JP6788617B2 - 眼鏡レンズ - Google Patents

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Description

本開示は、眼鏡レンズに関する。
従来、眼鏡レンズ表面への汚れの付着を防ぎ、汚れが付着した場合でもこれを容易に拭き取ることができるようにするために、撥水性及び撥油性(以下、「撥水撥油性」という。)を有する撥水撥油層をレンズ基材の表面に設けることが行われている。
近年、撥水撥油性をより一層向上した眼鏡レンズが求められており、高度な撥水撥油性を有する眼鏡レンズには、フッ素含有化合物を含む撥水撥油層が用いられている。
例えば、特許文献1には、「プラスチック基板上に、テトラアルコキシシラン及びトリアルコキシシランを含有する溶液を用いて低屈折率膜を形成する工程と、該低屈折率膜の表面上に、フッ素含有アルコキシシラン化合物を含有する溶液を用いて撥水膜を形成する工程とを有するプラスチックレンズの製造方法」が開示されている。
特開2006−39239号公報
本開示は、レンズ基材と、撥水撥油層と、ケイ素含有加水分解性化合物、その加水分解物、及び、その加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種を含むケイ素含有層と、をこの順で有し、ケイ素含有加水分解性化合物が、アミノシラン化合物及びシラザン化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、眼鏡レンズに関する。
眼鏡レンズの第1実施形態の断面図である。 眼鏡レンズの第2実施形態の断面図である。 軸ずれ防止シールを貼付した玉摺り加工前の眼鏡レンズの平面図である。 軸ずれ防止シールを貼付した玉摺り加工前の眼鏡レンズの断面図である。 ロックテープ及びサクションカップを貼付した玉摺り加工前の眼鏡レンズの平面図である。 ロックテープ及びサクションカップを貼付した玉摺り加工前の眼鏡レンズの断面図である。 玉摺機の回転軸により支持された眼鏡レンズの断面図である。 玉摺機の回転軸への眼鏡レンズの取り付け態様を示す分解図である。 軸ずれ評価用型板と玉摺り加工後の眼鏡レンズを示す平面図である。
眼鏡レンズは、その眼鏡レンズが装着される眼鏡枠の形状にあわせて、外縁が研削される。これは玉摺り加工と呼ばれ、玉摺機によって行われる。玉摺機は、対向する2つの支持部で眼鏡レンズを挟んで支持し、支持された眼鏡レンズの外縁を砥石等の研削加工具を用いて研削することによって、眼鏡レンズの外縁の形状を調整する加工を行うものである。
本発明者らが、特許文献1の製造方法にて製造された撥水膜を有する眼鏡レンズを用いて玉摺り加工を行ったところ、軸ずれが生じるという問題があることを知見している。
なお、軸ずれとは、眼鏡レンズの玉摺り加工の際に、砥石等の研削加工具の押圧などによって、玉摺機の支持部によって支持された眼鏡レンズの支持位置が研削中にずれてしまい、研削が正確にできない不良のことを意図する。
そこで、本実施形態では、上記事情に鑑みて、軸ずれの発生を抑制した、撥水撥油層を有する眼鏡レンズを提供する。
以下に、図面を参照しながら、本開示の眼鏡レンズの好適態様について詳細に説明する。なお、「〜」で記載される数値範囲は上限値及び下限値を含むものとする。例えば、「10〜20」という数値範囲は「10」及び「20」を含む。
本実施形態の眼鏡レンズの特徴点としては、レンズ基材と、撥水撥油層と、ケイ素含有加水分解性化合物、その加水分解物、及び、その加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種を含むケイ素含有層と、をこの順に有すること、そして、上記ケイ素含有加水分解性化合物が、アミノシラン化合物及びシラザン化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む点が挙げられる。本発明者は軸ずれの発生を抑制する効果(以下、「所望の効果」という。)が得られる理由を以下のように推測する。なお、この推測によって本開示の範囲が限定的に解釈されるものではない。
従来技術の撥水撥油層を有する眼鏡レンズにおいて、軸ずれが生じやすい原因について本発明者が調査を行った結果によれば、主な原因として、眼鏡レンズ最表面の撥水撥油層の摩擦係数が低く、滑りやすいことが挙げられる。なかでもフッ素含有化合物を含む撥水撥油層を有する眼鏡レンズの表面は摩擦係数が極めて低く、より滑りやすい。
そこで、本実施形態においては、眼鏡レンズ最表面にケイ素含有加水分解性化合物、その加水分解物、及び、その加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種を含むケイ素含有層を設けることにより軸ずれの発生を抑制している。ケイ素含有層にはケイ素含有加水分解性化合物等に由来するアミノ基又はアミンが存在し、これが後述する玉摺機の回転軸及び軸ずれ防止シールとの間に相互作用を生じ、軸ずれの発生を抑制していると考えられる。
また、本実施形態の、レンズ基材と、撥水撥油層と、ケイ素含有層と、をこの順に有する眼鏡レンズは、耐摩耗性にも優れることを知見している。
<第1実施形態>
図1は眼鏡レンズの第1実施形態の断面図である。
図1に示す眼鏡レンズ100は、レンズ基材101と、撥水撥油層102と、ケイ素含有層103と、をこの順に有している。後述するように、ケイ素含有層103は、特定の化合物を含んでおり、眼鏡レンズ100は所望の効果が得られ、耐摩耗性にも優れる。
