JP6907573B2 - 化粧シート及び化粧材 - Google Patents
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Description
これら化粧シートには、意匠性を高めるために、天然木の木目模様、トラバーチン等の石の模様、タイル模様、レンガ模様等の絵柄層が形成される場合がある。
特許文献2には、針葉樹材の表面をブラッシングして凹凸を形成し、凸部分を着色等した後に、全面に保護層を形成した木目強調化粧板が開示されている。
特許文献3及び4には、全面に形成した艶消層上に、部分的に透明樹脂層を形成した化粧材が開示されている。
特許文献2の木目強調化粧板は、ブラッシング工程が煩雑であるという問題があり、また、全面に保護層を形成して表面を平滑化した後は、ブラッシングにより凹ました箇所と、それ以外の箇所との艶差が不十分であり、立体感に乏しいという問題があった。
特許文献3及び4の化粧材は、特許文献1及び2のようなプロセス的な問題は解消し得るものであるが、透明樹脂層を有する箇所と、それ以外の箇所との艶差が不十分であり、立体感に乏しいという問題があった。
[1]基体上に、任意のパターンを有する光輝性インキ層を有し、前記光輝性インキ層直上の領域に、前記光輝性インキ層のパターンに同調した透明樹脂層を有してなる化粧シート。
[2]前記化粧シートが低艶領域及び高艶領域を有してなり、前記基体を基準として前記透明樹脂層を有する側の面から前記化粧シートを観察した際に、前記光輝性インキ層及びこれに同調した前記透明樹脂層を有する領域により、前記高艶領域が形成されてなる上記[1]に記載の化粧シート。
[3]前記基体の少なくとも一方の面が粗面化されてなり、前記粗面化された面上に前記光輝性インキ層を有する上記[1]又は[2]に記載の化粧シート。
[4]前記基体が更に絵柄層を有してなる上記[1]〜[3]の何れかに記載の化粧シート。
[5]前記高艶領域の表面のJIS B0601:2001の算術平均粗さRaと、前記低艶領域の表面のJIS B0601:2001の算術平均粗さRaとの差[低艶領域のRa−高艶領域のRa]が3μm以上である上記[2]に記載の化粧シート。
[6]前記高艶領域のJIS Z8741:1997の60度鏡面光沢度と、前記低艶領域のJIS Z8741:1997の60度光沢度との差[高艶領域の60度光沢度−低艶領域の60度光沢度]が3以上である上記[2]に記載の化粧シート。
[7]前記光輝性インキ層の任意のパターンが濃淡を有し、前記濃淡が網点の疎密から形成されてなる上記[1]〜[6]の何れかに記載の化粧シート。
[8]被着材と、上記[1]〜[7]の何れかに記載の化粧シートの前記透明樹脂層を有する面とは反対側の面とを積層し、一体化してなる化粧材。
本発明の化粧シートは、基体上に、任意のパターンを有する光輝性インキ層を有し、前記光輝性インキ層直上の領域に、前記光輝性インキ層のパターンに同調した透明樹脂層を有してなるものである。
基体10を基準として透明樹脂層30を有する側の面から化粧シート100を面方向から観察した際に、光輝性インキ層20、及び光輝性インキ層のパターンに同調した透明樹脂層30を有する領域が高艶領域Gを形成し、それ以外の領域が低艶領域Mを形成する。
基体10は、図1〜5に示すように、少なくとも支持体1から構成される。
支持体の材質は特に制限されず、各種の紙類、プラスチックフィルム、木材等の木質系の板、窯業系素材等を用途に応じて適宜選択することができる。これらの材料はそれぞれ単独で使用してもよいが、紙同士の複合体や紙とプラスチックフィルムの複合体等、任意の組み合わせによる積層体であってもよい。
支持体上には、支持体上に設けられる層との密着性を向上させるために、片面又は両面に、物理的処理又は化学的表面処理等の易接着処理を行ってもよい。
絵柄層2は、図2のように、支持体1上の光輝性インキ層20が形成される領域(≒透明樹脂層が形成される領域)に形成したり、図3のように、支持体1上の光輝性インキ層20が形成されない領域(≒透明樹脂層が形成されない領域)に形成したり、図4のように、支持体1上の全面に形成したりすることができる。
また、図5に示すように、絵柄層2は、光輝性インキ層20上及び/又は透明樹脂層30上に形成してもよい。ただし、光輝性インキ層上や透明樹脂層上に絵柄層を形成する場合、高艶領域Gを確保して立体感を維持する観点から、化粧シートを面方向から観察した際に、光輝性インキ層の全面を絵柄層で覆わないようにすることが好ましい。
また、図示しないが、支持体上に絵柄層を有し、さらに、光輝性インキ層上及び/又は透明樹脂層上に絵柄層を有する構成であってもよい。
