[第1実施形態]
本発明に係る第1実施形態を図1〜図12を参照して以下に説明する。
第1実施形態の緩衝器10は、液体あるいは気体を作動流体とする流体圧緩衝器である。具体的には、緩衝器10は、油液を作動流体とする油圧緩衝器である。図1に示すように、緩衝器10は、作動流体が封入されるシリンダ11を有している。このシリンダ11は、図示は略すが一端側(図1における上側)が開口し、他端側(図1における下側)が閉塞された有底円筒状をなしている。シリンダ11内には、ピストン12が摺動可能に挿入されている。
シリンダ11には、ピストンロッド13が挿入されている。ピストン12は、このピストンロッド13の一端側(図1における下側)に、ナット14によって連結されている。
ピストンロッド13は、他端側(図1における上側)がシリンダ11の外部に延出している。一端側がピストン12に連結されたピストンロッド13は、その他端側が、シリンダ11の開口部に装着されたロッドガイド15およびオイルシール16に挿通されてシリンダ11の外部に延出している。ピストン12は、シリンダ11の内部を、シリンダ11の底部17側(図1における下側)のフリーピストン18との間の第1室19と、ピストンロッド13が延出する開口側(図1における上側)の第2室20との2室に画成している。
図2に示すように、ピストンロッド13は、主軸部25と、ピストンロッド13におけるシリンダ11内の端部にあって主軸部25よりも小径の取付軸部26とを有している。
これにより、主軸部25には、取付軸部26側の端部に軸直交方向に広がる端面27が形成されている。取付軸部26には、主軸部25とは反対側の所定範囲に上記したナット14のメネジ30を螺合させるオネジ28が形成されている。
ピストン12は、円環状のピストン本体31(バルブ本体)と、ピストン本体31の外周面に装着されてシリンダ11の内周面に摺接する円環帯状の摺接部材33とを有している。よって、ピストン本体31と摺接部材33とからなるピストン12は円環状をなしている。ピストン本体31は、金属製である。ピストン本体31は、焼結により一体成形されている。摺接部材33は合成樹脂製である。ピストン本体31と、これに摺接部材33が一体的に装着されてなるピストン12とは、中心軸線を一致させている。これにより、ピストン本体31とピストン12とは、中心軸線に沿う方向である軸方向が一致し、中心軸線に直交する方向である径方向が一致し、中心軸線回りの方向である周方向が一致する。
ピストン本体31の径方向の中央には、ピストンロッド13の取付軸部26を隙間なく挿通させる挿通孔35が、軸方向に貫通するように形成されている。ピストン本体31には、その径方向の挿通孔35よりも外側位置にて、いずれもピストン本体31の軸方向に延びる第1通路穴41および第2通路穴42が形成されている。
第1通路穴41は、第1室19側が第2室20側よりもピストン本体31の径方向における内周側に配置されている。第2通路穴42は、第2室20側が第1室19側よりもピストン本体31の径方向における内周側に配置されている。
ピストン本体31には、第1通路穴41が複数(図2では断面とした関係上一カ所のみ図示)設けられている。第2通路穴42も、第1通路穴41と同じ複数(図2では断面とした関係上一カ所のみ図示)設けられている。第1通路穴41と第2通路穴42とは、ピストン本体31の周方向に交互に配置されている。
ピストン本体31には、第1室19側に、全部の第1通路穴41の第1室19側の開口部51が開口する開口面52が形成されている。この開口面52よりもピストン本体31の径方向における外側に、全部の第2通路穴42の第1室19側の開口部53が開口する開口面54が形成されている。
ピストン本体31は、第1室19側に、全部の開口部51をピストン本体31の径方向の外側で囲むように、開口面52,54からピストン本体31の軸方向に突出して形成される略円形の第1外側シート61(外側シート)を有している。第1外側シート61は、内側テーパ面62と、外側テーパ面63と、先端面64と、を有している。内側テーパ面62は、径方向内側が突出先端側(シート面に向かう)ほど大径となる(内径が拡大する)。外側テーパ面63は、径方向外側に突出先端側(シート面に向かう)ほど小径となる(外径が縮小する)。先端面64は、突出先端側に軸直交方向に広がる平坦な面である。第1外側シート61の突出先端側は、これらテーパ面62,63および先端面(シート面)64を有し、突出先端側に向うにしたがって径方向幅が漸減する第1幅漸減部65(幅漸減部)となっている。テーパ面62の径方向内側に開口面52が配置されている。テーパ面63の径方向外側に開口面54が配置されている。
ピストン本体31は、第1室19側に、略円形の第1内側シート71(内側シート)が設けられている。第1内側シート71は、第1外側シート61よりもピストン本体31の径方向の内側に配置される。第1内側シート71は、開口面52よりもピストン本体31の軸方向に突出して形成される。言い換えれば、第1内側シート71は、ピストン本体31において第1外側シート61の内側に開口面52から突出して形成されている。第1内側シート71は、テーパ面72と、先端面73と、を有している。テーパ面72は、径方向外側に突出先端側ほど小径となる。先端面73は、突出先端側に軸直交方向に広がる平坦な面である。第1内側シート71の内周側は挿通孔35となっている。先端面73の外径は、ピストンロッド13の端面27の外径とほぼ同等になっている。
