JP6841043B2 - 蛍光光源装置およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、励起光によって蛍光を出射する蛍光板を備えた蛍光光源装置およびその製造方法に関する。
従来、蛍光光源装置としては、レーザ光を励起光として蛍光体に照射し、当該蛍光体から蛍光を放射する構成のものが知られている。
このような蛍光光源装置の或る種のものは、図5に示すように、蛍光体によって構成された平板状の蛍光板51と、当該蛍光板51に励起光を照射する励起光源11とを備えている(例えば、特許文献1参照。)。この蛍光板51は、有機接着剤、無機接着剤、低融点ガラス、金属ろうなどからなる接合部52を介して放熱基板31上に配設されている。この放熱基板31は、蛍光板51からの熱を外部へ放散させる機能と共に、反射面としての機能および蛍光板51を保持する機能を有するものである。そして、蛍光板51においては、放熱基板31との接合面に対向する面が、励起光入射面とされていると共に蛍光出射面とされている。この励起光入射面および蛍光出射面とされる蛍光板51の面においては、通常、その一部の領域(具体的には、中央領域)が励起光照射領域とされ、励起光照射領域の全域を含む、当該励起光照射領域より僅かに大面積の領域が蛍光出射領域とされている。
しかしながら、このような反射型の蛍光光源装置においては、励起光が照射されることによって蛍光板が発熱して当該蛍光板の温度が高くなり、その結果、蛍光板において蛍光体に温度消光が生じ、十分な蛍光光束(蛍光光量)が得られなくなる、という問題がある。
蛍光板の温度が高くなる理由について説明する。蛍光板においては、蛍光体が、励起光を受光したときにその光エネルギーの一部を熱エネルギーに変換するものであるため、励起光が照射されることにより、熱が生じることとなる。そして、蛍光板においては、特に、励起光入射面における励起光照射領域の直下近傍部分、すなわち励起光入射面側の励起光照射領域に係る表層部分が極めて高温となる。然るに、放熱基板が、励起光入射面に対向する面側に配設されていることから、蛍光板において生じた熱を、放熱基板によって十分に排熱することができず、よって蛍光板において温度消光が生じることとなる。
このような問題は、励起光の入射パワー(励起光の励起エネルギー)が大きい場合に顕著となる。すなわち、励起光の入射パワーに比して十分な蛍光光束が得られなくなる。
また、蛍光光源装置の他の構成のものとしては、蛍光体によって構成された平板状の蛍光板が光透過性基板に接着剤などによって接合されており、当該蛍光板において、光透過性基板との接合面である一面が励起光入射面とされ、光透過性基板との接合面に対向する面である他面が蛍光出射面とされたものがある。すなわち、蛍光板においては、光透過性基板を介して一面に励起光が照射され、蛍光が他面から出射される。このような透過型の蛍光光源装置においては、光透過性基板が熱伝導性を有するものとされており、当該光透過性基板は、金属からなる冷却用ブロックに接続されている。
しかしながら、このような蛍光光源装置においても、蛍光板の温度が高くなることに起因して十分な蛍光光束を得ることができない、という問題がある。
特開2011−129354号公報
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、高い発光効率を安定的に得ることのできる蛍光光源装置およびその製造方法を提供することにある。
本発明の蛍光光源装置は、多結晶体からなる蛍光発光層を有し、この蛍光発光層の励起光入射側に周期構造体が形成された蛍光板を備え、
前記蛍光板は、前記蛍光発光層の励起光入射側の一面に形成された接合層を介して設けられた熱拡散層を有すると共に、励起光入射側とは反対側に高熱伝導層を有しており、
前記高熱伝導層は、光反射層、および、金属よりなる金属接合層からなり、
前記蛍光板は、前記高熱伝導層側に配置された放熱基板の表面の一部を覆うよう設けられ、
前記接合層は、シリカおよびアルミナを含有し、その厚みは前記熱拡散層の厚みよりも小さく、シリカとアルミナとの混合割合が厚み方向に連続的または段階的に変化する状態の傾斜膜よりなることを特徴とする。
本発明の蛍光光源装置の製造方法は、上記の蛍光光源装置を製造するための蛍光光源装置の製造方法であって、
多結晶体からなる蛍光発光層の一面に滑面化膜が形成された蛍光発光層形成部材と、熱拡散層の一面に滑面化膜が形成された熱拡散層形成部材とをオプティカルコンタクトにより接合し、当該蛍光発光層と当該熱拡散層との間に、当該蛍光発光層形成部材における滑面化膜と当該熱拡散層形成部材における滑面化膜とよりなる接合層を形成する工程を有することを特徴とする。
本発明の蛍光光源装置においては、蛍光板は、蛍光発光層の励起光入射側に熱拡散層を有し、励起光入射側とは反対側に高熱伝導層を有しており、高熱伝導層側に配置された放熱基板の表面の一部を覆うよう設けられている。そのため、蛍光発光層の励起光入射側の一面における一部の領域に励起光が入射することによって当該一部の領域の直下近傍部分に局所的に熱が発生した場合であっても、その熱が、熱拡散層に伝達されることによって拡散され、当該直下近傍部分の周囲部分および高熱伝導層を介して放熱基板に効率的に伝達される。すなわち、蛍光発光層には、励起光が入射することによって熱が発生した部分の周囲部分において、熱拡散層から高熱伝導層に向かって伸びる排熱路が形成される。その結果、放熱基板が蛍光発光層の励起光入射側とは反対側に配設されていても、励起光が照射されることによって蛍光発光層に生じた熱を、放熱基板に効率的に伝達して排熱することができるため、蛍光発光層における温度消光の発生を抑制することができる。
