以下に、本発明にかかるコネクタの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
[実施形態]
図1〜図12のX方向は、本実施形態におけるコネクタ1及び相手方コネクタCの挿抜方向であり、ハウジング20および相手方ハウジングChの前後方向である。Y方向は、本実施形態におけるコネクタ1及び相手方コネクタCの配列方向であり、挿抜方向と直交し、ハウジング20および相手方ハウジングChの幅方向である。Z方向は、本実施形態におけるコネクタ1及び相手方コネクタCの上下方向であり、挿抜方向および配列方向と直交する方向である。X1方向はコネクタ1の嵌合方向で、X2方向はコネクタ1の離脱方向である。Z1方向は両コネクタの上方向で、Z2方向は両コネクタの下方向である。以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、各部が相互に組み付けられた状態での方向を表すものとする。
本実施形態におけるコネクタ1は、図1に示すように、例えば、自動車等に使用されるワイヤハーネス等に適用される。ここでは、コネクタ1は、ワイヤハーネスを構成する複数の電線を接続する電線対電線接続用の接続機構であり、例えば、エアバック回路において用いられる。このコネクタ1は、図示しない端子と、この端子を収容及び保持するハウジング20と、を備える。
端子は、金属等の導電性材料によって所定形状に成形され、電線の端末の芯線が圧着や溶着等の所定の接続形態で物理的且つ電気的に接続される。端子は、相手方コネクタCの相手方端子が接続される端子接続部と、電線の芯線が接続される電線接続部と、を有する。本実施形態では、このコネクタ1の端子を雌端子として成形し、相手方コネクタCの相手方端子を雄端子として成形している。但し、端子と相手方端子は、互いに嵌合された上で物理的且つ電気的に接続されるものであるならば、その何れが雌端子であってもよく雄端子であってもよい。
ハウジング20は、図2及び図3に示すように、合成樹脂等の絶縁性材料によって所定形状に成形され、本体部21と、フード22と、環状空間部23と、操作溝24と、収容空間部25と、係止体26と、ハウジング突出体27と、規制レール28とを有する。
本体部21は、図5に示すように、複数個の端子を収容及び保持するために複数の端子収容室21aが設けられている。それぞれの端子収容室21aは、端子を1つずつ収容及び保持し、挿抜方向に沿って端子を1つずつ収容及び保持するように形成されている。端子収容室21aは、嵌合方向側に開口部を有しており、この開口部を介して内方の端子の端子接続部を外方に露出させる。相手方端子は、コネクタ嵌合工程において、その開口部から端子収容室21aに挿入され、端子の端子接続部に嵌合される。この端子収容室21aにおいては、離脱方向側にも開口部を有しており、内方で端子の電線接続部に接続されている電線が離脱方向側の開口部から外方に引き出される。本実施形態のそれぞれの端子収容室21aは、角筒状のフード22の内方に配置された方体状の本体部21の内方に格子状に並べて配置され、かつ、フード22から離脱方向側に突出させている。
フード22は、図1および図2に示すように、筒状であり、本体部21が内方に配置されるように形成される。フード22は、その筒軸方向が、挿抜方向に沿うように配置する。フード22は、嵌合方向側に開口部22aを有している。相手方コネクタCは、その開口部22aから挿入される。本実施形態におけるフード22は、角筒状に形成されており、内方に配置された方体状の本体部21の内方に端子収容室21aが格子状に並べて配置され、かつ、端子収容室21aを離脱方向側に突出させている。
環状空間部23は、図1に示すように、本体部21とフード22との間に形成されており、コネクタ1と相手方コネクタCとの間のコネクタ嵌合工程に際して、相手方コネクタCにおける相手方ハウジングChの筒状のフードChfが本体部21を内方に包み込むように収容される。そのフードChfの内方には、複数個の相手方端子が収容及び保持されている。
操作溝24は、図5に示すように、後述する検知部材40の一部を外方に露出させるように形成されており、検知部材40に対する作業者等の操作を行うために設けられている。操作溝24は、操作空間部24aと、側壁24a1と、可動空間部24bとを有している。操作空間部24aは、操作溝24において、検知部材40を外方に露出させている空間部分であり、作業者等が操作を行う際に利用される。操作空間部24aは、側壁24a1を有している。側壁24a1は、配列方向において対向して一対形成されており、ハウジング20の外壁の一部を成している。可動空間部24bは、操作溝24において、検知部材40と本体部21の外周面との間に設けられている空間であり、嵌合方向側において環状空間部23と連通している。
