JP6841773B2 - 通気性フィルム - Google Patents

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Description

本発明は石油由来ポリオレフィン系樹脂、植物由来ポリエチレン系樹脂及び無機フィラーを含む通気性フィルムに関し、より詳細には、本発明は、とりわけ使い捨てカイロや温熱シップ剤等の医療用温熱用具などに利用できる通気性フィルムに関する。
ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂のようなポリオレフィン系樹脂に無機充填剤を配合してシート状に成形した後、延伸して通気性フィルムとする方法は広く知られており、該通気性フィルムは温熱医療等の分野において、使い捨て用途に使用されている。その原材料のほとんどは石油などの化石資源から作られている。
しかし、近年、将来的な石油枯渇や地球温暖化などの環境問題などを背景に、樹脂フィルムの原材料として、石油由来樹脂の代わりに、カーボンニュートラルで再生可能な資源である植物由来樹脂を使用することへの関心が高まっている。
このような植物由来樹脂を用いた通気性フィルムとしては、例えば、特定量の乳酸系ポリマー、特定量の可塑剤を含むポリ乳酸系樹脂組成物に特定量の微粉状充填剤を添加して、溶融製膜した後、延伸した多孔性フィルムが提案されている(特許文献1)。
特許3167411号公報
特許文献1で提案された多孔性フィルムは、石油由来ポリオレフィン系樹脂からなるフィルムと比較して、引裂強度やヒートシール強度などの加工適性が劣り、生産性を向上させることができないという問題があった。
そこで、本発明は、植物由来原料を使用することにより、石油資源の節約や二酸化炭素の排出量削減による地球温暖化防止に貢献するとともに、良好な加工適性、例えば、石油由来ポリオレフィン系樹脂からなるフィルムと同程度の引裂強度やヒートシール強度を有する、植物由来ポリエチレン系樹脂を配合した通気性フィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、石油由来ポリオレフィン系樹脂及び無機
フィラーを含む通気性フィルムにおいて、特定量の植物由来ポリエチレン系樹脂を配合させることにより、石油由来ポリオレフィン系樹脂からなるフィルムより優れた引裂強度と、該フィルムと同程度のヒートシール強度とを有する通気性フィルムを得られることを見出し、本発明の完成させるに至った。すなわち、本発明は下記の通りである。
(1)石油由来ポリオレフィン系樹脂10〜65質量部、植物由来ポリエチレン系樹脂5〜50質量部及び無機フィラー30〜60質量部を含むことを特徴とする通気性フィルム。
(2)前記植物由来ポリエチレン系樹脂のバイオマスプラスチック度が80%以上であることを特徴とする、(1)に記載の通気性フィルム。
(3)引裂強度が1.3mN/μm以上であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の通気性フィルム。
(4)前記石油由来ポリオレフィン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンとエチレン−α−オレフィン共重合体との混合物であることを特徴とする、(1)乃至(3)のいずれかに記載の通気性フィルム。
(5)温熱医療用途に用いられることを特徴とする、(1)乃至(4)のいずれかに記載の通気性フィルム。
また、本発明の好ましい態様の通気性フィルムとして、下記[1]乃至[]の通気性を提供する。
[1]石油由来ポリオレフィン系樹脂、植物由来ポリエチレン系樹脂及び無機フィラーを含む通気性フィルムであって、
該石油由来ポリオレフィン系樹脂の含有量は、該通気性フィルム100質量部に対して、25〜50質量部であり、
該植物由来ポリエチレン系樹脂の含有量は、該通気性フィルム100質量部に対して、5〜12質量部であり、
該無機フィラーの含有量は、該通気性フィルム100質量部に対して、30〜60質量部であり、
該石油由来ポリオレフィン系樹脂が石油由来直鎖状低密度ポリエチレンと石油由来エチレン・1−ブテン共重合体との混合物であり、該植物由来ポリエチレン系樹脂が植物由来直鎖状低密度ポリエチレンであり、
該通気性フィルムの引裂強度が1.3mN/μm以上であり、
該通気性フィルムのヒートシール強度が7.5〜10.1N/cmであることを特徴とする、通気性フィルム。
