JP6812634B2 - エレクトロクロミック素子 - Google Patents

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Description

本発明は、エレクトロクロミック素子に関する。
電荷の授受にて酸化還元反応が可逆的に起こり、可逆的に色が変化する現象をエレクトロクロミズムという。電気化学的な酸化還元反応により、発消色を行う方式(以下、エレクトロクロミックを「EC」ということがある)は、電子ペーパーなどの表示素子や調光レンズ、調光ガラス、調光窓、調光ミラーなどの調光デバイスへの展開が期待されている。
これらのEC素子装置の多くは、酸化と還元とにより発色と消色を行う物質を含む表示用組成物を、2枚の電極間に電解質組成物を挟持させて、ある間隔を確保して貼り合わせることが必要である。作成されたEC素子の発消色特性は、酸化極側EC層と還元極側EC層の表示組成物ばかりではなく、それらに挟持された電解質層の厚みにも依存している。電解質層の厚みは、イオン伝導度の大きさや応答速度に関与することから、EC素子特性を向上させる目的で、2枚の電極間のギャップ(電解質組成物の膜厚)を制御するための技術が開示されている(例えば、特許文献1〜7参照)。
特許文献1には、基材間のギャップを一定に保持するべく、2枚の電極間にガラス繊維や無機物粒子をスペーサ粒子として配置する手法が開示されている。特許文献2には、スペーサとしてワイヤー状にした繊維を用いることで大画面貼り合わせ時にも一定ギャップを担保する手法が開示されている。特許文献3には、高分子多孔膜中に繊維状の剛性体を挿入する手法が開示されている。しかしながら、これらの技術では、スペーサの屈折率と電解質層との屈折率の差が原因で、目視にてスペーサが確認できてしまう問題がある。
そこで、特許文献4のようにスペーサとして用いるガラスビーズと電解質層として用いるイオン伝導層との屈折率差を±0.03以下になるように組成物を組合せる方法や、特許文献5のように2枚の電極の端部にシール材を施し、ガラスビーズなどをスペーサとして用いることなく基材間のギャップを一定に保つ方法が提案されている。しかし、これらの手法では、柔軟性を有するPETフィルムや曲率を有する眼鏡曲面へのEC素子に用いた場合は、押圧により基材間のギャップが変化し、発消色に影響することがある。
また、特許文献6では、スペーサ表面を反応性材料で処理し、スペーサのECセル内での移動を防止する方法が提案され、特許文献7では、チキソトロピック剤にてスペーサをECセル内の所定位置に固定させる手法が提案されている。これらの従来技術では、基材の剛性や曲率によらず基材間のギャップを一定に保つことが可能であり、スペーサの視認性も抑制できる。しかし、各層の膨張や収縮差が原因で、製造時の加工外力や実使用時の温度変化によって、各層の密着不良が生じ、発消色に影響することがある。よって、電極間に設けられた各層間のギャップの保持と各層の密着性の双方を十分に満足するエレクトロクロミック素子は提供されていないのが現状である。
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、電極間に設けられた各層間のギャップを良好に保持可能なスペーサ機能を有し、かつ、前記各層間の密着性を向上させることが可能なエレクトロクロミック素子を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明のエレクトロクロミック素子は、第1の電極と、該第1の電極に対して間隔をおいて対向する第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極の間に設けられる電解質とを有するエレクトロクロミック素子であって、前記第1の電極と前記第2の電極との間に、酸化還元反応に伴って発消色するエレクトロクロミック層と、前記電解質からなる電解質層と、熱可塑性樹脂粒子と、を少なくとも有することを特徴とする。
本発明により、従来の前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、電極間に設けられた各層間のギャップを良好に保持可能なスペーサ機能を有し、かつ、前記各層間の密着性を向上させることが可能なエレクトロクロミック素子を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係るエレクトロクロミック素子の一構成例を模式的に示した断面図である。 本発明の第2の実施形態に係るエレクトロクロミック素子の一構成例を模式的に示した断面図である。 本発明の第3の実施形態に係るエレクトロクロミック素子の一構成例を模式的に示した断面図である。 従来技術のエレクトロクロミック素子の一構成例を模式的に示した断面図である。 本発明の実施例4で用いた熱可塑性樹脂粒子の加熱前後の状態変化を示す電子顕微鏡写真である。
以下、本発明の実施形態に係るエレクトロクロミック素子について説明する。本実施形態に係るエレクトロクロミック素子は、第1の電極と、該第1の電極に対して間隔をおいて対向する第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極の間に設けられる電解質とを有するエレクトロクロミック素子であって、前記第1の電極と前記第2の電極との間に、酸化還元反応に伴って発消色するエレクトロクロミック層と、前記電解質からなる電解質層と、熱可塑性樹脂粒子と、を少なくとも有してなり、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
また、本発明の実施形態に係るエレクトロクロミック素子は、前記第1の電極が、第1のエレクトロクロミック層(以下、「第1EC層」という)を有し、前記第2の電極が、第2のエレクトロクロミック層(以下、「第2EC層」という)を有し、前記電解質が、第1EC層と第2EC層に挟持されていることが好ましい。以下、各部材について詳細に説明する。
<熱可塑性樹脂粒子>
前記熱可塑性樹脂粒子は、スペーサの機能を有し、部材(基材)間のギャップ(間隔)を一定に保つ機能のほか、各部材間の密着性向上に寄与する。そのため、各部材間のギャップを一定に保つ目的で使用されているガラスビーズなどと併用して用いることも可能である。このような熱可塑性樹脂微粒子のサイズは、特に限定されないが、例えば、球状形態の場合には粒径として1μm〜100μm程度が好ましく、3μm〜50μm程度がより好ましい。例えば、電解質層のギャップ制御のスペーサ機能を持たせ、第1EC層と電解質層と第2EC層との密着性を向上させるには、5μm〜30μm程度が最も好ましい。この場合、粒径分布がより均一であると精細なギャップ制御を可能とするため、更に一層好ましい。熱可塑性樹脂粒子の含有量は、特に限定されないが、通常1個/cm2〜100000個/cm2、好ましくは10個/cm2〜100000個/cm2の範囲であることが望ましい。
このような熱可塑性樹脂粒子は、一般的な方法で得ることができる。一般的な方法として、例えば、予め準備された熱可塑性樹脂をサンドミル、メディアを有するボールミル、ダイノミル、圧力吐出型分散機(ゴーリンホモジナイザー、ゴーリン社製)回転剪断型ホモジナイザーなど各種機械的高剪断力により水系媒体に分散させる剪断乳化法、熱可塑性樹脂を有機溶剤に溶解した後、水系媒体を添加し転相させる転相乳化法などにより得ることができる。この中でも、上述の得られる粒子の粒径分布の観点から、エチレン性不飽和化合物を所望の粒径サイズに重合させる方法が好ましい。
本実施形態において、前記エチレン性不飽和化合物は、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、エチレン性不飽和結合を有する単量体であってもよい。前記エチレン性不飽和化合物として、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;イソプレン、ブテン、ブタジエンなどのオレフィン類などや、β−カルボキシエチルアクリレートなどが好適に挙げられる。
