JP6819925B2 - 蒸着マスク、蒸着マスク製造方法および有機半導体素子製造方法 - Google Patents

蒸着マスク、蒸着マスク製造方法および有機半導体素子製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、蒸着マスクに関する。また本発明は、蒸着マスク製造方法に関する。また本発明は、有機半導体素子製造方法に関する。
近年、スマートフォンやタブレットPC等の持ち運び可能なデバイスで用いられる表示装置に対して、高精細であること、例えば画素密度が400ppi以上であることが求められている。また、持ち運び可能なデバイスにおいても、ウルトラフルハイビジョンに対応することへの需要が高まっており、この場合、表示装置の画素密度が例えば800ppi以上であることが求められる。
表示装置の中でも、応答性の良さ、消費電力の低さやコントラストの高さのため、有機EL表示装置が注目されている。有機EL表示装置の画素を形成する方法として、所望のパターンで配列された貫通孔を含む蒸着マスクを用い、所望のパターンで画素を形成する方法が知られている。具体的には、はじめに、有機EL表示装置用の有機EL基板(被蒸着基板)に対して蒸着マスクを密着させ、次に、密着させた蒸着マスクおよび有機EL基板を共に蒸着装置に投入し、有機材料を有機EL基板に蒸着させる蒸着工程を行う。この場合、高い画素密度を有する有機EL表示装置を精密に作製するためには、蒸着マスクの貫通孔の位置や形状を設計に沿って精密に再現することが求められる。
蒸着マスク製造方法として、エッチング処理による方法も知られているが、蒸着マスクの厚みを低減し得る方法として、例えば特許文献1に開示されているように、めっき処理を利用して蒸着マスクを製造する方法が知られている。例えば特許文献1に記載の方法においては、はじめに、導電性を有する基材を準備する。次に、基材の上に、所定の隙間を空けてレジストパターンを形成する。このレジストパターンは、蒸着マスクの貫通孔が形成されるべき位置に設けられている。その後、レジストパターンの隙間にめっき液を供給して、電解めっき処理によって基材の上に金属層を析出させる。その後、金属層を基材から分離させることにより、複数の貫通孔が形成された蒸着マスクを得ることができる。
特開2001−234385号公報
蒸着材料を有機EL基板に蒸着させる蒸着工程においては、蒸着マスクに向かって飛来した蒸着材料は、貫通孔を通過して有機EL基板に付着する。この場合、蒸着材料は、有機EL基板に向けて蒸着マスクの法線方向に沿って移動するだけでなく、蒸着マスクの法線方向に対して大きく傾斜した方向に移動することもある。このことにより、蒸着材料の一部が貫通孔の壁面に付着し、堆積してしまい、いわゆる蒸着シャドーが発生する。この場合、蒸着材料の利用効率が低下し得るとともに、有機EL基板に付着した蒸着材料の厚みが不均一となり、蒸着品質が低下するおそれがある。蒸着材料の厚みが不均一となると、画素全体を一様の強度で発光できなくなるという問題が生じ得る。
そこで、蒸着シャドーの発生を抑制するために、蒸着マスクの厚みを薄くすることが考えられている。めっき処理を利用して蒸着マスクを製造する方法において、例えば10μm以下の厚みで蒸着マスクの金属層を製作することは実現可能である。しかしながら、金属層の厚みを薄くすると、蒸着マスクの強度が低下してしまう。このような蒸着マスクを繰り返して使用する場合、有機EL基板への蒸着マスクの着脱時や、蒸着マスクの超音波洗浄時に、蒸着マスクの変形や欠損が生じるおそれがある。
また、蒸着工程の際には、磁石からの磁力によって蒸着マスクと有機EL基板とが密着するようになるが、蒸着マスクの厚みが薄くなると、蒸着マスクに作用する吸着力が低下し、蒸着マスクと有機EL基板との密着性が低下し得る。この場合、蒸着マスクと有機EL基板との間に微小な隙間が形成され、この隙間に蒸着材料が入り込み得る。このため、蒸着材料により形成される画素の形状精度が低下し、蒸着品質が低下するおそれがある。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、変形や欠損を抑制するとともに、蒸着品質の向上を図ることができる蒸着マスク、蒸着マスク製造方法および有機半導体素子製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、蒸着マスクであって、第1金属層と、前記第1金属層に設けられ、前記蒸着材料を前記被蒸着基板に蒸着させる際に前記蒸着材料が通過する貫通孔と、を備え、前記第1金属層は、中央部と、前記中央部より前記貫通孔の側に設けられた先端部と、前記中央部および前記先端部に設けられ、前記蒸着材料を前記被蒸着基板に蒸着させる際に前記被蒸着基板に対向する第1金属面と、を有し、前記先端部は、前記蒸着マスクの法線方向に沿った断面で見たときに、前記第1金属面から最も離れた第1点を含み、前記第1点における前記先端部の厚みが、前記中央部の厚みより厚い蒸着マスク。
本発明による蒸着マスクにおいて、前記先端部は、最も前記貫通孔の内側に位置する第2点と、前記第1点から前記第2点に延び、前記貫通孔の内側に向かって凸となる湾曲状の第1孔画定線と、を更に含んでいてもよい。
本発明による蒸着マスクにおいて、前記法線方向で見たときの前記第2点の位置は、前記第1金属面より前記第1点の側にあり、前記先端部は、前記法線方向に沿った断面で見たときに、前記第2点から前記先端部の前記第1金属面に延び、前記貫通孔の内側に向かって凸となる湾曲状の第2孔画定線を更に含んでいてもよい。
本発明は、蒸着マスクであって、第1金属層と、前記第1金属層に設けられ、前記蒸着材料を前記被蒸着基板に蒸着させる際に前記蒸着材料が通過する貫通孔と、を備え、前記第1金属層は、中央部と、前記中央部より前記貫通孔の側に設けられた先端部と、前記中央部および前記先端部に設けられ、前記蒸着材料を前記被蒸着基板に蒸着させる際に前記被蒸着基板に対向する第1金属面と、を有し、前記先端部は、前記蒸着マスクの法線方向に沿った断面で見たときに、前記第1金属面から最も離れた第1点と、最も前記貫通孔の内側に位置するとともに前記法線方向で見たときの位置が前記第1金属面より前記第1点の側にある第2点と、前記第1点から前記第2点に延び、前記貫通孔の内側に向かって凸となる湾曲状の第1孔画定線と、前記第2点から前記先端部の前記第1金属面に延び、前記貫通孔の内側に向かって凸となる湾曲状の第2孔画定線と、を含んでいる蒸着マスク。
本発明による蒸着マスクにおいて、前記法線方向に沿った断面で見たときに、前記第2点と、前記第1金属面と前記第2孔画定線とが交わる第3点とを通る線の前記法線方向に対してなす角度は、0°よりも大きく、45°以下であってもよい。
本発明による蒸着マスクにおいて、前記第1孔画定線の曲率半径は、0.5〜5μmであってもよい。
本発明による蒸着マスクにおいて、前記第1金属面に、窪み部が形成されていてもよい。
本発明による蒸着マスクにおいて、前記第1金属面のうち、前記窪み部が形成されていない部分の幅は、0.5〜5μmの範囲内であってもよい。
本発明による蒸着マスクにおいて、前記第1金属層の前記第1金属面の側とは反対側に設けられた第2金属層であって、前記貫通孔が設けられた第2金属層を更に備えていてもよい。
本発明による蒸着マスクにおいて、前記第1金属層の前記第1金属面の側とは反対側に設けられた第2金属層であって、前記貫通孔が設けられた第2金属層を更に備え、前記蒸着マスクの法線方向に沿って前記蒸着マスクを見た場合に、前記第1金属層と前記第2金属層とが接続される接続部の輪郭は、前記第1金属面に形成された前記窪み部の外縁を囲っていてもよい。
本発明による蒸着マスクにおいて、前記第2金属層は、めっき層であってもよい。
本発明による蒸着マスクにおいて、前記第1金属層は、めっき層であってもよい。
本発明による蒸着マスクにおいて、前記中央部の厚みは、5μm以下であってもよい。
本発明は、蒸着マスク製造方法であって、所定の導電性パターンが形成された基材を準備する工程と、前記導電性パターン上に、めっき処理によって、前記貫通孔が設けられた第1金属層を形成する工程と、を備え、前記第1金属層は、中央部と、前記中央部より前記貫通孔の側に設けられた先端部と、前記中央部および前記先端部に設けられ、前記被蒸着基板に対向する第1金属面と、を有し、前記先端部は、前記蒸着マスクの法線方向に沿った断面で見たときに、前記第1金属面から最も離れた第1点を含み、前記第1点における前記先端部の厚みが、前記中央部の厚みより厚い蒸着マスク製造方法。
本発明による蒸着マスク製造方法において、前記先端部は、最も前記貫通孔の内側に位置する第2点と、前記第1点から前記第2点に延び、前記貫通孔の内側に向かって凸となる湾曲状の第1孔画定線と、を更に含んでいてもよい。
本発明は、蒸着マスク製造方法であって、所定の導電性パターンが形成された基材を準備する工程と、前記導電性パターン上に、めっき処理によって、前記貫通孔が設けられた第1金属層を形成する工程と、を備え、前記第1金属層は、中央部と、前記中央部より前記貫通孔の側に設けられた先端部と、前記中央部および前記先端部に設けられ、前記被蒸着基板に対向する第1金属面と、を有し、前記先端部は、前記蒸着マスクの法線方向に沿った断面で見たときに、前記第1金属面から最も離れた第1点と、最も前記貫通孔の内側に位置するとともに前記法線方向で見たときの位置が前記第1金属面より前記第1点の側にある第2点と、前記第1点から前記第2点に延び、前記貫通孔の内側に向かって凸となる湾曲状の第1孔画定線と、前記第2点から前記先端部の前記第1金属面に延び、前記貫通孔の内側に向かって凸となる湾曲状の第2孔画定線と、を含んでいる蒸着マスク製造方法。
本発明による蒸着マスク製造方法において、前記第1金属層から前記基材を分離する工程を更に備えていてもよい。
本発明による蒸着マスク製造方法において、前記基材を分離する工程において、前記基材および前記導電性パターンから分離された前記第1金属層に、前記導電性パターンに対応する形状を有する窪み部が形成されていてもよい。
