以下に添付図面を参照して、押出形材の検査面を検査する検査装置の実施形態を詳細に説明する。
まず、図1を参照して、押出形材について説明する。図1は、押出形材の一例を示す図である。押出形材50は、例えば、アルミや樹脂、プラスチックなどを原料とし、押出方向であるA方向に押し出されてダイスを通過することにより、様々な形状の断面を有する長尺形状の部材が成形される。図1に示す例では、押出形材50の断面がT字形状になっている。このような押出形材50は、成形される際に、表面に押出方向(A方向)と平行なスジ状の欠陥であるダイスマークM(例えば図1に示す点線)がついてしまうことがある。このダイスマークMは、押出形材50のどの表面に対しても現れる可能性がある。本実施形態の検査装置は、押出形材の表面に生じるダイスマークMの外観検査を行うものである。
図2は、押出形材の外観検査の一例を示す図である。本実施形態の検査装置は、長尺形状に成形された押出形材から切り出された一部の押出形材に対して外観検査を行う。図2に示すように、ダイスマークMの検査は、まず切り出された押出形材50の検査面50aに対して、照明装置2から光を照射して、その反射光を撮影装置3で撮影する。そして、検査装置は、撮影された画像から画像処理によりダイスマークMを検出して検査を行う。照明装置2や撮影装置3の配置は、検査方法によりさまざまである。
ここで、従来の検査装置では、押出形材が押し出された方向のままで置かれた状態、すなわち、押出形材を横に寝かせた状態で検査するため、以下のような課題があった。
まず、1つ目の課題について説明する。図3は、押出形材を設置した状態を示す図である。図3では、検査面51aを上方の撮影装置3に向けた状態で設置した押出形材51を、押出形材51の断面方向から見た図である。ここで、押出形材の断面方向とは、押出形材を押出方向に交差する方向(望ましくは直交する方向)で切断した切断面が見える方向である。
図3に示すように、押出形材51は、設置台5の上面にある平面状の設置面5aに、検査面51aが撮影装置3に対向する上面となるように設置しようとする場合、押出形材51の形状によっては安定させることが難しい。具体的には、例えば、図3に示すような形状の押出形材51を、設置台5の平面状の設置面5aに設置すると、検査面51aを撮影装置3に対して正しく向けて保持することができない。つまり、押出形材51は、設置面5aに対する支えとなる支持部分51bを軸にして、矢印R1方向に回転してしまい不安定になる。
これに対し、例えば押出形材51を支える支持部材を別途用いて安定させることも考えられるが、押出形材の形はさまざまである。このため、どのような形状の押出形材でも対応できる支持部材を用意することは困難であるし、押出形材の断面形状が変わる度に異なる支持部材を用意することも煩雑でありコストも上昇してしまう。なお、図3では、照明装置が上方に配置されているものとする。以降の図においても、照明装置を適宜省略する場合がある。
次に、2つ目の課題について説明する。図4は、他の形状の押出形材を設置した状態を示す図である。図4では、検査面52aを上方の撮影装置3に向けた状態で設置した押出形材52を、押出形材52の断面方向から見た図である。
図4に示すように、押出形材52を設置台5の設置面5aに設置した場合に、安定して設置することができたとしても、撮影装置3の撮影条件、例えば、被写体である検査面52aの向きを適切な向きにして置くことができず、正しく検査ができない場合がある。具体的には、図4に示すような形状の場合、撮影装置3の撮影方向に対して検査面52aを直交させて設置することができず傾いてしまう。
これに対し、例えば、撮影装置3や設置台5を移動可能にして調節することも考えられるが、さらに別の稼動部材などの部材が必要となり、コストが上昇してしまう。
次に、3つ目の課題について説明する。図5は、他の形状の押出形材を設置した状態を示す図である。図5では、検査面53aを上方の撮影装置3に向けた状態で設置した押出形材53を、押出形材53の断面方向から見た図である。
図5に示すように、押出形材53の形状によっては安定して設置することができ、検査面53aの向きを所定の向きにすることができたとしても、撮影装置3の撮影条件、例えば、検査面53aから照明装置や撮影装置3までの距離を適切な距離にすることができず、正しく検査ができない場合がある。
例えば、図5に示す押出形材53の高さh1は形状によって異なるため、検査面53aから撮影装置3までの距離h2も押出形材53の形状によって異なる。従って、検査面53aから照明装置や撮影装置3までの距離が撮影条件に適合していないと、正しく検査することができない。
