JP6883375B2 - 車両構造 - Google Patents
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Description
同文献に記載の車両構造においては、車両のフロア部のうち、乗員の足を配置する箇所に、ティビアパッド(同文献のフットレスト)が設けられている。このティビアパッドの下面部には、肉抜き部が設けられ、かつ上面部には、車幅方向に延びる窪み部が設けられている。
このような構成によれば、車両の前突が発生した際に、乗員の足の踏み込み力によってティビアパッドの載置部が撓み変形を生じ易くなる。このことにより、ティビアパッド上に足をホールドさせ易くし、足の滑り上がりに伴う乗員下肢への負荷入力を低減することが可能である。
このような不具合を防止または抑制するための手段としては、ティビアパッドの位置ずれ防止を図るための係合部を多く設け、またフロア部の剛性を高めるといった手段を採用することが考えられる。ところが、このような手段を採用したのでは、車両の重量の増加を招き、また生産性の悪化や製造コストの上昇を招く。
すなわち、ティビアパッドは、このティビアパッドの下面部の凹部にクロスメンバが係入していることにより車両前後方向の位置規制が図られているため、車両の前突が発生し、ティビアパッドが乗員の踵部によって強い力で踏み込まれたとしても、ティビアパッドが車両前方側へ位置ずれすることは適切に回避され、乗員の足をティビアパッド上に適切にホールドさせておくことが可能である。クロスメンバは、車幅方向に延びているため、このクロスメンバとティビアパッドとの係合状態を確実かつ高強度のものとし、ティビアパッドの位置ずれ防止の確実化を図ることが可能である。
一方、車両の前突時において、ティビアパッドが乗員の踵部によって強い力で踏み込まれる場合、この踏み込み位置は、ダッシュパネルの後端部とフロントフロアパネルの前端部とが接合され、さらにはクロスメンバも重ねられて接合されている部分、またはその近傍部分であって、フロア部の他の部分と比較すると、剛性がかなり高くされた位置となる。このため、前記した踏み込みの力によって、フロア部が大きく変形することも解消され、踏み込み力をティビアパッドによって適切に受けさせることが可能となる。
このようなことから、ティビアパッドの使用により期待される本来の衝撃吸収効果が的確に得られ、乗員下肢保護性能を高めることができる。
また、本発明によれば、クロスメンバを設けているものの、このクロスメンバは、比較的小サイズのものとすることができ、このクロスメンバとは別に、ティビアパッドの位置ずれを図るための係止部などを多数設ける必要をなくすことが可能である。また、フロア部が踏み込み力によって容易に変形しないようにするための手段として、フロア部の厚肉化などを図る必要はなく、またクロスメンバも有効に利用されている。したがって、全体の重量の増加を抑制し得るとともに、生産性を良好なものとし、製造コストを廉価にすることも可能である。
さらに、本発明によれば、クロスメンバは、ダッシュパネルの後端部とフロントフロアパネルの前端部との接合部に重ねられて接合されており、ダッシュパネルとフロントフロアパネルとの接合を強固なものとする。このため、車両の前突時において、ダッシュパネルとフロントフロアパネルとの接合部が剥離するといった不具合を防止または抑制する効果も期待できる。
ペンションのサスペンションメンバ4(サブフレームとも称される)、フロアトンネル部12が形成されているフロア部11、アッパメンバ3A、左右一対のインナトルクメンバ12a、クロスメンバ6、および複数のティビアパッド2(2A,2B),29を備えている。
車両1の前部には、エンジンや変速機などから構成されたパワープラント18が内部に配されているエンジンルーム10が設けられており、一対のフロントサイドメンバ3のフロント部32は、エンジンルーム10の両側に位置して車両前後方向に略直線状に延びている。
内入り傾斜部33は、フロント部32の後部に屈曲部B1を介して繋がった部分であって、一対のフロントサイドメンバ3のうち、サスペンションメンバ4の取付け箇所周辺部が、車両後方側ほど車幅方向相互間隔が狭くなるように、底面視(平面視も含む、以下同様)において傾斜した部分である。フロントサイドメンバ3に対するサスペンションメンバ4の具体的な取付け構造については後述する。
