JP6908422B2 - Iii族窒化物半導体発光素子およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、III族窒化物半導体発光素子およびその製造方法に関し、特に、高い発光出力を維持することのできる信頼性の向上したIII族窒化物半導体発光素子およびその製造方法に関する。
従来、Al、Ga、In等とNとの化合物からなるIII族窒化物半導体は、紫外光発光素子の材料として用いられている。中でも、高Al組成比のAlGaNからなるIII族窒化物半導体は、紫外発光素子や発光波長300nm以下の深紫外光発光素子(DUV−LED)に用いられている。
III族窒化物半導体発光素子に要求される特性として、例えば高外部量子効率特性や低抵抗特性などが挙げられる。本願出願人は、特許文献1において、量子井戸構造の発光層とp型クラッド層との間に、電子ブロック層と呼ばれる電子のエネルギー障壁となる層を形成することにより、発光効率を向上できることを先に提案している。電子ブロック層は、発光層の量子井戸層に対して障壁となって、電子が過剰に流れていくのを防ぐため、キャリアの注入効率を向上できる。
また、特許文献2には、膜厚25nm以下で、p型不純物とn型不純物とをコドープし、p型不純物濃度が1×1019atoms/cm以上、かつn型不純物濃度が1×1019atoms/cm以上の混合ドープGaN層をp型GaN層上に設け、この混合ドープGaN層上に電極が形成された窒化物半導体素子を開示している。特許文献2によると、この混合ドープGaN層によりp型GaN層と電極との接触抵抗が低減し、p型GaN層に電流が流れやすくなる。
特開2010−161311号公報 特開2009−152491号公報
特許文献1および特許文献2に記載の技術により、III族窒化物半導体発光素子の外部量子効率特性や抵抗特性を改善することができる。しかしながら、III族窒化物半導体発光素子では、外部量子効率特性および抵抗特性の改善以外にも課題は残されている。III族窒化物半導体発光素子では高い発光出力を維持することが難しいため、この点での信頼性の改善が希求されている。
そこで、本発明は、従来よりも発光出力を維持することのできる信頼性の向上したIII族窒化物半導体発光素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決する方途について鋭意検討し、III族窒化物半導体発光素子における、p型コンタクト層のドーパントに着目した。ここで、III族窒化物半導体発光素子のp型半導体層側にドープするp型のドーパントとしては、Mgを用いることが一般的であるものの、p型半導体層側にドープされたMgが発光層に拡散することで、III族窒化物半導体発光素子の信頼性に悪影響を及ぼしているのではないかと本発明者は考えた。そこで、p型コンタクト層の特定領域にp型ドーパントとしてのMgと共に、Siをコドープすることを着想した。そして、このp型コンタクト層によりIII族窒化物半導体発光素子の信頼性を改善できることを本発明者は知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は以下の通りである。
(1)発光層、p型電子ブロック層、p型コンタクト層およびp側電極をこの順に備えるIII族窒化物半導体発光素子であって、前記p型電子ブロック層は、Al組成比が0.5以上のp型III族窒化物半導体からなり、前記p型コンタクト層は、Al組成比が0.4未満のp型III族窒化物半導体からなり、前記p型コンタクト層は、前記p型電子ブロック層に接し、かつ、MgおよびSiでコドープされた第1p型コンタクト層と、前記p側電極に接し、かつ、Mgドープされた第2p型コンタクト層とを有し、前記第1p型コンタクト層のMg濃度が1×1019atoms/cm以上であり、かつ、Si濃度が2×1018atoms/cm以上3×1019atoms/cm以下であることを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子。
(2)前記第1p型コンタクト層の厚みが1nm以上30nm以下であり、前記第2p型コンタクト層の厚みが30nm以上である、前記(1)に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
(3)前記第1p型コンタクト層の厚みが5nm以上15nm以下である、前記(2)に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
(4)前記第1p型コンタクト層において、前記Mg濃度が前記Si濃度よりも高い、前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
(5)前記発光層から放射される光の中心波長が210nm以上340nm以下である、前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
(6)発光層を形成する発光層形成工程と、前記発光層上にp型電子ブロック層を形成するp型電子ブロック層形成工程と、前記p型電子ブロック層上にp型コンタクト層を形成するp型コンタクト層形成工程と、前記p型コンタクト層直上にp側電極を形成するp側電極形成工程とを含むIII族窒化物半導体発光素子の製造方法であって、前記p型電子ブロック層は、Al組成比が0.5以上のp型III族窒化物半導体からなり、前記p型コンタクト層は、Al組成比が0.4未満のp型III族窒化物半導体からなり、前記p型コンタクト層形成は、前記p型電子ブロック層の直上に、MgおよびSiでコドープした第1p型コンタクト層を形成する第1p型コンタクト層形成工程と、該第1p型コンタクト層上にMgドープした第2p型コンタクト層を形成する第2p型コンタクト層形成工程とを有し、前記第1p型コンタクト層形成工程において、前記第1p型コンタクト層のMg濃度を1×1019atoms/cm以上とし、かつ、Si濃度を2×1018atoms/cm以上3×1019atoms/cm以下とすることを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
(7)前記第1p型コンタクト層形成工程において、前記第1p型コンタクト層の厚みを1nm以上30nm以下とし、前記第2p型コンタクト層形成工程において、前記第2p型コンタクト層の厚みを30nm以上とする、前記(6)に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
(8)前記第1p型コンタクト層の厚みが5nm以上15nm以下である、前記(7)に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
(9)前記第1p型コンタクト層形成工程において、前記Mg濃度を前記Si濃度よりも高くする、前記(6)〜(8)のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
(10)前記p型電子ブロック層形成工程において、水素を主成分とするキャリアガスを供給し、前記第1p型コンタクト層形成工程において、窒素を主成分とするキャリアガスを供給する、前記(6)〜(9)のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
(11)前記第2p型コンタクト層形成工程において、初めに窒素を主成分とするキャリアガスを供給し、次いで該窒素を主成分とするキャリアガスから、水素を主成分とするキャリアガスに供給を切り替える、前記(6)〜(10)のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
(12)前記発光層から放射される光の中心波長が210nm以上340nm以下である、前記(6)〜(11)のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
