JP6753255B2 - 液体栄養組成物 - Google Patents

液体栄養組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP6753255B2
JP6753255B2 JP2016194378A JP2016194378A JP6753255B2 JP 6753255 B2 JP6753255 B2 JP 6753255B2 JP 2016194378 A JP2016194378 A JP 2016194378A JP 2016194378 A JP2016194378 A JP 2016194378A JP 6753255 B2 JP6753255 B2 JP 6753255B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
content
protein
mass
nutritional composition
liquid nutritional
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016194378A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018050600A (ja
Inventor
龍太郎 山田
龍太郎 山田
知也 伊佐治
知也 伊佐治
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NOF Corp
Original Assignee
NOF Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NOF Corp filed Critical NOF Corp
Priority to JP2016194378A priority Critical patent/JP6753255B2/ja
Publication of JP2018050600A publication Critical patent/JP2018050600A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6753255B2 publication Critical patent/JP6753255B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Non-Alcoholic Beverages (AREA)
  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)

Description

本発明は、高濃度の蛋白質を含有する液体栄養組成物に関する。更に詳しくは、本発明は、高濃度の蛋白質を含有する液体栄養組成物であって、カルシウムの含有量を低下した液体栄養組成物に関する。
身体能力の向上やトレーニング後の身体疲労低減を目的とするアスリートや、体重のコントロールを目的とするスポーツ愛好家のために、栄養補助食品として、高濃度の蛋白質を含有した液体栄養組成物が流通している。日本人の1日の蛋白質必要量は平均で68.9gとされており、(非特許文献1)。これに対して、アスリートやスポーツ愛好家の必要量は1.2g/kg(体重)程度(非特許文献2)とされており、体重が70kgと仮定すると約84.0gに相当する。両者の差の約15gが、運動者の蛋白質の不足量1日分である。アスリートやスポーツ愛好家は、食事内容について制限を自ら課している場合も多く、通常の食事によらず、上記の液体栄養組成物の摂取によって蛋白質の不足量を補いうることが望まれる。15gは、液体栄養組成物の普及形態である1本200mLで考えると、大体7.5%の濃度に相当するが、液体栄養組成物の蛋白質濃度をこの程度まで高めることは、風味の低下や高粘度化といった問題が伴うため困難であり、製品化技術の域としては達成されていなかった。
近年の液体栄養組成物については、風味の低下や高粘度化といった諸要求性能に対していくぶんの解決が図られている。例えば、特許文献1には、ミルクカゼイン類を85〜95重量%及びホエータンパク類を5〜15重量%を含有する乳蛋白(乳蛋白質濃縮物)を8〜15g/100mL含有する液状栄養食品組成物が開示されている。
乳蛋白質濃縮物は、牛乳から遠心分離等により脱脂された脱脂乳から、ろ過により乳糖やミネラル等の低分子成分を除いて得られたものである。その主な成分としては、カゼイン蛋白質とホエイ蛋白質であり、その比率は、脱脂乳における比率と変わらず、カゼイン蛋白質:ホエイ蛋白質としておおよそ8:2となる。