本発明による蒸着マスク製造方法において、前記第1金属層上に、めっき処理によって、前記貫通孔が設けられた第2金属層を形成する工程を更に備えていてもよい。
本発明による蒸着マスク製造方法において、前記中央部の厚みは、5μm以下であってもよい。
本発明は、有機半導体素子製造方法であって、本発明による蒸着マスクを準備する工程と、前記蒸着マスクを使用して、前記被蒸着基板に前記蒸着材料をパターン状に蒸着させる工程と、を備えている有機半導体素子の製造方法。
本発明によれば、変形や欠損を抑制するとともに、蒸着品質の向上を図ることができる。
図1は、本発明の一実施の形態を説明するための図であって、蒸着マスクを含む蒸着マスク装置の一例を示す概略平面図である。 図2Aは、図1に示す蒸着マスク装置を用いて蒸着する方法を説明するための図である。 図2Bは、図1に示す蒸着マスク装置を用いて製造した有機EL表示装置を示す断面図である。 図3は、図1に示す蒸着マスクを示す部分平面図である。 図4は、図3に示す蒸着マスクのA−A線に沿った断面形状を示す図である。 図5Aは、図4に示す第1金属層および第2金属層を示す部分拡大図である。 図5Bは、図5Aに示す第1金属層の先端部を示す部分拡大図である。 図5Cは、図4に示す第1金属層および第2金属層の他の例を示す部分拡大図である。 図5Dは、図4に示す第1金属層および第2金属層の他の例を示す部分拡大図である。 図6は、図1に示す蒸着マスクを第1面側から示す平面図である。 図7Aは、図4に示す蒸着マスクを製造するために用いられるパターン基板を製造する方法の一例の一工程を示す図である。 図7Bは、図4に示す蒸着マスクを製造するために用いられるパターン基板を製造する方法の一例の一工程を示す図である。 図7Cは、図4に示す蒸着マスクを製造するために用いられるパターン基板を製造する方法の一例の一工程を示す図である。 図7Dは、図4に示す蒸着マスクを製造するために用いられるパターン基板を製造する方法の一例の一工程を示す図である。 図8Aは、図4に示す蒸着マスクをめっき処理によって製造する方法の一例の一工程を示す図である。 図8Bは、図4に示す蒸着マスクをめっき処理によって製造する方法の一例の一工程を示す図である。 図8Cは、図4に示す蒸着マスクをめっき処理によって製造する方法の一例の一工程を示す図である。 図9Aは、図4に示す蒸着マスクを有機EL基板に密着させる方法の一例の一工程を示す図である。 図9Bは、図4に示す蒸着マスクを有機EL基板に密着させる方法の一例の一工程を示す図である。 図9Cは、図4に示す蒸着マスクを有機EL基板に密着させる方法の一例の一工程を示す図である。 図10は、図5Aに示す第1金属層の変形例を示す部分拡大図である。 図11は、図6に示す蒸着マスクの変形例を示す平面図である。 図12は、図7Cに示す導電性パターンの変形例を示す部分拡大図である。 図13は、図5Aに示す第1金属層の他の変形例を示す部分拡大図である。 図14は、図7Cに示す導電性パターンの他の変形例を示す部分拡大図である。 図15は、図5Aに示す第1金属層の他の変形例を示す部分拡大図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1〜図9Cは、本発明の一実施の形態を説明するための図である。以下の実施の形態およびその変形例では、有機EL表示装置を製造する際に有機材料を所望のパターンで基板上にパターニングするために用いられる蒸着マスク製造方法および蒸着マスクを備えた蒸着マスク装置を、有機EL基板に密着させる方法を例にあげて説明する。ただし、このような適用に限定されることなく、種々の用途に用いられる蒸着マスク製造方法に対し、本発明を適用することができる。
なお、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「板」はシートやフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念である。
また、「板面(シート面、フィルム面)」とは、対象となる板状(シート状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となる板状部材(シート状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。また、板状(シート状、フィルム状)の部材に対して用いる法線方向とは、当該部材の板面(シート面、フィルム面)に対する法線方向のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件および物理的特性並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」、「同等」等の用語や長さや角度並びに物理的特性の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
(蒸着マスク装置)
まず、蒸着マスクを含む蒸着マスク装置の一例について、図1〜図2Bを参照して説明する。ここで、図1は、蒸着マスクを含む蒸着マスク装置の一例を示す平面図であり、図2Aは、図1に示す蒸着マスク装置の使用方法を説明するための図であり、図2Bは、図1に示す蒸着マスク装置を用いて製造した有機EL表示装置を示す断面図である。
図1及び図2Aに示された蒸着マスク装置10は、平面視において略矩形状の形状を有する複数の蒸着マスク20と、複数の蒸着マスク20の周縁部に取り付けられたフレーム15と、を備えている。蒸着マスク20は、蒸着マスク20の長手方向における一対の端部において、フレーム15に取り付けられている。フレーム15は、蒸着マスク20が撓んでしまうことがないように蒸着マスク20を張った状態に保持する。蒸着マスク20とフレーム15とは、例えばスポット溶接により互いに対して固定されている。各蒸着マスク20には、蒸着マスク20を貫通する複数の貫通孔25が設けられている。
次に、図2Aを参照して、有機EL表示装置(有機半導体素子)100を製造する方法について説明する。まず、蒸着マスク20と、フレーム15とを準備する。次に、上述したように、蒸着マスク20をフレーム15に取り付けることにより、蒸着マスク装置10を作製する。その後、蒸着マスク装置10を使用して、有機EL基板92に蒸着材料98をパターン状に蒸着させる。このようにして、図2Bに示すように、有機EL基板92に、蒸着材料98によってパターン状の画素が形成された有機EL表示装置100が作製される。
蒸着材料98を有機EL基板92に蒸着させる際、この蒸着マスク装置10は、図2Aに示すように、蒸着マスク20が蒸着対象物である基板(被蒸着基板)、例えば有機EL基板92の下面に対面するようにして蒸着装置90内に支持され、有機EL基板92への蒸着材料98の蒸着に使用される。
より具体的には、蒸着装置90内では、不図示の磁石からの磁力によって、蒸着マスク20と有機EL基板92とが密着するようになる。蒸着装置90内には、蒸着マスク装置10の下方に、蒸着材料(一例として、有機発光材料)98を収容するるつぼ94と、るつぼ94を加熱するヒータ96とが配置されている。蒸着装置90内を高真空に減圧した後、るつぼ94内の蒸着材料98は、ヒータ96からの加熱により、気化または昇華して有機EL基板92の表面に付着するようになる。上述したように、蒸着マスク20には多数の貫通孔25が形成されており、蒸着材料98はこの貫通孔25を通過して有機EL基板92に付着する。この結果、蒸着マスク20の貫通孔25の位置に対応した所望のパターンで、蒸着材料98が有機EL基板92の表面に成膜される。図2Aにおいて、蒸着マスク20の面のうち蒸着工程の際に有機EL基板92と対向する面(以下、第1面とも称する)が符号20aで表されている。また、蒸着マスク20の面のうち第1面20aの反対側に位置する面(以下、第2面とも称する)が符号20bで表されている。第2面20b側には、蒸着材料98の蒸着源(ここではるつぼ94)が配置される。
上述したように、本実施の形態では、貫通孔25が各有効領域22において所定のパターンで配置されている。なお、複数の色によるカラー表示を行いたい場合には、各色に対応する蒸着マスク20が搭載された蒸着機をそれぞれ準備し、有機EL基板92を各蒸着機に順に投入する。これによって、例えば、赤色用の有機発光材料、緑色用の有機発光材料および青色用の有機発光材料を順に有機EL基板92に蒸着させることができる。
ところで蒸着処理は、高温雰囲気となる蒸着装置90の内部で実施される場合がある。この場合、蒸着処理の間、蒸着装置90の内部に保持される蒸着マスク20、フレーム15および有機EL基板92も加熱される。この際、蒸着マスク20、フレーム15および有機EL基板92は、各々の熱膨張係数に基づいた寸法変化の挙動を示すことになる。この場合、蒸着マスク20やフレーム15と有機EL基板92の熱膨張係数が大きく異なっていると、それらの寸法変化の差異に起因した位置ずれが生じ、この結果、有機EL基板92上に付着する蒸着材料98の寸法精度や位置精度が低下してしまう。このような課題を解決するため、蒸着マスク20およびフレーム15の熱膨張係数が、有機EL基板92の熱膨張係数と同等の値であることが好ましい。例えば、有機EL基板92としてガラス基板が用いられる場合、蒸着マスク20およびフレーム15の主要な材料として、ニッケルを含む鉄合金を用いることができる。具体的には、34〜38質量%のニッケルを含むインバー材や、ニッケルに加えてさらにコバルトを含むスーパーインバー材などの鉄合金を、蒸着マスク20を構成する後述する第1金属層32および第2金属層37の材料として用いることができる。なお、本明細書において、「〜」という記号によって表現される数値範囲は、「〜」という符号の前後に置かれた数値を含んでいる。例えば、「34〜38質量%」という表現によって画定される数値範囲は、「34質量%以上かつ38質量%以下」という表現によって画定される数値範囲と同一である。
