JP6887340B2 - アンペロプシン安定化飲食品組成物 - Google Patents

アンペロプシン安定化飲食品組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP6887340B2
JP6887340B2 JP2017156709A JP2017156709A JP6887340B2 JP 6887340 B2 JP6887340 B2 JP 6887340B2 JP 2017156709 A JP2017156709 A JP 2017156709A JP 2017156709 A JP2017156709 A JP 2017156709A JP 6887340 B2 JP6887340 B2 JP 6887340B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ampelopsin
acid
food
cyclodextrin
extract
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017156709A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019033684A (ja
Inventor
幸子 遠藤
幸子 遠藤
林 英
林 英
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fancl Corp
Original Assignee
Fancl Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fancl Corp filed Critical Fancl Corp
Priority to JP2017156709A priority Critical patent/JP6887340B2/ja
Publication of JP2019033684A publication Critical patent/JP2019033684A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6887340B2 publication Critical patent/JP6887340B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Jellies, Jams, And Syrups (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Medicines Containing Plant Substances (AREA)

Description

本発明は、アンペロプシンを安定化した飲食品組成物に関する。
アンペロプシンは、藤茶に含有されるフラボノール化合物である。
アンペロプシンを含む植物である藤茶は、中国を主産地とするブドウ科蛇葡萄属に分類され、中国名を顕歯蛇葡萄という。学名は、Ampelopsis grossedentataである。この植物は、主には中国の広西、広東、雲南、貴州、湖南、湖北、江西、福建などの省並びに自治区に分布している。中国の広西、湖南などの省や自治区の壮族や瑶族の人々がこの茎および葉から作った飲料をお茶として常用しており(これを「藤茶」と呼んでいる)、また風邪、のどの痛みなどにも利用されている。アンペロプシンは、藤茶の示す各種生理活性や薬理活性、例えば肝臓疾患の治療作用(特許文献1)、リパーゼ阻害作用(特許文献2)、マトリックスプロテアーゼ阻害作用(特許文献3)、抗菌作用(特許文献4)、香料の劣化防止作用(特許文献5)、色素の褪色防止作用(特許文献6)等の作用や活性の本体として特定されている。
上記の飲料(藤茶の抽出物含有飲料)に含まれるアンペロプシン量は、時間の経過とともに速やかに減少する。すなわちアンペロプシンは、水に溶解または分散した状態では極めて不安定である。本発明者らは、この事実をこれまでの研究により確認している。すなわちアンペロプシンは水の存在下では極めて不安定な物質であると言うことができる。このため、アンペロプシンを安定状態で摂取するための飲食品とするためには、飲食時に上記の藤茶から抽出し、速やかに飲用するか、抽出後速やかに水分を除去した乾燥物としなければその作用効果を期待できない。
このようなアンペロプシンの不安定さが、藤茶や藤茶抽出物を含有する飲食品の普及を妨げていることは明らかである。しかしアンペロプシンを水溶液中で安定化する技術は、未だ提供されていない。
特開2003−26584号公報 特開2003−12536号公報 特開2002−173424号公報 特開2002−159566号公報 特開2004−18756号公報 特開2002−65201号公報
本発明者らは、アンペロプシンを含有する飲食品について研究を行う過程で、アンペロプシンを水溶液中で安定に維持する物質や成分の探索を行った。その探索結果に基づき、本発明をなした。
