JP2020187188A - 眼鏡レンズ - Google Patents

眼鏡レンズ Download PDF

Info

Publication number
JP2020187188A
JP2020187188A JP2019090183A JP2019090183A JP2020187188A JP 2020187188 A JP2020187188 A JP 2020187188A JP 2019090183 A JP2019090183 A JP 2019090183A JP 2019090183 A JP2019090183 A JP 2019090183A JP 2020187188 A JP2020187188 A JP 2020187188A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
spectacle lens
hard coat
group
base material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019090183A
Other languages
English (en)
Inventor
プロビン クリストフ
Probyn Christoph
プロビン クリストフ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikon Essilor Co Ltd
Original Assignee
Nikon Essilor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikon Essilor Co Ltd filed Critical Nikon Essilor Co Ltd
Priority to JP2019090183A priority Critical patent/JP2020187188A/ja
Publication of JP2020187188A publication Critical patent/JP2020187188A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】表面抵抗率が低い眼鏡レンズを提供する。【解決手段】眼鏡レンズ基材12と、眼鏡レンズ基材12上に直接または他の層を介して配置され、眼鏡レンズ基材12表面または他の層表面の少なくとも一部を覆う、金属ナノワイヤーから構成される金属ナノワイヤー層14と、金属ナノワイヤー層14を覆うように配置されたハードコート層16と、を含む、眼鏡レンズ10A。【選択図】図1

