A.第1実施形態:
[プリンターの概略構成]
図1〜図3を参照して、本発明の第1実施形態におけるインクジェットプリンター10(以下、単に「プリンター10」と呼ぶ。)の構成を説明する。図1は、プリンター10の外観構成を示す概略斜視図である。図2は、プリンター10の内部ユニット20を示す概略斜視図である。図2には、プリンター10からケーシング部12,41bが取り除かれ、プリンター10の内部ユニット20が露出された状態が図示されている。なお、図2では、便宜上、インジケーター部45の図示は省略されている。図3は、プリンター10の一部を分解して示す概略分解斜視図である。図3には、印刷部11からタンクユニット40Aが分離されるとともに、タンクユニット40Aからケーシング部41が取り除かれた状態が図示されている。
図1〜図3には、プリンター10を基準とする矢印X,Y,Zが図示されている。矢印X,Y,Zは、互いに直交する三方向を示している。矢印Xは、プリンター10の横方向(幅方向)に平行な左右方向を示しており、プリンター10に正対したときに左側から右側に向かう方向を示している。矢印Yは、プリンター10の前後方向に平行な方向を示しており、後方(背面側)から前方(正面側)に向かう方向を示している。本明細書において、プリンター10の前面側、あるいは、正面側とは、多くのユーザーが、通常の印刷時にプリンター10の操作のために向かい合うことが想定される面側である。矢印Zは、プリンター10の高さ方向を示しており、プリンター10が載置される載置面に対して垂直上方を示している。プリンター10が通常の使用状態にあるときには、矢印X,Yは水平面に平行な方向を示し、矢印Zは重力方向(鉛直方向)の逆方向を示す。本明細書の説明に用いられる他の各図においても、矢印X,Y,Zが、適宜、図1〜図3に対応するように図示されている。本明細書において、「上」あるいは「下」と呼ぶときは、矢印Zの方向を基準とする方向を意味している。同様に、「前」あるいは「後」と呼ぶときは、矢印Yの方向を基準とする方向を意味しており、「左」あるいは「右」と呼ぶときはそれぞれ、矢印Xの方向を基準とする方向を意味している。
プリンター10は、本発明における液体消費装置の一実施形態に相当する。プリンター10は、外部から供給される印刷データに応じて印刷媒体である印刷用紙PPにインク滴を吐出することによって画像を形成する。図1,図3では、印刷用紙PPは便宜上、二点鎖線で図示されている。プリンター10は、印刷部11と、タンクユニット40Aと、を備える(図1)。印刷部11は、本発明における液体消費部の下位概念に相当し、印刷用紙PPにインクを吐出することによって印刷画像を形成可能である。タンクユニット40Aは、本発明における液体供給装置の下位概念に相当し、印刷部11に対してインクを供給可能である。
本実施形態では、印刷部11とタンクユニット40Aとは別体として構成されている。これによって、印刷部11とタンクユニット40Aとをそれぞれ別個にメンテナンスすることが可能であり、プリンター10のメンテナンス性が高められている。また、通常の使用状態では、印刷部11とタンクユニット40Aとは連結された状態である(詳細は後述)。そのため、印刷部11とタンクユニット40Aとをまとめて運搬することができ、プリンター10の移動や設置が容易化されている。以下では、印刷部11の構成を説明した後に、タンクユニット40Aの構成等を説明する。
[印刷部の構成]
印刷部11は、ケーシング部12と、内部ユニット20と、を備える。ケーシング部12は、略直方体形状の中空箱体として構成されており(図1)、内部に内部ユニット20(図2)を収容している。印刷部11の背面側には、印刷用紙PPを内部ユニット20に供給するための給紙口13が設けられている(図1)。また、正面側には、内部ユニット20から送り出された印刷用紙PPが排出される排紙口14が設けられている。ケーシング部41において上方を向いている上面部には、インターフェース部15が設けられている。インターフェース部15は、例えば、電源ボタンや印刷処理の開始を指令するボタンなど、ユーザーの操作を受け付けるための操作スイッチなどが設けられている。
内部ユニット20(図2)は、制御部21と、信号処理部22と、画像形成部23と、を備える。制御部21は中央処理装置と主記憶装置とを備えるマイクロコンピューターによって構成されている。制御部21は、インターフェース部15を介したユーザーの操作や外部のコンピューターからの指令に応じて印刷部11の各構成部を制御して、印刷処理を実行する。また、制御部21は、信号処理部22を制御して、タンクユニット40Aにおけるインク量の管理処理を実行する。信号処理部22は、インクの検出のための電気信号の生成や、送信、受信が可能な回路ユニットである。制御部21によるインク量の管理処理については後述する。
画像形成部23は、制御部21の制御下において、印刷用紙PPを搬送しつつ、印刷用紙PPに画像を形成する。画像形成部23は、用紙搬送機構24と、印刷ヘッド部25と、を備える。用紙搬送機構24は、給紙口13から繰り入れられた印刷用紙PPを、搬送ローラーの回転駆動によって排紙口14へと搬送する。
印刷ヘッド部25は、印刷用紙PPの搬送路上に設けられており、印刷処理において、主走査方向SDに往復移動しつつ、タンクユニット40Aから供給されるインクを吐出する。本実施形態では、主走査方向SDは、用紙搬送機構24における印刷用紙PPの搬送方向である副走査方向TDに直交する方向であり、矢印Xの方向に平行な方向である。印刷ヘッド部25は、本発明における液体消費部の下位概念に相当する。
印刷ヘッド部25は、キャリッジ30と、インク吐出ヘッド31と、複数の中継ユニット32と、を備える。キャリッジ30は、モーター35の回転駆動力が無端ベルト36によって伝達されることによって、主走査方向SDである矢印Xの方向に架設されているガイドレール37に沿って往復移動する。
インク吐出ヘッド31は、キャリッジ30の下面に設けられており、キャリッジ30によって搬送される。インク吐出ヘッド31は、印刷用紙PPと対向する面に、インク滴を吐出するための複数のノズルを備え、制御部21の制御下において、用紙搬送機構24によって搬送されていく印刷用紙PPの印刷面に向かってインク滴を吐出する。
各中継ユニット32は、インク吐出ヘッド31の上に配置されており、複数のインクタンク43Aのうちの対応するひとつと、チューブ44を介して接続されている。各中継ユニット32は、吸引ポンプを備えており、チューブ44を介して、対応するインクタンク43Aからインクを吸引し、インク吐出ヘッド31に供給する。
[タンクユニットの構成]
図1〜図3に加えて、図4〜図5を参照して、タンクユニット40Aの構成を説明する。図4は、ケーシング部41を取り除いたときのタンクユニット40Aの正面側を示す正面側概略斜視図である。図5は、ケーシング部41を取り除いたときのタンクユニット40Aの背面側を示す背面側概略斜視図である。図4,図5には、プリンター10に連結されている状態を基準として、図1〜図3に対応するように矢印X,Y,Zが図示されている。
タンクユニット40Aは、印刷部11のケーシング部12における左側の側面部16に固定されている(図1)。本実施形態では、矢印Yの方向におけるタンクユニット40Aの幅は、矢印Yの方向におけるプリンター10の側面部16の幅とほぼ同じである。本実施形態では、タンクユニット40Aは、複数のネジ19によって印刷部11のケーシング部12にネジ止めされている(図3)。タンクユニット40Aにおいては、プリンター10に連結されているときに、印刷部11に対面する側が背面側であり、印刷部11とは反対の方を向く側が正面側である。すなわち、矢印Xの逆方向を向く側が背面側であり、矢印Xの方向を向く側が正面側である。
タンクユニット40Aは、ケーシング部41と、複数のインクタンク43Aと、複数のチューブ44と、インジケーター部45と、を備える(図1,図3)。ケーシング部41は、底板部41aと、箱体部41bと、で構成されている(図3)。底板部41aは、タンクユニット40Aの底面部を構成する略長方形形状の板状部材である。箱体部41bは、底板部41aの上方に配置され、下側全体が開口している略直方体形状の中空箱体でとして構成されている部材である。ケーシング部41の内部には、各インクタンク43Aと、インジケーター部45と、が収容されている。
ケーシング部41の箱体部41bには、インクタンク43Aの一部を外部に露出させるための開口である複数の第1窓部42aと複数の第2窓部42bとが設けられている(図1)。第1窓部42aおよび第2窓部42bはそれぞれ、各インクタンク43Aに対してひとつずつ設けられている。また、ケーシング部41には、インジケーター部45の一部を外部に露出させるための開口である第3窓部42cおよび第4窓部42dがひとつずつ設けられている。ケーシング部41における4種類の窓部42a〜42dの詳細については後述する。
