JP6757494B2 - モータ制御装置 - Google Patents
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Description
しかし、PWM周波数を高くすると、PWM信号の周期(PWM周期)が電流制御周期よりも小さくなる場合がある。PWM周期が電流制御周期よりも小さくなると、電流制御周期内に複数のPWM周期が含まれることになる。電動モータの回転数が高くなると、電流制御周期内において電動モータの回転角が大きく変化し、電動モータに印加される電圧が二相電圧指令値からずれる。そうすると、電動モータに流れるモータ電流が、二相電流指令値からずれ、制御性が悪化する。
図1は、本発明の一実施形態に係るモータ制御装置が適用された電動パワーステアリング装置の概略構成を示す模式図である。
電動パワーステアリング装置(EPS:electric power steering)1は、車両を操向するための操舵部材としてのステアリングホイール2と、このステアリングホイール2の回転に連動して転舵輪3を転舵する転舵機構4と、運転者の操舵を補助するための操舵補助機構5とを備えている。ステアリングホイール2と転舵機構4とは、ステアリングシャフト6および中間軸7を介して機械的に連結されている。
トーションバー10の近傍には、トルクセンサ11が配置されている。トルクセンサ11は、入力軸8および出力軸9の相対回転変位量に基づいて、ステアリングホイール2に与えられた操舵トルクTを検出する。この実施形態では、トルクセンサ11によって検出される操舵トルクTは、たとえば、右方向への操舵のためのトルクが正の値として検出され、左方向への操舵のためのトルクが負の値として検出され、その絶対値が大きいほど操舵トルクの大きさが大きくなるものとする。
操舵補助機構5は、操舵補助用の電動モータ18と、電動モータ18の出力トルクを転舵機構4に伝達するための減速機構19とを含む。電動モータ18には、電動モータ18のロータの回転角を検出するための、例えばレゾルバからなる回転角センサ23が配置されている。減速機構19は、ウォーム軸20と、このウォーム軸20と噛み合うウォームホイール21とを含むウォームギヤ機構からなる。
電動モータ18によってウォーム軸20が回転駆動されると、ウォームホイール21が回転駆動され、ステアリングシャフト6が回転する。そして、ステアリングシャフト6の回転は、中間軸7を介してピニオン軸13に伝達される。ピニオン軸13の回転は、ラック軸14の軸方向移動に変換される。これにより、転舵輪3が転舵される。すなわち、電動モータ18によってウォーム軸20を回転駆動することによって、転舵輪3が転舵されるようになっている。
ECU12は、マイクロコンピュータ31と、マイクロコンピュータ31によって制御され、電動モータ18に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)32を含んでいる。駆動回路32と電動モータ18とを接続するための電力供給線には、2つの電流センサ33,34が設けられている。これらの電流センサ33,34は、駆動回路32と電動モータ18とを接続するための3本の電力供給線のうち、2本の電力供給線に流れる相電流を検出できるように設けられている。
各相のステータ巻線101,102,103の方向にU軸、V軸およびW軸をとった三相固定座標(UVW座標系)が定義される。また、ロータ100の磁極方向にd軸(磁極軸)をとり、ロータ100の回転平面内においてd軸と直角な方向にq軸(トルク軸)をとった二相回転座標系(dq座標系。実回転座標系)が定義される。dq座標系では、q軸電流のみがロータ100のトルク発生に寄与するので、d軸電流を零とし、q軸電流を所望のトルクに応じて制御すればよい。ロータ100の回転角(電気角)θは、U軸に対するd軸の回転角である。dq座標系は、ロータ回転角θに従う実回転座標系である。このロータ回転角θを用いることによって、UVW座標系とdq座標系との間での座標変換を行うことができる。
回転角推定部51は、次式(1)に基づいて、次の電流制御周期Taに含まれる各PWM周期Tcの開始時点でのロータ回転角θi(θ0〜θ9)を推定する。
θ1=θ0+ω・Tc
θ2=θ1+ω・Tc
…
θ8=θ7+ω・Tc
θ9=θ8+ω・Tc …(1)
回転角推定部51によって推定されたロータ回転角θi(θ0〜θ9)は、二相・三相変換部45に与えられる。
PI制御部44は、電流偏差演算部43によって演算された電流偏差に対するPI演算を行なうことにより、電動モータ18に印加すべき二相電圧指令値Vdq *(d軸電圧指令値Vd *およびq軸電圧指令値Vq *)を生成する。この二相電圧指令値Vdq *は、二相・三相変換部45に与えられる。
PWMデューティ演算部46は、電流制御周期Ta内に含まれる各PWM周期Tcに対する三相電圧指令値VUVW *に基づいて、各PWM周期Tcに対するU相のPWMカウント(PWMデューティ)、V相のPWMカウントおよびW相のPWMカウントを生成して、PWM出力部47に与える。PWMデューティ演算部46の動作の詳細については、後述する。
駆動回路32は、U相、V相およびW相に対応した三相インバータ回路からなる。このインバータ回路を構成するパワー素子がPWM出力部47から与えられるPWM信号によって制御されることにより、PWM周期Tc毎の三相電圧指令値VUVW *に相当する電圧が電動モータ18の各相のステータ巻線101,102,103に印加されることになる。
以下、PWMデューティ演算部46の動作について、詳しく説明する。
PWMデューティ演算部46は、第1PWMカウント演算部(高分解能PWMカウント演算手段)61と、最終PWMカウント生成部62とを含む。PWMデューティ演算部46は、各PWM周期Tcに対するU相のPWMカウント、V相のPWMカウントおよびW相のPWMカウントを演算するものであるが、各相のPWMカウントの演算方法は同様であるので、U相のPWMカウントの算方法についてのみ説明する。
あるPWM周期に対するU相の第1PWMカウントCi’は、当該PWM周期に対するU相電圧指令値をVU *とすると、次式(2)に基づいて演算される。
=VU *×(10,000/Vb) …(2)
前記式(2)においてVbは、駆動回路32の電源電圧である。
理解を容易にするために、図7Aに、第1PWMカウント演算部61によって演算された10個のPWM周期(0〜9の周期番号)に対するU相の第1PWMカウントCi’の具体例等を示す。
