JP6869529B2 - β−置換プロピオン酸アミド及びN−置換(メタ)アクリルアミドの製造方法 - Google Patents

β−置換プロピオン酸アミド及びN−置換(メタ)アクリルアミドの製造方法 Download PDF

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本発明は、β−置換プロピオン酸アミド及びN−置換(メタ)アクリルアミドの簡便な工業的製造方法に関する。
N−置換(メタ)アクリルアミドは、塗料、粘着剤、接着剤、各種コ−ティング剤、製紙用薬剤、高分子凝集剤、コンタクトレンズなどの合成原料やUV硬化樹脂用反応性希釈剤など、極めて多様な分野において使用されており、その製造方法は従来から盛んに検討されてきた。
N−置換(メタ)アクリルアミドの工業的製法としては、出発物質から纏めると主に下記に示すような4種類が挙げられる。第1の製法は、(メタ)アクリルアミドを用いてアミンと、触媒としてアミンのアクリル酸塩の存在下、100〜250℃でアミド交換反応とマイケル付加反応を行い、さらに160〜350℃の高温で液相熱分解によりアミンを除去、N−置換(メタ)アクリルアミドを取得する方法である(特許文献1)。第2の製法は、(メタ)アクリル酸エステルを使用してアミンと、強塩基性触媒やジアルキル錫オキサイド触媒存在下で直接アミド化反応またはアミンとマイケル付加反応後にアミド化反応を行い、次にその生成物アミドアダクトを無触媒、酸性触媒或いは重合禁止剤の存在下で約150〜200℃において液相熱分解することでN−置換(メタ)アクリルアミドを合成する方法である(特許文献2〜8)。第3の製法は、(メタ)アクリロニトリルとオレフィンあるいはアルコ−ルを濃硫酸、ルイス酸等の存在下で反応させN−置換(メタ)アクリルアミドを製造する方法である(特許文献9)。第4の製法は、(メタ)アクリル酸を用い、メソポ−ラスシリカ触媒存在下でアミンと直接アミド化(特許文献10)、または(メタ)アクリル酸と3〜10倍モルの2級アミンを加圧下で反応させN,N−二置換βアミノ酸を合成し、その後、アルミナ触媒と対流システムを用いて120〜200℃、0.17〜0.87MPaの条件下で低沸点の2級アミンとアミド化反応を行い、さらに、気相重合禁止剤を添加し、200〜300℃、0.15〜0.95MPaの条件下で分解させ、N−置換(メタ)アクリルアミドを合成する方法である(特許文献11)。
しかしながら、これらの方法は、高温や加圧の条件で反応するため、過大なエネルギ−と高価な設備投資が必要となり、いずれも工業生産に適した安価、簡便な方法ではなかった。また、強塩基や強酸性触媒を使用する場合、中和処理等を必要とし、目的物の単離に煩雑な操作が必要となるばかりでなく、目的物の収率も十分に満足すべきものではなかった。さらに、(メタ)アクリル酸エステルを除き、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル及び(メタ)アクリル酸は、いずれも毒性物、刺激性や腐食性物質に該当するため、工業生産の原料として取り扱い難い問題があった。
特開昭58−18346号公報 特開平4−208258号公報 特開平6−199752号公報 特開2000−273072号公報 特開2012−97005号公報 特開平4−154749号公報 特開平7−188135号公報 特開平11−302240号公報 特開2000−2648654号公報 特開2012−46431号公報 WO2010/126086号公報
本発明の課題は、取り扱いやすい(メタ)アクリル酸エステルを出発原料とし、温和な反応条件においても、β−置換プロピオン酸アミドであるβ−アルコキシプロピオン酸アミド、β−アミノプロピオン酸アミドを高収率で製造する方法、及びβ−置換プロピオン酸アミドからN−置換(メタ)アクリルアミドを高純度、高収率、簡便且つ安価に工業的製造する方法を提供することである。
本発明者はこれらの課題を解決するために鋭意検討を行った結果、(メタ)アクリル酸エステルとアルコ−ル及び/又はアミンとをマイケル付加反応させ、β−アルコキシプロピオン酸エステル、β−アミノプロピオン酸エステルを合成した後、触媒として金属錯体を添加し、アミン化合物とアミド化反応を行い、第一の目的化合物β−アルコキシプロピオン酸アミドとβ−アミノプロピオン酸アミドを得ることを見出した。さらに、触媒として金属錯体存在下、β−アルコキシプロピオン酸アミド、β−アミノプロピオン酸アミドの液相熱分解反応により第二の目的化合物N−置換(メタ)アクリルアミドを得ることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、
(1)一般式[1]で示されるβ−置換プロピオン酸エステルと一般式[2]で示されるアミン化合物とを、触媒として金属錯体の存在下で反応させることを特徴とする、一般式[3]で示されるβ−置換プロピオン酸アミドの製造方法、
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(各式中、Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表す。RとRは各々独立に水素原子または炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、アルキルエーテル基、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素(但し、RとRが同時に水素原子である場合を除く。)、または、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のヒドロキシアルキレン基、または、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアミノアルキレン基であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、また、RとRは、それらを担持する窒素原子と一緒になって、飽和5〜7員環(酸素原子を有するものを含む。)を形成してもよい。Aは、一般式[4]もしくは[5]で表されるアルコキシ基もしくはアミノ基(式中のRは炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、RとRは各々独立に水素原子または炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、アルキルエーテル基、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素(但し、RとRが同時に水素原子である場合を除く。)を示す。また、R6とR7は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、飽和5〜7員環(酸素原子を有するものを含む。)を形成したものでもよい。)
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(2)一般式[6]で示されるβ−置換プロピオン酸アミドを用いて、触媒として金属錯体の存在下で液相熱分解反応を行うことを特徴とする一般式[7]で示されるN−置換(メタ)アクリルアミドの製造方法、