すなわち、本発明の課題は、水を含む飲食品中のアンペロプシンを安定化した飲食品組成物を提供することを課題とする。
本発明の主な構成は以下の通りである。
(1)アンペロプシンに対してフィチン酸及び/又はカルボン酸を0.02〜2質量%を含有し、pHが2.0〜5.0である飲食品組成物。
(2)アンペロプシン50〜500ppmとフィチン酸及び/又はカルボン酸1〜100ppmを含有し、pHが2.0〜5.0である飲食品組成物。
(3)カルボン酸が、グルコン酸、乳酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、クエン酸からなる群から選択される1以上の物質である(1)または(2)に記載の飲食品組成物。
(4)シクロデキストリンを含有する(1)〜(3)のいずれかに記載の飲食品組成物。
(5)シクロデキストリンを飲食品組成物質量当たり0.001〜10質量%含有する(1)〜(4)のいずれかに記載の飲食品組成物。
(6)シクロデキストリンがα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンからなる群から選択される1以上の物質である(1)〜(5)のいずれかに記載の飲食品組成物。
(7)アンペロプシンが藤茶抽出物に由来するものである(1)〜(6)のいずれかに記載の飲食品組成物。
本発明により、アンペロプシンが安定な飲食品が提供される。とくに、アンペロプシンの安定化のためにフィチン酸及び/又はカルボン酸を配合した飲食品組成物は、清涼飲料水、乳飲料、乳酸菌飲料、緑茶飲料、紅茶飲料、果汁飲料、野菜飲料、発酵乳、ゼリー、アイスクリーム、氷菓など水分を多く含む飲食品に適用可能である。特に緑茶飲料や紅茶飲料などの茶飲料として好ましい風味を持ち、長期間保存してもアンペロプシンが減少しない。
試験例1の評価手順を示す操作工程図である。
本発明は、アンペロプシン1質量部に対してフィチン酸及び/又はカルボン酸を0.02〜2質量%を含有する飲食品組成物に係る発明である。
藤茶は、上記したとおり、ブドウ科蛇葡萄属の植物であり、中国名を顕歯蛇葡萄という。学名は、Ampelopsis grossedentataである。主には中国の広西、広東、雲南、貴州、湖南、湖北、江西、福建などの省並びに自治区に分布している
アンペロプシンは、下記の式で表される化合物である。
Figure 0006887340
アンペロプシンは、例えば、藤茶(Ampelopsis grossedentata)、大叶蛇葡萄(Ampelopsis megalophylla)、広東蛇葡萄(Ampelopsis cantoniensis)、ケンポナシ(Hovenia dulcis)、オノエヤナギ(Salix sachalinensis)、ヨレハマツ(Pinus contorta)、Erythrophleum africanum及びカツラ(Cercidiphyllum japonicum)から選ばれる植物の抽出物から単離精製することができる。これらの中でも、藤茶が好ましい。
具体的には、Ampelopsis属植物である藤茶(Ampelopsis grossedentata)から、下記のようにしてアンペロプシンを得ることができる。
すなわち、乾燥させた藤茶の枝葉部を含水エタノールで抽出した抽出物を濃縮し、例えば多孔性樹脂(DIAION (登録商標)HP−20)を用いたカラムクロマトグラフィーにかけ、80容量%含水メタノールで溶出される分画にアンペロプシンが得られる。これを逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィーや再結晶により、更に精製することができる。精製されたアンペロプシンは、試薬としても販売されており、これを用いることもできる。
健康食品などの飲食品組成物には、上記のアンペロプシンを10質量%以上含有する市販の抽出部が使用可能である。このような抽出物を藤茶から得るためには以下のような操作を行う。
乾燥した藤茶の葉又は茎の粉砕物又は粉末を抽出原料とし、水若しくは親水性有機溶媒又はこれらの混合溶媒に投入し、室温乃至溶媒の沸点以下の温度で任意の装置を用いて抽出することにより得ることができる。
抽出に用いる有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコールなどが挙げられる。
また、これら親水性有機溶媒と水との混合溶媒などを用いることができる。なお、水と親水性有機溶媒との混合系溶媒を使用する場合には、低級アルコールの場合は水10質量部に対して30〜90質量部、低級脂肪族ケトンの場合は水10質量部に対して10〜40質量部、多価アルコールの場合は水10質量部に対して10〜90質量部添加することが好ましい。
