JP6907625B2 - ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 Download PDF

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Description

本発明は、耐候性、成形性、色相、耐熱性、熱安定性、及び機械的強度に優れたポリカーボネート樹脂組成物に関する。
ポリカーボネート樹脂は、一般的にビスフェノール類をモノマー成分とし、透明性、耐熱性、機械的強度等の優位性を生かし、電気・電子部品、自動車用部品、医療用部品、建材、フィルム、シート、ボトル、光学記録媒体、レンズ等の分野でいわゆるエンジニアリングプラスチックスとして広く利用されている。
しかしながら、従来のポリカーボネート樹脂は、長時間紫外線や可視光に曝露される場所で使用すると、色相や透明性、機械的強度が悪化するため、屋外や照明装置の近傍での使用に制限があった。又、種々成形品として使用する場合、溶融成形時に離型性が悪く、透明材料や光学材料等に用いることが困難であるという問題があった。
このような問題を解決するために、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤やベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾオキサジン系紫外線吸収剤をポリカーボネート樹脂に添加する方法が広く知られている(例えば、非特許文献1参照)。
ところが、このような紫外線吸収剤を添加した場合、紫外線照射後の色相などの改良は認められるものの、そもそもの樹脂の色相や耐熱性、透明性の悪化を招いたり、また成型時に揮発して金型を汚染したりする等の問題があった。
また、光安定剤としてヒンダードアミン系の光安定剤が知られているが、ポリカーボネート樹脂はアルカリなど塩基成分に常温においても不安定であり、ヒンダードアミン系化合物に対しても加水分解を受けることが報告されている(例えば、非特許文献2参照)。
従来のポリカーボネート樹脂に使用されるビスフェノール化合物は、ベンゼン環構造を有するために紫外線吸収が大きく、このことがポリカーボネート樹脂の耐光性悪化を招くため、分子骨格中にベンゼン環構造を持たない脂肪族ジヒドロキシ化合物や脂環式ジヒドロキシ化合物、イソソルビドのように分子内にエーテル結合を持つ環状ジヒドロキシ化合物モノマーユニットを使用すれば、原理的には耐光性が改良されることが期待される。中でも、バイオマス資源から得られるイソソルビドをモノマーとしたポリカーボネート樹脂は、耐熱性や機械的強度が優れていることから、近年数多くの検討がなされるようになってきた(例えば、特許文献1〜4)。
また、分子骨格中にベンゼン環構造を持たない、イソソルビド、イソマンニド、イソイティッドなどのように分子内にエーテル結合を持つ環状ジヒドロキシ化合物を使用したポリカーボネート樹脂組成物に、紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、シアノアクリレート系を添加することやヒンダードアミン系の光安定剤を含有することが知られている(例えば、特許文献5および6)。
国際公開第2004/111106号パンフレット 特開2006−232897号公報 特開2008−24919号公報 特開2008−274007号公報 特開2007−70391号公報 国際公開第2011/118768号パンフレット
ポリカーボネート樹脂ハンドブック(1992年8月28日 日刊工業新聞社発行 本間精一編) G.L.Gains, Jr. : Polym. Degradation Stab., 27, 13 (1990)
しかしながら、イソソルビドのように分子内にエーテル結合を持つ環状ジヒドロキシ化合物は、フェノール性水酸基を有しない。このようなフェノール性水酸基を有しないジヒドロキシ化合物を用いて得られるポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールA等のフェノール性水酸基を有するジヒドロキシ化合物を用いて得られたポリカーボネート樹脂に比べ熱安定性に劣っている。そのため、高温にさらされる重合中や成形中に着色が起こり、結果的には紫外線や可視光を吸収して耐候性の悪化を招くという問題があった。中でも、イソソルビドのように分子内にエーテル結合を有する環状ジヒドロキシ化合物を用いた場合は、初期の色相や耐光試験後の色相悪化、光沢劣化、成形外観の悪化が著しく、大幅な改良が求められていた。
本発明の目的は、上記従来の問題点を解消し、成形性、透明性、色相、耐熱性、熱安定性、及び機械的強度を有するだけでなく、初期の色調、耐候性に優れ、耐光試験後にも色調、光沢が良好で成形外観も良好であり、電気・電子部品、自動車用部品等の射出成形分野、フィルム、シート分野、さらには、建築部材用途といった幅広い分野へ適用可能なポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するべく、鋭意検討を重ねた結果、以下の樹脂組成物が、成形性、透明性、色相、耐熱性、熱安定性、及び機械的強度を有するだけでなく、初期の色調、耐候性に優れ、耐光試験後にも色調、光沢が良好で成形外観も良好であることを見出し、本発明に到達した。
(A)下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリカーボネート樹脂と、
(B)紫外線吸収剤
(C)光安定剤
(D)フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有する酸化防止剤
を含有してなるポリカーボネート樹脂組成物。
Figure 0006907625
本発明によれば、成形性、透明性、色相、耐熱性、熱安定性、及び機械的強度を有するだけでなく、初期の色調、耐候性に優れ、耐光試験後にも色調、光沢が良好で成形外観も良好であり、電気・電子部品、自動車用部品等の射出成形分野、フィルム、シート分野、
さらには、建築部材用途といった幅広い分野へ適用可能なポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品を提供することが可能になる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。
(1) ポリカーボネート樹脂組成物
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、以下のとおりである。
(A)下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリカーボネート樹脂と、
(B)紫外線吸収剤
(C)光安定剤
(D)フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有する酸化防止剤
を含有してなるポリカーボネート樹脂組成物。
Figure 0006907625
以下、本発明のポリカーボネート樹脂組成物について詳述する。なお、下記(A)〜(F)の含有量は、通常、特に限定されないが、以下の記載において、「下記(A)および下記(E)の合計100重量部とした際に」という記載にて、それぞれの成分の好ましい含有量を説明する。なお、以下の記載は、成分(E)を使用しない場合においても同様の含有量が好ましいこと意味している。
(A)ポリカーボネート樹脂
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いるポリカーボネート樹脂(以下、「本発明のポリカーボネート樹脂(A)」と称することがある)は、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位をカーボネート結合で連結したポリカーボネート樹脂であり、下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物(以下、「ジヒドロキシ化合物(1)」と称することがある。)に由来する構造単位を少なくとも含む。尚、本発明で用いるポリカーボネート樹脂(A)を構成するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位は、ジヒドロキシ化合物の水酸基から水素原子を除いたものである。
Figure 0006907625
上記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられる。これらのジヒドロキシ化合物(1)のうち、資源として豊富に存在し、容易に入手可能であり、種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、成形性の面から最も好ましい。
これらのジヒドロキシ化合物(1)は、1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
尚、イソソルビド等、環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物(1)は、酸素によって徐々に酸化されやすい。このため、保管や、製造時の取り扱いの際には、酸素による分解を防ぐため、水分が混入しないようにし、また、脱酸素剤を用いたり、窒素雰囲気下で取り扱うことが肝要である。イソソルビドが酸化されると、蟻酸をはじめとする分解物が発生し、例えば、これら分解物を含むイソソルビドを用いてポリカーボネート樹脂(A)を製造すると、得られるポリカーボネート樹脂(A)に着色が発生したり、物性を著しく劣化させる原因となる。また、重合反応に影響を与え、高分子量の重合体が得られないこともあり、好ましくない。
そこで、ジヒドロキシ化合物(1)には安定剤を用いることが好ましい。安定剤としては、還元剤、制酸剤、抗酸化剤、脱酸素剤、光安定剤、pH安定剤、熱安定剤等の安定剤を用いることが好ましく、特に酸性下ではジヒドロキシ化合物(1)が変質しやすいことから、塩基性安定剤を含むことが好ましい。このうち還元剤としては、ナトリウムボロハイドライド、リチウムボロハイドライド等が挙げられ、制酸剤としては水酸化ナトリウム等のアルカリが挙げられる。ただし、このようなアルカリ金属塩の添加は、添加したアルカリ金属がポリカーボネート樹脂(A)製造時の重合触媒となる場合があるので、過剰に添加し過ぎると重合反応を制御できなくなり、好ましくない。
塩基性安定剤としては、長周期型周期表(Nomenclature of Inorganic Chemistry IUPAC Recommendations 2005)における1族又は2族の金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、硼酸塩、脂肪酸塩や、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等の塩基性アンモニウム化合物、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等のアミン系化合物が挙げられる。その中でも、その効果と後述する蒸留除去のしやすさから、ナトリウム又はカリウムのリン酸塩、亜リン酸塩が好ましく、中でもリン酸水素2ナトリウム、亜リン酸水素2ナトリウムが好ましい。
これら塩基性安定剤のジヒドロキシ化合物(1)中の含有量に特に制限はないが、少なすぎるとジヒドロキシ化合物(1)の変質を防止する効果が得られない可能性があり、多すぎるとジヒドロキシ化合物(1)の変性を招く場合があるので、通常、ジヒドロキシ化合物(1)に対して、0.0001重量%〜1重量%、好ましくは0.001重量%〜0.1重量%である。
これらの安定剤を添加したジヒドロキシ化合物(1)をポリカーボネート樹脂(A)原料として用いると、安定剤の種類によっては、得られるポリカーボネート樹脂(A)に着
色を発生したり、物性を著しく劣化させたりする場合がある。例えば、上記の塩基性安定剤を含有したジヒドロキシ化合物(1)をポリカーボネート樹脂(A)の製造原料として用いると、塩基性安定剤自体が重合触媒となり、重合速度や品質の制御が困難になるだけでなく、初期色相の悪化を招き、結果的に得られるポリカーボネート樹脂(A)の成形品の耐候性を悪化させる。
このため、ジヒドロキシ化合物(1)をポリカーボネート樹脂(A)の製造原料として使用する前に、塩基性安定剤等の安定剤は、イオン交換樹脂や蒸留等で除去することが好ましい。
また、前述の如く、ジヒドロキシ化合物(1)の酸化分解生成物を含むジヒドロキシ化合物(1)をポリカーボネート樹脂(A)の製造原料として使用すると、得られるポリカーボネート樹脂(A)の着色を招く可能性があり、また、物性を著しく劣化させる可能性があるだけではなく、重合反応に影響を与え、高分子量の重合体が得られないことがある。
このため、酸化分解物を含まないジヒドロキシ化合物(1)を得るために、また、前述の塩基性安定剤を除去するために、ジヒドロキシ化合物(1)の蒸留精製を行うことが好ましい。この場合の蒸留とは単蒸留であっても、連続蒸留であってもよく、特に限定されない。蒸留の条件としてはアルゴンや窒素等の不活性ガス雰囲気において、減圧下で蒸留を実施することが好ましく、熱による変性を抑制するためには、250℃以下、好ましくは200℃以下、特には180℃以下の条件で行うことが好ましい。
<ジヒドロキシ化合物(1)以外のジヒドロキシ化合物>
本発明のポリカーボネート樹脂(A)は前記ジヒドロキシ化合物(1)に由来する構造単位以外に、ジヒドロキシ化合物(1)以外のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a−2)を含有する。