<第1の電極側の第1のエレクトロクロミック層(第1EC層)>
前記第1EC層は、前記第1の電極上に形成され、例えば、還元反応によって着色するエレクトロクロミック材料を含み、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。前記エレクトロクロミック材料としては、無機エレクトロクロミック化合物及び有機エレクトロクロミック化合物のいずれを用いても構わない。また、エレクトロクロミズムを示すことで知られる導電性高分子も用いることができる。前記第1EC層としては、導電性又は半導体性微粒子に有機エレクトロクロミック化合物を担持した構造を用いることが好ましい。具体的には、例えば、電極表面に粒径5nm〜100nm程度の微粒子を焼結し、前記微粒子の表面にホスホン酸やカルボキシル基、シラノール基等の極性基を有する有機エレクトロクロミック化合物を吸着した構造である。前記構造は、微粒子の大きな表面効果を利用して、効率よく有機EC化合物に電子が注入されるため、従来のエレクトロクロミック素子と比較して高速に応答する。更に、微粒子を用いることで第1EC層として透明な膜を形成することができるため、エレクトロクロミック色素の高い発色濃度を得ることができる。なお、複数種類の有機エレクトロクロミック化合物を導電性又は半導体性微粒子に担持することもできる。
前記エレクトロクロミック材料としては、例えば、ポリマー系又は色素系のエレクトロクロミック化合物が挙げられる。具体的には、例えば、アゾベンゼン系、アントラキノン系、ジアリールエテン系、ジヒドロプレン系、ジピリジン系、スチリル系、スチリルスピロピラン系、スピロオキサジン系、スピロチオピラン系、チオインジゴ系、テトラチアフルバレン系、テレフタル酸系、トリフェニルメタン系、トリフェニルアミン系、ナフトピラン系、ビオロゲン系、ピラゾリン系、フェナジン系、フェニレンジアミン系、フェノキサジン系、フェノチアジン系、フタロシアニン系、フルオラン系、フルギド系、ベンゾピラン系、メタロセン系等の低分子系有機エレクトロクロミック化合物、ポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性高分子化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、発消色電位が低く、良好な色値を示す点から、ビオロゲン系化合物又はジピリジン系化合物が好ましい。
前記ビオロゲン系化合物としては、例えば、特許第3955641号公報、特開2007−171781号公報、特開2008−116718号公報に記載の化合物などが挙げられる。これらの中でも、良好な発色の色値を示す点から、下記一般式(1)で表されるジピリジン系化合物が好ましい。
[一般式(1)]
前記一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、又はアリール基を表し、R1及びR2の少なくとも一方は、COOH、PO(OH)2、及びSi(OCk2k+13(ただし、kは、1〜20を表す)から選択される置換基を有する。前記一般式(1)において、Xは1価のアニオンを表す。前記一価のアニオンとしては、カチオン部と安定に対をなすものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Brイオン(Br-)、Clイオン(Cl-)、ClO4イオン(ClO4 -)、PF6イオン(PF6 -)、BF4イオン(BF4 -)などが挙げられる。前記一般式(1)において、n、m、及び1は、0、1又は2を表す。A、B、及びCは、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、又は複素環基を表す。
前記第1EC層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.2μm〜10.0μmが好ましい。前記厚みが、0.2μm未満であると、発色濃度が得にくくなることがあり、10.0μmを超えると、製造コストが増大すると共に、着色によって視認性が低下し易くなることがある。
<第2の電極側の第2のエレクトロクロミック層(第2EC層)>
前記第2EC層は、例えば、酸化反応によって着色するエレクトロクロミック材料を含んでなる。前記エレクトロクロミック材料として、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物を含有する。また、前記第2EC層は、エレクトロクロミック材料として、重合開始剤やトリアリールアミンを含まない他のラジカル重合性化合物を含有してもよく、更に必要に応じてその他の成分を含有させることも可能である。
<<トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物>>
前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物は、第2の電極の表面において酸化還元反応を有するエレクトロクロミック機能を付与するために重要である。前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物としては、下記一般式1で表される化合物が挙げられる。
[一般式1]
An−Bm
ただし、n=2のときにはmは0であり、n=1のときmは0又は1である。A及びBの少なくとも1つはラジカル重合性官能基を有する。前記Aは下記一般式2で示される構造であり、R1からR15のいずれかの位置で前記Bと結合している。前記Bは下記一般式3で示される構造であり、R16からR21のいずれかの位置で前記Aと結合している。
[一般式2]
[一般式3]
ただし、前記一般式2及び3中、R1からR21は、いずれも一価の有機基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、前記一価の有機基のうち少なくとも1つはラジカル重合性官能基である。
−一価の有機基−
前記一般式2及び前記一般式3における前記一価の有機基としては、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、アミド基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいモノアリールアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいジアリールアミノカルボニル基、スルホン酸基、置換基を有していてもよいアルコキシスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシスルホニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基、スルホンアミド基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいモノアリールアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいジアリールアミノスルホニル基、アミノ基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよい複素環基などが挙げられる。これらの中でも、安定動作及び光耐久性の点から、アルキル基、アルコキシル基、水素原子、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン基、アルケニル基、アルキニル基が特に好ましい。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。前記アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基などが挙げられる。前記複素環基としては、例えば、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、チアジアゾールなどが挙げられる。前記置換基に更に置換される置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
