JP6902222B2 - 化粧シート及び該化粧シートを備える化粧部材 - Google Patents

化粧シート及び該化粧シートを備える化粧部材 Download PDF

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Description

本発明は、化粧シート及び該化粧シートを備える化粧部材に関する。
壁、天井、床等の建築物の内装材又は外装用部材、窓枠、扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具、造作部材の他、キッチン、家具又は弱電機器、OA機器等のキャビネットの表面化粧板、車両の内装材または外装用部材には、一般的に、鋼板等の金属部材、樹脂部材、木質部材を被着材として、これに化粧シートを貼り合わせた化粧部材が使用されている。
上述のような化粧部材には、高級感を示す意匠性を有していることが求められており、凹凸形状の外観を化粧シートの表面に付与することが行われている。
斯かる凹凸形状としては、各種形状が採用され得るが、中でも、木目模様における導管部の溝状凹凸形状、グロスマット調凹凸形状等が代表的なものであり、多用されている。
なお、「グロスマット調凹凸形状」とは、物品の表面に高光沢(gross)領域と低光沢(matte)領域とを模様状に混在させた凹凸形状を意味する。
斯かる構成の物品表面は、物品の表面をグロスマット調凹凸形状とすることにより、物理的凹凸とは無関係に、視覚的に、低光沢領域を高光沢領域よりも凹んでいるように見せることができ、立体的意匠外観を表現することができる。
例えば、特許文献1には、基材シートと、着色層と、絵柄層と、浸透防止層と、低艶絵柄インキ層と、保護層とを有する化粧シートが開示されている。この化粧シートでは、低艶絵柄インキ層と、表面保護層とが一部混合することにより、懸濁部が生じる。該懸濁部が、絵柄層、例えば、木目模様の導管部と同調するように、低艶絵柄インキ層を設けることにより、導管部が凹んでいるように見える、化粧シートにグロスマット感を付与している。
しかしながら、特許文献1において開示される化粧シートは、耐摩耗性及び耐傷性が十分とは言えなかった。また、懸濁部の位置や、大きさを制御することが困難であり、高いグロスマット感を付与することができなかったり、絵柄層に微細な模様が形成されている化粧シートに対して正確なグロスマット感を付与することが難しかったりと、改善の余地があった。
また、特許文献2には、基材シートと、絵柄層と、低光沢層と、特定の重合成分を含む高光沢層とを順に有する化粧シートであって、高光沢層が低光沢層の少なくとも一部を露出させる開口部を有し、この開口部が化粧シートの表面において凹部を形成する、化粧シートが開示されている。斯かる構成の化粧シートは、通常、絵柄上の凹部外観を表現すべき領域をグロスマット感に加え物理的凹凸も併用して表現するものである。
しかしながら、特許文献2において開示される化粧シートについても、その耐摩耗性、耐傷性および耐汚染性には依然として改善の余地があった。
特開2006−95973号公報 特開2014−188842号公報
本発明者らは、耐摩耗性及び耐傷性の向上を目的として、特許文献2において開示される化粧シートにおいて、絵柄の凹凸外観を効果的に再現すべく、その高光沢層の厚さを更に大きくしようとした場合、高光沢層に裾引き部が生じ、本来、凹部が形成される箇所にまで高光沢層が形成されてしまい、グロスマット感を正確に付与することができない(凹んでいるように見せようとした箇所が凸んでいるように見える)との知見を得た。
今般、本発明者らは、特定の重合成分を含む放射線硬化性樹脂組成物により高光沢層を形成させることにより、裾引き部を生じさせることなく、高光沢層の厚さを大きくすることができ、耐摩耗性および耐傷性を向上させることができると共に、正確かつ高いグロスマット感を化粧シートに対して付与することができるとの知見を得た。
さらに、かかる高光沢層を備える化粧シートは、その耐汚染性についても改善されているとの知見を得た。
本発明は、かかる知見に基づくものであり、その解決しようとする課題は、高い耐摩耗性、耐傷性、耐汚染性及び良好なグロスマット感を有する化粧シート及びこれを備える化粧部材を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明は、以下の発明を提供する。
(1)基材シートと、絵柄層と、低光沢層と、高光沢層とを順に有する化粧シートであって、
高光沢層が、低光沢層の少なくとも一部を露出させる開口部を有し、
高光沢層の開口部が、化粧シートの表面に凹部を形成しており、
高光沢層が、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物で形成されており、
電離放射線硬化性樹脂組成物が、数平均分子量1,000〜3,000、官能基数2〜8の多官能(メタ)アクリレート系オリゴマー及び数平均分子量10,000〜30,000のセルロース系ポリマーを含んでなる、化粧シート。
(2)電離放射線硬化性樹脂組成物における多官能(メタ)アクリレート系オリゴマーの含有量が、15〜95質量%である、前記(1)に記載の化粧シート。
(3)電離放射線硬化性樹脂組成物におけるセルロース系ポリマーの含有量が、1〜10質量%である、前記(1)または(2)に記載の化粧シート。
(4)電離放射線硬化性樹脂組成物が、数平均分子量100〜500、官能基数2〜8の多官能(メタ)アクリレート系モノマーを含んでなる、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の化粧シート。
(5)電離放射線硬化性樹脂組成物における、多官能(メタ)アクリレート系オリゴマーの含有量と、多官能(メタ)アクリレー系トモノマーの含有量との比(多官能(メタ)アクリレート系オリゴマーの含有量/多官能(メタ)アクリレート系モノマーの含有量)が、質量基準で、99/1〜20/80である、前記(4)に記載の化粧シート。
