JP6845012B2 - 遺伝性血管浮腫の治療における血漿カリクレイン結合タンパク質およびその使用 - Google Patents

遺伝性血管浮腫の治療における血漿カリクレイン結合タンパク質およびその使用 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本願は、2014年1月21日出願の米国特許仮出願第61/929,716号、2014年2月25日出願の米国特許仮出願第61/944,361号、および2014年7月7日出願の米国特許仮出願第62/021,397号の出願日の優先権を主張するものである。これら参照となる各出願の内容全体は、本明細書中参照として援用される。
血漿カリクレインは、接触相のセリンプロテアーゼの一種であり、異なる炎症性疾患、心血管性疾患、感染性疾患(敗血症)および腫瘍の疾患の薬剤標的となる可能性がある(Sainz I.M. et al., Thromb Haemost 98, 77−83, 2007)。接触相は、外来性のもしくは陰性に荷電した表面への曝露の際の第XII因子により、または内皮細胞表面上でのプロリルカルボキシペプチダーゼ(prolylcarboxypeptidase)のいずれかにより、活性化される(Sainz I.M. et al., Thromb Haemost 98, 77−83, 2007)。血漿カリクレインの活性化は、第XII因子のフィードバック活性を介して内在性の凝固を増幅し、炎症誘発性ノナペプチドのブラジキニンの産生を介して炎症を高める。循環における主要なキニノゲナーゼとして、血漿カリクレインは、脈管構造でのブラジキニンの産生に大きな役割を果たしている。血漿カリクレインの主な天然の阻害剤である、C1インヒビタータンパク質(C1−INH)の遺伝的欠損は、遺伝性血管性浮腫(HAE)をもたらす。HAE患者は、多くの場合、知られていないトリガーにより誘発される有痛性の浮腫の発作に苦しんでいる(Zuraw B.L. et al., N Engl J Med 359, 1027−1036, 2008)。
本開示は、80nM超の抗体の血漿中濃度を維持する、ヒトの血漿カリクレインの活性形態に結合する抗体の用量(たとえば約100mg〜300mg)が、遺伝性血管浮腫の治療において有益な(たとえば予防的な)効果を示すために十分であることを示す、薬物動態試験および薬物動態的なモデリングからもたらされる予期しない結果に、部分的に基づく。さらに、2週間ごとに100mgの量で、または4週間ごとに300mgの量でDX−2930を投与することが、80nM超の一定した状態の血漿中薬剤濃度を維持し、2週間ごとに300mgの量でDX−2930を投与することが、200nM超の一定した血漿中薬剤濃度を維持する。
また本開示は、ヒトの血漿カリクレインの活性形態に結合する抗体が、最大3.0mg/kgでの単回用量で用量を限定する毒性の所見がなく、様々な用量(0.1mg/kg、0.3mg/kg、1mg/kg、または3mg/kg)で遺伝性血管性浮腫(HAE)の治療において優れた治療上の効果を呈したとの予期しない発見に、部分的に基づく。薬物動態的な結果は、DX−2930が、健常な対象に単回注射を行った後、用量グループを通して線形の用量依存的な曝露および平均17〜20日の***半減期を有することを示した。2つの異なる探索性のバイオマーカーアッセイからの薬力学的な結果から、用量および時間依存的な様式でex vivoでの血漿カリクレイン阻害を確認した。
よって、本開示の一態様は、HAE(たとえばI型、II型、またはIII型)を治療する方法であって、対象における抗体の血漿中濃度が約80nM超となるような有効量(たとえば100mg〜400mg、または100〜300mg)で、pKalの活性形態を結合する抗体をその必要のある対象に投与することを含む、方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、抗体(たとえばDX−2930)を、2週間ごとに100mgで投与する。いくつかの実施形態では、抗体(たとえばDX−2930)を、2週間ごとまたは4週間ごとに300mgで投与する。
本開示の別の態様は、HAE(たとえばI型、II型、またはII型)を治療する方法であって、(a)第1の用量で活性血漿カリクレインを結合する抗体(たとえば完全長の抗体またはその抗原結合性フラグメント)を、その必要のある対象に投与することと、(b)上記対象における抗体の血漿中濃度を測定することと、(c)上記抗体の血漿中濃度が約80nM未満である場合に第2の用量で上記抗体を上記対象に投与することとを含む、方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、第1の用量、第2の用量、またはその両方が、100mg〜400mgまたは100mg〜300mg(たとえば100mgまたは300mgのDX−2930)である。いくつかの実施形態では、第2の用量は第1の用量よりも多い。
よって、本開示の一態様は、HAE(たとえばI型、II型、またはIII型)を治療する方法であって、単回用量の単離した抗体をその必要がある対象に投与することを含み、上記抗体(たとえば完全長の抗体またはその抗原結合性フラグメント)が活性血漿カリクレインを結合する(たとえばプレカリクレインと結合しない)、方法を特徴とする。任意に、本方法は、治療の前および後に、対象におけるクレアチンホスホキナーゼのレベルをモニタリングすることをさらに含む。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載されるいずれかの抗体の単回用量は、0.1〜3mg/kg(たとえば0.1mg/kg、0.3mg/kg、1mg/kg、または3mg/kg)である。
別の態様では、本開示は、遺伝性HAEを治療する方法であって、活性血漿カリクレインを結合する単離した抗体(たとえば完全長の抗体またはその抗原結合性フラグメント)(たとえば、ヒトの活性血漿カリクレインを結合するがヒトのプレカリクレインを結合しない抗体)の複数の用量を、その必要のある対象に投与することを含み、2つの連続した投与のそれぞれが、少なくとも2週間(たとえば3週間、4週間、5週間、または6週間)離れている、方法を提供する。いくつかの実施形態では、複数の用量のうち少なくとも1つの用量は、0.1〜3mg/kgである。たとえば、複数の用量のうち各用量は3mg/kgである。いくつかの実施形態では、抗体は、月単位で(たとえば28日ごとに)たとえば6ヶ月の間投与される。
さらなる別の態様では、本開示は、HAEを治療する方法であって、(i)活性血漿カリクレインを結合する1つまたは複数の用量の単離した抗体(たとえば完全長の抗体またはその抗原結合性フラグメント)(たとえば、ヒトの活性血漿カリクレインを結合するがヒトのプレカリクレインを結合しない抗体)を、その必要がある対象に投与することと、(ii)最後の投与の後に、上記対象中の抗体による血漿カリクレインの阻害レベルを測定することと、(iii)上記阻害レベルが最小治療レベルよりも低い場合に、さらなる用量の上記抗体を上記対象に投与することとを含む、方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の用量は、0.1〜3mg/kg(たとえば各用量で、0.1mg/kg、1mg/kg、または3mg/kg)である。一例では、最小治療レベルは、約80nM未満の抗体の血清中濃度または血漿中濃度を表す。
本明細書中記載のいずれかの方法では、抗パリクレイン(pallikrein)抗体は、完全長の抗体またはその抗原結合性フラグメントであってよい。いくつかの実施形態では、抗体は、活性血漿カリクレインを結合し、プレカリクレインを結合しない。
本明細書中記載のいずれか1つの方法の一部の実施形態では、抗体は、DX−2930と同一のエピトープに結合する、または活性血漿カリクレインへの結合に関してDX−2930と競合する。いくつかの実施形態では、抗体は、DX−2930と同一の重鎖CDR、DX−2930と同一の軽鎖CDR、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、本明細書中記載される完全長のIgG抗体であるDX−2930、またはその抗原結合性フラグメントである。
本明細書中記載のいずれか1つの方法のいくつかの実施形態では、抗体を皮下投与により投与できる。いくつかの実施形態では、対象は、HAEの発作に苦しんでいる、HAEの発作を有する疑いのある、またはHAEの発作のリスクがあるヒトの患者である。たとえば、本明細書中に記載の方法は、HAEの予防治療のためのものである。
本明細書中記載のいずれか1つの方法のいくつかの実施形態では、本方法は、治療の前および後、または治療過程の最中に、対象におけるクレアチンホスホキナーゼのレベルをモニタリングすることをさらに含む。クレアチンホスホキナーゼの上昇が観察される場合、抗体(たとえばDX−2930)の用量を減少させてよく、または治療を終了してもよい。
さらなる別の態様では、本開示は、対象中の遺伝性血管性浮腫(HAE)を治療する最適な用量(たとえば最適な予防上の用量)を決定する方法であって、(a)初期の用量で、活性血漿カリクレインを結合する本明細書中に記載のいずれかの抗体(たとえばDX−2930またはその抗原結合性フラグメント)を、その必要のある対象に投与すること(たとえば皮下投与)と、(b)上記対象における抗体の血漿中濃度を測定することと、(c)上記抗体の血漿中濃度が約80nM未満である場合に、上記抗体の用量を増加させることとを含み、抗体の血漿中濃度を約80nM超に維持する用量が上記対象に最適な予防用量として選択される、方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象は、抗体を投与する時点で、HAEの症状を呈していないヒトの患者である。いくつかの実施形態では、初期の用量は、約100mg〜400mgまたは100mg〜300mg(たとえば100mgまたは300mgのDX−2930)である。
上述の方法は、治療の前および後、または治療過程の最中に、対象中のクレアチンホスホキナーゼのレベルをモニタリングすることをさらに含んでもよい。さらに、本方法は、クレアチンホスホキナーゼの上昇が観察される場合に、抗体の用量を減少させること、または治療を終了することをさらに含んでもよい。
本明細書中に記載のいずれかの方法では、抗体の血漿中濃度を、血漿カリクレイン活性のアッセイまたは免疫アッセイにより測定できる。
また、(a)HAEの治療、またはHAEを治療するための薬剤の最適な用量の決定に使用するための医薬組成物であって、本明細書中に記載の抗カリクレイン抗体のいずれかおよび薬学的に許容可能なキャリアーを含む、医薬組成物と、(b)HAEの治療のための薬物を製造するための医薬組成物の使用も、本開示の範囲内にある。意図する目的のための抗体の使用は、本明細書中に記載される投与条件下で行うことができる。
本発明の1つまたは複数の実施形態の詳細を、以下の説明に記載する。本発明の他の特徴または利点は、以下の図面およびいくつかの実施形態の詳細な説明、および添付の特許請求の範囲から明らかである。
健常な対象への皮下(SC)投与の後のDX−2930の平均濃度を示すグラフである。各用量のコホートに関する濃度‐時間のプロットを対数尺度で表している。エラーバーは標準偏差である。このプロファイルは、線形で用量依存的な曝露を示した。用量グループにわたる並列排出相は、すべての用量が均一に作用する用量非依存的な動態を伴い正常に作用する抗体と一致する。 健常な対象における、28日ごとの皮下投与を介して3mg/kgのDX−2930を用いた反復投与後に予測される血漿中濃度を表すグラフである。 疾患状態の予防のための薬物の使用の一般的な原則を表すグラフである。 HAEの予防のためのDX−2930の使用の一般的な原則を表すグラフである。 in vitroにおけるpKalに対するDX−2930およびエカランチドの比較阻害活性を表すグラフである。 HAEの治療および/または予防のための80nM以上でDX−2930の血漿中濃度を継続的に維持するのに必要な条件に関する代替的な仮説を表すグラフである。あるいは、HAEの治療および/または予防のために必要とされるDX−2930の血漿中濃度は、80nMよりも低く、または高くてもよい。 単回用量3mg/kgのDX−2930の投与の後に、80nM以上での血漿中の薬剤レベルが得られることを表すグラフである。 健常な対象において、28日ごとに3mg/kgで皮下送達する慢性的なDX−2930投与の薬物動態的(PK)モデリングを表すグラフである。 健常な対象において、28日ごとに3mg/kgのSCでのDX−2930の薬力学的(PD)効果を表すグラフである。 DX−2930の単回投与(3mg/kg)後の薬力学的(PD)および薬物動態学的(PK)データを表すグラフである。PDのデータは、経時的なpKal活性の相対的な%阻害としてプロットした。PKのデータは、経時的な血漿中DX−2930の濃度(nM)としてプロットした。※P値<0.05(5日目、3mg/kg対プラセボ)。 天然の生物学的基質に対するDX−2930の薬力学的(PD)活性を表すグラフである(HMWK切断を、2鎖のHMWKの生成として測定した)。 3mg/kgのDX−2930の単回投与の後の経時的な、持続したDX−2930の生理活性を表すグラフである。※P値<0.05(3mg/kgおよび28日目対予防投薬)
定義
本発明をさらに説明する前に、簡便のため、本明細書、実施例および添付の特許請求の範囲で使用される特定の用語を個々に定義する。他の用語は、本明細書中で明らかとなるように定義されている。
単数形「a」、「an」、および「the」は、特段他の明確な記載がない限り複数形を含む。
用語「抗体」は、少なくとも1つのイムノグロブリンの可変ドメイン(可変領域)またはイムノグロブリンの可変ドメイン(可変領域)配列を含むタンパク質を指す。たとえば、抗体は、重鎖(H)可変領域(本明細書中VHまたはHVと略記)、および軽鎖(L)可変領域(本明細書中VLまたはLVと略記)を含んでよい。別の例では、抗体は、2つの重鎖(H)可変領域および2つの軽鎖(L)可変領域を含む。用語「抗体」は、抗体の抗原結合性フラグメント(たとえば単鎖抗体、FabおよびsFabフラグメント、F(ab’)2、Fdフラグメント、Fvフラグメント、scFv、およびドメイン抗体(dAb)フラグメント(de Wildt et al., Eur J Immunol. 1996; 26(3):629−39))ならびに完全な抗体を含む。抗体は、IgA、IgG、IgE、IgD、IgM(ならびにそれらのサブタイプ)の構造的な特徴を有してよい。抗体は、任意の供給源由来であってよいが、霊長類(ヒトおよび非ヒトの霊長類)の抗体および霊長類化抗体が好ましい。
VHおよびVL領域は、「フレームワーク領域(FR)」と呼ばれるより保存された領域が分散している、「相補性決定領域(CDR)」と呼ばれる超可変性の領域にさらに分けることができる。フレームワーク領域およびCDRの程度は定義されている(Kabat, E.A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91−3242, and Chothia, C. et al. (1987) J. Mol. Biol. 196:901−917参照)。カバト(kabat)の定義が、本明細書中で使用されている。各VHおよびVLは、概して、3つのCDRおよび4つのFRから構成されており、以下の順:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で、アミノ末端からカルボキシ末端へと配置されている。
本明細書中使用されるように、「イムノグロブリン可変ドメイン配列」は、1つまたは複数のCDR領域が、抗原結合部位に適した立体構造に配置されるように、イムノグロブリン可変ドメインの構造を形成できるアミノ酸配列を指す。たとえば配列は、天然に存在する可変ドメインのアミノ酸配列のすべてまたは一部を含んでよい。たとえば配列は、1つ、2つまたはそれより多いN−またはC―末端アミノ酸、内部アミノ酸を除外してもよく、1つまたは複数の挿入または追加的な末端のアミノ酸を含んでもよく、または他の変更を含んでもよい。一実施形態では、イムノグロブリン可変ドメイン配列を含むポリペプチドは別のイムノグロブリン可変ドメイン配列と結合して抗原結合部位、たとえば血漿カリクレインと優先的に相互作用する構造を形成できる。
