JP6907625B2 - ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 - Google Patents
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Description
しかしながら、従来のポリカーボネート樹脂は、長時間紫外線や可視光に曝露される場所で使用すると、色相や透明性、機械的強度が悪化するため、屋外や照明装置の近傍での使用に制限があった。又、種々成形品として使用する場合、溶融成形時に離型性が悪く、透明材料や光学材料等に用いることが困難であるという問題があった。
ところが、このような紫外線吸収剤を添加した場合、紫外線照射後の色相などの改良は認められるものの、そもそもの樹脂の色相や耐熱性、透明性の悪化を招いたり、また成型時に揮発して金型を汚染したりする等の問題があった。
従来のポリカーボネート樹脂に使用されるビスフェノール化合物は、ベンゼン環構造を有するために紫外線吸収が大きく、このことがポリカーボネート樹脂の耐光性悪化を招くため、分子骨格中にベンゼン環構造を持たない脂肪族ジヒドロキシ化合物や脂環式ジヒドロキシ化合物、イソソルビドのように分子内にエーテル結合を持つ環状ジヒドロキシ化合物モノマーユニットを使用すれば、原理的には耐光性が改良されることが期待される。中でも、バイオマス資源から得られるイソソルビドをモノマーとしたポリカーボネート樹脂は、耐熱性や機械的強度が優れていることから、近年数多くの検討がなされるようになってきた(例えば、特許文献1〜4)。
(A)下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリカーボネート樹脂と、
(B)紫外線吸収剤
(C)光安定剤
(D)フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有する酸化防止剤
を含有してなるポリカーボネート樹脂組成物。
さらには、建築部材用途といった幅広い分野へ適用可能なポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品を提供することが可能になる。
(1) ポリカーボネート樹脂組成物
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、以下のとおりである。
(A)下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリカーボネート樹脂と、
(B)紫外線吸収剤
(C)光安定剤
(D)フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有する酸化防止剤
を含有してなるポリカーボネート樹脂組成物。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いるポリカーボネート樹脂(以下、「本発明のポリカーボネート樹脂(A)」と称することがある)は、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位をカーボネート結合で連結したポリカーボネート樹脂であり、下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物(以下、「ジヒドロキシ化合物(1)」と称することがある。)に由来する構造単位を少なくとも含む。尚、本発明で用いるポリカーボネート樹脂(A)を構成するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位は、ジヒドロキシ化合物の水酸基から水素原子を除いたものである。
これらのジヒドロキシ化合物(1)は、1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
そこで、ジヒドロキシ化合物(1)には安定剤を用いることが好ましい。安定剤としては、還元剤、制酸剤、抗酸化剤、脱酸素剤、光安定剤、pH安定剤、熱安定剤等の安定剤を用いることが好ましく、特に酸性下ではジヒドロキシ化合物(1)が変質しやすいことから、塩基性安定剤を含むことが好ましい。このうち還元剤としては、ナトリウムボロハイドライド、リチウムボロハイドライド等が挙げられ、制酸剤としては水酸化ナトリウム等のアルカリが挙げられる。ただし、このようなアルカリ金属塩の添加は、添加したアルカリ金属がポリカーボネート樹脂(A)製造時の重合触媒となる場合があるので、過剰に添加し過ぎると重合反応を制御できなくなり、好ましくない。
塩基性安定剤としては、長周期型周期表(Nomenclature of Inorganic Chemistry IUPAC Recommendations 2005)における1族又は2族の金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、硼酸塩、脂肪酸塩や、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等の塩基性アンモニウム化合物、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等のアミン系化合物が挙げられる。その中でも、その効果と後述する蒸留除去のしやすさから、ナトリウム又はカリウムのリン酸塩、亜リン酸塩が好ましく、中でもリン酸水素2ナトリウム、亜リン酸水素2ナトリウムが好ましい。
これらの安定剤を添加したジヒドロキシ化合物(1)をポリカーボネート樹脂(A)原料として用いると、安定剤の種類によっては、得られるポリカーボネート樹脂(A)に着
色を発生したり、物性を著しく劣化させたりする場合がある。例えば、上記の塩基性安定剤を含有したジヒドロキシ化合物(1)をポリカーボネート樹脂(A)の製造原料として用いると、塩基性安定剤自体が重合触媒となり、重合速度や品質の制御が困難になるだけでなく、初期色相の悪化を招き、結果的に得られるポリカーボネート樹脂(A)の成形品の耐候性を悪化させる。
このため、ジヒドロキシ化合物(1)をポリカーボネート樹脂(A)の製造原料として使用する前に、塩基性安定剤等の安定剤は、イオン交換樹脂や蒸留等で除去することが好ましい。
また、前述の如く、ジヒドロキシ化合物(1)の酸化分解生成物を含むジヒドロキシ化合物(1)をポリカーボネート樹脂(A)の製造原料として使用すると、得られるポリカーボネート樹脂(A)の着色を招く可能性があり、また、物性を著しく劣化させる可能性があるだけではなく、重合反応に影響を与え、高分子量の重合体が得られないことがある。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)は前記ジヒドロキシ化合物(1)に由来する構造単位以外に、ジヒドロキシ化合物(1)以外のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a−2)を含有する。
ジヒドロキシ化合物(1)以外のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a−2)を含有するポリカーボネート樹脂(A)は、例えば、後述のポリカーボネート樹脂(A)の製造方法に従って、ジヒドロキシ化合物(1)以外のジヒドロキシ化合物の1種又は2種以上を用いて製造される。
脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオー
ル、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、水素化ジリノレイルグリコール、水素化ジオレイルグリコール等が挙げられる。これらの中でも、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオールが好ましい。
