JP4238692B2 - 建材用通気性フィルム - Google Patents

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Description

本発明は建材用通気性フィルムに関する。詳しくは、軽量かつ高強度であって、防水性、通気性及び透湿性に優れた、外壁用下地材や屋根用下地材等に好適な建材用通気性フィルムに関する。尚、本発明においてフィルムとは、フィルムとシートの総称である。
住居等の建物の外壁用下地材(ハウスラッピングシート)や屋根用下地材(アンダールーフィングシート)として、以前にはアスファルトシートが用いられていた。しかし近年は、これら下地材として、通気性フィルムと不織布や織布の補強材とを貼り合わせた、通気性及び透湿性を有し且つ防水性を有する建材用通気性資材が広く使用されている。
住居等の室内で発生した水蒸気は、内装材と外壁の間で冷却されて結露して、保温材、内装材、構造材等を腐食させ、雑菌、害虫を繁殖させ、結果的に建物の寿命を短くする。この短命化を防ぐために、建物においては外壁の壁内の結露を防止する目的で外壁用下地材(ハウスラッピングシート)が用いられる。この外壁用下地材には防風性、防水性、透湿性等の機能が要求されるが、更に、施工時にタッカー等により固定される際の強度が十分高く、軽量性、低コストであることが望まれている。
屋根用下地材は、雨水を通さずに湿気を逃がす機能が要求されるが、屋根用下地材の強度が十分ではない場合、固定のために打ち付けられた釘の孔から雨水が浸入し、水分が屋根野地板に吸収されて残り、屋根野地板が腐敗するという問題がある。
このように建材用通気性資材には防水性、透湿性等の機能が要求される一方で、高強度、軽量性や低コスト等が望まれており、ポリオレフィン系樹脂からなる通気性フィルムに融点の異なる熱可塑性樹脂からなる多層不織布を熱接着する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、ポリオレフィン系樹脂からなる通気性フィルムに、縦ヤーン及び横ヤーンの交点で接着または融着により得られたポリオレフィン系織布を積層した建材用通気性資材が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、これらの技術は、支持体である不織布または織布の改良であって、通気性フィルムの特性にはなんら改良がなされていないのが実情であった。これは、通気性フィルムを得る方法として様々な方法があるにも関わらず、生産性が高く、安価で提供できる通気性フィルムの出現がこれまでなかったことが原因と考えられる。
一般に、建材用通気性資材に用いられる通気性フィルムは、ポリエチレン系樹脂に炭酸カルシウムや硫酸バリウム等の無機質充填剤を多量に添加し、これらを溶融し混練して膜状成形物とした後、少なくとも一方向に延伸し、マトリックスポリマーと充填剤の界面に空隙(細孔)を生じさせる方法(以下「無機質充填剤添加による延伸法」という)によって製造される(例えば、特許文献1、2参照)。
しかし、この無機質充填剤添加による延伸法の場合、通気性を得るためには無機質充填剤の添加量を多くする必要があり、その添加量は40〜60重量%に達する。この無機質充填剤の添加量が高いことにより、マトリックスポリマーであるポリエチレン本来の物性が低下したり、真比重が大きいため目付け重量が大きく施工時の負担が大きい等の問題がある。
一方、エチレン−プロピレンブロックコポリマーからなる成分Aとプロピレンホモポリマーまたはランダムコポリマーからなる成分B及び低分子量ポリプロピレンからなる成分Cに、必要に応じ炭酸カルシウムからなる成分Dやベータ球晶成核剤からなる成分Eを添加した高分子性組成物からなる多孔膜及びその製造方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。この場合、エチレン−プロピレンブロックコポリマーだけでは十分な多孔性及び通気性を示さないため、多成分系によりその改良を図っているが、多成分であるためにそれらの各成分を均一分散させないと均一な通気性フィルムが得られにくく、また、通気性フィルム中に形成された細孔の径が大きいため、連通した細孔が得られにくく通気性フィルムに要求される高空隙率化が難しく通気度や透湿度、更には通気性フィルムの強度の向上が図りにくい等の問題がある。
特開2001−232706号公報 特開平9−277414号公報 特開平4−309546号公報
本発明は、従来の建材用通気性フィルムに関する前記課題を解決すべくなされたものであり、優れた通気性を有しつつ、無機質フィラーの高含有に起因する強度低下もなく、優れた強度と軽量性を有する建材用通気性フィルムを複雑な工程を必要とすることなく容易に製造し提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、結晶性ポリプロピレン(A)30〜70重量%と、結晶性ポリプロピレン(A)中に分散したプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)30〜70重量%とからなるポリオレフィン樹脂(C)を含有する樹脂組成物を溶融混練して膜状溶融物とし、膜状溶融物をドラフト比1〜5の範囲で膜状成形物に成形した後、膜状成形物を少なくとも一方向に延伸することにより形成された通気性フィルムであって、プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)領域に連通した細孔を有する建材用通気性フィルムによって本課題が解決されることを見出しこの知見に基づいて本発明を完成した。尚、本発明において連通した細孔とは、プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)領域に連続的に形成され、結果的に建材用通気性フィルムの両面をつなぐ経路となる細孔をいう。