第1外側シート61と第1内側シート71との間、すなわち開口面52とテーパ面62とテーパ面72との間は、全部の第1通路穴41を連通させる円環状の第1環状通路75となっている。全部の第1通路穴41と第1環状通路75とがピストン12を軸方向に貫通する第1通路76(通路)となっている。第1通路76には、ピストン12のシリンダ11に対する摺動により作動流体が流れる。
第1外側シート61の先端面64と第1内側シート71の先端面73との間が、第1通路76の第1室19側の第1開口部77(開口部)となっている。よって、略円形の第1外側シート61は、ピストン本体31に、第1通路76の第1開口部77を囲むように開口面52から突出して形成されている。また、第1通路76の第1開口部77は、第1外側シート61と第1内側シート71との間に配置されている。
ピストン本体31には、第2室20側に、全部の第2通路穴42の第2室20側の開口部81が開口する開口面82が形成されている。この開口面82のピストン本体31の径方向における外側に、全部の第1通路穴41の第2室20側の開口部83が開口する開口面84が形成されている。
ピストン本体31は、第2室20側に、略円形の第2外側シート91を有している。第2外側シート91は、全部の開口部81をピストン本体31の径方向の外側で囲むように形成される。第2外側シート91は、開口面82,84よりもピストン本体31の軸方向に突出して形成される。第2外側シート91は、テーパ面92と、テーパ面93と、先端面94を有している。テーパ面92は、径方向内側に突出先端側ほど大径となる。テーパ面93は、径方向外側に突出先端側ほど小径となる。先端面94は、突出先端側に軸直交方向に広がる平坦な面である。第2外側シート91の突出先端側は、これらテーパ面92,93および先端面94を有し突出先端側に向うにしたがって径方向幅が漸減する第2幅漸減部95となっている。テーパ面92の径方向内側に開口面82が配置されている。テーパ面93の径方向外側に開口面84が配置されている。
ピストン本体31は、第2室20側に、略円形の第2内側シート101が設けられている。2内側シート101は、第2外側シート91よりもピストン本体31の径方向の内側に配置される。2内側シート101は、開口面82よりもピストン本体31の軸方向に突出して形成される。開口面82および全部の開口部81が、第2外側シート91と第2内側シート101との間に配置されている。第2内側シート101は、テーパ面102と、先端面103とを有している。テーパ面102は、径方向外側に突出先端側ほど小径となる。先端面103は、突出先端側に軸直交方向に広がる平坦な面である。第2内側シート101の内周側は挿通孔35となっている。先端面103の外径は、ピストンロッド13の端面27の外径とほぼ同等になっている。
第2外側シート91と第2内側シート101との間、すなわち開口面82とテーパ面92とテーパ面102との間は、全部の第2通路穴42を連通させる円環状の第2環状通路105となっている。全部の第2通路穴42と第2環状通路105とがピストン12を軸方向に貫通する第2通路106となっている。第2通路106には、ピストン12のシリンダ11に対する摺動により作動流体が流れる。
第2外側シート91の先端面94と第2内側シート101の先端面103との間が、第2通路106の第2室20側の第2開口部107となっている。よって、略円形の第2外側シート91は、ピストン本体31に、第2通路106の第2開口部107を囲むように開口面82から突出して形成されている。また、第2通路106の第2開口部107は、第2外側シート91と第2内側シート101との間に配置されている。
ピストン本体31は、表裏の区別がない形状である。このため、ピストン本体31は、表裏反転してピストンロッド13に取り付けても、上記構成となる。
ピストンロッド13の主軸部25の端面27には、いずれも金属製で円環状をなす、一枚の規制部材111と、二枚の小径ディスク112と、一枚の大径ディスク113と、一枚の当接ディスク114と、ピストン12と、一枚の当接ディスク115(ディスク)と、二枚の大径ディスク116と、一枚の中間径ディスク117と、一枚の中間径ディスク118と、二枚の小径ディスク119と、一枚の規制部材120とが、それぞれの内側に取付軸部26を嵌合させた状態で、この順に重ねられている。この状態で、取付軸部26の規制部材120から突出するオネジ28にナット14がメネジ30において螺合されている。
オネジ28へのナット14の締結により、一枚の規制部材111、二枚の小径ディスク112、一枚の大径ディスク113、一枚の当接ディスク114、ピストン12、一枚の当接ディスク115、二枚の大径ディスク116、一枚の中間径ディスク117、一枚の中間径ディスク118、二枚の小径ディスク119および一枚の規制部材120は、いずれも、取付軸部26で径方向移動が規制されて積層され、この積層状態でピストンロッド13の端面27とナット14とに挟持される。すると、これらは少なくとも内周側がピストンロッド13に対し軸方向移動不可に固定される。その結果、大径ディスク113、当接ディスク114、当接ディスク115、二枚の大径ディスク116、中間径ディスク117,118は、いずれも内周側のみがピストンロッド13に対し軸方向移動不可にクランプされる。