脂環式ジヒドロキシ化合物としては、特に限定されないが、5員環構造又は6員環構造を含む化合物が挙げられる。6員環構造は共有結合によって椅子形もしくは舟形に固定されていてもよい。脂環式ジヒドロキシ化合物に含まれる炭素数は通常70以下であり、好ましくは50以下、さらに好ましくは30以下である。炭素数が過度に大きいと、耐熱性が高くなるが、合成が困難になったり、精製が困難になる傾向がある。炭素数が小さいほど、精製しやすく、入手しやすい傾向があるが、小さすぎると環構造が不安定であり合成が困難となる。
上述した脂環式ジヒドロキシ化合物の具体例のうち、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のシクロへキサンジメタノール類、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、1,3−アダマンタンジオール、2,2−アダマンタンジオール、入手のしやすさ、取り扱いのしやすさという観点から、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノールが好ましく、これらの中でも、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノールが特に好ましく、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールが最も好ましい。
尚、前記例示化合物は、本発明に使用し得る脂環式ジヒドロキシ化合物の一例であって、何らこれらに限定されるものではない。これらの脂環式ジヒドロキシ化合物は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、置換若しくは無置換のビスフェノール化合物が挙げられ、具体的には、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−
メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等の芳香族環上に置換基を有しないビスフェノール化合物;ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族環上に置換基としてアリール基を有するビスフェノール化合物;ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−(sec−ブチル)フェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)シクロヘキサン等の芳香族環上に置換基としてアルキル基を有するビスフェノール化合物;ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジベンジルメタン等の芳香族環を連結する2価基が置換基としてアリール基を有するビスフェノール化合物;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル等の芳香族環をエーテル結合で連結したビスフェノール化合物;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン等の芳香族環をスルホン結合で連結したビスフェノール化合物;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド等の芳香族環をスルフィド結合で連結したビスフェノール化合物等、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダンが挙げられるが、好ましくは2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」と略記することがある。)、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダンが挙げられる。
上述のジヒドロキシ化合物(1)以外のジヒドロキシ化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
[ポリカーボネート樹脂の混合]
上述のA成分であるポリカーボネート樹脂は、一種類のポリカーボネートのみでもよいし、共重合比率が異なる複数のポリカーボネート共重合体を含有することもできる。つま
り、A成分としては、共重合比率が異なる複数のポリカーボネート共重合体が溶融混合されたポリカーボネート樹脂混合物を用いることもできる。この溶融混合時における溶融押出口の樹脂温度は、235℃〜245℃が好ましく、238℃〜242℃がより好ましい。この範囲とすることにより、ポリカーボネート樹脂の着色や熱劣化あるいはヤケを抑制することができ、衝撃強度がより高く良好なポリカーボネート樹脂混合物を得ることができる。
本発明のポリカーボネート樹脂は、上述した本発明のジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを原料として、エステル交換反応により重縮合させて得ることができる。
用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記一般式(6)で表されるものが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記式(6)で表される炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びジ−t−ブチルカーボネート等が例示されるが、好ましくはジフェニルカーボネート、置換ジフェニルカーボネートであり、特に好ましくはジフェニルカーボネートである。なお、炭酸ジエステルは、塩化物イオンなどの不純物を含む場合があり、これらの不純物は重合反応を阻害したり、得られるポリカーボネート樹脂(A)の色相を悪化させたりする場合があるため、必要に応じて、蒸留などにより精製したものを使用することが好ましい。
このモル比率が0.90より小さくなると、製造されたポリカーボネート樹脂(A)の末端ヒドロキシル基が増加して、ポリマーの熱安定性が悪化し、熱可塑性樹脂組成物を成形する際に着色を招いたり、エステル交換反応の速度が低下したり、所望の高分子量体が得られない可能性がある。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)は、上述のようにジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物と前記式(6)で表される炭酸ジエステルをエステル交換反応させて製造することができる。より詳細には、エステル交換反応させ、副生するモノヒドロキシ化合物等を系外に除去することによって得られる。この場合、通常、エステル交換反応触媒の存在下でエステル交換反応により溶融重合を行う。
また、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の形態としては通常、水酸化物、又は炭酸塩、カルボン酸塩、フェノール塩といった塩の形態で用いられるが、入手のし易さ、取扱いの容易さから、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩が好ましく、色相と重合活性の観点からは酢酸塩が好ましい。
フィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、あるいは四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