Description

本開示は、眼鏡レンズに関する。
ラジカル重合性基を有するシルセスキオキサン化合物を含む硬化性樹脂組成物は、ハードコート剤として有用である(例えば、特許文献1)。
特開2015−224294号公報
本開示は、眼鏡レンズ基材と、眼鏡レンズ基材上に直接または他の層を介して配置され、眼鏡レンズ基材表面または他の層表面の少なくとも一部を覆う、金属ナノワイヤーから構成される金属ナノワイヤー層と、金属ナノワイヤー層を覆うように配置されたハードコート層と、を含む、眼鏡レンズに関する。
眼鏡レンズの第1実施形態の断面図である。 眼鏡レンズの第2実施形態の断面図である。
以下、本実施形態の眼鏡レンズについて詳述する。
眼鏡レンズとしては、表面抵抗率(ハードコート層表面の表面抵抗率)が低い眼鏡レンズが望まれている。本実施形態の眼鏡レンズでは、上記特性が得られる。また、本実施形態の眼鏡レンズは、優れた透明性も示す。
なお、本明細書において、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
<第1実施形態>
図1は、眼鏡レンズの第1実施形態の断面図である。
図1に示す眼鏡レンズ10Aは、眼鏡レンズ基材12と、眼鏡レンズ基材12の両面上に配置された金属ナノワイヤー層14と、金属ナノワイヤー層14上に配置されたハードコート層16を含む。
なお、図1においては、金属ナノワイヤー層14は眼鏡レンズ基材12に直接接触するように配置されているが、この形態には制限されず、後述するように、眼鏡レンズ基材12と金属ナノワイヤー層14との間に他の層(例えば、プライマー層)が配置されていてもよい。つまり、金属ナノワイヤー層14は、眼鏡レンズ基材12上に直接配置されていてもよいし、他の層を介して間接的に眼鏡レンズ基材12上に配置されていてもよい。
また、図1においては、眼鏡レンズ基材12の両面に金属ナノワイヤー層14およびハードコート層16が配置されているが、眼鏡レンズ基材12の片面のみに金属ナノワイヤー層14およびハードコート層16が配置されていてもよい。
以下、眼鏡レンズ10Aに含まれる各部材について詳述する。
(眼鏡レンズ基材)
眼鏡レンズ基材は、後述する金属ナノワイヤー層およびハードコート層を支持する部材である。
眼鏡レンズ基材の種類は特に制限されず、プラスチック、無機ガラスなどから構成される通常の眼鏡レンズ基材が挙げられ、取扱い性に優れる点で、プラスチック眼鏡レンズ基材が好ましい。
プラスチック眼鏡レンズ基材の種類は特に制限されないが、例えば、凸面および凹面共に光学的に仕上げ、所望の度数にあわせて成形されるフィニッシュレンズ、凸面のみが光学面(球面、回転対象非球面、累進面など)として仕上げられているセミフィニッシュレンズ、セミフィニッシュレンズの凹面が装用者の処方に合わせて加工研磨されたレンズが挙げられる。
プラスチック眼鏡レンズ基材を構成するプラスチック(いわゆる、樹脂)の種類は特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、チオウレタン系樹脂、アリル系樹脂、エピスルフィド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエ−テルサルホン系樹脂、ポリ4−メチルペンテン−1系樹脂、および、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート系樹脂(CR−39)が挙げられる。
プラスチック眼鏡レンズ基材の厚さは特に制限されないが、取り扱い性の点から、1〜30mm程度の場合が多い。
プラスチック眼鏡レンズ基材の屈折率は特に制限されない。
また、プラスチック眼鏡レンズ基材は透光性を有していれば透明でなくてもよく、紫外線吸収剤や、紫外域から赤外域にかけての特定の波長領域を吸収する染料を含んでいてもよい。
(金属ナノワイヤー層)
金属ナノワイヤー層は、眼鏡レンズ基材上に直接または他の層を介して配置される層であり、眼鏡レンズ基材に帯電防止性を付与する層である。
金属ナノワイヤー層は、金属ナノワイヤーから構成される層である。言い換えれば、金属ナノワイヤー層は、複数の金属ナノワイヤーが集合して、層を形成している金属ナノワイヤーの集合体(金属ナノワイヤーの層状の集合体)である。
金属ナノワイヤーに含まれる金属の種類は特に制限されないが、眼鏡レンズの表面抵抗率がより低下する点(以後、単に「所定の効果がより優れる点」とも称する。)で、銀、金、銅、ニッケル、および、白金からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、銀または金がより好ましく、銀がさらに好ましい。
なお、金属ナノワイヤーとは、材質が金属であり、形状が針状または糸状であり、直径がナノメートルサイズの導電物質をいう。金属ナノワイヤーは直線状であってもよく、曲線状であってもよい。
金属ナノワイヤーの直径は特に制限されないが、所定の効果がより優れる点で、500nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましく、100nm以下がさらに好ましく、40nm以下が特に好ましい。下限としては、10nm以上の場合が多い。
上記金属ナノワイヤーの直径は平均値であり、走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡を用いて、金属ナノワイヤーの断面を観察して、20か所の金属ナノワイヤーの直径を測定して、それらを算術平均して求める。なお、断面が真円状でない場合、長径を直径とする。
金属ナノワイヤーの長さは特に制限されないが、所定の効果がより優れる点で、5〜1000μmが好ましく、10〜500μmがより好ましく、20〜300μmがさらに好ましい。
上記金属ナノワイヤーの長さは平均値であり、走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡を用いて、20個の金属ナノワイヤーの長さを測定して、それらを算術平均して求める。
金属ナノワイヤーの直径dと長さLとの比(アスペクト比:L/d)は特に制限されないが、10〜100000が好ましく、50〜100000がより好ましい。
金属ナノワイヤーの直径および長さの測定方法は、上述した通りである。
金属ナノワイヤー層は、図1に示すように、眼鏡レンズ基材の一方の主面の全面を覆うように配置されていてもよいし、眼鏡レンズ基材の一方の主面の一部を覆うように配置されていてもよい。つまり、金属ナノワイヤー層は、眼鏡レンズ基材表面(特に、眼鏡レンズ基材の2つの主面のうちの一方の主面)の少なくとも一部を覆うように配置されていればよい。
眼鏡レンズ基材表面に対する金属ナノワイヤー層の被覆率は特に制限されないが、5.0%以上の場合が多く、所定の効果がより優れる点で、20.0%以上が好ましく、25.0%以上がより好ましく、40.0%以上がさらに好ましい。上限は特に制限されず、100%が挙げられ、眼鏡レンズの透明性がより優れる点から、85.0%以下が好ましく、75.0%以下がより好ましく、65.0%以下がさらに好ましい。
また、金属ナノワイヤー層が他の層(例えば、プライマー層)を介して眼鏡レンズ基材上に配置されている場合には、上記被覆率は、眼鏡レンズ基材上に配置された他の層表面に対する被覆率を意味する。例えば、眼鏡レンズ基材の2つの主面のうちの一方の主面の全面に他の層が配置されている場合、他の層表面の面積は、眼鏡レンズ基材の一方の主面の面積と同じである。
上記金属ナノワイヤー層の被覆率は、以下の方法により求める。
まず、光学顕微鏡を用いて倍率500倍にて眼鏡レンズを観察し、任意の3か所を選択して、各箇所(縦:500μm、横:660μm)における全面積中に占める金属ナノワイヤーの存在する面積の割合(%)を求めて、これらを算術平均して求める。
眼鏡レンズ基材表面に対する金属ナノワイヤー層の被覆率が100%未満である場合、金属ナノワイヤー層で覆われていない眼鏡レンズ基材の表面がある。このような金属ナノワイヤー層で覆われていない眼鏡レンズ基材の表面には、後述するハードコート層を形成する際に使用するハードコート層形成用組成物が接触し、眼鏡レンズ基材とハードコート層とが直接接触する場合がある。
また、金属ナノワイヤー層内には、金属ナノワイヤーが3次元的に集合した際に形成される空隙が存在する場合があり、そのような場合には、ハードコート層の材料が上記空隙の少なくとも一部を占めるように浸み込む場合がある。
金属ナノワイヤー層の平均厚みは特に制限されないが、所定の効果がより優れる点で、1〜300nmが好ましく、10〜100nmがより好ましい。
金属ナノワイヤー層の平均厚みは、以下の方法により求める。
