JP6785545B2 - 炭化珪素単結晶製造用の黒鉛坩堝 - Google Patents

炭化珪素単結晶製造用の黒鉛坩堝 Download PDF

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Description

本発明は、昇華再結晶法による炭化珪素単結晶製造用の黒鉛坩堝に関するものである。
炭化珪素(以下、「SiC」と表記することがある。)は、機械的強度に優れ、放射線に強い等の物理的、化学的な安定性から耐環境性半導体材料として注目されている。また、絶縁破壊電界強度、耐熱性、熱伝導性においてシリコン(SiC)を凌駕する物性を有しており、近年、高周波高耐圧電子デバイス用途としてSiC単結晶ウェハの需要が高まっている。しかし、その優れた物理的、化学的な安定性に起因して、SiC単結晶の製造には多くの課題が存在する。
現在、市販されているSiC単結晶ウェハを製造するためのSiC単結晶の育成には、主に昇華再結晶法(改良レイリー法)が用いられている。これは、不活性ガスの減圧環境中に蓋付き坩堝(通常、黒鉛製等の耐熱容器)を配置し、坩堝上蓋の内面に種結晶基板となるSiC単結晶基板を設置し、また、坩堝本体下部の原料充填部に原料となるSiC結晶粉末(以下、「SiC原料粉末」ということがある。)を充填し、これら種結晶基板とSiC原料粉末とを坩堝内部で互いに対向させて配置し、SiC原料粉末と種結晶基板との間に種結晶基板側がやや低温となるような温度勾配を形成させて2000〜2400℃に加熱し、SiC原料粉末側で生成した原料SiC結晶粉末からの昇華ガスを種結晶基板へと拡散させ、また、輸送させ、種結晶基板の表面で再結晶化させてSiC結晶を成長させる方法である。
他のSiC単結晶の育成方法としては、SiC融液に炭素(C)を溶解させた溶液中で低温側に配置した種結晶基板上に成長層を育成する溶液成長法、SiC及びCの化合物ガスを高温で種結晶基板の表面に吹き付けて成長層を得る高温化学気相堆積法(高温CVD法)等が提案され、研究開発が進められているが、これらの方法では安定して厚い成長層を得ることが難しく、現状では昇華再結晶法が最も量産性に優れる方法であるとされている。しかしながら、この昇華再結晶法においても、得られるSiC単結晶の重量が坩堝本体下部の原料充填部内に予め充填されるSiC原料粉末の重量によって制限され、1つの単結晶インゴットから切断加工できるウェハ枚数を増やすには、原料充填部内へのSiC原料粉末の充填量を増やすと共に、坩堝系外へ漏出する昇華ガスの漏出量を可能な限り低減し、SiC原料粉末から発生した昇華ガスを種結晶基板上で効率的に再結晶化させることが重要である。
特開2014-040,372号公報 特開2014-111,546号公報 特許第4,230,035号公報
ECS Journal of Solid State Science and Technology, 2 (8) N3018-N3021 (2013). Journal of Crystal Growth 258 (2003)261-267. Material Science and Engineering B61-62 (1999) 107-112.