また、上記ポリカーボネート樹脂(A)の透明性、色相、耐光性を特に優れたものとするために、触媒が、マグネシウム化合物、カルシウム化合物およびバリウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物であるのが好ましく、マグネシウム化合物およびカルシウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物であるのが特に好ましい。
上記の中でもリチウム及び2族金属からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属を含む化合物を用いる場合、特にはマグネシウム化合物、カルシウム化合物およびバリウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物を用いる場合は、金属換算量として、反応に供する全ジヒドロキシ化合物1モル当たり、好ましくは0.1μモル以上、更に好ましくは0.5μモル以上、特に好ましくは0.7μモル以上とする。また上限としては、好ましくは20μモル、更に好ましくは10μモル、特に好ましくは3μモル、最も好ましくは2.0μモルである。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)は、ジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをエステル交換反応により溶融重合させることによって得ら
れるが、原料であるジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルは、エステル交換反応前に均一に混合することが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)は、触媒を用いて、複数の反応器を用いて多段階で溶融重合させて製造することが好ましい。溶融重合を複数の反応器で実施する理由は、溶融重合反応初期においては、反応液中に含まれるモノマーが多いために、必要な重合速度を維持しつつ、モノマーの揮散を抑制してやることが重要であり、溶融重合反応後期においては、平衡を重合側にシフトさせるために、副生するモノヒドロキシ化合物を十分留去させることが重要になるためである。このように、異なった重合反応条件を設定するには、直列に配置された複数の反応器を用いることが、生産効率の観点から好ましい。前記反応器は、上述の通り、少なくとも2つ以上であればよいが、生産効率などの観点からは、3つ以上、好ましくは3〜5つ、特に好ましくは、4つである。
更には、留出するモノマーの量を抑制するために、重合反応器に還流冷却器を用いることは有効であり、特に未反応モノマー成分が多い重合初期の反応器でその効果は大きい。還流冷却器に導入される冷媒の温度は使用するモノマーに応じて適宜選択することができるが、通常、還流冷却器に導入される冷媒の温度は該還流冷却器の入口において45〜180℃であり、好ましくは80〜150℃、特に好ましくは100〜130℃である。還流冷却器に導入される冷媒の温度が高すぎると還流量が減り、その効果が低下し、低すぎると、本来留去すべきモノヒドロキシ化合物の留去効率が低下する傾向にある。冷媒としては、温水、蒸気、熱媒オイル等が用いられ、蒸気、熱媒オイルが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)の製造にあたっては、前記反応器が2つ以上であれば、その反応器中で、更に条件の異なる反応段階を複数持たせる、連続的に温度・圧力を変えていく、などしてもよい。
重合条件としては、重合初期においては、相対的に低温、低真空でプレポリマーを得、重合後期においては相対的に高温、高真空で所定の値まで分子量を上昇させることが好ましいが、各分子量段階でのジャケット温度と内温、反応系内の圧力を適切に選択することが、得られるポリカーボネート樹脂(A)の色相や耐光性の観点から重要である。例えば
、重合反応が所定の値に到達する前に温度、圧力のどちらか一方でも早く変化させすぎると、未反応のモノマーが留出し、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルのモル比を狂わせ、重合速度の低下を招いたり、所定の分子量や末端基を持つポリマーが得られなかったりして結果的に本発明の目的を達成することができない可能性がある。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)の製造において、ジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを触媒の存在下、エステル交換反応させる方法は、通常、2段階以上の多段工程で実施される。具体的には、第1段目のエステル交換反応温度(以下、「内温」と称する場合がある)は好ましくは140℃以上、より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは180℃以上、さらにより好ましくは200℃以上であることがよい。また、第1段目のエステル交換反応温度は、好ましくは270℃以下、より好ましくは240℃以下、さらに好ましくは230℃以下、さらにより好ましくは220℃以下であることがよい。第1段目のエステル交換反応における滞留時間は通常0.
1〜10時間、好ましくは0.5〜3時間であり、第1段目のエステル交換反応は、発生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ留去しながら実施される。第2段目以降はエステル交換反応温度を上げていき、通常、210〜270℃、好ましくは220〜250℃の温度でエステル交換反応を行い、同時に発生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ除きながら、反応系の圧力を第1段目の圧力から徐々に下げながら最終的には反応系の圧力が200Pa以下となるように、通常0.1〜10時間、好ましくは0.5〜6時間、特に好ましくは1〜3時間重縮合反応が行われる。
特にポリカーボネート樹脂(A)の着色や熱劣化あるいはヤケを抑制し、衝撃強度が高い良好なポリカーボネート樹脂(A)を得るには、全反応段階における反応器内温の最高温度が255℃未満、より好ましくは250℃以下、特に225〜245℃であることが好ましい。また、重合反応後半の重合速度の低下を抑止し、熱履歴によるポリカーボネート樹脂(A)の熱劣化を最小限に抑えるために、反応の最終段階でプラグフロー性と界面更新性に優れた横型反応器を使用することが好ましい。
リルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートを用いてポリカーボネート樹脂(A)を製造する場合は、フェノール、置換フェノールが副生し、ポリカーボネート樹脂(A)中に残存することは避けられないが、フェノール、置換フェノールも芳香環を有することから紫外線を吸収し、耐光性の悪化要因になる場合があるだけでなく、成形時の臭気の原因となる場合がある。ポリカーボネート樹脂(A)中には、通常のバッチ反応後は1000重量ppm以上の副生フェノール等の芳香環を有する芳香族モノヒドロキシ化合物が含まれているが、耐光性や臭気低減の観点からは、脱揮性能に優れた横型反応器や真空ベント付の押出機を用いて、ポリカーボネート樹脂(A)中の芳香族モノヒドロキシ化合物の含有量を好ましくは700重量ppm以下、更に好ましくは500重量ppm以下、特には300重量ppm以下にすることが好ましい。ただし、芳香族モノヒドロキシ化合物を工業的に完全に除去することは困難であり、ポリカーボネート樹脂(A)中の芳香族モノヒドロキシ化合物の含有量の下限は通常1重量ppmである。尚、これら芳香族モノヒドロキシ化合物は、用いる原料により、当然置換基を有していてもよく、例えば、炭素数が5以下であるアルキル基等を有していてもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)は、上述の通り溶融重合後、通常、冷却固化させ、回転式カッター等でペレット化される。