ジヒドロキシ化合物(1)以外のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a−2)を含有するポリカーボネート樹脂(A)は、例えば、後述のポリカーボネート樹脂(A)の製造方法に従って、ジヒドロキシ化合物(1)以外のジヒドロキシ化合物の1種又は2種以上を用いて製造される。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)が含有するジヒドロキシ化合物(1)以外のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a−2)は、脂肪族ジヒドロキシ化合物、脂環式ジヒドロキシ化合物および芳香族ジヒドロキシ化合物よりなる群から選ばれるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位であることが好ましい。特に、耐候性の観点から、脂肪族ジヒドロキシ化合物および脂環式ジヒドロキシ化合物よりなる群から選ばれるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有することが好ましく、なかでも、脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有することが好ましい。ポリカーボネート樹脂(A)がかかる構成単位を有する場合には、得られるポリカーボネート樹脂(A)に、さらに柔軟性を付与することができ、ポリカーボネート樹脂(A)を含む樹脂組成物を成形した際に耐久性が向上する。
(脂肪族ジヒドロキシ化合物)
脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオー
ル、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、水素化ジリノレイルグリコール、水素化ジオレイルグリコール等が挙げられる。これらの中でも、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオールが好ましい。
(脂環式ジヒドロキシ化合物)
脂環式ジヒドロキシ化合物としては、特に限定されないが、5員環構造又は6員環構造を含む化合物が挙げられる。6員環構造は共有結合によって椅子形もしくは舟形に固定されていてもよい。脂環式ジヒドロキシ化合物に含まれる炭素数は通常70以下であり、好ましくは50以下、さらに好ましくは30以下である。炭素数が過度に大きいと、耐熱性が高くなるが、合成が困難になったり、精製が困難になる傾向がある。炭素数が小さいほど、精製しやすく、入手しやすい傾向があるが、小さすぎると環構造が不安定であり合成が困難となる。
脂環式ジヒドロキシ化合物としては、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジオール等のシクロヘキサンジオール類、4−シクロヘキセン−1,2−ジオール等のシクロへキセンジオール類、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のシクロへキサンジメタノール類、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノール等のノルボルナンジメタノール類、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、1,3−アダマンタンジオール、2,2−アダマンタンジオール等が挙げられる。
上述した脂環式ジヒドロキシ化合物の具体例のうち、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のシクロへキサンジメタノール類、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、1,3−アダマンタンジオール、2,2−アダマンタンジオール、入手のしやすさ、取り扱いのしやすさという観点から、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノールが好ましく、これらの中でも、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノールが特に好ましく、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールが最も好ましい。
尚、前記例示化合物は、本発明に使用し得る脂環式ジヒドロキシ化合物の一例であって、何らこれらに限定されるものではない。これらの脂環式ジヒドロキシ化合物は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
(芳香族ジヒドロキシ化合物)
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、置換若しくは無置換のビスフェノール化合物が挙げられ、具体的には、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−
メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等の芳香族環上に置換基を有しないビスフェノール化合物;ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族環上に置換基としてアリール基を有するビスフェノール化合物;ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−(sec−ブチル)フェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)シクロヘキサン等の芳香族環上に置換基としてアルキル基を有するビスフェノール化合物;ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジベンジルメタン等の芳香族環を連結する2価基が置換基としてアリール基を有するビスフェノール化合物;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル等の芳香族環をエーテル結合で連結したビスフェノール化合物;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン等の芳香族環をスルホン結合で連結したビスフェノール化合物;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド等の芳香族環をスルフィド結合で連結したビスフェノール化合物等、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダンが挙げられるが、好ましくは2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」と略記することがある。)、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダンが挙げられる。
上述のジヒドロキシ化合物(1)以外のジヒドロキシ化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
[ポリカーボネート樹脂の混合]
上述のA成分であるポリカーボネート樹脂は、一種類のポリカーボネートのみでもよいし、共重合比率が異なる複数のポリカーボネート共重合体を含有することもできる。つま
り、A成分としては、共重合比率が異なる複数のポリカーボネート共重合体が溶融混合されたポリカーボネート樹脂混合物を用いることもできる。この溶融混合時における溶融押出口の樹脂温度は、235℃〜245℃が好ましく、238℃〜242℃がより好ましい。この範囲とすることにより、ポリカーボネート樹脂の着色や熱劣化あるいはヤケを抑制することができ、衝撃強度がより高く良好なポリカーボネート樹脂混合物を得ることができる。
共重合比率の異なる複数のポリカーボネート共重合体のそれぞれの共重合比率の範囲や、複数のポリカーボネート共重合体の混合比率は、混合後に得られるポリカーボネート樹脂混合物の共重合比率が、所定の範囲を満たす条件で適宜選択される。ポリカーボネート樹脂(A)として、一種類のポリカーボネートのみを用いる場合および複数のポリカーボネート共重合体を混合する場合は、混合後に得られるポリカーボネート樹脂混合物の共重合比率の好ましい範囲は同様であり、以下に説明する。つまり、本発明のポリカーボネート樹脂(A)に含まれる全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に対して、一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の量(ただし、モル数)は、40モル%以上が好ましく、45モル%以上がより好ましく、50モル%以上が特に好ましく、55モル%以上が最も好ましい。また、90モル%以下が好ましく、80モル%以下がより好ましく、75モル%以下が特に好ましく、70モル%以下が最も好ましい。また、本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)におけるジヒドロキシ化合物(1)以外のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a−2)の含有割合は、特に限定されないが、ポリカーボネート樹脂(A)中の全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位において、10モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、25モル%以上が特に好ましく、30モル%以上が最も好ましい。また、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下が特に好ましく、45モル%以下が最も好ましい。ポリカーボネート樹脂(A)が上記の範囲内の構成であれば、耐衝撃性および耐熱性が良好となる。
なお、本発明のポリカーボネート樹脂(A)において、上述の芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の含有量は、本発明のポリカーボネート樹脂(A)に含まれる全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に対して、0モル%以上かつ40モル%未満が好ましく、0モル%以上かつ20モル%未満がより好ましく、0モル%以上かつ10モル%未満がさらに好ましい。ポリカーボネート樹脂(A)が芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有することにより、耐熱性、耐面衝撃性、成形加工性等の改良が期待できる。ただし、芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位は、着色が顕著になる可能性があるため、芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有しないことが耐候性の点からはもっとも好ましい。
(炭酸ジエステル)
本発明のポリカーボネート樹脂は、上述した本発明のジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを原料として、エステル交換反応により重縮合させて得ることができる。
用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記一般式(6)で表されるものが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
Figure 0006907625
上記式(6)において、A及びAは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換の炭素数1〜18の脂肪族基、又は、置換若しくは無置換の芳香族基である。
上記式(6)で表される炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びジ−t−ブチルカーボネート等が例示されるが、好ましくはジフェニルカーボネート、置換ジフェニルカーボネートであり、特に好ましくはジフェニルカーボネートである。なお、炭酸ジエステルは、塩化物イオンなどの不純物を含む場合があり、これらの不純物は重合反応を阻害したり、得られるポリカーボネート樹脂(A)の色相を悪化させたりする場合があるため、必要に応じて、蒸留などにより精製したものを使用することが好ましい。
炭酸ジエステルは、溶融重合に使用した全ジヒドロキシ化合物に対して、0.90〜1.20のモル比率で用いることが好ましく、0.95〜1.10のモル比率で用いることがより好ましく、0.96〜1.10のモル比率で用いることがさらにより好ましく、特に好ましくは、0.98〜1.04のモル比率で用いることがよい。
このモル比率が0.90より小さくなると、製造されたポリカーボネート樹脂(A)の末端ヒドロキシル基が増加して、ポリマーの熱安定性が悪化し、熱可塑性樹脂組成物を成形する際に着色を招いたり、エステル交換反応の速度が低下したり、所望の高分子量体が得られない可能性がある。
