次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1の概略構成を簡単に説明した後、本発明の特徴部分の構成について詳細に説明する。
また、以下の説明において、方向は、図1に示す方向で説明する。すなわち、図1における左側を「前」、右側を「後」とし、奥側を「左」、手前側を「右」とする。また、図1における上側を「上」、下側を「下」とする。
図1に示すように、カラープリンタ1は、本体筐体10と、トップカバー11と、本体筐体10内に設けられた給紙部20および画像形成部30とを備えている。また、本体筐体10内には、本体筐体10内の温度を検出する温度センサ13と、センサの一例としてのパッチ検出センサ75と、制御部800と、が設けられている。
トップカバー11は、本体筐体10の上部に配置され、後側の回動軸11Aを中心として本体筐体10に対し回動可能に設けられており、本体筐体10の上部に形成された開口10Aを開閉する。具体的には、トップカバー11は、開口10Aを閉鎖する閉鎖位置(図1の位置)と、開口10Aを開放する開放位置(図2の位置)とに移動可能となっている。
給紙部20は、本体筐体10内の下部に設けられ、用紙Pを収容する給紙トレイ21と、給紙トレイ21から用紙Pを画像形成部30に供給する用紙供給機構22とを備えている。給紙トレイ21内の用紙Pは、用紙供給機構22によって1枚ずつ分離されて画像形成部30に供給される。
画像形成部30は、4つの露光ヘッド40と、4つのプロセスカートリッジPCと、転写ユニット70と、定着ユニット80とを備えている。
露光ヘッド40は、その先端に発光素子と結像レンズを有し、トップカバー11から吊り下げられるようにトップカバー11(詳しくは、後述するホルダ12)に保持されており、トップカバー11を閉じた状態において、後述する感光体51の上方に対向して配置されている。具体的に、露光ヘッド40は、トップカバー11の開閉によって、感光体51に接近した基準位置(図1の位置)と、当該基準位置よりも感光体51から離れた退避位置(図2の位置)との間を移動可能となっている。この露光ヘッド40は、発光素子が画像データに基づいて明滅することで、感光体51の表面を露光する。なお、露光ヘッド40の構造については、後で詳述する。
各プロセスカートリッジPCは、トップカバー11と給紙トレイ21との間で前後方向に沿って並列配置されている。各プロセスカートリッジPCは、トップカバー11が開かれた状態において(図2参照)、本体筐体10の開口10Aを通して着脱可能となっている。プロセスカートリッジPCは、ドラムユニット50と、現像器の一例としての現像カートリッジ60とを備えている。現像カートリッジ60は、ドラムユニット50に着脱可能となっている。
ドラムユニット50は、円筒状の感光体ドラムである感光体51と、感光体51を帯電させるスコロトロン方式の帯電器52と、現像カートリッジ60を感光体51に向けて付勢する押圧バネ53と、クリーニングローラ54と、感光体51等を支持するドラムフレーム55とを備えている。
現像カートリッジ60は、トナーを収容するトナー収容部61と、トナー収容部61内のトナーを感光体51に供給する現像ローラ62とを主に備えている。トナーは、感光体51上の静電潜像を現像する現像剤である。各現像カートリッジ60のトナー収容部には、前から順にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーが収容されている。
転写ユニット70は、給紙トレイ21とプロセスカートリッジPCとの間に設けられている。転写ユニット70は、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、転写媒体の一例としての無端状の搬送ベルト73と、転写器の一例としての4つの転写ローラ74とを備えている。搬送ベルト73は、駆動ローラ71と従動ローラ72の間に張設されている。搬送ベルト73は、外側の面が各感光体51に接しており、その内側には各転写ローラ74が各感光体51との間で搬送ベルト73を挟持するように配置されている。
