以下に添付図面を参照して、画像読取装置、画像形成装置およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
まず、本発明をするに至った背景について説明する。図1は、従来の画像読取装置1の光学系の概要を例示する正面図である。図1に示すように、画像読取装置1は、例えば撮像装置(画像読取部)10、第1LED(光源部)12、第2LED(光源部)13及び載置台16を有する。
撮像装置10は、レンズや、反射光を受光することによって2次元の領域を撮像するエリアセンサ(イメージセンサ)などを有する。撮像装置10は、載置台16の上方に配置される。撮像装置10は、載置台16上に置かれた原稿(読取対象)を撮像し、読取画像を画素毎に出力する。
図1に示すように、第1LED12及び第2LED13は、載置台16上に置かれた原稿に対して、例えば撮像装置10の左右から光を照射する。載置台16は、撮像装置10の読取動作に支障がなければ、設けられなくてもよい。
なお、撮像装置10、第1LED12及び第2LED13は、載置台16に対して予め定められた位置に支柱や支持部材等で固定されている。また、撮像装置10は、例えば2次元の領域を撮像するエリアセンサを有している。
なお、撮像装置10は、原稿を撮像するために載置台16の上方を移動するように構成されてもよい。
画像読取装置1が原稿に光を照射する目的は、上述したように撮像光学系の設置環境によって発生する室内の蛍光灯や影等による外乱の影響を除去するためである。また、画像読取装置1が有する光源部は、第1LED12及び第2LED13の2つに限定されることなく、複数の異なる位置から原稿に光を照射する複数の光源部であってもよい。
第1LED12及び第2LED13からの光は、それぞれ図1の点線に示したように、原稿上のある範囲をそれぞれ照らしている。しかし、原稿の材質や光沢度によっては、第1LED12及び第2LED13からの光は、原稿面上で完全には拡散反射せず、正反射光がそのまま撮像装置10に入射される。
その結果、図1に示した正反射発生箇所においては、撮像装置10が撮像した画像レベルが高くなってしまい、白とび等の画像レベル変化、ひいては飽和が発生し、例えば文字等が読めなくなる。例えば、第1LED12の光照射によって、図1では原稿の左側の特定の箇所(○の箇所)に正反射が発生する。また、第2LED13についても同様に反対側に正反射が発生する。
次に、画像読取装置1の動作について説明する。図2は、画像読取装置1が画像を読取る場合の動作例を示すフローチャートである。図2に示すように、画像読取装置1は、まず、原稿の読取開始時に第1LED12を点灯する(S100)。
その状態で、画像読取装置1は、撮像装置10が原稿を撮像し、記憶部に読取画像(画像データ)を蓄積する(S102)。ここで、撮像装置10が撮像した画像データD1(x,y)は、第1LED12が光を照射した時のx方向のサイズ及びy方向のサイズが原稿サイズの画像データとする。
画像読取装置1は、撮像後、第1LED12を消灯し(S104)、第2LED13を点灯する(S106)。
その状態で、画像読取装置1は、撮像装置10が原稿を撮像し、撮像した読取画像を図示しない画像合成部に対して出力する(S108)。ここで、撮像装置10が撮像した画像データD2(x,y)は、第2LED13が光を照射した時のx方向のサイズ及びy方向のサイズが原稿サイズの画像データとする。
撮像後、画像読取装置1は、第2LED13を消灯する(S110)。
そして、画像読取装置1は、画像合成部によって画像データD1(x,y)と、画像データD2(x,y)とを合成する処理を行い、原稿サイズの合成画像データDm(x,y)を生成して読取処理を終了する(S112)。
図3は、正反射光を含む画像を合成し、除去するための方法例を示す図である。図3に示すように、正反射光を受けた領域の画素値は他の領域よりも高くなる。画像読取装置1は、第1LED12及び第2LED13がそれぞれ光を照射したときの2つの画像を比較する。そして、画像読取装置1は、画素ごとに値が低い方を用いて合成することにより、正反射光の影響のない画像を合成できる。
また、画像読取装置1は、第1LED12及び第2LED13でそれぞれ取得した画像を比較した結果から求めた反射率に応じた補正を第1LED12または第2LED13に施すことで、正反射光のない画像を生成するようにしても良い。
図4は、従来の光源部(LED)の点灯時間例を示す図である。図4(a)に示すように、画像読取装置1は、白飛び防止機能として、第1LED12と第2LED13とを交互に点灯/消灯し、原稿1枚の画像を取得するために2回の読み取り動作を行う。一方、図4(b)に示すように、画像読取装置1は、白飛び防止機能がない場合には、第1LED12のみを点灯/消灯し、原稿1枚の画像を取得するために1回の読み取り動作を行う。
これにより、従来の白飛び防止機能によれば、白飛び防止機能がない場合よりも白飛び防止機能がある場合の方が読み取り時間が増加してしまう。また、従来の白飛び防止機能によれば、同一原稿で2回の読み取り動作を行うため、1回目と2回目の読み取り時に原稿がずれると最終画像の品質が低下する。さらに、従来の白飛び防止機能によれば、第1LED12および第2LED13の点灯/消灯回数が増えるため、ユーザに対して不快感を生じさせてしまう。特に、原稿が複数枚ある場合は、原稿ごとに、第1LED12および第2LED13の点灯/消灯を繰り返すことになり、ちらつきの回数が増加してユーザの不快が顕著になる。
特許第3228197号公報においては、一の光源部から取得した画像により光沢の有無を判定し、光沢がないと判定した場合に取得画像を最終画像とすることで、光沢のない原稿を読み取る場合の課題を解決することが提案されている。特許第3228197号公報の技術を画像読取装置に適用した場合、取得した画像から光沢の有無を判定する必要があるため、輝度補正後の読み取り画像において、原稿の白地部分が光沢による白飛び部分より低い輝度値である必要があり、白地部分が暗めに読み取られて画質が低下してしまうという問題があった。