−ラジカル重合性官能基−
前記ラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であればいずれでもよい。前記ラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
(1)1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記一般式(i)で表される官能基が挙げられる。
ただし、前記一般式(i)中、X1は、置換基を有してもよいアリーレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R100)−基〔R100は、水素、アルキル基、アラルキル基、アリール基を表す。〕、又は−S−基を表す。
前記一般式(i)のアリーレン基としては、例えば、置換基を有してもよいフェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。前記アルケニレン基としては、例えば、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基などが挙げられる。前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基などが挙げられる。前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基などが挙げられる。前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
前記一般式(i)で表されるラジカル重合性官能基の具体例としては、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基などが挙げられる。
(2)1,1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記一般式(ii)で表される官能基が挙げられる。
ただし、前記一般式(ii)中、Yは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR101基〔R101は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又はCONR102103(R102及びR103は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基を表し、互いに同一又は異なっていてもよい。)〕を表す。また、X2は、前記一般式(i)のX1と同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y及びX2の少なくともいずれか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、芳香族環である。
前記一般式(ii)のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。 前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基などが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。
前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基などが挙げられる。
前記一般式(ii)で表されるラジカル重合性官能基の具体例としては、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基などが挙げられる。なお、これらX1、X2、Yについての置換基に更に置換される置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられる。前記ラジカル重合性官能基の中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が特に好ましい。
前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物としては、以下の一般式1−1から1−3で表される化合物が好適に挙げられる。
[一般式1−1]
[一般式1−2]
[一般式1−3]
前記一般式1−1から1−3中、R27からR89は、いずれも一価の有機基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、前記一価の有機基のうち少なくとも1つはラジカル重合性官能基である。前記一価の有機基及び前記ラジカル重合性官能基としては、前記一般式1と同じものが挙げられる。
前記一般式1、及び前記一般式1−1から1−3で表される例示化合物としては、以下に示すものが挙げられる。前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物はこれらに限定されるものではない。
<例示化合物1>
<例示化合物2>
<例示化合物3>
<例示化合物4>
<例示化合物5>
<例示化合物6>
<例示化合物7>
<例示化合物8>
<例示化合物9>
<例示化合物10>
<例示化合物11>
<例示化合物12>
<例示化合物13>
<例示化合物14>
<例示化合物15>
<例示化合物16>
<例示化合物17>
<例示化合物18>
<例示化合物19>
<例示化合物20>
<例示化合物21>
<例示化合物22>
<例示化合物23>
<例示化合物24>
<例示化合物25>
<例示化合物26>
<例示化合物27>
<例示化合物28>
<例示化合物29>
<例示化合物30>
<例示化合物31>
<例示化合物32>
<例示化合物33>
<例示化合物34>
<例示化合物35>
<例示化合物36>
<例示化合物37>
<例示化合物38>
<例示化合物39>
<例示化合物40>
<<他のラジカル重合性化合物>>
前記他のラジカル重合性化合物は、前記トリアリールアミン骨格を有するラジカル重合性化合物とは異なり、少なくとも1つのラジカル重合性官能基を有する化合物である。前記他のラジカル重合性化合物としては、例えば、重合性官能基数が1つの1官能ラジカル重合性化合物、重合性官能基数が2つの2官能ラジカル重合性化合物、重合官能基数が3つ以上の3官能以上のラジカル重合性化合物、機能性モノマー、ラジカル重合性オリゴマーなどが挙げられる。これらの中でも、官能基数が2つ以上のラジカル重合性化合物が特に好ましい。前記他のラジカル重合性化合物におけるラジカル重合性官能基としては、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物におけるラジカル重合性官能基と同様であり、これらの中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が特に好ましい。
前記1官能ラジカル重合性化合物としては、例えば、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記2官能ラジカル重合性化合物としては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記3官能以上のラジカル重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、上記において、EO変性はエチレンオキシ変性を指し、PO変性はプロピレンオキシ変性を指す。
