JP6875865B2 - 半導体加工用シートおよび半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体加工用シートおよび半導体装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体加工用シートおよび半導体装置の製造方法に関するものであり、好ましくは、複数の半導体チップを加熱する工程および半導体チップを個々にピックアップする工程を備える半導体装置の製造方法に使用される半導体加工用シート、およびそのような半導体装置の製造方法に関するものである。
半導体装置の製造方法は、一般的に、半導体加工用シート上において半導体ウエハを個片化(ダイシング)して複数の半導体チップを得るダイシング工程と、得られた半導体チップを半導体加工用シートから個々に取り上げる(ピックアップ)ピックアップ工程とを含む。
上記ピックアップ工程では、半導体チップのピックアップを容易にするために、半導体加工用シートにおける半導体チップが積層された面とは反対の面から、半導体チップを個々に突き上げることを行う場合がある。このため、半導体加工用シートには、このような突き上げを良好に行うことができるような柔軟性が求められる。
また、上記ピックアップ工程では、ピックアップの際の半導体チップ同士の衝突を抑制するとともに、ピックアップを容易にするために、半導体加工用シートを延伸(エキスパンド)させて、半導体チップ同士を離間させるエキスパンド工程を行う場合もある。当該エキスパンドを良好に行うためにも、半導体加工用シートには、優れた柔軟性を有することが求められる。
近年、個片化された半導体チップを半導体加工用シートに積層した状態で加熱することが増えている。例えば、半導体加工用シート上の半導体チップに対して、蒸着、スパッタリング、脱湿のためのベーキング等の処理が行われたり、半導体チップが高温環境下で使用される場合には、高温環境下での信頼性を確認するための加熱試験が行われることがある。このような加熱を行う場合、使用される半導体加工用シートには、加熱による変形が生じ難いといった耐熱性が求められる。
耐熱性を有する半導体加工用シートの例として、特許文献1には、ガラス転移温度が70℃以上である基材の少なくとも片面に、昇温速度2℃/minで室温から200℃まで昇温した際の熱重量減少率が2%未満である粘着剤層を設けてなる耐熱ダイシングテープ又はシートであって、当該粘着剤層が、所定の組成を有するエネルギー線硬化型粘着剤で構成されているとともに、加熱を含む処理を行った後の粘着力が所定の値を示す耐熱ダイシングテープ又はシートが開示されている。
また、耐熱性を有する半導体加工用シートの別の例として、特許文献2には、所定の熱収縮率を有する基材と、当該基材上に設けられ、所定の組成を有する粘着剤層とを備える耐熱性粘着シートが開示されており、特許文献3には、所定の熱収縮率および線膨張係数を有する基材と、当該基材上に設けられ、所定の組成を有する粘着剤層とを備える耐熱性粘着シートが開示されている。
特許第4781185号 国際公開第2015/174381号 国際公開第2014/199993号
しかしながら、特許文献1〜3に開示される半導体加工用シートは、所定の耐熱性を有するものの、十分な柔軟性を発揮することはできず、良好なピックアップを行うことができない。このように、従来の半導体加工用シートでは、上述した柔軟性と耐熱性とを両立させることは困難であり、一方の特性を優先させると、他方の特性が損なわれ易い。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、優れた耐熱性と柔軟性とを発揮する半導体加工用シート、および当該半導体加工用シートを使用した半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、複数の半導体チップが積層される粘着面を有する第1の粘着剤層と、前記第1の粘着剤層における前記粘着面とは反対の面側に積層されており、23℃における引張弾性率が50MPa以上、1000MPa以下である第1の基材とを備えるフレキシブルシート、および融点が150℃以上、550℃以下の材料からなる第2の基材を少なくとも備え、前記第1の基材における前記第1の粘着剤層とは反対の面側に積層されている耐熱シートを備えることを特徴とする半導体加工用シートを提供する(発明1)。
上記発明(発明1)によれば、耐熱シートが、上述した範囲の融点を有する材料からなる第2の基材を備えることで、半導体加工用シートが優れた耐熱性を有するものとなり、半導体加工用シート上において半導体チップを加熱した際に、半導体加工用シートの変形が抑制される。また、フレキシブルシートが、上述した範囲の引張弾性率を示す第1の基材を備えることで、耐熱シートを剥離した後のフレキシブルシートが優れた柔軟性を有するものとなり、当該フレキシブルシートから半導体チップを良好にピックアップすることが可能となる。以上により、優れた耐熱性と柔軟性とを両立することが可能となる。
第2に本発明は、複数の半導体チップが積層される粘着面を有する第1の粘着剤層と、前記第1の粘着剤層における前記粘着面とは反対の面側に積層されており、23℃における引張弾性率が50MPa以上、1000MPa以下である第1の基材とを備えるフレキシブルシート、および熱機械分析装置を用いて荷重0.2gの下、10℃/分の昇温温度で23℃から120℃まで加熱したときの膨張率が−3.0%以上、3.0%以下である材料からなる第2の基材を少なくとも備え、前記第1の基材における前記第1の粘着剤層とは反対の面側に積層されている耐熱シートを備えることを特徴とする半導体加工用シートを提供する(発明2)。
上記発明(発明2)によれば、耐熱シートが、上述した範囲の膨張率を示す材料からなる第2の基材を備えることで、半導体加工用シートが優れた耐熱性を有するものとなり、半導体加工用シート上において半導体チップを加熱した際に、半導体加工用シートの変形が抑制される。また、フレキシブルシートが、上述した範囲の引張弾性率を示す第1の基材を備えることで、耐熱シートを剥離した後のフレキシブルシートが優れた柔軟性を有するものとなり、当該フレキシブルシートから半導体チップを良好にピックアップすることが可能となる。以上により、優れた耐熱性と柔軟性とを両立することが可能となる。
上記発明(発明1,2)において、前記フレキシブルシートは、その周縁部の少なくとも一部に前記耐熱シートが積層されていない領域を有することが好ましい(発明3)。
上記発明(発明1,2)において、前記耐熱シートは、その周縁部の少なくとも一部に前記フレキシブルシートが積層されていない領域を有することが好ましい(発明4)。
上記発明(発明3,4)において、前記フレキシブルシートおよび前記耐熱シートは、平面視で略円形の形状をそれぞれ有するとともに、これらの略円形が同心円となるように配置されており、前記フレキシブルシートにおける略円形と前記耐熱シートにおける略円形との半径の差は、1mm以上、30mm以下であることが好ましい(発明5)。
上記発明(発明1〜5)において、前記半導体加工用シートにおける前記フレキシブルシート側の面をステンレスチール板に貼付したときの、前記半導体加工用シートの前記ステンレスチール板に対する粘着力をF1、前記半導体加工用シートを構成する前記フレキシブルシートおよび前記耐熱シートについて、前記耐熱シートの前記フレキシブルシートに対する粘着力をF2としたときに、下記式(1)
F1>F2 … (1)
の関係を満たすことが好ましい(発明6)。
上記発明(発明1〜6)において、前記耐熱シートは、前記第1の基材と前記第2の基材との間に位置する第2の粘着剤層をさらに備えることが好ましい(発明7)。
上記発明(発明7)において、前記半導体加工用シートを構成する前記第1の基材および前記第2の粘着剤層について、前記半導体加工用シートを120℃で1時間加熱する前における、前記第2の粘着剤層の前記第1の基材に対する粘着力をFa、前記半導体加工用シートを120℃で1時間加熱した後における、前記第2の粘着剤層の前記第1の基材に対する粘着力をFbとしたときに、下記式(2)
粘着力比=Fb/Fa … (2)
から算出される前記第2の粘着剤層の粘着力比が、0.5以上、10以下であることが好ましい(発明8)。
上記発明(発明1〜8)においては、前記半導体加工用シートにおける前記第1の粘着剤層側の面上に複数の半導体チップを設けるチップ準備工程、前記半導体加工用シート上の前記半導体チップを加熱する加熱工程、前記耐熱シートを前記フレキシブルシートから剥離する剥離工程、および前記フレキシブルシートから前記半導体チップを個々にピックアップするピックアップ工程を備える半導体装置の製造方法において使用されることが好ましい(発明9)。
第3に本発明は、前記半導体加工用シート(発明1〜9)における前記第1の粘着剤層側の面上に複数の半導体チップを設けるチップ準備工程、前記半導体加工用シート上の前記半導体チップを加熱する加熱工程、前記耐熱シートを前記フレキシブルシートから剥離する剥離工程、および前記フレキシブルシートから前記半導体チップを個々にピックアップするピックアップ工程を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する(発明10)。
上記発明(発明10)において、前記加熱工程は、前記半導体加工用シートにおける前記半導体チップが積層されている面とは反対の面を加熱テーブルに載置することを含むことが好ましい(発明11)。
上記発明(発明10,11)において、前記剥離工程と前記ピックアップ工程との間に、前記フレキシブルシートをエキスパンドして、前記半導体チップを離間するエキスパンド工程をさらに備えることが好ましい(発明12)。
本発明に係る半導体加工用シートは、優れた耐熱性と柔軟性とを発揮することができる。
本発明の第1の実施形態に係る半導体加工用シートの断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る半導体加工用シートの断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る半導体加工用シートの断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る半導体加工用シートの使用状態を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る半導体加工用シートの使用状態を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る半導体加工用シートの使用状態を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔半導体加工用シート〕
図1には、第1の実施形態に係る半導体加工用シート1Aの断面図が示される。本実施形態に係る半導体加工用シート1Aは、フレキシブルシート2と、当該フレキシブルシート2の片面側に積層された耐熱シート3とを備える。フレキシブルシート2は、第1の粘着剤層21と、当該第1の粘着剤層の片面側に積層された第1の基材22とを備える。耐熱シート3は、フレキシブルシート2における第1の基材22側に積層され、少なくとも第2の基材32を備え、好ましくは、第1の基材22と第2の基材32との間に位置する第2の粘着剤層31をさらに備える。
図2には、第2の実施形態に係る半導体加工用シート1Bの断面図が示される。本実施形態に係る半導体加工用シート1Bは、半導体加工用シート1Aと同様に、フレキシブルシート2と、当該フレキシブルシート2の片面側に積層された耐熱シート3とを備える。本実施形態に係る半導体加工用シート1Bでは、フレキシブルシート2が、その周縁部の少なくとも一部に耐熱シート3が積層されていない領域23(以下、「第1の領域23」という場合がある。)を有する。
図3には、第3の実施形態に係る半導体加工用シート1Cの断面図が示される。本実施形態に係る半導体加工用シート1Cは、半導体加工用シート1Aと同様に、フレキシブルシート2と、当該フレキシブルシート2の片面側に積層された耐熱シート3とを備える。本実施形態に係る半導体加工用シート1Cでは、耐熱シート3が、その周縁部の少なくとも一部にフレキシブルシート2が積層されていない領域33(以下、「第2の領域33」という場合がある。)を有する。