しかしながら、通常の昇華再結晶法では、充填したSiC原料粉末の重量に対して、得られる成長結晶の重量が少ないという問題がある。これは、結晶成長中に昇華ガスが少なからず坩堝外へ漏出してしまうということに加え、昇華再結晶法における成長原理として、SiC原料粉末から発生する昇華ガスはSiとCの1:1の組成比で構成されるのではなく、一貫してSi過剰のガス組成を有することに起因すると考えられる。SiCから発生する昇華ガスは、主としてSi、SiC、SiCから構成されることが知られており、温度の上昇に伴って昇華ガス全体の組成はそのC分圧比を増すものの、例えば非特許文献1に示されているように、2200℃においても昇華ガス中のC分圧比は30%程度に止まっている。また、この昇華ガスがSi過剰の組成比で構成されることについては、昇華後にSiC原料粉末がCからなる残渣として残存することからも明らかである。昇華ガスがSi過剰な組成比を有することは、昇華ガス全てが結晶成長に寄与するのではなく、昇華ガス中に含まれるCの量に依存してSiC成長層が形成されることを意味する。つまり、種結晶基板の表面に到達した昇華ガスは、再結晶化に際し、最大でも昇華ガス中に含まれるCの量だけSiC単結晶を形成することができ、過剰分のSiは相手となるCが存在せず成長に寄与できない。従って、単純にSiC原料粉末から発生した昇華ガスのみでSiC単結晶を成長させる場合、計算上得られる成長層の総重量は予め充填しておいたSiC原料粉末の重量の30%程度に止まってしまい、昇華再結晶法の量産性を低下させる大きな要因となっている。
このような昇華再結晶法の量産性の課題に対し、特許文献1では、前記原料充填部の容器構造を二重壁構造とし、内側に貫通孔を有する分離壁を設け、加熱開始後一定時間の後に分離壁を動かすことにより、壁面に接していた原料を容器内に露出させ、これを新たな昇華ガス供給面として利用することで、昇華ガスを供給し続けることができるとする技術を開示している。この方法によれば、予め導入しておいたSiC原料粉末をより効率良く昇華ガスとして容器内の成長空間領域へ供給できる。しかしながら、2000℃を超える高温環境下で、しかも、SiC原料粉末からの昇華ガスに晒されながら、坩堝容器内で機械的な駆動制御を行うことは、部材同士の固着や消耗等により、十分な再現性を実現することが難しくて現実的ではない。更に、この方法においても、昇華ガスのうち、成長に寄与可能な割合が低いという根本的な問題は前記と同様である。
一方、特許文献2では、昇華再結晶法とは異なり、原理的にはSiC原料からの昇華ガスを外部から際限なく継続的に供給可能な高温CVD法において、長時間の安定した結晶成長を実現するための技術を開示している。この方法は、高温CVD法の量産性を阻害する要因が、長時間に亘る原料の昇華ガス供給によってガス排出口で発生する詰まりの現象に起因しているとし、未反応ガスの排出経路にパージガスを拡散導入可能な構造を設け、これによってガス排出口の詰まりを効果的に抑止し、長時間の結晶成長を可能にするとされている。しかしながら、この方法においても、容器内の構造や温度分布に対して、キャリアガス、原料ガス、及び不活性ガスの間の供給バランスが崩れると、ガス排出口だけでなく、意図しないガス滞留部に多くの結晶が付着する等の問題が起こり、長時間安定的に結晶成長を維持するための制御が容易ではないという問題がある。
また、特許文献3においては、結晶として特定の研削法で加工した炭化珪素結晶を用い、原料充填部には原料として珪素を充填し、また、この珪素原料と種結晶基板との間に炭素材(炭素粒13、貫通孔14、及び炭素板15)を配置し、この炭素材中を通過する原料充填部からの珪素ガスと炭素材中の炭素とを反応させ、SiC単結晶の結晶成長に寄与するガスを得て結晶成長を行う珪素ガス炭素反応法が開示されている。しかしながら、この方法は、黒鉛坩堝の原料充填部に原料炭化珪素を充填し、この原料炭化珪素を昇華させ、生成した昇華ガスを種結晶基板の表面で再結晶化させる昇華再結晶法とは原理的に異なる方法である。