まず、光学測定装置(オリンパス社製、反射率測定機USPM−RUIII)を用いて眼鏡レンズの分光反射特性を測定し、カーブフィット法により、厚みを求める。
金属ナノワイヤー層の形成方法は特に制限されないが、例えば、金属ナノワイヤーを含む組成物を用いる方法が挙げられる。より具体的には、金属ナノワイヤーおよび溶媒を含む組成物を所定の基材(眼鏡レンズ基材または他の層)上に塗布して、必要に応じて、乾燥処理を施して金属ナノワイヤー層を形成する方法が挙げられる。
組成物中における金属ナノワイヤーの含有量は特に制限されないが、組成物中の全固形分に対して、99質量%以上が好ましく、100質量%がより好ましい。
上記固形分とは、組成物中の溶媒を除いた成分を意図し、その性状が液状であっても固形分とする。
溶媒は、水であっても、有機溶媒であってもよい。
有機溶媒の種類は特に制限されず、例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、および、スルホキシド系溶媒が挙げられる。
上記組成物を塗布する方法は特に制限されず、公知の方法(例えば、ディッピングコーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、インクジェットコーティング法、および、フローコーティング法)が挙げられる。
組成物を塗布した後、必要に応じて、乾燥処理を実施してもよい。乾燥処理の方法としては、加熱処理が挙げられる。加熱処理の際の加熱温度は特に制限されないが、70〜150℃が好ましく、90〜130℃がより好ましい。加熱時間としては、0.5〜90分間が好ましく、1〜60分間がより好ましい。
(ハードコート層)
ハードコート層は、眼鏡レンズ基材上に配置される層であり、眼鏡レンズ基材に耐傷性を付与する層である。ハードコート層は、上述した金属ナノワイヤー層を覆うように配置され、外部から金属ナノワイヤー層を保護する。
ハードコート層としては、JIS K5600において定められた試験法による鉛筆硬度で、「H」以上の硬度を示すものが好ましい。
ハードコート層としては、公知のハードコート層を用いることができ、例えば、有機系ハードコート層、無機系ハードコート層、および、有機−無機ハイブリッドハードコート層が挙げられ、眼鏡レンズの分野においては、有機−無機ハイブリッドハードコート層が一般的に使用されている。
ハードコート層は、重合性モノマーの重合体(重合性モノマーを重合させて得られる重合体)を含むことが好ましい。
重合性モノマーは特に制限されないが、例えば、後述する、特定(メタ)アクリレートや、ラジカル重合性基を有するシルセスキオキサンや、多官能アクリレートや、エポキシ基を複数有する化合物や、オキセタニル基を有するシルセスキオキサン化合物が挙げられる。
また、ハードコート層は、後述する金属酸化物粒子などの無機成分を含んでいてもよい。
ハードコート層は、重合性モノマーを含むハードコート層形成用組成物を用いて形成される層であることが好ましい。
以下、ハードコート層形成用組成物に含まれ得る成分について詳述する。
[リン酸基、および、スルホン酸基からなる群から選択される基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリレート]
ハードコート層形成用組成物に含まれ得る重合性モノマーとして、リン酸基、および、スルホン酸基からなる群から選択される基(以後、単に「特定基」とも称する)を少なくとも1つ有する(メタ)アクリレート(以後、単に「特定(メタ)アクリレート」とも称する)が挙げられる。
なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
特定基としては、リン酸基が好ましい。
特定(メタ)アクリレート中における特定基の数は1以上であればよく、2以上であってもよい。上限としては、例えば、5以下とすることができる。
特定(メタ)アクリレートは、単官能であっても、多官能であってもよい。なお、多官能とは、特定(メタ)アクリレートが2以上の特定基を有することを意味する。
リン酸基は、以下の式で表される基である。*は、結合位置を表す。
スルホン酸基は、以下の式で表される基である。
特定(メタ)アクリレートとしては、式(A)で表される化合物が好ましい。
式(A) CH2=CRa−COO−La−X
aは、水素原子またはメチル基を表す。
aは、ヘテロ原子(例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子)を含んでいてもよい2価の炭化水素基を表す。2価の炭化水素基の炭素数は特に制限されず、1〜10が好ましい。2価の炭化水素基としては、例えば、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、および、これらの基の組み合わせが挙げられ、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基(例えば、−O−アルキレン基−)が好ましい。
Xは、リン酸基、および、スルホン酸基からなる群から選択される基を表す。
[ラジカル重合性基を有するシルセスキオキサン]
ハードコート層形成用組成物に含まれ得る重合性モノマーとして、ラジカル重合性基を有するシルセスキオキサンが挙げられる。
ラジカル重合性基としては、エチレン性不飽和結合を有する基が好ましい。エチレン性不飽和結合を有する基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、および、ビニル基が挙げられる。
なお、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基またはメタアクリロイル基を意味する。
なお、一般的に、シルセスキオキサン化合物とは、アルコキシシラン、クロロシラン、および、シラノールなどの3官能性シラン化合物を加水分解することで得られる式(B)で表される基本骨格を有するシラン化合物である。シルセスキオキサン化合物の構造としては、ランダム構造と呼ばれる不規則の形態のほかに、ラダー構造、かご型(完全縮合ケージ型)構造、および、不完全かご型構造(かご型構造の部分開裂構造体であって、かご型構造からケイ素原子のうちの一部が欠けた構造やかご型構造の一部のケイ素−酸素結合が切断された構造のもの)が知られている。
以下の式(B)中、Rbは有機基を表す。
式(B) Rb−SiO3/2
ラジカル重合性基を有するシルセスキオキサン化合物の構造は特に制限されないが、上記ランダム構造、ラダー構造、かご型構造、および、不完全かご型構造のいずれであってもよく、また、複数種の構造の混合物であってもよい。
シルセスキオキサン化合物に含まれるラジカル重合性基当量は特に制限されないが、ハードコート層の硬度がより優れる点で、30〜500g/eq.が好ましく、30〜150g/eq.がより好ましい。
ラジカル重合性基を有するシルセスキオキサン化合物は、公知の方法にて合成してもよいし、市販品を用いてもよい。
[多官能アクリレート]
ハードコート層形成用組成物に含まれ得る重合性モノマーとして、特定(メタ)アクリレートおよびラジカル重合性基を有するシルセスキオキサンのいずれとも異なる多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリロイル基を複数有する化合物である。(メタ)アクリロイル基の数は特に制限されないが、2〜6個が好ましく、2〜3個がより好ましい。
多官能(メタ)アクリレートとしては、式(C)で表される化合物が好ましい。
式(C) CH2=CRc1−CO−Lc1−CO−CRc2=CH2
c1およびRc2は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表す。
c1は、ヘテロ原子(例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子)を含んでいてもよい2価の炭化水素基を表す。2価の炭化水素基の炭素数は特に制限されず、1〜10が好ましい。2価の炭化水素基としては、例えば、ヘテロ原子を含んでいてもよい、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、および、これらの基の組み合わせが挙げられ、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基が好ましい。
なかでも、酸素原子を含むアルキレン基が好ましく、−O−(Lc2−O)m−で表される基が好ましい。なお、Lc2は、アルキレン基(好ましくは、炭素数1〜3)を表す。mは、1以上の整数を表し、1〜10の整数が好ましく、2〜5の整数がより好ましい。
[エポキシ基を複数有する化合物]
