以下、本発明を適用したカラー画像形成装置の一実施形態として、電子写真方式のカラー複写機(以下、単に複写機という)について説明する。
まず、実施形態に係る複写機の基本的な構成について説明する。図1は、実施形態に係る複写機を示す概略構成図である。この複写機は、画像形成を行うプリンタ部100と、プリンタ部100に対して記録シートたる記録紙Pを供給する給紙装置200と、プリンタ部100の上に搭載されたスキャナ300と、このスキャナ300の上に搭載された原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
実施形態に係る複写機において、原稿のコピーをとる場合、まず、原稿自動搬送装置400の原稿台30に綴じられていない原稿の束をセットする。綴じられている原稿の場合には、それを原稿自働搬送装置400にセットする代わりに、スキャナ300のコンタクトガラス31上にセットする。この際、原稿自動搬送装置400を開いてコンタクトガラス31を露出させ、その上に原稿を置いた後、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで原稿を押さえる。その後、ユーザーがスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときには、原稿がコンタクトガラス31上に自動で搬送される。コピー動作がスタートすると、スキャナ300が第1走行体33を駆動し、第1走行体33上の光源から発した光をコンタクトガラス31上の原稿面で反射させ、その反射光を第2走行体34のミラーで反射し、結像レンズ35を通じて読み取りセンサー36に案内する。このようにして原稿の画像情報を読み取る。得られた画像情報は、プリンタ部100に送られる。プリンタ部100は、スキャナ300による原稿読み取りで得られた画像情報に基づいて、画像をプリントする。原稿読み取りで得られた画像情報の他、パーソナルコンピュータ等から送られてきた画像情報に基づいて画像を形成することも可能である。
給紙装置200は、記録紙Pを収納する複数の給紙カセット44、これらの給紙カセット44に収納された記録紙を一枚ずつ送り出す給紙ローラ42及び分離ローラ45、送り出された記録紙を給紙路46に沿って搬送する搬送ローラ47などを有している。また、記録紙Pを手差し給紙する手差しトレイ6も有している。給紙路46は、プリンタ部100の搬送路48に接続している。ユーザーによってスタートスイッチが押されたり、画像情報が送られたりすると、ユーザーが選択した記録紙Pに応じた給紙装置200の給紙ローラ42が回転し、給紙カセット44の1つ又は手差しトレイ6から記録シートたる記録紙Pが送り出される。送り出された記録紙Pは、分離ローラ45で1枚に分離して給紙路46に入り込み、搬送ローラ47によりプリンタ部100内の搬送路48まで搬送される。
図2は、プリンタ部100の筐体内の要部を拡大して示す拡大構成図である。プリンタ部100の筺体から排出された画像形成済みの記録紙Pをスタックするための排紙トレイ7などを具備するプリンタ部100には、中間転写体としての無端状の中間転写ベルト10を具備する転写ユニットが設けられている。
中間転写ベルト10は、ループ内側に配設された第1支持ローラ14、第2支持ローラ15、第3支持ローラ16などにより、側方からの眺めが逆三角形状の形状になる姿勢で張架されている。逆三角形状に張架された中間転写ベルト10における逆三角形の底辺に相当する箇所は、概ね水平方向に延在している。以下、この箇所を水平張架箇所という。中間転写ベルト10は、3つの支持ローラ(14,15,16)における少なくとも何れか1つの回転駆動により、図中時計回り方向に無端移動せしめられる。
中間転写ベルト10の上方には、イエロー(Y),シアン(C),マゼンタ(M),ブラック(K)のトナー像をそれぞれ個別に形成するための4つの作像ユニット18Y,C,M,Kが中間転写ベルト10の水平張架箇所に沿って並ぶように配設されている。作像手段たる作像ユニット18Y,C,M,Kの更に上方には、図1に示されるように、潜像書込ユニット21が配設されている。
潜像書込ユニット21は、スキャナ300による原稿読取で得られた画像情報、あるいは、外部のパーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報を、自らの書込制御部で受け取る。そして、その画像情報に基づいて、Y,C,M,K用の半導体レーザをそれぞれ駆動してY,C,M,K用の書込光を生成する。そして、それら書込光により、作像ユニット18Y,18C,18M,18Kの感光体20Y,20C,20M,20Kを光走査して、感光体20Y,20C,20M,20Kに静電潜像を書き込む。なお、書込光の光源は、レーザー半導体に限られるものではなく、LEDなどを採用してもよい。
図3は、4つの作像ユニット18Y,18C,18M,18Kのうち、互いに隣り合う2つの作像ユニットを示す拡大構成図である。同図においては、Y,M,C,Kの符号を省略している。作像ユニット18には、ドラム状の感光体20の周囲に、帯電装置60、現像装置61、感光体クリーニング装置63、除電装置64などが配設されている。
帯電装置60は、図中反時計回り方向に回転駆動される感光体20の表面をトナーの帯電極性と同極性に一様に帯電させるものである。図示の例では、感光体20に対して非接触で近接させた帯電ローラに対して帯電バイアスを印加して、感光体20と帯電ローラとの間に放電を生じせしめることで、感光体20を一様帯電させる方式のものを示している。このような帯電ローラ方式のものに代えて、非接触のスコロトロンチャージャーなどを採用した非接触帯電方式のものを採用してもよい。
