JP6909402B2 - 排ガス浄化用触媒担体、それを用いた排ガス浄化用触媒、及び排ガス浄化用触媒担体の製造方法 - Google Patents

排ガス浄化用触媒担体、それを用いた排ガス浄化用触媒、及び排ガス浄化用触媒担体の製造方法 Download PDF

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本発明は、排ガス浄化用触媒担体、それを用いた排ガス浄化用触媒、及び排ガス浄化用触媒担体の製造方法に関する。
従来から、様々な金属酸化物を含有する複合酸化物が排ガス浄化用触媒担体等として利用されてきた。このような複合酸化物中の金属酸化物としては、雰囲気中の酸素分圧に応じて酸素の吸放出が可能である(酸素吸蔵放出能を持つ)ことから、セリアが好適に用いられてきた。しかしながら、セリアは耐熱性が低く、セリアを含む担体に貴金属粒子を担持した排ガス浄化用触媒は、高温に曝されると、貴金属粒子が粒成長するため、触媒活性が低下するという問題があった。
そこで、このような貴金属粒子の粒成長を抑制した排ガス浄化用触媒として、例えば、特開2007−229653号公報(特許文献1)には、貴金属粒子と、この貴金属粒子を担持するセリア等の化合物担体と、この貴金属粒子を担持した前記化合物担体を内包し、この内包された前記化合物担体同士を離隔する、平均アスペクト比等の物理的性状の異なる2種以上のアルミナ等の包接材とを有する排ガス浄化用触媒が開示されている。この排ガス浄化用触媒においては、貴金属粒子を担持した前記化合物担体が物理的性状の異なる2種以上の包接材により内包され、かつ、前記化合物担体同士が前記包接材により離隔された構造を有しているため、貴金属粒子の凝集が抑制され、長期間にわたり貴金属粒子の活性向上効果が維持される。しかしながら、貴金属粒子を担持した前記化合物担体が物理的性状の異なる2種以上の包接材により内包された構造では、細孔容量が非常に小さく、また、細孔構造を制御できないため、ガスの拡散性が低く、高い酸素吸放出速度が得られないという問題があった。
特開2007−229653号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、高温に曝された場合であっても優れた酸素吸放出速度(OSC速度)を示す排ガス浄化用触媒、このような触媒を形成することが可能な排ガス浄化用触媒担体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、粒子状酸化物及びその前駆体のうちの少なくとも一方を含有するナノコロイドと、平均アスペクト比が大きい繊維状アルミナ系酸化物とを含有するナノコロイドゾルを用いることによって、メソ細孔の細孔容量が大きい焼成粉末が得られることを見出し、さらに、この焼成粉末が、高温に曝された場合であっても優れた酸素吸放出速度(OSC速度)を示す排ガス浄化用触媒の担体として有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の排ガス浄化用触媒担体は、平均短径が1〜20nmかつ平均アスペクト比が10以上である繊維状アルミナ系酸化物と、平均一次粒子径が1〜20nmかつ平均アスペクト比が3以下であり、セリアを含有する粒子状酸化物と、を含有し、細孔直径が3〜50nmのメソ細孔を有し、該メソ細孔の触媒担体1g当たりの全細孔容量が0.3cm /g以上であることを特徴とするものである。
さらに、本発明の排ガス浄化用触媒担体においては、前記粒子状酸化物が前記繊維状アルミナ系酸化物上に担持されていることが好ましく、また、前記繊維状アルミナ系酸化物が網目状構造を形成していることが好ましく、さらに、前記粒子状酸化物が、セリアを含有する複合酸化物であることが好ましく、セリアとジルコニアとを含有する複合酸化物であることがより好ましい
本発明の排ガス浄化用触媒は、このような本発明の排ガス浄化用触媒担体と、この触媒担体に担持されている貴金属とを含有するものである。
本発明の排ガス浄化用触媒担体の製造方法は、セリアを含有する粒子状酸化物及びその前駆体のうちの少なくとも一方を含有するナノコロイドと、平均短径が1〜20nmかつ平均アスペクト比が10以上である繊維状アルミナ系酸化物とを混合してナノコロイドゾルを調製し、該ナノコロイドゾルにアミン化合物を添加した後、生成した固体成分に乾燥処理及び焼成処理を施して触媒担体を得ることを特徴とする。
