JP6873363B2 - ロアスプリングシート - Google Patents

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Description

本発明は、ロアスプリングシートに関する。
二輪車、四輪車等の車両には、車両への衝撃を吸収するための懸架装置が搭載される。懸架装置には、衝撃を吸収するスプリングと、そのスプリングの下方に配置され、車両の荷重が作用するロアスプリングシートとが備えられる。ロアスプリングシートは通常は金属製であるが、車両の軽量化の観点から、樹脂製のロアスプリングシートが検討されている。
ロアスプリングシートの軽量化に関する技術として特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には減衰機構を内蔵するシリンダに取り付けられると共に、車体と車輪との間に配置されたスプリングの当該車輪側の端部を支持するスプリングシートであって、前記シリンダの周囲に設けられて前記スプリングを支持する金属部材と、前記金属部材の車体側に配置され、前記スプリングが配置される受圧部と、当該受圧部径方向の外側に構成された外側部と、当該外側部に連結され、当該金属部材に支持されている支持部と、を有する樹脂部材と、を備えるスプリングシートが記載されている。
特開2016−53409号公報
特許文献1に記載の技術では、ロアスプリングシートの材料として、ABS樹脂等の樹脂材料が使用されている(特に段落0047参照)。ただ、本発明者が検討したところ、特許文献1に記載の樹脂材料によりロアスプリングシートには、強度の観点で改善の余地があることがわかった。
特に、ロアスプリングシートには、スプリングを介して車両の荷重が作用する。この荷重は、凹凸の大きな路面を車両が走行したとき等に、瞬間的に大きくなる。即ち、ロアスプリングシートには、瞬間的に大きな荷重が作用することがある。そのため、特にこのような瞬間的に大きな荷重が作用した場合の強度に、特許文献1に記載の技術では改善の余地がある。具体的には、瞬間的に大きな荷重が作用したときに、その衝撃を十分に吸収することができれば、さらに高い強度のロアスプリングシートを得ることができる。
本発明はこのような事情に鑑みて為されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、特に瞬間的に大きな荷重が作用した場合にも高い強度を示すロアスプリングシートを提供することである。
本発明者らは前記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、以下の知見を見出して本発明を完成させた。即ち、本発明の要旨は、車両の懸架装置に備えられるロアスプリングシートであって、熱可塑性樹脂と、無機繊維と、エラストマと、を含み、上面視で円形状であり、前記無機繊維が放射状に配向していることを特徴とする、ロアスプリングシートに関する。
本発明によれば、瞬間的に大きな荷重が作用した場合にも、その荷重を吸収して高い強度が奏される。
第一実施形態の懸架装置の断面図である。 第一実施形態の懸架装置に備えられるロアスプリングシート及びその下方に備えられる金属シートの上方斜視図である。 第一実施形態の懸架装置に備えられるロアスプリングシートの下方斜視図である。 第一実施形態の懸架装置に備えられるロアスプリングシートの上面図である。 第一実施形態の懸架装置に備えられるロアスプリングシートの段面図である。 図5のB部拡大図である。
以下、本発明を実施するための形態(本実施形態)について、図面を適宜参照しながら説明するが、本実施形態は以下の内容に何ら制限されるものではなく、本発明の要旨を損なわない範囲で任意に変更して実施することができる。また、参照する各図はいずれも模式的なものであり、本発明は図示の例に何ら制限されるものではない。
図1は、第一実施形態の懸架装置1の断面図である。懸架装置1は、ストラット式サスペンションであり、減衰機構(図示しない)を内蔵するシリンダ10と、シリンダ10内に収納されたピストン(図示しない)を支持するピストンロッド20と、を備える。これらのうち、シリンダ10は、円筒状の外シリンダ11を有する。外シリンダ11の内部には、いずれも図示しないが、円筒状の内シリンダと、この内シリンダ内を紙面上下方向に往復動するピストンと、減衰力を発生する複数のバルブ装置とが備えられる。
