JP6836437B2 - 乗員保護装置 - Google Patents
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Description
シートベルトは、一般的に三点式であり、シートに着座した乗員の腰周りのラップ部、および上体前にたすき掛けされるショルダ部を有する。そして、衝突前にリトラクタでシートベルトを巻き取って弛みを減らし、衝突時にシートベルトの送り出しを規制する。これにより、衝突時にシートから前へ移動しようとする乗員の身体をシートに着座した状態に保持するように作動できる。
フロントエアバッグは、乗員室においてシートの前に設けられるハンドルまたはダッシュボードに設けられ、シートへ向かって後向きに展開する。そして、衝突時に前へ倒れ込む乗員の上体を、展開したフロントエアバッグで支えて衝撃を吸収する。
たとえば前面衝突においても、衝突の衝撃によりシートに着座した乗員が前へ移動する可能性がある。そして、乗員の腰部がシートの着座位置から前へ滑って移動してしまうと、腰部を軸としてその周りで前へ倒れ込もうとする上体は、フロントエアバッグに近づいた状態から前へ倒れ込むことになる。この場合、フロントエアバッグと上体との接触状態は、腰部がシートの着座位置にある場合に想定していたものとは異なる。
その結果、乗員の下肢は、右腿部と左腿部との間および右腿部および左腿部の上側から押さえられ、腰部がシートの着座位置に保持される。そして、たとえば前面衝突の際に乗員の上体は着座位置に安定した腰部の周りで前側へ倒れるようになり、衝突の際の乗員の上体の挙動は所望のものに近づく。上体が着座位置にある腰部の周りで前などへ倒れることにより、上体をフロントエアバッグにより好適に支えて衝撃を吸収することができる。
しかも、シートの座面の下に格納されている座面エアバッグにおいて、左右展開部は、立設展開部より遅れて展開する。よって、座面エアバッグの左右展開部は、立設展開部とともに、右腿部と左腿部との間から上へ展開でき、その後に右腿部および左腿部の上に展開できる。これに対して、仮にたとえば左右展開部が立設展開部とともに展開を開始した場合、右腿部および左腿部の上に達していない状態で左右展開部が左右に開き始めることになる。この場合、左右へ開こうとする左右展開部により右腿部と左腿部との間を押し広げることになり、両下肢をそろえて前へ向けた状態に維持することが難しくなる。両下肢がそろって前に向いた好適な乗車姿勢を維持することが難しくなる。
図1は、本発明の実施形態に係る乗員保護装置10が適用可能な自動車1の説明図である。
図1には、シートベルト19、フロントエアバッグ16が図示されている。
シートベルト19は、一般的に三点式である。三点式のシートベルト19は、シート4に着座した乗員の腰周りのラップ部、および上体前にたすき掛けされるショルダ部を有する。そして、衝突前に図示外のリトラクタでシートベルト19を巻き取ってたるみを減らし、さらに衝突時にシートベルト19の送り出しを規制する。これにより、衝突時にシート4から前へ移動しようとする乗員の身体をシート4に着座した状態に保持するように作動できる。
フロントエアバッグ16は、乗員室2においてシート4の前に設けられるハンドルまたはダッシュボード6に設けられ、シート4へ向かって後向きに展開する。そして、衝突時に前へ倒れ込む乗員の上体を、展開したフロントエアバッグ16で支えて衝撃を吸収できる。
たとえば図2は、前面衝突における乗員の挙動の一例の説明図である。
乗員がシート4に着座した状態で前面衝突が起きると、図2(A)に示すように、衝突の衝撃によりシート4に着座した乗員には相対的に前へ移動しようとする力が作用する。
この際に乗員がシートベルト19により押さえられていないとすると、図2(B)に示すように、乗員の腰部はシート4の着座位置から前へ滑って移動する。
そして、乗員の腰部はたとえば膝頭がダッシュボード6に当たった状態で止まり、乗員の上体は、図2(C)に示すように、その位置の腰部を軸としてその周りで前へ倒れ込むことになる。
図2(C)でのフロントエアバッグ16に対する上体の接触状態は、図3と比較すれば明らかなように腰部が着座位置にある場合において想定したものとは異なる。乗員の上体は、フロントエアバッグ16に近づいた位置において前へ倒れ込む。展開したフロントエアバッグ16と上体との接触状態は、腰部がシート4の着座位置にあると想定した場合のものとは異なる。この場合、展開したフロントエアバッグ16により、適切に倒れ込んだ上体を支持して衝撃を吸収することができない可能性がある。
また、上体は腰部の移動が止まった後に短時間で急に前へ倒れることになる。
車外撮像センサ41は、たとえば車体3の前方を撮像する。これにより、たとえば走行中の車体3に対して前から近づく他の車体を画像として撮像することができる。
操舵アクチュエータ43は、ハンドルの替わりに、自動車1の操舵装置を駆動する。
ブレーキアクチュエータ44は、ブレーキペダルの替わりに、自動車1の制動装置を駆動する。
動力源45は、たとえばガソリンエンジン、電気モータである。
自動運転制御部42は、自動車1の走行を自動制御する。自動運転制御部42は、たとえば目的地までの走行経路情報にしたがって、操舵アクチュエータ43、ブレーキアクチュエータ44、および動力源45を制御する。また、自動運転制御部42は、車外撮像センサ41の画像に基づいて接近物を特定し、接近物との衝突を予想する。そして、接近物との衝突を予想した場合には、自動運転制御部42は、その衝突を回避するように操舵アクチュエータ43、ブレーキアクチュエータ44、および動力源45を制御する。
展開した座面エアバッグ21は、シート4の座面から上へ展開してシート4に着座した乗員の右腿部と左腿部との間に立設される立設展開部23と、立設展開部23の上端から左右の横方向へ展開して右腿部および左腿部の上に位置する左右展開部24と、を有する。