なお、蒸着処理の際に、蒸着マスク20、フレーム15および有機EL基板92の温度が高温には達しない場合は、蒸着マスク20およびフレーム15の熱膨張係数を有機EL基板92の熱膨張係数と同等の値にする必要は特にない。この場合、蒸着マスク20を構成する後述する第1金属層32および第2金属層37の材料として、ニッケルやニッケル−コバルト合金など、上述の鉄合金以外の様々な材料を用いることができる。
(蒸着マスク)
次に、蒸着マスク20について、図1、図3乃至図5Dを参照して詳細に説明する。ここで、図3は、蒸着マスク20を第1面20aの側から示す平面図であり、図4は、めっき処理によって作製された蒸着マスク20を、図3のA−A線に沿って切断した場合を示す断面図である。また、図5Aは、図4に示す第1金属層および第2金属層を示す部分拡大図であり、図5Bは、図5Aに示す第1金属層の先端部を示す部分拡大図であり、図5Cは、図4に示す第1金属層および第2金属層の他の例を示す部分拡大図であり、図5Dは、図4に示す第1金属層および第2金属層の他の例を示す部分拡大図である。
図1に示すように、本実施の形態において、蒸着マスク20は、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有している。蒸着マスク20は、規則的な配列で貫通孔25が形成された有効領域22と、有効領域22を取り囲む周囲領域23と、を含んでいる。周囲領域23は、有効領域22を支持するための領域であり、有機EL基板92へ蒸着されることを意図された蒸着材料98が通過する領域ではない。例えば、有機EL表示装置100用の有機発光材料の蒸着に用いられる蒸着マスク20においては、有効領域22は、有機発光材料が蒸着して画素を形成するようになる有機EL基板92の表示領域となる区域に対面する、蒸着マスク20内の領域のことである。ただし、種々の目的から、周囲領域23に貫通孔や凹部が形成されていてもよい。図1に示された例において、各有効領域22は、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有している。なお、図示はしないが、各有効領域22は、有機EL基板92の表示領域の形状に応じて、様々な形状の輪郭を有することができる。例えば各有効領域22は、円形状の輪郭を有していてもよい。
図示された例において、蒸着マスク20の複数の有効領域22は、蒸着マスク20の長手方向と平行な一方向に沿って所定の間隔を空けて一列に配列されている。図示された例では、一つの有効領域22が一つの有機EL表示装置100に対応するようになっている。すなわち、図1に示された蒸着マスク装置10(蒸着マスク20)によれば、多面付蒸着が可能となっている。
図3に示すように、図示された例において、各有効領域22に形成された複数の貫通孔25は、当該有効領域22において、互いに直交する二方向に沿ってそれぞれ所定のピッチで配列されている。本実施の形態においては、貫通孔25は、蒸着マスク20の法線方向に沿って蒸着マスク20を見た場合に格子状に配列されている。この貫通孔25の形状などについて、以下に詳細に説明する。ここでは、蒸着マスク20がめっき処理によって形成される場合の、貫通孔25の形状などについて説明する。
図4に示すように、蒸着マスク20は、所定のパターンで第1開口部30が設けられた第1金属層32と、第1金属層32上に設けられ、第1開口部30に連通する第2開口部35が設けられた第2金属層37と、を備えている。第1金属層32は、めっき処理によって作製された第1めっき層であって、第2金属層37よりも蒸着マスク20の第1面20a側に配置されている。第2金属層37は、めっき処理によって作製された第2めっき層であって、第1金属層32よりも蒸着マスク20の第2面20b側に配置されている。図4に示す例においては、第1金属層32が蒸着マスク20の第1面20aを構成し、第2金属層37が蒸着マスク20の第2面20bを構成している。上述したように第1面20aは、蒸着工程の際に有機EL基板92と対向する面となっている(図2A参照)。このようにして、第1金属層32は、蒸着材料98を有機EL基板92に蒸着させる際(蒸着工程の際)に、有機EL基板92の側に配置される。
本実施の形態においては、第1開口部30と第2開口部35とが互いに連通することにより、蒸着マスク20を貫通する貫通孔25が構成されている。この場合、蒸着マスク20の第1面20a側における貫通孔25の開口寸法や開口形状は、第1金属層32の第1開口部30によって画定される。一方、蒸着マスク20の第2面20b側における貫通孔25の開口寸法や開口形状は、第2金属層37の第2開口部35によって画定される。言い換えると、貫通孔25には、第1金属層32の第1開口部30によって画定される形状、および、第2金属層37の第2開口部35によって画定される形状の両方が付与されている。このようにして、蒸着材料98を有機EL基板92に蒸着させる際に蒸着材料98が通過する貫通孔25が、第1金属層32と第2金属層37とに設けられている。
図3に示すように、貫通孔25を構成する第1開口部30や第2開口部35は、平面視において略多角形状になっていてもよい。ここでは第1開口部30および第2開口部35が、略四角形状、より具体的には略正方形状になっている例が示されている。また図示はしないが、第1開口部30や第2開口部35は、略六角形状や略八角形状など、その他の略多角形状になっていてもよい。なお、「略多角形状」とは、多角形の角部が丸められている形状を含む概念である。また図示はしないが、第1開口部30や第2開口部35は、円形状になっていてもよい。また、平面視において第2開口部35が第1開口部30を囲う輪郭を有する限りにおいて、第1開口部30の形状と第2開口部35の形状が相似形になっている必要はない。
図4において、符号41は、第1金属層32と第2金属層37とが接続される接続部を表している。また符号S0は、第1金属層32と第2金属層37との接続部41における貫通孔25の寸法を表している。なお、図4においては、第1金属層32と第2金属層37とが接している例を示したが、これに限られることはなく、第1金属層32と第2金属層37との間にその他の層が介在されていてもよい。例えば、第1金属層32と第2金属層37との間に、第1金属層32上における第2金属層37の析出を促進させるための触媒層が設けられていてもよい。
図4乃至図5Bに示すように、本実施の形態による第1金属層32は、中央部42と、中央部42より貫通孔25の側(より詳細には、貫通孔25の中心側)に設けられた先端部43と、を有している。また、第1金属層32は、中央部42および先端部43に設けられた第1金属面32aと、第1金属面32aの側とは反対側の第2金属面32bと、を有している。このうち、第1金属面32aは、蒸着工程の際に有機EL基板92に対向する面となっている。すなわち、第1金属面32aが前述した蒸着マスク20の第1面20aを構成する。第2金属面32bは、第2金属層37が設けられる面となっている。すなわち、第2金属面32b上に第2金属層37が設けられている。なお、第1金属面32aには、後述する導電性パターン52の形状に対応する窪み部44が形成されている。この窪み部44は、詳細は後述するが、中央部42から先端部43にわたって形成されている。
本実施の形態による中央部42は、蒸着マスク20の法線方向Nで見たときに第2金属層37に重なる部分となっている。言い換えると、中央部42は、一方の接続部41から他方の接続部41までの間の部分となっている。先端部43は、第2金属層37よりも貫通孔25の内側に向って突出した部分となっている。このことにより、先端部43を有する第1金属層32の幅(第1面20aでの互いに隣り合う貫通孔25の間における貫通孔25の配列方向に沿った寸法)が、第2金属層37の幅(第2面20bでの互いに隣り合う貫通孔25の間における貫通孔25の配列方向に沿った寸法)より大きくなっている。
このように構成されていることにより、図4に示すように、第2面20bにおける貫通孔25(第2開口部35)の開口寸法S2が、第1面20aにおける貫通孔25(第1開口部30)の開口寸法S1よりも大きくなっている。また、接続部41における貫通孔25の寸法S0は、第1面20aにおける貫通孔25(第1開口部30)の開口寸法S1よりも大きくなっている。上述した先端部43は、第1金属層32の第2点45b(後述、図5A、図5B参照)と接続部41との間の部分に相当する。このようにして、先端部43によって第1開口部30が画定されている。
以下、このような先端部43を有する第1金属層32と第2金属層37を構成することの利点について説明する。
蒸着マスク20の第2面20b側から蒸着マスク20に向かって飛来する蒸着材料98は、貫通孔25の第2開口部35および第1開口部30を順に通過して有機EL基板92に付着する。有機EL基板92のうち蒸着材料98が付着する領域は、第1面20aにおける貫通孔25の開口寸法S1や開口形状によって主に定められる。ところで、図4において第2面20b側から第1面20aへ向かう矢印で示すように、蒸着材料98は、るつぼ94から有機EL基板92に向けて蒸着マスク20の法線方向Nに沿って移動するだけでなく、蒸着マスク20の法線方向Nに対して大きく傾斜した方向に移動することもある。ここで、仮に第2面20bにおける貫通孔25の開口寸法S2が第1面20aにおける貫通孔25の開口寸法S1と同一であるとすると、蒸着マスク20の法線方向Nに対して大きく傾斜した方向に移動する蒸着材料98の多くは、貫通孔25を通過して有機EL基板92に到達するよりも前に、貫通孔25の第2開口部35の壁面36に到達して付着してしまう。従って、蒸着材料98の利用効率を高めるためには、第2開口部35の開口寸法S2を大きくすることが好ましいと言える。
図4において、第2開口部35の端部38を通って、第1金属層32の先端部43と接する直線L1と、蒸着マスク20の法線方向Nとがなす角度が、符号θ1で表されている。斜めに移動する蒸着材料98を、第2開口部35の壁面36に到達させることなく可能な限り有機EL基板92に到達させるためには、角度θ1を大きくすることが有利となる。例えば角度θ1を45°以上にすることが好ましい。このため、第1金属層32が第2金属層37よりも貫通孔25の内側に向って突出している先端部43を有することにより、角度θ1を大きくすることができる。
