JP6770370B2 - ベーンポンプ - Google Patents

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本発明は、ベーンポンプに関するものである。
特許文献1には、サイドプレートと接触するカムリングの側面であって、サイドプレートに形成された吸い込み凹部に対向する部分に切り欠き部が形成されたベーンポンプが記載されている。特許文献1に記載のベーンポンプでは、吸い込み凹部と切り欠き部とによって吸い込みポートが構成されている。
特開2006−125210号公報
特許文献1に記載のベーンポンプでは、ロータの回転に伴って吸込ポートを通じてベーン間に区画されるポンプ室に作動油が吸い込まれる。このとき、ベーンが吸込ポートの終端に近づくに連れてポンプ室に通じる吸込ポートの開口面積が小さくなる。このように吸込ポートの開口面積が小さくなると、ポンプ室に吸い込まれる作動油の流速が速くなり、キャビテーションが発生しやすくなる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ベーンポンプにおいてキャビテーションの発生を抑制することを目的とする。
第1の発明は、回転駆動されるロータと、ロータの径方向に往復動自在にロータに設けられる複数のベーンと、ロータの回転に伴って複数のベーンの先端部が摺接する内周カム面を有するカムリングと、ロータ及びカムリングを挟んで配置される第1サイド部材及び第2サイド部材と、ロータ、カムリング、隣り合うベーン、第1サイド部材及び第2サイド部材によって区画されるポンプ室と、カムリングに形成されポンプ室に作動流体を導く吸込ポートと、ロータの回転方向における吸込ポートの終端近傍に形成され、ポンプ室に対向する吸込ポートの開口部の開口面積を増加させる開口面積増加部と、を備え、開口面積増加部は、ロータの回転方向における吸込ポートの終端から始端側に向かって隣り合うベーンの間の距離に相当する範囲内にのみ形成されることを特徴とする。
第1の発明では、ロータの回転に伴ってポンプ室が吸込ポートの終端に近づいたときに、ポンプ室の開口面積を大きくすることができるので、吸込ポートを通じてポンプ室に吸い込まれる作動流体の流速の増加を抑制できる。また、第1の発明では、開口面積増加部を吸込ポートの終端から始端側に向かって隣り合うベーンの間の距離に相当する範囲内にのみ形成することにより、ベーンの先端部とカムリングの内周カム面との接触面積が小さな状態で摺動する距離をより短くできるとともに、ポンプ室の閉塞が開始されたときには、ポンプ室の開口部の開口面積を大きくすることができるので、ベーンの先端部とカムリングの内周カム面との焼き付きをより確実に防止しつつ、キャビテーションの発生を抑制することができる。
第2の発明は、開口面積増加部は、ロータの回転方向における吸込ポートの始端側からロータの回転方向における吸込ポートの終端側に向かって徐々に開口面積を増加させるように形成されることを特徴とする。
第2の発明では、ポンプ室に吸い込まれる作動流体の流量の変化をなだらかにすることができ、脈動などを抑制できる。
第3の発明は、吸込ポートは、第1サイド部材及び第2サイド部材と接するカムリングの端面の少なくとも一方に形成される切り欠きを有し、開口面積増加部は、切り欠きに設けられ、カムリングの軸方向における切り欠きの幅が終端側に向かって徐々に大きくなるように傾斜して形成されることを特徴とする。
第4の発明は、開口面積増加部は、吸込ポートの終端近傍に形成されカムリングの内外周面を貫通する貫通孔であることを特徴とする。
第4の発明では、開口面積増加部は貫通孔によって形成されるので、カムリングを簡単に製作することができる。
