JP6915598B2 - 正帯電型疎水性球状シリカ粒子、その製造方法及びそれを用いた正帯電トナー組成物 - Google Patents
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Description
しかしながら、これらの無機微粉末は、一般的に親水性に富んでおり、トナーの流動性や帯電立ち上がり性が、周囲の環境条件(湿度)に影響されて変化する場合がある。
それら方法の中で、特に正帯電トナー用外添剤として、シリカ微粉末等の金属酸化物をアミノシランカップリング剤等で表面処理したものを用いる方法が、特許文献1(特開昭52−135739号公報)及び特許文献2(特開昭56−123550号公報)に開示されている。このシラン処理方法によると、アミノシランカップリング剤の末端アミノ基により、強い正帯電性を示す現像剤が得られる。
この方法によると、帯電レベルの向上性、帯電立ち上がり性、流動性にそれぞれ優れた非磁性一成分現像用トナーが得られる。
さらに、特許文献8(特開平11−143111号公報)には、帯電の立ち上がり、耐久性の向上、および環境安定性を得るために、正帯電極性基および疎水性基を有する乾式シリカ微粉末と、正帯電極性基およびフッ素含有極性基を含有する湿式シリカ微粉末との併用が有効であることが開示されている。
さらに特許文献9(特開2007−108801公報)には、低印字率の印刷を実施した場合でも良好な画像濃度及びカブリ耐性を長期間にわたって得るために、正帯電極性基および疎水性基を有する乾式シリカ微粉末と、フッ素含有負帯電極性基を有し第4級アンモニウム塩型シラン化合物により表面処理された湿式シリカ微粉末とを外添剤として含有する正帯電トナーが有効であることが開示されている。
従って、本発明は、トナーに所望の正帯電極性を付与することができ、これを長期にわたって安定維持することができる、即ち正帯電維持性に優れるトナー外添剤用のシリカ粒子及びこれを含むトナー組成物を提供することを目的とする。
体積基準の粒度分布における1次粒子のメジアン径(D50)が5〜250nmであり、D90/D10比が3以下であり、かつ平均円形度が0.8〜1である正帯電型疎水性球状シリカ粒子であって、
表面に下式(I)で表される有機ケイ素化合物が結合した正帯電型疎水性球状シリカ粒子。
更に、下式(III)で表されるシラザン化合物、下式(IV)で表される1官能性シラン化合物又はこれらの混合物で表面処理された、請求項1に記載の正帯電型疎水性球状シリカ粒子。
R4 3SiNHSiR4 3 (III)
R4 3SiX (IV)
(式中、R4は、同一または異なる置換または非置換の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を表し、Xは水酸基または加水分解性基を表す。)
下記工程(A2)〜(A4)を含む[1]又は[2]に記載の正帯電型疎水性球状シリカ粒子の製造方法。
工程(A2):親水性球状シリカ粒子分散体に、下式(III)で表されるシラザン化合物、下式(IV)で表される1官能性シラン化合物又はこれらの混合物を、親水性球状シリカ粒子分散体のSi原子1モルに対し0.01〜0.1モル添加し、該親水性球状シリカ粒子の表面にR4 3SiO1/2単位を導入し疎水性球状シリカ粒子分散体を得る工程
R4 3SiNHSiR4 3 (III)
R4 3SiX (IV)
(式中、R4は、同一または異なる置換または非置換の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を表し、Xは水酸基または加水分解性基を表す。)
工程(A3):工程(A2)で得られた疎水性球状シリカ粒子分散体の分散媒をケトン系溶媒に置換し、疎水性球状シリカ粒子のケトン系溶媒分散体を得る工程
工程(A4):工程(A3)で得られた疎水性球状シリカ粒子のケトン系溶媒分散体に、下式(I)で表される有機ケイ素化合物を添加し、該疎水性球状シリカ粒子表面のシラノール基をフェニルアミノ化する工程
親水性球状シリカ粒子分散体が下記工程(A1)により製造されるものである[3]に記載の正帯電型疎水性球状シリカ粒子の製造方法。
工程(A1):下式(II)で表される4官能性シラン化合物、その部分加水分解縮合物またはこれらの混合物を、塩基性物質の存在下、親水性溶媒及び水を含む混合液中で加水分解、縮合することによって親水性球状シリカ粒子分散体を得る工程
Si(OR3)4 (II)