支持体1上の光輝性インキ層20が形成される領域(≒透明樹脂層30が形成される領域)は、化粧シート100の高艶領域G(凸に見える領域)に相当する。このため、該領域に形成する絵柄層2Aは、凸に見せる絵柄とすることが好ましい。例えば、付与する意匠が木目模様の場合、絵柄層2Aは木肌模様(導管溝模様及び/又は節目模様以外の部分)とすることが好ましく、付与する意匠がトラバーチン等の石の模様の場合、絵柄層2Aは凹陥部以外の模様とすることが好ましく、付与する意匠がタイル模様又はレンガ模様の場合、絵柄層2Aはタイル部分又はレンガ部分とすることが好ましい。
一方、支持体1上の光輝性インキ層20が形成されない領域(≒透明樹脂層30が形成されない領域)は、化粧シート100の低艶領域M(凹に見える領域)に相当する。このため、該領域に形成する絵柄層2Bは、凹に見せる絵柄とすることが好ましい。例えば、付与する意匠が木目模様の場合、絵柄層2Bは導管溝模様及び/又は節目模様とすることが好ましく、付与する意匠がトラバーチン等の石の模様の場合、絵柄層2Bは凹陥部模様とすることが好ましく、付与する意匠がタイル模様又はレンガ模様の場合、絵柄層2Bは目地模様とすることが好ましい。
バインダーとしては特に制限はなく、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料、あるいは染料等が挙げられる。
着色層の形成に用いられるインキは、絵柄層の形成に用いるインキと同様のものを用いることができる。
図示していないが、基体の少なくとも一方の面は粗面化されていることが好ましい。
基体が粗面化されていることにより、化粧シートの高艶領域Gと低艶領域Mとの艶差をより高めやすくすることができ、立体感を高めることができる。具体的には、基体の粗面化された面上に、後述する、任意のパターンを有する光輝性インキ層及びそれに同調する透明樹脂層を形成した場合、光輝性インキ層及び透明樹脂層が形成されなかった領域を、該粗面を基礎とした低艶領域Mとすることができる。又、光輝性インキ層及び透明樹脂層を形成した領域は、これら両層により該粗面の微小凹凸が充填、平滑化されて最表面である透明樹脂層表面が鏡面反射性を呈する結果、高艷領域Gとなる。
また、基体の少なくとも一方の面の全面が粗面化されている必要はなく、少なくとも一部が粗面化されていてもよい。基体の一方の面の少なくとも一部を粗面化する場合、粗面化する箇所は、光輝性インキ層を形成しない箇所(≒主として低艶領域Mとして機能する箇所)に対応させることが好ましい。
これらの粗面化された基体は絵柄層を有していてもよい。支持体、マット層及び絵柄層を有する基体の場合、絵柄の鮮明性を高めるため、厚み方向を基準として、支持体、マット層、絵柄層の順で配置することが好ましい。
マット剤としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア及び炭酸マグネシウム等の無機粒子、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、シリコーン樹脂及びポリエステル等からなる樹脂粒子が挙げられる。
同様の観点から、[マット剤の平均粒子径/マット層の厚み]の比は、0.01〜10であることが好ましく、0.1〜7であることがより好ましい。
硬化性樹脂組成物の硬化物としては、熱硬化性樹脂組成物の硬化物及び電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられる。マット層の上下の層(支持体、絵柄層、光輝性インキ層等)との密着性の観点からは、熱硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましい。
これら熱硬化性樹脂組成物の中でも、マット層の上下の層との密着性及び被膜性の観点から、ポリウレタン樹脂組成物が好適である。ポリウレタン樹脂組成物としては、例えば、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とする組成物が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂組成物としては、後述する透明樹脂層の電離放射線硬化性樹脂組成物と同様のものを用いることができる。
マット層は、例えばマット層を構成する材料を含むマット層形成用塗布液を、グラビア塗工等の汎用の塗工手段で形成することができる。
光輝性インキ層は、基体上に任意のパターンで形成され、真珠光沢調、或いは金屬箔粉調の光輝性の高い高光輝性領域を構成する。かかる光輝性インキ層及び後述する透明樹脂層により、化粧シートの面内に高艶領域Gが形成され、化粧シートの立体感を高めることができる。