前記機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報に記載のシロキサン繰り返し単位が20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系オリゴマー、ウレタンアクリレート系オリゴマー、ポリエステルアクリレート系オリゴマーなどが挙げられる。
前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物と、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる前記他のラジカル重合性化合物の、少なくともいずれか一方がラジカル重合性官能基を2つ以上有していることが、架橋物を形成する点から好ましい。前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物の含有量は、エレクトロクロミック組成物全量に対して、10質量%以上100質量%以下が好ましく、30質量%以上90質量%以下がより好ましい。前記含有量が、10質量%以上であると、エレクトロクロミック機能が充分に発現でき、加電圧による繰り返しの使用で耐久性が良好であり、発色感度が良好である。前記含有量が、100質量%でもエレクトロクロミック機能が可能であり、この場合、最も厚みに対する発色感度が高い。それに相反して電荷の授受に必要である電解質との相溶性が低くなる場合があるため、加電圧による繰り返しの使用で耐久性の低下などによる電気特性の劣化が現れる。使用されるプロセスによって要求される電気特性が異なるため一概には言えないが、発色感度と繰り返し耐久性の両特性のバランスを考慮すると30質量%以上90質量%以下がより好ましい。
<<重合開始剤>>
前記第2EC層は、エレクトロクロミック材料として、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物や、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる前記他のラジカル重合性化合物と前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物との混合物の重合反応を効率よく進行させるため、必要に応じて重合開始剤を含有することが好ましい。前記重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられるが、重合効率の観点から光重合開始剤が好ましい。
前記熱重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物系開始剤;アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸等のアゾ系開始剤、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等のアセトフェノン系又はケタール系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル系光重合開始剤;ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン等のベンゾフェノン系光重合開始剤;2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤;などが挙げられる。
その他の光重合開始剤としては、例えばエチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、光重合促進効果を有するものを単独又は前記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。
前記重合開始剤の含有量は、前記ラジカル重合性化合物の全量100質量部に対して、0.5質量部以上40質量部以下が好ましく、1質量部以上20質量部以下がより好ましい。
<<その他の成分>>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィラー、溶媒、可塑剤、レベリング剤、増感剤、分散剤、界面活性剤、酸化防止剤などが挙げられる。
前記第2EC層の平均厚みは、1μm以上30μm以下が好ましく、2μm以上20μm以下がより好ましく、4μm以上15μm以下が更に好ましい。
<電解質層>
前記電解質層を構成する前記電解質は、少なくともヒドロキシル基を含む1官能ラジカル重合性化合物と、2官能以上のラジカル重合性化合物と、イオン伝導性化合物からなり、重合開始剤を含有していてもよく、更に必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
<<イオン伝導性化合物>>
前記イオン伝導性化合物としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができ、具体的には、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3COO、KCl、NaClO3、NaCl、NaBF4、NaSCN、KBF4、Mg(ClO42、Mg(BF42などが挙げられる。
また、前記イオン伝導性化合物としては、イオン性液体を用いることもできる。これらの中でも、有機のイオン性液体は、室温を含む幅広い温度領域で液体を示す分子構造を有しているため、用いることが好ましい。前記分子構造として、カチオン成分としては、例えば、N,N−ジメチルイミダゾール塩、N,N−メチルエチルイミダゾール塩、N,N−メチルプロピルイミダゾール塩等のイミダゾール誘導体;N,N−ジメチルピリジニウム塩、N,N−メチルプロピルピリジニウム塩等のピリジニウム誘導体;トリメチルプロピルアンモニウム塩、トリメチルヘキシルアンモニウム塩、トリエチルヘキシルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム系などが挙げられる。また、アニオン成分としては、大気中での安定性を考慮して、フッ素を含んだ化合物を用いることが好ましく、例えば、BF4 -、CF3SO3 -、PF4 -、(FSO22-、(CF3SO22-などが挙げられる。前記イオン伝導性化合物としては、前記カチオン成分と前記アニオン成分とを任意に組み合わせたイオン性液体を用いることが好ましい。
<<ヒドロキシル基を含む1官能ラジカル重合性化合物>>
前記ヒドロキシル基を含む1官能ラジカル重合性化合物のラジカル重合性官能基としては、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物や、トリアリールアミンを含まないその他のラジカル重合性化合物と同様で、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が好ましい。前記ヒドロキシル基を含む1官能ラジカル重合性化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、グリセリンモノメタクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<2官能以上のラジカル重合性化合物>>
前記2官能以上のラジカル重合性化合物としては、前述のエレクトロクロミック組成物で記載した、2官能ラジカル重合性化合物、3官能以上のラジカル重合性化合物、多官能ラジカル重合性オリゴマーのいずれかを用いることができる。