ハードコート層形成用組成物に含まれ得る重合性モノマーとして、エポキシ基を複数有する化合物(以後、単に「多官能エポキシ化合物」とも称する)が挙げられる。
エポキシ基とは、以下の式(1)で表される基である。R1は、水素原子またはアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、および、プロピル基)を表す。*は、結合位置を表す。
多官能エポキシ化合物には、エポキシ基が複数(2個以上)含まれる。エポキシ基の数は特に制限されないが、通常、2〜6個とすることができ、また2〜3個とすることができる。
多官能エポキシ化合物の種類は特に制限されず、公知の多官能エポキシ化合物が挙げられる。多官能エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、および、脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ化合物が挙げられる。
[オキセタニル基を有するシルセスキオキサン化合物]
ハードコート層形成用組成物に含まれ得る重合性モノマーとして、オキセタニル基を有するシルセスキオキサン化合物が挙げられる。
オキセタニル基とは、以下の式(2)で表される基である。R2は、水素原子またはアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基)を表す。*は、結合位置を表す。
オキセタニル基を有するシルセスキオキサン化合物の構造は特に制限されないが、上記ランダム構造、ラダー構造、かご型構造、および、不完全かご型構造のいずれであってもよく、また、複数種の構造の混合物であってもよい。
シルセスキオキサン化合物に含まれるオキセタニル基当量は特に制限されないが、ハードコート層の硬度がより優れる点で、50〜500g/eq.とすることができ、150〜300g/eq.とすることができる。
オキセタニル基を有するシルセスキオキサン化合物は、公知の方法にて合成してもよいし、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、東亞合成社製:OX−SQ TX−100、OX−SQ SI−20、OX−SQ HDXが挙げられる。
[金属酸化物粒子]
ハードコート層形成用組成物は、金属酸化物粒子を含んでいてもよい。
金属酸化物粒子の種類は特に制限されず、公知の金属酸化物粒子が挙げられる。金属酸化物粒子としては、例えば、Si、Al、Sn、Sb、Ta、Ce、La、Fe、Zn、W、Zr、In、および、Tiから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物の粒子が挙げられる。なかでも、取り扱い性の点で、金属酸化物粒子を、Siを含む酸化物の粒子(酸化ケイ素粒子)、Snを含む酸化物の粒子(酸化スズ粒子)、Zrを含む酸化物の粒子(酸化ジルコニウム粒子)、または、Tiを含む酸化物の粒子(酸化チタン粒子)が好ましい。
なお、金属酸化物粒子には、上記に例示した1種の金属(金属原子)のみが含まれていてもよいし、2種以上の金属(金属原子)が含まれていてもよい。
また、Si(ケイ素)は半金属に分類される場合があるが、本明細書ではSiを金属に含めるものとする。
金属酸化物粒子の平均粒径は特に制限されないが、例えば、1〜200nmが好ましく、5〜30nmがより好ましい。上記範囲内であれば、ハードコート層形成用組成物中での金属酸化物粒子の分散安定性がより優れる。
なお、上記平均粒径は、透過型電子顕微鏡にて20個以上の金属酸化物粒子の直径を測定して、それらを算術平均して求める。なお、金属酸化物粒子が真円状でない場合、長径を直径とする。
金属酸化物粒子の表面には、必要に応じて、各種官能基が導入されていてもよい。
[式(3)で表される加水分解性ケイ素化合物、その加水分解物、および、その加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種]
ハードコート層形成用組成物は、所定の効果がより優れる点で、式(3)で表される加水分解性ケイ素化合物、その加水分解物、および、その加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種(以後、単に「加水分解性ケイ素化合物類」とも称する)を含んでいてもよい。なお、加水分解性ケイ素化合物とは、ケイ素原子に加水分解性基が結合した化合物を意図する。
式(3) X−L−Si(R3n(R43-n
Xは、エポキシ基を表す。
エポキシ基の定義は、上述した通りである。
Lは、ヘテロ原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基を表す。炭化水素基の炭素数は特に制限されず、1〜10が好ましい。2価の炭化水素基としては、例えば、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、および、これらの基の組み合わせが挙げられ、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基が好ましい。
3は、加水分解性基を表す。加水分解性基は、Si(ケイ素原子)に直結し、加水分解反応および/または縮合反応を進行し得る基である。加水分解性基としては、例えば、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、アシルオキシ基、アルケニルオキシ基、および、イソシアネート基が挙げられる。
4は、アルキル基を表す。アルキル基の炭素数は、1〜10が好ましい。
nは、1〜3の整数を表す。nは、3が好ましい。
加水分解性ケイ素化合物の加水分解物とは、加水分解性ケイ素化合物中の加水分解性基が加水分解して得られる化合物を意図する。なお、上記加水分解物は、加水分解性基のすべてが加水分解されているもの(完全加水分解物)であっても、加水分解性基の一部が加水分解されているもの(部分加水分解物)であってもよい。つまり、上記加水分解物は、完全加水分解物、部分加水分解物、または、これらの混合物であってもよい。
また、加水分解性ケイ素化合物の加水分解縮合物とは、加水分解性ケイ素化合物中の加水分解性基が加水分解し、得られた加水分解物を縮合して得られる化合物を意図する。なお、上記加水分解縮合物としては、すべての加水分解性基が加水分解され、かつ、加水分解物がすべて縮合されているもの(完全加水分解縮合物)であっても、一部の加水分解性基が加水分解され、一部の加水分解物が縮合しているもの(部分加水分解縮合物)であってもよい。つまり、上記加水分解縮合物は、完全加水分解縮合物、部分加水分解縮合物、または、これらの混合物であってもよい。
[その他成分]
ハードコート層形成用組成物は、上述した成分以外の成分を含んでいてもよい。
ハードコート層形成用組成物は、ラジカル重合開始剤を含んでいてもよい。ラジカル重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤および熱ラジカル重合開始剤が挙げられる。
ハードコート層形成用組成物は、カチオン重合開始剤を含んでいてもよい。カチオン重合開始剤としては、光カチオン重合開始剤および熱カチオン重合開始剤が挙げられる。
ハードコート層形成用組成物は、溶媒を含んでいてもよい。
溶媒としては、水であっても、有機溶媒であってもよい。
有機溶媒の種類は特に制限されず、例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、および、スルホキシド系溶媒が挙げられる。
ハードコート層形成用組成物は、必要に応じて、紫外線吸収剤、老化防止剤、塗膜調整剤、光安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、染料、充填剤、および、内部離型剤などの種々の添加剤を含んでいてもよい。
ハードコート層形成用組成物は、上述した各種成分を含む。
ハードコート層形成用組成物の製造方法は特に制限されず、例えば、上述した成分を一括で混合してもよいし、分割して段階的に各成分を混合してもよい。
ハードコート層形成用組成物中における重合性モノマーの含有量は特に制限されないが、所定の効果がより優れる点で、ハードコート層形成用組成物中の全固形分(ハードコート層構成成分)に対して、1〜100質量%が好ましく、5〜60質量%がより好ましい。
なお、全固形分(ハードコート層構成成分)とは、硬化処理によりハードコート層を構成する成分であり、溶媒は固形分に含まれない。また、成分が液状であっても、ハードコート層を構成する成分であれば、固形分として計算する。