(第1の実施の形態)
次に、第1実施形態にかかる画像読取装置20について説明する。
図5は、第1実施形態にかかる画像読取装置20の構成の概要を例示するブロック図である。なお、図5に示した画像読取装置20の構成部分のうち、上述した構成部分と実質的に同じものには、同一の符号を付して説明する。
図5に示すように、画像読取装置20は、撮像装置(画像読取部)10、第1LED(光源部)12、第2LED(光源部)13、記憶部14、画像合成手段である画像合成部15、表示部18、制御部17を有する。
画像読取装置20は、光学条件として、一方の光源部(例えば第1LED12)による正反射領域に必要な光量を、他方の光源部(例えば第2LED13)から照射できるように、第1LED12及び第2LED13の設置位置、照射角度及び光量が予め定められている(図1参照)。同様に、他方の光源部(例えば第2LED13)による正反射領域に必要な光量を、一方の光源部(例えば第1LED12)から照射できるようにされている。つまり、第1LED12及び第2LED13は、読取対象に対して予め定められた互いに異なる照射位置から光を照射可能にされている。
制御部17は、画像読取装置20を構成する各部を制御する。また、制御部17は、第1LED12及び第2LED13をヒトの目で点滅を識別できない周期で順次且つ交互に点灯及び消灯させるように制御する。第1LED12及び第2LED13が照射する光の光量は、一般的なフリッカー検査で用いられる光量に比べてはるかに大きい。制御部17は、フリッカー検査での光源部の点滅(例えば35Hz)よりも短い周期(例えば10mS以下)で第1LED12及び第2LED13をそれぞれ点灯及び消灯させる。
撮像装置10は、第1LED12及び第2LED13が順次且つ交互に読取対象に対して照射した光の反射光をそれぞれ画素毎に光電変換して複数の読取画像を撮像する。
記憶部14は、第1LED12及び第2LED13の少なくともいずれかが読取対象に対して光を照射した場合に、撮像装置10が撮像した結果を1つ以上の読取画像として記憶する。
画像合成部15は、記憶部14が記憶した1つ以上の読取画像を用いて、第1LED12及び第2LED13が読取対象に対して光を順次且つ交互に照射して撮像装置10が撮像した複数の読取画像それぞれの正反射光による画像レベルの変化が小さいと予め定められた設定領域それぞれを合成して、読取対象に対応する読取画像を合成する。
表示部18は、例えばタッチパネルなどで構成され、画像読取装置20における情報をユーザに対して表示する。
次に、制御部17が発揮する各種機能について説明する。
ここで、図6は制御部17が発揮する機能を示す機能ブロック図である。図6に示すように、制御部17は、光沢検知手段171と、画像蓄積手段172と、輝度補正手段173と、を備えている。
光沢検知手段171は、原稿について光沢の有無の判定を行う光沢検知処理を実行する。ここで、原稿について光沢の有無の判定手法について説明する。ここで、図7は光沢がある白色原稿における正反射光の発生例を示す図である。
図7に示すように、原稿の材質や光沢度によっては、第1LED12及び第2LED13からの光の正反射光がそのまま撮像装置10に入射される。その結果、図7に示した正反射発生箇所においては、撮像装置10が撮像した画像レベルが高くなってしまう。一方で、上述したような正反射発生箇所は、図7に示すような白地部分とは明確に区別する必要がある。
そこで、光沢検知手段171は、読取画像の画素レベル(輝度値)を用いて原稿について光沢の有無を判定する。ここで、図8は図7に示す読取画像についての画素レベルを示す図である。図8に示すように、撮像装置10が撮像した読取画像は、一般的に0〜255の画素レベル(輝度値)で表現される。そして、図8は、輝度分布補正前の読取画像についての画素レベル(輝度値)毎の出現頻度をヒストグラムで表したものである。
光沢検知手段171は、図8に示すヒストグラムに基づき、領域毎に異なる閾値を使って光沢の有無を判定する。光沢の有無を判定するための手順を以下に示す。
まず、光沢検知手段171は、光沢有無を判定する閾値を決定する。輝度分布補正前の輝度値を用いて原稿について光沢の有無を判定するため、図8に示したように、原稿面の照度ムラから同じ白色原稿であっても端部と中央部で異なる輝度値をとる場合がある。したがって、閾値は、端部と中央部で異なる値を設定することが望ましく、例えば後述のように領域ごとに異なる閾値を設定することが望ましい。
具体的には、光沢検知手段171は、想定するもっとも白い原稿の輝度値L1と、光沢のある原稿(正反射による白飛びが問題となる最低限の光沢を持つもの)の正反射部分の輝度値L2を取得する(いずれも輝度分布補正前の値)。
光沢有無を判定する閾値は以下の式で決定される。なお、以下の式は、中間値を閾値とするものである。ただし、環境によってはさらに重みづけを行う等の補正を行うようにしても良い。
R成分に対する閾値 : Tr=(L1r+L2r)/2
G成分に対する閾値 : Tg=(L1g+L2g)/2
B成分に対する閾値 : Tb=(L1b+L2b)/2
次に、光沢検知手段171は、上述の閾値と、原稿を複数に分けた領域(ブロック)ごとの平均画素値とを比較する。ここで、図9は原稿を複数の領域に分けた例を示す図である。図9では一例として読み取り領域全体を48領域(ブロック)に分割している。例えば、領域の大きさは、実環境において光源部の反射により発生した白飛び領域の大きさを測定した結果に応じて決定してもよい。すなわち、1領域(ブロック)は、正反射が強く出る部分(白飛び領域)が1〜数領域(ブロック)に収まる大きさであれば良い。光沢検知手段171は、このような領域(ブロック)の分割にかかる情報を予め保持しておく。
なお、図9に示すような原稿を複数に分けた領域ごとに閾値と比較するのは、光沢の有無を判定する際に、外来光や突発的なノイズ等により光沢のない原稿であっても光沢ありと判定される箇所が現れる可能性があるからである。