また、このモル比率が1.20より大きくなると、同一条件下ではエステル交換反応の速度が低下し、所望とする分子量のポリカーボネート樹脂(A)の製造が困難となるばかりか、製造されたポリカーボネート樹脂(A)中の残存炭酸ジエステル量が増加し、この残存炭酸ジエステルが、成形時、或いは成形品の臭気の原因となり好ましくない場合があり、重合反応時の熱履歴を増大させ、結果的に得られたポリカーボネート樹脂(A)の色相や耐候性を悪化させる可能性がある。
更には、全ジヒドロキシ化合物に対する、炭酸ジエステルのモル比率が増大すると、得られるポリカーボネート樹脂(A)中の残存炭酸ジエステル量が増加し、これらが紫外線を吸収してポリカーボネート樹脂(A)の耐光性を悪化させる場合があり、好ましくない。本発明のポリカーボネート樹脂(A)に残存する炭酸ジエステルの濃度は、好ましくは200重量ppm以下、更に好ましくは100重量ppm以下、特に好ましくは60重量ppm以下、中でも30重量ppm以下が好適である。ただし、現実的にポリカーボネート樹脂(A)は未反応の炭酸ジエステルを含むことがあり、ポリカーボネート樹脂(A)中の未反応の炭酸ジエステル濃度の下限値は通常1重量ppmである。
<エステル交換反応触媒>
本発明のポリカーボネート樹脂(A)は、上述のようにジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物と前記式(6)で表される炭酸ジエステルをエステル交換反応させて製造することができる。より詳細には、エステル交換反応させ、副生するモノヒドロキシ化合物等を系外に除去することによって得られる。この場合、通常、エステル交換反応触媒の存在下でエステル交換反応により溶融重合を行う。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)の製造時に使用し得るエステル交換反応触媒(以下、「触媒」と称する場合がある)としては、例えば長周期型周期表(Nomenclature of Inorganic Chemistry IUPAC Recommendations 2005)における1族又は2族(以下、単に「1族」、「2族」と表記する。)の金属化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物が挙げられる。これらの中でも、好ましくは1族金属化合物及び/又は2族金属化合物が使用される。
1族金属化合物及び/又は2族金属化合物と共に、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能であるが、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物のみを使用することが特に好ましい。
また、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の形態としては通常、水酸化物、又は炭酸塩、カルボン酸塩、フェノール塩といった塩の形態で用いられるが、入手のし易さ、取扱いの容易さから、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩が好ましく、色相と重合活性の観点からは酢酸塩が好ましい。
1族金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸セシウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、リン酸水素2セシウム、フェニルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フェニルリン酸2リチウム、フェニルリン酸2セシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウムのアルコレート、フェノレート、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2リチウム塩、2セシウム塩等が挙げられ、中でもセシウム化合物、リチウム化合物が好ましい。
2族金属化合物としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウム等が挙げられ、中でもマグネシウム化合物、カルシウム化合物、バリウム化合物が好ましく、マグネシウム化合物及び/又はカルシウム化合物が更に好ましい。
塩基性ホウ素化合物としては、例えば、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩、あるいはストロンチウム塩等が挙げられる。
塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホス
フィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、あるいは四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
アミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等が挙げられる。
上記の中でも、第2族金属化合物及びリチウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物を触媒として用いるのが、得られるポリカーボネート樹脂(A)の透明性、色相、耐光性等の種々の物性を優れたものとするために好ましい。
また、上記ポリカーボネート樹脂(A)の透明性、色相、耐光性を特に優れたものとするために、触媒が、マグネシウム化合物、カルシウム化合物およびバリウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物であるのが好ましく、マグネシウム化合物およびカルシウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物であるのが特に好ましい。
前記触媒の使用量は、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の場合、反応に供する全ジヒドロキシ化合物1モルに対して、金属換算量として、好ましくは0.1〜300μモル、より好ましくは0.1〜100μモル、さらに好ましくは0.5〜50μモル、更により好ましくは1〜25μモルの範囲内である。
上記の中でもリチウム及び2族金属からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属を含む化合物を用いる場合、特にはマグネシウム化合物、カルシウム化合物およびバリウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物を用いる場合は、金属換算量として、反応に供する全ジヒドロキシ化合物1モル当たり、好ましくは0.1μモル以上、更に好ましくは0.5μモル以上、特に好ましくは0.7μモル以上とする。また上限としては、好ましくは20μモル、更に好ましくは10μモル、特に好ましくは3μモル、最も好ましくは2.0μモルである。
触媒の使用量が少なすぎると、所望の分子量のポリカーボネート樹脂(A)を製造するのに必要な重合活性が得られず、充分な破壊エネルギーが得られない可能性がある。一方、触媒の使用量が多すぎると、得られるポリカーボネート樹脂(A)の色相が悪化するだけでなく、副生成物が発生したりして流動性の低下やゲルの発生が多くなり、脆性破壊の起因となる場合があり、目標とする品質のポリカーボネート樹脂(A)の製造が困難になる可能性がある。
<ポリカーボネート樹脂(A)の製造方法>
本発明のポリカーボネート樹脂(A)は、ジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをエステル交換反応により溶融重合させることによって得ら
れるが、原料であるジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルは、エステル交換反応前に均一に混合することが好ましい。
混合の温度は通常80℃以上、好ましくは90℃以上であり、その上限は通常250℃以下、好ましくは200℃以下、更に好ましくは150℃以下である。中でも100℃以上120℃以下が好適である。混合の温度が低すぎると溶解速度が遅かったり、溶解度が不足する可能性があり、しばしば固化等の不具合を招き、混合の温度が高すぎるとジヒドロキシ化合物の熱劣化を招く場合があり、結果的に得られるポリカーボネート樹脂(A)の色相が悪化し、耐光性に悪影響を及ぼす可能性がある。
また、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを混合する操作は、酸素濃度10体積%以下、更には0.0001体積%〜10体積%、中でも0.0001体積%〜5体積%、特には0.0001体積%〜1体積%の雰囲気下で行うことが、得られるポリカーボネート樹脂(A)の色相悪化防止の観点から好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)は、触媒を用いて、複数の反応器を用いて多段階で溶融重合させて製造することが好ましい。溶融重合を複数の反応器で実施する理由は、溶融重合反応初期においては、反応液中に含まれるモノマーが多いために、必要な重合速度を維持しつつ、モノマーの揮散を抑制してやることが重要であり、溶融重合反応後期においては、平衡を重合側にシフトさせるために、副生するモノヒドロキシ化合物を十分留去させることが重要になるためである。このように、異なった重合反応条件を設定するには、直列に配置された複数の反応器を用いることが、生産効率の観点から好ましい。前記反応器は、上述の通り、少なくとも2つ以上であればよいが、生産効率などの観点からは、3つ以上、好ましくは3〜5つ、特に好ましくは、4つである。
反応の形式は、バッチ式、連続式、あるいはバッチ式と連続式の組み合わせのいずれの方法でもよい。
更には、留出するモノマーの量を抑制するために、重合反応器に還流冷却器を用いることは有効であり、特に未反応モノマー成分が多い重合初期の反応器でその効果は大きい。還流冷却器に導入される冷媒の温度は使用するモノマーに応じて適宜選択することができるが、通常、還流冷却器に導入される冷媒の温度は該還流冷却器の入口において45〜180℃であり、好ましくは80〜150℃、特に好ましくは100〜130℃である。還流冷却器に導入される冷媒の温度が高すぎると還流量が減り、その効果が低下し、低すぎると、本来留去すべきモノヒドロキシ化合物の留去効率が低下する傾向にある。冷媒としては、温水、蒸気、熱媒オイル等が用いられ、蒸気、熱媒オイルが好ましい。
重合速度を適切に維持し、モノマーの留出を抑制しながら、最終的に得られるポリカーボネート樹脂(A)の色相や熱安定性、耐光性等を損なわないようにするためには、前述の触媒の種類と量の選定が重要である。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)の製造にあたっては、前記反応器が2つ以上であれば、その反応器中で、更に条件の異なる反応段階を複数持たせる、連続的に温度・圧力を変えていく、などしてもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)の製造において、触媒は原料調製槽、原料貯槽に添加することもできるし、反応器に直接添加することもできるが、供給の安定性、溶融重合の制御の観点からは、反応器に供給される前の原料ラインの途中に触媒供給ラインを設置し、好ましくは水溶液で供給する。
重合条件としては、重合初期においては、相対的に低温、低真空でプレポリマーを得、重合後期においては相対的に高温、高真空で所定の値まで分子量を上昇させることが好ましいが、各分子量段階でのジャケット温度と内温、反応系内の圧力を適切に選択することが、得られるポリカーボネート樹脂(A)の色相や耐光性の観点から重要である。例えば
、重合反応が所定の値に到達する前に温度、圧力のどちらか一方でも早く変化させすぎると、未反応のモノマーが留出し、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルのモル比を狂わせ、重合速度の低下を招いたり、所定の分子量や末端基を持つポリマーが得られなかったりして結果的に本発明の目的を達成することができない可能性がある。
エステル交換反応の温度は、低すぎると生産性の低下や製品への熱履歴の増大を招き、高すぎるとモノマーの揮散を招くだけでなく、ポリカーボネート樹脂(A)の分解や着色を助長する可能性がある。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)の製造において、ジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを触媒の存在下、エステル交換反応させる方法は、通常、2段階以上の多段工程で実施される。具体的には、第1段目のエステル交換反応温度(以下、「内温」と称する場合がある)は好ましくは140℃以上、より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは180℃以上、さらにより好ましくは200℃以上であることがよい。また、第1段目のエステル交換反応温度は、好ましくは270℃以下、より好ましくは240℃以下、さらに好ましくは230℃以下、さらにより好ましくは220℃以下であることがよい。第1段目のエステル交換反応における滞留時間は通常0.