従って、本発明の蛍光光源装置においては、蛍光発光層において生じる熱を、高い接合強度によって蛍光発光層に接合された熱拡散層の作用と高熱伝導層の作用とによって効率的に放熱基板に伝達して排熱することができる。そのため、励起光の入射パワー(励起光の励起エネルギー)が大きい場合であっても、蛍光発光層における温度消光の発生を抑制でき、よって高い蛍光光束(蛍光光量)が得られる。その結果、高い発光効率を安定的に得ることができる。
しかも、本発明の蛍光光源装置においては、蛍光発光層と熱拡散層との間に介在する接合層が、シリカおよびアルミナを含有し、シリカとアルミナとの混合割合が厚み方向に連続的または段階的に変化する状態の傾斜膜よりなる。これにより、接合層と、蛍光発光層および熱拡散層との関係における屈折率の変化を小さくすることができ、よって励起光および蛍光の反射率を抑制することができ、その結果、より一層高い発光効率を安定的に得ることができる。
さらに、接合層がシリカおよびアルミナを含有するものよりなることから、多結晶体からなる蛍光発光層と熱拡散層との間において高い接合強度を得ることができる。
本発明の蛍光光源装置の製造方法によれば、多結晶体からなる蛍光発光層と熱拡散層とを高い接合強度によって接合することができ、よって本発明の蛍光光源装置を製造することができる。
本発明の蛍光光源装置の一例における構成の概略を示す説明図である。 図1の蛍光光源装置における蛍光発光部材の構成を示す説明図である。 本発明の蛍光光源装置の製造方法における、蛍光発光層形成部材と熱拡散層形成部材とを接合する工程を示す説明図である。 本発明の蛍光光源装置において用いられる、蛍光発光部材の構成の他の例を示す説明図である。 従来の蛍光光源装置の構成を示す説明図である。
以下、本発明の蛍光光源装置の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の蛍光光源装置の一例における構成の概略を示す説明図である。
この蛍光光源装置10は、図1に示すように、例えばレーザダイオードよりなる励起光源11と、励起光源11から出射される励起光Lによって励起されて蛍光を放射する蛍光板21を有する略平板状の蛍光発光部材15とを備え、これらが互いに離間して配設されたものである。蛍光発光部材15は、励起光源11に対向するよう、当該励起光源11の光軸に対して傾斜した姿勢で配置されている。また、励起光源11と蛍光発光部材15との間における当該励起光源11に接近した位置には、入射された励起光Lを平行光として出射するコリメータレンズ18が配置されている。
蛍光発光部材15は、図2に示すように、略平板状の蛍光板21が、平板状の放熱基板31の表面(図2における上面)に配設されたものである。
この蛍光発光部材15には、放熱基板31の裏面(図2における下面)に、例えば銅などの金属からなる放熱部材(図示省略)が設けられている。
蛍光板21は、多結晶体からなる、平板状の蛍光発光層22と、略平板状の周期構造体層25とが積層したものであり、周期構造体層25の表面(図2における上面)が、励起光入射面とされていると共に、蛍光出射面とされたものである。この周期構造体層25の表面には、複数の凸部28が周期的に配列されてなる周期構造体27が形成されている。
また、蛍光板21においては、蛍光発光層22の裏面(図2における下面)に、光反射膜よりなる光反射層33が設けられている。さらに、光反射層33の裏面(図2における下面)には、金属からなる金属接合層35が設けられており、当該金属接合層35によって蛍光板21が放熱基板31上に接合されている。そして、光反射層33と金属接合層35とにより、高熱伝導層32が構成されている。すなわち、蛍光板21は、蛍光発光層22の励起光入射側とは反対側に、光反射層33と金属接合層35とからなる高熱伝導層32を有している。
この図の例において、蛍光板21の励起光入射面(周期構造体層25の表面)には、当該励起光入射面の一部の領域(具体的には、中央領域)により、励起光源11から出射されてコリメータレンズ18によって平行光化された励起光L(レーザ光)が照射される励起光照射領域が形成されている。また、蛍光板21の蛍光出射面(周期構造体層25の表面)には、励起光照射領域の全域を含む、当該励起光照射領域より大面積の蛍光出射領域が形成されている。
そして、蛍光板21には、蛍光発光層22の励起光入射側の一面、すなわち蛍光発光層22の表面(図2における上面)に形成された接合層24を介して平板状の熱拡散層23が設けられている。具体的には、蛍光発光層22と周期構造体層25との間において、蛍光発光層22の表面(図2における上面)上に、接合層24によって熱拡散層23が接合されている。このようにして、蛍光板21においては、蛍光発光層22が、熱拡散層23と高熱伝導層32とに挟み込まれた状態とされている。
この図の例において、蛍光発光層22の表面には、接合層24、熱拡散層23および周期構造体層25がこの順に積層されている。
蛍光板21において、蛍光発光層22上に接合層24を介して熱拡散層23が積層されていることによれば、蛍光板21における励起光入射領域に励起光Lが照射されることによって蛍光発光層22において局所的に生じた熱を、当該熱拡散層23によって拡散させることにより放熱基板31に効率的に伝達して排熱することができる。また、熱拡散層23と蛍光発光層22との間において高い接合強度を得ることができる。
