JP2007054909A - ワイヤーソー加工方法 - Google Patents

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信愛 野口
Tetsuya Hatta
哲也 八田
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信也 吉田
Kazumasa Kitamura
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Abstract

【課題】 切断中における切断用ワイヤーの最大たわみ量の変化の程度を小さくして、被加工物の良好な平坦な切断面を得ることができるワイヤーソー加工方法の提供。
【解決手段】 この方法が適用されるワイヤーソー装置は、一対のローラ11,12間に張架されて張架方向に走行せしめられる複数の切断用ワイヤーWと、被加工物20を載置するテーブル14とを備え、テーブル14を上昇させて被加工物20を走行させられている切断用ワイヤーWに押し付けることで被加工物20を切断する。このワイヤーソー加工方法では、被加工物20の中央位置が切断用ワイヤーWの中央位置に対して張架方向にずれるように被加工物20がテーブル14上に載置される。これにより、切断用ワイヤーWの最大たわみ量が小さくなり、この結果、切断中における切断用ワイヤーの最大たわみ量の変化の程度も小さくなる。
【選択図】 図5

Description

本発明は、張架されたワイヤーをその張架方向に走行させるとともに被加工物に押し付け、同被加工物を切断するワイヤーソー加工方法に関する。
従来から、例えば、特許文献1に記載されているように、それぞれの回転軸が互いに平行となるように配設された円筒状の2本のローラと、2本のローラに巻き付けられて2本のローラの間に張力付与機構により調整された所定の張力をもって張架された切断用ワイヤーと、切断用ワイヤーをその張架方向(通常、水平方向)に走行させる走行手段(例えば、モータ等)と、被加工物を載置するテーブルと、被加工物が載置されたテーブルと切断用ワイヤーとの少なくとも一方を所定の押し付け方向(通常、鉛直方向)に相対移動させることにより被加工物を切断用ワイヤーに押し付ける移動手段(例えば、油圧プレス等)とを備えたワイヤーソー装置が知られている。
特開2003−89050
係るワイヤーソー装置を使用すれば、被加工物をテーブルに載置し、上記走行させられている切断用ワイヤーに所定の砥粒を分散させた加工液(スラリー)を滴下しながら被加工物を切断用ワイヤーに押し付けることによって被加工物を切断することができる。
ところで、被加工物に対する切断用ワイヤーの上記押し付け方向における相対移動速度(以下、「実際の送り速度」とも称呼する。)が小さいほど、被加工物と切断用ワイヤーとの間に介在する加工液の研磨効果がより発揮されることで被加工物において切断用ワイヤーにより切断・除去される部分の幅(水平方向であって上記張架方向と直角方向の距離。以下、「除去幅」と呼ぶこともある。)が大きくなる傾向がある。
換言すれば、切断中において実際の送り速度が変化すると、被加工物の加工面(切断面)の面精度(例えば、平面度、面粗さ等)が低下し、実際の送り速度の変化の程度が大きいほど、面精度の低下の程度も大きくなる。以上のことから、切断中に亘る実際の送り速度を一定にするため、テーブルに対する2本のローラの上記押し付け方向における相対移動速度は、通常、切断中に亘って一定になるように設定される。
他方、係るワイヤーソー装置を用いて被加工物を切断していく場合、切断用ワイヤーが被加工物に押し付けられることにより加工負荷が発生する。この結果、この加工負荷に応動する上記張力付与機構の作用により、切断用ワイヤーには上記押し付け方向において加工負荷に応じた「たわみ」が不可避的に発生する。以下、この「たわみ」の大きさを「たわみ量」と称呼し、切断用ワイヤーの張架方向に亘るたわみ量の分布のうちたわみ量の最大値を「最大たわみ量」と称呼することにする。
ここで、切断中において最大たわみ量が変化することは、テーブルに対する2本のローラの上記押し付け方向における相対移動速度が一定であっても、実際の送り速度が変化することを意味する。即ち、切断中において最大たわみ量が変化すると、被加工物の切断面の面精度が低下し、最大たわみ量の変化の程度が大きいほど、面精度の低下の程度も大きくなる。従って、切断中における最大たわみ量の変化の程度を小さくすることは、被加工物の切断面の面精度を向上させる上で非常に重要である。
