JP6907573B2 - 化粧シート及び化粧材 - Google Patents

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Description

本発明は、化粧シート及び化粧材に関する。
建材、家具、家電製品等において、使用する部材の表面を加飾したい場合には、化粧シートが一般的に用いられている。
これら化粧シートには、意匠性を高めるために、天然木の木目模様、トラバーチン等の石の模様、タイル模様、レンガ模様等の絵柄層が形成される場合がある。
また、上述した化粧シートの意匠性をより高めるために、特許文献1〜3等のように立体感を付与した化粧シートが開発されている。
特許文献1には、艶のない(鏡面光沢度が相対的に低い)ポジ印刷(例えば、木目の導管溝領域の絵柄)を形成した後に、ポジ印刷が形成されていない箇所に艶のある(鏡面光沢度が相対的に高い)ネガ印刷(例えば、木目の導管溝以外の領域を被覆する透明塗膜)を形成した建材用紙が開示されている。斯かる建材用紙は、ポジ印刷領域(相対的に凸)とネガ印刷領域(相対的に凹)との物理的な表面の凹凸、及び所謂グロスマット(Gross−Matte)效果、即ち、平面内に相対的に高光沢領域と低光沢領域とが併存すると視覚的に高光沢領域が低光沢領域に対して突出して視認される效果との相乗効果により絵柄と同調した凹凸を有する立体感を良好に再現し得る。
特許文献2には、針葉樹材の表面をブラッシングして凹凸を形成し、凸部分を着色等した後に、全面に保護層を形成した木目強調化粧板が開示されている。
特許文献3及び4には、全面に形成した艶消層上に、部分的に透明樹脂層を形成した化粧材が開示されている。
特公昭53−331号公報 特公昭61−7355号公報 特開平2−103141号公報 特開2001−138469号公報
特許文献1の建材用紙は、ネガとポジとの見当がずれた場合の立体感に極めて劣るという問題があった。また、見当を正確に合わせたとしても、立体感の再現が数μm程度のインキ(乃至塗膜)の膜厚差に依拠している上、艶のある箇所と艶のない箇所との艶差が不十分であり、立体感に乏しいという問題があった。
特許文献2の木目強調化粧板は、ブラッシング工程が煩雑であるという問題があり、また、全面に保護層を形成して表面を平滑化した後は、ブラッシングにより凹ました箇所と、それ以外の箇所との艶差が不十分であり、立体感に乏しいという問題があった。
特許文献3及び4の化粧材は、特許文献1及び2のようなプロセス的な問題は解消し得るものであるが、透明樹脂層を有する箇所と、それ以外の箇所との艶差が不十分であり、立体感に乏しいという問題があった。
本発明は、立体感に優れた化粧シート及び化粧材を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは、以下の[1]〜[8]の化粧シート及び化粧材を提供する。
[1]基体上に、任意のパターンを有する光輝性インキ層を有し、前記光輝性インキ層直上の領域に、前記光輝性インキ層のパターンに同調した透明樹脂層を有してなる化粧シート。
[2]前記化粧シートが低艶領域及び高艶領域を有してなり、前記基体を基準として前記透明樹脂層を有する側の面から前記化粧シートを観察した際に、前記光輝性インキ層及びこれに同調した前記透明樹脂層を有する領域により、前記高艶領域が形成されてなる上記[1]に記載の化粧シート。
[3]前記基体の少なくとも一方の面が粗面化されてなり、前記粗面化された面上に前記光輝性インキ層を有する上記[1]又は[2]に記載の化粧シート。
[4]前記基体が更に絵柄層を有してなる上記[1]〜[3]の何れかに記載の化粧シート。
[5]前記高艶領域の表面のJIS B0601:2001の算術平均粗さRaと、前記低艶領域の表面のJIS B0601:2001の算術平均粗さRaとの差[低艶領域のRa−高艶領域のRa]が3μm以上である上記[2]に記載の化粧シート。
[6]前記高艶領域のJIS Z8741:1997の60度鏡面光沢度と、前記低艶領域のJIS Z8741:1997の60度光沢度との差[高艶領域の60度光沢度−低艶領域の60度光沢度]が3以上である上記[2]に記載の化粧シート。
[7]前記光輝性インキ層の任意のパターンが濃淡を有し、前記濃淡が網点の疎密から形成されてなる上記[1]〜[6]の何れかに記載の化粧シート。
[8]被着材と、上記[1]〜[7]の何れかに記載の化粧シートの前記透明樹脂層を有する面とは反対側の面とを積層し、一体化してなる化粧材。
本発明の化粧シート及び化粧材は、面内の領域間の光輝性の差による意匠外観の発現、即ち光輝性のコントラストの発現が良好である。更に、かかる領域間の光輝性の差と領域間の艶差(鏡面光沢度の差)とを協働させる構成とすることで立体感を優れたものとすることができ、意匠性を極めて良好にすることができる。
本発明の化粧シートの一実施形態を示す断面図である。 本発明の化粧シートのその他の実施形態を示す断面図である。 本発明の化粧シートのその他の実施形態を示す断面図である。 本発明の化粧シートのその他の実施形態を示す断面図である。 本発明の化粧シートのその他の実施形態を示す断面図である。
[化粧シート]
本発明の化粧シートは、基体上に、任意のパターンを有する光輝性インキ層を有し、前記光輝性インキ層直上の領域に、前記光輝性インキ層のパターンに同調した透明樹脂層を有してなるものである。