なお、図1に示す眼鏡レンズ100は、レンズ基材101の片面に、撥水撥油層102と、ケイ素含有層103と、をこの順に有しているが、レンズ基材101の両面に、撥水撥油層102と、ケイ素含有層103と、をこの順に有していてもよい。
以下に、眼鏡レンズ100に含まれる各部材について詳述する。
(レンズ基材)
レンズ基材は、撥水撥油層と、ケイ素含有層と、を支持する部材である。
レンズ基材の種類は特に制限されず、例えば、プラスチック基材、無機ガラス基材等の通常のレンズ基材を用いることができ、なかでも取扱い性に優れる点で、プラスチックレンズ基材が好ましい。
プラスチックレンズ基材の材料は特に制限されず、例えば、アクリル系樹脂、チオウレタン系樹脂、メタクリル系樹脂、アリル系樹脂、エピスルフィド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエ−テルサルホン系樹脂、ポリ4−メチルペンテン−1系樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR−39)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ハロゲン含有共重合体、又はイオウ含有共重合体などが挙げられる。
レンズ基材の厚さは特に制限されず、取扱い性の点から、1〜30mm程度の場合が多い。
また、レンズ基材は透光性を有していれば透明でなくてもよく、着色されていてもよい。
さらに、図1に示す眼鏡レンズ100のレンズ基材101の表面形状は凸面を有する形状であるが、本実施形態の眼鏡レンズにおけるレンズ基材の表面形状はこの態様に限定されず、平面、凹面等の任意の形状から選択される。
(撥水撥油層)
撥水撥油層は、撥水撥油性を有する層である。
撥水撥油層は眼鏡レンズの表面エネルギーを低下させ、眼鏡レンズの汚染防止の機能を向上させるとともに、眼鏡レンズの表面のすべり性を向上させる。その結果として、撥水撥油層は、眼鏡レンズの耐摩耗性を向上させる。
撥水撥油層を構成する材料は特に制限されず、例えば、フッ素含有化合物(フッ素原子を含む化合物)や、ケイ素含有化合物(ケイ素原子を含む化合物)などが挙げられる。なかでも、撥水撥油性がより優れる点で、撥水撥油層は、フッ素含有化合物を含むことが好ましく、特にフッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物、その加水分解物、及び、その加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
なお、撥水撥油層を構成する材料は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物とは、水素原子の一部又は全部がフッ素原子により置換されたアルキル基を含有する有機ケイ素化合物であり、加水分解性基を有する。
ここで、加水分解性基とは、ケイ素原子に直結し、加水分解反応及び縮合反応を進行し得る基であり、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子、アシルオキシ基、アルケニルオキシ基、イソシアネート基などが挙げられる。なお、加水分解性基が1つのケイ素原子に複数直結する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物の加水分解物とは、フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物中の加水分解性基が加水分解して得られる化合物を意図する。なお、上記加水分解物は、加水分解性基のすべてが加水分解されているもの(完全加水分解物)であっても、加水分解性基の一部が加水分解されているもの(部分加水分解物)であってもよい。つまり、上記加水分解物は、完全加水分解物、部分加水分解物、又は、これらの混合物であってもよい。
フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物の加水分解縮合物とは、フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物中の加水分解性基が加水分解し、得られた加水分解物を縮合して得られる化合物を意図する。なお、上記加水分解縮合物としては、すべての加水分解性基が加水分解され、かつ、加水分解物がすべて縮合されているもの(完全加水分解縮合物)であっても、一部の加水分解性基が加水分解され、一部の加水分解物が縮合しているもの(部分加水分解縮合物)であってもよい。つまり、上記加水分解縮合物は、完全加水分解縮合物、部分加水分解縮合物、又は、これらの混合物であってもよい。
このようなフッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物としては、例えば、特開平9−258003号公報に記載されている、以下の式(5)で表される化合物が挙げられる。
式(5)中、Rは炭素数1〜16の直鎖状又は分岐鎖状パーフルオロアルキル基を表し、Yはヨウ素又は水素を表し、Y’は水素又はアルキル基を表し、Y’’はフッ素又はトリフルオロメチル基を表し、R16は加水分解可能な基を表し、R17は水素又は不活性な一価の有機基を表し、a、b、c、dはそれぞれ0〜200の整数を表し、eは0又は1を表し、s及びtはそれぞれ0〜2の整数を表し、wは1〜10の整数を表す。
