JP6733022B2 - ワイヤソーによる溝加工装置とその方法 - Google Patents

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Description

本発明は、薄板状のワークやブロックのような厚いワークの表面に複数本の溝を形成する際に用いられるワイヤソーによる溝加工装置とその方法に係り、特に、均一な深さの溝をワークの表面に形成することが可能なワイヤソーによる溝加工装置とその方法に関する。
半導体のウェハ上に形成された集積回路を切り出してチップ化する工程では、「ダイシングソー」と呼ばれる装置が用いられることが多い。ダイシングソーは、ダイヤモンド製の円形刃を高速で回転させることによってワークを切断する構造であるため、ワークを複数のチップに切断する場合、一枚のチップから生成されるチップの個数に比例して加工時間が長くなってしまう。また、ダイシングソーの円形刃は、摩耗し易いため、頻繁に交換する必要がある。
これに対し、上記ウェハの切断にワイヤソーを用いた場合、ワイヤソーでは、ウェハが次々に繰り出される新しいワイヤによって切断されることから、ワイヤを交換する頻度はダイシングソーにおいて円形刃を交換する頻度に比べると格段に低い。また、平行に設置された複数本のワイヤによってワークを加工する「マルチワイヤソー」と呼ばれる装置では、一枚のワークを所定のピッチで切断して複数のチップを短時間で同時に生成することができる。
ここで、マルチワイヤソーの構造について図13を用いて説明する。なお、図13は従来技術に係るマルチワイヤソーの要部を示した模式図である。
図13に示すように、マルチワイヤソー50は、樹脂バインダや電着によってダイヤモンド砥粒を表面に固着させたワイヤ51と、このワイヤ51の繰り出しや巻き取りを行うリールボビン52a,52bと、互いに所定の間隔をあけて平行に設置されるとともにワイヤ51が巻回された溝付きローラ53,53と、砥粒を含む加工液をワーク56とワイヤ51の間に供給するための一対の加工液噴射ノズル54,54と、ワーク56を保持するとともに、ねじ送り機構やモータなどからなる駆動機構(図示せず)によって駆動されて上下方向へ移動するワークホルダ55と、ワイヤ51の張力を一定に保つための張力発生手段(図示せず)を備えている。なお、ワイヤ51には、上述の固定砥粒方式のワイヤ以外にも、ピアノ線に真鍮メッキされたワイヤやタングステンワイヤが用いられることもある。
溝付きローラ53,53は、支持手段(図示せず)によって、水平に設置された回転軸(図示せず)を中心として回転可能に支持されており、外周面53aには環状の溝(図示せず)が所定のピッチで形成されている。また、溝付きローラ53,53の間にワイヤ51が何回も架け渡されることによって一対のワイヤ群57a,57bが溝付きローラ53,53の上下にそれぞれ形成されるように、ワイヤ51は溝付きローラ53,53に対し、軸方向の一端から他端にかけて交互に往復するように螺旋状に巻き付けられている。そして、ワイヤ51が溝付きローラ53の外周面53aに巻回される箇所では、隣り合う2本のワイヤ51の間の距離(ピッチ)が一定に保たれるように、上述の溝の内部にワイヤ51が配置されている。
さらに、ワークホルダ55は、下降した場合に、ワーク56の表面がワイヤ群57aに当接するように溝付きローラ53,53の上方に設置されている。
図13に矢印Xで示すように、リールボビン52a,52bをそれぞれ回転させると、リールボビン52aから繰り出された51は、溝付きローラ53,53の外周面に形成された環状の溝に沿って走行した後、リールボビン52bによって巻き取られる。このとき、ワイヤ群57a,57bを構成する各ワイヤ51は、それぞれ同じ方向に走行している。そのため、ワークホルダ55を下降させて、溝付きローラ53,53の上側に形成されたワイヤ群57aにワーク56を当接させると、ワーク56の表面に対して同時に複数本の溝が形成される。
このように、マルチワイヤソー50を用いると、ワーク56を切断するだけでなく、ワーク56の表面に対して複数本の溝を任意の深さで同時に加工することができる。そして、このワイヤソーによってワークの表面に溝を加工する技術に関しては、既に幾つかの発明や考案が開示されている。
例えば、特許文献1には、「ワイヤソーによるワークの溝切り装置」という名称で、半導体ウェハなどのような硬脆材料からなる薄板状のワークの表面に任意の深さの溝を短時間で高精度に加工する装置に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示された発明は、上面がワイヤの走行方向に直交する曲率中心軸を持つ円筒状をなすワーク固定台と、このワーク固定台の上面に湾曲固定されたワークをワイヤに押し当てるワーク押出機構を備えたことを特徴としている。
ワイヤに平坦な状態のワークを押し当てた場合、ワイヤの撓みにより、ワークの端縁部では深い溝が形成され、ワークの中央部では浅い溝が形成される。これに対し、特許文献1に開示された発明では、ワークがワイヤと略平行をなすように湾曲されていることから、ワイヤの走行方向に沿ってワークに略均一な深さの溝を加工することができる。
また、特許文献2には、「ワイヤソーによる溝加工方法および溝加工用のワイヤソー」という名称で、シングルワイヤ式又はマルチワイヤ式のワイヤソーを用いて、半導体ウェハなどのワークの溝加工を行う方法とそれに用いられる装置に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示されたワイヤソーは、円板状又は円柱状の押し付けローラ又は押し付けロッドからなり、ワークに対して溝加工方向に相対的に移動可能に設置される押し付け手段を備えたことを特徴としている。
このような構造のワイヤソーによれば、押し付け手段がワイヤの撓みを防ぐように作用するため、ワイヤの走行方向に沿って均一な深さの溝をワークに加工することが可能である。
特開2000−233357号公報 特開2015−202546号公報
特許文献1に開示された発明は、ワイヤの走行方向については、ワークに略均一な深さの溝を加工することができるものの、溝の加工と同時にワークを切断することができないという課題があった。
また、特許文献2に開示された発明では、ワークに形成される溝の深さを均一にするには、一対の溝付きローラの間に張設されるワイヤごとに押し付け手段を設ける必要があるため、ワーク1枚あたりに形成される溝の数が多い場合には、溝加工装置が高価なものになってしまう。また、押し付け手段として押し付けロッドを用いれば、溝の加工と同時にワークの切断を行うことができるが、この場合、ワークに加工できる溝の幅が押し付けロッドの幅の制約を受けるため、ワークに対して非常に狭い幅の溝を形成することができないという課題があった。
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、1つのワークに対して溝を形成する工程と、その所定の箇所を切断する工程を同時に行うことが可能なワイヤソーによる溝加工装置とそれを用いた溝加工方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、第1の発明に係るワイヤソーによる溝加工装置は、水平に設置された各回転軸を中心として回転可能に、互いに所定の間隔を空けて平行に設置された一対の第1のローラと、一対の第1のローラに対し、軸方向の一端から他端にかけて交互に往復するように螺旋状に巻き付けられたワイヤと、ワークを保持可能に形成されたワークホルダと、このワークホルダを上下方向へ移動させる第1の駆動機構と、ワークよりも薄いブロック材からなり、ワークホルダに設置される一対の第1のストッパと、を備え、一対の第1のローラの外周面には、ワイヤが1回だけ巻き付けられる第1の環状溝が回転軸に環の中心軸が一致するように所定のピッチで複数個所に形成され、一対の第1のストッパは、ワイヤによって切削され難い部材によって形成され、ワークを間に挟むようにしてワイヤの走行方向の前方と後方にそれぞれ配置されるとともに、その外面に対して、鉛直方向へ所定の深さを有する直線状の溝がワイヤを内部に配置可能に形成され、ワークホルダは、一対の第1のローラの間にワイヤが複数回掛け渡された一対のワイヤ群の一方に対し、上下方向へ移動した場合に当接するように一対の第1のローラの上方又は下方に設置されていることを特徴とするものである。