押出機中の、溶融混練温度は、ポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度や分子量に依存するが、通常150〜300℃、好ましくは200〜270℃、更に好ましくは230〜260℃である。溶融混練温度が150℃より低いと、ポリカーボネート樹脂(A)の溶融粘度が高く、押出機への負荷が大きくなり、生産性が低下する。300℃より高いと、ポリカーボネートの熱劣化が激しくなり、分子量の低下による機械的強度の低下や、着色、ガスの発生、異物の発生、更にはヤケの発生を招く。前記異物やヤケの除去のためのフィルターは該押出機中あるいは押出機出口に設置することが好ましい。
濾過精度を目標として、通常400μm以下、好ましくは200μm以下、特に好ましくは100μm以下である。フィルターの目開きが過度に大きいと、異物やヤケの除去に漏れが生じる場合があり、ポリカーボネート樹脂(A)を成形した場合、脆性破壊を起こす可能性がある。また前記フィルターの目開きは、本発明の熱可塑性樹脂組成物の用途に応じて調整することができる。例えばフィルム用途に適用する場合には、欠陥を排除するという要求から前記フィルターの目開きは40μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
また、溶融押出されたポリカーボネート樹脂(A)を冷却してペレット化する際は、空冷、水冷等の冷却方法を使用することが好ましい。空冷の際に使用する空気は、HEPAフィルター(JIS Z8112で規定されるフィルターが好ましい。)等で空気中の異物を事前に取り除いた空気を使用し、空気中の異物の再付着を防ぐことが望ましい。より好ましくはJIS B 9920(2002年)に定義されるクラス7、更に好ましくはクラス6より清浄度の高いクリーンルームのなかで実施することが好ましい。水冷を使用する際は、イオン交換樹脂等で水中の金属分を取り除き、更にフィルターにて水中の異物を取り除いた水を使用することが望ましい。用いるフィルターの目開きは種々あるが、10〜0.45μmのフィルターが好ましい。
リン酸化合物としては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等のリン酸トリアルキルの1種又は2種以上が好適に用いられる。これらは、反応に供する全ヒドロキシ化合物に対して、0.0001モル%以上0.005モル%以下添加することが好ましく、更に好ましくは0.0003モル%以上0.003モル%以下添加することが好ましい。リン化合物の添加量が前記下限より少ないと、着色防止効果が小さく、前記上限より多いと、透明性が低下する原因となったり、逆に着色を促進させたり、耐熱性を低下させたりする。
てもよい。
かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸、及びこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。なかでも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、及びベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましく使用される。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)の好ましい物性について、以下に示す。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、145℃未満である。この範囲を超えてポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度が高すぎる場合には、着色し易くなり、衝撃強度を向上させることが困難になるおそれがある。また、この場合には、成形時において金型表面の形状を成形品に転写させる際に、金型温度を高く設定する必要がある。そのため、選択できる温度調節機が制限されてしまったり、金型表面の転写性が悪化したりするおそれがある。
また、本発明のポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度は通常90℃以上であり、好ましくは95℃以上である。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度を145℃未満とする方法としては、ポリカーボネート樹脂(A)中の構造単位(1)の割合を少なくしたり、ポリカー
ボネート樹脂(A)の製造に用いるジヒドロキシ化合物として、耐熱性の低い脂環式ジヒドロキシ化合物を選定したり、ポリカーボネート樹脂(A)中のビスフェノール化合物等の芳香族系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の割合を少なくしたりする方法等が挙げられる。
なお、本発明のポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121(1987年)に準拠し、示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製DSC6220)を用いて測定されたものである。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)の重合度は、溶媒としてフェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンの重量比1:1の混合溶媒を用い、ポリカーボネート樹脂(A)濃度を1.00g/dlに精密に調整し、温度30.0℃±0.1℃で測定した還元粘度(以下、単に「還元粘度」と記す場合がある。)として、好ましくは0.40dl/g以上、更に好ましくは0.42dl/g以上、特に好ましくは0.45dl/g以上であるが、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の用途によっては、0.60dl/g以上、更には0.85dl/g以上のものが好適に用いられる場合がある。また、本発明のポリカーボネート樹脂(A)の還元粘度は、好ましくは2.0dl/g以下、更に好ましくは1.7dl/g以下、特に好ましくは1.4dl/g以下である。ポリカーボネート樹脂(A)の還元粘度が過度に低いと、機械的強度が弱くなる場合があり、ポリカーボネート樹脂(A)の還元粘度が過度に高いと、成形する際の流動性が低下し、サイクル特性を低下させ、成形品の歪みが大きくなり熱により変形し易い傾向がある。
紫外線吸収剤としては、紫外線吸収能を有する化合物であれば特に限定されない。本実施の形態では、紫外線吸収能を有する化合物としては、有機化合物、無機化合物が挙げられる。なかでも有機化合物はポリカーボネート樹脂との親和性を確保しやすく、均一に分散しやすいので好ましい。
紫外線吸収能を有する有機化合物の分子量は特に限定されないが、通常200以上、好ましくは250以上である。また。通常600以下、好ましくは450以下、より好ましくは400以下である。分子量が前記下限値以上であることで、長期間使用での耐紫外線性能の低下を抑制できる。また分子量が前記上限値以下であることで、長期間使用での樹脂組成物の透明性低下を抑制できる。