規制部材111は、外径が端面27の外径および先端面103の外径よりも大径となっている。小径ディスク112は、平板状であり、外径が端面27の外径と同径となっている。大径ディスク113は、平板状であり、外径が小径ディスク112の外径よりも大径で、第2外側シート91の先端面94の外径とほぼ同等になっている。
当接ディスク114は、平板状であり、その外径が大径ディスク113と同径である。当接ディスク114は、第2外側シート91の先端面94および第2内側シート101の先端面103に当接して着座する。当接ディスク114および大径ディスク113がディスクバルブ127を構成している。ディスクバルブ127は、小径ディスク112および第2内側シート101で内周側が軸方向にクランプされ、小径ディスク112よりも径方向外側の部分がピストン本体31から離れるように変形して第2外側シート91の先端面94から離座する。
図3に示すように、当接ディスク115は、基板部131と、内側突出板部132と、先端板部133と、外側突出板部134と、外端板部135と、を有している。基板部131は、径方向に広がる。内側突出板部132は、基板部131の外周縁部から板厚方向一側に突出する。先端板部133は、内側突出板部132の基板部131とは反対側の端縁部から径方向外方に広がる。外側突出板部134は、先端板部133の外周縁部から、先端板部133に対する内側突出板部132の突出方向と同方向に突出する。外端板部135は、外側突出板部134の先端板部133とは反対側の端縁部から径方向外方に広がる。
基板部131は、当接ディスク115の内端位置から径方向外側に広がる円環状の平板である。外端板部135は、当接ディスク115の径方向の外端位置に位置する円環状の平板である。これら基板部131および外端板部135は同一平面に配置されている。内側突出板部132は、基板部131から軸方向に離れるほど大径となるテーパ筒状である。外側突出板部134は、外端板部135から軸方向に離れるほど小径となるテーパ筒状である。言い換えれば、内側突出板部132は、基板部131および外端板部135から拡径しつつ突出する。外側突出板部134は、基板部131および外端板部135から縮径しつつ突出する。先端板部133は円環状の平板であり、基板部131および外端板部135と平行に配置されている。
内側突出板部132、先端板部133および外側突出板部134は、これらの径方向両側にある基板部131および外端板部135から軸方向に突出する凸部136を構成している。図4に示すように、凸部136(内側突出部)は円環状をなしている。
当接ディスク115には、切欠部138が複数、具体的には2カ所、周方向に等間隔で形成されている。切欠部138は、板厚方向に貫通し、先端板部133の内側突出板部132側の部分から外側突出板部134および外端板部135を通って径方向外側に抜ける。
当接ディスク115は、一定板厚の平板状の金属板からプレス成形により上記形状に形成されている。よって、図3に示すように、当接ディスク115の凸部136を形成する内側突出板部132、先端板部133および外側突出板部134は、基板部131および外端板部135とほぼ同等の厚さとなっている。
当接ディスク115は、外端板部135の切欠部138を除く部分の外径が、第1外側シート61の先端面64の外径と同等になっている。また、当接ディスク115は、外側突出板部134の外周面140の外端板部135側の端部の外径が、第1外側シート61の先端面64の内径よりも若干小径になっている。外側突出板部134の外周面140は、第1外側シート61の第1幅漸減部65のテーパ面62と同等のテーパとなっている。
なお、外周面140およびテーパ面62の一方のテーパを他方のテーパよりも大きくすることや、逆に他方のテーパを一方のテーパよりも大きくすることも可能である。
当接ディスク115は、凸部136がその径方向両側にある基板部131および外端板部135からピストン12側に突出する状態とされ、外端板部135がそのピストン12側の対向面141で第1外側シート61の先端面64に対向し当接して着座し、基板部131が図2に示す第1内側シート71の先端面73に当接して着座する。
この状態では、図3に示すように、当接ディスク115の先端板部133の先端面142は、第1外側シート61の先端面64よりも、開口面52側に位置する。当接ディスク115の切欠部138は、当接ディスク115が外端板部135の対向面141において第1外側シート61の先端面64に着座した状態でも、第1通路76を第1室19に連通させる固定オリフィスを形成する。なお、当接ディスク115に切欠部138を形成するのではなく、第1外側シート61に、これを径方向に貫通する切欠部を先端面64から凹むように設けて固定オリフィスを形成しても良い。つまり、当接ディスク115は、バルブ本体としてのピストン12側の面に突出する肉厚部としての先端面142により内側突出部を形成している。
当接ディスク115は、外端板部135の対向面141において、ピストン本体31の第1外側シート61の先端面64に着座した状態(バルブリフト量=0)で、円環状の凸部136が、第1外側シート61の円環状の第1幅漸減部65の径方向内側に入り込む。