収容空間部25は、図5に示すように、操作空間部24aよりも嵌合方向側に配置するように形成されており、操作空間部24aの嵌合方向側に連通している。収容空間部25は、ロック用壁部25aと、側壁部25bと、を有している。ロック用壁部25aは、上下方向において環状空間部23側とは反対側で、本体部21に対して上方向に対向するよう形成されており、検知部材40の一部を収容する。側壁部25bは、ロック用壁部25aの両端部に繋ぐよう形成されており、配列方向において対向して一対形成されている。また、ロック用壁部25a及び側壁部25bは、ハウジング20の外壁の一部を成している。
係止体26は、図2に示すように、収容空間部25の一対の側壁部25bからそれぞれ個別に立設し、配列方向において対向して一対形成されている。一方の係止体26は、他方の係止体26に向けて突出させて形成されている。
ハウジング突出体27は、図3に示すように、操作空間部24aの一対の側壁24a1から個別に立設し、配列方向において対向して一対形成されている。一方の突出体27は、他方の突出体27に向けて突出させて形成されている。本実施形態における突出体27は、方体状に形成されている。ハウジング突出体27は、嵌合方向から見た場合に、根元側であるハウジング突出体27が立設している側壁24a1側よりも先端側である他方の突出体27側が上下方向において短く、すなわち上下方向における長さである厚さが薄く形成されている。
規制レール28は、図2に示すように、各側壁部25bにそれぞれ形成されている。規制レール28は、検知部材40の後述する壁体42とそれぞれ対向するように突出しており、検知部材移動工程において、本係止用係止突起46と上下方向と向き合うことができるように形成及び配置される。従って、検知部材40が収容空間部25に挿入された際に、各本係止用係止突起46が各規制レール28と上方向において接触することで、検知部材40のハウジング20に対する下方向への移動が規制される。特に、検知部材40が本係止位置にある際に、検知部材40を下方向に押しても、検知部材40がハウジング20に対する下方向への移動することが抑制されるので、上下方向において過度の荷重がかかった状態で、仮係止解除部45が相手方ハウジングChの筒状のフードChfと接触することを抑制することができる。これにより、コネクタ1の耐久性を向上することができる。
ここで、コネクタ1と相手方コネクタCとが互いに挿入し終えた状態であって、端子と相手方端子との間の物理的且つ電気的な接続が成立している状態を完全嵌合状態という。一方、コネクタ嵌合工程において完全嵌合状態となる前まで、あるいはコネクタ解除工程において完全嵌合状態の後におけるコネクタ1と相手方コネクタCとの間(以下、「コネクタ間」ともいう。)の嵌合状態のことを嵌合解除状態という。
図6に示すように、コネクタ1と相手方コネクタCとの間には、これらが完全嵌合状態のときにハウジング20と相手方ハウジングChとを互いに係合させ、その完全嵌合状態を保持させる保持構造30が設けられている。保持構造30は、コネクタ間の所謂ロック構造であり、図6に示すように、コネクタ1と相手方コネクタCとの嵌合状態が完全嵌合状態のときにハウジング20と相手方ハウジングChとを互いに係合させ、その完全嵌合状態を保持させる。保持構造30は、ロックアーム31と、被係止構造32とからなる。
ロックアーム31は、図5に示すように、本体部21における4つの外周面の内の1つに対して一体化されるよう形成されており、相手方ハウジングChに係止されることで、完全嵌合状態を保持させる。ロックアーム31は、本体部21に固定されるものであり、可撓性を持たせており、検知部材40を取り付け可能となっている。また、ロックアーム31は、基部31a、係止部31b、解除レバー部31c、支持部31d、ガイド部31f、ロックアーム突出体31gを有している。
基部31aは、離脱方向側の一端が下方に曲がって本体部21の上方向側の外周面に固定され、かつ嵌合方向側の他端が嵌合方向に延在するよう形成されている。