撥水撥油層の形成方法は特に制限されず、使用する材料、所望の性能又は厚さ等によって任意に選択できる。例えば、フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物を含む撥水撥油層形成用組成物をレンズ基材上に塗工して、必要に応じて硬化処理を施す方法や、真空蒸着法が挙げられる。
眼鏡レンズが有する撥水撥油層の厚さは、5〜35nmが好ましい。厚さが上記の範囲内であれば撥水撥油性に優れた眼鏡レンズとなる。
なお、本明細書において、撥水撥油層の厚さの測定方法としては、眼鏡レンズ中の撥水撥油層を形成する際に、同時に同様の条件にてモニターガラス上に形成された撥水撥油層(モデル膜)の厚さを、分光反射法を用いたスペクトルフィッティング解析により測定する方法が挙げられる。
眼鏡レンズが有する撥水撥油層の撥水性としては、水の接触角が100度以上であることが好ましい。また、眼鏡レンズが有する撥水撥油層の撥油性としては、ヘキサデカンの接触角が60度以上であることが好ましい。なお、接触角は、撥水撥油層を有する眼鏡レンズ表面に所定量の水またはヘキサデカンを滴下し、その液滴の接触角を接触角計用いて測定することにより得られる。
眼鏡レンズが有する撥水撥油層の動摩擦係数としては、0.1以下であることが好ましい。
(ケイ素含有層)
ケイ素含有層は玉摺り加工の際の軸ずれの発生を抑制する層である。具体的には、後述する玉摺り加工の際に、砥石等の研削加工具の押圧などによって、玉摺機の支持部によって支持された眼鏡レンズの支持位置が研削中にずれてしまうことを防ぐ。
ケイ素含有層は、ケイ素含有加水分解性化合物、その加水分解物、及び、その加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
ケイ素含有加水分解性化合物の加水分解物とは、ケイ素含有加水分解性化合物中の加水分解性基が加水分解して得られる化合物を意図する。なお、上記加水分解物は、加水分解性基のすべてが加水分解されているもの(完全加水分解物)であっても、加水分解性基の一部が加水分解されているもの(部分加水分解物)であってもよい。つまり、上記加水分解物は、完全加水分解物、部分加水分解物、又は、これらの混合物であってもよい。
ケイ素含有加水分解性化合物の加水分解縮合物とは、ケイ素含有加水分解性化合物の加水分解物中の加水分解性基が加水分解し、得られた加水分解物を縮合して得られる化合物を意図する。なお、上記加水分解縮合物としては、すべての加水分解性基が加水分解され、かつ、加水分解物がすべて縮合されているもの(完全加水分解縮合物)であっても、一部の加水分解性基が加水分解され、一部の加水分解物が縮合しているもの(部分加水分解縮合物)であってもよい。つまり、上記加水分解縮合物は、完全加水分解縮合物、部分加水分解縮合物、又は、これらの混合物であってもよい。
ケイ素含有加水分解性化合物は、アミノシラン化合物及びシラザン化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
なお、ケイ素含有加水分解性化合物としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
アミノシラン化合物は、アミノ基を有するシラン化合物であり、所望の効果がより優れる点で、アミノ基を有するシランカップリング剤が好ましい。
なかでも、アミノシラン化合物の好適態様としては、以下の式(1)で表される化合物が挙げられる。
式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は、炭化水素基を表す。なかでも、R及びRが水素原子であるのが好ましい。
炭化水素基中の炭素数は特に制限されないが、1〜12が好ましい。
炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、又は、これらを組み合わせた基が挙げられる。
なお、アルキル基中に含まれる炭素数は1〜10が好ましく、直鎖状、分岐鎖状、および、環状のいずれであってもよい。また、アリール基中に含まれる炭素数は6〜10が好ましい。また、アルケニル基中に含まれる炭素数は2〜12が好ましい。また、アラルキル基中に含まれる炭素数は7〜12が好ましい。
上記炭化水素基は、アミノ基、エーテル基、エステル基、又は、ヒドロキシ基を有していてもよい。
また、RとRとは結合して環を形成してもよい。
は、単結合又は2価の連結基を示す。Rが単結合の場合、式(1)中の窒素原子とケイ素原子とが直接結合する。
2価の連結基の種類は特に限定されないが、例えば、2価の炭化水素基(2価の飽和炭化水素基であっても、2価の芳香族炭化水素基であってもよい。2価の飽和炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状であってもよく、炭素数1〜20であることが好ましく、例えば、アルキレン基が挙げられる。また、2価の芳香族炭化水素基としては、炭素数5〜20であることが好ましく、例えば、フェニレン基が挙げられる。それ以外にも、アルケニレン基、アルキニレン基であってもよい。)、2価の複素環基、−O−、−S−、−SO2−、−NR−、−CO−、−COO−、−CONR−、−SO3−、−SO2NR−、又は、これらを2種以上組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基など)などが挙げられる。ここで、Rは、水素原子又はアルキル基(好ましくは炭素数1〜10)を表す。