光輝性顔料としては、パール顔料及び金属顔料等が挙げられる。これらの中でもパール顔料は、光輝性インキ層の光透過率が低下することを抑制しやすくできるため、光輝性インキ層の下に絵柄層が存在する場合に、該絵柄層の視認性を損ないにくい点で好適である。
パール顔料の具体例としては、二酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、二酸化チタン及び酸化鉄で被覆した雲母等が挙げられる。パール顔料は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
同様の観点から、[光輝性顔料の平均粒子径/光輝性インキ層の厚み]の比は、0.01〜15であることが好ましく、0.5〜10であることがより好ましい。
硬化性樹脂組成物の硬化物としては、熱硬化性樹脂組成物の硬化物及び電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられる。光輝性インキ層の上下の層(支持体、絵柄層、透明樹脂層等)との密着性の観点からは、熱硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましい。
光輝性インキ層の電離放射線硬化性樹脂組成物としては、後述する透明樹脂層の電離放射線硬化性樹脂組成物と同様のものを用いることができる。
同様の観点から、光輝性インキ層の厚みは、1〜30μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。
透明樹脂層は、光輝性インキ層直上の領域に、光輝性インキ層のパターンに同調して形成される層である。
透明樹脂層を光輝性インキ層のパターンに同調させて形成することにより、化粧シートの面内に高艶領域Gを形成することができ、化粧シートの立体感を優れたものとすることができる。なお、透明樹脂層を化粧シートの全面に形成した場合には、光輝性インキ層を有する領域と、それ以外の領域との艶差が低下するため、立体感を良好にすることができない。
なお、人間が目で見える検出限界は、30〜50μm程度である。このため、光輝性インキ層のパターンと透明樹脂層とのズレは、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることがさらに好ましい。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、なかでも多官能(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。
多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーであればよく、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましく挙げられる。これらの(メタ)アクリレートモノマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
以上の重合性(メタ)アクリレートオリゴマーの内、多官能ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーが好ましい。多官能ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、優れた表面保護特性を付与することができ、また製造過程において化粧シートの収縮を抑制できるためである。
多官能(メタ)アクリレートオリゴマーの官能基数は2以上であれば特に制限はないが、表面保護特性及び製造時の収縮抑制の観点から、2〜8が好ましく、より好ましくは2〜6である。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤等を用いることができる。
プライマー層は、各層の間の密着性を向上させるために、必要に応じて、支持体と絵柄層との間、絵柄層と光輝性インキ層との間等に設けられる。
プライマー層は樹脂を主成分とすることが好ましい。プライマー層の樹脂としては、エステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。また、プライマー層の樹脂は2液硬化性樹脂でもよい。これらの樹脂のうち、密着性の観点から2液硬化性樹脂が好ましい。
2液硬化性樹脂としては、主剤に硬化剤を添加して硬化する樹脂であれば特に制限はなく、主剤がポリオール(多価アルコール)であり、硬化剤がイソシアネート硬化剤である2液硬化性ウレタン樹脂が好ましい。
プライマー層の厚さは、通常0.5〜20μm程度であり、1〜10μmが好ましい。