(式中、R3は、同一または異なる炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を表す。)
更に、下記工程(A5)を含む[3]又は[4]に記載の正帯電型疎水性球状シリカ粒子の製造方法。
工程(A5):工程(A4)で得られたフェニルアミノ化球状シリカ粒子分散体に、下式(III)で表されるシラザン化合物、下式(IV)で表される1官能性シラン化合物又はこれらの混合物を、フェニルアミノ化球状シリカ粒子のSi原子1モルに対し0.01〜0.3モル添加し、該フェニルアミノ化球状シリカ粒子の表面に残存するシラノール基と反応させる工程
R4 3SiNHSiR4 3 (III)
R4 3SiX (IV)
(式中、R4は、同一または異なる置換または非置換の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を表し、Xは水酸基または加水分解性基を表す。)
[1]又は[2]に記載の正帯電型疎水性球状シリカ粒子を含む正帯電トナー組成物。
本発明の正帯電型疎水性球状シリカ粒子は、体積基準の粒度分布における1次粒子のメジアン径(D50)が5〜250nmであり、D90/D10比が3以下であり、かつ平均円形度が0.8〜1である正帯電型疎水性球状シリカ粒子であって、表面に下式(I)で表される有機ケイ素化合物が結合した正帯電型疎水性球状シリカ粒子である。
(式中、R1及びR2は、独立に、水素原子、又は、炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基を表す。nは0または1である。)
なお、本発明において、体積基準の粒度分布はレーザー光を用いた動的光散乱法によって測定したものである。
本発明の正帯電型疎水性球状シリカ粒子の平均円形度は0.8〜1であり、特に0.92〜1が好ましい。また、本発明において「球状」とは、真球だけでなく、若干歪んだ球も含む。なおこのような粒子の形状は、粒子を二次元に投影した時の円形度で評価する。
R4 3SiNHSiR4 3 (III)
R4 3SiX (IV)
(式中、R4は、同一または異なる置換または非置換の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を表し、Xは水酸基または加水分解性基を表す。)
1)試料0.2gを200mlビーカーに秤取し純水50mlを加える。
2)電磁攪拌しながら、液面下へメタノールを加える。
3)液面上に試料が認められなくなった点を終点とする。
4)要したメタノール量から次式により疎水化度を算出する。
疎水化度(%)=[x/(50+x)]×100
x:メタノール量(ml)
工程(A1):親水性球状シリカ粒子分散体を得る合成工程
工程(A2):1官能性シラン化合物による表面処理工程
工程(A3):分散媒置換工程
工程(A4):疎水性球状シリカ粒子の表面をフェニルアミノ化する工程
以下、各工程を順に追って説明する。
本工程は、下式(II)で表される4官能性シラン化合物、その部分加水分解縮合物またはこれらの混合物を、塩基性物質の存在下、親水性溶媒及び水を含む混合液中で加水分解、縮合することによって親水性球状シリカ粒子分散体を得る合成工程である。
Si(OR3)4 (II)
(式中、R3は、同一または異なる炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を表す。)
水に対する親水性溶媒の比率は、疎水化された球状シリカ粒子と混合溶媒との親和性および製造の容易性の点から、質量比で0.5〜10であることが好ましく、3〜9であることがより好ましく、5〜8であることが特に好ましい。
塩基性物質の量は、一般式(II)で表される4官能性シラン化合物および/またはその部分加水分解縮合生成物のヒドロカルビルオキシ基の合計1モルに対して0.01〜2モルであることが好ましく、0.02〜0.5モルであることがより好ましく、0.04〜0.12モルであることが特に好ましい。
本工程は、工程(A1)で得られた親水性球状シリカ粒子分散体に下式(III)で表されるシラザン化合物、下式(IV)で表される1官能性シラン化合物又はこれらの混合物を、親水性球状シリカ粒子分散体のSi原子1モルに対し0.01〜0.1モル添加し、該親水性球状シリカ粒子の表面の少なくとも一部にR4 3SiO1/2単位を導入し疎水性球状シリカ粒子分散体を得る工程である。
R4 3SiNHSiR4 3 (III)
R4 3SiX (IV)