複数のインクタンク43Aは、インクを収容する容器であり、本発明における第1液体収容部の下位概念に相当する(図3〜図5)。各インクタンク43Aにはそれぞれ異なる色のインクが収容されている。本実施形態では、タンクユニット40Aは、4つのインクタンク43Aを備え、それぞれ、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのインクを収容している。本実施形態のタンクユニット40Aでは、各インクタンク43Aは、矢印Yの方向に一列に配列されている。各インクタンク43Aには、可撓性を有する樹脂製のチューブ44が一本ずつ接続されている(図3)。各インクタンク43Aに収容されているインクは、チューブ44を介して、印刷部11の印刷ヘッド部25が有する複数の中継ユニット32のうちの対応するひとつに供給される(図2)。インクタンク43Aの構成の詳細については後述する。
インジケーター部45は、プリンター10の正面側に設けられており、タンクユニット40Aにおいて、矢印Yの方向側の端部に設けられている(図3)。インジケーター部45は、複数のインク筒部46Aと、複数のチューブ47と、端子接続部48と、を備える(図3〜図5)。複数のインク筒部46Aは、各インクタンク43Aに対してひとつずつ対応するように設けられている。本実施形態では、インジケーター部45は、4つのインクタンク43に対応する4つのインク筒部46Aを有している。
各インク筒部46Aはインクを収容可能な略直方体形状の中空容器によって構成されており、矢印Yの方向に一列に配列されている。各インク筒部46Aは、複数のインクタンク43Aのうちの対応するひとつからインクが流入可能なように、チューブ47を介して接続されている(図4)。インク筒部46Aは、本発明における第2液体収容部の下位概念に相当する。各インク筒部46Aにおけるインクの液面の位置は、各インクタンク43Aに収容されているインクの量を示しており、各インク筒部46Aは、外部から当該液面の位置が視認可能なように構成されている。インク筒部46Aの構成の詳細については後述する。
タンクユニット40Aでは、各インク筒部46Aと、インクタンク43Aと、の間の隙間に端子接続部48が設けられている(図3〜図5)。インク筒部46Aにはそれぞれ、内部に収容されているインクの検出に用いられる一対の端子ピンが取り付けられている(後述)。端子接続部48は、各インク筒部46Aの一対の端子ピンに電気的に接続される。端子接続部48は、基板部50と、ケーブル接続部53と、配線ケーブル55と、を備える。
基板部50は、略長方形形状のプリント基板によって構成される(図4,図5)。基板部50は、可撓性を有するフレキシブルプリント基板によって構成されても良い。基板部50は、第1基板面51が各インク筒部46Aに対向し、長辺に沿った方向が矢印Xの方向に一致するように配置されている。本実施形態では、基板部50は、インク筒部46Aの上端部よりも下端部に近い下端側に配置されている。基板部50の第1基板面51には、各インク筒部46Aの端子ピンに電気的に接触する複数の端子が設けられている。図4,図5では、基板部50が有する複数の端子の図示は省略されている。
ケーブル接続部53は、基板部50の第1基板面51とは反対側の第2基板面52に設けられている。ケーブル接続部53は、基板部50の矢印Xの逆方向側の端部に固定されている。ケーブル接続部53は、基板部50に形成されている配線パターンを介して、各インク筒部46Aに電気的に接続される端子と電気的に接続されている。配線パターンの図示および詳細な説明は省略する。
配線ケーブル55は、ケーブル接続部53に接続されている。配線ケーブル55は、可撓性を有しており、タンクユニット40Aのケーシング部41から延出するように配設され(図3)、印刷部11の信号処理部22(図2)に接続されている。各インク筒部46Aの端子ピンは、端子接続部48を介して、信号処理部22によって、インクの検出のための電流が流される(詳細は後述)。
[インクタンクの構成]
図6〜図8を主に参照して、インクタンク43Aの構成を説明する。図6は、インクタンク43Aを示す概略分解斜視図である。図7は、インクタンク43Aを斜め下方から見たときの概略斜視図である。図8は、インクタンク43Aの内部構造を示す概略断面図である。図8には、フィルム部材の接合面を切断面とするインクタンク43Aの概略断面が図示されている。図6〜図8には、インクタンク43Aが、プリンター10に連結されているタンクユニット40Aに固定されている配置姿勢を基準として、図1〜図3に対応するように矢印X,Y,Zが図示されている。以下の説明における方向の記載は、特に断らない限り、前記の配置姿勢にあるときのインクタンク43Aを基準としている。
インクタンク43Aは、6つの面部61〜66を有する中空容器として構成されている(図6,図7)。第1面部61(図7)は下方を向く底面部を構成し、第2面部62(図6)は上方を向く上面部を構成する。第3面部63(図6)は、第1面部61と第2面部62とに交差し、タンクユニット40Aにおいて正面側を向く正面部を構成する。第4面部64(図7)は、第1面部61と第2面部62とに交差し、第3面部63とは反対の方向を向く背面部を構成する。第5面部65(図7)は、前記の4つの面部61〜64のそれぞれに交差し、第3面部63に正対したときに左側に位置する左側面部を構成する。第6面部66(図6)は、4つの面部61〜64のそれぞれに交差し、第3面部63に正対したときに、右側に位置する右側面部を構成する。
本明細書では、「面部」は、所定の方向に向く面を有するように延伸している部位を意味している。「面部」は、平面状に構成されていなくても良く、曲面状に構成されていても良いし、凹部や凸部、段差、溝、屈曲部、傾斜面などを有していても良い。また、2つの面部が「交差する」とは、2つの面部が相互に実際に交差する状態と、一方の面部の延長面が他方の面部に交差する状態と、2つの面部の延長面同士が交差する状態と、のいずれかの状態であることを意味する。従って、隣り合う各面部の間に、湾曲面を構成する面取り部などが介在していても良い。
インクタンク43Aは、ケース部材68と、フィルム部材69と、で構成されている(図6)。ケース部材68は、矢印Yの逆方向側の面全体が開口している中空の箱体として構成されている。本実施形態では、ケース部材68は、矢印Yの方向における幅が矢印Xの方向における幅より大きい。ケース部材68は、例えば、ナイロンやポリプロピレンなどの合成樹脂の一体成型によって作製される。インクタンク43Aにおける第6面部66以外の5つの面部61〜65は、ケース部材68の外壁部によって構成されている。
フィルム部材69は、可撓性を有する薄膜状の部材であり、ケース部材68における矢印Yの逆方向側の開口全体を封止するように接合される(図6)。フィルム部材69は、インクタンク43Aの第6面部66を構成する。フィルム部材69は、例えば、ナイロンやポリプロピレンなどの合成樹脂によって形成されたシート状の部材によって構成される。フィルム部材69は、ケース部材68に対して、例えば溶着によって接合される。このように、本実施形態のインクタンク43Aは、ケース部材68とフィルム部材69とによって簡易かつ軽量に構成されている。なお、インクタンク43Aの第5面部65側も第6面部66側と同様に、ケース部材68に接合されるフィルム部材69によって構成されても良い。
ケース部材68とフィルム部材69との間の内部空間は、ケース部材68の内部空間に立設されている内壁部によって、下段のインク収容室70と、上段の大気収容室71と、に仕切られている(図6,図8)。インク収容室70は、インクを貯留可能な中空部位であり、本発明における液体収容室の下位概念に相当する。大気収容室71は、インクタンク43Aの外部から導入された大気(空気)を収容可能な中空部位であり、本発明における大気室の下位概念に相当する。本実施形態では、インク収容室70と大気収容室71とはともに略直方体形状を有している。また、大気収容室71の容積はインク収容室70の容積よりも小さい。
インク収容室70の矢印Xの方向における幅は、大気収容室71の矢印Xの方向における幅よりも長い(図8)。大気収容室71の矢印Xの方向における端部の位置は、インク収容室70の矢印Xの方向における端部の位置よりも矢印Xの逆方向側に位置している。大気収容室71の矢印Xの方向に隣り合う位置であって、インク収容室70の上方の位置には、インク注入部72が設けられている(図6,図8)。
インク注入部72は、インク収容室70にインクを注入可能なように、外部からインク収容室70に連通する部位である。本実施形態では、インク注入部72は、インク収容室70に連通する貫通孔72hを有する円筒状の部位として構成されており、第2面部62において上方に向かって突出している。インク注入部72の上端には、インクを受け入れるための注入口72o(図8)が開口している。注入口72oは、大気収容室71の上端に位置する上壁部62aよりも低い位置にある。インク注入部72は、本発明における液体注入部の下位概念に相当し、注入口72oは、本発明における注入口の下位概念に相当する。