具体的に説明すると、蛍光発光層22には、蛍光板21の励起光入射面における励起光入射領域に励起光Lが照射されることにより、周期構造体層25、熱拡散層23および接合層24を介して励起光Lが照射される。そして、蛍光発光層22においては、当該蛍光発光層22の表面における、励起光入射領域の直下領域および当該直下領域の周辺領域(以下、これらをまとめて「光入射中央領域」ともいう。)に対して、励起光Lが入射する。このようにして励起光Lが入射することにより、蛍光発光層22における光入射中央領域の直下近傍部分、すなわち励起光入射側の光入射中央領域に係る表層部分(以下、「中央表層部分」ともいう。)が局所的に発熱して高温となる。そして、この中央表層部分において生じた熱は、熱拡散層23の中央部分(具体的には、熱拡散層23における中央表層部分(光入射中央領域)の直上部分)に伝達され、その熱拡散層23において、当該熱拡散層23の沿層方向外方、すなわち当該熱拡散層23の周側面に向かって伝導される。このようにして熱拡散層23における中央部分の周囲部分に伝導された熱は、蛍光発光層22における中央表層部分の周囲部分を介して放熱基板31に伝達されて、当該放熱基板31において排熱される。このように、熱拡散層23を設けることによれば、蛍光発光層22における中央表層部分の周囲部分、すなわち中央表層部分に比して高温とされていない部分を、排熱路として有効に利用することができるため、蛍光発光層22において生じた熱を、効率的に排熱することができる。
また、蛍光発光層22と熱拡散層23との間に接合層24が介在されていることによれば、蛍光板21の設計の自由度が大きくなる。そのため、蛍光発光層22が、表面を平滑化することが困難とされる多結晶体からなるものであっても、当該蛍光発光層22と熱拡散層23とを、オプティカルコンタクトによって接合することができる。そして、オプティカルコンタクトによれば、蛍光発光層22と熱拡散層とを、接着剤などの接合部材によらず、表面分子間力を利用して接合することができるため、当該蛍光発光層22と当該熱拡散層23との間に高い接合強度を得ることができる。
蛍光板21において、蛍光発光層22の形成材料、すなわち多結晶体としては、蛍光体を含有する焼結体が用いられる。具体的には、蛍光体と金属酸化物との混合焼結体が用いられる。
蛍光発光層22が多結晶体からなるものであることにより、蛍光発光層22が高い熱伝導性を有するものとなる。
蛍光発光層22の形成材料(多結晶体)において、蛍光体の具体例としては、YAG:Ce、YAG:Pr、YAG:Sm等のYAG蛍光体、(Y,Gd)AG:Ce、LuAG:Ce、CASN:Eu、サイアロン:Euなどが挙げられる。このような蛍光体において、賦活材のドープ量は、0.5mol%以下であることが好ましい。
ここに、蛍光発光層22において生じる蛍光は、例えばピーク波長が520〜650nmの光である。
蛍光発光層22の形成材料(多結晶体)を構成する金属酸化物としては、アルミナ(Al2 3 )が好ましい。すなわち、蛍光発光層22を構成する多結晶体は、蛍光体と共に、アルミナを含むものであることが好ましい。
蛍光発光層22(多結晶体)が蛍光体と共にアルミナを含むものであることにより、当該蛍光発光層22はより一層高い熱伝導性を有するものとなる。そのため、蛍光発光層22においては励起光の照射によって発生した熱が効率よく排熱されることから、蛍光発光層22が高温となることが抑制される。また、蛍光発光層22と熱拡散層23との接合強度などの観点において、蛍光発光層22における蛍光体の種類の選択の自由度および熱拡散層23における形成材料の選択の自由度が大きくなる。その上、アルミナと蛍光体との屈折率の差に起因して、蛍光体とアルミナとの界面において光(励起光Lおよび蛍光発光層22において生じる蛍光)の進行方向が変更されるため、励起光Lが蛍光に変換されやすくなり、また蛍光出射面から蛍光が取り出されやすくなる。
この図の例において、蛍光発光層22を構成する多結晶体としては、賦活材のドープ量が0.5mol%以下であるYAG蛍光体とアルミナ(Al2 3 )との混合焼結体が用いられている。
また、蛍光発光層22においては、特に蛍光発光層22と熱拡散層23とが共にアルミナを含む場合には、熱拡散層23との熱膨張率の差が1×10-6/K以下であることが好ましい。
蛍光発光層22の熱膨張率と熱拡散層23の熱膨張率との差が1×10-6/K以下であることにより、蛍光発光層22と熱拡散層23との間において、蛍光発光部材15に励起光Lが照射されることに起因する剥離の発生を防止または十分に抑制することができる。
また、特に、蛍光発光層22および熱拡散層23が共にアルミナを含み、蛍光発光層22と熱拡散層23との熱膨張率の差が1×10-6/K以下であることによれば、後述する、蛍光発光層22と熱拡散層23とを接合する工程において、アニール温度を300℃以上に高くすることができる。そのため、蛍光発光層22と熱拡散層23との間において、接合強度をより大きくすることができ、また接合層24において、2つの滑面化膜の接合面に剥離および気泡が生じることがない。具体的には、蛍光発光層22と熱拡散層23との間において、例えば2.1J/m2 を超える接合強度を得ることができる。
蛍光発光層22において、熱伝導率および熱膨張率は、蛍光体の種類、金属酸化物の種類、および蛍光体と金属酸化物との混合割合などによって制御することができる。