半導体加工用シート1A,1B,1Cにおいて、第1の粘着剤層21における第1の基材22が積層された側の面とは反対の面は、半導体加工用シート1A,1B,1Cが使用される際に、複数の半導体チップ4が積層される粘着面となる(図4〜6参照)。なお、本願明細書において、半導体チップとは、半導体ウエハの個片化により得られる半導体材料からなるチップだけでなく、半導体材料を備えるパッケージや、ガラスチップといった半導体材料以外のチップを含むものとする。
また、半導体加工用シート1A,1B,1Cにおいて、第1の基材22は、23℃における引張弾性率が50MPa以上、1000MPa以下である。さらに、半導体加工用シート1A,1B,1Cにおいて、第2の基材32は、融点が150℃以上、550℃以下の材料からなるか、あるいは、熱機械分析装置を用いて荷重0.2gの下、10℃/分の昇温温度で23℃から120℃まで加熱したときの膨張率が−3.0%以上、3.0%以下である材料からなる。
半導体加工用シート1A,1B,1Cでは、耐熱シート3が、上述した範囲の融点を有する材料からなる第2の基材32、または上述した範囲の膨張率を示す材料からなる第2の基材32を備えることにより、半導体加工用シート1A,1B,1Cは優れた耐熱性を有するものとなる。このため、半導体チップ4を半導体加工用シート1A,1B,1C上に積層した状態で加熱する場合であっても、加熱による半導体加工用シート1A,1B,1Cの変形が抑制される。それにより、加熱処理を良好に行うことができる。
また、半導体加工用シート1A,1B,1Cでは、フレキシブルシート2が、上述した範囲の引張弾性率を示す第1の基材22を備えることで、フレキシブルシート2は優れた柔軟性を有するものとなる。そのため、半導体チップ4をピックアップする際には、半導体加工用シート1A,1B,1Cから耐熱シート3を剥離することで、優れた柔軟性を示すフレキシブルシート2を介して半導体チップ4の突き上げを行うことができ、良好なピックアップが可能となる。特に、ピックアップの際にフレキシブルシート2のエキスパンドを行う場合には、フレキシブルシート2が優れた柔軟性を示すことにより、エキスパンドを効果的に行うことが可能となり、半導体チップ4同士の衝突を抑制しつつ、ピックアップをさらに良好に行うことが可能となる。
1.半導体加工用シートの構成
第1の実施形態に係る半導体加工用シート1Aでは、フレキシブルシート2における耐熱シート3側の面の全体に、耐熱シート3が積層されているとともに、耐熱シート3におけるフレキシブルシート2側の面の全体に、フレキシブルシート2が積層されている。換言すれば、半導体加工用シート1Aでは、フレキシブルシート2と耐熱シート3とが平面視で略同一の形状を有している。そのため、図1の断面図に示されるように、半導体加工用シート1Aの端部には、フレキシブルシート2と耐熱シート3との段差が生じない。
ここで、図4は、半導体加工用シート1Aを使用する状態を示す断面図であり、半導体加工用シート1Aにおけるフレキシブルシート2側の面(第1の粘着剤層21における粘着面)において、その周縁部はリングフレーム5に貼付され、中央部には半導体チップ4が設けられている。半導体加工用シート1Aは、このように、リングフレーム5に貼付した状態で搬送されることがあるが、当該搬送を行う場合においても、半導体加工用シート1Aには上述した段差が生じないため、当該段差が装置等に引っ掛かるといった搬送エラーが生じ難い。また、半導体加工用シート1Aは、フレキシブルシート2と耐熱シート3とを異なる形状に形成する必要がないため、比較的容易に製造することができる。
一方、第2の実施形態に係る半導体加工用シート1Bでは、フレキシブルシート2が、その周縁部の少なくとも一部に耐熱シート3が積層されていない領域23(以下「第1の領域23」という場合がある。)を有する。図2に示されるように、半導体加工用シート1Bの端部では、耐熱シート3と比較して、フレキシブルシート2が第1の領域23の分だけ突出している。
ここで、図5は、半導体加工用シート1Bを使用する状態を示す断面図であり、図4に示される半導体加工用シート1Aと同様に、半導体加工用シート1Bに対してリングフレーム5および半導体チップ4が設けられている。半導体加工用シート1Bでは、図5の状態を経た後に、フレキシブルシート2から耐熱シート3が剥離される。ここで、半導体加工用シート1Bでは、耐熱シート3の端部がフレキシブルシート2の端部よりも内側(半導体加工用シート1Bの中心側)にあるため、耐熱シート3をその端部から剥離しようとしたときに、フレキシブルシート2の端部を起点とする、フレキシブルシート2のリングフレーム5からの剥離が生じ難い。その結果、フレキシブルシート2がリングフレーム5から剥離することを抑制しながら、耐熱シート3のみを効果的に剥離することが可能となる。また、第1の領域23が存在することで、当該第1の領域23をリングフレーム5に対して押さえつけながら、耐熱シート3を剥離することが可能となり、この点からも、リングフレーム5からのフレキシブルシート2の剥離を効果的に抑制することが可能となる。
半導体加工用シート1Bでは、上記の通りリングフレーム5からのフレキシブルシート2の剥離が抑制されるため、当該剥離を防止する目的で、フレキシブルシート2とリングフレーム5との界面における粘着力を、フレキシブルシート2と耐熱シート3との界面における粘着力よりも大きくする必要が生じず、これらの粘着力を所望の大きさに設定することが可能となる。
第1の領域23の大きさは、上述した、リングフレーム5からのフレキシブルシート2の剥離を抑制する効果を良好に得るという観点から設定することが好ましい。例えば、フレキシブルシート2および耐熱シート3が、平面視で略円形の形状をそれぞれ有するとともに、これらの略円形が同心円となるように配置されている場合には、フレキシブルシート2における略円形と耐熱シート3における略円形との半径の差を調整することで、第1の領域23の大きさを制御することができる。この場合、フレキシブルシート2の半径の長さから耐熱シート3の半径の長さを減じることで得られる半径の差が、1mm以上であることが好ましく、特に3mm以上であることが好ましく、さらには5mm以上であることが好ましい。当該差が1mm以上であることで、上述した効果を良好に得ることができる。また、当該差は、30mm以下であることが好ましく、特に20mm以下であることが好ましく、さらには10mm以下であることが好ましい。当該差が30mm以下であることで、フレキシブルシート2に対して耐熱シート3が過度に小さくなることがなく、耐熱シート3を設けることに起因する耐熱性の効果を良好に得ることが可能となる。
第3の実施形態に係る半導体加工用シート1Cでは、耐熱シート3が、その周縁部の少なくとも一部にフレキシブルシート2が積層されていない領域33(以下「第2の領域33」という場合がある。)を有する。図3に示されるように、半導体加工用シート1Cの端部では、フレキシブルシート2と比較して、耐熱シート3が第2の領域33の分だけ突出している。
ここで、図6は、半導体加工用シート1Cを使用する状態を示す断面図であり、図4に示される半導体加工用シート1Aと同様に、半導体加工用シート1Cに対してリングフレーム5および半導体チップ4が設けられている。半導体加工用シート1Cでは、図6の状態を経た後に、フレキシブルシート2から耐熱シート3が剥離される。このとき、半導体加工用シート1Cの端部では、フレキシブルシート2と比較して、耐熱シート3が第2の領域33の分だけ突出していることで、この突出した部分を掴み具等で掴み易くなり、当該部分を起点として耐熱シート3を剥離することが容易となる。この点で、半導体加工用シート1Cは、耐熱シート3を剥離する際の作業性に優れる。また、半導体加工用シート1Cをリングフレーム5に貼付した状態(図6参照)では、耐熱シート3の突出した部分が、フレキシブルシート2の端部やリングフレーム5に接触した状態で保持され易い。そのため、半導体加工用シート1Cをリングフレーム5に貼付した状態で搬送する際には、当該突出した部分が装置等に引っ掛かるといった搬送エラーが生じ難い。
なお、半導体加工用シート1Cでは、フレキシブルシート2から耐熱シート3を剥離する際における、リングフレーム5からのフレキシブルシート2の剥離を防止する目的で、フレキシブルシート2とリングフレーム5との界面における粘着力を、フレキシブルシート2と耐熱シート3との界面における粘着力よりも大きくすることが好ましい。
第2の領域33の大きさは、上述した、耐熱シート3を剥離する際の作業性に関する効果や、搬送エラーを抑制する効果を良好に得るという観点から設定することが好ましい。例えば、フレキシブルシート2および耐熱シート3が、平面視で略円形の形状をそれぞれ有するとともに、これらの略円形が同心円となるように配置されている場合には、フレキシブルシート2における略円形と耐熱シート3における略円形との半径の差を調整することで、第1の領域23の大きさを制御することができる。この場合、耐熱シート3の半径の長さからフレキシブルシート2の半径の長さを減じることで得られる半径の差が、1mm以上であることが好ましく、特に3mm以上であることが好ましく、さらには5mm以上であることが好ましい。当該差が1mm以上であることで、上述した効果を良好に得ることができる。また、当該差は、30mm以下であることが好ましく、特に20mm以下であることが好ましく、さらには10mm以下であることが好ましい。当該差が30mm以下であることで、耐熱シート3の突出した部分が、半導体加工用シート1Cの取り扱いの妨げとなり難くなる。
なお、半導体加工用シート1A,1B,1Cにおいて、フレキシブルシート2および耐熱シート3の平面視における形状は、上述したような略円形に限定されず、楕円形状、多角形状、矩形状等であってもよい。また、当該形状は、使用される半導体ウエハの形状に対応した形状であってもよい。
また、半導体加工用シート1Bおよび半導体加工用シート1Cにそれぞれ設けられる第1の領域23および第2の領域33は、単一の半導体加工用シートに同時に設けられてもよい。このような半導体加工用シートの例としては、周縁部の一部が平面視で切り欠かれたフレキシブルシート2と、周縁部の一部が平面視で切り欠かれた耐熱シート3とを、それらの切り欠き部が重ならないように積層して得られる半導体加工用シートが挙げられる。当該半導体加工用シートでは、フレキシブルシート2の切り欠き部において第2の領域33が形成され、耐熱シート3の切り欠き部において第1の領域23が形成される。
2.フレキシブルシート
(1)第1の基材
半導体加工用シート1A,1B,1Cでは、第1の基材22の23℃における引張弾性率が、50MPa以上であり、70MPa以上であることが好ましく、特に80MPa以上であることが好ましい。また、当該引張弾性率は、1000MPa以下であり、700MPa以下であることが好ましく、特に500MPa以下であることが好ましい。当該引張弾性率が50MPa未満であると、半導体加工用シート1A,1B,1C上に半導体ウエハや半導体チップ4を積層した場合に、それらを十分に支持することができなくなる。また、当該引張弾性率が1000MPaを超えると、フレキシブルシート2の柔軟性が低下し、フレキシブルシート2を介して半導体チップ4を突き上げることが困難となったり、フレキシブルシート2をエキスパンドする場合に十分に延伸できなくなる。上記引張弾性率の測定方法は、後述する実施例の欄に記載する通りである。
第1の基材22は、融点が100℃以上の材料からなることが好ましく、特に融点が130℃以上の材料からなることが好ましく、さらには150℃以上の材料からなることが好ましい。第1の基材22を構成する材料の融点が100℃以上であることで、半導体加工用シート1A,1B,1Cを加熱する工程において第1の基材22が加熱されたとしても、溶融して耐熱シート3に固着してしまうことが抑制され、その後の、耐熱シート3を剥離する工程において、良好な剥離が可能となる。なお、第1の基材22を構成する材料の融点の上限について特に制限はないものの、通常、第1の基材22は、融点が500℃以下の材料からなることが好ましく、特に融点が400℃以下の材料からなることが好ましい。
第1の基材22としては、23℃における引張弾性率が上記範囲を満たし、好ましくは上記範囲の融点を有するものであれば、その構成材料は特に限定されず、通常は樹脂系の材料を主材とするフィルム(以下「樹脂フィルム」という。)から構成される。