[2]前記植物由来ポリエチレン系樹脂のバイオマスプラスチック度が80%以上であることを特徴とする、[1]に記載の通気性フィルム
[3]温熱医療用途に用いられることを特徴とする、[1]又は2]に記載の通気性フィルム。
本発明によれば、石油由来ポリオレフィン系樹脂からなるフィルムより優れた引裂強度と、該フィルムと同程度のヒートシール強度とを有する通気性フィルム、すなわち、引裂強度やヒートシール強度などの加工適性に優れた通気性フィルムを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[通気性フィルム]
本発明の通気性フィルムは、石油由来ポリオレフィン系樹脂10〜65質量部、植物由来ポリエチレン系樹脂5〜50質量部及び無機フィラー30〜60質量部を含むものである。
(石油由来ポリオレフィン系樹脂)
本発明で用いる石油由来ポリオレフィン系樹脂は、石油などの化石燃料から得られる原料から製造された樹脂であって、少なくともオレフィン成分(エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1,4−メチル−ペンテン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等のα−オレフィンなど)を単量体成分とする樹脂である。
上記石油由来ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体(例えば、エチレン−プロピレン共重合体など)等のポリエチレン系樹脂の他、ポリプロピレン系樹脂(ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体など)や、ポリブテン系樹脂(ポリブテン−1など)、ポリ−4−メチルペンテン−1などが挙げられる。
また、石油由来ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等のエチレン−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等のエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体なども用いることができる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸とメタクリル酸を指す。
本発明では、石油由来ポリオレフィン系樹脂は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明で用いる石油由来ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂が好ましく、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体及びエチレン−メタクリル酸メチル共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、直鎖状低密度ポリエチレンとエチレン−α−オレフィン共重合体との混合物が特に好ましい。
上記混合物において、直鎖状低密度ポリエチレンとエチレン−α−オレフィン共重合体
との比率は特に限定されないが、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン100質量部に対して、エチレン−α−オレフィン共重合体の含有量は5〜90質量部が好ましく、より好ましくは10〜50質量部である。エチレン−α−オレフィン共重合体の含有量が5質量部未満であるとヒートシール強度などの加工適性を損ねる場合があり、90質量部を超えると引裂強度などが低下する場合がある。
本発明において、密度はJIS K7112に準拠して測定した値である。また、メルトフローレート(以下、MFRと略す)はJIS K7210に準拠して、温度190℃、荷重2.16kgの条件下で測定した値である。
本発明で用いる石油由来の低密度ポリエチレンの密度は0.90〜0.93g/cmが好ましく、より好ましくは0.91〜0.92g/cmである。
また、石油由来の低密度ポリエチレンのMFRは、特に限定されないが、1.0〜5.0g/10分が好ましく、より好ましくは、2.0〜4.0g/10分である。
本発明で用いる石油由来の直鎖状低密度ポリエチレンの密度は0.90〜0.93g/cmが好ましく、より好ましくは0.91〜0.92g/cmである。
また、石油由来の直鎖状低密度ポリエチレンのMFRは、特に限定されないが、1.0〜5.0g/10分が好ましく、より好ましくは、2.0〜4.0g/10分である。
