JP6840328B2 - 抗菌性歯ブラシ - Google Patents

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Description

本発明は、抗菌性歯ブラシに関する。
歯ブラシは日常的に口腔内で使用されるものだが、その保管時における衛生面については十分な配慮が為されているとは言えない。
どこにでも存在する黄色ブドウ球菌、緑膿菌等は誤嚥性肺炎の起因菌としても知られている。歯ブラシは使用後も湿った状態にあるため、細菌やカビが繁殖しやすい。細菌等が付着した歯ブラシを使用すれば、誤嚥性肺炎の危険性が高まるばかりでなく、口腔を清潔にするどころか、外部から細菌を口腔内に入れることにもなってしまう。
現代では「抗菌(性)」を謳った歯ブラシ、殺菌機能付きの歯ブラシケース、歯ブラシ除菌器、歯ブラシ用のUV殺菌器等が市販されているが、抗菌力が十分でなかったり、効果が持続しなかったり、機器が高価だったり、使用が面倒だったりするものが多い。
有機系抗菌剤は、それ自体の抗菌力は高いが熱に弱く、高分子材料に混合して繊維を製造することが困難である。また、水分や油分と接触すると分解したり、流出したりしてしまい、抗菌力が持続しない。
これに対し、無機系抗菌剤は熱に強く、分解し難いため、水分等と接触しても抗菌力が持続し易い。無機系抗菌剤をバインダーによって繊維表面に付着させた繊維(例えば、特許文献1)や、無機系抗菌剤を繊維製造時に樹脂に練り込み紡糸した繊維(例えば、特許文献2)が知られている。
銀イオン等の抗菌性金属イオンを担持したゼオライトを繊維製造時に樹脂に練り込み紡糸する方法が提案されている(例えば、特許文献3)が、常に水分に曝されながら擦られる歯ブラシ毛には適していない。
また、歯ブラシ毛として持続的な抗菌力と機械的特性を備えることを目的として、シリコン酸化物でコーティングされた抗菌性金属粒子をポリブチレンテレフタレートに均一に含浸することも提案されている(特許文献4)。
特開平5−057002号公報 特開2004−190197号公報 特公平6−94534号公報 特開2007−159727号公報
現在市販されている「抗菌(性)」を謳った歯ブラシは、ブラシ毛表面に抗菌剤をコーティングしているものであり、抗菌力が不十分であったり、抗菌力が持続しないという問題点を有している。
また、無機系抗菌剤である銀(Ag)を含有する従来の抗菌性樹脂繊維では、銀を3.3重量%(33,000重量ppm)の濃度で添加しなければ十分な抗菌活性は得られなかった。
本発明は、抗菌剤である金属の含有量が少なく、人体への安全性が高い、抗菌力が高く、抗菌力が持続するブラシ毛を有する抗菌性歯ブラシを提供することを目的とする。
本発明によれば、以下の抗菌性歯ブラシ及び抗菌性歯ブラシ毛の製造方法が提供される。
1.金(Au)及び銀(Ag)を含有する樹脂からなるブラシ毛を有する抗菌性歯ブラシ。
2.前記樹脂が、さらに多孔質担体を含有する1に記載の抗菌性歯ブラシ。
3.前記多孔質担体が、銀イオン及び/又は亜鉛イオンを担持した多孔質担体である2に記載の抗菌性歯ブラシ。
4.前記銀イオン及び/又は亜鉛イオンの多孔質担体への担持量が、1.0〜30重量%の範囲内である3に記載の抗菌性歯ブラシ。
5.前記多孔質担体が、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト及びリン酸ジルコニウムからなる群から選択される2〜4のいずれかに記載の抗菌性歯ブラシ。
6.前記多孔質担体が、ゼオライトである2〜5のいずれかに記載の抗菌性歯ブラシ。
7.前記ゼオライトの平均粒径が、0.1〜30μmの範囲内である6に記載の抗菌性歯ブラシ。
8.前記樹脂が、ポリエステル系樹脂である1〜7のいずれかに記載の抗菌性歯ブラシ。
