JP6838301B2 - 人工芝 - Google Patents

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Description

本発明は、芝葉を模した多数のパイルを有する人工芝及びその製造方法に関する。
近年、サッカー場やラグビー場、野球場等の様々な運動競技施設において、人工芝が普及している。人工芝は、多くの場合、基材上に芝葉を模した多数のパイルを植設することにより製造される。また、しばしば、パイル間には、パイルを保護するための充填材が充填される(例えば、特許文献1参照)。かかる充填材は、人工芝上での競技のプレー性能を向上させることもでき、具体的には、競技に使用されるボールの弾み具合を調整したり、選手の走り易さをコントロールしたり、プレーヤーがプレー中に怪我をしないようにするためのクッション材としての役割を果たしたりする。
特開2011−58165号公報
一方で、競技中に、充填材が飛び跳ねることは好ましくない。特許文献1では、横断面形状の異なる2種類のパイルを植設することで一部のパイルが傾くようにし、これにより日光を反射するパイルの表面積をより大きくして人工芝の温度上昇を抑制することが開示されており、同時に傾いたパイルは、充填材が飛び跳ねるのを抑制し得る。
しかしながら、長いパイルは、隣のパイルが妨げとなって倒れ難いことがある。また、上手く倒れることができたとしても、パイルが長くかつ硬い(剛性が高い)場合には、人工芝上でプレーするプレーヤーのスパイク等に引っ掛かり易くなり、競技のプレー性能を低下させることがある。
本発明は、充填材の飛散を抑制しつつ、パイルへのスパイク等の引っ掛かりを少なくして、プレー性能を維持することができる人工芝及びその製造方法を提供することにある。
本発明の第1観点に係る人工芝は、基材と、前記基材上に起立する芝葉を模した多数のパイルと、前記多数のパイルの間に充填材層を形成すべく充填される充填材とを備える。前記多数のパイルは、剛性の異なる第1パイル及び第2パイルを含む2種類以上のパイルを含む。前記第2パイルは、前記第1パイルよりも、芝長さが短く、かつ、剛性が低い。
本発明の第2観点に係る人工芝は、第1観点に係る人工芝であって、前記第2パイルは、前記第1パイルよりも、5%以上、芝長さが短い。
本発明の第3観点に係る人工芝は、第1観点又は第2観点に係る人工芝であって、前記第1パイルと前記第2パイルとは、横断面形状が異なる。
本発明の第4観点に係る人工芝の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)第1ヤーン、及び前記第1ヤーンよりも熱収縮率が高く、かつ、剛性が低い第2ヤーンを含む2種類以上のヤーンを製造するステップ。
(2)前記2種類以上のヤーンを基材上に植設することにより、前記第1ヤーンから形成される第1パイル及び前記第2ヤーンから形成される第2パイルを含む、芝葉を模した2種類以上のパイルからなる多数のパイルを有する前記人工芝の中間体を製造するステップ。
(3)前記中間体を高温環境下に置き、前記パイルを熱収縮させるステップ。
本発明の第5観点に係る人工芝の製造方法は、第4観点に係る製造方法であって、上記ステップ(1)は、前記第1ヤーンの熱収縮率よりも前記第2ヤーンの熱収縮率が高くなるように、前記第1ヤーン及び前記第2ヤーンに対し異なる条件下でのアニーリングを施すステップを含む。
本発明の第6観点に係る人工芝の製造方法は、第5観点に係る製造方法であって、上記ステップ(1)において、前記第1ヤーンに対するアニーリング温度は、前記第2ヤーンに対するアニーリング温度よりも高い。
本発明の第7観点に係る人工芝の製造方法は、第5観点又は第6観点に係る製造方法であって、上記ステップ(1)において、前記第1ヤーンに対するアニーリング時間は、前記第2ヤーンに対するアニーリング時間よりも長い。