(6)高光沢層の厚さが、8〜20μmである、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の化粧シート。
(7)電離放射線硬化性樹脂組成物が、平均粒径0.1〜10μmの無機粒子を含んでなる、前記(1)〜(6)のいずれかに記載の化粧シート。
(8)電離放射線硬化性樹脂組成物における無機粒子の含有量が、1〜15質量%である、前記(1)〜(7)のいずれかに記載の化粧シート。
(9)絵柄層が木目模様を形成しており、凹部が、木目模様の導管部と同調するように設けられている、前記(1)〜(8)のいずれかに記載の化粧シート。
(10)平面視において高光沢層の占める面積割合が50%以上、80%以下である領域の明度(L1)及び平面視において凹部の占める面積割合が50%以上、80%以下であるの領域の明度(L2)を、以下の測定条件を用いて、化粧シートの高光沢層側の表面に光を照射して測定した、明度差(ΔL=L1−L2)が、10以上である、前記(9)に記載の化粧シート。
(測定条件)
測定装置:コニカミノルタ(株)製、CM−3700d
測定サイズ:直径8mmの円
光源:D65光源
視野角:2°
(11)被着材と前記(1)〜(10)のいずれかに記載の化粧シートとを、前記被着体と前記化粧シートの前記基材シートとが対向するように備える、化粧部材。
本発明によれば、高い耐摩耗性、耐傷性、耐汚染性及び良好なグロスマット感を有する化粧シート及びこれを備える化粧部材が提供される。
図1は、本発明の一実施形態に係る化粧シートの構成を示す模式断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る化粧部材の構成を示す模式断面図である。 図3は、実施例において、絵柄層に形成させた木目柄を表す。 図4は、実施例において、絵柄層に形成させた木目柄を表す。
〔化粧シート〕
以下、図1を参照しながら、本発明の一実施形態に係る化粧シートについて説明する。図1は本発明の一実施形態に係る化粧シート10の構成を模式的に示す側面図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る化粧シート10は、基材シート11と、絵柄層12と、低光沢層13と、高光沢層14とを順に有する。
また、図1に示すように高光沢層14は、低光沢層13の少なくとも一部を露出させる開口部を有し、この開口部は、化粧シートの表面において、凹部14’を形成する。
さらに、化粧シート10は、基材シート11と、絵柄層12との間に着色層15を有していてもよい。さらに、化粧シート10は、任意の層間にプライマー層を有していてもよい(図示せず)。
以下、各層の構成等について詳細に説明する。
(基材シート)
基材シート11として、紙材、樹脂を用いて成形した樹脂フィルム、金属箔、金属シート、木材、窯業系素材等を使用することができる。また、基材シート11として、これらを任意に積層した積層体を使用してもよい。
例えば、基材シート11として使用することのできる紙材としては、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、並びにこれらの紙間強化紙及び樹脂含浸紙等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性及び強度の観点から、薄葉紙、紙間強化紙、及び樹脂含浸紙が好ましい。防湿性という観点からは、ポリエチレンフィルムを2枚の紙材により挟み込んだポリサンド紙を使用することが好ましい。
樹脂フィルムを構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン(HDPE、MDPE、LDPE、LLDPE)、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂等が挙げられる。
金属箔、金属シートを構成する金属としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、ステンレス鋼等が挙げられる。
窯業系素材としては、例えば、石膏板、珪酸カルシウム板、木片セメント板、陶磁器、硝子、琺瑯、焼成タイル等が挙げられる。
基材シート11は、基材シート11と他の層との層間密着性や、後記する各種の被着材21との接着性の強化等のために、片面又は両面に酸化法、凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理を施すことができる。酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法等が挙げられ、凹凸化法としては、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材シート11の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性等の面から好ましく使用される。
基材シート11として紙材を用いた場合、その坪量は、20〜100g/mであることが好ましく、23〜80g/mであることがより好ましい。
基材シート11が紙材以外である場合、その厚さは、25〜200μmであることが好ましく、38〜188μmであることがより好ましい。
(着色層)
一実施形態において、本発明の化粧シートは、着色層15を備えてなることができる。
基材シート11が着色されている場合や色ムラを有する場合に、この基材シート11上に着色層15を設けることにより、これらを隠蔽することができる。そのため、基材シート11上に設けられる絵柄層12の色調の安定性を確保することができ、化粧シート10の意匠性を向上させることができる。
着色層15は、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、アルキド系樹脂、ケトン樹脂、メラミン系樹脂等のバインダー樹脂を含むことができる。また、着色層15は、これら樹脂を2種以上含んでいてもよい。