第1の発明においては、ワークホルダに保持されたワークを上下方向のいずれかに移動させて、その表面を走行中のワイヤ群に接触させた場合、第1のストッパの溝の内部に配置されたワイヤは、溝の底部に接触するまで、その移動を制限されないが、それ以外のワイヤは第1のストッパの外面に接触した段階で、その移動を制限されるため、ワークには、第1のストッパの溝の内部に配置されたワイヤによって、他のワイヤがワークに形成する溝よりもさらに深い溝が形成されるという作用を有する。
また、第2の発明に係るワイヤソーによる溝加工装置は、第1の発明において、第1のストッパの外面に溝が形成される代わりに、一対の第1のローラの外周面に、ワイヤが少なくとも2回以上巻き付けられる第2の環状溝が形成されていることを特徴とするものである。
第2の発明では、第1のローラの第2の環状溝にワイヤが少なくとも2回以上巻き付けられることでまとまった状態となるため、曲げに対するワイヤの剛性が高くなる。この場合、ワイヤが撓み難くなるとともに、ワークを加工する際に発生する切り屑が排出され易くなる。したがって、第2の発明においては、第1のローラの第2の環状溝に巻き付けられたワイヤの切削能力が第1の環状溝に巻き付けられたワイヤの切削能力に比べて高いという作用を有する。
第3の発明に係るワイヤソーによる溝加工装置は、第1の発明において、第1のストッパを備える代わりに、ワイヤによって切削され難い部材によって形成された円柱体からなり、両端に軸体が設けられた一対の第2のストッパと、軸体を介して一対の第2のストッパを円柱軸の周りにそれぞれ回転自在に支持する二対の軸受けを備え、一対の第2のストッパは、円柱軸がワイヤの走行方向と直交し、かつ、ワークを間に挟むようにしてワイヤの進行方向の前方と後方にそれぞれ設置されるとともに、ワイヤが1回だけ巻き付けられる第5の環状溝が円柱軸に対して環の中心軸を一致させた状態で外周面に形成されていることを特徴とするものである。
第3の発明では、ワークホルダに保持されたワークを上下方向のいずれかに移動させて、その表面を走行中のワイヤ群に接触させた場合、第2のストッパの第5の環状溝の内部に配置されたワイヤは、第5の環状溝の底部に接触するまで、その移動を制限されないが、それ以外のワイヤは第2のストッパの外周面に接触した段階で、その移動を制限されるため、ワークには、第2のストッパの第5の環状溝の内部に配置されたワイヤによって、他のワイヤがワークに形成する溝よりもさらに深い溝が形成されるという作用を有する。
また、第1の発明における第1のストッパや第2の発明における第2のストッパはワイヤによって加工され難い部材で形成されているものの、ワイヤ群の走行が何度も繰り返されると、第1のストッパや第2のストッパの表面はワイヤ群と接触している部分が次第に摩耗していく。しかし、第2のストッパは軸受けによって回転自在に支持されており、その表面に接触しているワイヤ群の走行に伴って回転することから、第2のストッパとワイヤとの間に発生する摩擦力は、第1のストッパとワイヤの間に発生する摩擦力よりも小さい。したがって、第3の発明では、ワイヤ群と接触している部分における第2のストッパの摩耗量が、第1のストッパにおける当該部分の摩耗量よりも少ないという作用を有する。
第4の発明に係るワイヤソーによる溝加工装置は、第3の発明において、第2のストッパの外周面に第5の環状溝が形成される代わりに、一対の第1のローラの外周面に、ワイヤが少なくとも2回以上巻き付けられる第2の環状溝が形成されていることを特徴とするものである。
このような構造を備えた第4の発明においては、第2の発明と同様の作用を有する。
第5の発明に係るワイヤソーによる溝加工装置は、第1の発明又は第3の発明において、一対の第1のローラの外周面に、ワイヤが少なくとも2回以上巻き付けられる第2の環状溝が形成されるとともに、第1のストッパを備えている場合には、ワークホルダにストッパが設置された状態で溝が、一対のワイヤ群の一方を構成するワイヤに対し、それぞれの直上又は直下に配置可能に形成されており、第2のストッパを備えている場合には、ワークホルダに第2のストッパが設置された状態で第5の環状溝が、一対のワイヤ群の一方を構成するワイヤに対し、それぞれの直上又は直下に配置可能に形成されていることを特徴とするものである。
第2の発明又は第4の発明において、ワークに加工される溝の深さが浅い場合、ワイヤがストッパの表面で自転するように捻じれることによってワークに対して横方向(ワイヤの走行方向に直交する方向)へ移動する結果、ワークに加工される溝の形状が悪化したり、溝同士の境界となる柱部分に割れや欠けが発生したりするおそれがある。これに対し、第5の発明においては、ワイヤが第1のストッパの溝又は第2のストッパの第5の環状溝により、ワークの横方向へ移動しないように保持されるため、上述の柱部分に割れや欠けが発生し難いという作用を有する。
第6の発明に係るワイヤソーによる溝加工装置は、第2の発明乃至第5の発明のいずれかの発明において、一対の第1のローラと平行をなすとともに互いに所定の間隔を空けた状態で各回転軸を中心として回転可能に設置された一対の第2のローラと、一対の第2のローラを上下方向へ移動させる第2の駆動機構と、を備え、一対の第1のローラの外周面に、第2の環状溝が形成される代わりに、一対の第2のローラの外周面には、ワイヤを1回だけ巻き付け可能な第3の環状溝が回転軸に環の中心軸が一致するように所定のピッチで複数個所に設けられるとともに、ワイヤを少なくとも2回以上巻き付け可能な第4の環状溝が形成され、一対の第2のローラは、一対のワイヤ群に上下を挟まれるとともに、一対のワイヤ群の一方を構成するワイヤに対し、それぞれの直上又は直下に第3の環状溝及び第4の環状溝が位置するように一対の第1のローラの間に設置されていることを特徴とするものである。
第6の発明では、一対の第2のローラにそれぞれ設けられた第3の環状溝が、その上方に配置されたワイヤ群を構成する複数本のワイヤに対して、それぞれの直下に配置されているため、一対の第2のローラを一対の第1のローラよりも上方に移動させると、上記ワイヤ群が一対の第2のローラによって持ち上げられた状態になり、一対の第2のローラの第3の環状溝の内部にワイヤが1本ずつ配置されるとともに、第4の環状溝の内部に少なくとも2本以上のワイヤが配置される。これにより、第2の発明又は第3の発明の作用が同様に発揮される。これに対し、一対の第2のローラが一対の第1のローラよりも下方にある場合、上記ワイヤ群を構成する複数本のワイヤは第1のローラに設けられた第1の環状溝の内部に1本ずつ配置されるため、第2の発明又は第3の発明の作用は発揮されない。