第5の発明は、回転駆動されるロータと、ロータの径方向に往復動自在にロータに設けられる複数のベーンと、ロータの回転に伴って複数のベーンの先端部が摺接する内周カム面を有するカムリングと、ロータ及びカムリングを挟んで配置される第1サイド部材及び第2サイド部材と、ロータ、カムリング、隣り合うベーン、第1サイド部材及び第2サイド部材によって区画されるポンプ室と、カムリングに形成されポンプ室に作動流体を導く吸込ポートと、ロータの回転方向における吸込ポートの終端近傍に形成され、ポンプ室に対向する吸込ポートの開口部の開口面積を増加させる開口面積増加部と、を備え、開口面積増加部は、ロータの回転方向における吸込ポートの始端側からロータの回転方向における吸込ポートの終端側に向かって徐々に開口面積を増加させるように形成され、吸込ポートは、第1サイド部材及び第2サイド部材と接するカムリングの端面の少なくとも一方に形成される切り欠きを有し、開口面積増加部は、切り欠きに設けられ、カムリングの軸方向における切り欠きの幅が終端側に向かって徐々に大きくなるように傾斜して形成されることを特徴とする。
本発明によれば、ベーンポンプにおいてキャビテーションの発生を抑制できる。
本発明の実施形態に係るベーンポンプの断面図である。 本発明の実施形態に係るロータ、ベーン及びカムリングの正面図であり、ロータ、ベーン及びカムリングを組み立てた状態を示す。 本発明の実施形態に係る第1サイドプレートの正面図である。 本発明の実施形態に係るカムリング、第1サイドプレート及び第2サイドプレートの側面図であり、第1サイドプレート及び第2サイドプレートをカムリングに組み付けた状態を示す。 本発明の実施形態に係るカムリングの背面図である。 本発明の実施形態に係る第2サイドプレートの正面図である。 本発明の実施形態に係るサイドポート近傍のポンプ室を示す図である。 図7aの位置からポンプ室が移動した状態を示す図である。 本発明の実施形態に係るベーンポンプの変形例を示す図である。 本発明の実施形態に係るベーンポンプの変形例を示す図である。 本発明の実施形態に係るベーンポンプの変形例を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るベーンポンプ100について説明する。ベーンポンプ100は、車両に搭載される油圧機器1(例えば、パワーステアリング装置や変速機等)の油圧供給源として用いられる。ここでは、作動流体として作動油が用いられるベーンポンプ100について説明するが、作動水等の他の流体を作動流体として用いてもよい。
図1に示すように、ベーンポンプ100は、駆動シャフト10と、駆動シャフト10に連結されるロータ20と、ロータ20に設けられる複数のベーン30と、ロータ20及びベーン30を収容するカムリング40と、を備える。
駆動シャフト10は、ポンプボディ50及びポンプカバー60に回転自在に支持される。駆動シャフト10にエンジンまたは電動モータ(図示省略)の動力が伝わると、駆動シャフト10の回転駆動に伴ってロータ20が回転する。
以下において、ロータ20の回転中心軸に沿う方向を「軸方向」とも称し、ロータ20の径方向を単に「径方向」とも称し、ベーンポンプ100の通常作動時にロータ20が回転する方向を単に「回転方向」とも称する。
また、ベーンポンプ100は、ロータ20及びカムリング40を軸方向に挟んで配置される第1及び第2サイド部材としての第1及び第2サイドプレート70,80をさらに備える。第1及び第2サイドプレート70,80は、それぞれ、ロータ20及びカムリング40に当接する側面70a,80aを有する。ロータ20、カムリング40、隣り合うベーン30、第1サイドプレート70及び第2サイドプレート80によって、ポンプ室41が区画される。
図2は、ロータ20、ベーン30及びカムリング40を組み立てポンプカバー60の側から見た正面図である。図2に示すように、ロータ20には、外周面に開口部21を有するスリット22が所定間隔をおいて放射状に複数形成される。スリット22の開口部21は、ロータ20の外周から径方向外側に***した***部23に形成される。
ベーン30は、各スリット22に摺動自在に挿入される。ベーン30の先端部31はカムリング40の内周面40aに対向する。ベーン30の基端部32はスリット22内に位置し、ベーン30の基端部32側には、スリット22とベーン30とによって背圧室24が形成される。