係止部31bは、基部31aの嵌合方向側の他端に形成され、ロック用壁部25aと下方向において対向するように形成されている。係止部31bは、相手方ハウジングCに設けられた被係止部32aに係止するものであり、係止を解除可能に、相手方ハウジングCをハウジング20に対してロックするものである。
解除レバー部31cは、嵌合方向側の一端が係止部31bに接続され、離脱方向側の他端が離脱方向に延在するよう形成されている。解除レバー部31cは、ロックアーム31の両側壁が嵌合方向に延びる半矢じり形状に形成されており、この側壁を構成している。解除レバー部31cは、上下方向から見た場合に、ロックアーム31の両側壁の離脱方向側の他端が連結部31iにより連結されることで構成されている。また、解除レバー部31cは、支持部31dと接触部31hとを有している。
支持部31dは、ハウジング20単体での状態において、本体部21との間に隙間が形成されている。支持部31dは、本体部21の外周面と上下方向に対向するものであり、配列方向から見た場合に、基部31aの離脱方向側の一端と重なるよう形成されている。
接触部31hは、ロックアーム31が弾性変形をすることで、支持部31dが本体部21の外周面と接触した直後には本体部21の外周面と接触せず、ロックアーム31がさらに弾性変形することで、本体部21の外周面と接触するものである。ロックアーム31は、接触部31hが本体部21の外周面と接触することで、下方向側への弾性変形が規制されるので、ロックアーム31の過度の撓みを抑制することができ、ロックアーム31が塑性することを抑制することができる。ここで、解除レバー部31cの下方向側端面は、幅方向から見た場合に、接触部31hと支持部31dとを結んだ直線よりも、上方向側に突出する湾曲面であることが好ましい。これにより、支持部31dが本体部21の外周面と接触したのち、接触部31hが本体部21の外周面と接触する前に、下方向側他面と接触することが抑制できる。
ガイド部31fは、図2に示すように、取り付けた検知部材40のロックアーム31からの離脱(挿抜方向とは異なる向きへの離脱)を抑えることができるように一対形成されている。本実施形態のガイド部31fは、解除レバー部31cに設けられている。
ロックアーム突出体31gは、図3に示すように、側壁24a1に向かい合うよう方体状に一対形成されている。本実施形態のロックアーム突起体31gは、解除レバー部31cに設けられている。ロックアーム突出体31gは、嵌合方向から見た場合に、根元側である解除レバー部31側よりも先端側である対向する側壁24a1側が上下方向において短く、すなわち上下方向における長さである厚さが薄く形成されている。
被係止構造32は、相手方ハウジングCに設けられ、係止部31bが解除可能に係止されるように形成されている。被係止構造32は、被係止部32aと解除操作部32bとを有している。
被係止部32aは、図1に示すように、フードChfの外壁面から突出させた突出体であり、コネクタ嵌合工程において、挿抜方向において係止部31bと向き合うことができるように形成されている。被係止部32aは、完全嵌合状態のときに、係止部31bよりも離脱方向側に位置するように、フードChfの外壁面に対して形成されている。係止部31bおよび被係止部32aは、完全嵌合状態のときに、挿抜方向で互いに接触させてもよく、挿抜方向で間隔が空いていてもよい。但し、間隔を空ける場合には、その間隔が詰まって係止部31bと被係止部32aとが接触した際に、完全嵌合状態が損なわれないような間隔を設定する。この例示の被係止部32aは、方体状に形成している。
解除操作部32bは、図1に示すように、フードChfの外壁面から突出させた突出体であり、コネクタ嵌合工程において、挿抜方向において係止部31bと向き合うことができるように形成されている。解除操作部32bは、完全嵌合状態のときに、係止部31bよりも嵌合方向側に位置するように、フードChfの外壁面に対して形成されている。係止部31bおよび解除操作部32bは、完全嵌合状態のときに、挿抜方向で互いに接触させてもよく、挿抜方向で間隔が空いていてもよい。この例示の解除操作部32bは、方体状に形成されており、嵌合方向側に斜面が形成されている。