従って、本発明の目的は、切断中における切断用ワイヤーの最大たわみ量の変化の程度を小さくして、被加工物の良好な平坦な切断面を得ることができるワイヤーソー加工方法を提供することにある。
本発明に係るワイヤーソー加工方法は、それぞれの回転軸が互いに平行となるように配設された円筒状の2本のローラと、前記2本のローラに巻き付けられて同2本のローラの間に張架された切断用ワイヤーと、前記切断用ワイヤーをその張架方向(例えば、水平方向)に走行させる走行手段と、被加工物を載置するテーブルと、前記被加工物が載置されたテーブルと前記切断用ワイヤーとの少なくとも一方を所定の押し付け方向(例えば、鉛直方向)に相対移動させることにより同被加工物を同切断用ワイヤーに押し付ける移動手段とを備えたワイヤーソー装置に適用され、前記被加工物を前記テーブルに載置し、前記移動手段により前記被加工物を前記走行させられている切断用ワイヤーに押し付けることによって同被加工物を切断する方法である。
本発明に係るワイヤーソー加工方法は、前記被加工物における前記切断用ワイヤーにより切断される部分である切断部分の前記張架方向における両端の間の中央位置が同切断用ワイヤーの前記張架方向における中央位置に対して(同張架方向において)ずれるように、同被加工物を前記テーブルに載置することを特徴としている。
ここにおいて、被加工物は、一つの個体であっても、複数の個体(例えば、同一形状の複数の個体)から構成されていてもよい。被加工物が複数の個体から構成される場合であってテーブル上において複数の個体のそれぞれが上記張架方向において所定の隙間をもって載置される場合、「被加工物の切断部分の上記張架方向における両端」とは、具体的には、複数の個体のうち上記張架方向の両端に位置する2つの個体のうち同張架方向の一方側の個体に係る上記切断部分の同張架方向の一方側の端と、同2つの個体のうち同張架方向の他方側の個体に係る上記切断部分の同張架方向の他方側の端を意味する。
以下、「被加工物の切断部分の上記張架方向における両端」を単に「被加工物の両端」と呼ぶこともある。また、切断用ワイヤーの上記張架方向における中央位置を単に「切断用ワイヤーの中央位置」と呼ぶこともある。
上述したように、切断用ワイヤーのたわみは、切断中の上記加工負荷に応じた上記張力付与機構の作用により発生する。ここで、上記最大たわみ量は、切断用ワイヤーの全体から被加工物の両端の間に対応する部分を除くことで得られる切断用ワイヤーの2つの部分の上記張架方向の長さ(R2とR3)に依存し、特に、これらのうち短い方(R3)(以下、「短側長さ」と称呼することもある。)が短いほど小さくなることが判っている。
加えて、最大たわみ量が小さいほど、切断中における最大たわみ量の変化の程度が小さくなる。以上のことから、切断中における最大たわみ量の変化の程度を小さくするためには、短側長さを短くすればよい。
他方、一般に、被加工物がテーブルに載置される際、被加工物の両端の間の中央位置が切断用ワイヤーの中央位置と一致するように被加工物がテーブルに載置される場合(以下、「中央位置が一致する場合」と呼ぶこともある。)が多い。これに対し、被加工物の両端の間の中央位置が切断用ワイヤーの中央位置に対してずれるように被加工物をテーブルに載置すると、被加工物の両端の間の距離が同一であっても短側長さを短くすることができる。
本発明は係る知見に基づくものである。即ち、本発明に係るワイヤーソー加工方法によれば、中央位置が一致する場合に比して短側長さを短くすることができる。従って、切断中における切断用ワイヤーの最大たわみ量の変化の程度を小さくすることができ、この結果、被加工物の良好な平坦な切断面を得ることができる。
この場合、具体的には、前記2本のローラの間に張架された前記切断用ワイヤーの両端の間の距離(M)から前記被加工物の両端の間の距離(L1)を減じた値(M−L1)に対する、前記切断用ワイヤーの全体から前記被加工物の両端の間に対応する部分を除くことで得られる同切断用ワイヤーの2つの部分の前記張架方向の長さ(R2とR3)のうち短い方(R3)の割合(R3/(M−L1))が0.4以下となるように、前記被加工物を前記テーブルに載置することが好適である。