着色層15は、カーボンブラック、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、亜鉛華、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等の着色剤を含むことができる。また、着色層15は、これら着色剤を2種以上含んでいてもよい。
着色層15は、本発明の特性を損なわない範囲において、光安定剤、難燃剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含むことができる。
着色層15の厚さは、特に限定されるものではないが、1〜30μmとすることができ、5〜20μmとすることが好ましい。
着色層15は、上記材料を水又は適当な溶媒へ分散又は溶解して、ロールコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、リバースグラビアコート法、バーコート法及びロッドコート法等の公知の手段により、基材シート11上に塗布して塗膜を形成させ、これを乾燥させることにより形成することができる。
(絵柄層)
絵柄層12とは、化粧シート10に所望の絵柄を付与する層である。絵柄は、特に限定されるものではないが、年輪断面の春材領域及び秋材領域、導管部等から構成される木目模様、レザー(皮シボ)模様、大理石、花崗岩、砂岩等の石材表面の石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等を挙げることができる。
絵柄層12は、上記した着色剤を1種又は2種以上含んでなることができる
絵柄層12における着色剤の含有量は、使用する着色剤の種類や形成させる絵柄に応じて適宜変更することが好ましいが、絵柄層12に含まれる樹脂の総量100質量部に対して、0.5〜70質量部であることが好ましく、1〜50質量部であることがより好ましい。
絵柄層12は、セルロース系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、アルキド系樹脂、ケトン樹脂、メラミン系樹脂等のバインダー樹脂を含んでなることができる。
絵柄層12の厚さは、特に限定されるものではないが、0.5〜15μmとすることができ、1〜10μmとすることが好ましい。
絵柄層12は、上記材料を水又は適当な溶媒へ分散又は溶解して、ロールコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、リバースグラビアコート法、バーコート法及びロッドコート法等の公知の手段により、基材シート11又は着色層15上に塗布して塗膜を形成させ、これを乾燥させることにより形成することができる。
上記の手段の中でも、模様の微細な部分まで鮮明に形成することができるため、グラビアコート法を利用することが特に好ましい。
絵柄層12の形成に使用する着色剤の種類、使用量、形成させる絵柄を変更することにより、後記する化粧シートの明度差(ΔL)を調整することができる。
(低光沢層)
低光沢層13は、化粧シート10にマット感を付与する層であり、絵柄層12を視認できる程度の透明性(無色透明、着色透明、半透明)を有する層である。
低光沢層13の光沢値は、2〜8以下であることが好ましく、2〜6以下であることがより好ましい。低光沢層13の光沢値を上記数値範囲とすることにより、化粧シート10に高いマット感を付与することができるため、低光沢層13および高光沢層14の光沢値差を十分に生じさせることができ、化粧シート10に良好なグロスマット感を付与することができる。
本発明において、「光沢値」は、JIS Z 8741に準拠して、入射角75°で測定することができる。
低光沢層13は、艶消剤を含んでなり、艶消剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、カオリナイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硝子などの無機系粒子や、ポリカーボネート系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、アミド系樹脂、尿素樹脂、珪素樹脂等の有機系粒子等が挙げられる。
これらの中でも、コストおよび材料選択の容易性、樹脂に対する分散安定性の観点から、シリカが好ましい。
また、その形状は、特に限定されず、球形、多面体状、鱗片状とすることができる。
艶消剤の平均粒径は、0.1〜10μmであることが好ましく、2〜7μmであることがより好ましい。艶消剤の平均粒径を上記数値範囲とすることにより、低光沢層13における艶消剤の分散性を向上させることができる。
なお、本発明において、「平均粒径」とは、粒子の一次粒子径のことを指し、レーザー回析・散乱法により測定した体積分布における累積分布が50%となる粒子径である。
低光沢層13における艶消剤の含有量は、15〜50質量%であることが好ましく、15〜45質量%であることがより好ましい。艶消剤の含有量を上記数値範囲とすることにより、低光沢層の透明性を維持しつつ、化粧シート10に対し、より良好なマット感を付与することができる。
低光沢層13は、熱硬化性樹脂を含んでなることが好ましい。低光沢層13が熱硬化性樹脂を含むことにより、絵柄層12と高光沢層14との十分な密着強度を確保することができる。またグラビアコート法において、絵柄層12から高光沢層14までを連続印刷するにあたり、高光沢層14を形成するに適した平滑面状態を速やかに形成することができる。
熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂(2液硬化型ポリウレタン系樹脂も含む)、エポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン系樹脂、グアナミン系樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、被膜の成形性及び柔軟性という観点から、ポリオールと、イソシアネート化合物との反応物である、2液硬化型ポリウレタン系樹脂が特に好ましい。
ポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アルキド変性アクリルポリオール等が挙げられ、これらの中でも、熱可塑性の観点から、ポリエステルポリオールが特に好ましい。
また、イソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
また、一実施形態において、低光沢層13は、電離放射線硬化性樹脂を用いて形成してもよい。
電離放射線硬化性樹脂とは、電磁波又は荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線又は電子線等を照射することにより、架橋、硬化する樹脂のことである。具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂として慣用されている重合性モノマー、重合性オリゴマー、重合性ポリマーを適宜選択して使用することができる。
なお、本発明において、「オリゴマー」とは、数平均分子量が500〜10000の重合体のことを意味する。また、「ポリマー」とは、数平均分子量が、10000超えの重合体のことを意味する。
さらに、本発明において、「数平均分子量」は、JIS K7252−1に準拠し、GPC(ゲルパーミエ−ションクロマトグラフィ)法により測定したポリスチレン換算による分子量を意味する。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好ましく、多官能(メタ)アクリレート系モノマーが特に好ましい。
なお、ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートを意味する。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
多官能(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸のペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマー等が挙げられる。
重合性ポリマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つポリマー、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系ポリマー、ウレタン(メタ)アクリレート系ポリマー、ポリエステル(メタ)アクリレート系ポリマー、ポリエーテル(メタ)アクリレート系ポリマー等が挙げられる。
前記多官能性(メタ)アクリレート等とともに、その粘度を低下させる等の目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の特性を損なわない範囲で適宜併用することができる。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
低光沢層13は、熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂以外にも、本発明の特性を損なわない範囲において、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂等を含んでいてもよい。
また、低光沢層13は、本発明の特性を損なわない範囲において、重合開始剤、光安定剤、難燃剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含んでいてもよい。
低光沢層13の厚さは、4〜20μmであることが好ましく、8〜15μmであることがより好ましい。低光沢層13の厚さを上記数値範囲とすることにより、化粧シート10の耐摩耗性および耐傷性を向上させることができると共に、化粧シート10に対してより良好なマット感を付与することができる。
低光沢層13は、上記した材料を水又は適当な溶媒へ分散又は溶解して、低光沢層形成用組成物とし、これをロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、バーコート及びロッドコート等の公知の手段により、絵柄層12上に塗布して塗膜を形成させ、加熱乾燥又は電離放射線を照射し、硬化させることにより形成することができる。
加熱乾燥させる場合の温度は、50〜200℃であることが好ましく、60〜150℃であることがより好ましい。
ここで、電離放射線として電子線を使用する場合、加速電圧は、使用する樹脂や層の厚みに応じて適宜変更することが好ましいが、90〜165kVであることが好ましい。
また、照射線量は、電離放射線硬化性樹脂の架橋密度が飽和する量が好ましく、具体的には、20〜70kGy(2〜7Mrad)であることが好ましく、30〜50kGy(3〜5Mrad)であることが好ましい。
電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を使用することができる。
また、電離放射線として紫外線を使用する場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が使用される。
(高光沢層)
高光沢層14は、化粧シート10にグロス感を付与する層であり、絵柄層12を視認できる程度の透明性(無色透明、着色透明、半透明)を有する層である。
また高光沢層14は、低光沢層13の少なくとも一部を露出させる開口部を有しており、この開口部は、化粧シート10の表面において凹部14’を形成する。
絵柄層12に木目模様が形成されている場合、高光沢層14の凹部14’は、木目模様の導管部と同調するように設けられることが好ましい。このような構成とすることにより、導管部上には高光沢層14が存在せず、低光沢層13が露出するため、導管部を凹んでいるように見せることができ、化粧シートに良好なグロスマット感を付与することができる。