本実施形態のコネクタ1は、図6に示すように、挿抜方向においてハウジング20に対して相対移動が可能に形成され、作業者等が相手方コネクタCとの完全嵌合状態を判断するための検知部材40を有する。検知部材40は、ロックアーム31に組み付ける。検知部材40は、ロックアーム31よりもハウジング20の外方寄りに配置され、かつ、少なくとも離脱方向側が操作溝24の操作空間部24aに配置されるように、ハウジング20に対して組み付ける。従って、操作空間部24aにおいては、検知部材40の少なくとも離脱方向側が外部に露出している。本実施形態のコネクタ1においては、操作空間部24aを検知部材40の相対移動操作のための空間としても利用する。このため、検知部材40においては、離脱方向側が相対移動操作のための操作部として利用される。また、検知部材40は、基体41、壁体42、被ガイド部43、検知部材操作部44、仮係止解除部45、本係止用係止突起46、検知部材突起体47、規制突起体48を有している。
基体41は、図7に示すように、ハウジング20に対して検知部材40を取り付けた後に、ロックアーム31の基部31aに対して間隔を空けて配置されるよう形成されている。基体41は、例えば、一方の平面を下方向で基部31aに向かい合わせた矩形の片体形状の成形体であってもよく、その片体形状の成形体に様々な切欠きや溝等を形成したものであってもよい。
壁体42は、基体41の配列方向の両端部からそれぞれの側壁24a1側に向かって一対形成されている。被ガイド部43は、壁体42の先端にそれぞれ形成されており、検知部材移動工程において、嵌合方向でロックアーム31のガイド部31fと向き合うことができるように形成及び配置され、ガイド部31fと被ガイド部43との係止により、ハウジング20に対する検知部材40の嵌合方向への相対移動を案内する。本実施形態では、ロックアーム31に検知部材40を取り付け、この検知部材40とロックアーム31との間にガイド部31fと被ガイド部43からなるガイド構造51を設ける。このガイド構造51においては、解除レバー部31cにガイド部31fとしてのガイド溝を設けると共に、検知部材40に被ガイド部43としてのガイド突起を設ける。また、各壁体42は、側壁24a1側の面に案内面42aがそれぞれ形成されている。各案内面42aは、下方向に向かうにともない、側壁24a1側と反対側に向かう傾斜面である。各案内面42aは、検知部材40をハウジング20に挿入する際において、被ガイド部43がガイド部31fを下方向に乗り越える時に、側壁24a1と接触するように形成されている。従って、権利部材40は被ガイド部43がガイド部31fを下方向に乗り越える時に、各壁体42が側壁24a1側に向かって幅方向に広がるが、その際に案内面42aが側壁24a1に接触することとなるので、ハウジング20に対する検知部材40を挿入を容易に行うことができる。
検知部材操作部44は、図1に示すように、操作空間部24aにおいて、上方向に基体41から突出させるよう形成されており、検知部材40の相対移動を作業者等が行う際に利用される。検知部材操作部44は、ハウジング20のロック用壁部25aよりも外方に突出させ、解除操作面44aと、嵌合操作面44bと、を有している。解除操作面44aは、嵌合方向側に位置し、離脱方向と向かい合うよう形成されており、嵌合操作面44bは、離脱方向側に位置し、嵌合方向と向かい合うよう形成されている。嵌合操作面44bは、図5に示すように、嵌合操作部44の上方向側端面から下方向に向かうにともない離脱方向側に突出する傾斜面として形成されている。検知部材40を嵌合方向に移動させる際に、作業者は、嵌合操作面44bを嵌合方向に押すこととなるが、嵌合操作面が傾斜面となっているため、検知部材40は嵌合方向および下方向に向かう力が作用することとなる。従って、検知部材40を嵌合方向に移動させる際に、仮係止解除部45が上方向に浮き上がることを抑制することができる。なお、嵌合操作面44bは、上下方向において複数の凹部が連続して形成されていてもよい。各凹部は、幅方向から見た場合に、下方向側に位置する第一凹部面と、上方向側に位置する第二凹部面とを有し、第一凹部面の長さが第二凹部面よりも長く形成されている。また、第一凹部面は、嵌合操作面44b全体の傾斜角度よりも深く、すなわち嵌合方向側に向かう傾斜面に形成されている。検知部材操作部44は、係止解除位置において、支持部31dを挟んで本体部21に対向するとともに係止部31bより離脱方向側に位置するように、形成されている。
仮係止解除部45は、図7に示すように、基体41の嵌合方向側の端部から本体部21に向けて突出させるよう形成されており、検知部材移動工程において、嵌合方向でロックアーム31の係止部31bと向き合うことができるように形成及び配置される。