ハードコート層形成用組成物中における金属酸化物粒子の含有量は特に制限されないが、所定の効果がより優れる点で、ハードコート層形成用組成物中の全固形分に対して、10〜90質量%が好ましく、25〜75質量%がより好ましい。
ハードコート層形成用組成物に加水分解性ケイ素化合物類が含まれる場合、加水分解性ケイ素化合物類の含有量は特に制限されないが、所定の効果がより優れる点で、ハードコート層形成用組成物中の全固形分に対して、0.5〜30質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
ハードコート層形成用組成物を用いたハードコート層の形成方法としては、ハードコート層形成用組成物を金属ナノワイヤー層上に塗布して塗膜を形成し、塗膜に対して光照射処理などの硬化処理を実施する方法が挙げられる。
なお、塗膜を形成した後、必要に応じて、塗膜から溶媒を除去するために、加熱処理などの乾燥処理を実施してもよい。
ハードコート層形成用組成物を塗布する方法は特に制限されず、公知の方法(例えば、ディッピングコーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、インクジェットコーティング法、および、フローコーティング法)が挙げられる。
眼鏡レンズ基材上に形成される塗膜の膜厚は特に制限されず、所定のハードコート層の膜厚となるような膜厚が適宜選択される。
光照射処理の条件は特に制限されず、使用される重合開始剤の種類によって適した条件が選択される。
光照射の際の光の種類は特に制限されないが、例えば、紫外線および可視光線が挙げられる。光源としては、例えば、高圧水銀灯が挙げられる。
光照射の際の積算光量は特に制限されないが、生産性および塗膜の硬化性の点で、100〜3000mJ/cm2が好ましく、100〜2000mJ/cm2がより好ましい。
ハードコート層の膜厚は特に制限されないが、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、10μm以上がさらに好ましい。なお、膜厚の上限は、例えば、30μm以下とすることができる。
上記膜厚は平均膜厚であり、その測定方法としては、ハードコート層の任意の5点の膜厚を測定し、それらを算術平均して求める。
(他の部材)
眼鏡レンズの第1実施形態は、上述した眼鏡レンズ基材、金属ナノワイヤー層およびハードコート層以外の他の部材を含んでいてもよい。
他の部材としては、例えば、反射防止膜が挙げられる。
眼鏡レンズは、ハードコート層上に配置される反射防止膜をさらに含んでいてもよい。
反射防止膜は、入射した光の反射を防止する機能を有する層である。具体的には、400〜700nmの可視領域全域にわたって、低い反射特性(広帯域低反射特性)を有することができる。
反射防止膜の構造は特に制限されず、単層構造であっても、多層構造であってもよい。
反射防止膜としては、無機反射防止膜が好ましい。無機反射防止膜とは、無機化合物で構成される反射防止膜である。
多層構造の場合、低屈折率層と高屈折率層とを交互に積層した構造が好ましい。なお、高屈折率層を構成する材料としては、例えば、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ニオブ、タンタル、または、ランタンの酸化物が挙げられる。また、低屈折率層を構成する材料としては、例えば、シリカの酸化物が挙げられる。
反射防止膜の製造方法は特に制限されないが、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、および、CVD法などの乾式法が挙げられる。
<第2実施形態>
図2は、眼鏡レンズの第2実施形態の断面図である。
図2に示す眼鏡レンズ10Bは、眼鏡レンズ基材12と、眼鏡レンズ基材12の両面上に配置されたプライマー層18と、プライマー層18上に配置された金属ナノワイヤー層14と、金属ナノワイヤー層14上に配置されたハードコート層16とを含む。
図2においては、眼鏡レンズ基材12の両面にプライマー層18、金属ナノワイヤー層14およびハードコート層16が配置されているが、眼鏡レンズ基材12の片面のみにプライマー層18、金属ナノワイヤー層14およびハードコート層16が配置されていてもよい。
また、図2においては、金属ナノワイヤー層14はプライマー層18とハードコート層16との間に配置されているが、眼鏡レンズ基材12とプライマー層18との間に金属ナノワイヤー層14が配置されていてもよい。
図1に記載の眼鏡レンズ10Aと図2に記載の眼鏡レンズ10Bとは、眼鏡レンズ10Bがプライマー層18を有する点以外は、略同一の構成を有することから、同一の構成の部分については説明を省略し、以下では主にプライマー層18について説明する。
なお、図2において金属ナノワイヤー層は、プライマー層表面(プライマー層の2つの主面のうちの一方の主面)の全面を覆うように配置されているが、プライマー層表面の一部を覆うように配置されていてもよい。つまり、金属ナノワイヤー層は、プライマー層表面(特に、プライマー層の2つの主面のうちの一方の主面)の少なくとも一部を覆うように配置していればよい。
なお、プライマー層表面に対する金属ナノワイヤー層の被覆率は特に制限されないが、上記第1実施形態で説明した被覆率の範囲が好ましい。
プライマー層は、眼鏡レンズ基材とハードコート層との間に配置される層であり、金属ナノワイヤー層およびハードコート層などの眼鏡レンズ基材に対する密着性を向上させ、眼鏡レンズ基材に耐衝撃性を付与する層である。
プライマー層を構成する材料は特に制限されず、公知の材料を使用でき、例えば、主に樹脂が使用される。使用される樹脂の種類は特に制限されず、例えば、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビスマレイミド系樹脂、および、ポリオレフィン系樹脂が挙げられ、ポリウレタン系樹脂が好ましい。
プライマー層は、上記樹脂以外の他の成分を含んでいてもよい。
他の成分としては、例えば、Si、Al、Sn、Sb、Ta、Ce、La、Fe、Zn、W、Zr、In、および、Tiから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物微粒子またはこれらの複合酸化物微粒子、加水分解性ケイ素化合物および/またはその加水分解縮合物、並びに、界面活性剤が挙げられる。
プライマー層の形成方法は特に制限されず、公知の方法を採用でき、例えば、所定の樹脂を含むプライマー層形成用組成物を眼鏡レンズ基材上に塗布して、必要に応じて硬化処理を施して、プライマー層を形成する方法が挙げられる。
プライマー層形成用組成物を塗布する方法は特に制限されず、例えば、ハードコート層形成用組成物を塗布する方法で例示した方法が挙げられる。
プライマー層の厚さは特に制限されないが、0.3〜2μmが好ましい。
以下、上記形態に関して実施例および比較例によりさらに詳しく説明するが、これらの実施例によって何ら制限されるものではない。
<実施例A1>
(プライマー層形成)
水系ウレタンディスパージョン(エバファノール HA170、日華化学社製、固形分濃度37%)(4.050質量部)に、純水(22.842質量部)、界面活性剤としてL77(Momentive製)(0.054質量部)とL7001(Dow Chemical製)(0.054質量部)を加えて撹拌し、固形分濃度5.6質量%のプライマー層形成用組成物1を作製した。
プラスチック眼鏡レンズ基材として、屈折率1.74のレンズ((株)ニコン・エシロール製:NL5−AS)を用いた。
次に、上記プラスチック眼鏡レンズ基材の凸面上に、プライマー層形成用組成物1(3ml)を垂らした後、スピンコートにより、プライマー層形成用組成物1が塗布されたプラスチック眼鏡レンズ基材を300rpmで60秒間回転させた。次に、得られたプラスチック眼鏡レンズ基材を80℃で20分間加熱して乾燥し、プライマー層を形成した。
(金属ナノワイヤー層形成)
銀ナノワイヤーイソプロパノール溶液(EMJapan、NW−AG30−05G−IPA)に所定量のイソプロパノールを添加して、銀ナノワイヤーの濃度が0.01質量%である溶液1を作製した。
なお、上記銀ナノワイヤーの直径は30nmであり、長さは30μmであった。
次に、プライマー層上に、溶液1(3ml)を垂らして、スピンコートにより、溶液1が塗布されたプラスチック眼鏡レンズ基材を300rpmで60秒間回転させた。次に、得られたプラスチック眼鏡レンズ基材を110℃で2分間加熱して乾燥し、金属ナノワイヤー層を形成した。
(ハードコート層形成)
褐色瓶に、0.012N塩酸水(1.2質量部)、加水分解性ケイ素化合物として3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製:KBM403)(4.8質量部)を加えて、得られた混合液を室温で24時間攪拌した。