は、加水分解性基を表す。加水分解性基の定義としては、上述したフッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物に含まれる加水分解性基の定義と同じである。
は、1価の有機基を表す。ただし、上記有機基から、上記加水分解性基は除く。
上記1価の有機基としては、加水分解性基以外の有機基であればよく、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルカルボニル基、シクロアルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、シクロアルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基、又は、これらを組み合わせた基が挙げられる。なかでも、アルキル基、アリール基、アルケニル基、又は、これらを組み合わせた基が好ましく挙げられる。
なお、アルキル基中に含まれる炭素数は1〜6が好ましく、直鎖状、分岐鎖状、および、環状のいずれであってもよい。また、アリール基中に含まれる炭素数は6〜10が好ましい。また、アルケニル基中に含まれる炭素数は2〜12が好ましい。
nは1〜3の整数である。なかでも、所望の効果がより優れる点で、nは3が好ましい。
上記式(1)で表される化合物としては、例えば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学社製、「KBM−602」)、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、「KBM−603」)、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン(東レ・ダウコーニング社製、「Z−6020」)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、「KBM−903」)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学社製、「KBE−903」)、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン(信越化学社製、「KBE−9103」)、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、「KBM−573」)、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、「KBM−575」)などが挙げられる。
なお、アミノシラン化合物としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
シラザン化合物は、Si−N結合を有する化合物である。シラザン化合物は、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。なお、分子量が2000以下のものを低分子化合物、分子量が2000超のものを高分子化合物と称する。
なかでも、シラザン化合物の好適態様としては、以下の式(2)で表される化合物が挙げられる。
式(2)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、又は、式(3)で表される置換基を表す。
、R及びRで表される炭化水素基の定義は、上述した式(1)中のR及びRで表される炭化水素基の定義と同じであり、好適範囲も同じである。
及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、又は、式(4)で表される置換基である。
及びR10で表される炭化水素基の定義は、上述した式(1)中のR及びRで表される炭化水素基の定義と同じであり、好適範囲も同じである。
とRは結合して、シラザン結合を有する環を形成してもよい。
式(3)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、又は、炭化水素基を表す。
11及びR12で表される炭化水素基の定義は、上述した式(1)中のR及びRで表される炭化水素基の定義と同じであり、好適範囲も同じである。
式(4)中、R13、R14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、又は、炭化水素基を表す。
13、R14及びR15で表される炭化水素基の定義は、上述した式(1)中のR及びRで表される炭化水素基の定義と同じであり、好適範囲も同じである。
11とR12とは結合して環を形成してもよく、環の中に窒素原子、二重結合を含んでいてもよい。