なお、乳蛋白質濃縮物は、カゼイン蛋白質とホエイ蛋白質を主成分とするが、脱脂乳から酸沈殿により分画されたカゼイン蛋白質(カゼイネート)や脱脂乳およびチーズホエイから分画されたホエイ蛋白質とは異なる性質を有している。例えば、脱脂乳からろ過により分画された乳蛋白質濃縮物に含まれるカゼイン蛋白質は、牛乳中と同様のミセル構造を有しているのに対して、脱脂乳から酸沈殿により分画されたカゼイン蛋白質(カゼイネート)は、酸変性により既にミセル構造が破壊されており、ランダムな伸びた分子構造になっている。また、脱脂乳から酸沈殿により分画されたカゼイン蛋白質(カゼイネート)は乳蛋白質濃縮物に比べて、蛋白質を高濃度化した際の風味の低下および高粘度化を引き起こす。
一方、乳蛋白質濃縮物に含まれるカゼイン蛋白質のミセル構造には、カルシウムが保持されているため、乳蛋白質濃縮物を多量に摂取すると、同時にカルシウムも多量に摂取することになる。なお、脱脂乳から酸沈殿により分画されたカゼイン蛋白質(カゼイネート)は、ミセル構造が破壊されているためカルシウムが取り除かれている。
通常の食事からカルシウムを一時的に多量摂取しても健康障害が発生することは稀であるが、カルシウムを長期間過剰摂取すると、高カルシウム血症、高カルシウム尿症、軟組織の石灰化等を引き起こすことがある。そのため、カルシウムの摂取を目的としないような栄養補助食品等では、カルシウムの含有量を低下することが求められている。このような背景から、陽イオン交換等によりカルシウムの含有量を低下したカルシウム除去乳蛋白質濃縮物も開発されている(例えば、特許文献2)。また、特許文献3には、これを含有する液体栄養組成物が開示されている。
このように、高蛋白質含有量を維持しながら、風味低下や高粘度化を抑制しつつ、カルシウムの含有量を低減した液体栄養組成物が求められているのである。
特開2013−176357号公報 特表2010−502182号公報 特表2013−530722号公報
厚生労働省,「平成25年国民健康・栄養調査報告」,2014年12月9日 樋口満編著,「新版コンディショニングのスポーツ栄養学」,市村出版刊,2007年10月発行,第63頁
本発明の課題は、乳蛋白質濃縮物を高濃度で含有する液体栄養組成物において、風味の低下や、高粘度化を抑制しつつ、カルシウムの含有量を低減することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、高濃度の蛋白質を含有する液体栄養組成物において、乳蛋白質濃縮物の他に、特定の重量平均分子量のカゼイン分解物を配合することにより、風味の低下や高粘度化を抑制しつつカルシウムの含有量を低下できることの知見を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の〔1〕〜〔2〕である。
〔1〕
(A)乳蛋白質濃縮物および(B)重量平均分子量が19000以上のカゼイン分解物を含有し、
前記(A)の含有量が、8〜12.5質量%、
前記(B)の含有量が、2〜5質量%である、液体栄養組成物。
〔2〕
更に、(C)食用油脂および乳化剤からなる油脂分を含有し、
前記(C)の含有量が、0.1〜1質量%である、〔1〕に記載の液体栄養組成物。
上記〔1〕の発明によれば、乳蛋白質濃縮物を高濃度で含有する液体栄養組成物において、風味の低下や、高粘度化を抑制しつつ、カルシウムの含有量が低減された液体栄養組成物を提供することができる。
特に、この液体栄養組成物は、低温における高粘度化の抑制において優れた効果が認められる。
また、上記〔2〕の発明によれば、食用油脂および乳化剤からなる油脂分を含有することにより、長期保存における乳化安定性を向上し、風味の劣化を抑制するという効果が認められる。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
[液体栄養組成物]
本発明の液体栄養組成物は、(A)乳蛋白質濃縮物および(B)重量平均分子量が19000以上のカゼイン分解物を含有する。
<(A)乳蛋白質濃縮物>
本発明に用いる乳蛋白質濃縮物は、牛乳から遠心分離等により脱脂された脱脂乳から、ろ過等により乳糖やミネラル等の低分子成分を除いて得られるものである。ろ過膜の孔径は、好ましくは0.05〜10μm(限外ろ過膜)であり、より好ましくは0.001〜0.01μm(精密ろ過膜)である。精密ろ過膜では、一部のホエイ蛋白質が取り除かれるため、カゼイン蛋白質の比率を高めることができる。ホエイ蛋白質の比率を低下すると、風味や耐熱性が向上するという効果を奏する。