上述の開口寸法S0、S1、S2、第1金属層32の幅、第2金属層37の幅は、有機EL表示装置100の画素密度や上述の角度θ1の所望値などを考慮して、適切に設定される。例えば、400ppi以上の画素密度の有機EL表示装置100を作製する場合、接続部41における貫通孔25の開口寸法S0は、15〜60μmの範囲内に設定され得る。また、第1面20aにおける第1開口部30の開口寸法S1は、10〜50μmの範囲内に設定され、第2面20bにおける第2開口部35の開口寸法S2は、15〜60μmの範囲内に設定され得る。一例として、400ppi相当の画素密度の有機EL表示装置100において、第1開口部30の開口寸法S1は40μmに、第1金属層32の幅は20μmに、第2金属層37の幅は8μmに設定され得る。また、600ppi相当の画素密度の有機EL表示装置100を作製する場合には、第1開口部30の開口寸法S1は30μmに、第1金属層32の幅は15μmに、第2金属層37の幅は5μmに設定され得る。さらに、800ppi相当の画素密度の有機EL表示装置100を作製する場合には、第1開口部30の開口寸法S1は20μmに、第1金属層32の幅は10μmに、第2金属層37の幅は4μmに設定され得る。
以下に、第1金属層32についてより詳細に説明する。
図5Aおよび図5Bに示すように、先端部43は、蒸着マスク20の法線方向Nに沿った断面で見たときに、第1金属面32aから最も離れた第1点45aと、最も貫通孔25の内側に位置する第2点45bと、を含んでいる。法線方向Nで見たときの第2点45bの位置は、第1金属面32aより第1点45a側(第2金属層37側)にある。ここで、法線方向Nで見たときの位置とは、第1金属面32aからの高さを意味していると置き換えることができる。従って、法線方向Nで見たときの第2点45bの位置が第1金属面32aより第1点45a側にあるとは、第2点45bが、二次元的に第1点45aと第1金属面32aとの間にあることを意味するのではなく、第2点45bの幅方向の位置に関わることなく、第2点45bの高さが、第1金属面32aより高いことを意味している。そして、第1点45aが、第1金属面32aから最も離れているため、第1点45aの第1金属面32aからの高さが最も高く、第2点45bの高さは、第1点45aよりも低いと言うことができる。
本実施の形態において、第1点45aにおける先端部43の厚みt1は、中央部42の厚みt2よりも厚くなっている。そして、先端部43の厚みは、この第1点45aにおいて最大となっている。ここで厚みt1とは、図5Aに示すように、第1金属面32aから、第1点45aまでの高さを意味している。同様に、厚みt2とは、第1金属面32aから、中央部42の第2金属面32bまでの高さを意味している。例えば、厚みt2は、第2金属面32bにおいて幅方向に等間隔で配置された5つの点P1、P2、P3、P4、P5における、第1金属層32の厚み(第1金属面32aから、中央部42の第2金属面32bまでの高さ)の平均値とすることができる。第2金属層37の壁面36が中央部42の第2金属面32bに垂直であるとみなせる場合には、両端の点P1、P5は接続部41に相当する。また、図5Cに示すように、法線方向Nに沿った断面で見たときに、第2金属層37の壁面36と第2金属面32bとの間に凹み部rが形成され、接続部41が第2金属層37の壁面36よりも貫通孔25の外側に設けられる場合がある。このような場合には、壁面36のうち、中央部42の第2金属面32bに垂直であるとみなせる部分から第1金属層32の側へ延びる仮想線Xを設け、当該仮想線Xと第2金属面32bとの交点をP1、P5としてもよい。また、図5Dに示すように、法線方向Nに沿った断面で見たときに、第2金属層37の壁面36と第2金属面32bとの間に凸部pが形成され、接続部41が第2金属層37の壁面36よりも貫通孔25の内側に設けられる場合がある。このような場合においても、壁面36のうち、中央部42の第2金属面32bに垂直であるとみなせる部分から第1金属層32の側へ延びる仮想線Xを設け、当該仮想線Xと第2金属面32bとの交点をP1、P5としてもよい。この仮想線Xを用いて中央部42の高さを測定する方法は、第1金属層32と第2金属層37との間の界面が明瞭でない場合にも適用できる。なお、本実施の形態では、中央部42上に第2金属層37が設けられており、中央部42は、幅方向にわたってほぼ一定の厚みとなっている。
また、先端部43の厚みt1および中央部の厚みt2を測定する場合には、まず、第1金属層32を含む試料を5mm角片に切断し、樹脂包埋する。次に、図4に示す断面が得られるように、ダイヤモンドナイフでトリミング加工する。この際、ミクロトーム(例えばライカマイクロシステムズ社製のウルトラミクロトーム)を使用して、測定目的位置から30μm離れた部分までトリミング加工する。次に、トリミング加工を行った切断面をけずることにより、観察用の切断面を作製する。この際、断面試料作製装置(例えばJOEL社製のクロスセクションポリッシャー)を使用して、飛び出し幅を30μm、電圧を5kV、時間を6時間に設定し、イオンビーム加工にて、切断面を削る。その後、得られた試料の切断面を測定する。この際、走査型電子顕微鏡(例えば、カールツァイス社製の走査型電子顕微鏡)を使用して、電圧を5kV、作動距離を3mm、観察倍率を5000倍または20000倍に設定し、切断面を観察する。このようにして、先端部43の厚みt1および中央部42の厚みt2を測定することができる。なお、撮影時の観察倍率基準は、Polaroid545とする。
先端部43は、法線方向Nに沿った断面で見たときに、第1点45aから第2点45bに延びる第1孔画定線46を含んでいる。この第1孔画定線46は、貫通孔25の内側に向かって凸となる湾曲状に形成されている。すなわち、本実施の形態による先端部43の形状は、角を持つ矩形状に比べて、角を持たない湾曲状の形状となっている。このことにより、蒸着材料98を蒸着させる際に、第1孔画定線46上に蒸着材料98が付着し、堆積することを抑制することができ、蒸着シャドーの発生を抑制することができる。また、先端部43のうち貫通孔25の側の部分の厚みを確保することができる。このような第1孔画定線46の曲率半径Rは、0.5μm〜5μmであることが好適である。0.5μm以上とすることにより、蒸着シャドーの発生を効果的に抑制でき、5μm以下とすることにより、先端部43の厚みを効果的に確保することができる。そして、先端部の厚みを効果的に確保することにより、蒸着マスク20の超音波洗浄時に、先端部43の一部(とりわけ、窪み部44が形成されている場合は、窪み部44から先端側の部分)が変形したり欠損したりすることを抑制できる。
また、先端部43は、法線方向Nに沿った断面で見たときに、第2点45bから先端部43の第1金属面32aに延びる第2孔画定線47を更に含んでいる。この第2孔画定線47は、貫通孔25の内側に向かって凸となる湾曲状に形成されている。このことにより、有機EL基板92への蒸着マスク20の着脱時や、蒸着マスク20の超音波洗浄時に、先端部43の一部(とりわけ、窪み部44が形成されている場合は、窪み部44から先端側の部分)が変形したり欠損したりすることを抑制できる。
また、先端部43は、第1点45aから中央部42の第2金属面32bに延びる第3孔画定線48を更に含んでいる。このような第1孔画定線46、第2孔画定線47および第3孔画定線48は、互いに滑らかに接続されて、貫通孔25の第1開口部30を画定している。
第2孔画定線47と第1金属面32aは、法線方向Nに沿った断面で見たときに、第3点45cによって交わって、互いに接続されている。この第3点45cは、第1金属面32a上における蒸着マスク20の外縁を画定している。また、この第3点45cは、第2点45bよりも貫通孔25の外側(中央部42の側)に位置している。すなわち、第2点45bと第3点45cとを通る線は、当該法線方向Nに対して傾斜しており、第2点45bと第3点45cとを通る線L2の法線方向Nに対してなす角度θ2は、0°よりも大きく、45°以下であることが好適である。このことにより、第1金属面32aと第2孔画定線47とが交わる第3点45cを、第2点45bよりも貫通孔25の外側に位置させることができる。このため、有機EL基板92への蒸着マスク20の着脱時に、先端部43の一部(とりわけ、窪み部44が形成されている場合は、窪み部44から先端側の部分)が変形したり欠損したりすることを抑制できる。さらに、角度θ2を0°よりも大きくすることで、蒸着マスク20の先端部43の強度を高くすることができる。また、角度θ2を45°以下にすることで、蒸着材料98を蒸着させる際に、蒸着マスク20と有機EL基板92との間に、過剰な隙間が形成されることを抑制できる。このため、蒸着材料98が当該隙間に回り込むことにより、所望の蒸着パターンよりも大きな形状の蒸着パターンが形成されてしまう、いわゆる蒸着パターン太りを抑制できる。
また、図5Bにおいて、第1金属層32のうち後述する導電性パターン52と重ならない部分の幅が符号wで表されている。幅wは、例えば0.5〜5μmの範囲内になる。導電性パターン52の寸法は、この幅wを考慮して設定される。
以下に、窪み部44について詳細に説明する。
上述の実施の形態および各変形例においては、第1金属層32を形成する第1成膜工程を実施するためのパターン基板50として、所定の厚みを有する導電性パターン52が設けられた基材51を用いる。また、第1金属層32は、基材51の法線方向に沿って見た場合に導電性パターン52と重なる部分だけでなく、導電性パターン52と重ならない部分にも形成される。このため、第1金属層32及び前記第2金属層37を含む蒸着マスク20をパターン基板50の基材51及び導電性パターン52から分離すると、第1金属層32によって構成される蒸着マスク20の第1面20a(第1金属面32a)には、 図5Aおよび図5Bに示すように、導電性パターン52に対応する形状を有する窪み部44が形成される。