抗体のVH鎖またはVL鎖は、重鎖または軽鎖の定常領域のすべてまたは一部をさらに含むことにより、それぞれ重鎖または軽鎖イムノグロブリンを形成できる。一実施形態では、抗体は、2つの重鎖イムノグロブリンおよび2つの軽鎖イムノグロブリンのテトラマーであって、上記重鎖および軽鎖イムノグロブリンは、たとえばジスルフィド結合により内部で結合されている。IgGでは、重鎖定常領域は、3つのイムノグロブリンのドメインCH1、CH2およびCH3を含む。軽鎖定常領域はCLドメインを含む。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、概して、免疫系の様々な細胞(たとえばエフェクター細胞)および古典的な補体経路の第1の補体(Clq)を含む、宿主組織または因子に対する抗体の結合を媒介する。イムノグロブリンの軽鎖は、カッパ型またはラムダ型であってよい。一実施形態では、抗体はグリコシル化されている。抗体は、抗体依存的な細胞傷害性および/または補体媒介性細胞傷害性に関して機能的であってよい。
抗体の1つまたは複数の領域は、ヒト型または事実上ヒト型であってよい。たとえば1つまたは複数の可変領域は、ヒト型または事実上ヒト型であってよい。たとえば、1つまたは複数のCDRはヒト型、たとえばHC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2、および/またはLC CDR3であってよい。各軽鎖(LC)および/または重鎖(HC)のCDRはヒト型であってよい。HC CDR3はヒト型であってよい。1つまたは複数のフレームワーク領域は、ヒト型、たとえばHCおよび/またはLCのFR1、FR2、FR3、および/またはFR4であってよい。たとえば、Fc領域はヒト型であってよい。一実施形態では、すべてのフレームワーク領域はヒト型であり、たとえばイムノグロブリンを産生する造血細胞または非造血細胞など、ヒトの体細胞由来である。一実施形態では、ヒトの配列は生殖系列の配列であり、たとえば生殖系列の核酸によりコードされている。一実施形態では、選択されたFabのフレームワーク(FR)残基は、最も類似する霊長類の生殖系列遺伝子中、特にはヒトの生殖系列遺伝子中で、対応する残基のアミノ酸種に変換できる。1つまたは複数の定常領域は、ヒト型または事実上ヒト型であってよい。たとえば、イムノグロブリンの可変ドメイン、定常領域、および定常ドメイン(CH1、CH2、CH3、および/もしくはCL1)、または抗体全体の少なくとも70、75、80、85、90、92、95、98、または100%が、ヒト型または事実上ヒト型であってよい。
抗体のすべてまたは一部は、イムノグロブリンの遺伝子またはそのセグメントによりコードされ得る。例示的なヒトのイムノグロブリンの遺伝子は、カッパ、ラムダ、アルファ(IgA1およびIgA2)、ガンマ(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、デルタ、イプシロンおよびミューの定常領域の遺伝子、ならびに多くのイムノグロブリン可変領域の遺伝子を含む。完全長のイムノグロブリン「軽鎖」(約25kDaまたは約214個のアミノ酸)は、NH2末端での可変領域(約110個のアミノ酸)の遺伝子およびCOOH末端でのカッパまたはラムダの定常領域の遺伝子によりコードされている。完全長のイムノグロブリン「重鎖」(約50kDaまたは約446個のアミノ酸)も同様に、可変領域(約116のアミノ酸)遺伝子および他の上述の定常領域遺伝子のうちの1つ、たとえばガンマ(約330のアミノ酸をコードする)によりコードされている。HC CDR3は、約3つのアミノ酸残基から35超のアミノ酸残基まで変動するため、ヒトHCの長さは、相当程度変動する。
完全長の抗体の「抗原結合性フラグメント」という用語は、対象の標的に特異的に結合する特性を保持する完全長の抗体の1つまたは複数のフラグメントを指す。完全長抗体の「抗原結合性フラグメント」という用語中に含まれており、かつ機能性を保持する結合性フラグメントの例は、(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価のフラグメントである、Fabフラグメント;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋により結合する2つのFabフラグメントを含む二価フラグメントである、F(ab’)フラグメント;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iv)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント、(v)VHドメインからなる、dAbフラグメント(Ward et al., (1989) Nature 341:544−546);および(vi)単離された相補性決定領域(CDR)を含む。さらに、Fvフラグメントの2つのドメインのVLおよびVHは別々の遺伝子によりコードされているが、VLおよびVH領域の対が単一鎖Fv(scFv)として知られる一価の分子を形成する、単一のタンパク質鎖として作製し得る合成リンカーにより、組み換え方法を使用して、これらを結合できる。たとえば米国特許第5,260,203号、第4,946,778号、および第4,881,175号;Bird et al. (1988) Science 242:423−426;およびHuston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879−5883を参照されたい。
抗体フラグメントは、当業者に知られている従来技術を含む任意の適切な技術を使用して入手できる。「単一特異性抗体」という用語は、特定の標的、たとえばエピトープに対する単一の結合特異性および親和性を呈する抗体を指す。この用語は、「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」を含み、本明細書中で使用されるように、抗体がどのように作製されたかに関わらず、単一の分子組成物の抗体またはそのフラグメントの調製物を指す。
抗体は、結合特性が実質的に保持される限り、フレームワーク領域中の1つまたは複数の非生殖系列アミノ酸を対応する抗体の生殖系列アミノ酸に戻すことにより「生殖系列化」される。
阻害定数(Ki)は、阻害剤の効力の測定値を提供し、この定数は、酵素活性を半分減少させるために必要とされる阻害剤の濃度であり、酵素または基質の濃度に依存しない。見かけ上のKi(Ki,app)は、反応(たとえば酵素活性)の程度に関する阻害剤(たとえば阻害性結合タンパク質)の異なる濃度の阻害効果を測定することにより異なる基質濃度で得られ、阻害剤濃度の関数として擬1次速度定数の変化を、Morrisonの式(式1)の収量に適合して見かけ上のKi値の推定値を得る。Kiは、Ki,app対基質濃度のプロットの線形回帰解析から抽出したy−切片から得られる。
Figure 0006845012
式1
式中、v=測定した速度;v=阻害剤の非存在下での速度;Ki,app=見かけ上の阻害定数:I=総阻害剤濃度;およびE=総酵素濃度。
本明細書中で使用されるように、「結合親和性」は、見かけ上の結合定数またはKを指す。Kは、解離定数(K)の逆数である。結合抗体は、たとえば、特定の標的分子、たとえば血漿カリクレインに関して、少なくとも10、10、10、10、10、1010および1011−1の結合親和性を有し得る。第2の標的と比較して、第1の標的に対する結合抗体のより高い親和結合性は、第2の標的の結合のK(または数値K)よりも高い第1の標的の結合のK(またはより小さな数値K)により表すことができる。このような場合、結合抗体は、第2の標的(たとえば第2の立体構造の同一のタンパク質、もしくはその模倣物;または第2のタンパク質)と比較して、第1の標的(たとえば第1の立体構造のタンパク質またはその模倣物)に対する特異性を有する。結合親和性の差異(たとえば特異性または他の比較に関して)は、少なくとも1.5、2、3、4、5、10、15、20、37.5、50、70、80、91、100、500、1000、10,000または10倍であってよい。
結合親和性は、平衡透析、平衡結合、ゲルろ過、ELISA、表面プラズモン共鳴、または分光法(たとえば蛍光アッセイを使用する)を含む様々な方法により決定できる。結合親和性を評価する例示的な条件は、HBS−Pバッファー(10mMのHEPES(pH7.4)、150mMのNaCl、0.005%(v/v)のSurfactant P20)中である。これらの技術は、結合タンパク質(または標的)の濃度の関数として結合した結合タンパク質および遊離の結合タンパク質の濃度を測定するために使用できる。以下の式により、結合した結合タンパク質の濃度(「Bound」)は、遊離の結合タンパク質(「Free」)の濃度および標的上の結合タンパク質に関する結合部位の濃度に関連しており、
Figure 0006845012
式中、(N)は、標的分子あたりの結合部位の数である。
しかし、正確なKの決定を行うことは必ずしも必要ではなく、これは、場合によっては、Kと比例する、たとえばELISAまたはFACS解析などの方法を使用して決定される親和性の定量的測定値を入手することで十分なためであり、よってそれを比較のために用いて、より高い親和性がたとえば2倍高いかどうかを決定するなど、たとえばin vitroまたはin vivoアッセイなどの機能的アッセイでの活性により、親和性の定量的な測定値を入手、または親和性の推論を入手できる。
用語「結合抗体」(または本明細書中互換可能に使用される「結合タンパク質」)は、標的分子と相互作用できる抗体を指す。この用語は、「リガンド」と互換可能に使用される。「血漿カリクレイン結合タンパク質」は、血漿カリクレインと相互作用(たとえば結合)できる抗体を指し、特に、優先的または特異的に血漿カリクレインと相互作用および/または血漿カリクレインを阻害する抗体を含む。抗体は、この抗体の非存在下および同一条件での血漿カリクレインの活性と比較して血漿カリクレインの活性を減少させる場合、血漿カリクレインを阻害する。
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似する側鎖を有するアミノ酸残基と置換されているものを指す。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当業者により定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(たとえばリジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(たとえばアスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷の極性側鎖(たとえばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(たとえばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分鎖状側鎖(たとえばスレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(たとえばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。
結合タンパク質の1つまたは複数のフレームワークおよび/またはCDRアミノ酸残基が、本明細書中に記載される結合タンパク質と比較して1つまたは複数の変異(たとえば置換(たとえば非必須アミノ酸の保存的置換または置換)、挿入、または欠失)を含んでもよい。血漿カリクレイン結合タンパク質は、たとえばタンパク質の機能に関して実質的な効果を有さない変異など、本明細書中に記載されるタンパク質に対する変異(たとえば置換(たとえば非必須アミノ酸の保存的置換または置換)、挿入、または欠失)(たとえば少なくとも1つ、2つ、3つ、もしくは4つ、および/または15未満、12未満、10未満、9未満、8未満、7未満、6未満、5未満、4未満、3未満、もしくは2未満の変異)を有してもよい。この変異は、フレームワーク領域、CDR、および/または定常領域に存在してよい。いくつかの実施形態では、変異はフレームワーク領域に存在する。いくつかの実施形態では、変異はCDRに存在する。いくつかの実施形態では、変異は定常領域に存在する。特定の置換が認容可能であるか、すなわち結合活性などの生物学的な特性に不利な影響を与えないかどうかは、たとえば変異が保存されているかどうかを評価することにより、またはBowie, et al. (1990) Science 247:1306−1310の方法により予測できる。
「事実上ヒト型の」イムノグロブリン可変領域は、正常なヒトでの免疫原性応答を誘発しないよう十分な数のヒトのフレームワークアミノ酸の位置を含むイムノグロブリン可変領域である。「事実上ヒト型の」抗体は、抗体が、正常なヒト中での免疫原性応答を誘発しないよう十分な数のヒトのアミノ酸位置を含む抗体である。
「エピトープ」は、結合タンパク質(たとえばFabまたは完全長の抗体などの抗体)により結合されている標的化合物上の部位を指す。標的化合物がタンパク質である場合、この部位は全体的にアミノ酸の構成要素から構成でき、全体的にタンパク質のアミノ酸の化学的修飾物(たとえばグリコシル部位)から構成でき、またはそれらの組み合わせから構成できる。重複するエピトープは、少なくとも1つの共通のアミノ酸残基、グリコシル基、リン酸基、硫酸基、または他の分子学的な特徴を含む。
第1の結合抗体は、この第1の結合抗体が、第2の結合抗体が結合する標的化合物上の同一の部位に結合する、または第2の結合抗体が結合する部位と重複する(たとえばアミノ酸配列または他の分子学的な特徴(たとえばグリコシル基、リン酸基、または硫酸基)の観点から、50%、60%、70%、80%、90%、または100%重複する)部位に結合する場合、第2の結合抗体と「同一のエピトープに結合する」。
第1の結合抗体のエピトープに対する第1の結合抗体の結合性が、第2の結合抗体のエピトープと結合する第2の結合抗体の量を減少させる(たとえば10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、またはそれを超えて減少させる)場合、第1の結合抗体は、第2の結合抗体と「結合に関して競合する」。この競合は、直接的(たとえば第1の結合抗体は、第2の結合抗体により結合したエピトープと同一、または重複するエピトープに結合する)、または間接的(たとえば、第1の結合抗体のエピトープに対する第1の結合抗体の結合性が、第2の結合抗体のエピトープに結合する第2の結合抗体の特性を減少させる標的化合物の立体的な変化を引き起こす)であり得る。
2つの配列の間の「相同性」または「配列同一性」(これらの用語は本明細書中互換可能に使用される)の計算は、以下のように行われる。これらの配列は、比較を最適にするためにアライメントされる(たとえばギャップを、最適なアライメントのため第1および第2のアミノ酸または核酸配列のうち1つまたは両方に導入でき、非相同的な配列は、比較のために無視できる)。この最適なアライメントは、12のギャップペナルティ、4のギャップ伸長ペナルティ、および5のフレームシフトギャップペナルティを伴うBlosum62スコアマトリックスを用いて、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムを使用して、最良のスコアとして決定される。次に、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置のアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列の位置が、第2の配列の対応する位置と同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドにより占められている場合、分子はその位置で同一である(本明細書中で使用されるように、アミノ酸または核酸の「同一性」は、アミノ酸または核酸の「相同性」と均等である)。2つの配列間のパーセント同一性は、これらの配列で共有されている同一の位置の数の関数である。