その際に、同等のテーパで傾斜する第1幅漸減部65のテーパ面62と、外側突出板部134の外周面140とが軸方向の位置を重ね合わせて径方向に若干の隙間をもって対向する。
言い換えれば、当接ディスク115は、外端板部135において第1外側シート61の先端面64に着座した状態で、円環状の凸部136が、ピストン本体31の円環状の第1幅漸減部65と軸方向の位置を重ね合わせて径方向に対向する。第1外側シート61の第1幅漸減部65は、当接ディスク115に向うにしたがって径方向幅が漸減する。
図3に示すように、大径ディスク116は、平板状であり、外径が、当接ディスク115の外端板部135の切欠部138を除く部分の外径と同等である。中間径ディスク117は、平板状であり、外径が、大径ディスク116の外径よりも小径である。図2に示すように、中間径ディスク118は、平板状であり、外径が、中間径ディスク117の外径よりも小径である。小径ディスク119は、平板状であり、外径が、中間径ディスク118の外径よりも小径であって、第1内側シート71の先端面73の外径とほぼ同等になっている。小径ディスク119は、小径ディスク112と共通の部品になっている。規制部材120は、外径が小径ディスク119の外径よりも大径となっている。規制部材120は、規制部材111と共通の部品になっている。
当接ディスク115、大径ディスク116、中間径ディスク117および中間径ディスク118がディスクバルブ144を構成している。ディスクバルブ144は、小径ディスク119および第1内側シート71で内周側が軸方向にクランプされ、小径ディスク119よりも外側の部分がピストン本体31から離れるように変形して第1外側シート61の先端面64から離座する。
ディスクバルブ144と、これを着座させる第1外側シート61および第1内側シート71とが、第1通路76に設けられて作動流体の流れを制御して減衰力を発生させる第1減衰力発生機構145(減衰力発生機構)を構成している。第1減衰力発生機構145は、第1通路76において最小となる流路面積(以下、単に流路面積と称す)を制御して減衰力を制御する。この流路面積は、第1外側シート61とディスクバルブ144との隙間の面積となる。なお、ディスクバルブ144よりも径方向外側に、第2通路106の開口部53は配置されており、第2通路106がディスクバルブ144で閉塞されることはない。
ディスクバルブ127と、これを着座させる第2外側シート91および第2内側シート101とが、第2通路106に設けられて作動流体の流れを制御して減衰力を発生させる第2減衰力発生機構148を構成している。第2減衰力発生機構148は、第2通路106の流路面積を制御して減衰力を制御する。この流路面積は、第2外側シート91とディスクバルブ127との隙間の面積となる。なお、ディスクバルブ127よりも径方向外側に、第1通路76の開口部83は配置されており、第1通路76がディスクバルブ127で閉塞されることはない。
ピストン本体31、規制部材111および規制部材120は、大径ディスク113、当接ディスク114、当接ディスク115、大径ディスク116、中間径ディスク117および中間径ディスク118のそれぞれよりも剛性が高くなっている。規制部材111は、変形したディスクバルブ127が当接した状態では、ディスクバルブ127のそれ以上の変形を抑える。規制部材120は、変形したディスクバルブ144が当接した状態では、ディスクバルブ144のそれ以上の変形を抑える。
緩衝器10において、ピストンロッド13がシリンダ11に対して伸び側に移動する伸び行程では、ピストンロッド13と一体に移動するピストン12によって第2室20の圧力が第1室19の圧力よりも高めらる。これにより、第2室20の作動流体が、第1通路76の複数の第1通路穴41にそれぞれの常時開口の開口部83から導入される。開口部83から導入された作動流体は、開口部51から第1環状通路75に出て合流して第1開口部77を閉塞しているディスクバルブ144に作用する。
このとき、ピストン12の移動速度であるピストン速度が低いと、第1通路76の作動流体が、第1減衰力発生機構145のディスクバルブ144を第1外側シート61から離座させることはない。すなわち、図3に示すように、当接ディスク115の外端板部135の対向面141と第1外側シート61の先端面64との当接状態を維持する。そして、第2室20の作動流体は、第1通路76から、ディスクバルブ144の当接ディスク115の固定オリフィスとしての切欠部138を介して第1室19に流れる。これにより、第1通路76の流路面積が一定となるため、オリフィス特性(減衰力がピストン速度の2乗にほぼ比例する)の減衰力が発生する。
ピストン速度が高くなると、第1通路76の作動流体が、第1減衰力発生機構145の当接ディスク115を含むディスクバルブ144を第1外側シート61から離座させる。
このとき、第1通路76の流路面積となるディスクバルブ144と第1外側シート61との間の流路面積に応じたバルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する)の減衰力が発生する。