(式中、R4は、同一または異なる置換または非置換の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を表し、Xは水酸基または加水分解性基を表す。)
本工程は、工程(A2)で得られた疎水性球状シリカ粒子分散体中の水、親水性有機溶媒および縮合によって生じたアルコール等の揮発性副生成物等から構成される分散媒をケトン系溶媒に置換する工程である。
本工程は、工程(A3)で得られた疎水性球状シリカ粒子のケトン系溶媒分散体に下式(I)で表される有機ケイ素化合物を添加し、該疎水性球状シリカ粒子表面のシラノール基の少なくとも一部をフェニルアミノ化する工程である。
工程(A5):工程(A4)で得られたフェニルアミノ化球状シリカ粒子分散体に、下式(III)で表されるシラザン化合物、下式(IV)で表される1官能性シラン化合物又はこれらの混合物を、該フェニルアミノ化球状シリカ粒子のSi原子1モルに対し0.01〜0.3モル添加し、該フェニルアミノ化球状シリカ粒子の表面に残存するシラノール基と反応させる工程
R4 3SiNHSiR4 3 (III)
R4 3SiX (IV)
(式中、R4は、同一または異なる置換または非置換の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を表し、Xは水酸基または加水分解性基を表す。)
本発明の正帯電トナー組成物は、上述した本発明の正帯電型疎水性球状シリカ粒子をトナー外添剤として含む。この正帯電型疎水性球状シリカ粒子をトナー外添剤として使用する場合の配合量は、通常、トナー100質量部に対して、0.1〜3質量部が好ましく、さらに好ましくは0.3〜2質量部である。このような範囲であれば、トナーへ安定的に正帯電性を付与できる。
シリカ粒子が0.5質量%となるようにシリカ粒子分散体をメタノールで希釈し、超音波を10分間照射した際の粒度分布を、動的光散乱法/レーザードップラー法ナノトラック粒度分布測定装置(日機装株式会社製、UPA−EX150)により測定し、得られた体積基準の粒度分布を基に、メジアン径およびD90/D10比を算出した。
電子顕微鏡(日立製作所製、S−4700型、倍率:10万倍)を用いてシリカ粒子の観察を行い、形状を確認した。粒子を二次元に投影した時の円形度を(粒子面積と等しい円の周囲長)/(粒子周囲長)として求め、シリカ粒子10個の円形度の平均値を平均円形度とした。
蒸留釜内にN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名KBM−573)255g(1.0モル)及びナトリウムメトキシドのメタノール溶液(28質量%ナトリウムメトキシド)2.0gを添加し、発生するアルコールを留去しながら蒸留することで、沸点173〜175℃/0.4kPaの無色透明留分を156g得た(収率70%)。
・工程(A1):親水性球状シリカ粒子分散体を得る合成工程
攪拌機、滴下ロート及び温度計を備えた3リットルのガラス製反応器に、メタノール793.0g、水32.1g及び28%アンモニア水40.6gを入れて混合した。この溶液を34℃となるように調整し、攪拌しながらテトラメトキシシラン646.5g(4.25モル)及び5.4%アンモニア水160.9gの滴下を同時に開始し、共に3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに0.5時間攪拌を継続して加水分解縮合を行うことにより、親水性球状シリカ粒子の分散体1,662gを得た。
上記工程(A1)で得られた親水性球状シリカ粒子の分散体600g(シリカ含有量15質量%、90g(1.5モル))を攪拌機、滴下ロート及び温度計を備えた3リットルのガラス製反応器に入れ、25℃でヘキサメチルジシラザン12.8g(0.08モル)を添加混合した。この溶液を60℃に加熱し3時間反応させ、親水性球状シリカ粒子表面のシリル化を行った。
上記工程(A2)後の反応容器にメチルイソブチルケトン1,200gを添加した。ガラス製反応容器にエステルアダプターと冷却管を取付け、80〜110℃に加熱し、5時間かけてメタノール及び水の混合物1,210gを濃縮により除き、疎水性球状シリカ粒子ケトン系溶媒分散体を592g(シリカ含有量15.2質量%、90g(1.5モル))を得た。