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(各式中、Rは水素原子またはメチル基、RとRは各々独立に水素原子または炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、アルキルエーテル基、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素(但し、RとRが同時に水素原子である場合を除く。)、または、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のヒドロキシアルキレン基、または、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアミノアルキレン基であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、また、RとRは、それらを担持する窒素原子と一緒になって、飽和5〜7員環(酸素原子を有するものを含む。)を形成してもよい。Aは、一般式[8]もしくは[9]で表されるアルコキシ基もしくはアミノ基(式中のRは炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、RとRは各々独立に水素原子または炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、アルキルエーテル基、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素(但し、RとRが同時に水素原子である場合を除く。)を示す。また、R6とR7は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、飽和5〜7員環(酸素原子を有するものを含む。)を形成したものでもよい。)
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(3)金属錯体は、1分子中に1個の金属原子又は金属イオンを有する単核金属錯体、又は1分子中に2個以上の金属原子又は金属イオンを有する多核金属錯体であって、かつ、金属原子又は金属イオンはHSAB則における硬いルイス酸或いは中間的な硬さのルイス酸であることを特徴とする、前記(1)又は(2)に記載の製造方法、
(4)金属錯体は、1分子中に2個以上の有機配位子又は無機配位子を有し、かつ、少なくとも1個以上の配位子はHSAB則における硬い塩基或いは中間的な硬さの塩基であり、ルイス酸とルイス塩基の組み合わせのいずれか1種であることを特徴とする、前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の製造方法、
(5)金属錯体の金属原子又は金属イオンは、配位数が4〜12、かつ、イオン半径が0.5〜1.5Åであることを特徴とする、前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の製造方法、
(6)ルイス塩基は、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、酢酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、フルオロスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、2−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホン酸イオン、水、アミン、アルコ−ルからなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の製造方法、
(7)金属(原子又はイオン)は、鉄、ニッケル、銅(2価)、チタン、コバルト、ルテニウム、錫、インジウム、マンガン、亜鉛、ガリウム、スカンジウム、バナジウム、イットリウム、ランタノイドからなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の製造方法を提供するものである。
本発明の方法によると、β−置換プロピオン酸アミド及びN−置換(メタ)アクリルアミドを出発原料(メタ)アクリル酸エステルから高収率で安価かつ簡便に製造することができる。また、本発明の方法では、リサイクル可能で、かつ、環境負荷の小さい金属錯体を触媒として使用し、常圧、室温から150℃まで比較的低温領域においても十分な速度と高選択率で反応が進行し、重合などのトラブルが発生せず、不純物の副生が少なく、高純度品を高収率で取得することができる。
本発明の製造方法において、アミン化合物と(メタ)アクリル酸エステルのアミド化反応におけるルイス酸とルイス塩基からなる金属錯体の触媒メカニズムについて、反応機構は必ずしも明らかではないが、アミンが硬いルイス塩基であるため、金属の空配位座に配位、或いは、金属の既存配位子を置換して配位されやすく、そのことによりアミンが活性化され、温和な条件下でも反応がスム−ズに進行していくことを発明者らは推測している。また、β−置換プロピオン酸アミドの液相熱分解においても、アルコ−ルやアミンが金属錯体に配位されやすいため、β−置換プロピオン酸アミドから脱離し易く、分解反応が低温領においても十分な速度で進行していくことを発明者らは推測している。
本発明は、下記(イ)と(ロ)の二つの工程からなる、β−置換プロピオン酸アミドとしてβ−アルコキシプロピオン酸アミド(一般式[10])とβ−アミノプロピオン酸アミド(一般式[11])(各式中、Rは水素原子またはメチル基、RとRは各々独立に水素原子または炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、アルキルエーテル基、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素(但し、RとRが同時に水素原子である場合を除く。)、または、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のヒドロキシアルキレン基、または、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアミノアルキレン基であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、また、RとRは、それらを担持する窒素原子と一緒になって、飽和5〜7員環(酸素原子を有するものを含む。)を形成してもよい。Rは炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、RとRは各々独立に水素原子または炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、アルキルエーテル基、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素(但し、RとRが同時に水素原子である場合を除く。)を示す。また、R6とR7は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、飽和5〜7員環(酸素原子を有するものを含む。)を形成したものでもよい)を効率よく工業的に製造する方法を提供するものである。