9.前記樹脂が、ポリブチレンテレフタレート(PBT)である1〜8のいずれかに記載の抗菌性歯ブラシ。
10.前記ブラシ毛中の金の濃度が、50〜5000重量ppmの範囲内である1〜9のいずれかに記載の抗菌性歯ブラシ。
11.前記ブラシ毛中の銀の濃度が、100〜5000重量ppmの範囲内である1〜10のいずれかに記載の抗菌性歯ブラシ。
12.前記樹脂中における、銀イオン及び/又は亜鉛イオンを担持した多孔質担体の濃度が、1000〜5000重量ppmの範囲内である項1〜11のいずれかに記載の抗菌性歯ブラシ。
13.前記ブラシ毛の毛先から0.5mmの部分の太さが、0.01〜0.05mmの範囲内である1〜12のいずれかに記載の抗菌性歯ブラシ。
14.金粉、銀粉、並びに銀イオン及び/又は亜鉛イオンを担持した多孔質担体を樹脂と混合して樹脂混合物を得る工程、及び
得られた樹脂混合物を200〜280℃で圧出させて糸状とする工程
を有する抗菌性歯ブラシ毛の製造方法。
15.前記樹脂混合物を得る工程が、前記金粉、銀粉、並びに銀イオン及び/又は亜鉛イオンを担持した多孔質担体の前記樹脂中の合計濃度が、前記樹脂混合物の約10倍であるマスターバッチ樹脂混合物を製造する工程、及び
前記マスターバッチ樹脂混合物にさらに前記樹脂を加えて希釈して前記樹脂混合物を得る工程
からなる14に記載の抗菌性歯ブラシ毛の製造方法。
本発明によれば、抗菌剤である金属の含有量が少なく、人体への安全性が高い、抗菌力が高く、抗菌力が持続するブラシ毛を有する抗菌性歯ブラシが提供できる。
本発明の抗菌性歯ブラシは、金(Au)及び銀(Ag)を含有する樹脂からなるブラシ毛を有することを特徴とする。
種々の金属が抗菌活性を有することが知られているが、抗菌活性が高い代表的な金属をその抗菌性の強さの順に示すと次のようになる。
Cu>Ag>Au>Pb>Pt>Ni>Al>Sn>Zn
これらの金属は人体に対しても毒性を示す。上記金属のうち、比較的安全性が高いとされているのはAg、Au及びPtであるが、Agの抗菌活性はAuやPtに比べて非常に強い。そのため、抗菌剤として一般にAgがよく使用されている。
しかし、上述したように金属は人体に対しても毒性を示すため、金属を抗菌剤として使用する場合にその合計使用量は少ない方が好ましいと言える。
従来は、所望の抗菌活性を得るために、Agをブラシ毛の3.3重量%(33,000ppm)と高い濃度で配合することが必要であった。
Auの抗菌活性はAgに比べて非常に弱いが、AgとAuを併用すると、それぞれが非常に少量であっても、顕著に高い抗菌活性を示すことを本発明者らは見出した。つまり、銀と金の相乗作用により抗菌活性が顕著に向上することを見出した。これにより、抗菌剤としての金属の合計量を減らすことが可能になり、人体への毒性も抑えることが可能になった。
金属金及び金属銀は純度99.9%以上のものを使用することが好ましい。
ブラシ毛樹脂中の金の濃度は、50〜5000重量ppmの範囲内であることが好ましく、100〜4000重量ppmの範囲内であることがより好ましく、150〜3000ppmの範囲内であることがさらに好ましい。
ブラシ毛樹脂中の銀の濃度は、100〜5000重量ppmの範囲内であることが好ましく、200〜4000重量ppmの範囲内であることがより好ましく、300〜3000ppmの範囲内であることがさらに好ましい。
本発明の抗菌性歯ブラシのブラシ毛の原料樹脂には、さらに多孔質担体を配合することが好ましい。多孔質担体は、抗菌剤である金及び銀を樹脂中に均一に分散させるのに役立つ。
多孔質担体は、銀イオン及び/又は亜鉛イオンを担持した多孔質担体であることが好ましい。
さらに、本発明では、金及び銀に加えて多孔質単体に担持された銀イオン及び/又は亜鉛イオンも樹脂に練り込むことでより優れた抗菌性が得られるため好ましい。