乳蛋白質濃縮物に含まれる蛋白質は、カゼイン蛋白質とホエイ蛋白質からなり、その比率(カゼイン蛋白質:ホエイ蛋白質)は、85:15〜95:5であることが好ましい。
また、乳蛋白質濃縮物中に含まれる蛋白質の総含有量は、特に制限されないが、好ましくは50質量%であり、より好ましくは60質量%であり、特に好ましくは75質量%である。
乳蛋白質濃縮物としては、陽イオン交換等によりカルシウムの含有量を低減した乳蛋白質濃縮物を使用してもよい。乳蛋白質濃縮物中に含まれるカルシウムの含有量は、好ましくは3質量%以下であり、より好ましくは2.5質量%以下である。
液体栄養組成物における乳蛋白質濃縮物の含有量は、8〜12.5質量%である。8質量%未満の場合には、液体栄養組成物の蛋白質の含有量を高めることができない。一方、12.5質量%を超える場合には、カルシウムの含有量を低減することができない。
<(B)重量平均分子量が19000以上のカゼイン分解物>
本発明に用いる重量平均分子量が19000以上のカゼイン分解物の重量平均分子量は、好ましくは20000〜50000、より好ましくは30000〜40000である。
本発明に用いる重量平均分子量が19000以上のカゼイン分解物は、カゼイネートを酵素等により加水分解し、重量平均分子量を19000以上となるように調整したものである。カゼイン分解物の重量平均分子量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて以下の条件により測定する。
[HPLC条件]
カラム:Superdex Peptide 10/300GL(GE Health Care/Pharmacia)
移動相:0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸(TFA)含有 0.05Mリン酸バッファー(0.15M Nacl含)pH7.0
流速:0.3mL/分、分析時間:80分間、検出波長:214nm、カラム温度:25℃、インジェクション量:10μL
[スタンダード溶液]
Cytochorome C, from Horse Heart (Mw=12,384g/mol)1mg/5mL
Aprotinin, from Bovine Lung (Mw=6,512g/mol)1mg/2.5mL
(Gly)6(Mw=360g/mol)5mg/5mL
(Gly)3(Mw=189g/mol)5mg/5mL
Glycine(Mw=75g/mol)10mg/5mL
それぞれ各濃度になるように別々に溶解し、0.45μmフィルターでろ過後、スタンダード溶液とした。
[検体溶液の調製]
各検体50mg/mLとなるように移動相で溶解後、10倍希釈し、0.45μmフィルターでろ過後、検体溶液とした(0.5%)。
[重量平均分子量(Mw)の算出方法]
Mw=Σ(Wi・Mi)/W=Σ(Hi・Mi)/Σ(Hi)
W:高分子の総重量
Wi:i番目の高分子の重量
Mi:i番目の溶出時間における分子量
Hi:i番目の溶出時間における高さ
カゼイン分解物の製造方法は、カゼイン蛋白質(カゼイネート)を酵素等により加水分解することにより得ることができる。
なお、カゼイネートの製造方法は、脱脂乳を酸または酵素等で沈殿させた沈殿分画のカゼイン蛋白質を1価または2価の金属塩で中和して得られる。中和に用いられる1価の金属塩としては、ナトリウム塩(水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等)、カリウム塩(水酸化カリウム、炭酸カリウム等)等が挙げられる。中和に用いられる2価の金属塩としては、マグネシウム塩(水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等)、カルシウム塩(水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等)等が挙げられる。カゼイネートは、中和に用いた塩により、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、カゼインマグネシウム、カゼインカルシウムとも呼ばれる。カゼイネートは、酸変性によりミセル構造が破壊され、カルシウムをほとんど含まない。