また、第2の発明乃至第5の発明では、第1のローラの第2の環状溝にワイヤが少なくとも2回以上巻き付けられることから、第2の環状溝内でワイヤが重なったり、潜り込んだりすることで、ワイヤが断線してしまう可能性があるが、第4の発明では、ワイヤ群を構成する複数本のワイヤのうちの何本かを一対の第2のローラの間で寄せるだけであるため、第4の環状溝内でワイヤが重なったり、潜り込んだりすることによって断線してしまうという事態は起こり難い。
第7の発明は、第1の発明乃至第6の発明のいずれかにおいて、ワークホルダは、無数の微細な吸着孔がワークの設置面に設けられた平板状のバキュームチャックからなることを特徴とするものである。
第7の発明においては、第1の発明乃至第6の発明のいずれかの発明の作用に加えて、ワークホルダに対するワークの着脱が容易であるという作用を有する。
第8の発明は、第7の発明において、シート状の多孔質材からなり、ワークが片面に載置されるスペーサを備えていることを特徴とするものである。
第8の発明においては、第7の発明の作用に加えて、スペーサが、ワークホルダによるワークの吸着機能を阻害することなく、ワイヤによって疵が付かないようにワークホルダの吸着面を保護するという作用を有する。
第9の発明に係るワイヤソーによる溝加工方法は、第1の発明乃至第8の発明のいずれかに係るワイヤソーによる溝加工装置を用いて、ワークの表面に溝を形成することを特徴とするものである。
第9の発明においては、ワイヤによってワークの表面に溝を形成する際に、第1の発明乃至第8の発明のいずれかの発明と同様の作用が発揮される。
以上説明したように、第1の発明によれば、ワークホルダに保持されたワークを上下方向のいずれかに移動させて、その表面を走行中のワイヤ群に接触させた場合、ワイヤによってワークに形成される溝の深さが一対の第1のストッパによって規制されるため、ワークに対して均一な深さの溝を高精度に形成することができるという効果を奏する。また、第1のストッパの溝の内部に配置されるワイヤによって、他のワイヤがワークに形成する溝よりもさらに深い溝がワークに形成されることから、第1の発明によれば、第1のストッパの溝を、その内部に配置されるワイヤがワークを切断するのに十分な深さに形成することで、ワークに溝を形成すると同時に、ワークの所定の箇所を切断することができる。
第2の発明では、第1のローラの第2の環状溝に巻き付けられたワイヤの切削能力が第1の環状溝に巻き付けられたワイヤの切削能力に比べて高いため、1つのワークに対して深さの異なる2種類の溝を同時に形成することができる。このとき、2種類の溝の深さの差は、ワイヤの種類や第1のローラの第2の環状溝にワイヤが巻き付けられる回数によって変化する。したがって、第2の発明によれば、ワークに形成される2種類の溝のうちの深い方の溝の深さがワークの厚さを超えるように、ワイヤの種類や第1のローラの第2の環状溝にワイヤが巻き付けられる回数を設定することで、ワークに溝を形成すると同時に、ワークの所定の箇所を切断することができる。また、第2の発明によれば、1本のワイヤによってワークに形成される溝の深さと、まとまった状態にある少なくとも2本以上のワイヤによって形成される溝の深さとの差を、ストッパの材質を変えることにより調節することが可能である。
第3の発明によれば、第2のストッパが第1の発明における第1のストッパよりも摩耗し難いため、ワークに対して均一な深さの溝を高精度に形成できるという効果が第1の発明の場合よりもさらに長期に亘って発揮される。
第4の発明によれば、第2の発明と同様の効果を奏する。
第5の発明では、第1の発明又は第3の発明の効果に加え、ワークに加工される溝同士の境界となる柱部分に割れや欠けが発生し難いため、ワークに対して、溝の加工や切断を安定した状態で短時間に行うことができるという効果を奏する。
第6の発明では、第2のローラを上下動させることで、溝の形成とワークの切断を同時に行うことができるという第2の発明乃至第5の発明のいずれかの発明の効果に加え、ワークに対して溝のみを形成することができるという効果が発揮される。
第7の発明では、第1の発明乃至第6の発明のいずれかの発明の効果に加えて、ワークに溝加工を施す際の作業効率が向上するという効果を奏する。
第8の発明では、第7の発明の効果に加えて、ワークホルダの吸着面に疵が付き難いため、ワークホルダの故障を防ぐことができるという効果を奏する。
第9の発明によれば、ワークに溝を加工する工程と、ワークを切断する工程が同時に行われるため、1つのワークに対して、溝の加工と切断という2つの処理を短時間で行うことが可能である。
(a)は本発明の実施の形態に係るワイヤソーによる溝加工装置の実施例1の要部を模式的に示した斜視図であり、(b)及び(c)はそれぞれ同図(a)におけるメインローラとサブローラの断面の一部を示した図である。 (a)及び(b)はそれぞれワークホルダとスペーサの外観斜視図であり、(c)はワークホルダの吸着面にワークが設置された状態を示す斜視図である。 (a)は図1(a)におけるA方向矢視図であり、(b)及び(c)はそれぞれメインローラ及びサブローラの環状溝とワイヤの位置関係を示した断面図である。 (a)は図3(c)におけるB部の拡大図であり、(b)は図3(a)においてサブローラを上昇させてワイヤに接触させた状態を示す図であり、(c)は同図(b)におけるサブローラの環状溝とワイヤの位置関係を示した断面図である。 サブローラの環状溝の形状を説明するための図である。 (a)は図4(a)においてワークホルダを下降させてワークをワイヤに接触させた状態を示す図であり、(b)は同図(a)においてワークホルダに保持されたワークがワイヤによって加工される状態を拡大して示した図であり、(c)は同図(a)に示したサブローラの環状溝とワイヤの位置関係を示した断面図である。 (a)はワイヤ群にサブローラを接触させずにワークの溝加工を行った場合のワイヤの状態を模式的に示した図であり、(b)は同図(a)に示したワークの断面図である。 (a)はワイヤ群にサブローラを接触させてワークの溝加工を行った場合のワイヤの状態を模式的に示した図であり、(b)は同図(a)に示したワークの断面図であり、(c)は同図(a)におけるC部の拡大図である。 (a)はストッパの変形例を示した斜視図であり、(b)は同図(a)のストッパを用いてワークの溝加工を行った場合のワイヤの状態を模式的に示した図であり、(c)は同図(b)に示したワークの拡大図である。 (a)及び(b)は本発明の実施の形態に係るワイヤソーによる溝加工装置の実施例2におけるワークホルダの外観斜視図である。 (a)は図10(a)においてワイヤ群にサブローラを接触させてワークの溝加工を行った場合のワイヤの状態を示した模式図であり、(b)は同図(a)におけるD部の拡大図である。 (a)は図10(a)に示したストッパの変形例の外観斜視図であり、(b)は同図(a)におけるE−E線矢視断面図であり、(c)は図10(a)において上記ストッパを用いてワークの溝加工を行った場合のワイヤの状態を示した模式図である。 従来技術に係るマルチワイヤソーの要部を模式的に示した斜視図である。
本発明のワイヤソーによる溝加工装置とその方法について、図1乃至図12を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の説明では、メインローラとサブローラの各回転軸が水平に設置されている状態、すなわち、ワイヤソーによる溝加工装置が実際に使用される状態を想定して、「上下方向」や「下面」などの表現を用いている。
図1(a)はワイヤソーによる溝加工装置1の要部を模式的に示した斜視図であり、図1(b)及び図1(c)はメインローラ2とサブローラ3が各回転中心を含む平面でそれぞれ切断された状態を示している。また、図2(a)及び図2(b)はそれぞれワークホルダ4とスペーサ5の外観斜視図であり、図2(c)はワークホルダ4の吸着面4cにスペーサ5とストッパ6とワーク56が設置された状態を示している。
