JP6836344B2 - カルボナーラソース及びその製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献5では、卵黄と糖アルコールが配合されているカルボナーラ用レトルトソースが開示されている。製造方法は簡便であるが、卵黄の加熱凝固に由来するザラついたダマ感を十分に抑制するものではなかった。
特許文献6の実施例2では、リン酸三ナトリウムでpH調整した卵黄液をトリプシン処理した後、食塩及び牛乳を混合して加熱凝固させ、加熱凝固物に生クリーム及び粉チーズを加えて高速ミキサーで均質化した均質化物を使用したカルボナーラソースが開示されている。特許文献7及び特許文献8では、耐熱性(耐熱凝固性)に優れたアルカリプロテアーゼで処理した酵素処理卵黄が開示されている。特許文献9では、卵黄、澱粉及び水を加えた懸濁液を加熱凝固させた後に微粉化して得た加熱処理しても熱凝固しない卵黄含有食品原料が開示されている。これらは、卵黄の加熱凝固を防いでダマ感を解消するには十分な効果があるが、卵黄が酵素変性又は熱変性を受けているために卵黄に由来する特有の滑らかな粘度を得るには満足できるものではなく、また、プロテアーゼ処理した卵黄を使用する場合においては硫化物のような特有の分解臭と苦味が生じるという問題があった。
特許文献10では、熱凝固性を低下することができるアルギン酸塩を含有する卵黄液が開示されている。しかしながら、あらかじめアルギン酸塩溶液を温水で希釈した後に卵黄を添加して均質化する工程を必要としており、簡便性に欠けるものであった。
特許文献11では、卵黄、乳固形分、糖類及びリン酸塩を含んで調整したカスタードを流動状態でUHT殺菌処理する殺菌済みカスタードソースの製造方法が開示されている。カスタードソースを流動状態でUHT殺菌処理する場合、本来熱凝固は起こらないが、リン酸塩を配合することで、加熱殺菌処理による目に見えない凝集物の発生を抑制して良好な食感のカスタードソースが得られることが開示されている。しかしながら、この文献はカルボナーラソースにおいて問題となる卵黄の熱凝固によるダマ感の防止について何ら示唆するものではない。
すなわち本発明は以下の通りである。
[1]卵黄液、リン酸塩、増粘多糖類及び架橋澱粉を含む冷凍カルボナーラソースであって、卵黄液に対して1.5質量%以上のリン酸塩を含み、リン酸塩の含有量はソース全量に対して1.2質量%以下である、前記冷凍カルボナーラソース。
[2]ソース全量に対して0.02〜0.5質量%の増粘多糖類を含む、前記[1]に記載の冷凍カルボナーラソース。
[3]ソース全量に対して0.15〜5質量%の架橋澱粉を含む、前記[1]または[2]に記載の冷凍カルボナーラソース。
[4]ソース全量に対して0.5〜8質量%の卵黄液を含む、前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の冷凍カルボナーラソース。
[5]前記架橋澱粉がリン酸架橋澱粉である前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の冷凍カルボナーラソース。
[6]卵黄液、リン酸塩、増粘多糖類及び架橋澱粉を含む原料を加熱混合処理した後、冷凍処理することを特徴とする、前記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の冷凍カルボナーラソースの製造方法。
本発明において「卵黄液」とは、常法により割卵した後に黄味と白身を分離し、回収した黄味を均質化したものである。使用する卵は食用に供される鳥類の卵であれば何れでもよく、ニワトリ、ウズラ、アヒル、ダチョウ等が例示される。好ましくはニワトリである。
ソース中の卵黄液の好ましい含量は0.5〜8質量%であり、0.5質量%未満では卵の風味が乏しい傾向にあり、8質量%を超えると加熱調理時に焦げ付きやすくなる傾向にある。
本発明において、リン酸塩は卵黄液に対して1.5質量%以上添加する。卵黄液に対してリン酸塩の添加量が1.5質量%未満では、卵黄液が加熱凝固してダマが生じて食感が悪くなる。リン酸塩は卵黄液に対して好ましくは2.5質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、最も好ましくは30質量%以上添加することができる。リン酸塩は卵黄液に対して好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下添加することができる。リン酸塩は卵黄液に対して1.5質量%以上含まれていれば卵黄液の熱凝固抑制効果を得ることができるが、カルボナーラソース全体に対して1.2質量%を超えて含まれると、リン酸塩の異味が出て食味が悪くなる。そのため、前述の卵黄液に対するリン酸塩の好ましい量にかかわらず、リン酸塩は、カルボナーラソース全体に対して1.2質量%以下である。
増粘多糖類はソース全体に対して0.02〜0.5質量%の範囲で配合することができる。好ましくは0.025〜0.43質量%であり、より好ましくは0.05〜0.3質量%である。0.5質量%を超えると、増粘多糖類特有の粘りが出るために滑らかさを損なう。0.02質量%未満では、卵黄特有の滑らかな粘度は得られるものの、全体としての粘度が低くなる。