ロータ20が回転すると、ベーン30に遠心力が作用する。この遠心力によって、ベーン30はスリット22から突出する方向に押し出され、ベーン30の先端部31がカムリング40の内周面40aに押圧される。
カムリング40の内周面40aは、略長円形状に形成される。以下において、内周面40aを、「内周カム面40a」とも称する。
カムリング40の内周カム面40aが略長円形状に形成されるので、ロータ20の回転に伴ってベーン30はロータ20に対して径方向に往復動する。ベーン30の往復動に伴って、ポンプ室41は拡張と収縮とを繰り返す。
本実施形態では、ロータ20が1回転する間に、ベーン30は2往復しポンプ室41は拡張と収縮とを2回繰り返す。つまり、ベーンポンプ100は、ポンプ室41が拡張する2つの拡張領域42a,42cと、ポンプ室41が収縮する2つの収縮領域42b,42dと、を回転方向に交互に有する。
再び図1を参照する。ポンプボディ50には、ロータ20、カムリング40及び第1サイドプレート70を収容する収容窪み部51が形成される。第1サイドプレート70は、収容窪み部51の底面51aに配置される。
収容窪み部51の底面51aには、環状溝52が形成される。環状溝52と第1サイドプレート70とにより、ポンプ室41から吐出された作動油が流入する高圧室53が形成される。ポンプ室41から吐出された作動油は、高圧室53を通じて油圧機器1に供給される。
図3は、第1サイドプレート70をカムリング40の側から見た正面図である。図1及び図3に示すように、第1サイドプレート70は、その中心に第1サイドプレート70を貫通する貫通孔71が形成される。貫通孔71には駆動シャフト10が挿通する。
第1サイドプレート70には、ポンプ室41から吐出される作動油を高圧室53に導く2つの吐出ポート72が設けられる。吐出ポート72は、各収縮領域42b,42dに位置するように設けられる。
ポンプ室41(図2参照)が収縮領域42b,42dを通過する間、ポンプ室41は収縮する。ポンプ室41の収縮に伴ってポンプ室41内の作動油の圧力が上昇し、ポンプ室41内の作動油が吐出ポート72から吐出される。つまり、ポンプ室41内の作動油は、ポンプ室41が収縮領域42b,42dを通過する間に吐出ポート72から吐出される。このように、収縮領域42b,42dでは作動油が吐出されるので、収縮領域42b,42dは「吐出領域」とも呼ばれる。
ベーン30は、収縮領域42dから拡張領域42aへ移動するとき、及び収縮領域42bから拡張領域42cへ移動するときにスリット22内に最も押し込まれ、このときにポンプ室41の容積が最小となる。ポンプ室41の最小容量分の作動油は、ポンプ室41が収縮領域42d,42bを通過する間にポンプ室41から吐出されず、ポンプ室41に残る。このように、ポンプ室41の最小容積はポンプとして機能せず、デッドボリュームとも呼ばれる。
第1サイドプレート70には、高圧室53から背圧室24(図1及び図2参照)へ作動油を導く2つの背圧通路73(図1及び図3参照)が形成される。図3に示すように、背圧通路73は、貫通孔71を中心とする円弧形状に、拡張領域42a,42cに位置するように形成される。これにより、拡張領域42a,42cを通過する背圧室24には高圧室53から作動油が導かれるので、拡張領域42a,42cを通過するベーン30は、背圧室24内の圧力によりスリット22(図3参照)から突出し、カムリング40の内周面40aに押圧される。
このように、本実施形態では、ベーン30は、ロータ20の回転によって生じる遠心力だけでなく、背圧室24内の圧力によっても、スリット22から突出する方向に押圧される。
再び図1を参照する。ポンプボディ50の収容窪み部51の内径はカムリング40の外径と比較して大きい。カムリング40とポンプボディ50との間には、第2サイドプレート80の外周から第1サイドプレート70の外周まで延在する流体室54が形成される。
収容窪み部51の開口部はポンプカバー60により封止される。ポンプカバー60は、ボルト(図示省略)によってポンプボディ50に固定される。ポンプカバー60とカムリング40との間に第2サイドプレート80が配置される。
