JP6752658B2 - 異形シリカ粉末、その製造方法、それを含有する樹脂組成物 - Google Patents

異形シリカ粉末、その製造方法、それを含有する樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、異形シリカ粉末、その製造方法、それを含有する樹脂組成物に関する。
近年、半導体デバイスの小型化、薄型化、高密度実装化が急速に進展しており、半導体実装の狭ギャップ化が進んでいる。上記狭ギャップ化に伴い、一般に、高密度半導体実装用封止剤の充填剤として、BET比表面積2〜30m/g、一次粒子径換算で粒子径0.1〜1.5μm程度の球状シリカ粉末が用いられる。
充填剤として球状のシリカを使用する場合、その表面の平滑さから成形後の樹脂における応力が低くなることが知られている。封止材における熱伝導性及び寸法安定性の向上のためにシリカを高充填率で配合することは当然であるが、上記応力低下に対し、曲げ強度、接着強度、耐はんだリフロー性を向上するという観点からも、シリカの高充填化が課題であった。
しかしながら、BET比表面積が上記範囲にあるシリカ粉末は、樹脂に高充填した際に樹脂組成物の粘度上昇を抑制することが難しく、樹脂組成物の流動性が低下するという問題があった。即ち、流動性の低い樹脂組成物を狭ギャップ半導体実装用途に用いると成形不良が発生するため、シリカの高充填化には限界があった。
ところで、充填剤として、球状シリカに破砕シリカを一定割合で配合すると、破壊靱性、曲げ強度、耐はんだリフロー性等の向上に効果があることが知られている。しかしながら、破砕シリカを混合すると、充填率や流動性の低下といった問題があることに加え、破砕シリカが有する破砕面の形状が角張っているために、半導体素子表面やワイヤに損傷を与え易いうえ、金型摩耗を引き起こすという問題があった。文献1には、丸み度が特定された破砕シリカ粉末を充填することにより上記問題が改善された樹脂組成物が記載されている。
特開2001−146413号公報
しかしながら、シリカの高充填化が課題となる高密度半導体実装用封止材において、丸み度が特定されているものの破砕面を有しており、更なる改善の余地があることを本願発明者らは見出した。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、樹脂への充填率を維持し、且つ樹脂組成物の曲げ強度、接着強度、及び耐はんだリフロー性に優れる封止材充填用のシリカを提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明者らは、特定の物性を有するシリカ粉末を封止材用充填剤とした場合、高充填率、及び高流動性を維持するだけでなく、樹脂組成物の曲げ強度、接着強度、及び耐はんだリフロー性に効果があることを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち本発明は、以下の構成からなるものである。
〔1〕遠心沈降法により測定された重量基準粒度分布のメジアン径が50〜1000nmの範囲にあり、画像解析法により得られた面積(S)と画像解析法により得られた包絡面積(S)との比(S/S)が、0.60〜0.95の範囲にあり、遠心沈降法により得られる重量基準粒度分布の極大(ピーク)が一つであり、かつ幾何標準偏差σgが1.5以下であり、120℃での乾燥減量法によって測定される飽和水分量が1.5質量%以下であることを特徴とする異形シリカ粉末。
〔2〕画像解析法により得られる粒子の平均円形度が0.40〜0.85の範囲にあることを特徴とする〔1〕に記載の異形シリカ粉末。
〔3〕画像解析法により得られる円形度が0.95以上である粒子の含有量が5個数%以下であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の異形シリカ粉末。
〔4〕ナトリウム、カリウム及び鉄の含有量が、それぞれ1ppm未満であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の異形シリカ粉末。
〔5〕疎水性を有する〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の異形シリカ粉末。
〔6〕〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載の異形シリカ粉末を含有する樹脂組成物。
〔7〕ヒュームドシリカ分散液に、アルコキシシランもしくはその加水分解物及び/又はその部分縮合物を添加し重縮合反応させて異形シリカ粒子が懸濁する反応液を得、得られた反応液から異形シリカ粒子を回収する工程と、回収した異形シリカ粒子を焼成する工程と、焼成工程より得られた異形シリカ粒子を解砕する工程とを含むことを特徴とする異形シリカ粉末の製造方法。
〔8〕さらに、得られた異形シリカ粒子の表面を疎水化処理する工程を含むことを特徴とする〔7〕に記載の異形シリカ粉末の製造方法。
〔9〕コア部と、当該コア部を被覆するシェル部と、から構成されるコアシェル型の異形シリカ粉末であって、上記コア部がヒュームドシリカからなり、上記シェル部がゾルゲル法により得られたシリカ層であり、120℃での乾燥減量法によって測定される飽和水分量が1.5質量%以下であることを特徴とする異形シリカ粉末。
〔10〕シェル部の表面が表面処理されていることを特徴とする請求項9記載の異形シリカ粉末。
本発明によれば、半導体封止材の充填剤とした場合に、半導体素子表面やワイヤへの損傷や金型摩耗を引き起こすことなく、また成型後の樹脂において曲げ強度、接着強度、及び耐はんだリフロー性に優れるため、各種の電気・電子部品の用途に好適に使用される。
本発明の一実施形態に係る異形シリカ粉末を示す図である。 重量基準粒度分布を表すグラフの一例を示す図である。 画像解析法により得られた面積(S)及び画像解析法により得られた包絡面積(S)の取得方法を示す概略図である。 本発明の一実施形態に係る異形シリカ粉末の製造方法と従来の球状シリカ粉末の製造方法とを比較した概略図である。 本発明の一実施形態に係る異形シリカ粉末の製造方法と従来の異形シリカ粉末の製造方法とを比較した概略図である。 図1、本願の各実施例において実施した、アクリル系樹脂に金属酸化物粒子を添加した樹脂組成物において、樹脂硬化後の接着強度を測定する方法を説明する図である。
本発明の実施の形態について、以下に詳細に説明する。なお、説明の便宜上、同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意味する。
〔1.異形シリカ粉末〕
まず、本異形シリカ粉末の概要について以下に説明する。なお、本明細書において、「シリカ粉末」とは、粒度分布を有するシリカ粒子の集合体を意図しており、「シリカ粒子」を含むものである。なお、本明細書中、乾燥後の状態及び粒度分布に関して述べるために「シリカ粉末」との表現を用い、液中に分散した状態又は個数に関して述べるために「シリカ粒子」との表現を用いる場合もある。
図1は、本発明の一実施形態に係る異形シリカ粉末を示す図である。図1は走査型電子顕微鏡(SEM)によって取得した画像を示している。本異形シリカ粉末は、後述するように、数珠状粒子を核とし、これを粒成長して得られるものである。換言すれば、本異形シリカ粉末は、球状の一次粒子が融着した二次粒子を核とし、これを粒成長して得られるものであるともいえる。それゆえ、本異形シリカ粉末は、図1に示すように異形のシリカ粉末となり、球状のシリカ粒子を実質的に含まず、さらに、破砕面等の角張った形状を実質的に有さないシリカ粒子である。
本明細書において、「異形」とは球形ではないこと(非球形)を意味する。本異形シリカ粉末は、後述の実施形態に記載の構成を備えるがゆえに、半導体封止材の充填剤として使用した場合に、高充填率を維持できるため、熱伝導性、寸法安定性、耐はんだリフロー性に優れ、且つ半導体素子表面やワイヤへの損傷や金型摩耗を引き起こすことなく、曲げ強度、接着強度に優れる。
以下、本異形シリカ粉末の各構成につき、具体的に詳説する。
[実施形態1]
本異形シリカ粉末は、遠心沈降法により測定された重量基準粒度分布のメジアン径が50〜1000nmの範囲にあり、画像解析法により得られた面積(S)と画像解析法により得られた包絡面積(S)との比(S/S)が、0.60〜0.95の範囲にあり、遠心沈降法により得られる重量基準粒度分布の極大(ピーク)が一つであり、かつ幾何標準偏差σgが1.5以下であり、120℃での乾燥減量法によって測定される飽和水分量が1.5質量%以下である。上記S/Sは、本異形シリカ粉末の表面の凹凸の程度を示している。本異形シリカ粉末の物性について、以下に詳細に説明する。
<1−1.重量基準粒度分布のメジアン径>
本異形シリカ粉末は、遠心沈降法により測定された重量基準粒度分布のメジアン径が50〜1000nmの範囲にある。上記メジアン径は、120nm以上であることが好ましく、250nm以上であることがより好ましく、300nm以上であることがさらに好ましい。また、上記メジアン径は、500nm以下であることが好ましい。
上記の数値範囲内であれば、半導体封止材の充填剤として好適に使用できる。
本明細書において、遠心沈降法による重量基準粒度分布のメジアン径は、異形シリカ粉末を1.5質量%濃度で出力20W、分散時間45分の条件で分散媒に分散させて得られる分散粒子の重量基準粒度分布のメジアン径を意味する。上記分散媒として、親水性の異形シリカの場合には水を、疎水性の異形シリカの場合には、2−プロパノールを使用する。