本発明は、以下によって構成される。
1.結晶性ポリプロピレン(A)と、結晶性ポリプロピレン(A)中に分散したプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)とからなるポリオレフィン樹脂(C)を含有する樹脂組成物を溶融し混練して膜状溶融物とし、該膜状溶融物をドラフト比1〜5の範囲で膜状成形物に成形した後、その膜状成形物を少なくとも一方向に延伸することにより形成された通気性フィルムであって、ポリオレフィン樹脂(C)が結晶性ポリプロピレン(A)30〜70重量%とプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)30〜70重量%とからなり、プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)領域に連通した細孔を有する建材用通気性フィルム。
2.プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)のプロピレン含量が30〜80重量%である前記1項記載の建材用通気性フィルム。
3.ポリオレフィン樹脂(C)が、1段目で結晶性ポリプロピレン(A)を製造し、連続して2段目でプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)を製造する工程を含む多段重合法により得られたことを特徴とする前記1または2項記載の建材用通気性フィルム。
4.結晶性ポリプロピレン(A)のメルトフローレートをMFRPPとし、プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)のメルトフローレートをMFRRCとした時、メルトフローレート比MFRPP/MFRRCが10より大きく1,000以下であることを特徴とする前記1〜3項のいずれか1項記載の建材用通気性フィルム。
5.ドラフト比が1〜3の範囲であることを特徴とする前記1〜4項のいずれか1項記載の建材用通気性フィルム。
6.透気抵抗度(ガーレー)が10〜2,000秒/100ml、透湿度が2,000〜20,000g/m・24hである前記1〜5のいずれか1項記載の建材用通気性フィルム。
本発明の建材用通気性フィルムは、結晶性ポリプロピレン(A)中にプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)が微分散した優れた低温時の延伸性を有するポリプロピレン樹脂を用いて、特定の加工方法により、プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)領域にプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)の開裂による細孔を形成させて得られたものであり、優れた通気性を有しながら、優れた強度と軽量性を有する。更に、プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)の存在により、固定のために打ち付けられた釘等の孔から雨水が浸入し難く、外壁内部の建材や屋根野地板の腐敗等を防止する特性を有する。また、本発明の建材用通気性フィルムは、樹脂の組成が単純で生産工程における均一分散が容易であるため、優れた特徴を有するにも関わらず、コスト的に有利な建材用通気性フィルムである。
以下に、本発明の実施形態を説明する。
(1)ポリオレフィン樹脂
本発明の建材用通気性フィルムには、結晶性ポリプロピレン(A)と、プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)(以下、単に「共重合体(B)」ということがある)とからなり、結晶性ポリプロピレン(A)のマトリックス中に共重合体(B)が領域として微分散しているポリオレフィン樹脂(C)が使用される。
(i)結晶性ポリプロピレン(A)
結晶性ポリプロピレン(A)は、主としてプロピレン重合単位からなる結晶性の重合体であり、好ましくはプロピレン重合単位が全体の90重量%以上であるポリプロピレンである。具体的には、プロピレンの単独重合体であってもよく、また、プロピレン重合単位90重量%以上とα−オレフィン10重量%以下とのランダムまたはブロック共重合体であってもよい。結晶性ポリプロピレン(A)が共重合体の場合に使用されるα−オレフィンとしては、エチレン(本発明においてはα−オレフィンに含める)、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等を挙げることができる。このうち、プロピレン単独重合体またはプロピレン重合単位の含量が90重量%以上のプロピレン−エチレン共重合体を用いるのが、製造コストの点から好ましい。