好ましい紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾエート系化合物、サリチル酸フェニルエステル系化合物、シアノアクリレート系化合物、マロン酸エステル系化合物、シュウ酸アニリド系化合物等が挙げられる。なかでも、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、マロン酸エステル系化合物が好ましく用いられる。これらは、単独で用いても、2種以上で用いてもよい。
シュウ酸アニリド系化合物としては、2−エチル−2’−エトキシ−オキサルアニリド(クラリアントジャパン社製、SanduvorVSU)等が挙げられる。
光安定剤としては、光による酸化劣化防止能を有する化合物であれば特に限定されない。本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いられる光安定剤(C)としては、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)カーボネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1、−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ヘキサノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−オクタノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ジフェニルメタン−p,p’−ジカーバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ベンゼン−1,3−ジスルホネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)フェニルホスファイト、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)=1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチルー4−ピペリジル)=1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート等のヒンダードアミン類があげられる。これらの剤は単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
)および下記(E)の合計100重量部とした際に、0.01重量部以上が好ましく、0.02重量部以上がより好ましく、0.05重量部以上が更に好ましく、0.08重量部以上が最も好ましい。一方、5重量部以下が好ましく、3重量部以下がより好ましく、1重量部以下が更に好ましく、0.5重量部以下が最も好ましい。
光安定剤の含有量が前記下限値以上であることにより、得られるポリカーボネート樹脂組成物の耐候性がより向上する。その効果は後述する耐候性試験の結果から確認できる。一方で、光安定剤の含有量が前記上限値以下であることにより、射出成型時における金型への付着物の発生を防ぎ、得られる製品の表面外観を良好にすることができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有する酸化防止剤を含有する。このような酸化防止剤は、フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有していることにより、常温でのラジカルの補足性に優れ、耐候性が良好となる。ここで、立体障害性置換基としては、特に限定されないが、イソプロピル基、tert−ブチル基、メシチル基、アダマンチル基があげられる。これらの中でも、耐候性の観点から、イソプロピル基、tert−ブチル基、アダマンチル基が好ましく、イソプロピル基、tert−ブチル基がより好ましく、tert−ブチル基が特に好ましい。フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有する酸化防止剤としては、下記一般式(7)で表される構造を有する化合物であることが、耐候性の観点から好ましい。より具体的には、例えば、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4,4‘−チオビス(6−t−ブチル−m−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(
6−t−ブチルーm−クレゾール) 、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ブチルヒドロキシアニソール等をあげることができる。これらの化合物は、1種又は2種以上を併用することができる。
クロヘキシルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基、トリシクロデカニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基などの脂環式炭化水素基;グリシジル基、β−メチルグリシジル基、β−エチルグリシジル基、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル基、2−オキセタンメチル基、3−メチル−3−オキセタンメチル基、3−エチル−3−オキセタンメチル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロフルフリル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキサゾラニル基、ジオキサニル基などの環状エーテル基;フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、メトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基、シンナミル基、ナフチル基、アントラニル基などのアリール基;メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基、シクロヘキシルオキシ基、フェノキシ基、フェノキシエトキシ基などのアルコキシ基;ブチルチオ基、オクチルチオ基、ラウリルチオ基、ステアリルチオ基、フェニルチオ基などのアルキルチオ基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、トリオイル基、カプロイル基などのアシル基;アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリオイルオキシ基、カプロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基などのアシルオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ラウリルオキシカルボニル基、ステアリルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基;ブチルチオカルボニル基、オクチルチオカルボニル基、ラウリルチオカルボニル基、ステアリルチオカルボニル基、フェニルチオカルボニル基、ベンジルチオカルボニル基などのアルキルチオカルボニル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;ウレイド基;アミド基;シアノ基;水酸基;亜リン酸エステル基;ホスホン酸エステル基;トリメチルシリル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有する酸化防止剤の含有量が前記下限値以上であることにより、得られるポリカーボネート樹脂組成物の耐候性がより向上する。その効果は後述する耐候性試験時の変色から確認できる。一方で、フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有する酸化防止剤の含有量が前記上限値以下であることにより、射出成型時における金型への付着物の発生を防ぎ、得られる製品の表面外観を良好にすることができる。