画像蓄積手段172は、光沢検知手段171により光沢が無いと判定された場合、第1LED12の点灯に伴い撮像装置10によって電子化された読取画像を記憶部14に蓄積する。画像蓄積手段172は、光沢検知手段171により光沢が有ると判定された場合、さらに第2LED13の点灯に伴い撮像装置10によって電子化された読取画像を記憶部14に蓄積する。
輝度補正手段173は、記憶部14が記憶した読取画像に対して輝度補正を実行する。ここで、図10は図7に示す読取画像について輝度補正後の画素レベルを示す図である。図10に示すように、例えば、輝度補正手段173は、光沢検知手段171が光沢なしと判定した場合は、一の読取画像に対して白地部分の画素レベル(輝度値)が255(最大値)になるように輝度補正をかける。一方、光沢検知手段171が光沢ありと判定した場合は、複数の読取画像に対して白地部分の画素レベル(輝度値)が255(最大値)になるように輝度補正をかける。なお、この場合、輝度補正手段173は、第1LED12及び第2LED13の照度バラツキを考慮して補正を行うようにすることで、図10に示すように白地の画素レベル(輝度値)のバラツキがなくなる。
上述した制御部17は、CPU(Central Processing Unit)にソフトウェア(プログラム)を実行させること、すなわち、ソフトウェア(プログラム)により実現してもよいし、IC(Integrated Circuit)などハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア(プログラム)およびハードウェアを併用して実現してもよい。
制御部17の一部または全部をソフトウェア(プログラム)により実現する場合、本実施の形態の画像読取装置20は、CPUなどの制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)や媒体ドライブ装置などの外部記憶装置と、ディスプレイ装置などの表示装置と、キーボードやマウスなどの入力装置を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
本実施形態の画像読取装置20で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
また、本実施形態の画像読取装置20で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の画像読取装置20で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
また、本実施形態の画像読取装置20で実行されるプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
本実施の形態の画像読取装置20で実行されるプログラムは、上述した各部(光沢検知手段171、画像蓄積手段172、輝度補正手段173)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、光沢検知手段171と、画像蓄積手段172と、輝度補正手段173とが主記憶装置上に生成されるようになっている。
次に、画像読取装置20における画像読取処理について説明する。
ここで、図11は第1の実施形態における画像読取処理の流れを示すフローチャートである。図11に示すように、画像読取装置20の制御部17は、まず、第1LED12を点灯し(ステップS11)、撮像装置10で撮像された“画像1”を取得して記憶部14に記憶する(ステップS12)。その後、制御部17は、第1LED12を消灯する(ステップS13)。
続いて、制御部17(光沢検知手段171)は、輝度補正手段173による輝度補正などの画像処理を行う前の読取画像を複数に分割した領域ごとに画素レベル(輝度値)の平均値を算出し、予め決定した光沢有無の閾値との比較を行う(ステップS14)。
制御部17(光沢検知手段171)は、画素レベル(輝度値)の平均値が閾値を超える領域が一つ以上有った場合(ステップS15のYes)、原稿に光沢が有ると判定し、白飛び防止の処理を継続する。
すなわち、制御部17は、原稿に光沢が有ると判定した場合(ステップS15のYes)、“画像1”に対する画像処理を行う(ステップS16)。具体的には、制御部17(輝度補正手段173)は、白地部分の画素レベル(輝度値)が最大値である“255”になるように輝度補正をかける。
次いで、制御部17は、第2LED13を点灯し(ステップS17)、撮像装置10で撮像された“画像2”を取得して記憶部14に記憶する(ステップS18)。その後、制御部17は、第2LED13を消灯する(ステップS19)。
そして、制御部17は、“画像2”に対する画像処理を行う(ステップS20)。具体的には、制御部17(輝度補正手段173)は、白地部分の画素レベル(輝度値)が最大値である“255”になるように輝度補正をかける。
続いて、制御部17は、画像合成部15を制御し、“画像1”と“画像2”とについて正反射光による画像レベルの変化が小さいと予め定められた設定領域それぞれを合成して、読取対象に対応する読取画像を合成する(ステップS21)。
このように“画像1”と“画像2”とについて合成処理を行うことで、白飛び防止を実現し、合成された画像を出力画像とする。
一方、制御部17(光沢検知手段171)は、画素レベル(輝度値)の平均値が閾値を超える領域が一つも無かった場合(ステップS15のNo)、原稿に光沢が無いと判定する。
すなわち、制御部17は、原稿に光沢が無いと判定した場合(ステップS15のNo)、“画像1”に対する画像処理を行った後(ステップS22)、画像合成を行わずに、“画像1”をそのまま出力画像とする。
これにより、光沢検知手段171により光沢がないと判定した場合、記憶部14内に記憶された画像に対して輝度補正手段173による輝度補正を行い、最終画像とする。一方、光沢検知手段171により光沢があると判定した場合、さらに第2LED13を点灯させた場合の読取画像が記憶部14内に記憶された後、輝度補正後に画像合成して最終画像とする。