本発明で用いる石油由来のエチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、0.90g/cm未満が好ましく、より好ましくは0.86〜0.89g/cmであり、さらに好ましくは0.87〜0.89g/cmである。
また、石油由来のエチレン−α−オレフィン共重合体のMFRは、特に限定されないが、1.0〜5.0g/10分が好ましく、より好ましくは2.0〜4.0g/10分である。
本発明で用いる石油由来のエチレン−メタクリル酸メチル共重合体の密度は、0.92〜0.95g/cmが好ましく、より好ましくは0.93〜0.94g/cmである。
また、石油由来のエチレン−メタクリル酸メチル共重合体のMFRは、特に限定されないが、1.0〜5.0g/10分が好ましく、より好ましくは2.0〜4.0g/10分である。
通気性フィルム中の石油由来ポリオレフィン系樹脂の含有量は、通気性フィルム100質量部に対して、10〜65質量部であり、好ましくは20〜50質量部であり、より好ましくは25〜45質量部である。石油由来ポリオレフィン系樹脂の含有量が10質量部未満であるとヒートシール強度などの加工適性を損ねる虞がある。一方、65質量部を超えると、通気性フィルム中の無機フィラーの含有量が少なくなって、ボイドが形成され難くなる可能性があり、また石油由来ポリオレフィン系樹脂の量が多いため、二酸化炭素の排出量削減に貢献し難くなる。
(植物由来ポリエチレン系樹脂)
本発明で用いる植物由来ポリエチレン系樹脂とは、化石燃料以外の再生可能な資源、特にサトウキビなどの植物由来のバイオエタノールを原料としたポリエチレン系樹脂を意味する。
本発明で用いる植物由来ポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体(例えば、エチレン−プロピレン共重合体など)などが挙げられるが、その中
でも直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
本発明では、植物由来ポリエチレン系樹脂は1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
本発明で用いる植物由来の直鎖状低密度ポリエチレンの密度は0.90〜0.93g/cmが好ましく、より好ましくは0.91〜0.92g/cmである。
また、植物由来の直鎖状低密度ポリエチレンのMFRは、特に限定されないが、0.5〜5.0g/10分が好ましく、より好ましくは、2.0〜4.0g/10分である。
植物由来樹脂と石油由来樹脂とは、分子量や機械的性質・熱的性質などのような物性に差が生じないので、これらを区別するために、一般にISO16620またはASTM D6866で規定されたバイオマスプラスチック度が用いられる。
大気中では1012個に1個の割合で放射性炭素14Cが存在し、この割合は大気中の二酸化炭素でも変わらないので、この二酸化炭素を光合成で固定化した植物の中でも、この割合は変わらない。このため、植物由来樹脂の炭素には放射性炭素14Cが含まれる。これに対し、石油由来樹脂の炭素には放射性炭素14Cがほとんど含まれない。そこで、加速器質量分析器で樹脂中の放射性炭素14Cの濃度を測定することにより、樹脂中の植物由来樹脂の含有割合、すなわちバイオマスプラスチック度を求めることができる。
本発明で用いる植物由来ポリエチレン系樹脂としては、ISO16620またはASTM D6866に規定されたバイオマスプラスチック度が80%以上であるものが好ましく、例えば、Braskem社製の商品名「SLH118」、「SLH218」、「SLH0820/30AF」などを用いることができる。
通気性フィルム中の植物由来ポリエチレン系樹脂の含有量は、通気性フィルム100質量部に対して、5〜50質量部であり、好ましくは10〜40質量部であり、より好ましくは20〜30質量部である。植物由来ポリエチレン系樹脂の含有量が5質量部未満であると引裂強度が不十分となる可能性があり、また二酸化炭素の排出量削減に貢献し難くなる。一方、50質量部を超えるとヒートシール強度などの加工適性を損ねる場合がある。
(無機フィラー)
本発明に用いる無機フィラーは延伸加工により無機フィラーの周囲にボイドを発生させることによって、フィルムに通気性を付与する役割を担うものである。
