JP6882942B2 - ポリエステル系複合繊維及び繊維集合体 - Google Patents
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Description
従来、衣料用として使用されているポリエステルやポリアミド等の合成繊維は、透明であるポリマーの特性により、布帛となした場合に着用して衣服や下着が透けて見えるという欠点を有している。
上記課題を解決するために特許文献1及び2には無機微粒子を含有させた芯鞘複合繊維で防透性に優れたものが得られることが記載されている。また、特許文献3には表面がシリカ、アルミナおよびジルコニアから選ばれた1種類以上の化合物で被覆された平均粒子径0.01〜0.15μmの酸化チタンが0.05〜6重量%含有されていることを特徴とする耐候性長繊維不織布が得られることが記載されている。
一般的に酸化チタンを被覆するコーティング剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア等が挙げられる。本発明では、酸化チタンをアルミナで被覆することによって製糸時の分散性及び耐光性が優れている。しかし、シリカ、ジルコニアで被覆した酸化チタンでは、酸化チタンを高濃度で樹脂中に含有させた場合、製糸時の分散性は問題ないが、光触媒の活性により樹脂自体を黄変させる問題があり、耐光性の向上が不十分である。
アルミナ化合物で被覆された酸化チタンの含有量が8重量%未満では、可視光、赤外線の波長を効率的に反射することができず、十分な防透効果および遮熱効果を得ることができない。また、アルミナ化合物で被覆された酸化チタンの含有量が70重量%を超えると、紡糸時の曳糸性が極端に悪化するとともに、染色時の発色性が低下する。好ましくは10重量%以上60重量%以下、より好ましくは15重量%以上50重量%以下である。
アルミナ化合物で被覆された酸化チタンの平均粒子径が0.2μmより小さいと、可視光および赤外線の波長を効率的に反射することができず、十分な防透効果、遮熱効果を得ることができない。また、アルミナ化合物で被覆された酸化チタンの平均粒子径が0.8μmより大きいと紡糸時の曳糸性が極端に悪化するとともに、染色時の発色性が低下する。アルミナ化合物で被覆された酸化チタンの平均粒子径は好ましくは0.4μm以上0.6μm以下である。
まず芯成分ポリマーと鞘成分ポリマーをそれぞれ別の押出機で溶融押出し、各々紡糸ヘッドへ導入し、目的とする個々の複合形状を形成させる紡糸口金を経由して溶融紡糸させることにより製造することができる。また、最終製品に求められる品質や良好な工程通過性を確保するために、最適な紡糸・延伸方法を選択することができる。より具体的には、スピンドロー方式や、紡糸原糸を採取した後に別工程で延伸を行う2−Step方式、また延伸を行わず非延伸糸のまま引き取り速度が2000m/分以上の速度で捲取る方式においても、任意の糸加工工程を通過させた後に製品化することで、良好な防透性及び発色性を有する該複合繊維製品を得ることができる。
堀場製作所社製の遠心式自動粒度分布測定装置CAPA−500により測定した。
以下の基準に従って紡糸性評価を行った。
◎:24時間の連続紡糸を行ったところ、紡糸時の断糸が何ら発生せず、しかも得られた該複合繊維には毛羽・ループが全く発生していないなど、紡糸性が極めて良好である
○:24時間の連続紡糸を行ったところ、紡糸時の断糸が1回以下の頻度で発生し、得られた該複合繊維に毛羽・ループが全く発生していないか、あるいは僅かに発生したものの、紡糸性がほぼ良好である
△:24時間の連続紡糸を行ったところ、紡糸時の断糸が1回より多く3回まで発生し、紡糸性が不良である
×:24時間の連続紡糸を行ったところ、紡糸時の断糸が3回よりも多く発生し、紡糸性が極めて不良である
(耐光堅牢度)
JIS L−0842の測定方法に準拠して測定した。
(繊維集合体の不透明度(%)測定)
単繊度3.5dtexの本発明の芯鞘型異形断面複合繊維を経糸および緯糸に用い、経糸38本/cm、緯糸28本/cmの筒編地を作製し、日立分光光度計(U−3400型)を用いて、この編地のL* を測定し、下記式により算出した。
不透明度(%)=(L* B /L* W )×100
L* B :黒素地に布帛(繊維集合体)を重ねた時のL* 値
L* W :白素地に布帛(繊維集合体)を重ねた時のL* 値
黒素地は黒色プラスチック板(L*値=12)、白素地は標準白板(L*値=100)を示す。
(1)ΔT(℃)