抽出溶媒を満たした処理槽に、藤茶の乾燥・粉砕物を投入し、必要に応じて時々撹拌しながら、30分〜2時間静置して可溶性成分を溶出した後、ろ過して固形物を除去し、この抽出液から抽出溶媒を留去し、乾燥することにより抽出物が得られる。抽出溶媒量は、抽出原料の通常5〜15倍量(質量比)であることが好ましく、抽出条件は、抽出溶媒として水を用いた場合には、通常50〜95℃で1〜4時間程度である。また、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いる場合には、通常40〜80℃で30分〜4時間程度である。
得られた抽出液から抽出溶媒を留去するとペースト状の濃縮物が得られる。更に乾燥すれば、固形の抽出物が得られる。本発明においては、アンペロプシンの含有量が10質量%以上、好ましくは20質量%以上であれば、上記抽出液又はその濃縮液の状態であっても良い。これらは、活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂、液―液向流分配などの方法により精製してから用いても構わない。
したがって、上記の藤茶から抽出しアンペロプシンの濃度を高めた抽出物も本発明の飲食品原料として使用可能である。
組成物中のアンペロプシンの含有量は、HPLCなど公知の分析方法で分析することができる。定量方法の概略は次のとおりである。
・試料溶液の調製
試料(抽出物)約20mgを精秤し、蒸留水を加えて超音波処理して溶解し、正確に50mLとする。この溶液2mLを50mLに正確に希釈し、試料溶液とする。
・標準溶液の調製と検量線作成
標準品(Dihydromyricetin SIGMA−ALDRICH社製)2.00mgを精秤し、100%アセトニトリルを適量加えて超音波処理して溶解し、さらにアセトニトリルを加えて正確に25mLとし、アンペロプシン標準原液80μg/mLを調製する。この標準原液を蒸留水にて正確に5倍希釈して、16μg/mLアンペロプシン標準溶液を調製する。HPLCへの注入量を10、20、40μLとし、アンペロプシンのピークに基づいて検量線を作成する。なおこの測定方法は飲食品に含有されるアンペロプシンの定量に当たっても採用できる。
・HPLC測定条件
下記表1に示す標準的な測定条件で測定することができる。
Figure 0006887340
本発明の飲食品組成物には、この抽出物を、そのまま、あるいは水等に希釈して添加する。飲食品には、アンペロプシンの薬理効果あるいは生理効果を発現させるために、アンペロプシンとして1〜1000ppm、好ましくは50〜500ppmを配合する。1ppm未満の場合は、薬理効果或いは生理効果を期待できず、1000ppmを超えた場合、アンペロプシン特有の収れん味や苦味が強くなる。
水を含む飲食品にアンペロプシンを配合する場合、フィチン酸及び/又はカルボン酸をアンペロプシンに対して0.02〜2質量%添加する。飲料とする場合には、アンペロプシン50〜500ppmとフィチン酸及び/又はカルボン酸を1〜100ppm配合する。
なおアンペロプシンと有機酸を含む飲食品のpHは3〜6に調整する。pHが6を超えるとアンペロプシンの安定化が不良であり、時間の経過と共にアンペロプシンが減少する。
本発明に使用するカルボン酸としては、飲食品に配合可能なカルボン酸であればどのようなものでも良い。イタコン酸、シトラコン酸、クエン酸、酢酸、コハク酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、フマル酸、フタル酸、シュウ酸を例示することができる。好ましくはカルボン酸が、グルコン酸、乳酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸あるいはこれらの酸の1以上の混合物である。特に好ましくはフマル酸、酒石酸、クエン酸である。
アンペロプシンとフィチン酸及び/又はカルボン酸を含む飲食品組成物に、さらにシクロデキストリンを添加することで、アンペロプシンの安定性をより持続させることができる。シクロデキストリンとしては、飲食品に添加可能なものであればどのようなタイプのシクロデキストリンでも良い。好ましくはα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンからなる群から選択される1以上の物質である。シクロデキストリンは、飲食品組成物質量当たり0.001〜10質量%配合する。
本発明の技術の適用可能な飲食品としては、清涼飲料水、乳飲料、乳酸菌飲料、緑茶飲料、紅茶飲料、果汁飲料、野菜飲料、発酵乳、ゼリー、アイスクリーム、氷菓などを例示できるが、かならずしもこれらに限定されるものではない。