搬送ベルト73の後斜め下方には、パッチ検出センサ75が設けられている。パッチ検出センサ75は、搬送ベルト73上に形成される濃度補正のためのトナー像の印刷濃度を検出するセンサであり、搬送ベルト73の後部に対向して配置されている。なお、以下の説明では、搬送ベルト73上に形成される濃度補正のためのトナー像を、「パッチ」とも称する。パッチ検出センサ75は、LEDなどの発光素子と、フォトトランジスタなどの受光素子とを備えた光反射型のセンサであり、パッチに光を照射して反射光を検出している。
定着ユニット80は、プロセスカートリッジPCおよび転写ユニット70の後方に設けられ、加熱ローラ81と、加熱ローラ81に向けて押圧される加圧ローラ82とを備えている。
このような画像形成部30では、感光体51の表面が、帯電器52により一様に帯電された後、露光ヘッド40によって露光されることで、感光体51上に画像データに基づく静電潜像が形成される。そして、現像ローラ62に電圧を印加することで、現像ローラ62から感光体51にトナーが供給され、静電潜像が可視像化されて感光体51上にトナー像が形成される。現像ローラ62に印加する電圧を現像バイアスとも表記する。つまり、現像カートリッジ60は、感光体51上の静電潜像を現像している。
各感光体51上に形成されたトナー像は、転写ローラ74によって、搬送ベルト73上を搬送される用紙P上に順次重ね合わせて転写される。トナー像が転写された用紙Pは、加熱ローラ81と加圧ローラ82の間を搬送されることでトナー像が熱定着される。その後、用紙Pは、搬送ローラ91によって本体筐体10内から外部に排出され、トップカバー11の上面に形成された排紙トレイ11B上に載置される。
次に、感光体51周りの構造および露光ヘッド40の構造について詳細に説明する。
図3に示すように、本実施形態では、感光体51の回転軸線X1は、左右方向に延びている。以下の説明では、回転軸線X1の延びる方向、つまり左右方向を、単に「回転軸線方向」とも称する。
感光体51は、回転軸線方向の各端部が回転支持部材500によって回転可能に支持されている。感光体51の一端側と他端側に配置される各回転支持部材500は、ドラムフレーム55によって支持されている。
感光体51は、円筒状の素管51Aと、素管51Aの内周面に嵌合する2つの嵌合部材400とを備えている。素管51Aは、金属などの導電性の材料からなっている。素管51Aの外周面には、感光層が形成されている。
嵌合部材400は、素管51Aの回転軸線方向の一端側と他端側にそれぞれ設けられている。嵌合部材400は、樹脂からなっている。嵌合部材400は、素管51Aの内周面に嵌り込むことで、素管51Aとともに回転可能となっている。嵌合部材400は、素管51Aの端面A1よりも回転軸線方向の内側に位置する嵌合部410と、素管51Aの端面A1よりも回転軸線方向の外側に位置する露出部420とを一体に有している。
嵌合部410は、略円柱状に形成されている。嵌合部410は、素管51Aの内周面に嵌合している。
露出部420は、回転支持部材500に支持される被支持部421と、被支持部421の外周面から径方向外側に突出するフランジ部422とを有している。被支持部421は、略円柱状に形成されている。被支持部421の外径は、素管51Aの外径よりも小さくなっている。
フランジ部422は、略円板状に形成されている。フランジ部422は、回転軸線方向において、被支持部421と嵌合部410との間に配置されている。フランジ部422は、素管51Aの端面A1に接触している。フランジ部422の外径は、素管51Aの外径より大きくなっている。
回転支持部材500は、嵌合部材400の被支持部421の外周面を回転可能に支持する部材である。回転支持部材500は、樹脂からなる滑り軸受として構成されている。回転支持部材500は、素管51Aよりも回転軸線方向の外側に位置している。
回転支持部材500は、露光ヘッド40に当接する当接面531を有している。当接面531は、素管51Aの表面よりも径方向外側に位置している。詳しくは、当接面531は、嵌合部材400のフランジ部422の外周面よりも露光ヘッド40側に向けて径方向外側に突出している。
露光ヘッド40は、第1フレーム100および第2フレーム200と、第2フレーム200とドラムユニット50の間に配置される間隔調整部材300とを備えている。