かかる無機フィラーとしては、例えば、タルク、シリカ、石粉、ゼオライト、アルミナ、アルミニウム粉末、鉄粉の他、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム−カルシウム、炭酸バリウム等の炭酸の金属塩、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム等の硫酸の金属塩、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等の金属水酸化物、酸化マグネシウム−酸化ニッケルの水和物、酸化マグネシウム−酸化亜鉛の水和物等の金属水和物などが挙げられる。
本発明では、無機フィラーは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明では、その中でも、炭酸カルシウム、硫酸バリウムが好ましい。
また、本発明に用いられる無機フィラーの形状は特に限定されず、平板形状や粒子状などの形状が挙げられるが、延伸加工によるボイド形成の観点からは、粒子状が好ましい。無機フィラーとしては、粒子状の炭酸カルシウムがより好ましい。
本発明において無機フィラーの平均粒径はJIS M8511に準拠した空気透過法に
よる比表面積の測定結果から算出した値である。
本発明に用いる無機フィラーの平均粒径は特に限定されないが、例えば、0.1〜20.0μmが好ましく、より好ましくは0.5〜10.0μmである。無機フィラーの平均粒径が、0.1μm未満の場合には無機フィラーの二次凝集による分散不良を生じる虞があり、10.0μm以上を超えると製膜破れや外観不良を生じる可能性がある。
本発明において、無機フィラーの含有量は、通気性フィルム100質量部に対して30〜60質量部であり、好ましくは35〜55質量部であり、より好ましくは40〜50質量部である。無機フィラーの含有量が30質量部未満であるとボイドが形成され難くなる可能性があり、60質量部を超えると無機フィラーの分散不良や引裂強度の低下を生じやすくなる場合がある。
(添加剤)
本発明の通気性フィルムには、さらに、着色剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤及び安定剤などの各種添加剤が、本発明の効果を損なわない範囲内で配合されていてもよい。
[通気性フィルムの製造方法]
本発明の通気性フィルムの製造方法について説明する。上記の石油由来ポリオレフィン系樹脂、植物由来ポリエチレン系樹脂及び無機フィラー、並びに必要に応じて、その他の添加剤を混合機で混合した後、適当な混練機で溶融混練させる。具体的には、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、バンバリーミキサー、タンブラーミキサー等の混合機を用いて混合し、その後、Tダイ等を備えた一軸もしくは二軸スクリュー押出機を用いて、170〜240℃、好ましくは190〜220℃において溶融混練し、冷却固化することにより、シート状物を得る。その際、混合した原料の均質性や無機フィラーの分散性をより高める観点からは、混合原料を二軸スクリュー押出機によって十分に溶融混練し、その後冷却固化させて一旦ペレット化したコンパウンドを作製し、このペレット化したコンパウンドを、Tダイ等を備えた一軸もしくは二軸スクリュー押出機を用いて、再び、溶融混練、冷却固化することにより、シート状物を得ることが好ましい。このように、押出機を用いて、溶融混練する工程と冷却固化する工程とを2回以上繰り返すことにより、石油由来ポリオレフィン系樹脂と植物由来ポリエチレン系樹脂と無機フィラーとの混合物の均質性や無機フィラー分散性が高まり、得られる通気性フィルムの厚み斑や引裂強度や通気性のばらつきを小さく抑えやすくなる。
得られたシート状物は、ロール法、テンター法などの公知の方法を用いて一軸方向または二軸方向にそれぞれ2〜6倍延伸を行い、石油由来ポリオレフィン系樹脂及び植物由来ポリエチレン系樹脂と、無機フィラーとの界面剥離を起こさせることにより通気性フィルムが得られる。
延伸倍率はフィルムの物性に大きな影響を及ぼし、2倍未満であると石油由来ポリオレフィン系樹脂及び植物由来ポリエチレン系樹脂と、無機フィラーとの界面剥離が十分でなく、満足する通気性が得られない場合がある。一方、延伸倍率が6倍を超えると、フィルムの引張伸度が低下する虞がある。延伸倍率は上記のような理由を考慮すると2〜6倍が好ましく、3〜5倍がより好ましい。
延伸温度は、室温〜石油由来ポリオレフィン系樹脂の軟化点と植物由来ポリエチレン系樹脂の軟化点のうち、低い方の軟化点の温度範囲が好ましい。
