬を導入することができる。第1流路10bは、バルブV1c又はV1dを介して、廃液回収部W1に接続している。そのため、バルブV1c又はV1dを開状態とすることにより、第1流路10bから廃液回収部W1に廃液を排出することができる。
第1流路10bは、バルブV1a、V1c、V1d、V1fを閉状態とし、バルブV1b、V1eを開状態とすることにより、循環流路(第1循環経路)を形成する。
また、第1流路10b及び廃液回収部W1は、バルブV1a、V1b、V1fを閉状態とし、バルブV1c、V1d、V1eを開状態とすることにより、流体を第1流路10bから廃液回収部W1へと排出する流路(第1排出経路)を形成する。
第2流路20aは、第2導入口22を有している。第2導入口22は、プレート70の下方に配置される図示しない溶血剤貯留部に接続しており、第2導入口22から、第2流路20aに溶血剤を導入することができる。第2流路20aは、第1流路10aのフィルター部11に接続し、第1流路10aと交差している。第2流路20aにおける、第1流路10aとの接続部の両側には、バルブV2a、V2bが設置されている。バルブV2a、V2bを開状態とし、第2導入口22から第2流路20aに溶血剤を導入すると、溶血剤は、第2流路20aの軸方向に移動して、フィルター部11を通過する。第2流路20aは、バルブV2dを介して、インレットI2に接続している。インレットI2は、プレート70の下方に配置される図示しない試薬貯留部に接続している。そのため、バルブV2dを開状態とすることにより、インレットI2から、第2流路20aに試薬を導入することができる。さらに、バルブV2eを開状態とすることにより、第2流路20bに試薬を導入することができる。また、第2流路20aは、バルブV2cを介して、エア導入口Aに接続している。そのため、バルブV2eを開状態とすることにより、エア導入口Aから、第2流路20aにエアを導入することができる。さらに、バルブV2eを開状態とすることにより、第2流路20bにエアを導入することができる。
第2流路20bは、流体制御部としてのポンプ部P2、及び血球分析部60を備えている。第2流路20bは、バルブV2h又はV2iを介して、廃液回収部W2に接続している。そのため、バルブV2h又はV2iを開状態とすることにより、第2流路20bから廃液回収部W2に廃液を排出することができる。
第2流路20cは、バルブV2nを介して、インレットI3に接続している。インレットI3は、プレート70の下方に配置される図示しない試薬貯留部に接続している。そのため、バルブV2nを開状態とすることにより、インレットI3から、第2流路20cに試薬を導入することができる。さらに、バルブV2k又はバルブV2mを開状態とすることにより、第2流路20bに試薬を導入することができる。また、第2流路20cは、バルブV2jを介して、廃液回収部W2に接続している。そのため、バルブV2jを開状態とすることにより、第2流路20cから廃液回収部W2に廃液を排出することができる。
第2流路20bは、バルブV2e、V2h、V2i、V2k、V2mを閉状態とし、バルブV2f、V2g、V2lを開状態とすることにより、循環流路(第2循環経路)を形成する。また、第2流路20b及び20cは、バルブV2e、V2h、V2i、V2j、V2l、V2nを閉状態とし、バルブV2f、V2g、V2k、V2mを開状態とすることにより、循環流路(第3循環経路)を形成する。
また、第2流路20b及び廃液回収部W2は、バルブV2e、V2g、V2k、V2mを閉状態とし、バルブV2f、V2h、V2i、V2lを開状態とすることにより、流体を第2流路20bから廃液回収部W2へと排出する流路(第2排出経路)を形成する。また、第2流路20b、20c、及び廃液回収部W2は、バルブV2e、V2g、V2i、V2k、V2l、V2nを閉状態とし、バルブV2f、V2h、V2j、V2mを開状態とすることにより、流体を第2流路20b、20cから廃液回収部W2へと排出する流路(第3排出経路)を形成する。