第1フレーム100および第2フレーム200は、樹脂からなっている。第1フレーム100は、左右方向に長い略直方体状のベース部110と、ベース部110の左右方向の各端面から左右方向外側に延出する2つの延出部120とを一体に有している。ベース部110は、樹脂製であり、上下方向に開口している。
ベース部110内には、LEDアレイ101が設けられている。ベース部110の下方の開口には、LEDアレイ101からの光を感光体51の表面に結像させる光学部材であるレンズアレイ102が設けられている。
LEDアレイ101は、回転軸線方向に並んだ複数の発光部を有する半導体素子であり、各発光部が順次点灯することにより感光体51を走査露光する。なお、以下の説明では、回転軸線方向に並んだ複数の発光部によって感光体51を回転軸線方向に走査する方向を主走査方向と称する。また、LEDアレイ101から出射される光の光軸方向を、単に「光軸方向」と称する。さらに、光軸方向と主走査方向とに直交する方向を、副走査方向と称する。なお、本実施形態では、主走査方向は、左右方向や露光ヘッド40の長手方向と略一致し、副走査方向は、前後方向と略一致し、光軸方向は、上下方向と略一致している。
図5に示すように、レンズアレイ102は、露光ヘッド40の長手方向に配列された複数の結像レンズ102Aを有している。複数の結像レンズ102Aは、円柱状の屈折率分布型のレンズからなり、主走査方向において、千鳥状に2列に並んでいる。LEDアレイ101の1つの発光部から出た光は、拡散光であり、複数の結像レンズ102Aの端面に入射し、感光体51の表面の1箇所に正立等倍像として結像される。
ここで、レンズアレイ102は、複数の結像レンズ102Aが副走査方向より主走査方向の方が長く配列されているため、LEDアレイ101の1つの発光部から出た光に対応する開口絞りは、主走査方向の幅が、副走査方向の幅よりも大きくなっている。そのため、図に示すように、LEDアレイ101の1つの発光部から出た光は、レンズアレイ102上において、主走査方向の幅B1が副走査方向の幅B2よりも小さくなっている。光は、開口絞りの幅が大きいほうが、像面での焦点深度が浅くなるため、本実施形態では、焦点がずれた場合には、主走査方向にぼけやすくなっている。
延出部120は、ベース部110の左右の端部の上部に位置している。延出部120は、第2フレーム200によって支持されている。
第2フレーム200は、第1フレーム100を支持する樹脂製のフレームであり、トップカバー11に回動可能に支持される樹脂製のホルダ12によって吊り下げられた状態で支持されている。第2フレーム200は、左右方向に長い略矩形のベース部210と、第1フレーム100の回転軸線方向の両端部を支持する2つの突出部220とを一体に有している。
ベース部210は、第1凹部211と、第2凹部212と、孔213とを有している。孔213は、左右方向に間隔を空けて2つ設けられている。各孔213は、ベース部210の左右方向の中央に対して左右対称に配置されている。各孔213は、ベース部210を前後方向に貫通している。
ホルダ12は、ベース部210を吊り下げるフック12Aを、各孔213に対応する位置にそれぞれ有している。各フック12Aの先端は、前後方向内側に突出して、各孔213に係合している。
第1凹部211は、ホルダ12側に向けて開口する凹部である。第1凹部211は、左右の2つの孔213よりも左右方向外側に1つずつ形成されている。第1凹部211の底面とホルダ12との間には、付勢部材である圧縮コイルバネSPが設けられている。圧縮コイルバネSPは、露光ヘッド40を感光体51に向けて付勢している。
第2凹部212は、前後方向の一方側に向けて開口する凹部である。第2凹部212は、左右の第1凹部211よりも左右方向外側に1つずつ形成されている。詳しくは、第2凹部212は、ベース部210の左右方向の中央よりも端部に近い位置に配置されている。第2凹部212の下側の壁は、間隔調整部材300を支持する支持壁214となっている。
各突出部220は、ベース部210の下面から感光体51側に突出している。第1フレーム100の延出部120は、樹脂バネ700によって突出部220に取り付けられている。