遠心沈降法において使用される粒度分布測定機の例としては、CPS製ディスク遠心沈降式粒度分布測定装置DC−24000が挙げられる。
<1−2.凹凸度>
本異形シリカ粉末は、画像解析法により得られた面積(S)と画像解析法により得られた包絡面積(S)との比(S/S)が、0.60〜0.95の範囲にある。なお、本明細書において、画像解析法により得られた面積(S)と画像解析法により得られた包絡面積(S)との比(S/S)を、凹凸度とも称する。凹凸度が1に近いほど、凹凸の程度が小さいこと(即ち、凹凸がない状態に近いこと)を表す。
上記凹凸度が0.95以下であれば、異形シリカ粉末が十分な凹凸を有しているため、半導体封止材として使用した場合の、成型後の樹脂において曲げ強度、及び接着強度が向上する。凹凸度は、値が小さいほど粒子の凹凸が増すため機械的強度及び接着強度に寄与するが、小さすぎると樹脂組成物の流動性が低下する傾向がある。通常は0.60以上である。
上記凹凸度は、0.93以下であることが好ましく、0.90以下であることがより好ましく、0.90未満であることがさらに好ましい。また、上記凹凸度は、0.60以上であることが好ましく、0.70以上であることがより好ましい。
また、本異形シリカ粉末は、凹凸度が0.97以上である粒子の含有量が、10個数%以下であることが好ましく、7個数%以下であることがより好ましく、6個数%以下であることがさらに好ましい。凹凸度が0.97以上である粒子の含有量が、10個数%以下であれば、凹凸がない粒子の含有量が極めて少ないため、好ましい。
本明細書において、画像解析法により得られた凹凸度は、500個以上のシリカ粒子について、画像を撮影し、その画像を解析して、個々の粒子の面積(S)と個々の粒子の凸部を結んだ包絡線で囲まれた包絡面積(S)とを求め、当該各粒子の面積と包絡面積との比(S/S)を算出し、平均したものである。
具体的には、面積(S)及び包絡面積(S)は、FE−SEMを用いて、シリカ粒子の明視野−走査透過像(BF−STEM)を撮影し、撮影した写真を画像解析ソフト「A像くん」(旭化成エンジニアリング(株)製)に取り込み、粒子解析をすることにより、求めることができる。
図3は、画像解析法により得られた面積(S)及び画像解析法により得られた包絡面積(S)の取得方法を示す概略図である。図3において、画像解析法により得られる粒子16の面積がSであり、粒子16の凸部を結んだ包絡線17で囲まれた中の面積がSである。
なお、本明細書において、画像解析法により得られる凹凸度が0.97以上である粒子の含有量は、凹凸度が0.97以上である粒子の個数割合を意味する。
<1−3.重量基準粒度分布の極大(ピーク)及び幾何標準偏差σg>
本異形シリカ粉末は、遠心沈降法により得られる重量基準粒度分布の極大(ピーク)が一つであり、かつ幾何標準偏差σgが1.50以下である。幾何標準偏差σgは、粒度分布の幅を表す。幾何標準偏差σgの値が1に近いほど、粒度分布の幅が狭く、極大がシャープであることを意味する。
図2は、重量基準粒度分布を表すグラフの一例を示す図である。本異形シリカ粉末は、図2に例示するように、重量基準粒度分布の極大(ピーク)が一つである。一方、従来の異形シリカ粉末は、一般的に球状の微小なシリカ粒子を凝集させた後、粒成長して得られるため、凝集しなかったシリカ粒子に由来する、大粒径の球状シリカ粒子が一定量含まれることになる。つまり、球状のシリカ粒子と非球状のシリカ粒子とを含有するため、粒度分布がブロードとなる。このため、従来のシリカ粉末の重量基準粒度分布は図2に比べて広範になる(即ち、幾何標準偏差σgが大きくなる)、及び/又は重量基準粒度分布の極大(ピーク)が複数になる。従って、この重量基準粒度分布を指標とすることにより、本異形シリカ粉末が、従来の異形シリカ粉末とは異なるものであることがわかる。
また、幾何標準偏差σgは、1.45以下であることがより好ましく、1.42以下であることがさらに好ましく、1.40以下であることがさらに好ましく、1.38以下であることが特に好ましい。かかる範囲内であれば、狭ギャップ化において成形不良発生の原因となる粗大粒子や粘度上昇の原因となる微細な粒子を含まないため、高密度半導体実装用封止剤の充填剤として好適に使用できる。
本明細書において、遠心沈降法による重量基準粒度分布の極大は、上述の重量基準粒度分布のメジアン径と同様に、異形シリカ粉末を1.5質量%濃度で出力20W、分散時間45分の条件で分散媒に分散させて得られる分散粒子の重量基準粒度分布の極大を意味する。上記分散媒として、親水性の異形シリカの場合には水を、疎水性の異形シリカの場合には、2−プロパノールを使用する。また、本明細書において、粒度分布の幾何標準偏差σgは、上述のように得られた重量基準粒度分布を累積頻度10質量%〜90質量%の範囲で対数平均分布フィッティング(最小2乗法)し、そのフィッティングから算出した値を意味する。
<1−4.飽和水分量>
本異形シリカ粉末は、120℃での乾燥減量法によって測定される飽和水分量が1.5質量%以下である。飽和水分量が少ないほど、封止材の充填剤として用いた際の樹脂組成物において長期保存安定性に優れる。飽和水分量が多いシリカを充填した樹脂組成物を長期保存した場合、成型後の樹脂や基板の割れ等が発生し歩留まりが低下することがある。
それゆえ上記飽和水分量は、少ないほど好ましく、1.0質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましいが、通常、0.1質量%以上である。
本明細書において、飽和水分量方法で得られた値を意味する。シリカ粒子10gを120℃、24時間乾燥させた後、シリカゲルの入ったデシケーター内で冷却した。続いて、デシケーター内で冷却した粒子を、25℃、50%RHの環境下に48時間静置して、粒子の質量(Dwet)を秤量した。秤量後の粒子を再び120℃で24時間乾燥し、粒子の質量(Ddry)を秤量した。調湿前後の質量変化から、下記数式(2)により算出された値を飽和水分量とした。
飽和水分量=((Dwet−Ddry)/Ddry(2)
<1−5.円形度及び平均円形度>
本異形シリカ粉末は、画像解析法により得られる粒子の平均円形度が0.40〜0.85の範囲にあることが好ましい。なお、本明細書において、「円形度」とは各粒子について算出したものであり、「平均円形度」とは粉末(粒子の集合体)に関して円形度の平均を算出した値を意図する。円形度が1に近いほど、球形に近いことを表す。即ち、円形度から、本異形シリカ粉末の異形度(即ち、球状でない度合い)がわかる。
また、平均円形度が1に近いほど、粉末に含まれる球形に近い粒子の割合が多いことを示す。
上記平均円形度は、0.80以下であることがより好ましく、0.75以下であることがさらに好ましい。また、上記平均円形度は、0.50以上であることがより好ましく、0.55以上であることがさらに好ましい。
本異形シリカ粉末は、画像解析法により得られる円形度が0.95以上である粒子の含有量が5個数%以下であることが好ましく、3個数%以下であることがより好ましく、1個数%以下であることがさらに好ましい。上記円形度が0.95以上である粒子の含有量が5個数%以下であれば、球状に近い粒子の含有量が少ないため、好ましい。
本明細書において、画像解析法により得られる粒子の平均円形度は、500個以上のシリカ粒子について、画像を撮影し、その画像を解析して、個々の粒子の面積(S)と個々のシリカ粒子の周囲長とを求め、各粒子の円形度を下記式(1)より円形度を算出し、平均したものである。
円形度=4π×面積/(周囲長) (1)
具体的には、円形度は、上記凹凸度と同様に、個々のシリカ粒子についてFE−SEMを用いて、明視野−走査透過像(BF−STEM)を撮影し、撮影した写真を画像解析ソフト「A像くん」(旭化成エンジニアリング(株)製)に取り込み、粒子解析をすることにより、円形度2として求めることができる。
なお、本明細書において、画像解析法により得られる円形度が0.95以上である粒子の含有量は、円形度が0.95以上である粒子の個数割合を意味する。
<1−6.アスペクト比>
本異形シリカ粉末は、画像解析法により得られたアスペクト比が4.0以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましく、2.0以下であることがさらに好ましい。また、上記アスペクト比は、1.2を超えることが好ましい。
アスペクト比が4.0以下であれば、合成時に粘度が上昇せず、取り扱いやすいため、好ましい。また、本異形粒子を充填した樹脂組成においても、粘度が上昇せず、流動性が保たれる。1.2を超えていれば、成型後の樹脂における曲げ強度、接着強度に寄与する。
本明細書において、画像解析法により得られたアスペクト比は、500個以上のシリカ粒子について、画像を撮影し、その画像を解析して、個々の粒子の任意の2点間のうち最大の長さである最大長と、該最大長と垂直な方向の幅である最小幅とを求め、最大長と最小幅の比(最大長/最小幅)として算出し、平均したものである。
具体的には、最大長と最小幅との比は、個々のシリカ粒子についてFE−SEMを用いて、明視野−走査透過像(BF−STEM)を撮影し、撮影した写真を画像解析ソフト「A像くん」(旭化成エンジニアリング(株)製)に取り込み、粒子解析をすることにより、最大/最小として求めることができる。
<1−7.金属不純物の含有量>
本異形シリカ粉末は、金属不純物の含有量が少ないことが好ましい。金属不純物の含有量が少なければ、封止材として半導体装置に実装した際に金属配線の短絡等の不具合の発生を抑制できる。