上記工程(A3)で得られた疎水性球状シリカ粒子ケトン系溶媒分散体200g(シリカ含有量30.4g、0.51モル)を攪拌機、滴下ロート及び温度計を備えた0.5リットルのガラス製反応器に仕込み、2,2−ジメトキシ−1−フェニル−1−アザ−2−シラシクロペンタン1.52g(0.007モル、5質量%(対シリカ質量))を滴下ロートから滴下した。100℃に加熱し3時間反応を行った。3時間反応後の反応液のガスクロマトグラフィー分析から2,2−ジメトキシ−1−フェニル−1−アザ−2−シラシクロペンタンのピークの消失を確認した。
上記工程(A4)で得られたフェニルアミノ化球状シリカ粒子分散体に、更に滴下ロートからヘキサメチルジシラザン16.1g(0.10モル)を添加し、100℃の反応温度で3時間反応させ、フェニルアミノ化球状シリカ粒子表面のシリル化を行った。その後分散媒を減圧下で留去してフェニルアミノ化疎水性球状シリカ粒子32gを得た。
実施例1の工程(A4)において、2,2−ジメトキシ−1−フェニル−1−アザ−2−シラシクロペンタンの量を3.1g(0.014モル、10質量%(対シリカ質量)に変更した以外は実施例1と同様に行い、フェニルアミノ化疎水性球状シリカ粒子33gを得た。
・工程(A1):親水性球状シリカ粒子分散体を得る合成工程
攪拌機、滴下ロート及び温度計を備えた3リットルのガラス製反応器にメタノール623.7g、水41.4g及び28%アンモニア水49.8gを入れて混合した。この溶液を35℃となるように調整し、攪拌しながらテトラメトキシシラン1163.7g(7.66モル)及び5.4%アンモニア水418.1gの滴下を同時に開始し、前者は6時間、そして後者は4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに0.5時間攪拌を継続して加水分解を行うことにより、親水性球状シリカ粒子の分散体2,295gを得た。
上記(A1)で得られた分散体600g(シリカ含有量20質量%、120g(2モル))を攪拌機、滴下ロート及び温度計を備えた5リットルのガラス製反応器に入れ、25℃でヘキサメチルジシラザン9.7g(0.06モル)を添加混合した。この溶液を60℃に加熱し3時間反応させ、親水性球状シリカ粒子表面のシリル化を行った。
上記工程(A2)後の反応容器にメチルイソブチルケトン1,600gを添加した。ガラス製反応容器にエステルアダプターと冷却管を取付け、80〜110℃に加熱し、5時間かけてメタノール及び水の混合物1,457gを濃縮により除き、疎水性球状シリカ粒子ケトン系溶媒分散体を751g(シリカ含有量16質量%、120g(2モル))を得た。
上記工程(A3)で得られた疎水性球状シリカ粒子ケトン系溶媒分散体200g(シリカ含有量32g、0.53モル)を攪拌機、滴下ロート及び温度計を備えた0.5リットルのガラス製反応器に仕込み、2,2−ジメトキシ−1−フェニル−1−アザ−2−シラシクロペンタン1.60g(0.007モル、5質量%(対シリカ質量))を滴下ロートから滴下した。100℃に加熱し3時間反応を行った。3時間反応後の反応液のガスクロマトグラフィー分析から2,2−ジメトキシ−1−フェニル−1−アザ−2−シラシクロペンタンのピークの消失を確認した。
上記工程(A4)で得られたフェニルアミノ化球状シリカ粒子分散体に、更に滴下ロートからヘキサメチルジシラザン12.9g(0.08モル)を添加し、100℃の反応温度で3時間反応させ、フェニルアミノ化球状シリカ粒子表面のシリル化を行った。その後分散媒を減圧下で留去してフェニルアミノ化疎水性球状シリカ粒子33gを得た。
実施例1において、工程(A5)を行わず、工程(A4)終了後、分散媒を減圧下で留去してフェニルアミノ化疎水性球状シリカ粒子29gを得た。
工程(A1)に代えて、市販の親水性球状シリカ粒子分散体(日産化学工業(株)製IPA−ST−L、粒子径45nm、30質量%イソプロピルアルコール分散体)を用いた。
上記IPA−ST−Lを350g(シリカ含有量30質量%、90g(1.5モル))及びイソプロピルアルコール250gを攪拌機、滴下ロート及び温度計を備えた3リットルのガラス製反応器に入れ、25℃でヘキサメチルジシラザン12.8g(0.08モル)を添加混合した。この溶液を60℃に加熱し3時間反応させ、親水性球状シリカ粒子表面のシリル化を行った。
上記工程(A2)後の反応容器にメチルイソブチルケトン1,200gを添加した。ガラス製反応容器にエステルアダプターと冷却管を取付け、80〜110℃に加熱し、5時間かけてイソプロピルアルコール1,220gを濃縮により除き、疎水性球状シリカ粒子ケトン系溶媒分散体を575g(シリカ含有量15.6質量%、90g(1.5モル))を得た。