間隔調整部材300は、基準位置における露光ヘッド40と感光体51との光軸方向の距離を調整するための部材であり、1つの当接部材310と、2枚のスペーサ320とを備えている。当接部材310は、回転支持部材500の当接面531に当接することで、レンズアレイ102から感光体51までの光軸方向の距離を規定している。
当接部材310は、樹脂からなっている。当接部材310は、支持壁214によって、光軸方向に移動可能に支持されている。スペーサ320は、当接部材310と支持壁214との間に配置されている。スペーサ320の枚数は、寸法誤差に応じて適宜決定される。
以上のように構成された間隔調整部材300は、露光ヘッド40が退避位置に位置する状態において、第2フレーム200から吊り下げられた状態で支持されている。図4に示すように、露光ヘッド40が基準位置に位置する状態においては、上側のスペーサ320が支持壁214に接触している。詳しくは、露光ヘッド40を退避位置から基準位置に向けて移動させていくと、最初に、当接部材310が回転支持部材500の当接面531に当接することで、当接部材310の移動が止められる。その後は、移動が止められた当接部材310に対して第2フレーム200が近づくように移動していき、支持壁214がスペーサ320に当接したときに、第2フレーム200の移動が止められて、露光ヘッド40が光軸方向に位置決めされる。
図6に示すように、制御部800は、CPU、RAM、ROMおよび入出力回路を備えており、外部のコンピュータ900から出力されてくる印刷ジョブと、各センサ13,75から出力されてくる情報と、ROM等に記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって、制御を実行する。具体的に、制御部800は、CPUなどの演算部810と、現像ローラ62、露光ヘッド40等を制御する制御回路820と、メモリ830とを備えている。制御部800は、メモリ830に記憶されているプログラムに基づいて動作することで、印刷制御や濃度補正を実行する。
制御部800は、コンピュータ900から出力されてくる印刷ジョブに基づいて、用紙Pに画像を形成する印刷制御を実行する機能を有している。詳しくは、制御部800は、印刷制御を実行する際において、用紙Pに画像を印刷する場合には、この画像の印刷濃度が所定の目標濃度となるように、図7に例示するような、異なる露光濃度の複数の印刷用パターン画像の中から1つの印刷用パターン画像を選択する。印刷用パターン画像は、2値の画像からなっている。露光濃度は、印刷用パターン画像において、露光される画素の面積率をいう。
ここで、印刷濃度とは、現像ローラ62によって現像されたトナー像の濃度であって、パッチ検出センサ75で検出された濃度をいう。また、目標濃度とは、印刷指令で指示されている目標の濃度をいう。制御部800は、例えば、印字指令で指示された目標濃度が20%である場合には、20%の露光濃度の印刷用パターン画像を選択し、この印刷用パターン画像で印刷制御を実行する。ただし、後述する階調設定処理により、目標濃度と露光濃度との関係が変更される。例えば、目標濃度20%に対して露光濃度20%の印刷用パターン画像が関連付けられた状態から、目標濃度20%に対して露光濃度10%の印刷用パターン画像が関連付けられた状態に変更された場合には、目標濃度20%で画像形成する際、露光濃度10%の印刷用パターン画像で画像形成が実行される。
制御部800は、前述したように複数の印刷用パターン画像の中から目標濃度に対応した1つの印刷用パターン画像を選択した後、当該印刷用パターン画像を用いて露光・現像を行うことで、感光体51上に目標濃度のトナー像を形成する。
なお、各印刷用パターン画像P1〜P5は、露光濃度20,40,60,80,100%に対応し、予めメモリ830に記憶されている。ここで、図7では、各露光濃度20,40,60,80,100%に対応した印刷用パターン画像P1〜P5を例示しているが、実際には、これ以外の露光濃度、例えば90%などの露光濃度に対応した印刷用パターン画像も予めメモリ830に記憶されている。ここで、図7に示す印刷用パターン画像P1〜P5は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのうち1色に対応した印刷用パターン画像を示すものとする。