本発明によれば、従来よりも発光出力を維持することのできる信頼性の向上したIII族窒化物半導体発光素子およびその製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態に従うIII族窒化物半導体発光素子100を説明する模式断面図である。 本発明の第1実施形態の好適態様に係るIII族窒化物半導体発光素子200を説明する模式断面図である。 本発明の第2実施形態に係るIII族窒化物半導体発光素子200′の製造方法を説明する模式断面図である。 実施例における初期の発光出力を示すグラフである。 実施例における発光出力の推移を示すグラフである。
本発明に従う実施形態の説明に先立ち、以下の点について予め説明する。まず、本明細書においてAl組成比を明示せずに単に「AlGaN」と表記する場合は、III族元素(Al,Gaの合計)とNとの化学組成比が1:1であり、III族元素AlとGaとの比率は不定の任意の化合物を意味するものとする。この場合、III族元素であるInについての表記がなくとも、III族元素としてのAlとGaに対して5%以内の量のInを含んでいてもよいこととする。また、単に「AlGaN」と表記することによって、AlNまたはGaNのいずれかであることを排除するものではない。なお、Al組成比の値は、フォトルミネッセンス測定およびX線回折測定などによって測定することができる。
また、本明細書において、電気的にp型として機能する層をp型層と称し、電気的にn型として機能する層をn型層と称する。一方、MgやSi等の特定の不純物を意図的には添加しておらず、電気的にp型またはn型として機能しない場合、「i型」または「アンドープ」と言う。アンドープの層には、製造過程における不可避的な不純物の混入はあってよく、具体的には、キャリア密度が小さい(例えば4×1016atoms/cm未満)場合、「アンドープ」である、と本明細書において称する。また、MgやSi等の不純物濃度の値は、SIMS分析によるものとする。
また、エピタキシャル成長した各層の厚さ全体は、光干渉式膜厚測定器を用いて測定することができる。さらに、各層の厚さのそれぞれは、隣接する各層の組成比が十分異なる場合(例えばAl組成比が、0.01以上異なる場合)、透過型電子顕微鏡による成長層の断面観察から算出できる。また、隣接する層のうち、Al組成比が同一であるか、または、ほぼ等しい(例えば0.01未満)ものの、不純物濃度の異なる層(例えば後述の第1p型コンタクト層および第2p型コンタクト層)の境界および厚さについては、これら両コンタクト層を例に具体的に説明すると、両者の境界ならびに第1p型コンタクト層および第2p型コンタクト層の厚さは、TEM−EDSに基づき測定できる。そして、両者の不純物濃度は、SIMS分析により測定できる。また、超格子構造のように各層の厚さが薄い場合にはTEM−EDSを用いて厚みを測定することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、同一の構成要素には原則として同一の参照番号を付して、説明を省略する。また、各図において、説明の便宜上、基板および各層の縦横の比率を実際の比率から誇張して示している。
(第1実施形態:III族窒化物半導体発光素子100)
図1に示すように、本発明の第1実施形態に従うIII族窒化物半導体発光素子100は、発光層40と、p型電子ブロック層60と、p型コンタクト層70と、p側電極80とをこの順に備える。p型電子ブロック層60は、Al組成比が0.5以上のp型III族窒化物半導体からなる。また、p型コンタクト層70は、Al組成比が0.4未満のp型III族窒化物半導体からなる。ここで、p型コンタクト層70は、p型電子ブロック層60に接し、かつ、MgおよびSiでコドープされた第1p型コンタクト層71と、p側電極80に接し、かつ、Mgドープされた第2p型コンタクト層72とを有する。そして、第1p型コンタクト層71のMg濃度が1×1019atoms/cm以上であり、かつ、Si濃度が2×1018atoms/cm以上3×1019atoms/cm以下である。以下、図1を参照しつつ、各構成の詳細を順次説明する。
III族窒化物半導体発光素子100における発光層40は、AlGaNから形成することができ、例えばAlGa1−aN(0<a≦1)で形成することができる。ここで、Al組成比aは、所望の波長の光を発光するように適切に設定することができる。例えば、Al組成比aが0.35以上(すなわち、0.35≦a≦1)の場合、発光層40から放射される光の中心波長が300nm以下となり、III族窒化物半導体発光素子100をDUV−LEDとすることができる。このように、Al組成比aまたは、後述の井戸層41のAl組成比wおよび障壁層42のAl組成比bを適宜選択することで、III族窒化物半導体発光素子100における、発光層40から放射される光の中心波長を210nm以上340nm以下とすることができる。
ここで、発光層40は、Al組成比の異なるAlGaNからなる井戸層41と障壁層42とを繰り返し形成した多重量子井戸(MQW:Multiple Quantum Well)構造で構成することが好ましい。井戸層41のAl組成比wは、例えば0.3〜0.8とすることができる。この場合、障壁層42のAl組成比bは、井戸層41のAl組成比wよりも高く(すなわち、b>w)する。例えば、b>wの条件の下、障壁層42のAl組成比bを0.40〜0.95とすることができる。また、井戸層41および障壁層42の繰り返し回数は、特に制限されず、例えば1〜10回とすることができる。発光層40の厚み方向の両端側(すなわち最初と最後)を障壁層とすることが好ましく、井戸層41および障壁層42の繰り返し回数をnとすると、この場合は「n.5組の井戸層および障壁層」と表記することとする。また、井戸層41の厚みを0.5nm〜5nm、障壁層42の厚みを3nm〜30nmとすることができる。
p型電子ブロック層60は、発光層40上に設けられ、Al組成比xが0.5以上のp型III族窒化物半導体からなり、AlGa1−xN(0.5≦x≦1.0)で形成することができる。p型電子ブロック層60は電子を堰止めし、電子を発光層40(MQW構造の場合には井戸層41)内に注入して、電子の注入効率を高めるための層として用いられる。この目的のため、Al組成比xを、0.5≦x≦0.95とすることが好ましい。なお、Al組成比xが0.5以上であれば、p型電子ブロック層60はIII族元素としてのAlとGaに対して5%以内の量のInを含んでいてもよい。ここで、発光層40が前述の障壁層42を有する多重量子構造である場合、Al組成比xは上記条件を満足しつつ、障壁層42のAl組成比bおよびp型コンタクト層70のAl組成比z1,z2よりも高くする。すなわち、x>bであり、さらに、x>z1,x>z2である。ここで、p型電子ブロック層60のAl組成比xおよび障壁層42のAl組成比bの両者に関し、0<x−b≦0.55を満足することが好ましく、0.1≦x−b≦0.55を満足することがより好ましい。こうすることで、p型電子ブロック層60が井戸層41への電子の注入効率を確実に高めることができる。なお、p型電子ブロック層60は、AlGaN組成比が一定の単一層構造とすることが好ましい。
p型電子ブロック層60の厚みは特に制限されないが、例えば10nm〜80nmであることが好ましい。p型電子ブロック層60の厚さがこの範囲であれば、高い発光出力を確実に得ることができる。また、p型電子ブロック層60の厚みは、障壁層42の厚みよりは厚いことが好ましい。p型電子ブロック層60にドープするp型ドーパントとしては、Mg,Zn,Ca,Be,Mn等を例示することができ、Mgを用いることが一般的である。p型電子ブロック層60のドーパント濃度は、p型として機能することのできるドーパント濃度であれば特に限定されず、例えば1.0×1018atoms/cm〜5.0×1021atoms/cmとすることができる。また、p型電子ブロック層60がp型として機能する限りは、厚み方向の一部の領域にアンドープの領域があってもよいし、厚み方向の一部の領域にSiがドープされていてもよい。