前記イオン伝導性化合物の含有量は、電解質全量に対して、10質量%以上80質量%以下が好ましく、30質量%以上60質量%以下がより好ましい。含有量が10質量%未満だと、電解質として十分なイオン伝導度を与えることができない理由が挙げられる。また、80質量%を超えると加工性のよい固体電解質として振舞うことができない理由が挙げられる。
一方、ヒドロキシル基を含む1官能ラジカル重合性化合物、及び2官能以上のラジカル重合性化合物の合算含有量は前記イオン伝導性化合物の含有量の逆で、20質量%以上90質量%以下が好ましく、40質量%以上70質量%以下がより好ましい。含有量が20質量%未満だと加工性のよい固体電解質として振舞うことができない、また含有量が90質量%を超えると十分なイオン伝導性を与えることができない理由が挙げられる。電解質中の全ラジカル重合化合物における、ヒドロキシル基を含む1官能ラジカル重合性化合物の含有量に関しては、20重量%以上90重量%以下が好ましく、50重量%以上80重量%以下がより好ましい。ヒドロキシル基を含む1官能ラジカル重合性化合物が20重量%未満だと電解質と電極界面の密着力が不十分になりやすく、また90%を超えると2官能以上のラジカル重合性化合物が少なく電解質強度が不十分となる理由が挙げられる。
<<重合開始剤>>
前記重合開始剤としては、前述の第2EC層で記載した重合開始剤を用いることができる。前記重合開始剤の含有量は、前記ラジカル重合性化合物の全量100質量部に対して、0.5質量部以上40質量部以下が好ましく、1質量部以上20質量部以下がより好ましい。前記イオン伝導性化合物の、ラジカル重合性化合物に対する溶解性が悪い場合は、少量の溶媒に溶解させて、ラジカル重合性化合物と混合して用いればよい。
前記溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類、又はこれらの混合溶媒などが挙げられる。
前記電解質は、光硬化可能な電解質構成が好ましい。熱重合や溶剤を蒸発させることにより薄膜化する方法に比べて、低温かつ短時間で素子を製造できるためである。前記電解質からなる電解質層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100nm以上10μm以下が好ましい。
<第1の電極及び第2の電極>
前記第1の電極及び前記第2の電極の材料としては、導電性を有する透明材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スズをドープした酸化インジウム(以下、「ITO」という)、フッ素をドープした酸化スズ(以下、「FTO」という)、アンチモンをドープした酸化スズ(以下、「ATO」という)、酸化亜鉛等の無機材料などが挙げられる。これらの中でも、InSnO、GaZnO、SnO、In23、ZnOが好ましい。
更に、透明性を有するカーボンナノチューブや、他のAu、Ag、Pt、Cuなど高導電性の非透過性材料等を微細なネットワーク状に形成して、透明度を保持したまま、導電性を改善した電極を用いてもよい。また、ITOなどの導電性酸化物、Auなどの導電性金属、カーボンナノチューブなどの導電性カーボンをそれぞれ層状に積層した積層構造であってもよい。前記第1の電極及び前記第2の電極の材料としてITOを用いた場合、第1の電極及び第2の電極の各々の厚みは、例えば、50nm〜500nmであることが好ましい。
前記第1の電極及び前記第2の電極の各々の作製方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等を用いることができる。前記第1の電極及び前記第2の電極の各々の材料が塗布形成できるものであれば特に制限はなく、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法を用いることができる。
<その他の部材>
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、支持体、絶縁性多孔質層、劣化防止層、保護層、などが挙げられる。
−支持体−
前記支持体は、第1の電極、第1EC層、第2の電極、第2EC層等を支持する機能を有する。前記支持体としては、各層を支持できる透明材料であればよく、周知の有機ガラスや無機ガラスをそのまま用いることができる。
前記支持体としては、例えば、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、フロートガラス、ソーダ石灰ガラス等のガラス基板を用いることができる。又、支持体として、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、ポリイミド等の樹脂基板を用いてもよい。
また、前記基材の表面に、水蒸気バリア性、ガスバリア性、紫外線耐性、及び視認性を高めるために透明絶縁層、UVカット層、反射防止層等がコーティングされていてもよい。加工性と透明性をもつ支持体としては、ポリカーボネートを用いることが好適である。
前記支持体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、長方形であっても丸型であってもよい。前記支持体は、複数の重ね合わせでもよく、例えば、2枚のガラス基板でエレクトロクロミック素子を挟持する構造にすることで、水蒸気バリア性及びガスバリア性を高めることが可能である。
(エレクトロクロミック素子の製造方法)
本実施形態に係るエレクトロクロミック素子の製造方法は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられる電解質とを有するエレクトロクロミック素子の製造方法であって、塗布工程を含み、架橋工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
<塗布工程>
前記塗布工程は、前記第1の電極上に、前述した無機エレクトロクロミック化合物又は有機エレクトロクロミック化合物を含む第1のエレクトロクロミック組成物を塗布する工程である。また、第2の電極上に、前述したトリアリールアミン骨格を有するラジカル重合性化合物と、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物と、フィラーとを含む第2のエレクトロクロミック組成物を塗布する工程である。
前記第1又は第2のエレクトロクロミック組成物を含有する塗布液を前記第1、第2の電極上に塗布する。前記塗布液は、必要に応じて溶媒により希釈して塗布する。前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテル等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、前記溶媒による希釈率は、前記第1又は第2のエレクトロクロミック組成物の溶解性、塗工法、前記第1EC層又は第2EC層の厚みなどにより変わり、適宜選択することができる。前記塗布は、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法、リングコート法などにより行うことができる。
<架橋工程>
前記架橋工程は、塗布した第1、第2のエレクトロクロミック組成物に対し加熱又は光エネルギーを付与して架橋する工程である。前記第1、第2の電極上に前記第1、第2のエレクトロクロミック組成物を塗布後、外部からエネルギーを与え、硬化させて、第1、第2EC層を形成する。前記外部エネルギーとしては、例えば、熱、光、放射線などが挙げられる。前記熱のエネルギーを加える方法としては、空気、窒素等の気体、蒸気、又は各種熱媒体、赤外線、電磁波を用い塗工表面側、あるいは支持体側から加熱することによって行われる。