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本発明は、下記(イ)〜(ハ)の三つの工程からなる、一般式[7](各式中、Rは水素原子またはメチル基、RとRは各々独立に水素原子または炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、アルキルエーテル基、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素(但し、RとRが同時に水素原子である場合を除く。)、または、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のヒドロキシアルキレン基、または、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアミノアルキレン基であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、また、RとRは、それらを担持する窒素原子と一緒になって、飽和5〜7員環(酸素原子を有するものを含む。)を形成してもよい。)で示されるN−置換(メタ)アクリルアミドを効率よく工業的に製造する方法を提供するものである。
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(イ) β−置換プロピオン酸エステルの製造
(イ−1)β−アルコキシプロピオン酸エステルの製造工程
(メタ)アクリル酸エステルとアルコ−ルを、塩基性触媒の存在下、モル比(アルコ−ル/(メタ)アクリル酸エステル)が1.0以上、反応温度が0〜120℃の範囲で反応させ、β−アルコキシプロピオン酸エステルを製造することができる。
(イ−2)β−アミノプロピオン酸エステルの製造工程
(メタ)アクリル酸エステルとアミンを、モル比(アミン/(メタ)アクリル酸エステル)が1.0以上、反応温度が0〜120℃の範囲で反応させ、β−アミノプロピオン酸エステルを製造することができる。
(ロ) β−置換プロピオン酸アミドの製造工程
一般式[2]で示されるアミン化合物と一般式[1]で示されるβ−置換プロピオン酸エステル((イ)工程で製造されたβ−アルコキシプロピオン酸エステルとβ−アミノプロピオン酸エステル)とを、金属錯体の存在下で反応させ、一般式[3]で示されるβ−置換プロピオン酸アミドを製造することができる。
(ハ) N−置換(メタ)アクリルアミドの製造工程
一般式[6]で示されるβ−置換プロピオン酸アミドが、金属錯体の存在下で液相熱分解反応によりβ位のアルコ−ル又はアミンを脱離させ、一般式[7]で示されるN−置換(メタ)アクリルアミドを製造することができる。
以下、本発明の各工程を詳述する。
(イ) の工程
この工程は、塩基性触媒存在下で(メタ)アクリル酸エステルとアルコ−ルとを反応させることによって行われ、煩雑な操作を伴わずに収率よく、アルコキシプロピオン酸エステルを取得することができる(イ−1)。また、塩基性触媒の存在下、或いは無触媒条件において、(メタ)アクリル酸エステルとアミンとを反応させることによって行われ、煩雑な操作を伴わずに収率よく、アミノプロピオン酸エステルを取得することができる(イ−2)。該工程に用いる(メタ)アクリル酸エステルは重合しやすいため、ラジカル重合禁止剤の存在下で実施することが好ましい。
(イ)の工程において、(メタ)アクリル酸エステルに対するアルコ−ル又はアミンの配合比としては、アルコ−ル又はアミンを化学量論的な量を使用することができ、またはそれよりも過剰に用いることで反応の完結が促進されるため、好ましい。一般的に、(メタ)アクリル酸エステル1モルに対して、アルコ−ル又はアミンは1〜30倍モルの範囲で用いられる。また、1.05〜20倍モルの範囲が好ましく、1.1〜10倍モルの範囲が特に好ましい。アルコ−ル又はアミンは反応の原料と同時に反応の溶媒として使用することができる。さらに、アミンは塩基性触媒作用を有するため、別途触媒を添加することなしにも反応が迅速に進行することができる。(メタ)アクリル酸エステルに対してアルコール、アミンの配合比は30倍モルを超えると、反応後の回収など経済的な面に不利である。
(イ)の工程に用いる塩基性化合物は、特に制限はなく、無機塩基又は有機塩基の何れもよい。無機塩基としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩や炭酸水素塩、燐酸塩などが挙げられ、有機塩基としては、第3級アミン、ピリジン、上記アルカリ金属のアルコキシドなどが挙げられる。また、不純物発生防止の観点から、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウムプロポキシド、リチウムブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムプロポキシド、カリウムブトキシドが好ましく、さらに該工程に用いられるアルコ−ルと同一のアルコ−ルからなる金属アルコキシドを使用することが最も好ましい。
前記塩基性化合物は、一種を単独使用しても良く、二種以上を組み合わせて使用してもよい。この中で通常市販されていない塩基性金属アルコキシドに関しては、アルコ−ルの沸点差を利用して調製することができる。例えば、原料の第一級アルコ−ルはブチルアルコ−ルである場合、ナトリウムブトキシドやカリウムブトキシド、リチウムブトキシドが好適である。しかし、触媒自体が高価である事から、安価なナトリウムメトキシドにブタノ−ルを添加し、蒸留にてメタノ−ルを留去させることにより簡単にナトリウムブトキシドを得たのちに反応を実施することが好ましい。尚、これら塩基性化合物の添加量は、(イ)工程の(メタ)アクリル酸エステルに対しては0.05〜20モル%が好ましい。
(イ)の工程の反応温度と反応時間は、該反応の出発原料である(メタ)アクリル酸エステルとアルコ−ル、アミンの品種や触媒の品種、配合比に応じて、適切に選定されるが、通常、反応温度は0〜120℃程度で、反応時間は0.5〜48時間の範囲である。また、好ましい反応温度は20〜100℃程度で、反応時間は1〜36時間の範囲である。反応温度は0℃未満、または反応時間は0.5時間未満であると、マイケル付加反応の速度が著しく低下し、一方、反応温度は120℃超えると、アルコ−ルやアミンが反応系外へ脱離しやすくなる同時に生成物の分解や他の副反応が増加するので好ましくない。また、反応時間は48時間を超える場合、生産性やコストにはデメリットが発生する。
反応の出発原料であるアルコ−ルやアミンが過剰に配合することによって反応溶媒としての作用も提供できるが、さらに必要に応じて溶媒を使用してもよい。(イ)工程の反応溶媒は、特に限定するものではなく、反応の出発原料、生成物及び塩基性化合物との副反応を起さなければ、一般的な溶媒が使用することができる。
(イ)の工程の反応終了後、反応液を必要に応じて、塩酸、硫酸、燐酸、酢酸などの無機や有機系酸性化合物により中和を行い、又は強酸性陽イオン交換樹脂の接触処理により中和を実施することができる。その後、析出した塩類がある場合、ろ過で分離し、常圧又は減圧下において、ろ液中の反応溶媒、未反応アルコ−ルやアミン及びその他の副生成物を除去し、該工程の目的化合物であるβ−アルコキシプロピオン酸エステル、β−アミノプロピオン酸エステルを得ることができる。さらに、必要に応じて減圧蒸留などの精製方法により高純度化することができる。