得られた混合液(1.620質量部)に、ブチルセロソルブ(1.593質量部)、および、塗膜調整剤としてポリエーテル変性シリコーン(東レ・ダウコーニング(株)製:L7001)(0.027質量部)を加えた。さらに、メチルエチルケトン分散コロイダルシリカ(日産化学社製、MEK−ST−40)(16.011質量部)、多官能エポキシ化合物としてジグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製:デナコールEX−313)(0.810質量部)、および、オキセタニル基を有するシルセスキオキサン(東亞合成(株)製:OX−SQ TX−100)(6.426質量部)を加えて、得られた混合液を6時間攪拌した。その後、得られた混合液に、さらにヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASFジャパン(株)製:Tinuvin477)(0.378質量部)、および、光カチオン重合開始剤((株)ADEKA製:アデカオプトマーSP−170)(0.162質量部)を加えて、得られた混合液を攪拌し、ハードコート層形成用組成物1を得た。
金属ナノワイヤー層上に、ハードコート層形成用組成物1(3ml)を垂らした後、スピンコートにより、ハードコート層形成用組成物1が塗布されたプラスチック眼鏡レンズ基材を300rpmで3秒間、次に、100rpmで27秒間、次に、700rpmで5秒間、次に、1500rpmで0.3秒間回転させた。次に、得られたプラスチック眼鏡レンズ基材を80℃で20分間加熱した後、光源として高圧水銀灯(100mW/cm2)を用いて、塗膜に対してUV照射(積算光量:700mJ/cm2)した。その後、100℃で60分間加熱して、ハードコート層を形成した。
<実施例A2〜A7>
溶液中での銀ナノワイヤーの濃度、および、金属ナノワイヤー層を形成する際のスピンコートの条件を変更した以外は、実施例A1と同様の手順に従って、眼鏡レンズを得た。
<比較例A1>
金属ナノワイヤー層の形成を実施しなかった以外は、実施例A1と同様の手順に従って、眼鏡レンズを得た。
<評価>
上記実施例および比較例にて得られた眼鏡レンズを用いて、以下の評価を実施した。なお、結果は、後述する表1にまとめて示す。
(表面抵抗率1)
温度25度、湿度20%の条件下にて、抵抗率計(三菱化学社製、Hiresta−Up MCP−HT450)を用いて、眼鏡レンズのハードコート層表面の表面抵抗率を測定した。
(表面抵抗率2)
後述する(反射防止膜の形成)の手順に従って、ハードコート層上に反射防止膜を形成して、反射防止膜含有眼鏡レンズを得た。
次に、上記(表面抵抗率1)と同様の方法に従って、反射防止膜含有眼鏡レンズの反射防止膜表面の表面抵抗率を測定した。
[反射防止膜の形成]
得られた眼鏡レンズを真空槽内に設けられた回転するドームにセットし、真空槽内の温度を70℃に加熱し、圧力が1.0×10-3Paになるまで排気した。次に、加速電圧500Vおよび加速電流100mAの条件でArイオンビームクリーニングを一方のハードコート層に対して60秒間施した後、クリーニングしたハードコート層上に、順次、第1層SiO2(屈折率1.47)を光学的膜厚0.090λ、第2層ZrO2(屈折率2.00)を光学的膜厚0.038λ、第3層SiO2(屈折率1.47)を光学的膜厚0.393λ、第4層ZrO2(屈折率2.00)を光学的膜厚0.104λ、第5層SiO2(屈折率1.47)を光学的膜厚0.069λ、第6層ZrO2(屈折率2.00)を光学的膜厚0.289λ、および、第7層SiO2(屈折率1.47)を光学的膜厚0.263λで積層し、反射防止膜を形成した。なお、λは設計の中心波長で500nmとした。
(透過率)
日立分光光度計U−4100を用いて、眼鏡レンズの波長550nmにおける透過率を測定した。
金属ナノワイヤー層の被覆率および厚みは、各実施例において金属ナノワイヤー層を形成した直後に、上述した方法にて測定した。
表1中、「AgNW濃度(%)」は、使用した銀ナノワイヤーを含む溶液中の銀ナノワイヤーの濃度(質量%)を表す。
表1中、「スピンコート条件」は、銀ナノワイヤーを含む溶液のスピンコートの条件を表し、「1」は300rpmで60秒間回転を意味し、「2」は500rpmで60秒間回転を意味し、「3」は1000rpmで60秒間回転を意味し、「4」は3000rpmで60秒間回転を意味する。
表1中、「平均厚み(nm)」は金属ナノワイヤー層の平均厚みを表す。
表1中、「被覆率(%)」は金属ナノワイヤー層の被覆率を表す。
表1中、「膜厚(μm)」は眼鏡レンズ基材上に形成されたプライマー層、金属ナノワイヤー層およびハードコート層の合計膜厚を表す。なお、いずれの実施例および比較例においても、プライマー層の厚みは0.3μm程度であった。
評価欄中、「−」は評価を実施しなかったことを意味する。
表1に示すように、所定の眼鏡レンズであれば、所望の効果が得られることが確認された。
<実施例B1>
実施例A1と同様の手順に従って、プライマー層を形成した。
(金属ナノワイヤー層形成)
銀ナノワイヤーイソプロパノール溶液(NW−AG30−05G−IPA、EMジャパン製)に所定量のイソプロパノールを添加して、銀ナノワイヤーの濃度が0.1質量%である溶液1を作製した。
次に、プライマー層上に、溶液1(3ml)を垂らして、スピンコートにより、溶液1が塗布されたプラスチック眼鏡レンズ基材を300rpmで60秒間回転させた。次に、得られたプラスチック眼鏡レンズ基材を110℃で2分間加熱して乾燥し、金属ナノワイヤー層を形成した。
(ハードコート層形成)
褐色瓶に、0.012N塩酸水(1.2質量部)、加水分解性ケイ素化合物として3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製:KBM403)(4.8質量部)を加えて、得られた混合液を室温で24時間攪拌した。
得られた混合液1.35質量部に、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート(ホスマーPE、ユニケミカル社製)(2.72質量部)と、ラジカル重合性基を有するシルセスキオキサンとしてメタクリル系シルセスキオキサン(AC−SQ TA−100、東亞合成社製)(5.13質量部)と、ポリエチレングリコールジメタクリレート(ライトアクリレート14EG−A、共栄社化学社製)(10.80質量部)と、エポキシシランオリゴマー(CoatOSil MP−200)(1.35質量部)と、ラジカル重合開始剤(IRGACURE127)(0.27質量部)と、エタノール(1.35質量部)と、ブタノール(5.39質量部)とを混合して、ハードコート層形成用組成物2を得た。
金属ナノワイヤー層上に、ハードコート層形成用組成物2(3ml)を垂らした後、スピンコートにより、ハードコート層形成用組成物2が塗布されたプラスチック眼鏡レンズ基材を300rpmで3秒間、次に、100rpmで30秒間回転させた。次に、得られたプラスチック眼鏡レンズ基材を90℃で20分間加熱した後、光源として高圧水銀灯(100mW/cm2)を用いて、塗膜に対してUV照射(積算光量:300mJ/cm2)した。
<実施例B2〜B4>
溶液中での銀ナノワイヤーの濃度、および、金属ナノワイヤー層を形成する際のスピンコートの条件を変更した以外は、実施例B1と同様の手順に従って、眼鏡レンズを得た。
<比較例B1>
金属ナノワイヤー層の形成を実施しなかった以外は、実施例B1と同様の手順に従って、眼鏡レンズを得た。
得られた眼鏡レンズを用いて、上述した方法により評価した。
表2中、「AgNW濃度(%)」は、使用した銀ナノワイヤーを含む溶液中の銀ナノワイヤーの濃度(質量%)を表す。
表2中、「スピンコート条件」は、銀ナノワイヤーを含む溶液のスピンコートの条件を表し、「5」は300rpmで60秒間回転を意味し、「6」は500rpmで60秒間回転を意味し、「7」は1000rpmで60秒間回転を意味し、「8」は3000rpmで60秒間回転を意味する。
表2中、「平均厚み(nm)」は金属ナノワイヤー層の厚みを表す。
表2中、「被覆率(%)」は金属ナノワイヤー層の被覆率を表す。
表2中、「膜厚(μm)」は眼鏡レンズ基材上に形成されたプライマー層、金属ナノワイヤー層およびハードコート層の合計膜厚を表す。なお、いずれの実施例および比較例においても、プライマー層の厚みは0.3μm程度であった。
表2に示すように、所定の眼鏡レンズであれば、所望の効果が得られることが確認された。
10A,10B 眼鏡レンズ
12 眼鏡レンズ基材
14A,14B 金属ナノワイヤー層
16 ハードコート層
18 プライマー層