なお、本発明において「同調」とは、導管部の位置と、凹部14’の位置とが、平面視で一致することを意味する。また、「平面視」とは、図1において、同図に向かって上方かた下方を見降ろすことを意味する。
高光沢層14の光沢値は、10以上、20以下であることが好ましく、10以上、15以下であることがより好ましい。高光沢層14の光沢値を上記数値範囲とすることにより、化粧シート10に高いグロス感を付与することができるため、低光沢層13および高光沢層14の光沢値差を十分に生じさせることができ、化粧シート10に良好なグロスマット感を付与することができる。
さらに、高光沢層14の光沢値を上記数値範囲とすることにより、白ぼけが生じてしまうことを防止することができると共に、化粧シート10の光沢が全体として高くなりすぎてしまうことを抑えることができ、絵柄層に木目模様を形成させた場合において、古木感を表現することができ、化粧シート10の意匠性をより向上させることができる。
本発明の化粧シート10が有する高光沢層14は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成される層である。
この電離放射線硬化性樹脂組成物は、数平均分子量1,000〜3,000、官能基数2〜8の多官能(メタ)アクリレート系オリゴマー及び数平均分子量10,000〜30,000のセルロース系ポリマーを含んでなる。このように特定の重合成分を含む放射線硬化性樹脂組成物により高光沢層14を形成させることにより、高光沢層14の厚さを大きくしても、裾引き部が発生せず、化粧シート10の耐摩耗性および耐傷性を向上させることができると共に、化粧シート10に対し、良好なグロスマット感を付与することができる。さらに、化粧シート10の防汚性も向上させることができる。
多官能(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマー、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂組成物における多官能(メタ)アクリレート系オリゴマーの含有量は、15〜95質量%であることが好ましく、20〜90質量%であることがより好ましい。多官能(メタ)アクリレート系オリゴマーの含有量を上記数値範囲とすることにより、高光沢層14形成時における裾引き部の発生を一層防止することができ、化粧シート10に対して良好なグロスマット感を付与することができる。
セルロース系ポリマーとしては、セルロースエステル、セルロースエーテル及びその誘導体が挙げられる。
セルロースエステルとしては、セルロースアセテート、セルロースブチレート、セルロースプロピオネート等のカルボン酸エステル、硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロース等の無機酸エステル、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、硝酸酢酸セルロース等の混酸エステル等が挙げられる。
セルロースエーテルとしては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ベンジルセルロース、シアンエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等が挙げられる。上記の中で(メタ)アクリレート系オリゴマーとの相溶性の高いものを適宜使用することができる。
セルロース系ポリマーの数平均分子量は、13,000〜27,000であることがより好ましく、15,000〜25,000であることがさらに好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物におけるセルロース系ポリマーの含有量は、1〜10質量%であることが好ましく、1.5〜7質量%であることがより好ましい。セルロース系ポリマーの含有量を上記数値範囲とすることにより、高光沢層14の厚さを大きくした場合であっても、裾引き部の発生を一層防止することができ、化粧シート10に対して良好なグロスマット感を付与することができる。
また、電離放射線硬化性樹脂組成物は、数平均分子量100〜500、平均官能基数2〜8の多官能(メタ)アクリレート系モノマーを含んでなることが好ましい。電離放射線硬化性樹脂組成物が、このようなモノマーを含んでなることにより、高光沢層14の耐汚染性をさらに向上させることができる。
多官能(メタ)アクリレート系モノマーの数平均分子量は、200〜500であることがより好ましい。
また、多官能(メタ)アクリレート系モノマーの官能基数は、2〜6であることがより好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物における、多官能(メタ)アクリレート系オリゴマーの含有量と、多官能(メタ)アクリレート系モノマーの含有量との比(多官能(メタ)アクリレート系オリゴマーの含有量/多官能(メタ)アクリレート系モノマーの含有量)は、質量基準で、99/1〜20/80であることが好ましく、99/1〜25/75であることがより好ましい。含有量比を上記数値範囲とすることにより、裾引き部の発生を防止することができる。
また、電離放射線硬化性樹脂組成物は、本発明の特性を損なわない範囲において、上記した重合性オリゴマー、重合性ポリマー等のその他の重合成分を含んでいてもよい。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、シリカ、アルミナ、カオリナイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硝子などの無機系粒子を含んでなることが好ましい。高光沢層14が、無機粒子を含んでなることにより、高光沢層14の耐摩耗性及び耐傷性を向上させることができる。
無機粒子の平均粒径は、0.1〜10μmであることが好ましく、2〜7μmであることがより好ましい。無機粒子の平均粒径を上記数値範囲とすることにより、高光沢層14の耐摩耗性及び耐傷性をより向上させることができる。