この蛍光発光層22を構成する多結晶体は、例えば下記の手法によって得ることができる。
先ず、蛍光体原材料(具体的には母材、賦活材、焼成助剤(具体的には、例えばシリカ(SiO2 )))および金属酸化物(具体的には、例えばアルミナ(Al2 3 ))を、ボールミルなどを用いて粉砕処理することにより、サブミクロン以下の原材料微粉末を得る。そして、得られた原材料微粉末と、有機溶剤とにより、原材料微粉末が有機溶剤中において均一に分散されてなるスラリーを調製する。
次いで、得られたスラリーからドクターブレード法によって成形体を作製し、その成形体を焼成処理することにより、焼結体を得る。その後、得られた焼結体に対して熱間等方圧加圧加工を施すことによって、気孔率が0.5%以下の多結晶体が得られる。
また、蛍光発光層22の厚みは、励起光有効利用性および排熱性の観点から、0.05〜2.0mmであることが好ましい。
熱拡散層23は、励起光Lおよび蛍光(蛍光発光層22を構成する蛍光体から放射される蛍光)に対する光透過性と、優れた熱拡散性(熱伝導性)とを有するものである。
この熱拡散層23において、当該熱拡散層23の熱伝導率は、蛍光発光層22の熱伝導率よりも大きいことが好ましい。具体的には、熱拡散層23の熱伝導率は、蛍光発光層22の熱伝導率、および、後述するように熱拡散層23の厚みなどに応じて定められるが、20〜200W/(m・K)であることが好ましい。
また、熱拡散層23は、当該熱拡散層23の厚みをt〔m〕、当該熱拡散層23の熱伝導率をλ〔W/(m・K)〕とするとき、厚みtと熱伝導率λとの積の逆数(1/(t×λ))の値が、10〜350K/Wであることが好ましい。ここに、熱拡散層23に係る「厚みtと熱伝導率λとの積の逆数(1/(t×λ))」は、熱拡散層23の熱抵抗、すなわち熱拡散能の指標を示すものであり、値が小さいほど熱を伝導しやすいことを示している。すなわち、熱拡散層23においては、厚みtと熱伝導率λとの積の逆数(1/(t×λ))が小さい値であることが好ましい。
厚みtと熱伝導率λとの積の逆数(1/(t×λ))の値が過大である場合には、熱拡散層23に十分な熱拡散性(熱伝導性)が得られず、よって蛍光発光層22において蛍光体に温度消光が生じることとなり、十分な蛍光光束(蛍光光量)が得られなくなるおそれがある。
厚みtと熱伝導率λとの積の逆数(1/(t×λ))の値が過小である場合としては、熱拡散層23の厚みtが大きい場合が考えられる。そのような場合、特に厚みtが0.6mmを超える場合には、蛍光体から放射された蛍光が、熱拡散層23内を沿層方向(図2における左右方向)に導光して当該熱拡散層23の周側面から出射されるため、蛍光板21の蛍光出射面からの出射光において十分な蛍光出力が得られなくなるおそれがある。すなわち、蛍光板21の蛍光出射面において十分に高い効率で蛍光を出射することができなくなるおそれがある。
熱拡散層23の形成材料は、蛍光発光層22における蛍光体を励起するエネルギーが約5W/mm2 以上の励起密度を有することから、無機材料であることが好ましい。
熱拡散層23の形成材料の具体例としては、サファイア(熱伝導率42W/(m・K),熱膨張率7.7×10-6/K)、アルミナ(Al2 3 ,熱伝導率30W/(m・K),熱膨張率7.2×10-6/K)、酸化マグネシウム(MgO,熱伝導率60W/(m・K),熱膨張率11×10-6/K)、窒化ガリウム(GaN,熱伝導率200W/(m・K))およびダイヤモンド(熱伝導率2000W/(m・K),熱膨張率1.1×10-6/K)などが挙げられる。ここに、窒化ガリウムとしては、単結晶体(熱膨張率5.0×10-6/K)および多結晶体(熱膨張率7.7×10-6/K)のいずれをも用いることができる。
また、熱拡散層23は、蛍光発光層22(多結晶体)がアルミナを含むものである場合には、アルミナを含むものであることが好ましい。すなわち、熱拡散層23と蛍光発光層22とは、共にアルミナを含むものであることが好ましい。
また、熱拡散層23の厚み(最大厚み)は、前述したように熱拡散層23の熱伝導率に応じて定められるが、励起光有効利用性および排熱性の観点から、0.03〜0.6mmであることが好ましい。
また、熱拡散層23の面積(具体的には、熱拡散層23の裏面(図2における下面)の面積)は、当該熱拡散層23の熱拡散性および蛍光発光層22の有効利用性(具体的には、蛍光発光層22の排熱路としての利用性)などの観点から、蛍光発光層22の面積(具体的には、蛍光発光層22の表面の面積)以上であることが好ましい。
この図の例において、熱拡散層23は、裏面の面積が蛍光発光層22の表面の面積と同等の面積とされている。すなわち、熱拡散層23の裏面は、蛍光発光層22の表面の縦横寸法と同等の縦横寸法を有しており、熱拡散層23の周側面と蛍光発光層22の周側面とが段差のない連続面を構成している。
接合層24は、励起光Lおよび蛍光(蛍光発光層22を構成する蛍光体から放射される蛍光)に対する光透過性を有するものである。
この接合層24は、後述するように、蛍光発光層22と熱拡散層23とを接合する工程において、蛍光発光層22の表面に形成された滑面化膜(以下、「蛍光発光層側滑面化膜」ともいう。)と、熱拡散層23の裏面(図2における下面)に形成された滑面化膜(以下、「熱拡散層側滑面化膜」ともいう。)とがオプティカルコンタクトにより接合されることによって形成されたものである(図3参照)。而して、接合層24において、蛍光発光層側滑面化膜と熱拡散層側滑面化膜との界面(境界面)は、表面分子の相互作用(具体的には、共有結合)によって接合されていることから、視認することができず、よって、接合層24は、蛍光発光層側滑面化膜と熱拡散層側滑面化膜との2つの滑面化膜よりなるものでありながら、境界部分のない一体構造を有している。