Claims (6)

  1. 眼鏡レンズ基材と、
    前記眼鏡レンズ基材上に直接または他の層を介して配置され、前記眼鏡レンズ基材表面または前記他の層表面の少なくとも一部を覆う、金属ナノワイヤーから構成される金属ナノワイヤー層と、
    前記金属ナノワイヤー層を覆うように配置されたハードコート層と、を含む、眼鏡レンズ。
  2. 前記金属ナノワイヤー層の被覆率が、20.0%以上である、請求項1に記載の眼鏡レンズ。
  3. 前記金属ナノワイヤーに含まれる金属が、銀、金、銅、ニッケル、および、白金からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1または2に記載の眼鏡レンズ。
  4. 前記金属ナノワイヤー層の平均厚みが、1〜300nmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の眼鏡レンズ。
  5. 前記他の層がプライマー層である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の眼鏡レンズ。
  6. 前記ハードコート層上に配置される反射防止膜を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の眼鏡レンズ。
JP2019090183A 2019-05-10 2019-05-10 眼鏡レンズ Pending JP2020187188A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019090183A JP2020187188A (ja) 2019-05-10 2019-05-10 眼鏡レンズ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019090183A JP2020187188A (ja) 2019-05-10 2019-05-10 眼鏡レンズ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020187188A true JP2020187188A (ja) 2020-11-19