本発明の第8観点に係る人工芝の製造方法は、第4観点から第7観点のいずれかに係る製造方法であって、上記ステップ(1)は、前記第1ヤーン及び前記第2ヤーンを互いに横断面形状が異なるように成形するステップを含む。
本発明によれば、芝葉を模した多数のパイルとして、剛性の異なる2種類以上のパイルを備える人工芝が提供される。これらのパイルのうち、第2パイルは、第1パイルよりも芝長さが短く、剛性が低い。すなわち、より剛性が低く倒れ易い第2パイルがより短く形成されているため、隣のパイルが第2パイルの転倒を妨げにくく、第2パイルがさらに倒れ易く構成されている。従って、第2パイルが「傘」となって、充填材の飛散を抑制することができる。また、より剛性が低く倒れ易い第2パイルがより短く形成されているため、倒れた第2パイルへのスパイク等の引っ掛かりが少なくなり、プレー性能を維持することができる。
本発明の一実施形態に係る人工芝の側面図。 第1パイル及び第2パイルの横断面形状の例を示す図。 バッキング層の乾燥工程による熱収縮前の中間体と、熱収縮後の人工芝を示す模式図。
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る人工芝及びその製造方法について説明する。
<1.人工芝>
本実施形態に係る人工芝1は、サッカー場やラグビー場、野球場等の各種運動競技施設において、アスファルト面や地面等の設置面上に設置される。図1に示すように、人工芝1は、基材2と、基材2上に起立する芝葉を模した多数のパイル3とを有する。基材2は、シート状に形成されており、パイル3は、基材2上に所定の間隔をあけて植設されている。また、基材2の裏面側には、パイル3が抜け落ちるのを防止するためバッキング剤が塗布され、バッキング層4が形成されている。
基材2の材質及び形態は、特に限定されないが、例えば、基材2は、樹脂材料からなる平織布として形成することができる。樹脂材料としては、典型的には、ポリプロピレンやポリエチレン等の熱可塑性樹脂を選択することができる。
パイル3の材質及び形態は、芝葉の外観を実現することができる限り、特に限定されないが、例えば、パイル3は、樹脂材料からなる扁平なフィラメント糸(ヤーン)を用いて形成することができる。樹脂材料としては、典型的には、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を選択することができる。また、本実施形態のパイル3は、タフティングマシンを用いて、パイル3となるプラスチック糸(ヤーン)を基材2に縫い込むことにより、基材2に対して固定されている。
バッキング層4の材質も、特に限定されないが、例えば、バッキング層4は、ポリエチレンとSBRラテックスの混合体から構成することができる。なお、バッキング層4は、省略することもできる。
基材2の表面上においてパイル3間には、充填材5が充填される。この充填材5は、芝葉を保護する他、プレーヤーがプレー中に怪我をしないようにするためのクッション材としての役割を果たすこともできる。また、充填材5は、競技に使用されるボールの弾み具合を調整したり、選手の走り易さをコントロールすることも可能であり、人工芝1上での競技のプレー性能を向上させることもできる。
充填材5としては、弾性充填材5a及び硬質充填材5bの少なくとも一方を用いることができる。弾性充填材5aとしては、例えば、廃タイヤの破砕品等からなるゴムチップを用いることができる。硬質充填材5bとしては、例えば、砂を用いることができる。図1の例では、パイル3間に、硬質充填材5b及び弾性充填材5aの両方が充填されている。