好ましい実施形態では、比較のためにアライメントされる参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも60%、およびさらにより好ましくは少なくとも70%、80%、90%、92%、95%、97%、98%、または100%である。たとえば、参照配列は、イムノグロブリン可変ドメイン配列の長さであってよい。
「ヒト化」イムノグロブリン可変領域は、イムノグロブリン可変領域が正常なヒトでの免疫原性応答を誘発しないよう十分な数のヒトのフレームワークのアミノ酸位置を含むよう改変されているイムノグロブリン可変領域である。「ヒト化」イムノグロブリンの記載として、たとえば米国特許第6,407,213号および米国特許第5,693,762号が挙げられる。
「単離した」抗体は、単離した抗体を入手できる天然の試料の少なくとも1つの成分の少なくとも90%から除去されている抗体を指す。抗体は、対象の種または種の集合が少なくとも5、10、25、50、75、80、90、92、95、98、または99重量%純粋である場合、「少なくとも」特定の度合いの純度であり得る。
本対象の方法により治療される「患者」、「対象」または「宿主」(これらの用語は互換可能に使用される)は、ヒトまたは非ヒト動物のいずれかを意味し得る。
用語「プレカリクレイン」および「プレ血漿カリクレイン」は、本明細書中互換可能に使用され、プレカリクレインとしても知られている活性血漿カリクレインの酵素前駆体の形態を指す。
本明細書中使用されるように、「実質的に同一」(または「実質的に相同」)は、第1および第2のアミノ酸または核酸配列が類似の活性、たとえば結合活性、結合の優先度、または生物学的な活性を有する(または類似の活性を有するタンパク質をコードする)ように、第2のアミノ酸または核酸配列に同一または均等な(たとえば類似する側鎖を有する、たとえば保存的アミノ酸の置換を有する)十分な数のアミノ酸残基またはヌクレオチドを含む第1のアミノ酸または核酸配列を指すために本明細書中で使用される。抗体の場合、第2の抗体は、同一の抗原と比較して同一の特異性を有し、親和性の少なくとも50%、少なくとも25%、または少なくとも10%を有する。
本明細書中に開示される配列に類似のまたは相同的な(たとえば少なくとも約85%の配列同一性を有する)配列もまた、本願の一部である。いくつかの実施形態では、配列同一性は、約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超えてよい。いくつかの実施形態では、血漿カリクレイン結合抗体は、本明細書中に記載される抗体に対し、約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える配列同一性を有してよい。いくつかの実施形態では、血漿カリクレイン結合抗体は、本明細書中に記載される抗体(たとえばDX−2930)に対し、HCおよび/またはLCフレームワーク領域(たとえばHCおよび/またはLC FR1、2、3、および/または4)において、約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有してよい。いくつかの実施形態では、血漿カリクレイン結合抗体は、本明細書中に記載される抗体(たとえばDX−2930)に対し、定常領域(たとえばCH1、CH2、CH3、および/またはCL1)において、約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有してよい。
さらに、核酸セグメントが選択的なハイブリダイゼーション条件(たとえば非常に厳密なハイブリダイゼーション条件)下でハイブリダイズする場合、相補の鎖に対する実質的な同一性が存在する。核酸は、細胞全体に、細胞ライセートに、または部分的に精製もしくは実質的に精製した形態で存在してもよい。
統計学的有意性は、当業者に知られている任意の方法により決定できる。例示的な統計検定として、スチューデントt検定、非パラメトリックなマン・ホイットニーのU検定、非パラメトリックなウィルコクソンの統計検定が挙げられる。いくつかの統計的に有意な関係は、0.05または0.02未満のP値を有する。特定の結合タンパク質は、たとえば統計的に有意である(たとえばP値<0.05または0.02)特異性または結合性における差異を示してもよい。たとえば、2つの状態の間での区別可能な定性的または定量的な差異を示す、用語「誘導する」、「阻害する」、「増強する」、「上昇する」、「増加する」、「減少する」などは差異、たとえば、2つの状態の間での統計的に有意な差異を指してもよい。
「治療上有効な用量」は、無処置の対象と比較して、統計的に有意な度合いだけ、または少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約40%、さらにより好ましくは少なくとも約60%、およびさらにより好ましくは少なくとも約80%だけ、測定可能なパラメータ、たとえば血漿カリクレイン活性を好ましく調節する。測定可能なパラメータ、たとえば疾患関連パラメータを調節する化合物の特性は、ヒトの障害および病態における効果を予測する動物モデルシステムで評価できる。あるいは、組成物のこの特性は、in vitroでパラメータを調節する化合物の特性を試験することにより評価できる。
本明細書中で使用される用語「治療する」は、疾患、疾患の症状、または疾患の素因を治療(cure)、治癒、軽減、緩和、変質、治療(remedy)、寛解、改善、または影響する目的で、アレルギー性疾患、アレルギー性疾患の症状、またはアレルギー性疾患の素因を有する対象への、1つまたは複数の活性剤を含む組成物の適用または投与を指す。「予防治療(prophylate treatment)は、「予防的治療(preventive treatment,”)」としても知られており、患者が曝露している、または曝露し得る疾患から保護する、またはその疾患のリスクを低下させることを目的とする治療を指す。
対象中の疾患を「予防する」という用語は、たとえば、疾患の少なくとも1つが予防されるような薬剤の投与、すなわち宿主が望ましくない病態を発症しないように望ましくない病態(たとえばは宿主動物の疾患また他の望ましくない状態)の臨床症状の前に投与されるといった対象へ薬学的な処置を行うことを指す。疾患を「予防する」ことは、「予防薬」または「予防治療」を指してもよい。
「予防的に有効な量」は、望ましい予防的な結果を達成するために、必要な用量でおよび期間の間、有効な量を指す。概して、予防的な用量は疾患の初期段階より前または初期段階で対象に使用されるため、予防的に有効な量は、治療的に有効な量よりも少ない。
血漿カリクレイン結合抗体
本明細書中に記載される方法で使用される血漿カリクレイン結合抗体は、完全長(たとえばIgG(たとえばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、IgM、IgA(たとえばIgA1、IgA2)、IgD、およびIgE)であってよく、または抗原結合性フラグメント(たとえばFab、F(ab’)2またはscFvフラグメント)のみを含んでよい。結合抗体は、2つの重鎖イムノグロブリンおよび2つの軽鎖イムノグロブリンを含んでよく、または単一鎖の抗体であってよい。血漿カリクレイン結合抗体は、ヒト化抗体、CDRグラフト抗体、キメラ抗体、脱免疫化(deimmunized)抗体、またはin vitroで作製した抗体などの組み換えタンパク質であってよく、ヒト生殖系列イムノグロブリン配列由来の定常領域を任意に含んでもよい。一実施形態では、血漿カリクレイン結合抗体は、モノクローナル抗体である。
一態様では、本開示は、血漿カリクレイン(たとえばヒト血漿カリクレインおよび/またはマウスカリクレイン)に結合し、かつ少なくとも1つのイムノグロブリン可変領域を含む抗体(たとえば単離した抗体)を特徴とする。たとえば抗体は、重鎖(HC)イムノグロブリン可変ドメイン配列および/または軽鎖(LC)イムノグロブリン可変ドメイン配列を含む。一実施形態では、抗体は血漿カリクレイン、たとえばヒトの血漿カリクレインおよび/またはマウスのカリクレインに結合し、これを阻害する。
抗体は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含んでよい:(a)ヒトのCDRまたはヒトのフレームワーク領域;(b)HCイムノグロブリン可変ドメイン配列は、本明細書中に記載のHC可変ドメインのCDRに少なくとも85、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%同一である1つまたは複数の(たとえば1、2、または3つの)CDRを含む;(c)LCイムノグロブリン可変ドメイン配列は、本明細書中に記載のLC可変ドメインのCDRに少なくとも85、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%同一である1つまたは複数の(たとえば1、2、または3つの)CDRを含む;(d)LCイムノグロブリン可変ドメイン配列は、本明細書中に記載されるLC可変ドメインに少なくとも85、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%同一である(たとえば全体またはフレームワーク領域またはCDRにおいて);(e)HCイムノグロブリン可変ドメイン配列は本明細書中に記載されるHC可変ドメインに少なくとも85、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%同一である、(たとえば全体またはフレームワーク領域またはCDRにおいて);(f)抗体は、本明細書中に記載される抗体により結合されるエピトープを結合する、または本明細書中に記載される抗体と結合に関して競合する;(g)霊長類のCDRまたは霊長類のフレームワーク領域;(h)HCイムノグロブリン可変ドメイン配列は、本明細書中に記載されるHC可変ドメインのCDR1と、少なくとも1つのアミノ酸だけ異なり2または3以下のアミノ酸だけ異なるCDR1を含む;(i)HCイムノグロブリン可変ドメイン配列は、本明細書中に記載されるHC可変ドメインのCDR2と、少なくとも1つのアミノ酸だけ異なり2、3、4、5、6、7、または8以下のアミノ酸だけ異なるCDR2を含む;(j)HCイムノグロブリン可変ドメイン配列は、本明細書中に記載されるHC可変ドメインのCDR3と、少なくとも1つのアミノ酸だけ異なり2、3、4、5、または6以下のアミノ酸だけ異なるCDR3を含む;(k)LCイムノグロブリン可変ドメイン配列が、本明細書中に記載されるLC可変ドメインのCDR1と、少なくとも1つのアミノ酸だけ異なり2、3、4、または5以下のアミノ酸だけ異なるCDR1を含む;(l)LCイムノグロブリン可変配列が、本明細書中に記載されるLC可変ドメインのCDR2と、少なくとも1つのアミノ酸だけ異なり2、3、または4以下のアミノ酸だけ異なるCDR2を含む;(m)LCイムノグロブリン可変ドメイン配列は、本明細書中に記載されるLC可変ドメインのCDR3と、少なくとも1つのアミノ酸だけ異なり2、3、4、または5以下のアミノ酸だけ異なるCDR3を含む;(n)LCイムノグロブリン可変ドメイン配列は、本明細書中に記載されるLC可変ドメインと、少なくとも1つのアミノ酸だけ異なり2、3、4、5、6、7、8、9、または10以下のアミノ酸だけ異なる(たとえば全体またはフレームワーク領域またはCDRにおいて);および(o)HCイムノグロブリン可変ドメイン配列は、本明細書中に記載されるHC可変ドメインと、少なくとも1つのアミノ酸だけ異なり2、3、4、5、6、7、8、9、または10以下のアミノ酸だけ異なる(たとえば全体またはフレームワーク領域またはCDRにおいて)。
血漿カリクレイン結合タンパク質は、単離した抗体(たとえば少なくとも70、80、90、95、または99%他のタンパク質を含まない)であってよい。いくつかの実施形態では、血漿リクレイン結合抗体またはその組成物は、血漿カリクレイン結合抗体と比較して未活性または部分的に活性である(たとえば5000nM以上のKi,appで血漿カリクレインを結合する)抗体切断フラグメント(たとえばDX−2930)から単離されている。たとえば、血漿カリクレイン結合抗体は、少なくとも70%そのような抗体切断フラグメントを含まず、他の実施形態では、不活性または部分的に活性である抗体切断フラグメントを、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%またさらには100%含まない。
血漿カリクレイン結合抗体は血漿カリクレイン、たとえばヒトの血漿カリクレインをさらに阻害してもよい。
いくつかの実施形態では、血漿カリクレイン結合抗体は、プレカリクレイン(たとえばヒトのプレカリクレインおよび/またはマウスのプレカリクレイン)を結合しないが、血漿カリクレイン(たとえばヒトの血漿カリクレインおよび/またはマウスのカリクレイン)の活性形態に結合する。
特定の実施形態では、抗体は、血漿カリクレインの触媒ドメインもしくはそのフラグメントの活性部位もしくは活性部位付近で結合し、または血漿カリクレインの活性部位と重複するエピトープを結合する。
いくつかの態様では、抗体は本明細書中に記載される抗体と、同一のエピトープを結合する、または結合に関して競合する。
抗体は、少なくとも10、10、10、10、10、1010、および1011−1の結合親和性で、血漿カリクレイン、たとえばヒトの血漿カリクレインに結合できる。一実施形態では、抗体は、1×10−3、5×10−4−1、または1×10−4−1より遅いKoffでヒトの血漿カリクレインに結合する。一実施形態では、抗体は、1×10、1×10、または5×10−1−1より早いKonで、ヒトの血漿カリクレインに結合する。一実施形態では、抗体は、血漿カリクレインに結合するが、血漿カリクレインへの結合ほどは組織のカリクレインおよび/または血漿プレカリクレインに結合しない(たとえば抗体は、弱い効果(たとえば陰性対照と比較して5倍、10倍、50倍、100倍、または100倍少ない、または効果が全くない)で組織のカリクレインおよび/または血漿プレカリクレインに結合する)。
一実施形態では、抗体は、たとえば10−5、10−6、10−7、10−8、10−9、および10−10M未満のKiで、ヒトの血漿カリクレイン活性を阻害する。抗体は、たとえば100nM、10nM、1、0.5、または0.2nM未満のIC50を有し得る。たとえば抗体は、血漿カリクレインの活性、および第XIIa因子(たとえば第XII因子由来)および/またはブラジキニン(たとえば高分子量のキニノーゲン(HMWK)由来)の産生を調節してもよい。抗体は、血漿カリクレインの活性、ならびに/または第XIIa因子(たとえば第XII因子由来)および/もしくはブラジキニン(たとえば高分子量のキニノーゲン(HMWK)由来)の産生を阻害してもよい。ヒトの血漿カリクレインに対する抗体の親和性は、100nM未満、10nM未満、5nM未満、1nM未満、0.5nM未満のKを特徴とすることができる。一実施形態では、抗体は、血漿カリクレインを阻害するが、血漿カリクレインを阻害するほどは組織カリクレインを阻害しない(たとえば抗体は、弱い効果(たとえば陰性対照と比較して5倍、10倍、50倍、100倍、もしくは1000倍少ない、または効果が全くない)で組織カリクレインを阻害する)。
いくつかの実施形態では、抗体は、1000、500、100、5、1、0.5、または0.2nM未満の見かけの阻害定数(Ki,app)を有する。
血漿カリクレイン結合抗体は、単一のポリペプチドに含まれるそれらのHCおよびLC可変ドメイン配列(たとえばscFv)、または異なるポリペプチド上にそれらのHCおよびLC可変ドメイン配列(たとえばIgGまたはFab)を有していてよい。