現像手段たる現像装置61は、磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する現像剤を用いて感光体20の静電潜像を現像するものである。この現像装置61は、攪拌部66と現像部67とに大別される。攪拌部66は、互いに平行配設された2本の搬送スクリュウ68を具備している。これら2本の搬送スクリュウ68は、それぞれ個別に仕切られた仕切り空間に設けられているが、それら仕切り空間の間に介在している仕切壁は、スクリュウ長手方向の両端部に切り欠きを有している。この切り欠きにより、2本の搬送スクリュウ68をそれぞれ個別に収容している2つの仕切り空間は、スクリュウ長手方向の両端部でそれぞれ連通している。
上述した2つの仕切り空間のうち、後述する現像部67に隣接している方の仕切り空間は、現像部67内の現像スリーブ65に現像剤を供給するための供給室である。また、他方の仕切り空間は、スクリュウ長手方向の一端側で供給室から受け取った現像剤を、他端側まで搬送して供給室に返送する返送室である。供給室内の搬送スクリュウ68と、返送室内の搬送スクリュウ68とは、互いに回転駆動に伴って正反対の方向に現像剤を搬送するようになっており、スクリュウ長手方向の端部付近まで搬送した現像剤を前述の切り欠きに通して他方の室内に送り込む。これにより、図4において矢印で示されるように、現像剤は、供給室と返送室との間で循環搬送される。
図3に示されるように、攪拌部66における供給室の底には、現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度センサー71が取り付けられている。
現像部67は、回転駆動可能な非磁性パイプからなる現像スリーブ65を収容している。そして、この現像スリーブ65の中には、周方向に並ぶ複数の磁極を有するマグネットローラが、現像スリーブ65に連れ回らないように固定されている。
攪拌部66の供給室内では、搬送スクリュウ68の回転駆動に伴って、現像剤が図4に矢印Aで示した方向に搬送されながら、トナー濃度センサー71によってトナー濃度を検知される。そして、その一部が、マグネットローラの発する磁力によって現像スリーブ65に汲み上げられる。汲み上げられた現像剤は、現像スリーブ65の回転に伴って、図3に示す感光体20に対向する現像領域に搬送されるが、その前に、ドクターブレード73によってスリーブ上での層厚が規制される。この規制の後に現像領域に到達した現像剤は、トナーの帯電極性と同極性の現像バイアスが印加される現像スリーブ65と、感光体20の静電潜像との間の電位差である現像ポテンシャルの作用により、トナー粒子を磁性キャリアから離脱させて静電潜像に転移させる。これにより、感光体20上の静電潜像が現像される。
現像スリーブ65の回転に伴って現像領域を通過した現像剤は、マグネットローラにおける反発磁極の位置まで搬送されると、現像スリーブ65表面から離脱して攪拌部66の供給室内に戻される。供給室内では、現像に寄与した現像剤が戻されるのに伴って現像剤のトナー濃度が低下すると、それがトナー濃度センサー71によって検知されて、適量のトナーが補給される。トナー補給制御は1枚通紙毎に実行される。
トナー補給制御は次のようにして実施される。即ち、後述するメイン制御部500は、トナー濃度の制御目標値として、透磁率センサーからなるトナー濃度センサー71から出力される出力電圧Vt[V]の出力目標値VtrefをY,C,M,Kの各色毎に記憶している。そして、プリント1枚出力毎に、出力電圧Vt[V]と出力目標値Vtrefとを比較し、前者が後者よりも大きい(トナー濃度が目標値よりも低く)場合には、両者の差分に応じた駆動量だけ、対応する色のトナー補給装置を駆動する。このようなトナー補給制御をY,C,M,Kの各色毎に個別に実施する。
中間転写ベルト10のループ内側には、感光体20との間に中間転写ベルト10を挟み込む1次転写ローラ62が配設されている。この1次転写ローラ62が中間転写ベルト10のおもて面を感光体20に向けて押圧することで、ベルトおもて面と感光体20とが当接する1次転写ニップが形成されている。
1次転写ローラ62には、トナーの帯電極性とは逆極性の1次転写バイアスが印加される。これにより、1次転写ニップ内では、感光体20の表面上のトナー像が中間転写ベルト10のおもて面に1次転写される。感光体20上のトナー像を中間転写ベルト10のおもて面に1次転写せしめる1次転写手段として、1次転写ローラ62の代わりに、転写ブラシや、非接触のコロナチャージャ等を採用しても良い。
1次転写ニップを通過した後の感光体20の表面には、中間転写ベルト10に1次転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、感光体クリーニング装置63によって感光体20の表面から除去される。感光体クリーニング装置63は、ポリウレタンゴム製のクリーニングブレード75を片持ち支持しており、その自由端を感光体20の表面に突きあてて、その表面上の転写残トナーを掻き取る。また、感光体20に接触しながら回転する導電性のファーブラシ76によっても、感光体20の表面上の転写残トナーを除去している。クリーニングブレード75やファーブラシ76によって感光体20上から除去されたトナーは、感光体クリーニング装置63の内部に収容される。
感光体クリーニング装置63によって転写残トナーが除去された感光体20の表面は、除電装置64による光照射で除電される。これにより、感光体20の表面電位が初期化される。その後、帯電装置60によってトナーの帯電極性と同じ極性に一様帯電せしめられた後、その表面電位が電位センサー320によって検知される。
感光体20は回転に伴って帯電装置60によって一様に帯電せしめられた後、潜像書込ユニット21による光走査を受けて静電潜像を担持する。その光走査は、スキャナ300により読み取った画像情報、あるいはパーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報に基づいて行われる。感光体20上の静電潜像は現像装置61によって現像されてトナー像になる。このトナー像は、1次転写ローラ62によって中間転写ベルト10上に1次転写される。1次転写後に感光体20の表面に残留した転写残トナーは、感光体クリーニング装置63により除去され、その後、感光体20の表面は除電装置64により除電されて、次の画像形成に供される。