ディスクバルブ144は、その上流側と下流側との間に生じる差圧によって第1外側シート61から離座する。当接ディスク115の外端板部135の対向面141と、第1外側シート61の先端面64との距離である開弁高さは、この差圧に比例する。
第1実施形態においては、当接ディスク115に、開弁高さが0の閉弁状態を含む小さい状態で、第1外側シート61の第1幅漸減部65と径方向に若干の隙間をもって対向する外側突出板部134を含む凸部136が設けられている。これにより、ピストン速度の増加に対する流路面積の増加の割合が低速域と高速域とで変化し、ピストン速度の増加に対する減衰力の上昇の割合が低速域と高速域とで変化する。
第1実施形態における、ピストン速度の増加に対する流路面積の増加の割合と、減衰力の上昇の割合を、図5A〜図6を用いてより詳細に説明する。図5A〜図5Cは、第1実施形態の緩衝器の第1減衰力発生機構の状態を説明する図である。図5Aは、当接ディスク115に、第1幅漸減部65が接している、開弁高さが0の閉弁状態である。図5Bは、当接ディスク115に対し、第1幅漸減部65が所定距離hb離れている状態を表す図である。図5Cは、当接ディスク115に対し、第1幅漸減部65が所定距離hc離れている状態を表す図である。上述したように、当接ディスク115と、第1幅漸減部65との距離は、開弁高さを表している。
図6は、開弁高さに対する流路面積の関係を示す特性線図である。図6において、横軸hは、開弁高さを表している。縦軸Sは、流路面積を表している。図6中に示すa点は、図5Aの状態に対応している。図6中に示すb点は、図5Bの状態に対応している。図6中に示すc点は、図5Cの状態に対応している。
すなわち、図5Aは、開弁高さが0の閉弁状態である。この閉弁状態から始まって図5Bに示す所定高さまでの区間a〜bにおいて、図6に示すように、開弁高さhの増加に対して流路面積Sabが比例的に増加する。この区間a〜bは、当接ディスク115と(内径が拡大する)内側テーパ面62を有する第1幅漸減部65とが開弁高さ方向の位置を重ね合わせて径方向に対向する範囲を含んでいる。そして、図5Bに示す所定高さから、図5Cに示すように、さらに開弁高さhが高くなるまでの区間b〜cにおいて、図6に示すように、開弁高さhの増加に対して流路面積Sbcが、区間a〜bよりも高い割合で比例的に増大する。外側シートの頂上である第1外側シート61とディスクバルブとしての当接ディスク115とで形成される隙間に形成される流路面積は、Sabよりも小さく、その後、区間a〜bもその状態が継続する。その後、区間b〜cの間の流路面積Sbcは、外側シートの頂上である第1外側シート61とディスクバルブとしての当接ディスク115とで形成される隙間よりも大きい。つまり、当接ディスク115と第1外側シート61の頂上との間の隙間に形成される流路面積より、小さい状態から大きい状態になる。
図5Aに示すように、第1外側シート61の先端面64の内周縁部の半径をr1 とし、当接ディスク115の先端面142の外周縁部の半径をr2 とし、当接ディスク115の対向面141から先端面142までの高さをHとする。また、図5Bに示すように、第1外側シート61のテーパ面62の中心軸線に対する傾斜角度をθ1 とし、当接ディスク115の外周面140の中心軸線に対する傾斜角度をθ2 とし、区間a〜bでの当接ディスク115の対向面141から第1外側シート61の先端面64までの高さをhb とする。さらに、図5Cに示すように、区間b〜cでの当接ディスク115の対向面141から第1外側シート61の先端面64までの高さをhc とする。
すると、区間a〜bでの流路面積Sabは、以下の式(1)で求めることができる。
Sab≒2πr1 hb cosθ2 ・・・(1)
ここで、0<hb <H+hb cos2θ2 である。
また、区間b〜cでの流路面積Sbcは、以下の式(2)で求めることができる。
Sbc≒2πr1sqrt{(r1−r2)2+(hc−hb)2}・・・(2)
ここで、 hb =H+hb cos2θ2 のとき、Sab=Sbcである。
以上により、開弁高さが、Sab=Sbcとなる開弁高さhb を超えると、開弁高さに対する流路面積の増加割合が、閉弁状態からSab=Sbcとなる開弁高さhb までの区間の増加割合よりも大きくなる。よって、開弁高さが、Sab=Sbcとなる開弁高さhb を超えると、閉弁状態からSab=Sbcとなる開弁高さhb までの区間に比べて、第1減衰力発生機構145のピストン速度の増加に対する減衰力の上昇の割合を抑えることができる。上記したように、閉弁状態からSab=Sbcとなる開弁高さhb までの区間a〜bは、当接ディスク115と第1幅漸減部65とが開弁高さ方向の位置を重ね合わせて径方向に対向する範囲を含んでいる。
これにより、ピストン速度の増加に対する減衰力の上昇の割合は、区間a〜bとなるピストン速度が遅い速度域よりも、区間b〜cとなるピストン速度が速い速度域の方が低くなる。