一実施形態では、HCおよびLC可変ドメイン配列は、同一のポリペプチド鎖の成分である。別の実施形態では、HCおよびLC可変ドメイン配列は、異なるポリペプチド鎖の成分である。たとえば、抗体は、たとえばIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4などのIgGである。抗体は、可溶性Fabであってよい。他の実装では、抗体は、Fab2’、scFv、ミニボディ、scFv::Fc融合物、Fab::HSA融合物、HSA::Fab融合物、Fab::HSA::Fab融合物、または本明細書中の結合タンパク質の1つの抗原結合部位を含む他の分子を含む。これらのFabのVHおよびVL領域は、IgG、Fab、Fab2、Fab2’、scFv、ペグ化Fab、ペグ化scFv、ペグ化Fab2、VH::CH1::HSA+LC、HSA::VH::CH1+LC、LC::HSA+VH::CH1、HSA::LC+VH::CH1、または他の適切な構築物として提供できる。
一実施形態では、抗体は、ヒトの抗体もしくはヒト化抗体であり、またはヒトで非免疫原性である。たとえば抗体は、1つまたは複数のヒト抗体フレームワーク領域、たとえば、すべてのヒトのフレームワーク領域、またはヒトのフレームワーク領域に少なくとも85、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%同一のフレームワーク領域を含む。一実施形態では、抗体は、ヒトFcドメイン、またはヒトFcドメインに少なくとも95、96、97、98、または99%同一のFcドメインを含む。
一実施形態では、抗体は、霊長類の抗体もしくは霊長類化抗体であり、またはヒトで非免疫原性である。たとえば抗体は、1つまたは複数の霊長類のフレームワーク領域、たとえばすべての霊長類のフレームワーク領域、または霊長類のフレームワーク領域に少なくとも85、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%同一であるフレームワーク領域を含む。一実施形態では、抗体は、霊長類のFcドメイン、または霊長類のFcドメインに少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるFcドメインを含む。「霊長類」は、ヒト(ホモサピエンス)、チンパンジー(Pan troglodytesおよびPan paniscu(ボノボ))、ゴリラ(Gorilla gorilla)、テナガザル(gibons)、サル、キツネザル、アイアイ(Daubentonia madagascariensis)、ならびにメガネザルを含む。
いくつかの実施形態では、ヒト血漿カリクレインに関する霊長類の抗体の親和性は、1000nM未満、500nM未満、100nM未満、10nM未満、5nM未満、1nM未満、0.5nM未満のK、たとえば10nM未満、1nM未満、または0.5nM未満を特徴とする。
特定の実施形態では、抗体は、マウスまたはウサギ由来の配列を含まない(たとえばマウスまたはウサギの抗体ではない)。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される方法で使用される抗体は、本明細書中に記載されるDX−2930もしくはその機能的な変異体であってよく、またはDX2930と同一のエピトープを結合する、もしくは活性血漿カリクレインへの結合に関してDX−2930と競合する抗体であってよい。
一例では、DX−2930の機能的変異体は、DX−2930と同一の相補性決定領域(CDR)を含む。別の例では、DX−2930の機能的変異体は、DX−2930のVおよびVのFRと比較して、VまたはVのいずれかのFRにおいて1つまたは複数の変異(たとえば保存的置換)を含み得る。好ましくは、このような変異は、1つまたは複数のCDRと相互作用することが予測される残基で起こらず、これはルーチン的技術により決定できる。他の実施形態では、本明細書中に記載される機能的変異体は、DX−2930の1つまたは複数のCDR領域内に1つまたは複数の変異(たとえば1、2、または3つ)を含む。好ましくは、このような機能的変異体は、抗原結合に貢献する親と同一の領域/残基を保持する。さらなる他の実施形態では、DX−2930の機能的変異体は、DX−2930のVに少なくとも85%(たとえば90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)同一のアミノ酸配列を含むV鎖、および/または、DX−2930のVに少なくとも85%(たとえば90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)同一のアミノ酸配列を有するV鎖を含んでもよい。これらの変異体は、血漿カリクレインの活性形態に結合でき、好ましくはプレカリクレインに結合しない。
2つのアミノ酸配列の「パーセント同一性」は、Karlin and Altschul Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873−77, 1993のように改変した、Karlin and Altschul Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264−68, 1990のアルゴリズムを使用して決定する。このようなアルゴリズムは、Altschul, et al. J. Mol. Biol. 215:403−10, 1990のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)に組み込まれる。BLASTタンパク質の検索は、対象のタンパク質分子に相同的なアミノ酸配列を入手するために、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いて行うことができる。ギャップが2つの配列間に存在する場合、Gapped BLASTを、Altschul et al., Nucleic Acids Res. 25(17):3389−3402, 1997に記載するように利用できる。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、各プログラム(たとえばXBLASTおよびNBLAST)のデフォルトのパラメータを使用できる。
抗体の調製
本明細書中に記載されるPKalを結合できる抗体は、当業者に知られている任意の方法により作製できる。たとえば、Harlow and Lane, (1988) Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New Yorkを参照されたい。
いくつかの実施形態では、標的抗原(たとえばヒトのPKalまたはその触媒ドメイン)に特異的な抗体は、従来のハイブリドーマ技術により作製できる。任意にKLHなどのキャリアータンパク質に結合している完全長の標的抗原またはそのフラグメントは、その抗原に結合する抗体を作製するために、宿主動物を免疫化するために使用できる。宿主動物の免疫化の経路およびスケジュールは一般的に、本明細書中にさらに記載されるように、抗体の刺激および産生の確立された従来技術を踏まえたものである。マウスの抗体、ヒト化抗体、およびヒトの抗体の産生のための一般的な技術は当業者に知られており、本明細書中に記載されている。ヒトを含むいずれかの哺乳類の対象、またはそれらから細胞を産生する抗体を、ヒトのハイブリドーマ細胞株を含む、哺乳類の細胞株の産生のための基礎として作用するよう操作できる。概して、宿主動物に、腹腔内、筋肉内、経口的、皮下的、足底に、および/または皮内に、本明細書中に記載されるものを含むある量の免疫原を播種する。
ハイブリドーマは、Kohler, B. and Milstein, C. (1975) Nature 256:495−497の一般的な体細胞のハイブリダイゼーション技術を使用して、またはBuck, D. W., et al., In Vitro, 18:377−381 (1982)により改変されたように、リンパ球および不死化骨髄腫細胞から調製できる。限定するものではないが、X63−Ag8.653、およびSalk Institute, Cell Distribution Center, San Diego, Calif., USA由来のものを含む入手可能な骨髄腫系統を、ハイブリダイゼーションに使用してもよい。一般的に、この技術は、ポリエチレングリコールなどのフソゲン(fusogen)を使用して、または当業者によく知られている電気的な手段により、骨髄腫細胞およびリンパ系細胞を融合することを含む。融合の後、細胞を融合培地から分離し、ヒポキサンチン‐アミノプテリン‐チミジン(HAT)培地などの選択的な増殖培地で増殖させて、ハイブリダイズしていない親細胞を除去する。血清を補充または補充していない本明細書中に記載されるいずれかの培地を、モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを培養するために使用できる。細胞融合技術とは別の代替物として、EBV不死化B細胞を、本明細書中に記載される抗PKalモノクローナル抗体を産生するために使用してもよい。必要に応じて、ハイブリドーマを拡大およびサブクローニングし、上清を、従来のイムノアッセイの手法(たとえばラジオイムノアッセイ、酵素イムノアッセイ、または蛍光イムノアッセイ)により抗免疫原の活性に関してアッセイする。
抗体の供給源として使用し得るハイブリドーマは、PKalの活性と干渉できるモノクローナル抗体を産生する親のハイブリドーマのすべての誘導体、後代細胞を含む。そのような抗体を産生するハイブリドーマは、既知の手法を使用してin vitroまたはin vivoで増殖してもよい。モノクローナル抗体は、必要に応じて、硫酸アンモニウム沈殿、ゲル電気泳動、透析、クロマトグラフィー、および限外濾過などの従来のイムノグロブリン精製工程により培養培地または体液から単離してもよい。望ましくない活性が存在する場合、たとえば、調製物を、固相に結合した免疫原から作製された吸着剤を通し、免疫原から望ましい抗体を溶出または放出することにより、望ましくない活性を除去できる。二機能化剤または誘導体化剤、たとえばマレイミドベンゾイルスルホンスクシンイミドエステル(システイン残基を介して結合)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を介する)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl、またはR1N=C=NR(式中、RおよびR1が、異なるアルキル基である)を使用して、たとえばキーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、またはダイズトリプシン阻害剤などの、免疫化される種において免疫原性であるタンパク質に結合した、標的抗原または標的アミノ酸配列を含むフラグメントでの宿主動物の免疫化により、抗体(たとえばモノクローナル抗体)の集合を回収できる。
必要に応じて、対象の抗体(モノクローナルまたはポリクローナル)(たとえばハイブリドーマにより産生される)をシークエンシングしてもよく、次にポリヌクレオチド配列を発現または増殖用のベクターにクローニングしてもよい。対象の抗体をコードする配列は、宿主細胞中のベクターに維持してもよく、次に宿主細胞を拡大して将来の使用のために凍結できる。あるいは、ポリヌクレオチド配列は、抗体を「ヒト化」するためまたは抗体の親和性(親和性の成熟化)もしくは他の特徴を改善するための遺伝的な操作に使用してもよい。たとえば、定常領域は、抗体をヒトの臨床試験および治療で使用する場合に免疫応答を回避するために、ヒトの定常領域により類似するように操作されてもよい。標的抗原に対するより高い親和性およびPKalの活性の阻害に関してより高い有効性を入手するために、抗体の配列を遺伝的に操作することが好ましい可能性がある。抗体に対して1つまたは複数のポリヌクレオチドを変化させ、かつ標的抗原に対するその結合特異性をなお維持できることは当業者にとって明らかである。
他の実施形態では、完全なヒト抗体は、特異的なヒトのイムノグロブリンタンパク質を発現するように操作された市販のマウスを使用することにより入手できる。より望ましく(たとえば完全にヒトの抗体)またはより強力な免疫応答を生成するよう設計されているトランスジェニックマウスもまた、ヒト化抗体またはヒトの抗体の作製に使用してよい。このような技術の例は、Amgen, Inc.(Fremont, Calif.)製のXenomouse(登録商標)ならびにMedarex, Inc.(Princeton, N.J.)製のHuMAb−Mouse(登録商標)およびTC Mouse(商標)である。別の代替例では、抗体は、ファージディスプレイまたは酵母技術により組み換えを行って作製してもよい。たとえば米国特許第5,565,332号;第5,580,717号;第5,733,743号;および第6,265,150号;およびWinter et al.,(1994) Annu. Rev. Immunol. 12:433−455を参照されたい。あるいは、ファージディスプレイ技術(McCafferty et al.,(1990) Nature 348:552−553)を使用して、免疫化していないドナー由来のイムノグロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから、in vitroでヒトの抗体および抗体フラグメントを作製できる。
無処置の抗体(完全長の抗体)の抗原結合性フラグメントを、ルーチンの方法を介して調製できる。たとえばF(ab’)2フラグメントは、抗体分子のペプシン消化により産生でき、Fabフラグメントは、F(ab’)2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することにより作製できる。
ヒト化抗体、キメラ抗体、単鎖抗体、および二重特異性抗体などの遺伝的に操作した抗体は、たとえば従来の組み換え技術を介して生成できる。一例では、標的抗原に特異的なモノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手法を使用して(たとえばモノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)、容易に単離し、シークエンシングできる。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい供給源として働く。単離した後、DNAを1つまたは複数の発現ベクターに入れ、次に大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、またはイムノグロブリンタンパク質を生成しない骨髄腫細胞などの宿主細胞中にトランスフェクトして、組み換え宿主細胞中でのモノクローナル抗体の合成を得てもよい。たとえば、国際特許公開公報第87/04462号を参照されたい。次に、たとえば、相同的なマウスの配列の代わりにヒトの重鎖および軽鎖の定常ドメインでコード配列を置換することにより(Morrison e t al.,(1984) Proc. Nat. Acad. Sci. 81:6851)、または非イムノグロブリンポリペプチドのコード配列のすべてまたは一部をイムノグロブリンコード配列に共有結合することにより、DNAを改変できる。この方法では、標的抗原の結合特異性を有する「キメラ」抗体または「ハイブリッド」抗体などの遺伝子操作した抗体を調製できる。
「キメラ抗体」の産生のために開発された技術は、当業者に良く知られている。たとえばMorrison et al. (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81, 6851; Neuberger et al. (1984) Nature 312, 604; and Takeda et al. (1984) Nature 314:452を参照されたい。
ヒト化抗体を構築するための方法もまた、当業者に良く知られている。たとえば、Queen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:10029−10033(1989)を参照されたい。一例では、親の非ヒト抗体のVHおよびVLの可変領域を、当業者に知られた方法に従い3次元分子モデリング解析に供する。次に、正確なCDR構造の形成に重要であると予測されるフレームワークアミノ酸の残基を、同一の分子モデリング解析を使用して同定する。並行して、親非ヒト抗体と相同的なアミノ酸配列を有するヒトのVH及びVL鎖を、検索クエリとして親VHおよびVl配列を使用して任意の抗体遺伝子データベースから同定する。次にヒトのVH及びVLアクセプター遺伝子を選択する。