図2に示されるように、中間転写ベルト10のループ外側には2次転写ローラ24が配設されており、これはベルトループ内側の第3支持ローラ16との間に中間転写ベルト10を挟み込んでいる。第3支持ローラ16が中間転写ベルト10を2次転写ローラ24に向けて押圧することで、ベルトのおもて面と2次転写ローラ24とが当接する2次転写ニップが形成されている。
ユーザーによってスタートスイッチが押されると、駆動モータが駆動し、支持ローラ14、15、16の内の1つが回転駆動して中間転写ベルト10が図中時計回り方向に無端移動せしめられる。これと同時に、作像ユニット18Y,C,M,Kの感光体20Y,C,M,Kも回転駆動する。その後、スキャナ300の読み取りセンサー36で読み取った画像情報に基づいて、潜像書込ユニット21から、作像ユニット18Y,18C,18M,18Kの感光体20Y,20C,20M,20Kに書込光がそれぞれ照射される。これによって感光体20Y,20C,20M,20K上に形成されたY,C,M,K用の静電潜像は、現像装置61Y,61C,61M,61Kによって顕像化されてY,C,M,Kトナー像になる。
このようにして形成されたY,C,M,Kトナー像は、Y,C,M,K用の1次転写ニップで中間転写ベルト10上に重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト10上には、各色トナー像が重なり合った4色重ね合わせトナー像が形成される。
給紙装置200から送り出された記録紙Pは、プリンタ部100の搬送路48内に進入した後、レジストローラ対49に突き当たったところで止められる。レジストローラ対49は、搬送路48内で受け取った記録紙Pを、中間転写ベルト10上の4色重ね合わせトナー像に同期させ得るタイミングで2次転写ニップに送り出す。
2次転写ニップに送りこまれた記録紙P上には、2次転写ローラ24に印加される2次転写バイアスの作用により、記録紙P上に一括2次転写される。そして、4色重ね合わせトナー像は、記録紙Pの白色と相まってフルカラートナー像になる。その後、記録紙Pは定着装置25まで搬送され、定着装置25において加熱や加圧がなされることで、フルカラートナー像の定着処理が施される。
定着装置25を通過した記録紙Pの搬送方向は、切替爪により、用紙反転装置93に向かう方向と、排紙ローラ対56に向かう方向とで切り替えられる。用紙反転装置93に送りこまれた場合には、上下の面が反転された後、再びレジストローラ対49に送られて、もう一方の面にもフルカラー画像が形成される。また、排紙ローラ対56に送りこまれた場合には、機外の排紙トレイ7上にスタックされる。
中間転写ベルト10上の4色重ね合わせトナー像を記録紙Pに2次転写する2次転写手段としては、2次転写ローラ24の他に、転写チャージャを採用しても良い。なお、2次転写ローラ24には、2次転写ローラ24に付着したトナーをクリーニングするローラクリーニング部91が当接している。
中間転写ベルト10の周方向における全域のうち、第2支持ローラ15に対する掛け回し箇所には、ベルトクリーニング装置17が当接している。このベルトクリーニング装置17は、2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト10に付着している
プリンタ部100には、手差しトレイ6から搬送路48へ合流する手差し給紙路が設けられ、この手差し給紙路の上流側には、手差しトレイ6にセットされた記録紙Pを一枚ずつ給紙するための給紙ローラ及び分離ローラが設けられている。
排紙トレイ7の上部には、ライン分光計900(以降では分光計と呼ぶ)が配設されている。このライン分光計900は、排紙トレイ7上に排出された記録紙に形成された画像を測色する。
中間転写ベルト10のループ外側においては、光学センサーユニット310が第1支持ローラ14に対するベルト掛け回し箇所に対して所定の間隙を介して対向するように配設されている。光学センサーユニット310は、図5に示されるように、第一カラーセンサー311、第二カラーセンサー312、及び黒センサー313を有している。
中間転写ベルト10の幅方向の両端側において、図中一点鎖線で示される位置よりも外側は、記録紙Pに二次転写するためのトナー像を形成しない非画像領域になっている。第一カラーセンサー311や黒センサー313は、中間転写ベルト10の幅方向一端側の非画像領域に対向するように配設されている。また、第二カラーセンサー312は、中間転写ベルト10の幅方向他端側の非画像領域に対向するように配設されている。
後述する高画像濃度調整処理が開始されると、中間転写ベルト10の幅方向一端側の非画像領域には、図示のように、Kベタパッチトナー像Bpkと、Mベタパッチトナー像Bpmとが所定の間隔をおいてベルト移動方向に並ぶように形成される。また、中間転写ベルト10の幅方向他端側の非画像領域には、Yベタパッチトナー像Bpyと、Cベタパッチトナー像Bpcとがベルト移動方向に並ぶように形成される。
実施形態に係る複写機では、いわゆる面積階調法で中間調を表現するようになっている。画像部の単位面積あたりのドット出力率によって画像濃度の濃淡を表現するのである。かかる構成では、画像部の単位面積当たりのドット出力率が100[%]になる画像のベタ部で、画像濃度が最も濃くなる。よって、輪郭内の全てでドット出力率が100[%]になる前述した四つのベタパッチトナー像(Bpk、Bpm、Bpy、Bpc)は、何れも高濃度検知用トナー像である。なお、以下、高画像濃度たる画像のベタ部の画像濃度をベタ濃度という。
黒センサー313は、後述する高画像濃度調整処理において中間転写ベルト10上に形成されるKベタパッチトナー像Bpkの単位面積あたりのトナー付着量(画像濃度)を検知する。図6に示されるように、中間転写ベルト10に向けて光を発射する光源(LED)313aと、ベルト上で正反射した正反射光を受光する正反射受光素子313bとを具備している。