以下の説明において、第1金属面32aのうち、窪み部44が形成されていない部分を最表面32cと称し、窪み部44が形成されている部分を窪み面44aと称する。また、最表面32cと窪み部44の窪み面44aとの境界を窪み部44の外縁44eと称する。最表面32cは、第1成膜工程において析出した第1金属層32のうち、導電性パターン52と重ならない部分に析出した第1金属層32の表面である。蒸着マスク20の法線方向において、最表面32cと第2面20bとの間の距離は、窪み面44aと第2面20bとの間の距離よりも大きい。
窪み部44の深さDは、パターン基板50の導電性パターン52の厚みに応じて定まる。例えば、導電性パターン52の厚みが50〜500nmの範囲内である場合、窪み部44の深さDは50〜500nmの範囲内になる。第1金属層32の中央部42の厚みt2は、上述の実施の形態の場合と同様に、0.5〜5μmの範囲内である。
図6は、蒸着マスク20の法線方向に沿って蒸着マスク20を第1面20a側から見た場合を示す平面図である。図6においては、第1金属面32aの最表面32cおよび窪み面44aに、互いに異なるハッチングを付している。また、図6においては、蒸着マスク20の第2面20b側に形成される第2金属層37の端部38、および、第1金属層32と第2金属層37とが接続される接続部41を点線で表している。第2金属層37の壁面36が蒸着マスク20の法線方向に平行に広がる場合、平面図において、接続部41の位置は第2金属層37の端部38の位置に一致する。
図6に示すように、最表面32cおよび窪み部44の外縁44eは、第3点45cに沿って延びており、また、貫通孔25を囲う閉じた輪郭を有している。貫通孔25の輪郭線に直交する方向における最表面32cの幅wは、図5Bに示す、第1金属層32のうち導電性パターン52と重ならない部分の幅wに等しく、例えば0.5〜5μmの範囲内である。
好ましくは、図6に示すように、蒸着マスク20の法線方向に沿って蒸着マスク20を見た場合、第1金属層32と第2金属層37とが接続される接続部41の輪郭が、窪み部44の外縁44eを囲っている。言い換えると、第2金属層37は、第1金属層32のうち窪み部44が形成されている部分の上に積層されている。このように構成することの利点については後述する。蒸着マスク20の面方向における窪み部44の外縁44eと接続部41の輪郭との間の距離dは、例えば1.0〜16.5μmの範囲内である。
次に、図7A乃至図8Cを参照して、図4に示す蒸着マスク20を、めっき処理を利用して製造する方法について説明する。
(パターン基板準備工程)
はじめに、パターン基板50を準備する。ここでパターン基板50は、後述するように、基材51と、基材51上に形成された所定の導電性パターン52と、を有するように構成されものである。このようなパターン基板50を作製する方法の一例について以下に説明する。
はじめに、基材51を準備する。次に図7Aに示すように、導電性材料からなる導電層52aを形成する。導電層52aは、パターニングされることによって導電性パターン52となる層である。
絶縁性および適切な強度を有する限りにおいて、基材51を構成する材料や基材51の厚みが特に限られることはない。例えば基材51を構成する材料として、ガラスや合成樹脂などを用いることができる。
導電層52aを構成する材料としては、金属材料や酸化物導電性材料等の導電性を有する材料が適宜用いられる。金属材料の例としては、例えばクロムや銅などを挙げることができる。好ましくは、後述するレジストパターン55に対する高い密着性を有する材料が、導電性パターン52を構成する材料として用いられる。例えばレジストパターン55が、アクリル系光硬化性樹脂を含むレジスト膜など、いわゆるドライフィルムと称されるものをパターニングすることによって作製される場合、導電性パターン52を構成する材料として、ドライフィルムに対する高い密着性を有する銅または銅合金が用いられることが好ましい。
後述するように、導電層52aをパターニングすることによって形成される導電性パターン52の上には、導電性パターン52を覆うように第1金属層32が形成され、この第1金属層32はその後の工程で導電性パターン52から分離される。このため、第1金属層32のうち導電性パターン52と接する側の面の上には、通常、導電性パターン52の厚みに対応する窪み部44が形成される。この点を考慮すると、電解めっき処理に必要な導電性を導電性パターン52が有する限りにおいて、導電性パターン52の厚み、すなわち導電層52aの厚みは小さい方が、先端部43の強度を高くする点においては好ましい。例えば導電層52aの厚みは、50〜500nmの範囲内になっている。
次に図7Bに示すように、導電層52a上に、所定のパターンを有するレジストパターン53を形成する。レジストパターン53を形成する方法としては、後述するレジストパターン55の場合と同様に、フォトリソグラフィー法などが採用され得る。その後、図7Cに示すように、導電層52aのうちレジストパターン53によって覆われていない部分を、ウェットエッチングによって除去する。次に図7Dに示すように、レジストパターン53を除去する。これによって、第1金属層32に対応するパターンを有する導電性パターン52が形成されたパターン基板50を得ることができる。
(第1成膜工程)
次に、パターン基板50を利用して、めっき処理によって上述の第1金属層32を形成する第1成膜工程について説明する。まず図7Dに示すように、所定の導電性パターン52が形成された基材51を有するパターン基板50を準備する。導電性パターン52は、第1金属層32に対応するパターンを有している。
次に、導電性パターン52が形成された基材51上に第1めっき液を供給して、導電性パターン52上に第1金属層32を析出させる第1めっき処理工程を実施する。例えば、導電性パターン52が形成された基材51を、第1めっき液が充填されためっき槽に浸す。これによって、図8Aに示すように、基材51上に、所定のパターンで第1開口部30が設けられた第1金属層32を得ることができる。第1金属層32中央部42の厚みは、例えば5μm以下になっている。
なお、めっき処理の特性上、図8Aに示すように、第1金属層32は、基材51の法線方向に沿って見た場合に導電性パターン52と重なる部分だけでなく、導電性パターン52と重ならない部分にも形成され得る。これは、導電性パターン52の端面54と重なる部分に析出した第1金属層32の表面にさらに第1金属層32が析出するためである。このため、第1金属層32は、導電性パターン52から基材51の法線方向に析出されて成長するだけでなく、導電性パターン52の端面54から基材51の法線方向に直交する方向にも析出され成長していく。この結果、図8Aに示すように、第1金属層32の先端部43の第2点45bは、基材51の法線方向に沿って見た場合に導電性パターン52と重ならない部分に位置するようになり得る。
このようにして、図5Aおよび図5Bに示すような、先端部43を有する第1金属層32が得られる。ここで、先端部43の形状は、導電性パターン52の形状に従って金属材料が析出した結果として得られる。すなわち、導電性パターン52の端面54の上端(上側角部)付近で、金属材料は湾曲状に析出して成長していく。このとき、導電性パターン52の端面54では、めっき電流が集中している。このため、先端部43では、めっき成長が他の部分より早くなりやすい。ここで、めっきの電流量等の条件を適切に制御することにより、先端部43では、中央部42よりも厚みを厚くすることが可能である。また、先端部43は、図5Aおよび図5Bに示すような第1孔画定線46を有するように形成され得る。また、端面54の下端(下側角部)付近では、基材51の存在により、めっき液の攪拌および流動が起きにくくなっている。このことにより、端面54の下端(下側角部)付近には、めっき液が入り込みにくくなっている。このため、金属材料の析出速度が低下し、第3点45cが、第2点45bよりも貫通孔25の外側に位置付けられ、図5Aおよび図5Bに示すような第2孔画定線47を有するように先端部43が形成される。
導電性パターン52上に第1金属層32を析出させることができる限りにおいて、第1めっき処理工程の具体的な方法が特に限られることはない。例えば第1めっき処理工程は、導電性パターン52に電流を流すことによって導電性パターン52上に第1金属層32を析出させる、いわゆる電解めっき処理工程として実施されてもよい。この場合、導電性パターン52上に触媒層が設けられていてもよい。
用いられる第1めっき液の成分は、第1金属層32に求められる特性に応じて適宜定められる。例えば第1金属層32が、ニッケルを含む鉄合金によって構成される場合、第1めっき液として、ニッケル化合物を含む溶液と、鉄化合物を含む溶液との混合溶液を用いることができる。例えば、スルファミン酸ニッケルや臭化ニッケルを含む溶液と、スルファミン酸第一鉄を含む溶液との混合溶液を用いることができる。めっき液には、様々な添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、ホウ酸などのpH緩衝剤、サッカリンナトリウなどの一次光沢剤、ブチンジオール、プロパギルアルコール、クマリン、ホルマリン、チオ尿素などの二次光沢剤や、酸化防止剤などが用いられ得る。
(第2成膜工程)
次に、めっき処理によって、第1開口部30に連通する第2開口部35が設けられた第2金属層37を第1金属層32上に形成する第2成膜工程を実施する。まず、基材51上および第1金属層32の先端部43上に、所定の隙間56を空けてレジストパターン55を形成するレジスト形成工程を実施する。図8Bは、基材51上に形成されたレジストパターン55を示す断面図である。図8Bに示すように、レジスト形成工程は、第1金属層32の第1開口部30がレジストパターン55によって覆われるとともに、レジストパターン55の隙間56が第1金属層32の中央部42上に位置するように実施される。