「コア・シェル構造を有するエラストマー」とは最内層(コア層)とそれを覆う1以上の層(シェル層)から構成され、コア層に対して共重合可能な単量体成分をシェル層としてグラフト共重合したコア・シェル型グラフト共重合体である。
このコア・シェル型グラフト共重合体の製造方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などのいずれの製造方法であってもよく、共重合の方式は一段グラフトでも多段グラフトであってもよい。但し、本発明の第2の態様においては通常、市販で入手可能なコア・シェル型エラストマーをそのまま使用することができる。市販で入手可能なコア・シェル型エラストマーの例は後に列挙する。
とポリアルキルアクリレートゴムとからなるIPN型複合ゴムから選ばれる少なくとも1種の重合体成分をコア層とし、その周囲に(メタ)アクリル酸エステルをグラフト共重合して形成されたシェル層からなる、コア・シェル型グラフト共重合体が特に好ましい。上記コア・シェル型グラフト共重合体において、コア層の重合体成分を40重量%以上含有するものが好ましく、60重量%以上含有するものがさらに好ましい。また、シェル層の(メタ)アクリル酸エステル成分は、10重量%以上含有するものが好ましい。
ホスファイト系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert
−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
ホススファイト系酸化防止剤の含有量が前記下限値以上であることにより、成形時の十分な着色抑制効果を得ることができる。また、ホススファイト系酸化防止剤の含有量が前記上限値以下であることにより、射出成形時における金型への付着物の発生や、押出成形によりフィルムを成形する際にロールへの付着物の発生を防ぐことができ、製品の表面外観を良好にすることができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記の添加剤の他、本発明の目的を損なわない範囲で、周知の種々の添加剤、例えば、離型剤、難燃剤、難燃助剤、加水分解抑制剤、帯電防止剤、発泡剤、染顔料等を含有した樹脂組成物であってもよい。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、無機充填材を含有しても良い。無機充填材の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、通常1重量部以上100重量部以下であり、好ましくは3重量部以上50重量部以下である。無機充填材の配合量が過度に少ないと補強効果が少なく、また、過度に多いと外観が悪くなる傾向がある。
本発明で使用する樹脂組成物には着色剤を含んでも良い。着色剤としては無機顔料、有機顔料及び有機染料等の有機染顔料が挙げられる。
無機顔料としては、バリウム黄(C.I.pigment Yellow 31)、黄
鉛(C.I.pigment Yellow 34)亜鉛黄(C.I.pigment Yellow 36)、ニッケルチタンイエロー(C.I.pigment Yellow 53)、クロムチタンイエロー(C.I.Pigment Brown 24)等のクロム酸塩;紺青(C.I.pigment Blue 27)等のフェロシアン化物;カドミウムイエロー(C.I.pigment Yellow 42)、カドミウムレッド(C.I.pigment Red 108)等の硫化物;鉄黒(C.I.pigment Black 11)、べんがら(C.I.pigment Red 101)、二酸化チタン(C.I.pigment White 6)等の酸化物;群青(C.I.pigment Blue 29)等のケイ酸塩;又はチャンネルブラック、ローラーブラック、ディスク、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック(C.I.pigment Black 7)等を挙げることができる。
着色剤の含有量の下限値は、特に限定されないが、ポリカーボネート樹脂組成物中、上記(A)および下記(E)の合計100重量部とした際に、好ましくは0.00001重量部以上であり、好ましくは0.0001重量部以上であり、より好ましくは0.0005重量部以上である。着色剤の含有量が、前記下限以上であることにより、得られる樹脂組成物の成形体に深みと清澄感のある色味を与えることができる。一方で、着色材の含有量の上限値としては、特に限定されないが、ポリカーボネート樹脂組成物中、上記(A)および下記(E)の合計100重量部とした際に、好ましくは3重量部以下であり、より好ましくは2重量部以下である。着色剤の含有量が、前記上限以下であることにより、得られる樹脂組成物の成形品の表面粗さを小さくでき、成形体に深みと清澄感のある色味を
与えることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物への上述のような各種の添加剤等の配合方法としては、例えばタンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合・混練する方法、或いは、例えば塩化メチレン等の共通の良溶媒に溶解させた状態で混合する溶液ブレンド方法等があるが、これは特に限定されるものではなく、通常用いられるブレンド方法であればどのような方法を用いてもよい。
こうして得られる本発明の熱可塑性樹脂組成物は、これに各種添加剤等が添加され、直接に、或いは溶融押出機で一旦ペレット状にしてから、押出成形法、射出成形法、圧縮成形法等の通常知られている成形方法で、所望形状に成形することができる。
本発明の実施の形態において、ポリカーボネート樹脂組成物に配合することのできる、紫外線吸収剤、光安定剤、フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有する酸化防止剤の、混合時期、および混合方法は特に限定されない。混合時期としては、例えば、エステル交換法でポリカーボネート樹脂を製造する場合は、重合反応中に混合してもよいし、重合反応終了時に混合してもよい。また、重合法に関わらず、ポリカーボネート樹脂と他の配合剤との混練途中等の、ポリカーボネート樹脂が溶融した状態の際に、混練押出機等を用いて混合しても構わない。更には、ペレットまたは粉末等の固体状態のポリカーボネート樹脂と配合剤とを混合した混合物を、更に加熱混合しても構わない。
混合方法としては、ポリカーボネート樹脂に上記の配合成分を直接混合または混練してもよいし、予め少量のポリカーボネート樹脂または他の樹脂等と上記の配合成分を用いて作成した高濃度のマスターバッチを作成し、当該マスターバッチを本発明に係るポリカーボネート樹脂と混合することもできる。