本発明の飲食品組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、その他の食品添加物や果汁等を使用することができる。具体的には、へミセルロース、リグニン、グアーガム、コンニャクマンナン、イサゴール、アルギン酸、寒天、カラギーナン、キチン、カルボキシルメチルセルロース、ポリデキストロースなどの食物繊維や増粘剤、食用油、カルシウム、鉄、ナトリウム、亜鉛、銅、カリウム、リン、マグネシウム、ヨウ素、マンガン、セレンなどのミネラル類、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ナイアシン、葉酸、パントテン酸などの脂溶性又は水溶性のビタミン群、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、リン脂質、アラビアガム、キサンタンガム、トラガカントガム、ローカストビーンガムなどの乳化剤や分散剤、増量剤、賦形剤、保存料・酸化防止剤、風味調整剤や香料、塩化ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、グリシンなどの呈味料マルチトール、アスパルテームなどの低カロリー甘味料、着色剤などである。
以下にアンペロプシンの製造例及びこのアンペロプシンを用いた試験例を示し、本発明をさらに説明する。
<藤茶抽出物の製造例1>
乾燥藤茶1重量部(200g)に対して水を15倍量加え90℃に加熱し、1時間抽出しろ過を行い、1番抽出液を得た。次いでこの残渣に水を12倍量加え、90℃に加熱し、その後ろ過を行い、2番抽出液を得た。両抽出液を合算し、減圧濃縮し、濃縮液約300mLを−40℃で凍結し、さらに凍結乾燥装置で乾燥し、乾燥物を得た。これを粉砕し、60メッシュの篩で篩い分けし、通過物85gを得た。この組成物中のアンペロプシン含有量は65.8質量%であった。
<藤茶抽出物の製造例2>
乾燥藤茶1重量部(200g)に対して50%エタノール水溶液を15倍量加え、還流冷却機を付して加熱し、1時間抽出しろ過を行い、1番抽出液を得た。次いでこの残渣に同様に50%エタノール水溶液を12倍量加え、90℃に加熱し、30分間抽出しろ過を行い、2番抽出液を得た。両抽出液を合算し、減圧濃縮し、濃縮液約300mLを−40℃で凍結し、さらに凍結乾燥装置で乾燥し、乾燥物を得た。これを粉砕し、60メッシュの篩で篩い分けし、通過物78.1gを得た。この組成物中のアンペロプシン含有量は52.9質量%であった。
<藤茶抽出物の製造例3>
製造例1と同様に、乾燥藤茶1重量部に対して水を15倍量加え90℃に加熱し、1時間抽出しろ過を行い、1番抽出液を得た。次いでこの残渣に水を12倍量加え、90℃に加熱し、30分間抽出しろ過を行い、2番抽出液を得た。両抽出液を合算し、減圧濃縮し、濃縮液約300mLを得た。さらにグアーガム分解物を、濃縮液あたり78g添加し、−40℃で凍結し、さらに凍結乾燥装置で乾燥し、乾燥物を得た。これを粉砕し、60メッシュの篩で篩い分けし、通過物163.1gを得た。この組成物中のアンペロプシン含有量は24.7質量%であった。
<藤茶抽出物の製造例4>
製造例1と同様に、乾燥藤茶1重量部に対して水15倍量加え90℃に加熱し、1時間抽出しろ過を行い、1番抽出液を得た。次いでこの残渣に水を12倍量加え、90℃に加熱し、30分間抽出しろ過を行い、2番抽出液を得た。両抽出液を合算し、減圧濃縮し、濃縮液約300mLを得た。さらにγ−シクロデキストリンを、濃縮液中に78g添加し、−40℃で凍結し、さらに凍結乾燥装置で乾燥し、乾燥物を得た。この組成物中のアンペロプシン含有量は26.4質量%であった。
<試験例1>
市販の成分によるアンペロプシン安定化試験
1.試験方法
アンペロプシンとして製造例1の藤茶抽出物を用いて、アンペロプシン100ppmを含有する水溶液を調製した。この水溶液に予め予備試験を行って選別した市販の各種天然物由来酸化防止剤、あるいは有機酸を添加してアンペロプシンの保存安定性に対する効果を評価した。
アンペロプシン水溶液に評価対象物質を表2の濃度で溶解させた。次いで各試験液のpHを測定した。その後、60℃で1週間保存後、アンペロプシン含量を液体クロマトグラフィーにて分析した。
液体クロマトグラフィーの測定は以下の手順に従って実施した。
(1)使用試薬
・アセトニトリル
・蒸留水
・リン酸(試薬特級)
・0.1%リン酸水溶液
・アンペロプシン標準品(アンペロプシン含量≧98%
(SIGMA−ALDRICH社製))
(2)HPLC法
カラム :InertSutain(登録商標)C18
内径3.0×長さ100mm、
粒径3μm(ジーエルサイエンス社製)
移動相 :A液・・・0.1%リン酸水溶液、B液・・・アセトニトリル、
A/B・・・85/15
カラム温度:40℃
検出波長 :UV290nm
流速 :1.0mL/min
注入量 :2μL
(3)試料及び標準溶液濃度
・試料溶液の調製:
試料1mLをとり、アセトニトリルにて溶解し、正確に10mLとしたものを試料溶液とする。
・標準溶液の調製
アンペロプシン標準品10mgを精秤し、100%アセトニトリルを適量加えて超音波処理して溶解し、アセトニトリルを加えて正確に50mLとした、アンペロプシン標準原液200μg/mLを調製後、0.625、1.25、2.5、5、10、20μg/mLとなるようアセトニトリルにて適宜希釈し、標準溶液とする。試料溶液および標準溶液それぞれ2μLを2.の条件のHPLCに注入し、アンペロプシンの面積を求め標準溶液から検量線(y=bx+a:a=切片、b=傾き)を求め、アンペロプシン含量を算出した。