これに対し、例えば、照明装置や撮影装置3、または設置台5の位置を調節することも考えられるが、さらに別の稼動部材などが必要となり、コストが上昇してしまう。
次に、4つ目の課題について説明する。図6は、他の形状の押出形材を設置した状態を示す図である。図6では、検査面54aを下方の撮影装置3に向けた状態で設置した押出形材54を、押出形材54の断面方向から見た図である。
図6に示すように、押出形材54の検査面54aを撮影装置3から一定の距離にする方法として、検査面54aを下向きにして設置面5aに設置する方法が考えられる。図6では、例えば、設置台5の一部に検査用の穴部5bが設けられており、その穴部5bを通して検査面54aの検査を行う。このようにすることで、検査面54aと撮影装置3との距離や角度を一定に保持することができる。
しかし、押出形材54の形状によっては、検査面54aを撮影装置3に正しく向けて保持することができない場合がある。つまり、図6に示すような場合、押出形材54は、矢印R2方向に回転してしまい不安定となり、検査面54aを正しい方向に向けて保持することができない。
これに対し、例えば押出形材54を支える支持部材を用いて安定させることも考えられるが、さらに別の稼動部材などが必要となり、コストが上昇してしまう。
このような各課題に対して、本実施形態では、押出形材がどのような形状であっても、部材を増やすことなく安定して設置させ、照明装置や撮影装置に対して検査面を所定の位置に保持する検査装置について説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、押出形材を安定して設置台に設置させる検査装置について説明する。図7は、第1の実施形態の検査装置を示す図である。図14に示すように、本実施形態の検査装置100は、照明装置2と、撮影装置3と、設置台5と、撮影面9とを有して構成されている。
図7に示すように、設置台5は、被検査体である押出形材を設置するものであって、設置部の一例である。本実施形態の設置台5は、上面に平面状の設置面5aを有している。
撮影面9は、設置台5に直交する縦方向の壁面であって、端部が設置台5に接続され、照明装置2や撮影装置3が固定される。
ここで、押出形材の切断について説明する。図8は、押出形材の切断方法に関する説明図である。図9は、設置台への押出形材の設置の仕方に関する説明図である。
押出形材の形状はさまざまであり、例えば図8に示すような形状の押出形材10は、検査面10aを上面にした状態で設置した場合、設置台5の上面である設置面5aに接する面が平面とならないため、安定させて設置することができない。従って、押出形材10は、別途支持部材などを用いずに、検査面10aを所定の位置に設けられた照明装置や撮影装置に向けて設置して保持することはできない。
そこで、押出形材10を、押出方向(A方向)に対して直交する方向(交差方向)で切断すると、その切断面Sが平面状になる。このように、切断された押出形材10は、押出方向の端部に位置する2つの端面の一方が当該切断面Sとなる。
そうすると、検査装置100は、図9に示すように設置台5の平面状の設置面5aに切断面Sを接触させた状態で、押出方向(A方向)が上下方向になるように押出形材10を立たせて所定の位置(例えば、図9の基準m)設置することができる。つまり、検査装置100は、切断面Sを底面にして、押出形材10を設置台5に設置することができる。これにより、検査装置100は、切断面Sに対して直交する面である検査面10aを、撮影面9(図7参照)に固定された照明装置2や撮影装置3に対して適切な距離および向きとなるように設置させることができる。
そして、押出形材10の切断面Sを底面として設置台5に立たせて設置し、押出方向(A方向)に交差する方向から、照明装置2による光を照射して、撮影装置3により撮影することで、どのような形状の押出形材であっても安定して設置した状態でダイスマークMの検査を行うことができる。
また、押出形材10の表面にあるダイスマークMは、押出方向のどの位置でも同じなので、切り出された部分の押出形材10を検査するだけで、その押出形材10全体のダイスマークMの検査を行ったことになる。
次に、押出形材に対する照明装置および撮影装置の配置関係について、図10〜図14を参照して説明する。図10は、押出形材の一例を示す図である。図10に示す押出形材11は、検査面11a側に凸部11b、11cが設けられた断面形状となっており、押出方向のA方向に押し出されて成形される。