露光濃度20%に対応した第1印刷用パターン画像P1は、第1パターン画像の一例である。第1印刷用パターン画像P1は、複数の単位画像G1を有している。各単位画像G1は、主走査方向および副走査方向において、互いに離れており、それぞれ異なる位置に配置されている。単位画像G1は、主走査方向の長さが副走査方向の長さよりも大きくなっている。
このような第1印刷用パターン画像P1は、露光ヘッド40が感光体51に対して光軸方向の基準位置からずれた状態で露光されたとき、基準位置で露光されたときよりも印刷濃度が低く形成される画像となっている。詳しくは、所定の作像条件において露光ヘッド40が基準位置に位置する状態で感光体51を第1印刷用パターン画像P1で露光した場合には、用紙Pまたは搬送ベルト73に転写されるトナー像の印刷濃度は、目標濃度である20%となる。これに対し、同一の作像条件において露光ヘッド40が基準位置からずれた状態で感光体51を第1印刷用パターン画像P1で露光した場合には、用紙Pまたは搬送ベルト73に転写されるトナー像の印刷濃度は、目標濃度である20%よりも低い濃度となる。
露光濃度60%に対応した第3印刷用パターン画像P3は、第2パターン画像の一例である。第3印刷用パターン画像P3は、複数の線状パターンG3からなっている。
このような第3印刷用パターン画像P3は、露光ヘッド40が感光体51に対して光軸方向の基準位置からずれた状態で露光されたとき、基準位置で露光されたときよりも印刷濃度が高く形成される画像となっている。詳しくは、所定の作像条件において露光ヘッド40が基準位置に位置する状態で感光体51を第3印刷用パターン画像P3で露光した場合には、用紙Pまたは搬送ベルト73に転写されるトナー像の印刷濃度は、目標濃度である60%となる。これに対し、同一の作像条件において露光ヘッド40が基準位置からずれた状態で感光体51を第3印刷用パターン画像P3で露光した場合には、用紙Pまたは搬送ベルト73に転写されるトナー像の印刷濃度は、目標濃度である60%よりも高い濃度となる。
露光濃度40%に対応した第2印刷用パターン画像P2は、第3パターン画像の一例である。第2印刷用パターン画像P2は、複数の線状パターンG2からなっている。
このような第2印刷用パターン画像P2は、第1印刷用パターン画像P1の露光濃度と第3印刷用パターン画像P3の露光濃度の間の露光濃度となっている。詳しくは、第2印刷用パターン画像P2に対応した露光濃度40%は、第1印刷用パターン画像P1に対応した露光濃度20%と、第3印刷用パターン画像P3に対応した露光濃度60%との間の値となっている。また、第2印刷用パターン画像P2で画像形成したときの印刷濃度も、第1印刷用パターン画像P1で画像形成したときの印刷濃度と、第3印刷用パターン画像P3で画像形成したときの印刷濃度との間の値となっている。
露光濃度80%に対応した第4印刷用パターン画像P4は、複数の線状パターンG4からなっている。
パターンG1〜G4の角度θは、基準線LBに対して45°以下となっている。詳しくは、パターンG1〜G4に沿った直線Lの基準線LBに対する角度θは、45°以下となっている。なお、図7に示す印刷用パターン画像P1〜P5はある1色に対応した印刷用パターン画像を示しているが、異なる色に対応したパターン画像はパターンの形状、あるいは角度θが異なってもよい。
露光濃度100%に対応した第5印刷用パターン画像P5は、1個の単位画像G5を有した構成となっている。単位画像G5は、第5印刷用パターン画像P5が形成される領域をすべて埋めるように構成されている。
図6に戻って、制御部800は、パッチ検出センサ75での検出結果に基づいて、作像条件設定処理の一例としての現像バイアス設定と、階調設定処理と、を実行する機能を有している。詳しくは、制御部800は、後で詳述する各種条件に基づいて、現像バイアス設定のみを行うモードと、現像バイアス設定と階調設定処理の両方を行うモードとを実行可能となっている。