ポンプカバー60には低圧室61が形成される。低圧室61は、低圧通路を通じてタンク2に接続される。ベーンポンプ100の作動時には、タンク2内の作動油が低圧通路を通じて低圧室61に供給される。低圧室61は流体室54と連通しており、タンク2内の作動油は低圧室61を通じて流体室54に供給される。
カムリング40及び第2サイドプレート80には、低圧室61内の作動油をポンプ室41に導く吸込ポートとしてのサイドポート81が設けられる。また、カムリング40及び第1サイドプレート70には、流体室54内の作動油をポンプ室41に導く吸込ポートとしてのサイドポート74が設けられる。サイドポート74,81は、各拡張領域42a,42cに位置するように設けられる。
ポンプ室41が拡張領域42a,42c(図2参照)を通過する間、ポンプ室41は拡張する。ポンプ室41の拡張に伴ってポンプ室41内の圧力が低下し、サイドポート74,81からポンプ室41内に作動油が吸い込まれる。つまり、作動油は、ポンプ室41が拡張領域42a,42cを通過する間にサイドポート74,81からポンプ室41内に吸い込まれる。このように、拡張領域42a,42cでは作動油がポンプ室41内に吸い込まれるので、拡張領域42a,42cは「吸込領域」とも呼ばれる。
図4は、第1サイドプレート70及び第2サイドプレート80をカムリング40に組み付け、径方向外側から見た側面図である。図3及び図4に示すように、第1サイドプレート70の側面70aには、2つの窪み部75が形成される。窪み部75は、第1サイドプレート70の外周面70bに開口する。
図5は、カムリング40を第1サイドプレート70の側から見た背面図である。図4及び図5に示すように、第1サイドプレート70に接するカムリング40の端面40bには2つの切り欠き43が設けられる。切り欠き43は、拡張領域42a,42cに位置し、カムリング40の外周面40dから内周カム面40aまで形成される。
図4に示すように、第1サイドプレート70をカムリング40に組み付けた状態では、第1サイドプレート70の窪み部75がカムリング40の切り欠き43に臨む。流体室54(図1参照)内の作動油は、窪み部75と切り欠き43とによって形成されるポートを通じてポンプ室41に導かれる。つまり、本実施形態では、第1サイドプレート70の窪み部75とカムリング40の切り欠き43とがサイドポート74に相当する。
図6は、第2サイドプレート80をポンプカバー60の側から見た正面図である。図4及び図6に示すように、第2サイドプレート80の外周面80bには、2つの窪み部82が設けられる。窪み部82は、第2サイドプレート80の側面80aから、側面80aとは反対側の第2サイドプレート80の側面80cまで形成される。
図2及び図4に示すように、第2サイドプレート80に接するカムリング40の端面40cには2つの切り欠き44が設けられる。切り欠き44は、拡張領域42a,42cに位置するようにして、カムリング40の外周面40dから内周カム面40aまで形成される。
図4に示すように、第2サイドプレート80をカムリング40に組み付けた状態では、第2サイドプレート80の窪み部82がカムリング40の切り欠き44に臨む。低圧室61(図1参照)内の作動油は、窪み部82と切り欠き44とによって形成されるポートを通じてポンプ室41に導かれる。このように、本実施形態では、第2サイドプレート80の窪み部82とカムリング40の切り欠き44とがサイドポート81に相当する。
図4に示すように、カムリング40の切り欠き43,44には、ロータ20の回転方向におけるサイドポート74,81の終端近傍に、ポンプ室41に開口するサイドポート74,81の開口部の開口面積を増加させる開口面積増加部としての傾斜部45,46が形成される。具体的には、傾斜部45,46は、ロータ20の回転方向におけるサイドポート74,81の終端近傍において、カムリング40の軸方向における切り欠き43,44の幅がそれぞれ終端側に向かって徐々に大きくなるように傾斜して形成される。