基材2上のパイル3には、剛性の異なる複数種類のパイル3が含まれている。本実施形態では、基材2上には、剛性の異なる2種類のパイル3が植設されており、以下、これらのパイルを第1パイル3a及び第2パイル3bと呼ぶ。本実施形態では、第1パイル3a及び第2パイル3bは、材質が同じであるが、横断面形状が異なり、その結果、第2パイル3bの方が、第1パイル3aよりも剛性が低くなるように構成されている。第1パイル3a及び第2パイル3bの横断面形状は、各々、楕円形、三角形、四角形、星形等の様々な形状とすることができる。なお、パイル3(又はこれを形成するヤーン)の横断面形状とは、パイル3(又はこれを形成するヤーン)の延びる方向に直交する断面の形状を意味する。また、横断面形状が異なるとは、例えば、楕円形と四角形等、図形の種類が異なることだけでなく、図形の種類自体は同じであるがサイズが異なることも意味し得る。例えば、第1パイル3aの横断面形状を幅1mm、厚さ250μmの楕円形とし(図2(a)参照)、かつ、第2パイル3bの横断面形状を幅1mm、厚さ100μmの楕円形とする(図2(b)参照)こともできる。また、別の例としては、第1パイル3aの横断面形状を楕円形とし、かつ、第2パイル3bの横断面形状を四角形とすることもできる。いずれにせよ、本実施形態では、第1パイル3aの方が、第2パイル3bよりも剛性が高い。
また、本実施形態では、第1パイル3aの芝長さをW1とし、第2パイル3bの芝長さをW2としたとき、W1>W2である。なお、パイル3a,3bは、基材2上で自重や踏みつけ等により大なり小なり傾くが、ここでいう芝長さW1,W2とは、それぞれパイル3a,3bを直線状に伸ばしたときの長さであり、基材2の表面からパイル3a,3bの先端までの長さとして測定される。また、芝長さW1,W2は、それぞれ製造誤差によりバラつくことが予想されるが、ここでいう芝長さとは、設計目標値でもある公称のサイズであり、例えば、隣接する30本の同種のパイル3の平均値として測定することができる。
また、W2は、W1を基準として5%以上短いことが好ましく、6%以上短いことがより好ましく、7%以上短いことがより好ましく、8%以上短いことがより好ましく、9%以上短いことがより好ましく、10%以上短いことがより好ましい。このように、同じ人工芝1に含まれるパイル3a,3bの芝長さW1,W2にムラがあることにより、人工芝1に自然な風合いがもたらされる。
芝長さW1,W2の絶対量は、W1>W2を満たす限り特に限定されないが、20mm≦W1<50mmと比較的短くすることもできるし(一般にショートパイルと呼ばれる)、50mm≦W1≦70mmと比較的長くすることもできる(一般にロングパイルと呼ばれる)。
充填材5の充填量は、適宜選択することができるが、基材2の表面から充填材5により形成される充填材層の頂上までの高さをH1としたとき、H1≧(1/3)・W1となることが好ましく、H1≧(2/3)・W1となることがより好ましい。また、H1<(3/4)・W1となることが好ましい。以上の観点から、(1/3)・W1≦H1<(3/4)・W1であることが好ましく、(2/3)・W1≦H1<(3/4)・W1であることがより好ましい。
以上のとおり、本実施形態では、剛性の異なるパイル3a,3bにより芝葉が再現され、より具体的には、第2パイル3bは、第1パイル3aよりも芝長さが短く、剛性が低い。すなわち、より剛性が低く倒れ易い第2パイル3bがより短く形成されているため、隣のパイル3が第2パイル3bの転倒を妨げにくく、第2パイル3bがさらに倒れ易く構成されている。従って、第2パイル3bが「傘」となって、充填材5の飛散を抑制することができる。また、より剛性が低く倒れ易い第2パイル3bがより短く形成されているため、倒れた第2パイル3bへのスパイク等の引っ掛かりが少なくなり、人工芝1のプレー性能を維持することができる。