選択したヒトアクセプター遺伝子内のCDR領域は、親の非ヒト抗体またはその機能的な変異体由来のCDR領域と置換できる。必要に応じて、CDR領域との相互作用に重要であると予測される親鎖のフレームワーク領域内の残基(上述参照)を使用して、ヒトのアクセプター遺伝子において対応する残基と置換できる。
単鎖抗体は、重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列および軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を結合することによる組み換え技術を介して、調製できる。好ましくは、柔軟性のあるリンカーが、2つの可変領域の間に組み込まれる。あるいは、単鎖抗体の産生に関して記載される技術(米国特許第4,946,778号および第4,704,692号)を適合してファージまたは酵母のscFvライブラリーを産生し、PKalに特異的なscFvクローンをルーチン的な手法に従いライブラリーから同定できる。陽性のクローンをさらにスクリーニングして、PKal活性を阻害するものを同定できる。
当業者に知られている方法および本明細書中に記載される方法に従い入手した抗体を、当業者に良く知られた方法を使用して特徴付けることができる。たとえば1つの方法は、抗体が結合するエピトープを同定すること、または「エピトープマッピング」である。タンパク質上のエピトープの位置をマッピングし特徴付けるための当業者に知られた多くの方法があり、抗体‐抗原複合体の結晶構造を解析すること、競合アッセイ、遺伝子フラグメント発現アッセイ、および合成ペプチドベースのアッセイを含み、たとえばChapter 11 of Harlow and Lane, Using Antibodies, a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1999に記載されている。さらなる例では、エピトープマッピングを使用して、抗体が結合する配列を決定できる。エピトープは、直線状のエピトープであってよく、すなわちアミノ酸の単一の区画に含まれ、または単一の区画(一次構造の直線状の配列)に必ずしも含まれなくてよい、アミノ酸の3次元の相互作用により形成される立体構造エピトープであってよい。様々な長さのペプチド(たとえば少なくとも4〜6つの長さのアミノ酸)を単離または合成(たとえば組み換えを行って)でき、かつ抗体との結合アッセイに使用できる。別の例では、抗体が結合するエピトープを、標的抗原配列由来の重複するペプチドを使用し抗体により結合性を決定することにより、系統的なスクリーニングで決定できる。遺伝子フラグメント発現アッセイにより、標的抗原をコードするオープンリーディングフレームを無作為に、または特異的な遺伝的構築によりフラグメント化し、試験される抗体と抗原の発現フラグメントの反応性を決定する。遺伝子のフラグメントは、たとえば、放射性アミノ酸の存在下で、PCRにより産生され次にin vitroで転写されタンパク質に翻訳されてもよい。次に、放射活性標識した抗原フラグメントに対する抗体の結合を、免疫沈降およびゲル電気泳動により決定する。また、特定のエピトープを、ファージ粒子の表面に提示されるランダムなペプチド配列の大きなライブラリー(ファージライブラリー)を使用することにより、同定することもできる。あるいは、重複するペプチドフラグメントの定義されたライブラリーを、単純な結合アッセイにおける試験抗体への結合性に関して試験することができる。さらなる例では、抗原結合ドメインの変異誘発、ドメイン交換実験およびアラニンスキャン変異誘発を行って、エピトープ結合に必要とされ、エピトープ結合に十分であり、かつ/またはエピトープ結合に必要な残基を同定できる。たとえば、PKalポリペプチドの様々なフラグメントが、密接に関連するが抗原的には異なるタンパク質(ニューロトロフィンタンパク質ファミリーの別のメンバーなど)由来の配列と置換(交換)されている、標的抗原の変異体を使用して、ドメイン交換実験を行うことができる。変異PKal(たとえば以下の実施例2に記載の変異体)に対する抗体の結合性を評価することにより、抗体の結合性に対する特定の抗原フラグメントの重要性を評価できる。
あるいは、ある抗体が他の抗体と同一のエピトープに結合するかどうかを決定するために、同一の抗原に対して結合することが知られている他の抗体を使用して、競合アッセイを行うことができる。競合アッセイは、当業者に良く知られている。
たとえば、本明細書中に記載されるエピトープマッピング方法など、当業者に知られている適切な方法のいずれかを使用して、抗PKal抗体が、本明細書中に記載されるPKalにおいて特異的な残基/セグメントの1つまたは複数を結合するかどうかを決定できる。さらに、PKalで定義された残基の1つまたは複数と抗体との相互作用を、ルーチン的な技術により決定できる。たとえば結晶構造を、以下の実施例1に開示の方法に従い決定でき、よって、PKalにおける残基と、抗体における1つまたは複数の残基との間の距離を決定できる。このような距離に基づき、PKalにおける特定の残基が、抗体における1つまたは複数の残基と相互作用するかどうかを決定できる。さらに、競合アッセイおよび標的変異アッセイなどの適切な方法を使用して、変異PKalなどの別の標的と比較して、PKalに対する候補の抗PKal抗体の優先的な結合を決定できる。
あるいは、抗PKal抗体を、当業者に知られている方法に従い、ディスプレイライブラリーなどの抗体ライブラリーから同定できる。
抗PKal抗体が、当業者に知られているいずれかの方法を使用して同定され、本明細書中に記載される治療での使用に適した抗体であると確認された後、そのような抗体を、標準的な組み換え核酸方法により生成してもよい。
一般的に、タンパク質をコードする核酸配列を、核酸発現ベクターにクローニングする。当然、タンパク質が複数のポリペプチド鎖を含む場合、各鎖を発現ベクター、たとえば同じまたは異なるベクター中にクローン化でき、それらが同じまたは異なる細胞で発現される。
たとえば、Fabなどのいくつかの抗体を、細菌細胞、たとえば大腸菌細胞中で産生させることができる(たとえば、Nadkarni, A. et al., 2007 Protein Expr Purif 52(1):219−29参照)。たとえば、Fabが、ディスプレイの実体とバクテリオファージのタンパク質(またはそのフラグメント)との間に抑制可能なストップコドンを含むファージディスプレイベクター中の配列によりコードされている場合、ベクターの核酸を、ストップコドンを抑制できない細菌細胞中に導入できる。この場合、Fabは遺伝子IIIタンパク質に融合されず、ペリプラズムおよび/または培地へと分泌される。
また、抗体を、真核細胞で産生させることもできる。一実施形態では、抗体(たとえばscFv’s)は、Pichia(たとえばPowers et al., 2001, J. Immunol. Methods. 251:123−35; Schoonooghe S. et al., 2009 BMC Biotechnol. 9:70; Abdel−Salam, HA. et al., 2001 Appl Microbiol Biotechnol 56(1−2):157−64; Takahashi K. et al., 2000 Biosci Biotechnol Biochem 64(10):2138−44; Edqvist, J. et al., 1991 J Biotechnol 20(3):291−300参照)、Hanseula、またはSaccharomycesなどの酵母細胞で発現される。当業者であれば、たとえば、酸素条件(たとえばBaumann K., et al. 2010 BMC Syst. Biol. 4:141参照)、モル浸透圧濃度(たとえばDragosits, M. et al., 2010 BMC Genomics 11:207参照)、温度(たとえばDragosits, M. et al., 2009 J Proteome Res. 8(3):1380−92参照)、発酵条件(たとえばNing, D. et al. 2005 J. Biochem. and Mol. Biol. 38(3): 294−299参照)、酵母株(たとえばKozyr, AV et al. 2004 Mol Biol (Mosk) 38(6):1067−75; Horwitz, AH. et al., 1988 Proc Natl Acad Sci U S A 85(22):8678−82; Bowdish, K. et al. 1991 J Biol Chem 266(18):11901−8参照)、抗体産生を高めるためのタンパク質の過剰発現(たとえばGasser, B. et al., 2006 Biotechol. Bioeng. 94(2):353−61参照)、培養物の酸性レベル(たとえばKobayashi H., et al., 1997 FEMS Microbiol Lett 152(2):235−42参照)、物質および/またはイオンの濃度(たとえばKo JH. et al., 2996 Appl Biochem Biotechnol 60(1):41−8参照)に関して最適化することにより、酵母における抗体産生を最適化できる。さらに、酵母系を使用して、半減期が延びた抗体を産生させることができる(たとえばSmith, BJ. et al. 2001 Bioconjug Chem 12(5):750−756参照)。
1つの好ましい実施形態では、抗体は哺乳類細胞で産生される。クローン抗体またはその抗原結合性フラグメントを発現するために好ましい哺乳類の宿主細胞として、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)(dhfr−CHOを含み、Urlaub and Chasin, 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216−4220に記載され、たとえばKaufman and Sharp, 1982, Mol. Biol. 159:601 621に記載されるようにDHFR選択可能なマーカーと共に使用される)、リンパ球細胞株、たとえばNS0骨髄腫細胞およびSP2細胞、COS細胞、HEK293T細胞(J. Immunol. Methods (2004) 289(1−2):65−80)、ならびにトランスジェニック動物由来、たとえばトランスジェニック哺乳動物由来の細胞が挙げられる。たとえば、細胞は、哺乳類の上皮細胞である。
いくつかの実施形態では、血漿カリクレイン結合抗体は、植物または無細胞系システムで産生される(たとえばGaleffi, P., et al., 2006 J Transl Med 4:39参照)。
多様化したイムノグロブリンドメインをコードする核酸配列に加えて、組み換え発現ベクターは、宿主細胞中のベクターの複製を制御する配列(たとえば複製起点)および選択可能なマーカー遺伝子などの追加的な配列を含んでもよい。選択可能なマーカー遺伝子は、ベクターが導入されている宿主細胞の選択を容易にする(たとえば米国特許第4,399,216号、第4,634,665号、および第5,179,017号参照)。たとえば、概して選択可能なマーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞に、G418、ハイグロマイシン、またはメトトレキサートなどの薬剤に対する耐性を与える。好ましい選択可能なマーカー遺伝子は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子(メトトレキサートの選択/増幅でdhfr宿主細胞において使用するため)およびneo遺伝子(G418の選択のため)を含む。
抗体、またはその抗原結合タンパク質の組み換え発現のための例示的なシステムでは、抗体の重鎖および抗体の軽鎖の両方をコードする組み換え発現ベクターを、リン酸カルシウム媒介型トランスフェクションによりdhfrCHO細胞に導入する。組み換え発現ベクター中で、抗体の重鎖および軽鎖の遺伝子は、高レベルの遺伝子の転写を駆動するために、エンハンサー/プロモーター制御部(たとえばSV40、CMV、アデノウイルスなどに由来する、CMVエンハンサー/AdMLPプロモーター制御部、またはSV40エンハンサー/AdMLPプロモーター制御部など)にそれぞれ動作可能に結合されている。また組み換え発現ベクターはDHFR遺伝子を担持しており、これは、メトトレキサートの選択/増幅を使用してベクターでトランスフェクトされたCHO細胞の選択を可能にする。選択した形質転換体宿主細胞を培養して抗体の重鎖および軽鎖を発現させ、無傷の抗体を培養培地から回収する。標準的な分子生物学の技術を使用して、組み換え発現ベクターを調製し、宿主細胞をトランスフェクトし、形質転換体を選択し、宿主細胞を培養し、培養培地から抗体を回収する。たとえば、いくつかの抗体は、タンパク質Aまたはタンパク質G結合マトリックスでのアフィニティクロマトグラフィーにより単離できる。
Fcドメインを含む抗体では、抗体産生システムは、Fc領域がグリコシル化されている抗体を産生してもよい。たとえば、IgG分子のFcドメインは、CH2ドメインのアスパラギン297でグリコシル化されている。このアスパラギンは、二分岐型のオリゴ糖による修飾部位である。このグリコシル化は、Fcg受容体および補体C1qにより媒介されるエフェクター機能に必要であることが示されている(Burton and Woof, 1992, Adv. Immunol. 51:1−84; Jefferis et al., 1998, Immunol. Rev. 163:59−76)。一実施形態では、Fcドメインは、アスパラギン297に対応する残基を適宜グリコシル化する哺乳類の発現システムで産生される。また、Fcドメインは、他の真核生物の翻訳後修飾を含む。
また抗体は、トランスジェニック動物により産生できる。たとえば米国特許第5,849,992号は、トランスジェニック哺乳動物の乳腺で抗体を発現する方法を記載する。乳に特異的なプロモーターと、対象の抗体をコードする核酸と、分泌のためのシグナル配列とを含む導入遺伝子が構築される。そのようなトランスジェニック哺乳動物の雌性により生成される乳は、その中に分泌された対象の抗体を含む。抗体は、乳から精製でき、またはいくつかの用途のために直接使用できる。
医薬組成物
本明細書中に記載される1つまたは複数の抗体は、たとえば薬学的に許容可能な組成物または薬学的な組成物などの組成物中に存在してよい。血漿カリクレイン結合抗体は、薬学的に許容可能なキャリアーと共に製剤化できる。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の抗体100mg〜300mg(たとえば100mgまたは300mgの用量のDX−2930)が、たとえば薬学的に許容可能な組成物または薬学的な組成物などの、任意に薬学的に許容可能なキャリアーを含む組成物に存在する。
薬学的に許容可能なキャリアーは、薬理学的に適合可能である、ありとあらゆる溶媒、分散培地、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤、吸収遅延剤などを含む。好ましくは、キャリアーは静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、非経口投与、脊髄投与、または上皮投与(たとえば注射または点滴による)に適しているが、吸入および鼻腔内投与に適したキャリアーも考慮されている。
薬学的に許容可能な塩は、化合物の望ましい生物学的な活性を保持し望ましくない毒性作用を供与しない塩である(たとえばBerge, S.M., et al., 1977, J. Pharm. Sci. 66:1−19参照)。このような塩の例として、酸付加塩および塩基付加塩が挙げられる。酸付加塩として、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸などの無毒性無機酸由来の塩、ならびに脂肪性のモノおよびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪性および芳香族のスルホン酸などの無毒性有機酸由来の塩などが挙げられる。塩基付加塩として、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属由来の塩、ならびにN、N’−ジベンジルエチレンジアミン、N−メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカインなどの無毒性有機アミン由来の塩などが挙げられる。