ところで、従来において、昇華再結晶法に用いられる黒鉛坩堝については、SiCから発生する原料昇華ガスとの反応や2000℃を超える高温への加熱により、黒鉛坩堝自体も昇華・消耗することが知られており、また、容器としての高い堅牢性が求められることから、その表面に対して、可能な限り緻密でかつ平坦になるように精密な仕上げ加工が行われてきた。しかしながら、非特許文献2には、昇華再結晶法において、黒鉛製坩堝内部の原料充填部に同位体元素13Cを導入したSiC原料粉末を充填して結晶成長を行った結果、13Cが成長結晶に含まれる割合は原料充填部内に充填したSiC原料粉末における13Cが占めた割合より低く、更に実験後の坩堝の内壁面においても13Cが検出されていることが示されている。
そこで、本発明者らは、この非特許文献2における実験事実について検討し、この実験事実は“結晶成長に寄与する炭素源は単にSiC原料粉末からのみ供給されるのではなく、黒鉛製坩堝の内壁面からも供給され、成長結晶に取り込まれていること”を示しているのではないかと考え、黒鉛製坩堝の内壁面を積極的に昇華ガスと反応させ、これを結晶成長のためのC供給源として利用し、成長結晶へ取り込むことができれば、これまで予め坩堝内に充填されたSiC原料粉末からのC供給に限られ、制限されていた結晶成長量を大きく増加させることができるのではないかと考えた。
そして、本発明者らは、このような考えの下で、如何にして黒鉛製坩堝の内壁面を昇華ガスと効率良く反応させ、これによってこの黒鉛製坩堝の内壁面を結晶成長のためのC供給源として利用するかについて検討した結果、黒鉛製坩堝の内壁面に粗面部を形成して昇華ガスとの接触面積を大きくすることにより、黒鉛製坩堝の原料充填部に充填するSiC原料粉末の量を増加させなくても、この黒鉛製坩堝の内壁面を結晶成長のためのC供給源として利用し、結晶成長量を増加させることができることを見出し、本発明を完成した。
従って、本発明は、昇華再結晶法において、坩堝内に充填されたSiC原料粉末を効率的に利用してSiC単結晶を成長させることができ、より量産性に優れたSiC単結晶製造用の黒鉛坩堝を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1) 上端開口筒状に形成された黒鉛製の坩堝本体とこの坩堝本体の上端開口部を閉塞する坩堝上蓋とを有し、前記坩堝本体下部の原料充填部に原料炭化珪素を充填すると共に、前記坩堝上蓋の内面に炭化珪素単結晶からなる種結晶基板を設置し、前記原料炭化珪素を加熱して昇華させ、発生した昇華ガスを前記種結晶基板の表面で再結晶化させる昇華再結晶法により炭化珪素単結晶を製造するための黒鉛坩堝であって、前記坩堝本体の内壁面に粗面部を有することを特徴とする炭化珪素単結晶製造用の黒鉛坩堝。
(2) 前記粗面部が、坩堝本体の内壁面において坩堝本体下部の原料充填部より上方に位置することを特徴とする前記(1)に記載の炭化珪素
(3) 前記粗面部は、その表面粗度Raが1μm以上であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の炭化珪素単結晶製造用の黒鉛坩堝。
本発明のSiC単結晶製造用の黒鉛坩堝によれば、昇華再結晶法において、坩堝内に充填されたSiC原料粉末を効率的に利用してSiC単結晶を成長させることができ、坩堝内に充填されるSiC原料粉末の充填量を必要以上に増加させることなく、比較的大きな炭化珪素単結晶を育成することが可能となり、量産性に優れた昇華再結晶法を実現することができる。
図1は、昇華再結晶法により炭化珪素単結晶を育成する際の育成装置を説明するための説明図である。 図2は、本発明の実施の一例に係る黒鉛坩堝の構造を説明するための説明図である。
以下、本発明の実施の形態に係る具体的な内容について述べる。
図1は、昇華再結晶法により炭化珪素単結晶を育成する際に用いられる従来の育成装置の構成を示す説明図であり、この育成装置に組み込まれた黒鉛坩堝1は、上端開口筒状に形成された黒鉛製の坩堝本体2とこの坩堝本体2の上端開口部を閉塞する黒鉛製の坩堝上蓋3とを有し、前記坩堝本体2下部の原料充填部には原料の炭化珪素粉末(SiC原料粉末)4が充填されていると共に、前記坩堝上蓋3の内面には炭化珪素単結晶からなる種結晶基板5が固着されている。