(イ)工程の反応はラジカル重合禁止剤の存在下で行うことが好ましい。重合禁止剤としては公知のものが使用できるが、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチルパラハイドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,4−ジメチル−6−tertブチルフェノ−ル、ハイドロキノンモノメチルエ−テル等のフェノ−ル化合物、N−イソプロピル−N'−フェニル−パラ−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N'−フェニル−パラ−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N'−フェニル−パラ−フェニレンジアミン、N,N'−ジフェニル−パラ−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−2−ナフチル−パラ−フェニレンジアミン等のパラフェニレンジアミン類、チオジフェニルアミン等のアミン化合物、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、アセトアミドテトラメチルピペリジン−1−オキシル等のピペリジン−1−オキシルフリ−ラジカル化合物類等を例示することができる。これらの重合禁止剤は、1種又は2種以上を併用しても構わない。また、重合禁止剤の添加量は、(メタ)アクリル酸に対して1〜10000ppm、好ましくは5〜5000ppmである。
(ロ)の工程
この工程は、触媒として金属錯体の存在下で、前記(イ)工程で得られたβ−置換プロピオン酸エステルを用い、煩雑な操作を伴わずに収率よく、一般式[2]で示されるアミン化合物とのアミド化反応により一般式[3]で示されるβ−置換プロピオン酸アミドを製造するものである。
本発明に使用されるアミン化合物はN−モノ置換またはN,N−二置換の各々炭素数1〜10の飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖または環状の脂肪族第一級アミンと第二級アミン(芳香環を有するものを含む)、芳香環を有する前記第一級芳香族アミンと第二級芳香族アミン、モルホリン、ヒドロキシル基を有する前記第一級アルカノ−ルアミンと第二級アルカノ−ルアミン、エーテル基を有する前記第一級エーテルアミンと第二級エーテルアミン、アミノ基を有する前記第一級アミンと第二級アミンである。具体的には、(ジ)メチルアミン、(ジ)エチルアミン、(ジ)プロピルアミン、(ジ)イソプロピルアミン、(ジ)ブチルアミン、(ジ)イソブチルアミン、(ジ)tert−ブチルアミン、(ジ)ペンチルアミン、(ジ)ヘキシルアミン、(ジ)ヘプチルアミン、(ジ)オクチルアミン、(ジ)tert−オクチルアミン、(ジ)ノニルアミン、(ジ)デシルアミン、(ジ)シクロヘキシルアミン、ピペリジン、ピロリジン、(ジ)アリルアミン、(ジ)シクロペンテニルアミン、アダマンチルアミン、イソボルニルアミン、ベンジルアミン、メチルエチルアミン、メチル(イソ)プロピルアミン、メチル(イソ)ブチルアミン、メチル(イソ)ヘキシルアミン、エチル(イソ)プロピルアミン、エチル(イソ)ブチルアミン、エチル(イソ)ヘキシルアミン、プロピルイソプロピルアミン、プロピルブチルアミン、プロピルヘキシルアミン、イソプロピルブチルアミン、イソプロピルイソブチルアミン、イソプロピルヘキシルアミン、ブチルイソブチルアミン、ブチルヘキシルアミン、アニリン、N−(2−ヒドロキシエチル)アニリン、モルホリン、モノエタノ−ルアミン、N−メチルエタノ−ルアミン、N−エチルエタノ−ルアミン、N−ブチルエタノ−ルアミン、ジエタノ−ルアミン、プロパノ−ルアミン;イソプロパノ−ルアミン、ブタノ−ルアミン、 ペンタノ−ルアミン、ヘキサノ−ルアミン、2−メトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、ジ−(2−メトキチエチル)アミン、3−プロポキシプロピルアミン、3−イソプロポキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジイソプロピルアミノエチルアミン、N,N−ジアリルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジイソプロピルアミノプロピルアミン、N,N−ジアリルアミノプロピルアミン等が挙げられる。
本発明に用いる金属錯体は、1分子中に1個の金属原子又は金属イオンを有する単核金属錯体及び1分子中に2個以上の金属原子又は金属イオンを有する多核金属錯体からなる群より選択された1種または2種以上のものである。
前記単核金属錯体及び多核金属錯体の金属原子又は金属イオンは、HSAB則における硬いルイス酸或いは中間的な硬さのルイス酸である。HSAB則(Hard and Soft Acids and Bases則)はルイス酸とルイス塩基の相性を硬い、柔らかいという表現を使って分類したものと知られており、「硬いルイス酸」とは、電荷密度が高く、分極されにくく、サイズが小さい陽イオン、「軟らかいルイス酸」とは、電荷密度が低く、比較的分極されやすく、サイズが大きい陽イオンという。一方、「硬いルイス塩基」は、電気陰性度が大きくて分極されにくい小さな塩基、「軟らかいルイス塩基」は、電気陰性度が小さくて分極されやすい大きな塩基である。これらの中間的な酸(中間的な硬さのルイス酸)と中間的な塩基(中間的な硬さのルイス塩基)も存在し、HSAB則により、「硬いルイス酸」と「硬いルイス塩基」、「軟らかいルイス酸」と「軟らかいルイス塩基」はお互いに相互作用しやすいという経験則である。
また、本発明に用いられる金属錯体の金属原子又は金属イオンは、配位数が4〜12、かつ、イオン半径が0.5〜1.5Åであることを特徴とする。配位数とイオン半径がこの範囲内であれば、金属原子又は金属イオンはHSAB則の硬いルイス酸或いは中間的な硬さのルイス酸に該当し、硬いルイス塩基或いは中間的な硬さのルイス塩基との組み合わせにより、本発明のアミド化反応などの触媒として十分な高活性を示すことができる。具体的に、金属(原子又はイオン)として、鉄、ニッケル、銅(2価)、チタン、コバルト、ルテニウム、錫、インジウム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、亜鉛、ガリウム、スカンジウム、バナジウム、イットリウム、ランタノイド金属からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属である。
本発明に用いられる金属錯体は、1分子中に2個以上の有機配位子又は無機配位子を有し、かつ、少なくとも1個以上の配位子はHSAB則における硬いルイス塩基或いは中間的な硬さのルイス塩基である。
本発明に用いられるルイス塩基は、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、酢酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、フルオロスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、2−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホン酸イオン、水、アミン、アルコ−ルからなる群より選ばれた少なくとも1種の配位子である。