なお、サイドポート81の「始端」とは、サイドポート81の端部のうち、拡張領域42a,42c内に移動したポンプ室41がロータ20の回転に伴って最初に到達する端部81aを意味する。また、サイドポート81の「終端」とは、サイドポート81の端部のうち、拡張領域42a,42c内で移動するポンプ室41がロータ20の回転に伴って最後に到達する端部81bを意味する。つまり、ベーンポンプ100の作動時には、拡張領域42a,42c内に移動したポンプ室41がサイドポート81の始端に達することにより当該ポンプ室41とサイドポート81が連通する。ポンプ室41がサイドポート81の終端を通過することにより、当該ポンプ室41とサイドポート81との連通が遮断される。
同様に、サイドポート74の「始端」とは、サイドポート74の端部のうち、拡張領域42a,42c内に移動したポンプ室41がロータ20の回転に伴って最初に到達する端部74aを意味する。サイドポート74の「終端」とは、サイドポート74の端部のうち、拡張領域42a,42c内で移動するポンプ室41がロータ20の回転に伴って後に到達する端部74bを意味する。
図7に示すように、傾斜部45,46は、ロータ20の回転方向におけるサイドポート74,81の終端から始端側に向かって隣り合うベーン30の間の距離d(ロータ20の周方向におけるポンプ室41の長さ)に相当する範囲D内に形成される(図7a参照)。
次に、ベーンポンプ100の動作を説明する。
駆動シャフト10にエンジン又は電動モータ(図示省略)の動力が伝わると、駆動シャフト10の回転駆動に伴ってロータ20が回転する。ロータ20の回転に伴ってベーン30はロータ20に対して往復動し、ポンプ室41が膨張と収縮とを繰り返す。
拡張領域42a,42cを通過するポンプ室41には、タンク2内の作動油が、低圧室61及びサイドポート81を通じて、又は低圧室61、流体室54及びサイドポート74を通じて導かれる。収縮領域42b,42dを通過するポンプ室41内の作動油は、吐出ポート72から高圧室53に吐出される。
切り欠き43,44に傾斜部45,46が設けられていない場合には、ポンプ室41がサイドポート74,81の終端に近づく(具体的には、図7aに示す位置から図7bに示す位置に移動する)につれて、作動油をポンプ室41に吸い込むための切り欠き43,44の開口面積(ポンプ室41の開口面積)は徐々に小さくなる。このとき、ポンプ室41に吸い込まれる作動油の流速は、切り欠き43,44の開口面積(ポンプ室41の開口面積)が小さくなるにつれて速くなるため、ポンプ室41がサイドポート74,81の終端に近づくにつれて、つまり、ポンプ室41の閉じこみ時にキャビテーションが発生しやすくなる。
このため、本実施形態のベーンポンプ100では、サイドポート74,81の終端近傍に傾斜部45,46が設けられる。これにより、ポンプ室41がサイドポート74,81の終端に近づいたとき、つまり、ポンプ室41の閉塞が開始されるときに、ポンプ室41の開口面積を大きくすることができる。したがって、ベーンポンプ100では、ポンプ室41の閉塞が開始されるときに、ポンプ室41の開口面積を大きくすることができるので、サイドポート74を通じてポンプ室41に吸い込まれる作動油の流速の増加を抑制できる。よって、キャビテーションの発生を抑制できる。
また、上述のように、ベーンポンプ100では、ロータ20の回転に伴ってベーン30に背圧室24の背圧が作用すると、ベーン30の先端部31はカムリング40の内周面40aに押圧されながら摺動する。図7aに示すように、切り欠き43,44の傾斜部45,46が形成されている範囲D内では、傾斜部45,46が形成されていない範囲E内に比べて、ベーン30の先端部31とカムリング40の内周面40aとが接触する面積が小さい。このため、ベーン30が範囲D内を移動するときには、ベーン30の先端部31とカムリング40の内周面40aとの間に焼き付きが発生しやすい。そこで、ベーンポンプ100では、傾斜部45,46をサイドポート74,81の終端近傍にのみ形成することで、ベーン30がベーン30の先端部31とカムリング40の内周面40aとの接触面積が小さい状態で摺動する距離を短くしている。これにより、ベーン30の先端部31とカムリング40の内周面40aとが焼き付くことを防止できる。