Ci=Ci’÷N …(3)
第1PWMカウント演算部61によって演算された10個の第1PWMカウントCi’が図7Aである場合には、第2PWMカウント演算部63によって演算される10個の第2PWMカウントCiは、図7Bに示すようになる。
差分分配部65は、差分演算部64によって演算された差分を、第2PWMカウント演算部63によって演算されたU相の第2PWMカウントCiに分配する。例えば、差分分配部65は、第2PWMカウント演算部63によって演算された電流制御周期内の各PWM周期に対するU相の第2PWMカウントCiのうち、当該第2PWMカウントに分解能比Nを乗算した値Ci・Nと、そのPWM周期に対応する第1PWMカウントCi’との差が大きいものから優先的に、差分を分配する。
前述の実施形態では、差分分配部65は、第2PWMカウント演算部63によって演算された電流制御周期内の各PWM周期に対するU相の第2PWMカウントCiのうち、当該第2PWMカウントに分解能比Nを乗算した値Ci・Nと、そのPWM周期に対応する第1PWMカウントCi’との差が大きいものから優先的に差分を分配している。しかし、差分分配部65は、第2PWMカウント演算部63によって演算された電流制御周期内の各PWM周期に対するU相の第2PWMカウントCi、差分を平均的に分配してもよい。また、差分分配部65は、第2PWMカウント演算部63によって演算された電流制御周期内の各PWM周期に対するU相の第2PWMカウントCiのうちの一部の第2PWMカウントに、差分を集中的に分配してもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
Claims (3)
- 電流制御周期内に複数のPWM周期が含まれており、電流制御周期内の各PWM周期において生成されるPWM信号に基づいて電動モータが制御されるモータ制御装置であって、
電流制御周期毎に、二相回転座標系の二相電圧指令値を生成する二相電圧指令値生成手段と、
電流制御周期内の各PWM周期に対する前記電動モータの回転角を個別に推定するモータ回転角推定手段と、
ある電流制御周期に対して前記二相電圧指令値生成手段によって生成された二相電圧指令値を、前記モータ回転角推定手段によって推定された当該電流制御周期内の各PWM周期に対する前記電動モータの回転角を用いて二相・三相変換することにより、当該電流制御周期内の各PWM周期に対する三相固定座標系の三相電圧指令値を演算する三相電圧指令値演算手段と、
PWM周波数に対応したPWM最大カウント数を実分解能のPWM最大カウント数とし、前記実分解能のPWM最大カウント数を所定倍したPWM最大カウント数を高分解能のPWM最大カウント数とすると、前記三相電圧指令値演算手段によって演算された前記電流制御周期内の各PWM周期の三相電圧指令値と前記高分解能のPWM最大カウント数と用いて、前記電流制御周期内の各PWM周期に対する三相の各相の高分解能PWMカウントを演算する高分解能PWMカウント演算手段と、
前記高分解能PWMカウント演算手段によって演算された前記電流制御周期内の各PWM周期に対する三相の各相の高分解能PWMカウントに基づいて、前記各PWM周期に対する三相の各相の最終的なPWMカウントを生成する最終PWMカウント生成手段とを含み、
前記最終PWMカウント生成手段は、
前記実分解能のPWM最大カウント数に対する前記高分解能のPWM最大カウント数の比を分解能比とすると、前記高分解能PWMカウント演算手段によって演算された前記電流制御周期内の各PWM周期に対する三相の各相の高分解能PWMカウントを、前記分解能比で除算し、小数点以下を切り捨てることにより、前記電流制御周期内の各PWM周期に対する三相の各相の実分解能PWMカウントを演算する実分解能PWMカウント演算手段と、
三相の相毎に、前記電流制御周期内の各PWM周期に対する前記高分解能PWMカウントの合計値を前記分解能比で除算し、小数点以下を切り捨てた値と、前記電流制御周期内の各PWM周期に対する前記実分解能PWMカウントの合計値との差分を演算する差分演算手段と、
三相の相毎に、前記差分演算手段によって得られた差分を、前記電流制御周期内の各PWM周期に対する前記実分解能PWMカウントに分配することにより、前記各PWM周期に対する三相の各相の最終的なPWMカウントを生成する差分分配手段とを含む、記載のモータ制御装置。 - 前記差分分配手段は、三相の相毎に、前記電流制御周期内の各PWM周期に対する前記実分解能PWMカウントのうち、当該実分解能PWMカウントに前記分解能比を乗算した値と、そのPWM周期に対応する前記高分解能PWMカウントとの差が大きいものから優先的に前記差分を分配するように構成されている、請求項1に記載のモータ制御装置。
- 前記電流制御周期内に含まれる前記PWM周期の数をNとすると、前記高分解能のPWM最大カウント数は、前記実分解能のPWM最大カウント数をN倍した値である、請求項1または2に記載のモータ制御装置。
Priority Applications (1)
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JP2016125969A JP6757494B2 (ja) | 2016-06-24 | 2016-06-24 | モータ制御装置 |
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Publications (2)
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JP2017229217A JP2017229217A (ja) | 2017-12-28 |
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JP2016125969A Active JP6757494B2 (ja) | 2016-06-24 | 2016-06-24 | モータ制御装置 |
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- 2016-06-24 JP JP2016125969A patent/JP6757494B2/ja active Active
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