ピストンロッド20は、円柱状又は円筒状の部材である。以下、ピストンロッド20の中心軸20aの方向(前記の中心線方向)を、単に「上下方向」という。ピストンロッド20には、その下端側に、シリンダ10内に収納されるピストン(図示しない)が取り付けられる。さらに、その上端側に、ナット21が取り付けられる。
懸架装置1は、さらに、シリンダ10の外側に配置されたコイルスプリング30と、シリンダ10の外周に取り付けられてコイルスプリング30の下端部を支持する下スプリングシート31と、を備える。そして、懸架装置1は、上端部側に取り付けられてコイルスプリング30の上端部を支持する上スプリングシート36と、コイルスプリング30と上スプリングシート36との間に介在する上シートラバー37と、を備える。
これらのうち、コイルスプリング30は、例えば、両端部の座巻数が1/2である左巻きに、断面円形の金属線材を屈曲させることによりコイル状に成形された圧縮ばねである。下スプリングシート31は、金属シート310及びロアスプリングシート320を備える。これらの詳細は図2を参照しながら後記する。上シートラバー37は、コイルスプリング30の上端部と上スプリングシート36との間に介在する円環状の円環状部位371と、円環状部位371の下端部から下方に伸びる蛇腹状のダストカバー372とを備える。円環状部位371とダストカバー374とは連続するように一体に成型される。
懸架装置1は、ピストンロッド20の上端部側に取り付けられて、この懸架装置1を車両(図示しない)に取り付けるための車体側取付ブラケット40を備える。また、懸架装置1は、シリンダ10の下端部側に固定されて、この懸架装置1を車輪(図示しない)に取り付けるための車輪側取付ブラケット50を備える。また、懸架装置1は、シリンダ10における上下方向の中央部に固定されて、スタビライザ(図示しない)の端部を連結するためのスタビライザ取付アーム51を備える。
懸架装置1は、上スプリングシート36と車体側取付ブラケット40の下マウントベース43(後記する)との間に配置された円環状のベアリング38を備える。また、懸架装置1は、上スプリングシート36に溶接され、上スプリングシート36とベアリング38との間に介在する円環状の金属板39を備える。これらのうち、車体側取付ブラケット40は、上下方向に並べて配置された凹状の部材及び凸状の部材(いずれも図示しない)から構成されるステー41を備える。さらに、車体側取付ブラケット40は、上下方向に並べて配置された上マウントベース42及び下マウントベース43と、ステー41と上マウントベース42との間に設けられたマウントラバー44とを備える。そして、下マウントベース43の下面には、バンプラバー61(後記する)を保持する凸状のバンプラバー保持部材45が溶接される。
車体側取付ブラケット40は、ステー41がピストンロッド20の上端部に挿入されてナット21で締結されることにより、ピストンロッド20に装着される。また、車体側取付ブラケット40は、上マウントベース42及び下マウントベース43に貫通されたボルト46により車体に取り付けられる。
懸架装置1は、シリンダ10から飛び出しているピストンロッド20の外周を囲むように配置されたバンプラバー61を備えている。バンプラバー61は、下端部(車輪側)から上端部(車体側)に向けて外径が段々と大きくなるように形成されている。そして、バンプラバー61の上端部が、車体側取付ブラケット40のバンプラバー保持部材45の内側に嵌め込まれている。
懸架装置1は、車両が路面から受ける衝撃力をコイルスプリング30の弾発力により吸収するように伸縮する。そして、懸架装置1は、その伸縮に伴うピストンの往復動時に、シリンダ10に内蔵された減衰機構が発生する減衰力により、伸縮の際に生じる振動を抑制する。なお、懸架装置1が車両に取り付けられた状態において、車輪が旋回するのに伴ってシリンダ10とともに下スプリングシート31及びコイルスプリング30が回転する。