電離放射線硬化性樹脂組成物における無機粒子の含有量は、1〜15質量%であることが好ましく、1〜13質量%であることがより好ましい。無機粒子の含有量を上記数値範囲とすることにより、高光沢層14の光沢値を維持しつつ、高光沢層14の耐摩耗性及び耐傷性をより向上させることができる。
また、電離放射線硬化性樹脂組成物は、本発明の特性を損なわない範囲において、重合開始剤、光安定剤、難燃剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含んでいてもよい。
高光沢層14の厚さは、8〜20μmであることが好ましく、8〜12μmであることがより好ましい。高光沢層14の厚さを上記数値範囲とすることにより、化粧シート10の耐摩耗性および耐傷性を向上させることができる。また、硬化収縮によるカールの発生を防止することができ、化粧シートの加工容易性を担保することができる。
高光沢層14は、電離放射線硬化性樹脂組成物を水又は適当な溶媒へ分散又は溶解し、高光沢層形成用組成物とし、これをロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、バーコート及びロッドコート等の公知の手段により、低光沢層13上に塗布して塗膜を形成させ、電離放射線を照射し、硬化させることにより形成することができる。
ここで、電離放射線として電子線を使用する場合、加速電圧は、使用する樹脂や層の厚みに応じて適宜変更することが好ましいが、90〜165kVであることが好ましい。
また、照射線量は、電離放射線硬化性樹脂の架橋密度が飽和する量が好ましく、具体的には、20〜70kGy(2〜7Mrad)であることが好ましく、30〜50kGy(3〜5Mrad)であることが好ましい。
絵柄層12に木目模様が形成されている場合において、分光測色機を用いて、平面視において高光沢層の占める面積割合が50%以上、80%以下である領域の明度(L1)及び平面視において凹部の占める面積割合が50%以上、80%以下である領域の明度(L2)を、以下の測定条件を用いて、化粧シート10の高光沢層14側の表面に光を照射して測定した、明度差(ΔL=L1−L2)は、10以上であることが好ましく、12以上であることがより好ましく、14以上であることがさらに好ましい。なお、「明度(L)」は、「L表色系のL値」であり、「L表色系」は、CIE(国際照明委員会)で規格化され、JIS Z 8781−4:2013で採用されている表色系を意味する。
(測定条件)
測定装置:コニカミノルタ(株)製CM−3700d
測定サイズ:直径8mmの円
光源:D65光源
視野角:2°
(プライマー層)
化粧シート10は、必要に応じて、各層間密着性を向上させるために、各層間のいずれかにプライマー層、裏面プライマー層を有することができる。例えば、被着材21と基材シート11との間で、基材シート11側に裏面プライマー層としてプライマー層を設けることで、層間密着性に優れた化粧部材が得られる。
プライマー層は、透明又は半透明な層であり、例えば、上記バインダー樹脂として例示した樹脂等を使用して形成することができる。プライマー層の厚さは、通常0.5〜20μm程度、好ましくは0.5〜5μm、より好ましくは0.5〜3μmである。
〔化粧部材〕
以下、図2を参照しながら、本発明の一実施形態に係る化粧部材について説明する。図2は本発明の一実施形態に係る化粧部材20の構成を模式的に示す側面図である。
図2に示すように、本発明の一実施形態に係る化粧部材20は、被着材21と化粧シート10とを、被着材21と化粧シート10の基材シート11とが対向するように備える。
(被着材)
被着材21としては、例えば、各種素材の平板、曲面板等の板材、立体形状物品、シート(或いはフィルム)等が挙げられる。具体的には、木材単板、木材合板、パーティクルボード、MDF(中密度繊維板)等の木質繊維板等の板材や立体形状物品等として使用される木質部材;鉄、アルミニウム等の板材や鋼板、立体形状物品、あるいはシート等として使用される金属部材;ガラス、陶磁器等のセラミックス、石膏等の非セメント窯業系材料、ALC(軽量気泡コンクリート)板等の非陶磁器窯業系材料等の板材や立体形状物品等として使用される窯業部材;アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、セルロース系樹脂、ゴム等の板材、立体形状物品、あるいはシート等として使用される樹脂部材等が挙げられる。また、これらの部材は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
被着材21は、上記のなかから用途に応じて適宜選択すればよく、壁、天井、床等の建築物の内外装用部材、窓枠、扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具を用途とする場合は、木質部材、金属部材、樹脂部材、これらの組み合わせた部材が好ましい。
被着材21の厚さは、用途及び材料に応じて適宜選択すればよく、通常0.1〜5mmが好ましく、0.1〜3mmがより好ましい。
(接着剤層)
化粧部材20は、被着材21と化粧シート10との間に接着剤層22を有する。接着剤層22は省略可能であるが、優れた接着性を得るため、被着材21と化粧シート10とを接着剤層22を介して貼り合わせることが好ましい。
接着剤層22に含有される接着剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、感熱接着剤、感圧接着剤等の接着剤が挙げられる。接着剤を構成する樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられる。イソシアネート等を硬化剤とする2液硬化型のポリウレタン系接着剤又はポリエステル系接着剤も適用し得る。接着剤層22には、粘着剤を使用することもできる。粘着剤としては、例えば、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ゴム系等の粘着剤が挙げられる。