なお、本発明の排ガス浄化用触媒が、高温に曝された場合であっても優れた酸素吸放出速度(OSC速度)を示す理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の排ガス浄化用触媒担体は、平均アスペクト比が大きな繊維状アルミナ系酸化物と粒子状酸化物とを含有するものであり、このような触媒担体においては、図1に示すように、繊維状アルミナ系酸化物1が互いに絡み合った構造(好ましくは、網目状構造)を形成しており、この絡み合った繊維状アルミナ系酸化物1の表面に粒子状酸化物2が配置(好ましくは、担持)された構造を形成している。また、本発明の排ガス浄化用触媒は、このような触媒担体に貴金属が担持されたものである。本発明の排ガス浄化用触媒においては、繊維状アルミナ系酸化物の表面に粒子状酸化物が配置されており、この繊維状アルミナ系酸化物の表面に粒子状酸化物が配置された触媒担体に貴金属が担持されているため、アルミナの拡散障壁機能により、高温下における粒子状酸化物や貴金属のシンタリングによる粒成長が抑制され、触媒活性の低下が抑制されると推察される。また、本発明の排ガス浄化用触媒においては、絡み合った繊維状アルミナ系酸化物によって容量の大きな細孔(特に、メソ細孔)が形成されるため、ガスの拡散性が高くなり、優れた酸素吸放出速度(OSC速度)が得られると推察される。そして、繊維状アルミナ系酸化物が互いに絡み合った構造は、アルミナの空間保持機能により、高温下においても、その形状が保持され、大きな細孔容量(特に、メソ細孔の細孔容量)は維持されるため、高いガス拡散性が得られるとともに、粒子状酸化物や貴金属のシンタリングによる粒成長が抑制されて触媒活性の低下が抑制されると推察される。このように、本発明の優れた排ガス浄化用触媒は、高温に曝された場合であっても、粒子状酸化物や貴金属のシンタリングによる粒成長が抑制されて触媒活性の低下が抑制され、さらに、大きな細孔容量(特に、メソ細孔の細孔容量)が維持されて高いガス拡散性が得られるため、優れた酸素吸放出速度(OSC速度)及び触媒活性を示すと推察される。
一方、アルミナ粒子と他の粒子状酸化物(例えば、セリア−ジルコニア系複合酸化物粒子)とを含有する従来の排ガス浄化用触媒担体においては、図2及び図3に示すように、扁球状又は針状のアルミナ粒子3と他の粒子状酸化物4とが凝集した構造を形成している。このようなアルミナ粒子と他の粒子状酸化物とが凝集した構造においては、容量の大きな細孔(特に、メソ細孔)が形成されにくく、本発明の排ガス浄化用触媒担体に比べて、細孔容量(特に、メソ細孔の細孔容量)が小さくなるため、ガスの拡散性が低下し、さらに、高温に曝された場合に、粒子状酸化物や貴金属のシンタリングによる粒成長が十分に抑制されないため、触媒活性が低下し、酸素吸放出速度(OSC速度)が遅くなると推察される。
本発明によれば、高温に曝された場合であっても優れた酸素吸放出速度(OSC速度)を示す排ガス浄化用触媒、並びに、このような触媒を形成することが可能な排ガス浄化用触媒担体を得ることが可能となる。
本発明の排ガス浄化用触媒担体の一実施態様を示す模式図である。 アルミナ粒子と他の酸化物粒子とを含有する従来の排ガス浄化用触媒担体の一例を示すグラフである。 アルミナ粒子と他の酸化物粒子とを含有する従来の排ガス浄化用触媒担体の他の一例を示すグラフである。 実施例1で得られた焼成粉末の透過型電子顕微鏡写真である。 実施例1で得られた焼成粉末の拡大した透過型電子顕微鏡写真である。 比較例2で得られた焼成粉末の透過型電子顕微鏡写真である。 比較例2で得られた焼成粉末の拡大した透過型電子顕微鏡写真である。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
〔排ガス浄化用触媒担体〕
先ず、本発明の排ガス浄化用触媒担体について説明する。本発明の排ガス浄化用触媒担体は、平均短径が1〜20nmかつ平均アスペクト比が10以上である繊維状アルミナ系酸化物と、平均一次粒子径が1〜20nmかつ平均アスペクト比が3以下である粒子状酸化物と、を含有するものである。
本発明の排ガス浄化用触媒担体において、繊維状アルミナ系酸化物の平均短径は1〜20nmである。繊維状アルミナ系酸化物の平均短径が前記下限未満になると、繊維状アルミナ系酸化物の熱安定性が低下し、粒子状酸化物及び繊維状アルミナ系酸化物のシンタリングを誘発しやすくなり、繊維状アルミナ系酸化物の絡み合った構造が維持できなくなるおそれがあり、他方、前記上限を超えると、粒子状酸化物とナノレベルで均一に混合された状態を形成することが困難となる。また、拡散障壁としての機能が十分に発現し、粒子状酸化物のシンタリングが抑制されるという観点から、繊維状アルミナ系酸化物の平均短径としては、3〜10nmが好ましく、3〜8nmがより好ましい。
また、本発明の排ガス浄化用触媒担体において、繊維状アルミナ系酸化物の平均アスペクト比は10以上である。繊維状アルミナ系酸化物の平均アスペクト比が前記下限未満になると、繊維状アルミナ系酸化物が互いに絡み合った構造が形成されず、容量の大きな細孔(特に、メソ細孔)が形成されないため、ガスの拡散性が低下し、高い酸素吸放出速度(OSC速度)が得られない。また、繊維状アルミナ系酸化物が互いに絡み合った構造が形成され、容量の大きな細孔(特に、メソ細孔)が形成されるため、ガス拡散性が高くなり、酸素吸放出速度(OSC速度)が向上するという観点から、繊維状アルミナ系酸化物の平均アスペクト比としては、20以上が好ましく、25以上がより好ましく、50以上が更に好ましい。なお、繊維状アルミナ系酸化物の平均アスペクト比の上限としては特に制限はないが、排ガス浄化用触媒として用いる粒子の大きさが数百nm〜数十μmであることから、1000以下が好ましく、750以下がより好ましい。