上記工程(A3)で得られた疎水性球状シリカ粒子ケトン系溶媒分散体200g(シリカ含有量30.4g、0.51モル)を攪拌機、滴下ロート、温度計を備えた0.5リットルのガラス製反応器に仕込み、2,2−ジメトキシ−1−フェニル−1−アザ−2−シラシクロペンタン1.52g(0.007モル、5質量%(対シリカ質量))を滴下ロートから滴下した。100℃に加熱し3時間反応を行った。3時間反応後の反応液のガスクロマトグラフィー分析から2,2−ジメトキシ−1−フェニル−1−アザ−2−シラシクロペンタンのピークの消失を確認した。
上記工程(A4)で得られたフェニルアミノ化球状シリカ粒子分散体に、更に滴下ロートからヘキサメチルジシラザン16.1g(0.10モル)を添加し、100℃の反応温度で3時間反応させ、フェニルアミノ化球状シリカ粒子表面のシリル化を行った。その後分散媒を減圧下で留去してフェニルアミノ化疎水性球状シリカ粒子33gを得た。
実施例1の工程(A4)において、2,2−ジメトキシ−1−フェニル−1−アザ−2−シラシクロペンタンをN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名KBM−573)1.8g(0.007モル、5質量%(対シリカ質量))とした以外は実施例1の工程(A1)〜工程(A4)と同様に球状シリカ粒子の合成を行った。工程(A4)において100℃で3時間反応後、反応液のガスクロマトグラフィー分析を行ったところ、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの残存(13%)が見られた。その後、実施例1の工程(A5)と同様にして再表面処理工程を行い、最後に分散媒を減圧下で留去してフェニルアミノ化疎水性球状シリカ粒子32gを得た。
実施例1の工程(A4)において、2,2−ジメトキシ−1−フェニル−1−アザ−2−シラシクロペンタンを3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名KBM−903)1.2g(0.007モル、5質量%(対シリカ質量))とした以外は実施例1の工程(A1)〜工程(A4)と同様に球状シリカ粒子の合成を行った。工程(A4)において100℃で3時間反応後の反応液のガスクロマトグラフィー分析にて3−アミノプロピルトリメトキシシランのピークの消失を確認した。その後、実施例1の工程(A5)と同様にして再表面処理工程を行い、最後に分散媒を減圧下で留去してアミノ化疎水性球状シリカ粒子33gを得た。
[トナー帯電量]
スチレン/アクリル樹脂を粉砕分級して得た平均粒径8.2μmのモデルトナー1g、標準キャリアP-01(日本画像学会配布)19g及び上記実施例および比較例で作製した正帯電型疎水性球状シリカ粒子をそれぞれ0.01g量りとった。このようにして調製されたサンプルを、日本画像学会標準のトナーの帯電量測定基準(日本画像学会誌、37、461(1998))にしたがって調湿、混合を行い、混合時間を変えた時のトナー帯電量を測定した。なお、混合にはペイントコンディショナー(東洋精機製)を用い、トナー帯電量測定にはブローオフ帯電量測定装置(東芝ケミカル製、商品名:TB203)を用いた。調湿と測定は、温度23±3℃、湿度55±10%で行った。それらの結果を表2に示す。
トナーの配合組成
スチレン/アクリル樹脂 100質量部
磁性粉(BL−200;チタン工業(株)製) 75質量部
電荷制御剤(TP−415;保土ヶ谷化学(株)製) 4質量部
ワックス(ビスコールTS−200;三洋化成工業(株)製) 4質量部
また、得られたトナー粒子の粒度分布を測定し、5〜13μmの粒子径の範囲内に、全体の80重量%以上が分布していることを確認した。
このトナー100質量部に対し、上記正帯電型疎水性球状シリカ粒子(実施例1〜5、比較例1〜2)0.5質量部を外添して正帯電トナーを作製した。そして、京セラ製ページプリンタ(FS−3750)を用い、正帯電トナーの画像特性および像流れ(カブリ性)を評価した。なお、耐刷印字パターンとしては、2%印字原稿を使用した。
その結果を表3に示す。
得られた正帯電トナーを用いて、京セラ製ページプリンタ(FS−3750)により20万枚実印字し、以下の基準から、初期画像特性、印刷後の画像特性、および高温高湿条件での画像特性の評価を行った。
初期画像特性(表3において「初期」と表記)は、通常環境(20℃、65%RH)にて、画像評価パターンを印字して初期画像とし、画像評価パターンであるソリッド画像濃度を、マクベス反射濃度計を用いて測定し評価した。