具体的には、本異形シリカ粉末は、ナトリウム、カリウム及び鉄の含有量が、それぞれ1ppm未満であることが好ましい。
また、従来の異形シリカでは、球状の一次粒子を凝集させて異形の二次粒子を得るため、金属塩等を凝集剤として使用する場合がある。この場合、金属不純物の量が比較的大きくなる。一方、本異形シリカ粉末は、後述のとおり、異形のシリカを核とした粒成長によって得られるものであるため、凝集剤は不要である。従って、本異形シリカ粉末は、上述のように金属不純物の含有量が極めて少ない。
本明細書において、ナトリウム及びカリウムの含有量はイオンクロマトグラフィーシステムを使用して測定した値を意味する。また、鉄の含有量は、ICP発光分析装置を使用して測定した値を意味する。
<1−8.疎水化度(M値)>
本異形シリカ粉末は後述する疎水化処理により、疎水性を有することもできる。「疎水性」の程度について、疎水化度を用いて表すこともできる。なお、本明細書において、疎水化度をM値と称する場合もある。
疎水化度は、30体積%以上であることが好ましく、35〜76体積%であることがより好ましい。疎水化度が当該範囲であれば、本疎水性異形シリカ粉末の表面が十分に疎水化されていることを意味する。本疎水性異形シリカ粉末を疎水的な樹脂に添加した場合、本疎水性異形シリカ粉末の表面が完全に濡れて、相分離といった不均一性を示すことなく樹脂に分散されることを保証する。
疎水化度が当該範囲であれば、本疎水性異形シリカ粉末の表面が十分に疎水化されていることを意味する。本発明の疎水性を有する異形シリカ粉末を疎水的な樹脂に添加した場合、本疎水性異形シリカ粉末の表面が完全に濡れて、相分離といった不均一性を示すことなく樹脂に分散されることを保証する。
本明細書において、疎水化度は、以下の方法で得られた値を意味する。容量200mLのビーカーに水50mLを秤取後、シリカ粉末試料0.2gを投入した。これをマグネティックスターラーで攪拌しながら、ビュレットにてメタノールを滴下し、投入したシリカ粉末の全量がビーカー内の溶媒に濡れて懸濁した点を終点とする滴定を実施した。この際、投入したシリカ粉末試料に直接メタノールが接触しない様に、チューブを用いて溶媒内へ導入した。そして、滴定終点におけるメタノール−水混合溶媒中のメタノールの体積%の値を疎水化度(M値)とした。
<1−9.真比重>
本異形シリカ粉末は、真比重が1.80〜2.17の範囲であることが好ましい。前述の疎水性を有する異形シリカ粉末においても同様である。真比重が当該範囲であることは、一般的な乾式シリカよりも比重が小さいことを示している。一般にゾルゲル法により得られるシリカは、乾式シリカよりも真比重が小さい。真比重は、乾式自動密度計により測定した値である。
[実施形態2]
また、他の態様において、本異形シリカ粉末は、コア部と、当該コア部を被覆するシェル部と、から構成されるコアシェル型の異形シリカ粉末であって、上記コア部がヒュームドシリカからなり、上記シェル部がゾルゲル法により得られたシリカ層であり、120℃での乾燥減量法によって測定される飽和水分量が1.5質量%以下であってもよい。本異形シリカ粉末は、異形であるヒュームドシリカをコア部とし、これを粒成長して得られた構成である。それゆえ、本異形シリカ粉末は異形であり、実質的に球状のシリカ粒子は含まない態様である。
ヒュームドシリカは乾式シリカの一種であり、一般に、一次粒子が数珠状に融着して形成された複雑な形状を有する。本発明において、コア部となるヒュームドシリカは特に限定されず、公知のものを使用することができる。
例えば、当該ヒュームドシリカにおけるBET比表面積は、70〜330m/gであることが好ましい。また、当該ヒュームドシリカにおける平均一次粒子径は、7〜22nmであることが好ましい。目的とする粒径に応じて適宜選択すればよい。
上記シェル部は、上述のようにゾルゲル法によって得られたシリカ層である。本明細書において「ゾルゲル法」とは、例えば、後述の〔2.異形シリカ粉末の製造方法〕の<2−1.シリカ粉末を製造する工程>に記載の方法を意味する。
上記飽和水分量は、<1−4.飽和水分量>で述べたとおりである。
本発明において、さらに上記シェル部の表面が表面処理されていても良い。上記表面処理は、例えば、後述の〔2.異形シリカ粉末の製造方法〕の<2−7.表面処理>に記載の方法により表面が処理された状態を挙げることができる。
また、本異形シリカ粉末には、実施形態1に示すように、遠心沈降法により測定された重量基準粒度分布のメジアン径が50〜1000nmの範囲にあり、画像解析法により得られた面積(S)と画像解析法により得られた包絡面積(S)との比(S/S)が、0.60〜0.95の範囲にあり、遠心沈降法により得られる重量基準粒度分布の極大(ピーク)が一つであり、かつ幾何標準偏差σgが1.5以下である異形シリカ粉末も含まれ得る。即ち、本異形シリカ粉末には、実施形態1に示す各物性を有する異形シリカ粉末も含まれ得る。
〔2.異形シリカ粉末の製造方法〕
本異形シリカ粉末の製造方法(以下、単に「本製造方法」とも称する。)は、ヒュームドシリカ分散液に、アルコキシシランもしくはその加水分解物及び/又はその部分縮合物を添加し重縮合反応させてシリカ粒子を製造する工程を含む。即ち、本製造方法は、異形であるヒュームドシリカを核として粒成長させる工程を含むものであればよい。本製造方法により得られるシリカ粉末は異形である。さらに、得られた異形シリカ粉末における球状のシリカ粒子の含有量は極めて少なくなる。
即ち、本製造方法によれば、上述の〔1.異形シリカ粉末〕にて説明した異形シリカ粉末を得ることができる。なお、〔1.異形シリカ粉末〕にて既に説明した事項について、以下では説明を省略し、適宜、上述の記載を援用する。
図4は、本発明の一実施形態に係る異形シリカ粉末の製造方法と従来の球状シリカ粉末の製造方法とを比較した概略図である。図4の(a)は、従来の球状シリカ粉末の製造方法を示している。図4の(b)は、本発明の一実施形態に係る異形シリカ粉末の製造方法を示している。
シリカ粉末は、例えば、Si(OCHから加水分解によってSiOHを得て、重縮合によってSiOを得る反応によって得られる。従来の球状シリカ粉末の製造方法では、まず、図4の(a)の(i)に示すように、塩基性触媒及び溶媒等を含む反応液18を仕込む。そして、図4の(a)の(ii)に示すように、塩基性触媒及びアルコキシシラン等を添加し、核生成反応によって核粒子19を生成する。その後、図4の(a)の(iii)に示すように、核成長反応により、粒子径が増大した球状シリカ粒子15を得る。一方、本製造方法の場合、図4の(b)の(i)に示すように、異形のヒュームドシリカを核粒子(出発物質)として用いる。本製造方法では、図4の(b)の(ii)に示すように、最初に、異形の核粒子20を反応液18とともに仕込む。その後、図4の(b)の(iii)に示すように、核成長反応により、粒子径が増大した異形シリカ粉末(異形シリカ粒子)1を得る。
図5は、本発明の一実施形態に係る異形シリカ粉末の製造方法と従来の異形シリカ粉末の製造方法とを比較した概略図である。図5の(a)は、従来の異形シリカ粉末の製造方法を示している。図5の(b)は、本発明の一実施形態に係る異形シリカ粉末の製造方法を示している。
従来の異形シリカ粉末の製造方法では、まず、図5の(a)の(i)に示すように、球状の核粒子を生成する。そして、図5の(a)の(ii)に示すように、当該球状の核粒子を凝集させる。その後、図5の(a)の(iii)に示すように、粒成長によって大粒径の異形シリカ粒子を得る。しかしながら、この場合、凝集しなかった球状の核粒子に由来する、大粒径の球状のシリカ粒子が一定量残存することになる。そのため、従来の異形シリカ粉末の製造方法では、上述のように粒度分布が広範になってしまう。上述の特許文献2及び3に記載の技術は、図5の(a)に示す製造方法に相当する。一方、本製造方法の場合、図5の(b)の(i)に示すように、異形のヒュームドシリカを核粒子として用いる。そして、図5の(b)の(ii)に示すように、この核粒子を粒成長させることによって粒子径が増大した異形のシリカ粒子を得る。そのため、本製造方法の場合、球状のシリカ粒子の含有量は極めて少なくなる。
<2−1.シリカ粒子を製造する工程>
本工程では、ヒュームドシリカ分散液に、アルコキシシランもしくはその加水分解物及び/又はその部分縮合物を添加し重縮合反応させてシリカ粒子を製造する。即ち、本工程では、ゾルゲル法によって、ヒュームドシリカを粒成長させて、異形シリカ粒子が懸濁する反応液を得る。本工程では、ヒュームドシリカを核粒子とするために、異形のシリカ粒子を得ることができる。また、球状のシリカ粒子を核粒子としないため、得られた異形シリカ粉末において、球状のシリカ粒子の含有量は極めて少ない。
上記ヒュームドシリカ分散液の分散性指数は、2.5以上であることが好ましく、2.6以上であることがより好ましく、2.7以上であることがさらに好ましく、2.8以上であることが特に好ましい。分散性指数が2.5以上であれば、ヒュームドシリカが分散液中に凝集することなく十分に分散しているため、好ましい。なお、本明細書において、分散性指数とは、後述の実施例に記載の方法によって測定された値を意味する。
(ヒュームドシリカ)
上記ヒュームドシリカ分散液に含有されるヒュームドシリカは、上述の〔1.異形シリカ粉末〕で説明したヒュームドシリカであれば特に限定されない。
(溶媒)