図2は、第一実施形態の懸架装置1に備えられるロアスプリングシート320及びその下方に備えられる金属シート310の上方斜視図である。ロアスプリングシート320は中心軸20aの方向から視て(即ち上面視で)円形状を呈し、シリンダ10に垂直な方向に延在する部品である。このロアスプリングシート320は、コイルスプリング30が載置される面である上面と、当該面とは反対側の面(コイルスプリング30が載置される面とは反対側の面)である下面とを備える。ロアスプリングシート320には、その中央に上方に向かって伸びる円筒部321が形成されている。円筒部321の内周面321aは曲面で構成され、この円筒部321には前記のシリンダ10が挿入される。また、円筒部321の内周面321aの下方には、ロアスプリングシート320の射出成型(後記する)時に使用したゲートの跡321b(ゲート跡321b)が形成される。なお、図2では図示していないが、ゲート跡は、図示しているゲート跡321bの反対側側面にももう一つ、同じように形成される。
ロアスプリングシート320の上面には、円筒部321と同心円状にリブ部333が形成される。このリブ部333は、円周方向に等間隔で、円筒部321から外方向に向かって延びるリブ部333bで補強される。
また、ロアスプリングシート320の上面には、円筒部321とリブ部333aとの間に、載置部324が形成される。その載置部324には、図示しないシートラバーを介して、前記の図1を参照しながら説明したコイルスプリング30が載置される。具体的には、コイルスプリング30は、載置部324のガイド部328とガイド部329との間に形成された半円弧状の載置面327に、シートラバーを介して載置される。
また、ガイド部328とガイド部329との間には、シートラバーの下方に形成された凸部(図示しない)を嵌めてシートラバーを固定するために、凹状のシートラバー固定部324aが形成される。ちなみに、シートラバーの下方に凹部を形成し、この凹部に嵌るように、ロアスプリングシート320に凸状のシートラバー固定部324aを形成してもよい。なお、シートラバー固定部324aは、ロアスプリングシート320にコイルスプリング30を載置した際にコイルスプリング30の下方となる直下に形成される。ただし、シートラバー固定部324aの形成位置は、コイルスプリング30の外側や内側となる位置であってもよい。さらには、シートラバー固定部324aは一つに限られず、複数形成されてもよい。
コイルスプリング30は、コイルスプリング30及びシートラバーの下側端部が突起部330に突き当たるように、載置される。これにより、コイルスプリング30及びシートラバーの周方向の回転が制限される。
ロアスプリングシート320は、車両の懸架装置1に備えられるロアスプリングシート用の材料(成型用樹脂)により構成される。即ち、ロアスプリングシート320は、ロアスプリングシート用材料製である。ロアスプリングシート用材料は、熱可塑性樹脂と、無機繊維と、エラストマとを含んで構成される。これらのうち、熱可塑性樹脂が含まれることで、熱を利用して、ロアスプリングシート320の射出成型が容易となる。熱可塑性樹脂は、例えばポリアミド樹脂(6−ナイロン、6,6−ナイロン等)、ポリアセタール樹脂(ポリオキシメチレン樹脂;POM)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等である。なお、熱可塑性樹脂は、一種が単独で使用されてもよく、二種以上が任意の比率及び組み合わせで使用されてもよい。
ロアスプリングシート320に含まれる無機繊維は、ロアスプリングシート320の強度を高めるものである。特に、詳細は図6を参照しながら説明するが、コイルスプリング30に瞬間的に大きな荷重が作用したときに、ロアスプリングシート30の破損(変形も含む、以下同じ)が防止される。無機繊維は、例えばガラス繊維、金属繊維等である。なお、無機繊維は、一種が単独で使用されてもよく、二種以上が任意の比率及び組み合わせで使用されてもよい。
無機繊維の長さとしては、特に制限されないが、ロアスプリングシート320において、10μm〜100μm程度になっていることが好ましい。また、無機繊維は、通常は、複数の繊維が絡み合って束となっているものであるが、それぞれの繊維の径として10μm〜20μm程度であることが好ましい。また、無機繊維の長さは、無機繊維の径よりも長いことが好ましい。無機繊維の形状がこのような形状になることで、無機繊維により奏される効果が特に十分に発揮され、ロアスプリングシート320の強度がより高まる。