現像バイアス設定において、制御部800は、第2印刷用パターン画像P2によってトナー像を形成し、パッチ検出センサ75で検出した結果に基づいて、トナー像の作像条件の一例としての現像バイアスを設定する。詳しくは、現像バイアス設定において、制御部800は、2種類の現像バイアスを用いて、2つの第2印刷用パターン画像P2に対応したトナー像を形成する。より詳しくは、制御部800は、第2印刷用パターン画像P2を用いて感光体51上に2つの静電潜像を形成し、2つの静電潜像に対して2種類の現像バイアスでそれぞれ現像を行うことで、感光体51上に2種類の印刷濃度のパッチを形成する。その後、制御部800は、各パッチを感光体51から搬送ベルト73に転写し、搬送ベルト73上の各パッチをパッチ検出センサ75で検出する。そして、制御部800は、パッチ検出センサ75で検出した各パッチからの反射光の強度を印刷濃度に換算し、2種類の印刷濃度と2種類の現像バイアスとに基づいて印刷濃度が目標濃度になる現像バイアスを算出し、算出した現像バイアスを前回の現像バイアスに代えて設定する。
階調設定処理を実行する前において、制御部800は、現像バイアス設定によって設定した現像バイアスで第2印刷用パターン画像P2に対応したトナー像を形成し、このトナー像をパッチ検出センサ75で検出する。制御部800は、パッチ検出センサ75で検出した結果に基づいて、目標濃度と印刷用パターン画像との関係を変更する階調設定処理を実行する。ここで、「目標濃度と印刷用パターン画像との関係」は、現像バイアス以外の作像条件の一例である。
詳しく説明すると、階調設定処理を実行する前において、制御部800は、露光濃度20,40,60,80,100%に対応した各印刷用パターン画像P1〜P5を用いて感光体51上に5つの静電潜像を形成し、各静電潜像に対して、そのときに設定されている現像バイアスで現像を行うことで、5種類の印刷濃度のパッチを形成する。その後、制御部800は、感光体51から搬送ベルト73に転写された各パッチをパッチ検出センサ75で検出する。制御部800は、階調設定処理において、各パッチからの反射光の強度をそれぞれ印刷濃度に換算する。そして、制御部800は、算出した各印刷濃度を、それぞれ対応する露光濃度と比較し、比較した印刷濃度と露光濃度が異なる場合には、印刷濃度と露光濃度の関係を補正することで、目標濃度と印刷用パターン画像の関係を変更する。なお、この補正の詳細は、後で説明する。
メモリ830は、前述した各印刷用パターン画像P1〜P5を記憶する他、制御に用いる各種閾値や、制御部800を動作させるためのプログラムなどを記憶している。
次に、制御部800の動作について詳細に説明する。
図8に示すように、制御部800は、まず、印刷指令があるか否かを判断する(S1)。ステップS1において印刷指令があると判断した場合には(Yes)、制御部800は、温度センサ103によって温度を検出し(S2)、今回検出した温度と前回検出した温度との差が所定値以上か否かを判断することで、前回の印刷制御からの温度変化が大きいか否かを判断する(S3)。
ステップS3において温度変化が大きいと判断した場合には(Yes)、制御部800は、現像バイアス設定を実行する(S4)。ステップS4の後、または、ステップS3においてNoと判断した後、制御部800は、印刷用パターン画像を用いて印刷制御を実行する(S5)。
詳しくは、ステップS5において、制御部800は、用紙Pの所定部分を印刷する場合には、印刷指令で指示されている所定部分の印刷濃度に対応した露光濃度の印刷用パターン画像を選択し、選択した印刷用パターン画像を用いて印刷制御を実行する。例えば、印刷指令で指示されている所定部分の印刷濃度が20%であるときには、制御部800は、露光濃度20%に対応した第1印刷用パターン画像P1を選択し、この第1印刷用パターン画像P1を用いて所定部分の印刷を行う。ステップS5の後、つまり印刷制御が終了した後、制御部800は、本制御を終了する。