なお、図2(a)及び図2(b)では、図が煩雑になるのを避けるため、吸着孔4bや貫通孔5aについて、その一部のみを示している。さらに、先の図13に示した構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図1(a)に示すように、本発明のワイヤソーによる溝加工装置1は、図13を用いて説明したマルチワイヤソー50において、溝付きローラ53,53の代わりに、互いに所定の間隔をあけて平行に設置される一対のメインローラ2,2を備えるとともに、ワークホルダ55の代わりに、ワーク56を保持した状態でねじ送り機構やモータなどからなる駆動機構(図示せず)によって駆動されて上下方向へ移動するワークホルダ4を備えている。
さらに、ワイヤソーによる溝加工装置1は、互いに所定の間隔をあけて平行に設置され、ねじ送り機構やモータなどからなる駆動機構(図示せず)によって駆動されて上下方向へ移動する一対のサブローラ3,3を備えている。
メインローラ2,2とサブローラ3,3は、支持手段(図示せず)によって、水平に設置された回転軸(図示せず)を中心としてそれぞれ回転可能に支持されている。
メインローラ2の外周面2aには、図1(b)に示すように、ワイヤ51を1回だけ巻回できる大きさの環状溝2bが、メインローラ2の回転軸に環の中心軸が一致するように所定のピッチで複数個所に形成されている。そして、ワイヤ51は、その一部が環状溝2bの内部に配置された状態で、メインローラ2,2に対し、軸方向の一端から他端にかけて交互に往復するように螺旋状に巻き付けられている。このように、ワイヤ51は、環状溝2bの内部を走行可能に配置されることで、隣りの他のワイヤ51との間隔(ピッチ)が一定に保たれている。
サブローラ3,3は、メインローラ2,2の間にワイヤ51が何度も架け渡されることによって形成される一対のワイヤ群57a,57bに上下を挟まれた形でメインローラ2,2の間に設置されている。また、ワークホルダ4は、下降した場合に、ワーク56の表面がワイヤ群57aに当接するようにメインローラ2,2の上方に設置されている。
サブローラ3の外周面3aには、図1(c)に示すように1本分のワイヤ51を内部に配置可能な大きさを有する複数本の環状溝3bが、サブローラ3の回転軸に環の中心軸が一致するようにメインローラ2の環状溝2bと同じピッチで形成されるとともに、環状溝3bが形成されていない箇所に、3本分のワイヤ51を内部に配置可能な大きさを有する環状溝3cが、サブローラ3の回転軸に環の中心軸が一致するように形成されている。そして、サブローラ3,3は、外周面3aに形成された複数本の環状溝3bがメインローラ2,2の上側に形成されたワイヤ群57aを構成する複数本のワイヤ51に対し、それぞれの直下に位置するように設置されている。
ワークホルダ4は、図2(a)に示すように平面視矩形平板状をなすバキュームチャックであり、その側面の一つには、真空ポンプ(図示せず)を接続するための吸引口4aが設けられており、吸着面4cには、無数の微細な吸着孔4bが設けられている。また、ワークホルダ4の内部には、吸引口4aと吸着孔4bを繋ぐ配管(図示せず)が形成されている。すなわち、ワークホルダ4は、吸着孔4bを塞ぐように吸着面4cに設置されたワーク56が吸引口4aに接続された真空ポンプ(図示せず)によって吸着される構造となっている。
このように、ワイヤソーによる溝加工装置1では、ワークホルダ4に対するワーク56の着脱が容易であることから、ワーク56に溝を加工する作業を効率よく行うことができる。
スペーサ5は、図2(b)に示すように平面視矩形状をなし、無数の微細な貫通孔5aを有する多孔質セラミックやポリエチレンで形成されたシートである。この場合、ワークホルダ4の吸着面4cにスペーサ5を介してワーク56が設置されていても、ワークホルダ4によるワーク56の吸着機能がスペーサ5によって阻害されることがない。そして、ワークホルダ4の吸着面4cがワイヤ51によって疵が付かないように保護するというスペーサ5の機能により、ワイヤソーによる溝加工装置1では、ワークホルダ4が故障し難いという効果が発揮される。
また、ワークホルダ4の吸着面4cには、図2(c)に示すようにスペーサ5を介してワーク56が設置されるとともに、略直方体をなし、炭化ケイ素などのファインセラミックスやサファイアで形成されたブロック材からなる一対のストッパ6,6がワーク56を間に挟むようにしてワイヤ51の走行方向の前方と後方にそれぞれ設置されている(後段における図3(a)を参照)。なお、ストッパ6は、スペーサ5とワーク56を合わせた厚さよりも薄くなるように形成されている。
図3(a)は図1(a)におけるA方向矢視図であり、図3(b)及び図3(c)はそれぞれメインローラ2とサブローラ3をそれらの回転中心を含む平面で切断した場合の断面図であり、メインローラ2の環状溝2b及びサブローラ3の環状溝3b,3cとワイヤ51の位置関係を示している。
また、図4(a)は図3(c)におけるB部の拡大図であり、図4(b)は図3(a)においてサブローラ3を上昇させてワイヤ51に接触させた状態を示す図であり、図4(c)は図4(b)においてサブローラ3をその回転中心を含む平面で切断した場合の断面図であり、サブローラ3の環状溝3b,3cとワイヤ51の位置関係を示している。さらに、図5はサブローラ3の環状溝3cの溝深さhを説明するための図である。
図6(a)は図4(a)においてワークホルダ4を下降させてワーク56をワイヤ51に接触させた状態を示しており、図6(b)は図6(a)においてワークホルダ4に保持されたワーク56がワイヤ51によって加工される状態を拡大して示している。また、図6(c)はサブローラ3をその回転中心を含む平面で切断した場合の断面図であり、図6(a)に示したサブローラ3の環状溝3b,3cとワイヤ51の位置関係を示している。
なお、図1及び図2並びに図12に示した構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。また、図3(a)、図4(b)及び図6(a)では、図12に示した構成要素のうち、リールボビン52a,52bと加工液噴射ノズル54について、それらの図示を省略している。さらに、図3(b)及び図3(c)並びに図4(a)及び図4(c)並びに図6(c)では、ワイヤ51の符号を一部のみに付している。そして、図6(c)では、サブローラ3の環状溝3cの配置された3本のワイヤ51が、ワーク56やストッパ6によって環状溝3cの底に押し込まれる前の状態を破線で示している。
図3(a)乃至図3(c)に示すように、側面視してサブローラ3,3がメインローラ2,2よりも下方にある場合、ワイヤ51は、メインローラ2,2の環状溝2b,2bの内部に配置されているが、サブローラ3,3の環状溝3b,3cについては、その内部に配置される代わりにその上方に配置された状態となっている。
なお、サブローラ3の環状溝3cは、図4(a)に示すように断面がV字形をなしており、両隣の環状溝3b,3bに対するピッチが等しく、かつ、溝幅wが、隣り合う2本のワイヤ51,51の中心間の距離pの2倍よりも広くなるように形成されている。また、V字の角度αは60〜90度であり、ワイヤ51の直径をrとすると、溝深さhは以下の式(1)で表される(図5参照)。
Figure 0006733022