図1〜5は、本発明の化粧シート100の実施形態を示す断面図である。図1〜5の化粧シート100は、基体10上に、任意のパターンを有する光輝性インキ層20を有し、光輝性インキ層20直上の領域に、光輝性インキ層のパターンに同調した透明樹脂層30を有している。また、図2〜5の化粧シート100は絵柄層2を有している。また、図2〜4の化粧シートの基体10は、支持体1及び絵柄層2から構成されている。
基体10を基準として透明樹脂層30を有する側の面から化粧シート100を面方向から観察した際に、光輝性インキ層20、及び光輝性インキ層のパターンに同調した透明樹脂層30を有する領域が高艶領域Gを形成し、それ以外の領域が低艶領域Mを形成する。
<基体>
基体10は、図1〜5に示すように、少なくとも支持体1から構成される。
(支持体)
支持体の材質は特に制限されず、各種の紙類、プラスチックフィルム、木材等の木質系の板、窯業系素材等を用途に応じて適宜選択することができる。これらの材料はそれぞれ単独で使用してもよいが、紙同士の複合体や紙とプラスチックフィルムの複合体等、任意の組み合わせによる積層体であってもよい。
紙類としては、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙及び和紙、並びにこれら紙の紙間強化紙及び樹脂含浸紙等が挙げられる。これらの紙類の中でも、熱的安定性や強度の観点からは、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙といった紙で構成されるものが好適であり、防湿性の観点からは、ポリエチレンフィルムを2枚の紙で挟み込んだポリサンド紙と呼ばれる紙とプラスチックフィルムの複合体が好適である。
プラスチックフィルムを構成する樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のアクリル樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、三酢酸セルロース、ポリカーボネート等が挙げられる。これらの中でも、耐候性、耐水性等の各種物性、印刷適性、成形加工適性、価格等の観点からポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、或いはアクリル樹脂が好ましい。
支持体の厚みは特に制限はないが、支持体がプラスチックフィルムの場合、20〜200μmが好ましく、40〜160μmがより好ましく、40〜100μmがさらに好ましい。支持体が紙類の場合、坪量は、通常20〜150g/mが好ましく、30〜100g/mがより好ましい。
支持体の形状は平板状のものに限られず、立体形状等の特殊形状であってもよい。
支持体上には、支持体上に設けられる層との密着性を向上させるために、片面又は両面に、物理的処理又は化学的表面処理等の易接着処理を行ってもよい。
基体10は、図2〜4に示すように、支持体1及び絵柄層2から構成されるものであってもよい。基体10が絵柄層2を有する場合、図2〜4に示すように、基体10の絵柄層2を有する側の面に、光輝性インキ層20及び透明樹脂層30を形成することが好ましい。
(絵柄層)
絵柄層2は、図2のように、支持体1上の光輝性インキ層20が形成される領域(≒透明樹脂層が形成される領域)に形成したり、図3のように、支持体1上の光輝性インキ層20が形成されない領域(≒透明樹脂層が形成されない領域)に形成したり、図4のように、支持体1上の全面に形成したりすることができる。
また、図5に示すように、絵柄層2は、光輝性インキ層20上及び/又は透明樹脂層30上に形成してもよい。ただし、光輝性インキ層上や透明樹脂層上に絵柄層を形成する場合、高艶領域Gを確保して立体感を維持する観点から、化粧シートを面方向から観察した際に、光輝性インキ層の全面を絵柄層で覆わないようにすることが好ましい。
また、図示しないが、支持体上に絵柄層を有し、さらに、光輝性インキ層上及び/又は透明樹脂層上に絵柄層を有する構成であってもよい。
絵柄層は、凸に見せる絵柄と、凹に見せる絵柄とを分けて形成することが好ましい。
支持体1上の光輝性インキ層20が形成される領域(≒透明樹脂層30が形成される領域)は、化粧シート100の高艶領域G(凸に見える領域)に相当する。このため、該領域に形成する絵柄層2Aは、凸に見せる絵柄とすることが好ましい。例えば、付与する意匠が木目模様の場合、絵柄層2Aは木肌模様(導管溝模様及び/又は節目模様以外の部分)とすることが好ましく、付与する意匠がトラバーチン等の石の模様の場合、絵柄層2Aは凹陥部以外の模様とすることが好ましく、付与する意匠がタイル模様又はレンガ模様の場合、絵柄層2Aはタイル部分又はレンガ部分とすることが好ましい。
一方、支持体1上の光輝性インキ層20が形成されない領域(≒透明樹脂層30が形成されない領域)は、化粧シート100の低艶領域M(凹に見える領域)に相当する。このため、該領域に形成する絵柄層2Bは、凹に見せる絵柄とすることが好ましい。例えば、付与する意匠が木目模様の場合、絵柄層2Bは導管溝模様及び/又は節目模様とすることが好ましく、付与する意匠がトラバーチン等の石の模様の場合、絵柄層2Bは凹陥部模様とすることが好ましく、付与する意匠がタイル模様又はレンガ模様の場合、絵柄層2Bは目地模様とすることが好ましい。