第1の基材22のための樹脂フィルムの具体例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム、高密度ポリエチレン(HDPE)フィルム等のポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、エチレン−ノルボルネン共重合体フィルム、ノルボルネン樹脂フィルム等のポリオレフィン系フィルム;エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム等のエチレン系共重合フィルム;ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム等のポリ塩化ビニル系フィルム;ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム;ポリウレタンフィルム;ポリイミドフィルム;ポリスチレンフィルム;ポリカーボネートフィルム;フッ素樹脂フィルムなどが挙げられる。またこれらの架橋フィルム、アイオノマーフィルムのような変性フィルムも用いられる。上記の第1の基材22はこれらの1種からなるフィルムでもよいし、さらにこれらを2種類以上組み合わせた積層フィルムであってもよい。上記の中でも、優れた柔軟性を示すという観点から、ポリプロピレンフィルムが好ましい。
第1の基材22に対して第1の粘着剤層21を積層する場合、第1の粘着剤層21との密着性を向上させる目的で、第1の基材22における第1の粘着剤層21を積層する面には、酸化法や凹凸化法などによる表面処理、あるいはプライマー処理を施してもよい。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン、紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶射処理法などが挙げられる。
また、第1の基材22における耐熱シート3と接触する面には、第1の基材22から耐熱シート3を剥離し易くする目的で、剥離処理を施してもよい。剥離処理としては、例えば、当該面に対して剥離剤を塗布することができる。当該剥離剤の例としては、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、長鎖アルキル系剥離剤等が挙げられる。また、当該面に、マット加工などにより凹凸を形成することで、剥離性を向上させることもできる。マット加工とは、表面を物理的に粗面化する加工のことをいい、例としては、エンボス加工法、サンドブラスト加工法等が挙げられる。
第1の基材22は、上記樹脂フィルム中に、着色剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、フィラー等の各種添加剤を含有してもよい。
後述するように、第1の粘着剤層21が、活性エネルギー線により硬化する材料を含む場合、第1の基材22は活性エネルギー線に対する透過性を有することが好ましい。
第1の基材22の厚さは、20μm以上であることが好ましく、特に25μm以上であることが好ましく、さらには50μm以上であることが好ましい。また、当該厚さは、450μm以下であることが好ましく、特に400μm以下であることが好ましく、さらには350μm以下であることが好ましい。該厚さが20μm以上であることで、半導体加工用シート1A,1B,1C上に半導体ウエハや半導体チップ4等を良好に支持することができる。また、当該厚さが450μm以下であることで、半導体加工用シート1A,1B,1Cを半導体ウエハや半導体チップ4等に対して良好に貼付し易くなるとともに、半導体加工用シート1A,1B,1Cをロール状に巻き取った際に、フレキシブルシート2と耐熱シート3との界面における剥離を抑制することができる。
(2)第1の粘着剤層
第1の粘着剤層21は、第1の基材22とは反対の面(粘着面)が、半導体ウエハや半導体チップ4を固定できるとともに、リングフレーム5に貼付できるものであれば、特に限定されない。ただし、半導体加工用シート1A,1B,1Cの加熱工程の際に、第1の粘着剤層21が溶融して、リングフレーム5、半導体ウエハおよび半導体チップ4等に固着してしまうことを防ぐため、第1の粘着剤層21は、加熱工程において完全に溶融しない程度の耐熱性を有することが好ましい。
第1の粘着剤層21は、非エネルギー線硬化性粘着剤から構成されてもよいし、エネルギー線硬化性粘着剤から構成されてもよい。非エネルギー線硬化性粘着剤としては、所望の粘着力および再剥離性を有するものが好ましく、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤等を使用することができる。これらの中でも、フレキシブルシート2をエキスパンド等した際に半導体チップ4の脱落を効果的に抑制することのできるアクリル系粘着剤が好ましい。
一方、エネルギー線硬化性粘着剤は、エネルギー線照射により硬化して粘着力が低下するため、半導体チップ4とフレキシブルシート2とを分離させたいときに、エネルギー線照射することにより、容易に分離させることができる。
第1の粘着剤層21を構成するエネルギー線硬化性粘着剤は、エネルギー線硬化性を有するポリマーを主成分とするものであってもよいし、非エネルギー線硬化性ポリマー(エネルギー線硬化性を有しないポリマー)と少なくとも1つ以上のエネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとの混合物を主成分とするものであってもよい。また、エネルギー線硬化性を有するポリマーと非エネルギー線硬化性ポリマーとの混合物であってもよいし、エネルギー線硬化性を有するポリマーと少なくとも1つ以上のエネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとの混合物であってもよいし、それら3種の混合物であってもよい。
最初に、エネルギー線硬化性粘着剤が、エネルギー線硬化性を有するポリマーを主成分とする場合について、以下説明する。
エネルギー線硬化性を有するポリマーは、側鎖にエネルギー線硬化性を有する官能基(エネルギー線硬化性基)が導入された(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)(以下「エネルギー線硬化型重合体(A)」という場合がある。)であることが好ましい。このエネルギー線硬化型重合体(A)は、官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)と、その官能基に結合する官能基を有する不飽和基含有化合物(a2)とを反応させて得られるものであることが好ましい。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの両方を意味する。他の類似用語も同様である。
アクリル系共重合体(a1)は、官能基含有モノマーから導かれる構成単位と、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体から導かれる構成単位とを含むことが好ましい。
アクリル系共重合体(a1)の構成単位としての官能基含有モノマーは、重合性の二重結合と、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基とを分子内に有するモノマーであることが好ましい。
ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミノ基含有モノマーまたは置換アミノ基含有モノマーとしては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、n−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル系共重合体(a1)を構成する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、アルキル基の炭素数が1〜20であるアルキル(メタ)アクリレートの他、例えば、分子内に脂環式構造を有するモノマー(脂環式構造含有モノマー)が好ましく用いられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、特にアルキル基の炭素数が1〜18であるアルキル(メタ)アクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が好ましく用いられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
脂環式構造含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル等が好ましく用いられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル系共重合体(a1)は、上記官能基含有モノマーから導かれる構成単位を、好ましくは1質量%以上、特に好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上の割合で含有する。また、アクリル系共重合体(a1)は、上記官能基含有モノマーから導かれる構成単位を、好ましくは35質量%以下、特に好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下の割合で含有する。
さらに、アクリル系共重合体(a1)は、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体から導かれる構成単位を、好ましくは50質量%以上、特に好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上の割合で含有する。また、アクリル系共重合体(a1)は、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体から導かれる構成単位を、好ましくは99質量%以下、特に好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下の割合で含有する。
アクリル系共重合体(a1)は、上記のような官能基含有モノマーと、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体とを常法で共重合することにより得られるが、これらモノマーの他にもジメチルアクリルアミド、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、スチレン等が共重合されてもよい。
上記官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)を、その官能基に結合する官能基を有する不飽和基含有化合物(a2)と反応させることにより、エネルギー線硬化型重合体(A)が得られる。
不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基は、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基含有モノマー単位の官能基の種類に応じて、適宜選択することができる。例えば、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基がヒドロキシ基、アミノ基または置換アミノ基の場合、不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基としてはイソシアネート基またはエポキシ基が好ましく、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基がエポキシ基の場合、不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基としてはアミノ基、カルボキシ基またはアジリジニル基が好ましい。
また上記不飽和基含有化合物(a2)には、エネルギー線重合性の炭素−炭素二重結合が、1分子中に少なくとも1個、好ましくは1〜6個、さらに好ましくは1〜4個含まれている。このような不飽和基含有化合物(a2)の具体例としては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、アリルイソシアネート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、2−(1−アジリジニル)エチル(メタ)アクリレート、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等が挙げられる。