ロアスプリングシート320に含まれるエラストマ(弾性体)は、弾性を有するものである。エラストマは、ロアスプリングシート320に瞬間的に大きな荷重が作用した場合に、その荷重を吸収することで破損を防止するものである。具体的には、ロアスプリングシート320に熱可塑性樹脂及びエラストマの双方が含まれていることで、瞬間的に大きな荷重が作用したときに、弾性を有するエラストマに優先的に荷重が作用する。そのため、エラストマがその荷重を吸収し、その分だけ熱可塑性樹脂に作用する荷重が減少する。これにより、ロアスプリングシート320の破損が防止される。
エラストマは、弾性を有するものであれば任意であるが、例えば、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、熱可塑性エラストマ(TPE)、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。なお、エラストマは、一種が単独で使用されてもよく、二種以上が任意の比率及び組み合わせで使用されてもよい。
熱可塑性樹脂と無機繊維とエラストマとの含有比は任意であるが、無機繊維の含有量は、ロアスプリングシート用の材料(成型用樹脂)の全体に対して、50質量%以下であることが好ましい。これにより、ロアスプリングシート320に瞬間的に大きな荷重が作用したときでも無機繊維に荷重が集中することが防止される。これにより、無機繊維の破損が十分に防止され、ロアスプリングシート320の強度がより向上する。
また、熱可塑性樹脂とエラストマとの混合比率も特に制限されない。従って、熱可塑性樹脂にエラストマが含まれていれば、ロアスプリングシート320に瞬間的な大きな荷重が作用したときに熱可塑性樹脂とエラストマとに分散し、ロアスプリングシート320の強度が向上する。
ただし、ロアスプリングシート320では、前記の熱可塑性樹脂及びエラストマは相溶していることが好ましい。即ち、熱可塑性樹脂及びエラストマは、いずれも一様に溶け合った状態であることが好ましい。これにより、ロアスプリングシート320に瞬間的に大きな荷重が作用したときにエラストマにのみ応力が集中することが防止され、ロアスプリングシート320の全体に存在するエラストマに荷重が作用する。そのため、荷重が十分に分散し、ロアスプリングシート320の強度がより向上する。
ロアスプリングシート用材料には、前記のもののほかにも任意の添加剤が含まれていてもよい。任意の添加剤としては、例えば、熱安定剤、滑剤等が挙げられる。熱安定剤は、ロアスプリングシート320の化学的耐久性を向上させるものであり、例えば、エポキシ化合物等の有機系安定剤、銅塩、マンガン塩等の金属塩系安定剤等が挙げられる。また、滑剤は、樹脂内部及び成型機械との摩擦発熱性を低下させるとともに、金型からの離型性を向上させて成型加工性を向上させるものである。滑剤としては、例えば、ステアリン酸、脂肪酸エステル、ワックス等が挙げられる。
ロアスプリングシート320の強度として、23℃、ノッチ付きで測定したシャルピー衝撃強度が20kJ/m以上であることが好ましい。シャルピー衝撃強度が20kJ/m以上であることで、ロアスプリングシート320の特に瞬間的な大きな荷重に対する強度を十分に高め、破損が十分に防止される。なお、シャルピー衝撃強度は、ISO−179によって測定することができる。
ロアスプリングシート320の強度として、引張強さが100MPa以上であることが好ましい。引張強さが100MPa以上であることで、ロアスプリングシート320の延び易さが向上し、瞬間的に大きな荷重が作用しても割れにくくなる。なお、引張強さは、ISO−527によって測定することができる。
ロアスプリングシート320の強度として、引張弾性率が15GPa以下であることが好ましい。引張弾性率が15GPa以下であることで、ロアスプリングシート320の延び易さが向上し、瞬間的に大きな荷重が作用しても割れにくくなる。なお、引張強さは、ISO−527によって測定することができる。