前記ルイス酸の群から選ばれた少なくとも1種の金属原子又は金属イオンと、前記ルイス塩基の群から選ばれた少なくとも1種の配位子を任意に組み合わせると、いずれか1種以上の金属錯体を得ることができる。本発明に使用される金属錯体触媒は、1分子中に一つの金属原子または金属イオンを中心として、2つ以上の同種或いは異種の配位子から構成される単核金属錯体及び、1分子中に2つ以上の同種或いは異種の金属原子または金属イオンを中心として、1つの金属原子又は金属イオン当たりに2つ以上の同種或いは異種の配位子から構成される多核金属錯体である。さらに、多核金属錯体として金属原子間で結合を有する金属クラスターを含むことである。具体的に本発明の(ロ)工程及び(ハ)工程に使用可能な触媒は、金属として鉄、ニッケル、銅(2価)、チタン、コバルト、ルテニウム、錫、インジウム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、亜鉛、ガリウム、スカンジウム、バナジウム、イットリウム、ランタノイドと、配位子としてハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、酢酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、フルオロスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、2−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホン酸イオン、水、アミン、アルコ−ルとの、任意的な組み合わせより構成される単核金属錯体、及び/又はクラスターを含む多核金属触媒が挙げられる。これらの金属錯体は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。一般的に工業化され、入手しやすい観点から鉄、ニッケル、銅、錫、インジウム、マンガン、亜鉛、スカンジウム、バナジウム、イットリウム、ランタノイドの酢酸塩、トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、過塩素酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、フルオロスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩がより好ましい。
(ロ)工程の反応はバッチ方式でも連続方式であってもよい。例えば、バッチ式反応の場合は、金属錯体の形状は粉末状又は微粒子状が好ましい。また、粉末状又は微粒子状の触媒において、原料アミン、(イ)工程で得られたβ−置換プロピオン酸エステルや、必要に応じて添加する有機溶剤による均一に溶解又は分散された状態では取り扱い易いので、用いることがより好ましい。例えば、連続式反応の場合は、金属錯体を適宜な触媒担体に固着させた状態で反応に用いることが好ましい。
(ロ)工程において、β−置換プロピオン酸エステルとアミン化合物のモル比は任意であるが、一方を過剰に用いることで反応の完結が促進される。本発明において、β−置換プロピオン酸エステルに対して、アミン化合物は0.2〜20倍モルの範囲が好ましく、0.5〜10倍モルの範囲がより好ましい。過剰に用いる反応原料は、同時に反応の溶媒として使用することができる。β−置換プロピオン酸エステル又はアミン化合物の配合量はこの範囲を超えると、反応後過剰仕込み成分の回収など経済的な面に不利である。
(ロ)工程に用いる金属錯体の使用量は、β−置換プロピオン酸エステルとアミン化合物の品種や性状(反応温度における液体または固体)、溶解性、反応温度および使用する溶媒によって最適な範囲があるが、通常、β−置換プロピオン酸エステルに対して0.1〜50mol%の範囲、好ましくは0.5〜20mol%の範囲、特に好ましくは1〜10mol%の範囲である。
(ロ)工程の反応温度と反応時間は、(イ)工程で合成されるβ−置換プロピオン酸エステルと原料アミン化合物の品種、配合比に応じて、適切に選定されるが、反応の選択率が高く、反応速度が比較的速い理由で、反応温度は0〜130℃程度で、反応時間は0.1〜48時間の範囲である。また、好ましい反応温度は20〜100℃程度で、反応時間は0.5〜36時間の範囲であり、特に好ましい反応温度は40〜90℃程度で、反応時間は1.0〜24時間の範囲である。反応の出発原料であるアミン化合物が過剰に配合することによって反応溶媒としての作用も提供できるが、さらに必要に応じて溶媒を使用してもよい。反応は常圧下又はオ−トクレ−ブ等加圧可能な装置を用いる加圧下で実施することができる。反応溶媒は、特に限定するものではなく、反応の出発原料、生成物および金属錯体との副反応を起さなければ、一般的な溶媒を使用することができる。例えば、トルエン、キシレンなどの疎水性溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)などの親水性溶媒が挙げられる。溶媒を使用する場合、その使用量としては、通常、β−置換プロピオン酸エステルとアミン化合物の合計に対して20〜1000重量%の範囲、好ましくは50〜500重量%の範囲、特に好ましくは100〜300重量%の範囲である。反応溶媒が、原料の溶解や撹拌効率向上などの目的で使用される場合、20重量%未満と十分な効果が期待できない可能性があり、また、1000重量%を超えると、不経済である同時に反応速度の低下を招くことがある。
(ロ)工程の製造方法において、反応は、バッチ方式でも、連続方式でもよく、また、金属錯体の供給方式も流動床でも固定床でもよい。バッチ方式の場合は、例えば、反応容器に原料であるβ−置換プロピオン酸エステル、アミン化合物、金属錯体および溶媒を仕込み、必要に応じて反応容器内および反応液内を不活性ガスで置換した後、撹拌により懸濁或いは溶解状態を維持しながら、反応温度を所定値に調整し、所定時間で反応を行う。また、反応終了後の反応液混合物は、例えば、金属錯体が固形状に存在する場合は、それをフィルタ−で濾別や遠心分離によって固液を分離して回収してもよいし、分離せず、デカンテーションや濃縮などを行い、その後、そのまま再利用(ロ工程)するか次工程(ハ工程)に持ち越してもよい。一方、反応終了後の金属錯体が反応液に溶解した場合は、反応液を濃縮して、その後、そのまま再利用(ロ工程)するか次工程(ハ工程)に持ち越してもよい。さらに、反応終了後の金属錯体の溶解状態又は分散状態によらず、反応液を濃縮しないまま次工程(ハ工程)に持ち越すこともできる。
本発明の(ロ)工程と(ハ)工程において、反応の進行に伴い、触媒である金属錯体の配位構造を変化していっても構わなく、前述したHSAB則における硬い酸或いは中間的な酸に該当する金属原子又は金属イオンと、HSAB則における硬い塩基或いは中間的な硬さの塩基に該当する各種配位子、例えば、原料アミン、反応の生成物や中間体など、との組み合わせにより構成された金属錯体でれば、特に制限するものではない。即ち、配位子の品種、濃度、比例などが反応の進行に連れて変化し、その変化に合わせて、金属錯体の品種や数が変化していく可能性があり、その結果、金属錯体が当該反応系における最適な配位構造を取っていくこととなる。本発明のアミンとβ−置換プロピオン酸エステルのアミド化反応が低温で、高収率高選択率で進行できる理由については明確に解明されているわけではないが、発明者らは、反応状態に応じて金属錯体の構造が常に自己調整により最適な状態を維持できることで触媒の高活性が提供されていると推定している。
(ハ)の工程
この工程は、(ロ)工程で得られたβ−置換プロピオン酸アミドを用いて、所定の反応温度と操作圧力において、液相熱分解反応による1分子のアルコ−ル又はアミンを脱離し、(ロ)工程から持ち込んだ反応溶媒や原料、中間物、副生成物などとともに沸点順で蒸留、回収し、留出残分として、目的のN−置換(メタ)アクリルアミドを得ることができる。また、必要に応じて、得られた留出残分を精密蒸留することにより高純度の留出成分として得ることができる。該工程の反応は(ロ)工程から得られた粗β−置換プロピオン酸アミドと金属錯体の混合物を用いて実施することができ、また、分離、精製したβ−置換プロピオン酸アミドに新たに金属錯体を添加して実施することができる。(イ)工程と同様に重合禁止剤の存在下で実施することが好ましい。重合禁止剤としては(イ)工程と同様公知のものが使用できる。