既述のとおり、p型電子ブロック層60は電子を堰止めし、電子を発光層40内に注入して、電子の注入効率を高めるための層として用いられる。この目的のために、従来、p型電子ブロック層60は発光層とp型クラッド層との間に設けられることが一般的であった。これは発光層40のAl組成比が高い場合には、p側に設けられる半導体層(以下、「p側半導体層」)のホール濃度が低くなるため、ホールは発光層40に注入されにくく、一部の電子がp側半導体層の方に流れてしまう場合があるものの、p型電子ブロック層60を設けることにより、こうした電子の流れを防止することができるからである。しかしながら、本実施形態においては、p型クラッド層を設けず、p型電子ブロック層60上にp型コンタクト層70を直接設けることとする。p型クラッド層を介さずに、p型電子ブロック層60およびp型コンタクト層70間の構成を最小限とすることで、キャリア注入効率の変化を低減できるためである。
なお、本明細書において上述した「p型クラッド層」のAl組成比yは、電子ブロック層60のAl組成比xよりも0.1を超えて小さく、かつ、p型コンタクト層のAl組成比z1,z2よりも0.1を超えて大きいものを指す。すなわち、z1+0.1<y<x−0.1、かつ、z2+0.1<y<x−0.1である。中心波長が300nm以下において使用されるp型のAlGaNはAl組成比が大きいほど電流が流れにくいため、従来のクラッド層として使用されるAl組成比は、障壁層のAl組成比以下であることが多い。このため、本明細書における電子ブロック層と従来技術におけるクラッド層とを、障壁層のAl組成比bを基準として区別する。
次に、p型電子ブロック層60上にはp型コンタクト層70が設けられる。p型コンタクト層70は、この上に設けられるp側電極80とp型電子ブロック層60との間の接触抵抗を低減するための層であり、p型コンタクト層70は、p型電子ブロック層60に接する第1p型コンタクト層71と、p側電極80に接する第2p型コンタクト層72とを有する。なお、本明細書においてp型コンタクト層70がp型電子ブロック層60上に接して設けられるということは、上述のp型クラッド層に該当し得るAl組成比yのIII族窒化物半導体層が、p型電子ブロック層60とp型コンタクト層70との間に存在しないことを意味する。
ここで、p型コンタクト層70は、Al組成比が0.4未満のp型III族窒化物半導体からなる。換言すれば、第1p型コンタクト層71および第2p型コンタクト層72は、Al組成比が共に0.4未満のp型III族窒化物半導体からなる。なお、第1p型コンタクト層71および第2p型コンタクト層72は後述のドーパントの違いにより区別される。第1p型コンタクト層71および第2p型コンタクト層72のAl組成比をそれぞれz1,z2とすると、第1p型コンタクト層71はAlz1Ga1−z1N(0≦z1<0.4)で形成することができ、第2p型コンタクト層72はAlz2Ga1−z2N(0≦z2<0.4)で形成することができる。特に、Al組成比z1,z2は、それぞれ0≦z1≦0.1、かつ、0≦z2≦0.1であることが好ましい。z1とz2の大小関係は特に限定されないが、第1p型コンタクト層71と、第2p型コンタクト層72との間のAl組成比の差は無い(z1=z2、すなわち、Al組成比の差が0)ことが最も好ましい。また、Al組成比の差がある場合でもz1≧z2であることが好ましく、その差は0.1以下であることがより好ましく、0.05未満であることが更に好ましい。特に、z1=z2=0(すなわち、第1p型コンタクト層71および第2p型コンタクト層72はともにGaN)とすることが好ましい。p型コンタクト層70上に形成されるp側電極80との接触抵抗を十分に低減することができる。さらに、Al組成比z1,z2は、p型電子ブロック層60のAl組成比xに対して、0.1≦x−z≦0.95かつ、0.1≦x−z≦0.95を満たすことが好ましく、0.5≦x−z≦0.95かつ、0.5≦x−z≦0.95を満たすことがより好ましい。なお、Al組成比z1,z2が0.4未満であれば、p型電子ブロック層60はIII族元素としてのAlとGaに対して5%以内の量のInを含んでいてもよい。
ここで、第1p型コンタクト層71は、MgおよびSiでコドープされており、第2p型コンタクト層72はMgドープされている。そして、本実施形態において、第1p型コンタクト層71のMg濃度を1×1019atoms/cm以上とし、かつ、Si濃度を2×1018atoms/cm以上3×1019atoms/cm以下とする。第1p型コンタクト層71のMg濃度の上限は5.0×1021atoms/cmとすることが好ましい。第1p型コンタクト層71に、p型ドーパントであるMgに加えて、通常はn型ドーパントとして用いられるSiをコドープしたために、高い発光出力を維持することができ、信頼性の向上したIII族窒化物半導体発光素子が得られる。第1p型コンタクト層へMgおよびSiをコドープすることにより得られる作用効果について、本発明者は以下のように考えている。
p型のIII族窒化物半導体層にドープされるMgは、発光層に拡散しやすく、Mg起因の欠陥が発光層に生じやすくなるために、その欠陥が原因となって信頼性が低下するのではないかと本発明者は考えた。一方、通常n型ドーパントとして用いられるSiは、発光層に拡散しづらく、しかもMgの発光層への拡散を抑制できるのではないかと本発明者は考えた。p型コンタクト層70において、p側電極80に近い領域(本実施形態においては第2p型コンタクト層72)ほど一般的にp型コンタクト層70のMg濃度を高くするため、p型コンタクト層70のうち、p型電子ブロック層60と接する領域にMgおよびSiをコドープした第1p型コンタクト層を設けることを本発明者は着想した。そして、本発明者による鋭意検討の結果、本実施形態に従う第1p型コンタクト層71を設けることにより、前述の信頼性向上効果が得られることが実験的に確認された。
上記作用効果を確実に得るため、第1p型コンタクト層71の厚みを1nm以上30nm以下とすることが好ましい。さらに、第2p型コンタクト層72の厚みを30nm以上とすることが好ましい。この場合、第1p型コンタクト層71の厚みを5nm以上15nm以下とすることがより好ましい。前述のとおり第1p型コンタクト層71にはMgおよびSiがコドープされており、第1p型コンタクト層71の厚みが大きくなりすぎると、p型コンタクト層70自体の抵抗が大きくなり低抵抗化に寄与しなくなるためであり、一方、厚みが小さすぎると、MgおよびSiのコドープにより得られる作用効果が不十分となるためである。この観点から、第1p型コンタクト層71において、Mg濃度がSi濃度よりも高いことがより好ましい。Mg濃度がSi濃度以下であると、第1p型コンタクト層71がp型化しない虞があるためである。
そして、p型コンタクト層70上には、第2p型コンタクト層72と接するp側電極80が設けられる。p側電極80は、一般的な構成とすることができ、例えば、Ni含有膜およびこのNi含有膜上に形成されたAu含有膜を有する金属複合膜とすることができる。また、p側電極80の厚み、形状およびサイズは、発光素子の形状およびサイズに応じて適宜選択することができる。
以上のとおり、本実施形態により、従来よりも発光出力を維持することのできる信頼性の向上したIII族窒化物半導体発光素子を実現することができる。
なお、図1には図示しないが、発光層40と、p型電子ブロック層60との間に、p型電子ブロック層60のAl組成比xよりもAl組成比の高いIII族窒化物半導体層からなるガイド層50を設けることも好ましい。ガイド層50は、Al組成比が0.96以上のAlGaNであることが好ましく、III族元素のAl組成比を1(100%)として形成したAlN層とすることが最も好ましい。ここで、ガイド層50の厚みを例えば0.5nm〜2.0nmとすることができる。また、ガイド層50は、i型(アンドープ)であることが好ましいが、Mgなどのp型ドーパントやSiなどのn型ドーパントを添加しても構わない。ガイド層50を設けることで、発光層40への正孔の注入を促進することができる。
以下に、本実施形態における好適な態様を、図2に示したいわゆる「横型」構造のIII族窒化物半導体発光素子200を用いて例示的に説明する。図2に示すIII族窒化物半導体発光素子200は、基板10と、該基板10上のバッファ層20と、該バッファ層20上のn型半導体層30とを有し、該n型半導体層30に前述のIII族窒化物半導体発光素子100が設けられている。図2では、発光層40と、p型電子ブロック層60との間は、ガイド層50が設けられている。また、図2に示すIII族窒化物半導体発光素子200では、発光層40、ガイド層50、p型電子ブロック層60およびp型コンタクト層70の一部がエッチング等により除去され、露出したn型半導体層30上にn側電極90が設けられている。