裏面プライマー層は、化粧シートと各種の被着材との接着性を向上させる目的で、基体の光輝性インキ層を有する側とは反対側の面に好ましく設けられる層である。
裏面プライマー層の形成に用いられる材料としては特に限定されず、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂等が挙げられ、被着材の材質によって、適宜選択すればよい。
裏面プライマー層の厚さは、1〜5μmであることが好ましく、1〜3μmであることがより好ましい。
化粧シートは、高艶領域Gの表面のJIS B0601:2001の算術平均粗さRaと、低艶領域Mの表面のJIS B0601:2001の算術平均粗さRaとの差[低艶領域GのRa−高艶領域MのRa]は、3μm以上であることが好ましい。
上記差を3μm以上、より好ましくは4μmとすることにより、高艶領域Gと低艶領域Mとの艶差を大きくしやすくすることができ、化粧シートの立体感を良好にしやすくできる。又ある程度以上算術平均粗さRaの差を与えれば高艷領域Gと低艷領域Mとの鏡面光沢度の差、更には、光輝性インキ層との協働による立體感発現效果は飽和し、必要以上に算術平均粗さRaの差を増やすと低艷領域の表面が粗くなり過ぎ艷消しでは無く単なる凹凸形状と視認される。そのため、上記差は150μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。
高艶領域Gの表面のJIS B0601:2001の算術平均粗さRaは、0.01〜1μmであることが好ましい。低艶領域Mの表面のJIS B0601:2001の算術平均粗さRaは、3〜150μmであることが好ましい。
なお、JIS B0601:2001の算術平均粗さRaは、カットオフ値0.8mmでの値とする。
上記差を3以上とすることにより、高艶領域Gと低艶領域Mとの艶差が明瞭となり、化粧シートの立体感を良好にしやすくできる。上記差は3以上90以下であることがより好ましく、5以上80以下であることがさらに好ましく、10以上60以下であることがよりさらに好ましい。
高艶領域Gの60度鏡面光沢度は、11以上70以下であることが好ましい。低艶領域Mの表面の60度鏡面光沢度は、1以上30以下であることが好ましい。
本発明の化粧材は、被着材と、上述した本発明の化粧シートの透明樹脂層を有する面とは反対側の面とを積層し、一体化してなるものである。
実施例及び比較例の化粧シートについて、以下の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
実施例及び比較例の化粧シートについて、高艶領域G及び低艶領域Mの表面の算術平均粗さRa(JIS B0601:2001、カットオフ値0.8mm)を測定した。なお、比較例の化粧シートは、光輝性インキ層を有する領域の最表面を高艶領域Gとみなし、光輝性インキ層を有さない領域の最表面を低艶領域Mとみなした。
なお、測定は小坂研究所株式会社製の商品名SE−340を用い、以下の測定条件とした。
[表面粗さ検出部の触針]
小坂研究所社製の商品名SE2555N(先端曲率半径:2μm、頂角:90度、材質:ダイヤモンド)
[表面粗さ測定器の測定条件]
・評価長さ(基準長さ):カットオフ値λcの5倍(0.8×5=4.0mm)
・触針の送り速さ:0.5mm/s
・予備長さ:(カットオフ値λc)×2
・縦倍率:2000倍
・横倍率:10倍
実施例及び比較例の化粧シートについて、高艶領域G及び低艶領域Mの表面の(JIS Z8741:1997)に準拠した60度鏡面光沢度を測定した。なお、比較例の化粧シートは、光輝性インキ層を有する領域の最表面を高艶領域Gとみなし、光輝性インキ層を有さない領域の最表面を低艶領域Mとみなした。
立体感を強く感じるものを2点、どちらとも言えないものを1点、立体感に乏しいと感じるものを0点として、20人の被験者が評価を行い、平均点を算出した。平均点が1.7以上のものを「AA」、平均点が1.4以上1.7未満のものを「A」、平均点が1.0以上1.4未満のものを「B」、平均点が1.0未満のものを「C」とした。
[実施例1]