延伸後、必要に応じて、得られたフィルムの形態を安定させるために熱固定処理を行っても良い。
本発明の通気性フィルムの厚みは20〜200μmが好ましく、より好ましくは40〜100μmであり、さらに好ましくは45〜80μmである。上記厚みが20μm未満であると、本発明の通気性フィルムを用いて使い捨てカイロなどを作製する際、エッジ切れ(ヒートシール部分と非ヒートシール部分の境でフィルムが裂ける現象)が発生しやすくなる。また、上記厚みが200μmを超えると、本発明の通気性フィルムを用いて使い捨てカイロなどを作製する際のヒートシール性が悪化し、シール不良が発生しやすくなる。
本発明の通気性フィルムにおける引裂強度(MD方向に対する引裂強度)は、好ましくは1.3mN/μm以上であり、より好ましくは1.4mN/μm以上であり、特に好ましくは1.5mN/μm以上である。引裂強度が1.3mN/μm未満であると、フィルム製造時や使用時にフィルムの破れが起きやすく不適である。
本発明の通気性フィルムにおけるヒートシール強度は、好ましくは7N/cmであり、より好ましくは8N/cmであり、特に好ましくは9N/cmである。ヒートシール強度が7N/cm未満であると、ヒートシール部で剥離するトラブルが生じる場合がある。
本発明の通気性フィルムは、使い捨てカイロ等の温熱医療用途、屋根防水材等の建築材料用途、乾燥剤、防湿剤、脱酸素剤、鮮度保持包装などの包装材用途、使い捨てオムツ、生理用ナプキン等の衛生材料用途、電池用セパレーターなどの資材用途などに用いられることができ、その中でも、温熱医療用途に用いられることが好ましい。
以下に本発明の実施例を詳細に述べるが、本発明はこれらに限定されない。
実施例、参考例及び比較例における原料及び測定方法を下記に示す。
A : 石油由来直鎖状低密度ポリエチレン(密度0.919g/cm、MFR(190℃)2.0g/10分)
B : 石油由来エチレン・1−ブテン共重合体(密度0.885g/cm、MFR(190℃)3.6g/10分)
C : 植物由来直鎖状低密度ポリエチレン(密度0.916g/cm、MFR(190℃)2.3g/10分、バイオマスプラスチック度84.0%)
D : 炭酸カルシウム
E : 酸化防止剤(5%濃度ポリエチレン系マスターバッチ)
1.厚さ
通気性フィルムの厚さは、JIS K7130に準じて、測定した。通気性フィルムから100mm幅、150mm長さの試験片を裁断し、幅方向に10箇所(n=10)測定し、平均値を測定値とした。
2.引裂強度
通気性フィルムの引裂強度は、JIS P8116に準拠して、測定した。軽荷重引裂試験機(株式会社東洋精機製作所製)を使用して、通気性フィルムから引裂方向に長さ63.5mm[長辺(MD)]及び引裂方向と直角方向に幅50mm[短辺(TD)]の長方形の試験片を切取り、短辺の中央に端から12.7mmの切り込みを入れ、配向方向(MD方向)に対する引裂強度を測定した。そして、通気性フィルム1枚当たりの引裂強度を通気性フィルム1枚当たりの厚さで除することで、通気性フィルムの厚さ1μm当たりの引裂強度を算出した。
3.ヒートシール強度
通気性フィルムのヒートシール強度は、JIS Z0238に準拠して、測定した。通気性フィルムから100mm幅、150mm長さの試験片を裁断し、半分に折って重ね合わせ、ヒートシールテスター(テスター産業株式会社製TP−701−B)を使用して、
シール温度200℃、シール圧力3.06kgf/cm、シール時間2秒の条件で、ヒートシールを行った。そして、ヒートシールした試験片を幅15mmに切り出し、引張試験機(島津製作所製)を使用して、剥離強度を測定した。
実施例1
表1記載の原料及び組成をヘンシェルミキサーで混合後、200℃にて二軸押出機で溶融混練してペレット化した。次に、Tダイを付けた一軸押出機にペレットを投入して200〜300μmの未延伸フィルムを作製した。次いで、縦一軸延伸機を使用して、該未延伸フィルムをロール延伸により、延伸温度80℃、延伸倍率3.8倍で長手(MD)方向に延伸して、厚さ67.0μmの通気性フィルムを得た。
得られた通気性フィルムの引裂強度は1.9mN/μmであり、ヒートシール強度は10.1N/cmであった。
参考例2
組成を表1記載の組成に変更し、また延伸倍率を3.7倍に変更した以外は実施例1と同様な方法で、厚さ68.7μmの通気性フィルムを得た。
得られた通気性フィルムの引裂強度は2.0mN/μmであり、ヒートシール強度は9.6N/cmであった。
実施例3