第2カラーセンサー312は、後述する高画像濃度調整処理において、中間転写ベルト10上に形成されるYベタパッチトナー像Bpyや、Cベタパッチトナー像Bpcのトナー付着量を検知する。図7に示されるように、中間転写ベルト10に向けて光を発射する光源(LED)312aと、ベルト上で正反射した正反射光を受光する正反射受光素子312bと、ベルト上で拡散反射した拡散反射光を受光する拡散反射受光素子312cとを具備している。なお、後述する高画像濃度調整処理においてMベタパッチトナー像Bpmのトナー付着量を検知する第一カラーセンサー311の内部構成は、第二カラーセンサー312と同様である。
図8は、実施形態に係る複写機における各部の電気的な接続を示すブロック図である。複写機は、メイン制御部500を有しており、このメイン制御部500が各部を駆動制御する。メイン制御部500は、各種演算や各部の駆動制御を実行するCPU501にバスライン502を介して、コンピュータプログラム等固定データを予め記憶するROM503と各種データを書き換え自在に記憶するワークエリア等として機能するRAM504とが接続されて構成されている。メイン制御部500には、プリンタ部100の各部、給紙装置200、スキャナ300、原稿自動搬送装置400が接続されている。ここで、プリンタ部100の光学センサーユニット310及びライン分光計900は、検出した情報をメイン制御部500に送り出す。
メイン制御部500は、次のような高画像濃度調整処理を実施する。即ち、まず、図5に示されるように、中間転写ベルト10の幅方向一端側の非画像領域に、Kベタパッチトナー像Bpk、及びMベタパッチトナー像Bpmを形成する。また、中間転写ベルト10の幅方向他端側の非画像領域に、Yベタパッチトナー像Bpy、及びCベタパッチトナー像Bpcを形成する。そして、それらベタパッチトナー像が画像濃度検知手段としての光学センサーユニット310の対応するセンサーの直下を通過する際のセンサーからの出力に基づいて、それぞれのベタパッチトナー像のトナー付着量を求める。
その後、メイン制御部500は、Y,C,M,Kのそれぞれについて、トナー付着量の算出値と所定の目標値とを比較する。そして、前者が後者よりも小さい場合には、トナー補給制御で用いる第二作像条件としての出力目標値Vtrefを両者の差分に応じた分だけより小さくする(トナー濃度の制御目標値をより大きくする)。この一方で、前者が後者よりも大きい場合には、出力目標値VFtrefを両者の差分に応じた分だけより大きくする(トナー濃度の制御目標値をより小さくする)。
このような高画像濃度調整処理により、Y,C,M,Kトナー像のベタ部に対する単位面積あたりのトナー付着量を安定化させることで、フルカラー画像の色調を安定化させることができる。しかしながら、様々な2次色を、本来よりも少しずれた色で安定化させてしまう。
図9は、出力画像濃度と入力画像濃度との関係としての画像濃度入出力特性、及びその経時変化を示すグラフである。入力画像濃度は、画像情報として入力された画像のデータ上での画像濃度である。また、出力画像濃度は、その画像情報に基づいて実際に作像されたトナー像の画像濃度の検知結果である。
同図に示されるように、画像濃度入出力特性は経時変化する。その要因には、環境(温度や相対湿度)の経時変化、各種部品の劣化に伴う特性変化、トナーのロットの違いによる帯電性の変化などが挙げられる。
図10は、画像濃度入出力についての目標特性と経時変化後特性とベタ濃度調整後特性との関係の第1例を示すグラフである。ベタ濃度調整後特性は、高画像濃度調整処理を実施した後における画像濃度入出力特性である。この第1例における経時変化後特性では、各階調の中間調濃度が目標よりも低くなっている。そして、このような状態で高画像濃度調整処理が実施された後におけるベタ濃度調整後特性では、最大濃度であるベタ濃度がほぼ目標と同じになっているが、各階調の中間調濃度が目標よりも高くなっている。
図11は、画像濃度入出力についての目標特性と経時変化後特性とベタ濃度調整後特性との関係の第2例を示すグラフである。この第2例における経時変化後特性では、各階調の中間調濃度が目標よりも高くなっている。そして、このような状態で高画像濃度調整処理が実施された後におけるベタ濃度調整後特性では、最大濃度であるベタ濃度がほぼ目標と同じになっているが、各階調の中間調濃度が目標よりも低くなっている。
このように、高画像濃度調整処理は、ベタ画像濃度についてはほぼ目標と同じにすることができるが、中間調濃度については目標からずらしてしまうことが多い。
そこで、メイン制御部500は、高画像濃度調整処理とは別に、中間調濃度調整処理を所定のタイミングで実施するようになっている。中間調濃度調整処理では、図12に示されるように、中間転写ベルト10の幅方向一端側の非画像領域に、KハーフパターンHpkと、MハーフパターンHpkとを形成する。また、中間転写ベルト10の幅方向他端側の非画像領域に、YハーフパターンHpyと、CハーフパターンHpcとを形成する。
各色のハーフパターン(Hpy,Hpc,Hpm,Hpk)のそれぞれは、互いに階調の異なる階調部として複数のパッチを具備している。それらのパッチにおける単位面積当たりのドット出力率は互いに異なっている。メイン制御部500は、周知の面積階調法であるディザ法により、各階調部の各画素位置におけるドットの出力有無を決定することで、ドット出力率を異ならせている。その際、周知のディザマトリクスを用いる。
メイン制御部500は、KハーフパターンHpkにおける各パッチのそれぞれのトナー付着量(中間調濃度)を黒センサー313によって検知する。また、MハーフパターンHpmにおける各パッチのそれぞれのトナー付着量を第一カラーセンサー311によって検知する。また、YハーフパターンHpyにおける各パッチのそれぞれのトナー付着量や、CハーフパターンHpcにおける各パッチのそれぞれのトナー付着量を第二カラーセンサー312によって検知する。その後、Y,C,M,Kの各色のそれぞれについて、各パッチのトナー付着量に基づいて、各階調で所望のトナー付着量が得られるように、それぞれの色専用に用いるディザマトリクスを補正する。ディザマトリクスの補正方法については、周知の補正方法を用いることができる。