易接着ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱化学ポリエステル社製、ダイヤホイルZ350、厚み45μm)の支持体1上に、下記処方のマット層形成用塗布液を塗布、乾燥して、厚み1μmのマット層を形成した。次いで、マット層上に、グラビア多色印刷により、バインダー樹脂がアクリルポリオール60質量部とヘキサメチレンジイソシアネート40質量部とからなり黒褐色の顔料を含むインキによる導管溝模様の絵柄層2B及び導管溝模様のインキと同じバインダー樹脂に黄褐色の顔料を含むインキによる導管部以外の木肌模様の絵柄層2Aからなる厚み1μmの木目柄の絵柄層2を形成した。次いで、平面視において該支持体1及び絵柄層2とから成る基体10における木肌模様の絵柄層2Aを形成した箇所の直上部に対応させて、下記処方の光輝性インキ層形成用塗布液をグラビア印刷法により塗布、乾燥して、厚み3μmの光輝性インキ層を形成した。次いで、平面視において光輝性インキ層の直上部に位置同調するように、下記処方の透明樹脂層形成用塗布液をグラビア印刷法により塗布、乾燥して、厚み10μmの透明樹脂層30を形成し、図4の断面図に示す積層構成から成る実施例1の化粧シート100を得た。得られた化粧シート100は、光輝性インキ層20のパターンと、透明樹脂層30のパターンとの平面視における位置ズレが人間の目の検出限界である30μm以内であった。
なお、光輝性インキ層及び透明樹脂層の形成に用いたグラビア印刷版は、版のセルをFMスクリーンにより形成したものであり、また、両版のセル(網点)のパターン及び面積が同一であるものである。そして、光輝性インキ層20及び透明樹脂層30を印刷する版は、平面視で導管溝模様の絵柄層2B直上部に対応する領域において、セルが無かった。その結果、化粧シートも平面視で導管溝模様の絵柄層2B直上部において、光輝性インキ層20及び透明樹脂層30のインキの転移は皆無であった。
・アクリルポリオール 60質量部
・ヘキサメチレンジイソシアネート 40質量部
・シリカ(平均粒子径:5.5μm) 26質量部
・希釈溶剤 適量
・パール顔料 35質量部
(ホワイトパール、粒径25μm)
・アクリル樹脂 65質量部
・希釈溶剤 適量
・ウレタンアクリレートオリゴマー 30質量部
(数平均分子量1500、平均官能基数5)
・ウレタンアクリレートポリマー 70質量部
(数平均分子量8000、平均官能基数10)
・希釈溶剤 適量
マット層を形成せずに、易接着ポリエチレンテレフタレートフィルム上に直接絵柄層を形成した。又、導管溝模様の絵柄層2Bを印刷するインキ中には、黒褐色顔料以外に、シリカ(平均粒子径:2μm)のマット剤をバインダー樹脂100質量部に対して26質量部添加したものを用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、実施例2の化粧シートを得た。
透明樹脂層を化粧シートの全面に形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の化粧シートを得た。
透明樹脂層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例2の化粧シートを得た。
一方、比較例1〜2の化粧シートは、化粧シート面内の艶差が不十分であり、立体感に劣るものであった。
2:絵柄層
10:基体
20:光輝性インキ層
30:透明樹脂層
100:化粧シート
Claims (6)
- 化粧シートであって、前記化粧シートは、基体の上に、任意のパターンを有する光輝性インキ層を有し、前記光輝性インキ層の直上の領域に、前記光輝性インキ層のパターンに同調した透明樹脂層を有し、
前記化粧シートが低艶領域及び高艶領域を有してなり、前記基体を基準として前記透明樹脂層を有する側の面から前記化粧シートを観察した際に、前記光輝性インキ層及びこれに同調した前記透明樹脂層を有する領域により、前記高艶領域が形成されてなり、
前記高艶領域の表面のJIS B0601:2001の算術平均粗さRaと、前記低艶領域の表面のJIS B0601:2001の算術平均粗さRaとの差[低艶領域のRa−高艶領域のRa]が3μm以上である、化粧シート。 - 前記基体の少なくとも一方の面が粗面化されてなり、前記粗面化された面上に前記光輝性インキ層を有する請求項1に記載の化粧シート。
- 前記基体が更に絵柄層を有してなる請求項1又は2に記載の化粧シート。
- 前記高艶領域のJIS Z8741:1997の60度鏡面光沢度と、前記低艶領域のJIS Z8741:1997の60度光沢度との差[高艶領域の60度光沢度−低艶領域の60度光沢度]が3以上である請求項1に記載の化粧シート。
- 基体の上に、任意のパターンを有する光輝性インキ層を有し、前記光輝性インキ層の直上の領域に、前記光輝性インキ層のパターンに同調した透明樹脂層を有してなり、
前記光輝性インキ層の任意のパターンが濃淡を有し、前記濃淡が網点の疎密から形成されてなる、化粧シート。 - 被着材と、請求項1〜5の何れか1項に記載の化粧シートの前記透明樹脂層を有する面とは反対側の面とを積層し、一体化してなる化粧材。
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