JP6910155B2 - 内燃機関の冷却構造 - Google Patents
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Description
特許文献1に限らず、従来の内燃機関の冷却構造では、バイパス通路は外付けの配管とされるのが、一般的である。
また、バイパス通路が機関本体の外側に配管されるので、部品点数が多くなり構造が複雑化し、機関本体の周辺が煩雑となって外観が損なわれる。
内燃機関のクランクケース部とシリンダ部とシリンダヘッド部から構成される機関本体におけるシリンダ部とシリンダヘッド部にそれぞれシリンダ冷却液ジャケットとシリンダヘッド冷却液ジャケットが設けられ、
冷却液ポンプにより冷却液を前記シリンダ冷却液ジャケットと前記シリンダヘッド冷却液ジャケットに循環させる冷却液循環経路に、ラジエータを経由するラジエータ経由通路と前記ラジエータを迂回するバイパス通路が介装され、
前記ラジエータ経由通路による循環と前記バイパス通路による循環を切替えるサーモスタット弁が設けられた内燃機関の冷却構造において、
前記サーモスタット弁は、前記ラジエータ経由通路を開閉する第1バルブと前記バイパス通路を開閉する第2バルブとを同時に作動可能に備え、
前記シリンダ部のシリンダボアの周囲の前記シリンダ冷却液ジャケットは、シリンダ軸線方向に2つに仕切られて、前記シリンダヘッド部側の主シリンダ冷却液ジャケットと前記クランクケース部側の副シリンダ冷却液ジャケットが形成され、
前記バイパス通路は、冷却液が前記サーモスタット弁を経由することで前記主シリンダ冷却液ジャケットから前記副シリンダ冷却液ジャケットを流れる通路であることを特徴とする。
前記主シリンダ冷却液ジャケットは、前記副シリンダ冷却液ジャケットより容積が大きくしてもよい。
前記第2バルブには、閉弁時に冷却液が漏出する漏出通路が形成されるようにしてもよい。
前記サーモスタット弁は、前記機関本体に一体に設けられるようにしてもよい。
また、外部配管を削減してバイパス通路をできるだけ短くして配管抵抗を小さくすることができる。
前記シリンダ部は、複数のシリンダボアが直列に配列されて構成され、
前記サーモスタット弁は、シリンダボアの配列方向で両端の最外側シリンダボアのうち一方の最外側シリンダボアの近傍に設けられるようにしてもよい。
前記冷却液ポンプは、内燃機関におけるシリンダボアの配列方向で前記サーモスタット弁と反対側に設けられるようにしてもよい。
前記冷却液ポンプは、内燃機関におけるシリンダボアの配列方向で前記サーモスタット弁と同じ側に設けられるようにしてもよい。
前記シリンダ部は、前記クランクケース部から上方に延出して設けられ、
前記クランクケース部の上に前記シリンダ部に隣接して始動モータが配設され、
前記始動モータは前記副シリンダ冷却液ジャケットの一部を挟んで前記シリンダボアと反対側に位置するようにしてもよい。
かつ始動モータは副シリンダ冷却液ジャケットの一部を挟んでシリンダボアと反対側に位置するので、副シリンダ冷却液ジャケットを流れる冷却液によりシリンダボアの発熱を遮断して始動モータへの熱の影響を低減できる。
本実施の形態に係る内燃機関1は、鞍乗型車両用の内燃機関であり、特に自動二輪車用内燃機関であって、直列2気筒の4ストローク水冷式内燃機関である。
図1および図2を参照して、本内燃機関1は、クランク軸10を左右方向に指向させて車両に横置きに搭載される。
なお、本明細書の説明において、前後左右の向きは、車両の直進方向を前方とする通常の基準に従うものとし、図面において、FRは前方を,RRは後方を、LHは左方を,RHは右方を示すものとする。
なお、シリンダヘッド5の上には、シリンダヘッドカバー7が被せられる。
っている。
クランクケース部3は、クランク軸10を軸支するクランク室の後方に変速機構が収容される変速室が形成されており、本内燃機関1はパワーユニット構造を構成している。
始動モータ55は、クランクケース部3から上方に延出したシリンダ部4に隣接してシリンダ部4の後側面に沿って左右方向に長尺に配設されている。
そして、シリンダ部4における左右のシリンダボア4b,4bの周囲には、シリンダウォータジャケット4Wが形成されている。