(ハ)工程は、(ロ)工程と同じ又は異なる金属錯体触媒を使用してもよく、また、(イ)工程と同じ又は異なる重合禁止剤を使用してもよい。金属錯体の添加量は(ハ)工程の原料β−置換プロピオン酸アミド(アルコキシプロピオン酸アミド又はアミノプロピオン酸アミド)に対しては1〜50モル%が好ましい。重合禁止剤の添加量はβ−置換プロピオン酸アミドに対して1〜10000ppm、好ましくは5〜5000ppmである。
(ハ)工程の反応温度は、通常80〜150℃程度で、反応時間は1〜40時間の範囲である。また、好ましい反応温度は100〜130℃程度で、反応時間は2〜30時間の範囲である。反応温度が80℃未満、または反応時間が1時間未満であると、熱分解反応速度が著しく低下し、一方、反応温度が150℃超えると、生成物の重合や他の副反応が増加するので好ましくない。また、反応時間が40時間を超える場合、生産性やコストにはデメリットが発生する。
(ハ)工程においては必要に応じて、溶媒を使用してもよい。反応溶媒は、特に限定するものではなく、反応の出発物質、生成物や金属錯体との副反応を起こさなければ、一般的な溶媒を使用することができる。溶媒を使用される場合の適切範囲が、通常、β−置換プロピオン酸アミドに対して、10〜1000重量%の範囲、好ましくは50〜500重量%の範囲である。
本発明の実施例と比較例に使用した触媒を表1に示す。ここに示す金属錯体は単に本発明を説明するためのものであり、本発明をいかにも限定するものではない。
Figure 0006869529
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例及び比較例に記載するβ−置換プロピオン酸エステル、β−置換プロピオン酸アミド、N−置換(メタ)アクリルアミドおよび用いた材料の略称は以下の通りである。
(1)β−置換プロピオン酸エステル
MPM:β―メトキシプロピオン酸メチル
EPE:β−エトキシプロピオン酸エチル
MIBM:β−メトキシイソ酪酸メチル
tBPtB:β−tert−ブトキシプロピオン酸tert−ブチル
DMA−PM:β−ジメチルアミノ−プロピオン酸メチル
DEA−PM:β−ジエチルアミノ−プロピオン酸メチル
DMA−PE:β−ジメチルアミノ−プロピオン酸エチル
Mo−PM: β−モルホニル−プロピオン酸メチル
iPA−IBM:β−イソプロピルアミノ−イソ酪酸メチル
HEA−PM:β−ヒドロキシエチルアミノ−プロピオン酸メチル
HEA−PE:β−ヒドロキシエチルアミノ−プロピオン酸エチル
(2)β−アルコキシプロピオン酸アミド
MMPA:β−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオン酸アミド
EMPA:β−メトキシ−N,N−ジエチルプロピオン酸アミド
EMIBA:β−メトキシ−N,N−ジエチルイソ酪酸アミド
MoMPA:β−メトキシ−N−モルホニルプロピオン酸アミド
MoEPA:β−エトキシ−N−モルホニルプロピオン酸アミド
HEMIBA:β−メトキシ−N−ヒドロキシエチルイソ酪酸アミド
iPMPA:β−メトキシ−N−イソプロピルプロピオン酸アミド
3MPMPA:β−メトキシ−N−(3−メトキシプロピル)プロピオン酸アミド
BzBPA:β−ブトキシ−N−ベンジルプロピオン酸アミド
EHMPA:β−メトキシ−N−エチルヘキシルロピオン酸アミド
DMPA:β−メトキシ−N−デシルプロピオン酸アミド
TBMPA:β−メトキシ−N−tert−ブチルプロピオン酸アミド
CHMPA:β−メトキシ−N−シクロヘキシルプロピオン酸アミド
(3)β−アミノプロピオン酸アミド
DMA−MPA:β−ジメチルアミノ−N,N−ジメチルプロピオン酸アミド
DMA−EPA:β−ジメチルアミノ−N,N−ジエチルプロピオン酸アミド
DMA−PhPA:β−ジメチルアミノ−N−フェニルプロピオン酸アミド
DMA−iPPA:β−ジメチルアミノ−N−イソプロピルプロピオン酸アミド
DMA−DPA:β−ジメチルアミノ−N−デシルプロピオン酸アミド
DEA−EPA:β−ジエチルアミノ−N,N−ジエチルプロピオン酸アミド
DEA−EHPA:β−ジエチルアミノ−N−エチルヘキシルプロピオン酸アミド
DEA−tOPA:β−ジエチルアミノ−N−tert−オクチルプロピオン酸アミド
Mo−MPA:β−モルホニル−N,N−ジメチルプロピオン酸アミド
Mo−MoPA:β−モルホニル−N,N−モルホニルプロピオン酸アミド
iPA−iPPA:β−イソプロピルアミノ−N−イソプロピルプロピオン酸アミド
iPA−iPIBA:β−イソプロピルアミノ−N−イソプロピルプイソ酪酸アミド
HEA−MPPA:β−ヒドロキシエチルアミノ−N−(3−メトキシプロピル)−プロピオン酸アミド
HEA−HEPA:β−ヒドロキシエチルアミノ−N−ヒドロキシエチルプロピオン酸アミド
HEA−CHPA:β−ヒドロキシエチルアミノ−N−シクロヘキシルプロピオン酸アミド
(4)N−置換(メタ)アクリルアミド
DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミド
DEAA:N,N−ジエチルアクリルアミド
NIPAM:N−イソプロピルアクリルアミド
ACMO:アクリロイルモルホリン
HEAA:N−ヒドロキシエチルアクリルアミド
HEMAA:N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド
3MPAA:N−(3−メトキシプロピル)アクリルアミド
EHAA:N, N−エチルヘキシルアクリルアミド
DAA:N−デシルアクリルアミド
TBAA:N−tert-ブチルアクリルアミド
CHAA:N−シクロヘキシルアクリルアミド
(5)(メタ)アクリル酸エステル
MA:アクリル酸メチル
EA:アクリル酸エチル
BA:アクリル酸ブチル
MMA:メタクリル酸メチル
EMA:メタクリル酸エチル
(6)アミン化合物
DMA:ジメチルアミン
DEA:ジエチルアミン
Mor:モルホリン
MEA:モノエタノ−ルアミン
iPA:イソプロピルアミン
3−MPA:3−メトキシプロピルアミン
BzA:ベンジルアミン
EHA:エチルヘキシルアミン
DA:デシルアミン
tBA:tert-ブチルアミン
tOA:tert-オクチルアミン
CHA:シクロヘキシルアミン
(7)アルコ−ル化合物
MeOH:メタノール
EtOH:エタノ−ル
BuOH:ブタノ−ル
(8)塩基性触媒
SM:ナトリウムメトキシド
SE:ナトリウムエトキシド
LiOMe: リチウムメトキシド
KOMe:カリウムメトキシド
KOEt:カリウムエトキシド
KOBu:カリウムブトキシド
NaOH:水酸化ナトリウム
KOH:水酸化カリウム
(9)重合禁止剤
TDA:チオジフェニルアミン
HQ:ハイドロキノン
MEHQ:ハイドロキノンモノメチルエ−テル
TEMPO:2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル
TBC:4−tert−ブチルカテコ−ル
BHT:ジブチルヒドロキシトルエン
DDA:スチリル化−N−−アミノビフェニ−ル
W−300:4,4‘−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾ−ル)
(10)配位子
OTf:トリフルオロメタンスルホン酸イオン
OAc:酢酸イオン
OTs:トルエンスルホン酸イオン
実施例1