上記ヒュームドシリカ分散液における溶媒としては、極性溶媒が挙げられる。本明細書において、極性溶媒とは、水、又は常温及び常圧下で100g当たり10g以上の水を溶解する有機溶媒を意味する。溶媒として水以外の有機溶媒を複数種混合して使用してもよく、この場合には、当該有機溶媒の混合物が、上記の要件を満たせばよい。
上記有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール及びブタノール等のアルコール;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン等のエーテル;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン等のアミド化合物等を挙げることができる。
アルコールはゾルゲル法の反応時に副生するものであるから、上記のうちメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール又はブタノール等のアルコールを使用することが、反応後の分散液中への不必要な不純物の混入を抑制する点及び加熱によって容易に除去可能である点等から特に好ましい。
上記溶媒は、単独で用いることも、2種以上の溶媒の混合物として用いることも可能である。
溶媒の使用割合は、目的とするシリカ粒子の粒径及び濃度の所望値に応じて適宜決定すればよい。例えば、有機溶媒としてアルコールを使用する場合、ゾルゲル法の反応により得られるシリカ粒子の分散液の質量(100質量%)におけるアルコールの割合が好ましくは10〜90質量%、より好ましくは15〜80質量%の範囲となるように使用される。
水は、溶媒の一部又は全部として使用してもよく、水以外の反応原料等を全部準備した後に反応液に加えてもよい。しかしながら、ゾルゲル法の反応を速やか且つ安定的に進行させるためには、水を溶媒の一部として使用すること、即ち溶媒として水と有機溶媒との混合物を用いることが好ましい。ここでいう、溶媒としての水は、塩基性触媒添加等に伴って添加される場合も含む概念である。
水の使用割合は、製造するシリカ粒子の粒径に応じて適宜調整して選択される。水の使用割合が少なすぎると反応速度が遅くなり、逆に多すぎると乾燥(溶媒除去)の際に長時間を要するため、水の使用割合はこれらの両要件を勘案して選択される。水の使用割合としては、ゾルゲル法の反応により得られるシリカ粒子の分散液の全質量に対して、2〜50質量%の範囲とすることが好ましく、5〜40質量%の範囲とすることがより好ましい。
(塩基性触媒)
上記ヒュームドシリカ分散液には、塩基性触媒を添加してもよい。塩基性触媒を用いることによって、アルコキシシランの加水分解反応及び/又は縮合反応を促進させることができる。塩基性触媒としては、ゾルゲル法の反応による無機酸化物粒子の製造に用いられる公知の塩基性触媒であれば、これを好適に使用することができる。このような塩基性触媒としては、アミン化合物及び水酸化アルカリ金属等が挙げられる。特に、不純物量が少なく、高純度のシリカ粒子を得られるという観点から、アミン化合物を用いることが好適である。このようなアミン化合物としては、例えばアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン及びトリメチルアミン等が挙げられる。これらのうち、揮発性が高く除去しやすいこと及びゾルゲル法の反応速度が速いこと等から、アンモニアを使用することが特に好ましい。上記塩基性触媒は、単独で使用することも、2種類以上を使用することも可能である。
上記塩基性触媒は、工業的に入手可能なものを、そのまま(市販されている形態のまま)使用することも可能であるし、例えばアンモニア水等のように、水又は有機溶媒に希釈して使用することも可能である。特に、反応の進行速度を制御しやすい点で、塩基性触媒を水に希釈し、必要に応じて濃度を調整した水溶液として使用することが好ましい。塩基性触媒の水溶液を使用する場合、工業的に入手が容易であること及び濃度調整が容易であること等から、1〜30質量%の範囲の濃度の水溶液とすることが好ましい。
塩基性触媒の添加量は、アルコキシシランの加水分解及び重縮合反応の反応速度等を勘案して適宜決定すればよい。塩基性触媒の添加量としては、反応液中における塩基性触媒の存在量が、使用するアルコキシシランの質量に対して、0.1〜60質量%とすることが好ましく、0.5〜40質量%の範囲で使用することがより好ましい。
(アルコキシシラン)
上記アルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン及びテトラブトキシシランが挙げられる。工業的に入手が容易に可能であるという観点及び取扱いが容易であるという観点から、上記アルコキシシランは、メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランであることが好ましく、テトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランであることがより好ましい。なお、上記アルコキシシランとしては、1種類のみを使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。また、本工程においては、アルコキシシランの加水分解物を添加してもよく、アルコキシシラン又はその加水分解物の部分縮合物を添加してもよい。
(反応条件)
本工程は、例えば以下のように行うことができる。反応容器にヒュームドシリカ、溶媒及び塩基性触媒を仕込み、ここにアルコキシシラン(又はアルコキシシランの有機溶媒溶液)と塩基性触媒の水溶液とを同時に添加する方法を挙げることができる。この方法によれば、反応効率が良好で、粒度分布の幅が小さいシリカ粒子を、効率よく、且つ再現性よく製造することができ、好ましい。2種類以上のアルコキシシランを併用する場合、各々を混合して同時に添加してもよく、各々を順次に添加してもよい。
アルコキシシラン及び塩基性触媒の添加は、反応液に液中滴下することが好ましい。ここで液中滴下とは、アルコキシシラン及び塩基性触媒を反応液中に滴下する際、滴下口の先端が反応液中に浸されていることをいう。滴下口先端の位置は、液中にあれば特に限定されないが、攪拌羽根の近傍等の、攪拌が十分に行われ、滴下物が反応液中に速やかに拡散することのできる位置とすることが望ましい。
アルコキシシラン及び塩基性触媒の添加時間(添加開始から添加終了までの時間)は、例えば、48時間以内とすることが好ましい。例えば、上記添加時間が0.2時間以上であれば、粒度分布の幅を小さくすることができる。また、上記添加時間が48時間以下であれば、安定した粒成長を行うことができる。
反応温度は、ゾルゲル法の反応が速やかに進行する温度であれば、特に制限されず、目的とするシリカ粒子の粒径に応じて適宜に選択すればよい。一般的に、反応温度が低いほど得られるシリカ粒子の粒径が大きくなる傾向にある。例えば、反応温度としては、−10〜60℃の範囲で適宜選択すればよい。
ゾルゲル法の反応を確実に進行させるために、アルコキシシラン及び塩基性触媒の滴下が終了した後、熟成(次の疎水化処理剤の添加を行うまで暫く時間をおくこと)を行ってもよい。この場合、熟成温度としては反応温度と同程度の温度、即ち−10〜60℃とすることが好ましい。また、熟成時間としては0.25〜5時間とすることが好ましい。
<2−2.シリカ粒子の凝析>
本製造方法は、<2−1.シリカ粒子を製造する工程>に説明した工程によって得られた異形シリカ粒子が懸濁する反応液に、凝析剤を添加する工程を含んでいてもよい。前記凝析剤を反応液に添加することにより、該反応液中でシリカ粒子が弱い力で凝集した凝集体(ケーク)が形成される。前記凝析剤又はその誘導体の存在により、かかる凝集体が反応液中で安定に存在することが可能であり、また、強固に凝集した凝集体の生成を防止することが可能である。本工程において、凝集体とすることにより、シリカ粒子を、ろ過によって容易に回収することができる。
上記凝析剤としては、二酸化炭素、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム及びカルバミン酸アンモニウム等が挙げられる。これらの凝析剤の場合、凝析剤として金属塩を用いる場合に比べると、金属不純物が混入する可能性がないため、好ましい。また、上記凝析剤は、わずかの加熱により容易に分解及び除去されるため、高純度の異形シリカ粉末を容易に製造することができる。
上記凝析剤としては、炭酸水素アンモニウム及びカルバミン酸アンモニウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種を使用することが好ましく、炭酸水素アンモニウムを使用することがより好ましく、炭酸水素アンモニウムを水溶液として添加することがさらに好ましい。上記の凝析剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
凝析剤の添加量及び添加方法は、使用する凝析剤の種類に応じて下記のように設定することができる。凝析剤の添加量は、反応液中でのシリカ粒子の弱い凝集体の形成の程度と、不当に多量の原料を使用することの無駄とのバランスを勘案することによって設定される。以下における凝析剤の添加量の基準としてのシリカ粒子の質量は、用いたアルコキシシランが全て加水分解及び重縮合したと仮定した場合の換算値である。
上記凝析剤として二酸化炭素を使用する場合、その添加量は、反応液中に含有されるシリカ粒子100質量部に対して、15質量部以上であることが好ましく、15〜300質量部であることがより好ましく、17〜200質量部であることがさらに好ましい。