上記式(2)で表される化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン(信越化学社製、「SZ−31」)、トリス(ジメチルアミノ)シラン(日本エア・リキード社製、「3DMAS」)、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルシクロテトラシラザン(日本エア・リキード社製、「OMCTS」)、ジメチルアミノシラン、ジメチルアミノメチルシラン、ジメチルジメチルアミノシラン、ジメチルアミノトリメチルシラン、トリメチルシリル−1,2,4−トリアゾール、2−トリメチルシリル−1,2,3,−トリアゾール、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン、1−トリメチルシリルイミダゾール、アリルアミノトリメチルシラン、ジエチルアミノジメチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、トリメチルシリルピロール、トリメチルシリルピロリジン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ジエチルアミノトリメチルシラン、メチルトリス(ジメチルアミノシラン)、ピペリジノトリメチルシラン、テトラキス(ジメチルアミノ)シラン、アニリロトリメチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ブチルアミノ)ジメチルシラン、メチルトリピペリジノシラン、テトラキス(ジエチルアミノ)シラン、ジアリニロジフェニルシラン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、ヘプタメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザン、トリス(トリメチルシリル)アミンなどが挙げられる。
なお、シラザン化合物としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ケイ素含有層の形成方法は特に制限されず、上記の撥水撥油層の形成方法と同様に、使用する材料、所望の性能又は厚さ等によって任意に選択できる。なかでも、薄膜を精度よく形成できる点で、真空蒸着法が好ましい。
眼鏡レンズが有するケイ素含有層の厚さは3〜30nmが好ましく、4〜10nmがより好ましい。厚さが上記の範囲内であれば軸ずれの発生をより抑制し、かつ初期性能及び耐摩耗性に優れた眼鏡レンズとなる。
なお、本明細書において、ケイ素含有層の厚さの測定方法としては、眼鏡レンズ中のケイ素含有層を形成する際に、同時に同様の条件にてモニターガラス上に形成されたケイ素含有層(モデル膜)の厚さを、分光反射法を用いたスペクトルフィッティング解析により測定する方法が挙げられる。
眼鏡レンズの第1実施形態は、最表面に特定の化合物を含むケイ素含有層を有するため、軸ずれの発生を抑制することができる。
なお、眼鏡レンズは第1実施形態に限定されず、以下に詳述するように、レンズ基材と、撥水撥油層と、ケイ素含有層と、をこの順に有する他、更に他の機能を有する層を有していてもよい。
<第2実施形態>
図2は眼鏡レンズの第2実施形態の断面図である。
図2に示す眼鏡レンズ200は、レンズ基材101と撥水撥油層102の間に、プライマー層201と、ハードコート層202と、無機反射防止層203と、をこの順に有している点を除いて、図1に示す眼鏡レンズ100と同様の層を有するものであるので、同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その説明を省略し、以下では、プライマー層201、ハードコート層202及び無機反射防止層203の構成について詳述する。
なお、図2の眼鏡レンズ200は、レンズ基材101の片面に、上記各層を有しているが、レンズ基材101の両面に、プライマー層201と、ハードコート層202と、無機反射防止層203と、撥水撥油層102と、ケイ素含有層103と、をこの順に有していてもよい。
(プライマー層及びハードコート層)
プライマー層は、レンズ基材と、後述するハードコート層との間に配置される層であり、レンズ基材に対するハードコート層の密着性を向上させる層である。
プライマー層を構成する材料は特に制限されず、例えば、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビスマレイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。
プライマー層には、必要に応じて、樹脂以外の成分が含まれていてもよい。例えば、プライマー層には、無機粒子が含まれていてもよい。無機粒子としては、金属粒子や金属酸化物粒子などが挙げられる。
ハードコート層は、レンズ基材と、後述する無機反射防止層との間に配置される層であり、眼鏡レンズに耐摩耗性、耐湿性、耐温水性、耐熱性、耐候性などを付与する層である。
ハードコート層を構成する材料は特に制限されず、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられる。なかでも、耐摩耗性に優れる点から、酸化チタン等の無機粒子を含むシリコーン系樹脂が好ましい。
プライマー層及びハードコート層の屈折率がレンズ基材の屈折率と同程度であれば、プライマー層(または、ハードコート層)とレンズ基材との界面での反射で生じる干渉縞の発生及び透過率の低下を抑制することができる。プライマー層及びハードコート層の屈折率は、樹脂の種類や、無機粒子の種類及び使用量によって調整することができる。
プライマー層及びハードコート層の形成方法は特に制限されず、公知の方法を使用できる。具体的には、上記撥水撥油層の形成方法で例示した方法が挙げられる。
プライマー層の厚さは特に制限されないが、一般的には0.3〜2.0μmの範囲内で選択される。
ハードコート層の厚さは特に制限されないが、一般的には1.0〜5.0μmの範囲内で選択される。
(無機反射防止層)