以下、レジスト形成工程の一例について説明する。はじめに、基材51上および第1金属層32の先端部43上にドライフィルムを貼り合わせることによって、ネガ型のレジスト膜を形成する。ドライフィルムの例としては、例えば日立化成製のRY3310など、アクリル系光硬化性樹脂を含むものを挙げることができる。また、レジストパターン55用の材料を基材51上に塗布し、その後に必要に応じて焼成を実施することにより、レジスト膜を形成してもよい。次に、レジスト膜のうち隙間56となるべき領域に光を透過させないようにした露光マスクを準備し、露光マスクをレジスト膜上に配置する。その後、真空密着によって露光マスクをレジスト膜に十分に密着させる。なお、レジスト膜として、ポジ型のものが用いられてもよい。この場合、露光マスクとして、レジスト膜のうちの除去したい領域に光を透過させるようにした露光マスクが用いられる。
その後、レジスト膜を露光マスク越しに露光する。さらに、露光されたレジスト膜に像を形成するためにレジスト膜を現像する。以上のようにして、図8Bに示すように、第1金属層32の中央部42上に位置する隙間56が設けられるとともに第1金属層32の第1開口部30を覆うレジストパターン55を形成することができる。なお、レジストパターン55を基材51および第1金属層32に対してより強固に密着させるため、現像工程の後にレジストパターン55を加熱する熱処理工程を実施してもよい。
次に、レジストパターン55の隙間56に第2めっき液を供給して、第1金属層32の中央部42上に第2金属層37を析出させる第2めっき処理工程を実施する。例えば、第1金属層32が形成された基材51を、第2めっき液が充填されためっき槽に浸す。これによって、図8Cに示すように、第1金属層32の中央部42上に第2金属層37を形成することができる。第2金属層37の厚みは、蒸着マスク20全体の厚みが3〜50μmの範囲内になるように設定される。例えば第2金属層37の厚みは、1〜50μm、より好ましくは2〜40μm、さらに好ましくは2〜30μm、さらに好ましくは2〜20μmの範囲内になっている。
第1金属層32の中央部42上に第2金属層37を析出させることができる限りにおいて、第2めっき処理工程の具体的な方法が特に限られることとはない。例えば、第2めっき処理工程は、第1金属層32に電流を流すことによって第1金属層32上に第2金属層37を析出させる、いわゆる電解めっき処理工程として実施されてもよい。若しくは、第2めっき処理工程は、無電解めっき処理工程であってもよい。なお、第2めっき処理工程が無電解めっき処理工程である場合、第1金属層32上には適切な触媒層が設けられていてもよい。電解めっき処理工程が実施される場合にも、第1金属層32上に触媒層が設けられていてもよい。
用いられる第2めっき液の成分は、第1めっき液の場合と同様に、第2金属層37に求められる特性に応じて適宜定められる。例えば第2金属層37が、ニッケルを含む鉄合金によって構成される場合、第2めっき液として、ニッケル化合物を含む溶液と、鉄化合物を含む溶液との混合溶液を用いることができる。例えば、スルファミン酸ニッケルや臭化ニッケルを含む溶液と、スルファミン酸第一鉄を含む溶液との混合溶液を用いることができる。めっき液には、様々な添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、ホウ酸などのpH緩衝剤、サッカリンナトリウなどの一次光沢剤、ブチンジオール、プロパギルアルコール、クマリン、ホルマリン、チオ尿素などの二次光沢剤や、酸化防止剤などが用いられ得る。
なお、図8Cにおいては、レジストパターン55の上面と第2金属層37の上面とが一致するようになるまで第2めっき処理工程が継続される例を示したが、これに限られることはない。第2金属層37の上面がレジストパターン55の上面よりも下方に位置する状態で、第2めっき処理工程が停止されてもよい。
その後、レジストパターン55を除去する除去工程を実施する。例えばアルカリ系剥離液を用いることによって、レジストパターン55を基材51、第1金属層32や第2金属層37から剥離させることができる。
(分離工程)
次に、第1金属層32および第2金属層37の組み合わせ体を、基材51を有するパターン基板50から分離させる分離工程を実施する。これによって、所定のパターンで第1開口部30が設けられた第1金属層32と、第1開口部30に連通する第2開口部35が設けられた第2金属層37と、を備えた蒸着マスク20を得ることができる。
次に、図9A乃至図9Cを参照して、図4に示す蒸着マスク20を、図2Aに示す有機EL基板92に密着させる方法について説明する。
(位置調整工程)
位置調整工程においては、図9Aに示すように、蒸着マスク20が有機EL基板92に接触して有機EL基板92の表面が傷ついてしまうことを抑制するため、有機EL基板92と蒸着マスク20の第1面20aとの間に所定の間隔を空けた状態で蒸着マスク20を有機EL基板92の面方向に沿って移動させて、蒸着マスク20の位置を調整する。
(密着工程)
位置調整工程の後、図9Bに示すように、蒸着マスク20を有機EL基板92に密着させる密着工程を実施する。例えば、不図示の磁石からの磁力を利用して、蒸着マスク20を有機EL基板92へ近づけ、蒸着マスク20の第1面20aと有機EL基板92とを接触させる。その後、有機材料などを有機EL基板92に蒸着させる蒸着工程を実施する。なお、磁石からの磁力などの力が蒸着マスク20に作用すると、図9Cに示すように、第1金属層32のうち窪み部44が形成されるとともに第2金属層37とは重ならない部分が変形して窪み部44の窪み面44aの一部が有機EL基板92に接触することが考えられる。
上述のようにして蒸着マスク20を製造することの利点について、以下に説明する。
本実施の形態において、第1点45aから第2点45bに、貫通孔25の内側に向かって凸となる湾曲状の第1孔画定線46が延びている。このことにより、蒸着材料98を蒸着させる際に、第1孔画定線46上に蒸着材料98が付着し、堆積することを抑制することができる。このため、蒸着シャドーの発生を抑制し、蒸着品質の向上を図ることができる。また、角を持たない湾曲状でかつ厚みを効果的に確保できる本実施の形態による先端部43の形状は、超音波マスク洗浄での先端部43の一部(とりわけ、窪み部44が形成されている場合は、窪み部44から先端側の部分)が変形したり欠損したりすることを抑制できる。
また、本実施の形態においては、上述したように先端部43が第1孔画定線46を含んでいることにより、先端部43のうち貫通孔25の側の部分の厚みを確保することができ、先端部43の強度を高くすることができる。また、第1点45aにおける先端部43の厚みが、中央部42の厚みより厚くなっている。このことによっても、蒸着マスク20の強度を高くすることができる。
ここで、蒸着工程の際には、蒸着材料98(図2A参照)は、蒸着マスク20の第2面20b側から飛来し、貫通孔25の第2開口部35および第1開口部30を順に通過する。このため、先端部43のうち第2金属面32bに蒸着材料98が付着し、堆積する可能性がある。このようにして蒸着材料98が付着し、堆積した蒸着マスク20を用いて別の有機EL基板92に蒸着材料98を蒸着させる際には、この堆積した蒸着材料98が蒸着シャドーになって、蒸着材料98の利用効率が低下するおそれがある。そこで、堆積した蒸着材料98を除去するために、蒸着マスク20を洗浄(より具体的には超音波洗浄)することが好適である。しかしながら、この洗浄の際、先端部43の強度が低いと蒸着マスク20の先端部43に変形や欠損が生じるおそれがある。
これに対して本実施の形態によれば、上述したように、先端部43が第1孔画定線46を含んでいるとともに、第1点45aにおける先端部43の厚みが、中央部42の厚みより厚くなっている。このことにより、先端部43の強度を高くすることができる。このため、蒸着マスク20の超音波洗浄時に、蒸着マスク20の先端部43(とりわけ、窪み部44が形成されている場合は、窪み部44から先端側の部分)に変形や欠損が生じることを抑制できる。有機EL基板92への蒸着マスク20の着脱時においても同様に蒸着マスク20に変形や欠損が生じることを抑制できる。
また、先端部43の厚みを確保できることにより、蒸着材料98を蒸着させる際に、磁石によって先端部43に作用する吸着力を増大させることもできる。このため、先端部43と有機EL基板92との密着性を向上させることができ、蒸着材料98により形成される画素の形状精度を向上させることができる。この結果、蒸着品質の向上を図ることができる。
また、本実施の形態において、第2点45bから先端部43の第1金属面32aに、貫通孔25の内側に向かって凸となる湾曲状の第2孔画定線47が延びている。このことにより、有機EL基板92への蒸着マスク20の着脱時や、蒸着マスク20の超音波洗浄時に、先端部43の一部(とりわけ、窪み部44が形成されている場合は、窪み部44から先端側の部分)が変形したり欠損したりすることを抑制できる。
次に、上述のようにして蒸着マスク20を、有機EL基板92に密着させることの利点について、以下に説明する。
位置調整工程の際には、有機EL基板92と蒸着マスク20の第1面20aとの間の間隔が小さいほど、有機EL基板92に対する蒸着マスク20の相対的な位置を精度よく検出することができ、従って、蒸着マスク20の位置を精密に調整することができる。一方、有機EL基板92と蒸着マスク20の第1面20aとの間の間隔が小さいほど、蒸着マスク20の位置調整の誤差や蒸着マスク20のたわみなどに起因して蒸着マスク20が有機EL基板92に接触する可能性が高くなる。
ここで本実施の形態によれば、蒸着マスク20の第1面20aに窪み部44が形成されている。窪み部44の窪み面44aは、最表面32cよりも有機EL基板92から遠ざかる位置にある。このため、窪み面44aが有機EL基板92に接触する可能性は、最表面32cが有機EL基板92に接触する可能性よりも低い。従って、第1金属面32aに窪み部44を形成することにより、蒸着マスク20の位置調整の誤差や蒸着マスク20のたわみが生じた場合であっても、有機EL基板92に接触する蒸着マスク20の面積を低減することができる。このことにより、有機EL基板92の表面が傷つくことを抑制することができる。例えば、有機EL基板92に予め形成されている配線や電極が傷つくことを抑制することができる。