図8(a)はダイアフラムバルブ800の開状態を示し、図8(b)はダイアフラムバルブ800の閉状態を示す。図8(a)及び(b)に示すように、ダイアフラムバルブ800は、第1の基板310と、エラストマー材料からなるダイアフラム部材330と、第2の基板320とを備えている。第2の基板320とダイアフラム部材330とは密着した状態で接着されている。また、第1の基板310とダイアフラム部材330との間の空間は流体が流れる流路315を形成している。また、第2の基板320の一部には貫通孔340が設けられている。また、貫通孔340においては、ダイアフラム部材330が露出している。
すると、バルブ800cが開状態から閉状態に変化する過程で、ダイアフラム部材330が変形することにより、バルブ800cの周囲に存在していた流体が押しのけられる。ところが、バルブ800aが閉状態にあることから、押しのけられた流体は図9(d)の矢印で示す方向、すなわち、図9(d)に向かって右側に移動する。この結果、流体に矢印で示す方向の流れが更に加速される。この時、バルブ800aは図9(d)に示すように開状態に制御してもよいし、閉状態のまま維持してもよい。
1実施形態において、本発明は、上記実施形態の血液成分分離デバイスを用いて、血液成分を分離する方法を提供する。本実施形態の方法は、(a)前記第1導入口から、血液試料を前記第1流路に導入し、前記フィルターに前記血液試料中の血球を捕捉させる工程と、(b)前記第1導入口又は前記第2導入口から溶血剤を導入し、前記フィルター内の血球を溶血させる溶血工程と、を含む。
一例として、本実施形態の方法は、前記工程(a)の後であり前記工程(b)の前に、(c)前記第1導入口又は前記第2導入口から、洗浄液を前記第1流路に導入し、前記フィルター内の血漿を除去する血漿除去工程、を更に含むことができる。
1実施形態において、本発明は、上記実施形態の血液成分分離デバイスを用いて、血液成分を分析する方法を提供する。本実施形態の方法は、(a)前記第1導入口から、血液試料を前記第1流路に導入し、前記フィルターに前記血液試料中の血球を捕捉させる工程と、(b)前記工程(a)の後、前記第1導入口又は前記第2導入口から、洗浄液を前記第1流路に導入し、前記フィルター内の血漿を除去する工程と、(c)前記工程(b)の後、前記第1導入口又は前記第2導入口から溶血剤を導入し、前記フィルター内の血球を溶血させる工程と、(d)前記工程(c)で溶血させた前記血球を分析する工程と、を含む。
1実施形態において、本発明は、ヘモグロビンA1cを分析する方法を提供する。本実施形態の方法は、(a)血球と血漿とを分離するフィルターに血液試料中の血球を捕捉させる工程と、(b)前記工程(a)の後、前記フィルターに洗浄液を通過させ、前記フィルター内の血漿を除去する工程と、(c)前記工程(b)の後、前記フィルターに溶血剤を導入し、前記フィルター内の血球を溶血させる工程と、(d)前記工程(c)で溶血させた前記血球中のヘモグロビンA1cを分析する工程と、を含む。
ラテックス凝集法では、ラテックス粒子にHbA1cを吸着させて(吸着反応)、抗HbA1c抗体(マウスIgG等)を反応させ、さらに二次抗体(抗マウスIgG抗体等)を反応させる。これにより、HbA1cが抗HbA1c抗体及び二次抗体で架橋され、ラテックス粒子が凝集する(凝集反応)。HbA1c濃度が高いほど、ラテックス粒子の凝集量が多くなる。凝集していないラテックス粒子は、光を反射しないが、凝集すると光を反射するため、光の透過量はラテックス粒子の凝集量により変化する。そのため、凝集反応後の吸光度を測定することにより、HbA1c濃度を測定することができる。一例として、660nmの吸光度から800nmの吸光度を差し引いた値から、HbA1c濃度を算出することができる。
HbA1c標準検査試薬(HbA1c濃度6.1%、HbA1c濃度10%;ヘモグロビンA1cカットオフテスト認証標準物質、検査医学標準物質機構)に0〜60%(v/v)となるようにヒト血漿を添加した。前記ヒト血漿を添加したHbA1c標準検査試薬のHbA1c濃度を、ラピディア(登録商標) オートHbA1c−L(富士レビオ)を用いたラテックス凝集法により測定した。各サンプルについて、660nmの吸光度及び800nmの吸光度を測定し、660nmの吸光度−800nmの吸光度の値を求めた。
その結果を表1及び図12に示す。
ウサギの全血1000μLに、血漿成分をトレースするためにCy5を1μLを添加して混合して、Cy5添加ウサギ全血を調製した。