また、印刷後の画像特性(表3において「20万枚」と表記)は、通常環境(20℃、65%RH)にて、20万枚印刷後の画像特性を初期画像特性と同様に測定して、評価した。
さらに、高温高湿条件での画像特性(表3において「高温高湿」と表記)は、高温高湿条件(33℃、85%RH)にて、画像評価パターンを印字し、画像特性を初期画像特性同様に測定して、評価した。
評価基準
◎:画像濃度が、1.35以上の値である。
○:画像濃度が、1.3 以上1.35未満の値である。
△:画像濃度が、1.2 以上1.3 未満の値である。
×:画像濃度が、1.2 未満の値である。
得られた正帯電トナーを用いて、画像特性の評価と同様に、京セラ製ページプリンタ(FS−3750)により20万枚実印字し、以下の基準から、初期カブリ性、印刷後のカブリ性、および高温高湿条件でのカブリ性(地肌カブリ)の評価を行った。
評価基準
○:カブリを全く生じていない。
△:ややカブリを生じている。
×:顕著なカブリを生じている。
Claims (6)
- 更に、下式(III)で表されるシラザン化合物、下式(IV)で表される1官能性シラン化合物又はこれらの混合物で表面処理された、請求項1に記載の正帯電型疎水性球状シリカ粒子。
R4 3SiNHSiR4 3 (III)
R4 3SiX (IV)
(式中、R4は、同一または異なる置換または非置換の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を表し、Xは水酸基または加水分解性基を表す。) - 下記工程(A2)〜(A4)を含む請求項1又は2に記載の正帯電型疎水性球状シリカ粒子の製造方法。
工程(A2):親水性球状シリカ粒子分散体に、下式(III)で表されるシラザン化合物、下式(IV)で表される1官能性シラン化合物又はこれらの混合物を、親水性球状シリカ粒子分散体のSi原子1モルに対し0.01〜0.1モル添加し、該親水性球状シリカ粒子の表面にR4 3SiO1/2単位を導入し疎水性球状シリカ粒子分散体を得る工程
R4 3SiNHSiR4 3 (III)
R4 3SiX (IV)
(式中、R4は、同一または異なる置換または非置換の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を表し、Xは水酸基または加水分解性基を表す。)
工程(A3):工程(A2)で得られた疎水性球状シリカ粒子分散体の分散媒をケトン系溶媒に置換し、疎水性球状シリカ粒子のケトン系溶媒分散体を得る工程
工程(A4):工程(A3)で得られた疎水性球状シリカ粒子のケトン系溶媒分散体に、下式(I)で表される有機ケイ素化合物を添加し、該疎水性球状シリカ粒子表面のシラノール基をフェニルアミノ化する工程
- 親水性球状シリカ粒子分散体が下記工程(A1)により製造されるものである請求項3に記載の正帯電型疎水性球状シリカ粒子の製造方法。
工程(A1):下式(II)で表される4官能性シラン化合物、その部分加水分解縮合物またはこれらの混合物を、塩基性物質の存在下、親水性溶媒及び水を含む混合液中で加水分解、縮合することによって親水性球状シリカ粒子分散体を得る工程
Si(OR3)4 (II)
(式中、R3は、同一または異なる炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を表す。) - 更に、下記工程(A5)を含む請求項3又は4に記載の正帯電型疎水性球状シリカ粒子の製造方法。
工程(A5):工程(A4)で得られたフェニルアミノ化球状シリカ粒子分散体に、下式(III)で表されるシラザン化合物、下式(IV)で表される1官能性シラン化合物又はこれらの混合物を、該フェニルアミノ化球状シリカ粒子のSi原子1モルに対し0.01〜0.3モル添加し、該フェニルアミノ化球状シリカ粒子の表面に残存するシラノール基と反応させる工程
R4 3SiNHSiR4 3 (III)
R4 3SiX (IV)
(式中、R4は、同一または異なる置換または非置換の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を表し、Xは水酸基または加水分解性基を表す。) - 請求項1又は2に記載の正帯電型疎水性球状シリカ粒子を含む正帯電トナー組成物。
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