傾斜部45,46は、より好ましくは、サイドポート74,81の終端から始端側に向かって隣り合うベーン30の間の距離dに相当する範囲内に形成される。この構成によれば、ポンプ室41の閉塞が開始されるまで、つまり、ベーン30が図7aに示す範囲Dと範囲Eとの境界に移動するまでは、ベーン30はベーン30の先端部30aとカムリング40の内周面40aとの接触面積が大きな状態で摺動する。さらに、ポンプ室41の閉塞が開始されたとき(サイドポート74,81の終端距離dに相当する範囲にポンプ室41が移動したとき)に、ポンプ室41の開口部を傾斜部45、46によって開口面積を大きくすることができる。したがって、この構成によれば、ベーン30の先端部30aとカムリング40の内周面40aとの接触面積が小さな状態で摺動する距離をより短くできるとともに、ポンプ室41の閉塞が開始されたときには、ポンプ室41の開口部の開口面積を大きくすることができるので、ベーン30の先端部31とカムリング40の内周面40aとの焼き付きをより確実に防止しつつ、ポンプ室41の閉じこみ時のキャビテーションの発生を抑制することができる。
以上の実施形態によれば、以下の効果を奏する。
ベーンポンプ100は、ロータ20の回転方向におけるサイドポート74,81の終端近傍に形成され、サイドポート74,81のポンプ室41に対向する切り欠き43,44の開口部の開口面積を増加させる傾斜部45,46を備える。これにより、ポンプ室41の閉塞が開始されるときに、ポンプ室41の開口面積を大きくすることができるので、サイドポート74を通じてポンプ室41に吸い込まれる作動油の流速の増加を抑制できる。よって、キャビテーションの発生を抑制できる。
また、ベーンポンプ100では、傾斜部45,46は、サイドポート74,81の終端近傍に形成される。これにより、ベーン30の先端部31とカムリング40の内周面40aとが接触面積が小さい状態で摺動する距離を短くでき、ベーン30の先端部31とカムリング40の内周面40aとが焼き付くことを防止できる。
さらに、ベーンポンプ100では、傾斜部45,46は、サイドポート74,81の終端から始端側に向かって隣り合うベーン30の間の距離dに相当する範囲内に形成される。これにより、ベーン30の先端部30aとカムリング40の内周面40aとの接触面積が小さな状態で摺動する距離をより短くできるとともに、ポンプ室41の閉塞が開始されたときには、ポンプ室41の開口部の開口面積を大きくすることができるので、ベーン30の先端部31とカムリング40の内周面40aとの焼き付きをより確実に防止しつつ、キャビテーションの発生を抑制することができる。
また、開口面積増加部(傾斜部45,46)は、ロータ20の回転方向におけるサイドポート74,81の始端側からロータ20の回転方向におけるサイドポート74,81の終端側に向かって徐々に開口面積を増加させるように形成される。これにより、ポンプ室41に吸い込まれる作動油の流量の変化をなだらかにすることができ、脈動などを抑制できる。
以下に、本発明の実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態では、開口面積増加部は、サイドポート74,81の始端側から終端側に向かって徐々に開口面積を増加させる傾斜部45,46によって形成されているが、図8に示すように、開口面積増加部は、切り欠き43,44の開口面積が段階的に大きくなる形状であってもよい。
また、ベーン30の先端部31とカムリング40の内周面40aとが焼き付くことがなければ、図9に示すように、傾斜部45,46を切り欠き43,44の始端から終端にかけて形成してもよい。
さらに、開口面積増加部として傾斜部45,46を形成したが、図10に示すように、カムリング40の内外周面を貫通する貫通孔47を開口面積増加部としてもよい。この構成によれば、切り欠き43,44の形状を単純にすることができるので、カムリング40の製作が簡単になる。
以上のように構成された本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