重量平均分子量が19000以上のカゼイン分解物の含有量は、2〜5質量%である。2質量%未満の場合には、液体栄養組成物の蛋白質の含有量を高めることができない。一方、5質量%を超える場合には、風味が低下する。また、長期保存において風味の劣化、外観の低下、及び、5℃における粘度の高粘度化が生じる。
また、B成分に対するA成分の質量比(A/B)は、特に制限されないが、好ましくは1.9〜6.3である。1.9以上の場合には、B成分の含有量に対するA成分の比率が高まるため、液体栄養組成物における蛋白質含有量を高めつつ、風味を向上することができる。更に、長期保存において風味の劣化、外観の低下、及び、5℃における粘度の高粘度化が生じにくいという効果を奏する。一方、6.3以下の場合には、A成分の含有量に対するB成分の比率が高まるため、液体栄養組成物における蛋白質含有量を高めつつ、カルシウム含有量を低減することができる。
液体栄養組成物における蛋白質含有量は、特に制限されないが、好ましくは、8.0〜13.5g/100mLである。8.0g/100mL以上の場合には、蛋白質の摂取量を十分に高めることができる。一方、13.5g/100mL以下の場合には、風味が向上するという効果を奏する。
液体栄養組成物におけるカルシウム含有量は、特に制限されないが、好ましくは280mg/100mL以下であり、より好ましくは250mg/100mL以下である。カルシウム含有量を低下することにより、蛋白質の摂取を目的とする液体栄養組成物の飲用において、カルシウムの摂取を低減することができる。
<(C)油脂分>
本発明の液体栄養組成物は、(C)食用油脂および乳化剤からなる油脂分を含有することが好ましい。油脂分の添加により、食用油脂が乳蛋白質濃縮物およびカゼイン分解物の疎水性領域を覆うため、乳化安定性に優れた効果が認められる。また、風味の劣化を抑制するという効果も認められる。
本発明の液体栄養組成物に含まれる油脂分の含有量は、特に制限されないが、好ましくは0.1〜1質量%である。0.1質量%以上の場合には、長期保存における乳化安定性を向上し、風味の劣化を抑制するという油脂分の効果を得ることができる。一方、1質量%以下の場合には、高粘度化、長期保存における乳化安定性の低下や風味の劣化を抑制するという効果を奏する。
食用油脂は、食用可能な油脂であれば特に制限はなく、例えば大豆油、菜種油、サフラワー油、ヒマワリ油、米糠油、コーン油、椰子油、パーム油、パーム核油、落花生油、オリーブ油、ハイオレイック菜種油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイックコーン油又はハイオレイックヒマワリ油等の植物油脂;牛脂、ラード、魚油又は乳脂等の動物油脂;更にこれらの動植物油脂を分別、水素添加あるいはエステル交換したもの又は中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)等が挙げられる。上記の油脂分の効果をより発揮するという観点から、好ましくは大豆油又は菜種油等の常温(25℃)で液状の植物油脂である。
本発明の液体栄養組成物における食用油脂の含有量は、特に制限されないが、好ましくは0.01〜0.99質量%であり、より好ましくは0.1〜0.9質量%であり、特に好ましくは0.3〜0.8質量%である。
乳化剤は、食用油脂に溶解する乳化剤であればよい。乳化剤は、乳蛋白質濃縮物およびカゼイン分解物の疎水性領域を覆う食用油脂を水層に乳化する作用を有する。例えば、有機酸モノグリセリド、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン等が挙げられる。乳化剤のHLBは、特に制限されないが、好ましくは1〜12であり、より好ましくは3〜10であり、特に好ましくは5〜9である。
本発明の液体栄養組成物における乳化剤の含有量は、特に制限されないが、好ましくは0.01〜0.99質量%であり、より好ましくは0.05〜0.5質量%であり、特に好ましくは0.08〜0.3質量%である。
<その他の成分>
本発明の液体栄養組成物は、上記(A)成分〜(C)成分の他、通常食品に使用される原料を含有することができる。例えば、ショ糖、ブドウ糖、果糖等の糖類;澱粉、デキストリン等の炭水化物;セルロース等の食物繊維;アスパルテーム、ステビア等の甘味料;クエン酸、乳酸、リンゴ酸等の酸味料;アスコルビン酸、トコフェロール等の抗酸化剤;クエン酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等のpH調整剤;塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、ドロマイト等の無機物;グルタミン酸等の調味料;ビタミンB2、ビタミンD等のビタミン類;生薬;香料;消泡剤等が挙げられる。