本発明が効果を奏する理由は未だ明らかではないが、以下のとおり推察される。つまり、成形時の熱劣化や使用時の自然環境による経年劣化等によりポリカーボネート樹脂(A)が着色すると、紫外線による劣化が進行する。これに対し、ポリカーボネート樹脂(A)に紫外線吸収剤を配合すると、ポリカーボネート樹脂(A)の紫外線吸収を抑制できる。しかし、光により励起された紫外線吸収剤が酸素分子と反応して活性ラジカルを生成し、結果として該樹脂の劣化を招く。そこで、紫外線吸収剤に加えて、さらにヒンダードフェノール系酸化防止剤またはヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を配合することで発生した活性ラジカルを捕捉し、失活させることができるという酸化劣化抑制機構が知られている。一方、本発明では、紫外線吸収剤、フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有する酸化防止剤、HALSを併用することで、紫外線吸収により紫外線吸収剤から発生した活性ラジカルを、まず立体障害の小さいラジカル補足性に優れた「フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有する酸化防止剤」が捕捉し、その後、HALSとのラジカル交換反応によりHALSにて活性ラジカルの失活、そしてラジカル交換により再生した「フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有する酸化防止剤」の活性ラジカル補足により、従来の紫外線吸収剤と酸化防止剤の併用による酸化劣化抑制機構よりも活性ラジカルを極めて効率よ
く失活でき、結果として優れた耐候性を示していると推察される。また、HALSによるポリカーボネート樹脂の加水分解を抑制することができるため、ポリカーボネート樹脂を劣化させることがない。さらに、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、耐候性が良好であり、外観の劣化も起こりづらいので、コア・シェル構造を有するエラストマーを配合している場合、自然環境による該エラストマーの劣化も抑制することができ、優れた耐衝撃性を維持することが可能となるはずである。
以下において、ポリカーボネート樹脂組成物、成形品等の物性ないし特性の評価は次の方法により行った。
(1)試験片の作成方法
ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを、窒素雰囲気下、90〜100℃で10時間乾燥した。次に、乾燥したポリカーボネート樹脂組成物のペレットを射出成形機(日本製鋼所社製J75EII型)に供給し、樹脂温度240℃、成形サイクル40秒間の条件で、射出成形片(幅60mm×長さ60mm×厚さ2mm)および機械物性評価用ISO試験片を成形した。
(2)漆黒性(L*)
JIS Z8722に準拠し、分光色差計(コニカミノルタ社製CM−5)を使用し、D65光源反射法SCE(正反射除去)にて色彩値L*を測定した。
L*値が小さいほど、漆黒性に優れることを示す。本実施例では、L*値が1.0以下
を「〇」とした。
耐候性は、以下詳述の耐候性試験により評価した色差(ΔE*)および光沢保持率の結果を総合して判断した。
[耐候性試験]
耐候性試験は、JIS B7753に準拠して、スガ試験機社製サンシャインウェザーメーターS60を用いて、サンシャインカーボンアーク(ウルトラロングライフカーボン4対)光源で放電電圧50V、放電電流60Aに設定し、照射及び表面スプレー(降雨)にてブラックパネル温度63℃、相対湿度50%の条件下、上述の方法で得られた射出成形片の平板(幅60mm×長さ60mm×厚さ2mm)の正方形の面に対して、1000時間照射処理を行った。尚、表面スプレー(降雨)時間は、12分/1時間とし、ガラスフィルターはAタイプを用いた。
色差(ΔE*)は、上記の試験結果をもとに以下のように算出した。
試験前後の射出成形片をJIS Z8722に準拠し、分光色差計(コニカミノルタ社製CM−5)を使用し、D65光源反射法SCE(正反射除去)にて色彩値L*、a*、b*を測定し、試験前の値をL0 *、a0 *、b0 *、試験後の値をL*、a*、b*としΔE*を下記の計算式より求めた。
ΔL*=L*−L0 *
Δa*=a*−a0 *
Δb*=b*−b0 *
ΔE*=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
ΔE*値が小さいほど、耐候性試験前後の色差が小さく、日光、雨雪、および湿度等の
自然環境に起因する色差のない優れた耐候性を有していることを示す。尚、本実施例にお
いて、以下の通り合否を判断した。
ΔE*値が1.0以下のもの:耐候性に優れると判断し、「〇」
ΔE*値が0.5以下のもの:耐候性に特に優れると判断し、「◎」
ΔE*値が1.0を超えるもの:耐候性に優れないと判断し、「×」
射出成形片を用いて、JIS Z8741に準拠し、日本電色工業社製分光色差計VC−2000にて光沢度値(Gs60°)を測定し、上記(3)の耐候性試験前後の光沢度値から下記式により光沢保持率を計算により求めた。
光沢保持率(%)={(耐候性試験後の光沢度値)/(耐候性試験前の光沢度値)}×100
光沢保持率の値が大きいほど、耐候性試験前後における光沢度値の変化が小さく、日光、雨雪、および湿度等の自然環境に起因する表面外観の光沢変化のない優れた耐候性を有していることを示す。尚、本実施例では、以下の通り合否を判断した。
光沢保持率が90%以上のもの:耐候性に優れると判断し、「〇」
光沢保持率が98%以上のもの:耐候性に特に優れると判断し、「◎」
光沢保持率が90%未満のもの:耐候性に優れないと判断し、「×」
上記の色差変化(ΔE*)と光沢保持率の結果に基づき、以下の通り評価した。
色差変化(ΔE*)および光沢保持率の両方が「◎」であるもの:耐候性に極めて優れると判断した。
色差変化(ΔE*)および光沢保持率の一方が「◎」で、他方が「○」であるもの:耐候性に特に優れると判断した。
色差変化(ΔE*)および光沢保持率の両方が「○」であるもの:耐候性に優れると判断した。
色差変化(ΔE*)および光沢保持率のいずれかが「×」であるもの:耐候性に劣ると判断した。
上記(3)耐候性(ΔE*)の試験後の射出成形片の外観を目視にて確認し、該射出成形片の表面にクラックがないものを「○」、クラックがあるものを「×」とした。尚、前記試験前に用いた射出成形片にクラックがないことは確認している。
上記の試験の結果、総合評価としては以下のとおりとした。なお、以下の合格基準を満たすものでも、◎の数が多いものほど好ましい。
合格:〇または◎のみであるもの
不合格:×があるもの
((A)ポリカーボネート樹脂)
A−1:イソソルビド/1,4−シクロヘキサンジメタノール=70/30mol%共重合ポリカーボネート(三菱化学社製:デュラビオ D7340R)
A−2:イソソルビド/1,4−シクロヘキサンジメタノール=50/50mol%共重合ポリカーボネート(三菱化学社製:デュラビオ D5360R)
A−3:ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック社製 ユーピロンS3000R)
B−1:ベンゾトリアゾール系 ADEKA社製 アデカスタブLA−29
B−2:ベンゾフェノン系 ADEKA社製 アデカスタブLA−31
B−3:トリアジン系 ADEKA社製 アデカスタブLA−46
C−1:ヒンダードアミン系 ADEKA社製、アデカスタブLA−77G
C−2:ヒンダードアミン系 ADEKA社製 アデカスタブLA−57
D−1:4,4’,4’−(1−メチルプロピニルー3−イリデン)トリス(6−tert−ブチル−m−クレゾール) ADEKA社製 アデカスタブAO−30
D−2:6,6’−ジ−tert−ブチル−4,4’−ブチリデン−m−クレゾール ADEKA社製 アデカスタブAO−40
F−1:ADEKA社製、アデカスタブPEP−36A
F−2:BASF社製 IRGAFOS PEP−Q
X−1:[3−[3−(3,5−ジ-tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