ベーンポンプ100は、回転駆動されるロータ20と、ロータ20の径方向に往復動自在にロータ20に設けられる複数のベーン30と、ロータ20の回転に伴って複数のベーン30の先端部31が摺接する内周カム面40aを有するカムリング40と、ロータ20及びカムリング40を挟んで配置される第1サイド部材(第1サイドプレート70)及び第2サイド部材(第2サイドプレート80)と、ロータ20、カムリング40、隣り合うベーン30、第1サイド部材(第1サイドプレート70)及び第2サイド部材(第2サイドプレート80)によって区画されるポンプ室41と、カムリング40に形成されポンプ室41に作動流体を導く吸込ポート(サイドポート74,81)と、ロータ20の回転方向における吸込ポート(サイドポート74,81)の終端近傍に形成され、ポンプ室41に対向する吸込ポート(サイドポート74,81)の開口部の開口面積を増加させる開口面積増加部(傾斜部45,46、貫通孔47)と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、ロータ20の回転に伴ってポンプ室41が吸込ポート(サイドポート74,81)の終端に近づいたときに、ポンプ室41の開口面積を大きくすることができるので、吸込ポート(サイドポート74,81)を通じてポンプ室41に吸い込まれる作動流体の流速の増加を抑制できる。よって、キャビテーションの発生を抑制できる。また、開口面積増加部(傾斜部45,46、貫通孔47)は、吸込ポート(サイドポート74,81)の終端近傍に形成されるので、ベーン30の先端部31とカムリング40の内周カム面40aとが接触面積が小さい状態で摺動する距離を短くでき、ベーン30の先端部31とカムリング40の内周カム面40aとが焼き付くことを防止できる。
ベーンポンプ100は、開口面積増加部(傾斜部45,46)は、ロータ20の回転方向における吸込ポート(サイドポート74,81)の始端側からロータ20の回転方向における吸込ポート(サイドポート74,81)の終端側に向かって徐々に開口面積を増加させるように形成されることを特徴とする。
この構成によれば、ポンプ室41に吸い込まれる作動流体の流量の変化をなだらかにすることができ、脈動などを抑制できる。
ベーンポンプ100は、 吸込ポート(サイドポート74,81)は、第1サイド部材(第1サイドプレート70)及び第2サイド部材(第2サイドプレート80)と接するカムリング40の端面40b,40cの少なくとも一方に形成される切り欠き43,44を有し、開口面積増加部(傾斜部45,46)は、切り欠き43,44に設けられ、カムリング40の軸方向における切り欠き43,44の幅が終端側に向かって徐々に大きくなるように傾斜して形成されることを特徴とする。
ベーンポンプ100は、開口面積増加部(貫通孔47)は、吸込ポート(サイドポート74,81)の終端近傍に形成されカムリング40の内外周面を貫通する貫通孔47であることを特徴とする。
この構成によれば、開口面積増加部(貫通孔47)は貫通孔47によって形成されるので、カムリング40を簡単に製作することができる。
ベーンポンプ100,200は、開口面積増加部は、ロータ20の回転方向における吸込ポート(サイドポート74,81)の終端から始端側に向かって隣り合うベーン30の間の距離に相当する範囲内に形成されることを特徴とする。
この構成によれば、開口面積増加部(傾斜部45,46、貫通孔47)を吸込ポート(サイドポート74,81)の終端から始端側に向かって隣り合うベーン30の間の距離に相当する範囲内に形成することにより、ベーン30の先端部30aとカムリング40の内周面40aとの接触面積が小さな状態で摺動する距離をより短くできるとともに、ポンプ室41の閉塞が開始されたときには、ポンプ室41の開口部の開口面積を大きくすることができるので、ベーン30の先端部31とカムリング40の内周面40aとの焼き付きをより確実に防止しつつ、キャビテーションの発生を抑制することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