前記加熱温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60℃以上170℃以下が好ましい。前記光のエネルギーとしては、主に紫外光(UV)に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV照射光源が利用できるが、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。UVの照射光量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mW/cm2以上15,000mW/cm2以下が好ましい。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、例えば、第1の電極形成工程、第2の電極形成工程、熱可塑性樹脂粒子含有工程、貼り合わせ工程、などが挙げられる。第1の電極形成工程、第2の電極形成工程は、上記第1、第2の電極において説明した方法を用いて行うことができる。熱可塑性樹脂粒子含有工程としては、例えば、熱可塑性樹脂粒子を、前記電解質層に含有させる工程、前記第1EC層に含有させる工程、前記第2EC層に含有させる工程、前記電解質層と前記第1EC層と前記第2EC層の少なくともいずれかに含有させる工程のいずれかである。また、熱可塑性樹脂粒子を、少なくともイオン性液体を含有する電解質に分散させる工程であってもよい。
前記貼り合わせ工程としては、例えば、第1の電極上に第1EC層等が形成されたものと、第2の電極上に第2EC層等が形成されたものとを用意し、電解質を介してこれらを貼り合せることによって作製することができる。電解質が光や熱によって硬化可能な場合、貼り合せ後に硬化させることができる。
(第1〜第3の実施形態に係るエレクトロクロミック素子)
ここで、図1〜図3に、本発明の第1〜第3の実施形態に係るエレクトロクロミック素子100A〜100Cの一構成例を模式的に示す。図1〜図3に示すように、第1〜第3の実施形態に係るエレクトロクロミック素子100A〜100Cは、第1の支持体1と、第1の電極2と、第1EC層3と、電解質層4と、熱可塑性樹脂粒子5と、第2EC層6と、第2の電極7と、第2の支持体8とを備えている。各部材の詳細については前述したとおりである。
前記第1の支持体1上に前記第1の電極2が形成され、該第1の電極2の表面に、前記第1EC層3が形成されている。以下、これらの積層体を還元極側EC層10という。前記第2の支持体8上に前記第2の電極7が形成され、該第2の電極7の表面に、前記第2EC層6が形成されている。以下、これらの積層体を酸化極側EC層20という。電解質層4は、前記第1EC層3と前記第2EC層6との間に挟持されている。熱可塑性樹脂粒子5は、電解質層4の厚み制御のスペーサ機能と、第1EC層3と電解質層4と第2EC層6の密着性向上にも寄与する。第1、第2EC層3,6は、電気化学的酸化還元反応に伴って発消色する。
第1〜第3のエレクトロクロミック素子100A〜100Cは、前記還元極側EC層10と、前記酸化極側EC層20とをそれぞれ個別に作成し、電解質層4を介して互いを貼り合せることで作製することができる。
第1の実施形態に係るエレクトロクロミック素子100Aでは図1に示すように、熱可塑性樹脂粒子5を電解質層4に含有させ、電解質層4の膜厚調整に、該熱可塑性樹脂粒子5をスペーサとして使用している。この構成により、図1の紙面右図に示す×部位の密着性が向上する。貼り合せ後、ガラス転移温度Tg以上に加熱することで、熱可塑性樹脂粒子5は透明となり、バインダ機能が発現する。したがって、電解質層4の厚みとエレクトロクロミック素子100Aにおける第1EC層3と電解質層4の密着性、及び第2EC層6と電解質層4の間の密着性を向上させることができる。
第2の実施形態に係るエレクトロクロミック素子100Bは、図2に示すように、第1EC層3と電解質層4の間に熱可塑性樹脂粒子5を添加することで、図2の紙面右図に示す×部位の密着性が向上する。貼り合せ後、ガラス転移温度Tg以上に加熱することで、熱可塑性樹脂粒子5は透明となり、バインダ機能が発現することで、第1EC層3と電解質層4の間の密着性を向上させることができる。
第3の実施形態に係るエレクトロクロミック素子100Cは、図3に示すように、電解質層4と第2EC層6の間に熱可塑性樹脂粒子5を添加することで、図3の紙面右図に示す×部位の密着性が向上する。貼り合せ後、ガラス転移温度Tg以上に加熱することで、熱可塑性樹脂粒子5は透明となり、バインダ機能が発現することで、電解質層4と第2EC層6の間の密着性を向上させることができる。
(従来のエレクトロクロミック素子)
比較対象として、図4に従来のエレクトロクロミック素子100を示す。前記従来のエレクトロクロミック素子100は、第1の支持体1と、第1の電極2と、第1EC層3と、電解質層4と、熱硬化性樹脂粒子9と、第2EC層6と、第2の電極7と、第2の支持体8とを備えている。第1の支持体1、第1の電極2及び第1EC層3からなる還元極側EC層10と、第2の支持体8、第2の電極7及び第2EC層6からなる酸化極側EC層20とをそれぞれ個別に作成し、電解質層4を介して互いを貼り合せることで、前記従来のエレクトロクロミック素子100を作成する。
前記従来のエレクトロクロミック素子100では、スペーサとして前記熱硬化性樹脂粒子9が使用されている。貼り合せ後に、加熱処理(200℃、30分)しても、形状を維持している。すなわち、スペーサが透明ではなく、視認できてしまう。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
以下の作成例1〜3のようにして、熱可塑性樹脂粒子A〜Cを作製した。なお、熱可塑性樹脂微粒子のガラス転移温度Tgの測定には、示差走査熱量計DSC/RDC220(セイコーインスツルメント社製)を使用した。熱可塑性樹脂粒子の粒径の測定には、コールターマルチサイザーII型(ベックマン・コールター社製)を使用した。
(熱可塑性樹脂粒子Aの作成例1)
セパラブルフラスコ中に、イオン交換水300重量部とTTAB(テトラデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、シグマ社製)1.5重量部を仕込み、20分間、窒素置換を行った後、撹拌しながら65℃まで昇温した。
次に、n−ブチルアクリレートモノマー40重量部を加え、さらに20分間撹拌を行った。重合開始剤V−50(2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、和光純薬工業株式会社製)0.5重量部を予め、10重量部のイオン交換水に溶解後、フラスコ中に投入した。65℃で、3時間保持し、スチレンモノマー61重量部と、n−ブチルアクリレートモノマー9重量部、アクリル酸2重量部及び0.8重量部のドデカンチオールを0.5重量部のTTABを溶解したイオン交換水100重量部に乳化した乳化液を2時間かけて定量ポンプを用いてフラスコ中に連続的に投入した。温度を70℃に昇温し、さらに2時間保持して、重合を完了させた。その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6.0に調整した後、撹拌を継続しながら80℃まで加熱した。
80℃まで加熱するあいだ、水酸化ナトリウム水溶液を追加滴下し、pHが5.0以下とならないようにした。80℃で3時間保持した後、一部のスラリーを遠心脱水にて水洗乾燥し、粒径が約5μmの樹脂粒子が生成していたことを確認した。この他、−80℃から140℃の温度範囲のDSC解析を行ったところ、−50℃付近にポリブチルアクリレートによるガラス転移が観測され、また、60℃付近にスチレン−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体からなると考えられる共重合体による樹脂のガラス転移が観測された。残りのスラリーについては、水洗乾燥前にメタノール溶液に置換し、熱可塑性樹脂粒子のスラリー溶液とした。得られたスラリーを熱可塑性樹脂粒子Aとする。