基板10として、例えばサファイア基板を用いることができる。基板10の表面にAlGaNからなるバッファ層20を設けることも好ましく、バッファ層20をAlN層とすることも好ましい。また、サファイア基板の表面にエピタキシャル成長させたバッファ層20としてのAlN層が設けられたAlNテンプレート基板を用いてもよい。AlN単結晶基板またはAlGaN単結晶基板を用いることも可能である。サファイア基板を用いる場合、基板のオフ角の有無は任意であり、オフ角が設けられている場合の傾斜方向の結晶軸方位は、m軸方向またはa軸方向のいずれとしてもよい。例えば、サファイア基板の主面を、C面が0.5度のオフ角θで傾斜した面とすることができる。もちろん、本実施形態に適用可能なサファイア基板の主面はC面に限られることはなく、R面、A面、M面など他の面を適用することも可能である。サファイア基板の厚みとしては、300〜1000μmから適宜選択することができる。例えば、厚みを430μmとすることができる。AlNテンプレート基板を用いる場合、サファイア基板表面のAlN層の結晶性が優れていることが好ましい。また、AlNテンプレート基板の表面に、アンドープのAlGaN層が設けられていることも好ましい。なお、サファイア基板の裏面状態としては、片面研磨基板および両面研磨基板のいずれも用いることができる。また、サファイア基板の裏面に、光取り出し効率を向上させるための、フォトニック結晶形成や粗面化処理を行ったものを用いることもできる。フォトニック結晶形成および粗面化処理は、必ずしも、AlNテンプレート基板を形成する前に行う必要はなく、AlNテンプレート基板の形成後、発光素子層の形成後、チップ化後の各工程において適宜行うことができる。またフォトニック結晶形成および粗面化処理は、薬液を用いたウェットエッチング法、またはガスを用いたドライエッチング法を適用することができ、ウェットエッチング法およびドライエッチング法を併用することも可能である。
n型半導体層30はバッファ層20上に設けられ、n型半導体層30は、例えばAlGaNからなるn型層とすることができ、一般的なn型半導体層を用いることができる。n型半導体層30には、n型のドーパントがドープされ、n型ドーパントとしては、Si,Ge,Sn,S,O,Ti,Zr等を例示することができる。ドーパント濃度は、n型として機能することのできるドーパント濃度であれば特に限定されず、例えば1.0×1018atoms/cm〜1.0×1020atoms/cmとすることができる。また、n型半導体層30のAl組成比は、特に制限はなく、一般的な範囲とすることができる。n型半導体層30を単層または複数層から構成することもできる。
また、n型半導体層30の露出面上に設けられるn側電極90は、例えばTi含有膜およびこのTi含有膜上に形成されたAl含有膜を有する金属複合膜とすることができ、その厚み、形状およびサイズは、発光素子の形状およびサイズに応じて適宜選択することができる。
上述の横型構造のIII族窒化物半導体発光素子200は、本実施形態に従うIII族窒化物半導体発光素子100の具体的な一態様に過ぎず、種々の変形が可能である。例えば、III族窒化物半導体発光素子100を縦型構造のIII族窒化物半導体発光素子に適用可能であることは勿論である。
(第2実施形態:III族窒化物半導体発光素子の製造方法)
図3に示すように、本発明の第2実施形態に従うIII族窒化物半導体発光素子200′の製造方法は、発光層40を形成する発光層形成工程(図3(F))と、発光層40上に、p型電子ブロック層60を形成する電子ブロック層形成工程(図3(H))と、p型電子ブロック層60上に、p型コンタクト層70を形成するp型コンタクト層形成工程(図3(J))と、を含む。p型電子ブロック層60は、Al組成比が0.5以上のp型III族窒化物半導体からなり、p型コンタクト層70は、Al組成比が0.4未満のp型III族窒化物半導体からなる。
ここで、本実施形態では、p型コンタクト層形成工程において、p型電子ブロック層60の直上に、MgおよびSiでコドープした第1p型コンタクト層71を形成する第1p型コンタクト層形成工程(図3(I))と、第1p型コンタクト層71上にMgドープした第2p型コンタクト層72を形成する第2p型コンタクト層形成工程(図3(J))とを有し、第1p型コンタクト層形成工程において、第1p型コンタクト層71のMg濃度を1×1019atoms/cm以上とし、かつ、Si濃度を2×1018atoms/cm以上3×1019atoms/cm以下とすることが特に特徴となる。以下、本実施形態の好適な実施形態に従うフローチャートを示す図3を用いて、具体的な態様と共に各工程の詳細を順次説明するが、前述の実施形態と重複する説明については省略する。
まず、基板10としてサファイア基板を用意することが好ましい。基板10の表面10AにAlN層を形成したAlNテンプレート基板を形成することが好ましく、市販のAlNテンプレート基板を用いてもよい(図3(A)および図3(B)を参照)。なお、バッファ層20は、例えば、有機金属気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法や分子線エピタキシ(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、スパッタ法などの公知の薄膜成長方法により形成することができる。
バッファ層20のAl源としては、トリメチルアルミニウム(TMA)を用いることができる。また、N源としては、アンモニア(NH)ガスを用いることができる。これらの原料ガスを、キャリアガスとして水素ガスを用いることにより、バッファ層20を形成することができる。
なお、バッファ層20の成長温度としては、1270℃以上1350℃以下が好ましく、1290℃以上1330℃以下がより好ましい。この温度範囲であれば、続いて熱処理工程を行う場合にバッファ層20の結晶性を向上することができる。また、チャンバ内の成長圧力については、例えば5Torr〜20Torrとすることができる。より好ましくは、8Torr〜15Torrである。
また、NHガスなどのV族元素ガスと、TMAガスなどのIII族元素ガスの成長ガス流量を元に計算されるIII族元素に対するV族元素のモル比(以降、V/III比と記載する)については、例えば130以上190以下とすることができる。より好ましくは140以上180以下である。なお、成長温度および成長圧力に応じて最適なV/III比が存在するため、成長ガス流量を適宜設定することが好ましい。
続いて、上述のようにして得られた、サファイアからなる基板10上のバッファ層20に対して、このバッファ層20の成長温度よりも高温で熱処理を施すことが好ましく、1500℃〜1700℃の温度での熱処理が好適である。この熱処理工程は、公知の熱処理炉を用いて行うことができる。かかる熱処理を行うことにより、AlNからなるバッファ層20の(10−12)面のX線ロッキングカーブの半値幅を400秒以下とし、高い結晶性を実現することができる(図3(C))。
その後、図3(D)に例示するように、バッファ層20上に、アンドープのAlGaN層20’を形成することも好ましい。Al源としてTMA、Ga源としてトリメチルガリウム(TMG)、N源としてNHガスを用いることで、AlGaNからなる層を形成することができ、以下に説明するn型半導体層、発光層、ガイド層、p型電子ブロック層およびp型半導体層の形成についても同様である。これらの原料ガスを、キャリアガスとして水素ガスもしくは窒素ガスまたは両者の混合ガスを用いてチャンバ内に供給すればよく、一般的には水素ガスがキャリアガスとして用いられる。また、V/III比については、例えば100以上100000以下とすることができる。より好ましくは300以上30000以下である。成長温度および成長圧力に応じて最適なV/III比が存在するため、成長ガス流量を適宜設定することが好ましいのはバッファ層20を形成する場合と同様である。