ところで、蒸着工程の際に、第1金属面32aと第2孔画定線47とが交わる第3点45cにおける第1金属面32aと、有機EL基板92との間に隙間が空いていると、隙間に蒸着材料98が入り込み、有機EL基板92に付着する蒸着材料98の形状がばらついてしまう。従って、有機EL基板92に付着する蒸着材料98の形状を精密に制御するためには、蒸着マスク20の第1金属層32の第3点45cを有機EL基板92に確実に接触させることが重要になる。隙間は、蒸着マスク20の厚みが小さく、このため蒸着マスク20にたわみや波打ち形状などが表れている場合などに生じやすい。
ここで本実施の形態によれば、第1金属面32aに窪み部44が形成されているので、密着工程の際に蒸着マスク20を有機EL基板92へ近づけるとき、蒸着マスク20の最表面32cが窪み面44aよりも有機EL基板92に接触し易い。そして、蒸着マスク20の第1金属層32の第3点45c(第1金属面32a上における蒸着マスク20の外縁)は、最表面32cに位置している。従って、蒸着マスク20の第1金属層32の第3点45cをより確実に有機EL基板92に接触させることができる。
ところで、第1金属層32のうち蒸着マスク20の法線方向に沿って見た場合に第2金属層37と重ならない部分は、第1金属層32のうち第2金属層37と重なっている部分に比べて変形し易い。また、蒸着マスク20の第1金属層32に窪み部44が形成される場合、第1金属層32の厚みは、窪み部44の深さDの分だけ小さくなり、この結果、第1金属層32がさらに変形し易くなる。このため、磁石からの磁力などの力が蒸着マスク20に作用すると、図9Cに示すように、第1金属層32のうち窪み部44が形成されるとともに第2金属層37とは重ならない部分が変形して窪み部44の窪み面44aの一部が有機EL基板92に接触することが考えられる。蒸着マスク20の最表面32cに加えて窪み部44の窪み面44aの一部が有機EL基板92に接触することにより、蒸着マスク20をより強固に有機EL基板92に密着させることができる。
好ましくは、密着工程の際、はじめに、蒸着マスク20の最表面32cが有機EL基板92に接触し、その後、蒸着マスク20の窪み部44の窪み面44aが有機EL基板92に接触するよう、蒸着マスク20を有機EL基板92に近づける。これによって、蒸着マスク20の最表面32cの第3点45cを確実に有機EL基板92に接触させるとともに、蒸着マスク20を強固に有機EL基板92に密着させることができる。
また、本実施の形態によれば、先端部43の厚みを確保できるとともに、第1金属面32aに窪み部44が形成されていることにより、蒸着材料98を蒸着させる際に、磁石によって先端部43に作用する吸着力を増大させ、かつ、蒸着マスク20を強固に有機EL基板92に密着させることができる。このため、先端部43と有機EL基板92との密着性をより向上させることができ、蒸着材料98により形成される画素の形状精度をより向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明してきたが、本発明による蒸着マスク、蒸着マスク製造方法および有機半導体素子製造方法は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
上述した本実施の形態において、先端部43が、第1孔画定線46を含んでいなくてもよい。この場合においても、第1点45aにおける先端部43の厚みが、中央部42の厚みより厚くなっていることにより、蒸着マスク20の先端部43の変形や欠損を抑制するとともに、蒸着品質の向上を図ることができる。
また、上述した本実施の形態において、第2孔画定線47が、貫通孔25の内側に向って凸となる湾曲状に形成されていなくてもよい。この場合においても、先端部43が第1孔画定線46を含むとともに、第1点45aにおける先端部43の厚みが、中央部42の厚みより厚くなっていることにより、蒸着マスク20の先端部43の変形や欠損を抑制するとともに、蒸着品質の向上を図ることができる。
また、上述した本実施の形態において、第1点45aにおける先端部43の厚みが、中央部42の厚みと同一となっていてもよい。この場合においても、先端部43が第1孔画定線46および第2孔画定線47を含むことにより、蒸着マスク20の先端部43の変形や欠損を抑制するとともに、蒸着品質の向上を図ることができる。
(蒸着マスクの層構造の変形例)
また、上述した本実施の形態においては、蒸着マスク20が、第1金属層32と、第1金属層32上に設けられた第2金属層37と、を備え、2層構造で形成されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、第1金属層32上に第2金属層37が形成されることなく、例えば図10に示すような1層構造で形成されていてもよい。この場合においても、上述した本実施の形態による2層構造の蒸着マスク20と同様の効果を得ることができる。ここで、図10に示す形態においては、中央部42とは、第1金属層32を幅方向に3等分に分割した場合における中央の部分とすることができる。この場合、法線方向Nに沿った断面で見たときに、各先端部43の幅と中央部42の幅は等しくなっている。なお、図10に示す形態では、上述した本実施の形態の場合と同様に、第1点45aにおける先端部43の厚みt1は、中央部42の厚みt2よりも厚くなっている。そして、先端部43の厚みは、この第1点45aにおいて最大となっている。また、厚みt2は、上述した本実施の形態と同様に、第2金属面32bにおいて幅方向に等間隔で配置された5つの点P1、P2、P3、P4、P5における、第1金属層32の厚み(第1金属面32aから、中央部42の第2金属面32bまでの高さ)の平均値とすることができる。また、第1金属面32aに窪み部44を形成することによって、有機EL基板92に接触する蒸着マスク20の面積を低減するという効果は、蒸着マスク20の層構造に依らず実現され得る。図10に示すように、蒸着マスク20を、1つの金属層(めっき層)のみによって構成し、金属層のうち蒸着マスク20の第1面20aを構成する面に、窪み部44を形成してもよい。
(貫通孔の配列の変形例)
また、上述の本実施の形態においては、蒸着マスク20の法線方向に沿って蒸着マスク20を見た場合に複数の貫通孔25が格子状に配列される例を示した。しかしながら、貫通孔25の配置が特に限られることはない。例えば図11に示すように、蒸着マスク20の法線方向に沿って蒸着マスク20を見た場合に複数の貫通孔25が千鳥足状に配列されていてもよい。
(窪み部の形状の変形例)
また、第1金属面32aの窪み部44は、上述のように、パターン基板50の導電性パターン52の形状に対応して形成される。従って、窪み部44の形状は、導電性パターン52の形状に基づいて定まる。以下、窪み部44の形状のいくつかの例について説明する。
図12は、ウェットエッチングによって導電層52aをパターニングした場合に得られるパターン基板50の導電性パターン52の一例を拡大して示す断面図である。また、図13は、図12に示すパターン基板50を用いて第1成膜工程を実施した場合に得られる蒸着マスク20を拡大して示す断面図である。
ウェットエッチングのように等方的に進行するエッチングが採用される場合、図12に示すように、導電性パターン52の端面54に窪みが形成されることがある。この場合、図13に示すように、蒸着マスク20の第1金属層32の窪み部44の側面44bは、窪み部44に向かって突出する。この結果、第1金属層32のうち窪み部44が形成されている部分の、蒸着マスク20の法線方向における変形が抑制されると考えられる。このため、有機EL基板92の面方向における蒸着マスク20の位置を調整する位置調整工程の際に第1金属面32aの窪み面44aが有機EL基板92に接触してしまうことをより確実に抑制することができる。また、蒸着マスク20の最表面32cの第3点45cをより確実に有機EL基板92に接触させることができる。
図14は、ウェットエッチングによって導電層52aをパターニングした場合に得られるパターン基板50の導電性パターン52のその他の例を拡大して示す断面図である。また、図15は、図14に示すパターン基板50を用いて第1成膜工程を実施した場合に得られる蒸着マスク20を拡大して示す断面図である。図14に示す導電性パターン52においては、端面54のうち基材51に接する部分が、端面54のうちレジストパターン53に接する側の部分よりも外側(導電性パターン52の中心から遠ざかる側)に位置する。言い換えると、導電性パターン52のすそ野部分が外側へ広がっている。図14に示す導電性パターン52は、導電層52aにウェットエッチングを施す時間が図12に示す形態の場合よりも短い場合に得られる。例えば、導電層52aにウェットエッチングを施す時間を、導電層52aの厚みを導電層52aのエッチングレートで割ることによって算出される時間、いわゆるジャストエッチング時間に設定することにより、図14に示す導電性パターン52が得られる。
図14に示す導電性パターン52のすそ野部分の位置は、ウェットエッチングを施す時間に応じて敏感に変動する。また、図15に示すように、導電性パターン52のすそ野部分の位置が外側にずれると、その分だけ蒸着マスク20の第1金属層32の第3点45cの位置も外側にずれる。従って、蒸着マスク20の第1金属層32の第3点45cの位置を安定に定めるためには、図12に示す形態のように、ウェットエッチング時間をジャストエッチング時間よりも大きくすることが好ましい。
一方、パターン基板50上に成膜された第1金属層32および第2金属層37からなる蒸着マスク20をパターン基板50から分離させる分離工程を容易化するためには、図14に示すように導電性パターン52が外側へ広がるすそ野部分を有することが好ましい。
(離型処理を実施する例)
蒸着マスク20をパターン基板50から分離させる分離工程を容易化するため、第1成膜工程を実施する前にパターン基板50に離型処理を施しておいてもよい。以下、離型処理の例について説明する。
まず、パターン基板50の表面の油分を除去する脱脂処理を実施する。例えば、酸性の脱脂液を用いて、パターン基板50の導電性パターン52の表面の油分を除去する。