図11は、図10に示す押出形材と照明装置との関係を示す図である。図12は、図10に示す押出形材と撮影装置との関係を示す図である。図13、14は、図10に示す押出形材と照明装置と撮影装置との関係を示す図である。図11〜13では、押出形材11を、押出方向が上下方向になるように立てて設置した場合の上方から見た図である。
図10に示した押出形材11の検査面11aを検査する場合、図11に示す位置に設置された照明装置2から光を照射すると、凸部11bに遮られて影となる斜線部分K1が発生してしまう。また、図10に示した押出形材11の検査面11aを検査する場合、図12の位置に設置された撮影装置3から撮影すると、凸部11cに遮られて撮影できない斜線部分K2が発生してしまう。
このように、照明装置2が照射できない影が発生したり、撮影装置3が撮影できない部分が発生した場合、正しく検査面11aを撮影することができないため、ダイスマークMを正確に検出することができない。
そのため、図13に示すように、照明装置2と撮影装置3は、照明装置2から出射される光の光路、および撮影装置3が撮影する反射光が、上方から見た場合に検査面11aと直交する方向(垂直方向)になるように配置することが望ましい。
従って、本実施形態では、図14に示すように、照明装置2と撮影装置3は、検査面11aに対して直交する面で、かつ押出方向(A方向)と平行な面である平面(図14に示す平面F)内に配置されている。このように配置されることで、影や撮影できない部分が発生せず、正しく検査面11aを撮影でき、ダイスマークMを正確に検出できる。
図14に戻り、図15とともに本実施形態の検査装置100について説明する。図15は、第1の実施形態の検査装置に押出形材が設置された状態を示す図である。
検査装置100に設置される押出形材12は、押出方向(A方向)の両端部に、押出方向に交差する面である端面12b、12cを有している。一方の端面12cは、上述したように、押出形材12を押出方向(A方向)に対して直交する(交差)方向で切断した切断面12cである。また、押出形材12における押出方向(A方向)に沿った表面にダイスマークMが付くことがあり、当該表面が検査対象である検査面12aとなる。
設置台5は、切断面12cの少なくとも一部が設置面5aに設置した状態で、押出方向(A方向)が上下方向になるように押出形材12が立てられて設置される。図15に示すように、本実施形態の押出形材12は、切断面12cを底面として設置面5aに接触した状態で設置台5に立てて設置される。
撮影面9に設置された照明装置2と撮影装置3は、検査面12aと直交する面で、かつ押出方向(A方向)と平行な面である平面内に設けられている(図14参照)。なお、直交(垂直)が「交差」の一例であって、平行が「沿う」の一例である。
照明装置2は、押出形材12の検査面12aに、検査面12aと交差する方向から光を照射するものである。本実施形態では、照明装置2は、設置面5aに直交する縦面である検査面12aに対して、横方向から光を照射している。
撮影装置3は、押出形材12の検査面12aを、検査面12aと交差する方向から撮影するものである。本実施形態では、撮影装置3は、設置面5aに直交する縦面である検査面12aを、横方向から撮影している。
なお、切断された押出形材12を立たせる場合は、必ずしも切断面12cを底面にして設置する必要はなく、切断面12cが上面(天面)となるように立たせて設置してもよい。しかし、切断面12cの方が平面状になりやすいため、切断面12cを下向きに立たせて設置することが望ましい。
このように第1の実施形態の検査装置100は、押出形材12の検査面12aの検査を行う場合、一部を切り出して切断面12cを下向きにした押出形材12を立たせるため、照明装置2および撮影装置3に対して適切な位置に安定させて設置した状態を保持することができる。このため、押出形材12の検査面12aに対する正確な検査を行うことができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態の検査装置では、押出形材の端面(切断面)を設置台に接触させて立たせることで、安定して押出形材を設置させる構成であった。これに対し、本実施形態の検査装置は、さらに、照明装置や撮影装置に対する検査面を所定の位置(所定の角度や距離)に保持する構成となっている。
ここで、押出形材の切断や、押出形材に対する照明装置および撮影装置の配置関係については、第1の実施形態と同様である(図8〜14参照)。