上記不飽和基含有化合物(a2)は、上記アクリル系共重合体(a1)の官能基含有モノマーモル数に対して、好ましくは50モル%以上、特に好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上の割合で用いられる。また、上記不飽和基含有化合物(a2)は、上記アクリル系共重合体(a1)の官能基含有モノマーモル数に対して、好ましくは95モル%以下、特に好ましくは93モル%以下、さらに好ましくは90モル%以下の割合で用いられる。
アクリル系共重合体(a1)と不飽和基含有化合物(a2)との反応においては、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基と不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基との組合せに応じて、反応の温度、圧力、溶媒、時間、触媒の有無、触媒の種類を適宜選択することができる。これにより、アクリル系共重合体(a1)中に存在する官能基と、不飽和基含有化合物(a2)中の官能基とが反応し、不飽和基がアクリル系共重合体(a1)中の側鎖に導入され、エネルギー線硬化型重合体(A)が得られる。
このようにして得られるエネルギー線硬化型重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、1万以上であるのが好ましく、特に15万以上であるのが好ましく、さらには20万以上であるのが好ましい。また、当該重量平均分子量(Mw)は、150万以下であるのが好ましく、特に100万以下であるのが好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
エネルギー線硬化性粘着剤が、エネルギー線硬化型重合体(A)といったエネルギー線硬化性を有するポリマーを主成分とする場合であっても、エネルギー線硬化性粘着剤は、エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)をさらに含有してもよい。
エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)としては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル等を使用することができる。
かかるエネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の単官能性アクリル酸エステル類、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等の多官能性アクリル酸エステル類、ポリエステルオリゴ(メタ)アクリレート、ポリウレタンオリゴ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エネルギー線硬化型重合体(A)に対し、エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)を配合する場合、エネルギー線硬化性粘着剤中におけるエネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)の含有量は、エネルギー線硬化型重合体(A)100質量部に対して、0質量部超であることが好ましく、特に60質量部以上であることが好ましい。また、当該含有量は、エネルギー線硬化型重合体(A)100質量部に対して、250質量部以下であることが好ましく、特に200質量部以下であることが好ましい。
ここで、エネルギー線硬化性粘着剤を硬化させるためのエネルギー線として紫外線を用いる場合には、光重合開始剤(C)を添加することが好ましく、この光重合開始剤(C)の使用により、重合硬化時間および光線照射量を少なくすることができる。
光重合開始剤(C)としては、具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン、(2,4,6−トリメチルベンジルジフェニル)フォスフィンオキサイド、2−ベンゾチアゾール−N,N−ジエチルジチオカルバメート、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−プロペニル)フェニル]プロパノン}、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤(C)は、エネルギー線硬化型共重合体(A)(エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)を配合する場合には、エネルギー線硬化型共重合体(A)およびエネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)の合計量100質量部)100質量部に対して0.1質量部以上、特に0.5質量部以上の量で用いられることが好ましい。また、光重合開始剤(C)は、エネルギー線硬化型共重合体(A)(エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)を配合する場合には、エネルギー線硬化型共重合体(A)およびエネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)の合計量100質量部)100質量部に対して10質量部以下、特に6質量部以下の量で用いられることが好ましい。
エネルギー線硬化性粘着剤においては、上記成分以外にも、適宜他の成分を配合してもよい。他の成分としては、例えば、非エネルギー線硬化性ポリマー成分またはオリゴマー成分(D)、架橋剤(E)等が挙げられる。
非エネルギー線硬化性ポリマー成分またはオリゴマー成分(D)としては、例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリオレフィン等が挙げられ、重量平均分子量(Mw)が3000〜250万のポリマーまたはオリゴマーが好ましい。当該成分(D)をエネルギー線硬化性粘着剤に配合することにより、硬化前における粘着性および剥離性、硬化後の強度、他の層との接着性、保存安定性などを改善し得る。当該成分(D)の配合量は特に限定されず、エネルギー線硬化型共重合体(A)100質量部に対して0質量部超、50質量部以下の範囲で適宜決定される。
架橋剤(E)としては、エネルギー線硬化型共重合体(A)等が有する官能基との反応性を有する多官能性化合物を用いることができる。このような多官能性化合物の例としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アミン化合物、メラミン化合物、アジリジン化合物、ヒドラジン化合物、アルデヒド化合物、オキサゾリン化合物、金属アルコキシド化合物、金属キレート化合物、金属塩、アンモニウム塩、反応性フェノール樹脂等を挙げることができる。
架橋剤(E)の配合量は、エネルギー線硬化型共重合体(A)100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、特に0.03質量部以上であることが好ましく、さらには0.04質量部以上であることが好ましい。また、架橋剤(E)の配合量は、エネルギー線硬化型共重合体(A)100質量部に対して、30質量部以下であることが好ましく、特に20質量部以下であることが好ましく、さらには15質量部以下であることが好ましい。
次に、エネルギー線硬化性粘着剤が、非エネルギー線硬化性ポリマー成分と少なくとも1つ以上のエネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとの混合物を主成分とする場合について、以下説明する。
非エネルギー線硬化性ポリマー成分としては、例えば、前述したアクリル系共重合体(a1)と同様の成分が使用できる。
少なくとも1つ以上のエネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとしては、前述の成分(B)と同じものが選択できる。非エネルギー線硬化性ポリマー成分と少なくとも1つ以上のエネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとの配合比は、非エネルギー線硬化性ポリマー成分100質量部に対して、少なくとも1つ以上のエネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーが1質量部以上であるのが好ましく、特に60質量部以上であるのが好ましい。また、当該配合比は、非エネルギー線硬化性ポリマー成分100質量部に対して、少なくとも1つ以上のエネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーが200質量部以下であるのが好ましく、特に160質量部以下であるのが好ましい。
この場合においても、上記と同様に、光重合開始剤(C)や架橋剤(E)を適宜配合することができる。
第1の粘着剤層21の厚さは、特に限定されず、例えば、3μm以上であることが好ましく、特に5μm以上であることが好ましい。また、当該厚さは、50μm以下であることが好ましく、特に40μm以下であることが好ましい。
3.耐熱シート
(1)第2の基材
半導体加工用シート1A,1B,1Cにおいて、第2の基材32は、融点が150℃以上の材料からなることが好ましく、特に融点が200℃以上の材料からなることが好ましく、さらには融点が250℃以上の材料からなることが好ましい。第2の基材32を構成する材料の融点が150℃以上であることで、半導体加工用シート1A,1B,1Cを加熱する工程において、加熱による半導体加工用シート1A,1B,1Cの変形が効果的に抑制されるため、半導体加工用シート1A,1B,1C上に設けられた半導体チップ4を所望の温度、時間で加熱することができる。なお、第2の基材32を構成する材料の融点の上限について特に制限はないものの、通常、第2の基材32は、融点が550℃以下の材料からなることが好ましく、特に融点が450℃以下の材料からなることが好ましく、さらには融点が350℃以下の材料からなることが好ましい。なお、上記融点の測定方法は、後述する実施例の欄に記載する通りである。
半導体加工用シート1A,1B,1Cにおいて、第2の基材32は、膨張率が3.0%以下である材料からなることが好ましく、特に膨張率が2.0%以下の材料からなることが好ましく、さらには膨張率が1.0%以下の材料からなることが好ましい。本願明細書において、膨張率とは、熱機械分析装置を用いて、荷重0.2gの下、10℃/分の昇温温度で、対象となる材料を23℃から120℃まで加熱したときの膨張率をいい、その測定方法は後述する実施例の欄に示す通りである。第2の基材32を構成する材料の膨張率が3.0%以下であることで、半導体加工用シート1A,1B,1Cを加熱する工程において、加熱による半導体加工用シート1A,1B,1Cの変形が効果的に抑制されるため、半導体加工用シート1A,1B,1C上に設けられた半導体チップ4を所望の温度、時間で加熱することができる。なお、第2の基材32を構成する材料の膨張率の下限について特に制限はないものの、通常、第2の基材32は、膨張率が−3.0%以上である材料からなることが好ましく、特に膨張率が−2.0%以上の材料からなることが好ましく、さらには膨張率が−1.0%以上の材料からなることが好ましい。
半導体加工用シート1A,1B,1Cでは、第2の基材32の120℃における引張弾性率が、100MPa以上であることが好ましく、特に500MPa以上であることが好ましく、さらには1000MPa以上であることが好ましい。また、当該引張弾性率は、100000MPa以下であることが好ましく、特に10000MPa以下であることが好ましく、8000MPa以下であることが好ましい。当該引張弾性率が上記範囲であることで、半導体加工用シート1A,1B,1Cを加熱する工程において、加熱による半導体加工用シート1A,1B,1Cの変形が効果的に抑制され、その結果、半導体加工用シート1A,1B,1C上に設けられた半導体チップ4を効果的に加熱することができる。上記引張弾性率の測定方法は、後述する実施例の欄に記載する通りである。