本係止用係止突起46は、図3に示すように、検知部材40の各壁体42の嵌合方向側にそれぞれ形成されている。本係止用係止突起46は、ハウジング20のそれぞれの側壁部25bに対向するように突出しており、検知部材移動工程において、嵌合方向でハウジング20の係止体26と向き合うことができるように形成及び配置される。
検知部材突出体47は、図3および図7に示すように、側壁24a1に向かい合うよう方体状に一対形成されている。本実施形態の検知部材突出体47は、検知部材操作部44に設けられている。検知部材突出体47は、嵌合方向から見た場合に、根元側である検知部材操作部44側よりも先端側である対向する側壁24a1側が上下方向において短く、すなわち上下方向における長さである厚さが薄く形成されている。ここで、検知部材突起部47は、検知部材40が係止解除位置において、上方向においてハウジング突出体27と対向し、下方向においてロックアーム突出体31gと対向する。つまり、検知部材突出体47は、係止解除位置において上下方向においてハウジング突出体27とロックアーム突出体31gとに挟まれる。このとき、検知部材突出体47の先端側は、上下方向においてハウジング突出体27およびロックアーム突出体31gの根元側に位置することとなる。従って、嵌合方向から見た場合に、ハウジング突出体27、ロックアーム突出体31gおよび検知部材突出体47を合わせた上下方向における長さは、ハウジング突出体27、ロックアーム突出体31gおよび検知部材突出体47が矩形形状である場合と比較して、短くすることができる。これにより、コネクタ1の上下方向における長さを抑制することができ、コネクタ1の小型化を図ることができる。
規制突起体48は、図6および図7に示すように、基体41の下方向側の面である下面から下方向に突出して形成されている。規制突起体48は、基体41の下面のうち、検知部材40が本係止位置において、上下方向から見た場合に、係止部31bあるいは被係止部32の少なくとも一方の一部と重なる位置に形成されている。従って、規制突起体48は、検知部材40が本係止位置において、一部が係止部31bあるいは被係止部32のいずれかと重なるので、規制突起体48がない場合と比較して、上下方向における検知部材40との隙間を狭くすることができる。これにより、完全嵌合状態において係止部31bが被係止部32aを離脱方向に乗り越えようとしても、上下方向において係止部31bが規制突起体48と接触することとなり、係止部31bが被係止部32aを離脱方向に乗り越えることが抑制されるので、完全嵌合状態を確実に維持することができる。
検知部材40は、ハウジング20に対して仮係止位置、本係止位置及び解除位置との間で相対移動(検知部材移動工程)させることができる。仮係止位置とは、コネクタ1と相手方コネクタCとの間の嵌合状態が嵌合解除状態のときのハウジング20に対する検知部材40の位置のことであり、検知部材40がロック用壁部25aと係止部31bとの間に位置しない位置である。本実施形態における仮係止位置は、係止解除位置でもある。この例示の仮係止位置及び係止解除位置は、ハウジング20に対して検知部材40が組み付けられたときの位置でもある。このため、仮係止位置はコネクタ1と相手方コネクタCとが互いに挿入される前の状態も含まれており、係止解除位置はコネクタ1と相手方コネクタCとが互いに離脱された後の状態も含まれている。本係止位置は、コネクタ1と相手方コネクタCとの間の嵌合状態が完全嵌合状態のときのハウジング20に対する検知部材40の位置のことであり、検知部材40の少なくとも一部がロック用壁部25aと係止部31bとの間に位置する位置である。本実施形態における検知部材40は、ハウジング20に対して挿抜方向に相対移動し得るものであり、仮係止位置から嵌合方向へと相対移動させることで本係止位置まで到達し、本係止位置から離脱方向へ相対移動させることで、係止解除位置まで到達する。
次に、コネクタ1及び相手方コネクタCの嵌合について説明する。図5に示すように、検知部材40が仮係止位置の状態で、相手方ハウジングChをハウジング20の環状空間部23に挿入するようコネクタ1を嵌合方向に移動させる。コネクタ1が嵌合方向に移動することで係止部31bと被係止部32aとが当接する。係止部31b及び被係止部32aは、当接した後、コネクタ1が嵌合方向に移動し続けることで、係止部31bが被係止部32aによって上方向へと押動され、ロックアーム31を撓ませながら係止部31bが完全嵌合状態となる位置まで被係止部32aを乗り越える。また、作業者等は、ロックアーム31における係止部31bを上方向へと撓ませた後、コネクタ1が嵌合方向に移動し続けることで、被係止部32aを完全嵌合状態となる位置まで移動させてもよい。