次に、導電性パターン52の表面を活性化する活性化処理を実施する。例えば、その後のめっき処理において用いられるめっき液に含まれる酸性溶液と同一の酸性溶液を導電性パターン52の表面に接触させる。例えば、めっき液がスルファミン酸ニッケルを含む場合、スルファミン酸を導電性パターン52の表面に接触させる。
次に、導電性パターン52の表面に有機物の膜を形成する有機膜形成処理を実施する。例えば、有機物を含む離型剤を導電性パターン52の表面に接触させる。この際、有機膜の厚みを、有機膜の電気抵抗が、電解めっきによる第1金属層32の析出が有機膜によって阻害されない程度に薄く設定する。
なお、脱脂処理、活性化処理および有機膜形成処理の後には、パターン基板50を水で洗浄する水洗処理をそれぞれ実施する。
本変形例によれば、第1成膜工程を実施する前にパターン基板50に離型処理を施すことにより、蒸着マスク20をパターン基板50から分離させる分離工程を容易化することができる。
なお、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
20 蒸着マスク
25 貫通孔
32 第1金属層
32a 第1金属面
37 第2金属層
42 中央部
43 先端部
44 窪み部
44e 外縁
45a 第1点
45b 第2点
45c 第3点
46 第1孔画定線
47 第2孔画定線
51 基材
52 導電性パターン
92 有機EL基板
98 蒸着材料
100 有機EL表示装置
N 法線方向
R 曲率半径
t1 先端部の厚み
t2 中央部の厚み
w 幅
θ2 角度

Claims (15)

  1. 被蒸着基板に蒸着材料を蒸着させる蒸着マスクであって、
    第1金属層と、
    前記第1金属層に設けられ、前記蒸着材料を前記被蒸着基板に蒸着させる際に前記蒸着材料が通過する貫通孔と、
    記貫通孔が設けられた第2金属層と、を備え、
    前記第1金属層は、中央部と、前記中央部より前記貫通孔の側に設けられた先端部と、前記中央部および前記先端部に設けられ、前記蒸着材料を前記被蒸着基板に蒸着させる際に前記被蒸着基板に対向する第1金属面と、を有し、
    前記先端部は、前記蒸着マスクの法線方向に沿った断面で見たときに、前記第1金属面から最も離れた第1点を含み、
    前記第1点における前記先端部の厚みが、前記中央部の厚みより厚く、
    前記第2金属層は、前記第1金属層の前記第1金属面の側とは反対側に設けられ、
    前記第1金属面に、窪み部が形成され、
    前記蒸着マスクの法線方向に沿って前記蒸着マスクを見た場合に、前記第1金属層と前記第2金属層とが接続される接続部の輪郭は、前記第1金属面に形成された前記窪み部の外縁を囲っていることを特徴とする蒸着マスク。
  2. 前記先端部は、最も前記貫通孔の内側に位置する第2点と、前記第1点から前記第2点に延び、前記貫通孔の内側に向かって凸となる湾曲状の第1孔画定線と、を更に含んでいることを特徴とする請求項1に記載の蒸着マスク。
  3. 前記法線方向で見たときの前記第2点の位置は、前記第1金属面より前記第1点の側にあり、
    前記先端部は、前記法線方向に沿った断面で見たときに、前記第2点から前記先端部の前記第1金属面に延び、前記貫通孔の内側に向かって凸となる湾曲状の第2孔画定線を更に含んでいることを特徴とする請求項2に記載の蒸着マスク。
  4. 被蒸着基板に蒸着材料を蒸着させる蒸着マスクであって、
    第1金属層と、
    前記第1金属層に設けられ、前記蒸着材料を前記被蒸着基板に蒸着させる際に前記蒸着材料が通過する貫通孔と、
    記貫通孔が設けられた第2金属層と、を備え、
    前記第1金属層は、中央部と、前記中央部より前記貫通孔の側に設けられた先端部と、前記中央部および前記先端部に設けられ、前記蒸着材料を前記被蒸着基板に蒸着させる際に前記被蒸着基板に対向する第1金属面と、を有し、
    前記先端部は、前記蒸着マスクの法線方向に沿った断面で見たときに、前記第1金属面から最も離れた第1点と、最も前記貫通孔の内側に位置するとともに前記法線方向で見たときの位置が前記第1金属面より前記第1点の側にある第2点と、前記第1点から前記第2点に延び、前記貫通孔の内側に向かって凸となる湾曲状の第1孔画定線と、前記第2点から前記先端部の前記第1金属面に延び、前記貫通孔の内側に向かって凸となる湾曲状の第2孔画定線と、を含み、
    前記第2金属層は、前記第1金属層の前記第1金属面の側とは反対側に設けられ、
    前記第1金属面に、窪み部が形成され、
    前記蒸着マスクの法線方向に沿って前記蒸着マスクを見た場合に、前記第1金属層と前記第2金属層とが接続される接続部の輪郭は、前記第1金属面に形成された前記窪み部の外縁を囲っていることを特徴とする蒸着マスク。
  5. 前記法線方向に沿った断面で見たときに、前記第2点と、前記第1金属面と前記第2孔画定線とが交わる第3点とを通る線の前記法線方向に対してなす角度は、0°よりも大きく、45°以下であることを特徴とする請求項3または4に記載の蒸着マスク。
  6. 前記第1孔画定線の曲率半径は、0.5〜5μmであることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載の蒸着マスク。
  7. 前記第1金属面のうち、前記窪み部が形成されていない部分の幅は、0.5〜5μmの範囲内であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の蒸着マスク。
  8. 前記第2金属層は、めっき層であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の蒸着マスク。
  9. 前記第1金属層は、めっき層であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の蒸着マスク。
  10. 前記中央部の厚みは、5μm以下であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の蒸着マスク。
  11. 蒸着材料を被蒸着基板に蒸着させる際に、前記蒸着材料が通過する貫通孔が形成された蒸着マスクを製造する蒸着マスク製造方法であって、
    所定の導電性パターンが形成された基材を準備する工程と、
    前記導電性パターン上に、めっき処理によって、前記貫通孔が設けられた第1金属層を形成する工程と、
    前記第1金属層上に、めっき処理によって、前記貫通孔が設けられた第2金属層を形成する工程と、
    前記第1金属層から前記基材を分離する工程と、を備え、
    前記第1金属層は、中央部と、前記中央部より前記貫通孔の側に設けられた先端部と、前記中央部および前記先端部に設けられ、前記被蒸着基板に対向する第1金属面と、を有し、
    前記先端部は、前記蒸着マスクの法線方向に沿った断面で見たときに、前記第1金属面から最も離れた第1点を含み、
    前記第1点における前記先端部の厚みが、前記中央部の厚みより厚く、
    前記基材を分離する工程において、前記基材および前記導電性パターンから分離された前記第1金属層に、前記導電性パターンに対応する形状を有する窪み部が形成され、
    前記蒸着マスクの法線方向に沿って前記蒸着マスクを見た場合に、前記第1金属層と前記第2金属層とが接続される接続部の輪郭は、前記第1金属面に形成された前記窪み部の外縁を囲っていることを特徴とする蒸着マスク製造方法。
  12. 前記先端部は、最も前記貫通孔の内側に位置する第2点と、前記第1点から前記第2点に延び、前記貫通孔の内側に向かって凸となる湾曲状の第1孔画定線と、を更に含んでいることを特徴とする請求項11に記載の蒸着マスク製造方法。
  13. 蒸着材料を被蒸着基板に蒸着させる際に、前記蒸着材料が通過する貫通孔が形成された蒸着マスクを製造する蒸着マスク製造方法であって、
    所定の導電性パターンが形成された基材を準備する工程と、
    前記導電性パターン上に、めっき処理によって、前記貫通孔が設けられた第1金属層を形成する工程と、
    前記第1金属層上に、めっき処理によって、前記貫通孔が設けられた第2金属層を形成する工程と、
    前記第1金属層から前記基材を分離する工程と、を備え、
    前記第1金属層は、中央部と、前記中央部より前記貫通孔の側に設けられた先端部と、前記中央部および前記先端部に設けられ、前記被蒸着基板に対向する第1金属面と、を有し、
    前記先端部は、前記蒸着マスクの法線方向に沿った断面で見たときに、前記第1金属面から最も離れた第1点と、最も前記貫通孔の内側に位置するとともに前記法線方向で見たときの位置が前記第1金属面より前記第1点の側にある第2点と、前記第1点から前記第2点に延び、前記貫通孔の内側に向かって凸となる湾曲状の第1孔画定線と、前記第2点から前記先端部の前記第1金属面に延び、前記貫通孔の内側に向かって凸となる湾曲状の第2孔画定線と、を含み、
    前記基材を分離する工程において、前記基材および前記導電性パターンから分離された前記第1金属層に、前記導電性パターンに対応する形状を有する窪み部が形成され、
    前記蒸着マスクの法線方向に沿って前記蒸着マスクを見た場合に、前記第1金属層と前記第2金属層とが接続される接続部の輪郭は、前記第1金属面に形成された前記窪み部の外縁を囲っていることを特徴とする蒸着マスク製造方法。
  14. 前記中央部の厚みは、5μm以下であることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか一項に記載の蒸着マスク製造方法。
  15. 有機半導体素子製造方法であって、
    請求項1乃至10のいずれか一項に記載の蒸着マスクを準備する工程と、
    前記蒸着マスクを使用して、前記被蒸着基板に前記蒸着材料をパターン状に蒸着させる工程と、を備えたことを特徴とする有機半導体素子の製造方法。
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