無機反射防止層は、入射した光の反射を防止する機能を有する層である。具体的には、400〜700nmの可視領域全域にわたって、低い反射特性(広帯域低反射特性)を有することが好ましい。なお、無機反射防止層が設けられることにより、耐摩耗性、耐熱性、耐薬品性などの物性が眼鏡レンズに付与されてもよい。
無機反射防止層の構造は特に制限されず、単層構造であっても、多層構造であってもよい。
多層構造の場合、低屈折率層と高屈折率層とを交互に積層した構造であることが好ましい。高屈折率層を構成する材料としては、例えば、チタン、ジルコン、アルミニウム、タンタル、又は、ランタンの酸化物等が挙げられる。また、低屈折率層を構成する材料としては、例えば、ケイ素の酸化物等が挙げられる。
無機反射防止層の形成方法は特に制限されず、例えば、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などの物理気相成長法(PVD)、プラズマCVD法などの化学気相成長法(CVD)などが挙げられる。
無機反射防止層の厚さは、所望の分光反射特性を得るための設計より与えられ0.2〜0.6μmが一般的である。
第2実施形態によれば、プライマー層と、ハードコート層と、無機反射防止層と、をこの順に有するため、第1実施形態の奏する効果に加えて、耐摩耗性に優れ、400〜700nmの可視領域全域にわたって、低い反射特性を有する。
以下に実施例を示して本実施形態を具体的に説明する。ただし本実施形態はこれらに限定されない。
(実施例1)
(1)無機反射防止層付きレンズ基材の作製
まず、レンズ基材として、屈折率1.60のポリウレタン系合成樹脂基板を準備した。そのレンズ基材の両面上に、屈折率1.67のプライマー層、及び、屈折率1.67のシリコーン系樹脂を含むハードコート層を加熱硬化法により順次形成した。次に、そのレンズ基材を真空蒸着装置(シンクロン社製、「ACE−1150」)の真空槽内に設けられた回転するドームにセットし、圧力が1.0×10−3Paになるまで排気し、加速電圧500V、加速電流100mAの条件でArイオンビームクリーニングをハードコート層上に60秒間施した。さらに、上記レンズ基材のハードコート層上に、真空蒸着法(電子ビーム法)により多層の無機反射防止層を形成した。無機反射防止層の層構成及び厚さはハードコート層側から順に以下のとおりとした。
第1層:SiO 屈折率=1.47 厚さ 40nm
第2層:ZrO 屈折率=2.00 厚さ 40nm
第3層:SiO 屈折率=1.47 厚さ 25nm
第4層:ZrO 屈折率=2.00 厚さ 60nm
第5層:SiO 屈折率=1.47 厚さ 100nm
以上によりレンズ基材の両面上に、それぞれ、プライマー層と、ハードコート層と、無機反射防止層と、をこの順に有する無機反射防止層付きレンズ基材を得た。
(2)撥水撥油層の形成
まず、内径16mm、深さ6mmの銅製カップにフッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物溶液(i)(ダイキン工業社製、「オプツールDSX」、有効成分濃度20%)を300μl入れ、80℃で加熱して溶媒を蒸発させた。そして、上記無機反射防止層付きレンズ基材が真空槽内の回転するドームにセットされた上記真空蒸着装置の真空槽内に、上記銅製カップをセットし、圧力1.0×10−3Pa、印加電流160アンペアの抵抗加熱法で、上記無機反射防止層上に撥水撥油層(I)を形成した。なお、このとき真空蒸着装置内に設置されている水晶膜厚計の表示値を参考に、撥水撥油層(I)の厚さが8nmになるまで蒸着を行った。上記により撥水撥油層(I)付きレンズ基材を得た。
(3)ケイ素含有層の形成
次に、0.2gのカーボンパウダーを入れた16mm、深さ6mmの銅製カップにアミノシラン化合物(信越化学社製、「KBM−903」、3−アミノプロピルトリメトキシシラン)を200μl入れ、80℃で加熱して溶媒を蒸発させた。そして、上記撥水撥油層(I)付きレンズ基材が真空槽内の回転するドームにセットされた真空蒸着装置の真空槽内に、上記銅製カップをセットし、圧力1.0×10−3Pa、印加電流160アンペアの抵抗加熱法で、上記撥水撥油層(I)上にケイ素含有層(A)を形成した。なお、このとき真空蒸着装置内に設置されている水晶膜厚計の表示値を参考に、ケイ素含有層(A)の厚さが4nmになるまで蒸着を行った。上記により、評価用眼鏡レンズ(S1)を得た。
なお、ケイ素含有層(A)には3−アミノプロピルトリメトキシシランの加水分解縮合物が少なくとも含まれているものと考えられる。
(実施例2)
(2)撥水撥油層の形成において、フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物溶液(i)に代えて、フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物溶液(ii)(ソルテック社製、「OS−010」)に変更して、厚さが14nmとなるように撥水撥油層(II)を形成したことを除いては、実施例1と同様の手順により評価用眼鏡レンズ(S2)を得た。
(実施例3)
(3)ケイ素含有層の形成において、厚さが8nmとなるようにケイ素含有層(A)を形成したことを除いては、実施例2と同様の手順により評価用眼鏡レンズ(S3)を得た。
(実施例4)
(3)ケイ素含有層の形成において、厚さが10nmとなるようにケイ素含有層(A)を形成したことを除いては、実施例2と同様の手順により評価用眼鏡レンズ(S4)を得た。
(比較例1)