二酸化炭素の添加方法としては、気体の状態で反応液中に吹き込む方法及び固体の状態(ドライアイス)で添加する方法等を挙げることができる。操作が簡単であるという観点からは、二酸化炭素を固体の状態で添加することが好ましい。
上記凝析剤として炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム又はカルバミン酸アンモニウムを使用する場合、その添加量は、反応液中に含有されるシリカ粒子100質量部に対して、15質量部以上であることが好ましく、15〜80質量部であることがより好ましく、17〜60質量部であることがさらに好ましく、20〜50質量部であることが特に好ましい。
炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム又はカルバミン酸アンモニウムは、固体の状態で添加してもよく、適当な溶媒に溶解した溶液状態で添加してもよい。これらを溶液状態で添加する場合に使用される溶媒としては、これらを溶解するものであれば特に制限されないが、溶解能力が高く、またろ過後の除去が容易であるとの観点から、水を使用することが好ましい。炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム又はカルバミン酸アンモニウム溶液の濃度は、これらが溶解する範囲ならば特に制限されないが、2〜15質量%であることが好ましく、5〜12質量%であることがより好ましい。上記濃度であれば、溶液の使用量が多すぎず、経済的である。
特に、いわゆる「炭酸アンモニウム」として市販されている、炭酸水素アンモニウムとカルバミン酸アンモニウムとの混合物は、これをそのまま、或いは適当な溶媒に溶解した溶液として使用することができる。この場合における、炭酸水素アンモニウムとカルバミン酸アンモニウムとの合計の添加量、並びにこれを溶液として添加する場合に使用される溶媒の種類及び溶液の濃度は、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム又はカルバミン酸アンモニウムの場合として上記したところと同様である。
本工程において、シリカ粒子の反応液中へ凝析剤を添加する場合の温度は、生成するシリカ粒子が弱い力で凝集した凝集体が安定に存在できる温度であれば、特に制限されず、適宜設定すれば良い。凝析剤の分解温度等を考慮し、通常、反応温度と同じ−10〜60℃、好ましくは、10〜40℃の範囲で行えば良い。
凝析剤の添加後、熟成を行うこと(即ち次工程のろ過までに暫く間隔をおくこと)、が好ましい。凝析剤の添加後に熟成を行うことにより、上述のシリカ粒子の弱い凝集体の形成が促進されるため、好ましい。熟成時間は、0.5〜72時間であることが好ましく、1〜48時間であることがより好ましい。熟成時間が0.5時間以上であれば、凝集体の形成を十分に促成することができる。また、熟成時間が72時間以下であれば、経済的である。熟成の際の反応液の温度は特に制限されず、凝析剤添加の際の温度と同じ温度範囲で実施することができる。
<2−3.シリカ粒子の回収>
本製造方法は、<2−1.シリカ粒子を製造する工程>〜<2−2.シリカ粒子の凝析>にて説明した工程によって得られたシリカ粒子を含有する反応液から、シリカ粒子を回収する工程を含む。回収方法は特に制限されず、ろ過、分散媒を揮発させる方法、遠心分離機によりシリカ粒子を沈降させた後、デカンテーションを行う方法等を挙げることができる。なかでも、ろ過はシリカ粒子を容易に回収できる点で好ましい。
ろ過の方法は特に制限はされず、例えば減圧濾過、加圧ろ過及び遠心ろ過等の公知の方法を適用することができる。
ろ過で使用する、ろ紙、フィルター及びろ布等(以下、これらを包括して「ろ紙等」という)は、工業的に入手可能なものであれば、特に制限なく使用することができ、分離装置(ろ過器)のスケールに応じて適宜選択すればよい。本製造方法において回収対象であるシリカ粒子は二次粒子であるため、ろ紙等の孔径は一次粒子径よりもはるかに大きくてよい。そのため、迅速にろ過することが可能である。
ろ過により、シリカ粒子がケークとして回収される。得られたケークを、適当な溶媒(例えば水又はアルコール等)を用いてリンスすることにより、ゾルゲル法による反応で使用した溶媒、塩基性触媒の分解及び除去を行うことができる。
上記リンスにより、前記凝析剤又はその誘導体が消失する虞のある場合には、前記凝析剤を適宜添加しケーク中の凝析剤又はその誘導体が消失しない様に行えばよい。
シリカを回収する方法として、分散媒を揮発させる方法等、回収時に前記凝析剤又はその誘導体が消失する虞がある場合においても、回収時のシリカ粒子反応液の凝集体(ケーク)に、前記凝析剤を適宜添加し、凝集体(ケーク)中に前記凝析剤又はその誘導体が消失しない様に行えばよい。
<2−4.シリカ粒子の乾燥>
本製造方法は、<2−3.シリカ粒子の回収>にて説明した工程より得られたシリカ粒子を乾燥する工程を含んでもよい。乾燥方法としては、公知の方法が特に制限されず採用される。例えば、加熱した状態での減圧乾燥、送風乾燥等の乾燥方法が挙げられる。
乾燥時の温度は、分散媒が除去でき、且つ、前記凝析剤由来の塩を分解可能な温度であればよく、乾燥時の圧力等を勘案して適宜決定すれば良い。具体的には、乾燥温度として、35〜250℃、より好ましくは、50〜250℃の温度である。
なお、本発明において、前記シリカ粒子を含有する反応液からシリカ粒子を回収乾燥するにあたり、分散媒の除去を、濃縮及び乾燥によって連続して行うことも可能である。例えば、シリカ粒子を含有する反応液を加熱濃縮、或いは、減圧濃縮等によって分散媒を揮発させる方法によって行うことにより、シリカ粒子を含有する反応液より分散媒が除去されたシリカ粒子を直接得ることができる。この場合、分散媒を加熱により除去する際、前記凝析剤又はその誘導体が消失する虞があるため、かかる場合には、濃縮、乾燥途中のシリカ粒子を含有する反応液の凝集体(ケーク)に前記凝析剤を適宜添加し、凝集体(ケーク)中に前記凝析剤又はその誘導体が消失しない様に行えばよい。
<2−5.シリカ粒子の焼成>
一般に、ゾルゲル法により得られたシリカは、シリカ表面にシラノール基が多く存在するため、その飽和水分量は8質量%程度である。本発明の製造方法は、飽和水分量を低減する目的で、反応液から回収されたシリカ粒子を焼成する工程を含む。
上記焼成温度は、300〜1300℃、更には600〜1200℃で行うのが好ましい。低すぎるとシラノール基の脱水縮合反応が進行しないため十分に飽和水分量を低減することができず、高すぎるとシリカ粒子同士の融着が生じる。
焼成時間は目的とする飽和水分量となればよく特に制限されないが、あまり長すぎると不経済であるため、目的とする焼成温度まで昇温した後、0.5〜48時間、より好ましくは、2〜24時間の範囲で保持し焼成を行えば十分である。
焼成時の雰囲気も特に制限はされず、アルゴンや窒素等の不活性ガス下、又は大気雰囲気下で行うことができる。上記焼成処理後に得られる異形シリカ粉末は、純度が高く、飽和水分量が低減されているため、封止材用の充填剤として好適である。
<2−6.シリカ粒子の解砕>
本発明の製造方法は、焼成工程より得られたシリカ粒子を解砕する工程を含む。焼成処理後に得られるシリカ粒子は凝集粒子を含んでいるため、ジェットミル等公知の解砕手段により解砕させて使用する。
ジェットミルを用いて解砕する場合の条件は、特に制限されないが、圧縮ガスとして空気、または、Nなどの不活性ガスを用い、該ガスにおける粉体濃度が10g/m以上220g/m以下、好ましくは15g/m以上190g/m以下、より好ましくは15g/m以上30g/m以下となるように実施することが好ましい。粉体濃度が高いほど解砕能力が向上するが、粉体濃度が高すぎても、個々の粒子に加わる解砕力が分散して解砕効率が低下するため、粉体濃度が上記範囲であることが好ましい。上記粉体濃度が得られにくい場合、一度解砕したものを、繰り返し解砕することにより、所望の粉体物性となるまで解砕してやればよい。なお無論、上述したジェットミル粉砕は一例であり、他の公知の粉砕、解砕、分級等の装置を適宜選択すればよい。
解砕されて得られたシリカ粉末は、更に篩等を用いて粗粒等を除去することができる。粗粒が除去されたシリカ粉末は、狭ギャップ化及び高集積化が進む半導体デバイス用封止材の充填剤として好適に使用される。
<2−7.表面処理>
本製造方法は、<2−6.シリカ粒子の解砕>にて説明した工程より得られたシリカ粒子に対し、シリコーンオイルや、シランカップリング剤、シラザン、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等、公知の表面処理剤で表面処理を行い、目的の用途に使用することも可能である。これらの中でも特に、シリコーンオイル、シランカップリング剤、シラザンを使用するのが好ましい。
本発明で使用するシリコーンオイルは、通常表面処理に用いられる公知のシリコーンオイルを、特に制限なく使用することが可能であり、必要とする表面処理シリカ粒子の性能等に応じて適宜選択して、使用すれば良い。具体的に例示すれば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等を挙げることができる。これらの中でも、単に疎水化を行うことが目的であれば、ジメチルシリコーンオイルを使用するのが好ましい。
シリコーンオイルを使用する際の使用量は特に制限はされないが、少なすぎると表面処理が不十分となり、多すぎると後処理が煩雑となるので、使用するシリカ粒子100質量部に対し、0.05〜30質量部、より好ましくは、0.1〜20質量部とするのが良い。