タンクユニット40Aでは、各インクタンク43Aは、各インク注入部72が矢印Xの方向に一列に配列されるように配列されている(図4)。各インクタンク43Aのインク注入部72の上端部は、ケーシング部41の第1窓部42aから延出している(図1)。インク注入部72の注入口72oには、通常、注入口72oを気密に封止可能なキャップ部材79が取り付けられている(図1〜図3)。キャップ部材79は、例えば、ナイロンやポリプロピレンなどの合成樹脂によって作製される。ユーザーは、キャップ部材79をインク注入部72から取り外し、注入口72oにインクを注ぐことによって、インク収容室70にインクを補充することができる。本実施形態のタンクユニット40Aでは、インク注入部72がタンクユニット40Aの正面側に位置している。そのため、ユーザーによるインク注入部72に対するアクセスが容易化されている。
本実施形態のインク収容室70の下端には、局所的に下方に突出している下端部位70bが設けられている(図6〜図8)。下端部位70bには、インク供給部73と、インク流通部75と、が設けられている。インク供給部73は、インク収容室70のインクを、チューブ44を介して印刷ヘッド部25(図2)に供給可能なように、外部からインク収容室70に連通する部位である。インク供給部73は、インク収容室70の下端部位70bから矢印Xの逆方向に突出する円筒状の部位として構成されており、インク収容室70に連通する貫通孔73hを有している(図6,図7)。インク供給部73には、チューブ44が矢印Xの方向を装着方向として気密に装着される。
インク流通部75(図6〜図8)は、インク収容室70のインクを、対応するインク筒部46Aとの間で、チューブ47(図4)を介してインクを流通させるために、外部からインク収容室70に連通する部位である。インク流通部75は、インク収容室70の下端部位70bから、インク供給部73と並列に矢印Xの逆方向に突出する円筒状の部位として構成されており、インク収容室70に連通する貫通孔75hを有している(図7)。インク流通部75には、チューブ47が矢印Xの方向を装着方向として気密に装着される。
このように、本実施形態のインクタンク43Aでは、インク供給部73とインク流通部75とは同じ高さ位置に形成されている。これによって、インクタンク43Aがインク不足の状態になるタイミングと、インクインジケーター部45においてインク不足の状態が検出されるタイミングと、を一致させることができる(詳細は後述)。また、本実施形態のインクタンク43Aでは、インク供給部73とインク流通部75のそれぞれにチューブ44,47が同じ方向から並列に接続される。これによって、タンクユニット40Aにおいてチューブ44,47をよりコンパクトに配設することができる。
大気収容室71の上方には、大気導入部76が設けられている(図6〜図8)。大気導入部76は、大気収容室71に対して大気が流入可能なように、外部から大気収容室71に連通する部位である。本実施形態では、大気導入部76は、第2面部62において上方に突出する円筒状の部位として構成されており、大気収容室71に連通する貫通孔76hを有している。大気導入部76の上端部においては、大気開放口76oが外部に向かって開口している。なお、大気導入部76は、第2面部62に設けられていなくても良く、例えば、第4面部64に設けられていても良い。
インク収容室70と大気収容室71とは、大気収容室71の大気がインク収容室70へと流入可能なように、大気連通路74によって接続されている(図8)。本実施形態では、大気連通路74は、ケース部材68において、矢印Yの逆方向側が開口し、フィルム部材69の接合面において、インク収容室70と大気収容室71の外周に沿って延びる溝部として形成されている。本実施形態では、大気連通路74は、複数回折れ曲がって延びている。
インク収容室70内のインクがインク供給部73を介して印刷部11に供給されて、消費されると、インク収容室70内が負圧になり、大気連通路74を介して、大気収容室71からインク収容室70に大気が導入される。本実施形態のインクタンク43Aでは、大気連通路74を有することによって、大気収容室71にインク収容室70のインクが流入してしまうことや、インク収容室70のインクが、大気開放口76oを介して外部に蒸発してしまうことが抑制されている。また、本実施形態のインクタンク43Aでは、インクタンク43Aにインクが充填された状態でプリンター10が運搬される場合などに、大気連通路74から大気収容室71にインクが流入してしまっても、大気収容室71に、そのインクが貯留される。従って、大気導入部76を介したインクの漏洩が抑制される。
本実施形態のインクタンク43Aでは、第3面部63を構成しているケース部材68の壁部が、インク収容室70に収容されているインクの液面をユーザーが視認可能なように、透明または半透明に構成されている。これによって、ユーザーは、インクタンク43Aにインクを補充するときなどに、インクタンク43Aに収容されているインク量を視認することができる。なお、インクタンク43Aでは、第3面部63を構成している壁部のみが透明または半透明に構成されていても良いし、ケース部材68の全体が透明または半透明に構成されていても良い。
本実施形態のタンクユニット40Aでは、各インクタンク43Aの第3面部63がタンクユニット40Aの正面側において、矢印Xの方向に沿って一列に並ぶように配列されている(図4)。また、タンクユニット40Aのケーシング部41には、各インクタンク43Aの第3面部63が外部に露出するように、第2窓部42bが設けられている(図1)。これによって、インクタンク43Aのインク注入部72からインクを補充する際のユーザーの利便性が高められている。
加えて、本実施形態のインクタンク43Aでは、第3面部63の壁面に、第1マーク部78aと第2マーク部78bとが設けられている(図4,図6)。第1マーク部78aは、インク収容室70に収容されるインクの液面の上限位置を示している。第1マーク部78aは、インク収容室70の上端の高さに対応する位置に形成されている。第2マーク部78bは、インク収容室70に収容されるインクの液面の下限位置を示している。第2マーク部78bは、インク収容室70の下端部位70bの上端より高い位置に形成されている。各マーク部78a,78bは、例えば、第3面部63の壁面における凸部または凹部として形成されていても良い。また、印刷やシールの貼付によって形成されていても良い。ケーシング部41の第2窓部42bは、各インクタンク43Aのマーク部78a,78bが2つとも外部から視認可能に開口している(図1)。
このように、各インクタンク43Aに第1マーク部78aが設けられていることによって、インクタンク43Aに過剰な量のインクが補充されてしまうことが抑制される。また、第2マーク部78bが設けられていることによって、ユーザーにインクタンク43Aのインク量が不足しているか否かを認識させることができ、インクタンク43Aのインクが不足してしまうことが抑制される。
[インク筒部の構成]
図9,図10を主に参照して、インク筒部46Aの構成を説明する。図9は、インク筒部46Aの概略分解斜視図である。 図10は、インク筒部46Aの内部構造を示す概略断面図である。図8には、フィルム部材89の接合面を切断面とするインク筒部46Aの概略断面が図示されている。図9,図10には、インク筒部46Aがプリンター10に連結されているタンクユニット40Aに固定されている配置姿勢を基準として、図1〜図3に対応するように矢印X,Y,Zが図示されている。以下の説明における方向の記載は、特に断らない限り、前記の配置姿勢にあるときのインク筒部46Aを基準としている。
インク筒部46Aは、6つの面部81〜86を有する中空容器として構成されている(図9)。インク筒部46Aの第1面部81は下方を向く底面部を構成し、第2面部82は上方を向く上面部を構成する。第3面部83は、第1面部81と第2面部82とに交差し、タンクユニット40Aにおいて矢印Yの方向を向き、プリンター10の正面側を向く。第4面部84は、第1面部81と第2面部82とに交差し、第3面部83とは反対の方向を向く。第5面部85は、前記の4つの面部81〜84のそれぞれに交差し、第3面部83に正対したときに右側に位置する右側面部を構成する。第6面部86は、4つの面部81〜84のそれぞれに交差し、第3面部83に正対したときに、左側に位置する左側面部を構成する。インク筒部46Aにおいても、インクタンク43Aと同様に、隣り合う各面部の間に湾曲面を構成する面取り部などが介在していても良い。
インク筒部46Aは、ケース部材88と、フィルム部材89と、で構成されている(図9)。ケース部材88は、矢印Xの逆方向側の面全体が開口している中空の箱体として構成されており、矢印Zの方向が長手方向となる略直方体形状を有している。ケース部材88は、例えば、ナイロンやポリプロピレンなどの合成樹脂の一体成型によって作製される。インク筒部46Aにおける第6面部86以外の5つの面部81〜85は、ケース部材88の外壁部によって構成されている。
フィルム部材89は、可撓性を有する薄膜状の部材であり、ケース部材88における矢印Xの逆方向側の開口全体を封止するように接合される(図9)。フィルム部材89は、インク筒部46Aの第6面部86を構成する。フィルム部材89は、例えば、ナイロンやポリプロピレンなどの合成樹脂によって形成されたシート状の部材によって構成される。フィルム部材89は、ケース部材88に対して、例えば溶着によって接合される。このように、本実施形態のインク筒部46Aは、ケース部材88とフィルム部材89とによって簡易かつ軽量に構成されている。なお、インク筒部46Aの側面を構成する第5面部85も第6面部86と同様に、ケース部材88に接合されるフィルム部材89によって構成されても良い。