次に、n型半導体層30を形成するn型半導体層形成工程を行うことができる(図3(E))。n型半導体層30は、バッファ層20上に形成することができ、アンドープのAlGaN層20’上に形成することが好ましい。n型ドーパントについては、Si源として例えばモノシラン(SiH)ガスを用いることができる。
続いて、図3(F)に示すように、発光層40を形成する発光層形成工程を行う。発光層40をMQW構造とする場合には、Al源の流量とGa源の流量の比を適切に変更することにより、MQW構造を有する発光層40を形成することができる。発光層40をAlGa1−aN(0<a≦1)で形成する場合、AlGa1−aNの成長温度としては、1000℃以上1400℃以下が好ましく、1050℃以上1350℃以下がより好ましい。
次いで、図3(G)に示すように、発光層40上にガイド層50を形成することが好ましい。例えば、トリメチルアルミニウムガス(TMAガス)およびアンモニアガス(NHガス)からなる原料ガスを用いてAlNからなるガイド層50をエピタキシャル成長させることができる。Ga等の他のIII族元素の混入を意図的に排除するため、原料ガスがトリメチルアルミニウムガス(TMAガス)およびアンモニアガス(NHガス)のみからなることが特に好ましい。キャリアガスとしては、水素または窒素のいずれかを主成分とするキャリアガスを用いることができる。また、成長温度を1000℃以上1400℃以下とすることが好ましく、1050℃以上1350℃以下とすることがより好ましい。成長時間を適宜選択することで、ガイド層50の厚みを調整することができる
なお、本明細書において、「窒素を主成分とするキャリアガス」とは、キャリアガス全体の体積に対する窒素ガスの体積の比が60%以上であるキャリアガスを意味している。「窒素を主成分とするキャリアガス」を用いる場合、体積比を85%以上とすることがより好ましく、窒素ガスをキャリアガスとして用いることが最も好ましい。なお、「窒素ガスをキャリアガスとして用いる」とは、体積比が実質的に100%の窒素ガスをキャリアガスとして用いることを意味するものの、体積比0.01%未満の不可避的な不純物ガスは含まれていてもよいものとする。また、「水素を主成分とするキャリアガス」とは、キャリアガス全体の体積に対する水素ガスの体積の比が60%以上であるキャリアガスを意味している。より好ましくは85%以上であり、水素ガスをキャリアガスとして用いることが最も好ましい。なお、「水素ガスをキャリアガスとして用いる」とは、体積比が実質的に100%の水素ガスをキャリアガスとして用いることを意味するものの、体積比0.01%未満の不可避的な不純物ガスは含まれていてもよいものとする。これらの体積比のキャリアガスを用いるには、半導体製造用として市販される純度を有するガスを単独で、又は混合して適宜用いればよい。なお、ここでのキャリアガスの体積比は、チャンバ内に供給されウェーハ近傍の空間を通るガスを対象としており、ヒーターやチャンバ内壁のパージを主目的としてウェーハ近傍の空間を通らずに排気されるガスは含めない。つまり、ヒーターやチャンバ内壁に水素を大流量流して排気していても、ウェーハ近傍には実質的に窒素を流している場合には、窒素を主成分とするキャリアガスとなる。水素を主成分とするキャリアガスについても同様である。
次に、図3(H)に示すように、p型電子ブロック層60を形成する電子ブロック層形成工程を行う。p型電子ブロック層60をAlGa1−XN(b<x≦1)で形成する場合、キャリアガスとして水素を主成分とするガスを用いることができ、水素ガスをキャリアガスとして用いることが好ましい。原料ガスは既述のとおりTMA、TMGおよびNHガスであり、さらにドーパント源のガスとして、Mg源のCPMgおよびZn源としてのZnClを適宜選択して用いることができる。
p型電子ブロック層60の成長温度としては、1000℃以上1400℃以下が好ましく、1050℃以上1350℃以下がより好ましい。また、チャンバ内の成長圧力については、例えば10Torr〜760Torrとすることができる。より好ましくは、20Torr〜380Torrである。
次に、図3(I)に示すように、p型電子ブロック層60の直上に第1p型コンタクト層71を形成し、その後、図3(J)に示すように第1p型コンタクト層71上に第2p型コンタクト層72を形成して、p型コンタクト層70を形成する。本実施形態において、p型コンタクト層70をp型とするためのドーパントとしては、第1p型コンタクト層71および第2p型コンタクト層72の双方の形成においてMgを用いることとする。そして、第1p型コンタクト層71の形成時には、Mg源に加えてSi源を用いて、MgおよびSiをコドープする。コドープにあたり、Si源としてモノシラン(SiH)などを、Mg源としてシクロペンタジニエルマグネシウム(CPMg)などの混合ガスをチャンバに供給すればよい。また、第1p型コンタクト層71の形成が終わった後、第2p型コンタクト層72の形成を始めるにあたり、Si源の供給を停止する。
p型コンタクト層70の成長温度としては、800℃以上1400℃以下が好ましく、900℃以上1300℃以下がより好ましい。また、チャンバ内の成長圧力については、例えば10Torr〜760Torrとすることができる。より好ましくは、20Torr〜600Torrである。キャリアガスとしては、水素ガスもしくは窒素ガスまたは両者の混合ガスを用いることができる。
ここで、第1p型コンタクト層形成工程において、窒素を主成分とするキャリアガスを供給することが好ましく、窒素ガスをキャリアガスとして用いることがより好ましい。すなわち、本実施形態は、水素を主成分とするキャリアガスを供給するp型電子ブロック層形成工程の後、キャリアガスの主成分を水素から窒素に変更する工程を有し、その後に窒素を主成分とするキャリアガスを供給する第1p型コンタクト層形成工程を行うことが好ましい。MgとSiとを共に高い濃度でドーピングする第1p型コンタクト層71を形成するにあたり、窒素を主成分とするキャリアガスを用いることで、Mgを活性化させてp型層としての機能を維持させると共に、高濃度のSiドーピングによるMgの移動抑制効果を発揮させることができる。また、第2p型コンタクト層形成工程を行うにあたり、窒素を主成分とするキャリアガスから、水素を主成分とするキャリアガスにキャリアガスの供給を切り替えて、水素を主成分とするキャリアガスを用いて第2p型コンタクト層72を形成することができる。また、第1p型コンタクト層形成工程で用いたSi源のドーパントガスの供給を止めた後、初めに窒素を主成分とするキャリアガスを供給して第2p型コンタクト層72の一部を成長させ、次いで窒素を主成分とするキャリアガスから、水素を主成分とするキャリアガスに供給を切り替えて第2p型コンタクト層72の残りを成長させることが好ましい。こうすることで、作製されるIII族窒化物半導体発光素子200′の信頼性をより確実に高めることができる。なお、第2p型コンタクト層72の成長途中にキャリアガスを切り替える場合、第2p型コンタクト層72の成長を一旦停止することが好ましい。
このようなキャリアガスの供給を切り替える手法の一例を説明する。まず、窒素を主成分とするキャリアガスを用いて第2p型コンタクト層72の成長を開始する。次いで、有機金属ガス(III族元素ガスおよびドーパント源ガス)を一旦チャンバ内からベントに切り替えた上で、チャンバ内に流れるキャリアガスを窒素から水素に切り替えた後、有機金属ガスをチャンバ内に再び供給して、第2p型コンタクト層72を成長させる。ベントへ切り替えずにキャリアガスを切り替えた場合は、ガスの流れが急変するため異常な成長を起こす恐れがある。なお、V族元素ガスはチャンバ内へ流したままとすることが好ましい。
最後に、図3(K)に示すように、発光層40、ガイド層50、p型電子ブロック層60およびp型コンタクト層70の一部をエッチング等により除去し、露出したn型半導体層30上にn側電極90を、第2p型コンタクト層72表面にp側電極80をそれぞれ形成することができる。こうして、本発明の好適な実施形態に係るIII族窒化物半導体発光素子200′を作製することができる。p型およびn型のコンタクト層に直接接触する電極については、p側についてはNiおよびRhなどを、n側については、TiおよびMoなどを例示することができる。なお、n側電極90をp側電極80の後に形成しても良いし、n側電極90をp側電極80の前に形成しても良い。さらに、p側電極80およびn側電極90の電極構造の一部を同時に形成してもよい。