絵柄層は、例えば印刷等で形成される。より具体的には、絵柄層は、通常の黄色、赤色、青色、および黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
絵柄層の形成に用いられるインキとしては、バインダーに対して、顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を混合したものが挙げられる。
バインダーとしては特に制限はなく、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料、あるいは染料等が挙げられる。
絵柄層の厚みは、目的とする意匠性を考慮して、0.1〜20μm程度の範囲で適宜調整することができる。絵柄層中には、本発明の効果を阻害しない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含有しても良い。
なお、基体は着色層を有していてもよい。着色層は、全面ベタの層であり、主として隠蔽性を付与する目的を有する。着色層は、例えば、基体の支持体と絵柄層との間に形成することができる。
着色層の形成に用いられるインキは、絵柄層の形成に用いるインキと同様のものを用いることができる。
(粗面化)
図示していないが、基体の少なくとも一方の面は粗面化されていることが好ましい。
基体が粗面化されていることにより、化粧シートの高艶領域Gと低艶領域Mとの艶差をより高めやすくすることができ、立体感を高めることができる。具体的には、基体の粗面化された面上に、後述する、任意のパターンを有する光輝性インキ層及びそれに同調する透明樹脂層を形成した場合、光輝性インキ層及び透明樹脂層が形成されなかった領域を、該粗面を基礎とした低艶領域Mとすることができる。又、光輝性インキ層及び透明樹脂層を形成した領域は、これら両層により該粗面の微小凹凸が充填、平滑化されて最表面である透明樹脂層表面が鏡面反射性を呈する結果、高艷領域Gとなる。
また、基体の少なくとも一方の面の全面が粗面化されている必要はなく、少なくとも一部が粗面化されていてもよい。基体の一方の面の少なくとも一部を粗面化する場合、粗面化する箇所は、光輝性インキ層を形成しない箇所(≒主として低艶領域Mとして機能する箇所)に対応させることが好ましい。
少なくとも一方の面が粗面化された基体としては、マット層を有する基体、ブラスト、エッチング、エンボス等により粗面化処理された基体が挙げられる。
これらの粗面化された基体は絵柄層を有していてもよい。支持体、マット層及び絵柄層を有する基体の場合、絵柄の鮮明性を高めるため、厚み方向を基準として、支持体、マット層、絵柄層の順で配置することが好ましい。
マット層には、例えば、マット剤及びバインダーが含まれる。
マット剤としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア及び炭酸マグネシウム等の無機粒子、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、シリコーン樹脂及びポリエステル等からなる樹脂粒子が挙げられる。
マット剤の平均粒子径は、低艶の付与及びマット剤の脱落抑制のバランスの観点から、0.1〜10.0μmであることが好ましく、0.5〜6.0μmであることがより好ましい。なお、本明細書において、マット剤及び後述する光輝性顔料の平均粒子径は、レーザー回折散乱法によって測定した体積基準粒度分布のメジアン径を意味する。
同様の観点から、[マット剤の平均粒子径/マット層の厚み]の比は、0.01〜10であることが好ましく、0.1〜7であることがより好ましい。
マット層中のマット剤の含有量は、低艶の付与及び塗膜強度のバランスの観点から、バインダー樹脂100質量部に対して5〜50質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。
マット層のバインダーとしては、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂組成物の硬化物等が挙げられ、耐久性の観点から硬化性樹脂組成物の硬化物が好適である。
硬化性樹脂組成物の硬化物としては、熱硬化性樹脂組成物の硬化物及び電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられる。マット層の上下の層(支持体、絵柄層、光輝性インキ層等)との密着性の観点からは、熱硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましい。
熱硬化性樹脂組成物としては、ポリエステル樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、ポリウレタン樹脂組成物、アミノアルキッド樹脂組成物、メラミン樹脂組成物、グアナミン樹脂組成物、尿素樹脂組成物及び熱硬化性アクリル樹脂組成物等が挙げられる。これら熱硬化性樹脂組成物は、各樹脂を構成するモノマー及び/又はプレポリマーと、必要に応じて添加する硬化剤等とを含む。