このように本実施形態によれば、輝度補正前に光沢有無の判定を行うことで、光沢の検知のために白地部分が暗めに読み取られて画質が低下することを回避でき、輝度補正後の白地部分のレベルを最大まで引き上げることが可能になる。
また、本実施形態によれば、光沢がない原稿では“画像2”の取得処理や合成処理がないため、
1.白飛びを抑える機能がない場合よりも読み取り時間が長くなってしまう。
2.ユーザが原稿を手で押さえている場合、途中で原稿が動いてしまい、各読み取り画像の原稿位置が一致しないことで最終画像の品質が低下する。
3.点灯/消灯動作を何度も繰り返すことでユーザに不快感を与えてしまう。
ことを防止することができる。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、前述した第1の実施の形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
第1の実施の形態では、第1LED12のみを点灯して取得した“画像1”から光沢の有無を判定した。しかしながら、ブック原稿では原稿の左半分と右半分で紙質が異なり、光沢の有無が左右で変化する場合がある。例えば、雑誌の一部ページ(第2LED13側)が光沢紙を用いた写真ページになっている場合、第1LED12の正反射光が乱反射してしまい撮像装置10に入らないため、光沢の有無を正しく検知できない、という問題がある。
そこで、第2の実施の形態では、光沢の有無を検知するための前処理として、第1LED12と第2LED13とを同時に点灯して光沢検知用画像を取得し、光沢の有無を判定するようにしたものである。
ここで、図12は第2の実施の形態にかかる画像読取装置20における画像読取処理の流れを概略的に示すフローチャートである。図12に示すように、画像読取装置20の制御部17は、まず、第1LED12と第2LED13とを同時に点灯し(ステップS31)、撮像装置10で撮像された“画像1”を光沢検知用の画像として取得する(ステップS32)。
続いて、制御部17(光沢検知手段171)は、輝度補正手段173による輝度補正などの画像処理を行う前の読取画像を複数に分割した領域ごとに画素レベル(輝度値)の平均値を算出し、予め決定した光沢有無の閾値との比較を行う(ステップS14)。
制御部17(光沢検知手段171)は、画素レベル(輝度値)の平均値が閾値を超える領域が一つ以上有った場合(ステップS15のYes)、原稿に光沢が有ると判定し、白飛び防止の処理を継続する。
すなわち、制御部17は、原稿に光沢が有ると判定した場合(ステップS15のYes)、第2LED13を消灯し(ステップS33)、撮像装置10で撮像された“画像1”を取得する(ステップS34)。
次いで、制御部17は、第1LED12を消灯し(ステップS35)、白飛び防止の処理を継続する。
すなわち、制御部17は、“画像1”に対する画像処理を行う(ステップS16)。具体的には、制御部17(輝度補正手段173)は、白地部分の画素レベル(輝度値)が最大値である“255”になるように輝度補正をかける。
次いで、制御部17は、第2LED13を点灯し(ステップS17)、撮像装置10で撮像された“画像2”を取得する(ステップS18)。その後、制御部17は、第2LED13を消灯する(ステップS19)。
そして、制御部17は、“画像2”に対する画像処理を行う(ステップS20)。具体的には、制御部17(輝度補正手段173)は、白地部分の画素レベル(輝度値)が最大値である“255”になるように輝度補正をかける。
続いて、制御部17は、画像合成部15を制御し、“画像1”と“画像2”とについて正反射光による画像レベルの変化が小さいと予め定められた設定領域それぞれを合成して、読取対象に対応する読取画像を合成する(ステップS21)。
一方、制御部17(光沢検知手段171)は、画素レベル(輝度値)の平均値が閾値を超える領域が一つも無かった場合(ステップS15のNo)、原稿に光沢が無いと判定する。
すなわち、制御部17は、原稿に光沢が無いと判定した場合(ステップS15のNo)、第2LED13を消灯し(ステップS36)、撮像装置10で撮像された“画像1”を取得する(ステップS37)。
次いで、制御部17は、第1LED12を消灯し(ステップS38)、“画像1”に対する画像処理を行った後(ステップS22)、画像合成を行わずに、“画像1”をそのまま出力画像とする。
このように本実施形態によれば、原稿の左半分と右半分で紙質が異なる原稿であっても光沢の有無を誤検知することを防止できる。
なお、光沢検知用の読取画像は画質を重視するものではないため、例えば解像度を落とすなどして処理時間を短くすることも考えられる。すなわち、本実施形態によれば、従来の問題点1について、画像を取得する処理が増えるため、光沢のある原稿を読み取る場合の全体の読み取り時間は長くなってしまうが、光沢検知用の画像は画質を重視しないため処理時間を大幅に削減可能である。また、従来の問題点2については、光沢検知用画像を最終画像に使用しないため品質の低下は発生しない。従来の問題点3については、第1LED12と第2LED13とを同時に点灯→第2LED13消灯→第1LED12消灯という制御であるため点灯動作は1回のみであり、一般にユーザの不快感は消灯時ではなく点灯時に発生するため不快感を抑制できる。
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。なお、前述した第1の実施の形態ないし第2の実施の形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
第1の実施の形態では、輝度補正手段173による輝度補正前の画素レベル(輝度値)において、原稿を複数に分けた領域ごとの平均画素値と領域ごとの閾値との比較により、光沢の有無を判定するようにした。
しかしながら、図13に示すように、光源部(第1LED12、第2LED13)や読み取り素子(撮像装置10)の組み合わせによっては、輝度補正手段173による輝度補正前の白地部分の画素レベル(輝度値)が光沢部分の画素レベル(輝度値)とほぼ同じになる場合も想定される。このように輝度補正手段173による輝度補正前の白地部分の画素レベル(輝度値)が光沢部分の画素レベル(輝度値)とほぼ同じになる場合、第1の実施の形態で説明した制御では判定を誤ってしまうことも考えられる。