図1に示すとおり、本実施形態のパイル3は、基材2上の各植設点P1において、複数本ずつ(図1の例では、8本ずつ)植設されている。特に本実施形態では、同じ植設点P1において、第1パイル及び第2パイルが各々4本ずつ植設されている。しかしながら、同じ植設点P1におけるパイル3の合計本数、及び、同じ植設点P1における第1パイル及び第2パイルのそれぞれの本数は、適宜変更することができる。勿論、同じ植設点P1における第1パイル及び第2パイルのそれぞれの本数は、異なっていてもよい。
<2.製造方法>
次に、人工芝1の製造方法の一例について説明する。まず、第1パイル3aを形成するための樹脂材料(以下、第1パイル材料という)及び第2パイル3bを形成するための樹脂材料(以下、第2パイル材料という)を用意する。なお、パイル3a,3bが同じ材料から形成される本実施形態では、1種類の材料のみが用意される。
次に、第1パイル3aを形成するための第1ヤーンを製造する。具体的には、第1パイル材料を押出機に投入し、所定の温度条件下で溶融押出し成形を行う。これにより、押出機の開口から、糸状の第1パイル材料が押し出される。このときの温度条件は、第1パイル材料の融点よりも高い温度、例えば、230℃とすることができる。また、このときの押出機の開口は、第1パイル3aの横断面形状に応じた形状とされ、これにより、第1パイル3aの横断面形状を有する第1ヤーンが成形される(ただし、これらの横断面形状は、後述する延伸、熱収縮等の過程で変形するため、厳密には完全に同じではない)。続いて、押出機から押し出された糸状の第1パイル材料を水槽内で冷却固化し、この糸を一軸延伸加工する。一軸延伸加工の方法としては、ロール延伸法を用いることができる。その後、一軸延伸加工された糸、すなわち、第1ヤーンをボビンに巻き取る。以下、第1ヤーンが巻き取られたボビンを、第1ボビンと呼ぶ。
続いて同様に、第2パイル3bを形成するための第2ヤーンを製造する。具体的には、第2パイル材料を押出機に投入し、所定の温度条件下で溶融押出し成形を行う。これにより、押出機の開口から、糸状の第2パイル材料が押し出される。このときの温度条件は、第2パイル材料の融点よりも高い温度、例えば、230℃とすることができる。また、このときの押出機の開口は、第1ヤーンの成形時のものとは形状が異なり、第2パイル3bの横断面形状に応じた形状とされる。これにより、第2パイル3bの横断面形状を有する第2ヤーンが成形される(ただし、これらの横断面形状は、後述する延伸、熱収縮等の過程で変形するため、厳密には完全に同じではない)。続いて、押出機から押し出された糸状の第2パイル材料を水槽内で冷却固化し、この糸を一軸延伸加工する。一軸延伸加工の方法としては、ロール延伸法を用いることができる。その後、一軸延伸加工された糸、すなわち、第2ヤーンをボビンに巻き取る。以下、第2ヤーンが巻き取られたボビンを、第2ボビンと呼ぶ。
以上の工程により、互いに横断面形状の異なる第1ヤーン及び第2ヤーンが形成される。その後、これらのヤーンにアニーリングが施され、このアニーリングの工程において、第1ヤーン及び第2ヤーンの熱収縮が進行する。アニーリングの工程は、本実施形態では、第1ボビン及び第2ボビンを、所定の温度まで温められたオーブン内に所定時間放置することで実現される。このとき、第1ヤーンに対するアニーリング条件(以下、第1アニーリング条件という)及び第2ヤーンに対するアニーリング条件(以下、第2アニーリング条件という)は、アニーリング後において、第2ヤーンの方が第1ヤーンよりも熱収縮率が高くなる、すなわち、この後のさらなる加温工程において熱収縮が進行し易くなるように設定される。本実施形態では、第1アニーリング条件と、第2アニーリング条件とは異なるものとされ、第1アニーリング条件は、第2アニーリング条件よりもアニーリングが進行し易い条件とされる。