図16は、第2の実施形態の検査装置を示す図である。図16に示すように、本実施形態の検査装置200は、第1の実施形態の検査装置100の構成(照明装置2、撮影装置3、設置台5、および撮影面9)に加えて、押し当て部材4を備えている。照明装置2、撮影装置3、設置台5、および撮影面9については、第1の実施形態と同様である。図17−1、17−2は、第2の実施形態の検査装置に押出形材が設置された状態を示す図である。図17−2に示す検査装置200では、説明の都合上、照明装置2、撮影装置3、および押し当て部材4のみを表示している。
押し当て部材4は、押出形材12の検査面12aが押し当てられることで、照明装置2および撮影装置3に対して検査面12aが所定の場所(所定距離、所定角度)に設置されるように押出形材12の位置決めをするものであって、位置決め部材の一例である。
本実施形態の押し当て部材4は、直方体形状に形成されており、検査面12aの幅の1/2程度の幅で、検査面12aの1/4程度の高さとなっている。なお、押し当て部材4の形状は、本実施形態のような形状に限定されることはないが、押出形材12の検査面12aの幅方向全てに対して照明装置2による光を照射でき、撮影装置3が撮影できる大きさとなっている。また、押し当て部材4は、検査面12aの下部が押し当てられるように、設置台5の設置面5aに突出して設けられている。
押出形材12の検査面12aの検査を行う場合、図17−1に示すように、押出形材12が設置台5の設置面5aに設置される。そして、図17−1、17−2に示すように、押出形材12が矢印B方向に押圧されることで、検査面12aの下部の一部が押し当て部材4に押し当てられた状態となる。
これにより、検査装置200は、照明装置2および撮影装置3に対して適切な距離(例えば図16に示す距離L)および角度に検査面12aを容易に設置させることができる。つまり、本実施形態の検査装置200では、所定の位置に押出形材12を設置させる位置決めの基準となるように、押し当て部材4を設置台5に設けている。
このように第2の実施形態の検査装置200は、押出形材12の検査面12aの検査を行う場合、一部を切り出して切断面12cを下向きにした押出形材12を立たせるため、安定させて設置できる。また、検査装置200は、押し当て部材4に押出形材12の検査面12aを押し当てて設置することで、押出形材12を照明装置2および撮影装置3に対して所定の距離および所定の角度に位置決めできるとともに、適切な位置に押出形材12を設置した状態を保持することができる。このため、押出形材12の検査面12aに対する正確な検査を行うことができる。なお、本実施形態の検査装置200では、押し当て部材4を一つ設けた構成となっているが、複数設けた構成としてもよい。
(第3の実施形態)
第2の実施形態の検査装置では、押出形材の下部に押し当てられて押出形材の位置決めをする押し当て部材が、設置台の設置面に1つ設けられた構成であった。これに対し、本実施形態の検査装置は、さらに、押出形材の下部および上部に押し当てられて押出形材の位置決めをする押し当て部材が設けられた構成となっている。
ここで、押出形材の切断や、押出形材に対する照明装置および撮影装置の配置関係については、第1の実施形態と同様である(図8〜14参照)。
図18は、第3の実施形態の検査装置を示す図である。図18に示すように、本実施形態の検査装置300は、第1の実施形態の検査装置100の構成(照明装置2、撮影装置3、設置台5、および撮影面9)に加えて、天井面8、押し当て部材4a、4bを備えている。照明装置2、撮影装置3、設置台5、および撮影面9については、第1の実施形態と同様である。図19は、第3の実施形態の検査装置に押出形材が設置された状態を示す図である。
天井面8は、撮影面9に接続されて設けられている。天井面8は、設置面5aと平行であって、かつ撮影面9と直交する面となっている。
押し当て部材4a、4bは、押出形材12の検査面12aが押し当てられることで、照明装置2および撮影装置3に対して検査面12aを所定距離、かつ所定角度で設置できるように、押出形材12の位置決めをするものであって、位置決め部材の一例である。
押し当て部材4aは、第2の実施形態の押し当て部材4と同様に、検査面12aの下部が押し当てられるように、設置台5の設置面5aに設けられている。また、押し当て部材4bは、押し当て部材4aと同様の形状であって、検査面12aの上部が押し当てられるように天井面8の下面に設けられている。なお、押し当て部材4aが第1の押し当て部材の一例で、押し当て部材4bが第2の押し当て部材の一例である。
押出形材12の検査面12aの検査を行う場合、図19に示すように、押出形材12が設置台5の設置面5aに設置される。そして、図19に示すように、押出形材12が矢印B方向に押圧されることで、検査面12aの下部の一部が押し当て部材4aに押し当てられ、検査面12aの上部の一部が押し当て部材4bに押し当てられた状態となる。