後側延設部34は、内入り傾斜部33の後部に屈曲部B2を介して繋がった部分であり、車幅方向においてフロアトンネル部12とロッカ15との相互間に位置してフロア部11の下面部に接合され、車両前後方向に延びている。
溶接されている。
なお、図6において、符号51は、防音材を示し、符号52は、フロアカーペットを示している。
パッド29を、他のティビアパッド2(2A,2B)と同様に、クロスメンバ6を利用した固定構造としてもよい。
後側取付け部9Bは、上下傾斜部30の下面側に溶接された台座部38に、サスペンションメンバ4の後部が、ボルト90を用いて締結された部位である。後側取付け部9B’は、サスペンションメンバ4の後部に固定されたステー42が、上下傾斜部30の台座部38よりも下側の部分にボルト91を用いて締結された部位である。
前記した構成に対応し、後側取付け部9B,9B’は、前側取付け部9Aよりも車幅方向内方側に適当な寸法L2だけオフセットされている。内入り傾斜部33は、サスペンションメンバ4の前側取付け部9Aよりも後側取付け部9B,9B’を車幅方向内方側に配置させ、かつロアアーム7の後側回転支持部8Bの中心P2を、前側回転支持部8Aの中心P1よりも車幅方向内方側に適当な寸法L1だけオフセットするのに適する。
すなわち、アッパメンバ3Aとフロアトンネル部12とは、クロスメンバ6によって車幅方向に橋渡し接続されているが、アッパメンバ3Aは、フロントサイドメンバ3の内入り傾斜部33の後端に繋がった後側延設部34上に重ねられて接合された部位である。このため、車両1の前突が発生して、車両前方側から衝突荷重F2(図2を参照)がフロントサイドメンバ3に入力した際に、内入り傾斜部33の存在に起因し、後側延設部34を車幅方向内方に大きく変形させようとする力が発生したとしても、クロスメンバ6の突っ張り力によって、後側延設部34が車幅方向内方に大きく変形することは適切に防止される。その結果、フロントサイドメンバ3の荷重伝達性をよくし、車両1の衝撃吸収性能を良好とすることができる。また、車両1の車体強度が高くなるため、耐衝撃性能を良好にすることもできる。このことから理解されるように、クロスメンバ6は、車両1の前突時において、フロントサイドメンバ3が内入り傾斜部33の存在に起因して車幅方向内方に変形しようとする箇所に設けることが望まれる。
止する。さらに、クロスメンバ6は、ダッシュパネル11aの後端部とフロントフロアパネル11bの前端部との接合部17に重ねられてこれらと接合されているため、これら三者の接合強度が高められる。このようなことから、車両1の前突時において、アッパメンバ3Aおよびフロントサイドメンバ3とフロアトンネル部12との位置ずれに起因して、ダッシュパネル11aとフロントフロアパネル11bとの接合部17に不当な剥離が生じることを、適切に防止または抑制することも可能となる。
ティビアパッドの具体的な形状、サイズ、材質は限定されない。
本発明の車両構造は、エンジン自動車に限らず、ハイブリッド車や電気自動車にも適用することができることは勿論である。
1 車両
11 フロア部
11a ダッシュパネル
11b フロントフロアパネル
17 接合部
2(2A,2B) ティビアパッド
20 凹部
21 踵部配置用領域
6(6A,6B) クロスメンバ
Claims (1)
- 車両のフロア部上に載設されたティビアパッドを、備えており、
前記フロア部は、ダッシュパネルの後端部とフロントフロアパネルの前端部とが接合された接合部を有している、車両構造であって、
前記フロア部上に取付けられて車幅方向に延びており、かつ少なくとも一部分が、前記フロア部の前記接合部に重ねられて接合されているクロスメンバを、さらに備えており、
前記ティビアパッドは、車両前後方向への移動が規制されるように前記クロスメンバが係入する凹部を下面部に有しており、
前記ティビアパッドのうち、乗員の踵部を載せるための踵部配置用領域は、前記接合部またはその近傍部の上方であって、前記クロスメンバの車両前方側に位置する構成とされていることを特徴とする、車両構造。
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