図13は、画像濃度入出力についての目標特性と経時変化後特性と中間調調整後特性との第1例を示すグラフである。中間調調整後特性は、中間調濃度調整処理を実施した後における画像濃度入出力特性である。この第1例における経時変化後特性では、各階調の中間調濃度が目標よりも低くなっている。このような状態で中間調濃度調整処理を実施すると、図示のように、ベタ濃度やその付近の階調が目標よりも低くなるが、その他の殆どの階調についてはほぼ目標の中間調濃度を得ることができるようになる。
図14は、画像濃度入出力についての目標特性と経時変化後特性と中間調調整後特性との第2例を示すグラフである。この第2例における経時変化後特性では、各階調の中間調濃度が目標よりも高くなっている。このような状態で中間調濃度調整処理を実施すると、図示のように、ベタ濃度やその付近の階調が目標よりも高くなるが、その他の殆どの階調についてはほぼ目標の中間調濃度を得ることができるようになる。
画像濃度の調整については、まず、高画像濃度調整処理によって目標のベタ濃度が得られるようにし、その直後に中間調濃度調整処理を実施すると、ベタ濃度や各階調でそれぞれほぼ目標の画像濃度が得られるようになる。しかし、従来装置では、高画像濃度処理を連続プリント動作中に実施する一方で、中間調濃度調整処理を実施していることから、ベタ濃度と各階調とのそれぞれで目標の画像濃度を得ることが困難であった。
また、従来装置では、連続プリント動作が長時間に渡って行われる場合に、中間調で目標特性が得られなくなると、連続プリント動作が完了するまで中間調濃度の再現性に劣る低品質のプリントを多量に出力しまうという課題があった。
実施形態に係る複写機では、複数の記録紙Pに対して画像を連続的に出力する連続プリント動作中(連続画像形成動作中)における所定のタイミングで、中間調濃度調整処理を実施するようになっている。
図15は、メイン制御部500によって実施される調整制御の処理フローを示すフローチャートである。調整制御を開始したメイン制御部500は、連続プリントを開始すると(ステップ1でY:以下、ステップをSと記す)、連続プリントを実施しながら、ベタタイミングについてその到来の有無を判定する(S2)。ベタタイミングは、高画像濃度調整処理を実施すべきタイミングであり、例えば連続プリントx1枚出力毎のタイミングである。
メイン制御部500は、ベタタイミングについて到来したと判定した場合(S2でY)には、連続プリントを実施しながら、高画像濃度調整処理を実施してから(S3)、処理フローを後述するS4の工程に進める。これに対し、ベタタイミングについて到来していないと判定した場合(S2でN)には、画像濃度調整処理を実施することなく、処理フローを後述するS4の工程に進める。
S4の工程において、メイン制御部500は、連続プリントを実施しながら、階調タイミングについてその到来の有無を判定する。階調タイミングは、中間調濃度調整処理を実施すべきタイミングであり、例えば連続プリントx2枚出力毎のタイミングである。
メイン制御部500は、階調タイミングについて到来したと判定した場合(S4でY)には、連続プリントを実施しながら、中間調濃度調整処理を実施してから(S5)、処理フローを上述したS1の工程に戻す。これに対し、階調タイミングについて到来していないと判定した場合(S4でN)には、中間調濃度処理を実施することなく、処理フローをS1の工程に戻す。
以上の構成において、連続プリント動作中に、画像濃度入出力特性の経時変化に伴って中間調の各階調で目標の中間調濃度が得られなくなると、階調タイミングが到来してメイン制御部500が中間調濃度調整処理を実施する。これにより、連続プリント動作中であっても、ディザパターンを適切に補正して中間調の各階調で目標の中間調濃度を得られるようにして、その後の連続プリントで中間調濃度の再現性に優れた高品質のプリントを実施する。よって、中間調濃度の再現性に劣る低品質のプリントの出力数を減らすことができる。
なお、中間調濃度調整処理を終えてから、それほど時間が経過しないうちに高画像濃度調整処理を実施すると、所望の中間調濃度が得られなくなってしまうことがあり、この場合、ごく僅かな時間しか所望の中間調濃度を得ることができなかったことになる。そこで、階調タイミングについては、高画像濃度調整処理を終えた後、それほど時間が経過していないタイミングにすることが望ましい。
[実施例]
次に、実施形態に係る複写機に、より特徴的な構成を付加した実施例について説明する。なお、以下に特筆しない限り、実施例に係る複写機の構成は実施形態と同様である。
一般に、出力目標値Vtrefを補正してから、現像剤のトナー濃度を目標濃度に安定化させるまでにはタイムラグがある。仕様によっては、安定化までに十枚以上のプリントを必要とすることもある。このため、仕様によっては、高画像濃度調整処理を終えた直後に中間調濃度調整処理を実施すると、現像剤のトナー濃度をまた目標濃度に安定化させずに、現状のトナー濃度と目標濃度とにかなり差がある状態で各色のハーフパターンを形成するおそれがある。この場合、ハーフパターンの各パッチを目標濃度からずれた中間調濃度で形成して、中間調濃度の良好な再現性を得ることができなくなってしまう。
そこで、実施例に係る複写機のメイン制御部500は、高画像濃度調整処理を実施した直後であって、且つ直前の高画像濃度調整処理における出力目標値Vtrefの補正量が所定の閾値以下であった場合にだけ、中間調濃度調整処理を実施するようになっている。
図19は、実施例に係る複写機のメイン制御部500によって実施される調整制御の処理フローを示すフローチャート。メイン制御部500は、ベタタイミングが到来の有無の判定において(S2)、到来していないと判定すると(S2でN)、処理フローをS1の工程に戻す。これにより、ベタタイミングが到来していない場合には、高画像濃度調整処理、中間調濃度調整処理の両方を実施しないようになっている。