前述したように、サブローラ3に設けられた複数本の環状溝3bは、ワイヤ群57aを構成する複数本のワイヤ51の直下に配置されている。そのため、サブローラ3,3をメインローラ2,2よりも上方に移動させると、図4(b)に示すように、ワイヤ群57aはサブローラ3,3によって持ち上げられた状態になり、サブローラ3,3の環状溝3b,3bの内部にワイヤ51が1本ずつ配置されるとともに、環状溝3cの内部に3本のワイヤ51が配置される(図4(c)参照)。
なお、サブローラ3の環状溝3cの内部に配置されるワイヤ51の数は3本に限らず、4本以上あるいは2本でも良い。例えば、隣り合う2本のワイヤ51,51の中心間の距離pと環状溝3cの溝幅wの間に以下の式(2)で表されるような関係が成り立つ場合、図4(b)に示すようにワイヤ群57aがサブローラ3,3によって持ち上げられることで、環状溝3cの内部にはn本のワイヤ51が配置されることになる。
Figure 0006733022
サブローラ3の環状溝3cの内部に配置された3本のワイヤ51がまとまった状態になると、曲げに対する剛性が高くなる。その結果、撓み難くなり、ワーク56を加工する際に発生する切り屑も排出され易くなる。これにより、ワーク56に対する切削能力が向上する。
既に述べたように、ワークホルダ4の吸着面4cには、スペーサ5とワーク56を合わせた厚さよりも薄い一対のストッパ6,6がスペーサ5とワーク56を間に挟むようにしてワイヤ51の走行方向の前方と後方にそれぞれ設置されている(図2(c)及び図4(b)を参照)。そして、炭化ケイ素などのファインセラミックスやサファイアで形成されたブロック材からなるストッパ6は、ワイヤ51による加工が難しいため、ワークホルダ4を下降させて、ワーク56の表面を走行中のワイヤ群57aに接触させた場合、ワーク56がストッパ6,6よりも突出している部分だけがワイヤ51によって加工される。これに対し、まとまった状態の3本のワイヤ51は1本のワイヤ51よりも切削能力が高いため、1本のワイヤ51では加工が困難なストッパ6についても、まとまった状態の3本のワイヤ51を用いれば、加工することができる。
図4(b)に示した状態から、ワークホルダ4を下降させて、ワーク56の表面を走行中のワイヤ群57aに接触させた場合、図6(a)又は図6(b)に示すように、サブローラ3の環状溝3bに配置された1本のワイヤ51によって、ワーク56がストッパ6,6よりも突出している部分に溝が形成されるとともに、この溝よりもさらに深い溝がサブローラ3の環状溝3cに配置された3本のワイヤ51によってワーク56に対して形成される。このとき、環状溝3cに配置された3本のワイヤ51は、ワーク56やストッパ6によって環状溝3cの底に押し込まれることにより、図6(c)に示すようにまとまった状態となっている。
つぎに、ワイヤソーによる溝加工装置1を用いてワーク56に溝を加工する方法について図7及び図8を参照しながら具体的に説明する。図7(a)はワイヤ群57aにサブローラ3,3を接触させずにワーク56の溝加工を行った場合のワイヤ51の状態を模式的に示した図であり、図7(b)は図7(a)に示したワーク56をワイヤ51の走行方向に直交する平面で切断した状態を示している。また、図8(a)はワイヤ群57aにサブローラ3,3を接触させてワーク56の溝加工を行った場合のワイヤ51の状態を模式的に示した図であり、図8(b)は図8(a)に示したワーク56をワイヤ51の走行方向に直交する平面で切断した状態を示しており、図8(c)は図8(a)におけるC部の拡大図である。
なお、図7(a)と図8(a)はワークホルダ4の吸着面4cが上を向いた状態を示している。また、図が煩雑になるのを避けるため、ワイヤ群57aを構成する複数本のワイヤ51のうち、図7では3本のみを表示し、図8では5本のみを示している。ただし、図7と図8ではワイヤ51のピッチが異なっている。
さらに、図1乃至図6に示した構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
1本のワイヤ51では加工が困難な部材によってストッパ6,6を形成し、図6(a)又は図6(b)に示したようにワーク56の表面を走行中のワイヤ群57aに接触させた場合、ストッパ6,6は1本のワイヤ51によって加工されず、ワーク56がストッパ6,6よりも突出している部分だけが1本のワイヤ51によって加工される。このとき、スペーサ5がストッパ6よりも薄いと、図7(a)及び図7(b)に示すように、ワーク56には、1本のワイヤ51によって3つの溝56aが所定のピッチで同時に形成される。
このように、ストッパ6,6は、1本のワイヤ51によってワーク56に形成される溝56aの深さを規制するという作用を有するため、ワイヤソーによる溝加工装置1では、ワーク56に対して均一な深さの溝56aを高精度に形成することができる。
既に述べたように、まとまった状態の3本のワイヤ51は、1本のワイヤ51よりも切削能力が高い。したがって、まとまった状態の3本のワイヤ51では加工できるが、1本のワイヤ51では加工が困難な部材によってストッパ6,6を形成し、図6(a)又は図6(b)に示したようにワーク56の表面を走行中のワイヤ群57aに接触させると、まとまった状態の3本のワイヤ51によってストッパ6に形成される溝の深さだけ、1本のワイヤ51によって形成される溝よりも深い溝がワーク56に形成される。そして、この2種類の溝の深さの差は、ストッパ6,6の材質によって異なる。したがって、ワイヤソーによる溝加工装置1によれば、ストッパ6,6の材質を適宜選択することで、上述の2種類の溝の深さの差を調節することが可能である。
そこで、まとまった状態の3本のワイヤ51によってストッパ6に形成される溝の深さが、ストッパ6とスペーサ5の厚さの差に等しくなるように、ストッパ6,6の部材を選定し、図6(a)又は図6(b)に示したようにワーク56の表面を走行中のワイヤ群57aに接触させた場合、図8(a)及び図8(b)に示すように、ワーク56には、1本のワイヤ51によって2つの溝56aが所定のピッチで同時に形成されるとともに、まとまった状態の3本のワイヤ51(図8(c)参照)によって、ワーク56の幅方向の中央部が切断される。
このように、本発明のワイヤソーによる溝加工方法によれば、ワーク56に溝56aを加工する工程と、ワーク56を切断する工程が同時に行われるため、1つのワーク56に対して、溝の加工と切断という2つの処理を短時間で行うことができる。
ここで、ワイヤソーによる溝加工装置1の変形例について図9を用いて説明する。図9(a)はストッパ6の変形例に係るストッパ7の外観斜視図であり、図9(b)はストッパ7を用いてワーク56の溝加工を行った場合のワイヤ51の状態を示した模式図であり、図9(c)は図9(b)に示したワーク56の拡大図である。なお、図1乃至図8に示した構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
図9(a)に示すように、ストッパ7は、ストッパ6(図2(c)参照)に対して、厚さ方向(ワークホルダ4に設置された状態では鉛直方向)に所定の深さを有する直線状の溝7aがその内部に1本のワイヤ51を配置可能に形成されていることを特徴とする。
既に図2(c)及び図4(b)を用いて説明したようにワークホルダ4の吸着面4cに対し、スペーサ5とワーク56を合わせた厚さよりも薄い一対のストッパ6,6がスペーサ5とワーク56を間に挟むようにしてワイヤ51の走行方向の前方と後方にそれぞれ設置された状態でワークホルダ4を下降させて、ワーク56の表面を走行中のワイヤ群57aに接触させた場合、ストッパ6,6は1本のワイヤ51では加工が困難な部材によって形成されているため、スペーサ5がストッパ6よりも薄いと、図7(a)及び図7(b)に示すように、ワーク56には、1本のワイヤ51によって3つの溝56aが所定のピッチで同時に形成される。