この場合、第1の実施の形態で説明した図11のフローチャートにおける“画像1”の取得時点(ステップS12)で光沢の有無を判定することはできないが、“画像2”の取得後(ステップS18)であれば、光沢のある箇所における“画像1”と“画像2”との輝度値は大きく異なるため、光沢の有無を判定することができる。
例えば、図14に示すように、“画像1”と“画像2”との差分の画素レベル(輝度値)を取る。そして、差分の画素レベル(輝度値)が閾値を超えるものが規定値以上あれば、光沢ありと判定することができる。
しかしながら、上述した手法によれば、“画像2”を既に取得済みのため、読み取り時間が長くなってしまうという課題を解決することはできない。
そこで、本実施形態においては、上述した手法により1回目のスキャン時で判定した光沢の有無を2回目のスキャン時以降も採用することで、2回目のスキャン時以降では読み取り時間が長くなってしまうという課題を解決することができるようにしたものである。これは、原稿が複数ページからなるブック原稿である場合、雑誌などで一部ページが光沢紙を用いた写真ページになっている場合などを除き、1回目のスキャン時から最終ページまで紙質が同一であり光沢の有無が変わらないことが一般的であると考えられるからである。
ここで、図15は第3の実施の形態にかかる制御部17が発揮する機能を示す機能ブロック図である。
図15に示すように、制御部17は、通知受付手段174を更に備えている。
通知受付手段174は、ユーザからの原稿差し替えの通知を受け付ける。これは、原稿が差し替わった場合、光沢の有無を改めて判定する必要があるためである。例えば、画像読取装置20のユーザインタフェースとしてボタンを設けておく。ユーザは、全てのページを読み取り終えた際にボタンを操作する。これにより、通知受付手段174は、原稿差し替えの通知を受け付けることができる。
光沢検知手段171は、通知受付手段174が原稿差し替えの通知を受け付けた場合、ページ情報を“1回目のスキャン”に変更し、次の読み取りを1回目のスキャン時として扱う。
加えて、光沢検知手段171は、原稿の1回目のスキャン時ではまず第1LED12を点灯して“画像1”を取得した後、第1LED12を消灯する。続いて、光沢検知手段171は、第2LED13を点灯して“画像2”を取得した後、第2LED13を消灯する。
その後、光沢検知手段171は、時間差で取得した“画像1”と“画像2”との画素毎の画素レベル(輝度値)の差分を計算し、あらかじめ決定した光沢有無の閾値との比較を行う。
ここで、光沢の有無を判定するための閾値を決定する手順について説明する。画像読取装置20の想定する光沢のある標準原稿(文字原稿/写真原稿など)を第1LED12および第2LED13により読み取る。読み取った“画像1”および“画像2”のRGBそれぞれの差分の最大値をLmr/Lmg/Lmbとする。
光沢有無を判定する閾値は以下の式で決定される。なお、以下の式は、中間値を閾値とするものである。ただし、環境によってはさらに重みづけを行う等の補正を行うようにしても良い。
R成分に対する閾値 : Tr=Lmr/2
G成分に対する閾値 : Tg=Lmg/2
B成分に対する閾値 : Tb=Lmb/2
なお、閾値を用いた判定については、第1の実施の形態で説明したように、原稿を複数に分けた領域ごとの平均値を用いる方法が望ましい。
その後、光沢検知手段171は、閾値を超えるものがある場合は予め設けられた光沢有無フラグを“光沢あり”に変更し、閾値を超えるものがない場合は光沢有無フラグを“光沢なし”に変更する。
一方、原稿の2ページ以降では、光沢検知手段171は、まず第1LED12を点灯して“画像1”を取得した後、第1LED12を消灯する。続いて、光沢検知手段171は、光沢有無フラグを確認する。光沢検知手段171は、光沢有無フラグが“光沢あり”であれば、第2LED13を点灯して“画像2”を取得した後、第2LED13を消灯する。一方、光沢検知手段171は、光沢有無フラグが“光沢なし”であれば、処理を終了する。
次に、画像読取装置20の動作について説明する。ここで、図16は画像読取装置20による1回目のスキャン時の動作例を示すフローチャート、図17は画像読取装置20による2回目のスキャン以降の動作例を示すフローチャートである。
図16に示すように、1回目のスキャン時において、画像読取装置20の制御部17は、まず、第1LED12を点灯し(ステップS11)、撮像装置10で撮像された“画像1”を取得する(ステップS12)。その後、制御部17は、第1LED12を消灯する(ステップS13)。
次いで、制御部17は、“画像1”に対する画像処理を行う(ステップS16)。具体的には、制御部17(輝度補正手段173)は、白地部分の画素レベル(輝度値)が最大値である“255”になるように輝度補正をかける。
次いで、制御部17は、第2LED13を点灯し(ステップS17)、撮像装置10で撮像された“画像2”を取得する(ステップS18)。その後、制御部17は、第2LED13を消灯する(ステップS19)。
そして、制御部17は、“画像2”に対する画像処理を行う(ステップS20)。具体的には、制御部17(輝度補正手段173)は、白地部分の画素レベル(輝度値)が最大値である“255”になるように輝度補正をかける。
一方、制御部17(光沢検知手段171)は、“画像1”と“画像2”との画素ごとの画素レベル(輝度値)の差分を計算し、あらかじめ決定した光沢有無の閾値との比較を行い(ステップS41)、原稿について光沢の有無を判定する。
制御部17(光沢検知手段171)は、閾値以上の差分があり、原稿について光沢ありと判定した場合(ステップS42のYes)、光沢有無フラグを“光沢あり”に変更する(ステップS42)。
続いて、制御部17は、画像合成部15を制御し、“画像1”と“画像2”とについて正反射光による画像レベルの変化が小さいと予め定められた設定領域それぞれを合成して、読取対象に対応する読取画像を合成する(ステップS21)。