また、結晶性ポリプロピレン(A)のメルトフロ−レ−トMFRPPは製膜の安定性から0.1〜50g/10分の範囲が好ましい。
(ii)プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)
共重合体(B)は、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのランダム共重合体である。プロピレン重合単位の含量は、共重合体(B)全体に対し重量基準で30〜80重量%の範囲にあることが好ましく、より好ましくは45〜75重量%、更に好ましくは50〜70重量%である。プロピレン重合単位の含量が上記の範囲内であれば、結晶性ポリプロピレン(A)のマトリックス中に存在する共重合体(B)領域に細孔が形成され易く、結晶性ポリプロピレン(A)と共重合体(B)の界面剥離が生じ難いため低温延伸性が良好で、細孔径の小さな建材用通気性フィルムが得られる。
共重合体(B)に使用されるプロピレン以外のα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。このうちα−オレフィンとしてエチレンを用いたプロピレン−エチレン共重合体が、製造コストの点から好ましく用いられる。
共重合体(B)のメルトフロ−レ−トMFRRCは特に限定されないが、0.1〜20g/10分の範囲が成形加工性に優れるため好適である。
(iii)ポリオレフィン樹脂(C)
ポリオレフィン樹脂(C)は、結晶性ポリプロピレン(A)と共重合体(B)とからなる。結晶性ポリプロピレン(A)のメルトフローレートMFRPPと共重合体(B)のメルトフローレートMFRRCとのメルトフローレート比MFRPP/MFRRC(以下、「MFR比」という)は、特に限定されないが、成形加工性の観点から0.1〜1,000が好ましい。
中でも、MFR比が10より大きく1,000以下の場合は、延伸により形成される細孔の孔径は、MFR比が、0.1〜10の場合に比べて大きく、連通した細孔の割合が低下する傾向があるが、樹脂組成物が製膜条件や延伸条件の変動の影響を受け難いため、特性の安定した建材用通気性フィルムが得られ易い。
また、MFR比が10より大きく1,000以下の場合には、通気性を示す透気抵抗度(ガーレー)が10〜2,000秒/100ml、透湿度が2,000〜20,000g/m・24hの建材用通気性フィルムを得ることができる。透気抵抗度と透湿度が上記の範囲内であると、得られる建材用通気性フィルムは好適な通気性を示す。
尚、該建材用通気性フィルムでは、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察によれば、5μm前後の細孔が多数連なっており、細孔径の長軸の最大値が10μm以下の細孔が認められる。
ポリオレフィン樹脂(C)における、結晶性ポリプロピレン(A)の含量は30〜70重量%、好ましくは40〜60重量%であり、共重合体(B)の含量は30〜70重量%、好ましくは40〜60重量%である。共重合体(B)の含量が30重量%未満の場合には、共重合体(B)領域に形成された細孔の連なりが少なくなることから本発明の連通した細孔が得られにくく、70重量%を超える場合には、結晶性ポリプロピレン(A)中に存在する共重合体(B)の分散構造が得られ難くなる。
前記ポリオレフィン樹脂(C)の製造方法は特に限定されず、上記の条件を満足すれば、いかなる製造方法を用いてもよい。例えば、各々別個に重合して得られた結晶性ポリプロピレン(A)と共重合体(B)とを溶融混練等によって混合することによりポリオレフィン樹脂(C)を製造してもよい。具体的には、チタン担持触媒等のチーグラーナッタ触媒を用いて重合した共重合体(B)や共重合体(B)に該当する市販のエチレン−プロピレンゴムと結晶性ポリプロピレン(A)とを溶融混合する方法が例示できる。
また、結晶性ポリプロピレン(A)と共重合体(B)とを多段重合により連続的に重合することによってポリオレフィン樹脂(C)を製造してもよい。例えば、複数の重合器を使用し、1段目で結晶性ポリプロピレン(A)を製造し、引続き2段目で結晶性ポリプロピレン(A)の存在下に共重合体(B)を製造し、ポリオレフィン樹脂(C)を連続的に製造する方法が例示できる。この連続重合法は、上記した溶融混合法に比べて製造コストが低く、また、結晶性ポリプロピレン(A)中に共重合体(B)が均一に分散したポリオレフィン樹脂(C)が安定して得られるため好ましい。
本発明の建材用通気性フィルムには、結晶性ポリプロピレン(A)中に分散した共重合体(B)領域に微細な開裂が多数認められる。共重合体(B)がプロピレン成分を含有するために結晶性ポリプロピレンと相溶性を有しており、この結晶性ポリプロピレン(A)と相溶性を有する共重合体(B)が、結晶性ポリプロピレン(A)より低強度であるため、延伸により共重合体(B)領域で開裂が発生したと推察される。このメカニズムは従来の無機質フィラーや異種ポリマーを混合及び延伸した多成分延伸法と根本的に異なるところである。その結果、得られた建材用通気性フィルムは、細孔径が小さく防水性に優れ、通気性が大きいものとなる。