これによれば、中央位置が一致する場合に比して短側長さを十分に短くすることができ、この結果、被加工物の十分に良好な平坦な切断面を得ることができる。なお、2本のローラ径が同一の場合、「2本のローラの間に張架された切断用ワイヤーの両端の間の距離」は、2本のローラの回転軸間距離と等しくなる。
本発明に係る他のワイヤーソー加工方法は、前記被加工物の切断部分が、前記切断用ワイヤーの中央位置に対する前記張架方向両側において存在するとともに同切断用ワイヤーの中央位置を含む同張架方向の所定の不存在範囲に亘って存在しないように、且つ、前記切断部分の前記張架方向における両端の間の距離(L2)に対する前記不存在範囲の前記張架方向の長さ(N)の割合(N/L2)が0.08以上となるように、前記被加工物を前記テーブルに載置することを特徴としている。
具体的には、例えば、被加工物が複数の個体から構成される場合であってテーブル上において複数の個体のそれぞれが上記張架方向において所定の隙間をもって載置される場合、上記不存在範囲に対応する隙間の上記張架方向の長さが他の隙間の上記張架方向の長さに対して大きくなるように複数の個体が載置される。
これによれば、被加工物を構成する複数の個体のそれぞれが上記張架方向において一定の隙間をもって載置される場合に比して短側長さを十分に短くすることができる。従って、これによっても、切断中における切断用ワイヤーの最大たわみ量の変化の程度を十分に小さくすることができ、この結果、被加工物の十分に良好な平坦な切断面を得ることができる。
加えて、本発明に係る他のワイヤーソー加工方法は、前記被加工物が複数の個体から構成されていて、前記被加工物における前記切断用ワイヤーにより切断される部分である切断部分のうち同切断用ワイヤーの前記張架方向における中央位置を含む所定の低密集度範囲に含まれる部分の同張架方向における密集度合いが、前記切断部分のうち前記低密集度範囲に含まれる部分に対して前記張架方向両側に存在する部分の同張架方向における密集度合いの0.5以下となるように、且つ、前記切断部分の前記張架方向における両端の間の距離(L2’)に対する前記低密集度範囲の前記張架方向の長さ(N’)の割合(N’/L2’)が0.08以上となるように、前記被加工物を前記テーブルに載置することを特徴としている。
具体的には、例えば、テーブル上において複数の個体(例えば、同一形状の複数の個体)のそれぞれが上記張架方向において所定の隙間をもって載置される場合、上記低密集度範囲に対応する隙間の上記張架方向の長さ(の平均値)が他の隙間の上記張架方向の長さ(の平均値)に対して大きくなるように複数の個体が載置される。
これによっても、被加工物を構成する複数の個体のそれぞれが上記張架方向において一定の隙間をもって載置される場合に比して短側長さを十分に短くすることができる。従って、これによっても、切断中における切断用ワイヤーの最大たわみ量の変化の程度を十分に小さくすることができ、この結果、被加工物の十分に良好な平坦な切断面を得ることができる。
上記本発明に係る何れかのワイヤーソー加工方法において、前記被加工物が、同被加工物における前記切断用ワイヤーにより切断される部分の前記張架方向の長さの合計(以下、「総切断長さ」と称呼する。)が同切断用ワイヤーの同被加工物への前記押し付け方向における侵入深さに応じて変化する形状を有している場合、前記テーブル上における前記被加工物の載置面が前記張架方向に対して傾くように同被加工物を前記テーブルに載置することが好適である。
ここにおいて、テーブル上における被加工物の載置面を上記張架方向に対して傾けるため、テーブルの上面に被加工物を直接載置する場合にはテーブルの上面(即ち、被加工物の載置面)そのものを上記張架方向に対して傾ければよく、テーブルの上面に治具(ワークホルダ)を載置してその治具の上面に被加工物を載置する場合にはテーブルの上面を傾けることなく治具の上面(即ち、被加工物の載置面)を上記張架方向に対して傾ければよい。
総切断長さが上記侵入深さに応じて変化する場合、切断中における加工負荷も総切断長さの変化に応じて変化することになる。このことは、切断中における切断用ワイヤーの最大たわみ量の変化を招くことになる。ここで、被加工物を上記張架方向に対して傾けてテーブルに載置すると、総切断長さの変化の程度を小さくすることができ(詳細は後述する。)、これにより、総切断長さの変化に起因する切断中における最大たわみ量の変化の程度を小さくすることができる。