本発明で使用するシランカップリング剤は、通常表面処理に用いられる公知のシランカップリング剤を、特に制限なく使用することが可能であり、必要とする表面処理シリカ粒子の性能等に応じて適宜選択して、使用すれば良い。具体的に例示すれば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、4−スチリルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、等を挙げることが出来る。
これらの中でも、充填する樹脂との分散性の観点から、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランを使用するのが好ましい。
また、単に疎水化を行うことが目的であれば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシランを使用するのが好ましい。
シランカップリング剤を使用する際の使用量は、特に制限はされないが、少なすぎると表面処理が不十分となり、多すぎると後処理が煩雑となるので、使用するシリカ粒子100質量部に対し、0.05〜40質量部、より好ましくは、0.1〜30質量部とするのが良い。
本発明で使用するシラザンは、通常表面処理に用いられる公知のシラザンを、特に制限なく使用することが可能である。シラザンの中でも、特に反応性の良さ、取り扱いの良さ等より、ヘキサメチルシラザンを使用するのが好ましい。
シラザンを使用する際の使用量は、特に制限はされないが、少なすぎると表面処理が不十分となり、多すぎると後処理が煩雑となるので、使用するシリカ粒子100質量部に対し、0.05〜60質量部、より好ましくは、0.1〜50質量部とするのが良い。
これら表面処理剤は、単独で1種類のみ使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。また、多段的に処理を行うこともできる。
〔3.樹脂組成物〕
本発明において、上記異形シリカ粉末を含有する樹脂組成物も提供する。樹脂の種類は特に限定されないが、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂等があげられ、なかでもエポキシ樹脂は、接着・封止用樹脂として好適に使用される。
本発明の樹脂組成物は、半導体封止材とした場合に、充填剤として用いる上記異形シリカ粒子が破砕面を有さないため、半導体素子表面やワイヤへの損傷や金型摩耗を引き起こすことがなく、また、破砕シリカを使用した場合と比較して、分散時の粘度が低く、流動性に優れるため、充填率を高く維持することができ、耐はんだリフロー性に優れる。
一方で、充填剤として用いるシリカ粒子が凹凸を有するため、従来の球状シリカと比較して、粒子同士又は接着部材との接触点が増加するため、成形後の樹脂において安定した曲げ強度や接着強度を得ることができる。
他に、アンチブロッキング剤として上記異形シリカ粉末を用い、オレフィン樹脂等に分散させてフィルム用樹脂組成物としても好適に使用される。上記樹脂組成物において上記異形シリカ粉末は、破砕面を有さないため、分散性に優れ、且つ、凹凸を有するために樹脂との接着性に優れ脱落しにくいのが特徴である。
上記樹脂組成物の製造方法は、充填剤として本発明の異形シリカ粉末を使用するものであれば特に限定されず、公知の樹脂組成物の製造方法が好適に使用される。上記樹脂への添加剤として、本発明の異形シリカ粉末のみでなく、既存のシリカ粉末との併用であってもよい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の物性測定等は以下の方法による。
〔物性の測定方法〕
(1)重量基準粒度分布のメジアン径及び極大(ピーク)、並びに幾何標準偏差σg
(測定試料調製)
測定試料であるシリカの濃度が1.5質量%である2−プロパノール懸濁液を、以下のように調製した。シリカ粉末0.3gと2−プロパノール20gとをガラス製のサンプル管瓶(アズワン(株)製、内容量30mL、外径約28mm)に入れた。試料入りの当該サンプル管瓶を、超音波細胞破砕器(BRANSON製、型番Sonifier II Model 250D、プローブ:1/4インチ)のプローブチップ面が水面下15mmになるように設置した。当該超音波細胞破砕器を用いて、出力20W、分散時間45分の条件でシリカ粉末を2−プロパノールに分散し、測定試料であるシリカの濃度が1.5質量%である2−プロパノール懸濁液を調製した。
(測定方法)
ディスク遠心沈降式粒度分布測定装置(CPS製、型番DC−24000)を用いて、メジアン径及び粒度分布を測定した。測定条件は、回転数18000rpm、シリカ真密度2.1g/cmとして、0.476μmのPVC粒子で測定毎に校正した。粒度分布の幾何標準偏差σgは、得られた重量基準粒度分布を累積頻度10質量%〜90質量%の範囲で対数平均分布フィッティング(最小2乗法)し、そのフィッティングから算出した。
(2)画像解析法により得られた面積(S)と画像解析法により得られた包絡面積(S)との比(S/S)、粒子の平均円形度、円形度が0.95以上である粒子の含有量
(測定方法)
500個以上のシリカ粒子についてFE−SEM((株)日立ハイテクノロジーズ製、型番S−5500)を用いて、加速電圧30kV、倍率20000倍で明視野−走査透過像(BF−STEM)を撮影した。撮影した写真を画像解析ソフト「A像くん」(旭化成エンジニアリング(株)製)に取り込み、粒子解析パラメータを以下の通りとし、粒子解析した。
粒子の明度:暗
2値化の方法:手動
収縮分離回数:20回
小図形:0
雑音除去フィルター:有
シェーディング:有
結果表示単位:nm
粒子解析により、各粒子の面積(S)、包絡面積(S)(粒子の凸部を結んだ包絡線で囲まれた中の面積)及びアスペクト比を求めた。さらに、各粒子の面積と包絡面積との比(S/S)を求めた。また、各粒子の円形度を、各粒子の面積及び周囲長を用いて下記式(1)より算出した。
円形度=4π×面積/(周囲長)2 (1)
面積と包絡面積との比(S/S)、平均円形度及びアスペクト比は、上記画像解析により得られた各粒子の面積と包絡面積との比(S/S)、円形度及びアスペクト比の平均をとり、求めた。また、面積と包絡面積との比(S/S)が0.97以上である粒子の個数割合及び円形度が0.95以上である粒子の個数割合を求めた。
(3)飽和水分量
飽和水分量の測定は、下記方法により実施した。シリカ粉末10gを120℃、24時間乾燥させた後、シリカゲルの入ったデシケーター内で冷却した。続いて、デシケーター内で冷却した粒子を、25℃、50%RHの環境下に48時間静置して、粒子の質量(Dwet)を秤量した。秤量後の粒子を再び120℃で24時間乾燥し、粒子の質量(Ddry)を秤量した。調湿前後の質量変化から、下記数式(2)により算出された値を飽和水分量とした。
飽和水分量(質量%)=((Dwet−Ddry)/Ddry)×100 数式(2)
(4)疎水化度(M値)
容量200mLのビーカーに水50mLを秤取後、シリカ粉末試料0.2gを投入した。これをマグネティックスターラーで攪拌しながら、ビュレットにてメタノールを滴下、投入したシリカ粉末の全量がビーカー内の溶媒に濡れて懸濁した点を終点とする滴定を実施した。この際、投入したシリカ粉末試料に直接メタノールが接触しない様に、チューブで溶媒内へ導入した。そして、滴定終点におけるメタノール−水混合溶媒中のメタノールの体積%の値を疎水化度(M値)とした。
(5)真比重
乾式自動密度計((株)島津製作所製、型番アキュピックII 1340シリーズ)を使用し、10ccのセルを用いて測定した。
(6)ナトリウム、カリウム及び鉄の含有量
<ナトリウム及びカリウムの含有量>
(測定試料調製)
超純水50gにシリカ粉末5gを添加し、テフロン(登録商標)分解容器を用いて120℃で24時間加熱した。超純水及びシリカ粉末は0.1mg単位まで秤量した。その後、遠心分離器を用いてシリカ固形分を分離し、イオンクロマト測定試料を得た。なお、超純水のみで上記操作を行い、ブランク試料を得た。
(測定)
イオンクロマトグラフィーシステム(日本ダイオネクス(株)製、型番ICS−2100)を用いて、測定試料中のナトリウム及びカリウムの濃度を測定した。シリカ粉末のナトリウム及びカリウムの含有量は下記式(3)を用いて算出した。
Silica=(CSample−CBlank)×MPW/MSilica (3)
Silica:シリカ中のイオン濃度(ppm)
Sample:測定試料中のイオン濃度(ppm)
Blank:ブランク試料中のイオン濃度(ppm)
PW:超純水水量(g)
Silica:シリカ重量(g)
なお、各イオンのCBlankはすべて0ppmであった。
<鉄の含有量>
乾燥後のシリカ粉末2gを精秤して白金皿に移し、濃硝酸10mL及びフッ酸10mLをこの順で加えた。これを200℃に設定したホットプレート上に乗せて加熱して内容物を乾固した。室温まで冷却後、さらに濃硝酸2mLを加え、200℃に設定したホットプレート上に乗せて加熱して溶解した。室温まで冷却後、白金皿の内容物である溶液を容量50mLのメスフラスコに移し、超純水で希釈して標線に合わせた。これを試料として、ICP発光分析装置((株)島津製作所製、型番ICPS−1000IV)により、鉄の含有量を測定した。
(7)ヒュームドシリカ分散液の分散性指数