なお、被係止部32aが係止部31bを上方向へと押動した後、コネクタ1が嵌合方向に移動し続けることで、仮係止解除部45が被係止部32aに接触する。そして、コネクタ1の嵌合方向への移動が進むことで、被係止部32aが仮係止解除部45に対して上方向に向けた力を作用させる。その際、検知部材40においては、基体41が離脱方向側の根元を支点にして撓み始める。
完全嵌合状態となる位置では、図9に示すように、撓ませられていたロックアーム31が弾性復帰し、挿抜方向において係止部31bと被係止部32aとが向かい合うことになる。保持構造30においては、コネクタ1と相手方コネクタCとの間の抜去動作が抑制されるので、完全嵌合状態で保持される。また、検知部材40においては、仮係止解除部45が係止部31bを乗り越えることができる位置まで、基体41が撓む。
ロックアーム31においては、図9に示すように、完全嵌合状態となる位置まで嵌合方向に移動することによって、係止部31bが解除操作部32bに近づいていく。係止部31bと解除操作部32bとの間においては、完全嵌合状態となる位置での間隔を詰めることによって、係止部31bの嵌合方向側への動きを解除操作部32bの端部で係止する。その係止部31bと解除操作部32bの端部とを利用して、完全嵌合状態におけるロックアーム31の嵌合方向側への移動が規制される。
次に、仮係止位置における、ハウジング20に対する検知部材40の相対移動方向への移動の規制について説明する。検知部材40とハウジング20との間には、図5に示すように、ハウジング20に対する検知部材40の相対移動方向(挿抜方向)への移動を仮係止位置で規制する仮係止構造が設けられている。仮係止構造は、ロックアーム突出体31g及び壁体42により、検知部材40の離脱方向側への動きを係止するとともに、係止部31b及び仮係止解除部45により、検知部材40の嵌合方向側への動きを係止する。
検知部材40の離脱方向側への移動を仮係止位置で規制する構造について説明する。ロックアーム突出体31gは、図3に示すように、壁体42よりも離脱方向側に配置し、壁体42の離脱方向側の端部に対して挿抜方向で対向させることにより、壁体42の離脱方向側への移動をロックアーム突出体31gで規制する。ロックアーム突出体31gと壁体42とによって、仮係止位置でのロックアーム31(ハウジング20)に対する検知部材40の離脱方向側への移動を規制する。ロックアーム突出体31gと壁体42は、検知部材40が仮係止位置のときに、挿抜方向で互いに接触させてもよく、挿抜方向で間隔が空いていてもよい。
検知部材40の嵌合方向側への移動を仮係止位置で規制する構造について説明する。仮係止解除部45は、相手方コネクタCが挿入される前の仮係止位置において、その収容空間部25の中で嵌合方向側への移動を規制する。係止部31bは、図5に示すように、相手方コネクタCが挿入される前で且つ検知部材40が仮係止位置のときに、仮係止解除部45に対して挿抜方向で対向させるように配置することにより、仮係止解除部45の嵌合方向側への移動を規制する。係止部31bと仮係止解除部45とによって、相手方コネクタCが挿入される前で且つ検知部材40が仮係止位置のときに、ロックアーム31(ハウジング20)に対する検知部材40の嵌合方向側への移動を規制する。係止部31bと仮係止解除部45は、そのときに、挿抜方向で互いに接触させてもよく、挿抜方向で間隔が空いていてもよい。
次に、検知部材40における、仮係止位置から本係止位置への相対移動について説明する。図9に示すように、完全嵌合状態において、検知部材40が仮係止位置の状態で、仮係止解除部45を、係止部31bを越えて嵌合方向側に動かすことにより、検知部材40は、仮係止位置から本係止位置へとハウジング20に対して相対移動する。これにより、検知部材40の一部である基体41がロック用壁部25aと係止部31bとの間に位置する。
また、検知部材40の側壁24a1側の端部には、基体41と壁体42と被ガイド部43とによって囲まれた挿抜方向に沿う溝が形成される。検知部材40は、ロックアーム31に組み付けられた際に、そのロックアーム31が検知部材40の溝に収容されることで、ロックアーム31に保持されている。このように構成することによって、検知部材40のロックアーム31に対する挿抜方向への相対移動に際して案内が可能になるとともに、検知部材40の31からの離脱(相対移動方向とは異なる向きへの離脱)を抑制することができる。