これにより、検査装置300は、照明装置2および撮影装置3に対して適切な距離および角度に検査面12aを容易に設置させることができる。また、検査装置300は、押出形材12が矢印B方向に押圧された時、検査面12aが上下の押し当て部材4a、4bに押し当てられるので、押圧力の強さや押圧される位置によって押出形材12が傾いてしまうことを防止することができる。
なお、切断された押出形材12の上部が上側の押し当て部材4bに届かない場合もあり得るため、検査装置300は、設置台5の高さを調節したり、押し当て部材4a、4bの高さを調節する手段を備えた構成としてもよい。
このように第3の実施形態の検査装置300は、押出形材12の検査面12aの検査を行う場合、一部を切り出して切断面12cを下向きにした押出形材12を立たせるため、安定させて設置できる。また、検査装置300は、押し当て部材4a、4bに押出形材12の検査面12aの上部と下部を押し当てて設置することで、照明装置2および撮影装置3に対して傾かせずに所定の距離および所定の角度に位置決めできるとともに、適切な位置に押出形材12を設置した状態を保持することができる。このため、押出形材12の検査面12aに対する正確な検査を行うことができる。
(第4の実施形態)
第2の実施形態の検査装置では、押出形材の下部に押し当てられて押出形材の位置決めをする押し当て部材が、設置台の設置面に固定されて設けられた構成であったが、押し当て部材を移動可能に設けた構成としてもよい。本実施形態の検査装置は、押し当て部材を設置台の設置面に2つ設けた構成となっている。
ここで、押出形材の切断や、押出形材に対する照明装置および撮影装置の配置関係については、第1の実施形態と同様である(図8〜14参照)。
図20は、第4の実施形態の検査装置を示す図である。図20は、検査装置400に押出形材13を設置した状態を上方から見た図(上面図)である。本実施形態の検査装置400は、第1の実施形態の検査装置100の構成(照明装置2、撮影装置3、設置台5、および撮影面9)に加えて、押し当て部材4a1、4a2を備えている。図20では、設置台5および撮影面9が省略されているが、照明装置2、撮影装置3、設置台5、および撮影面9については、第1の実施形態と同様である。
押し当て部材に対して押出形材の幅が大きい場合、矢印B方向に押圧された際に1つの押し当て部材だけで押出形材を支えると不安定な場合がある。例えば、図20を参照すると、押し当て部材4a1に対して、押出形材13の検査面13aの幅Wが大きくなるほど、押出形材13が不安定となる場合がある。そのため、押し当て部材を複数設けた構成としてもよい。本実施形態の検査装置400では、一例として2つの押し当て部材4a1、4a2を設けた構成となっているが、3つ以上の押し当て部材を設けた構成としてもよい。
押し当て部材4a1、4a2は、押出形材13の検査面13aが押し当てられることで、照明装置2および撮影装置3に対して検査面13aが所定距離、かつ所定角度で設置できるように、押出形材13の位置決めをするものであって、位置決め部材の一例である。
本実施形態の押し当て部材4a1は、直方体形状に形成されており、検査面13aの幅の1/8程度の幅で、検査面13aの1/3程度の高さとなっている。なお、押し当て部材4a1の形状はこのような形状に限定されることはない。押し当て部材4a2の形状は後述する。また、押し当て部材4a1、4a2は、第2の実施形態の押し当て部材4と同様に、検査面13aの下部が押し当てられるように、設置台5の設置面5aに設けられている。
複数の押し当て部材が設けられている場合、少なくとも一部の押し当て部材が移動可能となっている。これは、例えば、押出形材の検査面が平面のみで構成されていない場合、すなわち例えば、検査面に凹凸が形成されていた場合、当該凹凸に押し当て部材が接触することを回避するためである。また、例えば、押出形材の幅に合わせて、バランスよく押圧されるように押し当て部材を配置するためである。
図20に示すように、本実施形態の検査装置400に設置される押出形材13には、押し当て部材4a1、4a2が押し当てられる側の検査面13aに、凸部13a1が形成された形状となっている。従って、本実施形態の押し当て部材4a2は、破線で示す矢印d方向(検査面13aに沿った方向)に、検査面13aと照明装置2や撮影装置3との位置関係が変わらない範囲において、移動可能となっている。