この図1に示す育成装置において、前記黒鉛坩堝1の外側には、黒鉛坩堝1の全体を取り囲むように断熱材6が配設されており、これら黒鉛坩堝1及び断熱材6は支持棒7に支持されて二重石英管8の内部へ導入される。そして、この二重石英管8の外側にはワークコイル9が巻付け状態に取り付けられており、このワークコイル9を流れる高周波電流により黒鉛坩堝1が誘導加熱され、この誘導加熱によってSiC原料粉末が所定の温度に加熱されて昇華し、昇華ガスとなり、坩堝本体2下部の原料充填部付近の温度よりやや低温に維持された種結晶基板5に向けて移動し、この種結晶基板5の表面でSiCが再結晶化し、結晶成長が進行する。
本発明においては、図2に示すように、図1に示す黒鉛坩堝1において、坩堝本体2下部の原料充填部に充填したSiC原料粉末4の表面から上の種結晶基板5に至るまでの坩堝本体2の周壁部内面に、粗面加工により形成された粗面部2aが設けられており、この粗面部2aが形成されることにより、SiC単結晶の育成開始前において黒鉛坩堝1内の空間部に露出する坩堝本体2の周壁部内面の表面積が大きくなり、昇華ガスとの接触面積が大きくなって反応性が高められている。なお、この図2に示す例では坩堝本体2下部の原料充填部より上の部分でその周壁部内面の全面に粗面部2aが設けられているが、この粗面部2aについては、坩堝本体2の周壁部及び底壁部を含めた坩堝本体2の内壁面全面に設けられていてもよく、また、底壁部を除く周壁部の内面全面に設けられていてもよく、更に、周壁部の内面に部分的に設けられていてもよく、更にはその形状やパターンについても昇華ガスとの接触面積が増加して反応性が高くなれば、特に制限されるものではない。
そして、この粗面部2aについては、その表面粗度Ra(JIS B0601:2013)が1μm以上であり、好ましくは2μm以上50μm以下、より好ましくは5μm以上50μm以下であるのがよく、昇華ガスによるエッチング反応が有為的に促進され、SiC単結晶の育成時に黒鉛坩堝1における坩堝本体2の内壁面を炭素源として効果的に利用することができる。
なお、黒鉛坩堝には、高周波誘導電流が黒鉛坩堝の内部に浸透できず、発熱が伝導体である黒鉛坩堝の表面(外壁面近傍)で起きるという、いわゆる表皮効果によって、主に坩堝外周部を中心として加熱される特徴があることから、坩堝内壁に上記の如き粗面部が形成されたとしても、この誘導電流が有意な擾乱を受けることは無く、従って加熱される黒鉛坩堝の加熱状態についても有意な影響を受けることがない。
ここで、前記黒鉛坩堝1の坩堝本体2の内壁面に所望の表面粗度Raを有する粗面部2aを形成する方法としては、黒鉛の表面に粗面加工を行うことができれば特に制限されるものではなく、例えば、金属製の組ヤスリ及び真鍮製ブラシ等を用いた粗面加工や、通常の研磨・研削加工に用いられる工具等を用いた粗面加工を始めとして、黒鉛坩堝1の加工仕上げとして、坩堝本体2の内壁面を目の粗いサンドペーパー等で研磨する等の簡便な方法を採ることも可能である。
以下に、本発明の実施例を述べる。
〔実施例1〕
実施例1においては、昇華再結晶法により炭化珪素単結晶を育成する際に用いられる図1に示す育成装置において、図2に示す構造を有する2インチ口径の黒鉛坩堝を採用し、この際に粗面加工で形成された粗面部の表面粗度Raが1.2μmのものを用いた。前記粗面部を形成する粗面加工は、坩堝本体下部の原料充填部より上の種結晶基板に至るまでの坩堝本体の周壁部内面に対してサンドペーパーでの粗面化を実施し、表面粗度Raの測定は、接触式段差計(Mitutoyo製SURFTEST型番SV-3100)を用い、4μm走査の粗さ測定により行った。