これに対し、ストッパ6の代わりにストッパ7を用いることとし、ワイヤ群57aを構成するワイヤ51の直上にそれぞれの溝7aが位置するように、一対のストッパ7,7をワークホルダ4の吸着面4cに設置した状態でワークホルダ4を下降させて、ワーク56の表面を走行中のワイヤ群57aに接触させた場合、ストッパ7の溝7aの内部に配置されたワイヤ51は、溝7aの底部に接触するまで、その移動を制限されないが、それ以外のワイヤ51はストッパ7の外面に接触した段階で、その移動を制限される。そのため、ストッパ7の溝7aの内部に配置されたワイヤ51によって、他のワイヤ51がワーク56に形成する溝よりもさらに深い溝がワーク56に形成される。
したがって、予めストッパ7の溝7aを、その内部に配置されたワイヤ51がワーク56を切断するのに十分な深さに形成しておけば、ストッパ7の溝7aの外部に配置されたワイヤ51によって、ワーク56に2つの溝56aが所定のピッチで同時に形成されるとともに、ストッパ7の溝7aの内部に配置されたワイヤ51によってワーク56が切断されるという作用が発揮される(図9(b)及び図9(c)参照)。
このように、ワイヤソーによる溝加工装置1において、ストッパ6,6の代わりにストッパ7,7を用いると、ワーク56に溝56aを加工する工程と、ワーク56を切断する工程が同時に行われるため、1つのワーク56に対して、溝の加工と切断という2つの処理を短時間で行うことができる。
なお、ストッパ7の溝7aは、その内部に2本以上のワイヤ51を配置可能に形成された構造であっても良い。例えば、ワイヤソーによる溝加工装置1において、ストッパ7の溝7aがその内部に3本のワイヤ51を配置可能に形成されており、それぞれの溝7aがサブローラ3の環状溝3cの直上に位置するように一対のストッパ7,7がワークホルダ4の吸着面4cに設置されている場合、サブローラ3において、環状溝3bの内部に配置された1本のワイヤ51によってワーク56に形成される溝の深さと、環状溝3cの内部に配置された3本のワイヤ51によってワーク56に形成される溝の深さの差が一対のストッパ6,6を用いる場合よりも大きくなる。これにより、上述の2種類の溝の深さの差を調節できる範囲が広くなる。
ワイヤソーによる溝加工装置1において、ワーク56に加工される溝56aの深さが浅い場合、ワイヤ51がストッパ6の表面で自転するように捻じれることによってワーク56に対して横方向(ワイヤ51の走行方向に直交する方向)へ移動する結果、溝56aの形状が悪化したり、隣り合う2つの溝56a,56aの境界となる柱部分に割れや欠けが発生したりするおそれがある。これに対し、ワイヤソーによる溝加工装置1において、ストッパ6,6の代わりにストッパ7,7を用いると、ワイヤ51がストッパ7の溝7aにより、ワーク51の横方向へ移動しないように保持されるため、上述の柱部分に割れや欠けが発生し難い。したがって、ワーク56に対して、溝56aの加工や切断を安定した状態で短時間に行うことができる。
また、本実施例では、サブローラ3に環状溝3b,3cが形成されているが、本発明のワイヤソーによる溝加工装置は、このような構造に限定されるものではない。例えば、本発明のワイヤソーによる溝加工装置は、サブローラ3,3を備える代わりに、環状溝2bに加えて、3本分のワイヤ51を内部に配置可能な大きさを有する環状溝がメインローラ2、2のそれぞれの外周面2aに形成された構造であっても良い。この場合、サブローラ3,3を上下方向に移動させることにより、ワーク56に対して、溝56aの形成と切断が同時に行われる状態と、溝56aの形成のみが行われる状態を簡単に切り換えることができるという本実施例で説明したワイヤソーによる溝加工装置1における効果は発揮されないものの、溝56aの形成と切断を同時に行うことができるという効果については、上述のワイヤソーによる溝加工装置1の場合と同様に発揮される。そして、このような構造のワイヤソーによる溝加工装置においてもストッパ6の代わりにストッパ7を用いても良い。この場合にも上述の2種類の溝の深さの差を調節できる範囲が広くなるという効果が同様に発揮される。
また、本実施例では、メインローラ2の環状溝2bやサブローラ3の環状溝3b,3cの断面形状をV字形としているが、これに限らず、U字形とすることもできる。
さらに、本実施例では、ワイヤソーによる溝加工装置1を、一対のメインローラ2,2の上方に配置されたワークホルダ4が下降した場合にワイヤ群57aに当接するとともに、一対のサブローラ3,3が上昇した場合にワイヤ群57aに当接する構造としているが、一対のメインローラ2,2の下方に配置されたワークホルダ4が上昇した場合にワイヤ群57bに当接するとともに、一対のサブローラ3,3が下降した場合にワイヤ群57bに当接する構造とすることもできる。このような構造であっても、本実施例で説明したワイヤソーによる溝加工装置1における作用及び効果は同様に発揮される。
図10(a)は実施例1のワイヤソーによる溝加工装置1の変形例においてワークホルダ4の吸着面4cにワーク56が設置された状態を示す斜視図であり、図10(b)は図10(a)においてワイヤ群57a(図1(a)参照)にサブローラ3,3(図1(a)参照)を接触させずにワーク56の溝加工を行った場合のワイヤ51の状態を模式的に示した図である。
図11(a)は図10(a)においてワイヤ群57a(図1(a)参照)にサブローラ3,3(図1(a)参照)を接触させてワーク56の溝加工を行った場合のワイヤ51の状態を模式的に示した図であり、図11(b)は図11(a)におけるD部の拡大図である。
なお、図10(a)及び図10(b)はそれぞれ図2(c)及び図7(a)に対応し、図11(a)は図8(a)に対応するものである。すなわち、図10(a)及び図10(b)並びに図11(a)はワークホルダ4の吸着面4cが上を向いた状態を示している。また、図が煩雑になるのを避けるため、ワイヤ群57aを構成する複数本のワイヤ51のうち、図10(b)では3本のワイヤ51のみを表示し、図11(a)では5本のワイヤ51のみを示している。ただし、図10(b)及び図11(a)ではワイヤ51のピッチが異なっている。また、図1乃至図9及び図13を用いて既に説明した構成要素については、同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
図10(a)に示すように、実施例2に係るワイヤソーによる溝加工装置は、図2(c)を用いて説明したワイヤソーによる溝加工装置1において一対のストッパ6,6の代わりに、ワーク56の厚さよりも外径が小さい円柱体からなり、両端に軸体9,9が設けられた一対のストッパ8,8と、軸体8a,8aを介してストッパ8を、円柱軸を中心としてそれぞれ回転自在に支持する軸受け10,10を備えたことを特徴とする。
ただし、一対のストッパ8,8は、円柱軸がワイヤ51の走行方向と直交するとともに、ワーク56を間に挟むようにしてワイヤ51の進行方向の前方と後方にそれぞれ設置されている。また、一対のストッパ8,8は、例えば、炭化ケイ素等のファインセラミックスやサファイアなどのように、1本のワイヤ51では加工が困難な部材で形成されている。
図10(a)に示した実施例2のワイヤソーによる溝加工装置において、図6(a)及び図6(b)並びに図7(a)を用いて既に説明した場合と同様に、ワーク56の表面を走行中のワイヤ群57aに接触させると、ストッパ8,8は1本のワイヤ51によって加工されず、ワーク56がストッパ8,8よりも突出している部分だけが1本のワイヤ51によって加工される。このとき、スペーサ5がストッパ8よりも薄いと、図10(a)及び図7(b)に示すように、ワーク56には、1本のワイヤ51によって3つの溝56aが所定のピッチで同時に形成される。