尚、本発明において共重合体(B)領域とは、共重合体(B)自体が占める領域、及び共重合体(B)とそれに隣接する物質との境界領域をいう。従って、共重合体(B)領域に生じる細孔には、共重合体(B)自体が占める領域の中で生じる開裂による細孔、及び結晶性ポリプロピレン(A)等と共重合体(B)との境界領域で生じる界面剥離による細孔が含まれる。
前記のようなMFR比を有するポリオレフィン樹脂(C)は、具体的には国際公開第97/19135号パンフレット、特開平8−27238号公報等に記載されている方法により製造することができる。
尚、ポリオレフィン樹脂(C)は前記の方法で製造することができる他に、市販品の中から所望の仕様のものを選択して用いてもよい。
尚、前記MFR比は、通常は結晶性ポリプロピレン(A)のMFRPP及び共重合体(B)のMFRRCを各々測定することにより求められる。しかし、ポリプロピレン樹脂を多段重合により連続的に製造した場合(最初に結晶性ポリプロピレン(A)を重合し、次いで共重合体(B)を重合する場合)は、共重合体(B)のMFRRCを直接測定できないため、直接測定可能な結晶性ポリプロピレン(A)のMFRPP、得られるポリオレフィン樹脂(C)のメルトフローレートMFRWHOLE及びポリオレフィン樹脂(C)中の共重合体(B)の含有量WRC(重量%)から、下記式によりMFRRCを算出して、MFR比を求めることができる。
log(MFRRC)={log(MFRWHOLE)−(1−WRC/100)log(MFRPP)}/(WRC/100)
(2)建材用通気性フィルム形成用樹脂組成物
本発明の建材用通気性フィルムを形成するための膜状成形物の成形材料である樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂(C)の他に、通常のポリオレフィンに使用される酸化防止剤、中和剤、α晶造核剤、β晶造核剤、ヒンダードアミン系耐候剤、紫外線吸収剤、防曇剤や帯電防止剤等の界面活性剤、無機質充填剤、滑剤、アンチブロッキング剤、抗菌剤、防黴剤、顔料等を必要に応じて配合することができる。
また、本発明の建材用通気性フィルムを形成するための前記樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、プロピレンの単独重合体、プロピレンを主成分とするプロピレン以外の単量体との二元以上のランダム重合体やポリエチレン樹脂、ポリブテン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂等の他のオレフィン樹脂の1種以上を併用しても構わない。
更に、前記樹脂組成物の軟化温度を低下させたり柔軟性を向上させるためにシングルサイト触媒や公知のマルチサイト触媒で重合されたエチレン−ジエン弾性共重合体、エチレンープロピレン弾性共重合体、スチレン−ブタジエン弾性共重合体等の弾性共重合体を添加しても構わない。
前記ポリオレフィン樹脂(C)と上記添加剤を配合する方法は特に限定されず、例えばヘンシェルミキサー(商品名)等の高速撹拌機付混合機及びリボンブレンダー並びにタンブラーミキサー等の通常の配合装置により配合する方法(ドライブレンド)が例示でき、更に通常の単軸押出機または二軸押出機等を用いてペレット化する方法が例示できる。
(3)建材用通気性フィルムの形成
本発明の建材用通気性フィルムは、ポリオレフィン樹脂(C)を主成分とした前記樹脂組成物を溶融混練し膜状溶融物とし、該膜状溶融物をドラフト比1〜5の範囲で膜状成形物に成形した後、その膜状成形物を100℃以下の温度で少なくとも一方向に延伸することにより形成することができる。その工程は、製膜工程と延伸工程からなる。
尚、主成分とは一番多い成分をいう。
(i)製膜工程
前記樹脂組成物から膜状成形物を得るための製膜工程には、公知のインフレーションフィルム成形法、Tダイフィルム成形法、カレンダー成形法等の方法が用いられる。
前記樹脂組成物は、180℃以上の押出成形温度で製膜することができるが、ダイス内圧力を低減させ後述のドラフト比を低減させる目的と、マトリックスポリマーである結晶性ポリプロピレン(A)の剛性を向上させて結晶性ポリプロピレン(A)中に分散したプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)ドメインに均一な細孔が生じさせやすくするため、220〜300℃の押出成形温度が好適に用いられる。
溶融混練された前記樹脂組成物は、ダイリップより押し出されるが、この際、ダイリップを通過する樹脂組成物の流れ方向(MD)の線速度VCLと膜状成形物の流れ方向(MD)の線速度Vの比で定義されるドラフト比(VCL/V)が本願発明を達成するための重要な要因である。一般に熱可塑性樹脂フィルムの成形時にはドラフト比は10〜50程度である。本発明においては、該樹脂組成物を製膜する際のドラフト比は1〜5、好ましくは1〜3であり、これによって得られる膜状成形物は延伸性に優れ、延伸によって微細な連通した細孔が形成され易くなる。