また、本実施形態では、第1実施形態と同様の理由で、第1p型コンタクト層形成工程において、第1p型コンタクト層71の厚みを1nm以上30nm以下とし、第2p型コンタクト層形成工程において、第2p型コンタクト層72の厚みを30nm以上とすることが好ましい。この場合、第1p型コンタクト層の厚みを5nm以上15nm以下とすることがより好ましい。また、第1p型コンタクト層形成工程において、第1p型コンタクト層71のMg濃度をSi濃度よりも高くすることが好ましい。
なお、前述のn側電極90を形成するに先立ち、n型半導体層30とn側電極90とのコンタクト抵抗を改善するために、露出したn型半導体層30上のn側電極90を形成する予定の範囲に、n型GaN層をエピタキシャル成長させて、部分的なn型GaN層をさらに形成してもよい。具体的には、n側電極90を形成する部分以外には、マスクとしてのSiO膜を、MOCVD法を用いて形成することが好ましい。追加するn型GaN層の厚みは、例えば50nm程度とすることができ、TMG、アンモニアおよびSiH4ガスの混合ガスをチャンバに供給して、SiをドープしたGaN層を形成することができる。当該n型GaN層を形成した後、マスクとするSiO膜は、下記の保護膜としては使用せずに、一度剥離することが好ましい。
III族窒化物半導体発光素子の露出面での、電流を通電する部分以外には、SiOもしくはSiNからなる保護膜、またはSiOおよびSiNの積層構造からなる保護膜を、50〜500nmの厚さでプラズマCVD法により形成することが好ましい。また、この保護膜上に反射膜を形成して、光取り出し効率を向上することも可能である。このような反射膜としては、深紫外域での反射率の大きいRh、Ag、Alなどの金属または合金からなる反射膜が例示される。
また、以下の方法により、前述のIII族窒化物半導体発光素子の各エピタキシャル層を作製した基板をチップに個片化し、さらに該チップから発光デバイスを作製することができる。なお、チップのサイズは1辺が200μmから2000μmまで、用途に応じて適宜設定することが可能であり、例えばチップのサイズは1000μmの正方形状とすることができる。高出力が必要とされる場合、電流密度を下げるため、チップサイズを大きくすることが一般的である。チップ形状は正方形に限られず、長方形、ひし形、平行四辺形、三角形など、種々の形状に設定することができる。個片化の際の切断方向は、サファイアのm面およびa面とするのが通常であるが、切断によるダメージを極小化するために、当該面より傾いた方向を用いてもよい。m面およびa面から傾ける角度としては、15°、10°、7.5°、5°が例示される。
また、チップへの切断にあたり、ステルスダイシング技術を用いることが好ましい。焦光点の深さ位置を調整するためのレーザー照射の段数は、例えば4段とすることができ、このレーザー照射の段数は切断する厚さに応じて適宜調整することができる。レーザーの入射方向は、エピタキシャル成長させていない面側(以下、「サファイア面側」という。)から、もしくはエピタキシャル成長させた面側から、または、エピタキシャル成長させた面側およびサファイア面側の両方側からの、いずれの方向を併用してもよい。光取り出し効率を向上するための粗面化加工がサファイア面側に施されている場合は、エピタキシャル成長させた面側からレーザーを入射することが好適である。
チップ厚みは、ステルスダイシング技術によりサファイア基板をフルカット(サファイア基板を研削および研磨することなく厚みを維持)することにより、基板厚みと各半導体層の厚みの合計とすることができる。もちろん、サファイア基板の研削および研磨を行うことにより、個片化前に、基板厚みを薄くするよう調整してもよい。サファイア基板の厚みとしては、100μm、200μm、300μmが例示される。基板厚みを薄く調整するのとは反対に、光取り出し効率を向上させるために、通常用いられるサファイア基板の厚み430μmに比べて、使用するサファイア基板の厚みがより大きなサファイア基板を用いるともでき、このような場合のサファイア基板の厚みとしては、600μm、800μm、1000μmが例示される。サファイア基板厚みが200μm以下と薄い場合は、ダイアモンドスクライブ技術での個片化も可能である。
また、チップ化されたデバイスをパッケージ実装することができる。チップサイズにも依るが、例えば1辺が1000μmの正方形のチップを、3.5mmの正方形サイズのセラミックパッケージにAuバンプを用いてフリップチップ実装することができる。Auバンプに替えて、Au−Snの共晶ハンダをバンプに用いることもできる。セラミックパッケージのセラミック材料は放熱性を考慮して適宜選択され、AlN、アルミナ、SiN、Al、Cuなどが例示される。パッケージ壁面での光吸収を抑制するため、金属反射膜を形成することも可能である。この金属反射膜の反射膜材料は、発光素子の発光波長に対する反射率を考慮に入れて適宜選択される。セラミックパッケージ以外でも、サブマウントまたはプリント回路基板(PCB)上へチップ化されたデバイスを実装することが可能である。なお、ESD耐性を確保するため、ツェナーダイオードを並列接続して実装してもよい。
パッケージの光取り出し部には、深紫外域に対して透明な石英を窓材として用いることができる。窓材に用いることのできるその他の材料として、水晶、サファイア、CaFなどが例示され、発光波長域に対する透過率により各種ガラスを選択することができる。また、紫外光の透過率を向上するために、窓材の表面にAR(Anti Reflection)コート膜や、フォトニック結晶を形成することも可能である。パッケージと窓材の接着は、Au−Sn等の金属系のはんだ材や、樹脂系の接着剤を用いることができる。
[実験例1]
(発明例1)
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。図3に示したフローチャートに従って、III族窒化物半導体発光素子を作製した。まず、サファイア基板(直径2インチ、厚さ:430μm、面方位:(0001)、m軸方向オフ角θ:0.5度、テラス幅:100nm、ステップ高さ:0.20nm)を用意した(図3(A))。次いで、MOCVD法により、上記サファイア基板上に中心膜厚0.60μm(平均膜厚0.61μm)のAlN層を成長させ、AlNテンプレート基板とした(図3(B))。その際、AlN層の成長温度は1300℃、チャンバ内の成長圧力は10Torrであり、V/III比が163となるようにアンモニアガスとTMAガスの成長ガス流量を設定した。V族元素ガス(NH)の流量は200sccm、III族元素ガス(TMA)の流量は53sccmである。なお、AlN層の膜厚については、光干渉式膜厚測定機(ナノスペックM6100A;ナノメトリックス社製)を用いて、ウェーハ面内の中心を含む、等間隔に分散させた計25箇所の膜厚を測定した。
次いで、上記AlNテンプレート基板を熱処理炉に導入し、10Paまで減圧後に窒素ガスを常圧までパージすることにより炉内を窒素ガス雰囲気とした後に、炉内の温度を昇温してAlNテンプレート基板に対して熱処理を施した(図3(C))。その際、加熱温度は1650℃、加熱時間は4時間とした。
続いて、MOCVD法により、アンドープのAlGaN層として、Al0.7Ga0.3Nからなる厚み1μmのアンドープAl0.7Ga0.3N層を形成した(図3(D))。次に、n型半導体層として、Al0.65Ga0.35Nからなり、Siドープした厚み2μmのn型Al0.65Ga0.35N層を上記AlGaN層上に形成した(図3(E))。なお、SIMS分析の結果、n型半導体層のSi濃度は1.0×1019atoms/cmである。
続いて、n型半導体層上に、Al0.45Ga0.55Nからなる厚み3nmの井戸層およびAl0.65Ga0.35Nからなる厚み7nmの障壁層を交互に3.5組繰り返して積層した発光層を形成した(図3(F))。3.5組の0.5は、発光層の最初と最後を障壁層としたことを表す。