なお、本発明において、繊維状アルミナ系酸化物の平均短径及び平均アスペクト比は以下の方法により求められる。すなわち、排ガス浄化用触媒担体を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察し、得られるTEM写真において、無作為に10個の繊維状アルミナ系酸化物を抽出し、各繊維状アルミナ系酸化物の長軸方向の長さ(長径)及び長軸方向に垂直な方向の長さ(短径)を測定し、抽出した10個の繊維状アルミナ系酸化物についての平均長径及び平均短径を求め、さらに、平均アスペクト比(=平均長径/平均短径)を算出する。
このような繊維状アルミナ系酸化物としては、アルミナのみからなるものであってもよいし、アルミナと他の金属酸化物との複合酸化物であってもよい。前記他の金属酸化物としては、ランタナ(La)、酸化バリウム(BaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、イットリア(Y)が挙げられる。前記複合酸化物においては、これらの他の金属酸化物のうちの1種とアルミナとが複合酸化物を形成していてもよいし、2種以上とアルミナとが複合酸化物を形成していてもよい。
本発明の排ガス浄化用触媒担体において、このような繊維状アルミナ系酸化物は互いに絡み合った構造を形成していることが好ましく、網目状構造を形成していることがより好ましい。繊維状アルミナ系酸化物がこのような構造を形成することによって、容量の大きな細孔(特に、メソ細孔)が形成されるため、ガスの拡散性が高くなり、酸素吸放出速度(OSC速度)が向上する傾向にある。
また、本発明の排ガス浄化用触媒担体において、粒子状酸化物の平均一次粒子径は1〜20nmである。粒子状酸化物の平均一次粒子径が前記下限未満になる、又は、前記上限を超えると、繊維状アルミナ系酸化物とナノレベルで均一に混合された状態を形成することが困難となる。また、酸素吸放出活性や触媒活性のシンタリングによる低下が抑制されるという観点から、粒子状酸化物の平均一次粒子径としては、3〜20nmが好ましく、5〜18nmがより好ましい。
さらに、本発明の排ガス浄化用触媒担体において、粒子状酸化物の平均アスペクト比は3以下である。粒子状酸化物の平均アスペクト比が前記上限を超えると、粒子状酸化物の粒子径が粗大となり、触媒活性が低下する。また、特定の結晶面の異常成長やシンタリングを防止するという観点から、粒子状酸化物の平均アスペクト比としては、2.5以下が好ましく、1.5以下がより好ましい。なお、粒子状酸化物の平均アスペクト比の下限は通常1以上である。また、このような粒子状酸化物の形状としては平均アスペクト比が前記範囲を満たすものであれば特に制限はなく、例えば、真球状、扁球状、長球状等が挙げられる。
なお、本発明において、粒子状酸化物の平均一次粒子径及び平均アスペクト比は以下の方法により求められる。すなわち、排ガス浄化用触媒担体を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察し、得られるTEM写真において、無作為に10個の粒子状酸化物(一次粒子)を抽出し、各粒子状酸化物(一次粒子)の長軸方向の長さ(長径)及び長軸方向に垂直な方向の長さ(短径)を測定し、長径と短径との算術平均値をその一次粒子の粒子径とし、抽出した10個の粒子状酸化物(一次粒子)の平均粒子径(平均一次粒子径)を求める。また、抽出した10個の粒子状酸化物(一次粒子)についての平均長径及び平均短径を求め、平均アスペクト比(=平均長径/平均短径)を算出する。
このような粒子状酸化物としては、セリア(CeO)、ジルコニア(ZrO)、ランタナ(La)、イットリア(Y)、酸化プラセオジム(Pr)、アルミナ(Al)、酸化ネオジム(Nd)、チタニア(TiO)、酸化鉄(III)(Fe)、酸化ニッケル(NiO)、及び酸化銅(II)(CuO)からなる群から選択される少なくとも1種の酸化物が好ましい。前記粒子状酸化物がこれらの酸化物の2種以上からなるものである場合、それらは混合物(混合酸化物)であっても、複合物(複合酸化物)であってもよい。また、このような酸化物のうち、酸素吸放出性能及び排ガス浄化活性に優れているという観点から、セリア(CeO)を含有する複合酸化物がより好ましく、セリア(CeO)とジルコニア(ZrO)とを含有する複合酸化物が更に好ましく、セリア(CeO)とジルコニア(ZrO)とランタナ(La)とイットリア(Y)との複合酸化物が特に好ましい。
本発明の排ガス浄化用触媒担体は、このような繊維状アルミナ系酸化物と粒子状酸化物とを含有するものである。本発明の排ガス浄化用触媒担体において、前記粒子状酸化物は、前記繊維状アルミナ系酸化物上(より好ましくは、表面上)に配置(より好ましくは、担持)されていることが好ましく、前記繊維状アルミナ系酸化物により形成された網目状構造中に一次粒子レベルで均一に担持されていることが特に好ましい。