本組成物は様々な形態であってよい。これらは、たとえば、液剤(たとえば注射可能および点滴可能な液剤)、分散剤または懸濁剤、錠剤、ピル、散剤、リポソーム、および坐剤などの液体、半固体および固体の剤形を含む。この形態は、意図される投与形式および治療用途に依存し得る。多くの組成物は、抗体を用いたヒトの投与に使用されるものに類似の組成物など、注射可能または点滴可能な液剤の形態である。例示的な投与形式は、非経口(たとえば静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内)である。一実施形態では、血漿カリクレイン結合タンパク質は、静脈内の点滴または注射により投与される。別の好ましい実施形態では、血漿カリクレイン結合タンパク質は、筋肉内注射または皮下注射により投与される。別の好ましい実施形態では、血漿カリクレイン結合タンパク質は、腹腔内注射により投与される。
本明細書中使用される「非経口投与」および「非経口的に投与した」という文言は、通常注射による、経腸投与および局所投与以外の投与形式を意味し、限定するものではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、関節内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内の注射ならびに点滴が挙げられる。
本組成物は、液剤、マイクロエマルジョン、分散剤、リポソーム、または濃度の高い薬剤に適した他の指示された構造として製剤化できる。滅菌性の注射可能な液剤は、上述の成分のうちの1つまたはそれらの組み合わせを含む適切な溶媒中に必要とされる量で結合タンパク質を組み込み、必要に応じて次に滅菌ろ過することより、調製できる。一般的に、分散剤は、基本的な分散媒体および上に列挙したもの由来の必要とされる他の成分を含む無菌ビヒクル中に活性化合物を組み込むことにより、調製できる。無菌の注射可能な液剤の調製のための無菌散剤の場合、好ましい調製方法は、あらかじめ滅菌ろ過したそれらの溶液から活性成分および任意の追加的な望ましい成分の粉末を収集する真空乾燥および凍結乾燥である。液剤の適切な流動性は、たとえば、レシチンなどのコーティングの使用により、分散の場合に必要とされる粒径の維持により、および界面活性剤の使用により、維持することができる。注射可能な組成物の長期間の吸収は、たとえばモノステアリン酸塩およびゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤を組成物に含めることにより、もたらすことができる。
血漿カリクレイン結合抗体は、静脈内注射または点滴を含む様々な方法により投与できる。たとえば、いくつかの治療で使用するために、血漿カリクレイン結合タンパク質は、約1〜100mg/mまたは7〜25mg/mの用量に達するように、30、20、10、5、または1mg/分未満の速度で静脈内点滴により投与できる。投与の経路および/または形式は、望ましい結果に応じて変動する。特定の実施形態では、活性化合物は、インプラントおよびマイクロカプセル化送達システムを含む、徐放製剤などの、迅速な放出から化合物を保護するキャリアーと共に調製してもよい。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生分解性、生体適合性ポリマーを使用できる。このような製剤の調製のための多くの方法が利用可能である。たとえばSustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J.R. Robinson, ed., 1978, Marcel Dekker, Inc., New Yorkを参照されたい。
医薬組成物は、医療機器を用いて投与できる。たとえば、一実施形態では、本明細書中に開示される医薬組成物は、たとえば、針のない皮下注射デバイス、ポンプ、またはインプラントなどの装置を用いて投与できる。
特定の実施形態では、血漿カリクレイン結合タンパク質は、in vivoでの適切な分布を保つように製剤化できる。たとえば、血液脳関門(BBB)は、多くの親水性の高い化合物を排除する。本明細書中に開示される治療上化合物がBBBを通ることを確実にするために(必要に応じて)、たとえば、リポソームにこれらの化合物を製剤化できる。リポソームを製造する方法では、たとえば、米国特許第4,522,811号;第5,374,548号;および第5,399,331号を参照されたい。リポソームは、特異的な細胞または臓器中に選択的に輸送される1つまたは複数の部分を含んでよく、よって、標的化した薬剤送達を高める(たとえばV.V. Ranade, 1989, J. Clin. Pharmacol. 29:685参照)。
投与レジメンは、最適な望ましい応答(たとえば治療応答)提供するように調節される。たとえば、単回ボーラスを投与してもよく、いくつかに分けた用量を経時的に投与してもよく、または治療状況の要件により示唆されるように用量を比例して減らしてもよく、もしくは増加させてもよい。特に、投与の簡易性および用量の均一性のために、単位剤形に非経口組成物を製剤化することが有益である。本明細書中に示される単位剤形は、治療される対象に対する単位用量として適した物理的に別々の単位を指し;各単位は、必要な薬学的キャリアーと関連した望ましい治療上の効果を生成するように計算された、活性化合物の所定の量を含む。単位剤形の仕様は、(a)活性化合物の固有の特徴および達成されるべき特定の治療上の効果、ならびに(b)治療のためのこのような活性化合物を化合物化する技術に固有の、個体における感受性の限界、により決定され、かつこれらに直接依存することがある。
本明細書中に記載される抗体の治療的にまたは予防的に有効な量についての例示的で非限定的な範囲は、0.1〜20mg/kg、より好ましくは1〜10mg/kgである。抗血漿カリクレイン抗体は、1〜100mg/mまたは約5〜30mg/mの用量に達するように、たとえば30、20、10、5、または1mg/分未満の速度で、たとえば静脈内点滴により投与できる。用量の値は、軽減すべき病態の種類および重症度に伴い変動し得る。特定の対象では、特定の用量レジメンは、個々の要求ならびに本組成物を投与する人物または投与を監督する人物の専門的な判断により、経時的に調節できる。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される抗体(たとえばDX−2930)の治療上または予防上の有効量は、30〜400mg、30〜300mg、30〜250mg、30〜200mg、30〜150mg、30〜100mg、30〜50mg、50〜400mg、50〜300mg、50〜250mg、50〜200mg、50〜150mg、50〜100mg、100〜400mg、100〜300mg、100〜250mg、100〜200mg、100〜150mg、150〜400mg、150〜300mg、150〜250mg、150〜200mg、200〜400mg、200〜300mg、200〜250mg、250〜400mg、250〜300mg、または300〜400mg、またはそれらの間のいずれかの整数である。いくつかの実施形態では、治療上または予防上の有効量は、30〜300mgである。一部の実施形態では、治療上または予防上の有効量は、300mg以上である。いくつかの実施形態では、治療上または予防上の有効量は、400mg以上である。いくつかの実施形態では、治療上または予防上の有効量は、100〜300mg(100mg、150mg、200mg、250mg、または300mg)である。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される抗体(たとえばDX−2930)の治療上または予防上の有効量は、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mg、または400mgである。いくつかの実施形態では、治療上または予防上の有効量は、30mg、100mg、または300mgである。いくつかの実施形態では、治療上または予防上の有効量は、100mgまたは300mgである。いくつかの実施形態では、治療上または予防上の有効量は100mgである。いくつかの実施形態では、治療上または予防上の有効量は300mgである。
いくつかの実施形態では、治療上または予防上の有効量は、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、またはそれより多く投与される。いくつかの実施形態では、治療上または予防上の有効量は、毎日、1日おき、3日おき、4日おき、5日おき、6日おき、毎週、1週間おき、3週間おき、4週間おき、5週間おき、6週間おき、7週間おき、8週間おき、またはそれを超えて投与される。いくつかの実施形態では、治療上または予防上の有効量は100mgまたは300mgであり、この量は2週間おきまたは4週間おきに投与される。いくつかの実施形態では、治療上または予防上の有効量は100mgであり、この抗体の量は2週間おきに投与される。いくつかの実施形態では、治療上または予防上の有効量は300mgであり、この抗体の量は2週間おきまたは4週間おきに投与される。いくつかの実施形態では、治療上または予防上の有効量は300mgであり、この抗体の量は2週間おきに投与される。いくつかの実施形態では、治療上または予防上の有効量は300mgであり、この量は4週間ごとに投与される。
いくつかの実施形態では、治療上または予防上の有効量は、約80nM超(たとえば100nM超、150nM超、または約200nM)の抗体の血漿または血清中濃度を維持する量である。いくつかの実施形態では、抗体の量は、約80〜300nM、たとえば80〜100nM、80〜120nM、80〜150nM、100〜150nM、100〜200nM、150〜200nM、または200〜300nMの範囲で抗体の血漿または血清中濃度を維持するのに有効である。たとえば、本明細書中に記載されるアッセイなどの血漿カリクレインアッセイ、本明細書中に記載される切断されたキニノーゲンを決定するためのELISAアッセイまたはウェスタンブロットアッセイなどのイムノベースアッセイなどの適切なアッセイを使用して、または質量分析により、血漿または血清中濃度を測定できる。
本明細書中に開示される医薬組成物は、「治療上有効な量」または「予防上有効な量」の本明細書中に開示される血漿カリクレイン結合タンパク質を含んでもよい。
キット
本明細書中に記載される血漿カリクレイン結合抗体のうち1つまたは複数をキット中で、たとえばキットの成分として提供できる。たとえば、キットは、(a)血漿カリクレイン結合抗体、たとえば、血漿カリクレイン結合抗体を含む組成物(たとえば医薬組成物)と、任意に(b)情報材料とを含む。情報材料は、本明細書中に記載される方法および/または血漿カリクレイン結合抗体、たとえば本明細書中に記載される方法のための血漿カリクレイン結合抗体の使用に関連する、記述的、指示的な、市販されている、または他の材料であってよい。いくつかの実施形態では、キットは、血漿カリクレイン結合抗体、たとえばDX−2930の1つまたは複数の用量を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の用量は、100mgまたは300mgである。
キットの情報材料はこの形態に限定されるものではない。一実施形態では、情報材料は、化合物の生成、化合物の分子量、濃度、失効日、バッチまたは生成場所の情報などについての情報を含んでよい。一実施形態では、情報材料は、障害および病態、たとえば血漿カリクレインに関連する疾患または病態を治療、予防、または診断するために抗体を使用することに関する。
一実施形態では、情報材料は、たとえば適切な用量、剤形、投与形式、または投与スケジュール(たとえば本明細書中に記載される用量、剤形、投与スケジュール、または投与形式)で、本明細書中に記載される方法を行うための適切な方法で血漿カリクレイン結合抗体を投与するための説明を含んでよい。別の実施形態では、情報材料は、たとえば、血漿カリクレイン関連の疾患または病態を有するヒト、またはこれらのリスクのあるヒトなどの適切な対象に、血漿カリクレイン結合抗体を投与するための説明を含んでよい。たとえば、この材料は、たとえば本明細書中に記載される投与スケジュールにしたがって、本明細書中に記載される障害または病態、たとえば血漿カリクレイン関連疾患を有する患者に血漿カリクレイン結合タンパク質を投与するための説明を含んでよい。キットの情報材料は、この形態に限定されない。多くの場合、情報材料、たとえば説明は、印刷されて提供されるが、コンピュータ可読媒体などの他のフォーマットであってもよい。
血漿カリクレイン結合抗体は、たとえば液体の形態、乾燥した形態、または凍結乾燥した形態など任意の形態で提供できる。血漿カリクレイン結合抗体は、実質的に純粋および/または無菌であることが好ましい。血漿カリクレイン結合抗体が液剤で提供される場合、液剤は、好ましくは水溶液であり、無菌液剤が好ましい。血漿カリクレイン結合抗体が乾燥した形態で提供される場合、一般的に、適切な溶媒を添加することにより再構成される。たとえば滅菌水またはバッファーなどの溶媒を、任意にキット中に提供できる。
キットは、血漿カリクレイン結合抗体を含む組成物用の1つまたは複数のコンテナを含んでよい。いくつかの実施形態では、キットは、組成物および情報材料のための別々のコンテナ、しきり(divider)または区画を含む。たとえば、本組成物をビン、バイアル、またはシリンジ中に含めることができ、情報材料をコンテナに関連して含めることができる。他の実施形態では、キットの別々の成分は、単一の分割されていないコンテナの中に含まれる。たとえば組成物は、ラベルの形態の情報材料が添付されているビン、バイアル、またはシリンジに含まれる。いくつかの実施形態では、キットは複数の(たとえば一パックの)個々のコンテナを含み、それぞれが血漿カリクレイン結合抗体の1つまたは複数の単位剤形(たとえば本明細書中に記載される剤形)を含んでいる。たとえば、キットは複数のシリンジ、アンプル、ホイルパケット(foil packet)、またはブリスターパックを含み、それぞれが単一の単位用量の血漿カリクレイン結合抗体を含んでいる。キットのコンテナは、気密性、耐水性(たとえば湿気または蒸発の変化に対して不浸透性)、および/または遮光性であってよい。
キットは、たとえばシリンジ、または任意のこのような送達デバイスなどの、本組成物の投与に適したデバイスを任意に含む。一実施形態では、このデバイスは、計測した用量の抗体を分散する移植可能なデバイスである。また本開示は、たとえば本明細書中に記載される成分を組み込むことにより、キットを提供する方法を特徴とする。
治療
いくつかの態様では、本開示は、HAEを治療する際の、活性血漿カリクレイン(たとえばヒト活性血漿カリクレイン)に結合する抗体の使用を提供する。本明細書中に記載される治療での使用に適した抗体は、本明細書中に記載されるDX−2930またはその機能的変異体、DX−2930と同一のエピトープを結合する抗体、またはヒト活性血漿カリクレインへの結合に関してDX−2930と競合する抗体を含む。
遺伝性血管性浮腫
遺伝性血管性浮腫(HAE)は、「クインケ浮腫」としても知られており、C1エステラーゼインヒビター欠乏性、C1インヒビター欠乏性であり、遺伝性血管神経性浮腫(HANE)である。HAEは、再発する重篤な腫脹(浮腫)の発症を特徴とし、これは、たとえば肢、顔、性器、消化管、および気道に影響し得る。HAEの症状として、たとえば腕、足、唇、眼、舌、および/もしくは喉の腫脹;喉の腫脹および突然の嗄声を含み得る気道の阻害;再発性の明確な原因のない異常な腹部疝痛の発症;ならびに/または重篤な場合があり腹部疝痛、嘔吐、脱水、下痢、疼痛、および/もしくはショックを引き起こし得る、腸の腫脹が挙げられる。このHAEを有する個体のおよそ1/3が、発作の間に輪状紅斑と呼ばれるかゆみのない発疹を発症する。