そして、接合層24(蛍光発光層側滑面化膜および熱拡散層側滑面化膜)は、蛍光発光層22と熱拡散層23との接合性の観点から、シリカ(SiO2 ,熱伝導率1W/(m・K))およびアルミナ(Al2 3 ,熱伝導率30W/(m・K))を含有し、シリカとアルミナとの混合割合が厚み方向に連続的または段階的に変化する状態の傾斜膜よりなるものとされる。
この傾斜膜は、蛍光発光層22と熱拡散層23との中間すなわち接合層24の厚み方向の中央に向かうに従ってシリカの混合割合が増加するものであることが好ましい。
接合層24が傾斜膜よりなるものであることにより、当該接合層24と、蛍光発光層22および熱拡散層23との関係における屈折率の変化を小さくすることができ、よって励起光および蛍光の反射率を抑制することができる。
また、接合層24を構成する傾斜膜がシリカおよびアルミナを含有するものであることにより、蛍光発光層22と熱拡散層23との間において、極めて高い接合強度が得られることになる。その理由について、以下に説明する。
接合層24を形成するための滑面化膜がシリカおよびアルミナを含有するもの、すなわち非晶質酸化物膜であることから、その滑面化膜の表面には、水酸基(OH基)が存在する。これにより、数百度の温度条件でアニール処理を行った際に、その水酸基が接合に寄与することになる。具体的に説明すると、後述するように、蛍光発光層側滑面化膜が形成された蛍光発光層22と熱拡散層側滑面化膜が形成された熱拡散層23とをオプティカルコンタクトによって接合する過程においては、当該蛍光発光層側滑面化膜と当該熱拡散層側滑面化膜とを重ね合わせることによって仮接合した後、アニール処理を行う。そして、滑面化膜(非晶質酸化物膜)を構成するシリカおよびアルミナは、アモルファス状(非晶質)であることから、接合時(2つの滑面化膜における表面分子の共有結合時)に生じる水分子を取り込みやすく、かつ取り込んだ水分子を外部に放出しやすい性質を有するものである。そのため、蛍光発光層側滑面化膜と熱拡散層側滑面化膜との接合面(接合境界面)が、気泡が少なく良好なものとなる。その結果、熱拡散層23と蛍光発光層22との間において極めて高い接合強度が得られることになる。
また、接合層24の厚み(最大厚み)は、排熱性の観点から、60〜4000nmであることが好ましく、また、熱拡散層23の厚みよりも小さいことが好ましい。
接合層24の厚みが過大である場合には、蛍光発光層22と熱拡散層23との間において効率的に熱を伝達することができなくなり、それに起因して、蛍光発光層22において生じた熱を十分に排熱することができなくなるおそれがある。
接合層24の厚みが過小である場合には、熱拡散層23と蛍光発光層22との間において高い接合強度が得られなくなるおそれがある。
高熱伝導層32は、光反射層33と金属接合層35とからなるものであり、当該高熱伝導層32の熱伝導率が、排熱性の観点から、蛍光発光層22の熱伝導率よりも大きいことが好ましい。具体的には、光反射層33の熱伝導率が、蛍光発光層22の熱伝導率よりも大きく、かつ、金属接合層35の熱伝導率が、蛍光発光層22の熱伝導率よりも大きいことが好ましい。
また、高熱伝導層32の熱伝導率は、排熱性の観点から、熱拡散層23の熱伝導率よりも大きいことが好ましい。具体的には、光反射層33の熱伝導率が、熱拡散層23の熱伝導率よりも大きく、かつ、金属接合層35の熱伝導率が、熱拡散層23の熱伝導率よりも大きいことが好ましい。
光反射層33の熱伝導率は、蛍光発光層22の熱伝導率、高熱伝導層32の熱伝導率および光反射層33の厚みなどに応じ、金属接合層35の熱伝導率を考慮して定められるが、226〜429W/(m・K)であることが好ましい。
また、金属接合層35の熱伝導率は、蛍光発光層22の熱伝導率、高熱伝導層32の熱伝導率および金属接合層35の厚みなどに応じ、光反射層33の熱伝導率を考慮して定められるが、40〜60W/(m・K)であることが好ましい。
光反射層33の形成材料としては、熱伝導性および反射性の観点から、銀(熱伝導率429W/(m・K))が用いられる。
また、金属接合層35の形成材料としては、熱伝導性の観点から、半田(具体的には、例えば金錫(AuSn)合金(Snの含有割合20質量%,熱伝導率60W/(m・K))、鉛(Pb,熱伝導率49W/(m・K))および金ゲルマニウム(AuGe)合金(熱伝導率44W/(m・K))などからなるもの、銀焼結材(熱伝導率429W/(m・K))などの金属が用いられる。
この図の例において、光反射膜としては、増反射銀膜が用いられている。また、金属接合層35としては、金錫(AuSn)半田が用いられている。
光反射層33の厚みは、100〜200nmであることが好ましい。
また、金属接合層35の厚みは、5〜30μmであることが好ましい。
このような構成の蛍光板21は、蛍光発光層22と熱拡散層23とをオプティカルコンタクトによって接合する過程を経ることにより、形成することができる。具体的には、蛍光板21は、蛍光発光層22上に蛍光発光層側滑面化膜が形成された蛍光発光層形成部材と、熱拡散層23上に熱拡散層側滑面化膜が形成された熱拡散層形成部材とをオプティカルコンタクトによって接合し、当該蛍光発光層22と熱拡散層23との間に、蛍光発光層側滑面化膜と熱拡散層側滑面化膜とよりなる接合層24を形成する工程を経ることにより得られるものである。すなわち、蛍光板21は、本発明の蛍光発光装置の製造方法における、蛍光発光層と熱拡散層とを接合する工程を経ることによって得られるものである。