ステップS1において印刷指令がないと判断した場合には(No)、制御部800は、プロセスカートリッジPCが交換されたか否かを判断する(S6)。ステップS6においてプロセスカートリッジPCが交換されていないと判断した場合には(No)、制御部800は、ユーザによる印刷濃度の補正指令がなされたか否かを判断する(S7)。ここで、ユーザによる印刷濃度の補正指令は、例えば、ユーザがコンピュータ900を操作することでコンピュータ900から出力される補正指令であってもよいし、ユーザがカラープリンタ1に設けられる図示せぬ操作パネルを操作することによって操作パネルから出力される補正指令であってもよい。
ステップS7において補正指令がないと判断した場合には(No)、制御部800は、本制御を終了する。ステップS7において補正指令があると判断した場合や(Yes)、ステップS6においてプロセスカートリッジPCの交換があったと判断した場合には(Yes)、制御部800は、現像バイアス設定を実行する(S8)。ステップS8の後、制御部800は、5種類の露光濃度20〜100%に対応した5個の印刷用パターン画像P1〜P5を用いて搬送ベルト73上に5個のパッチを形成する(S9)。
ステップS9の後、制御部800は、パッチ検出センサ75を用いて各パッチの印刷濃度を検出する(S10)。ステップS10の後、制御部800は、検出した各印刷濃度と各露光濃度とを比較し、検出した印刷濃度と、当該印刷濃度に対応する露光濃度とが異なる場合には、階調設定処理を実行して(S11)、本制御を終了する。
ここで、ステップS11において、階調設定処理を過去に1回も行っていない場合には、図9に2点鎖線で示すように、目標濃度と露光濃度とが同じ値となっている。ここで、図9に示すグラフは、目標濃度と露光濃度の関係を示すグラフ、つまり、所定の目標濃度で印刷する場合には、所定の目標濃度に対応した所定の露光濃度の印刷用パターンが選択されることを示すグラフである。
階調設定処理において、例えば、図に黒丸で示すように、露光濃度20%に対応した第1印刷用パターン画像P1を用いて形成したパッチをパッチ検出センサ75で検出した際に、そのパッチの印刷濃度が10%となってしまった場合には、制御部800は、第1印刷用パターン画像P1を目標濃度10%に対応するパターン画像として記憶し直す。つまり、次回の印刷制御において、目標濃度10%で画像形成する場合には、露光濃度20%に対応した第1印刷用パターン画像P1で画像形成を行えば、印刷濃度が10%になるため、制御部800は、目標濃度10%に対して露光濃度20%の第1印刷用パターン画像P1を関連付ける。すなわち、制御部800は、目標濃度と印刷用パターン画像との関係を変更する。
また、階調設定処理において、露光濃度40%の第2印刷用パターン画像P2がパッチ検出センサ75で検出されたときの印刷濃度が40%である場合、つまり目標濃度、露光濃度および印刷濃度が一致する場合には、図に破線で示すように、目標濃度と露光濃度の関係を線形補間する。これにより、例えば、次回の印刷制御において、目標濃度20%でパッチを形成する場合には、目標濃度20%のラインと図の破線との交点に相当する露光濃度Xに対応した印刷用パターン画像が選択されるので、当該印刷用パターン画像により適正な印刷濃度で印刷することができる。これにより、印刷指令で指示されている目標の濃度に基づいて階調を良好に表現することができる。
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
露光ヘッド40が基準位置からずれたときに印刷濃度が低くなる第1印刷用パターン画像P1の露光濃度と、露光ヘッド40が基準位置からずれたときに印刷濃度が高くなる第3印刷用パターン画像P3の露光濃度との間の露光濃度となる第2印刷用パターン画像P2で形成した画像の印刷濃度は、露光ヘッド40が基準位置からずれた場合であっても、基準位置に位置するときと近い値になることが、実験により確認されている。そのため、第2印刷用パターン画像P2で形成したパッチの印刷濃度に基づいて、現像バイアスを設定することで、露光ヘッド40の焦点位置がずれた場合においても現像バイアスを適切に設定することができる。