これを実現するために、本実施形態では、第1ヤーンに対するアニーリング温度は、第2ヤーンに対するアニーリング温度より高く設定され、第1ヤーンに対するアニーリング時間は、第2ヤーンに対するアニーリング時間より長く設定される。例えば、第1ボビンを60℃の環境下で1時間放置するようにし、第2ボビンを45℃の環境下で0.5時間放置するようにすることができる。なお、第1ヤーンに対するアニーリング温度を、第2ヤーンに対するアニーリング温度以下とすることもできるし、第1ヤーンに対するアニーリング時間を、第2ヤーンに対するアニーリング時間以下とすることもできる。ただし、本実施形態では、アニーリング条件は、アニーリング後にさらなる熱収縮を行う場合において、第2ヤーンの方が第1ヤーンよりも熱収縮がし易いように設定される。
なお、アニーリングには、一般的に成形などで生じたヤーン内部の歪を緩和する働きがあると考えられている。アニーリング温度を高く、あるいはアニーリング時間を長くすることは、より歪を除去する方向に向かう。例えばバッキング剤の乾燥工程など、その後の加熱工程においても、熱エネルギーで以て内部歪を解消するため、熱収縮が起こっているものと考えられるが、事前によく歪を取り除くことにより、熱収縮率を小さくすることができる。
本実施形態では、以上の工程により、互いに剛性及び熱収縮率の異なる第1ヤーン及び第2ヤーンが製造される。より具体的には、第2ヤーンは、第1ヤーンよりも熱収縮率が高く、剛性が低いヤーンとして製造される。そして、このような第1ヤーン及び第2ヤーンの製造後、これらがそれぞれ巻き取られた第1ボビン及び第2ボビンから繰出されるヤーンを、タフティングマシンを用いて基材2上に植設する。本実施形態では、第1ボビン及び第2ボビンを2つずつ用意し、各々から繰出される計4本のヤーンを一束に撚り合わせた後、この撚り合わされたヤーンをタフティングマシンにより、基材2に縫い付ける。このとき、ヤーンは基材2を上下方向に貫通し、基材2の表面から突出するヤーンのループが中央でカットされる。その結果、基材2上の各植設点P1からは、第1ヤーンから形成される第1パイル3aからなる芝葉が4本と、第2ヤーンから形成される第2パイル3bからなる芝葉が4本の、計8本の芝葉が起立することになる。以下、ここまでで形成された基材2及びパイル3からなる部材を、中間体1aと呼ぶ。なお、中間体1aの時点での第1パイル3aの芝長さW1と、第2パイル3bの芝長さW2とは、製造誤差による微差を除き、同じである(図3(a)参照)。また、この段階でパイル3、特に第2パイル3bは自重によりある程度転倒し得るが、簡単のため、図3(a)では、パイル3を引き伸ばした状態を示している。図3(b)においても同様である。
その後、基材2にパイル3を強固に固定するべく、人工芝1の中間体1aに含まれる基材2の裏面にバッキング剤を塗布する。続いて、バッキング剤の塗布された中間体1aを高温環境下に置いて、バッキング剤を乾燥させる。なお、ここでいう高温環境とは、常温(25℃)よりも高いという意味であり、典型的には、常温よりも50℃〜150℃程度高く、例えば、90℃とすることができる。この乾燥工程では、中間体1aに含まれる第1パイル3a及び第2パイル3bが熱収縮し、芝長さW1,W2は共に短くなる(図3(b)参照)。しかしながら、第2パイル3bの熱収縮率が第1パイル3aの熱収縮率よりも高いため、乾燥工程における熱収縮後においては、W1>W2となる。この乾燥工程によりバッキング剤が硬化してバッキング層4が形成されると、最終的な人工芝1(充填材5を除く)が製造される。
<3.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
<3−1>
上記実施形態では、2種類のパイル3が用いられたが、3種類以上のパイル3を用いて人工芝1を製造することもできる。この場合、最終的に得られる人工芝1に含まれる少なくとも2種類のパイル3が、上述したパイル3a,3bと同様の関係を満たすものであればよい。