一方、制御部17(光沢検知手段171)は、閾値以上の差分がなく、原稿について光沢なしと判定した場合(ステップS42のNo)、光沢有無フラグを“光沢なし”に変更する(ステップS44)。
その後、制御部17(光沢検知手段171)は、画像合成を行わずに、ステップS16で画像処理を行った“画像1”をそのまま出力画像とする。
最後に、制御部17(光沢検知手段171)は、ページ情報を“2回目のスキャン以降”に変更する(ステップS45)。
次に、2回目のスキャン以降について説明する。
図17に示すように、2回目のスキャン以降において、画像読取装置20の制御部17は、画像読取装置20の制御部17は、まず、第1LED12を点灯し(ステップS11)、撮像装置10で撮像された“画像1”を取得する(ステップS12)。その後、制御部17は、第1LED12を消灯する(ステップS13)。
次いで、制御部17は、“画像1”に対する画像処理を行う(ステップS16)。具体的には、制御部17(輝度補正手段173)は、白地部分の画素レベル(輝度値)が“255”になるように輝度補正をかける。
続いて、制御部17は、光沢有無フラグを確認する(ステップS51)。
制御部17は、光沢有無フラグが“光沢あり”である場合には(ステップS51のYes)、第2LED13を点灯し(ステップS17)、撮像装置10で撮像された“画像2”を取得する(ステップS18)。その後、制御部17は、第2LED13を消灯する(ステップS19)。
そして、制御部17は、“画像2”に対する画像処理を行う(ステップS20)。具体的には、制御部17(輝度補正手段173)は、白地部分の画素レベル(輝度値)が“255”になるように輝度補正をかける。
続いて、制御部17は、画像合成部15を制御し、“画像1”と“画像2”とについて正反射光による画像レベルの変化が小さいと予め定められた設定領域それぞれを合成して、読取対象に対応する読取画像を合成する(ステップS21)。
一方、制御部17(光沢検知手段171)は、光沢有無フラグが“光沢なし”である場合には(ステップS51のNo)、画像合成を行わずに、ステップS16で画像処理を行った“画像1”をそのまま出力画像とする。
このように本実施形態によれば、輝度補正前の読取画像から閾値による光沢の有無が判定できない場合や輝度補正を行わない場合であっても、光沢のある原稿の白飛びを防止し、光沢のない原稿の処理時間を短縮することができる。
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態について説明する。なお、前述した第1の実施の形態ないし第3の実施の形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
第3の実施の形態では、画像読取装置20のユーザインタフェースとしてボタンを設けて、全てのページを読み取り終えた際、当該ボタンに対する操作によりユーザが原稿差し替えの通知を行うようにした。本実施形態では、原稿の差し替え動作を検知することでユーザ操作を不要としたものである。
ここで、図18は第4の実施の形態にかかる制御部17が発揮する機能を示す機能ブロック図である。
図18に示すように、制御部17は、差し替え検知手段175を更に備えている。
差し替え検知手段175は、原稿差し替えを検知する。これは、原稿が差し替わった場合、光沢の有無を改めて判定する必要があるためである。差し替え検知手段175は、載置台16を撮像装置10で周期的に撮像した画像から原稿領域の面積変化やエッジの移動量など一般的な画像認識手法を用い、原稿差し替えを検知する。
次に差し替え検知手段175の動作について説明する。図19は、差し替え検知手段175の動作例を示すフローチャートである。図19に示すように、差し替え検知手段175は、載置台16を周期的(15fps:67ms間隔)に時間差で撮像し、読み取り画像から原稿差し替え(原稿の有無)を判定する。
図19に示すように、差し替え検知手段175は、載置台16の画像取得タイミング(67msごと)になったら(ステップS61)、撮像装置10が画像読み取り動作中かを判定する(ステップS62)。なお、ステップS61におけるウェイト時間は、システムの負荷などに応じて変更することができる。
差し替え検知手段175は、撮像装置10が画像読み取り動作中でなければ(ステップS62のNo)、載置台16の全面の読取画像を取得する(ステップS63)。
次に、差し替え検知手段175は、ステップS63で取得した読み取り画像から原稿差し替え(原稿の有無)の判定を行う(ステップS64)。原稿有無の判定方法は、原稿領域の面積変化やエッジの移動量などの一般的な画像認識手法を用いることができる。
ここで、図20は原稿領域の面積変化の例を示す図である。図20に示すように、原稿領域に一定の面積変化が現れた場合、差し替え検知手段175は、原稿差し替え中(原稿なし)とする。
差し替え検知手段175は、載置台16上において原稿差し替え中(原稿なし)と判定した場合(ステップS65のNo)、ページ情報を“1回目のスキャン”に変更し(ステップS66)、ステップS61に戻る。
一方、差し替え検知手段175は、撮像装置10が画像読み取り動作中である場合(ステップS62のYes)、載置台16上に原稿ありと判定した場合(ステップS65のYes)、原稿差し替えは行われていないものとして、ステップS61に戻る。
このように本実施形態によれば、ユーザが原稿の1回目のスキャン時であることをシステムに通知する操作を行う必要がなくなる。
なお、差し替え検知手段175は、上述したような画像認識手法に限るものではなく、専用の赤外線センサ等を追加して載置台16上における原稿の有無を検知するものであっても良い。
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施の形態について説明する。なお、前述した第1の実施の形態ないし第4の実施の形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