1〜10時間、好ましくは0.5〜3時間であり、第1段目のエステル交換反応は、発生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ留去しながら実施される。第2段目以降はエステル交換反応温度を上げていき、通常、210〜270℃、好ましくは220〜250℃の温度でエステル交換反応を行い、同時に発生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ除きながら、反応系の圧力を第1段目の圧力から徐々に下げながら最終的には反応系の圧力が200Pa以下となるように、通常0.1〜10時間、好ましくは0.5〜6時間、特に好ましくは1〜3時間重縮合反応が行われる。
エステル交換反応温度が過度に高いと、成形品としたときに色相が悪化し、脆性破壊しやすい可能性がある。エステル交換反応温度が過度に低いと、目標とする分子量が上がらず、また、分子量分布が広くなり、衝撃強度が劣る場合がある。また、エステル交換反応の滞留時間が過度に長いと、脆性破壊しやすい場合がある。滞留時間が過度に短いと、目標とする分子量が上がらず衝撃強度が劣る場合がある。
副生したモノヒドロキシ化合物は、資源有効活用の観点から、必要に応じ精製を行った後、炭酸ジエステルや、各種ビスフェノール化合物の原料として再利用することが好ましい。
特にポリカーボネート樹脂(A)の着色や熱劣化あるいはヤケを抑制し、衝撃強度が高い良好なポリカーボネート樹脂(A)を得るには、全反応段階における反応器内温の最高温度が255℃未満、より好ましくは250℃以下、特に225〜245℃であることが好ましい。また、重合反応後半の重合速度の低下を抑止し、熱履歴によるポリカーボネート樹脂(A)の熱劣化を最小限に抑えるために、反応の最終段階でプラグフロー性と界面更新性に優れた横型反応器を使用することが好ましい。
また、衝撃強度の高いポリカーボネート樹脂(A)を企図し、分子量の高いポリカーボネート樹脂(A)を得るため、出来るだけ重合温度を高め、重合時間を長くする場合があるが、この場合には、ポリカーボネート樹脂(A)中の異物やヤケが発生し、脆性破壊しやすくなる傾向にある。よって、衝撃強度が高くすることと脆性破壊をしにくくすることの双方を満足させるためには、重合温度を低く抑え、重合時間短縮のための高活性触媒の使用、適正な反応系の圧力設定等の調整を行なうことが好ましい。更に、反応の途中あるいは反応の最終段階において、フィルター等により反応系で発生した異物やヤケ等を除去することも脆性破壊をしにくくするために好ましい。
なお、前記式(6)で表される炭酸ジエステルとして、ジフェニルカーボネート、ジト
リルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートを用いてポリカーボネート樹脂(A)を製造する場合は、フェノール、置換フェノールが副生し、ポリカーボネート樹脂(A)中に残存することは避けられないが、フェノール、置換フェノールも芳香環を有することから紫外線を吸収し、耐光性の悪化要因になる場合があるだけでなく、成形時の臭気の原因となる場合がある。ポリカーボネート樹脂(A)中には、通常のバッチ反応後は1000重量ppm以上の副生フェノール等の芳香環を有する芳香族モノヒドロキシ化合物が含まれているが、耐光性や臭気低減の観点からは、脱揮性能に優れた横型反応器や真空ベント付の押出機を用いて、ポリカーボネート樹脂(A)中の芳香族モノヒドロキシ化合物の含有量を好ましくは700重量ppm以下、更に好ましくは500重量ppm以下、特には300重量ppm以下にすることが好ましい。ただし、芳香族モノヒドロキシ化合物を工業的に完全に除去することは困難であり、ポリカーボネート樹脂(A)中の芳香族モノヒドロキシ化合物の含有量の下限は通常1重量ppmである。尚、これら芳香族モノヒドロキシ化合物は、用いる原料により、当然置換基を有していてもよく、例えば、炭素数が5以下であるアルキル基等を有していてもよい。
また、1族金属、中でもリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、特にはナトリウム、カリウム、セシウムは、使用する触媒からのみではなく、原料や反応装置から混入する場合があるが、これらの金属がポリカーボネート樹脂(A)中に多く含まれると色相に悪影響を及ぼす可能性があるため、本発明のポリカーボネート樹脂(A)中のこれらの化合物の合計の含有量は、少ない方が好ましく、ポリカーボネート樹脂(A)中の金属量として、通常1重量ppm以下、好ましくは0.8重量ppm以下、より好ましくは0.7重量ppm以下である。
なお、ポリカーボネート樹脂(A)中の金属量は、従来公知の種々の方法により測定可能であるが、湿式灰化等の方法でポリカーボネート樹脂(A)中の金属を回収した後、原子発光、原子吸光、Inductively Coupled Plasma(ICP)等の方法を使用して測定することが出来る。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)は、上述の通り溶融重合後、通常、冷却固化させ、回転式カッター等でペレット化される。
ペレット化の方法は限定されるものではないが、例えば、最終重合反応器からポリカーボネート樹脂(A)を溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させてペレット化させる方法、最終重合反応器から溶融状態で一軸又は二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法、又は、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させて一旦ペレット化させた後に、再度一軸又は二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法等が挙げられる。
その際、押出機中で、残存モノマーの減圧脱揮や、通常知られている、熱安定剤、中和剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、相溶化剤、難燃剤等を添加、混練することも出来る。
押出機中の、溶融混練温度は、ポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度や分子量に依存するが、通常150〜300℃、好ましくは200〜270℃、更に好ましくは230〜260℃である。溶融混練温度が150℃より低いと、ポリカーボネート樹脂(A)の溶融粘度が高く、押出機への負荷が大きくなり、生産性が低下する。300℃より高いと、ポリカーボネートの熱劣化が激しくなり、分子量の低下による機械的強度の低下や、着色、ガスの発生、異物の発生、更にはヤケの発生を招く。前記異物やヤケの除去のためのフィルターは該押出機中あるいは押出機出口に設置することが好ましい。
前記フィルターの異物除去の大きさ(目開き)は、99%以上の異物を除去するという
濾過精度を目標として、通常400μm以下、好ましくは200μm以下、特に好ましくは100μm以下である。フィルターの目開きが過度に大きいと、異物やヤケの除去に漏れが生じる場合があり、ポリカーボネート樹脂(A)を成形した場合、脆性破壊を起こす可能性がある。また前記フィルターの目開きは、本発明の熱可塑性樹脂組成物の用途に応じて調整することができる。例えばフィルム用途に適用する場合には、欠陥を排除するという要求から前記フィルターの目開きは40μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
更に、前記フィルターは複数個を直列に設置して使用してもよく、また、リーフディスク型ポリマーフィルターを複数枚積層した濾過装置を使用してもよい。
また、溶融押出されたポリカーボネート樹脂(A)を冷却してペレット化する際は、空冷、水冷等の冷却方法を使用することが好ましい。空冷の際に使用する空気は、HEPAフィルター(JIS Z8112で規定されるフィルターが好ましい。)等で空気中の異物を事前に取り除いた空気を使用し、空気中の異物の再付着を防ぐことが望ましい。より好ましくはJIS B 9920(2002年)に定義されるクラス7、更に好ましくはクラス6より清浄度の高いクリーンルームのなかで実施することが好ましい。水冷を使用する際は、イオン交換樹脂等で水中の金属分を取り除き、更にフィルターにて水中の異物を取り除いた水を使用することが望ましい。用いるフィルターの目開きは種々あるが、10〜0.45μmのフィルターが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)を溶融重合法で製造する際に、着色を防止する目的で、リン酸化合物や亜リン酸化合物の1種又は2種以上を重合時に添加することができる。
リン酸化合物としては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等のリン酸トリアルキルの1種又は2種以上が好適に用いられる。これらは、反応に供する全ヒドロキシ化合物に対して、0.0001モル%以上0.005モル%以下添加することが好ましく、更に好ましくは0.0003モル%以上0.003モル%以下添加することが好ましい。リン化合物の添加量が前記下限より少ないと、着色防止効果が小さく、前記上限より多いと、透明性が低下する原因となったり、逆に着色を促進させたり、耐熱性を低下させたりする。
また、亜リン酸化合物としては、下記に示す熱安定剤を任意に選択して使用できる。特に、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトの1種又は2種以上が好適に使用できる。これらの亜リン酸化合物は、反応に供する全ヒドロキシ化合物に対して、0.0001モル%以上0.005モル%以下添加することが好ましく、更に好ましくは0.0003モル%以上0.003モル%以下添加することが好ましい。亜リン酸化合物の添加量が前記下限より少ないと、着色防止効果が小さく、前記上限より多いと、透明性が低下する原因となったり、逆に着色を促進させたり、耐熱性を低下させたりすることもある。
上記のリン酸化合物と亜リン酸化合物は併用して添加することもできるが、その場合の添加量は、リン酸化合物と亜リン酸化合物の総量で、反応に供する全ヒドロキシ化合物に対して、0.0001モル%以上0.005モル%以下とすることが好ましく、更に好ましくは0.0003モル%以上0.003モル%以下である。この添加量が前記下限より少ないと、着色防止効果が小さく、前記上限より多いと、透明性が低下する原因となったり、逆に着色を促進させたり、耐熱性を低下させたりすることもある。
また、このようにして製造されたポリカーボネート樹脂(A)には、成形時等における分子量の低下や色相の悪化を防止するために熱安定剤の1種又は2種以上が配合されてい
てもよい。
かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸、及びこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。なかでも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、及びベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましく使用される。
かかる熱安定剤は、溶融重合時に添加した添加量に加えて更に追加で配合することができる。即ち、適当量の亜リン酸化合物やリン酸化合物を配合して、ポリカーボネート樹脂(A)を得た後に、後に記載する配合方法で、更に亜リン酸化合物を配合すると、重合時の透明性の低下、着色、及び耐熱性の低下を回避して、更に多くの熱安定剤を配合でき、色相の悪化の防止が可能となる。
これらの熱安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、0.0001〜1重量部が好ましく、0.0005〜0.5重量部がより好ましく、0.001〜0.2重量部が更に好ましい。
<ポリカーボネート樹脂(A)の物性>
本発明のポリカーボネート樹脂(A)の好ましい物性について、以下に示す。
(ガラス転移温度)
本発明のポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、145℃未満である。この範囲を超えてポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度が高すぎる場合には、着色し易くなり、衝撃強度を向上させることが困難になるおそれがある。また、この場合には、成形時において金型表面の形状を成形品に転写させる際に、金型温度を高く設定する必要がある。そのため、選択できる温度調節機が制限されてしまったり、金型表面の転写性が悪化したりするおそれがある。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度は、より好ましくは140℃未満、さらに好ましくは135℃未満である。