<3−2>
上記実施形態では、パイル3a,3bは、材質は同じであるものの横断面形状が異なるため、剛性が異なるように構成されていた。しかしながら、パイル3a,3bは、後者が前者よりも剛性が低くなる限り、材質が異なるものであってもよいし、これに代えて又は加えて、横断面形状が同じであってもよい。
<3−3>
上記実施形態では、アニーリング条件を異なるものとすることにより、熱収縮率の異なる第1ヤーン及び第2ヤーンを形成し、ひいては、芝長さW1,W2の異なるパイル3a,3bを形成していた。しかしながら、芝長さW1,W2の異なるパイル3a,3bを得るための方法はこれに限られず、例えば、第1ヤーン及び第2ヤーンの形成時の延伸倍率を適宜調整することで熱収縮率を調整することもできるし、パイル3a,3bの材料を適宜変更することで熱収縮率を調整することもできる。また、熱収縮率の調整によらず、芝長さW1,W2の異なるパイル3a,3bを形成することもできる。例えば、基材2に対して、パイル3bの芝長さW2がパイル3aの芝長さW1よりも短くなるように、ヤーンを植設すればよい。
<3−4>
上記実施形態では、ヤーンをボビンに巻き取った後、アニーリングを行った。しかしながら、一軸延伸加工後、ヤーンを、これまでの工程と同じ製造ラインに含まれる温水槽や熱風槽等の加熱設備を通過させることによりアニーリングを行い、その後、ボビンに巻き取るようにしてもよい。これにより、より効率的に人工芝を製造することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されない。
(実施例)
φ30mm単軸押出機からなるモノフィラメントの成形ラインにおいて、ポリエチレン(日本ポリエチレン製ノバテックLL(UF240))を230℃で溶融紡糸し、芝葉となる以下の横断面形状を有するヤーンA及びヤーンBを成形した。これらのヤーンA,Bに対しては、上記実施形態と同様の水槽内で冷却固化及び一軸延伸加工が加えられた。ヤーンA及びヤーンBは、ボビンに巻き取り、オーブンでアニーリングした。アニーリング条件は、以下のとおりとした。
ヤーンA:横断面形状は、厚み250μm、かつ、幅1mmの楕円形状。アニーリング条件は60℃で1時間。
ヤーンB:横断面形状は、厚み100μm、かつ、幅1mmの楕円形状。アニーリング条件は40℃で0.5時間。
そして、ポリプロピレン製の織布からなる基布に、上記のとおり作成したヤーンA及びBをタフティングにより植設した。このとき、ヤーンA及びBは3本ずつの計6本単位で植え込み、植え込みピッチは縦5mm間隔、横2cmとなるように調整した。このとき、タフティングの直後のヤーンA及びBの芝長さが60mmとなるように設定した。その後、人工芝の中間体の裏面側にSBRラテックスを1000g/m2を塗布し、90℃オーブンにて30分乾燥させた。さらに、こうして得られた人工芝のパイル間に、ゴムチップの充填材を深さ2cmとなるよう充填した。
(比較例1)
ヤーンBを以下のヤーンCに変更した点以外、上記実施例と同様の人工芝を製造し、比較例1とした。
ヤーンC:横断面形状は、厚み100μm、かつ、幅1mmの楕円形状。アニーリング条件は60℃で1時間。
(比較例2)
全てのパイルをヤーンAで形成した点以外、上記実施例と同様の人工芝を製造し、比較例2とした。
(試験方法)
実施例1及び比較例1,2の人工芝に対し、芝高さの差、芝長さの差、充填材の飛散性及びスパイクの引っ掛かりをそれぞれ測定したところ、表1に示すとおりの結果が得られた。また、ヤーンA〜Cの剛性を計測したところ、表2に示すとおりの結果が得られた。
(芝高さの差)