また、複数の押し当て部材が設けられている場合、少なくとも一部の押し当て部材が取り外し可能となっている。これは、押出形材の形状によっては、押し当て部材が設置の妨げになる場合があるためである。図20に示すように、本実施形態の検査装置400では、押し当て部材4a2が取り外し可能となっている。
ここで、押し当て部材4a2の移動機構、および取り外し機構の一例について説明する。図21は、押し当て部材の構造に関する説明図である。図21に示すように、押し当て部材4a2は、設置台5に設置された際に設置台5に対して直交して設けられて検査面13aが押圧される押し面421と、設置台5に対して平行に設けられて設置面5aが接触する底面422と、底面422の下部に設けられた突起部423とから構成されている。押し面421および底面422は、直方体形状に形成されている。また、押し面421は、検査面13aの幅の1/8程度の幅で、検査面13aの1/3程度の高さとなっている。また、設置台5は、設置面5aに矢印d方向に沿って、押し当て部材を取り付けるための取り付け溝5cが設けられている。
そして、押し当て部材4a2の底面422に設けられた突起部423が、取り付け溝5cに挿入されて矢印d方向にスライドさせることで、押し当て部材4a2が矢印d方向に移動可能となる。また、押し当て部材4a2は、突起部423を取り付け溝5cから外すことにより取り外し可能となる。図21では、フォーカスラインFLに検査面13aが位置するように、押出形材13を設置する。
このように、複数の押し当て部材が設けられた場合、少なくとも一部の押し当て部材を移動可能にしたり、取り外し可能とすることで、さまざまな形状の押出形材を安定して押し当てることができる。
このように第4の実施形態の検査装置400は、押出形材13の検査面13aの検査を行う場合、一部を切り出して切断面13cを下向きにした押出形材13を立たせるため、安定させて設置できる。また、押し当て部材4a1、4a2に押出形材13の検査面13aの下部を押し当てることで、照明装置2および撮影装置3に対して所定の距離および所定の角度に位置決めできるとともに、適切な位置に押出形材13を設置した状態を保持することができる。また、押し当て部材4a1、4a2は、移動可能であったり、取り外し可能であるため、様々な形状の押出形材13に対しても位置決めを行うことができる。このため、押出形材13の検査面13aに対する正確な検査を行うことができる。
(第5の実施形態)
第2の実施形態の検査装置では、押出形材の検査面に押し当てられて押出形材の位置決めをする押し当て部材が設けられた構成であった。これに対し、本実施形態の検査装置では、さらに、当該押し当て部材と異なる方向から押出形材を押し当てる他の押し当て部材が設けられた構成となっている。
ここで、押出形材の切断や、押出形材に対する照明装置および撮影装置の配置関係については、第1の実施形態と同様である(図8〜14参照)。
図22は、第5の実施形態の検査装置を示す図である。図22に示すように、本実施形態の検査装置500は、第1の実施形態の検査装置100の構成(照明装置2、撮影装置3、設置台5、および撮影面9)に加えて、押し当て部材4と、側面押し当て部材6とを備えている。照明装置2、撮影装置3、設置台5、および撮影面9については、第1の実施形態と同様であり、押し当て部材4については、第2の実施形態と同様である。
ここで、本実施形態の検査装置500によって検査が行われる押出形材について説明する。図23は、第5の実施形態の検査装置による検査対象となる押出形材を示す図である。図23では、押し出されてダイスを通過してきた押出形材14を、ある位置で切断して切断面Sが形成された図である。この時、押出形材14を押出方向に対して直交する方向に切断したつもりでも、図23に示すように切断面Sが僅かに傾いてしまうことがある。
このままの状態でも、切断面Sを下にして(底面として)押出形材14を立たせることは可能であるが、この状態で検査装置500による検査を行う場合、撮影装置3により撮影された画像にこの僅かな傾きを有するダイスマークMが写ってしまう。そして、当該画像からダイスマークMの検査を行う場合、傾きを補正するなどの処理が必要となってしまう。そこで、本実施形態の検査装置500では、押出形材14を設置する際に押出形材14の側面を押し当てる側面押し当て部材6を備え、押出形材14の傾きを直す構成となっている。
側面押し当て部材6は、押し当て部材4とは異なる方向から押出形材14が押し当てられることで、押出形材14の位置決めをするものであって、位置決め部材の一例である。本実施形態では、側面押し当て部材6は、押出形材14の検査面14aと、切断面S(端面)とに交差する面である押出形材14の側面T1が押し当てられる。