このような排ガス浄化用触媒担体において、前記繊維状アルミナ系酸化物の含有量としては、触媒担体全体に対して20〜80質量%が好ましく、25〜60質量%がより好ましく、30〜50質量%であることが更に好ましい。前記繊維状アルミナ系酸化物の含有量が前記下限未満になると、アルミナによる拡散障壁機能が小さくなり、高温下における粒子状酸化物や貴金属のシンタリングによる粒成長が十分に抑制されないため、触媒活性が低下し、酸素吸放出速度(OSC速度)が遅くなる傾向にある。他方、前記繊維状アルミナ系酸化物の含有量が前記上限を超えると、相対的に前記粒子状酸化物の含有量が少なくなるため、酸素吸蔵放出能(OSC能)が低下し、酸素吸放出速度(OSC速度)が遅くなる傾向にある。
また、前記粒子状酸化物の含有量としては、触媒担体全体に対して20〜80質量%が好ましく、40〜70質量%がより好ましい。前記粒子状酸化物の含有量が前記下限未満になると、酸素吸蔵放出能(OSC能)が低下し、酸素吸放出速度(OSC速度)が遅くなる傾向にある。他方、前記粒子状酸化物の含有量が前記上限を超えると、相対的に前記繊維状アルミナ系酸化物の含有量が少なくなるため、アルミナによる拡散障壁機能が小さくなり、高温下における粒子状酸化物や貴金属のシンタリングによる粒成長が十分に抑制されず、触媒活性が低下し、酸素吸放出速度(OSC速度)が遅くなる傾向にある。
さらに、本発明の排ガス浄化用触媒担体は、細孔直径が3〜50nmのメソ細孔を有していることが好ましく、このメソ細孔の触媒担体1g当たりの全細孔容量が0.3cm/g以上であることが好ましく、0.4cm/g以上であることがより好ましい。メソ細孔の全細孔容量が前記下限未満になると、ガスの拡散性が低下するとともに、高温に曝された場合に、粒子状酸化物や貴金属のシンタリングによる粒成長が十分に抑制されず、触媒活性が低下するため、酸素吸放出速度(OSC速度)が遅くなる傾向にある。なお、メソ細孔の全細孔容量の上限としては特に制限はないが、貴金属と粒子状酸化物等との相互作用を維持させるという観点から、2cm/g以下が好ましく、1cm/g以下がより好ましい。
また、本発明の排ガス浄化用触媒担体は、細孔直径が50〜1000nmのマクロ細孔を有していることが好ましく、このマクロ細孔の触媒担体1g当たりの全細孔容量が0.4cm/g以上であることが好ましく、0.5cm/g以上であることがより好ましい。マクロ細孔の全細孔容量が前記下限未満になると、排ガス成分の触媒内部への拡散性が低下する傾向にある。なお、マクロ細孔の全細孔容量の上限としては特に制限はないが、排ガス浄化触媒の嵩増大による触媒層の圧力損失の不必要な増大を防止するという観点から、3cm/g以下が好ましく、2cm/g以下がより好ましい。
なお、本発明において、メソ細孔及びマクロ細孔の細孔容量は水銀圧入法により求められる。すなわち、触媒担体に水銀を高圧で注入し、加えた圧力と水銀の注入量との関係を求める。加えた圧力から細孔直径を算出し、水銀の注入量から細孔容量を算出し、これらをプロットして細孔分布曲線を求め、この細孔分布曲線からマクロ細孔の全細孔容量を算出する。
さらに、本発明の排ガス浄化用触媒担体のBET比表面積としては特に制限はないが、10〜200m/gが好ましく、20〜100m/gがより好ましい。BET比表面積が前記下限未満になると、酸素吸蔵放出能(OSC能)が低下し、酸素吸放出速度(OSC速度)が遅くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、触媒担体の嵩が増大し、触媒層の圧力損失が過大になる傾向にある。なお、本発明において、「BET比表面積」は触媒担体の窒素吸着等温線からBET等温吸着式を用いて算出することができる。
〔排ガス浄化用触媒〕
次に、本発明の排ガス浄化用触媒について説明する。本発明の排ガス浄化用触媒は、前記本発明の排ガス浄化用触媒担体と、前記触媒担体に担持されている貴金属とを含有するものである。前記本発明の排ガス浄化用触媒担体が、容量の大きな細孔(特に、メソ細孔)を有し、高温下においても細孔容量(特に、メソ細孔の細孔容量)が変化しにくいものであるため、本発明の排ガス浄化用触媒は、高温に曝された場合であっても、ガスの拡散性が高く、高い酸素吸放出速度(OSC速度)を示す。また、細孔容量が大きいため、貴金属のシンタリングによる粒成長が起こりにくく、高い触媒活性を示す。
本発明の排ガス浄化用触媒において、前記貴金属としては、パラジウム、ロジウム、白金、イリジウム、ルテニウム等が挙げられる。これらの貴金属は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。これらの貴金属のうち、排ガス浄化用触媒としての活性の観点から、パラジウム、ロジウム、白金が好ましい。貴金属の担持量としては特に制限はなく、得られる触媒の用途に応じて適宜調整されるが、排ガス浄化用触媒担体100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましい。