気道の腫脹は生命の危険にかかわる場合があり、一部の患者は死亡する。死亡率は、15〜33%と推定されている。HAEは、1年あたりおよそ15,000〜30,000件の緊急外来をもたらしている。
外傷またはストレス、たとえば歯科的処置、疾病(たとえば風邪およびインフルエンザなどのウイルス性の疾病)、月経、および外科手術が、浮腫の発作の引き金となり得る。HAEの急性発作を防止するために、患者は、以前に発作を引き起こした特定の刺激を回避しようと試みることができる。しかしながら、多くの場合では、既知の引き金を伴うことなく発作が起こる。概して、HAEの症状はまず小児で現れ、思春期の間に悪化する。平均して、未処置の個体は1〜2週間ごとに発作を起こし、大部分の発症は約3〜4日間続く(ghr.nlm.nih.gov/condition/hereditary−angioedema)。発作の頻度および持続期間は、遺伝性血管性浮腫を有する人々の間で、さらには同一のファミリー中の人々の間で大きく変動する。
I型、II型、およびII型として知られている3種類のHAEが存在し、それらのすべてを、本明細書中に記載される方法により治療できる。HAEは、50,000人に1人が発症し、I型がHAEの事例の約80%を占めており、II型がHAEの事例の約15%を占めており、III型は非常にまれであると推定されている。III型は最も新規に説明された形態であり、女性にのみ起こると本来は考えられていたが、男性が罹患した家族が同定されている。
HAEは、常染色体優性パターンで遺伝し、これにより、罹患した人は、1人の罹患した親から変異を受け継ぐ場合がある。遺伝子における新規の変異もまた起こり得、よってHAEは、家族に疾患歴がない人にも起こる可能性がある。事例の20〜25%が、新規の自発的な変異からもたらされていると推定されている。
SERPING1遺伝子における変異は、遺伝性血管性浮腫I型およびII型を引き起こす。SERPING1遺伝子は、炎症の制御に重要なC1インヒビタータンパク質を作製するための指示を提供する。C1インヒビターは、炎症を促進する特定のタンパク質の活性を阻害する。遺伝性血管性浮腫I型を引き起こす変異は、血液中のC1インヒビターのレベルを低下させる。対照的に、II型をもたらす変異は、異常に機能するC1インヒビターの産生をもたらす。適切なレベルの機能的なC1インヒビターがないと、過剰な量のブラジキニンが生成される。ブラジキニンは、血管壁を介して身体の組織へと流体の漏出を増大させることにより炎症を促進する。身体組織中の過剰な流体の集積は、遺伝性血管性浮腫I型およびII型の個体で見られる腫脹の発症を引き起こす。
F12遺伝子における変異は、遺伝性血管性浮腫III型のいくつかの事例に関連している。F12遺伝子は、凝固第XII因子を作製するための指示を提供する。凝血(凝固)に重要な役割を果たすことに加えて、第XII因子は重要な炎症の刺激因子でもあり、ブラジキニンの産生に関与している。F12における特定の変異は、活性が増大した第XII因子の産生をもたらす。結果として、より多くのブラジキニンが生成され血管壁がより漏出性になり、これが腫脹の発症をもたらす。遺伝性血管性浮腫III型の他の事例の原因はまだ知られていない。1つまたは複数の未だ同定されていない遺伝子での変異が、これら事例における障害の原因である可能性がある。
HAEは、アレルギーまたは他の医学的病態に起因する他の形態の浮腫と類似して存在し得るが、これは原因および治療が著しく異なっている。遺伝性血管性浮腫がアレルギーと誤って診断される場合、最も一般的には、抗ヒスタミン薬、ステロイド、および/またはエピネフリンで治療されるが、これらは概してHAEに無効である。しかしながらエピネフリンは、生命が危険となる反応で使用される場合がある。また、誤診断により、腹部の腫脹を伴う患者で不必要な探索のための外科手術がもたらされ、一部のHAE患者では、腹部の疼痛は、心身性であると不適切に診断されてきた。
C1インヒビターの治療、およびHAEのための他の治療は、Kaplan, A.P., J Allergy Clin Immunol, 2010, 126(5):918−925に記載されている。
HAEの発作の急性的な治療は、可能な限り早く浮腫の進行を停止するために提供される。静脈内に投与されるドナーの血液からのC1インヒビターの濃縮物は、1つの急性的な治療である。しかしながらこの治療は、多くの国では利用することができない。C1インヒビター濃縮物が利用可能ではない緊急の状況では、新鮮凍結血漿(FFP)を、それもC1インヒビターを含むため、代替物として使用できる。
ヒトの血液から精製したC1インヒビターは、1979年からヨーロッパで使用されている。いくつかのC1インヒビター治療が米国で現在利用可能であり、2つのC1インヒビター製品がカナダで現在入手可能である。Berinert P(CSL Behring)は、低温殺菌されており、急性発作に関して2009年にFDAにより承認された。Cinryze(ViroPharma)は、ナノフィルターによりろ過されており、予防に関して2008年にFDAにより承認された。Rhucin(Pharming)は、ヒトの血液由来の病原体による感染性疾患の伝染のリスクを有さない、開発中の組み換えC1インヒビターである。
急性のHAEの発作の治療はまた、疼痛の緩和および/または静脈内注入液のための薬物療法を含んでよい。
他の治療の様式は、C1インヒビターの合成を刺激でき、またはC1インヒビターの消費を低減できる。ダナゾールなどのアンドロゲン薬物療法は、C1インヒビターの産生を刺激することにより、発作の頻度および重症度を低減できる。
ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)は、腹部の発作の引き金となる可能性がある。ヘリコバクター・ピロリを治療するための抗生剤は、腹部の発作を減少させる。
より新しい治療は、接触するカスケードを攻撃する。エカランチド(KALBITOR(登録商標), DX−88, Dyax)は血漿カリクレインを阻害し、米国で承認されている。Icatibant(FIRAZYR(登録商標), Shire)は、ブラジキニンB2受容体を阻害し、欧州および米国で承認されている。
HAEの診断は、たとえば家族の病歴および血液試験に依存し得る。HAEのI型、II型、およびIII型に関連する研究の知見は、たとえばKaplan, A.P., J Allergy Clin Immunol, 2010, 126(5):918−925に記載されている。I型のHAEでは、C1インヒビターのレベルは減少しており、C4のレベルも減少しているが、C1qのレベルは正常である。II型のHAEでは、C1インヒビターのレベルは正常または増加しているが、C1インヒビターの機能は異常である。C4レベルは減少しており、C1qのレベルは正常である。III型では、C1インヒビター、C4、およびC1qのレベルはすべて正常である。
たとえば、HAEの症状はアンケート、たとえば患者、臨床医、または家族のメンバーにより記入されるアンケートを使用して評価できる。このようなアンケートは当業者に知られており、たとえば、VAS(ビジュアルアナログスケール)を含む。たとえばMcMillan, C.V. et al. Patient. 2012;5(2):113−26を参照されたい。
抗PKal抗体でのHAEの治療
本開示は、本明細書中に記載される抗体(たとえば本明細書中に記載される抗体の治療上の有効量)を、HAEを有する、または有する疑いのある対象に、たとえば本明細書中に記載される投与スケジュールにしたがって投与することにより、遺伝性血管性浮腫(HAE)を治療する(たとえばこのうちの1つまたは複数の症状を緩和する、安定化する、または排除する)方法を提供する。さらに、たとえば本明細書中に記載される投与スケジュールにしたがって、またはたとえば本明細書中に記載される1つの他の薬剤などの第2の治療と併用して、本明細書中に記載される抗体(たとえば本明細書中に記載される抗体の治療上の有効量)を投与することにより、HAEを治療する方法を提供する。また本開示は、たとえば本明細書中に記載される投与スケジュールにしたがって、HAEを発症するリスクのある対象(たとえばHAEを有する家族を有する対象またはHAEに対する遺伝的な素因のある対象)に、本明細書中に記載される抗体(たとえば本明細書中に記載される抗体の予防上の有効量)を投与することにより、HAEまたはその症状を予防する方法を提供する。いくつかの例では、対象は、治療時にHAEの症状を有していないヒトの患者であってもよい。
たとえば本明細書中に記載されるように、血漿カリクレインに結合する抗体は、特にヒトの対象での治療上および予防上の有用性を有する。これらの抗体は、たとえば血漿カリクレイン関連疾患を含む様々な障害および病態を治療、予防、および/もしくは診断するために対象へ、またはさらには、たとえばin vitroまたはex vivoの培養物中の細胞へ、投与される。たとえば、これらの結合タンパク質を使用して、培養物中の細胞から放出された血漿カリクレインの効果を改変できる(Lilla et al., J. Biol Chem. 284(20):13792−13803(2009))。治療は、障害、障害の症状または障害に対する素因を軽減、緩和、変質、治療、寛解、改善、または影響するために有効な量を投与することを含む。また治療は、発症を遅らせてもよく、たとえば、疾患または病態の発症を予防、または悪化を予防してもよい。
カリクレイン結合抗体および他の薬剤を投与する方法もまた、「医薬組成物」に記載されている。使用される分子の適切な用量は、対象の年齢および重量、ならびに使用される特定の薬剤に依存し得る。たとえば血漿カリクレインとその基質(たとえば第XII因子またはHMWK)との間での、望ましくない相互作用を阻害、低減するための競合剤として抗体を使用できる。抗体の用量は、患者の、特に疾患部位で、血漿カリクレインの活性の90%、95%、99%、または99%を阻害するために十分な量であってよい。これは、0.1、1.0、3.0、6.0、または10.0mg/Kgを必要とし得る。150,000g/モルの分子量を有するIgG(2つの結合部位)では、これらの用量は、5Lの血液体積に対しておよそ18nM、180nM、540nM、1.08μM、および1.8μMの結合部位に対応する。
一実施形態では、抗体は、たとえばin vivoで血漿カリクレインの活性を阻害する(たとえば、血漿カリクレインの少なくとも1つを阻害する、たとえば第XIIa因子および/またはブラジキニンの産生を阻害する)ために使用される。結合タンパク質は、それ自体で使用でき、または細胞傷害性薬物、細胞毒の酵素、またはラジオアイソトープなどの薬剤に結合できる。
抗体は、天然の補体依存性細胞傷害(CDC)または抗体依存性細胞傷害(ADCC)を介して抗原発現する細胞を除外するためにin vivoで直接使用できる。本明細書中に記載される抗体は、補体と結合するIgG1、IgG2、またはIgG3由来のFc部または対応するIgMの一部などの、補体結合エフェクタードメインを含んでよい。一実施形態では、標的細胞の集合は、ex vivoで、本明細書中に記載される抗体および適切なエフェクター細胞を用いて処理される。処理は、補体または補体を含む血清を添加することにより、補充される。さらに、本明細書中に記載される抗体でコーティングされた標的細胞の食作用は、補体タンパク質の結合により改善できる。別の実施形態では、補体結合エフェクタードメインを含む抗体でコーティングした標的細胞は、補体により溶解される。
血漿カリクレイン結合抗体を投与する方法は、「医薬組成物」に記載されている。使用される分子の適切な用量は、対象の年齢および重量、ならびに使用される特定の薬剤に依存する。抗体は、たとえば天然または病理学的な薬剤と血漿カリクレインとの間での望ましくない相互作用を阻害または低減するための競合薬として使用できる。
本明細書中に記載される抗体の治療上の有効量を、HAEを有する、または有する疑いのある、またはHAEのリスクがある対象に投与することにより、障害を治療する(たとえば障害の症状または特徴を緩和または改善する、疾患の進行を遅延、安定化、および/または停止する)ことができる。
本明細書中に記載される抗体は、治療上の有効量で投与できる。抗体の治療上の有効量は、たとえばそのような治療の非存在下で予測される度合いを超える度合いまで対象での障害のうちの少なくとも1つの症状を治癒、緩和、軽減、または改善するなど、対象を治療することにおいて、対象への単回または複数回の用量の投与時に、有効な量である。
用量レジメンは、最適な望ましい応答(たとえば治療上の応答)を提供するよう調節できる。たとえば、単回ボーラスを投与してもよく、数回に分けた用量を経時的に投与してもよく、または、治療状況の要件により示されるように、用量を比例的に減少または増加してもよい。投与の簡易性および用量の均一性のために、単位剤形で非経口組成物を製剤化することが特に好ましい。本明細書中で使用される単位剤形は、治療されるべき対象に対する単位剤形として適した物理的に別々の単位を指し;各単位は、必要とされる薬学的なキャリアーと関連して望ましい治療上の効果を生じるよう計算された、所定の量の活性化合物を含む。
いくつかの実施形態では、抗体(たとえばDX−2930)を単回用量として、たとえば0.1〜3mg/kgで投与する。他の実施形態では、1〜4週間に1度などの複数回の用量により、たとえば2週間ごとまたは毎月(たとえば28日ごと)の投与で投与される。複数回の用量は、それぞれ0.1〜3mg/kgの範囲であってよい。いくつかの例では、患者に、適切な期間の間、たとえば2週間ごとまたは毎月など、1〜4週間ごとに一度複数用量の投与を行い、それに続いて同一またはより低い用量で毎月または2ヶ月に一度、維持療法を行う。
いくつかの実施形態では、治療の前後または治療過程の最中に、副作用(たとえばクレアチンホスファターゼのレベルの上昇)および/または抗体によるpKalの阻害レベル(たとえば抗体の血清もしくは血漿中濃度、またはpKal活性レベル)に関して患者をモニタリングできる。有害作用が観察される場合、抗体の用量を減らしてもよく、または治療を終了してもよい。阻害レベルが最小治療レベル未満である場合、さらなる用量の抗体を患者に投与してもよい。
いくつかの実施形態では、抗体(たとえばDX−2930)の血漿または血清中濃度を、治療の効果を評価するために治療過程の最中(たとえば初期用量の後)に測定してもよい。抗体の血漿または血清中濃度が80nM未満である場合、経過観察の投与が必要とされ、これは初期の用量と同一またはそれよりも高くてよい。抗体の血漿または血清中濃度は、たとえば免疫アッセイまたはMSアッセイにより、対象から入手した血漿または血清の試料中の抗体のタンパク質レベルを決定することにより測定してもよい。また、抗体の血漿または血清中濃度は、抗体で処置した対象から入手した血漿または血清の試料のpKalの阻害レベルを決定することにより測定してもよい。このようなアッセイは、本明細書中に記載されるように切断されたキニノーゲンを測定するための合成基質アッセイまたはウェスタンブロットアッセイを含んでもよい。
あるいはまたはさらに、クレアチンキナーゼの血漿または血清中のレベルを、治療過程の最中にモニタリングできる。クレアチンキナーゼの血漿または血清中のレベルが、治療の最中に上昇することが見出された場合、抗体の用量を減らしてよく、または治療を終了してもよい。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の抗pKal抗体(たとえばDX−2930またはその抗原結合性フラグメント)の最適な用量(たとえば最適な予防上の用量または最適な治療上の用量)は、以下のように決定できる。初期用量の抗体を、治療の必要な対象に投与する。対象における抗体の血漿中濃度を測定する。血漿中濃度が80nM未満である場合、抗体の用量を、その後の投与で増加させる。約80nM超の抗体の血漿中濃度を維持する抗体の用量を、対象にとって最適な用量として選択できる。対象のクレアチンホスホキナーゼのレベルを治療過程の最中にモニタリングでき、さらに対象にとって最適な用量を、クレアチンホスホキナーゼに基づき調節することができ、たとえば、クレアチンホスホキナーゼの増加が治療の最中に観察される場合は、抗体の用量を減少し得る。