ヒュームドシリカとメタノールとからなる分散液を測定試料セル(東京硝子器(株)製、合成セル、5面透明、10×10×45H)に入れ、分光光度計(日本分光(株)製、型番V−630)を使用して、分散液の吸光度τ700及びτ460を求めた。分散液の分散性指数nは下記式(4)を用いて算出した。
n=2.382×ln(τ460/τ700) (4)
なお、τ700は波長700nmの光に対する分散液の吸光度を表し、τ460は波長460nmの光に対する分散液の吸光度を表す。
得られた分散性指数の値が2.5以上であれば、ヒュームドシリカが分散液中に凝集することなく十分に分散していると判断した。
(8)粘度
シリカ粉末を極性樹脂に充填した際の粘度評価を、エポキシ樹脂に充填することにより評価した。シリカ粉末20gを、ビスフェノールA+F型混合エポキシ樹脂(新日鉄住金化学製、ZX−1059)25gに加え、手練りした。また、疎水化処理のみを含む表面処理を何ら行っていない未処理品のシリカ粉末については、更に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン製、KBM−403)を0.25g加え、手練りした。それぞれ手練りした樹脂組成物を自転公転式ミキサー(THINKY製、あわとり練太郎 AR−500)により予備混練した(混練:1000rpm、8分、脱泡:2000rpm、2分)。予備混練後の樹脂組成物を三本ロール(アイメックス社製、BR−150HCV ロール径φ63.5)を用いて混練した。混練条件は、混練温度を室温、ロール間距離を20μm、混練回数を5回として行った。
上記混練樹脂組成物をレオメータ(HAAKE社製、ReoStress)によりせん断速度1s−1における粘度を測定した。
(9)接着強度
O−クレゾールノボラックエポキシ樹脂(日本化薬製、EOCN−1020−75)1g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学工業製、ビスコート#300)1gをアルミナ乳鉢に入れ、120℃にて加熱反応させて、均一なエポキシアクリレート溶液とした。上記溶液にシリカ粉末0.5gを加え、乳鉢にてよくすり、均一に分散させた。また、疎水化処理のみを含む表面処理を何ら行っていない未処理品のシリカ粉末については、更に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを0.005g加え、乳鉢にて良くすり、均一に分散させた。均一に分散後、それぞれ1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(味の素ファインテクノ製、アミキュアVDH)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバ・ジャパン製、イルガキュア369)、N,N’−テトラエチルジアミノベンゾフェノンを一度に加え、更によく混ぜた。最後に、2−フェニル−4−メチルイミダゾール(四国化成製、キュアゾール2P4MZ)を加えて更に混ぜた。
混合して得られた樹脂組成物をUVシリンジに入れ、自転公転式ミキサー(THINKY製、あわとり練太郎 ARE−250)にて混練・脱泡を行った(混練:2000rpm、2分、脱泡:2200rpm、5分)。
次に、該樹脂組成物を、ディスペンサー(武蔵エンジニアリング社製、ML−5000XII)を使用してガラス上に一定量塗り、その上から対となる同様のガラスを十字に貼り合せて、荷重をかけながら紫外線照射装置を当てて(365nm、5分間)光硬化を行った。
硬化後、十字のガラスサンプルに針金を取り付け、上下から引っ張り、引張・圧縮試験機(島津製作所社製、EZ−test)を用いて接着強度を測定した(図6参照)。
〔実施例1〕
ヒュームドシリカ((株)トクヤマ製、商品名QS−30、BET比表面積302m/g、平均一次粒子径7nm)5.25g及びメタノール520gを容量2Lのディスポカップ((株)アズワン製)に投入した。試料入りの当該ディスポカップを、超音波細胞破砕器(BRANSON製Sonifier II Model 250D、プローブ:1/4インチ)のプローブチップ面がディスポカップ底から10mmになるように設置した。当該超音波細胞破砕器を用いて、出力60W、分散時間30分の条件でヒュームドシリカをメタノールに分散し、分散液を調製した。本操作を2回実施して調製した分散液を混合し、ヒュームドシリカ10.5g及びメタノール1040gからなる分散液を得た。なお、分散液の分散性指数は2.82であり、ヒュームドシリカが十分に分散されていることを確認した。
つづいて、5Lの4つ口フラスコに、調製した分散液1050.5gと、仕込みアンモニア水としての15質量%アンモニア水152gとを投入し、35℃で撹拌した。アルコキシシランとしてのテトラメトキシシラン705.5gと、添加アンモニア水としての5質量%アンモニア水232.2gとを、それぞれ独立に液中滴下した。滴下は120分で終了するように速度を調整して実施した。滴下開始後10分の段階で反応液が白濁しており、反応が進行している様子が確認された。
滴下終了後、30分熟成を行い、10%炭酸水素アンモニウム水溶液1000gを投入し、120分撹拌した。120分経過後、定量ろ紙(保留粒径7μm)を使用し、減圧濾過を行い、ケークを得た。ろ液は透明であり、ろ過漏れは確認されなかった。さらに、100℃で16時間減圧乾燥を行い、272gのシリカ粉末を得た。
つづいて、得られたシリカ粉末を焼成炉にて、900℃、10時間焼成を行った。焼成雰囲気の調整は特に行わず、空気雰囲気下で実施した。得られた焼成後のシリカ粉末をジェットミル(日本ニューマチック工業株式会社製、PJM−100SP)を用いて、フィード圧とミル圧は共に0.60MPa、1.9Nm/minの圧縮空気を用い、原体の供給量は36.7kg/min、単位風量当たり20g/mで解砕し、210gの異形シリカ粉末を得た。得られた異形シリカ粉末は、メジアン径が293nm、凹凸度が0.81であった。また、樹脂組成物の粘度は80Pa・sであり、硬化後の接着強度は24Nであった。
〔実施例2〕
テトラメトキシシランの添加量を680gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして異形シリカ粉末を得た。得られた異形シリカ粉末は、メジアン径が262nm、凹凸度が0.82であった。また、樹脂組成物の粘度は101Pa・sであり、硬化後の接着強度は24Nであった。
〔実施例3〕
テトラメトキシシランの添加量を352.8gに変更したこと、添加アンモニア水としての5質量%アンモニア水の添加量を116.1gに変更したこと及びこれらの滴下時間(供給時間)を60分に変更したこと以外は、実施例1と同様にして異形シリカ粉末を得た。得られた異形シリカ粉末は、メジアン径が179nm、凹凸度が0.77であった。また、樹脂組成物の粘度は212Pa・sであり、硬化後の接着強度は27Nであった。
〔実施例4〕
調製した分散液と仕込みアンモニア水とを4つ口フラスコ中で撹拌する際の温度を40℃に変更したこと以外は、実施例3と同様にして異形シリカ粉末を得た。得られた異形シリカ粉末は、メジアン径が196nm、凹凸度が0.75であった。また、樹脂組成物の粘度は176Pa・sであり、硬化後の接着強度は29Nであった。
〔実施例5〕
テトラメトキシシランの添加量を493.9gに変更したこと、添加アンモニア水としての5質量%アンモニア水の添加量を162.5gに変更したこと及びこれらの滴下時間(供給時間)を84分に変更したこと以外は、実施例1と同様にして異形シリカ粉末を得た。得られた異形シリカ粉末は、メジアン径が210nm、凹凸度が0.79であった。また、樹脂組成物の粘度は139Pa・sであり、硬化後の接着強度は24Nであった。
〔実施例6〕
アルコキシシラン及び添加アンモニア水の滴下時間(供給時間)を240分に変更したこと以外は、実施例1と同様にして異形シリカ粉末を得た。得られた異形シリカ粉末は、メジアン径が295nm、凹凸度が0.81であった。また、樹脂組成物の粘度は82Pa・sであり、硬化後の接着強度は24Nであった。
〔実施例7〕
テトラメトキシシランの添加量を220.5gに変更したこと、添加アンモニア水としての5質量%アンモニア水の添加量を72.6gに変更したこと及びこれらの滴下時間(供給時間)を60分に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてシリカ粉末を得た。得られた異形シリカ粉末は、メジアン径が130nm、凹凸度が0.69であった。また、樹脂組成物の粘度は330Pa・sであり、硬化後の接着強度は28Nであった。
〔実施例8〕
アルコキシシランとしてテトラメトキシシランの代わりにテトラエトキシシランを添加したこと、並びにアルコキシシラン及び添加アンモニア水の滴下時間(供給時間)を180分に変更したこと以外は、実施例1と同様にして異形シリカ粉末を得た。得られた異形シリカ粉末は、メジアン径が301nm、凹凸度が0.83であった。また、樹脂組成物の粘度は73Pa・sであり、硬化後の接着強度は24Nであった。
〔実施例9〕
ヒュームドシリカの投入量を26.7gに変更したこと、テトラメトキシシランの添加量を1763.6gに変更したこと、添加アンモニア水としての5質量%アンモニア水の添加量を580.5gに変更したこと及びこれらの滴下時間(供給時間)を300分に変更したこと以外は、実施例1と同様にして異形シリカ粉末を得た。得られた異形シリカ粉末は、メジアン径が283nm、凹凸度が0.80であった。また、樹脂組成物の粘度は90Pa・sであり、硬化後の接着強度は24Nであった。