露光ヘッド40が光軸方向で基準位置からずれた場合には、露光ヘッド40の長手方向にぼけやすくなる傾向にあるため、線状パターンG2の角度が長手方向に対して垂直に近い角度であると、線状パターンが太くなってしまい、露光ヘッド40が基準位置からずれたときの印刷濃度と、基準位置に位置するときの印刷濃度との差が大きくなる。これに対し、線状パターンG2の角度を長手方向に対して45°以下と小さくしたので、線状パターンG2が太くなるのを抑えることができ、露光ヘッド40が基準位置からずれたときの印刷濃度と、基準位置に位置するときの印刷濃度との差を小さくすることができる。そのため、このような第2印刷用パターン画像P2で形成したパッチの印刷濃度に基づいて、現像バイアスを設定することで、露光ヘッド40の焦点位置がずれた場合においても現像バイアスをより適切に設定することができる。
作像条件として現像バイアスを設定したので、濃度補正を良好に行うことができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
前記実施形態では、第2印刷用パターン画像P2の露光濃度を40%としたが、本発明はこれに限定されるものではない。第2印刷用パターン画像P2の露光濃度は、50%以下であればよく、好ましくは30〜45%とするとよい。
前記実施形態では、第2印刷用パターン画像P2の線状パターンG2を露光ヘッド40の長手方向に対して傾斜させたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図10に示すように、第3パターン画像に相当する第2印刷用パターン画像P21の線状パターンG21を、露光ヘッド40の長手方向に対して平行にしてもよい。
このように線状パターンG21を露光ヘッド40の長手方向に対して平行にすることで、露光ヘッド40が基準位置からずれた場合であっても、基準位置に位置するときと略同じ印刷濃度にすることができるため、このような第2印刷用パターン画像P21で形成したパッチの印刷濃度に基づいて、現像バイアスを設定することで、露光ヘッド40の焦点位置がずれた場合においても現像バイアスをより適切に設定することができる。
前記実施形態では、作像条件設定処理で設定する作像条件として現像バイアスを例示したが、本発明はこれに限定されず、作像条件は、例えば、帯電バイアス、露光強度、転写バイアスなどであってもよい。
前記実施形態では、作像条件設定処理によって設定した現像バイアスで形成した第2印刷用パターン画像をパッチ検出センサ75で読み取った結果に基づいて変更する、現像バイアス以外の作像条件を、「目標濃度と印刷用パターン画像との関係」としたが、本発明はこれに限定されるものではない。現像バイアス以外の作像条件は、例えば、帯電バイアス、露光強度、転写バイアスなどであってもよい。
前記実施形態では、間隔調整部材として、回転支持部材500の当接面531に当接する間隔調整部材300を例示したが、本発明はこれに限定されず、間隔調整部材は、例えば、露光ヘッドに回転可能に設けられ、感光体ドラムに接触するローラであってもよい。
前記実施形態では、感光体として感光体51を例示したが、本発明はこれに限定されず、感光体は、例えばベルト状の感光体であってもよい。
前記実施形態では、帯電器としてスコロトロン方式の帯電器52を例示したが、本発明はこれに限定されず、帯電器は、例えば、コロトロン方式の帯電器であってもよいし、感光体に接触する帯電ローラであってもよい。
前記実施形態では、露光ヘッドとしてLEDを備えた露光ヘッド40を例示したが、本発明はこれに限定されず、露光ヘッドは、例えばEL(エレクトロ・ルミネッセンス)素子や蛍光体などのLED以外の発光部を備えたものであってもよい。
前記実施形態では、転写器として転写ローラ74を例示したが、本発明はこれに限定されず、転写器は、導電性ブラシや導電性板バネなど、転写バイアスが印加されるものであればよい。
前記実施形態では、転写媒体として搬送ベルト73を例示したが、本発明はこれに限定されず、転写媒体は、例えば用紙などであってもよい。
前記実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えばモノクロのプリンタ、複写機、複合機などに本発明を適用してもよい。
また、前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。