本発明の抗菌性歯ブラシでは、抗菌性を有する銀イオン及び/又は亜鉛イオンを多孔質担体に担持させ、これを樹脂に練り込むことで金及び銀をブラシ毛中に均質に分散させることが可能となり、抗菌性を大きく向上させることができる。
多孔質担体としては、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト及びリン酸ジルコニウム等が好ましく、ゼオライトが特に好ましい。ゼオライトはアルミノケイ酸塩からなるものが好ましい。
ゼオライトの平均粒径は、微細な歯ブラシ毛の製造に適した範囲を選択すればよいが、0.1〜30μmの範囲内であることが好ましく、1.0〜10μmの範囲内であることがより好ましく、2.0〜5.0μmの範囲内であることがさらに好ましい。ゼオライトの粒径が大きすぎると、微細なブラシ毛に均一に存在させることができないおそれがある。
樹脂としては、ブラシ毛として使用できる繊維を形成でき、口腔内に用いることができるものであればよい。機械的強度、多孔質担体との混合の容易性からポリエステル系樹脂であることが好ましく、ポリブチレンテレフタレート(PBT)であることが特に好ましい。ポリブチレンテレフタレートは、歯ブラシ毛に適した適度な柔軟性と機械的強度を有している。
ブラシ毛樹脂中の、銀イオン及び/又は亜鉛イオンを担持した多孔質担体の濃度は1000〜5000重量ppmの範囲内であることが好ましく、2000〜4000重量ppmの範囲内であることがより好ましい。濃度が低いと金及び銀の分散が不均一となるおそれがある。濃度が高くてもそれ以上の効果は期待できない可能性があり、製造コストが高くなるため好ましくない。
銀イオン及び/又は亜鉛イオンの多孔質担体への担持量は、1.0〜30重量%であることが好ましく、5.0〜20重量%であることがより好ましく、6.0〜12重量%であることがさらに好ましい。担持量が低いと十分な抗菌力が得られないおそれがある。
銀イオン及び亜鉛イオンは、担体であるゼオライト近傍に細菌やカビ等の細胞が位置すると、ゼオライトから解離分散によって細菌やカビの細胞膜に到達し、この細胞膜のタンパク質に吸着されるとともに、細胞の構造破壊を起こして細菌やカビ等のエネルギー代謝を不能にして菌自体を死滅させる作用を有する。
また、担持されている金属イオンによる作用とは別に、ゼオライト自体による殺菌作用もある。ゼオライトはSiO、Al等の金属酸化物からなっており、この骨格構造に結合されている酸素が部分的に活性酸素に転換され、上記金属イオンによる作用と同様に、細菌やカビの細胞膜等のタンパク質層に吸着されて、強力な殺菌効果を示す。
本発明の抗菌性歯ブラシは、金、銀、さらには銀イオン及び/又は亜鉛イオン担持ゼオライトが樹脂中に均一に分散して存在し、ブラッシングによって歯ブラシ毛が摩耗しても、抗菌力は持続する。
ブラシ毛の直径は、所望のブラシの硬さ(柔軟性)に応じて適宜決定すればよいが、通常は0.15〜0.22mmの範囲内、好ましくは0.18〜0.21mmの範囲内である。
歯ブラシ毛としてのブラッシング効果を高めるため、ブラシ毛の先端は円錐形に加工されていることが好ましい。円錐形に加工されていることによって、歯周ポケット内までブラシ毛が入り込み易くなり、歯磨き効果が高くなる。
ブラシ毛の先端は、毛先から0.5mmの部分の太さが、0.01〜0.05mmの範囲内であることが好ましく、0.02〜0.04mmの範囲内であることがより好ましい。
次に、本発明の抗菌性歯ブラシ毛の製造方法は、
金粉、銀粉、並びに銀イオン及び/又は亜鉛イオンを担持した多孔質担体を樹脂と混合して樹脂混合物を得る工程、及び
得られた樹脂混合物を200〜280℃で圧出させて糸状とする工程
を有することを特徴とする。