[液体栄養組成物の製造方法]
本発明の液体栄養組成物の製造方法は特に限定されないが、公知の方法を用いて製造される。例えば、調合工程、均質化工程、充填工程を行うことにより製造することができる。また、必要に応じて殺菌工程を行ってもよい。
調合工程は、水にそれぞれの原材料を溶解する工程であり、タンクの上部から原材料を投入しプロペラ攪拌により溶解させるか、溶けにくい原材料の場合は高速攪拌機もしくはパウブレンダーのような溶解ポンプで溶解させる。このときの水温は、25℃〜80℃が好ましく、より好ましくは30℃〜70℃、最も好ましくは40〜60℃である。水温を高めることにより原材料を効率的に溶解することができる。更には、次の均質化工程において乳化粒子を効率的に微細化することができる。また水温が高すぎると原材料は効率的に溶解できるものの、たんぱく質の劣化やビタミン等の熱分解しやすい成分に劣化が起こり、品質において好ましくない影響がでる。
均質化工程は、乳化粒子の微細化を行うために、高速ホモミキサー、マントンゴーリン式ホモジナイザー(低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー)、等が用いられる。均質化能力、処理流量、製造コスト等を考慮すると、高圧ホモジナイザーが好ましく用いられる。均質化圧力は10MPa〜150MPaが好ましく、より好ましくは30MPa〜100MPaであり、最も好ましくは40MPa〜80MPaである。均質化圧力を上げるよりも均質化の処理回数を増やす方が、本発明の栄養組成物には有効である。均質化の処理回数は、2回以上が好ましく、より好ましくは3回以上であり、最も好ましくは4回以上である。
殺菌工程は、ボイル殺菌、レトルト殺菌、UHT殺菌等の加熱殺菌が用いられるが、風味や栄養成分の劣化を考慮するとUHT殺菌が好ましい。UHT殺菌には直接方式と間接方式があり、間接方式にはプレート式とチューブラー式がある。UHT殺菌の条件は140℃〜160℃、1〜60秒の処理をすることが好ましい。
充填工程は、ボイル殺菌やレトルト殺菌を行う場合には殺菌工程の前に密封容器に充填し、UHT殺菌を行う場合には殺菌工程の後に無菌的に密封容器に充填する。密封容器は、ボイル殺菌やレトルト殺菌を行う場合には、缶やアルミパウチやソフトバッグ容器等の軟包材が挙げられ、UHT殺菌を行う場合はテトラパック等が挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[液体栄養組成物の調製]
(1)液体栄養組成物の原材料
A成分:
乳蛋白質濃縮物:Sachsenmilch Milk & Whey Ingredients社製「GermanMicell MCC 8000」(蛋白質含有量:78質量%、Ca含有量:2.1質量%)
B成分:
カゼイン分解物(重量平均分子量:32300):日本新薬(株)製「ユニフィックスLH」(蛋白質含有量:89.5質量%、Ca含有量:0.1質量%)
カゼイン分解物(重量平均分子量:34100)… 森永乳業(株)製「森永ペプチド エマルアップ」(蛋白質含有量:92質量%、Ca含有量:0.1質量%)
他の蛋白原料:
カゼイン分解物(重量平均分子量:18600):森永乳業(株)製「森永ペプチド C800」(蛋白質含有量:90質量%、Ca含有量:0.1質量%)
カゼイン分解物(重量平均分子量:121):森永乳業(株)製「MCH−30」(蛋白質含有量:85質量%、Ca含有量:0.1質量%)
カゼイネート(重量平均分子量:53700):Arla FoodsIngredients製「MIPRODAN31」(蛋白質含有量:89.2質量%、Ca含有量:0.1質量%)
C成分:
植物油脂:日油(株)製「大豆脱色油」
乳化剤:太陽化学(株)製「サンソフトNo.681NU」(HLB:8.5)
その他の原料:
甘味料:三栄源エフ・エフ・アイ(株)製「サンスイートSU-200」
抗酸化剤(アスコルビン酸):BASFジャパン(株)製「L-アスコルビン酸(ビタミンC)」
pH調整剤(クエン酸カリウム):昭和化工(株)製「クエン酸三カリウム」
消泡剤:太陽化学(株)製「アワブレークG−109」
(2)液体栄養組成物の配合
上記原材料を用いた液体栄養組成物(実施例1〜11、比較例1〜8)の配合組成を表1〜表3に示した。