上記の方法によって、一般的なドラフト比においては連通した細孔が得られ難いポリオレフィン樹脂(C)においても、連通した細孔の形成が可能であり、ポリオレフィン樹脂(C)が結晶性ポリプロピレン(A)とプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)のみの二成分系でも、得られる建材用通気性フィルムは十分な通気性を有する。
また、インフレーションフィルム成形法の場合には、前記ドラフト比に加え、インフレーションフィルムの周長Lと円形リップの周長Lの比で表されるブロー比L/Lにより得られる吸収物品用バックシートの通気性も変化するが、ドラフト比が上記範囲内であれば、ブロー比は1〜10程度の範囲が好適に用いられる。ブロー比が上記範囲内であれば、膜状成形物の安定生産が可能で、得られる膜状成形物の多孔化がし易い。
マトリックスポリマーである結晶性ポリプロピレン(A)の剛性を向上させて結晶性ポリプロピレン(A)中に分散したプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)領域に均一な細孔を生じさせやすくするため、ダイリップより押出される膜状成形物の冷却は、徐冷とすることが望ましく、Tダイ成形法では、冷却ロールの温度を60〜120℃、更に好ましくは70〜110℃の範囲で冷却することが望ましい。冷却ロールの温度が上記の範囲内であれば、所期の建材用通気性フィルムが得られ易く、溶融樹脂がロールへ密着して生産性を損なう恐れもない。また、インフレーション成形法では、通常、ダイリップから押し出された溶融した筒状体をエアーにより冷却するが、エアー風量を下げたり、エアーを加温したりして、該筒状体を徐冷することが望ましい。
製膜工程で得られた膜状成形物の厚さは特に限定されるものではないが、次の延伸工程における延伸及び熱処理条件と建材用通気性フィルムの用途の要求特性によって決定され、20μm〜2mm、好ましくは50μm〜500μm程度であって、製膜速度は1〜100m/分の範囲が好適に用いられる。これらの厚さの膜状成形物は、インフレーション成形装置をはじめとし、前記冷却ロールとエアー吹き出し口を有するエアーナイフ、前記冷却ロールと一対の金属ロール、前記冷却ロールとステンレスベルト等の組み合わせからなるTダイフィルム成形装置やカレンダー成形装置等の各種製膜装置により得られる。
更に、本発明の建材用通気性フィルムは、公知の無機質充填剤、有機質充填剤等を含有した樹脂組成物を本発明の建材用通気性フィルムを形成するための樹脂組成物と共押出しして膜状成形物としても構わない。この場合、充填剤等を含有した樹脂組成物を構成するポリマーは、ポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂が相溶性の観点から望ましい。
尚、得られた膜状成形物には、次の延伸工程に供する前に、結晶化度を更に向上させるために熱処理を施しても構わない。熱処理は、例えば、加熱空気循環オーブンまたは加熱ロールにより、80〜150℃程度の温度で1〜30分間程度加熱することにより実施される。
(ii)延伸工程
前記製膜工程で製膜された膜状成形物は、次いで少なくとも縦(MD)方向また横(TD)方向のいずれか一方向に延伸され、結晶性ポリプロピレン(A)中に微分散したプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)領域に連通した細孔が形成される。
延伸の方法は、一方向に延伸する一軸延伸法の他に、一方向に延伸した後、もう一方の方向に延伸する逐次二軸延伸法、縦横方向に同時に延伸する同時二軸延伸法、更に、一軸方向に多段延伸を行ったり、逐次二軸延伸や同時二軸延伸の後に更に延伸を行う方法が挙げられ、何れの方法を用いても良い。
一段目の延伸温度は、プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)の融点Tmαより低いことが好ましく、10〜100℃の温度範囲が好適に用いられるが、更に本発明では、ポリオレフィン樹脂(C)を特定の組成とすることによりこれらの低い温度領域における延伸性に優れることを見出した。また、延伸倍率は、特に限定はなく必要に応じ行われる二段目の延伸条件や建材用通気性フィルムの用途の要求特性から決定されるが、通常1.5〜4倍の範囲で、優れた特性を有する建材用通気性フィルムが得られ、延伸切れの多発による生産性低下の恐れもない。
本発明の建材用通気性フィルムは、通気度を更に必要とする場合等には、必要に応じ、一段目とは垂直方向への二段目の延伸を行うが、二段目の延伸温度は、結晶性ポリプロピレン(A)の融点Tmcより10℃以上低いことが好ましい。また、該延伸温度がプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)の融点Tmαより高い場合には、空隙率がそれほど増加せず、得られる建材用通気性フィルムの厚さが低減する傾向がある。更に、該延伸温度がTmαより低い場合には、空隙率が増加するが、厚さがあまり低減しない傾向がある。
二段目の延伸倍率は、必要とする通気度等の特性により決定されるが、通常1.5〜4倍の範囲である。延伸倍率が上記の範囲内であれば、延伸効果が十分であり、延伸切れにより生産性が低下する恐れもない。