(イ−1) 攪拌装置、温度計、滴下装置とコンデンサーを備えた1000mLのフラスコに、アクリル酸メチル(MA)259.0g(3mol)とMEHQ 0.13gを仕込み、これにナトリウムメトキシド(SM)0.16g (3mmol)とメタノ−ル(MeOH)106.0g(3.3mol)からなる混合溶液を攪拌しながら徐々に添加した。その間、反応混合液の温度は40℃以下に保った。添加終了後、反応混合物を撹拌しながら60℃に昇温し、さらにメタノ−ルを還流させながら6時間反応を続けた。その後、反応液を室温に戻し当量の硫酸で中和した後、中和塩を濾過により分離したのち蒸留により未反応の原料を除去し、β−メトキシプロピオン酸メチル(略称MPM)352.5gを得た。純度は99.9%、収率は99%であった。
(ロ−1) (イ−1)工程で得られたMPM(300g、2.5 mol、純度99.9%)を1000mLのオートクレーブに仕込んだ後、混合液を0℃に冷却し、液化DMA 229g(5.1mol)および金属錯体としてトリフルオロメタンスルホン酸鉄(II)45.0g(0.13 mol)を投入し、加圧状態下にて40℃で1時間撹拌しサンプリングを行い、反応収率を確認した後(78%)、さらに7時間反応させた。反応終了後、反応液の温度を室温に戻し、サンプリングにより反応収率が99%に達したことを確認した。その後、反応液を蒸留装置に移し、未反応原料の回収および目的生成物の精製を行い、純度99.9%のβ−メトキシ−N,N−ジメチル−プロピオン酸アミド(略称MMPA)を透明の液体として得た。
実施例2〜11
(イ−2)〜(イ−11)および(ロ−2)〜(ロ−11) 実施例1において、出発原料、触媒、溶媒、重合禁止剤および各工程の反応条件を表2に示す通りに変更し、実施例1と同様に(イ)工程および(ロ)工程の反応を行った。なお、常圧下の反応において、オートクレーブの代わりに、攪拌装置、温度計とコンデンサーを備えた1000mlのフラスコを用いた。反応に溶媒を使用した場合、反応終了後、蒸留の留出液または釜液として回収した。各工程の反応収率を表2に示す。
実施例12
(ロー12) 実施例1の(ロー1)工程の蒸留残渣とMPM(300g、2.5 mol、純度99%)を1000mLのオートクレーブに仕込んで、0℃に冷却してから液化DMA 229g(5.1mol)を投入し、(ロー1)と同様に40℃で1時間反応させ、収率を表2に示す。
Figure 0006869529
実施例13
(イ−13) 1000mLのオートクレーブに、MA 216.0g(2.5mol)とMEHQ 0.11g、SM 0.07g(1mmol)を順に仕込んだ後、混合液を0℃に冷却し、液化DMA 124.4g(2.8mol)を添加した。添加後、反応混合物を撹拌しながら40℃に昇温し、加圧条件下にて6時間反応を続けた。その後、反応液を室温に戻し、当量の硫酸で中和した後、中和塩を濾過により分離したのち蒸留により未反応の原料を除去し、β−ジメチルアミノ−プロピオン酸メチル(略称DMA−PM)323.7gを得た。純度は99.9%、収率は98%であった。
(ロ−13) (イ−13)工程で得られたDMA−PM(300g、2.3 mol、純度99%)の入っているオートクレーブを液温0℃までに冷却し、液化DMA 154.6g(3.4mol)および金属錯体としてトリフルオロメタンスルホン酸ニッケル(II)40.8g (0.11 mol)を投入し、加圧状態下にて40℃で1時間撹拌しサンプリングを行い、反応収率を確認した後(72%)、さらに7時間反応させた。反応終了後、反応液の温度を室温に戻し、サンプリングにより反応収率が98%に達したことを確認した。その後、反応液を蒸留装置に移し、未反応原料の回収および目的生成物の精製を行い、純度99.9%のβ−ジメチルアミノ−N,N−ジメチルプロピオン酸アミド(略称DMA−MPA)を透明の液体として得た。
実施例14〜23
(イ−14)〜(イ−23)および(ロ−14)〜(ロ−23) 実施例13において、出発原料、触媒、溶媒、重合禁止剤および各工程の反応条件を表3に示す通りに変更し、実施例13と同様に(イ)工程および(ロ)工程の反応を行った。なお、常圧下の反応において、オートクレーブの代わりに、攪拌装置、温度計とコンデンサーを備えた1000mlのフラスコを用いた。反応に溶媒を使用した場合、反応終了後、蒸留の留出液または釜液として回収した。各工程の反応収率を表3に示す。
Figure 0006869529
実施例24
(ハ−24) 攪拌機、温度計、ガス導入ラインと蒸留塔を備えた500mLの反応蒸留装置を用いて、(ロー1)工程の実施例1にて得られた高純度品のMMPA 262.4g(2.0mol)、TDA 0.525gと金属錯体としてトリフルオロメタンスルホン酸銅(II)72.3g(0.2mol)を添加した。その後、微量窒素ガスをキャリアーとして流し、反応混合物を撹拌しながら130℃に昇温し、減圧下、液相熱分解反応により生成したMeOHとN,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)を分縮させた。分解反応は6時間を続け、水凝縮器により粗DMAA 150g(純度94%、収率92%)を得た。さらに、得られた粗DMAAを20cmのマクマホンパッキン(サイズ6mm)充填塔付きの蒸留装置に移し、減圧蒸留により精製を行い、無色液体として高純度品DMAA(純度99.9%)を取得した。
実施例25
(ハ−25) (ロー1)工程で得られた8時間反応終了後の工程反応液300gを用いて、(ハ−24)同様の反応蒸留装置に仕込んで、未反応の原料を除去した後、130℃に昇温し、熱分解反応させ、粗DMAAを得た。結果を表4に示す。
実施例26〜33および実施例35〜43
(ハ−26)〜(ハ−33)および(ハ−35)〜(ハ−43) 実施例24において、出発原料、触媒、溶媒、重合禁止剤および各工程の反応条件を表4、表5に示す通りに変更し、実施例24と同様に熱分解反応を行い、それぞれの目的生成物を取得した。なお、反応に溶媒を使用した場合、反応終了後、蒸留の留出液または釜液として回収した。結果を表4と表5に示す。
実施例34
(ハ−34) 実施例26において、10時間反応終了後の釜液に、(ロー2)工程の実施例2にて得られた高純度品のEMPA 250gを添加し、90℃で15時間の熱分解反応を行った(表4)。
Figure 0006869529
Figure 0006869529
比較例1〜5
実施例1において、出発原料、触媒、溶媒、重合禁止剤および各工程の反応条件を表6に示す通りに変更したこと以外は、実施例1に記載した方法に準じて反応を行った。反応結果を表6に示す。なおこれらの比較例では生成物の精製操作は行わなかった。
Figure 0006869529
比較例6〜9
実施例24において、出発原料、触媒、溶媒、重合禁止剤および各工程の反応条件を表7に示す通りに変更したこと以外は、実施例24に記載した方法に準じて反応を行った。結果を表7に示す。なおこれらの比較例では生成物の精製操作は行わなかった。
Figure 0006869529
実施例と比較例の結果から、(イ)〜(ハ)各工程の反応物仕込み比、触媒種、触媒使用量、反応温度や時間などの条件が、本発明の提案範囲から外れると、β−置換プロピオン酸アミドおよびN−置換(メタ)アクリルアミドを高収率、高純度で取得することは困難であった。
実施例25の結果より、(ロ)工程反応後の反応液からβ−置換プロピオン酸アミドを精製せず、触媒である金属錯体を含んだまま(ハ)工程に用いた場合も高収率で高純度のN−置換(メタ)アクリルアミドを得ることができる。
実施例12および実施例34の結果より、金属錯体はβ−置換プロピオン酸エステルのアミド化反応においても、β−置換プロピオン酸アミドの熱分解反応においても、繰りかえし使用(再利用)することができる。また、再利用の際に反応活性の低下は見られなかった。