その後、発光層上に、厚さ1nmのi型AlNガイド層を形成した(図3(G))。次いで、水素ガスをキャリアガスとして、Al0.68Ga0.32Nからなる厚さ40nmのp型電子ブロック層を形成した(図3(H))。p型電子ブロック層の形成にあたり、Mg源としてCPMgガスをチャンバに供給してMgをドープした。なお、SIMS分析の結果、p型電子ブロック層のMg濃度は5.0×1018atoms/cmであった。
続いて、合計厚み180nmの、GaNからなるp型コンタクト層を形成した(図3(I),図3(J))。p型コンタクト層の形成にあたり、まず、初めの30nm(p型電子ブロック層表面の位置を0nmとすると、厚み範囲0〜30nm)を形成する際には、CPMgガスおよびSiHガスの混合ガスをチャンバに供給して、MgおよびSiでコドープした第1p型コンタクト層を形成した。その後、SiHガスの供給を停止して、残りの150nm(厚み範囲30〜180nm)に相当する第2p型コンタクト層の形成を続けた。ここで、p型コンタクト層の形成時のキャリアガスに関し、初めにキャリアガスとして窒素ガスを用いて、前述の厚み30nm(厚み範囲0〜30nm)部分の第1p型コンタクト層を成長し、第1p型コンタクト層成長後、キャリアガスを水素ガスに切り替え、前述の残りの厚み150nm(厚み範囲30〜180nm)部分の第2p型コンタクト層を成長した。なお、第2p型コンタクト層における、最後の厚さ30nm(後にp側電極に接することとなる部分であり、厚み範囲150〜180nm)を形成する段階では、TMGガスの流量を減らしてMgの存在確率を上げ、かつ、成長速度を落とすことにより高Mg濃度の層とした。SIMS分析の結果、p型電子ブロック層側の厚さ150nm部分(第1p型コンタクト層を含む、厚み範囲0〜150nm)のp型コンタクト層のMg濃度は3.0×1019atoms/cmであり、高Mg濃度とした残り30nm部分(厚み範囲150〜180nm)のMg濃度は1.2×1020atom/cmであった。また、第1p型コンタクト層に相当する厚み範囲0〜30nmのSi濃度は2.0×1019atoms/cmであった。
その後、p型コンタクト層の上にマスクを形成してドライエッチングによるメサエッチングを行い、n型半導体層を露出させた。次いで、p型コンタクト層上に、Ni/Auからなるp側電極を形成し、露出したn型半導体層上には、Ti/Alからなるn側電極を形成した。なお、p側電極のうち、Niの厚みは50Åであり、Auの厚みは1500Åである。また、n側電極のうち、Tiの厚みは200Åであり、Alの厚みは1500Åである。最後に550℃でコンタクトアニール(RTA)を行って、両電極を形成した(図3(K))。こうして発明例1に係るIII族窒化物半導体発光素子を作製した。発明例1の層構造を表1に示す。なお、III族窒化物半導体発光素子の露出面において、電流を通電する部分以外には、SiO保護膜を200nm厚プラズマCVD法により形成している。チップのサイズは1辺1000μmの正方形状とした。切断方向は、サファイアm面およびa面であり、ステルスダイシング技術を用いて切断し、サファイア基板の厚みを430μm(フルカット)とした。ステルスダイシングにおけるレーザーの入射方向はサファイア面側からとし、レーザー照射の段数は4段とした。
Figure 0006908422
(発明例2)
発明例1における第1p型コンタクト層の厚み30nmを、15nmに変え、第1p型コンタクト層成長後、SiHガスの供給を停止し、キャリアガスを窒素ガスの状態のまま、第2p型コンタクト層を15nm(すなわち、厚み範囲15〜30nm)成長させた後、一旦成長を停止してキャリアガスを窒素ガスから水素ガスに切り替え、残りの第2p型コンタクト層を成長した以外は、発明例1と同様にして、発明例2に係るIII族窒化物半導体発光素子を作製した。
(発明例3)
発明例1における第1p型コンタクト層の厚み30nmを、5nmに変え、第1p型コンタクト層成長後、SiHガスの供給を停止し、キャリアガスを窒素ガスの状態のまま、第2p型コンタクト層を25nm(すなわち、厚み範囲5〜30nm)成長させた後、一旦成長を停止してキャリアガスを窒素ガスから水素ガスに切り替え、残りの第2p型コンタクト層を成長し、さらに、発明例1における第1p型コンタクト層のSi濃度2.0×1019atoms/cmを1.0×1019atoms/cmに変えた以外は、発明例1と同様にして、発明例3に係るIII族窒化物半導体発光素子を作製した。
(発明例4)
発明例1における第1p型コンタクト層のSi濃度2.0×1019atoms/cmを2.0×1018atoms/cmに変えた以外は、発明例1と同様にして、発明例4に係るIII族窒化物半導体発光素子を作製した。
(比較例1)
発明例1において、p型コンタクト層の形成の際にSiをドープせず、Mgドープのみとした以外は、発明例1と同様にして、比較例1に係るIII族窒化物半導体発光素子を作製した。すなわち、比較例1における第1p型コンタクト層の厚みは0nm(MgおよびSiをコドープする領域は形成せず)であり、第2p型コンタクト層の厚みは180nmである。また、厚み範囲0〜30nmではキャリアガスとして窒素ガスを用い、厚み範囲30〜180nmでは、キャリアガスとして水素ガスを用いた。
(比較例2)
発明例1における第1p型コンタクト層のSi濃度2.0×1019atoms/cmを4.0×1018atoms/cmに変えた以外は、発明例1と同様にして、比較例2に係るIII族窒化物半導体発光素子を作製した。
(比較例3)
発明例1における第1p型コンタクト層のSi濃度2.0×1019atoms/cmを8.0×1018atoms/cmに変えた以外は、発明例1と同様にして、比較例3に係るIII族窒化物半導体発光素子を作製した。
以上の発明例1〜4および比較例1〜3の、p型コンタクト層の形成条件を以下の表2に示す。
Figure 0006908422
<評価>
発明例1〜4および比較例1〜4から得られた半導体発光素子に定電流電圧電源を用いて20mAの電流を流したときの順方向電圧Vfおよび積分球による発光出力Poを測定し、それぞれ3個の試料の測定結果の平均値を求めた。発明例1〜3および比較例1について、結果を表3に示す。また、発明例1、4および比較例1〜3について、20mAの電流を流した場合の発光出力Poを図4に示す。なお、発明例4の発光出力Poは3.2mWであった。また、比較例2では、一部に発光しない試料があり、発光した試料であっても最大で1.7mWであった。さらに、比較例3では全ての試料が発光しなかった。なお、光ファイバ分光器によって発明例1〜4および比較例1〜4の発光中心波長を測定したところ、いずれも280〜290nmの範囲内であった。
さらに、発明例1〜3および比較例1のそれぞれ3個の試料について、定電流電圧電源を用いて40mAの電流を流し、初期、250時間経過後、500時間経過後、および2000時間経過後の発光出力を積分球により測定し、平均値を求めた。結果を図5に示す。この結果から、発明例1〜3および比較例1のそれぞれの光度残存率(所定時間経過後の発光出力/初期の発光出力)をさらに求めた。結果を表3に示す。なお、発明例4の試料について、40mAの電流を流し、初期および250時間経過後の発光出力を測定し、光度残存率を算出したところ、比較例1に比べれば、大きな光度残存率が得られることが確認された。
Figure 0006908422
以上の評価結果から、MgおよびSiでコドープした第1p型コンタクト層を設けた発明例1〜4では、初期出力の低下を比較例1に比べても1割以内に抑制しつつ、光度残存率を向上させて、アレニウスプロットによる出力の保持時間を大幅に延長できることが確認できた。したがって、本発明条件を満足することで、従来よりも発光出力を維持することのできる信頼性の向上したIII族窒化物半導体発光素子を作製できることが確認できた。特に、発明例2,3の結果から第1p型コンタクト層の厚みを5〜15nmとすることで、信頼性の向上に加え、順方向電圧を顕著に低減できることも確認された。なお、比較例2,3に示されるように、第1p型コンタクト層のSi濃度が高くなりすぎると、発光素子として機能しなくなることが確認された。
本発明によれば、従来よりも発光出力を維持することのできる信頼性の向上したIII族窒化物半導体発光素子およびその製造方法を提供することができるため、有用である。