第2の基材32としては、上記範囲の融点を有する材料からなるか、上記範囲の膨張率を有する材料からなるか、または、120℃における引張弾性率が上記範囲を満たすものであれば、その構成材料は特に限定されない。通常、第2の基材32は、樹脂系の材料を主材とするフィルム(以下「樹脂フィルム」という。)から構成される。
第2の基材32のための樹脂フィルムとしては、第1の基材22のための樹脂フィルムとして前述したものを使用することができる。第2の基材32においては、耐熱性に優れるという観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムポリブチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルムまたはポリイミドフィルムを使用することが好ましい。また、その他の耐熱性に優れる樹脂フィルムとして、ポリエーテルイミドフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルムを使用してもよい。特に、第1の粘着剤層21および第2の粘着剤層31の少なくとも一方がエネルギー線硬化性粘着剤から構成される場合には、エネルギー線の透過性に優れるポリエチレンテレフタレートフィルムを使用することが好ましい。
また、第2の基材32は、耐熱性を有するコート層(以下「耐熱コート層」という場合がある。)であってもよい。耐熱コート層は、第1の基材22における第1の粘着剤層21とは反対側の面に、コート剤を塗工し、硬化させることで形成することができる。
上記コート剤の例としては、エネルギー線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂等が挙げられ、特にエネルギー線硬化型樹脂が好ましい。エネルギー線硬化型樹脂としては、低分子量で多官能のエネルギー線硬化性化合物を比較的多く含むものが好ましい。このようなエネルギー線硬化性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが用いられる。
また、第1の基材22との密着を向上させるため、コート剤としてのエネルギー線硬化型樹脂の成分中にバインダー成分を添加してもよい。このようなバインダー成分としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
また、コート剤としてのエネルギー線硬化型樹脂は、側鎖にエネルギー線硬化性の官能基を有するポリマーであってもよい。このようなポリマーを使用することで、架橋密度を下げることなく第1の基材22との密着性を向上させることができる。このようなポリマーとしては、例えば、主鎖がアクリルポリマーであり、側鎖にエネルギー線硬化性二重結合やエポキシ基を官能基として有するものが使用できる。
コート剤としてエネルギー線硬化型樹脂を使用する場合、当該エネルギー線硬化型樹脂を第1の基材22における第1の粘着剤層21とは反対側の面に塗工した後、例えば250mJ/cmの照射条件で紫外線照射するという条件で硬化させることで、耐熱コート層を形成することができる。
また、第2の基材32として、自己粘着性または自己接着性を有する樹脂フィルムを使用してもよい。このような樹脂フィルムを第2の基材32として使用する場合、耐熱シート3は第2の粘着剤層31を含まないものとすることができ、半導体加工用シート1A,1B,1Cの製造工程を簡素化することができる。このような樹脂フィルムとしては、ガラス転移温度(Tg)が20℃以下である樹脂からなるフィルムを使用することが好ましく、特にTgが0℃以下である樹脂からなるフィルムを使用することが好ましく、さらにはTgが−20℃以下である樹脂からなるフィルムを使用することが好ましい。
第2の基材32に対して第2の粘着剤層31を積層する場合、第2の粘着剤層31との密着性を向上させる目的で、第2の基材32における第2の粘着剤層31を積層する面には、第1の基材22と同様に、表面処理やプライマー処理を施してもよい。
第2の基材32は、上記樹脂フィルム中に、着色剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、フィラー等の各種添加剤を含有してもよい。
第1の粘着剤層21および第2の粘着剤層31の少なくとも一方が、活性エネルギー線により硬化する材料を含む場合、第2の基材32は活性エネルギー線に対する透過性を有することが好ましい。
第2の基材32の厚さは、10μm以上であることが好ましく、特に25μm以上であることが好ましく、さらには30μm以上であることが好ましい。また、当該厚さは、200μm以下であることが好ましく、特に150μm以下であることが好ましく、さらには100μm以下であることが好ましい。当該厚さが10μm以上であることで、加熱工程において、半導体加工用シート1A,1B,1Cの加熱による変形を抑制する効果を十分に得ることができる。当該厚さが200μm以下であることで、半導体加工用シート1A,1B,1Cを半導体ウエハや半導体チップ4等に対して良好に貼付し易くなるとともに、半導体加工用シート1A,1B,1Cをロール状に巻き取った際に、フレキシブルシート2と耐熱シート3との界面における剥離を抑制することができる。
(2)第2の粘着剤層
耐熱シート3は、第2の基材32におけるフレキシブルシート2の面側に第2の粘着剤層31を備えていてもよい。耐熱シート3が第2の粘着剤層31を備えることで、フレキシブルシート2に対する耐熱シート3の粘着力を後述する範囲に調整し易くなる。
耐熱シート3が第2の粘着剤層31を備える場合、第2の粘着剤層31の粘着力比が、0.5以上であることが好ましく、特に0.7以上であることが好ましく、さらには0.9以上であることが好ましい。また、当該粘着力比は、10以下であることが好ましく、特に5以下であることが好ましく、さらには3以下であることが好ましい。
ここで、第2の粘着剤層31の粘着力比とは、半導体加工用シート1A,1B,1Cを120℃で1時間加熱する前における、第2の粘着剤層31の第1の基材22に対する粘着力をFa、半導体加工用シート1A,1B,1Cを120℃で1時間加熱した後における、第2の粘着剤層31の第1の基材22に対する粘着力をFbとしたときに、下記式(2)
粘着力比=Fb/Fa … (2)
から算出される粘着力比をいう。
なお、上記粘着力Faは、上記加熱前の半導体加工用シート1A,1B,1Cにおいて、フレキシブルシートから耐熱シートのみを剥がしたときの粘着力として測定することができる。また、上記粘着力Fbは、上記加熱後の半導体加工用シート1A,1B,1Cにおいて、フレキシブルシートから耐熱シートのみを剥がしたときの粘着力として測定することができる。これらの測定方法の詳細は、後述する試験例に記載する通りである。
上記粘着力比が10以下であることで、耐熱シート3のフレキシブルシート2に対する粘着力が、加熱工程によって極端に上昇することがなく、加熱工程後においても、耐熱シート3を良好に剥離することが可能となる。また、上記粘着力比が0.5以上であることで、耐熱シート3のフレキシブルシート2に対する粘着力が、加熱工程によって極端に低下することがなく、耐熱シート3がフレキシブルシート2から意図せず剥離することを抑制することができる。
第2の粘着剤層31を構成する粘着剤としては、特に限定されないものの、粘着力比の上記範囲を達成し易く、また、耐熱性を有するものであることが好ましい。
第2の粘着剤層31を構成する具体的な粘着剤としては、第1の粘着剤層21を構成するものとして前述した粘着剤を使用することができる。
第2の粘着剤層31を構成する粘着剤は、エネルギー線硬化性粘着剤であってもよい。この場合、フレキシブルシート2から耐熱シート3を剥離する際に、第2の粘着剤層31にエネルギー線を照射してその粘着力を低下させることで、容易に当該剥離を行うことができる。なお、第1の粘着剤層21および第2の粘着剤層31が、ともにエネルギー線硬化性粘着剤からなると、一方の粘着剤層のみにエネルギー線を照射することは困難であるため、両方同時にエネルギー線硬化により粘着力が低下してしまう。この場合、他方の粘着剤では、意図しない段階において粘着力が低下するものとなる。そのため、第1の粘着剤層21および第2の粘着剤層31は、一方がエネルギー線硬化性粘着剤からなる場合には、他方を非エネルギー線硬化性粘着剤とすることで、粘着力の制御が容易となる。
第2の粘着剤層31の厚さは、特に限定されず、例えば、3μm以上であることが好ましく、特に5μm以上であることが好ましい。また、当該厚さは、50μm以下であることが好ましく、特に40μm以下であることが好ましい。
4.剥離シート
半導体加工用シート1A,1B,1Cでは、フレキシブルシート2における耐熱シート3とは反対の面を半導体ウエハや半導体チップ4等に貼付するまでの間、当該面を保護する目的で、当該面に剥離シートが積層されていてもよい。剥離シートの構成は任意であり、プラスチックフィルムを剥離剤等により剥離処理したものが例示される。プラスチックフィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、およびポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。剥離剤としては、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系等を用いることができ、これらの中で、安価で安定した性能が得られるシリコーン系が好ましい。剥離シートの厚さについては特に制限はないが、通常20μm以上、250μm以下である。
5.物性等
半導体加工用シート1A,1B,1Cでは、半導体加工用シート1A,1B,1Cにおけるフレキシブルシート2側の面をステンレスチール板に貼付したときの、半導体加工用シート1A,1B,1Cのステンレスチール板に対する粘着力をF1とし、半導体加工用シート1A,1B,1Cを構成するフレキシブルシート2および耐熱シート3について、耐熱シート3のフレキシブルシート2に対する粘着力をF2としたときに、下記式(1)
F1>F2 … (1)
の関係を満たすことが好ましい。
上記式(1)の関係を満たすことで、半導体加工用シート1A,1B,1Cのフレキシブルシート2側の面をリングフレーム5に貼付した状態で、耐熱シート3をフレキシブルシート2から剥離する際に、フレキシブルシート2がリングフレーム5から剥離することを防止しながら、耐熱シート3を良好に剥離することが可能となる。特に、半導体加工用シート1Cを使用する場合(図6参照)、耐熱シート3端部の突出部分を掴み易いことにより剥離作業を行い易いという利点と、フレキシブルシート2がリングフレーム5から剥離することを防止できるという利点とを両立できるため、上記式(1)を満たすことが特に好ましい。なお、上記粘着力F1および粘着力F2は、半導体加工用シート1A,1B,1Cに対して加熱処理を施さない状態で測定されるものであり、測定方法の詳細は、後述する試験例に記載する通りである。
6.半導体加工用シートの製造方法
半導体加工用シート1A,1B,1Cの製造方法としては、特に限定されず、例えば、最初にフレキシブルシート2および耐熱シート3をそれぞれ作製した後、それらを積層することで半導体加工用シート1A,1B,1Cを得ることができる。あるいは、半導体加工用シート1A,1B,1Cを構成する各層を順に積層することで、半導体加工用シート1A,1B,1Cを得てもよい。
以下に、フレキシブルシート2および耐熱シート3をそれぞれ作製した後、それらを積層することで半導体加工用シート1A,1B,1Cを製造法する方法を説明する。
フレキシブルシート2は、例えば、第1の粘着剤層21のための粘着性組成物を使用して、第1の基材22の片面に第1の粘着剤層21を積層することで得ることができ、その詳細な方法は特に限定されない。
フレキシブルシート2の製造方法の一例を挙げれば、上記粘着性組成物、および所望によりさらに溶媒または分散媒を含有する塗工液を調製し、前述した剥離シートにおける剥離処理した面(以下「剥離面」という場合がある。)上に、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、スリットコーター、ナイフコーター等によりその塗工液を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥させることにより、第1の粘着剤層21と剥離シートとからなる積層体を形成することができる。塗工液は、塗布を行うことが可能であればその性状は特に限定されず、第1の粘着剤層21を形成するための成分を溶質として含有する場合もあれば、分散質として含有する場合もある。上記積層体を得た後、その第1の粘着剤層21における剥離シート側の面と反対側の面を、第1の基材22に貼付することで、剥離シートが積層されたフレキシブルシート2を得ることができる。