次に、本係止位置における、ハウジング20に対する検知部材40の相対移動方向への移動の規制について説明する。検知部材40とハウジング20との間には、図6に示すように、ハウジング20に対する検知部材40の相対移動方向(挿抜方向)への移動を本係止位置で規制する本係止構造が設けられている。本係止構造は、係止体26及び本係止用係止突起46により、検知部材40の離脱方向側への移動を規制するとともに、検知部材操作部44及びロック用壁部25aにより、検知部材40の挿入方向側への移動を規制する。
検知部材40の離脱方向側への移動を本係止位置で規制する構造について説明する。検知部材40は、図6に示すように、仮係止状態が解除されてから本係止位置へと移動するまでの間に、基体41が解除操作部32bから離れていくので、この基体41の撓みが徐々に解消されていく。ここで、検知部材40が本係止位置まで移動し終えたときには、本係止用係止突起46が係止体26よりも嵌合方向側に位置しており、その係止体26と本係止用係止突起46とが挿抜方向で互いに対向状態にある。ここでは、それぞれの係止体26で本係止用係止突起46の離脱方向側への移動を規制する。その係止体26と本係止用係止突起46とによって、本係止位置のときに、ロックアーム31(ハウジング20)に対する検知部材40の離脱方向側への移動を規制する。係止体26と本係止用係止突起46は、そのときに、挿抜方向で互いに接触させてもよく、挿抜方向で間隔が空いていてもよい。
検知部材40の挿入方向側への移動を本係止位置で規制する構造について説明する。検知部材40は、図6に示すように、仮係止位置から本係止位置まで相対移動することによって、検知部材操作部44がハウジング20のロック用壁部25aに近づいていく。検知部材操作部44とロック用壁部25aとの間においては、その本係止位置での間隔を詰めることによって、検知部材操作部44の嵌合方向側への動きをロック用壁部25aの端部で係止する。その検知部材操作部44とロック用壁部25aの端部とを利用して、本係止位置での検知部材40の嵌合方向側への移動を規制する。
検知部材40における、本係止位置から解除位置への相対移動について説明する。図6に示すように、完全嵌合状態において、検知部材40が本係止位置の状態で、作業者が解除操作面44aを指で離脱方向に引くことにより検知部材40を離脱方向に移動させることで、その進行と共に仮係止解除部45が解除操作部32bに接触する。そして、その解除が進むに連れて、解除操作部32bが仮係止解除部45に対して上方向に向けた力を作用させる。その際、検知部材40においては、基体41が離脱方向側の根元を支点にして撓み始める。この検知部材40においては、更に解除が進み、図8に示すように、仮係止解除部45が解除操作部32bを乗り越えることができる位置まで、基体41が撓む。仮係止解除部45を、解除操作部32bを越えて離脱方向側に動かすことにより、検知部材40は、本係止位置から解除位置へとハウジング20に対して相対移動する。
コネクタ1及び相手方コネクタCにおける完全嵌合状態の解除について説明する。図11および図12に示すように、検知部材40が本係止位置の状態で、作業者が解除操作面44aを離脱方向に引き続けることにより、ロックアーム31の支持部31dが下げられハウジング20の本体部21に当接する。そして当接後、解除操作面44aをさらに引くことで、てこ作用により支持部31dと本体部21の接点である支点を中心にロックアーム31の解除レバー部31cが回動するため、検知部材操作部44が離脱方向かつ下方向に移動する。これにより、解除レバー部31cの嵌合方向側の一端に接続された係止部31bが上方向へと撓むため、挿抜方向で係止部31bと被係止部32aとが向かい合わないようになる。このため、解除操作面44aを引き続けることで、コネクタ1と相手方コネクタCの完全嵌合状態を解除でき、嵌合解除状態とすることができる。なお、検知部材操作部44は、嵌合解除状態において、支持部31dを挟んで本体部21に対向するとともに係止部31bより離脱方向側に位置する。