繊維径を均一に調整し、得られた複合繊維を用いて目付け200g/m2の筒編地を精錬した後、レフランプを照射し、15分後の試料直下の温度を測定した。温度はタスコジャパン株式会社の貼付型センサーTNA−8Aを用いて測定した。
対照試料であるTiO2を0.05重量%含有するポリエチレンテレフタレート繊維(比較例1)に対し、どの程度高い温度を示すかについて、温度差ΔT(℃)を測定した。
(2)反射率
繊維径を均一に調整し、得られた複合繊維を用いて目付け200g/m2の筒編地を精錬した後、以下に示す測定装置を使用して380〜3000nmの反射率の平均値を測定した。
分光反射率測定器:分光光度計 HITACHI U3400
染 料:DiacrylBlack BSL-F 7%omf
分散助剤:Disper TL(明成化学工業社製) 1g/l
PH調整剤:ウルトラMTレベル 1g/l
浴 比: 1:50 温 度:130℃×40分
還元洗浄
ハイドロサルファイド 1g/l
アミラジン(第一工業製薬) 1g/l
NaOH 1g/l
浴 比: 1:30 温 度:80℃×120分
(染着濃度 K/S)
染色後サンプル編地の最大吸収波長における反射率Rを測定し、以下に示すKubelka―Munkの式から求めた。
分光反射率測定器:分光光度計 HITACHI
C−2000S Color Analyzer
K/S=(1−R)2/2R
芯成分に平均粒子径0.4μmのアルミナ化合物で被覆された酸化チタン30重量%を含有するポリエチレンテレフタレートと鞘成分に平均粒子径0.3μmの酸化チタン1.0重量%を含有するポリエチレンテレフタレートの複合比率(重量比率)10:90の条件で、孔数24個(孔径0.25mmφ)の口金を用いて紡糸温度290℃、単孔吐出量=1.42g/分で紡出し、温度25℃、湿度60%の冷却風を0.4m/秒の速度で紡出糸条に吹付け糸条を60℃以下にした後、紡糸口金下方1.2mの位置に設置した長さ1.0m、入口ガイド系8mm、出口ガイド系10mm、内径30mmφチューブヒーター(内温185℃)に導入してチューブヒーター内で延伸した後、チューブヒーターから出てきた糸条にオイリングノズルで給油し2個の引き取りローラーを介して4500m/分の速度で捲取り、84T/24fの該複合繊維フィラメントを得た。本発明の製造方法で得られた繊維の結果を表1に示した。さらに上記製造方法で得られた複合繊維を用いた繊維集合体(筒編地)はΔT=−3.8℃と高い遮熱効果を示し、防透性についても不透明度=90%と高い防透効果を示した。また耐光堅牢度5級であり優れた耐光性を示した。これら繊維集合体の評価結果についても表1に示した。
次に、芯成分及び鞘成分のポリマー、芯成分及び鞘成分の添加粒子の平均粒子径と含有量を変更し、実施例1と同様の手法で紡糸して84T/24fの該複合繊維フィラメントを得た。得られた繊維の物性を表1に示した。いずれも良好な不透明度、ΔT、反射率、染着濃度を示し、実施例1と同性能の耐光堅牢度であり、何ら問題のない品質であった。
芯成分の酸化チタンのコーティング種、芯成分及び鞘成分に添加する粒子種と含有量を変更し、実施例1と同様の手法で紡糸して84T/24fの該複合繊維フィラメントを得た。得られた繊維の物性を表1に示した。
Claims (4)
- 芯成分がアルミナ化合物で表面が被覆された平均粒子径0.4〜0.8μmの酸化チタンを8重量%以上70重量%以下含有するポリエステル系重合体で、鞘成分が無機微粒子を0.5重量%以上4.0重量%以下含有するポリエステル系重合体であり、かつ芯成分と鞘成分との重量比率が10:90〜40:60である芯鞘型複合繊維。
- 前記鞘成分に含有する無機微粒子の平均粒子径が0.03〜0.8μmである請求項1に記載の芯鞘型複合繊維。
- 前記無機微粒子が酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウムおよび二酸化ケイ素からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の無機微粒子である、請求項1又は2に記載の芯鞘型複合繊維。
- 請求項1〜3に記載の芯鞘型複合繊維を含む繊維集合体であって、可視光および赤外線の波長380〜3000nmにおける反射率が70%以上、不透明度が85%以上であり、かつ耐光堅牢度が4級以上であることを特徴とする繊維集合体。
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