これら熱硬化性樹脂組成物の中でも、マット層の上下の層との密着性及び被膜性の観点から、ポリウレタン樹脂組成物が好適である。ポリウレタン樹脂組成物としては、例えば、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とする組成物が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂組成物としては、後述する透明樹脂層の電離放射線硬化性樹脂組成物と同様のものを用いることができる。
マット層の厚みは、低艶領域Mを形成し得る程度の厚みであればよく、通常、1〜20μm程度である。
マット層は、例えばマット層を構成する材料を含むマット層形成用塗布液を、グラビア塗工等の汎用の塗工手段で形成することができる。
基体の粗面化された面は、JIS B0601:2001の算術平均粗さRaが5〜100μmであることが好ましく、10〜50μmであることがより好ましい。下限値を5μm以上とすることにより、目視で低艷(低光沢或いは艷消)外観を呈する低艶領域Mを付与しやすくでき、上限値を100μm以下とすることにより、粗面を構成する凹凸形状自体が視認されることによる過度な凹凸による意匠性の低下を抑制できる。
<光輝性インキ層>
光輝性インキ層は、基体上に任意のパターンで形成され、真珠光沢調、或いは金屬箔粉調の光輝性の高い高光輝性領域を構成する。かかる光輝性インキ層及び後述する透明樹脂層により、化粧シートの面内に高艶領域Gが形成され、化粧シートの立体感を高めることができる。
光輝性インキ層には、例えば、光輝性顔料及びバインダーが含まれる。
光輝性顔料としては、パール顔料及び金属顔料等が挙げられる。これらの中でもパール顔料は、光輝性インキ層の光透過率が低下することを抑制しやすくできるため、光輝性インキ層の下に絵柄層が存在する場合に、該絵柄層の視認性を損ないにくい点で好適である。
パール顔料とは、真珠光沢を付与し得る顔料であり、例えば、母体粒子の表面を金属酸化物で被覆したものが挙げられる。母体粒子としては、雲母等の鱗片状粒子が好ましい。金属酸化物としては、チタン、鉄、ジルコニウム、ケイ素、アルミニウム及びセリウム等金属の酸化物が挙げられる。金属酸化物は、1種単独でもよいし、2種類以上であってもよい。
パール顔料の具体例としては、二酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、二酸化チタン及び酸化鉄で被覆した雲母等が挙げられる。パール顔料は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
金属顔料としては、アルミニウム、真鍮、ステンレス鋼、錫、亜鉛、銅、ニッケル、金粉及び銀等の金属、これらの金属の合金等からなる顔料が挙げられる。金属顔料は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
光輝性顔料の平均粒子径は、光輝性の付与及び光輝性顔料の脱落抑制の観点から、1〜500μmであることが好ましく、5〜100μmであることがより好ましい。
同様の観点から、[光輝性顔料の平均粒子径/光輝性インキ層の厚み]の比は、0.01〜15であることが好ましく、0.5〜10であることがより好ましい。
光輝性インキ層のバインダーは、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂組成物の硬化物等が挙げられ、耐久性の観点から硬化性樹脂組成物の硬化物が好適である。
硬化性樹脂組成物の硬化物としては、熱硬化性樹脂組成物の硬化物及び電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられる。光輝性インキ層の上下の層(支持体、絵柄層、透明樹脂層等)との密着性の観点からは、熱硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましい。
光輝性インキ層の熱硬化性樹脂組成物としては、ポリエステル樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、ポリウレタン樹脂組成物、アミノアルキッド樹脂組成物、メラミン樹脂組成物、グアナミン樹脂組成物、尿素樹脂組成物及び熱硬化性アクリル樹脂組成物等が挙げられる。これら熱硬化性樹脂組成物は、各樹脂を構成するモノマー及び/又はプレポリマーと、必要に応じて添加する硬化剤等とを含む。
光輝性インキ層の電離放射線硬化性樹脂組成物としては、後述する透明樹脂層の電離放射線硬化性樹脂組成物と同様のものを用いることができる。
光輝性インキ層中の光輝性顔料の含有量は、バインダー100質量部に対して、好ましくは10〜90質量部、より好ましくは50〜80質量部である。光輝性顔料の含有量を10質量部以上とすることにより、高艶領域Gの艶を十分にしやすくでき、光輝性顔料の含有量を90質量部以下とすることにより、下層に絵柄層を有する場合に、絵柄の視認性が損なわれることを抑制できる。
同様の観点から、光輝性インキ層の厚みは、1〜30μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。
光輝性インキ層の任意のパターンは、付与したい意匠によって異なる。例えば、該任意のパターンは、化粧シート全体で木目模様を付与する場合には木肌模様(導管溝模様及び/又は節目模様以外の部分)とすることが好ましく、化粧シート全体でトラバーチン等の石の模様を付与する場合には凹陥部以外の模様とすることが好ましく、化粧シート全体でタイル模様又はレンガ模様を付与する場合にはタイル部分又はレンガ部分とすることが好ましい。