従って、上記のように、テーブル上における被加工物の載置面を上記張架方向に対して傾けることで、テーブル上における被加工物の載置面を上記張架方向に対して傾けない場合に比して、切断中における切断用ワイヤーの最大たわみ量の変化の程度を小さくすることができる。
このように、前記テーブル上における前記被加工物の載置面が前記張架方向に対して傾くように同被加工物が前記テーブルに載置される場合であって、前記被加工物が複数の個体から構成されている場合、前記被加工物が少なくとも1つの前記個体をそれぞれが含む複数の個体群に分けられ、前記テーブル上におけるそれぞれの個体群の載置面が前記張架方向に対して独立して傾くように同被加工物を前記テーブルに載置することが好適である。
被加工物を上記張架方向に対して傾けてテーブルに載置すると、被加工物における切断開始から終了までに要する、テーブルに対する2本のローラの上記押し付け方向における相対移動距離が長くなる。このことは、被加工物を上記張架方向に対して傾けない場合に比してワイヤーソー加工時間が長くなることを意味する。
被加工物が複数の個体(例えば、同一形状の複数の個体)から構成されている場合、上記のように、被加工物を少なくとも1つの個体をそれぞれが含む個体群に分け、それぞれの個体群の載置面が張架方向に対して独立して傾くように同被加工物を前記テーブルに載置することができる。
これにより、上述した「被加工物における切断開始から終了までに要する相対移動距離」の増大を少なくすることができ、被加工物を上記張架方向に対して傾けることに起因するワイヤーソー加工時間の増大を抑制することができる。
また、上記本発明に係るワイヤーソー加工方法においては、前記被加工物は、前記切断用ワイヤーによる切断後において、薄板部と、前記薄板部を支持する固定部と、少なくとも前記薄板部の平面上に形成されるとともに複数の電極と複数の圧電/電歪層とが交互に積層されてなり、同複数の電極の各側端面と同複数の圧電/電歪層の各側端面とにより形成された外部に露呈する側端面を有する圧電/電歪素子とを備えた圧電/電歪デバイスであって、少なくとも前記圧電/電歪素子の外部に露呈した側端面が前記切断用ワイヤーによる切断により形成される圧電/電歪デバイスを構成するものであることが好ましい。
このような圧電/電歪デバイスにおいては、複数の電極の各側端面と複数の圧電/電歪層の各側端面とにより形成された圧電/電歪素子の側端面から微小粒子の離脱(以下、粒子が離脱することを「脱粒」と呼ぶ。)が発生し易い。係る脱粒は発塵を招くことから抑制されるべきである。他方、係る脱粒は、圧電/電歪素子の側端面の面精度が良好であるほど発生し難い傾向がある。
以上のことから、上記本発明に係るワイヤーソー加工方法を用いて上記圧電/電歪デバイスにおける圧電/電歪素子の側端面を切断することで、圧電/電歪素子の側端面(切断面)を良好な平坦とすることができ、この結果、圧電/電歪素子の側端面からの脱粒を抑制することができる。
以下、本発明によるワイヤーソー加工方法の各実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
先ず、本発明によるワイヤーソー加工方法の各実施形態に適用されるワイヤーソー装置について説明する。このワイヤーソー装置は、斜視図である図1、及び正面図である図2に示したように、ワイヤー10と、2本の(一対の)円筒形ローラ11,12と、走行手段としてのモータ13と、テーブル14と、移動手段としてのテーブル移動装置15とを備えている。
ローラ11は、互いに直交するX,Y及びZ軸からなる座標系におけるY軸方向に沿ったローラ11の回転軸周りに回動可能となるように図示しないワイヤーソー装置の基体に支持されている。ローラ11の回転軸は、モータ13の回転軸と連結されている。ローラ11は、モータ13により、その回転軸周りに時計回り及び反時計回りに交互に回動せしめられるようになっている。
ローラ12は、ローラ11と同一形状を有している。ローラ12は、Y軸方向に沿ったローラ12の回転軸周りに回動可能となるように図示しないワイヤーソー装置の基体に支持されている。即ち、ローラ12の回転軸はローラ11の回転軸と平行となっている。また、ローラ12の高さはローラ11の高さと同一である。
円筒形ローラ11,12には、図示しない張力付与機構により調整された所定の張力が付与されたワイヤー10が交互に巻き付けられている。これにより、ワイヤー10は、一つの平面(X−Y平面と平行な平面)において互いに平行となるように、X軸方向に張架された複数(本例では、9本)の切断用ワイヤーWを形成している。