そして、蛍光発光層側滑面化膜および熱拡散層側滑面化膜として、それぞれ、シリカおよびアルミナを含有し、表面に向かうに従って連続的または段階的にシリカとアルミナとの混合割合が変化するものが用いられる。具体的には、表面に向かうに従って連続的または段階的にシリカの混合割合が増加するものを用いることが好ましい。
以下、本発明の蛍光発光装置の製造方法における、蛍光発光層と熱拡散層とを接合する工程について、図3を用いて詳細に説明する。
先ず、蛍光発光層22における熱拡散層23との接合面とされる一面(図3における上面)、および、熱拡散層23における蛍光発光層22との接合面とされる一面(図3における下面)に、各々、スパッタ法などの薄膜形成方法によって滑面化膜形成材料膜を形成する。その後、得られた滑面化膜形成材料膜の表面を、化学機械研磨(MCP)などによって研磨処理することによって平滑化し、よって蛍光発光層22の一面(接合面)および熱拡散層23の一面(接合面)に、各々、滑面化膜24A,24Bを形成する。このようにして、蛍光発光層22の一面に蛍光発光層側滑面化膜24Aが設けられた蛍光発光層形成部材と、熱拡散層23の一面に熱拡散層側滑面化膜24Bが設けられた熱拡散層形成部材とを作製する。
次いで、蛍光発光層形成部材と熱拡散層形成部材とを、滑面化膜24A,24Bの平滑面が互いに密着した状態となるように積重し、必要に応じて、その積重体を、大気圧環境下において、温度200℃以上の条件で加熱しながら厚み方向に加圧することにより、蛍光発光層形成部材と熱拡散層形成部材とを接合する。このような接合過程においては、滑面化膜24Aの平滑面(蛍光発光層形成部材における熱拡散層形成部材との接合面)および滑面化膜24Bの平滑面(熱拡散層形成部材における蛍光発光層形成部材との接合面)の表面分子の相互作用によって、蛍光発光層形成部材と熱拡散層形成部材とが接合される。すなわち、蛍光発光層22と熱拡散層23との間に、滑面化膜24Aと滑面化膜24Bとが平滑面における表面分子の相互作用(具体的には、共有結合)によって接合されてなる接合層24が形成され、その接合層24によって蛍光発光層22と熱拡散層23とが接合される。このようにして、蛍光発光層22と熱拡散層23とが、当該蛍光発光層22と当該熱拡散層23との間に形成された、滑面化膜24Aと滑面化膜24Bとよりなる接合層24によって接合される。
滑面化膜の形成には、成膜用ターゲット材料が複数設置可能なマグネトロンスパッタ装置を用いた。ターゲット材料として、アルミナ、シリカの二種類をチャンバ内に設置し、成膜開始直後は、アルミナへの13.56MHz高周波パワーを200W与え、シリカへは給電せずに成膜を開始した。その後、成膜時間5000秒間に対して、アルミナへのパワーは200Wから0Wになるまでリニアに減少制御した。シリカに対しては、0Wから200Wにリニアに増加制御した。このような成膜ステップによって、蛍光発光層、または熱拡散層表面ではアルミナ100%となり、成膜を停止した表面においてはシリカが100%となるような、膜厚方向に連続的にアルミナとシリカとの混合割合が変化する傾斜膜を形成することができる。
蛍光発光層22と熱拡散層23とを接合する工程において、滑面化膜24A,24Bの厚みは、30〜2000nmであることが好ましい。
滑面化膜24A,24Bの厚みが30nm以下である場合には、十分な平滑面が得られなくなるおそれがある。
一方、滑面化膜24A,24Bの厚みが2000nm以上である場合には、形成される接合層24が厚みの大きいものとなり、蛍光発光層22と熱拡散層23との間の熱の伝達が十分に行われなくなり、熱拡散層23を設けることによる排熱効果が低下するおそれがある。
また、滑面化膜24A,24Bの表面(平滑面)の表面粗さRa(算術平均粗さ)は、0.5nm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.5nmであり、特に好ましくは0.01〜0.3nmである。
滑面化膜24A,24Bの平滑面の表面粗さRaが過大である場合には、蛍光発光層22と熱拡散層23との間に十分な接合強度が得られなくなるおそれがある。
而して、平滑面の表面粗さRaが0.01〜0.5nmの範囲内にあることにより、蛍光発光層22と熱拡散層23との間に大きな接合強度を得ることができる。
また、滑面化膜24A,24Bの平滑面に対向する面(裏面)の表面粗さRa(算術平均粗さ)は、100nm以下であることが好ましい。すなわち、蛍光発光層22における熱拡散層23との接合面の表面粗さRa(算術平均粗さ)、および、熱拡散層23における蛍光発光層22との接合面の表面粗さRa(算術平均粗さ)は、いずれも、100nm以下であることが好ましい。
周期構造体層25は、励起光Lおよび蛍光(蛍光発光層22を構成する蛍光体から放射される蛍光)に対する光透過性を有しており、蛍光板21の励起光入射面および蛍光出射面とされる表面に、複数の凸部28が周期的に配列されてなる周期構造体27が設けられたものである。
具体的には、周期構造体層25は、薄平板状の土台部26と、この土台部26上に形成された、複数の錐状の凸部28よりなる周期構造体27とにより構成されたものである。