また、本発明のポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度は通常90℃以上であり、好ましくは95℃以上である。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度を145℃未満とする方法としては、ポリカーボネート樹脂(A)中の構造単位(1)の割合を少なくしたり、ポリカー
ボネート樹脂(A)の製造に用いるジヒドロキシ化合物として、耐熱性の低い脂環式ジヒドロキシ化合物を選定したり、ポリカーボネート樹脂(A)中のビスフェノール化合物等の芳香族系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の割合を少なくしたりする方法等が挙げられる。
なお、本発明のポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121(1987年)に準拠し、示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製DSC6220)を用いて測定されたものである。
(還元粘度)
本発明のポリカーボネート樹脂(A)の重合度は、溶媒としてフェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンの重量比1:1の混合溶媒を用い、ポリカーボネート樹脂(A)濃度を1.00g/dlに精密に調整し、温度30.0℃±0.1℃で測定した還元粘度(以下、単に「還元粘度」と記す場合がある。)として、好ましくは0.40dl/g以上、更に好ましくは0.42dl/g以上、特に好ましくは0.45dl/g以上であるが、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の用途によっては、0.60dl/g以上、更には0.85dl/g以上のものが好適に用いられる場合がある。また、本発明のポリカーボネート樹脂(A)の還元粘度は、好ましくは2.0dl/g以下、更に好ましくは1.7dl/g以下、特に好ましくは1.4dl/g以下である。ポリカーボネート樹脂(A)の還元粘度が過度に低いと、機械的強度が弱くなる場合があり、ポリカーボネート樹脂(A)の還元粘度が過度に高いと、成形する際の流動性が低下し、サイクル特性を低下させ、成形品の歪みが大きくなり熱により変形し易い傾向がある。
(B)紫外線吸収剤
紫外線吸収剤としては、紫外線吸収能を有する化合物であれば特に限定されない。本実施の形態では、紫外線吸収能を有する化合物としては、有機化合物、無機化合物が挙げられる。なかでも有機化合物はポリカーボネート樹脂との親和性を確保しやすく、均一に分散しやすいので好ましい。
紫外線吸収能を有する有機化合物の分子量は特に限定されないが、通常200以上、好ましくは250以上である。また。通常600以下、好ましくは450以下、より好ましくは400以下である。分子量が前記下限値以上であることで、長期間使用での耐紫外線性能の低下を抑制できる。また分子量が前記上限値以下であることで、長期間使用での樹脂組成物の透明性低下を抑制できる。
好ましい紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾエート系化合物、サリチル酸フェニルエステル系化合物、シアノアクリレート系化合物、マロン酸エステル系化合物、シュウ酸アニリド系化合物等が挙げられる。なかでも、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、マロン酸エステル系化合物が好ましく用いられる。これらは、単独で用いても、2種以上で用いてもよい。
ベンゾトリアゾール系化合物のより具体的な例としては、2−(2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−ヘキシルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−ヘキシルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ドデシルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−t−ドデシルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル−3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が挙げられる。
ヒドロキシベンゾフェノン系化合物としては、2,2’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
マロン酸エステル系化合物としては、2−(1−アリールアルキリデン)マロン酸エステル類、テトラエチル−2,2’−(1,4−フェニレン−ジメチリデン)−ビスマロネートなどが挙げられる。
トリアジン系化合物としては、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソオクチルオキシフェニル)−s−トリアジン、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール(チバガイギー社製、Tinuvin1577FF)などが挙げられる。
シアノアクリレート系化合物としては、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2’−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等が挙げられる。
シュウ酸アニリド系化合物としては、2−エチル−2’−エトキシ−オキサルアニリド(クラリアントジャパン社製、SanduvorVSU)等が挙げられる。
紫外線吸収剤の含有量は、特に限定されないが、ポリカーボネート樹脂組成物中、上記(A)および下記(E)の合計100重量部とした際に、0.01重量部以上が好ましく、0.02重量部以上がより好ましく、0.05重量部以上が更に好ましく、0.08重量部以上が最も好ましい。一方、5重量部以下が好ましく、3重量部以下がより好ましく、1重量部以下が更に好ましく、0.5重量部以下が最も好ましい。紫外線吸収剤の含有量が前記下限値以上であることにより、紫外線吸収剤を含有することによる耐候性向上の効果がより得られる。一方で、紫外線吸収剤の含有量が前記上限値以下であることにより、紫外線吸収剤のブリードアウトによる外観不良の発生を抑制することができる。
(C)光安定剤
光安定剤としては、光による酸化劣化防止能を有する化合物であれば特に限定されない。本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いられる光安定剤(C)としては、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)カーボネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1、−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ヘキサノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−オクタノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ジフェニルメタン−p,p’−ジカーバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ベンゼン−1,3−ジスルホネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)フェニルホスファイト、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)=1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチルー4−ピペリジル)=1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート等のヒンダードアミン類があげられる。これらの剤は単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
光安定剤の含有量は、特に限定されないが、ポリカーボネート樹脂組成物中、上記(A
)および下記(E)の合計100重量部とした際に、0.01重量部以上が好ましく、0.02重量部以上がより好ましく、0.05重量部以上が更に好ましく、0.08重量部以上が最も好ましい。一方、5重量部以下が好ましく、3重量部以下がより好ましく、1重量部以下が更に好ましく、0.5重量部以下が最も好ましい。
光安定剤の含有量が前記下限値以上であることにより、得られるポリカーボネート樹脂組成物の耐候性がより向上する。その効果は後述する耐候性試験の結果から確認できる。一方で、光安定剤の含有量が前記上限値以下であることにより、射出成型時における金型への付着物の発生を防ぎ、得られる製品の表面外観を良好にすることができる。
(D)フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有する酸化防止剤
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有する酸化防止剤を含有する。このような酸化防止剤は、フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有していることにより、常温でのラジカルの補足性に優れ、耐候性が良好となる。ここで、立体障害性置換基としては、特に限定されないが、イソプロピル基、tert−ブチル基、メシチル基、アダマンチル基があげられる。これらの中でも、耐候性の観点から、イソプロピル基、tert−ブチル基、アダマンチル基が好ましく、イソプロピル基、tert−ブチル基がより好ましく、tert−ブチル基が特に好ましい。フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有する酸化防止剤としては、下記一般式(7)で表される構造を有する化合物であることが、耐候性の観点から好ましい。より具体的には、例えば、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4,4‘−チオビス(6−t−ブチル−m−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(
6−t−ブチルーm−クレゾール) 、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ブチルヒドロキシアニソール等をあげることができる。これらの化合物は、1種又は2種以上を併用することができる。
Figure 0006907625
上記式(7)において、nは1〜4の整数を表し、RとRは、それぞれ独立して水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基を示す。前記置換基としては、例えば、アリル基、メタリル基、クロチル基、1,1−ジメチル−2−プロペニル基、2−メチル−ブテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基、2−メチル−3−ブテニル基、オレイル基、リノール基、リノレン基、などの鎖状不飽和炭化水素基;シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シ
クロヘキシルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基、トリシクロデカニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基などの脂環式炭化水素基;グリシジル基、β−メチルグリシジル基、β−エチルグリシジル基、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル基、2−オキセタンメチル基、3−メチル−3−オキセタンメチル基、3−エチル−3−オキセタンメチル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロフルフリル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキサゾラニル基、ジオキサニル基などの環状エーテル基;フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、メトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基、シンナミル基、ナフチル基、アントラニル基などのアリール基;メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基、シクロヘキシルオキシ基、フェノキシ基、フェノキシエトキシ基などのアルコキシ基;ブチルチオ基、オクチルチオ基、ラウリルチオ基、ステアリルチオ基、フェニルチオ基などのアルキルチオ基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、トリオイル基、カプロイル基などのアシル基;アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリオイルオキシ基、カプロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基などのアシルオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ラウリルオキシカルボニル基、ステアリルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基;ブチルチオカルボニル基、オクチルチオカルボニル基、ラウリルチオカルボニル基、ステアリルチオカルボニル基、フェニルチオカルボニル基、ベンジルチオカルボニル基などのアルキルチオカルボニル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;ウレイド基;アミド基;シアノ基;水酸基;亜リン酸エステル基;ホスホン酸エステル基;トリメチルシリル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