第1の実施の形態では、図9に示したように読み取り領域全体を複数の領域(ブロック)に分割し、領域(ブロック)ごとにそれぞれ光沢の有無を判定した。ところで、照明に用いる光源部(第1LED12)によっては、図21に示すように、特定の箇所に強く正反射光の影響が出る。そのため、当該特定の箇所を含む領域(ブロック)のみで判定を行えば、原稿の光沢有無を正しく判定できることになる。
そこで、本実施形態においては、正反射光の影響が出やすい領域を予め測定しておき、光沢の有無の判定対象となる領域(ブロック)を固定する、あるいは光沢の有無の判定対象となる領域(ブロック)を通知する手段を設けることで、光沢の有無の判定対象となる領域(ブロック)を限定するようにしたものである。
ここで、図22は第5の実施の形態にかかる光沢検知手段171による光沢有無の判定処理の流れを概略的に示すフローチャートである。図22に示す光沢有無の判定処理は、第1の実施の形態の図11に示すフローチャートのステップS14を詳述したものである。
また、前提として、原稿を複数の領域(ブロック)に分割した各領域(ブロック)について、順にID番号を設定しているものとする。
図22に示すように、制御部17(光沢検知手段171)は、まず、比較を行う領域のID番号を初期値(ID=1)とする(ステップS71)。
次に、光沢検知手段171は、現在のIDが示す領域(ブロック)が光沢の有無を判定する対象かを判定する(ステップS72)。ここで、図23は光沢の有無の判定対象となる領域(ブロック)を記憶するテーブルT1を例示的に示す図である。図23に示すように、テーブルT1は、光沢の有無の判定対象となる領域(ブロック)のID番号毎に判定の実施/不実施を規定する。正反射光の影響が出やすい領域(ブロック)のID番号に、判定の実施が規定される。すなわち、ステップS72において光沢検知手段171は、テーブルT1を用いて現在のIDが示す領域(ブロック)が光沢の有無を判定する対象かを判定する。
光沢検知手段171は、現在のIDが示す領域(ブロック)が光沢の有無を判定する対象であると判定した場合(ステップS72のYes)、領域(ブロック)内の画素レベル(輝度値)の平均値と閾値を比較し、判定結果を記憶する(ステップS73)。
光沢検知手段171は、ステップS73の判定結果の記憶後、または現在のIDが示す領域(ブロック)が光沢の有無を判定する対象でないと判定した場合(ステップS72のNo)、ID番号を1インクリメントする(ステップS74)。
光沢検知手段171は、ID番号が領域(ブロック)数を超えるまで(ステップS75のYes)、ステップS72〜S74の判定処理を繰り返す。
このように本実施形態によれば、正反射光の影響が出やすい一部の領域のみ判定を行うことで処理が軽減され、全体の処理時間を短縮することができる。
(第6の実施の形態)
次に、第6の実施の形態について説明する。なお、前述した第1の実施の形態ないし第5の実施の形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
第5の実施の形態では、原稿の形状を考慮していない。ところが、ブック原稿などふくらみのある原稿では、原稿のふくらみの量によって、図24に示すように、同一光源部(第1LED12)であっても正反射光の影響が出る箇所が異なる、あるいは正反射光の影響が出る箇所が複数発生する場合がある。
そこで、本実施形態においては、原稿の形状(例えば、ブック原稿におけるふくらみの量)によって正反射光の影響が出る箇所が決まってくるため、原稿の形状(ふくらみの量)に応じて光沢の有無の判定対象となる領域(ブロック)の位置と数との少なくとも何れか一方を変更するようにしたものである。
ここで、図25は第6の実施の形態にかかる光沢検知手段171による光沢有無の判定処理の流れを概略的に示すフローチャートである。図25に示す光沢有無の判定処理は、第1の実施の形態の図11に示すフローチャートのステップS14を詳述したものである。
図21に示すように、制御部17(光沢検知手段171)は、まず、第1の実施の形態の図11に示すフローチャートのステップS12で取得した“画像1”から原稿の外形を抽出し、ブックのふくらみ量を決定する(ステップS81)。
ここで、ふくらみ量の決定手法について簡単に説明する。例えば、ふくらみがあると原稿の外形が歪むため、歪みの量からふくらみ量を推定することができる。具体的には、原稿の左右(ブックの小口側)の線に直交する直線を引き、原稿の上下(ブックの天地側)の曲線を近似した直線と当該直線のなす角度を計算することでふくらみ量を決定することができる。
また、特開2002−247348号公報に開示されているように、原稿の外形の代わりに、読取画像から文字を切り出して各文字の外接矩形を抽出し、抽出された文字外接矩形の形状の変化と読取画像の地肌濃度の変化とを利用して読取画像の歪み量を推定する手法も利用可能である。
次に、光沢検知手段171は、ステップS81で決定したふくらみ量に応じて光沢の有無の判定に用いるテーブルを変更する(ステップS82)。例えば、第5の実施の形態では、図23に示すテーブルT1を用いた。本実施形態では、テーブルT1に加えて、図26に示すようなふくらみ量を考慮して限定する領域の位置と数との少なくとも何れか一方を変更したテーブルT2を併せて用いる。すなわち、ふくらみ量が0であればテーブルT1、ふくらみ量が有る場合にはテーブルT2を変更する。
その後、図25に示すように、制御部17(光沢検知手段171)は、まず、比較を行う領域のID番号を初期値(ID=1)とする(ステップS71)。
次に、光沢検知手段171は、ふくらみ量を考慮したテーブルを用い、現在のIDが示す領域(ブロック)が光沢の有無を判定する対象かを判定する(ステップS72)。
光沢検知手段171は、現在のIDが示す領域(ブロック)が光沢の有無を判定する対象であると判定した場合(ステップS72のYes)、領域(ブロック)内の画素レベル(輝度値)の平均値と閾値を比較し、判定結果を記憶する(ステップS73)。