上記の延伸工程で細孔が形成され多孔質となった膜状成形物は、次いで熱処理されることが好ましい。この熱処理は、形成された細孔を保持するための熱固定を主なる目的とするものであり、通常、加熱ロール上、加熱ロール間または熱風循環炉を通すことによって行なわれる。
この熱処理(熱固定)は、延伸状態を保持したまま細孔を有する膜状成形物を結晶性ポリプロピレン(A)の融点Tmcより5〜60℃低い温度に加熱し、緩和率を0〜50%とすることにより実施される。加熱温度が上記の範囲内であれば、形成された細孔が閉塞することもなく、また、熱固定が十分に行われる。
本発明の建材用通気性フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、生産性及び柔軟性の観点から10〜200μmが好ましく、30〜150μmが更に好ましい。尚、無機質充填剤を多量に含む通気性フィルムは、炭酸カルシウムを60重量%含有した場合の真比重が1.6程度となるのに対し、本発明の建材用通気性フィルムは無機質充填剤を多量に含有しないため真比重が0.9〜1.0程度であり、更に高空隙率化が可能である。本発明の建材用通気性フィルムは、厚さを2〜3割厚くして目付け重量を大きくしても、無機質充填剤を多量に含む通気性フィルムに比べれば軽いため、施工時や運搬時の負担はむしろ軽減される。
本発明の建材用通気性フィルムは、一般の通気性フィルムと同様に公知の不織布または織布を貼り合わせて建材用通気性資材として用いることができるが、高強度で、厚さもある程度厚くすることができるため、状況によっては単独でも使用可能であり、貼り合わせるにしても不織布を貼り合わせるだけで十分な強度が得られ、経済的にも有利である。
前記不織布としては、特に制限はないが、例えば、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、熱風ガード不織布、熱エンボスガード不織布、メルトブロー不織布等公知の不織布から1種以上を適宜選択して用いることができる。建材用通気性シートと不織布を貼り合わせる手段としては、公知の熱エンボス、超音波シール、ホットメルト等の方法が用いられる。
以下、実施例及び比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。尚、用いられた測定方法及び評価方法は下記の通りである。
(1)メルトフローレート(MFR):JIS K 7210に準拠し、温度230℃、荷重21.18Nの条件にて測定した。
(2)空隙率:建材用通気性フィルムから100×100mmのサンプルを切り出し、重量と厚さを測定して嵩比重を求め、延伸前の多孔化されていない膜状成形物100×100mmについて(株)東洋精機製作所製の自動比重計DENSIMETER D−S(商品名)を用いて真比重求め、下記計算式より空隙率求めた。
空隙率(%)=(1−嵩比重/真比重)×100
(3)透湿度:JIS L 1099に準じて測定した。
(4)透気抵抗度(ガーレー):通気性を示す指標であり、JIS P 8117に準拠し、B型ガーレーデンソメーター(商品名、テスター産業(株)製)により空気100mlが通過する時間を測定した。
(5)延伸性:縦一軸延伸機を用い、延伸ロール温度40℃、繰り出し速度を10m/minとし、延伸倍率0.5倍ごとに縦方向の一軸延伸を実施した。延伸破断しない延伸倍率を可延伸倍率とし、延伸性を評価した。可延伸倍率が高いほど延伸性が優れる。
(6)建材用通気性フィルムの引張破断強度:ASTM D882に準拠して測定した。
(7)建材用通気性資材の引張強さ:JIS L 1094に準拠して測定した。
(8)釘打ち評価:建材用通気性資材から100mm四方のサンプルを切り出し、縦100mm、横100mm、厚さ30mmの木製平板の100×100mmの面に該建材用通気性資材の不織布積層面を重ね合わせ、該建材用通気性資材の四方を粘着テープを用いて止水処理した後、鉄製の25mm丸釘を通気性資材の各辺から25mm内側の箇所(4ヶ所)に打ち付け、屋外に3ヶ月間放置し、該丸釘のさび発生状況及び釘打ち箇所から平板の通気性資材重ね合わせ面への浸水状況を観察した。
1)建材用通気性フィルム用樹脂組成物の作成
表1の実施例1に示すポリオレフィン樹脂(C)に、フェノール系酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.1重量%、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトを0.1重量%、中和剤としてステアリン酸カルシウムを0.1重量%配合し、ヘンシェルミキサー(商品名)で混合後、2軸押出機(口径50mm)を用いて溶融混練してペレット化し、建材用通気性フィルム用樹脂組成物を得た。尚、ここで用いたポリオレフィン樹脂(C)は、連続重合法により1段目で結晶性ポリプロピレン(A)を重合し、2段目でプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)(プロピレン−エチレン共重合体)を重合することによって得た。