本発明の排ガス浄化用触媒において、その形態は特に制限されず、例えば、前記触媒を粒子の形態のまま用いてもよく、或いは、前記触媒を基材に担持したハニカム形状のモノリス触媒や、前記触媒をペレット形状に成形したペレット触媒の形態等として用いてもよい。ここで用いられる基材も特に制限されず、パティキュレートフィルタ基材(DPF基材)、モノリス状基材、ペレット状基材、プレート状基材等を好適に採用することができる。また、このような基材の材質も特に制限されないが、コーディエライト、炭化ケイ素、チタン酸アルミ、ムライト等のセラミックスからなる基材や、クロム及びアルミニウムを含むステンレススチール等の金属からなる基材を好適に採用することができる。さらに、本発明の排ガス浄化用触媒においては、その効果を損なわない範囲で各種触媒に用いることが可能な他の成分が適宜担持されていてもよい。
〔排ガス浄化用触媒担体の製造方法〕
次に、本発明の排ガス浄化用触媒担体の製造方法について説明する。本発明の排ガス浄化用触媒担体の製造方法は、粒子状酸化物及びその前駆体のうちの少なくとも一方を含有するナノコロイドと、平均短径が1〜20nmかつ平均アスペクト比が10以上である繊維状アルミナ系酸化物とを混合してナノコロイドゾルを調製し、このナノコロイドゾルにアミン化合物を添加した後、生成した固体成分に乾燥処理及び焼成処理を施して触媒担体を得る方法である。
本発明の排ガス浄化用触媒担体の製造に用いられる、粒子状酸化物及びその前駆体のうちの少なくとも一方を含有するナノコロイドとしては特に制限はなく、例えば、特開2010−22894号公報に記載の超微粒子の製造方法に従って調製することができる。すなわち、所望の粒子状酸化物の前駆体(例えば、酢酸塩、硝酸塩、塩化物、硫酸塩、亜硫酸塩、無機錯塩等の所望の金属の塩)を含有する原料溶液と、中和剤(例えば、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ポリエチレンイミン等のアミン化合物)を含有する中和剤溶液とを混合することによって前記ナノコロイドが得られる。このとき、前記原料溶液と前記中和剤溶液とを高せん断速度(例えば、5000〜40000sec−1)下において混合することによって、微細かつ均一性の高いナノコロイドが得られる。このような高せん断速度下における混合は、例えば、特開2010−22894号公報に記載の超微粒子の製造装置を使用することによって行うことができる。
また、本発明の排ガス浄化用触媒担体の製造方法においては、平均短径が1〜20nm(好ましくは3〜10nm、より好ましくは3〜8nm)であり、平均アスペクト比が10以上(好ましくは20以上、より好ましくは25以上、更に好ましくは50以上)である繊維状アルミナ系酸化物であれば特に制限なく、原料として使用することができるが、平均アスペクト比が大きい繊維状アルミナ系酸化物を含有する触媒担体が得られるという観点から、平均アスペクト比が200以上(特に好ましくは、300以上)の繊維状アルミナ系酸化物を原料として使用することが更に好ましい。このような繊維状アルミナ系酸化物原料としては、市販のアルミナナノファイバー等を使用することができる。また、このような原料の繊維状アルミナ系酸化物の平均アスペクト比や平均短径を調整することによって、得られる触媒担体において、繊維状アルミナ系酸化物により形成される構造(好ましくは、網目状構造細孔)を適宜制御することが可能であり、例えば、細孔(特に、メソ細孔)の大きさを適宜調整することができる。
本発明の排ガス浄化用触媒担体の製造方法においては、先ず、前記ナノコロイドと前記繊維状アルミナ系酸化物とを混合してナノコロイドゾルを調製する。前記ナノコロイドと前記繊維状アルミナ系酸化物との混合方法としては特に制限はなく、プロペラ攪拌による混合であっても、特開2010−22894号公報に記載の超微粒子の製造装置を用いた混合であってもよいが、平均アスペクト比が大きい繊維状アルミナ系酸化物を含有する触媒担体が得られるという観点から、プロペラ攪拌による混合が好ましい。
また、前記ナノコロイドと前記繊維状アルミナ系酸化物との混合割合としては、粒子状酸化物換算の前記ナノコロイド配合量と前記繊維状アルミナ系酸化物配合量との合計量に対して、前記繊維状アルミナ系酸化物の配合量が20〜80質量%であることが好ましく、25〜60質量%であることがより好ましく、30〜50質量%であることが更に好ましい。前記繊維状アルミナ系酸化物の配合量が前記下限未満になると、得られる触媒担体において、アルミナによる拡散障壁機能が小さくなり、高温下における粒子状酸化物や貴金属のシンタリングによる粒成長が十分に抑制されないため、触媒活性が低下し、酸素吸放出速度(OSC速度)が遅くなる傾向にある。他方、前記繊維状アルミナ系酸化物の配合量が前記上限を超えると、得られる触媒担体において、相対的に前記粒子状酸化物の含有量が少なくなるため、酸素吸蔵放出能(OSC能)が低下し、酸素吸放出速度(OSC速度)が遅くなる傾向にある。
次に、このようにして得られたナノコロイドゾルにアミン化合物を添加して固体成分を生成させる。前記アミン化合物としては、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