光沢検知手段171は、ステップS73の判定結果の記憶後、または現在のIDが示す領域(ブロック)が光沢の有無を判定する対象でないと判定した場合(ステップS72のNo)、ID番号を1インクリメントする(ステップS74)。
光沢検知手段171は、ID番号が領域(ブロック)数を超えるまで(ステップS75のYes)、ステップS72〜S74の判定処理を繰り返す。
このように本実施形態によれば、ブック原稿などふくらみのある原稿であっても、光沢の有無の誤検知を防ぎつつ、正反射光の影響が出やすい一部の領域のみ判定を行うことで処理が軽減され、全体の読み取り時間を短縮することができる。
(第7の実施の形態)
次に、第7の実施の形態について説明する。なお、前述した第1の実施の形態ないし第6の実施の形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
第1の実施の形態において、光源部(第1LED12及び第2LED13)の劣化などにより読取画像の画素レベル(輝度値)が低下することが考えられる。このように低下した読取画像の画素レベル(輝度値)を補正する方法として、図27に示すように、光源部(第1LED12及び第2LED13)に流す電流値を増やす、または輝度補正値(ゲイン値)を増やすことが考えられる。
ところで、上述のように読取画像の画素レベル(輝度値)を補正する際に、光沢有無を判定する閾値をそのままにしておくと、光量の低下に伴って正反射光による白飛び箇所の輝度値が低下するため、光沢の有無を誤検知する恐れがある。
そこで、本実施形態においては、光源部(第1LED12及び第2LED13)の劣化などにより読取画像の画素レベル(輝度値)が低下した場合、光沢有無を判定する閾値を低下した割合に応じて変更することで誤検知を抑えるようにしたものである。
ここで、図28は第7の実施の形態にかかる制御部17が発揮する機能を示す機能ブロック図である。
図28に示すように、制御部17は、補正手段176を更に備えている。
補正手段176は、光源部(第1LED12及び第2LED13)の劣化などによる読取画像の画素レベル(輝度値)の低下を補正するゲイン調整を、電源ON時(起動時)に行う。
ここで、図29は第7の実施の形態にかかる光沢検知手段171による補正処理の流れを概略的に示すフローチャートである。本実施形態においては、補正手段176が、光源部(第1LED12及び第2LED13)の劣化などによる読取画像の画素レベル(輝度値)の低下を補正するゲイン調整を、電源ON時(起動時)に行った場合を例として説明する。
図29に示すように、制御部17(光沢検知手段171)は、電源ON時(起動時)に、載置台16の全面または特定領域の読取画像を取得する(ステップS91)。
次いで、光沢検知手段171は、あらかじめ記憶していた輝度値と取得した読取画像の画素レベル(輝度値)の差分からゲイン値を変更する(ステップS92)。なお、ゲイン値を変更する領域は複数あっても良い。また、ゲイン値は、複数個所の平均値を用いても良いし、または複数領域(ブロック)に分割した各領域(ブロック)ごとのゲイン値を用いても良い。
そして、光沢検知手段171は、ステップS92で変更したゲイン値に応じて光沢有無の判定を行う閾値に変更し(ステップS93)、処理を終了する。
ここで、図30はゲイン値と閾値とを対応付けて記憶するテーブルT3を例示的に示す図である。図30に示すように、テーブルT3は、ゲイン値に対して、当該ゲイン値に変更した場合における閾値を対応付けている。すなわち、ステップS93において光沢検知手段171は、テーブルT3を用いて変更したゲイン値に応じて光沢有無の判定を行う閾値に変更する。
なお、各閾値は、あらかじめ光源部(第1LED12及び第2LED13)または読み取り素子(撮像装置10)の構成から実測して決定することができる。
このように本実施形態によれば、光源部(第1LED12及び第2LED13)の劣化により輝度補正値に変更があった場合にも、光沢の有無の誤検知を防ぐことができる。
(第8の実施の形態)
次に、第8の実施の形態について説明する。なお、前述した第1の実施の形態ないし第7の実施の形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
本実施形態は、画像読取装置20を有する画像形成装置400について説明するものである。
ここで、図31は、第8の実施の形態にかかる画像形成装置400の構成例を示す構成図である。図31に示すように、画像形成装置400は、給紙部403及び画像形成装置本体404を有し、上部に例えば画像読取装置20が搭載されたデジタル複写機である。
画像形成装置本体404内には、タンデム方式の作像部(画像形成部)405と、給紙部403から搬送路407を介して供給される記録紙を作像部(画像形成部)405に搬送するレジストローラ408と、光書き込み装置409と、定着搬送部410と、両面トレイ411とが設けられている。
作像部405には、Y,M,C,Kの4色のトナーに対応して4本の感光体ドラム412が並設されている。各感光体ドラム412の回りには、帯電器、現像器406、転写器、クリーナ、及び除電器を含む作像要素が配置されている。
また、転写器と感光体ドラム412との間には両者のニップに挟持された状態で駆動ローラと従動ローラとの間に張架された中間転写ベルト413が配置されている。
このように構成されたタンデム方式の画像形成装置400は、Y,M,C,Kの色毎に各色に対応する感光体ドラム412に光書き込みを行い、現像器406で各色のトナー毎に現像し、中間転写ベルト413上に例えばY,M,C,Kの順に1次転写を行う。
そして、画像形成装置400は、1次転写により4色重畳されたフルカラーの画像を記録紙に2次転写した後、定着して排紙することによりフルカラーの画像を記録紙上に形成する。また、画像形成装置400は、画像読取装置20が読取った画像を記録紙上に形成する。
以上、各実施形態について説明したが、それらの各部の具体的な構成、処理の内容、データの形式等は、実施形態で説明したものに限るものではない。また、以上説明してきた実施形態の構成は、相互に矛盾しない限り任意に組み合わせて実施可能であることは勿論である。