架橋澱粉はソース全体に対して0.15〜5質量%の範囲で配合することができる。好ましくは0.3〜4.5質量%であり、より好ましくは1〜3.5質量%である。5質量%を超えると、澱粉特有の粘りが出るために滑らかさを損なう。0.15質量%未満では、卵黄特有の滑らかな粘度は得られるものの、全体としての粘度が低くなる。
本発明の冷凍カルボナーラソースの製造方法は、卵黄液、リン酸塩、増粘多糖類及び架橋澱粉を含む原料を加熱混合処理した後、冷凍処理する以外は、通常の冷凍カルボナーラソースの製造方法にしたがって製造することができる。卵黄又は全卵、チーズ及びクリーム類、更に必要に応じて添加される調味料等を含む原料混合物をゆっくりと加熱して卵黄がダマ状にならずに適度な粘度になる段階で加熱を停止し、得られたソースを常法で冷凍することにより製造することができる。
加熱混合処理の方法は特に限定されず、例えば原料を調理器に投入し、混合しながら80〜90℃まで加熱し、80〜90℃で5〜15分間混合加熱することにより行うことができる。
冷凍処理の方法についても特に限定されず、例えば袋に充填して密封し、冷凍装置により急速冷凍することにより行うことができる。
製造例1 冷凍カルボナーラソースの製造
(1)下記配合表の原料を調理器に投入し、混合しながら中心温度が85℃になるまで昇温し、85℃で10分間混合加熱してカルボナーラソースを得た。
(2)真空冷却機にカルボナーラソースを投入し、中心温度が20℃になるまで冷却した。
(3)100gずつ袋に充填して密閉し、急速冷凍(−35℃、45分)して冷凍カルボナーラソースを得た。
*2:HPとは、ヒドロキシプロピル化の略である。HPリン酸架橋澱粉にはC☆CreamTex75710(カーギルジャパン社製)を使用した。
*3:卵黄液は、鶏卵を割卵して卵黄と卵白を分離し、卵黄を均質化したものである。
製造例1で得られた冷凍カルボナーラソースを98℃以上の湯煎で解凍し、皿に盛り付けた茹でスパゲッティー200gにかけて十分に混合し、10名の専門パネラーにより下記評価表に従って官能評価を行った。なお卵黄の熱凝固耐性付与を目的に、従来から酵素分解卵黄がカルボナーラソース等の卵黄含有食品に広く利用されていることから、酵素分解卵黄を使用したカルボナーラソース(対照例)の滑らかさ及びダマ感を各々3点及び5点とした。
表1記載の配合量のリン酸塩及び卵黄液とした以外は製造例1に従って冷凍カルボナーラソースを製造し、官能評価を行った。なお、対照例の酵素分解卵黄はヨークレートPD−1(太陽化学社製)を使用した。結果を表3に示す。
注*:卵黄液に対する質量%
表4記載の配合量のキサンタンガムとした以外は製造例1に従って冷凍カルボナーラソースを製造し、試験1と同様に官能評価を行った。結果を表4に示す。
キサンタンガムにはノヴァザン200メッシュ(エー・ディー・エム・ジャパン社製)を使用した。
表5記載の配合量のHPリン酸架橋澱粉とした以外は製造例1に従って冷凍カルボナーラソースを製造し、官能評価を行った。結果を表5に示す。
実施例9〜11では、何れも滑らかさ及びダマ感共に優れていた。実施例12では、卵黄特有の滑らかな粘度は得られていたが、全体として粘度不足のために滑らかさが劣り、軽い食感であった。実施例13では、粘度が高くなるために滑らかさが劣り、重い食感であった。
表5記載の各種澱粉を使用した以外は製造例1に従って冷凍カルボナーラソースを製造し、官能評価を行った。結果を表6に示す。
リン酸架橋澱粉にはC☆CreamTex75710(カーギルジャパン社製)を、アジピン酸架橋澱粉にはパインエース2(松谷化学工業社製)を、HP澱粉にはゆり(松谷化学工業社製)を、生澱粉には白雪(茶)(新進社製)を使用した。
実施例2、14〜15では、何れも滑らかさ及びダマ感共に優れていた。HP澱粉又は生澱粉を使用した比較例6および7は、冷凍解凍した際に離水が生じ、滑らかさが損なわれ、ボソボソとした食感であった。
Claims (4)
- 卵黄液、リン酸塩、増粘多糖類及び架橋澱粉を含む冷凍カルボナーラソースであって、
ソース全量に対して、前記卵黄液が0.5〜8質量%、前記リン酸塩が1.2質量%以下、前記増粘多糖類が0.02〜0.5質量%、前記架橋澱粉が0.15〜5質量%の範囲で含まれており、
前記リン酸塩の含有量が、前記卵黄液に対して1.5質量%以上である、
前記冷凍カルボナーラソース。 - 前記リン酸塩の含有量が、前記卵黄液に対して3.0質量%以上である、請求項1記載の冷凍カルボナーラソース。
- 前記架橋澱粉がリン酸架橋澱粉である請求項1又は2に記載の冷凍カルボナーラソース。
- 卵黄液、リン酸塩、増粘多糖類及び架橋澱粉を含む原料を加熱混合処理した後、冷凍処理することを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の冷凍カルボナーラソースの製造方法。」
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