一方、ベタタイミングが到来すると(S2でY)、高画像濃度調整処理を実施した後(S3)、直前の高画像濃度調整処理における出力目標値Vtrefの補正量について所定の閾値以下であったか否かを判定する(S4)。そして、前記補正量が閾値を超えている場合には(S4でN)、処理フローをS1の工程に戻して、中間調濃度調整処理を実施しないようにする。これに対し、前記補正量が閾値以下である場合には(S4でY)、中間調濃度調整処理を実施してから(S5)、処理フローをS1の工程に戻す。
出力目標値Vtrefの補正量が閾値以下であることは、出力目標値Vtrefを補正した直後の現像剤における実際のトナー濃度と、補正後にしばらくしてからその値に安定化するようになる目標濃度との差がそれほど大きくないことを意味する。このため、出力目標値Vtrefを補正した直後に中間調濃度調整処理を実施しても、前記差に起因するハーフパターンの各パッチの中間調濃度における目標濃度からの差もそれほど大きくなくなる。よって、出力目標値Vtrefを補正した後、現像剤の実際のトナー濃度を目標濃度で安定化させる前に中間調濃度調整処理を開始することによる中間調濃度の再現性の悪化を抑えることができる。
[変形形態]
次に、実施形態に係る複写機における一部の構成を他の構成に置き換えた変形形態に係る複写機について説明する。なお、以下に特筆しない限り、変形形態に係る複写機の構成は、実施形態と同様である。
変形形態に係る複写機では、中間調濃度調整処理において、各色のハーフパターン(Hpy,Hpc,Hpm,Hpk)を形成しない。その代わりに、ユーザーの命令に基づいて作像するトナー像について中間調濃度の検知に適しているトナー画像部分の有無を判定する。そして、適したトナー画像部分が有る場合に、作像したそのトナー画像部分の中間調濃度を検知して記憶する。適したトナー画像部分の有無の探索方法については、例えば特許第5794471号に記載の方法を用いることができる。
メイン制御部500は、中間調濃度調整処理の実施中には、一頁出力毎に、その頁におけるトナー像について、中間調濃度の検知に適したトナー画像部分を画像情報に基づいて探索する。その結果、いくつかの階調のそれぞれについて中間調濃度の検知に適した複数のトナー画像部分が見つかる場合もあるし、中間調濃度の検知に適したトナー画像部分が一つも見つからない場合もある。メイン制御部500は、中間調濃度の検知に適したトナー画像部分が見つかった場合、そのトナー画像部分の階調について、既に別のトナー画像部分で中間調濃度を検知済みであるか否かを判定する。そして、検知済みでない場合には、実際に出力したトナー像の前記トナー画像部分の画像濃度を検知する。そのトナー画像部分がベルト幅方向において常に同じ位置に発生するとは限らないので、ベルト幅方向の位置が固定されたセンサー(311,312,313)によってそのトナー画像部分のトナー付着量を常に検知することができない。そこで、変形形態に係る複写機では、トナー像が実際にプリントされた記録紙Pにおける前記トナー画像部分の画像濃度を、ライン分光計900によって検知する。
図16は、変形形態に係る複写機のメイン制御部500によって実施される調整制御の処理フローを示すフローチャートである。このフローにおいて、S1〜S3の流れについては、図15と同様である。
メイン制御部500は、S2又はS3の工程の後に、階調フラグについてセット中であるか否かを判定する(S4)。この階調フラグがセット中であることは、中間調濃度調整処理の実施中であることを意味している。メイン制御部500は、階調フラグがセット中でない場合(S4でN)には、次に、階調タイミングについて到来したか否かを判定し、到来していない場合(S5でN)には、処理フローをS1の工程に戻す。
一方、階調タイミングが到来している場合(S4でY)には、次に、階調フラグをセットした後(S6)、中間調濃度調整処理を開始する(S7)。そして、中間調濃度調整処理の中止条件について成立したか否かを判定し、成立している場合(S8でY)には、階調フラグの解除によって中間調濃度調整処理を中止してから(S11)、処理フローをS1の工程に戻す。これに対し、中止条件が成立していない場合(S8でN)には、中間調濃度を検知すべき全ての階調について中間調濃度を検知済みであるか否かを判定し、検知済みでない場合(S9でN)、処理フローをS1の工程に戻す。
その後、中間調濃度を検知すべき全ての階調について中間調濃度を検知すると(S9でY)、全階調の中間調濃度の検知結果に基づいてディザパターンを補正した後(S10)、階調フラグの解除によって中間調濃度調整処理を終了する(S11)。なお、図16の処理フローのうち、S6からS11までのフローについては、Y,C,M,Kの各色でそれぞれ独立して行われる。このため、全ての色で中間調濃度処理を同時進行させるとは限らない。
S8の工程における中止条件の成立は、具体的には、連続プリント動作が終了することである。この中止条件の他に、いくつかの中止条件を加えてもよい。例えば、主電源のスイッチが切られた場合を中止条件の成立の一つとして加えてもよい。また、中間調濃度調整処理を開始してからの所定のパラメータ(例えば現像バイアスなど)の変化量が所定の閾値を超えるか、あるいは閾値以上になった場合を中止条件の成立の一つとして加えてもよい。また、中間調濃度調整処理を開始してからの経過時間が所定の閾値を超えるか、あるいは閾値以上になった場合を中止条件の成立の一つとして加えてもよい。また、全ての階調のうち、何れか一つの階調についてトナー画像部分の中間調濃度を検知してから、直近の所定期間における出力の平均画像面積率が所定の閾値を超えるか、あるいは閾値以上になった場合を中止条件の成立の一つとして加えてもよい。