〔実施例10〕
ヒュームドシリカとして(株)トクヤマ製の商品名QS−30の代わりに(株)トクヤマ製の商品名QS−102(BET比表面積205m/g、平均一次粒子径12nm)を用いたこと、並びにアルコキシシラン及び添加アンモニア水の滴下時間(供給時間)を180分に変更したこと以外は、実施例1と同様にして異形シリカ粉末を得た。得られた異形シリカ粉末は、メジアン径が315nm、凹凸度が0.81であった。また、樹脂組成物の粘度は84Pa・sであり、硬化後の接着強度は24Nであった。
〔実施例11〕
ヒュームドシリカとして(株)トクヤマ製の商品名QS−30の代わりに(株)トクヤマ製の商品名QS−09(BET比表面積85m/g、平均一次粒子径22nm)を用いたこと、並びにアルコキシシラン及び添加アンモニア水の滴下時間(供給時間)を240分に変更したこと以外は、実施例1と同様にして異形シリカ粉末を得た。得られた異形シリカ粉末は、メジアン径が362nm、凹凸度が0.81であった。また、樹脂組成物の粘度は69Pa・sであり、硬化後の接着強度は24Nであった。
〔実施例12〕
テトラメトキシシランの添加量を1763.6gに変更したこと、添加アンモニア水としての5質量%アンモニア水の添加量を580.5gに変更したこと及びこれらの滴下時間(供給時間)を300分に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてシリカ粉末を得た。得られた異形シリカ粉末は、メジアン径が410nm、凹凸度が0.87であった。また、樹脂組成物の粘度は66Pa・sであり、硬化後の接着強度は29Nであった。
〔実施例13〕
ヒュームドシリカとして(株)トクヤマ製の商品名QS−30の代わりに(株)トクヤマ製の商品名QS−09(BET比表面積85m/g、平均一次粒子径22nm)を用いたこと、テトラメトキシシランの添加量を2116.5gに変更したこと、添加アンモニア水としての5質量%アンモニア水の添加量を696.6gに変更したこと及びこれらの滴下時間(供給時間)を300分に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてシリカ粉末を得た。得られた異形シリカ粉末は、メジアン径が462nm、凹凸度が0.89であった。また、樹脂組成物の粘度は60Pa・sであり、硬化後の接着強度は32Nであった。
〔実施例14〕
添加アンモニア水の濃度を2.6質量%に変更したこと及び当該添加アンモニア水の添加量を226.4gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして異形シリカ粉末を得た。得られた異形シリカ粉末は、メジアン径が262nm、凹凸度が0.81であった。また、樹脂組成物の粘度は100Pa・sであり、硬化後の接着強度は24Nであった。
〔実施例15〕
添加アンモニア水の濃度を9.5質量%に変更したこと及び当該添加アンモニア水の添加量を121.9gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして異形シリカ粉末を得た。得られた異形シリカ粉末は、メジアン径が292nm、凹凸度が0.81であった。また、樹脂組成物の粘度は81Pa・sであり、硬化後の接着強度は24Nであった。
〔実施例16〕
実施例1の方法で得られた異形シリカ粉末400gを20L圧力容器に入れ、230℃まで昇温した。容器内を窒素雰囲気に置換後、大気圧力下で密封し、粒子を攪拌しながら水20gを噴霧した。その後、15分間攪拌を継続した後、脱圧し、ヘキサメチルジシラザン120gを噴霧した。更に攪拌を1時間継続した後、脱圧することにより、疎水性異形シリカ粉末350gを得た。得られた異形シリカ粉末は、メジアン径が293nm、凹凸度が0.81であった。また、樹脂組成物の粘度は39Pa・sであり、硬化後の接着強度は39Nであった。
〔実施例17〕
水の噴霧を実施しなかったことと、添加する表面処理剤をヘキサメチルジシラザンから3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン40gに変更したこと以外は実施例15と同様にして疎水性異形シリカ粉末を得た。得られた異形シリカ粉末は、メジアン径が293nm、凹凸度が0.81であった。また、樹脂組成物の粘度は34Pa・sであり、硬化後の接着強度は44Nであった。
〔実施例18〕
実施例17の方法で得られた疎水性異形シリカ粉末を用いたこと以外は、実施例16と同様にして、表面が二段階に表面処理された、疎水性異形シリカ粉末を得た。得られた異形シリカ粉末は、メジアン径が293nm、凹凸度が0.81であった。また、樹脂組成物の粘度は28Pa・sであり、硬化後の接着強度は52Nであった。
〔比較例1〕
ヒュームドシリカを用いなかったこと以外は、実施例1と同様にしてシリカ粉末を得た。即ち、図4(a)のように、核生成反応により核粒子を生成させた後、当該核を粒成長させて、シリカ粉末を得た。得られたシリカ粉末は、メジアン径が79nm、凹凸度が1.00の球状シリカであった。また、樹脂組成物の粘度は498Pa・sであり、硬化後の接着強度は13Nであった。
〔比較例2〕
反応温度を25℃に変更したこと、テトラメトキシシランの添加量を2116.5gに変更したこと、添加アンモニア水としての5質量%アンモニア水の添加量を696.5gに変更したこと及びこれらの滴下時間(供給時間)を380分に変更したこと以外は比較例1と同様にしてシリカ粉末を得た。得られたシリカ粉末は、メジアン径が285nm、凹凸度が1.00の球状シリカであった。また、樹脂組成物の粘度は81Pa・sであり、硬化後の接着強度は18Nであった。
〔比較例3〕
比較例2の方法で得られたシリカ粒子を用いたこと以外は実施例16と同様にして疎水性シリカ粒子を得た。得られたシリカ粉末は、メジアン径が285nm、凹凸度が1.00の球状シリカであった。また、樹脂組成物の粘度は35Pa・sであり、硬化後の接着強度は34Nであった。
〔結果〕
以上実施例及び比較例の結果より、本発明の異形シリカ粉末を添加した樹脂組成物において、粒径が同程度の球状シリカ粉末を添加したものと比較して、粘度は同程度であり、硬化後の接着強度が高い樹脂が得られた。また、疎水性を有する異形シリカ粉末についても、粒径が同程度で、同様に表面処理された球状シリカ粉末を添加したものと比較して、樹脂組成物の粘度は同程度であり、硬化後の接着強度が高い樹脂が得られた。
実施例1〜18及び比較例1〜3の反応条件を表1に示す。また、実施例1〜18及び比較例1〜3における各種物性の測定結果を表2に示す。
Figure 0006752658
Figure 0006752658
本発明は、例えば、半導体封止材の充填剤等の分野において、好適に利用することができる。
1 異形シリカ粒子

Claims (9)

  1. 遠心沈降法により測定された重量基準粒度分布のメジアン径が50〜1000nmの範囲にあり、
    画像解析法により得られた面積(S)と画像解析法により得られた包絡面積(S)との比(S/S)が、0.60〜0.95の範囲にあり、
    遠心沈降法により得られる重量基準粒度分布の極大(ピーク)が一つであり、かつ幾何標準偏差σgが1.5以下であり、
    120℃での乾燥減量法によって測定される飽和水分量が1.5質量%以下であり、かつ疎水性を有することを特徴とする異形シリカ粉末。
  2. 画像解析法により得られる粒子の平均円形度が0.40〜0.85の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の異形シリカ粉末。
  3. 画像解析法により得られる円形度が0.95以上である粒子の含有量が5個数%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の異形シリカ粉末。
  4. ナトリウム、カリウム及び鉄の含有量が、それぞれ1ppm未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の異形シリカ粉末。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の異形シリカ粉末を含有する樹脂組成物。
  6. 遠心沈降法により測定された重量基準粒度分布のメジアン径が50〜1000nmの範囲にあり、
    画像解析法により得られた面積(S)と画像解析法により得られた包絡面積(S )との比(S/S )が、0.60〜0.95の範囲にあり、
    遠心沈降法により得られる重量基準粒度分布の極大(ピーク)が一つであり、かつ幾何標準偏差σgが1.5以下であり、
    120℃での乾燥減量法によって測定される飽和水分量が1.5質量%以下である異形シリカ粉末を含有する樹脂組成物。
  7. 異形シリカ粉末が、画像解析法により得られる粒子の平均円形度が0.40〜0.85の範囲にあることを特徴とする請求項6に記載の樹脂組成物。
  8. 異形シリカ粉末が、画像解析法により得られる円形度が0.95以上である粒子の含有量が5個数%以下であることを特徴とする請求項6又は7に記載の樹脂組成物。
  9. 異形シリカ粉末が、ナトリウム、カリウム及び鉄の含有量が、それぞれ1ppm未満であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
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