Family

ID=73222797

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019090183A Pending JP2020187188A (ja) 2019-05-10 2019-05-10 眼鏡レンズ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2020187188A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023053653A1 (ja) * 2021-09-28 2023-04-06 ホヤ レンズ タイランド リミテッド 眼鏡光学物品及びその製造方法
US11751366B1 (en) * 2020-05-08 2023-09-05 Apple Inc. Heat dissipation for head-mountable device
WO2023228786A1 (ja) * 2022-05-24 2023-11-30 株式会社ニコン・エシロール 積層体の製造方法
WO2024004995A1 (ja) * 2022-06-29 2024-01-04 株式会社ニコン・エシロール 組成物の製造方法、眼鏡レンズの製造方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003039586A (ja) * 2001-08-03 2003-02-13 Dainippon Printing Co Ltd 低反射帯電防止性ハードコートフィルム
JP2009505358A (ja) * 2005-08-12 2009-02-05 カンブリオス テクノロジーズ コーポレイション ナノワイヤに基づく透明導電体
JP2011198736A (ja) * 2010-02-24 2011-10-06 Hitachi Chem Co Ltd 感光性導電フィルム、導電膜の形成方法及び導電パターンの形成方法
JP2015014743A (ja) * 2013-07-08 2015-01-22 株式会社リコー エレクトロクロミック調光レンズ、エレクトロクロミック調光眼鏡、及びそれらの製造方法
JP2015526750A (ja) * 2012-06-12 2015-09-10 レコン インストルメンツ インコーポレイテッドRecon Instruments Inc. 眼鏡用ヘッドアップディスプレイシステム

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003039586A (ja) * 2001-08-03 2003-02-13 Dainippon Printing Co Ltd 低反射帯電防止性ハードコートフィルム
JP2009505358A (ja) * 2005-08-12 2009-02-05 カンブリオス テクノロジーズ コーポレイション ナノワイヤに基づく透明導電体
JP2011198736A (ja) * 2010-02-24 2011-10-06 Hitachi Chem Co Ltd 感光性導電フィルム、導電膜の形成方法及び導電パターンの形成方法
JP2015526750A (ja) * 2012-06-12 2015-09-10 レコン インストルメンツ インコーポレイテッドRecon Instruments Inc. 眼鏡用ヘッドアップディスプレイシステム
JP2015014743A (ja) * 2013-07-08 2015-01-22 株式会社リコー エレクトロクロミック調光レンズ、エレクトロクロミック調光眼鏡、及びそれらの製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11751366B1 (en) * 2020-05-08 2023-09-05 Apple Inc. Heat dissipation for head-mountable device
WO2023053653A1 (ja) * 2021-09-28 2023-04-06 ホヤ レンズ タイランド リミテッド 眼鏡光学物品及びその製造方法
WO2023228786A1 (ja) * 2022-05-24 2023-11-30 株式会社ニコン・エシロール 積層体の製造方法
WO2024004995A1 (ja) * 2022-06-29 2024-01-04 株式会社ニコン・エシロール 組成物の製造方法、眼鏡レンズの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2718750B1 (en) Method for obtaining optical articles having superior abrasion resistant properties, and coated articles prepared according to such method
JP2020187188A (ja) 眼鏡レンズ
EP2435523B1 (en) Process for preparing articles having an anti-fog layer by layer coating and coated articles having enhanced anti-fog and durability properties
KR100953230B1 (ko) 플라스틱 렌즈 및 플라스틱 렌즈의 제조 방법
JP4969582B2 (ja) 帯電防止性、反射防止性の被覆層を有する光学製品およびその製造方法
JP5927457B2 (ja) 光学製品及び眼鏡プラスチックレンズ
WO2018124204A1 (ja) ハードコート層形成用組成物、眼鏡レンズ
JP2015148643A (ja) 光学製品並びに眼鏡レンズ及び眼鏡
JP2007041434A (ja) プラスチックレンズ及びプラスチックレンズの製造方法
WO2018221466A1 (ja) 眼鏡レンズ、プライマー層形成用組成物、眼鏡レンズの製造方法
WO2020230655A1 (ja) 眼鏡レンズ、組成物
JP2004109728A (ja) 眼鏡用プラスチックレンズ
JP4293593B2 (ja) 防曇性光学体及び光学体への防曇層形成方法
KR102596091B1 (ko) 하드 코트층 형성용 조성물, 및 안경 렌즈
JP2021009205A (ja) 眼鏡レンズ
WO2019009127A1 (ja) プラスチック光学製品並びにプラスチック眼鏡レンズ及び眼鏡
JP5987117B2 (ja) 反射防止レンズおよびその製造方法
JP6544853B2 (ja) 光学製品並びにプラスチックレンズ及び眼鏡
WO2021220513A1 (ja) 光学部材
JP2020187240A (ja) 眼鏡レンズ、組成物
WO2023127566A1 (ja) 膜、眼鏡レンズ、組成物
JPH095679A (ja) 眼鏡用プラスチックレンズ
WO2023243610A1 (ja) 眼鏡レンズ
JP2009237595A (ja) プラスチック眼鏡レンズ
JP2008046390A (ja) 反射防止層を有する眼鏡レンズおよび眼鏡レンズの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A625 Written request for application examination (by other person)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A625

Effective date: 20211129

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221110

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230104

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20230302

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230324

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230620

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230623

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20231128