また、高画像濃度調整処理において、中間調濃度調整処理と同様に、ベタパッチトナー像を形成せずに、次のようにしてもよい。即ち、ユーザーの命令に基づいて作像するトナー像についてベタ濃度の検知に適しているトナー画像部分の有無を判定する。そして、適したトナー画像部分が有る場合に、作像したそのトナー画像部分のベタ濃度を検知して記憶してもよい。
以上の構成の変形形態に係る複写機においては、ハーフパターンの形成によってトナーを消費することなく、中間調濃度処理を実施することができる。
[変形実施例]
次に、変形形態に係る複写機に、より特徴的な構成を付加した変形実施例について説明する。なお、以下に特筆しない限り、変形実施例に係る複写機の構成は、変形形態と同様である。
上述した変形形態に係る複写機では、高画像濃度調整処理と、中間調濃度調整処理とを同時進行させるケースが多い。S5の工程の実施中に、階調フラグがセット中であるケースがそのケースに該当する。専用のハーフパターンを形成する構成とは異なり、ユーザーの命令に基づいて作像したトナー像の中から中間調濃度の検知に適した領域を探索する構成では、一般に、高画像濃度調整処理の実施時間が長くなる。このため、殆どのケースでは、出力目標値Vtrefを補正した後、実際の現像剤のトナー濃度を目標濃度付近に安定化させてから、ユーザーの命令に基づくトナー像であって、且つ中間調濃度の検知に適した画像部を含むトナー像を形成することになる。よって、出力目標値Vtrefを補正した後、実際の現像剤のトナー濃度を目標濃度付近に安定化させる前に作像した画像部を中間調濃度の検知に用いることによる中間調濃度の再現性の悪化を引き起こすことは少ない。
ところが、高画像濃度調整処理と中間調濃度調整処理とを同時進行させている際に、Y,C,M,Kの各色のうち、少なくとも何れか一色において、次のような中間調補正中ベタ補正を実施してしまうことがある。即ち、ユーザーの命令に基づくトナー像の画像部を用いて全階調の中間調濃度を検知した後にベタパッチのベタ濃度を検知し、中間調濃度の検知結果に基づいて出力目標値Vtrefを補正してからディザパターンを補正する態様が中間調補正中ベタ補正である。
図17は、画像濃度入出力についての目標特性と経時変化後特性と中間調補正中ベタ補正による特性とを示すグラフである。図示のように、中間調補正中ベタ補正を実施してしまうと、中間調の各階調で目標の中間調が得られなくなってしまう。これは、次に説明する理由による。即ち、中間調補正中ベタ補正が行われる場合、各色のトナー画像部分は、高画像濃度調整処理で補正される前の出力目標値Vtrefの条件で形成される。即ち、高画像濃度調整処理で補正される前のトナー濃度で形成される。このため、プリントされたトナー画像部分の画像濃度の検知結果に基づいて補正されるディザパターンは、補正前のトナー濃度に見合ったものになる。ところが、その後すぐに、高画像濃度調整処理によってトナー濃度(出力目標値Vtref)が補正されることから、ディザパターンがそのトナー濃度に見合ったものではなくなってしまう。これにより、各階調で目標の中間調濃度が得られなくなってしまうのである。
図18は、変形実施例に係る複写機のメイン制御部500によって実施される調整制御の処理フローを示すフローチャートである。この処理フローでは、S5の工程において、直前の高画像濃度調整処理における出力目標値Vtrefの補正量について閾値以下であるか否かを判定している点が図16の処理フローと異なっている。これにより、直前の高画像濃度調整処理における出力目標値Vtrefの補正量が閾値以下である場合(S5でY)だけ、中間調濃度調整処理が開始される。出力目標値Vtrefの補正量が閾値以内であれば、中間調補正中ベタ補正を実施しても、それによるトナー濃度の変化量をごく僅かに留めるので、中間調補正中ベタ補正に起因する各階調における中間調濃度の目標値からのずれ量を小さい値に留めることができる。
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[態様A]
態様Aは、像担持体(例えば感光体20)にトナー像を作像する作像手段(例えば作像ユニット18)と、前記作像手段によって作像されたトナー像の画像濃度を検知する画像濃度検知手段(例えば光学センサーユニット310やライン分光計900)と、前記像担持体上のトナー像を記録部材に転写する転写手段(例えば転写ユニット)と、前記作像手段によって複数の階調で作像したトナー像又はトナー画像部分におけるそれぞれの中間調濃度を検知した結果に基づいて、それぞれの階調で目標中間調濃度値が得られるように前記作像手段の第一作像条件(例えばディザパターン)を補正する中間調濃度調整処理を実施する制御手段(例えばメイン制御部500)とを備える画像形成装置において、前記中間調濃度調整処理を複数の記録部材に対してトナー像を連続的に出力する連続画像形成動作中における所定のタイミングで実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
かかる構成において、連続画像形成動作中に、作像手段の作像特性の経時変化に伴って中間調の各階調で目標の中間調濃度が得られなくなってくると、所定のタイミングが到来して制御手段が中間調濃度調整処理を実施する。これにより、連続画像形成動作中であっても、第一作像条件を適切に補正して中間調の各階調で目標の中間調濃度を得られるようにする。これにより、その後の連続画像形成動作で中間調濃度の再現性に優れた高品質のプリントを実施することが可能になるので、中間調濃度の再現性に劣る低品質のプリントの出力数を減らすことができる。
[態様B]
態様Bは、態様Aにおいて、前記中間調濃度調整処理にて、ユーザーの命令に基づいて作像するトナー像について中間調濃度の検知に適しているトナー画像部分の有無を判定し、有る場合に、前記作像手段によって作像した前記トナー画像部分の中間調濃度を検知して記憶する処理と、中間調濃度を検知する必要のある全ての階調について検知結果を記憶してから、それらの検知結果に基づいて前記第一作像条件を補正する処理と、前記全ての階調について検知結果を記憶する前に所定の中止条件が成立した場合に、前記中間調濃度処理を中止する処理とを実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