流路面積Sbcは、第1幅漸減部65に径方向に対向しないときの当接ディスク115と第1幅漸減部65との間の流路面積であり、第1幅漸減部65に径方向に対向するときの当接ディスク115と第1幅漸減部65との間の流路面積である流路面積Sabよりも大きくなる。言い換えれば、第1幅漸減部65と径方向に対向するときの当接ディスク115と第1幅漸減部65との距離関係で決まる第1通路76の流路面積と比較して、第1幅漸減部65と径方向に対向しないときの当接ディスク115と第1幅漸減部65との距離関係で決まる第1通路76の流路面積の方が大きくなる。さらに言い換えれば、ピストン速度が低速域から高速域に入って当接ディスク115の開弁高さが所定値を超えると、開弁高さの増加に対する流路面積の増加の割合が、それまでよりも大きくなって、ピストン速度の増加に対する減衰力の上昇率をそれまでよりも低く抑える。
図2に示すピストンロッド13がシリンダ11に対し縮み側に移動する縮み行程では、ピストンロッド13と一体に移動するピストン12によって第1室19の圧力が第2室20の圧力よりも高められる。これにより、第1室19の作動流体が、第2通路106の複数の第2通路穴42にそれぞれの常時開口の開口部53から導入される。開口部53から導入された作動流体は、開口部81から第2環状通路105に出て合流して、第2開口部107を閉塞する第2減衰力発生機構148のディスクバルブ127に作用する。
すると、第2通路106の作動流体は、ディスクバルブ127を第2外側シート91から離座させて開弁させる。これにより、第1室19から第2室20に、第2通路106を介してディスクバルブ127と第2外側シート91との開弁量に応じた流路面積で作動流体が流れる。このため、バルブ特性の減衰力が発生する。
上記した特許文献1には、ピストン速度が中速域のときに外側シートからディスクを離座させ、ピストン速度が高速域のときに中間シートからディスクを離座させることによって、ピストン速度の増加に対する減衰力の上昇の割合を、中速域よりも高速域で低くする緩衝器が記載されている。この緩衝器は、ピストン速度の高速域では、外側シートよりも径が小さい中間シートとディスクとの間から作動流体を流すため、流路面積を十分には広くできず、ピストン速度の増加に対する減衰力の上昇の割合を十分には小さくできない可能性がある。
これに対して、第1実施形態の緩衝器10の第1減衰力発生機構145は、当接ディスク115が、第1外側シート61に当接した状態で、第1外側シート61の第1幅漸減部65に、凸部136において径方向に対向する。これにより、第1幅漸減部65に径方向に対向するときの当接ディスク115と第1幅漸減部65との間の流路面積と比較して、第1幅漸減部65に径方向に対向しないときの当接ディスク115と第1幅漸減部65との間の流路面積の方を大きくすることで、ピストン速度の増加に対する減衰力の上昇の割合を、ピストン速度の中速域よりも高速域で低くする。よって、ピストン速度の中速域と同様に、ピストン速度の高速域でも、第1外側シート61と当接ディスク115との間から作動流体を流すため、流路面積を十分に広くでき、ピストン速度の増加に対する減衰力の上昇の割合を十分に小さくできる。
また、第1減衰力発生機構145の開弁初期の流路面積の増加を穏やかにすることができ、急激な圧力変化を抑制して、それに起因する音の発生を抑制することができる。
また、当接ディスク115に、第1外側シート61に当接した状態で第1幅漸減部65に径方向に対向し、第1外側シート61から所定量を超えて離間すると第1幅漸減部65に径方向に対向しないように凸部136を設ければ良いため、簡素な構造で、ピストン速度の増加に対する減衰力の上昇の割合を、ピストン速度の中速域よりも高速域で低くすることができる。
また、プレス成形により形成される当接ディスク115に、プレス成形時に凸部136を形成する。このため、部品点数の増加を抑制することができ、コストの増大を抑制することができる。
なお、以上では、当接ディスク115に凸部136を形成したが、図7に示す変形例1のように、当接ディスク115を、平板からなる本体ディスク151と、平板からなる径方向対向ディスク152とで構成しても良い。本体ディスク151は、第1外側シート61の先端面64に着座する対向面141を有している。径方向対向ディスク152は、本体ディスク151が対向面141において第1外側シート61の先端面64に着座した状態で、第1外側シート61の径方向内側に配置されて第1幅漸減部65と軸方向の位置を重ね合わせて径方向に対向する外周面140と先端面142とを有している。
また、上記のように、当接ディスク115の凸部136を、基板部131および外端板部135と同等の厚さの内側突出板部132、先端板部133および外側突出板部134で形成するのではなく、図8に示す変形例2のように、当接ディスク115を、例えば合成樹脂製とすることで、基板部131および外端板部135の間に、これらよりも厚さが厚い厚肉部155を形成し、この厚肉部155で基板部131および外端板部135から突出する凸部136を形成しても良い。この場合、基板部131および外端板部135と凸部136とを樹脂の一体成形により形成することができる。
また、図9に示す変形例3のように、当接ディスク115を、金属の平板からなるディスク本体161と、ディスク本体161の外周側に設けられる合成樹脂製の別部材162とで構成しても良い。別部材162は、外周面140および先端面142を有する凸部136と対向面141とが形成されてディスク本体161に密着する主部163と、ディスク本体161の外周面に密着する被覆部164と、ディスク本体161の主部163とは反対側に密着する装着部165とを有している。被覆部164は、主部163の外周縁部と装着部165の外周縁部とを連結している。この場合、別部材162の形状のキャビティが形成された金型にディスク本体161を設置してキャビティに合成樹脂材料を流し込んでディスク本体161の外周部に別部材162を形成するという製造が可能になる。