押出形材14の側面T1は、検査面14aに直交する面であって、検査面14aに隣接する側面となっている。従って、側面押し当て部材6は、押し当て部材4と直交し、かつ設置台5と直交する面ができるように設置台5に設けられる。本実施形態の側面押し当て部材6は、直方体形状で形成されており、押出形材14の側面T1の幅より大きい幅で、側面T1の高さより大きい高さとなっている。なお、側面押し当て部材6は、このような形状に限定されることはないが、押出形材14の傾きを直すことができる程度の大きさが必要となる。また、側面押し当て部材6は、設置台5の設置面5aに設けられており、側面T1全体が押し当てられる。
図24は、第5の実施形態の検査装置に押出形材が設置された状態を示す図である。なお、図24では、説明のため、押し当て部材4および側面押し当て部材6と、押出形材14とで表されている。
押出形材14の検査面14aの検査を行う場合、図24に示すように、押出形材14は矢印B方向に押圧され、押出形材14の検査面14aが押し当て部材4に押し当てられる。そして、押出形材14は矢印C方向に押圧され、押出形材14の側面T1が側面押し当て部材6に押し当てられる。
側面押し当て部材6は、設置台5に対して直交する面となっているので、押出形材14の側面T1を側面押し当て部材6に押し当てることで、ダイスマークMも設置台5に対して直交する。そのため、撮影された画像内のダイスマークMも設置台5に対して直交方向に揃うため、上述したような傾きの補正処理などが不要となる。
ここで、図23に示すように、切断面Sを下にして設置すると押出形材14が傾く場合、すなわち、側面T1と切断面Sが直交しない場合、押出形材14は、側面T1を側面押し当て部材6に押し当てるように押圧されると、図24に示すように隙間gが形成される。そして、押出形材14は押圧状態が解除されると、隙間gがなくなり、切断面Sが設置台5の設置面5aに接触する状態、つまり押出形材14が傾く状態に戻ってしまう。しかし、本実施形態の検査装置400によって押出形材14の検査を行う際には、押出形材14が押圧状態で保持されることが望ましい。本実施形態では、ユーザからの押圧力で当該押圧状態が保持される構成としてもよいし、例えば、押出形材14を支持する支持部材を設けて当該押圧状態が保持される構成としてもよい。
このように第5の実施形態の検査装置500は、押出形材14の検査面14aの検査を行う場合、一部を切り出して切断面Sを下向きにした押出形材14を立たせ、押し当て部材4および側面押し当て部材6に押出形材14を押し当てるため、安定させて設置できる。また、検査装置500は、押し当て部材4および側面押し当て部材6に押出形材14を押し当てて設置することで、押出形材14を照明装置2および撮影装置3に対して所定の距離および所定の角度に位置決めできるとともに、適切な位置に押出形材14を設置した状態を保持することができる。さらに、側面押し当て部材6に押し当てることで押出形材14の傾きを是正することができる。このため、押出形材14の検査面14aに対する正確な検査を行うことができる。
(第6の実施形態)
第5の実施形態の検査装置では、押出形材の検査面と側面に押し当てられて、押出形材の位置決めをする押し当て部材と側面押し当て部材とが設けられた構成であった。これに対し、本実施形態の検査装置では、側面押し当て部材を2つ設けることで、押出形材を側面から挟持して保持する構成となっている。
ここで、押出形材の切断や、押出形材に対する照明装置および撮影装置の配置関係については、第1の実施形態と同様である(図8〜14参照)。
図25は、第6の実施形態の検査装置を示す図である。図25に示すように、本実施形態の検査装置600は、第1の実施形態の検査装置100の構成(照明装置2、撮影装置3、設置台5、および撮影面9)に加えて、押し当て部材4と、側面押し当て部材6a、6bとを備えている。照明装置2、撮影装置3、設置台5、および撮影面9については、第1の実施形態と同様であり、押し当て部材4については、第2の実施形態と同様である。また、本実施形態の検査装置600による検査対象は、第5の実施形態と同様の押出形材14となっている。
側面押し当て部材6a、6bは、押し当て部材4とは異なる方向から押出形材14が押し当てられることで、押出形材14の位置決めをするものであって、位置決め部材の一例である。本実施形態では、側面押し当て部材6a、6bは、押出形材14の検査面14aと、切断面S(端面)とに交差する面である押出形材14の側面T1、T2(図23参照)がそれぞれ押し当てられる。