フレキシブルシート2の製造方法の別の例としては、上記塗工液を、第1の基材22の片面上に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥させることにより、フレキシブルシート2を得てもよい。
塗工液が架橋剤を含有する場合には、上記の乾燥の条件(温度、時間など)を変えることにより、または加熱処理を別途設けることにより、塗膜内の非エネルギー線硬化性ポリマーまたはエネルギー線硬化型重合体(A)と架橋剤(E)との架橋反応を進行させ、第1の粘着剤層21内に所望の存在密度で架橋構造を形成させればよい。この架橋反応を十分に進行させるために、上記の方法などによって第1の基材22に第1の粘着剤層21を積層させた後、得られたフレキシブルシート2を、例えば23℃、相対湿度50%の環境に数日間静置するといった養生を行ってもよい。
耐熱シート3が第2の粘着剤層31と第2の基材32とを備える場合、当該耐熱シート3もフレキシブルシート2と同様に製造することができる。すなわち、第2の粘着剤層31のための粘着性組成物を用いて、剥離シート上に第2の粘着剤層31を形成した後、第2の粘着剤層31における剥離シート側の面と反対側の面を第2の基材32に貼付することで、剥離シートが積層された耐熱シート3を得ることができる。あるいは、上記粘着性組成物を用いて、第2の基材32上に第2の粘着剤層31を形成することで、耐熱シート3を得ることができる。
得られたフレキシブルシート2および耐熱シート3を積層する方法は特に限定されず、例えば、フレキシブルシート2における第1の基材22側の面と、耐熱シート3における第2の粘着剤層31側の面とを、温度23℃において、ロールラミネータ等を用いて貼り合せることで、半導体加工用シート1A,1B,1Cを得ることができる。
フレキシブルシート2と耐熱シート3とが平面視で略同一形状である半導体加工用シート1A(図1参照)については、平面視で略同一の形状に形成したフレキシブルシート2および耐熱シート3を貼り合わせることで得てもよい。あるいは、フレキシブルシート2および耐熱シート3を貼り合わせた後、所望の形状を有する半導体加工用シート1Aを打ち抜き等により切断してもよい。
平面視でフレキシブルシート2の方が耐熱シート3よりも大きいことにより、第1の領域23が存在する半導体加工用シート1B(図2参照)については、フレキシブルシート2および耐熱シート3を予め所望の形状(すなわち、完成した半導体加工用シート1Bにおけるそれぞれの形状)に形成し、それらを貼り合わせることで得てもよい。あるいは、フレキシブルシート2および耐熱シート3を貼り合わせた後、これらのシートの積層体または各シートを適宜切断(ハーフカット)して、フレキシブルシート2および耐熱シート3がそれぞれ所望の形状となるようにしてもよい。さらには、予め所望の形状に形成された耐熱シート3をフレキシブルシート2に積層した後、フレキシブルシート2のみを所望の形状に切断してもよい。
平面視で耐熱シート3の方がフレキシブルシート2よりも大きいことにより、第2の領域33が存在する半導体加工用シート1C(図3参照)については、フレキシブルシート2および耐熱シート3を予め所望の形状に形成し、それらを貼り合わせることで得てもよい。あるいは、予め所望の形状に形成されたフレキシブルシート2を耐熱シート3に積層した後、耐熱シート3をのみを所望の形状に切断してもよい。
7.半導体加工用シートの使用方法
半導体加工用シート1A,1B,1Cは、半導体装置を製造する方法に使用することができる。特に、半導体加工用シート1A,1B,1Cは、半導体装置を半導体加工用シート1A,1B,1C上で加熱する工程および半導体装置を半導体加工用シート1A,1B,1Cからピックアップする工程の少なくとも一方を含む半導体装置の製造方法に使用することが好ましい。このような、半導体装置の製造方法の詳細については後述する。
〔半導体装置の製造方法〕
本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法は、前述した半導体加工用シート1A,1B,1Cを使用して、半導体装置を製造する方法である。本実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例は、少なくとも、チップ準備工程、加熱工程、剥離工程およびピックアップ工程を備える。これらの各工程について、以下に説明する。
(1)チップ準備工程
最初に、チップ準備工程として、半導体加工用シート1A,1B,1Cにおける第1の粘着剤層21側の面上に複数の半導体チップ4を設ける。図4〜図6には、半導体加工用シート1A,1B,1Cの第1の粘着剤層21側の面における中央部上に、複数の半導体チップ4が設けられている状態が示されている。また、当該面の周縁部には、リングフレーム5も貼付されている。
半導体加工用シート1A,1B,1C上に複数の半導体4を設ける方法は、特に限定されず、例えば、半導体加工用シート1A,1B,1Cの第1の粘着剤層21側の面に半導体ウエハを貼付した後、当該半導体ウエハを半導体加工用シート1A,1B,1C上でダイシングにより個片化することで、半導体チップ4を形成してもよい。
上記ダイシングの方法は特に限定されず、一般的な方法で行うことができる。例えば、ダイシングブレードを用いることで、またはレーザ光を照射することで、半導体ウエハを完全に分断し、複数の半導体チップ4に個片化してもよい。あるいは、レーザ光の照射により半導体ウエハ内部に改質層を形成し、後述するエキスパンド工程においてフレキシブルシート2を引き延ばすことで、半導体ウエハを改質層の位置で破断して、半導体チップ4に個片化してもよい(ステルスダイシング)。
半導体加工用シート1A,1B,1C上に複数の半導体チップ4を設ける別の方法として、半導体加工用シート1A,1B,1Cとは別のダイシングシートを用いて、半導体ウエハをダイシングし、形成された複数の半導体チップ4を、半導体加工用シート1A,1B,1Cに転写することで設けてもよい。
(2)加熱工程
次に、加熱工程として、半導体加工用シート1A,1B,1C上の半導体チップ4を加熱する。当該加熱は、種々の目的のために行われるものであってよい。例えば、半導体チップ4に対して蒸着やスパッタリング等の処理を行う際における、半導体チップ4の副次的な加熱であってもよく、脱湿のために半導体チップ4をベーキングする際の加熱であってもよく、または、高温環境に対する耐久試験のための、半導体チップ4の加熱であってもよい。
加熱する方法は特に限定されず、加熱の目的に応じて決定される。特に、高温環境に対する耐久試験を行う場合には、半導体加工用シート1A,1B,1Cにおける半導体チップ4が積層されている面とは反対の面を加熱テーブルに載置することで加熱することが好ましい。当該加熱テーブルを用いた加熱の具体的方法は、後述する試験例に示す通りである。
加熱の温度は、加熱の目的に応じて設定することができるが、例えば、80℃以上であることが好ましく、特に100℃以上であることが好ましい。また、当該温度は300℃以下であることが好ましく、特に270℃以下であることが好ましい。加熱時間も、加熱の目的に応じて設定することができるものの、例えば、10分以上であることが好ましく、特に30分以上であることが好ましく。また、加熱時間は、25時間以下であることが好ましく、特に10時間以下であることが好ましい。本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、半導体加工用シート1A,1B,1Cを用いることにより、これらの条件で加熱する場合であっても、加熱による半導体加工用シート1A,1B,1Cの変形が抑制され、その結果、加熱処理を良好に行うことができる。
(3)剥離工程
次に、剥離工程として、耐熱シート3をフレキシブルシート2から剥離する。半導体加工用シート1Aまたは半導体加工用シート1Bを使用する場合には、例えば、半導体加工用シート1Aの端部における、フレキシブルシート2と耐熱シート3との界面にカッター等の道具を差し込み、耐熱シート3の端部をフレキシブルシート2から剥がす。続いて、当該端部を掴み具等で掴み、耐熱シート3を引っ張りながら、フレキシブルシート2から引き剥がすことで行うことができる。
ここで、半導体加工用シート1Bでは、図2および図5に示されるように、半導体加工用シート1Bのフレキシブルシート2に第1の領域23が存在し、耐熱シート3の端部がフレキシブルシート2の端部よりも内側(半導体加工用シート1Bの中心側)に存在する。そのため、耐熱シート3の端部から剥離しようとしたときに、フレキシブルシート2の端部を起点とする、フレキシブルシート2のリングフレーム5からの剥離が生じ難い。また、第1の領域23をリングフレーム5に対して押さえつけながら、耐熱シート3を剥離することも可能となる。以上より、半導体加工用シート1Bを使用する場合、フレキシブルシート2のリングフレーム5からの剥離を抑制しながら、耐熱シート3のみを効果的に剥離することが可能となる。
半導体加工用シート1Cを使用する場合には、耐熱シート3の端部における、フレキシブルシート2の端部と比較して突出した部分(図3および図6参照)を掴み具等で掴み、当該部分を起点として耐熱シート3を剥離することができる。半導体加工用シート1Cでは、上記突出した部分を剥離の起点として使用できるため、剥離の作業性に優れる。
フレキシブルシート2から耐熱シート3を剥離する際において、耐熱シート3が、エネルギー線硬化性粘着剤から構成される第2の粘着剤層31を備えている場合には、第2の粘着剤層31に対してエネルギー線を照射して、第2の粘着剤層31のフレキシブルシート2に対する粘着力を低下させることで、上記剥離を容易に行えるようにしてもよい。このエネルギー線としては、例えば、電磁波または荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを使用でき、具体的には、紫外線や電子線などを使用することができる。特に、取扱いが容易な紫外線が好ましい。紫外線の照射は、高圧水銀ランプ、キセノンランプ等によって行うことができ、紫外線の照射量は、照度が50mW/cm以上、1000mW/cm以下であることが好ましい。また、光量は、50mJ/cm以上であることが好ましく、特に80mJ/cm以上であることが好ましく、さらには200mJ/cm以上であることが好ましい。また、光量は、10000mJ/cm以下であることが好ましく、特に5000mJ/cm以下であることが好ましく、さらには2000mJ/cm以下であることが好ましい。一方、電子線の照射は、電子線加速器等によって行うことができ、電子線の照射量は、10krad以上、1000krad以下が好ましい。
また、耐熱シート3を溶剤で洗浄したり、耐熱シート3を加熱して変形させることで、フレキシブルシート2に対する粘着性を低下させて、上記剥離を容易に行えるようにしてもよい。
(4)エキスパンド工程
上記剥離工程に続いて、エキスパンド工程を行ってもよい。エキスパンド工程では、フレキシブルシート2をエキスパンドして、半導体チップ4を離間する。エキスパンドの方法は特に限定されず、一般的な方法により行うことができる。
本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、フレキシブルシート2が優れた柔軟性を有するものであるため、エキスパンドを効果的に行うことができ、半導体チップ4を十分に離間することが可能となる。
(5)ピックアップ工程
続いて、ピックアップ工程として、フレキシブルシート2から半導体チップ4を個々にピックアップする。ピックアップの方法は特に限定されず、一般的な方法により行うことができる。
本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、フレキシブルシート2が優れた柔軟性を有するものであるため、フレキシブルシート2を介した半導体チップ4の突き上げを効果的に行うことができ、良好なピックアップすることが可能となる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、フレキシブルシート2における第1の粘着剤層21と第1の基材22との間、耐熱シート3における第2の粘着剤層31と第2の基材32との間、フレキシブルシート2と耐熱シート3との間、または耐熱シート3におけるフレキシブルシート2とは反対の面には、その他の層が設けられてもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1)粘着性組成物P1の調製