また、図10に示す変形例4のように、当接ディスク115を、平板からなるとともに対向面141を形成するディスク本体168に、外周面140および先端面142を有する別部材としての凸部136を接着しても良い。この場合、ディスク本体168を金属製とし、凸部136を合成樹脂製とすることが可能である。この場合も、凸部136の形状のキャビティが形成された金型にディスク本体168を設置してキャビティに合成樹脂材料を流し込んでディスク本体168に凸部136を形成するという製造が可能になる。
また、以上では、当接ディスク115の凸部136の外周面140を、第1外側シート61のテーパ面62と同等のテーパとして、これらを径方向に若干の隙間をもって対向させているが、図11に示す変形例5のように、第1外側シート61のテーパ面62のテーパを、凸部136の外周面140のテーパよりも大きくして、テーパ面62を外周面140の先端面142側の端部に当接させるようにしても良い。これとは逆に、図12に示す変形例6のように、第1外側シート61のテーパ面62のテーパを、凸部136の外周面140のテーパよりも小さくして、テーパ面62の先端面64側の端部を外周面140に当接させるようにしても良い。
なお、図示は略すが、変形例1〜6においても、当接ディスク115に切欠部138を設けるか、あるいは第1外側シート61に先端面64から凹んで径方向に貫通する切欠部を設けて固定オリフィスを構成する。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を主に図13に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図13に示すように、第2実施形態では、当接ディスク115Aが第1実施形態の当接ディスク115とは一部異なっている。当接ディスク115Aは、基板部131Aと、突出板部171(凸部、外側突出部)と、を有している。基板部131Aは、当接ディスク115Aの径方向の内端位置から径方向外方に広がる。突出板部171は、基板部131Aの外周縁部から板厚方向一側に突出する。突出板部171は、当接ディスク115Aの径方向の外端位置に位置する。つまり、突出板部171は、バルブ本体側に向けて湾曲することにより外側突出部を形成している。なお、突出板部を第1外側シート61よりも内側に形成し、内側突出部を形成するようにしてもよい。
基板部131Aは円板状の平板である。突出板部171は、基板部131Aから軸方向に離れるほど大径となるテーパ筒状である。言い換えれば、突出板部171は、基板部131Aから拡径しつつ突出する。当接ディスク115Aには、板厚方向に貫通し、基板部131Aの突出板部171側から突出板部171を通って径方向外側に抜ける切欠部138Aが形成されている。当接ディスク115Aは、一定板厚の平板状の金属板からプレス成形により上記形状に形成されている。よって、当接ディスク115Aの基板部131Aおよび突出板部171は、同等の厚さとなっている。
当接ディスク115Aは、基板部131Aの外径が、第1外側シート61の先端面64の外径とほぼ同等になっている。突出板部171の内周面172は、第1外側シート61の第1幅漸減部65の径方向外側のテーパ面63と同等のテーパとなっている。当接ディスク115Aは、突出板部171がその径方向内側にある基板部131Aからピストン12側に突出する状態とされ、基板部131Aがそのピストン12側の対向面141Aで第1外側シート61の先端面64および第1内側シート71の先端面73(図2参照)に着座する。
この状態で、当接ディスク115Aの突出板部171の先端部は、第1外側シート61の先端面64よりも、開口面52側に位置する。当接ディスク115Aの切欠部138Aは、当接ディスク115Aが第1外側シート61の先端面64に着座した状態でも、第1通路76を第1室19に連通させる固定オリフィスを構成している。なお、第1外側シート61に先端面64から凹んで径方向に貫通する切欠部を設けて固定オリフィスを構成しても良い。
当接ディスク115Aは、基板部131Aにおいて、ピストン本体31の第1外側シート61の先端面64に着座した状態で、円環状の突出板部171が、第1外側シート61の円環状の第1幅漸減部65を径方向内側に入り込ませる。その際に、同等のテーパで傾斜する第1幅漸減部65のテーパ面63と、突出板部171の内周面172とが軸方向の位置を重ね合わせて径方向に若干の隙間をもって対向する。
言い換えれば、当接ディスク115Aは、基板部131Aにおいて第1外側シート61の先端面64に着座した状態で、円環状の突出板部171が、ピストン本体31の円環状の第1幅漸減部65と軸方向の位置を重ね合わせて径方向に対向する。突出板部171において第1幅漸減部65と径方向に対向するときの当接ディスク115Aと第1幅漸減部65との距離関係で決まる第1通路76の流路面積と比較して、突出板部171において第1幅漸減部65と径方向に対向しないときの当接ディスク115Aと第1幅漸減部65との距離関係で決まる第1通路76の流路面積の方が大きくなる。