かかる構成では、変形形態で説明したように、階調検知用パターントナー像(例えばハーフパターンHp)の形成によってトナーを消費することなく、中間調濃度処理を実施することができる。更には、中止条件の成立によって中間調濃度処理を中止することで、中間調濃度処理を開始してから作像手段の作像特性が大きく変化して記憶済みの中間調濃度の検知結果が現状の作像特性に見合わないものになった場合に、次のような効果を奏することもできる。即ち、現状の作像特性に見合わない検知結果を用いて第一作像条件を補正することによる中間調濃度の再現性の悪化を回避することができる。
[態様C]
態様Cは、態様Bにおいて、前記作像手段によって高画像濃度で作像したトナー像又はトナー画像部分の画像濃度を検知した結果に基づいて、目標高濃度値が得られるように前記作像手段の第二作像条件を補正する高画像濃度調整処理を前記連続画像形成動作中に実施し、前記高画像濃度調整処理における前記第二作像条件の補正量が所定の閾値を下回るかあるいは閾値以内になった場合に前記中間調濃度調整処理を開始するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、変形実施例で説明したように、中間調補正中ベタ補正を実施しても、それに起因する各階調における中間調濃度の目標値からのずれ量を小さい値に留めることができる。
[態様D]
態様Dは、態様Aにおいて、前記中間調濃度調整処理にて、複数の階調におけるそれぞれの中間調濃度を検知するための複数の階調部を具備する階調検知用パターントナー像を作像し、前記階調検知用パターントナー像における各階調部の中間調濃度を検知した結果に基づいて前記第一作像条件を補正するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、態様BやCに比べて、中間調濃度調整処理を迅速に終えることができ、且つ中間調濃度調整処理を確実に完了することができる。
[態様E]
態様Eは、態様Dにおいて、前記作像手段によって高画像濃度で作像したトナー像又はトナー画像部分の画像濃度を検知した結果に基づいて、目標高濃度値が得られるように前記作像手段の第二作像条件(例えば出力目標値Vtref)を補正する高画像濃度調整処理を前記連続画像形成動作中に実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、連続画像形成動作中の高画像濃度調整処理の実施によって高画像濃度の画像部の濃度再現性を向上させることができる。
[態様F]
態様Fは、態様Eにおいて、前記作像手段として、潜像担持体、及びトナー及びキャリアを含む現像剤を用いて前記潜像担持体の表面に担持される潜像を現像する現像手段を有するものを用い、前記高画像濃度調整処理にて前記第二作像条件として現像剤トナー濃度制御目標値(例えば出力目標値Vtref)を補正し、且つ前記高画像濃度調整処理における前記現像剤トナー濃度制御目標値の補正量が所定の閾値を下回るかあるいは閾値以内になった場合に前記中間調濃度調整処理を開始するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、実施例で説明したように、現像剤トナー濃度制御目標値を補正した後、実際の現像剤のトナー濃度を目標値で安定化させる前に中間調濃度調整処理を開始することによる中間調濃度の再現性の悪化を抑えることができる。
[態様G]
態様Gは、態様C、E又はFの画像形成装置において、前記高画像濃度調整処理にて、高画像濃度を検知するための(例えばベタパッチBp)を作像し、前記高濃度検知用トナー像の画像濃度を検知した結果に基づいて前記第二作像条件を補正するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、後述する態様Gに比べて高画像濃度調整処理を迅速に終え、且つ高画像濃度調整処理を確実に完了することができる。
[態様H]
態様Hは、態様C、E又はFにおいて、前記高画像濃度調整処理にて、ユーザーの命令に基づいて作像するトナー像における高画像濃度のトナー画像部分について検知に適しているか否かを判定し、適している場合に、前記作像手段によって作像した前記トナー画像部分の画像濃度を検知した結果に基づいて前記第二作像条件を補正するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、高濃度検知用トナー像の形成によってトナーを消費することなく、高画像濃度調整処理を実施することができる。
[態様I]
態様Iは、態様B又はCにおいて、前記連続画像形成動作が終了した場合に、前記中止条件について成立したと判定するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、連続画像形成動作の終了後の長期間の待機によって作像手段の作像特性が大きく変化して記憶済みの中間調濃度の検知結果が現状の作像特性に見合わないものになった場合に、次のような効果を奏することができる。即ち、現状の作像特性に見合わない検知結果を用いて第一作像条件を補正することによる中間調濃度の再現性の悪化を回避することができる。
[態様J]
態様Jは、態様Iにおいて、電源を切られた場合と、前記中間調濃度調整処理を開始してからの所定の制御パラメータの変化量が所定の閾値を超えるか、あるいは閾値以上になった場合と、前記中間調濃度調整処理を開始してからの経過時間が所定の閾値を超えるか、あるいは閾値以上になった場合と、前記全ての階調のうち、何れか一つの階調について前記検知結果を記憶してから、直近の出力の所定期間における平均画像面積率が所定の閾値を超えるか、あるいは閾値以上になった場合とのうち、少なくとも一つについても、前記中止条件について成立したと判定するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。