前記Cy5添加ウサギ全血試料を遠心分離(遠心力(1000×g)、5分)し、血球画分と血漿画分とを分離した。血球画分と血漿画分の希釈系列をそれぞれ調製し、各希釈系列を用いてヘモグロビン量及びCy5量に対する検量線を作成した。
次に、図13に示す構造を備えた血液成分分離デバイスを用いて、前記のCy5添加ウサギ全血試料の血球分離を行った。導入口からCy5添加ウサギ全血試料15μLを第1流路に導入し(大気圧:1分間)、導入口の逆側から5kPaで2分間陰圧印加して、Cy5含有ウサギ全血試料をフィルターに通した。その後、第3流路のポートb及びdを塞ぎ、第2流路のポートcから100μLの低張液(超純水)を導入し、フィルターに捕捉されていた血球画分を溶解させて、ポートaから溶血した血球画分を回収した。同様に、第2流路のポートa及びcを塞ぎ、第3流路のポートdから100μLの低張液を導入し、フィルターに捕捉されていた血球画分を溶解させて、ポートbから溶血した血球画分を回収した。回収した血球画分について、ヘモグロビン吸光度及びCy5蛍光を測定し、上記で作成した検量線から、血球画分中の血漿含有量を算出した。
上記実験例1と同様に、Cy5添加ウサギ全血試料を調製し、図11に示す構造を備えた血液成分分離デバイスを用いて、前記のCy5添加ウサギ全血試料の血球分離を行った(大気圧:1分間、5kPa陰圧:2分間)。次いで、導入口からPBS 15μLを第1流路に導入し(5kPa陰圧:2分間)、フィルターの洗浄を行った。その後、第3流路のポートb及びポートdを塞ぎ、第2流路のポートcから100μLの低張液を導入し、フィルターに捕捉されていた血球画分を溶解させて、ポートaから溶血した血球画分を回収した。実験例1と同様に、回収した血球画分中の血漿含有量を算出した。
ウサギの全血9μLに、血漿をトレースするためにCy5を1μLを添加して混合して、Cy5添加ウサギ全血試料を調製した。
次に、図13に示す構造を備えた血液成分分離デバイスを用いて、前記のCy5添加ウサギ全血試料の血球分離を行った。導入口からCy5添加ウサギ全血試料10μLを第1流路に導入し、導入口の逆側から10kPaで2分間陰圧印加して、Cy5含有ウサギ全血試料をフィルターに通した。次いで、導入口からPBS 20μL、25μL、又は30μLを第1流路に導入し(10kPa陰圧:2分間)、フィルターの洗浄を行った。その後、第2流路のポートa及び第3流路のポートdを塞ぎ、第2流路のポートcから50μLの低張液を導入し、フィルターに捕捉されていた血球画分を溶解させて、第3流路のポートbから溶血した血球画分を回収した。血液画分の大部分が押し出されたところで、低張液の導入を停止した。
(実施例1)
図13に示す構造を備えた血液成分分離デバイスを用いて、ヒト冷蔵血液(正常ヒト全血液・O型、コージンバイオ)の血球分離を行った。導入口からヒト冷蔵血液10μLを第1流路に導入し、導入口の逆側から10kPaで2分間陰圧印加して、ヒト冷蔵血液をフィルターに通した。次いで、導入口からPBS 25μL、25μL、又は30μLを第1流路に導入し(10kPa陰圧:2分間)、フィルターの洗浄を行った。その後、第2流路のポートa及び第3流路のポートdを塞ぎ、第2流路のポートcから100μLの低張液を導入し、フィルターに捕捉されていた血球画分を溶解させて、第3流路のポートbから溶血した血球画分を回収した。溶血液が約15μL押し出された時点で、溶血液の回収を終了した。
前記のように回収した溶血液5μLを用いて、ラピディア(登録商標) オートHbA1c−Lを用いたラテックス凝集法を行い、660nm及び800nmの吸光度を測定した。測定された吸光度から、HbAc1濃度、及び変動係数(CV)を算出した。
Cobas(登録商標) c101(Roche)のカートリッジ内で、ヒト冷蔵血液2.0μLを用いたラテックス凝集阻害法を行い、HbAc1濃度、及び変動係数(CV)を算出した。
Affinion(登録商標) HbAic(Alere)のカートリッジ内で、ヒト冷蔵血液1.5μLの溶血処理を行った。その後、ボロン酸アフィニティ―法により、HbA1cに起因する発色を測定した。発色の測定値から、HbAc1濃度、及び変動係数(CV)を算出した。
実施例1、並びに比較例1及び2の結果を図17に示す。実施例1では、比較例1及び2と比較して、変動係数(CV)を小さく、再現性の高い測定が可能であることが確認された。