(熱可塑性樹脂粒子Bの作成例2)
恒温水槽中で回転する密閉可能な反応容器内に、以下の成分を仕込んだ。
・イオン交換水:100重量部
・ポリビニルアルコール:6重量部
反応容器を室温でゆるやかに攪拌しポリビニルアルコール水溶液を作成した。これにスチレン80重量部とアクリル酸nブチル20重量部に予め溶解させた2,2’−アゾビスイソブチロニトリル2.0重量とを添加し、ホモジナイザーで攪拌させた後は、ゆっくりと一定の撹拌回転数で撹拌しながら65℃で6時間加熱し、懸濁重合を完了した。遠心脱水後、水洗乾燥し、熱可塑樹脂粒子の作成例1の場合と同様の方法にてスラリー液を得た。このときの粒径は、約20μmであった。この他、DSC解析を行ったところ67℃付近にスチレン−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体からなると考えられる共重合体による樹脂のガラス転移が観測された。得られたスラリーを熱可塑性樹脂粒子Bとする。
(熱可塑性樹脂粒子Cの作成3)
恒温水槽中で回転する密閉可能な反応容器内に、下記の成分を仕込んだ。
・メタノール:100重量部
・メチルビニルエーテル−マレイン酸共重合体:5重量部
反応容器を60℃でゆるやかに撹拌し約2時間でメチルビニルエーテル−マレイン酸共重合体を完全に溶解させ分散安定剤とした。この樹脂材料用の分散安定剤を溶解させたメタノール溶液250重量部を、恒温水槽中で回転する密閉可能な反応容器内に移し、室温まで冷却後に、下記の成分を仕込んだ。
・スチレン:80重量部
・アクリル酸nブチル:20重量部
反応容器を回転させることにより混合させながら、反応容器内にN2ガスを吹き込むことにより完全に空気を追い出し、容器を密閉した。その後水槽を60℃に保ち、毎分100回転で撹拌しながら重合を行った。このとき、開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル2.0重量部を用い、重合を開始した。重合開始から3時間後、1.0重量部のドデシルメルカプタンをメタノール30重量部に希釈して30分程度で重合系に添加した。なお、このときの重合率はガスクロマトグラフィーで内部標準法による測定の結果22%であった。さらに重合を続け24時間で重合を終了した。
重合終了後は、作成例1、2と同様の方法にて粒径が約5μmの熱可塑性樹脂粒子Cのスラリー液を得た。得られたスラリーを熱可塑性樹脂粒子Cとする。この熱可塑性樹脂粒子Cについて、DSC解析を行ったところ62℃付近にスチレン−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体からなると考えられる共重合体による樹脂のガラス転移が観測された。
(実施例1)
実施例1のエレクトロクロミック素子の作製例を、以下に示す。第1、第2の支持体及び第1、第2の電極としては、ITO付きポリカーボネート基板(50mm×50mm、厚み0.5mm、ITO膜厚約100nm)を用いた。以下に記載する第1EC層及び第2EC層の形成には、第1、第2の電極を酸素プラズマにて表面処理してから使用した。
<還元極側EC層の形成>
還元極側EC層を形成するために、酸素プラズマ処理した第1の電極としてのITO付きポリカーボネート上に、酸化チタンナノ粒子分散液(商品名:SP210、昭和タイタニウム株式会社製、平均粒径:約20nm)をスピンコート法により塗布した。次いで、120℃で5分間アニール処理を行うことによって、約1.0μmの多孔質酸化チタン膜からなるナノ構造半導体材料を形成させた。
次に、エレクトロクロミック化合物として、下記構造式Aで表される化合物を1.5重量%含む2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液を、スピンコート法により塗布した後、120℃×10分間アニール処理を行うことにより、多孔質酸化チタン膜に吸着させることにより、第1EC層を形成した。その後、50mm×50mmの第1の電極を、40mm×10mmのトムソン刃を使い、プレス機(テスター産業株式会社製)により4kNで打ち抜いた。これにより50mm×50mm1枚あたり、4枚の40mm×10mmサイズの還元極側EC層を得た。
<構造式A>
得られた還元極側EC層の第1EC層上に、上述の熱可塑性樹脂粒子Aをスピンコート法により塗布し、一昼夜真空乾燥させた。
<酸化極側EC層の形成>
酸化極側EC層を形成するために、以下に示す組成のエレクトロクロミック組成物を調製した。
[組成]
・1官能アクリレートを有するトリアリールアミン化合物(例示化合物35):70重量部
・2官能アクリレートを有するPEG400ジアクリレート(以下「PEG400DA」という。日本化薬株式会社製):30重量部
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5重量部
・メチルエチルケトン:900質量部
次に、得られたエレクトロクロミック組成物を、酸素プラズマ処理した第2の電極としてのITO付きポリカーボネート上にスピンコート法により塗布した。得られた塗布膜をUV照射装置(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE)により波長250nmのUVを10mW/cm2で60秒間照射し、60℃で4分間アニール処理を行うことにより、平均厚み1.0μmの架橋した第2EC層を形成した。還元極側EC層と同様に、トムソン刃を使い、プレス機(テスター産業株式会社製)により4kNで打ち抜いた。これにより50mm×50mm1枚あたり、4枚の40mm×10mmサイズの酸化極側EC層を得た。
<電解質層の形成>
電解質層を形成するために、以下に示す組成の電解質液を調製した。
[組成]
・PEG400DA(日本化薬株式会社製):50質量部
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):2質量部
・1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(関東化学社製):50質量部
得られた電解質液をマイクロピペットで15μL測り取り、前記酸化極側EC層の第1EC層に対して滴下した。その上に、電極の引き出し部分があるように5mmずらして、熱可塑性樹脂微粒子Aを散布した還元極側EC層を貼り合わせた。得られた貼り合せ素子を60℃で5分、ホットプレート上でアニール処理を行い、UV照射装置(ウシオ電機株式会社製SPOT CURE)により波長250nmのUVを10mW/cm2で60秒間照射した後、120℃、10分間アニール処理を行い、実施例1のエレクトロクロミック素子を作製した。得られた実施例1のエレクトロクロミック素子に対して、以下のような評価実験を行った。
<発消色駆動>
作製した実施例1のエレクトロクロミック素子の発消色を確認した。具体的には、還元極側EC層の第1の電極の引き出し部分と酸化極側EC層の第2の電極の引き出し部分との間に、+3Vの電圧を5秒間印加させたところ、前記第1の電極と前記第2の電極の重なった部分に、第1EC層および第2EC層に由来する黒色系の発色が確認できた。
次いで、前記還元極側EC層の第1の電極の引き出し部分と前記酸化極側EC層の第2の電極の引き出し部分との間に、−3Vの電圧を5秒間印加させたところ、前記還元極側EC層の第1の電極と前記酸化極側EC層の第2の電極の重なった部分が消色し、透明になることが確認できた。
<密着性評価>
また、得られた実施例1のエレクトロクロミック素子の電極対をカッターで一部剥離させて、ポリカーボネート基板を支持体とした両電極を90°に折り曲げた。折り曲げた電極にフィルムチャック(FC−21、株式会社イマダ製)を取り付けて、片側をデジタルフォースゲージに取り付けて、もう片側からゆっくりと持ち上げて剥離する際の密着力をデジタルフォースゲージで計測した。密着力は1.5N/cmと良好な密着性を示した。