シリンダウォータジャケット4Wの筒状溝は、ループの内側と外側の対向する溝側面と溝底面によりチャンネル状に形成されている。
仕切部材15は樹脂製のプレート部材である。
仕切部材15が、シリンダウォータジャケット4Wに嵌入されたとき、図4を参照して、仕切部材15の外側面15aがシリンダウォータジャケット4Wの外側溝側面に接するとともに、フランジ部15fの内周端はシリンダウォータジャケット4Wの内側溝側面に接する。
フランジ部15fは、仕切部材15の下端に偏った位置に形成されているので、主シリンダウォータジャケット4Waは、副シリンダウォータジャケット4Wbより容積が大きい。
また、仕切部材15における右側円筒状部の右側部のフランジ部15fより上部に流入連通口18Iが上端から切り欠かれて形成されている。
したがって、シリンダ部4のシリンダウォータジャケット4Wとシリンダヘッド5のシリンダヘッドウォータジャケット5Wは、ガスケット6により概ね仕切られ、左右端部の連通孔6h,6hでのみ連通する。
また、燃焼室5bから斜め上前方に排気ポート5eが延出している。
シリンダヘッドウォータジャケット5Wは、吸気ポート5iおよび排気ポート5eの周囲にも形成されている。
ウォータポンプ20は、右ケースカバー9の側壁に形成されたポンプボディにインペラ20aが収納され、同インペラ20aがポンプカバー21により外側から覆われて構成されている。
また、右ケースカバー9には、吸入室21aから斜め上後方にバイパス通路孔26が壁内に穿孔されて形成されている。
バイパス通路孔26の上流側端部と連結開口部4Jとは、ともに内燃機関1の右側にあって近い距離にあるので、両者を連結するバイパス連通ホース25は短くてすむ。
図5および図6に示されるように、サーモスタット弁30は、ケーシング31がシリンダヘッド5の後側壁に一体に形成されており、左方に開放した開口を蓋部材32が覆い、内部に第1バルブ33と第2バルブ34の2つのバルブが収納されている。
リテイナ部37bは、バルブシート37の環状シート部37aから左方の蓋部材32の内部空間に突出している。
ばね受支持部材38は、バルブシート37から右方に延びた一対の支持片38a,38aの右端に環状のばね受部38bが形成されている。
第1バルブ33は、ばね受支持部材38のばね受部38bに一端を支持されたコイルばね41に付勢されてバルブシート37の環状シート部37aに当接する。
サーモエレメント35は、感温部35tがばね受支持部材38の環状のばね受部38bに摺動自在に支持されており、一方サーモエレメント35の左端部からはプランジャ36が左方の蓋部材32内に突出し、プランジャ36の先端が、バルブシート37に一体に形成されたリテイナ部37bの屈曲受け部37bbに当接保持されている。
支持棒35aに係合した止め輪39により移動を規制された第2バルブ34は、感温部35tとの間に介装された円錐状コイルばね42により右方に付勢されている。
第2バルブ34は、円筒本体部31aと小径円筒端部31bの間の段部31cに当接して閉弁することで、円筒本体部31aの内部空間と小径円筒端部31bの内部空間を仕切ることができる。
したがって、第1バルブ33は開弁してケーシング31の内部空間と蓋部材32の内部空間が連通し、同時に円錐状コイルばね42により付勢された第2バルブ34は段部31cに当接して閉弁して円筒本体部31aの内部空間と小径円筒端部31bの内部空間を仕切ることになる。
なお、第2バルブ34には、弁体に漏出通路となる貫通孔34pが形成されていて、第2バルブ34が閉弁時にも冷却水が漏出するように構成されている。
また、サーモスタット弁30のケーシング31は、シリンダヘッド5の後側壁に一体に形成されており、ケーシング31の円筒本体部31aの内部空間に、シリンダヘッド5のシリンダヘッドウォータジャケット5Wから延出した連通路45が開口している。
すなわち、サーモスタット弁30の小径円筒端部31bの内部空間は、バイパス連通路46,47を介してシリンダウォータジャケット4Wの下側の副シリンダウォータジャケット4Wbと連通している。
シリンダ部4の中央が括れたループ状をなす筒状溝であるシリンダウォータジャケット4Wは、仕切部材15のフランジ部15fによりシリンダヘッド5側(上側)の主シリンダウォータジャケット4Waとクランクケース部3側(下側)の副シリンダウォータジャケット4Wbに仕切られており、主シリンダウォータジャケット4Waと副シリンダウォータジャケット4Wbは、ともにシリンダ部4の左右端部間を連通する前後の前側流路と後側流路からなる。