図13に示す構造を備えた血液成分分離デバイスを用いて、ヒト全血(正常ヒト全血液・O型、コージンバイオ)の血球分離を行った。導入口からヒト全血15μLを第1流路に導入し、導入口の逆側から10kPaで2分間陰圧印加して、標準検査試薬をフィルターに通した。次いで、導入口からPBS25μLを第1流路に導入し(10kPa陰圧:2分間)、フィルターの洗浄を行った。その後、第2流路のポートa及び第3流路のポートdを塞ぎ、第2流路のポートcから50μLの低張液を導入し、フィルターに捕捉されていた血球画分を溶解させて、第3流路のポートbから溶血した血球画分を回収した。溶血液が約50μL押し出された時点で、溶血液の回収を終了した。
前記のように回収した溶血液を用いて、ラピディア(登録商標) オートHbA1c−Lを用いたラテックス凝集法を行い、660nm及び800nmの吸光度を測定した。測定された吸光度から、変動係数(CV)を算出した。
また、遠心分離法(遠心力(1000×g)、5分)により、ヒト全血の血球画分を分離し、同様に660nm及び800nmの吸光度を測定した。
なお、Affinion(登録商標) HbAic(Alere)を用いて、ヒト全血のHbAc1濃度を測定ところ、HbAc1濃度は5.06%であった。
11 フィルター部
12 第1導入口
20,20a,20b,20c 第2流路
22 第2導入口
30 第3流路
40 第4流路
42 第4導入口
50 血漿分析部
60 血球分析部
70 プレート
100,200,300,400,500,600,700 血液成分分離デバイス
310 第1の基板
311,311a,311b,311c 凸部
315 流路
320 第2の基板
330 ダイアフラム部材
331 アンカー部
340,340a,340b,340c 貫通孔
800,800a,800b,800c ダイアフラムバルブ
V1、V1a〜V1f,V2a〜V2n バルブ
P1,P2 ポンプ部
I1〜I3 インレット
W1,W2 廃液回収部
A エア導入口
Claims (15)
- 血球と血漿とを含む溶液が導入される第1導入口と、血球を捕捉するフィルターが設置されたフィルター部と、を備える第1流路と、
前記第1流路の前記フィルター部に接続する第2流路と、
を含み、
前記第2流路は、第2導入口を有し、且つ前記第1流路の前記フィルター部で前記第1流路と交差する、
血液成分分離デバイス。 - 前記第1導入口から導入された溶液は、前記フィルター部の内部を前記第1流路の軸方向に流れ、
前記第2導入口から導入された溶液は、前記フィルター部の内部を前記第1流路の軸方向とは異なる方向に流れる、請求項1に記載の血液成分分離デバイス。 - 血球と血漿とを含む溶液が導入される第1導入口と、血球を捕捉するフィルターが設置されたフィルター部と、を備える第1流路と、
前記第1流路の前記フィルター部に接続する第2流路と、
を含み、
前記第1流路に接続する血漿分析部を備える、
血液成分分離デバイス。 - 血球と血漿とを含む溶液が導入される第1導入口と、血球を捕捉するフィルターが設置されたフィルター部と、を備える第1流路と、
前記第1流路の前記フィルター部に接続する第2流路と、
前記第1流路の前記フィルター部に接続する第3流路と、を含み、
前記第1流路において、前記第1導入口、前記第2流路との接続部、及び前記第3流路との接続部が、この順番で配置されており、
前記フィルター部において、
前記第2流路との接続部は前記フィルター部の一端に配置され、
前記第3流路との接続部は前記フィルター部の他端に配置される、
血液成分分離デバイス。 - 前記第3流路は、前記第1流路の前記フィルター部で、前記第1流路と交差している、請求項4に記載の血液成分分離デバイス。
- 血球と血漿とを含む溶液が導入される第1導入口と、血球を捕捉するフィルターが設置されたフィルター部と、を備える第1流路と、
前記第1流路の前記フィルター部に接続する第2流路と、
を含み、
溶血された血球を分析する血球分析部を備える、
血液成分分離デバイス。 - 前記血球分析部は、前記第2流路に接続している、
請求項6に記載の血液成分分離デバイス。 - 前記第1流路の前記フィルター部に接続する第3流路をさらに含み、
前記第1流路において、前記第1導入口、前記第2流路との接続部、及び前記第3流路との接続部が、この順番で配置されており、