100・・・ベーンポンプ、10・・・駆動シャフト、20・・・ロータ、22・・・スリット、24・・・背圧室、30・・・ベーン、31・・・先端部、40・・・カムリング、40a・・・内周カム面、41・・・ポンプ室、43,44・・・切り欠き、45,46・・・傾斜部(開口面積増加部)、47・・・貫通孔(開口面積増加部)、50・・・ポンプボディ、60・・・ポンプカバー、70・・・第1サイドプレート(第1サイド部材)、72・・・吐出ポート、73・・・背圧通路、74,81・・・サイドポート(吸込ポート)、74,81・・・切り欠き、74b,81b・・・端部(終端)、80・・・第2サイドプレート(第2サイド部材)

Claims (5)

  1. 回転駆動されるロータと、
    前記ロータの径方向に往復動自在に前記ロータに設けられる複数のベーンと、
    前記ロータの回転に伴って前記複数のベーンの先端部が摺接する内周カム面を有するカムリングと、
    前記ロータ及び前記カムリングを挟んで配置される第1サイド部材及び第2サイド部材と、
    前記ロータ、前記カムリング、隣り合う前記ベーン、前記第1サイド部材及び前記第2サイド部材によって区画されるポンプ室と、
    前記カムリングに形成され前記ポンプ室に作動流体を導く吸込ポートと、
    前記ロータの回転方向における前記吸込ポートの終端近傍に形成され、前記ポンプ室に対向する前記吸込ポートの開口部の開口面積を増加させる開口面積増加部と、を備え
    前記開口面積増加部は、前記ロータの回転方向における前記吸込ポートの終端から始端側に向かって前記隣り合うベーンの間の距離に相当する範囲内にのみ形成されることを特徴とするベーンポンプ。
  2. 前記開口面積増加部は、前記ロータの回転方向における前記吸込ポートの始端側から前記ロータの回転方向における前記吸込ポートの終端側に向かって徐々に前記開口面積を増加させるように形成されることを特徴とする請求項1に記載のベーンポンプ。
  3. 前記吸込ポートは、
    前記第1サイド部材及び前記第2サイド部材と接する前記カムリングの端面の少なくとも一方に形成される切り欠きを有し、
    前記開口面積増加部は、前記切り欠きに設けられ、前記カムリングの軸方向における前記切り欠きの幅が終端側に向かって徐々に大きくなるように傾斜して形成されることを特徴とする請求項2に記載のベーンポンプ。
  4. 前記開口面積増加部は、前記吸込ポートの前記終端近傍に形成され前記カムリングの内外周面を貫通する貫通孔であることを特徴とする請求項1に記載のベーンポンプ。
  5. 回転駆動されるロータと、
    前記ロータの径方向に往復動自在に前記ロータに設けられる複数のベーンと、
    前記ロータの回転に伴って前記複数のベーンの先端部が摺接する内周カム面を有するカムリングと、
    前記ロータ及び前記カムリングを挟んで配置される第1サイド部材及び第2サイド部材と、
    前記ロータ、前記カムリング、隣り合う前記ベーン、前記第1サイド部材及び前記第2サイド部材によって区画されるポンプ室と、
    前記カムリングに形成され前記ポンプ室に作動流体を導く吸込ポートと、
    前記ロータの回転方向における前記吸込ポートの終端近傍に形成され、前記ポンプ室に対向する前記吸込ポートの開口部の開口面積を増加させる開口面積増加部と、を備え、
    前記開口面積増加部は、前記ロータの回転方向における前記吸込ポートの始端側から前記ロータの回転方向における前記吸込ポートの終端側に向かって徐々に前記開口面積を増加させるように形成され、
    前記吸込ポートは、
    前記第1サイド部材及び前記第2サイド部材と接する前記カムリングの端面の少なくとも一方に形成される切り欠きを有し、
    前記開口面積増加部は、前記切り欠きに設けられ、前記カムリングの軸方向における前記切り欠きの幅が終端側に向かって徐々に大きくなるように傾斜して形成されることを特徴とするベーンポンプ。
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