上記式(7)で表される構造を有する化合物において、nが2以上の整数である場合が好ましい。すなわち、上記式(7)で表される構造を有する化合物は、Rを介して連結した多量体であることが好ましい。上記式(7)で表される構造を有する化合物のRを介して連結した多量体としては、例えば、4,4’,4’−(1−メチルプロピニルー3−イリデン)トリス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、6,6’−ジ−tert−ブチル−4,4’−ブチリデン−m−クレゾールを挙げることができる。上記式(7)で表される構造を有する化合物のRを介して連結した多量体であることにより、本発明が奏する耐候性効果がより優れる。
フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有する酸化防止剤の含有量は、特に限定されないが、ポリカーボネート樹脂組成物中、上記(A)および下記(E)の合計100重量部とした際に、好ましくは0.001以上が好ましく、0.01重量部以上がさらに好ましく、0.02重量部以上が特に好ましく、0.03重量部以上が最も好ましい。一方、5重量部以下が好ましく、4重量部以下がより好ましく、1重量部以下が更に好ましく、0.5重量部以下が最も好ましい。
フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有する酸化防止剤の含有量が前記下限値以上であることにより、得られるポリカーボネート樹脂組成物の耐候性がより向上する。その効果は後述する耐候性試験時の変色から確認できる。一方で、フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有する酸化防止剤の含有量が前記上限値以下であることにより、射出成型時における金型への付着物の発生を防ぎ、得られる製品の表面外観を良好にすることができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上述の(A)〜(D)以外にも以下詳述の(E)および(F)を配合してもよい。
(E)コアシェル構造を有するエラストマー
「コア・シェル構造を有するエラストマー」とは最内層(コア層)とそれを覆う1以上の層(シェル層)から構成され、コア層に対して共重合可能な単量体成分をシェル層としてグラフト共重合したコア・シェル型グラフト共重合体である。
コア・シェル構造を有するエラストマーは、通常、ゴム成分と呼ばれる重合体成分をコア層とし、これと共重合可能な単量体成分をシェル層としてグラフト共重合したコア・シェル型グラフト共重合体が好ましい。
このコア・シェル型グラフト共重合体の製造方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などのいずれの製造方法であってもよく、共重合の方式は一段グラフトでも多段グラフトであってもよい。但し、本発明の第2の態様においては通常、市販で入手可能なコア・シェル型エラストマーをそのまま使用することができる。市販で入手可能なコア・シェル型エラストマーの例は後に列挙する。
コア層を形成する重合体成分は、ガラス転移温度が通常0℃以下、中でも−10℃以下が好ましく、−20℃以下がより好ましく、更には−30℃以下が好ましい。コア層を形成する重合体成分の具体例としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリブチルアクリレートやポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、ブチルアクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート共重合体などのポリアルキルアクリレート、ポリオルガノシロキサンゴムなどのシリコーン系ゴム、ブタジエン−アクリル複合体、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなるIPN(Interpenetrating Polymer Network)型複合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体やエチレン−ブテン共重合体、エチレン−オクテン共重合体などのエチレン−αオレフィン系共重合体、エチレン−アクリル共重合体、フッ素ゴムなど挙げることができる。これらは、単独でも2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、機械的特性や表面外観の面から、ポリブタジエン、ポリアルキルアクリレート、ポリオルガノシロキサン、ポリオルガノシロキサンとポリアルキルアクリレートとからなる複合体、ブタジエン−スチレン共重合体が好ましい。
シェル層を構成する、コア層の重合体成分とグラフト共重合可能な単量体成分の具体例としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物;マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸化合物やそれらの無水物(例えば無水マレイン酸等)などが挙げられる。これらの単量体成分は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、機械的特性や表面外観の面から、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物が好ましく、より好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。(メタ)アクリル酸エステル化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等が挙げられ、これらの中でも比較的入手しやすい(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチルがより好ましい。ここで、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」と「メタクリル」とを総称するものである。
コア・シェル構造を有するエラストマーは、なかでもポリブタジエン含有ゴム、ポリブチルアクリレート含有ゴム、ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴム
とポリアルキルアクリレートゴムとからなるIPN型複合ゴムから選ばれる少なくとも1種の重合体成分をコア層とし、その周囲に(メタ)アクリル酸エステルをグラフト共重合して形成されたシェル層からなる、コア・シェル型グラフト共重合体が特に好ましい。上記コア・シェル型グラフト共重合体において、コア層の重合体成分を40重量%以上含有するものが好ましく、60重量%以上含有するものがさらに好ましい。また、シェル層の(メタ)アクリル酸エステル成分は、10重量%以上含有するものが好ましい。
これらコア・シェル型グラフト共重合体の好ましい具体例としては、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(MABS)、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体(MB)、メチルメタクリレート−アクリルゴム共重合体(MA)、メチルメタクリレート−アクリルゴム−スチレン共重合体(MAS)、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−(アクリル・シリコーン複合体)共重合体等が挙げられる。
このようなコア・シェル型グラフト共重合体としては、例えば、ローム・アンド・ハース・ジャパン社製の「パラロイド(登録商標)EXL2602」、「パラロイド(登録商標)EXL2603」、「パラロイド(登録商標)EXL2655」、「パラロイド(登録商標)EXL2311」、「パラロイド(登録商標)EXL2313」、「パラロイド(登録商標)EXL2315」、「パラロイド(登録商標)KM330」、「パラロイド(登録商標)KM336P」、「パラロイド(登録商標)KCZ201」、三菱レイヨン社製の「メタブレン(登録商標)C−223A」、「メタブレン(登録商標)E−901」、「メタブレン(登録商標)S−2001」、「メタブレン(登録商標)W−450A」「メタブレン(登録商標)SRK−200」、カネカ社製の「カネエース(登録商標)M−511」、「カネエース(登録商標)M−600」、「カネエース(登録商標)M−400」、「カネエース(登録商標)M−580」、「カネエース(登録商標)MR−01」等が挙げられる。
これらのコア・シェル型グラフト共重合体等のコア・シェル構造からなる衝撃強度改質剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物中のコア・シェル構造を有するエラストマーの含有量は、特に限定されないが、 ポリカーボネート樹脂組成物中、上記の成分(A)および下記の成分(E)の合計100重量部とした際に、(E)コア・シェル構造を有するエラストマーの含有量が、0.1〜50重量部であることが好ましく、0.5重量部以上であることがより好ましく、1重量部以上であることが更に好ましく、5重量部以上であることが最も好ましい。一方、40重量部以下であることがより好ましく、30重量部以下であることが更に好ましく、25重量部以下であることが最も好ましい。コア・シェル構造を有するエラストマーの配合量が前記下限値以上であることにより、耐面衝撃性、耐衝撃性の改良効果が発現する。一方、コア・シェル構造を有するエラストマーの配合量が前記上限値以下であることにより、得られる成形品の外観不良や耐熱性の低下を抑制することができる。
(F)ホスファイト系酸化防止剤
ホスファイト系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert
−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
これらの中でも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく使用される。これらの化合物は、1種又は2種以上を併用することができる。
ここで、ホススファイト系酸化防止剤含有量は、特に限定されないが、ポリカーボネート樹脂組成物中、上記(A)および下記(E)の合計100重量部とした際に、0.01重量部以上が好ましく、0.02重量部以上がより好ましく、0.05重量部以上が更に好ましく、0.08重量部以上が最も好ましい。一方、5重量部以下が好ましく、3重量部以下がより好ましく、1重量部以下が更に好ましく、0.5重量部以下が最も好ましい。
ホススファイト系酸化防止剤の含有量が前記下限値以上であることにより、成形時の十分な着色抑制効果を得ることができる。また、ホススファイト系酸化防止剤の含有量が前記上限値以下であることにより、射出成形時における金型への付着物の発生や、押出成形によりフィルムを成形する際にロールへの付着物の発生を防ぐことができ、製品の表面外観を良好にすることができる。
(その他の添加剤)
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記の添加剤の他、本発明の目的を損なわない範囲で、周知の種々の添加剤、例えば、離型剤、難燃剤、難燃助剤、加水分解抑制剤、帯電防止剤、発泡剤、染顔料等を含有した樹脂組成物であってもよい。
(無機充填材)