10 基板
10A 基板の主面
20 バッファ層
30 n型半導体層
40 発光層
41 井戸層
42 障壁層
50 ガイド層
60 p型電子ブロック層
70 p型コンタクト層
71 第1p型コンタクト層
72 第2p型コンタクト層
80 n側電極
90 p側電極
100 III族窒化物半導体発光素子

Claims (14)

  1. 発光層、p型電子ブロック層、p型コンタクト層およびp側電極をこの順に備えるIII族窒化物半導体発光素子であって、
    前記p型電子ブロック層は、Al組成比が0.5以上のp型III族窒化物半導体からなり、
    前記p型コンタクト層は、Al組成比が0.4未満のp型III族窒化物半導体からなり、
    前記p型コンタクト層は、前記p型電子ブロック層に接し、かつ、MgおよびSiでコドープされた第1p型コンタクト層と、前記p側電極に接し、かつ、Mgドープされた第2p型コンタクト層とを有し、
    前記第1p型コンタクト層のMg濃度が1×1019atoms/cm以上であり、かつ、Si濃度が2×1018atoms/cm以上3×1019atoms/cm以下であり、
    前記第1p型コンタクト層のAl組成比と、前記第2p型コンタクト層のAl組成比との差が0.1以下であることを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子。
  2. 発光層、p型電子ブロック層、p型コンタクト層およびp側電極をこの順に備えるIII族窒化物半導体発光素子であって、
    前記p型電子ブロック層は、Al組成比が0.5以上のp型III族窒化物半導体からなり、
    前記p型コンタクト層は、Al組成比が0.4未満のp型III族窒化物半導体からなり、
    前記p型コンタクト層は、前記p型電子ブロック層に接し、かつ、MgおよびSiでコドープされた第1p型コンタクト層と、前記p側電極に接し、かつ、Mgドープされた第2p型コンタクト層とを有し、
    前記第1p型コンタクト層のMg濃度が1×10 19 atoms/cm 以上であり、かつ、Si濃度が2×10 18 atoms/cm 以上3×10 19 atoms/cm 以下であり、
    前記p型電子ブロック層のドーパント濃度が1×10 18 以上5×10 21 atoms/cm 以下であることを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子。
  3. 前記第1p型コンタクト層の厚みが1nm以上30nm以下であり、前記第2p型コンタクト層の厚みが30nm以上である、請求項1又は2に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
  4. 前記第1p型コンタクト層の厚みが5nm以上15nm以下である、請求項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
  5. 前記第1p型コンタクト層において、前記Mg濃度が前記Si濃度よりも高い、請求項1〜のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
  6. 前記発光層から放射される光の中心波長が210nm以上340nm以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
  7. 発光層を形成する発光層形成工程と、
    前記発光層上にp型電子ブロック層を形成するp型電子ブロック層形成工程と、
    前記p型電子ブロック層上にp型コンタクト層を形成するp型コンタクト層形成工程と、
    前記p型コンタクト層直上にp側電極を形成するp側電極形成工程とを含むIII族窒化物半導体発光素子の製造方法であって、
    前記p型電子ブロック層は、Al組成比が0.5以上のp型III族窒化物半導体からなり、
    前記p型コンタクト層は、Al組成比が0.4未満のp型III族窒化物半導体からなり、
    前記p型コンタクト層形成は、前記p型電子ブロック層の直上に、MgおよびSiでコドープした第1p型コンタクト層を形成する第1p型コンタクト層形成工程と、該第1p型コンタクト層上にMgドープした第2p型コンタクト層を形成する第2p型コンタクト層形成工程とを有し、
    前記第1p型コンタクト層形成工程において、前記第1p型コンタクト層のMg濃度を1×1019atoms/cm以上とし、かつ、Si濃度を2×1018atoms/cm以上3×1019atoms/cm以下とし、
    前記第1p型コンタクト層のAl組成比と、前記第2p型コンタクト層のAl組成比との差を0.1以下とすることを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
  8. 発光層を形成する発光層形成工程と、
    前記発光層上にp型電子ブロック層を形成するp型電子ブロック層形成工程と、
    前記p型電子ブロック層上にp型コンタクト層を形成するp型コンタクト層形成工程と、
    前記p型コンタクト層直上にp側電極を形成するp側電極形成工程とを含むIII族窒化物半導体発光素子の製造方法であって、
    前記p型電子ブロック層は、Al組成比が0.5以上のp型III族窒化物半導体からなり、
    前記p型コンタクト層は、Al組成比が0.4未満のp型III族窒化物半導体からなり、
    前記p型コンタクト層形成は、前記p型電子ブロック層の直上に、MgおよびSiでコドープした第1p型コンタクト層を形成する第1p型コンタクト層形成工程と、該第1p型コンタクト層上にMgドープした第2p型コンタクト層を形成する第2p型コンタクト層形成工程とを有し、
    前記第1p型コンタクト層形成工程において、前記第1p型コンタクト層のMg濃度を1×10 19 atoms/cm 以上とし、かつ、Si濃度を2×10 18 atoms/cm 以上3×10 19 atoms/cm 以下とし、
    前記p型電子ブロック層のドーパント濃度が1×10 18 以上5×10 21 atoms/cm 以下とすることを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
  9. 前記第1p型コンタクト層形成工程において、前記第1p型コンタクト層の厚みを1nm以上30nm以下とし、
    前記第2p型コンタクト層形成工程において、前記第2p型コンタクト層の厚みを30nm以上とする、請求項7又は8に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
  10. 前記第1p型コンタクト層の厚みが5nm以上15nm以下である、請求項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
  11. 前記第1p型コンタクト層形成工程において、前記Mg濃度を前記Si濃度よりも高くする、請求項7〜10のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
  12. 前記p型電子ブロック層形成工程において、水素を主成分とするキャリアガスを供給し、
    前記第1p型コンタクト層形成工程において、窒素を主成分とするキャリアガスを供給する、請求項7〜11のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
  13. 前記第2p型コンタクト層形成工程において、初めに窒素を主成分とするキャリアガスを供給し、次いで該窒素を主成分とするキャリアガスから、水素を主成分とするキャリアガスに供給を切り替える、請求項7〜12のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
  14. 前記発光層から放射される光の中心波長が210nm以上340nm以下である、請求項7〜13のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
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