光輝性インキ層の任意のパターンは、意匠性を高めるために濃淡を有することが好ましい。濃淡は、網点の大小や網点の厚みから形成してもよいが、網点の粗密から形成すること(網点の大きさは均一として網点の密度で濃淡を形成すること)が好ましい。光輝性インキ層の濃淡を網点の粗密から形成することにより、本来意図する領域から光輝性インキの網点がはみ出すことを抑制し、意匠性が低下することを抑制できる。言い換えると、光輝性インキ層の濃淡を網点の粗密から形成することにより、光輝性インキの網点が低艶領域Mにはみ出すことを抑制し、意匠性が低下することを抑制できる。また、前述の効果を得やすくするために、光輝性インキ層の網点の直径は、10〜800μmであることが好ましく、50〜300μmであることがより好ましい。
光輝性インキ層は、例えば光輝性インキ層を構成する材料を含む光輝性インキ層形成用塗布液を、グラビア印刷等の汎用の印刷手段で形成することができる。なお、光輝性インキ層の濃淡を網点の粗密から形成する場合、印刷版の網点をFM(frequency modulation)スクリーンによって形成すればよい。
<透明樹脂層>
透明樹脂層は、光輝性インキ層直上の領域に、光輝性インキ層のパターンに同調して形成される層である。
透明樹脂層を光輝性インキ層のパターンに同調させて形成することにより、化粧シートの面内に高艶領域Gを形成することができ、化粧シートの立体感を優れたものとすることができる。なお、透明樹脂層を化粧シートの全面に形成した場合には、光輝性インキ層を有する領域と、それ以外の領域との艶差が低下するため、立体感を良好にすることができない。
本発明において、光輝性インキ層のパターンと透明樹脂層とが同調するとは、印刷一般で許容される誤差を含むものとする。具体的には、化粧シートを面方向から観察した際に、光輝性インキ層のパターンと透明樹脂層とのズレ、特に光輝性インキ層20及び透明樹脂層30の端縁部E、即ち光輝性インキ層20及び透明樹脂層30が平面視においてその非形成領域に接する境界線における位置ズレが200μm以下であれば、本明細書の同調に含まれるものとする。
なお、人間が目で見える検出限界は、30〜50μm程度である。このため、光輝性インキ層のパターンと透明樹脂層とのズレは、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることがさらに好ましい。
透明樹脂層は樹脂を主成分とすることが好ましい。ここで主成分とは、透明樹脂層を構成する全固形分に対して樹脂を50質量%以上含むことを意味し、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上である。
透明樹脂層の樹脂は、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂組成物の硬化物等が挙げられる。これらの中でも、耐擦傷性の観点から硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましく、その中でも電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましく、その中でも電子線硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましい。
透明樹脂層の熱硬化性樹脂組成物としては、マット層の熱硬化性樹脂組成物と同様のものを用いることができる。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線を照射することにより硬化する化合物(電離放射線硬化性化合物)を含む組成物である。電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も使用可能である。
電離放射線硬化性化合物は、慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、なかでも多官能(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。
多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーであればよく、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましく挙げられる。これらの(メタ)アクリレートモノマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多官能(メタ)アクリレートモノマーの官能基数は2以上であることが好ましく、優れた表面保護特性を得る観点から、2〜8が好ましく、より好ましくは3〜6である。
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマー等の(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく挙げられ、これらのオリゴマーを1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