なお、ロアスプリングシート320は、例えばディスクゲート方式の射出成型により製造可能である。
金属シート310は、上方に向かって伸び、前記のシリンダ10が挿入される円筒部311と、その下方に形成されたD字状部312と、ロアスプリングシート320が載置される載置部314とを備える。これらのうち、円筒部311及びD字状部312は、ロアスプリングシート320の円筒部321に挿入される。このとき、詳細は図3を参照しながら後記するが、ロアスプリングシート320の下方端部にも、D字状部322aが形成される。従って、このD字状部322aと、前記のD字状部312との位置決めが行われる。なお、ロアスプリングシート320の下面には、コイルスプリング30の下方となる位置に金属シート310の載置部314が配置される。
図3は、第一実施形態の懸架装置1に備えられるロアスプリングシート320の下方斜視図である。ロアスプリングシート320の下面には、その一部が平坦になったD字状部322aを有する円筒部322が形成される。そして、この円筒部322の同心円状にリブ部327aが形成される。即ち、ロアスプリングシート320のうち、懸架装置1を構成するコイルスプリング30が配置される面の側とは反対側の面には、リブ部327aが形成されている。このリブ部327aは、円周方向に等間隔で外側に向かって伸びる327bで補強される。
図4は、第一実施形態の懸架装置1に備えられるロアスプリングシート320の上面図である。この図4には、前記の図2を参照しながら説明した金属シート310の載置部314を一点鎖線で示している。前記のように、金属シート310の円筒部311等がロアスプリングシート320の円筒部321に挿入される際、D字状部322aとD字状部312との位置決めが行われる。これにより、図4に示すように、ロアスプリングシート320の載置面327の位置と、載置部314とが重なるようになっている。この載置面327には前記のようにコイルスプリング30が載置される。そのため、載置面327の下方に金属シート310の載置部314が配置されることで、載置面327の補強が行われる。
前記のように、ロアスプリングシート320は、熱可塑性樹脂と、無機繊維と、エラストマとを含んだロアスプリングシート用材料により構成される。そして、無機繊維は、図4において太破線で示すように、ロアスプリングシート320において中心軸20aを中心とした放射状に配向している。なお、シートラバー固定部324aの近傍では無機繊維は厳密な放射状には配向しないが、ここでは図示の簡略化のために放射状に示している。従って、懸架装置1を構成するコイルスプリング30が載置される部分には、無機繊維が放射状に配向している。これにより、コイルスプリング30が折損してロアスプリングシート320に接触したとしても、無機繊維によりロアスプリングシート320が補強された結果、破損が防止される。
なお、本願発明においては、少なくとも突起や穴の周囲又は突起や穴がある部分の径方向外側において、必ずしも放射状に配向されていないものも「放射状」に含むものとする。特に、ロアスプリングシート320を例えばディスゲート方式の射出成型で作製する場合、無機繊維は、例えば突起や穴を設ける部分においては樹脂の流れに沿った配向となる。そのため、これらの部分では無機繊維が必ずしも放射状に配向しない可能性があるが、ロアスプリングシート320において中心軸20aを中心とした放射状になっていれば、本願発明の範疇に含まれるものとする。また、ロアスプリングシート320がディスクゲート方式以外の方法で製造される場合であっても、ロアスプリングシート320の全体で無機繊維が放射状(概ね放射状であってもよい)になっていれば、本願発明の範疇に含まれるものとする。
図5は、第一実施形態の懸架装置1に備えられるロアスプリングシート320の断面図である。ただし、図5では、図示の簡略化のために、ロアスプリングシート320のみを抽出して示している。また、図6は図5のB部拡大図である。図5において太破線で示すように、無機繊維は、円筒部321の下端からロアスプリングシート320の上端に向けて、無機繊維が配向している。そして、車両が凹凸の多い路面を走行する等してコイルスプリング30に大きな荷重が瞬間的に作用すると、図6において太線矢印の方向に荷重が瞬間的に大きく作用する。そうすると、円筒部322と載置部324とが交差する直交部324bに荷重が集中する。