(3)ケイ素含有層の形成、を実施しなかったことを除いては実施例1と同様の手順で、言い換えると(1)無機反射防止層付きレンズ基材の作製、(2)撥水撥油層の形成、のみをこの順で実施することにより評価用レンズ(S5)を得た。
(比較例2)
(2)撥水撥油層の形成、と、(3)ケイ素含有層の形成、の順序を逆にしたことを除いては実施例1と同様の手順で、言い換えると、(1)無機反射防止層付きレンズ基材の作製、(3)ケイ素含有層の形成、(2)撥水撥油層の形成、をこの順で実施することにより評価用レンズ(S6)を得た。
(比較例3)
(3)ケイ素含有層の形成、を実施しなかったことを除いては実施例2と同様の手順により評価用レンズ(S7)を得た。
(比較例4)
(2)撥水撥油層の形成、と、(3)ケイ素含有層の形成、の順序を逆にしたことを除いては実施例2と同様の手順により評価用レンズ(S8)を得た。
<各種評価>
(撥水撥油層及びケイ素含有層の厚さ測定)
撥水撥油層及びケイ素含有層の厚さは、分光光度計(機器名称:日立U−4000)を用いたスペクトルフィッティング解析により測定した。
具体的には、まず、屈折率1.8の平板ガラス基板上におよそ100nmのSiOを真空蒸着法により形成し、モニターガラスを作製した。
次に、上記の撥水撥油層の形成に際して、このモニターガラスを真空槽内のレンズ基材と同じドーム位置にセットし、レンズ基材にしたのと同一の方法及び条件により、モニターガラスのSiO膜の表面にも、撥水撥油層を形成した。
また、別のモニターガラスを用意し、上記のケイ素含有層の形成に際して、このモニターガラスを真空槽内のレンズ基材と同じドーム位置にセットし、レンズ基材にしたのと同一の方法及び条件により、モニターガラスのSiO膜の表面にもケイ素含有層を形成した。
次に、モニターガラス上に形成された撥水撥油層、及び、ケイ素含有層の厚さを、光学モデルを基に計算されるシミュレーションスペクトルと各層の測定スペクトルとをフィッティングすることにより、それぞれ求めた。
なお、撥水撥油層、及びケイ素含有層の屈折率は、それぞれ、1.328、及び1.424として計算した。
(耐摩耗性評価1:撥油性能)
ラビングテスター(太平理化工業社製、こすり試験器)に備え付けられた、一辺が1.5センチメートルの立方体のシリコンゴム端子の先端に紙ウエス(日本製紙クレシア社製、「キムワイプ」)を16重にして巻きつけた。次に、ラビングテスターに固定した評価用眼鏡レンズの表面に上記シリコンゴム端子を荷重200gにて押し付け、5cmの間を1分間で90往復のスピードで評価用眼鏡レンズの表面を擦った。そして1000回擦るごとにラビングテスターを停止し、擦り面に油性マーキングペン(寺西化学工業社製、「マジックインキ#500」)で線を描き、インキの弾き具合を目視で観察した。描いたインキが点状に弾かれた場合を「A」と判定し、描いたインキが弾かれずに線が描けた場合を「B」と判定した。上記判定基準にて、「B」判定となった擦りの回数をカウントした。
(耐摩耗性評価2:接触角)
評価用眼鏡レンズをラビングテスターに固定し、上記の耐摩耗性評価1と同様の条件で擦り、5000回擦った後、擦り面の水の接触角を接触角計(協和界面化学社製、DM500)を用いて測定した。この測定値と、試験前に測定した評価用眼鏡レンズ表面の水の接触角(以下、「初期接触角」という。)とから、下記の式によりその低下率を計算した。
接触角低下率(%)=(初期接触角−5000回擦り後の接触角)/初期接触角×100
(軸ずれ評価)
以下の手順により評価用眼鏡レンズの玉摺り加工及び軸ずれの評価を行った。図3〜9を参照しながら説明する。まず、図3及び図4に示すように、評価用眼鏡レンズ300の凸面上で、光学中心301及び光学中心を通る直線上の点302、303の合計3点に印をつけ、軸ずれ防止シール304(Nikon社製、「ECC Sticker(T−905)」、撥油加工品用軸ズレ防止シール)を、レンズ基材の中心401にあわせて上記3点(301、302、303)を覆うように評価用眼鏡レンズ300の凸面に貼り付けた。
次に、図5及び図6に示すように、ロックテープ601(3M社製、「Leap III(1701M)」)を玉摺り用サクションカップ501に貼り付け、はみ出したロックテープ601を玉摺り用サクションカップ501の形状に切り取った後、玉摺りブロッカー(NIDEK社製、「CE−1」、図示せず)を用い、評価用眼鏡レンズ300の3点(301、302、303)が180度の加工軸になるように玉摺り用サクションカップ501を評価用眼鏡レンズ300に貼り付けた。
その後、図7及び8に示すように、評価用レンズ300に取り付けた玉摺り用サクションカップ501を玉摺機(NIDEK社製、「LE−9000SX Plus」)の回転軸701に嵌め込み、評価用眼鏡レンズ300の凹面側の回転軸702とで評価用眼鏡レンズ300を挟み込んだ。このとき、挟み込みの力(加工チャック圧)を50kg±3kgとし、フレーム形状として、あらかじめ玉摺機に記憶させておいた横48mm、縦30mmの8角形の玉型形状を用いて、玉摺り加工を行った。加工中、切削水の温度は22℃±4℃に管理した。
加工後、評価用眼鏡レンズ300からサクションカップ501及び軸ずれ防止シール304をはがし、水滴や加工粉などを拭き取り、図9に示すように、加工後の評価用眼鏡レンズ300をフレーム形状に対応する軸ずれ評価用型板901にはめ込み、プロファイルプロジェクター(Nikon社製、「Profile Projector V−16E」、図示せず)に乗せ、軸ずれ評価用型板901の軸ずれ基準線902を基準に、上記光学中心7を含む3点(301、302、303)を通る直線903の軸ずれ量を測定した。なお、軸ずれ量が2度以内であれば実用上問題がない範囲である。