以上の重合性(メタ)アクリレートオリゴマーの内、多官能ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーが好ましい。多官能ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、優れた表面保護特性を付与することができ、また製造過程において化粧シートの収縮を抑制できるためである。
多官能(メタ)アクリレートオリゴマーの官能基数は2以上であれば特に制限はないが、表面保護特性及び製造時の収縮抑制の観点から、2〜8が好ましく、より好ましくは2〜6である。
また、多官能(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量)は、1,000〜20,000であることが好ましく、1,000〜10,000であることがより好ましい。
電離放射線硬化性化合物としては、硬度や電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度を調整するために、単官能(メタ)アクリレートを用いてもよい。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電離放射線硬化性化合物として紫外線硬化性化合物を用いる場合には、紫外線硬化性化合物100質量部に対して、光重合用開始剤を0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されず、例えば、ベンゾイン系、アセトフェノン系、フェニルケトン系、ベンゾフェノン系、アントラキノン系等の光重合用開始剤が好ましく挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤等を用いることができる。
電離放射線硬化性化合物は、電子線硬化性であることが好ましい。電子線硬化性の場合は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、かつ、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
透明樹脂層の厚みは、所望の艶を付与し得る程度の厚みであればよく、1〜30μmが好ましく、2〜20μmがより好ましい。
透明樹脂層は、光輝性インキ層の任意のパターンに同調するパターンを有することが好ましい。
透明樹脂層は、例えば透明樹脂層を構成する材料を含む透明樹脂層形成用塗布液を、グラビア印刷等の汎用の印刷手段で形成することができる。なお、透明樹脂層の濃淡を網点の粗密から形成する場合、印刷版の網点をFMスクリーンによって形成すればよい。
<プライマー層>
プライマー層は、各層の間の密着性を向上させるために、必要に応じて、支持体と絵柄層との間、絵柄層と光輝性インキ層との間等に設けられる。
プライマー層は樹脂を主成分とすることが好ましい。プライマー層の樹脂としては、エステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。また、プライマー層の樹脂は2液硬化性樹脂でもよい。これらの樹脂のうち、密着性の観点から2液硬化性樹脂が好ましい。
2液硬化性樹脂としては、主剤に硬化剤を添加して硬化する樹脂であれば特に制限はなく、主剤がポリオール(多価アルコール)であり、硬化剤がイソシアネート硬化剤である2液硬化性ウレタン樹脂が好ましい。
プライマー層の厚さは、通常0.5〜20μm程度であり、1〜10μmが好ましい。
<裏面プライマー層>
裏面プライマー層は、化粧シートと各種の被着材との接着性を向上させる目的で、基体の光輝性インキ層を有する側とは反対側の面に好ましく設けられる層である。
裏面プライマー層の形成に用いられる材料としては特に限定されず、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂等が挙げられ、被着材の材質によって、適宜選択すればよい。
裏面プライマー層の厚さは、1〜5μmであることが好ましく、1〜3μmであることがより好ましい。
<高艶領域及び低艶領域の物性>
化粧シートは、高艶領域Gの表面のJIS B0601:2001の算術平均粗さRaと、低艶領域Mの表面のJIS B0601:2001の算術平均粗さRaとの差[低艶領域GのRa−高艶領域MのRa]は、3μm以上であることが好ましい。
上記差を3μm以上、より好ましくは4μmとすることにより、高艶領域Gと低艶領域Mとの艶差を大きくしやすくすることができ、化粧シートの立体感を良好にしやすくできる。又ある程度以上算術平均粗さRaの差を与えれば高艷領域Gと低艷領域Mとの鏡面光沢度の差、更には、光輝性インキ層との協働による立體感発現效果は飽和し、必要以上に算術平均粗さRaの差を増やすと低艷領域の表面が粗くなり過ぎ艷消しでは無く単なる凹凸形状と視認される。そのため、上記差は150μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。
高艶領域Gの表面のJIS B0601:2001の算術平均粗さRaは、0.01〜1μmであることが好ましい。低艶領域Mの表面のJIS B0601:2001の算術平均粗さRaは、3〜150μmであることが好ましい。
なお、JIS B0601:2001の算術平均粗さRaは、カットオフ値0.8mmでの値とする。