次に、上記の育成装置を用い、常法に従って昇華再結晶法によるSiC単結晶の育成を行った。この際、二重石英管の内部を真空排気し、原料充填部内のSiC原料粉末を2000℃まで上昇させ、その後にアルゴンガスを流入させて二重石英管内圧力を約1.3kPaに保ち、SiC原料粉末を目標温度の約2400℃まで上昇させて成長を行った。
この実施例1において、原料充填部内に充填したSiC原料粉末に対して得られた成長結晶の歩留り(以下、「結晶成長の歩留り」という。)は、質量割合〔(成長結晶の質量)÷(SiC原料粉末の質量)×100〕で65%であった。
〔実施例2〕
黒鉛坩堝の坩堝本体内壁面に形成した粗面部の表面粗度Raを3.3μmとしたこと以外は、上記の実施例1と同様にして、昇華再結晶法によるSiC単結晶の結晶成長を行った。この実施例2における結晶成長の歩留りは68%であった。
〔実施例3〕
黒鉛坩堝の坩堝本体内壁面に形成した粗面部の表面粗度Raを6.0μmとしたこと以外は、上記の実施例1と同様にして、昇華再結晶法によるSiC単結晶の結晶成長を行った。この実施例3における結晶成長の歩留りは71%であった。
なお、この実施例3の昇華再結晶法によるSiC単結晶の結晶成長に際し、上記の粗面部を有する黒鉛坩堝を用いることに加えて、ワークコイルの位置や加熱電流の調整等により系外へのガス漏出を抑制したところ、結晶成長の歩留りは80%にまで達した。
〔比較例1〕
実施例1と同寸法の口径(2インチ口径)であって粗面部のない従来の黒鉛坩堝を備えた図1に示す育成装置を用い、実施例1と同様にしてSiC単結晶の結晶成長を行った。この黒鉛坩堝の内壁面は研磨加工が施されていてその表面粗度Raは0.5μm以下であった。
この比較例1においては、結晶成長後の坩堝の内壁面は厚み1mm以下の深さでエッチングされ、消耗が確認されたものの、結晶成長の歩留りは40%に過ぎなかった。
〔比較例2〕
また、その他の比較例として、坩堝本体の内壁面を昇華ガスとの反応性の低い材料で被覆した場合について調べた。実施例1及び比較例1と同寸法の2インチ口径の黒鉛坩堝を用意し、その坩堝本体の内壁面における実施例1の粗面部に相当する領域に対して、CVD法により昇華ガスと反応性の低いTaC(炭化タンタル)からなる厚さ20μmの被覆層を形成した。このようにして準備された黒鉛坩堝を使い、実施例1及び比較例1と同様の条件でSiC単結晶の結晶成長を行った。
この比較例2においては、結晶成長後の坩堝壁面のエッチング、消耗はほぼ確認されず、結晶成長の歩留りは30%に過ぎなかった。
以上の各実施例及び比較例の結果から、本発明の黒鉛坩堝を用いることにより、同じ原料充填量からより重量の大きなSiC単結晶を育成できることが判明した。従って、本発明の黒鉛坩堝の使用により、原料充填量を増加させるための坩堝構造の大幅な修正をすることなく、飛躍的に量産性を高めることが可能である。なお、口径が大きな場合にも、昇華ガスの流れとして坩堝内壁表面との反応が低減するものではなく、昇華ガスの絶対量が増加して坩堝本体の内壁面のエッチング・消耗も増加することから、本発明の黒鉛坩堝の使用による結晶成長への寄与は、坩堝の口径に関わらず得られるものである。
1…黒鉛坩堝、2…坩堝本体、2a…粗面部、3…坩堝上蓋、4…SiC原料粉末、5…種結晶基板、6…断熱材、7…支持棒、8…二重石英管、9…ワークコイル。

Claims (1)

  1. 上端開口筒状に形成された黒鉛製の坩堝本体とこの坩堝本体の上端開口部を閉塞する坩堝上蓋とを有し、前記坩堝本体下部の原料充填部に原料炭化珪素を充填すると共に、前記坩堝上蓋の内面に炭化珪素単結晶からなる種結晶基板を設置し、前記原料炭化珪素を加熱して昇華させ、発生した昇華ガスを前記種結晶基板の表面で再結晶化させる昇華再結晶法により炭化珪素単結晶を製造するための黒鉛坩堝であって、
    前記原料炭化珪素の表面から上の前記種結晶基板に至るまでの前記坩堝本体の周壁部内面に、粗面加工により形成された、表面粗度Raが1μm以上である粗面部を有する
    ことを特徴とする炭化珪素単結晶製造用の黒鉛坩堝。
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