この図の例において、周期構造体27は、熱拡散層23の表面の全面を覆うように配設された薄平板状の土台部26上に、円錐台状の凸部28が密集した状態で二次元周期的に配列されてなるものである。
蛍光板21が励起光入射側に周期構造体27が設けられたものであることにより、周期構造体層25の表面、すなわち蛍光板21の表面における励起光Lの反射を抑制することができる。そのため、周期構造体層25の表面に励起光Lが照射されたときに、励起光Lを蛍光板21内に十分に取り込むことができる。また、蛍光発光層22に対して励起光Lが局所的に入射されることを抑制することができる。そのため、蛍光発光層22が局所的に極めて高温となることを抑制することができる。
周期構造体27の周期構造は、周期dに対する凸部28の高さhの比であるアスペクト比(h/d)が0.2以上とされ、好ましくは0.2〜1.5であり、特に好ましくは0.5〜1.0である。
ここに、本発明において、周期構造の周期とは、周期構造において互いに隣接する凸部間の中心間距離(nm)を意味する。
周期構造体27の周期構造におけるアスペクト比が0.2以上とされることにより、周期構造体層25の表面、すなわち蛍光板21の表面における励起光Lの反射をより一層抑制することができる。そのため、周期構造体層25の表面に励起光Lが照射されたときに、励起光Lを蛍光板21内に十分に取り込むことができる。
また、周期構造におけるアスペクト比が0.2以上とされることによれば、蛍光発光層22において生じる蛍光を高い効率によって蛍光板21の蛍光出射面である周期構造体層25の表面から外部に取り出すことができる。
周期構造体層25の形成材料は、蛍光発光層22における蛍光体を励起するエネルギーが約5W/mm2 以上の励起密度を有することから、無機材料であることが好ましい。
周期構造体層25の形成材料の具体例としては、サファイア、シリカ、チタニア、ジルコニア、窒化珪素などを用いることができる。
また、周期構造体層25の厚み(最大厚み)は、例えば0.1〜1.0μmである。
このような構成の周期構造体層25は、ゾルゲル法とナノインプリント法とを用いて形成することができる。具体的には、アルミニウム、珪素、チタン、ジルコニウム等のアルコキシドを含むゾル状の材料を、例えばスピンコート法によって熱拡散層23の表面に塗布して、モールド型を押付しつけた状態で加熱処理を行い、離型した後、熱処理を行う。この熱処理によって、反応(加水分解および縮重合)が進み、無機材料からなる周期構造体層25が形成される。
また、周期構造体層25は、ナノインプリント法とドライエッチング処理とを用いても形成することができる。具体的には、平板状の無機材料層の表面に、例えばスピンコート法によってレジストを塗布し、次いで、レジストの塗布膜を例えばナノインプリント法によりパターニングする。その後、ドライエッチング処理を施すことにより、表面に周期構造体27が設けられた、無機材料からなる周期構造体層25が形成される。
放熱基板31としては、銅、モリブデンと銅の合金(Mo−Cu)などの材料からなる金属基板が用いられる。また、放熱基板31の厚みは、例えば0.5〜5.0mmである。また、放熱基板31を構成する金属基板は、放熱フィンの機能を兼ね備えたものであってもよい。
また、放熱基板31においては、当該放熱基板31の面積(具体的には、放熱基板31の表面の面積)が、排熱性の観点から、蛍光板21の面積(具体的には、蛍光板21の裏面の面積)以上であることが好ましい。
この図の例において、放熱基板31は、表面の面積が、蛍光板21の裏面の面積より大面積とされている。すなわち、放熱基板31の表面は、蛍光板21の裏面の縦横寸法よりも大きな縦横寸法を有している。
そして、放熱基板31の表面には、排熱性の観点から、当該表面の一部を覆うようにして蛍光板21が配設されている。すなわち、蛍光板21は、放熱基板の表面の一部を覆うように設けられている。
この図の例において、蛍光板21の裏面は、その全面が放熱基板31の表面の中央領域と対向接触している。すなわち、放熱基板31の表面は、当該中央領域が蛍光板21に覆われた状態とされている。
この蛍光光源装置10においては、励起光源11から出射された励起光Lは、コリメータレンズ18によって平行光線とされる。その後、平行光化された励起光Lは、蛍光発光部材15における蛍光板21の励起光入射面(周期構造体層25の表面)の励起光入射領域に照射され、当該周期構造体層25を介して蛍光発光層22に入射される。そして、蛍光発光層22においては、蛍光体が励起され、これにより、蛍光体から蛍光が放射される。この蛍光は、蛍光体に吸収されずに光反射層33によって反射された励起光Lと共に蛍光板21における蛍光出射面(周期構造体層25の表面)の蛍光出射領域から出射され、蛍光光源装置10の外部に出射される。
而して、蛍光光源装置10においては、蛍光発光層22が熱拡散層23と高熱伝導層32とに挟み込まれた状態とされていることから、当該蛍光発光層22には、蛍光板21の励起光入射面の励起光入射領域に励起光Lが照射されることに伴って熱が発生する中央表層部分の周囲部分に、熱拡散層23から高熱伝導層32に向かって伸びる排熱路が形成される。そのため、蛍光発光層22の中央表層部分に局所的に生じた熱を、熱拡散層23によって拡散させ、当該蛍光発光層22における中央表層部分の周囲部分、すなわち高温とされていない部分を利用して放熱基板31に伝達することができる。その結果、蛍光発光層22に生じた熱を、効率的に放熱基板31に伝達して排熱することができるため、蛍光発光層22における温度消光の発生を抑制することができる。