2)建材用通気性フィルムの作成
[製膜工程/未延伸膜状成形物の作成]
前記ペレット状の樹脂組成物を、50mm押出機を用い、押出温度240℃、吐出量10kg/hrで溶融混練し、周長236mm(直径75mmφ)、リップクリアランス0.mmの円形リップより筒状に押出し、風速2m/minのエアーを当てながら冷却し、厚み120μm、周長707mm(折径225mm)の膜状成形物であるインフレーションフィルムを作成した。
3)[延伸工程/建材用通気性フィルムの作成]
前記膜状成形物を、縦一軸延伸機を用い、延伸ロール温度40℃、繰り出し速度10m/min、延伸倍率3倍の条件で、縦方向(MD)に一軸延伸を実施した。更に、延伸温度80℃、変形速度200%の条件で縦方向を拘束しながら横方向(TD)に延伸を実施し建材用通気性フィルムを得た。得られた建材用通気性フィルムは優れた通気性と強度とを有していた。膜状成形物の延伸性と建材用通気性フィルムの特性の評価結果を表1に示した。
表1の実施例2に示すポリオレフィン樹脂(C)を用いた以外は、実施例1に準じて建材用通気性フィルムを得た。得られた建材用通気性フィルムは優れた通気性と強度とを有していた。膜状成形物の延伸性と建材用通気性フィルムの特性の評価結果を表1に示した。
表1の実施例3に示すポリオレフィン樹脂(C)を用いた以外は、実施例1に準じて建材用通気性フィルムを得た。得られた建材用通気性フィルムは優れた通気性と強度とを有していた。膜状成形物の延伸性と建材用通気性フィルムの特性の評価結果を表1に示した。
表1の実施例4に示すポリオレフィン樹脂(C)を用いた以外は、実施例1に準じて建材用通気性フィルムを得た。得られた建材用通気性フィルムは優れた通気性と強度とを有していた。膜状成形物の延伸性と建材用通気性フィルムの特性の評価結果を表1に示した。
(比較例1)
線状低密度ポリエチレン(FS150A(商品名)、東ソー(株)製、密度0.921、MFR1.0g/10min)40重量%と平均粒径1μmの炭酸カルシウム60重量%とをヘンシェルミキサー(商品名)で混合後、2軸押出機(口径50mm)を用いて溶融混練してペレット化し、建材用通気性フィルム用樹脂組成物を得た。該樹脂組成物を、50mm押出機を用い、押出温度220℃、吐出量10kg/hrで溶融混練し、周長236mm(直径75mmφ)、リップクリアランス0.mmの円形リップより筒状に押出し、エアーを当てながら冷却し、厚み80μm、周長472mm(折径150mm)の膜状成形物であるインフレーションフィルムを作成した。次に、前記膜状成形物を、縦一軸延伸機を用い、延伸ロール温度60℃、繰り出し速度10m/min、延伸倍率2倍の条件で、縦方向(MD)に一軸延伸を実施した。更に、延伸温度80℃、変形速度200%の条件で縦方向を拘束しながら横方向(TD)に1.5倍延伸を実施し建材用通気性フィルムを得た。得られた建材用通気性フィルムは透湿度の値の割には透気抵抗度が大きく、強度が低めであった。膜状成形物の延伸性と建材用通気性フィルムの特性を表1に示した。
(比較例2)
表1の比較例2に示すポリオレフィン樹脂(C)を用い、実施例1に準じて建材用通気性フィルムを作成した。比較例2では、横方向への延伸時に、延伸倍率2倍未満で延伸切れが発生して延伸性に劣り、建材用通気性フィルムとしての特性は得られなかった。膜状成形物の延伸性と建材用通気性フィルムの特性を表1に示した。
(比較例3)
ポリオレフィン樹脂(C)に代えて、プロピレン単独重合体(MFRが2.5g/10minの結晶性ポリプロピレン)50重量%とエチレン単独重合体(MFRが0.75g/min(温度190℃、荷重21.18N)のHDPE)50重量%を用いた以外は、実施例1に準じて建材用通気性フィルムを作成したが、横方向への延伸時に、延伸倍率1.5倍未満で延伸切れが発生し延伸性に劣るものであった。膜状成形物の延伸性と建材用通気性フィルムの特性を表1に示した。
製膜工程において、ブロー比1.2、ドラフト比1.7とし、膜状成形物の厚さを300μmとする以外は実施例2と同様に実施した。得られた建材用通気性フィルムは優れた通気性と強度とを有していた。膜状成形物の延伸性と建材用通気性フィルムの特性の評価結果を表2に示した。
製膜工程において、ブロー比1.2、ドラフト比2.5とし、膜状成形物の厚さを200μmとする以外は実施例2と同様に実施した。得られた建材用通気性フィルムは優れた通気性と強度とを有していた。膜状成形物の延伸性と建材用通気性フィルムの特性の評価結果を表2に示した。
製膜工程において、ブロー比1.2、ドラフト比4.2とし、膜状成形物の厚さを120μmとする以外は実施例2と同様に実施した。得られた建材用通気性フィルムは優れた通気性と強度とを有していた。膜状成形物の延伸性と建材用通気性フィルムの特性の評価結果を表2に示した。
製膜工程において、ブロー比3.0、ドラフト比2.5、膜状成形物の厚さを80μmとし、横方向(TD)への延伸は行わず縦延伸だけを行った以外は実施例2と同様に実施した。得られた建材用通気性フィルムは優れた通気性と強度とを有していた。膜状成形物の延伸性と建材用通気性フィルムの特性の評価結果を表2に示した。縦方向(MD)の一軸延伸だけであっても建材用通気性フィルムとして十分な特性を有するものであった。