上記樹脂混合物を得る工程は、前記金粉、銀粉、並びに銀イオン及び/又は亜鉛イオンを担持した多孔質担体の前記樹脂中の合計濃度が、前記樹脂混合物の約10倍であるマスターバッチ樹脂混合物を製造する工程、及び
前記マスターバッチ樹脂混合物にさらに前記樹脂を加えて希釈して前記樹脂混合物を得る工程
からなることが好ましい。
パウダー状のゼオライトを樹脂に混合する場合、多量の樹脂中に少量のゼオライトを均一に分散することは難く、抗菌性が偏った樹脂組成物となる場合がある。
ゼオライトが均一に分散された樹脂組成物とするために、濃度が約10重量%となるように濃度の高いマスターバッチ樹脂混合物を製造し、このマスターバッチ樹脂混合物にさらに樹脂を加えてゼオライトが所望の濃度となるように希釈して歯ブラシ毛製造用樹脂組成物とすることが好ましい。
金粉の樹脂への混合量は、樹脂1トンに対して100g〜5kgの範囲であることが好ましく、150g〜4kgの範囲であることがより好ましい。
銀粉の樹脂への混合量は、樹脂1トンに対して100g〜5kgの範囲であることが好ましく、300g〜4kgの範囲であることがより好ましい。
銀イオン及び/又は亜鉛イオンを担持した多孔質担体の樹脂への混合量は、樹脂1トンに対して1〜5kgの範囲であることが好ましく、2〜4kgの範囲であることがより好ましい。
銀イオン及び/又は亜鉛イオンをゼオライトに担持させる方法は、公知の方法を用いればよく、例えば、金属イオン(銀イオン、亜鉛イオン)のイオン交換処理等が挙げられる。
より具体的には、銀イオン、亜鉛イオンの水溶液に、適当なpH条件でゼオライトを添加し、ゼオライト中のイオン交換可能なイオンの一部又は全部を銀イオン、亜鉛イオンで置換させ、イオン交換終了後、水洗し、加熱乾燥すればよい。
銀イオン及び/又は亜鉛イオンを担持したゼオライトは、市販品を用いてもよい。
上記のようにして得られた樹脂組成物は、200〜280℃、好ましくは220〜260℃の温度で圧出させて糸状にする。糸状に成形する方法は、歯ブラシ毛を形成し得る公知の方法を用いればよい。
ブラシ毛の端部を円錐形に加工することが好ましい。ブラシ毛の先端を円錐形に加工するには、当業界で通常用いる加工方法を用いればよい。
このようにして得られたブラシ毛に対し、洗浄、乾燥等の仕上げを行い、ブラシ柄に植毛することで本発明の抗菌性歯ブラシを得ることができる。
本発明の抗菌性歯ブラシは、抗菌作用を有する金、銀、並びに銀イオン及び/又は亜鉛イオンがブラシ毛を構成する樹脂中に均一に分散されているため、ブラッシング等によって摩耗しても抗菌力が低下しない。
本発明の抗菌性歯ブラシは、身の回りのどこにでも存在する黄色ブドウ球菌等の細菌やかびの繁殖を抑制することができる。
以下、抗菌性歯ブラシ毛の製造実施例、及び黄色ブドウ球菌に対する抗菌力試験例を示して、本発明をより具体的に説明する。
製造例:銀イオン及び亜鉛イオン担持ゼオライト粉末の製造
A型ゼオライト50gを蒸留水400mLに加えて撹拌し、スラリー状にした。このゼオライトスラリーに硝酸を加えてpH7.2に調整した。蒸留水100mLに硝酸銀5g及び硝酸亜鉛3gを加えて金属塩水溶液を調製した。この金属塩水溶液をゼオライトスラリーに加えて55℃で3時間撹拌し、金属イオン(銀イオン及び亜鉛イオン)のイオン交換処理を行った。イオン交換後のスラリーを遠心分離し、沈殿物を蒸留水で水洗し、乾燥し、粉砕して平均粒径が2.6μmの銀イオン及び亜鉛イオンを担持したゼオライト粉末を得た。
実施例1:抗菌性歯ブラシ毛の製造
純度99.9%の金粉180g、純度99.9%の銀粉400g、並びに銀イオン及び亜鉛イオンを担持したゼオライト粉末3.0kgを、ポリブチレンテレフタレート(PBT)に添加し、均一になるように混練し、合計100kgのマスターバッチ樹脂混合物を製造した。マスターバッチ樹脂混合物にさらにPBTを加えて均一に混合し、歯ブラシ毛製造用樹脂組成物(歯ブラシ毛素材)1000kgを得た。