接着剤層22は、上記樹脂を溶液又はエマルジョン等の塗布可能な形態にしたものを、グラビア印刷法、スクリーン印刷法又はグラビア版を使用したリバースコーティング法等の手段により塗布、乾燥して形成することができる。接着剤層の厚さは特に制限はないが、通常1〜100μmの範囲である。この範囲とすることで、優れた接着性が得られる。
被着材21と化粧シート10との積層する方法としては、例えば、接着剤を間に介して化粧シート10を板状の被着材に加圧ローラーで加圧して積層するラミネート方法、接着剤を間に介して化粧シート10を供給しつつ、複数の向きの異なるローラーにより、被着材21を構成する複数の側面に順次化粧シート10を加圧接着して積層してゆくラッピング加工、また、固定枠に固定した化粧シート10が軟化する所定の温度になるまでシリコーンゴムシートを介してヒーターで加熱し、加熱され軟化した化粧シート10に真空成形金型を押し付け、同時に真空成形金型から真空ポンプ等で空気を吸引し化粧シート10を真空成形金型にしっかりと密着させる真空成形加工等が好ましく挙げられる。
ラミネート加工やラッピング加工において、ホットメルト接着剤(感熱接着剤)を使用する場合、接着剤を構成する樹脂の種類にもよるが、加温温度は通常160〜200℃、反応性ホットメルト接着剤では通常100〜130℃程度である。また、真空成形加工の場合は加熱しながら行うことが一般的であり、通常80〜130℃程度、好ましくは90〜120℃程度で行われる。
以上のようにして得られる化粧部材は、任意切断し、表面や木口部にルーター、カッター等の切削加工機を使用して溝加工、面取加工等の任意加飾を施すことができる。そして種々の用途、例えば、壁、天井、床、バルコニー、ベランダ等の建築物の内装用部材又は外装用部材の表面化粧板;窓枠、扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具の表面化粧板;キッチン、家具、弱電機器、OA機器等のキャビネットの表面化粧板;車両の内装又は外装用の表面化粧板;携帯電話等の通信機器の表面化粧板;車道、歩道等の舗装道路用の表面化粧板(舗装道路の舗装面に積層して色彩、模様等を付与するための表面化粧板)等に使用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
〔実施例1〕
1.基材シートの準備
基材シートとして、坪量30g/mの紙材(王子エフテックス(株)製、U−FLEX30)を準備した。
2.着色層及び絵柄層の形成
基材シートの一方の面に、グラビア印刷法により、厚さ7μmの着色層及び厚さ4μmの図3に示す木目柄の絵柄層(導管部の太さ:約0.5mm)を形成させた。
なお、着色層の形成には、ウレタンアクリレート、アクリルポリオール、硬化剤および着色剤(DICグラフィックス(株)製、HRA)を使用し、絵柄層の形成には、アルキド系樹脂及び着色剤(DICグラフィックス(株)製、MA)を使用した。
3.低光沢層の形成
下記組成からなる低光沢層形成用組成物を、絵柄層上に塗布、乾燥し、厚さ10μmの低光沢層を形成させた。
低光沢層の光沢値を携帯光沢計(株式会社製村上色彩技術研究所 GMX−202)を用い、JIS Z 8741に準拠して、入射角75°にて測定したところ、2であった。
(低光沢層形成用組成物)
・アクリルポリオール 49質量%
・ヘキサメチレンジイソシアネート 32質量%
・シリカ(平均粒子径3μm) 19質量%
・希釈用剤 適量
4.高光沢層の形成
低光沢層上に、下記組成からなる高光沢層形成用組成物を塗布し、次いで、塗布した組成物に電子線(165kV、30kGy)を照射することにより、厚さが10μmであり、低光沢層の一部を露出させる開口部を有し、該開口部が、化粧シートの表面において、絵柄層の導管部と同調する凹部を形成している、高光沢層を形成した。
次いで、70℃で24時間加熱養生し、化粧シートを得た。
高光沢層の光沢値を携帯光沢計(株式会社製村上色彩技術研究所 GMX−202)を用い、JIS Z 8741に準拠して、入射角75°にて測定したところ、13であった。
(高光沢層形成用組成物)
・6官能アクリレート系オリゴマー 90質量%
・セルロース系ポリマー 1.1質量%
・シリカ(6μm) 8.9質量%
・希釈用剤 適量
5.明度差(ΔL
平面視において高光沢層の占める面積割合が50%以上である領域の明度(L1)及び平面視において凹部の占める面積割合が50%以上であるの領域の明度(L2)を、以下の測定条件を用いて、化粧シートの前記高光沢層側の表面に光を照射して測定し、明度差(ΔL=L1−L2)を求めた。結果を表1に示す。
(測定条件)
測定装置:コニカミノルタ(株)製、CM−3700d
測定サイズ:直径8mmの円
光源:D65光源
視野角:2°
〔実施例2〜5〕
高光沢層形成用組成物の組成を表1のように変更した以外は実施例1と同様にして化粧シートを得た。
〔実施例6〕
高光沢層形成用組成物の組成を表1のように変更すると共に、明度差(ΔL)が10となるよう、絵柄層において形成させた木目柄を図4に示す木目柄に変更した以外は実施例1と同様にして化粧シートを得た。
〔実施例7〕
高光沢層形成用組成物の組成を表1のように変更した以外は実施例1と同様にして化粧シートを得た。
〔比較例1〜4〕
高光沢層形成用組成物の組成を表1のように変更した以外は実施例1と同様にして化粧シートを得た。
〔比較例5〕
高光沢層形成用組成物の組成を表1のように変更すると共に、高光沢層の厚さを4μmに変更した以外は実施例1と同様にして化粧シートを得た。
〔性能評価〕
上記実施例及び比較例において得られた化粧シートについて、以下の評価を行った。
(1)耐摩耗性
実施例及び比較例において得られた化粧シートの基材シート側の面を、厚さ3μmの木質合板に、酢酸ビニルエマルジョン系接着剤を介して貼り合わせた。次いで、JAS特殊合板「摩耗B試験」に準拠し(S42研磨紙、総荷重500g、100回転)、以下の評価基準に従い、耐摩耗性を評価した。評価結果は、表1に示す。