(3)液体栄養組成物の調製
a)調合工程:消泡剤を加えた50〜60℃の温水に、プロペラ撹拌機で攪拌しながらたんぱく質をゆっくりと加え溶解させた。その後、予め70℃〜80℃に加温しておいた油脂類を加えた。15分後、甘味料、抗酸化剤、pH調整剤、香料を加え、水にて所定の重量に調整した。
b)均質化工程:高圧ホモジナイザー(三和エンジニアリング(株)製「H20-H2」)を用いて均質化処理を行った(60MPa、処理回数2回)。
c)殺菌工程:溶液をUHT殺菌機((株)日阪製作所「RMS-2S-T/P」)にて143℃2秒間(間接チューブラー式)加熱殺菌した。
d)充填工程:殺菌後10〜30℃まで冷却した溶液を、クリーンベンチ内で滅菌済みPET容器(Corning社製「♯430304」)に充填した。
(4)液体栄養組成物の評価
次に、得られた液体栄養組成物について、製造直後、冷蔵保存6か月後、冷蔵保存12か月後における「風味」、「外観」、「粘度(20℃)」および「粘度(5℃)」を評価した。
「風味」について、本発明の液体栄養組成物は一般的な嗜好性飲料と同様に冷蔵状態(5℃〜10℃)での摂取が想定され、その際の風味は口当たりがあっさりで、かつ、蛋白質特有の腐敗臭や苦味がないことが求められる。「外観」について、本発明の液体栄養組成物は缶やテトラパック等の密閉容器に充填されるため、飲用開始から飲用終了まで官能的に一定である、すなわち乳化状態が安定に保たれていることが望ましい。そのため、外観は分離や凝集が無く均一な状態であることが求められる。「粘度(20℃)」および「粘度(5℃)」について、本発明の液体栄養組成物は常温(20℃〜30℃)または冷蔵(5℃〜10℃)での摂取が想定され、嗜好性飲料として、摂取時の粘度はなるべく低いことが望ましい。さらに、一般的に液体栄養組成物は温度低下に伴い粘度が増加することが知られているが、温度低下に伴う粘度の著しい増加は嗜好性飲料として望ましくない。そこで、嗜好性飲料として好ましい粘度は、20℃において50mPa・s未満、5℃において200mPa・s未満である。また保存性について、本発明の液体栄養組成物は冷蔵(5℃〜10℃)にて長期間保管されることが想定されるため、少なくとも6ヶ月間、好ましくは12ヶ月間の冷蔵(5℃〜10℃)保管中に著しい品質の変化がないことが求められる。
<風味>
風味の評価方法は、5名(年齢27〜40才の男性3名、女性2名)のパネラーにより試料の飲料を実施し、冷蔵状態(5℃〜10℃)での風味を以下の評価基準により評価した。その結果を表1〜表3の配合表の下部に記載する。
◎:口当たりがあっさりで、かつ、蛋白質特有の腐敗臭や苦味がなく良好と5名全員が評価した。
記号:評価基準
○:口当たりがあっさりで、かつ、蛋白質特有の腐敗臭や苦味がなく良好と3〜4名が評価した。
△:口当たりがあっさりで、かつ、蛋白質特有の腐敗臭や苦味がなく良好と1〜2名が評価した。
×:口当たりがあっさりで、かつ、蛋白質特有の腐敗臭や苦味がなく良好と評価した人がいなかった。
<外観>
外観の状態の評価は、以下を基準として目視により評価した。その結果を表1〜表3の配合表の下部に記載する。
記号:評価基準
◎:分離や凝集が無く均一な状態である。
○:分離または凝集があるが、その程度はわずかであり飲用可能である。
△:明らかな分離または凝集があるが、容器を振れば均一になり飲用可能である。
×:明らかな分離または凝集があり、容器を振っても不均一で飲用に適さない。
<粘度>
粘度の評価は、ブルックフィールドエンジニアリングラボラトリーズ社製B型粘度計を使用し、ローター:1番ローター、容器:BLアダプター、容量:50mL、回転数:30、測定温度20℃および5℃、の条件で測定した。その結果を表1〜表3の配合表の下部に記載する。
また、原材料の蛋白質含有量及びカルシウム含有量を測定し、配合量から液体栄養組成物における蛋白質含有量及びカルシウム含有量を算出した。蛋白質含有量及びカルシウム含有量の測定方法は以下のとおりである。
<蛋白質含有量>
本発明の蛋白質含有量の測定は、ケルダール法を用いて窒素量を測定し、窒素−蛋白質換算係数を6.38として算出して行った。
<カルシウム含有量>
本発明のカルシウム含有量の測定は、原子吸光光度法もしくは誘導結合プラズマ発光分析法により算出して行った。
また、液体栄養組成物のpHを以下の方法で測定した。
<pH>
本発明のpHの測定は20〜30℃に調温し、(株)堀場製作所製pHメーター「M−13」により測定した。
Figure 0006753255