インク筒部46Aでは、インクを収容可能なインク収容室90が、高さ方向に長い略直方体形状の空間を有する中空部位として形成されている(図10)。本実施形態では、インク筒部46Aのインク収容室90における上端と下端との間の矢印Zの方向における距離は、インクタンク43Aのインク収容室70における上端と下端部位70bの上端との間の矢印Zの方向における距離とほぼ同じである。また、インク筒部46Aのインク収容室90における水平断面の断面積(以下、「水平断面積」とも呼ぶ。)は、高さ方向の全域にわたって、インクタンク43Aのインク収容室70における水平断面積より小さい。
インク収容室90の下端には、インク流通部91が設けられている。本実施形態では、インク流通部91は、第1面部81から下方に突出する円筒状の部位として構成されており、インク収容室90に連通する貫通孔91hを有している。インク流通部91には、チューブ47(図4)が、矢印Zを装着方向として気密に接続される。これによって、インクタンク43Aのインク収容室70に収容されているインクが、チューブ47を介して、インク筒部46Aのインク収容室90に流入可能になる。また、インク筒部46Aのインク収容室90からも、インクタンク43Aのインク収容室70へと、チューブ47を介して、インクが流入可能である。なお、本実施形態のタンクユニット40Aでは、各チューブ47は、各インクタンク43Aの下方において、矢印Yの逆方向に延びるように配設されている。
インク収容室90の下端よりも上端に近い上端側の部位には、大気導入部92が設けられている(図10)。大気導入部92は、インク収容室90に対して大気が流入可能なように、外部からインク収容室90に連通する部位である。本実施形態では、大気導入部92は、第4面部84において矢印Yの逆方向に突出する円筒状の部位として構成されており、インク収容室90に連通する貫通孔92hを有している。大気導入部92の先端部においては、大気開放口92oが外部に向かって開口している。なお、大気導入部76は、第4面部84に設けられていなくても良く、例えば、第2面部82において上方に突出するように設けられていても良い。
インク筒部46Aでは、インク収容室90に収容されているインクの液面の位置が視認可能なように、第3面部83を構成する壁部が透明または半透明に構成されている。後述するように、インク筒部46Aにおけるインクの液面の位置は、インクタンク43Aにおけるインクの液面の位置と対応している。ユーザーは、インク筒部46Aにおけるインクの液面の位置によって、インクタンク43Aに収容されているインク量を視認することができる。なお、インク筒部46Aでは、第3面部83を構成している壁部のみが透明または半透明に構成されていても良いし、ケース部材88の全体が透明または半透明に構成されていても良い。本実施形態では、インク筒部46Aの第3面部83が本発明における視認部の下位概念に相当する。
本実施形態のタンクユニット40Aでは、複数のインク筒部46Aは、プリンター10の正面側において、第3面部83が矢印Xの方向に沿って一列に並ぶように配列されている(図4)。また、タンクユニット40Aのケーシング部41には、各インク筒部46Aの第3面部83が外部から視認可能に露出するように、第3窓部42cが設けられている(図1)。このように、本実施形態のプリンター10では、各インクタンク43Aのインク量を示すインク筒部46Aが、プリンター10の通常の使用状態においてユーザーが正対する正面側にまとめて配置されており、ユーザーにとっての利便性が高められている。
インク筒部46Aでは、ユーザーによるインク収容室90へのインクの補充が可能なように、第2面部82にインク注入部93が設けられている(図9,図10)。インク筒部46Aのインク注入部93からインク収容室90に注入されたインクは、インク流通部91に接続されているチューブ47を介して、インクタンク43Aのインク収容室70へと流入する。
本実施形態では、インク注入部93は、上方に突出する円筒状の部位として構成されており、インク収容室90に連通する貫通孔93hを有している。インク注入部93の上端には、インクを受け入れるための注入口93oが外部に向かって開口している。本実施形態のインク注入部93は、貫通孔93hの開口径が上方ほど大きくなるように略テーパー状に構成されている。これによって、インクの補充の際にインクがこぼれてしまうことが抑制される。
タンクユニット40Aでは、各インク筒部46Aは、プリンター10の正面側において、各インク注入部93が矢印Xの方向に一列に配列されるように配列されている(図4)。各インク筒部46Aのインク注入部93の上端部は、ケーシング部41の第4窓部42dから延出している(図1)。このように、本実施形態のプリンター10では、各インクタンク43Aにインクを補充できるインク注入部93が、プリンター10の正面側にまとめて配置されており、ユーザーにとっての利便性が高められている。また、ユーザーは、各インク筒部46Aの第3面部83において、インクの液面の位置を確認しながらインクの補充を行うことができるため、インクタンク43Aに収容されるインク量の適性化が促される。
本実施形態では、インク注入部93の注入口93oには、通常、注入口93oを気密に封止可能なキャップ部材94が取り付けられている(図9)。キャップ部材94は、例えば、ナイロンやポリプロピレンなどの合成樹脂によって作製される。ユーザーは、キャップ部材94をインク注入部93から取り外すことによって、インク収容室90にインクを補充することができる。キャップ部材94によって、インク収容室90からのインクの蒸発や、インク収容室90に対する異物の混入などが抑制される。キャップ部材94は、本願発明における封止部材の下位概念に相当する。
本実施形態のインク筒部46Aの第3面部83の壁面には、第1マーク部95aと第2マーク部95bとが設けられている(図9,図10)。第1マーク部95aは、インクタンク43Aのインク収容室90に収容されるインクの液面の上限位置を示している。第1マーク部95aは、インクタンク43Aの第1マーク部78aとほぼ同じ高さ位置に形成されている。第2マーク部95bは、インクタンク43Aの第2マーク部78bとほぼ同じ高さ位置に形成されている。なお、本明細書において、「ほぼ同じ」あるいは「ほぼ等しい」というときは、実質的に同じ、あるいは、実質的に等しいことを意味しており、公差を考慮して、±5%程度の誤差範囲が含まれる。
各マーク部95a,95bは、例えば、第3面部83の壁面における凸部または凹部として形成されていても良い。また、印刷やシールの貼付によって形成されていても良い。ケーシング部41の第3窓部42cは、各インク筒部46Aのマーク部95a,95bが2つとも外部から視認可能に開口している(図1)。
各インク筒部46Aに第1マーク部95aが設けられていることによって、ユーザーがインク筒部46Aを介してインクを補充するときに、対応するインクタンク43Aに過剰な量のインクが補充されてしまうことが抑制される。また、各インク筒部46Aに第2マーク部95bが設けられていることによって、ユーザーがプリンター10に正対する方向から、対応するインクタンク43Aのインク量が不足しているか否かを確認することができる。従って、インクタンク43Aにおいてインク不足の状態が生じてしまうことが抑制される。
各インク筒部46Aの下端側の部位には、インクの検出に用いられる検出素子である一対の端子ピン96a,96bが取り付けられる(図9)。各端子ピン96a,96bは、例えば、ステンレス鋼などの金属ピンによって構成される。各端子ピン96a,96bは、インクと接触しても酸化被膜が生じにくい部材や、そうした酸化被膜の発生が抑制される表面処理が施されている部材によって構成されることが望ましい。第4面部84を構成するケース部材88の壁部には、一対の端子ピン96a,96bを取り付けるための一対の貫通孔97a,97bが設けられている。第1端子ピン96aは、第1貫通孔97aが挿入され、第2端子ピン96bは第2貫通孔97bに挿入される。
本実施形態では、第1端子ピン96aと第2端子ピン96bとは、ほぼ同じ高さ位置において、矢印Yの方向が長手方向となる状態で水平に保持される。また、本実施形態では、一対の端子ピン96a,96bは、第2マーク部95bとほぼ同じ高さ位置に設けられている。第1端子ピン96aと第1貫通孔97aの内周面との間および第2端子ピン96bと第2貫通孔97bの内周面との間にはインクの漏洩を抑制するためのシール部材などが配置されることが望ましい。なお、一対の端子ピン96a,96bは、矢印Zの方向に並列に配列されていても良い。