サーモスタット弁30とウォータポンプ20は、機関本体2の左右に振り分けられて配置されている。
したがって、バイパス通路Pbの一部がシリンダ部4の既存の副シリンダウォータジャケット4Wbにより構成されるので、バイパス通路の形成が容易となり、バイパス通路Pbの外部配管が削減されて、部品点数が少なく構造を簡素化してコストの低減および内燃機関の軽量化が図られるとともに、機関本体の周辺を簡素化して外観を良好に保つことができる。
また、外部配管を削減してバイパス通路Pbをできるだけ短くして配管抵抗を小さくすることができる。
すなわち、サーモスタット弁30とウォータポンプ20は、シリンダボア4b,4bの配列方向で、シリンダボア4b,4bを挟んで両側にそれぞれ振り分けられて設けられるので、バイパス通路Pbのうち大部分を副シリンダウォータジャケット4Wbで構成でき、外部配管が削減されて、外部配管による放熱を抑えて暖機を促進するとともに、外観性を高め、かつ内燃機関の小型軽量化が図れる。
仕切部材65は、樹脂またはゴム製で、断面が台形状をしている。
同変形例は、シリンダ部70のシリンダウォータジャケット70Wが、溝幅が所定の深さで急に狭くなり段部70dを有し、かかるシリンダウォータジャケット70Wに、環状に形成された紐状の仕切部材75が段部70dまで嵌入され、シリンダウォータジャケット70Wが仕切部材75によりシリンダヘッド側(上側)の主シリンダウォータジャケット70Waとクランクケース部側(下側)の副シリンダウォータジャケット70Wbに仕切られる。
該仕切部材76は、ループ状に形成された筒状のプレート部材で、シリンダウォータジャケット70Wの溝幅より薄い樹脂プレート部材であり、下端には内側に向けてフランジ部76fが突出して形成されている。
クランクケース部81とは別体のシリンダ部82は、クランクケース部81との合せ面82mbよりシリンダスリーブ82sが下方に延出してクランクケース部81内に嵌入している。
主シリンダウォータジャケット82Waと副シリンダウォータジャケット82Wbは、互いに溝底が近づき、間に仕切部82fが形成されている。
なお、内燃機関は、前記直列2気筒の4ストローク水冷式内燃機関であり、同じ部材は同じ符号を用いる。
一方、バイパス通路Pbは、副シリンダウォータジャケット4Wbの前側流路(破線で示す)から後側流路(実線で示す)に廻り込む一方向の流路の端部(右端部)からサーモスタット弁30の第2バルブ34に至る通路であり、第2バルブ34により開閉する。
そして、サーモスタット弁30の第2バルブ34が開閉するバイパス通路Pbは、副シリンダウォータジャケット4Wbの前側流路(破線で示す)から後側流路(実線で示す)に廻り込む一方向の流路の端部(右端部)からウォータポンプ20に至る通路である。
4…シリンダ部、4b…シリンダボア、4W…シリンダウォータジャケット、4Wa…主シリンダウォータジャケット、4Wb…副シリンダウォータジャケット、4J…連結開口部、
5…シリンダヘッド(シリンダヘッド部)、5b…燃焼室、5i…吸気ポート、5p…吸気接続管部、5e…排気ポート、5W…シリンダヘッドウォータジャケット、
6…ガスケット、7…シリンダヘッドカバー、8…左ケースカバー、9…右ケースカバー、
10…クランク軸、15…仕切部材、15f…フランジ部、17I…流入連通口、17E…流出連通口、18I…流入連通口、
20…ウォータポンプ、20a…インペラ、21…ポンプカバー、21a…吸入室、22…吸入接続管、24…吐出路、24a…吐出口、25…バイパス連通ホース、26…バイパス通路孔、
30…サーモスタット弁、31…ケーシング、31a…円筒本体部、31b…小径円筒端部、32…蓋部材、33…第1バルブ、34…第2バルブ、35…サーモエレメント、35t…感温部、35a…支持棒、36…プランジャ、37…バルブシート、37a…環状シート部、37b…リテイナ部、38…ばね受支持部材、39…止め輪、41…コイルばね、42…円錐状コイルばね、44…流出接続管、45…連通路、46…バイパス連通路、47…バイパス連通路、48…連通口、