その後、得られた固体成分に乾燥処理及び焼成処理を施して、所望の焼成物(触媒担体)を得る。乾燥処理及び焼成処理の条件としては特に制限はないが、乾燥温度としては100〜200℃が好ましく、乾燥時間としては6〜24時間が好ましい。また、焼成温度としては300〜1000℃が好ましく、焼成時間としては5〜24時間が好ましい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
先ず、硝酸アンモニウムセリウム(和光純薬工業株式会社製)41.12g、オキシ硝酸ジルコニル水溶液(キャタラー株式会社製、ZrO換算濃度:18質量%)94.67g、硝酸イットリウム(関東化学株式会社製)3.21g、硝酸ランタン(和光純薬工業株式会社製)4.84g、及びアミノヘキサン酸(和光純薬工業株式会社製)52.4gの混合物にイオン交換水を添加して総量1Lの原料水溶液を調製した。また、中和剤であるエチレンジアミン(和光純薬工業株式会社製)18gにイオン交換水を添加して総量1Lの中和剤水溶液を調製した。
次に、特開2010−22894号公報に記載の超微粒子の製造装置(スーパーアジテーションリアクター)を用い、ローターを10000rpmの回転速度で回転させながら、前記原料水溶液1Lと前記中和剤水溶液1Lとをそれぞれ10ml/minの供給速度で供給して混合し、淡黄色のセリア−ジルコニア−ランタナ−イットリアのナノコロイド(CZLYナノコロイド)溶液を調製した。また、アルミナナノファイバーゾル(川研ファインケミカル株式会社製「F−3000」、短径:4nm、長径:3000nm)272.42gにイオン交換水を添加して総量1Lのアルミナナノファイバーゾルを調製した。
次に、特開2010−22894号公報に記載の超微粒子の製造装置(スーパーアジテーションリアクター)を用い、ローターを3400rpmの回転速度で回転させながら、前記CZLYナノコロイド溶液1Lと前記アルミナナノファイバーゾル1Lとをそれぞれ10ml/minの供給速度で供給して混合し、前記アルミナナノファイバーと前記CZLYナノコロイドとを含有するナノコロイドゾルを調製した。
得られたナノコロイドゾルにエチレンジアミンを滴下した後、遠心分離と水洗とを2回ずつ繰返し、さらに、デカンテーションを行なって固体成分を回収した。得られた固体成分をポリエチレングリコール6000の水溶液(濃度0.6モル/L)500mlに再分散させた後、得られたゾルを、大気中、100℃で10時間、さらに250℃で3時間仮焼して乾燥及び脱脂した。得られた仮焼粉末をアルミナるつぼに入れ、大気中、350℃で12時間、さらに900℃で5時間焼成した。その後、得られた焼成粉末の粒径を粉砕と篩分けにより75μm以下に調整した。この焼成粉末において、アルミナナノファイバーの含有量は焼成粉末全体に対して30質量%であり、前記CZLYの含有量は焼成粉末全体に対して70質量%であった。
(実施例2)
アルミナファイバーゾルとして、川研ファインケミカル株式会社製「F−1000」(短径:4nm、長径:1400nm)272.42gを用い、前記CZLYナノコロイド溶液1Lと前記アルミナナノファイバーゾル1Lとを、プロペラ攪拌機を用いて200rpmの攪拌速度で撹拌した以外は実施例1と同様にして、粒径が75μm以下の焼成粉末を得た。この焼成粉末において、アルミナナノファイバーの含有量は焼成粉末全体に対して30質量%であり、前記CZLYの含有量は焼成粉末全体に対して70質量%であった。
(実施例3)
前記CZLYナノコロイド溶液1Lと前記アルミナナノファイバーゾル1Lとを、プロペラ攪拌機を用いて200rpmの攪拌速度で撹拌した以外は実施例1と同様にして、粒径が75μm以下の焼成粉末を得た。この焼成粉末において、アルミナナノファイバーの含有量は焼成粉末全体に対して30質量%であり、前記CZLYの含有量は焼成粉末全体に対して70質量%であった。
(比較例1)
先ず、硝酸アルミニウム(和光純薬工業株式会社製)100.13g、硝酸アンモニウムセリウム(和光純薬工業株式会社製)41.12g、オキシ硝酸ジルコニル水溶液(キャタラー株式会社製、ZrO換算濃度:18質量%)94.67g、硝酸イットリウム(関東化学株式会社製)3.21g、硝酸ランタン(和光純薬工業株式会社製)4.84g、及びアミノヘキサン酸(和光純薬工業株式会社製)52.4gの混合物にイオン交換水を添加して総量1Lの原料水溶液を調製した。また、中和剤であるエチレンジアミン(和光純薬工業株式会社製)25gにイオン交換水を添加して総量1Lの中和剤水溶液を調製した。
次に、特開2010−22894号公報に記載の超微粒子の製造装置(スーパーアジテーションリアクター)を用い、ローターを3400rpmの回転速度で回転させながら、前記原料水溶液1Lと前記中和剤水溶液1Lとをそれぞれ10ml/minの供給速度で供給して混合し、アルミナナノコロイドとセリア−ジルコニア−ランタナ−イットリアのナノコロイド(CZLYナノコロイド)とを含有する淡黄色のナノコロイドゾルを調製した。