得られた樹脂組成物を220〜260℃の温度で圧出させて繊維状とし、元糸を製造した。元糸の直径は0.19±0.1mmであった。この元糸を長さ31(±1.0mm)にカッティングし、両先端を円錐形に加工した。加工した先端から0.5mmの部分の太さは0.03mmであった。
試験例1:歯ブラシ毛製造用樹脂の黄色ブドウ球菌に対する抗菌力試験
実施例1で製造した歯ブラシ毛製造用樹脂組成物を用い、大きさ約3cm×3cm×厚み約7mmのプレートを製造し、試験用検体として用いた。
<抗菌力試験方法>
JIS Z 2801:2010「抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果」5 試験方法を参考にして、検体の抗菌力試験を行った。
検体は消毒用アルコールに約1分間浸漬して、検体表面に付着している雑菌を除去してから試験に供した。
規定に従い、大きさ約30mm×30mm×厚さ約0.09mmのポリエチレンフィルムを比較対照として用いた。
試験はStaphylococcus aureus subsp. aureus NBRC 12732(黄色ブドウ球菌)及びEscherichia coli
(大腸菌)で行った。
検体及び比較対照の上に、それぞれ試験菌液0.1mLを乗せてポリエチレンフィルムを被せ、35℃で24時間培養した後の生菌数を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0006840328
比較対照では、24時間後も生菌数が殆ど変わらないのに比べ、検体では24時間後には、生菌数が検出限界未満となっており、実施例1で製造した歯ブラシ毛用樹脂は、黄色ブドウ球菌及び大腸菌に対して非常に高い抗菌力を示すことがわかる。
実施例2:抗菌性歯ブラシ毛の製造
純度99.9%の金粉180g、純度99.9%の銀粉400g、並びに銀イオン及び亜鉛イオンを担持したゼオライト粉末3.0kgを、ポリブチレンテレフタレート(PBT)に添加し、均一になるように混練し、合計100kgのマスターバッチ樹脂混合物を製造した。マスターバッチ樹脂混合物にさらにPBTを加えて均一に混合し、歯ブラシ毛製造用樹脂組成物(歯ブラシ毛素材)1000kgを得た。
樹脂組成物中の金の濃度は約180重量ppm、銀の濃度は約400ppmであった。
得られた樹脂組成物を220〜260℃の温度で圧出させて繊維状とし、元糸を製造した。元糸の直径は0.19±0.1mmであった。この元糸を長さ31(±1.0mm)にカッティングし、両先端を円錐形に加工した。加工した先端から0.5mmの部分の太さは0.03mmであった。
比較例:銀のみを抗菌剤として用いた抗菌性歯ブラシ毛の製造
銀の濃度が3.3重量%(33,000重量ppm)の歯ブラシ毛製造用樹脂組成物を用いた以外は実施例2と同様にして歯ブラシ毛を製造した。
試験例2:歯ブラシ毛製造用樹脂の黄色ブドウ球菌に対する抗菌力試験
実施例2で製造した歯ブラシ毛及び比較例で製造した歯ブラシ毛を、それぞれ5cm×5cmに敷き詰めたものを試験用検体として用い、試験例1と同様の方法で抗菌力試験を行った。
規定に従い、大きさ約30mm×30mm×厚さ約0.09mmのポリエチレンフィルムを比較対照として用いた。
試験はStaphylococcus aureus subsp. aureus NBRC 12732(黄色ブドウ球菌)及びEscherichia coli
(大腸菌)で行った。
実施例2の検体、比較例の検体及び比較対照の上に、それぞれ試験菌液0.4mLを乗せてポリエチレンフィルム(被覆フィルム;表面積16cm)を被せ、35℃で24時間培養した後の生菌数を測定した。