以上の構成により、ローラ11がモータ13により回動せしめられたとき、切断用ワイヤーWは、各切断用ワイヤーWの張架方向(X軸方向)に沿って前後に走行するようになっている。
テーブル14は、切断用ワイヤーWの下方(Z軸負方向)に配設されている。テーブル14は、X−Y平面と平行である上面に直方体状のワークホルダ16を載置・固定するとともにワークホルダ16の上面に被加工物20を載置・固定するようになっている。これらの部材間の固定は、例えば、接着剤により行われる。なお、被加工物20は、テーブル14の上面に直接載置・固定されてもよい。
移動装置15は、テーブル14を上下方向(Z軸正及び負方向)に移動せしめるようになっている。被加工物20は、図1、図2に示したこの例では、中実の同一の直方体形状を有する複数(この例では、4つ)の個体21から構成されている。4つの個体21のそれぞれは、この例では、ワークホルダ16上にて、長手方向がY軸方向に沿うように互いに平行に、且つ、X軸方向に一定の隙間をもって配置されている。従って、被加工物20(即ち、4つの個体21)の切断部分のX軸方向の長さの合計(即ち、上記総切断長さ)は上記進入深さ(Z軸方向の位置)に対して一定となる。
次に、このように構成されたワイヤーソー装置の作動について説明する。このワイヤーソー装置により切断されるべき被加工物20(この例では、4つの個体21)は、例えば、セラミック(セラミックの焼結体)であり、ワークホルダ16上に接着剤により固定される。
次いで、モータ13が駆動され、これにより切断用ワイヤーWは各切断用ワイヤーWの張架方向(X軸方向)に沿って前後に走行する(往復運動する)。加えて、図示しない加工液供給機構が駆動され、これにより加工液(スラリー)が各切断用ワイヤーWに滴下される。そして、移動装置15によってテーブル14が一定の上昇速度をもって上方(Z軸正方向)に移動せしめられる。この結果、被加工物20は、走行中の切断用ワイヤーWに押し付けられ(当接せしめられ)、切断用ワイヤーWにより切断される。
ところで、図3に示したように、上述したワイヤーソー装置を用いて切断用ワイヤーWにより被加工物20(図3では、上述した4つの個体21)を切断していく場合、押し付け方向(Z軸方向)において加工負荷に応じた「たわみ」が切断用ワイヤーWに発生する。以降、切断用ワイヤーWの高さ(Z軸方向の位置)と切断用ワイヤーWの両端の高さ(Z軸方向の位置)の差を「たわみ量」と定義し、図3に示したように、切断用ワイヤーWの張架方向(X軸方向)に亘るたわみ量の分布のうちたわみ量の最大値を「最大たわみ量D」と称呼することにする。
上述したように、切断中において最大たわみ量Dが変化すると、テーブル14の上昇速度が一定であっても、被加工物20に対する切断用ワイヤーWのZ軸方向における相対移動速度(即ち、上記実際の送り速度)が変化する。実際の送り速度が変化すると、被加工物20において切断用ワイヤーWにより切断・除去される部分の幅(Y軸方向の長さ。上記「除去幅」。)が変化することで被加工物20の切断面の面精度が低下する。従って、切断中における最大たわみ量Dの変化の程度(例えば、変化量、変化速度等)を小さくすることが好ましい。
以下、本発明によるワイヤーソー加工方法の第1実施形態の効果を説明するための準備として、先ず、図4に示した比較例を参照しながら説明を続ける。この比較例では、被加工物20として、図2、図3に示した「X軸方向に一定の隙間をもって配置された4つの個体21」が使用されている。この比較例では、被加工物20(4つの個体21)がテーブル14(ワークホルダ16)に載置される際、被加工物20の切断部分の張架方向(X軸方向)における両端(両端の間の距離はL1)の間の中央位置(以下、「被加工物20の中央位置」と称呼する。)が切断用ワイヤーWの中央位置(即ち、ローラ11,12の回転軸間の中央位置)とX軸方向において一致するように被加工物20がテーブル14に載置されている。
上述したように、最大たわみ量Dは、切断用ワイヤーWの全体(切断用ワイヤーWの両端の間の全ての部分。長さはM)から「被加工物20の両端」の間に対応する部分(距離L1に対応する部分)を除くことで得られる切断用ワイヤーWの2つの部分の張架方向(X軸方向)の長さ(図4では、R1とR1)のうち短い方(即ち、上記「短側長さ」。図4では、R1。)が短いほど小さくなる。更には、最大たわみ量Dが小さいほど、切断中における最大たわみ量Dの変化の程度(例えば、変化量等)が小さくなる。