このように、実施例2のワイヤソーによる溝加工装置では、ストッパ8,8がストッパ6,6と同様に、1本のワイヤ51によってワーク56に形成される溝56aの深さを規制するという作用を有する。
上述したようにストッパ6やストッパ8はワイヤ51によって加工され難い部材で形成されているものの、ワイヤ群57aの走行が何度も繰り返されると、ストッパ6やストッパ8の表面はワイヤ群57aと接触している部分が次第に摩耗していく。しかし、ストッパ8は軸受け9によって回転自在に支持されており、その表面に接触しているワイヤ群57aの走行に伴って回転することから、ストッパ8とワイヤ51との間に発生する摩擦力は、ストッパ6とワイヤ51の間に発生する摩擦力よりも小さい。そのため、ワイヤ群57aと接触している部分の摩耗量は、ストッパ8の方がストッパ6よりも少なくなる。
このように、実施例2のワイヤソーによる溝加工装置では、ストッパ8がストッパ6よりも摩耗し難いため、ワーク56に対して均一な深さの溝56aを高精度に形成できるという効果がワイヤソーによる溝加工装置1の場合よりもさらに長期に亘って発揮される。
既に述べたように、まとまった状態の3本のワイヤ51は、1本のワイヤ51よりも切削能力が高いため、まとまった状態の3本のワイヤ51では加工できる。そこで、1本のワイヤ51では加工が困難な部材によってストッパ8,8を形成し、図6(a)及び図6(b)並びに図7(a)を用いて既に説明した場合と同様に、ワーク56の表面を走行中のワイヤ群57aに接触させると、まとまった状態の3本のワイヤ51によってストッパ6に形成される溝の深さだけ、1本のワイヤ51によって形成される溝よりも深い溝がワーク56に形成される。そして、この2種類の溝の深さの差は、ストッパ8,8の材質によって異なる。
したがって、ストッパ8,8の材質を適宜選択することによれば、実施例2のワイヤソーによる溝加工装置においても、上述の2種類の溝の深さの差を調節できるという効果が実施例1のワイヤソーによる溝加工装置1の場合と同様に発揮される。
そこで、まとまった状態の3本のワイヤ51によってストッパ8に形成される溝を、ワーク56をちょうど切断するのに必要な深さとなるように、ストッパ8,8の部材を選定し、図6(a)及び図6(b)並びに図7(a)を用いて既に説明した場合と同様に、ワーク56の表面を走行中のワイヤ群57aに接触させると、図11(a)及び図8(b)に示すように、ワーク56には、1本のワイヤ51によって2つの溝56aが所定のピッチで同時に形成されるとともに、まとまった状態の3本のワイヤ51(図11(b)参照)によって、ワーク56の幅方向の中央部が切断される。
このように、実施例2のワイヤソーによる溝加工装置においても、実施例1のワイヤソーによる溝加工装置1を用いた場合と同様に、ワーク56に溝56aを加工する工程と、ワーク56を切断する工程が同時に行われるため、1つのワーク56に対して、溝の加工と切断という2つの処理を短時間で行うことができるという効果が発揮される。
ここで、実施例2のワイヤソーによる溝加工装置の変形例について図12を用いて説明する。図12(a)はストッパ8の変形例に係るストッパ11の外観斜視図であり、図12(b)は図12(a)におけるE−E線矢視断面図である。また、図12(c)は図10(a)においてストッパ8の代わりにストッパ11を設置してワーク56の溝加工を行った場合のワイヤ51の状態を模式的に示した図である。
なお、図12(c)は図9(b)に対応するものであり、ワークホルダ4の吸着面4cが上を向いた状態を示している。また、図が煩雑になるのを避けるため、ワイヤ群57aを構成する複数本のワイヤ51のうち、図12(c)では3本のワイヤ51のみを表示している。また、図1乃至図11及び図13を用いて既に説明した構成要素については、同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
図12(a)及び図12(b)に示すように、ストッパ11は、ストッパ8(図10(a)及び図10(b)並びに図11(a)参照)において、ワイヤ51を1回だけ巻回できる大きさの環状溝11aが外周面に形成されていることを特徴とする。なお、環状溝11aは、円柱軸(ストッパ11の回転軸)に環の中心軸が一致するように形成されている。
図9(b)を用いて既に説明した場合と同様に、ワイヤ群57aを構成するワイヤ51の直上にそれぞれの環状溝11aが位置するように、一対のストッパ11,11をワークホルダ4の吸着面4cに設置した状態でワークホルダ4を下降させて、ワーク56の表面を走行中のワイヤ群57aに接触させた場合、ストッパ11の環状溝11aの内部に配置されたワイヤ51は、環状溝11aの底部に接触するまで、その移動を制限されないが、それ以外のワイヤ51はストッパ11の外面に接触した段階で、その移動を制限される。そのため、ストッパ11の環状溝11aの内部に配置されたワイヤ51によって、他のワイヤ51がワーク56に形成する溝よりもさらに深い溝がワーク56に形成される。
したがって、予めストッパ11の環状溝11aを、その内部に配置されたワイヤ51がワーク56を切断するのに十分な深さに形成しておけば、ストッパ11の環状溝11aの外部に配置されたワイヤ51によって、ワーク56に2つの溝56aが所定のピッチで同時に形成されるとともに、ストッパ11の環状溝11aの内部に配置されたワイヤ51によってワーク56が切断されるという作用が発揮される(図12(c)及び図9(c)参照)。
このように、実施例2のワイヤソーによる溝加工装置において、ストッパ8,8の代わりにストッパ11,11を用いると、ワーク56に溝56aを加工する工程と、ワーク56を切断する工程が同時に行われるため、1つのワーク56に対して、溝の加工と切断という2つの処理を短時間で行うことができるという効果が実施例1のワイヤソーによる溝加工装置1の場合と同様に発揮される。
なお、ストッパ11の環状溝11aは、その内部に2本以上のワイヤ51を配置可能に形成された構造であっても良い。例えば、実施例2のワイヤソーによる溝加工装置において、ストッパ11の環状溝11aがその内部に3本のワイヤ51を配置可能に形成されており、それぞれの環状溝11aがサブローラ3の環状溝3cの直上に位置するように一対のストッパ11,11がワークホルダ4の吸着面4cに設置されている場合、サブローラ3において、環状溝3bの内部に配置された1本のワイヤ51によってワーク56に形成される溝の深さと、環状溝3cの内部に配置された3本のワイヤ51によってワーク56に形成される溝の深さの差が一対のストッパ8,8を用いる場合よりも大きくなる。この場合、上述の2種類の溝の深さの差を調節できる範囲を広くすることができる。
実施例2のワイヤソーによる溝加工装置において、ワーク56に加工される溝56aの深さが浅い場合、ワイヤ51がストッパ8の表面で自転するように捻じれることによってワーク56に対して横方向(ワイヤ51の走行方向に直交する方向)へ移動する結果、溝56aの形状が悪化したり、隣り合う2つの溝56a,56aの境界となる柱部分に割れや欠けが発生したりするおそれがある。これに対し、実施例2のワイヤソーによる溝加工装置において、ストッパ8,8の代わりにストッパ11,11を用いると、ワイヤ51がストッパ11の環状溝11aにより、ワーク51の横方向へ移動しないように保持されるため、上述の柱部分に割れや欠けが発生し難い。したがって、ワーク56に対して、溝56aの加工や切断を安定した状態で短時間に行うことが可能となる。