表1の実施例1〜3を見ると、(A)乳蛋白質濃縮物を含有する液体栄養組成物に、カルシウムをほとんど含有しないカゼイン分解物を含有することにより、高濃度で蛋白質を含有しつつ、カルシウムの含有量を低減することができる。また、カゼイン分解物の重量平均分子量が19000以上のカゼイン分解物を含有することにより、カゼイネート由来の蛋白質を含有するにもかかわらず高粘度化せず、風味の低下も認められない。一方、重量平均分子量が19000未満のカゼイン分解物を含有する比較例1、2では、風味が低下し、更に、重量平均分子量を121まで分解したカゼイン分解物を含有する比較例2では、殺菌処理により凝集物が発生した。カゼイネートを含有する比較例3では、風味の低下および高粘度化が生じた。
また、油脂分を含有しない実施例3では、製造直後において、風味および外観は良好であったが、長期保存により分離が生じ、風味の劣化も認められた。すなわち、油脂分を含有することにより長期安定性を向上することがわかる。
Figure 0006753255

表2では、(A)乳蛋白質濃縮物の含有量を変えて評価した。その結果、乳蛋白質濃縮物の含有量が8〜12.5質量%の場合に、良好な結果が得られた。一方、乳蛋白質濃縮物の含有量が7質量%である比較例4では、蛋白質含有量が低下した。また、乳蛋白質濃縮物が14質量%である比較例6では、カルシウム含有量が高くなるだけでなく、製造直後において、分離が生じ、風味の低下が認められ、更に、高粘度化も生じた。
油脂分を2質量%含有する比較例5では、製造直後の風味や外観は良好であったが、5℃における粘度が上昇する傾向が認められた。また、長期保存において、分離が生じ、風味の劣化が認められ、更に、高粘度化も生じた。
Figure 0006753255