2.試験結果
試験結果を下記の表2に示す。
Figure 0006887340
表2のとおり市販の天然物由来酸化防止剤はあまり効果がなく、フィチン酸、酒石酸、リンゴ酸に高い安定性効果が認められた。
<試験例2>
試験例1において、フィチン酸、酒石酸、リンゴ酸に高い安定性効果が認められたことから、さらに各種有機酸の効果を確認した。
1.試験方法
試験例1と同様にアンペロプシンとして製造例1のアンペロプシン高含有藤茶抽出物を用いて、アンペロプシンを100ppm含有する水溶液を調製した。この水溶液に表3の各種有機酸を100ppm濃度になるように添加し、次いで各試験液のpHを測定した。その後、60℃で1週間保存後、アンペロプシン含量を液体クロマトグラフィーにて分析した。
またアンペロプシン100ppmを含む水溶液の食品として飲用した場合の飲用適性を、熟練した官能評価員4名によって、合議制により評価した。評価は、次の2段階である。
飲用した場合、お茶として○:問題なく飲める、△:飲みにくい。
また、無機酸の代表である塩酸をpH3.5及び4.5になるように添加し、同様にアンペロプシンの安定化に寄与するか評価した。
2.試験結果
試験結果を下記の表3に示す。
Figure 0006887340
ビタミンCを除くいずれの有機酸もアンペロプシンの安定化に寄与していた。一方クエン酸カリウムのみアンペロプシンを減少させることが判明した。特にクエン酸、酒石酸、フマル酸、フィチン酸は好ましい結果を示した。
無機酸である塩酸はアンペロペプシンの安定化に寄与しないことから、安定化に関わっている因子はpH以外の条件であることが予想された。
<試験例3>
試験例2において、好ましい結果を示したフマル酸に加えてシクロデキストリンを添加した場合の安定化効果を評価した。
1.試験方法
試験例1と同様にアンペロプシンとして製造例1の藤茶抽出物を用いて、アンペロプシン100ppmを含有する水溶液を調製した。この水溶液に有機酸としてフマル酸、糖類としてシクロデキストリンを表4の濃度になるように添加し、次いで各試験液のpHを測定した。その後、60℃で1週間保存後、アンペロプシン含量を液体クロマトグラフィーにて分析した。
また食品として飲用した場合の飲用適性を試験例2と同様に官能評価した。
2.試験結果
試験結果を下記の表4に示す。
Figure 0006887340
フマル酸に加えて、各種シクロデキストリンを0.1〜5質量%添加することにより、アンペロペプシンの安定性が改善されることが判明した。また驚くべきことにシクロデキストリンの添加によって、飲用したとき有機酸による風味の低下も改善されることが判明した。
<試験例4>
水溶液中のアンペロプシン含有量を100ppmから3倍量の300ppmの濃度にして、試験例3と同様にフマル酸に加えてシクロデキストリンを添加した場合の安定化効果を評価した。
1.試験方法
アンペロプシン300ppmを含有する水溶液を調製した。この水溶液に有機酸としてフマル酸、糖類としてシクロデキストリンを表5の濃度になるように添加し、次いで各試験液のpHを測定した。その後、60℃で1週間保存後、アンペロプシン含量を液体クロマトグラフィーにて分析した。
また食品として飲用した場合の飲用適性を試験例1と同様に官能評価した。
2.試験結果
試験結果を下記の表5に示す。
Figure 0006887340
アンペロペプシンの濃度を300ppmとした場合も、フマル酸10ppmに加えて、各種シクロデキストリンを1質量%添加することにより、水溶液中のアンペロペプシンの安定化が改善されることが判明した。またシクロデキストリンの添加によって、同様に水溶液の風味の低下も抑制、改善されることが判明した。
以上の試験例1〜試験例4の結果から、水と共存しているとアンペロプシンは極めて不安定で速やかに減少するが、アスコルビン酸を除く有機酸を共存させることで、安定性を改善できることが明らかとなった。有機酸としては、クエン酸、酒石酸、フマル酸、フィチン酸が特に好ましい結果をもたらすことが判明した。また有機酸に加えてシクロデキストリンを配合することでこの効果はより増強される。有機酸は、アンペロプシンに対して0.02質量%程度含有させることで安定化効果を発揮するものと考えられた。
<茶飲料の製造例>
アンペロプシン300ppm含有する茶飲料の製造
Figure 0006887340
乾燥した藤茶の葉6gに水を300g加え、100℃(沸騰させ)で、15分間抽出した。これを冷却後ろ過したものを藤茶抽出液とした。この藤茶抽出液に藤茶エキス末、フマル酸、γ−シクロデキストリンを順次加えて溶解させた。最後に水を加えて全量を100gとし、茶飲料とした。この茶飲料のアンペロプシン含量は300ppmであった。茶飲料は、飲用すると好ましい風味を有しており、嗜好性の高い製品となった。
また透明ボトルに充填後密封した製品を、60℃のインキュベータ中で1週間保管した後、これを取り出し、風味を確認したが特に異常は感じられなかった。また保存後のアンペロプシン含有量は、当初の74.8%であった。