なお、実施例2では、ストッパ8及びストッパ11を一つの部材によって形成された円柱体としているが、これに限定されるものではなく、例えば、円筒状の部分と中心部分がそれぞれ別の部材によって形成されていても良い。このような構造であっても、実施例2のワイヤソーによる溝加工装置が有する上述の作用及び効果は同様に発揮される。
また、実施例2では、ストッパ8,11がワークホルダ4の下方に配置された構造となっているが、本発明のワイヤソーによる溝加工装置は、このような構造に限定されるものではなく、例えば、ストッパ8,11がワークホルダ4の前方や後方に配置された構造であっても良い。この場合、外径がワーク56よりも大きい円柱体をストッパ8,11に用いることができるというメリットがある。
請求項1乃至請求項に記載された発明は、半導体ウェハや放熱板あるいはシートなどのような薄板状のワークに対して複数本の溝を加工する工程と、そのワークの一部を切断する工程を同時に行う必要がある場合に特に有用である。
1…ワイヤソーによる溝加工装置 2…メインローラ 2a…外周面 2b…環状溝 3…サブローラ 3a…外周面 3b,3c…環状溝 4…ワークホルダ 4a…吸引口 4b…吸着孔 4c…吸着面 5…スペーサ 5a…貫通孔 6,7…ストッパ 7a…溝 8…ストッパ 9…軸体 10…軸受け 11…ストッパ 11a…環状溝 50…マルチワイヤソー 51…ワイヤ 52a,52b…リールボビン 53…溝付きローラ 53a…外周面 54…加工液噴射ノズル 55…ワークホルダ 56…ワーク 56a…溝 57a,57b…ワイヤ群

Claims (8)

  1. 水平に設置された各回転軸を中心として回転可能に、互いに所定の間隔を空けて平行に設置された一対の第1のローラと、
    一対の前記第1のローラに対し、軸方向の一端から他端にかけて交互に往復するように螺旋状に巻き付けられたワイヤと、
    ワークを保持可能に形成された水平面を有するワークホルダと、
    前記水平面に前記ワークが保持された前記ワークホルダを上下方向へ移動させる第1の駆動機構と、
    前記ワイヤによって切削され難い部材によって形成された円柱体からなり、両端に軸体が設けられた一対の第2のストッパと、
    前記軸体を介して一対の前記第2のストッパを円柱軸の周りにそれぞれ回転自在に支持する二対の軸受けと、を備え、
    一対の前記第1のローラの外周面には、前記ワイヤが1回だけ巻き付けられる第1の環状溝が前記回転軸に環の中心軸が一致するように所定のピッチで複数個所に形成され、
    一対の前記第2のストッパは、
    前記円柱軸が前記ワイヤの走行方向と直交し、かつ、前記ワークを間に挟むようにして前記ワイヤの進行方向の前方と後方にそれぞれ設置されるとともに、前記ワイヤが1回だけ巻き付けられる第5の環状溝が前記円柱軸に対して環の中心軸を一致させた状態で外周面に形成されており、
    二対の前記軸受けを介して一対の前記第2のストッパが前記ワークホルダに設けられるとともに、
    前記ワークホルダは、一対の前記第1のローラの間に前記ワイヤが複数回掛け渡された一対のワイヤ群の一方に対し、上下方向へ移動した場合に前記ワークが当接するように一対の前記第1のローラの上方又は下方に設置されていることを特徴とするワイヤソーによる溝加工装置。
  2. 前記第2のストッパの前記外周面に前記第5の環状溝が形成される代わりに、
    一対の前記第1のローラの前記外周面に、前記ワイヤが少なくとも2回以上巻き付けられる第2の環状溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のワイヤソーによる溝加工装置。
  3. 一対の前記第1のローラの前記外周面に、前記ワイヤが少なくとも2回以上巻き付けられる第2の環状溝が形成されるとともに、
    前記ワークホルダに前記第2のストッパが設置された状態で前記第5の環状溝が、一対の前記ワイヤ群の一方を構成する前記ワイヤに対し、それぞれの直上又は直下に配置可能に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のワイヤソーによる溝加工装置。
  4. 水平に設置された各回転軸を中心として回転可能に、互いに所定の間隔を空けて平行に設置された一対の第1のローラと、
    一対の前記第1のローラに対し、軸方向の一端から他端にかけて交互に往復するように螺旋状に巻き付けられたワイヤと、
    ワークを保持可能に形成された水平面を有するワークホルダと、
    前記水平面に前記ワークが保持された前記ワークホルダを上下方向へ移動させる第1の駆動機構と、
    前記ワークよりも薄いブロック材からなり、前記ワークホルダの前記水平面に設置される一対の第1のストッパと、を備え、
    一対の前記第1のローラの外周面には、前記ワイヤが1回だけ巻き付けられる第1の環状溝が前記回転軸に環の中心軸が一致するように所定のピッチで複数個所に形成されるとともに、前記ワイヤが少なくとも2回以上巻き付けられる第2の環状溝が形成され、
    一対の前記第1のストッパは、前記ワイヤによって切削され難い部材によって形成され、前記ワークを間に挟むようにして前記ワイヤの走行方向の前方と後方にそれぞれ配置され、
    前記ワークホルダは、一対の前記第1のローラの間に前記ワイヤが複数回掛け渡された一対のワイヤ群の一方に対し、上下方向へ移動した場合に前記ワークが当接するように一対の前記第1のローラの上方又は下方に設置されていることを特徴とするワイヤソーによる溝加工装置。
  5. 一対の前記第1のローラと平行をなすとともに互いに所定の間隔を空けた状態で各回転軸を中心として回転可能に設置された一対の第2のローラと、
    一対の前記第2のローラを上下方向へ移動させる第2の駆動機構と、を備え、
    一対の前記第1のローラの前記外周面に、前記第2の環状溝が形成される代わりに、
    一対の前記第2のローラの外周面には、前記ワイヤを1回だけ巻き付け可能な第3の環状溝が前記回転軸に環の中心軸が一致するように所定のピッチで複数個所に設けられるとともに、前記ワイヤを少なくとも2回以上巻き付け可能な第4の環状溝が形成され、
    一対の前記第2のローラは、一対の前記ワイヤ群に上下を挟まれるとともに、一対の前記ワイヤ群の一方を構成する前記ワイヤに対し、それぞれの直上又は直下に前記第3の環状溝及び前記第4の環状溝が位置するように一対の前記第1のローラの間に設置されていることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載のワイヤソーによる溝加工装置。
  6. 前記ワークホルダは、無数の微細な吸着孔が前記ワークの設置面に設けられた平板状のバキュームチャックからなることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のワイヤソーによる溝加工装置。
  7. シート状の多孔質材からなり、前記ワークが片面に載置されるスペーサを備えていることを特徴とする請求項6に記載のワイヤソーによる溝加工装置。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のワイヤソーによる溝加工装置を用いて、前記ワークの表面に溝を形成することを特徴とするワイヤソーによる溝加工方法。
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