表3では、(B)重量平均分子量が19000以上であるカゼイン分解物の含有量を変えて評価した。その結果、B成分の含有量が2〜5質量%の場合に、良好な結果が得られた。一方、B成分の含有量が1質量%である比較例7では、蛋白質含有量が低下した。また、B成分が6質量%である比較例8では、風味の低下が認められた。更に、長期保存において、風味の更なる劣化、外観の低下、及び、5℃における粘度の高粘度化が生じた。
本発明の液体栄養組成物は、医療用の流動食や、アスリート向けの高蛋白質飲料として利用することができる。
本発明の液体栄養組成物は、水に分散して本発明の液体栄養組成物を形成することができる粉末状組成物としても利用してもよい。

Claims (2)

  1. (A)乳蛋白質濃縮物および(B)重量平均分子量が19000以上のカゼイン分解物を含有し、
    前記(A)の含有量が、8〜12.5質量%、
    前記(B)の含有量が、2〜5質量%である、液体栄養組成物。
  2. 更に、(C)食用油脂および乳化剤からなる油脂分を含有し、
    前記(C)の含有量が、0.1〜1質量%である、請求項1に記載の液体栄養組成物。
JP2016194378A 2016-09-30 2016-09-30 液体栄養組成物 Active JP6753255B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016194378A JP6753255B2 (ja) 2016-09-30 2016-09-30 液体栄養組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016194378A JP6753255B2 (ja) 2016-09-30 2016-09-30 液体栄養組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018050600A JP2018050600A (ja) 2018-04-05
JP6753255B2 true JP6753255B2 (ja) 2020-09-09

Family

ID=61832665

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016194378A Active JP6753255B2 (ja) 2016-09-30 2016-09-30 液体栄養組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6753255B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7332074B2 (ja) * 2021-03-31 2023-08-23 不二製油株式会社 植物性蛋白質含有液状食品及びその製造方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000210030A (ja) * 1999-01-25 2000-08-02 Morinaga Milk Ind Co Ltd 起泡性カゼイン加水分解物及びその製造方法
JP3640645B2 (ja) * 2001-03-29 2005-04-20 森永乳業株式会社 焼成食品用起泡剤、それを用いた焼成食品、焼成食品の製造方法及び焼成食品用プレミックス
JP4063022B2 (ja) * 2002-09-11 2008-03-19 日油株式会社 液状飲食品用組成物および飲食品
JP2005343822A (ja) * 2004-06-02 2005-12-15 Jellice Co Ltd 限定分解カゼインおよび分解乳製品の製造法
NZ549470A (en) * 2006-08-28 2009-01-31 Fonterra Co Operative Group Dairy product and process
EP4011212A1 (en) * 2010-07-16 2022-06-15 Fonterra Co-Operative Group Limited Dairy product and process

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018050600A (ja) 2018-04-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2651249B1 (en) Method for making whey protein composition with a reduced astringency
KR100950143B1 (ko) 겔상 음료 조성물
TWI360395B (en) Acid prothin food with mineral
JP5283743B2 (ja) 飲料組成物
JP5779348B2 (ja) 酸性液状栄養組成物
WO2016174651A2 (en) Liquid nutritional composition comprising micellar casein and hydrolysed whey protein
JP5261114B2 (ja) 酸性タイプ液状経腸栄養剤
JP7165583B2 (ja) コラーゲンを含む高カロリー、高タンパク質の栄養配合物
JP2007126379A (ja) 酸性液状経腸栄養剤の製造方法
JP6728071B2 (ja) 筋肉合成促進剤
JP5384333B2 (ja) ホエイタンパク質を高濃度で含む液状栄養組成物およびその製造方法
JP4620819B2 (ja) 高カロリー高蛋白質流動食
JP4063022B2 (ja) 液状飲食品用組成物および飲食品
CN108497250A (zh) 一种mct强化的乳清蛋白运动饮料及生产工艺
JP4680827B2 (ja) 乳たんぱく含有ゲル状栄養組成物
EP2938211B1 (en) Method for the preparation of a liquid enteral nutritional composition comprising micellar casein
JP5789981B2 (ja) 液状栄養組成物
JP2021090412A (ja) 不快味マスキング剤、酸性タンパク質飲料、不快味マスキング方法、及び酸性タンパク質飲料の製造方法
JP6753255B2 (ja) 液体栄養組成物
JP7286964B2 (ja) β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸、タンパク質、及び液状油脂を含有する液状栄養組成物
JP6012327B2 (ja) 乳化状栄養組成物
JP5189817B2 (ja) 乳清たんぱく栄養組成物
JP2022057707A (ja) ホエイ蛋白質含有酸性飲料及びその製造方法
CN106615236B (zh) 一种奶精及其制造工艺
WO2017146141A1 (ja) 水分補給用剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190826

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20200330

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200630

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200721

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200803

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6753255

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250