表1記載の原料及び組成をヘンシェルミキサーで混合後、200℃に加熱したTダイを付けた二軸押出機に原料混合物を投入して200〜300μmの未延伸フィルムを作製した。次いで、縦一軸延伸機を使用して、該未延伸フィルムをロール延伸により、延伸温度80℃、延伸倍率3.6倍で長手(MD)方向に延伸して、厚み49.8μmの通気性フィルムを得た。
得られた通気性フィルムの引裂強度は1.6mN/μmであり、ヒートシール強度は8.6N/cmであった。
参考例4
組成を表1記載の組成に変更した以外は実施例3と同様な方法で、厚さ49.4μmの通気性フィルムを得た。
得られた通気性フィルムの引裂強度は1.9mN/μmであり、ヒートシール強度は7.9N/cmであった。
参考例5
組成を表1記載の組成に変更し、また延伸倍率を4.2倍に変更した以外は実施例3と同様な方法で、厚さ51.3μmの通気性フィルムを得た。
得られた通気性フィルムの引裂強度は1.4mN/μmであり、ヒートシール強度は7.5N/cmであった。
比較例1
組成を表1記載の組成に変更し、また延伸倍率を4.3倍に変更した以外は実施例1と同様な方法で、厚さ72.6μmの通気性フィルムを得た。
得られた通気性フィルムの引裂強度は1.2mN/μmであり、ヒートシール強度は10.3N/cmであった。
比較例2
組成を表1記載の組成に変更し、また延伸倍率を4.3倍に変更した以外は実施例1と同様な方法で、厚さ71.4μmの通気性フィルムを得た。
得られた通気性フィルムの引裂強度は1.1mN/μmであり、ヒートシール強度は9
.8N/cmであった。
比較例3
組成を表1記載の組成に変更した以外は実施例3と同様な方法で、厚さ51.9μmの通気性フィルムを得た。
得られた通気性フィルムの引裂強度は1.2mN/μmであり、ヒートシール強度は8.5N/cmであった。
比較例4
組成を表1記載の組成に変更し、また延伸倍率を4.6倍に変更した以外は実施例3と同様な方法で、厚さ53.8μmの通気性フィルムを得た。
得られた通気性フィルムの引裂強度は1.0mN/μmであり、ヒートシール強度は9.5N/cmであった。
比較例5
組成を表1記載の組成に変更した以外は実施例3と同様な方法で、厚さ52.4μmの通気性フィルムを得た。
得られた通気性フィルムの引裂強度は1.4mN/μmであり、ヒートシール強度は6.7N/cmであった。
比較例6
組成を表1記載の組成に変更し、また延伸倍率を4.1倍に変更した以外は実施例3と同様な方法で、厚さ50.2μmの通気性フィルムを得た。
得られた通気性フィルムの引裂強度は0.8mN/μmであり、ヒートシール強度は6.3N/cmであった。
以上の実施例、参考例及び比較例で得られた通気性フィルムの組成及び物性を表1に示した。
Figure 0006841773
上記の表1に示した結果より、本発明の通気性フィルムは石油由来ポリオレフィン系樹脂からなるフィルムより優れた引裂強度と、該フィルムと同程度のヒートシール強度とを有することが明らかである(実施例1及び参考例2対比較例2、並びに、実施例3及び参考例4対比較例4)。

Claims (3)

  1. 石油由来ポリオレフィン系樹脂、植物由来ポリエチレン系樹脂及び無機フィラーを含む通気性フィルムであって、
    該石油由来ポリオレフィン系樹脂の含有量は、該通気性フィルム100質量部に対して、25〜50質量部であり、
    該植物由来ポリエチレン系樹脂の含有量は、該通気性フィルム100質量部に対して、5〜12質量部であり、
    該無機フィラーの含有量は、該通気性フィルム100質量部に対して、30〜60質量部であり、
    該石油由来ポリオレフィン系樹脂が石油由来直鎖状低密度ポリエチレンと石油由来エチレン・1−ブテン共重合体との混合物であり、該植物由来ポリエチレン系樹脂が植物由来直鎖状低密度ポリエチレンであり、
    該通気性フィルムの引裂強度が1.3mN/μm以上であり、
    該通気性フィルムのヒートシール強度が7.5〜10.1N/cmであることを特徴とする、通気性フィルム。
  2. 前記植物由来ポリエチレン系樹脂のバイオマスプラスチック度が80%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の通気性フィルム。
  3. 温熱医療用途に用いられることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の通気性フィルム。
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