2−エチルヘキシルアクリレート50質量部(固形分換算,以下同じ)と、メチルアクリレート36質量部と、アクリル酸10質量部とを共重合させて、重量平均分子量が70万のアクリル系共重合体を得た。
得られたアクリル系重共重合体35質量部と、エネルギー線硬化性のオリゴマーとしての多官能型UV硬化性樹脂(日本合成化学工業社製,製品名「紫光UV−5806」)40質量部と、架橋剤としてのトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(TDI−TMP)(東ソー社製,製品名「コロネートL」)3質量部とを混合し、酢酸エチルにて希釈して、固形分の含有量が24質量%である粘着性組成物P1の塗布液を得た。
(2)粘着性組成物P2の調製
イソブチルアクリレート65質量部と、2−エチルヘキシルアクリレート20質量部と、メチルメタクリレート10質量部と、2−ヒドロキシエチルアクリレート5質量部とを共重合させて、重量平均分子量が70万のアクリル系共重合体を得た。
得られたアクリル系重共重合体40質量部と、架橋剤としてのトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(三井化学ポリウレタン社製,製品名「タケネートD−110N」)3質量部とを混合し、酢酸エチルにて希釈して、固形分の含有量が24質量%である粘着性組成物P2の塗布液を得た。
(3)耐熱シートの作製
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の主面がシリコーン系剥離剤によって剥離処理されてなる剥離フィルム(リンテック社製,製品名「SP−PET381031」)の剥離処理面上に、アプリケータを用いてギャップを調整しながら、上記工程(1)において調製した粘着性組成物P1の塗布液を塗布し、100℃で2分間乾燥させることで、厚さが10μmである第2の粘着剤層を形成し、剥離フィルムと第2の粘着剤層とからなる積層体を得た。
次に、第2の基材としての、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製,製品名「ルミラー50T60」,厚さ:50μm)の一方の面上に、剥離フィルムと第2の粘着剤層とからなる積層体における第2の粘着剤層側の面を貼付した。これにより、第2の基材と第2の粘着剤層とからなる耐熱シートを、第2の粘着剤層における第2の基材と反対側の面に剥離フィルムが積層された状態で得た。
なお、上記第2の基材の融点を、熱重量測定装置(パーキンエルマー社製,製品名「Pyris1」)を用いて測定したところ、260℃であった。具体的な測定方法としては、第2の基材を50℃から250℃まで毎分10℃で加熱し、DSC(示差走査熱量分析)測定を行い、吸熱ピークが観測される温度を融点とした。
また、上記第2の基材について、熱機械分析装置(Thermomechanical Analyzer,TMA)(ブルカーエーエックスエス社製,製品名「TMA4000SA」)を用いて、荷重0.2gの下、10℃/分の昇温温度で23℃から120℃まで加熱したときの、初期寸法L(mm)および最大寸法Lmax(mm)を測定し、以下式(3)
膨張率(%)=(Lmax−L)/L×100 … (3)
から膨張率を算出したところ、−0.1(%)であった。
さらに、上記第2の基材を15mm×140mmの試験片に裁断し、JIS K7127:1999に準拠して、23℃で測定される引張弾性率を測定したところ、4GPaであった。具体的な測定方法としては、上記試験片を、引張試験機(島津製作所製,製品名「オートグラフAG−IS 500N」等)にて、チャック間距離100mmに設定した後、200mm/分の速度で引張試験を行うことで、引張弾性率を得た。
(4)フレキシブルシートの作製
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の主面がシリコーン系剥離剤によって剥離処理されてなる剥離フィルム(リンテック社製,製品名「SP−PET381031」)の剥離処理面上に、アプリケータを用いてギャップを調整しながら、上記工程(2)において調製した粘着性組成物P2の塗布液を塗布し、100℃で2分間乾燥させることで、厚さが10μmである第1の粘着剤層を形成し、剥離フィルムと第1の粘着剤層とからなる積層体を得た。
次に、第1の基材としての、ポリプロピレンフィルム(DPF社製,製品名「PL105」,厚さ:140μm,)の一方の面上に、剥離フィルムと第1の粘着剤層とからなる積層体における第1の粘着剤層側の面を貼付した。これにより、第1の基材と第1の粘着剤層とからなるフレキシブルシートを、第1の粘着剤層における第1の基材と反対側の面に剥離フィルムが積層された状態で得た。
なお、第1の基材の融点を、第2の基材の融点と同様の測定方法で測定したところ、140℃であった。また、第1の基材におけるMD方向の引張弾性率を、第2の基材の引張弾性率の測定方法における測定時の温度を120℃から23℃に変更した方法にて測定したところ、200MPaであった。
(5)半導体加工用シートの作製
上記工程(3)で得られた剥離フィルムが積層された耐熱シートから剥離フィルムを剥離し、露出した第2の粘着剤層側の面と、上記工程(4)で得られた剥離フィルムが積層されたフレキシブルシートにおける第1の基材側の面とを、温度23℃でロールラミネータを用いて貼り合せた後、直径270mmの略円形に打ち抜くことで、半導体加工用シートを得た。なお、本実施例のように、フレキシブルシートと耐熱シートとの直径が同一である半導体加工用シートを、「A」型の半導体加工用シートということとする。
〔実施例2〜9,比較例1〜3〕
フレキシブルシートおよび耐熱シートの有無、第1の粘着剤層および第2の粘着剤層の形成のために用いた粘着性組成物の種類、ならびに、フレキシブルシートおよび耐熱シートの直径を表1に示すように変更する以外、実施例1と同様にして半導体加工用シートを製造した。
ただし、フレキシブルシートの直径の方が耐熱シートの直径よりも大きい半導体加工用シート(以下、「B」型の半導体加工用シートという。)については、耐熱シートを表1中に記載される直径で略円形に打ち抜き、これをフレキシブルシート上に積層した後、フレキシブルシートのみを表1中に記載される直径で略円形に打ち抜くことで、耐熱シートとフレキシブルシートとが同心円状に積層された半導体加工用シートを得た。
また、耐熱シートの直径の方がフレキシブルシートの直径よりも大きい半導体加工用シート(以下、「C」型の半導体加工用シートという。)については、フレキシブルシートを表1中に記載される直径で略円形に打ち抜き、これを耐熱シート上に積層した後、耐熱シートのみを表1中に記載される直径で略円形に打ち抜くことで、耐熱シートとフレキシブルシートとが同心円状に積層された半導体加工用シートを得た。
〔試験例1〕(粘着力の測定)
実施例および比較例にて製造した半導体加工用シートから剥離フィルムを剥離し、露出した第1の粘着剤層側の面と、ステンレススチール板(SUS#304鏡面板,算術平均粗さRa:0.05μm)の片面とを、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、2kgゴムローラーを用いて貼り合わせ、20分静置した。比較例3については、20分静置後のものをサンプルとした。また、多官能型UV硬化性樹脂を含有する粘着性組成物P1を用いて製造した実施例1〜9および比較例1〜2については、さらに、半導体加工用シートにおけるステンレススチール板と貼合した面とは反対側から紫外線(照度230mW/cm、光量190mJ/cm)を照射したものをサンプルとした。
得られたサンプルについて、万能型引張試験機(島津製作所社製,製品名「オートグラフAG−IS」)を用いて、JIS Z0237に準じて、剥離角度180°および剥離速度300mm/minで、ステンレススチール板から半導体加工用シートを剥がし、そのときの粘着力F1(mN/25mm)を測定した。結果を表1に示す。
また、別途用意した上記サンプルについて、万能型引張試験機(島津製作所社製,製品名「オートグラフAG−IS」)を用いて、JIS Z0237に準じて、剥離角度180°および剥離速度300mm/minで、耐熱シートのみをフレキシブルシートから剥がし、そのときの粘着力F2(mN/25mm)も測定した。結果を表1に示す。
〔試験例2〕(粘着力比の測定)
試験例1と同様に得られた上記サンプルについて、万能型引張試験機(島津製作所社製,製品名「オートグラフAG−IS」)を用いて、JIS Z0237に準じて、剥離角度180°および剥離速度300mm/minで、耐熱シートのみをフレキシブルシートから剥がし、そのときの粘着力Fa(mN/25mm)を測定した。
また、別途用意した上記サンプルを、オーブンを用いて120℃で1時間加熱した。当該加熱後のサンプルを室温まで冷却した後、上記粘着力Faと同様に粘着力を測定し、加熱後の粘着力Fb(mN/25mm)とした。
得られた粘着力Faおよび粘着力Fbの値から、下記式(2)
粘着力比=Fb/Fa … (2)
により、粘着力比を算出した。結果を表1に示す。
〔試験例3〕(柔軟性の評価)
実施例および比較例にて製造した半導体加工用シートから剥離フィルムを剥離し、露出した第1の粘着剤層側の面の周縁部にリングフレームを貼付した。その後、多官能型UV硬化性樹脂を含有する粘着性組成物P1を用いて製造した実施例1〜9および比較例1〜2については、半導体加工用シートに対して紫外線(照度230mW/cm、光量190mJ/cm)を照射した。さらに、フレキシブルシートから耐熱シートを剥離した。これにより得られる、リングフレームに貼付されたフレキシブルシートを、エキスパンド装置(JCM社製,製品名「SE−100」)に設置し、リングフレームを5mm/sの速さで、7mmおよび10mmの2種類の引き落とし量で、それぞれ引き落としを行った。そして、以下に基準に基づいて、フレキシブルシートの柔軟性を評価した。結果を表1に示す。
○:引き落とし量7mmおよび10mmの両方の場合において、良好に引き落としができた。
△:引き落とし量10mmの場合については、リングフレームからフレキシブルシートが剥がれたり、設定した速度で引き落としできないといった問題が生じたものの、引き落とし量7mmの場合については、良好に引き落としができた。
×:引き落とし量7mmおよび10mmの両方の場合において、リングフレームからフレキシブルシートが剥がれたり、設定した速度で引き落としできないといった問題が生じた。
〔試験例4〕(耐熱性の評価)
(1)半導体パッケージの作製
銅箔張り積層板(三菱ガス化学社製,製品名「CCL-HL830」,銅箔の厚さ:18μm)における銅箔に回路パターンを形成した後、当該パターン上にソルダーレジスト(太陽インキ社製,製品名「PSR-4000 AUS303」)を積層してなる基板(ちの技研社製,製品名「LN001E−001 PCB(Au)AUS303」)を用意した。
上記基板に対して、チップを搭載することなく、封止装置(アピックヤマダ社製,製品名「MPC-06M TriAl Press」)を用いて、モールド樹脂(京セラケミカル社製,製品名「KE-1100AS3」)で、封止厚さ400μm、封止サイズ45mm×137mmとなるように矩形状に封止した。その後、モールド樹脂を、175℃で5時間加熱することで硬化させて、半導体パッケージを得た。
(2)ダイシング
実施例および比較例において作製した半導体加工用シートから剥離フィルムを剥離し、露出した第1の粘着剤層側の粘着面に対して、テープマウンター(リンテック社製,製品名「Adwill RAD−2700F/12」)を用いて、上記工程(1)で得た半導体パッケージ1枚を、半導体加工用シートの流れ方向と半導体パッケージの長辺方向とが平行となり且つ半導体パッケージが半導体加工用シートの中心に位置するように、温度23℃の環境下で貼り合わせた。
さらに、半導体加工用シートにおける第1の粘着剤層側の面の周縁部(半導体パッケージとは重ならない位置)に、ダイシング用リングフレーム(ディスコ社製,製品名「2−8−1」)を付着させた。