上記各種評価結果を表1にまとめて示す。
なお、表中、「表面側」とある項目は、各評価用眼鏡レンズの最表面にいずれの層を有するかを示す。
表1に示すように、最表面に特定の化合物を含むケイ素含有層を有する眼鏡レンズは、軸ずれの発生が抑制され、耐摩耗性も優れることが確認された。
一方、最表面に特定の化合物を含むケイ素含有層を有さない比較例1〜4の眼鏡レンズにおいては所望の効果が得られなかった。
実施例1と比較例1を比較すると、最表面に特定の化合物を含むケイ素含有層を有さない評価用眼鏡レンズ(S5)は、所望の効果だけでなく、耐摩耗性においても、評価用眼鏡レンズ(S1)より劣ることが確認された。実施例2〜4と比較例3を比較しても、同様に、耐摩耗性において、評価用レンズ(S7)は評価用レンズ(S2)〜(S4)より劣ることが確認された。
また、実施例1と比較例2とを比較すると、レンズ基材と、特定の化合物を含むケイ素含有層と、撥水撥油層とをこの順に有する評価用眼鏡レンズ(S6)は、評価用眼鏡レンズ(S1)と比較して、所望の効果及び耐摩耗性において劣り、特に所望の効果においてより劣ることが確認された。これは、眼鏡レンズが、その表面に特定の化合物を含むケイ素含有層を有するため、眼鏡レンズの表面状態が改質され、具体的には眼鏡レンズの表面にケイ素含有加水分解性化合物等に由来するアミノ基が存在し、これが軸ずれ防止シール304との間に相互作用を生じたためだと考えられる。
上述したように、本発明者は、鋭意検討した結果、レンズ基材と、撥水撥油層と、特定の化合物を含むケイ素含有層と、をこの順に有する眼鏡レンズにより、軸ずれの発生を抑制した、撥水撥油層を有する眼鏡レンズを提供することができることを見出した。
すなわち、以下の構成により上記の眼鏡レンズを提供することができることを見出した。
(1)レンズ基材と、撥水撥油層と、ケイ素含有加水分解性化合物、その加水分解物、及び、その加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種を含むケイ素含有層と、をこの順で有し、ケイ素含有加水分解性化合物が、アミノシラン化合物及びシラザン化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、眼鏡レンズ。
(2)ケイ素含有層の厚さが3〜30nmである(1)に記載の眼鏡レンズ。
(3)アミノシラン化合物が上述した式(1)で表される化合物であり、シラザン化合物が上述した式(2)で表される化合物である、(1)又は(2)に記載の眼鏡レンズ。
(4)撥水撥油層の厚さが5〜35nmである、(1)〜(3)のいずれかに記載の眼鏡レンズ。
(5)撥水撥油層が、フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物、その加水分解物、及び、その加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、(1)〜(4)のいずれかに記載の眼鏡レンズ。
(6)レンズ基材と、撥水撥油層との間に、さらに無機反射防止層を有する、(1)〜(5)のいずれかに記載の眼鏡レンズ。
(7)レンズ基材と、無機反射防止層との間に、さらにハードコート層を有する、(6)に記載の眼鏡レンズ。
(8)レンズ基材と、ハードコート層との間に、さらにプライマー層を有する、(7)に記載の眼鏡レンズ。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、本実施形態は、視力矯正用の眼鏡レンズ以外にも、度の入っていない眼鏡レンズやサングラス用の眼鏡レンズにも適用することができる。
100,200 眼鏡レンズ
101 レンズ基材
102 撥水撥油層
103 ケイ素含有層
201 プライマー層
202 ハードコート層
203 無機反射防止層

Claims (7)

  1. レンズ基材と、
    撥水撥油層と、
    3−アミノプロピルトリメトキシシラン、その加水分解物、及び、その加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種を含むケイ素含有層と、をこの順で有する、眼鏡レンズ。
  2. 前記ケイ素含有層の厚さが3〜30nmである、請求項1に記載の眼鏡レンズ。
  3. 前記撥水撥油層の厚さが5〜35nmである、請求項1又は2に記載の眼鏡レンズ。
  4. 前記撥水撥油層が、フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物、その加水分解物、及び、その加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の眼鏡レンズ。
  5. 前記レンズ基材と、前記撥水撥油層との間に、さらに無機反射防止層を有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の眼鏡レンズ。
  6. 前記レンズ基材と、前記無機反射防止層との間に、さらにハードコート層を有する、請求項に記載の眼鏡レンズ。
  7. 前記レンズ基材と、前記ハードコート層との間に、さらにプライマー層を有する、請求項に記載の眼鏡レンズ。
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