図10には、各端子ピン96a,96bに端子接続部48が接続されている状態が模式的に図示されている。タンクユニット40Aでは、端子接続部48は、端子ピン96a,96bのそれぞれが、基板部50の第1基板面51に設けられている複数の端子56のうちの対応する一つに電気的に接触可能なように配置される。これによって、一対の端子ピン96a,96bは、印刷部11の信号処理部22(図2)に電気的に接続される。
[タンクユニットにおけるインクの検出]
図11は、プリンター10におけるインクの検出動作を説明するための模式図である。図11には、タンクユニット40Aにおける一組のインクタンク43Aとインク筒部46Aが模式的に図示されている。図11では、便宜上、インクタンク43Aにおける大気収容室71と大気連通路74の図示が省略され、インク供給部73とインク流通部75とが矢印Zの方向に配列された状態で図示されている。また、図11では、印刷部11の制御部21と信号処理部22とが図示され、配線ケーブル55が一点鎖線で図示されている。
インクタンク43Aのインク収容室70と、インク筒部46Aのインク収容室90とは、インクINが貯留される下方の部位において、チューブ47を介して互いに接続されている。また、インクタンク43Aのインク収容室70内には大気導入部76を介して大気が導入されておりインク筒部46Aのインク収容室90には、大気導入部92を介して大気が導入されている。そのため、インクタンク43AにおけるインクINの液面の高さ位置は、インク筒部46AにおけるインクINの液面の高さ位置に対応してほぼ等しくなる。これによって、ユーザーは、インク筒部46Aの第3面部83を介して、対応するインクタンク43Aに収容されているインク量を確認することができる。
本実施形態のプリンター10では、制御部21(図2)が、タンクユニット40Aに収容されているインク量の管理処理を以下のように実行する。制御部21は、印刷処理の実行中や印刷処理の休止中に、信号処理部22によって、各インク筒部46Aに収容されているインクINを検出するための電流を、第1端子ピン96aに周期的に流す。信号処理部22は、第1端子ピン96aと第2端子ピン96bの間の抵抗の変化を検出し、制御部21に出力する。
インクタンク43AにおいてインクINが消費されると、対応するインク筒部46AにおけるインクINの液面の位置が低下する。インク筒部46AにおけるインクINの液面の位置が、各端子ピン96a,96bの位置より低くなると、端子ピン96a,96b同士の間の電気的導通が遮断され、端子ピン96a,96bの間の抵抗が増大する。制御部21は、信号処理部22によって検出される抵抗が所定の閾値以上に増大したときに、インクタンク43Aにおけるインク残量が不足していることを検出する。
このように、本実施形態では、端子ピン96a,96bの設置されている部位においてインクINの有無が検出されている。本実施形態では、一対の端子ピン96a,96bが設置されている高さ位置の部位が本発明における検出部位の下位概念に相当する。なお、上述したように、一対の端子ピン96a,96bが矢印Zの方向に配列されている場合には、上側に配置されている端子ピンの高さ位置が本発明における検出部位の下位概念に相当する。
制御部21は、インクタンク43Aにおけるインク残量の不足を検出した場合には、ユーザーにインクの補充時期の到来を報知する報知処理を実行する。また、制御部21は、印刷ヘッド部25によるインク滴の吐出が可能な残り回数の計測を開始し、その回数がゼロになったときには、印刷処理を中断し、インクタンク43Aにおけるインク切れをユーザーに報知する。
本実施形態のプリンター10では、制御部21と、信号処理部22と、端子接続部48と、検出素子である一対の端子ピン96a,96bと、によってインク筒部46Aに収容されているインクの検出が可能な検出部が構成されていると解釈することができる。本実施形態では、インク筒部46Aの外部に配置され、一対の端子ピン96a,96bとの間で電気信号のやりとりする端子接続部48が本発明における接続部の下位概念に相当する。
ここで、本実施形態では、上述したように、インク筒部46Aのインク収容室90における水平断面積は、端子ピン96a,96bの設置部位を含め、高さ方向の全域にわたって、インクタンク43Aのインク収容室70における水平断面積より小さい。そのため、タンクユニット40Aが水平面に対して傾斜して配置された場合であっても、インク筒部46Aでは、端子ピン96a,96bが設置されている高さ位置におけるインクINの液面の位置の変動が、インクタンク43Aよりも抑制されている。従って、タンクユニット40Aの配置角度の傾斜に起因するインク不足の誤検出が、インクタンク43Aに端子ピン96a,96bが設けられ、インクタンク43Aにおいてインクの検出がおこなわれる構成よりも抑制される。これは、タンクユニット40Aが傾斜配置されている場合だけでなく、タンクユニット40Aが揺動してしまうような不安定な状態で配置されている場合であっても同様である。
[タンクユニットにおけるインクタンクおよびインク筒部の配置構成]
図12は、タンクユニット40Aを矢印Zの逆方向に見たときのインクタンク43Aとインジケーター部45の配置構成を示す概略図である。本実施形態のタンクユニット40Aでは、複数のインクタンク43Aが矢印Xの方向に一列に配列されており、インジケーター部45を構成する複数のインク筒部46Aが矢印Yの方向に一列に配列されている。インクタンク43Aの列が、本発明における第1液体収容部列の下位概念に相当し、インク筒部46Aの列が、第2液体収容部列の下位概念に相当する。
このように、本実施形態のタンクユニット40Aでは、インクタンク43Aとインク筒部46Aとが別々にまとめられているため、ユーザーにとっての利便性が高められている。また、インジケーター部45を構成するインク筒部46Aの列がプリンター10の正面側に配置され、インクタンク43Aの列がその奥に配置されている。この配置構成であれば、ユーザーがインジケーター部45にアクセスしやすいため、ユーザーが各インクタンク43Aのインク量の管理をしやすくなっている。
本実施形態のタンクユニット40Aでは、インジケーター部45を構成しているインク筒部46Aに対して、インクを残量を検出するための検出部が設けられている。従って、各インクタンク43Aのインク容量を大きくするために、各インクタンク43Aを大型化した場合であっても、検出部がそれに伴って大型化してしまうことが抑制される。
また、本実施形態のタンクユニット40Aでは、上述したように、各インク筒部46Aがまとめて配置されているため、各インク筒部46Aに共通に接続される端子接続部48の小型化が可能である。特に、本実施形態のタンクユニット40Aでは、矢印Xの方向におけるインクタンク43Aの列の幅Waよりも、矢印Xの方向におけるインク筒部46Aの列の幅Wbの方が小さい。このように、端子接続部48だけでなく、インジケーター部45自体が小型化されており、タンクユニット40Aおよびプリンター10の小型化に寄与している。
また、本実施形態では、各インク筒部46Aの矢印Xの方向における幅Wcは、各インクタンク43Aの矢印Xの方向における幅Waの1/4以下である。タンクユニット40Aがインクタンク43Aおよびインク筒部46Aをn(nは1以上の自然数)個ずつ備えている場合には、各インク筒部46Aの矢印Xの方向における幅Wcは、各インクタンク43Aの矢印Xの方向における幅Waの1/n以下である。本実施形態のタンクユニット40Aでは、このように各インク筒部46Aが対応するインクタンク43Aよりも小型に構成されている。従って、上述したインクINの液面の位置の変動に起因するインク不足の誤検出の抑制効果をより高いレベルで得ることができる。
本実施形態のタンクユニット40Aでは、インクタンク43Aの列の端部と、各インク筒部46Aとの間の隙間に端子接続部48が配置されており、タンクユニット40Aにおける空間の利用効率が高められている。また、端子接続部48がそうした奥まった位置に配置されていることによって、ユーザーが誤って端子接続部48に触れてしまうことなどが抑制され、端子接続部48の保護性が高められている。
その他に、本実施形態のタンクユニット40Aでは、ユーザーがインクタンク43Aに対して、インク量を視認しながらインクの補充ができるとともに、インク筒部46Aに対しても、インク量を視認しながらインクの補充ができる。従って、その点においても、ユーザーにとっての利便性が高められている。また、本実施形態のタンクユニット40Aでは、インクタンク43Aとインク筒部46Aの両方から印刷部11に対してインクが供給されている。このように、本実施形態のタンクユニット40Aでは、容積の大きいインクタンク43Aが主タンクとして機能し、容積の小さいインク筒部46Aが主タンクを補助する副タンクとして機能している。
[まとめ]
以上のように、本実施形態のタンクユニット40Aによれば、タンクユニット40Aの配置状態に起因するインク不足の誤検出が抑制され、インクの検出精度が高められている。また、本実施形態のプリンター10によれば、タンクユニット40Aを備えていることにより、インクタンク43Aにおけるインク量の管理性が高められている。その他に、本実施形態のタンクユニット40Aおよびそれを備えるプリンター10によれば、上述した種々の作用効果を奏することができる。