次いで、下記の条件で、半導体パッケージをダイシングした。
<ダイシング条件>
・ダイシング装置:DISCO社製,製品名「DFD−651」
・ブレード:DISCO社製,製品名「NBC−ZH2050−27HECC」
・ブレード回転数:30000rpm
・切削速度:50mm/分
・切り込み深さ:半導体加工用シートに対する切り込み量:80μm
・ダイシングサイズ:3mm×3mm
(3)加熱テーブル試験
次に、予め120℃に加熱され且つバキュームがONとなっている状態のテープマウンター(リンテック社製,「Adwill RAD−2700F/12」)のマウントテーブルに対し、上記ダイシング後の半導体パッケージおよびリングフレームが貼付された状態の半導体加工用シートを、当該貼付された面とは反対の面がマウントテーブルに接するように、搬送アームを用いて静置した。そして、半導体加工用シートの様子を確認した後、半導体加工用シートをマウントテーブルから離した。この操作を、上記工程(2)で得られた、ダイシング後の半導体パッケージおよびリングフレームが貼付された状態の半導体加工用シート10セットについて行った。
マウントテーブルに静置したときの半導体加工用シートの状態について、以下の基準に基づいて、半導体加工用シートの耐熱性を評価した。結果を表1に示す。
○:10セット全てにおいて、マウントテーブルに完全に真空吸着され、マウントテーブル外周部の位置において、シワ等の変形も一切発生していなかった。
△:マウントテーブルに完全に真空吸着されたセット数が、9セット以下、8セット以上であった。
×:マウントテーブルに完全に真空吸着されたセット数が、7セット以下であった。
〔試験例5〕(剥離性の評価)
上記試験例4における工程(2)と同様にダイシングを行うことで、ダイシング後の半導体パッケージおよびリングフレームが貼付された状態の半導体加工用シートを、10セット得た。続いて、多官能型UV硬化性樹脂を含有する粘着性組成物P1を用いて製造した実施例1〜9および比較例1〜2のセットについては、半導体加工用シートに対して紫外線(照度230mW/cm、光量190mJ/cm)を照射した。その後、これらの半導体加工用シートにおいて、必要に応じてカッター等の道具を使用して、耐熱シートをフレキシブルシートから剥離した(試験1)。なお、当該試験1は、半導体加工用シートの種類が「A」および「B」であるものについてのみ行った。
そして、以下の基準に基づいて、半導体加工用シートの剥離性(試験1)を評価した。結果を表1に示す。
○:10セット全てにおいて、リングフレームとフレキシブルシートとの界面に剥がれが発生することなく、耐熱シートを剥離できた。
△:リングフレームとフレキシブルシートとの界面において部分的な剥がれが生じる場合があったものの、10セット全てにおいて、耐熱シートを剥離できた。
×:フレキシブルシートがリングフレームから完全に剥離し、耐熱シートを剥離できない場合があった。
また、上記試験例4における工程(2)と同様にダイシングを行うことで、ダイシング後の半導体パッケージおよびリングフレームが貼付された状態の半導体加工用シートを、10セット得た。これらの半導体加工用シートにおいて、カッター等の道具を使うことなく、耐熱シートの端部を手で掴むことで、耐熱シートをフレキシブルシートから剥離した(試験2)。なお、当該試験2は、半導体加工用シートの種類が「A」および「C」であるものについてのみ行った。
そして、以下の基準に基づいて、半導体加工用シートの剥離性(試験2)を評価した。結果を表1に示す。
○:10セット全てにおいて、剥離できた。
△:剥離できたセット数が、9セット以下、5セット以上であった。
×:剥離できたセット数が、4セット以下であった。
Figure 0006875865
表1から分かるように、実施例で得られた半導体加工用シートは、柔軟性および耐熱性に優れていた。また、「B」型の半導体加工用シートについては、リングフレームからフレキシブルシートが剥がすことなく、剥離シートを良好に剥離することができた。さらに、「C」型の半導体加工用シートについては、道具を使わなくとも、容易に剥離シートを剥離することができた。
本発明の半導体加工用シートは、加熱工程およびピックアップ工程を含む半導体装置の製造方法に好適に使用することができる。
1A,1B,1C…半導体加工用シート
2…フレキシブルシート
21…第1の粘着剤層
22…第1の基材
23…第1の領域
3…耐熱シート
31…第2の粘着剤層
32…第2の基材
33…第2の領域
4…半導体チップ
5…リングフレーム

Claims (12)

  1. 複数の半導体チップが積層される粘着面を有する第1の粘着剤層と、前記第1の粘着剤層における前記粘着面とは反対の面側に積層されており、23℃における引張弾性率が50MPa以上、1000MPa以下である第1の基材とを備えるフレキシブルシート、および
    融点が150℃以上、550℃以下の材料からなる第2の基材を少なくとも備え、前記第1の基材における前記第1の粘着剤層とは反対の面側に積層されている耐熱シート
    を備え
    前記フレキシブルシートは、その周縁部の少なくとも一部に前記耐熱シートが積層されていない領域を有する
    ことを特徴とする半導体加工用シート。
  2. 複数の半導体チップが積層される粘着面を有する第1の粘着剤層と、前記第1の粘着剤層における前記粘着面とは反対の面側に積層されており、23℃における引張弾性率が50MPa以上、1000MPa以下である第1の基材とを備えるフレキシブルシート、および
    熱機械分析装置を用いて荷重0.2gの下、10℃/分の昇温温度で23℃から120℃まで加熱したときの膨張率が−3.0%以上、3.0%以下である材料からなる第2の基材を少なくとも備え、前記第1の基材における前記第1の粘着剤層とは反対の面側に積層されている耐熱シート
    を備え
    前記フレキシブルシートは、その周縁部の少なくとも一部に前記耐熱シートが積層されていない領域を有する
    ことを特徴とする半導体加工用シート。
  3. 前記フレキシブルシートおよび前記耐熱シートは、平面視で略円形の形状をそれぞれ有するとともに、これらの略円形が同心円となるように配置されており、
    前記フレキシブルシートにおける略円形と前記耐熱シートにおける略円形との半径の差は、1mm以上、30mm以下である
    ことを特徴とする請求項またはに記載の半導体加工用シート。
  4. 前記半導体加工用シートにおける前記フレキシブルシート側の面をステンレスチール板に貼付したときの、前記半導体加工用シートの前記ステンレスチール板に対する粘着力をF1、
    前記半導体加工用シートを構成する前記フレキシブルシートおよび前記耐熱シートについて、前記耐熱シートの前記フレキシブルシートに対する粘着力をF2
    としたときに、下記式(1)
    F1>F2 … (1)
    の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の半導体加工用シート。
  5. 前記耐熱シートは、前記第1の基材と前記第2の基材との間に位置する第2の粘着剤層をさらに備えることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の半導体加工用シート。
  6. 前記半導体加工用シートを構成する前記第1の基材および前記第2の粘着剤層について、
    前記半導体加工用シートを120℃で1時間加熱する前における、前記第2の粘着剤層の前記第1の基材に対する粘着力をFa、
    前記半導体加工用シートを120℃で1時間加熱した後における、前記第2の粘着剤層の前記第1の基材に対する粘着力をFb
    としたときに、下記式(2)
    粘着力比=Fb/Fa … (2)
    から算出される前記第2の粘着剤層の粘着力比が、0.5以上、10以下であることを特徴とする請求項に記載の半導体加工用シート。
  7. 前記半導体加工用シートにおける前記第1の粘着剤層側の面上に複数の半導体チップを設けるチップ準備工程、
    前記半導体加工用シート上の前記半導体チップを加熱する加熱工程、
    前記耐熱シートを前記フレキシブルシートから剥離する剥離工程、および
    前記フレキシブルシートから前記半導体チップを個々にピックアップするピックアップ工程
    を備える半導体装置の製造方法において使用されることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の半導体加工用シート。
  8. 複数の半導体チップが積層される粘着面を有する第1の粘着剤層と、前記第1の粘着剤層における前記粘着面とは反対の面側に積層されており、23℃における引張弾性率が50MPa以上、1000MPa以下である第1の基材とを備えるフレキシブルシート、および
    融点が150℃以上、550℃以下の材料からなる第2の基材を少なくとも備え、前記第1の基材における前記第1の粘着剤層とは反対の面側に積層されている耐熱シート
    を備える半導体加工用シートであって、
    前記耐熱シートは、前記第1の基材と前記第2の基材との間に位置する第2の粘着剤層をさらに備え、
    前記半導体加工用シートを構成する前記第1の基材および前記第2の粘着剤層について、
    前記半導体加工用シートを120℃で1時間加熱する前における、前記第2の粘着剤層の前記第1の基材に対する粘着力をFa、
    前記半導体加工用シートを120℃で1時間加熱した後における、前記第2の粘着剤層の前記第1の基材に対する粘着力をFb
    としたときに、下記式(2)
    粘着力比=Fb/Fa … (2)
    から算出される前記第2の粘着剤層の粘着力比が、0.5以上、10以下である
    ことを特徴とする半導体加工用シート。
  9. 複数の半導体チップが積層される粘着面を有する第1の粘着剤層と、前記第1の粘着剤層における前記粘着面とは反対の面側に積層されており、23℃における引張弾性率が50MPa以上、1000MPa以下である第1の基材とを備えるフレキシブルシート、および
    熱機械分析装置を用いて荷重0.2gの下、10℃/分の昇温温度で23℃から120℃まで加熱したときの膨張率が−3.0%以上、3.0%以下である材料からなる第2の基材を少なくとも備え、前記第1の基材における前記第1の粘着剤層とは反対の面側に積層されている耐熱シート
    を備える半導体加工用シートであって、
    前記耐熱シートは、前記第1の基材と前記第2の基材との間に位置する第2の粘着剤層をさらに備え、
    前記半導体加工用シートを構成する前記第1の基材および前記第2の粘着剤層について、
    前記半導体加工用シートを120℃で1時間加熱する前における、前記第2の粘着剤層の前記第1の基材に対する粘着力をFa、
    前記半導体加工用シートを120℃で1時間加熱した後における、前記第2の粘着剤層の前記第1の基材に対する粘着力をFb
    としたときに、下記式(2)
    粘着力比=Fb/Fa … (2)
    から算出される前記第2の粘着剤層の粘着力比が、0.5以上、10以下である
    ことを特徴とする半導体加工用シート。
  10. 請求項1〜9の何れか一項に記載の半導体加工用シートにおける前記第1の粘着剤層側の面上に複数の半導体チップを設けるチップ準備工程、
    前記半導体加工用シート上の前記半導体チップを加熱する加熱工程、
    前記耐熱シートを前記フレキシブルシートから剥離する剥離工程、および
    前記フレキシブルシートから前記半導体チップを個々にピックアップするピックアップ工程
    を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  11. 前記加熱工程は、前記半導体加工用シートにおける前記半導体チップが積層されている面とは反対の面を加熱テーブルに載置することを含むことを特徴とする請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
  12. 前記剥離工程と前記ピックアップ工程との間に、前記フレキシブルシートをエキスパンドして、前記半導体チップを離間するエキスパンド工程をさらに備えることを特徴とする請求項10または11に記載の半導体装置の製造方法。
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