50…ラジエータ、51…ラジエータ流入ホース、52…ラジエータ流出ホース、55…始動モータ、
60…シリンダ部、60W…シリンダウォータジャケット,60Wa…主シリンダウォータジャケット、60Wb…副シリンダウォータジャケット、65…仕切部材、
70…シリンダ部、70W…シリンダウォータジャケット,70Wa…主シリンダウォータジャケット、70Wb…副シリンダウォータジャケット、75…仕切部材、
81…クランクケース部、82…シリンダ部、82s…シリンダスリーブ、82f…仕切部、82Wa…主シリンダウォータジャケット、82Wb…副シリンダウォータジャケット。
Claims (8)
- 内燃機関のクランクケース部(3)とシリンダ部(4)とシリンダヘッド部(5)から構成される機関本体(2)におけるシリンダ部(4)とシリンダヘッド部(5)にそれぞれシリンダ冷却液ジャケット(4W)とシリンダヘッド冷却液ジャケット(5W)が設けられ、
冷却液ポンプ(20)により冷却液を前記シリンダ冷却液ジャケット(4W)と前記シリンダヘッド冷却液ジャケット(5W)に循環させる冷却液循環経路に、ラジエータ(50)を経由するラジエータ経由通路(Pr)と前記ラジエータ(50)を迂回するバイパス通路(Pb)が介装され、
前記ラジエータ経由通路(Pr)による循環と前記バイパス通路(Pb)による循環を切替えるサーモスタット弁(30)が設けられた内燃機関の冷却構造において、
前記サーモスタット弁(30)は、前記ラジエータ経由通路(Pr)を開閉する第1バルブ(33)と前記バイパス通路(Pb)を開閉する第2バルブ(34)とを同時に作動可能に備え、
前記シリンダ部(4)のシリンダボア(4b)の周囲の前記シリンダ冷却液ジャケット(4W)は、シリンダ軸線方向に2つに仕切られて、前記シリンダヘッド部(5)側の主シリンダ冷却液ジャケット(4Wa)と前記クランクケース部(3)側の副シリンダ冷却液ジャケット(4Wb)が形成され、
前記バイパス通路(Pb)は、冷却液が前記サーモスタット弁(30)を経由することで前記主シリンダ冷却液ジャケット(4Wa)から前記副シリンダ冷却液ジャケット(4Wb)を流れる通路であることを特徴とする内燃機関の冷却構造。 - 前記主シリンダ冷却液ジャケット(4Wa)は、前記副シリンダ冷却液ジャケット(4Wb)より容積が大きいことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の冷却構造。
- 前記第2バルブ(34)には、閉弁時に冷却液が漏出する漏出通路(34p)が形成されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の内燃機関の冷却構造。
- 前記サーモスタット弁(30)は、前記機関本体(2)に一体に設けられることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の内燃機関の冷却構造。
- 前記シリンダ部(4)は、複数のシリンダボア(4b)が直列に配列されて構成され、
前記サーモスタット弁(30)は、シリンダボア(4b)の配列方向で両端の最外側シリンダボア(4b)のうち一方の最外側シリンダボア(4b)の近傍に設けられることを特徴とする請求項4記載の内燃機関の冷却構造。 - 前記冷却液ポンプ(20)は、内燃機関におけるシリンダボア(4b)の配列方向で前記サーモスタット弁(30)と反対側に設けられることを特徴とする請求項5記載の内燃機関の冷却構造。
- 前記冷却液ポンプ(20)は、内燃機関におけるシリンダボア(4b)の配列方向で前記サーモスタット弁(30)と同じ側に設けられることを特徴とする請求項5記載の内燃機関の冷却構造。
- 前記シリンダ部(4)は、前記クランクケース部(3)から上方に延出して設けられ、
前記クランクケース部(3)の上に前記シリンダ部(4)に隣接して始動モータ(55)が配設され、
前記始動モータ(55)は前記副シリンダ冷却液ジャケット(4Wb)の一部を挟んで前記シリンダボア(4b)と反対側に位置することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項記載の内燃機関の冷却構造。
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