化粧シートは、高艶領域GのJIS Z8741:1997の60度鏡面光沢度と、低艶領域MのJIS Z8741:1997の60度光沢度との差[高艶領域Gの60度光沢度−低艶領域Mの60度光沢度]が3以上であることが好ましい。
上記差を3以上とすることにより、高艶領域Gと低艶領域Mとの艶差が明瞭となり、化粧シートの立体感を良好にしやすくできる。上記差は3以上90以下であることがより好ましく、5以上80以下であることがさらに好ましく、10以上60以下であることがよりさらに好ましい。
高艶領域Gの60度鏡面光沢度は、11以上70以下であることが好ましい。低艶領域Mの表面の60度鏡面光沢度は、1以上30以下であることが好ましい。
[化粧材]
本発明の化粧材は、被着材と、上述した本発明の化粧シートの透明樹脂層を有する面とは反対側の面とを積層し、一体化してなるものである。
被着材は、例えば、木材単板、木材合板、パーチクルボード、MDF(中密度繊維板)、集成材等の木質板;石膏板、石膏スラグ板等の石膏系板;珪酸カルシウム板、石綿スレート板、軽量発泡コンクリート板、中空押出セメント板等のセメント板;パルプセメント板、石綿セメント板、木片セメント板等の繊維セメント板;陶器、磁器、土器、硝子、琺瑯等のセラミックス板;鉄板、亜鉛メッキ鋼板、ポリ塩化ビニルゾル塗布鋼板、アルミニウム板、銅板等の金属板;ポリオレフィン樹脂板、アクリル樹脂板、ABS板、ポリカーボネート板等の熱可塑性樹脂板;フェノール樹脂板、尿素樹脂板、不飽和ポリエステル樹脂板、ポリウレタン樹脂板、エポキシ樹脂板、メラミン樹脂板等の熱硬化型樹脂板;フェノール樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の樹脂を、硝子繊維不織布、布帛、紙、その他の各種繊維質基材に含浸硬化して複合化したいわゆるFRP板等が挙げられ、これらを単独で用いてもよく、これらの2種以上を積層した複合基板として用いてもよい。
化粧シートの各種被着材への積層方法としては特に限定されるものではなく、例えば接着剤によりシートを被着材に貼着する方法等を採用することができる。接着剤は、被着材の種類等に応じて公知の接着剤から適宜選択すれば良い。例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマー等のほか、ブタジエン−アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等が挙げられる。
化粧材は、例えば、壁、天井、床等の建築物の内装材;窓枠、扉、手すり等の建具;家具;家電製品、OA機器等の筐体;玄関ドア等の外装材として好ましく用いることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。なお、「部」は特に断りのない限り質量基準である。
1.測定及び評価
実施例及び比較例の化粧シートについて、以下の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
1−1.表面粗さ
実施例及び比較例の化粧シートについて、高艶領域G及び低艶領域Mの表面の算術平均粗さRa(JIS B0601:2001、カットオフ値0.8mm)を測定した。なお、比較例の化粧シートは、光輝性インキ層を有する領域の最表面を高艶領域Gとみなし、光輝性インキ層を有さない領域の最表面を低艶領域Mとみなした。
なお、測定は小坂研究所株式会社製の商品名SE−340を用い、以下の測定条件とした。
[表面粗さ検出部の触針]
小坂研究所社製の商品名SE2555N(先端曲率半径:2μm、頂角:90度、材質:ダイヤモンド)
[表面粗さ測定器の測定条件]
・評価長さ(基準長さ):カットオフ値λcの5倍(0.8×5=4.0mm)
・触針の送り速さ:0.5mm/s
・予備長さ:(カットオフ値λc)×2
・縦倍率:2000倍
・横倍率:10倍
1−2.鏡面光沢度
実施例及び比較例の化粧シートについて、高艶領域G及び低艶領域Mの表面の(JIS Z8741:1997)に準拠した60度鏡面光沢度を測定した。なお、比較例の化粧シートは、光輝性インキ層を有する領域の最表面を高艶領域Gとみなし、光輝性インキ層を有さない領域の最表面を低艶領域Mとみなした。
1−3.意匠性(立体感)
立体感を強く感じるものを2点、どちらとも言えないものを1点、立体感に乏しいと感じるものを0点として、20人の被験者が評価を行い、平均点を算出した。平均点が1.7以上のものを「AA」、平均点が1.4以上1.7未満のものを「A」、平均点が1.0以上1.4未満のものを「B」、平均点が1.0未満のものを「C」とした。
2.化粧シートの作製
[実施例1]