第2実施形態においては、当接ディスク115A、大径ディスク116、中間径ディスク117および中間径ディスク118(図2参照)がディスクバルブ144Aを構成している。このディスクバルブ144Aと、これを着座させる第1外側シート61および第1内側シート71(図2参照)とが、第1減衰力発生機構145A(減衰力発生機構)を構成している。
伸び行程では、第2室20(図2参照)の作動流体が、第1通路76からディスクバルブ144Aに作用する。このとき、ピストン12の移動速度であるピストン速度が低いと、第1通路76の作動流体が、第1減衰力発生機構145Aのディスクバルブ144Aを第1外側シート61から離座させることはなく、当接ディスク115Aの固定オリフィスとしての切欠部138Aを介して第1室19に流れ、オリフィス特性の減衰力が発生する。
また、ピストン速度が、これよりも速い速度域では、第1通路76の作動流体が、第1減衰力発生機構145Aのディスクバルブ144Aを第1外側シート61から離座させる。ディスクバルブ144Aの当接ディスク115Aには、開弁高さが小さいとき、第1外側シート61の第1幅漸減部65と径方向に若干の隙間をもって対向する突出板部171が設けられている。このため、ピストン速度の増加に対する流路面積の増加の割合が低速域と高速域とで変化し、ピストン速度の増加に対する減衰力の上昇の割合が低速域と高速域とで変化する。
第2実施形態の第1減衰力発生機構145Aは、当接ディスク115Aが、第1外側シート61に当接した状態で、第1外側シート61の第1幅漸減部65に、突出板部171において径方向に対向する。このように、第1幅漸減部65に突出板部171において径方向に対向するときの当接ディスク115Aと第1幅漸減部65との間の流路面積と比較して、第1幅漸減部65に突出板部171において径方向に対向しないときの当接ディスク115Aと第1幅漸減部65との間の流路面積の方を大きくすることで、ピストン速度の増加に対する減衰力の上昇の割合を、ピストン速度の中速域よりも高速域で低くする。
この場合も、当接ディスク115Aに、第1外側シート61に当接した状態で第1幅漸減部65に径方向に対向し、第1外側シート61から所定量を超えて離間すると径方向に対向しないように突出板部171を設ければ良いため、簡素な構造となる。しかも、プレス成形により形成される当接ディスク115Aに、プレス成形時に突出板部171を形成するため、部品点数の増加を抑制することができ、コストの増大を抑制することができる。
以上に述べた実施形態の第1の態様によれば、緩衝器は、作動流体が封入されるシリンダと、前記シリンダに摺動可能に挿入されて該シリンダの内部を2室に画成するピストンと、前記ピストンに連結されて前記シリンダの外部に延出するピストンロッドと、前記ピストンの摺動により作動流体が流れる通路と、前記通路に設けられて作動流体の流れを制御して減衰力を発生させる減衰力発生機構と、を備える。前記減衰力発生機構は、前記通路が内部を貫通するバルブ本体と、前記バルブ本体に前記通路の開口部を囲むように突出して形成される略円形の外側シートと、前記バルブ本体に前記外側シートの内側に突出して形成される内側シートと、前記外側シートおよび前記内側シートに着座し、外周側が撓むことで、少なくとも該外周シートに離着座する円盤状のディスクバルブと、を備える。前記外側シートは、前記ディスクバルブが着座するシート面に向うにしたがって内周側が拡大する内周側テーパ部または外周側が縮小する外周側テーパ部の少なくとも一方を有する。前記ディスクバルブは、前記外側シートに着座した閉弁状態で前記内側テーパ部と径方向に対向する内側突出部または前記外側テーパ部と径方向に対向する外側突出部の少なくとも一方を有する。前記ディスクバルブが閉弁状態から開弁開始後、開弁するに従い、前記内側突出部が前記内周側テーパ部と径方向に対向している部分の間、または、前記外側突出部が前記外周側テーパ部と径方向に対向している部分の間で形成される流路面積が、前記ディスクバルブと前記外側シートの頂上との間の隙間に形成される流路面積より小さい状態から大きい状態になることを特徴とする。
第2の態様は、第1の態様において、前記ディスクバルブが閉弁状態から開弁開始直後は、前記内側突出部が前記内周側テーパ部と径方向に対向している部分の間、または、前記外側突出部が前記外周側テーパ部と径方向に対向している部分の間で形成される流路面積が、前記ディスクバルブと前記外側シートの頂上との間の隙間に形成される流路面積より大きい状態になる。
第3の態様は、第1の態様において、前記ディスクバルブは、前記バルブ本体側に向けて湾曲することにより前記内側突出部または外側突出部が形成されている。
第4の態様は、第1の態様において、前記ディスクバルブは、前記バルブ本体側の面に突出する肉厚部により前記内側突出部または外側突出部が形成されている。
第5の態様は、第4の態様において、前記肉厚部は、最も前記本体側のディスクに別部材を取付けて構成されている。
第6の態様は、第1の態様において、前記ディスクバルブは、複数枚のディスクで形成され、最も前記本体側のディスクが、前記内側テーパ部より、小径のバルブとして、該小径のバルブ外周部を前記内側突出部とされている。