Claims (6)

  1. アンペロプシン50〜500ppmとフィチン酸及び/又はカルボン酸1〜100ppmを含有し、pHが2.0〜5.0である飲食品組成物。
  2. カルボン酸が、グルコン酸、乳酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、クエン酸からなる群から選択される1以上の物質である請求項1記載の飲食品組成物。
  3. シクロデキストリンを含有する請求項1または2に記載の飲食品組成物。
  4. シクロデキストリンを飲食品組成物質量当たり0.001〜10質量%含有する請求項1〜のいずれかに記載の飲食品組成物。
  5. シクロデキストリンがα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンからなる群から選択される1以上の物質である請求項1〜のいずれかに記載の飲食品組成物。
  6. アンペロプシンが藤茶抽出物に由来するものである請求項1〜のいずれかに記載の飲食品組成物。
JP2017156709A 2017-08-15 2017-08-15 アンペロプシン安定化飲食品組成物 Active JP6887340B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017156709A JP6887340B2 (ja) 2017-08-15 2017-08-15 アンペロプシン安定化飲食品組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017156709A JP6887340B2 (ja) 2017-08-15 2017-08-15 アンペロプシン安定化飲食品組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019033684A JP2019033684A (ja) 2019-03-07
JP6887340B2 true JP6887340B2 (ja) 2021-06-16