得られたナノコロイドゾルにエチレンジアミンを滴下した後、遠心分離と水洗とを2回ずつ繰返し、さらに、デカンテーションを行なって固体成分を回収した。得られた固体成分をポリエチレングリコール6000の水溶液(濃度0.6モル/L)500mlに再分散させた後、得られたゾルを、大気中、100℃で10時間、さらに250℃で3時間仮焼して乾燥及び脱脂した。得られた仮焼粉末をアルミナるつぼに入れ、大気中、350℃で12時間、さらに900℃で5時間焼成した。その後、得られた焼成粉末の粒径を粉砕と篩分けにより75μm以下に調整した。この焼成粉末において、アルミナの含有量は焼成粉末全体に対して30質量%であり、前記CZLYの含有量は焼成粉末全体に対して70質量%であった。
(比較例2)
前記固体成分をポリエチレングリコール6000の水溶液(濃度0.6モル/L)500mlに再分散させたゾルを、仮焼する前に、150℃で12時間保温して熟成させた以外は比較例1と同様にして、粒径が75μm以下の焼成粉末を得た。この焼成粉末において、アルミナの含有量は焼成粉末全体に対して30質量%であり、前記CZLYの含有量は焼成粉末全体に対して70質量%であった。
<TEM観察、平均粒子径及び平均アスペクト比の測定>
実施例及び比較例で得られた各焼成粉末を、大気中、1100℃で5時間加熱した後、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製「JEM−ARM200F」)を用いて観察した。図4Aは実施例1で得られた焼成粉末のTEM写真であり、図4Bは図4Aを拡大したTEM写真であり、図5Aは比較例2で得られた焼成粉末のTEM写真であり、図5Bは図5Aを拡大したTEM写真である。
図4A及び図4Bに示したTEM写真から明らかなように、実施例1で得られた焼成粉末においては、図1に示したように、アルミナナノファイバー(TEM写真においては筋状の薄灰色部分)が網目状構造を形成しており、この網目状のアルミナナノファイバーにCZLY粒子(TEM写真においては黒色部分)が担持されていることが確認された。また、実施例2〜3で得られた焼成粉末についても同様に、網目状のアルミナナノファイバーにCZLY粒子が担持されていた。
一方、図5A及び図5Bに示したTEM写真から明らかなように、比較例2で得られた焼成粉末においては、図2に示したように、針状のアルミナ粒子(TEM写真においては薄灰色部分)と球状のCZLY粒子(TEM写真においては黒色部分)とが凝集していることが確認された。また、比較例1で得られた焼成粉末においては、図3に示したように、扁球状のアルミナ粒子と球状のCZLY粒子とが凝集していることが確認された。
また、得られたTEM写真において、無作為に10個のアルミナナノファイバー又はアルミナ粒子を抽出し、各アルミナナノファイバー又はアルミナ粒子の長軸方向の長さ(長径)及び長軸方向に垂直な方向の長さ(短径)を測定し、抽出した10個のアルミナナノファイバー又はアルミナ粒子についての平均長径及び平均短径を求め、さらに、平均アスペクト比(=平均長径/平均短径)を算出した。その結果を表1に示す。
さらに、得られたTEM写真において、無作為に10個のCZLY一次粒子を抽出し、各CZLY一次粒子の長軸方向の長さ(長径)及び長軸方向に垂直な方向の長さ(短径)を測定し、長径と短径との算術平均値をその一次粒子の粒子径とし、抽出した10個のCZLY一次粒子の平均粒子径(平均一次粒子径)を求めた。さらに、抽出した10個のCZLY一次粒子についての平均長径及び平均短径を求め、平均アスペクト比(=平均長径/平均短径)を算出した。その結果を表1に示す。
<細孔容量の測定>
実施例及び比較例で得られた各焼成粉末を大気中、1100℃で5時間加熱した後、細孔分布測定装置(株式会社島津製作所・マイクロメリティックス社製「オートポア9520」)を用いて水銀圧入法により前記焼成粉末の細孔分布曲線を求めた。得られた細孔分布曲線に基づいて、細孔直径が3〜50nmのメソ細孔の触媒担体1g当たりの全細孔容量及び細孔直径が50〜1000nmのマクロ細孔の触媒担体1g当たりの全細孔容量をそれぞれ求めた。その結果を表1に示す。
<触媒調製>
実施例及び比較例で得られた各焼成粉末を硝酸パラジウム水溶液に浸漬した後、蒸発乾固させることによって、前記焼成粉末にパラジウムを担持させた(Pd担持量:焼成粉末100質量部に対して0.42質量部)。得られたパラジウム担持焼成粉末を大気中で自然乾燥させた後、大気中、300℃で5時間焼成した。その後、1tの静水圧プレス成形を行い、得られた成形体に粉砕及び篩分けを施して、粒径が0.5〜1mmの排ガス浄化用触媒ペレットを得た。
<耐久試験>
得られた排ガス浄化用触媒ペレット1.5gを反応管に充填し、リッチガス〔H(2vol%)+CO(10vol%)+N(88vol%)〕及びリーンガス〔O(1vol%)+CO(10vol%)+N(89vol%)〕を交互に5分間ずつ切り替えながら前記反応管にガス流量1.67L/min、温度1100℃で5時間流通させて耐久試験を行なった。