なお、左右展開部24を立設展開部23より遅れて展開させるために、テザーなどにより左右展開部24をたとえば立設展開部23に巻き付けた状態に保持させるようにしてもよい。
乗員が図6(A)の状態のシート4の着座位置に座っている状態で、乗員保護制御部14は、たとえば車外撮像センサ41による車体3の前方の撮像画像、自動運転制御部42からの走行状態情報に基づいて、衝突の可能性を予想する。走行状態情報には、操舵アクチュエータ43の操舵量、ブレーキアクチュエータ44および動力源45による加減速量などがある。乗員保護制御部14は、これらの情報に基づいて車体3の進行経路を判断する。また、車体3の前方の撮像画像に基づいて進行経路上または近傍の対象物を特定する。乗員保護制御部14は、これらの情報に基づいて、対象物との正面衝突の可能性を判断する。なお、これらの判断を自動運転制御部42で実行し、乗員保護制御部14はその判断結果を自動運転制御部42から取得してもよい。
展開を開始した座面エアバッグ21では、まず、立設展開部23が展開する。立設展開部23は、図6(B)に示すように、シート4の座面を破り、シート4の座面の上に突出する。
その後、立設展開部23が展開した後、左右展開部24が展開する。左右展開部24は、図6(C)に示すように、シート4の座面から上へ突出した立設展開部23の上端から左右の横方向へ展開する。
これにより、図5に示すように、座面エアバッグ21は、シート4に着座した乗員の右腿部および左腿部の間および上側に展開する。衝突の際にシート4の座面の上で前へ滑ろうとする乗員の腰部は、座面エアバッグ21により前および上から押さえられる。乗員の腰部は、シート4の着座位置から移動し難くなる。
その結果、乗員の下肢は、右腿部と左腿部との間および右腿部および左腿部の上側から押さえられ、腰部がシート4の着座位置に保持される。そして、たとえば前面衝突の際に乗員の上体は着座位置に安定した腰部の周りで前側へ倒れるようになり、衝突の際の乗員の上体の挙動は所望のものに近づく。上体が着座位置にある腰部の周りで前などへ倒れることにより、上体をフロントエアバッグ16により好適に支えて衝撃を吸収することができる。
しかも、シート4の座面の下に格納されている座面エアバッグ21において、左右展開部24は、立設展開部23より遅れて展開する。よって、座面エアバッグ21の左右展開部24は、立設展開部23とともに、右腿部と左腿部との間から上へ展開でき、その後に右腿部および左腿部の上に展開できる。これに対して、仮にたとえば左右展開部24が立設展開部23とともに展開を開始した場合、右腿部および左腿部の上に達していない状態で左右展開部24が左右に開き始めることになる。この場合、左右へ開こうとする左右展開部24により右腿部と左腿部との間を押し広げることになり、両下肢をそろえて前へ向けた状態に維持することが難しくなる。両下肢がそろって前に向いた好適な乗車姿勢を維持することが難しくなる。
次に、第2実施形態に係る乗員保護装置10について説明する。以下の説明では、主に第1実施形態との相違点について説明し、第1実施形態と重複する説明は省略する。
図7(A)の展開前の正面図において座面エアバッグ装置20は、立設展開部23および左右展開部24による座面エアバッグ21とともに、シート下展開部25を有する。
そして、インフレータ22と、座面エアバッグ21およびシート下展開部25との間に、切替部材26が設けられる。切替部材26には、たとえば電磁弁、アクティブベントなどを用いればよい。
その後、乗員保護制御部14は、座面エアバッグ21の展開状態を監視する。そして、座面エアバッグ21の立設展開部23および左右展開部24が十分に展開できない場合、乗員保護制御部14は、切替部材26を切り替える。または、切替部材26は、インフレータ22のガスの排出先を切り替える。これにより、シート下展開部25が、シート4の前部の座面下で、展開する。図7(B)に示すように、シート4の座面の前部が持ち上がる。
Claims (5)
- 車両のシートの座面の下に格納されて、前記シートの座面についての左右方向の中央部から上へ向かって展開して前記シートに着座した乗員の右腿部と左腿部との間に突出する座面エアバッグを有し、
前記座面エアバッグは、
前記シートの座面から上へ展開して前記シートに着座した乗員の右腿部と左腿部との間に立設される立設展開部と、
前記立設展開部の上端から左右の横方向へ展開して前記右腿部および前記左腿部の上に位置する左右展開部と、を有し、
前記立設展開部は、前記シートに着座した乗員の右腿部および左腿部の略上面まで展開し、
前記左右展開部は、前記座面から上へ突出した前記立設展開部の上端から、前記立設展開部より遅れて展開する、
乗員保護装置。 - 前記シートの座面の下に格納された状態において、前記左右展開部は、前記立設展開部と異なる状態に畳まれて前記立設展開部より遅れて展開する状態に格納される、
請求項1記載の乗員保護装置。 - 前記左右展開部は、捩じれた折り畳み状態で格納され、
前記立設展開部は、捩じれた折り畳み以外の状態で格納されている、
請求項2記載の乗員保護装置。 - 前記シート内で左右方向へ展開するシート下展開部と、
前記立設展開部または前記左右展開部が十分に展開できない場合に前記シート下展開部を展開させる切替部材と、を有する、
請求項1から3のいずれか一項記載の乗員保護装置。 - 前記座面エアバッグは、前記シートの座面の前半分の範囲内で展開する、
請求項1から4のいずれか一項記載の乗員保護装置。
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- 2017-03-27 JP JP2017060289A patent/JP6836437B2/ja active Active
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