しかし、図6において太破線で示すように、円筒部322と載置部324とを跨ぐように連続的に無機繊維が配向していることで、直交部324bが補強されている。これにより、ロアスプリングシート320が、瞬間的に大きな荷重が作用しても、割れ、破損等が防止され、強度が向上する。
<材料の物性評価>
熱可塑性樹脂と、無機繊維と、エラストマとを含む材料を用意し、引張強さ、引張弾性率、及び、シャルピー衝撃強度を評価した。
(実施例1)
熱可塑性樹脂として6,6−ナイロンを含み、無機繊維としてガラス繊維を含む材料として、PA66−GF43−I(デュポン社製 Zytel(登録商標))を用意した。なお、この材料においては熱可塑性樹脂及びエラストマは一様に溶け合っている。また、無機繊維の含有量は43質量%である。そして、この材料を使用して試験片を三つ作製し、以下の試験に供した。試験片はISO−527の各パートに記載に方法、及び、JIS K7161−2−2012に沿って作製した。
以上のように作製した三つの試験片のそれぞれを使用して、引張強さ、引張弾性率、及び、シャルピー衝撃強度を評価した。引張強さは島津製作所社製オートグラフを使用して評価した。この評価装置はISO−527に準拠するものである。引張弾性率は島津製作所社製オートグラフを使用して評価した。この評価装置はISO−527に準拠するものである。シャルピー衝撃強度は東洋製機社製デジタル衝撃試験機を使用して評価した。評価は23℃で行い、ノッチ付きで行った。この評価装置はISO−179に準拠するものである。
以上の評価の結果、引張強さは169MPa、引張弾性率は11.7GPa、シャルピー衝撃強度は28kJ/mであった。
(実施例2)
無機繊維の含有量が33質量%の材料(デュポン社製 Zytel(登録商標) PA66−GF33−I)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、引張強さ、引張弾性率、及び、シャルピー衝撃強度を評価した。その結果、引張強さは146MPa、引張弾性率は8.9GPa、シャルピー衝撃強度は20kJ/mであった。
(比較例1)
エラストマを含まない材料(デュポン社製 Zytel(登録商標) PA66−GF43)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、引張強さ、引張弾性率、及び、シャルピー衝撃強度を評価した。その結果、引張強さは225MPa、引張弾性率は14GPa、シャルピー衝撃強度は16kJ/mであった。
(比較例2)
エラストマを含まず、かつ、無機繊維の含有量が33質量%である材料(デュポン社製 Zytel(登録商標) PA66−GF33)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、引張強さ、引張弾性率、及び、シャルピー衝撃強度を評価した。その結果、引張強さは200MPa、引張弾性率は11GPa、シャルピー衝撃強度は13kJ/mであった。
(比較例3)
エラストマを含まず、かつ、無機繊維の含有量が50質量%である材料(デュポン社製 Zytel(登録商標) PA66−GF50)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、引張強さ、引張弾性率、及び、シャルピー衝撃強度を評価した。その結果、引張強さは250MPa、引張弾性率は17GPa、シャルピー衝撃強度は18kJ/mであった。
(評価のまとめ)
以上の結果を以下の表1に纏めた。なお、表1において、◎は特に良好な結果、○は◎ほどではないが良好であり許容可能な結果、×は許容できない結果を表す。
Figure 0006873363