B.第2実施形態:
図13は、本発明の第2実施形態におけるタンクユニット40Bの内部構造を示す概略断面図である。図13には、タンクユニット40Bを矢印Xの方向に見たときのケーシング部41内の一部の構成が図示されている。第2実施形態のタンクユニット40Bは、以下に説明する点以外は、第1実施形態のタンクユニット40Aとほぼ同じ構成を有しており、第1実施形態で説明したプリンター10(図1,図2)と同様な構成を有するプリンターに装着される。以下の説明および参照図では、第1実施形態で説明したのと同じ、または、対応する各構成部に対して、第1実施形態で用いたのと共通する名称や符号が用いられている。
タンクユニット40Bが備えるインクタンク43Bは、大気収容室71に連通する大気流通部101が設けられている点以外は、第1実施形態で説明したインクタンク43Aとほぼ同じ構成を有している。大気流通部101は、インクタンク43Bの第5面部65において矢印Xの逆方向に突出する円筒状の部位として構成されており、大気収容室71に連通する貫通孔102を有している。
タンクユニット40Bは、複数のチューブ103を備えている。各チューブ103は、例えば、可撓性を有する樹脂製の部材によって構成される。チューブ103の一端は、各インクタンク43Bの大気流通部101に気密に接続され、その他端は、対応するインク筒部46Aの大気導入部92に気密に接続される。タンクユニット40Bでは、各インクタンク43Bの大気収容室71とインク筒部46Aのインク収容室90とが、チューブ103を介して、互いの間で大気を流通可能に接続される。本実施形態のチューブ103は、本発明における大気流通路の下位概念に相当する。
第2実施形態のタンクユニット40Bによれば、インク筒部46Aのインク収容室90には、対応するインクタンク43Bの大気収容室71を介して大気が導入される。これにより、インク筒部46Aのインク収容室90内における気圧や温度などの大気の状態が、インクタンク43Bのインク収容室70内とほぼ同じになる。従って、インク筒部46Aにおけるインクの液面の位置と、対応するインクタンク43Bにおけるインクの液面の位置と、をより高い精度で一致させることができ、プリンターにおけるインクの検出精度やインクの管理性が高められる。
また、第2実施形態のタンクユニット40Bでは、インク筒部46Aのインク収容室70が、直接的に外部と連通していない。そのため、簡素な構成によって、インク筒部46Aからインクが蒸発してしまうことが抑制される。加えて、チューブ103は、インクタンク43Bの大気収容室71に接続されているため、インクタンク43Bのインク収容室70のインクが、チューブ103を介してインク筒部46Aへと流入してしまうことが抑制される。その他に、第2実施形態のタンクユニット40Bや、それを備えるプリンターによれば、第1実施形態で説明したのと同様な種々の作用効果を奏することができる。
C.第3実施形態:
図14は、本発明の第3実施形態におけるタンクユニット40Cの構成を説明するための概略分解斜視図である。図14には、タンクユニット40Cのケーシング部41内に収容されているインジケーター部45を構成する複数のインク筒部46Cのうちのひとつからフィルム部材89が分離させた状態が図示されている。図14では、便宜上、配線ケーブル55の図示は省略されている。第3実施形態のタンクユニット40Cは、以下に説明する点以外は、第1実施形態のタンクユニット40Aと同じ構成を有しており、第1実施形態で説明したプリンター10(図1,図2)と同様な構成を有するプリンターに装着される。以下の説明および参照図では、第1実施形態で説明したのと同じ、または、対応する各構成部に対して、第1実施形態で用いたのと共通する名称や符号が用いられている。
第3実施形態のタンクユニット40Cでは、光学的手段によって、各インク筒部46Cにおけるインクの検出が可能な検出部が構成されている。第3実施形態のタンクユニット40Cでは、各インク筒部46Cにおけるインク収容室70に、一対の端子ピン96a,96bに代えて、インクの検出に用いられる検出素子として三角プリズム105が設けられている。三角プリズム105は、例えば、アクリル樹脂によって構成される。また、タンクユニット40Cでは、インク筒部46Cの列とインクタンク43Aの列との間に、端子接続部48の代わりに、光センサー部106が設けられている。光センサー部106は、基板部50の基板面に、複数の端子56の代わりに、発光素子107と受光素子108の組が複数設けられている点以外は、端子接続部48と同様な構成を有している。
図15は、第3実施形態におけるインジケーター部45におけるインク検出の動作を説明するための概略図である。図15の(a)欄および(b)欄にはそれぞれ、図14に示されているA−A切断におけるインジケーター部45の概略断面が模式的に図示されている。図15の(a)欄には、インク筒部46Cのインク収容室70にインクが十分に収容されている状態が示されており、図15の(b)欄には、インク筒部46Cのインク収容室70においてインクが不足している状態が示されている。図15の(a)欄および(b)欄にはそれぞれ、印刷部11の制御部21と信号処理部22とが図示され、配線ケーブル55が一点鎖線で図示されている。
第3実施形態の各インク筒部46Cでは、インク収容室70の下端側の部位において、三角プリズム105が、その第1の面105aが矢印Yの方向に沿った状態で配置されている。第3実施形態のインジケーター部45では、複数のインク筒部46Cのそれぞれに対して、発光素子107と受光素子108の組が、一組ずつ設けられている。発光素子107と受光素子108とは、基板部50上において矢印Yの方向に隣り合って配置されている。発光素子107と受光素子108とは、ともに三角プリズム105の第1の面105aに正対するように配置されている。発光素子107は、第1の面105aを挟んで、第2の面105bと対向するように配置され、受光素子108は、第1の面105aを挟んで、第3の面105cに対向するように配置されている。
第3実施形態におけるインジケーター部45では、以下のように、インク筒部46C内のインクが検出される。制御部21は、信号処理部22によって、光センサー部106に周期的に電流を印可し、光センサー部106の発光素子107を周期的に発光させる。発光素子107から三角プリズム105に入射した光は、三角プリズム105の周囲がインクINで満たされている場合には、三角プリズム105の屈折率がインクINの屈折率に近いため、インクIN内に拡散していく(図15(a)欄)。この場合には、受光素子108から信号処理部22には受光信号が出力されず、制御部21は、インク筒部46Cに対応するインクタンク43Aにおいてインク不足は生じていないと判定する。
一方、三角プリズム105の周囲にインクINが存在しない場合には、発光素子107から三角プリズム105に入射した光は、第2の面105bおよび第3の面105cのそれぞれにおいて反射し、第1の面105aから射出される(図15(b)欄)。この場合には、第1の面105aから射出された光を受光素子108が受光し、信号処理部22に受光信号を出力する。制御部21は、信号処理部22から受光信号を受信したときに、インク筒部46Cに対応するインクタンク43Aにおいてインク不足が生じていると判定する。
第3実施形態では、本実施形態のプリンター10では、制御部21と、信号処理部22と、検出素子である三角プリズム105と、光センサー部106と、によって、光学的手段によってインクの検出が可能な検出部が構成されている。第3実施形態では、発光素子107からの光が三角プリズム105に入射する高さ位置の部位が本発明における検出部位の下位概念に相当する。また、第3実施形態では、インク筒部46Cの外部に配置され、検出素子である三角プリズム105との間で光信号をやりとりする光センサー部106が本発明における接続部の下位概念に相当する。
以上のように、第3実施形態のタンクユニット40Cによれば、光学的手段によって、各インク筒部46Cにおけるインクが検出される。その他に、第3実施形態のタンクユニット40Cや、それを備えるプリンターであれば、第1実施形態で説明したのと同様な作用効果を奏することができる。
D.第4実施形態:
図16は、本発明における第6実施形態におけるタンクユニット40Dの内部構造を示す概略断面図である。図16には、タンクユニット40Dを矢印Xの方向に見たときのケーシング部41内の一部の構成が図示されている。第4実施形態のタンクユニット40Dは、以下に説明する点以外は、第1実施形態のタンクユニット40Aとほぼ同じ構成を有しており、第1実施形態で説明したプリンター10(図1,図2)と同様な構成を有するプリンターに装着される。以下の説明および参照図では、第1実施形態で説明したのと同じ、または、対応する各構成部に対して、第1実施形態で用いたのと共通する名称や符号が用いられている。