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、無機充填材を含有しても良い。無機充填材の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、通常1重量部以上100重量部以下であり、好ましくは3重量部以上50重量部以下である。無機充填材の配合量が過度に少ないと補強効果が少なく、また、過度に多いと外観が悪くなる傾向がある。
無機充填材としては、例えば、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭素繊維、シリカ、アルミナ、酸化チタン、硫酸カルシウム粉体、石膏、石膏ウィスカー、硫酸バリウム、タルク、マイカ、ワラストナイト等の珪酸カルシウム;カーボンブラック、グラファイト、鉄粉、銅粉、二硫化モリブデン、炭化ケイ素、炭化ケイ素繊維、窒化ケイ素、窒化ケイ素繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、チタン酸カリウム繊維、ウィスカー等が挙げられる。これらの中でも、ガラスの繊維状充填材、ガラスの粉状充填材、ガラスのフレーク状充填材;炭素の繊維状充填材、炭素の粉状充填材、炭素のフレーク状充填材;各種ウィスカー、マイカ、タルクが好ましい。より好ましくは、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスミルドファイバー、炭素繊維、ワラストナイト、マイカ、タルクが挙げられる。
(着色剤)
本発明で使用する樹脂組成物には着色剤を含んでも良い。着色剤としては無機顔料、有機顔料及び有機染料等の有機染顔料が挙げられる。
無機顔料としては、バリウム黄(C.I.pigment Yellow 31)、黄
鉛(C.I.pigment Yellow 34)亜鉛黄(C.I.pigment Yellow 36)、ニッケルチタンイエロー(C.I.pigment Yellow 53)、クロムチタンイエロー(C.I.Pigment Brown 24)等のクロム酸塩;紺青(C.I.pigment Blue 27)等のフェロシアン化物;カドミウムイエロー(C.I.pigment Yellow 42)、カドミウムレッド(C.I.pigment Red 108)等の硫化物;鉄黒(C.I.pigment Black 11)、べんがら(C.I.pigment Red 101)、二酸化チタン(C.I.pigment White 6)等の酸化物;群青(C.I.pigment Blue 29)等のケイ酸塩;又はチャンネルブラック、ローラーブラック、ディスク、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック(C.I.pigment Black 7)等を挙げることができる。
有機顔料及び有機染料等の有機染顔料としては、C.I.pigmentBlack 1(縮合アニリン系)、C.I.pigment Yellow 12(モノアゾ系)、C.I.pigment Yellow 23、C.I.solvent Green3、C.I.Solvent Yellow163、C.I.SolventRed111、C.I.SolventRed146、C.I.DisperseRed22、C.I.SolventViolet31、C.I.SolventViolet13、C.I.SolventBlue35、C.I.SolventBlue36、C.I.SolventBlue97、C.I.SolventBlue87(アントラキノン系)、C.I.pigment Yellow 109(イソインドリノン系)、C.I.pigment Yellow 138、C.I.Solvent Yellow114、C.I.SolventYellow33(キノフタロン系)、C.I.pigment Orange 5、C.I.SolventYellow14(モノアゾ系)、C.I.Vat Orange 3、C.I.Solvent Red179、C.I.SolventOrange60、C.I.SolventRed135、C.I.SolventRed179(ペリノン系)、C.I.pigment Red 1、C.I.PigmentRed170、C.I.SolventYellow16、(モノアゾ系)、C.I.pigment Red 37(ピラゾロンアゾ系)、C.I.pigment Red 87、C.I.SolventRed41(チオインジゴ系)、C.I.pigment Red 224、C.I.SolventGreen5(ペリレン系)、C.I.pigment Violet 19(キナクリドン系)、C.I.pigment Violet 3、C.I.SolventYellow93(アゾメチン系)、C.I.pigment Violet 37(ジオキサジン系)、C.I.pigment Blue 15(フタロシアニン系)、C.I.pigment Green 1(アゾメチン系)、C.I.SolventYellow104(イソキノリン)C.I.SolventOrange63(チオキサンテン系)C.I.SolventRed149、C.I.SolventRed52(ナフトキノリン系)等が挙げられる。
これら着色剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
着色剤の含有量の下限値は、特に限定されないが、ポリカーボネート樹脂組成物中、上記(A)および下記(E)の合計100重量部とした際に、好ましくは0.00001重量部以上であり、好ましくは0.0001重量部以上であり、より好ましくは0.0005重量部以上である。着色剤の含有量が、前記下限以上であることにより、得られる樹脂組成物の成形体に深みと清澄感のある色味を与えることができる。一方で、着色材の含有量の上限値としては、特に限定されないが、ポリカーボネート樹脂組成物中、上記(A)および下記(E)の合計100重量部とした際に、好ましくは3重量部以下であり、より好ましくは2重量部以下である。着色剤の含有量が、前記上限以下であることにより、得られる樹脂組成物の成形品の表面粗さを小さくでき、成形体に深みと清澄感のある色味を
与えることができる。
<配合方法>
本発明の熱可塑性樹脂組成物への上述のような各種の添加剤等の配合方法としては、例えばタンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合・混練する方法、或いは、例えば塩化メチレン等の共通の良溶媒に溶解させた状態で混合する溶液ブレンド方法等があるが、これは特に限定されるものではなく、通常用いられるブレンド方法であればどのような方法を用いてもよい。
こうして得られる本発明の熱可塑性樹脂組成物は、これに各種添加剤等が添加され、直接に、或いは溶融押出機で一旦ペレット状にしてから、押出成形法、射出成形法、圧縮成形法等の通常知られている成形方法で、所望形状に成形することができる。
<ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法>
本発明の実施の形態において、ポリカーボネート樹脂組成物に配合することのできる、紫外線吸収剤、光安定剤、フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有する酸化防止剤の、混合時期、および混合方法は特に限定されない。混合時期としては、例えば、エステル交換法でポリカーボネート樹脂を製造する場合は、重合反応中に混合してもよいし、重合反応終了時に混合してもよい。また、重合法に関わらず、ポリカーボネート樹脂と他の配合剤との混練途中等の、ポリカーボネート樹脂が溶融した状態の際に、混練押出機等を用いて混合しても構わない。更には、ペレットまたは粉末等の固体状態のポリカーボネート樹脂と配合剤とを混合した混合物を、更に加熱混合しても構わない。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記の配合成分を同時に、または任意の順序でタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合して製造することができる。
混合方法としては、ポリカーボネート樹脂に上記の配合成分を直接混合または混練してもよいし、予め少量のポリカーボネート樹脂または他の樹脂等と上記の配合成分を用いて作成した高濃度のマスターバッチを作成し、当該マスターバッチを本発明に係るポリカーボネート樹脂と混合することもできる。
[本発明が効果を奏する理由]
本発明が効果を奏する理由は未だ明らかではないが、以下のとおり推察される。つまり、成形時の熱劣化や使用時の自然環境による経年劣化等によりポリカーボネート樹脂(A)が着色すると、紫外線による劣化が進行する。これに対し、ポリカーボネート樹脂(A)に紫外線吸収剤を配合すると、ポリカーボネート樹脂(A)の紫外線吸収を抑制できる。しかし、光により励起された紫外線吸収剤が酸素分子と反応して活性ラジカルを生成し、結果として該樹脂の劣化を招く。そこで、紫外線吸収剤に加えて、さらにヒンダードフェノール系酸化防止剤またはヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を配合することで発生した活性ラジカルを捕捉し、失活させることができるという酸化劣化抑制機構が知られている。一方、本発明では、紫外線吸収剤、フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有する酸化防止剤、HALSを併用することで、紫外線吸収により紫外線吸収剤から発生した活性ラジカルを、まず立体障害の小さいラジカル補足性に優れた「フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有する酸化防止剤」が捕捉し、その後、HALSとのラジカル交換反応によりHALSにて活性ラジカルの失活、そしてラジカル交換により再生した「フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有する酸化防止剤」の活性ラジカル補足により、従来の紫外線吸収剤と酸化防止剤の併用による酸化劣化抑制機構よりも活性ラジカルを極めて効率よ
く失活でき、結果として優れた耐候性を示していると推察される。また、HALSによるポリカーボネート樹脂の加水分解を抑制することができるため、ポリカーボネート樹脂を劣化させることがない。さらに、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、耐候性が良好であり、外観の劣化も起こりづらいので、コア・シェル構造を有するエラストマーを配合している場合、自然環境による該エラストマーの劣化も抑制することができ、優れた耐衝撃性を維持することが可能となるはずである。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
以下において、ポリカーボネート樹脂組成物、成形品等の物性ないし特性の評価は次の方法により行った。
[試験片の作成方法および各種評価]
(1)試験片の作成方法
ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを、窒素雰囲気下、90〜100℃で10時間乾燥した。次に、乾燥したポリカーボネート樹脂組成物のペレットを射出成形機(日本製鋼所社製J75EII型)に供給し、樹脂温度240℃、成形サイクル40秒間の条件で、射出成形片(幅60mm×長さ60mm×厚さ2mm)および機械物性評価用ISO試験片を成形した。
(2)漆黒性(L*
JIS Z8722に準拠し、分光色差計(コニカミノルタ社製CM−5)を使用し、D65光源反射法SCE(正反射除去)にて色彩値L*を測定した。
値が小さいほど、漆黒性に優れることを示す。本実施例では、L*値が1.0以下
を「〇」とした。
(3)耐候性(ΔE
耐候性は、以下詳述の耐候性試験により評価した色差(ΔE)および光沢保持率の結果を総合して判断した。
[耐候性試験]
耐候性試験は、JIS B7753に準拠して、スガ試験機社製サンシャインウェザーメーターS60を用いて、サンシャインカーボンアーク(ウルトラロングライフカーボン4対)光源で放電電圧50V、放電電流60Aに設定し、照射及び表面スプレー(降雨)にてブラックパネル温度63℃、相対湿度50%の条件下、上述の方法で得られた射出成形片の平板(幅60mm×長さ60mm×厚さ2mm)の正方形の面に対して、1000時間照射処理を行った。尚、表面スプレー(降雨)時間は、12分/1時間とし、ガラスフィルターはAタイプを用いた。
[色差(ΔE)]
色差(ΔE)は、上記の試験結果をもとに以下のように算出した。
試験前後の射出成形片をJIS Z8722に準拠し、分光色差計(コニカミノルタ社製CM−5)を使用し、D65光源反射法SCE(正反射除去)にて色彩値L*、a*、b*を測定し、試験前の値をL *、a *、b *、試験後の値をL*、a*、b*としΔE*を下記の計算式より求めた。
ΔL*=L*−L *
Δa*=a*−a *
Δb*=b*−b *
ΔE*=[(ΔL*+(Δa*+(Δb*]1/2
ΔE*値が小さいほど、耐候性試験前後の色差が小さく、日光、雨雪、および湿度等の
自然環境に起因する色差のない優れた耐候性を有していることを示す。尚、本実施例にお