以上、本実施形態におけるコネクタ1によれば、検知部材40の本係止位置から係止解除位置までの移動と、両ハウジング20,Chの係合解除とを、作業員が検知部材操作部44に対して外力を加えることで行う操作により、連続して行うことができる。つまり、1つの検知部材40により、2つの操作を行うことができる。したがって、従来のコネクタのように検知部材操作部44を操作した後に、指を離してロックアーム操作部に持ちかえて両ハウジング20,Ch係合解除の操作をする必要がない。つまり、1つの部材である検知部材40で、検知部材40を本係止位置から係止解除位置まで移動させる操作と両ハウジング20,Chの係合解除の操作とを行うことができるので、両ハウジング20,Chを係合解除するまでの作業性を向上させることができ、コネクタ同士の離脱を容易に行うことができる。また、従来のコネクタのようにロックアーム操作部を設ける必要がなくなるため、ハウジング20におけるロックアーム操作部の面積を確保する必要がなくなり、小型化が実現可能となる。
また、本実施形態におけるコネクタ1では、従来のロックアーム操作部に相当する解除レバー部31cの連結部31iの強度が不要となるので、連結部31iの上下方向における長さを短く、すなわち連結部31iの厚みを薄くすることができる。従って、コネクタ1の軽量化、小型化、低コスト化を図ることができる
また、嵌合方向側に位置し、離脱方向と向かい合う解除操作面44aを設けることで、作業者が解除操作面44aを指で離脱方向に引くことで検知部材40を離脱方向に移動させることができるので、解除時での検知部材40の操作性をさらに向上させることができる。また、作業者が解除操作面44aを離脱方向に引き続けることにより、検知部材40を本係止位置から係止解除位置まで移動させる操作を行い、さらに両ハウジング20,Chの係合解除の操作を行うまでの一連の動作を一度の操作で行うことできるため、従来の検知部材40を操作する方向とロックアーム31を操作する方向が異なるコネクタ1と比較して、検知部材40を離脱方向に引くだけで本係止位置から係止解除位置まで移動させた状態(係止解除状態)と両ハウジング20,Chの係合解除とができるため、コネクタ同士の離脱を容易に行うことができる。
また、ハウジング20の成形において、支持部31dと本体部21を固定させないため、金型を離脱方向に抜くための隙間を形成することで金型の強度を確保することができる。
また、支持部31dは、配列方向から見た場合に、基部31aの離脱方向側の一端と重なる位置に形成されるため、基部31aの長さと係止部31bの回動半径がほぼ等しいので、基部の長さと係止部の回動半径が異なる場合と比較して、ロックアーム31の耐久性を向上させることができる。
なお、本実施形態においては、作業者が解除操作面44aを指で離脱方向に引くことで検知部材40を離脱方向に移動させるが、これに限定されるものではなく、解除操作面44aを指で押してもよい。
また、上記実施形態においては、解除操作面44aは、離脱方向と向かい合うよう形成されているが、これに限定されるものではなく、下方向や、下方向に進むにつれて離脱方向に向かい合うよう形成されていてもよい。
また、上記実施形態においては、検知部材40がハウジング20に対して着脱することが可能であり、かつ、解除レバー部31cにロックアーム操作部が形成されていてもよい。これにより、検知部材40がなくともロックアーム操作部を操作することで両ハウジング20,Chの係合解除が可能となる。
また、上記実施形態においては、ハウジング20単体での状態において、支持部31dと本体部21との間に隙間が形成されているが、これに限定されるものではなく、支持部31dは本体部21に当接する形状でもよい。
また、上記実施形態においては、支持部31dは、配列方向から見た場合に、基部31aの離脱方向側の一端と重なる位置となるように形成されているが、これに限定されるものではなく、基部31aの離脱方向側の一端と異なる位置に形成されていてもよい。
また、上記実施形態においては、例えば、ハウジング20の操作空間部24aの離脱方向側に検知部材40の後端と向かい合う当接面を設け、当接面及び検知部材40の後端をそれぞれスプリングの両端に保持させることで、完全嵌合状態において、仮係止状態から本係止位置への検知部材40の移動を弾性力で移動させる構造でもよい。
また、上記実施形態においては、検知部材40が本係止位置のときに、作業者が解除操作面44aを離脱方向に引き続けることにより、嵌合解除の操作を行うが、これに限定されるものではなく、解除操作面44aを離脱方向以外の方向に引くことで嵌合解除の操作を行ってもよい。