A:柄残存率が50%以上
B:柄残存率が50%未満
(2)耐傷性
実施例及び比較例において得られた化粧シートの基材シート側の面を、厚さ3μmの木質合板に、酢酸ビニルエマルジョン系接着剤を介して貼り合わせた。ベルマースクラッチ試験機を用いて、化粧シートの高光沢層を擦り、基材シートに達する荷重を測定し、以下の評価基準に従い、耐傷性を評価した。なお、加重は50gごとに行った。
A:基材シートに達する荷重が、200g以上
B:基材シートに達する荷重が、100g以上、200g未満
C:基材シートに達する荷重が、100g未満
(3)耐汚染性
JAS特殊合板「汚染A試験」に準拠して耐汚染試験を行い、以下の評価基準に従い耐汚染性を評価した。評価結果は、表1に示す。なお、汚染物として青色インキを用いた。
(4)意匠性
実施例および比較例において得られた化粧シートについて、パナソニック製演色AA昼光色D6500K光源下において、以下の評価基準に従い、その意匠性を目視により評価した。
A:裾引き部の発生が見られず、グロスマット感が正確に付与されていると共に、その程度についても十分高かった。

B:裾引き部の発生が見られず、グロスマット感が正確に付与されていたが、その程度については、少し弱かった。
C:グロスマット感の高さは十分であったが、裾引き部の発生が少し見られた。
D:裾引き部の発生が見られ、グロスマット感の程度についても不十分であった。
Figure 0006902222
10:化粧シート、11:基材シート、12:絵柄層、13:低光沢層、14:高光沢層、14’:凹部、15:着色層、20:化粧部材、21:被着材、22:接着剤層

Claims (11)

  1. 基材シートと、絵柄層と、低光沢層と、高光沢層とを順に有する化粧シートであって、
    前記高光沢層が、前記低光沢層の少なくとも一部を露出させる開口部を有し、
    前記高光沢層の前記開口部が、前記化粧シートの表面に凹部を形成しており、
    前記高光沢層が、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物で形成されており、
    前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、数平均分子量1,000〜3,000、官能基数2〜8の多官能(メタ)アクリレート系オリゴマー及び数平均分子量10,000〜30,000のセルロース系ポリマーを含んでなる(但し、数平均分子量5000〜15000で平均官能基数6〜15の多官能(メタ)アクリレートポリマーを20〜90質量%、及び数平均分子量1000〜2000で平均官能基数2〜8の多官能(メタ)アクリレートオリゴマーを10〜80質量%を含む電離放射線硬化性樹脂組成物を除く。)、化粧シート。
  2. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物における前記多官能(メタ)アクリレート系オリゴマーの含有量が、15〜95質量%である、請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物における前記セルロース系ポリマーの含有量が、1〜10質量%である、請求項1又は2に記載の化粧シート。
  4. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、数平均分子量100〜500、官能基数2〜8の多官能(メタ)アクリレート系モノマーを含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化粧シート。
  5. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物における、前記多官能(メタ)アクリレート系オリゴマーの含有量と、前記多官能(メタ)アクリレート系モノマーの含有量との比(多官能(メタ)アクリレート系オリゴマーの含有量/多官能(メタ)アクリレート系モノマーの含有量)が、質量基準で、99/1〜20/80である、請求項4に記載の化粧シート。
  6. 前記高光沢層の厚さが、8〜20μmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化粧シート。
  7. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、平均粒径0.1〜10μmの無機粒子を含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化粧シート。
  8. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物における前記無機粒子の含有量が、1〜15質量%である、請求項7に記載の化粧シート。
  9. 前記絵柄層が木目模様を形成しており、
    前記凹部が、前記木目模様の導管部と同調するように設けられている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化粧シート。
  10. 平面視において前記高光沢層の占める面積割合が50%以上、80%以下である領域の明度(L1)及び平面視において前記凹部の占める面積割合が50%以上、80%以下であるの領域の明度(L2)を、以下の測定条件を用いて、前記化粧シートの前記高光沢層側の表面に光を照射して測定した、明度差(ΔL=L1−L2)が、10以上である、請求項9に記載の化粧シート。
    (測定条件)
    測定装置:コニカミノルタ(株)製、CM−3700d
    測定サイズ:直径8mmの円
    光源:D65光源
    視野角:2°
  11. 被着材と請求項1〜10のいずれか一項に記載の化粧シートとを、前記被着と前記化粧シートの前記基材シートとが対向するように備える、化粧部材。
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