押出形材14の側面T1は、第5の実施形態と同様である。また、押出形材14の側面T2は、側面T1と反対側の側面であって、側面T1と同様に、検査面14aに直交する面であって、検査面14aに隣接する側面となっている。従って、側面押し当て部材6a、6bは、押し当て部材4と直交し、かつ設置台5と直交する面ができるように設置台5に設けられる。本実施形態の側面押し当て部材6a、6bは、第5の実施形態の側面押し当て部材6と同様に、直方体形状で形成されており、押出形材14の側面T1、T2の幅より大きい幅で、側面T1、T2の高さより大きい高さとなっている。なお、側面押し当て部材6a、6bは、このような形状に限定されることはないが、押出形材14の傾きを直すことができる程度の大きさが必要となる。また、側面押し当て部材6a、6bは、設置台5の設置面5aに設けられており、側面T1、側面T2の全体がそれぞれ押し当てられるように設置される。
また、側面押し当て部材6a、6bは、押出形材14の側面T1、T2をそれぞれ押圧することで挟持して押出形材14を所定位置に保持する。従って、例えば、側面押し当て部材6aは固定され、側面押し当て部材6bは、押出形材14の幅(側面T1〜T2までの長さ)に合わせられるよう、設置台5の設置面5aに沿って移動可能となっている。
ここで、側面押し当て部材6bと設置台5は、例えば図21と同様の移動機構を有している。すなわち、側面押し当て部材6bの底面側に突起部が設けられ、設置台5の設置面5aに取り付け溝が設けられている。そして、側面押し当て部材6bの突起部が、設置台5の取り付け溝に差し込まれて移動することで、側面押し当て部材6bが移動可能となる。さらに、側面押し当て部材6bに例えばレバー等のストッパ部材を備え、当該ストッパ部材が所定の位置での状態を保持する構成としてもよい。また、各側面押し当て部材6a、6bをラックの端部に接続したラックアンドピニオンを用いて移動機構を構成してもよい。なお、側面押し当て部材6a、6bの両方が、設置台5の設置面5aに沿って移動可能とする構成としてもよい。
図26は、第6の実施形態の検査装置に押出形材が設置された状態を示す図である。なお、図26では、説明のため、押し当て部材4および側面押し当て部材6a、6bと、押出形材14とで表されている。
押出形材14の検査面14aの検査を行う場合、図26に示すように、押出形材14は矢印B方向に押圧され、押出形材14の検査面14aが押し当て部材4に押し当てられる。そして、側面押し当て部材6bは、側面T2に接触するまで矢印C方向に押圧され、その後、側面押し当て部材6bと押出形材14とが一体となった状態で矢印C方向に押圧されると、押出形材14の側面T1が側面押し当て部材6aに押し当てられる。これにより、側面押し当て部材6a、6bに押出形材14が挟持されて保持されることになる。
側面押し当て部材6a、6bは、設置台5に対して直交する面となっているので、押出形材14を側面押し当て部材6a、6bに押し当てて挟持することで、ダイスマークMも設置台5に対して直交する。そのため、撮影された画像内のダイスマークMは設置台5に対して直交方向に揃うため、第5の実施形態と同様に、傾きの補正処理などが不要となる。
図27は、第6の実施形態の検査装置の他の例に押出形材が設置された状態を示す図である。また、移動可能な側面押し当て部材6bは、図27に示すように、直角に屈曲した形状の側面押し当て部材6b´としてもよい。これにより、側面T2からの押圧力に対して、側面押し当て部材6b´の設置面5aと接触する面が設置面5aを押圧する力で対抗することで、押出形材14が傾く状態(図23参照)に戻ることを回避できる。つまり側面押し当て部材6b´は、側面押し当て部材6aとともに押出形材14を挟持することで、押出形材14を所定の位置に保持することができる。
このように第6の実施形態の検査装置600は、押出形材14の検査面14aの検査を行う場合、一部を切り出して切断面Sを下向きにした押出形材14を立たせ、押し当て部材4および側面押し当て部材6a、6bに押出形材14を押し当てるため、安定させて設置できる。また、検査装置600は、押し当て部材4および側面押し当て部材6a、6bに押出形材14を押し当てて設置することで、押出形材14を照明装置2および撮影装置3に対して所定の距離および所定の角度に位置決めできるとともに、適切な位置に押出形材14を設置した状態を保持することができる。さらに、側面押し当て部材6a、6bに押し当てることで押出形材14の傾きを是正することができる。また、側面押し当て部材6a、6bにより押出形材14を挟持することで、押出形材14を所定の位置に保持することができる。このため、押出形材14の検査面14aに対する正確な検査を行うことができる。