第4実施形態のタンクユニット40Dが備えるインク筒部46Dには、水平方向に挿入される一対の端子ピン96a,96bに代えて、鉛直方向に挿入される一対の端子ピン110a,110bが検出素子として設けられている。一対の端子ピン110a,110bは、インク筒部46Dの第2面部82において、矢印Xの方向に配列されて設けられている一対の貫通孔111a,111bを介して、鉛直方向に挿入される。第1端子ピン110aは第1貫通孔111aに挿入され、第2端子ピン110bは第2貫通孔111bに挿入される。なお、第1端子ピン110aと第1貫通孔111aの内周面との間および第2端子ピン110bと第2貫通孔111bの内周面との間にはインク収容室70の気密性を確保するためのシール部材が配置されることが望ましい。
一対の端子ピン110a,110bは、それぞれの下端部110tがインク収容室70の下端側の位置であって、下端よりも高い位置に位置するように、インク収容室70内に保持されている。各端子ピン110a,110bの下端部110tは、第2マーク部95bとほぼ同じ高さに位置しても良い。タンクユニット40Dでは、端子接続部48は、第1基板面51の各端子56が、各インク筒部46Dの対応する端子ピン110a,110bに電気的に接触可能なように、各インク筒部46Dの上方に架設されている。
第4実施形態のタンクユニット40Dを備えるプリンターでは、第1実施形態で説明したのと同様に、制御部21は、信号処理部22によって、各インク筒部46Dの第1端子ピン110aに周期的に電流を流す。制御部21は、信号処理部22によって検出される2つの端子ピン110a,110bの間の抵抗が所定の閾値以上であったときに、対応するインクタンク43Aにおけるインク不足を検出する。第4実施形態では、第1端子ピン110aの下端部110tの高さ位置の部位が、本発明における検出部位の下位概念に相当する。
第4実施形態のタンクユニット40Dであっても、第1実施形態のタンクユニット40Aと同様に、イオンの検出精度が高められている。その他に、第4実施形態のタンクユニット40Dおよびそれを備えるプリンターによれば、第1実施形態で説明したのと同様な種々の作用効果を奏することができる。
E.第5実施形態:
図17,図18を参照して、本発明の第5実施形態におけるタンクユニットが備えるインク筒部46Eの構成を説明する。図17は、インク筒部46Eの概略分解斜視図である。図18は、インク筒部46Eの内部構造を示す概略断面図である。図18には、フィルム部材89の接合面を切断面とするインク筒部46Eの概略断面が図示されている。第5実施形におけるタンクユニットは、インク筒部46Eの構成が異なっている点以外は、第1実施形態のタンクユニット40Aとほぼ同じ構成を有しており、第1実施形態で説明したプリンター10と同様な構成を有するプリンターに装着される。以下の説明および参照図では、第1実施形態で説明したのと同じ、または、対応する各構成部に対して、第1実施形態で用いたのと共通する名称や符号が用いられている。
第5実施形態のインク筒部46Eでは、その内部に、大気収容室115と、大気連通路116とが設けられている。大気収容室115は、大気を収容可能な略直方体形状の中空部位であり、インク収容室90の上方において、内壁部117によって仕切られることによって形成されている。インク筒部46Eでは、大気導入部92は、大気収容室115に連通している。
大気連通路116は、内壁部117の端面において、矢印Yの逆方向側が開口している溝部として形成されている。大気連通路116は、大気収容室115とインク収容室90とを連通するように、大気収容室115とインク収容室90との間に形成されている。大気連通路116は、矢印Yの方向において一往復するように折り返している。
第5実施形態のインク筒部46Eによれば、インク収容室90と大気導入部92との間に、大気収容室115と大気連通路116とが設けられているため、インク収容室90からのインクの漏洩や、インクの蒸発が抑制される。その他に、インク筒部46Eを備える第6実施形態のタンクユニットや、そのタンクユニットを備えるプリンターによれば、第1実施形態で説明したのと同様な種々の作用効果を奏することができる。
F.第6実施形態:
図19は、本発明の第6実施形態におけるタンクユニット40Fが備えるインクタンク43Fとインク筒部46Aとの接続構成を示す概略ブロック図である。第6実施形態のタンクユニット40Fは、以下に説明する点以外は、第1実施形態のタンクユニット40Aとほぼ同じ構成を有しており、第1実施形態で説明したプリンター10(図1,図2)と同様な構成を有するプリンターに装着される。以下の説明および参照図では、第1実施形態で説明したのと同じ、または、対応する各構成部に対して、第1実施形態で用いたのと共通する名称や符号が用いられている。
第6実施形態のタンクユニット40Fが備えるインクタンク43Fは、インク流通部75が設けられていない点以外は、第1実施形態のインクタンク43Aとほぼ同じ構成を有している。第6実施形態のタンクユニット40Fでは、インクタンク43Fのインク供給部73と、それに対応するインク筒部46Aのインク流通部91には、チューブ120が接続されている。第6実施形態のタンクユニット40Fでは、インクタンク43Fとインク筒部46Aとは、チューブ120を介して、印刷部11の印刷ヘッド部25に並列に接続されている。このような接続構成を有している第6実施形態のタンクユニット40Fであっても、第1実施形態で説明したのと同様な種々の作用効果を奏することができる。タンクユニット40Fを備えるプリンターにおいても同様である。
G.第7実施形態:
図20は、本発明の第7実施形態におけるタンクユニット40Gが備えるインクタンク43Fとインク筒部46Gとの接続構成を示す概略ブロック図である。第7実施形態のタンクユニット40Gは、以下に説明する点以外は、第6実施形態のタンクユニット40Fとほぼ同じ構成を有しており、第1実施形態で説明したプリンター10(図1,図2)と同様な構成を有するプリンターに装着される。以下の説明および参照図では、第1実施形態および第6実施形態で説明したのと同じ、または、対応する各構成部に対して、第1実施形態および第6実施形態で用いたのと共通する名称や符号が用いられている。
第7実施形態のタンクユニット40Gが備えるインク筒部46Gは、インク供給部98が追加されている点以外は、第1実施形態のインクタンク43Aとほぼ同じ構成を有している。インク筒部46Gのインク供給部98は、第1面部81において下方に突出する円筒状の部位として形成されており、インク収容室90に連通する貫通孔(図示は省略)を有している。インク供給部98は、第1面部81に設けられていなくても良く、例えば、第3面部83や第4面部84の下端に設けられていても良い。
第7実施形態のタンクユニット40Gでは、インクタンク43Fのインク供給部73と、それに対応するインク筒部46Gのインク流通部91とがチューブ47によって接続されている。当該インク筒部46Gのインク供給部98は、チューブ44を介して、印刷ヘッド部25に接続されている。このように、第7実施形態のタンクユニット40Gでは、インクタンク43Fを上流側とし、インク筒部46Gを下流側として、両者が直列に接続されている。このような接続構成を有している第7実施形態のタンクユニット40Gであっても、第1実施形態で説明したのと同様な種々の作用効果を奏することができる。タンクユニット40Gを備えるプリンターにおいても同様である。
H.変形例:
上記の各実施形態における構成は、以下に説明するように、適宜、変形することも可能である。以下の説明では、上記各実施形態で説明したタンクユニット40A〜40D,40F,40G、インクタンク43A,43B,43F、インク筒部46A,46C〜46E,46Gは、特に断らない限り、区別することなく、タンクユニット40、インクタンク43、インク筒部46と呼ぶ。
H1.変形例1:
上記の各実施形態の構成は、適宜、組み合わせることが可能である。例えば、上記の第3実施形態から第7実施形態のうちのいずれかの実施形態の構成において、第2実施形態(図13)と同様に、インクタンク43を介してインク筒部46に大気が導入されるように、チューブ103を介して、インクタンク43とインク筒部46とが接続されても良い。また、上記の第3実施形態で説明した光学的手段によってインクを検出する検出部の構成を(図14,図15)、第4実施形態から第7実施形態のうちのいずれかの実施形態の構成に適用しても良い。その他に、第5実施形態で説明したインク筒部46Eにおける大気収容室115および大気連通路116の構成を(図17,図18)、他の実施形態のインク筒部46に適用しても良い。
H2.変形例2:
上記の各実施形態のタンクユニット40は、複数のインクタンク43と、それに対応する個数のインク筒部46と、を備えている。これに対して、タンクユニット40は、インクタンク43とインク筒部46とを1つずつ備えるのみであっても良い。また、インク筒部46は、複数のインクタンク43のうちの一部にのみ対応して設けられていても良い。
H3.変形例3:
上記の各実施形態では、印刷部11とタンクユニット40とはそれぞれ別々のケーシング部12,41を備えている。これに対して、印刷部11とタンクユニット40とは共通のケーシング部に一体的に収容されていても良い。上記各実施形態のタンクユニット40では、ケーシング部41内に、複数のインクタンク43と、インジケーター部45と、が収容されている。これに対して、インジケーター部45は、ケーシング部41の外部に配置されていても良い。インジケーター部45は、複数のインクタンク43から離れた場所に設置されていても良い。上記各実施形態のタンクユニット40において、ケーシング部41は省略されても良い。各インクタンク43や、インジケーター部45は外部に露出した状態で配置されていても良い。上記の各実施形態では、印刷部11とタンクユニット40とが連結されている。これに対して、印刷部11とタンクユニット40とは連結されていなくても良く、分離して配置されていても良い。
H4.変形例4:
上記の各実施形態では、複数のインク筒部46は、プリンター10の正面側において、矢印Xの方向に一列に隣り合って配列されている。これに対して、複数のインク筒部46は、プリンター10の正面側に配列されていなくても良く、例えば、プリンター10の右側面側に配列されていても良い。また、複数のインク筒部46は、一列に配列されていなくても良く、それぞれが隣り合って配列されていなくても良い。複数のインク筒部46は、例えば、二列に配列されていても良いし、それぞれが分散して配置されていても良い。
H5.変形例5:
上記の各実施形態では、インク筒部46は、略直方体形状を有している。これに対して、インク筒部46は、略直方体形状以外の形状を有していても良い。インク筒部46は、例えば、略円柱形状を有していても良い。また、上記の各実施形態では、インク筒部46の本体部は、ケース部材88と、フィルム部材89と、で構成されている。これに対して、インク筒部46の本体部は、ケース部材88と、フィルム部材89と、で構成されていなくても良く、例えば、筒状の部材と、当該筒状の部材の開口部を閉塞する蓋体とで構成されていても良いし、一体成形された容器によって構成されていても良い。
H6.変形例6:
上記の各実施形態において、インク筒部46のインク収容室90は、高さ方向にわたって水平断面積がほぼ一定となるように構成されている。これに対して、インク筒部46のインク収容室90は、高さ方向にわたって水平断面積がほぼ一定でなくても良く、一部に水平断面積が異なる部位を含む構成を有していても良い。あるいは、インク筒部46のインク収容室90は、一部または全体において、水平断面積が高さ方向に減少または増大していく構成を有していても良い。インク筒部46は、少なくとも、インクが検出される検出部位の高さ位置において、対応する高さ位置におけるインクタンク43のインク収容室70の水平断面積よりも小さければ良い。
H7.変形例7:
上記の各実施形態において、インク筒部46はインク注入部93を備えている。これに対して、インク筒部46は、インク注入部93を備えていなくても良い。上記の各実施形態において、インク筒部46のインク注入部93にはキャップ部材94が取り付けられている。これに対して、インク注入部93のキャップ部材94は省略されても良い。上記の各実施形態において、インク筒部46の第3面部83は、インク収容室90におけるインクの液面の位置を外部から視認可能な視認部として構成されている。これに対して、インク筒部46は、第3面部83のような、インクの液面の位置を外部から視認可能に構成されている部位を有していなくても良い。また、インク筒部46では、視認部である第3面部83に、2つのマーク部95a,95bが設けられている。2つのマーク部95a,95bは、両方とも省略されても良いし、いずれか一方のみ省略されても良い。また、インクの液面の上限位置または下限位置を示すマーク部95a,95bの代わりに、インク量を示す目盛りが形成されていても良い。
H8.変形例8:
上記の各実施形態において、インク筒部46のインク流通部91は、インク筒部46の下端に設けられている。これに対して、インク流通部91は、インク筒部46の下端に設けられていなくても良い。インク流通部91は、対応するインクタンク43からのインクをインク収容室90へと流入可能な位置に形成されていれば良く、インク収容室90のインクが、インクタンク43の方へと流出可能な位置に設けられていることが望ましい。
H9.変形例9:
上記の各実施形態では、端子接続部48および光センサー部106は、複数のインク筒部46のそれぞれに対向するように配置される基板部50を備えている。これに対して、端子接続部48および光センサー部106は、基板部50を備えていなくても良い。端子接続部48は、各インク筒部46が備える一対の端子ピン96a,96bのそれぞれに対して一つずつ分離して設けられていても良い。同様に、光センサー部106の発光素子107および受光素子108の組は、複数のインク筒部46のそれぞれに対して一つずつ分離して配置されていても良い。
H10.変形例10:
上記実施形態のタンクユニット40において、インクタンク43は、他の構成を有していても良い。インクタンク43は、インク注入部72を備えていなくても良い。インクタンク43は、大気収容室71を備えていなくても良いし、大気連通路74を備えていなくても良い。インクタンク43は、大気収容室71および大気連通路74のいずれか一方のみを備える構成であっても良いし、大気導入部76が直にインク収容室70に接続されている構成であって良い。インクタンク43は、インク収容室70の下端部位70bを有していなくても良い。インクタンク43において、インク供給部73とインク流通部75とは並列に設けられていなくても良く、それぞれが別々の方向に突出していても良い。また、インク供給部73とインク流通部75とが異なる高さ位置に設けられていても良い。
H11.変形例11:
上記実施形態のタンクユニット40は、同じ容積の同じ形状を有する複数のインクタンク43を備えている。これに対して、タンクユニット40は、容積が異なる複数のインクタンク43を備えていても良い。また、上記実施形態のタンクユニット40では、複数のインクタンク43は一列に配列されている。これに対して、インクタンク43は一列に配列されていなくても良い。複数のインクタンク43は、例えば、二列に配列されていても良いし、それぞれが分散して配置されていても良い。
H12.変形例12:
上記第4実施形態(図16)では、制御部21は、第1端子ピン110aの下端部110tよりインクの液面が低下し、信号処理部22が閾値以上の抵抗の増大を検出したときに、インクタンク43Aにおけるインク不足を検出している。これに対して、制御部21は、第4実施形態のタンクユニット40Dの構成において、第1端子ピン110aと第2端子ピン110bとの間の抵抗の変化に基づいて、インクタンク43Aに収容されているインク量を検出しても良い。このインク量の検出は、例えば、以下のような構成によって可能である。制御部21は、第1端子ピン110aと第2端子ピン110bとの間の抵抗と、インクタンク43Aのインク収容室70におけるインクの液面の位置と、の間の一意の関係が設定されたマップを不揮発性記憶装置などから予め読み込んでおく。制御部21は、信号処理部22によって第1端子ピン110aと第2端子ピン110bとの間の抵抗を検出したときに、前記のマップを参照して、検出された現在の抵抗に対するインクの液面の位置を取得する。このような構成であれば、インクタンク43Aに収容されているインク量を検出することが可能である。なお、このようなインク量を検出する構成の場合には、インク収容室70において各端子ピン110a,110bが配置されている範囲全体が、本発明における検出部位の下位概念に相当する。インクの検出部によってインク量が検出される構成である場合には、インク筒部46のインク収容室90における水平断面積は、インクの液面の位置が検出されている範囲にわたって、対応するインクタンク43のインク収容室70における水平断面積よりも小さいことが望ましい。
H13.変形例13:
上記の第2実施形態では、インク筒部46Aのインク収容室90は、チューブ103を介して、インクタンク43Bの大気収容室71に接続されている(図13)。これに対して、インク筒部46Aのインク収容室90は、チューブ103を介して、インクタンク43Bのインク収容室70の上方の領域に接続されていても良い。この構成によれば、ユーザーがインク注入部93からインク筒部46Aにインクを補充する場合に、上限を超えて過剰に注入されたインクを、チューブ103を介して、インクタンク43Aのインク収容室70へと流入させることも可能である。
H14.変形例14:
上記各実施形態では、タンクユニット40は、複数のインクタンク43を備え、インクを消費可能なプリンター10に当該インクを供給可能に構成されている。これに対して、上記各実施形態におけるタンクユニット40の構成は、インク以外の他の液体を消費可能な液体消費装置に当該液体を供給可能なタンクユニットに適用されても良い。例えば、液体洗剤を噴射する洗剤噴射装置に洗剤を供給する洗剤タンクを備えるタンクユニットに適用されても良い。なお、プリンター10のように、液体を吐出あるいは噴射して液体を消費する液体消費装置は、液体噴射装置の一実施形態でもある。
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。