併用療法
本明細書中に記載される抗血漿カリクレイン抗体は、たとえば本明細書中に記載される疾患または病態など、血漿カリクレイン活性に関連する疾患または病態を治療するための他の治療の1つまたは複数と併用して投与できる。たとえば、血漿カリクレイン結合抗体は、外科手術、別の抗血漿カリクレインFabまたはIgG(たとえば本明細書中に記載の別のFabまたはIgG)、別の血漿カリクレイン阻害剤、ペプチド阻害剤、または小分子阻害剤と共に、治療的または予防的に使用できる。本明細書中に記載される血漿カリクレイン結合抗体との併用療法で使用できる血漿カリクレイン阻害剤の例として、たとえば国際特許公開公報第95/21601号または第2003/103475号に記載される血漿カリクレイン阻害剤が挙げられる。
1つまたは複数の血漿カリクレイン阻害剤を、本明細書中に記載される1つまたは複数の血漿カリクレイン結合抗体と併用して使用できる。たとえば、併用により必要とされる阻害剤の用量をより低くし、これにより副作用が低減され得る。
本明細書中に記載される血漿カリクレイン結合抗体は、HAEを治療するための1つまたは複数の現在の治療と併用して投与できる。たとえば、本明細書中に記載されるDX−2930またはその機能的変異体は、エカランチド、C1エステラーゼ阻害剤(たとえばCINRYZE(商標))、アプロチニン(TRASYLOL(登録商標))、および/またはブラジキニンB2受容体阻害剤(たとえばイカチバント(FIRAZYR(登録商標)))などの第2の抗HAE治療剤と共投与できる。
用語「併用」は、同一の患者を治療するための2つ以上の薬剤または治療の使用を指し、ここで薬剤または治療の使用または作用は、時間内で重複する。薬剤または治療は、同時に(たとえば患者に投与される単一の製剤として、または同時に投与される2つの別々の製剤として)または任意の順序で逐次投与できる。逐次投与は、異なる時間に投与する投与である。1つの薬剤の投与と別の薬剤の投与との間の時間は、分単位、時間単位、日単位、または週単位であってよい。本明細書中に記載される血漿カリクレイン結合抗体の使用はまた、たとえば投与される別の薬剤と関連した副作用を低減させるために、別の治療の用量を低減するために使用することもできる。よって、併用は、血漿カリクレイン結合抗体の非存在下で使用するよりも、少なくとも10、20、30、または50%低い用量で第2の薬剤を投与することを含んでもよい。
併用療法は、他の治療の副作用を低減する薬剤を投与することを含んでもよい。この薬剤は、血漿カリクレイン関連疾患の治療の副作用を低減する薬剤であってよい。
さらに詳述することなく、当業者であれば、上記の説明に基づき、本発明を完全な度合いで利用できると考えられる。よって以下の特定の実施形態は、単なる例示として構築されており、いずれかの方法で本開示の残りを限定するものではない。本明細書中に記載される公報は、本明細書中の目的または対象のため参照として援用されている。
実施例
実施例1:健常なボランティアにおけるDX−2930の単回の上昇する用量の試験
健常なボランティアにおける単回の上昇する用量を、以下の用量のDX−2930:0.1mg/kg、0.3mg/kg、1mg/kg、および3mg/kgを使用して行った。各ボランティアのデータを入手し、各用量の安全性を決定するために解析した。DX−2930の重鎖および軽鎖の完全配列および可変配列を以下に提供する。ここでは、シグナル配列はイタリック体である。CDRは太字でかつ下線が引かれている。
Figure 0006845012
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Figure 0006845012
フェーズ1aの試験設計
この試験は、ランダム化された二重盲検であり、プラセボ制御されている。単回および上昇する用量のDX−2930を、健常な対象に皮下投与した。参加者を、それぞれが単回の用量(0.1mg/kg、0.3mg/kg、1mg/kg、または3mg/kg)に対応する1〜4名の対象コホートに無作為に割り当てた。各コホートは、6名の活性薬剤で処置した対象、および2名のプラセボ処置した対象を含んだ。用量スケジュールが完了した後、すべての対象を16週間モニタリングした。
安全性の結果
DX−2930は、用量を限定する毒性が現れることなく、最大3.0mg/kgの単回用量で認容性が良好であった。よって、この試験は、DX−2930に関連したいずれかの臨床的に有意な安全性シグナルの証拠を収集しなかった。
臨床研究結果は、何等かの有害事象に関するDX−2930とプラセボとの間の臨床的な不均衡を示さなった。最も一般的に報告された有害事象は、頭痛(DX−2930で処置した対象の25%およびプラセボで処置した対象の25%)を含む。重篤な有害事象はなく、すべての有害事象が解決した。
バイタルサイン、身体的な試験、および心電図(ECG)の解析は、0.1mg/kgの用量を投与した1名の対象で上気道感染症を示した。しかしながら、研究者は、この感染症は中程度であり、治療に関連するものではないと報告した。それ以外には、試験対象のバイタルサイン、身体的な試験、および心電図(ECG)での異常は観察されなかった。
抗薬剤抗体の試験は、抗体陽転の証拠を収集しなかった。
重篤なAEを有する2名の対象のみが、盲検の研究者により治療に関連すると報告された。902U/Lのクレアチンホスホキナーゼの上昇(参照範囲:21〜215U/L)が、0.1mg/kgのDX−2930を投与した対象で観察された(すべてのDX−2930で処置した対象の4.2%)。1967U/Lのクレアチンホスホキナーゼの上昇(参照範囲:32〜294U/L)が、プラセボを投与した対象で観察された(プラセボで処置した対象の12.5%)。結果は、いずれか他のAEと関連したlabの異常性または臨床的な重要性を示唆し得る知見を示さなかった。いずれの対象にも注射部位反応はなかった。
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※治療に関連したAE:試験薬剤に対するAEの関連性を、盲検した研究者により評価した。
注:ここで、用語「有害事象」(AE)は、特に、治療により現れる有害事象を指す。有害事象は、発症時間が、試験薬剤の投与の後から112日での投与後の最終的な再診までである場合、または発症時間が試験薬剤投与に先行する事象では、AEが112日の投与後再診期間の間に重症度を増す場合、治療に由来すると考えた。
薬力学的(PD)および薬物動態医学的(PK)結果
表3は、各用量のコホートに関しての薬物動態学的パラメータの評価を提供する。平均値CmaxおよびAUClast値は、良好な性質の抗体と一致する正確な線形用量依存性を呈する。長い半減期を伴う薬剤は、安定で、一定した状態の血液レベルを達成するための低頻度の投与スケジュールを可能にする。DX−2930は、すべての用量グループを通してほぼ3週間の一定した半減期の延長を示した。
HAEの予防に関する治療候補物質は、低頻度の投与および論理的な技術的投与原理を可能にするための長い半減期および予測可能な薬物動態学的プロファイルを有するべきである。DX−2930は、一定した薬物動態プロファイルを提供し、これによりHAE患者に有意な治療上の利益を提供する投与レジメンを決定できる。
Figure 0006845012
DX−2930の薬物動態学的(PK)パラメータを、健常な対象における単回投与の後に評価した。3mg/kgの単回投与の後、80nMの標的レベルを超える血漿中の薬剤濃度を得た。80nM前後または80nM超の薬剤レベルが、およそ10日間維持された(図7)。薬剤レベルは、定常状態に達するまで薬剤の反復投与により蓄積し続けた。DX−2930の単回投与のみの後でさえ、目的の80nMを超える薬剤レベルが得られ、長期間維持された。この試験からのPKデータは、目的とした80nMを超える血漿中薬剤濃度を入手し、次にその濃度を継続して維持するための投与戦略の実現可能性を裏付けるものである。さらに、HAEの予防に関連した十分な血漿カリクレイン阻害を得るために、必要に応じて80nMより高い薬剤レベルを達成してもよい。
DX−2930の薬力学的(PD)評価を行った。DX−2930をさらに特徴付けるために、対象の血漿試料について探索性バイオマーカーアッセイをex vivoで行って分子の薬力学的プロファイルを評価した。2つの独立したアッセイ‐そこからブラジキニンが生じる血漿カリクレインの天然の基質であるキニノーゲンの切断を測定する、人工的な蛍光発生物質を使用する血漿カリクレイン活性アッセイおよびウェスタンブロットアッセイを行った。
これらのアッセイは半定量的である。よって、データ点は、実験内の他のデータ点と比較して解釈されるべきであり、アッセイを通してまたは他のアッセイシステムと比較されるものではない。これらのアッセイは、C1インヒビターの正常なレベルを有する正常な対象の血漿で行う。結果として、これらのバイオマーカーアッセイで使用される健常な対象は、HAEの発作を発症しない。これらのバイオマーカーの評価の目的は、投与した対象由来の血漿中のDX−2930が、血漿カリクレインに対する阻害活性を有することを確認することであった。同様に重要なことに、これらの試験は、薬力学的な結果が、観察したPKプロファイルを裏付けるかどうかを評価するために行った。
図9は、DX−2930の薬力学的な効果を表す。試験薬剤で処置した対象由来の血漿をex vivoで活性化して接触相経路を誘導し、これにより血漿カリクレインの産生および活性を刺激した。pKal活性を、蛍光発生アッセイを介して測定した。1および3mg/kgのグループ由来のデータを表す。血漿カリクレインの阻害は、特に1および3mg/kgの用量グループで明確であった。0.1mg/kgまたはプラセボのグループでは、認識可能な阻害は観察されなかった。観察された阻害は、用量および時間の両方に依存しており、かつDX−2930の阻害活性を確認する。DX−2930のPD作用は、DX−2930のPKデータを裏付けるものである。
DX−2930の治療用途
有効な予防のための、有効性の必要条件は、関連する薬剤標的が連続的に、必要とされる最小値の量を超えるレベルで阻害されることである。阻害範囲のギャップは最小限であるか完全に回避されるべきである。阻害レベルが必要とされる最小値レベルを下回る場合、個体は病理過程の活性化に対して生物学的に不安定であり、疾患事象に関する臨床的なリスクがある可能性がある。
HAEには、広く確立された予防の原則がない。HAEでは、血漿カリクレインが、浮腫の発作の原因に重要である有効な薬剤標的を表す。HAEの発作を予防することには、血漿カリクレインの阻害を、最小治療レベルを超えて継続的に維持することが必要であり得る。経時的な範囲のギャップは、脆弱な期間を回避するように最小限であるべきである。この必要性は、HAEの発作に重要な役割をはたすと仮説づけられた陽性フィードバックループの現象によりさらに強調される。このカスケードが開始すると、血漿カリクレインの活性化が、次により多くの血漿カリクレインの産生を駆動する第XII因子の活性化をもたらす。
DX−2930と、HAEの発作の急性的な治療に関して米国で承認された既知の治療剤である、エカランチドとによる血漿カリクレインの阻害を、in vitroでのアッセイで比較した。この系では、ヒトの血漿を、接触相を開始しかつプレカリクレインを活性血漿カリクレインに変換する薬剤に曝露した。
患者に投与後の血漿中のエカランチドのピーク濃度は80nMであり、血漿カリクレイン活性の部分的な阻害のみを提供する。80nMのこの濃度範囲周辺では、これらのアッセイの結果は、DX−2930がエカランチドと同等な効力を有することを示す(図5)。80nMがHAEの発作に適した血漿カリクレインレベルであるように見え、かつこの濃度範囲での血漿カリクレインの阻害において、DX−2930の効力がエカランチドと同等であるならば、80nMの血漿中薬剤濃度を継続的に超えてDX−2930を維持することは、HAEの発作を予防すると仮定できる(図6)。DX−2930の血漿中薬剤レベルの目的となる80nMは、現在入手可能なデータおよび疾患生物学の理解に基づき、確実であると思われる。80nMは初期の目的であるが、より低いまたは高い薬剤レベルのDX−2930が、治療上の用量を得るために必要である可能性がある。
実施例2 HAEの患者におけるDX−2930の複数回の上昇する用量試験
複数回の用量のDX−2930を、以下の用量:0.1mg/kg、0.3mg/kg、1mg/kg、または3mg/kgでHAE患者に投与する。図2は、用量3mg/kgのDX−2930を反復して投与した後に達成されると予測される血漿中濃度を提供する。初期の濃度プロファイルは、健常な対象での単回用量投与で観察されたプロファイルと一致する。
PKモデリングを行って、慢性的な投与の後のDX−2930の薬力学的および薬物動態学的な性質を予測できる。図8は、DX−2930が健常な対象において28日ごとに3mg/kgで投与される仮定のシナリオを表す。このモデリングの結果は、定常状態が得られた後に、反復投与が、初期に標的とした80nMのレベルの周辺または80nMを超える薬剤濃度を継続的に維持することを示唆する(この閾値の論述に関しては実施例2を参照)。
HAE患者におけるDX−2930の安全性および効力は、1週間あけてDX−2930を2回投与した後に評価される。バイオマーカーのデータ(薬物動態と共に)を評価して、HAEの発作を防止するDX−2930の効力(異なる用量で)を評価するための経過観察の試験にどの用量を使用するかを決定した。
実施例3 遺伝性血管浮腫の長期間の予防を調査するための投与レジメンの薬理学的なモデリング
方法
エカランチドおよびDX−2930によるpKalのin vitro阻害を、合成基質アッセイを使用して評価した。モデリングを、健常な対象におけるDX−2930の単回の上昇する用量での皮下投与試験からの薬物動態学的(PK)データを使用して行った。
結果
In vitroでのpKalアッセイでは、DX−2930およびエカランチドは、80nMの濃度で同等な薬力学的(PD)活性を呈した。80nM未満のpKal阻害剤の血漿中濃度は、部分的な予防効果のみを提示し、低用量仮説よりも中度用量および高用量の仮説に対するさらなる証拠をもたらした。よって、約80nMを超えるDX−2930の薬剤レベルを継続的に維持することは、中度の用量の仮説により説明されるpKalの阻害レベルに達するはずである。PKモデリングは、慢性DX−2930投与が、2週間ごとに100mg(または4週間ごとに300mg)を用いて80nM超、および2週間ごとに300mgを用いて200nM超の安定した状態の血漿中薬剤濃度をもたらすことを示す。
他の実施形態
本明細書に開示されるすべての特性は、任意の組み合わせで組み合わせてもよい。本明細書に開示される各特性は、同一、均等、または類似の目的を果たす代替的な特性により交換されてもよい。よって、特段他の記載が明確にない限り、開示されている各特性は、単なる、一般的な形式の均等または類似の特性の例である。
上述の記載から、当業者は、本発明の本質的な特徴を容易に確定することができ、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、様々な用途および条件に適合するよう本発明の様々な変化および改変を作製することができる。よって、他の実施形態もまた特許請求の範囲内にある。

Claims (3)

  1. 遺伝性血管浮腫(HAE)の治療に使用するための医薬組成物であって、
    前記組成物は、活性血漿カリクレインを結合する抗体を含み、前記組成物は、その必要のある対象に、2週間ごとまたは4週間ごとに約300mgの前記抗体の有効量で投与され、前記抗体は配列番号1で表される重鎖配列および配列番号2で表される軽鎖配列を有するDX−2930である、医薬組成物。
  2. 前記抗体は皮下投与される、かつ/または、前記抗体は予防治療のために投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記対象が、HAEを有する、または有する疑いのある、またはHAEのリスクがあるヒトの患者である、請求項1または2に記載の医薬組成物。
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