安定した状態を測定するために、人工芝に充填材を充填した後1日経過後に、シンワ測定株式会社製の直尺を用いて、基布の表面からパイルの頂点までの高さを測定した。なお、パイルの種類毎に隣り合わせ30本を測定し、これらの測定値の平均値を芝高さとし、2種類のパイルを含む人工芝に対しては、2種類のパイル間の芝高さの差を算出した。
(芝長さの差)
シンワ測定株式会社製の直尺を用いて、パイルを伸ばしたときの基布の表面からパイルの頂点までの長さを測定した。なお、パイルの種類毎に隣り合わせ30本を測定し、これらの測定値の平均値を芝長さとし、2種類のパイルを含む人工芝に対しては、2種類のパイル間の芝長さの差を算出した。
(充填材の飛散性)
サッカーボールを2mの高さから人工芝上に自由落下させ、飛散した充填材の最大高さを測定した。なお、この最大高さを5回測定し、これらの平均値を充填材の飛散性の指標とした。
(スパイクの引っ掛り)
サッカー用のスパイク(NIKE社製のティエンポスーパーリゲラ3)を着用し、スパイク底を地面に擦るようにボールを蹴った際の抵抗で判断した。引っ掛りなくスムーズに振りぬけることが出来た場合、スパイクの引っ掛り「なし」とし、わずかでも抵抗を感じた場合、スパイクの引っ掛り「あり」とした。
(パイルの剛性)
島津製作所製の引張試験機を使用し、50%変形時の試験力(N)の値をパイルの剛性として測定とした。
(考察)
以上のとおり、剛性及び芝長さの異なる2種類のパイルを用いた実施例1では、スパイクの引っ掛かりがなく、充填材の飛散性も低かった。一方で、剛性(横断面形状)は異なるが、芝長さに差のない2種類のパイルを用いた比較例1では、充填材の飛散性やや高く、スパイクの引っ掛かりもあった。また、1種類のパイルを用いた比較例2では、充填材の飛散性が極めて高かった。従って、剛性及び芝長さの異なるパイルを用いることの優位性が確認された。
1 人工芝
1a 中間体
2 基材
3 パイル
3a 第1パイル
3b 第2パイル
5 充填材
W1 第1パイルの芝長さ
W2 第2パイルの芝長さ

Claims (4)

  1. 人工芝の製造方法であって、
    第1ヤーン、及び前記第1ヤーンと同じ材料から形成されるとともに前記第1ヤーンよりも熱収縮率が高く、かつ、剛性が低い第2ヤーンを含む2種類以上のヤーンを製造するステップと、
    前記2種類以上のヤーンを基材上に植設することにより、前記第1ヤーンから形成される第1パイル及び前記第2ヤーンから形成される第2パイルを含む、芝葉を模した2種類以上のパイルからなる多数のパイルを有する前記人工芝の中間体を製造するステップと、
    前記中間体を高温環境下に置き、前記パイルを熱収縮させ、前記第2パイルを前記第1パイルよりも芝長さが短くなるようにするステップと、
    を含み、
    前記2種類以上のヤーンを製造するステップは、前記第1ヤーンの熱収縮率よりも前記第2ヤーンの熱収縮率が高くなるように、前記第1ヤーン及び前記第2ヤーンに対し異なる条件下でのアニーリングを施すステップを含む、
    人工芝の製造方法。
  2. 前記第1ヤーンに対するアニーリング温度は、前記第2ヤーンに対するアニーリング温度よりも高い、
    請求項に記載の人工芝の製造方法。
  3. 前記第1ヤーンに対するアニーリング時間は、前記第2ヤーンに対するアニーリング時間よりも長い、
    請求項又はに記載の人工芝の製造方法。
  4. 前記2種類以上のヤーンを製造するステップは、前記第1ヤーン及び前記第2ヤーンを互いに横断面形状が異なるように成形するステップを含む、
    請求項からのいずれかに記載の製造方法。
JP2016126813A 2016-06-27 2016-06-27 人工芝 Active JP6838301B2 (ja)

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