易接着ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱化学ポリエステル社製、ダイヤホイルZ350、厚み45μm)の支持体1上に、下記処方のマット層形成用塗布液を塗布、乾燥して、厚み1μmのマット層を形成した。次いで、マット層上に、グラビア多色印刷により、バインダー樹脂がアクリルポリオール60質量部とヘキサメチレンジイソシアネート40質量部とからなり黒褐色の顔料を含むインキによる導管溝模様の絵柄層2B及び導管溝模様のインキと同じバインダー樹脂に黄褐色の顔料を含むインキによる導管部以外の木肌模様の絵柄層2Aからなる厚み1μmの木目柄の絵柄層2を形成した。次いで、平面視において該支持体1及び絵柄層2とから成る基体10における木肌模様の絵柄層2Aを形成した箇所の直上部に対応させて、下記処方の光輝性インキ層形成用塗布液をグラビア印刷法により塗布、乾燥して、厚み3μmの光輝性インキ層を形成した。次いで、平面視において光輝性インキ層の直上部に位置同調するように、下記処方の透明樹脂層形成用塗布液をグラビア印刷法により塗布、乾燥して、厚み10μmの透明樹脂層30を形成し、図4の断面図に示す積層構成から成る実施例1の化粧シート100を得た。得られた化粧シート100は、光輝性インキ層20のパターンと、透明樹脂層30のパターンとの平面視における位置ズレが人間の目の検出限界である30μm以内であった。
なお、光輝性インキ層及び透明樹脂層の形成に用いたグラビア印刷版は、版のセルをFMスクリーンにより形成したものであり、また、両版のセル(網点)のパターン及び面積が同一であるものである。そして、光輝性インキ層20及び透明樹脂層30を印刷する版は、平面視で導管溝模様の絵柄層2B直上部に対応する領域において、セルが無かった。その結果、化粧シートも平面視で導管溝模様の絵柄層2B直上部において、光輝性インキ層20及び透明樹脂層30のインキの転移は皆無であった。
<マット層形成用塗布液>
・アクリルポリオール 60質量部
・ヘキサメチレンジイソシアネート 40質量部
・シリカ(平均粒子径:5.5μm) 26質量部
・希釈溶剤 適量
<光輝性インキ層形成用塗布液>
・パール顔料 35質量部
(ホワイトパール、粒径25μm)
・アクリル樹脂 65質量部
・希釈溶剤 適量
<透明樹脂層形成用塗布液>
・ウレタンアクリレートオリゴマー 30質量部
(数平均分子量1500、平均官能基数5)
・ウレタンアクリレートポリマー 70質量部
(数平均分子量8000、平均官能基数10)
・希釈溶剤 適量
[実施例2]
マット層を形成せずに、易接着ポリエチレンテレフタレートフィルム上に直接絵柄層を形成した。又、導管溝模様の絵柄層2Bを印刷するインキ中には、黒褐色顔料以外に、シリカ(平均粒子径:2μm)のマット剤をバインダー樹脂100質量部に対して26質量部添加したものを用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、実施例2の化粧シートを得た。
[比較例1]
透明樹脂層を化粧シートの全面に形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の化粧シートを得た。
[比較例2]
透明樹脂層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例2の化粧シートを得た。
Figure 0006907573
表1に示すように、実施例1〜2の化粧シートは、光輝性インキ層と透明樹脂層とが同調していることから、該領域の艶を高くすることができる一方で、その他の領域の艶を抑制し、化粧シート面内の艶差を大きくできるものであった。このため、実施例1〜2の化粧シートは、立体感に優れ、意匠性に優れるものであった。
一方、比較例1〜2の化粧シートは、化粧シート面内の艶差が不十分であり、立体感に劣るものであった。
本発明の化粧シートは、立体感に優れ、意匠性を極めて良好にすることができる点で有用である。
1:支持体
2:絵柄層
10:基体
20:光輝性インキ層
30:透明樹脂層
100:化粧シート

Claims (6)

  1. 化粧シートであって、前記化粧シートは、基体上に、任意のパターンを有する光輝性インキ層を有し、前記光輝性インキ層直上の領域に、前記光輝性インキ層のパターンに同調した透明樹脂層を有し
    前記化粧シートが低艶領域及び高艶領域を有してなり、前記基体を基準として前記透明樹脂層を有する側の面から前記化粧シートを観察した際に、前記光輝性インキ層及びこれに同調した前記透明樹脂層を有する領域により、前記高艶領域が形成されてなり、
    前記高艶領域の表面のJIS B0601:2001の算術平均粗さRaと、前記低艶領域の表面のJIS B0601:2001の算術平均粗さRaとの差[低艶領域のRa−高艶領域のRa]が3μm以上である、化粧シート。
  2. 前記基体の少なくとも一方の面が粗面化されてなり、前記粗面化された面上に前記光輝性インキ層を有する請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記基体が更に絵柄層を有してなる請求項1又は2に記載の化粧シート。
  4. 前記高艶領域のJIS Z8741:1997の60度鏡面光沢度と、前記低艶領域のJIS Z8741:1997の60度光沢度との差[高艶領域の60度光沢度−低艶領域の60度光沢度]が3以上である請求項に記載の化粧シート。
  5. 基体の上に、任意のパターンを有する光輝性インキ層を有し、前記光輝性インキ層の直上の領域に、前記光輝性インキ層のパターンに同調した透明樹脂層を有してなり、
    前記光輝性インキ層の任意のパターンが濃淡を有し、前記濃淡が網点の疎密から形成されてなる、化粧シート。
  6. 被着材と、請求項1〜の何れか1項に記載の化粧シートの前記透明樹脂層を有する面とは反対側の面とを積層し、一体化してなる化粧材。
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