Family

ID=65635860

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017156709A Active JP6887340B2 (ja) 2017-08-15 2017-08-15 アンペロプシン安定化飲食品組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6887340B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110050861A (zh) * 2019-05-24 2019-07-26 龚士华 一种藤茶及其制作工艺
CN114223762A (zh) * 2021-11-04 2022-03-25 宁波大学 一种二氢杨梅素的消旋化保护方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102273697B (zh) * 2011-08-16 2013-08-28 华南理工大学 一种藤茶复合饮料及其制备方法
CN104666293A (zh) * 2015-02-05 2015-06-03 江苏丰园生物技术有限公司 一种二氢杨梅素环糊精包合物及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019033684A (ja) 2019-03-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7093526B2 (ja) 容器詰め飲料
JP4569965B2 (ja) 精製緑茶抽出物の製造法
JP4562682B2 (ja) 精製緑茶抽出物の製造法
CN103865651A (zh) 一种瓜果烟用香料的制备方法
JPWO2019182114A1 (ja) アロマフリー果汁
KR20060131759A (ko) 용기포장음료
JP4728747B2 (ja) 精製緑茶抽出物の製造方法
CN106998769A (zh) 风味改善剂
JP5285194B1 (ja) 飲食品
JP6887340B2 (ja) アンペロプシン安定化飲食品組成物
JP4921297B2 (ja) ポリメトキシフラボノイドの抽出方法
JP4247178B2 (ja) 精製緑茶抽出物の製造方法
JP3615213B1 (ja) 容器詰飲料
JP6599384B2 (ja) ゆず果汁含有濃縮飲料、ゆず果汁含有飲料、及びその製造方法
JP6866598B2 (ja) 飲料
JP2003310212A (ja) 水分散性又は水溶解性のバナバ葉抽出物組成物
WO2017119353A1 (ja) 飲食品、飲食品の製造方法および呈味改善方法
JP6508671B2 (ja) トウガラシ抽出物及び/又はショウガ抽出物を含む組成物、ならびにその製造方法
JP5543655B1 (ja) ウコン中の有用成分を安定的に含有する飲料
JP2018117618A (ja) ティリロサイド及びクロロゲン酸類を含有する飲料
CN105120686A (zh) 蘑菇提取物和呈味改善剂
JP6152251B2 (ja) 春ウコン成分含有飲料及び春ウコン成分による風味の調整を行う方法
EP2987416B1 (en) Flavor deterioration inhibitor
JP6858675B2 (ja) アンペロプシンとポリグルタミン酸を含有する飲食品
JP2010173989A (ja) イソフムロン類包接体を含んでなるw/o/w型乳化組成物およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200415

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210226

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210302

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20210416

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210416

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210507

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210518

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6887340

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250