前記血球分析部は、前記第2流路又は前記第3流路に接続している、
請求項6に記載の血液成分分離デバイス。 - 前記血球分析部は、ヘモグロビンA1cを測定するヘモグロビンA1c測定部である、請求項6又は7に記載の血液成分分離デバイス。
- 血球と血漿とを含む溶液が導入される第1導入口と、血球を捕捉するフィルターが設置されたフィルター部と、を備える第1流路と、
前記第1流路の前記フィルター部に接続する第2流路と、
を含み、
血球回収部を備える、
血液成分分離デバイス。 - 血球と血漿とを含む溶液が導入される第1導入口と、血球を捕捉するフィルターが設置されたフィルター部と、を備える第1流路と、
前記第1流路の前記フィルター部に接続する第2流路と、を含む、血液成分分離デバイスを用いて、
血液成分を分離する方法であって、
(a)前記第1導入口から、血球と血漿とを含む溶液を前記第1流路に導入し、前記フィルターに前記溶液中の血球を捕捉させ、前記溶液中の血漿を前記第1流路において移動させる工程と、
(b)前記第1導入口から溶血剤を導入し、前記フィルター内の血球を溶血させ、溶血により放出された血球成分を前記第2流路において移動させる工程と、
(c)前記工程(a)の後であり前記工程(b)の前に、前記第1導入口から、洗浄液を前記第1流路に導入し、前記フィルター内の血漿を除去する血漿除去工程と、
を含む、方法。 - 血球と血漿とを含む溶液が導入される第1導入口と、血球を捕捉するフィルターが設置されたフィルター部と、を備える第1流路と、
前記第1流路の前記フィルター部に接続し、第2導入口を有し、且つ前記第1流路の前記フィルター部で前記第1流路と交差する、第2流路と、を含む、血液成分分離デバイスを用いて、
血液成分を分離する方法であって、
(a)前記第1導入口から、血球と血漿とを含む溶液を前記第1流路に導入し、前記フィルターに前記溶液中の血球を捕捉させ、前記溶液中の血漿を前記第1流路において移動させる工程と、
(b)前記第1導入口又は前記第2導入口から溶血剤を導入し、前記フィルター内の血球を溶血させ、溶血により放出された血球成分を前記第2流路において移動させる工程と、
(c)前記工程(a)の後であり前記工程(b)の前に、前記第1導入口又は前記第2導入口から、洗浄液を前記第1流路に導入し、前記フィルター内の血漿を除去する血漿除去工程と、
を含む、方法。 - 血球と血漿とを含む溶液が導入される第1導入口と、血球を捕捉するフィルターが設置されたフィルター部と、を備える第1流路と、
前記第1流路の前記フィルター部に接続する第2流路と、を含む、血液成分分離デバイスを用いて、
血液成分を分析する方法であって、
(a)前記第1導入口から、血球と血漿とを含む溶液を前記第1流路に導入し、前記フィルターに前記溶液中の血球を捕捉させる工程と、
(b)前記工程(a)の後、前記第1導入口から、洗浄液を前記第1流路に導入し、前記フィルター内の血漿を除去する工程と、
(c)前記工程(b)の後、前記第1導入口から溶血剤を導入し、前記フィルター内の血球を溶血させる工程と、
(d)前記工程(c)で溶血させた前記血球を分析する工程と、
を含む、方法。 - 血球と血漿とを含む溶液が導入される第1導入口と、血球を捕捉するフィルターが設置されたフィルター部と、を備える第1流路と、
前記第1流路の前記フィルター部に接続し、第2導入口を有し、且つ前記第1流路の前記フィルター部で前記第1流路と交差する、第2流路と、を含む、血液成分分離デバイスを用いて、
血液成分を分析する方法であって、
(a)前記第1導入口から、血球と血漿とを含む溶液を前記第1流路に導入し、前記フィルターに前記溶液中の血球を捕捉させる工程と、
(b)前記工程(a)の後、前記第1導入口又は前記第2導入口から、洗浄液を前記第1流路に導入し、前記フィルター内の血漿を除去する工程と、
(c)前記工程(b)の後、前記第1導入口又は前記第2導入口から溶血剤を導入し、前記フィルター内の血球を溶血させる工程と、
(d)前記工程(c)で溶血させた前記血球を分析する工程と、
を含む、方法。 - (d)前記工程(a)又は前記工程(b)の後、前記フィルターを通過した血漿を分析する工程、をさらに含む、
請求項14に記載の血液成分を分析する方法。
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