以上説明してきたように、本発明の方法は、(メタ)アクリル酸エステルを出発物質とする、触媒として金属錯体を用いる場合、温和な反応条件においても短時間、効率よく、β−アルコキシプロピオン酸エステル、β−アミノプロピオン酸エステルおよび高純度のN−置換(メタ)アクリルアミドを製造することができる。また、金属錯体触媒の選定により、常圧、低温でも十分な速度と高選択率で反応が進行し、重合などのトラブルが発生せず、不純物の副生が少なく、高純度品を高収率で取得することができる。
本発明の製法方法で取得するN−置換(メタ)アクリルアミドは、単独または他の重合性モノマ−と共重合した機能性ポリマ−として、日常生活において、その利便性から、塗料、粘着剤、接着剤、各種コ−ティング剤、紙力増強剤などの製紙用薬剤、産業排水や生活排水の処理に用いる高分子凝集剤、高分子改質剤、分散剤、増粘剤、コンタクトレンズや生体用ゲルなどの合成原料、UV硬化樹脂用反応性希釈剤など、極めて多様な分野において好適に使用することができる。

Claims (6)

  1. 一般式[1]で示されるβ−置換プロピオン酸エステルと一般式[2]で示されるアミン化合物とを、触媒として金属錯体の存在下で反応させることを特徴とする、一般式[3]で示されるβ−置換プロピオン酸アミドの製造方法であり、
    Figure 0006869529
    Figure 0006869529
    Figure 0006869529
    (各式中、Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表す。RとRは各々独立に水素原子または炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、アルキルエーテル基、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素(但し、RとRが同時に水素原子である場合を除く。)、または、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のヒドロキシアルキレン基、または、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアミノアルキレン基であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、また、RとRは、それらを担持する窒素原子と一緒になって、飽和5〜7員環(酸素原子を有するものを含む。)を形成してもよい。Aは、一般式[4]もしくは[5]で表されるアルコキシ基もしくはアミノ基(式中のRは炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、RとRは各々独立に水素原子または炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、アルキルエーテル基、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素(但し、RとRが同時に水素原子である場合を除く。)を示す。また、R6とR7は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、飽和5〜7員環(酸素原子を有するものを含む。)を形成したものでもよい。)
    Figure 0006869529
    Figure 0006869529
    前記金属錯体は、下記ルイス酸の群から選ばれた少なくとも1種の金属原子又は金属イオンと、下記ルイス塩基の群から選ばれた少なくとも1種との組み合わせからなることを特徴とする、β−置換プロピオン酸アミドの製造方法。
    ルイス酸:鉄、ニッケル、銅(2価)、コバルト、亜鉛、スカンジウム、イットリウム及びランタノイド
    ルイス塩基:酢酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン及びトリフルオロ酢酸イオン
  2. 反応温度が、20〜130℃である請求項1に記載のβ−置換プロピオン酸アミドの製造方法。
  3. 前記金属錯体の使用量が、β−置換プロピオン酸エステルに対して0.5〜20モル%である請求項1又は2に記載のβ−置換プロピオン酸アミドの製造方法。
  4. 一般式[6]で示されるβ−置換プロピオン酸アミドを用いて、触媒として金属錯体の存在下で液相熱分解反応を行うことを特徴とする一般式[7]で示されるN−置換(メタ)アクリルアミドの製造方法であり、
    Figure 0006869529
    Figure 0006869529
    (式中、Rは水素原子またはメチル基、RとRは各々独立に水素原子または炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、アルキルエーテル基、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素(但し、RとRが同時に水素原子である場合を除く。)、または、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のヒドロキシアルキレン基、または、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアミノアルキレン基であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、また、RとRは、それらを担持する窒素原子と一緒になって、飽和5〜7員環(酸素原子を有するものを含む。)を形成してもよい。Aは、一般式[8]もしくは[9]で表されるアルコキシ基もしくはアミノ基(式中のRは炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、RとRは各々独立に水素原子または炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、アルキルエーテル基、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素(但し、RとRが同時に水素原子である場合を除く。)を示す。また、R6とR7は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、飽和5〜7員環(酸素原子を有するものを含む。)を形成したものでもよい。))
    Figure 0006869529
    Figure 0006869529
    前記金属触媒は、下記ルイス酸の群から選ばれた少なくとも1種の金属原子又は金属イオンと、下記ルイス塩基の群から選ばれた少なくとも1種との組み合わせからなることを特徴とする、β―置換プロピオン酸アミドの製造方法。
    ルイス酸:鉄、ニッケル、銅(2価)、コバルト、亜鉛、スカンジウム、イットリウム及びランタノイド
    ルイス塩基:酢酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン及びトリフルオロ酢酸イオン
  5. 反応温度が、80〜150℃である請求項4に記載のN−置換(メタ)アクリルアミドの製造方法。
  6. 前記金属錯体の使用量が、β−置換プロピオン酸アミドに対して1〜50モル%である請求項4又は5に記載のN−置換(メタ)アクリルアミドの製造方法。
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