<結晶子径の測定>
耐久試験後の排ガス浄化用触媒ペレットのX線回折パターンを、粉末X線回折装置(リガク社製、商品名「RINT−2200」を用いて測定した。得られたX線回折パターンにおけるPd粒子の(111)面に由来するピークの半値幅からデバイ・シェラーの式を用いてPdの結晶子径を算出した。その結果を表1に示す。
<OSC速度の測定>
耐久試験後の排ガス浄化用触媒ペレット0.5gを反応管に充填し、リッチガス〔CO(2vol%)+N(98vol%)〕及びリーンガス〔O(1vol%)+N(99vol%)〕を交互に3分間ずつ切り替えながら前記反応管にガス流量10L/min、温度500℃で流通させ、リッチガス導入直後の5秒間に生成するCO量を測定し、得られたCO量から触媒1g当たりの酸素吸放出速度を算出した。その結果を表1に示す。
Figure 0006909402
表1に示したように、繊維状のアルミナ系酸化物(アルミナナノファイバー)に粒子状酸化物(CZLY粒子)が担持されている焼成粉末からなる触媒担体(実施例1〜3)は、扁球状のアルミナ粒子と球状のCZLY粒子との凝集体からなる触媒担体(比較例1)や針状のアルミナ粒子と球状のCZLY粒子との凝集体からなる触媒担体(比較例2)に比べて、メソ細孔の細孔容量が大きいことがわかった。これは、本発明の排ガス浄化用触媒担体(実施例1〜3)において、繊維状のアルミナ系酸化物によって網目状構造が形成されているためと推察される。
また、実施例1〜3で得られた焼成粉末を含有する排ガス浄化用触媒は、比較例1〜2で得られた焼成粉末を含有する排ガス浄化用触媒に比べて、粒子状酸化物の平均一次粒子径や貴金属粒子の結晶子径が小さいことがわかった。これは、本発明の排ガス浄化用触媒(実施例1〜3)においては、繊維状のアルミナ系酸化物(アルミナナノファイバー)が粒子状酸化物や貴金属粒子に対して拡散障壁として機能したことに加えて、メソ細孔の細孔容量が大きいことによって、高温下における粒子状酸化物や貴金属のシンタリングによる粒成長が抑制されたためと推察される。
さらに、実施例1〜3で得られた焼成粉末を含有する排ガス浄化用触媒は、高温に曝された場合であっても、比較例1〜2で得られた焼成粉末を含有する排ガス浄化用触媒に比べて、高い酸素吸放出速度(OSC速度)を示すことがわかった。これは、本発明の排ガス浄化用触媒(実施例1〜3)においては、高温下における粒子状酸化物や貴金属のシンタリングによる粒成長が抑制されたことによって触媒活性の低下が抑制され、さらに、高温に曝された場合であっても、メソ細孔の大きな細孔容量が維持されたことによって高いガス拡散性が得られたためと推察される。
以上説明したように、本発明によれば、高温に曝された場合であっても優れた酸素吸放出速度(OSC速度)を示す排ガス浄化用触媒を得ることが可能となる。
したがって、本発明の排ガス浄化用触媒は、自動車の内燃機関等から排出される有害物質を含むガスを浄化するための排ガス浄化用触媒、特に、高温環境下で長時間使用される排ガス浄化用触媒等として有用である。
1:繊維状アルミナ系酸化物、2:粒子状酸化物、3:扁球状又は針状アルミナ、4:粒子状酸化物。

Claims (7)

  1. 平均短径が1〜20nmかつ平均アスペクト比が10以上である繊維状アルミナ系酸化物と、平均一次粒子径が1〜20nmかつ平均アスペクト比が3以下であり、セリアを含有する粒子状酸化物と、を含有し、
    細孔直径が3〜50nmのメソ細孔を有し、該メソ細孔の触媒担体1g当たりの全細孔容量が0.3cm /g以上である
    ことを特徴とする排ガス浄化用触媒担体。
  2. 前記粒子状酸化物が前記繊維状アルミナ系酸化物上に担持されていることを特徴とする請求項に記載の排ガス浄化用触媒担体。
  3. 前記繊維状アルミナ系酸化物が網目状構造を形成していることを特徴とする請求項1又は2に記載の排ガス浄化用触媒担体。
  4. 前記粒子状酸化物が、セリアを含有する複合酸化物であることを特徴とする請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒担体。
  5. 前記粒子状酸化物が、セリアとジルコニアとを含有する複合酸化物であることを特徴とする請求項4に記載の排ガス浄化用触媒担体。
  6. 請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒担体と、該触媒担体に担持されている貴金属と、を含有することを特徴とする排ガス浄化用触媒。
  7. セリアを含有する粒子状酸化物及びその前駆体のうちの少なくとも一方を含有するナノコロイドと、平均短径が1〜20nmかつ平均アスペクト比が10以上である繊維状アルミナ系酸化物とを混合してナノコロイドゾルを調製し、該ナノコロイドゾルにアミン化合物を添加した後、生成した固体成分に乾燥処理及び焼成処理を施して触媒担体を得ることを特徴とする排ガス浄化用触媒担体の製造方法。
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