いて、以下の通り合否を判断した。
ΔE*値が1.0以下のもの:耐候性に優れると判断し、「〇」
ΔE*値が0.5以下のもの:耐候性に特に優れると判断し、「◎」
ΔE*値が1.0を超えるもの:耐候性に優れないと判断し、「×」
[光沢保持率]
射出成形片を用いて、JIS Z8741に準拠し、日本電色工業社製分光色差計VC−2000にて光沢度値(Gs60°)を測定し、上記(3)の耐候性試験前後の光沢度値から下記式により光沢保持率を計算により求めた。
光沢保持率(%)={(耐候性試験後の光沢度値)/(耐候性試験前の光沢度値)}×100
光沢保持率の値が大きいほど、耐候性試験前後における光沢度値の変化が小さく、日光、雨雪、および湿度等の自然環境に起因する表面外観の光沢変化のない優れた耐候性を有していることを示す。尚、本実施例では、以下の通り合否を判断した。
光沢保持率が90%以上のもの:耐候性に優れると判断し、「〇」
光沢保持率が98%以上のもの:耐候性に特に優れると判断し、「◎」
光沢保持率が90%未満のもの:耐候性に優れないと判断し、「×」
[耐候性(色調および光沢)の評価]
上記の色差変化(ΔE)と光沢保持率の結果に基づき、以下の通り評価した。
色差変化(ΔE)および光沢保持率の両方が「◎」であるもの:耐候性に極めて優れると判断した。
色差変化(ΔE)および光沢保持率の一方が「◎」で、他方が「○」であるもの:耐候性に特に優れると判断した。
色差変化(ΔE)および光沢保持率の両方が「○」であるもの:耐候性に優れると判断した。
色差変化(ΔE)および光沢保持率のいずれかが「×」であるもの:耐候性に劣ると判断した。
(4)外観
上記(3)耐候性(ΔE)の試験後の射出成形片の外観を目視にて確認し、該射出成形片の表面にクラックがないものを「○」、クラックがあるものを「×」とした。尚、前記試験前に用いた射出成形片にクラックがないことは確認している。
(5)総合評価
上記の試験の結果、総合評価としては以下のとおりとした。なお、以下の合格基準を満たすものでも、◎の数が多いものほど好ましい。
合格:〇または◎のみであるもの
不合格:×があるもの
以下の実施例の記載の中で用いた化合物の略号は次の通りである。
((A)ポリカーボネート樹脂)
A−1:イソソルビド/1,4−シクロヘキサンジメタノール=70/30mol%共重合ポリカーボネート(三菱化学社製:デュラビオ D7340R)
A−2:イソソルビド/1,4−シクロヘキサンジメタノール=50/50mol%共重合ポリカーボネート(三菱化学社製:デュラビオ D5360R)
A−3:ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック社製 ユーピロンS3000R)
((B)紫外線吸収剤)
B−1:ベンゾトリアゾール系 ADEKA社製 アデカスタブLA−29
B−2:ベンゾフェノン系 ADEKA社製 アデカスタブLA−31
B−3:トリアジン系 ADEKA社製 アデカスタブLA−46
((C)光安定剤)
C−1:ヒンダードアミン系 ADEKA社製、アデカスタブLA−77G
C−2:ヒンダードアミン系 ADEKA社製 アデカスタブLA−57
((D)フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有する酸化防止剤)
D−1:4,4’,4’−(1−メチルプロピニルー3−イリデン)トリス(6−tert−ブチル−m−クレゾール) ADEKA社製 アデカスタブAO−30
D−2:6,6’−ジ−tert−ブチル−4,4’−ブチリデン−m−クレゾール ADEKA社製 アデカスタブAO−40
((E)ホスファイト系酸化防止剤)
F−1:ADEKA社製、アデカスタブPEP−36A
F−2:BASF社製 IRGAFOS PEP−Q
((D)以外のヒンダードフェノール系酸化防止剤)
X−1:[3−[3−(3,5−ジ-tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
ピオノルオキシ]−2,2−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパニル]プロピオニルオキシ]プロピル]3−(3,5−ジ-tert
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート BASF社製 IRGANOX1010
X−2:3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン ADEKA社製 アデカスタブAO−80
(着色剤)
・Solvent Violet 36 ランクセス株式会社製Macrolex Violet3R
・Solvent Red 179 ランクセス社製Macrolex Red E2G・Solvent Green 3 有本化学工業株式会社製Oil Green 5602
・Solvent Blue 97 ランクセス株式会社製Macrolex Blue
RR
[実施例1]
表−1に示した組成となるようにポリカーボネート樹脂(A−1)、紫外線吸収剤(B−1)、光安定剤(B−2)、フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有する酸化防止剤(D−1)を混合し、1つのベント口を有する日本製鋼所社製2軸押出機(TEX−33)を用いて、出口の樹脂温が250℃になるようにストランド状に押し出し、水で冷却固化させた後、回転式カッターでペレット化した。この際、ベント口は真空ポンプに連結し、ベント口での圧力が500Paになるように制御した。得られたポリカーボネート樹脂組成物を評価した結果を表1に示す。
[実施例2]
配合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂
組成物を得た。得られたポリカーボネート樹脂組成物を、実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
[実施例3]
配合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られたポリカーボネート樹脂組成物を、実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
[実施例4]
配合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られたポリカーボネート樹脂組成物を、実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
[実施例5]
配合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られたポリカーボネート樹脂組成物を、実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
[比較例1]
配合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られたポリカーボネート樹脂組成物を、実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
[比較例2]
配合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られたポリカーボネート樹脂組成物を、実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例2のフェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有する酸化防止剤(D−1)をヒンダードフェノール系酸化防止剤(G−1)に変えた以外は、実施例2と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られたポリカーボネート樹脂組成物を、実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
[比較例4]
実施例2のフェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有する酸化防止剤(D−1)をヒンダードフェノール系酸化防止剤(G−2)に変えた以外は、実施例2と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られたポリカーボネート樹脂組成物を、実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
Figure 0006907625
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、優れた透明性だけでなく、良好な成形性、耐候性、色相、耐熱性、成形性、及び機械的強度に優れ、電気・電子部品、自動車用部品等の射出成形分野、フィルム、シート分野、耐熱性が必要な、ボトル、容器分野、さらには、カメラレンズ、ファインダーレンズ、CCDやCMOS用レンズなどのレンズ用途、液晶やプラズマディスプレイなどに利用される位相差フィルム、拡散シート、偏光フィルムなどのフィルム、シート、光ディスク、光学材料、光学部品、色素、電荷移動剤等を固定化するバインダー用途といった幅広い分野への材料提供が可能である。

Claims (8)

  1. (A)下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリ
    カーボネート樹脂と、
    (B)紫外線吸収剤
    (C)光安定剤
    (D)フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立
    体障害性置換基を有する酸化防止剤
    を含有してなり、
    前記(A)に含まれる全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に対して、芳香族ジヒ
    ドロキシ化合物に由来する構造単位の含有量が、0モル%以上かつ40モル%未満であり

    前記(D)が下記式(7)で表される構造を有する酸化防止剤であり、
    さらに任意成分として(E)コアシェル構造を有するエラストマーを含有し、
    上記(A)および上記(E)の合計100重量部とした際に、前記(B)を0.01重
    量部以上5重量部以下含有し、前記(C)を0.01重量部以上5重量部以下含有し、前
    記(D)を0.001重量部以上5重量部以下含有する、
    ポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 0006907625
    Figure 0006907625
    (上記式(7)において、nは1〜4の整数を表し、 は、水素原子または置換基を有
    していてもよい炭素数1〜5のアルキル基を示す。nが1の場合、R は、水素原子また
    は置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基を示す。nが2〜4の整数の場合
    、R は、置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基からn−1個の水素原子
    を除いたn価の基を示す。
  2. ポリカーボネート樹脂組成物中、上記(A)および上記(E)の合計100重量部とし
    た際に、(E)コアシェル構造を有するエラストマーの含有量が、0.1〜50重量部で
    ある、請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. ポリカーボネート樹脂組成物中、上記(A)および上記(E)の合計100重量部とし
    た際に、(F)ホスファイト系酸化防止剤を0.01〜5重量部を含有する、請求項1
    は2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 前期コアシェル構造を有するエラストマー成分(E)のシェル層が(メタ)アクリル酸
    アルキルよりなる請求1乃至3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 前記光安定剤(C)が、ピペリジン構造を有する、請求項1乃至に記載のポリカーボ
    ネート樹脂組成物。
  6. JIS Z8722に準拠した、D65光源反射法SCE(正反射除去)にて測定した
    色彩値L*が3以下である、請求項1乃至のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹
    脂組成物。
  7. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂を含む成形品。
  8. 前記成形品が自動車向け部品である、請求項に記載の成形品。
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