抗菌活性値は、次の式で計算出した。
抗菌活性値=U−A
:比較対照の試験片1cm当たりの24時間培養後の生菌数の常用対数値
:検体1cm当たりの24時間培養後の生菌数の常用対数値
ここで、抗菌活性値が2.0以上で、抗菌活性ありと評価される。
結果を表2に示す。
Figure 0006840328
黄色ぶどう球菌については、銀のみを抗菌剤として用いた比較例では、銀が33,000重量ppmと高濃度で添加されてはじめて、抗菌活性ありと評価される抗菌活性値の下限値2.0であった。これに対し、金を約180重量ppm及び銀を約400重量ppmの濃度で添加した実施例2では、金属の合計濃度が約580重量ppmと極めて低い濃度であるにもかかわらず抗菌活性値が5.0と非常に高かった。
同様に、大腸菌についても、比較例では抗菌活性値が5.0であったのに対し、実施例2では抗菌活性が6.2であった。
表2の結果から、従来の銀のみを抗菌剤として添加した場合には、銀を多量に使用する必要があったが、本発明によれば、銀及び金を抗菌剤として用いることで、金と銀の相乗効果として銀が少量であっても高い抗菌活性が得られることがわかる。
本発明によって、銀に比べて抗菌活性が弱い金を少量併用することによって、銀の添加量が少なくても抗菌活性が顕著に向上し、これにより抗菌剤である金属の合計添加量を顕著に少なく抑えることができ、人体への安全性が高い、抗菌性ブラシ毛の生産が可能となった。
本発明によれば、抗菌力が長く持続するブラシ毛を有する抗菌性歯ブラシが提供され、歯ブラシを清潔に保持でき、身の回りに存在する細菌やカビによる感染の予防、さらには誤嚥性肺炎の予防に非常に有用である。
本発明によれば、特別な手段や手間を必要とせずに歯ブラシの衛生を保持することができるため、介護の現場において特に有用である。
また、本発明によれば、抗菌剤である金属の含有量が少なく、人体への安全性が高い、抗菌性歯ブラシが生産できる。

Claims (3)

  1. 金属金(Au)及び金属銀(Ag)を含有し、さらに銀イオン及び/又は亜鉛イオンを担持したゼオライトを含有する樹脂からなるブラシ毛を有する抗菌性歯ブラシであって、
    前記ブラシ毛中の金属金の濃度が、約180重量ppmであり、
    前記ブラシ毛中の金属銀の濃度が、約400重量ppmであり、
    前記樹脂が、ポリブチレンテレフタレート(PBT)であり、
    前記銀イオン及び/又は亜鉛イオンを担持したゼオライトの平均粒径が、2.0〜5.0μmの範囲内であり、
    前記銀イオン及び/又は亜鉛イオンを担持したゼオライトの、銀イオン及び/又は亜鉛イオンのゼオライトへの担持量が、1.0〜30重量%の範囲内であり、
    前記樹脂中における、銀イオン及び/又は亜鉛イオンを担持したゼオライトの濃度が、1000〜5000重量ppmの範囲内であり、かつ
    前記ブラシ毛の毛先から0.5mmの部分の太さが、0.01〜0.05mmの範囲内である抗菌性歯ブラシ。
  2. 金粉、銀粉、並びに銀イオン及び/又は亜鉛イオンを担持したゼオライトを樹脂と混合して樹脂混合物を得る工程、及び
    得られた樹脂混合物を200〜280℃で圧出させて糸状とする工程
    を有する、請求項に記載の抗菌性歯ブラシの製造方法。
  3. 前記樹脂混合物を得る工程が、前記金粉、銀粉、並びに銀イオン及び/又は亜鉛イオンを担持したゼオライトの前記樹脂中の合計濃度が、前記樹脂混合物の約10倍であるマスターバッチ樹脂混合物を製造する工程、及び
    前記マスターバッチ樹脂混合物にさらに前記樹脂を加えて希釈して前記樹脂混合物を得る工程
    からなる請求項に記載の抗菌性歯ブラシの製造方法。
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