ピオノルオキシ]−2,2−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパニル]プロピオニルオキシ]プロピル]3−(3,5−ジ-tert
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート BASF社製 IRGANOX1010
X−2:3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン ADEKA社製 アデカスタブAO−80
・Solvent Violet 36 ランクセス株式会社製Macrolex Violet3R
・Solvent Red 179 ランクセス社製Macrolex Red E2G・Solvent Green 3 有本化学工業株式会社製Oil Green 5602
・Solvent Blue 97 ランクセス株式会社製Macrolex Blue
RR
表−1に示した組成となるようにポリカーボネート樹脂(A−1)、紫外線吸収剤(B−1)、光安定剤(B−2)、フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有する酸化防止剤(D−1)を混合し、1つのベント口を有する日本製鋼所社製2軸押出機(TEX−33)を用いて、出口の樹脂温が250℃になるようにストランド状に押し出し、水で冷却固化させた後、回転式カッターでペレット化した。この際、ベント口は真空ポンプに連結し、ベント口での圧力が500Paになるように制御した。得られたポリカーボネート樹脂組成物を評価した結果を表1に示す。
配合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂
組成物を得た。得られたポリカーボネート樹脂組成物を、実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
配合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られたポリカーボネート樹脂組成物を、実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
配合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られたポリカーボネート樹脂組成物を、実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
配合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られたポリカーボネート樹脂組成物を、実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
配合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られたポリカーボネート樹脂組成物を、実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
[比較例2]
配合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られたポリカーボネート樹脂組成物を、実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
実施例2のフェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有する酸化防止剤(D−1)をヒンダードフェノール系酸化防止剤(G−1)に変えた以外は、実施例2と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られたポリカーボネート樹脂組成物を、実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
[比較例4]
実施例2のフェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立体障害性置換基を有する酸化防止剤(D−1)をヒンダードフェノール系酸化防止剤(G−2)に変えた以外は、実施例2と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られたポリカーボネート樹脂組成物を、実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
Claims (8)
- (A)下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリ
カーボネート樹脂と、
(B)紫外線吸収剤
(C)光安定剤
(D)フェノール性水酸基を有する炭素原子に隣接する2個の炭素原子の一方にのみ立
体障害性置換基を有する酸化防止剤
を含有してなり、
前記(A)に含まれる全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に対して、芳香族ジヒ
ドロキシ化合物に由来する構造単位の含有量が、0モル%以上かつ40モル%未満であり
、
前記(D)が下記式(7)で表される構造を有する酸化防止剤であり、
さらに任意成分として(E)コアシェル構造を有するエラストマーを含有し、
上記(A)および上記(E)の合計100重量部とした際に、前記(B)を0.01重
量部以上5重量部以下含有し、前記(C)を0.01重量部以上5重量部以下含有し、前
記(D)を0.001重量部以上5重量部以下含有する、
ポリカーボネート樹脂組成物。
していてもよい炭素数1〜5のアルキル基を示す。nが1の場合、R 2 は、水素原子また
は置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基を示す。nが2〜4の整数の場合
、R 2 は、置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基からn−1個の水素原子
を除いたn価の基を示す。) - ポリカーボネート樹脂組成物中、上記(A)および上記(E)の合計100重量部とし
た際に、(E)コアシェル構造を有するエラストマーの含有量が、0.1〜50重量部で
ある、請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。 - ポリカーボネート樹脂組成物中、上記(A)および上記(E)の合計100重量部とし
た際に、(F)ホスファイト系酸化防止剤を0.01〜5重量部を含有する、請求項1又
は2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。 - 前期コアシェル構造を有するエラストマー成分(E)のシェル層が(メタ)アクリル酸
アルキルよりなる請求1乃至3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。 - 前記光安定剤(C)が、ピペリジン構造を有する、請求項1乃至4に記載のポリカーボ
ネート樹脂組成物。 - JIS Z8722に準拠した、D65光源反射法SCE(正反射除去)にて測定した
色彩値L*が3以下である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹
脂組成物。 - 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂を含む成形品。
- 前記成形品が自動車向け部品である、請求項7に記載の成形品。
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