(比較例4)
製膜工程において、ブロー比1.2、ドラフト比8.3とし、膜状成形物の厚さを120μmとした以外は実施例2と同様に実施した。膜状成形物の延伸性と建材用通気性フィルムの特性の評価結果を表2に示した。通気性を示す透気抵抗度(ガーレー)は測定範囲を超え、建材用通気性フィルムとして実用に耐えないものであった。
実施例6で得られた建材用通気性フィルムをプロピレン単独重合体よりなるポリプロピレン系スパンボンド不織布(繊維径18μm、目付け重量30g/m)に重ね合わせ、建材用通気性フィルム面よりドットによる熱エンボス加工を実施し、建材用通気性フィルムとポリプロピレン系スパンボンド不織布を積層一体化し、建材用通気性資材を作製した。得られた建材用通気性資材は、通気性及び透湿性ともに優れ、強度も十分であった。
また、釘打ち評価の結果、浸水の痕も認められず、釘の胴部にさびは認められなかった。建材用通気性フィルムに用いられたポリオレフィン樹脂(C)には、プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)(プロピレン−エチレン共重合体)が高濃度で含有されていて、フィルムが弾性回復に優れるため、釘打ち後の釘とフィルムの密着性が優れたことが浸水しにくかった理由と推察される。得られた建材用通気性資材の特性の評価結果を表3に示した。
(比較例5)
比較例1で得られた建材用通気性フィルムを、ポリエチレン系スパンボンド不織布(繊維径20μm、目付け重量30g/m)に重ね合わせ、該フィルム面よりドットによる熱エンボス加工を実施し、該建材用通気性フィルムとポリエチレン系スパンボンド不織布とを積層して一体化し建材用通気性資材を作製した。得られた建材用通気性資材は実施例9の建材用通気性資材に比べて強度が弱く、目付け重量が大きくなった。また、釘打ち評価の結果、木製平板面に浸水の痕が認められ、釘の胴部に根元にさびの発生が認められた。該建材用通気性フィルムは無機質充填剤を高濃度で含有しているため塑性変形しやすく、釘打ち後の釘とフィルムとの密着性が劣ったことが浸水しやすかった原因と推察される。得られた建材用通気性資材の特性の評価結果を表3に示した。
(表1)
Figure 0004238692
(表2)
Figure 0004238692
(表3)
Figure 0004238692
本発明の建材用通気性フィルムは、単独でまたは不織布や織布の補強材と積層して、通気性及び透湿性を有し且つ防水性を有する建材用通気性資材として使用される。該建材用通気性資材は外壁用下地材や屋根用下地材を初めとしてコンクリート養生用フィルム、壁材、防腐用木材被覆材等の建材に好適に使用される。

Claims (6)

  1. 結晶性ポリプロピレン(A)と、結晶性ポリプロピレン(A)中に分散したプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)とからなるポリオレフィン樹脂(C)を含有する樹脂組成物を溶融し混練して膜状溶融物とし、該膜状溶融物をドラフト比1〜5の範囲で膜状成形物に成形した後、その膜状成形物を少なくとも一方向に延伸することにより形成された通気性フィルムであって、ポリオレフィン樹脂(C)が結晶性ポリプロピレン(A)30〜70重量%とプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)30〜70重量%とからなり、プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)領域に連通した細孔を有する建材用通気性フィルム。
  2. プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)のプロピレン含量が30〜80重量%である請求項1記載の建材用通気性フィルム。
  3. ポリオレフィン樹脂(C)が、1段目で結晶性ポリプロピレン(A)を製造し、連続して2段目でプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)を製造する工程を含む多段重合法により得られたことを特徴とする請求項1または2記載の建材用通気性フィルム。
  4. 結晶性ポリプロピレン(A)のメルトフローレートをMFRPPとし、プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)のメルトフローレートをMFRRCとした時、メルトフローレート比MFRPP/MFRRCが10より大きく1,000以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の建材用通気性フィルム。
  5. ドラフト比が1〜3の範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の建材用通気性フィルム。
  6. 透気抵抗度(ガーレー)が10〜2,000秒/100ml、透湿度が2,000〜20,000g/m・24hである請求項1〜5のいずれか1項記載の建材用通気性フィルム。
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