従って、蛍光光源装置10においては、蛍光発光層22において生じる熱を、熱拡散層23の作用と高熱伝導層32の作用とによって効率的に放熱基板31に伝達して排熱することができるため、励起光Lの入射パワー(励起光の励起エネルギー)が大きい場合であっても、蛍光発光層22における温度消光の発生を抑制でき、よって高い蛍光光束(蛍光光量)が得られる。その結果、高い発光効率を得ることができる。
しかも、以上の蛍光光源装置10においては、蛍光発光層22と熱拡散層23との間に介在する接合層24が、シリカおよびアルミナを含有し、シリカとアルミナとの混合割合が厚み方向に連続的または段階的に変化する状態の傾斜膜よりなる。これにより、接合層24と、蛍光発光層22および熱拡散層23との関係における屈折率の変化を小さくすることができ、よって励起光および蛍光の反射率を抑制することができ、その結果、より一層高い発光効率を安定的に得ることができる。
さらに、接合層24がシリカおよびアルミナを含有するものよりなることから、多結晶体からなる蛍光発光層と熱拡散層との間において高い接合強度を得ることができる。
また、蛍光光源装置10は、蛍光板21が、周期構造体層25が設けられたものであることから、熱拡散層23を周期構造体が形成されたものとする必要がない。そのため、蛍光板21の励起光受光面における周期構造体27の形成が容易となる。
そして、蛍光光源装置10は、蛍光発光層側滑面化膜24Aが形成された蛍光発光層22と、熱拡散層側滑面化膜24Bが形成された熱拡散層23とをオプティカルコンタクトによって接合する工程を経ることによって製造することができる。すなわち、蛍光光源装置10は、本発明の蛍光光源装置の製造方法によって製造することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、蛍光板は、製造容易性の観点からは、周期構造体層を有するものであることが好ましいが、周期構造体層が設けられておらず、熱拡散層の表面に周期構造が形成されたものであってもよい。すなわち、周期構造体が熱拡散層において構成されたものであってもよい。周期構造体が設けられてなる熱拡散層において、周期構造体はエッチング処理によって形成される。
具体的に、蛍光板は、図4に示すように、図1に係る蛍光光源装置10を構成する蛍光板21において、周期構造体層が設けられておらず、熱拡散層43の表面が励起光入射面とされ、その熱拡散層43の表面に周期構造体47が設けられていること以外は、当該図1に係る蛍光光源装置10を構成する蛍光板21と同様の構成を有するものであってもよい。
また、周期構造体は、複数の凸部が周期的に配列されてなる構成のものに限定されず、複数の柱状孔が周期的に配列されてなる構成のものであってもよく、また、複数の柱状孔が周期的に配列されていると共に複数の凸部が周期的に配列されてなる構成のものであってもよい。
また、蛍光光源装置全体の構造は、図1に示すものに限定されず、種々の構成を採用することができる。例えば、図1に係る蛍光光源装置では、1つの励起光源(例えば、レーザダイオード)の光を用いているが、励起光源が複数あり、蛍光板の前に集光レンズを配置して、集光光を蛍光板に照射する形態であってもよい。また、励起光はレーザダイオードのレーザ光に限るものではなく、蛍光板(具体的には、蛍光板を構成する蛍光体)を励起できる光を放射するものであれば種々のものを用いることができる。ここに、励起光源としては、蛍光板(蛍光発光層)を構成する蛍光体の種類などに応じて適宜の波長の光を放射するものが用いられるが、例えば波長445〜465nmの光を放射するものが用いられる。
10 蛍光光源装置
11 励起光源
15 蛍光発光部材
18 コリメータレンズ
21 蛍光板
22 蛍光発光層
23 熱拡散層
24 接合層
24A,24B 滑面化膜
25 周期構造体層
26 土台部
27 周期構造体
28 凸部
31 放熱基板
32 高熱伝導層
33 光反射層
35 金属接合層
43 熱拡散層
47 周期構造体
51 蛍光板
52 接合部

Claims (2)

  1. 多結晶体からなる蛍光発光層を有し、この蛍光発光層の励起光入射側に周期構造体が形成された蛍光板を備え、
    前記蛍光板は、前記蛍光発光層の励起光入射側の一面に形成された接合層を介して設けられた熱拡散層を有すると共に、励起光入射側とは反対側に高熱伝導層を有しており、
    前記高熱伝導層は、光反射層、および、金属よりなる金属接合層からなり、
    前記蛍光板は、前記高熱伝導層側に配置された放熱基板の表面の一部を覆うよう設けられ、
    前記接合層は、シリカおよびアルミナを含有し、その厚みは前記熱拡散層の厚みよりも小さく、シリカとアルミナとの混合割合が厚み方向に連続的または段階的に変化する状態の傾斜膜よりなることを特徴とする蛍光光源装置。
  2. 請求項1に記載の蛍光光源装置を製造するための蛍光光源装置の製造方法であって、
    多結晶体からなる蛍光発光層の一面に滑面化膜が形成された蛍光発光層形成部材と、熱拡散層の一面に滑面化膜が形成された熱拡散層形成部材とをオプティカルコンタクトにより接合し、当該蛍光発光層と当該熱拡散層との間に、当該蛍光発光層形成部材における滑面化膜と当該熱拡散層形成部材における滑面化膜とよりなる接合層を形成する工程を有することを特徴とする蛍光光源装置の製造方法。
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