この表1において、引張強さの項目に関して、瞬間的な大きな荷重が作用していないものの車両の荷重が作用しているときの割れの防止を考慮すると、引張強さは100MPa以上であることが好ましい。そこで、引張強さが100MPa以上を○、引張強さが200MPa以上を◎とした。また、引張弾性率に関して、瞬間的な入力による割れ防止の観点から、引張強さが10GPa以下を◎、10GPaを超えるが15GPa以下を○、15GPaを超えるものを×とした。さらに、シャルピー衝撃強度について、瞬間的な入力による割れ防止の観点から、シャルピー衝撃強度が25kJ/m以上を◎、20kJ/m以上25kJ/m未満を○、20kJ/m未満を×とした。
表1に示すように、熱可塑性樹脂と、無機繊維と、エラストマとを含む材料を使用した実施例1及び2では、良好な引張強さ及び引張弾性率を示しつつ、シャルピー強度にも優れていた。従って、実施例1及び2の材料を使用してロアスプリングシートを作製した際、瞬間的に大きな荷重がロアスプリングシートに作用しても、ロアスプリングシートに割れが生じることが防止される。
一方で、熱可塑性樹脂と、無機繊維と、エラストマとのうちのいずれか一つを欠く材料を使用したロアスプリングシートでは、引張強さは良好であったが、シャルピー衝撃強度が何れも劣っていた。従って、比較例1〜3の材料を使用してロアスプリングシートを作製すると、特に瞬間的に大きな荷重が作用した際に割れが生じ易く、強度に劣ることがわかった。
<ロアスプリングシートの強度評価>
実施例1の材料を使用し、直径20cm、厚さ3mmのロアスプリングシート320(図2参照)を作製した。そして、このロアスプリングシート320の上に、その一部に切り欠きを有するコイルスプリング30を載せた。コイルスプリング30は、ロアスプリングシート320の載置面327に配置した。コイルスプリング30の太さ(線径)は直径14mm、コイル内径は79mm(最も短い部分)〜139mm(最も長い部分)、長さは327mmである。コイルスプリング30は、SAE9254(SAE規格)又はSUP7(JIS規格)相当の材料により形成される。また、コイルスプリング30のうち、ロアスプリングシート320との接触面から3/4周目の位置に切り欠きが形成されている。また、ロアスプリングシート320の下方には、図2に示す金属シート310が配置される。
そして、このコイルスプリング30の上方から750kgの荷重を作用させて、コイルスプリング30を折損させた。コイルスプリング30が折損すると、コイルスプリング30はロアスプリングシート320に瞬間的に大きな荷重が作用した。しかし、コイルスプリング30がロアスプリングシート320に接触しても、ロアスプリングシート320の形状は維持されたままであった。従って、熱可塑性樹脂と、無機繊維と、エラストマとを含む材料を使用してロアスプリングシート320を作製した場合、コイルスプリング30が折損しても、ロアスプリングシート320が破損し難く、コイルスプリング30の脱落が防止されることが確認された。
一方で、比較例3の材料を使用したこと以外は同様にし、ロアスプリングシート320の強度を評価した。その結果、コイルスプリング30がロアスプリングシート320に接触すると、ロアスプリングシート320は粉砕した。従って、ロアスプリングシート320の強度が劣ることが確認された。
1 懸架装置
10 シリンダ
30 コイルスプリング
320 ロアスプリングシート
321b ゲート跡
333 リブ部

Claims (4)

  1. 車両の懸架装置に備えられるロアスプリングシートであって、
    熱可塑性樹脂と、無機繊維と、エラストマと、を含み
    上面視で円形状であり、
    前記無機繊維が放射状に配向していることを特徴とする、ロアスプリングシート。
  2. ISO−179の方法に基づき、23℃、ノッチ付きで測定したシャルピー衝撃強度が20kJ/m以上であることを特徴とする、請求項に記載のロアスプリングシート。
  3. 央には、前記懸架装置を構成するシリンダが挿入される円筒部が形成され、
    当該円筒部の内周面にはゲート跡が形成されていることを特徴とする、請求項1又は請求項に記載のロアスプリングシート。
  4. 記懸架装置を構成するコイルスプリングが配置される面の側とは反対側の面にはリブ部が形成されていることを特徴とする、請求項〜請求項の何れか1項に記載のロアスプリングシート。
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