(比較例1)
実施例1で用いた熱可塑性樹脂粒子Aを使用することなく、実施例1と同様の方法にて比較例1のエレクトロクロミック素子を作製した。得られた比較例1のエレクトロクロミック素子の発消色を実施例1と同様に確認した。続いて密着力の計測を実施例1と同様に行ったところ、密着力は0.2N/cmであり、密着性は不良であった。
(比較例2)
実施例1で用いた熱可塑性樹脂粒子Aの代わりに、粒径約30μmの高架橋重合体微粒子(セキスイ化学工業社製ミクロパールGS−230)を用いて実施例1と同様の方法にて比較例2のエレクトロクロミック素子を作製した。得られた比較例2のエレクトロクロミック素子の発消色を実施例1と同様に確認した。しかしながら、密着力の計測を実施例1と同様に行ったところ、密着力は0.2N/cmであり、密着性は不良であった。
(実施例2)
比較例2で使用したミクロパールGS−230と、実施例1で使用した熱可塑性樹脂粒子Aを併用して、実施例2のエレクトロクロミック素子を作製した。得られた実施例2のエレクトロクロミック素子の発消色を実施例1と同様に確認した。続いて密着力の計測を実施例1と同様に行ったところ、密着力は1.5N/cmであり、密着性は良好であった。
(実施例3)
実施例1で用いた熱可塑性樹脂粒子Aの代わりに、熱可塑性樹脂粒子Bを用いて実施例1と同様の方法にて実施例3のエレクトロクロミック素子を作製した。得られた実施例3のエレクトロクロミック素子の発消色を実施例1と同様に確認した。続いて密着力の計測を実施例1と同様に行ったところ、密着力は1.5N/cmであり、密着性は良好であった。
(実施例4)
実施例1で用いた熱可塑性樹脂粒子Aの代わりに、熱可塑性樹脂粒子Cを用いて実施例1と同様の方法にて実施例4のエレクトロクロミック素子を作製した。得られた実施例4のエレクトロクロミック素子の発消色を実施例1と同様に確認した。続いて密着力の計測を実施例1と同様に行ったところ、密着力は1.7N/cmであり、密着性は良好であった。
ここで、実施例4で使用した熱可塑性樹脂粒子Cを観測試料としてスライドガラスに置き、その上にカバーグラスを載せ、200℃のホットプレートの上に5分間静置させたときの加熱前後の状態変化を電子顕微鏡にて観測した。図5の「写真1」、「写真1−1」は、加熱前の状態を示す。「写真1」はスライドガラス状に熱可塑性樹脂粒子Cを載置し、その上にカバーグラスを載置した状態であり、熱可塑性樹脂粒子Cが白色微粒子状態であることがわかる。また「写真1−1」から、加熱前の熱可塑性樹脂粒子Cが5μm程度の粒子状を呈していることがわかる。
図5の「写真2」、「写真2−2」は、加熱後の状態を示し、加熱により熱可塑性樹脂粒子Cが可塑化し透明になる様子が観測された。また、加熱後の熱可塑性樹脂粒子Cとカバーグラスは密着しており、スライドグラスを逆さにしてもカバーグラスは落下しなかった。
上記評価結果から、実施例1〜4のような組成物を用いることで、各層間の良好なギャップ制御と密着性を維持できるため、繰り返し耐久性、応答性に優れたエレクトロクロミック素子を提供することができる。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 第1の電極と、該第1の電極に対して間隔をおいて対向する第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極の間に設けられる電解質とを有するエレクトロクロミック素子であって、前記第1の電極と前記第2の電極との間に、酸化還元反応に伴って発消色するエレクトロクロミック層と、前記電解質からなる電解質層と、熱可塑性樹脂粒子と、を少なくとも有することを特徴とするエレクトロクロミック素子である。
<2> 前記熱可塑性樹脂粒子が、前記電解質層に含有されている前記<1>に記載のエレクトロクロミック素子である。
<3> 前記エレクトロクロミック層が、前記第1の電極上に設けられ、前記熱可塑性樹脂粒子が、前記エレクトロクロミック層に含有されている前記<1>に記載のエレクトロクロミック素子である。
<4> 前記エレクトロクロミック層が、前記第2の電極上に設けられ、前記熱可塑性樹脂粒子が、前記エレクトロクロミック層に含有されている前記<1>に記載のエレクトロクロミック素子である。
<5> 前記エレクトロクロミック層が、前記第1の電極上に設けられた第1のエレクトロクロミック層と、前記第2の電極上に設けられた第2のエレクトロクロミック層とを有し、前記熱可塑性樹脂粒子が、前記電解質層、前記第1のエレクトロクロミック層、及び前記第2のエレクトロクロミック層の少なくとも何れかに含有されている前記<1>に記載のエレクトロクロミック素子である。
<6> 前記熱可塑性樹脂粒子が、少なくともイオン性液体を含有する前記電解質に分散されている前記<1>、<2>又は<5>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
<7> 前記熱可塑性樹脂粒子の粒径が、1μm〜100μmである前記<1>乃至<6>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
2 第1の電極 3 第1のエレクトロクロミック層(第1EC層)
4 電解質層(電解質) 5 熱可塑性樹脂粒子
6 第2のエレクトロクロミック層(第2EC層)
7 第2の電極 100A,100B,100C エレクトロクロミック素子
特開昭62−15223号公報 特開平03−089213号公報 特開平06−281969号公報 特許4360663号公報 特開2004−029432号公報 特開2006−071997号公報 特許5338436号公報

Claims (5)

  1. 第1の電極と、該第1の電極に対して間隔をおいて対向する第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極の間に設けられる電解質とを有するエレクトロクロミック素子であって、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に、酸化還元反応に伴って発消色するエレクトロクロミック層と、
    前記電解質からなる電解質層と、熱可塑性樹脂粒子と、を少なくとも有し、
    前記熱可塑性樹脂粒子が、前記電解質層に含有され、
    前記エレクトロクロミック層が、前記第1の電極上に設けられ、
    前記熱可塑性樹脂粒子が、前記エレクトロクロミック層に含有され,
    前記熱可塑性樹脂粒子は、ガラス転移温度Tg以上に加熱することで、透明となる性質を有することを特徴とするエレクトロクロミック素子。
  2. 前記エレクトロクロミック層が、前記第2の電極上に設けられ、
    前記熱可塑性樹脂粒子が、前記エレクトロクロミック層に含有されている請求項1に記載のエレクトロクロミック素子。
  3. 前記エレクトロクロミック層が、前記第1の電極上に設けられた第1のエレクトロクロミック層と、前記第2の電極上に設けられた第2のエレクトロクロミック層とを有し、
    前記熱可塑性樹脂粒子が、前記電解質層、前記第1のエレクトロクロミック層、及び前記第2のエレクトロクロミック層の少なくとも何れかに含有されている請求項1に記載のエレクトロクロミック素子。
  4. 前記熱可塑性樹脂粒子が、少なくともイオン性液体を含有する前記電解質に分散されている請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
  5. 前記熱可塑性樹脂粒子の粒径が、1μm〜100μmである請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
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