以上のことから、切断中における最大たわみ量Dの変化の程度を小さくするためには、短側長さを短くすればよい。ここで、上記のように、図4に示した比較例では、短側長さはR1(=(M−L1)/2)となる。
これに対し、図5に示した本発明によるワイヤーソー加工方法の第1実施形態では、図4に示した比較例と同じ「X軸方向に一定の隙間をもって配置された4つの個体21」からなる被加工物20がテーブル14(ワークホルダ16)に載置される際、被加工物20の中央位置が切断用ワイヤーWの中央位置に対してX軸正方向にずれるように、被加工物20がテーブル14に載置される。
これにより、第1実施形態での短側長さはR3となり、図4に示した比較例での短側長さR1よりも小さくなる。加えて、第1実施形態では、被加工物20をずらず距離が十分に大きく、下記(1)式の関係が成立している。これにより、第1実施形態での短側長さR3は図4に示した比較例での短側長さR1よりも十分に小さくなっている。
R3/(M−L1) ≦ 0.4 ・・・(1)
従って、第1実施形態では、図4に示した比較例に比して、最大たわみ量Dが十分に小さくなるから、切断中における最大たわみ量Dの変化の程度(例えば、変化量等)も十分に小さくなる。即ち、第1実施形態によれば、図4に示した比較例に比して、被加工物20の切断面をより良好な平坦面とすることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るワイヤーソー加工方法について説明する。第2実施形態に係るワイヤーソー加工方法は、図6に示したように、被加工物20としての上記4つの個体21のX軸方向における配置のみが第1実施形態に係るワイヤーソー加工方法と相違している。
具体的に述べると、図6に示したように、第2実施形態では、図4に示した比較例に比して、4つの個体21の間の隙間のうち切断用ワイヤーWの中央位置を含む隙間である中央側の2つの個体21の間の隙間(前記不存在範囲に対応する隙間。長さはN)だけが大きくなるように被加工物20がテーブル14に載置される。換言すれば、被加工物20の切断部分が、切断用ワイヤーWの中央位置に対する張架方向(X軸方向)の両側において存在するとともに前記不存在範囲に亘って存在しないようになっている。
これにより、第2実施形態での「被加工物20の両端」の間の距離L2が図4に示した比較例での値L1よりも大きくなるから、第2実施形態での短側長さR4も、第1実施形態と同様、図4に示した比較例での短側長さR1よりも小さくなる。
加えて、第2実施形態では、前記不存在範囲に対応する隙間の長さNが十分に大きく、下記(2)式の関係が成立している。これにより、第2実施形態での短側長さR4は図4に示した比較例での短側長さR1よりも十分に小さくなっている。
N/L2 ≧ 0.08 ・・・(2)
従って、第2実施形態においても、図4に示した比較例に比して、最大たわみ量Dが十分に小さくなる。従って、第2実施形態によっても、図4に示した比較例に比して、被加工物20の切断面をより良好な平坦面とすることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係るワイヤーソー加工方法について説明する。第3実施形態に係るワイヤーソー加工方法は、被加工物20がその総切断長さが進入深さに応じて変化する形状を呈している点、及び、被加工物20を張架方向(X軸方向)に対して傾けてテーブル14上に載置する点が第1実施形態に係るワイヤーソー加工方法と相違している。
図7は、第3実施形態で使用される被加工物20を構成する同一形状の複数(この例では、9個)の個体21の1つを示した斜視図である。図7から理解できるように、この個体21(従って、被加工物20)では、総切断長さが進入深さ(Z軸方向の位置)に応じて変化する。
この個体21は、後に、ワイヤーソー装置により図7に破線で示した切断線に沿って切断されることで図8に示した圧電/電歪デバイス30となる。図7では、1つの個体21から5つの圧電/電歪デバイス30が取り出せる場合の例を示している。以下、この圧電/電歪デバイス30について付言する。
図8に示した圧電/電歪デバイス30は、直方体の固定部31と、固定部31から立設するように固定部31に支持されるとともに互いに対向する一対の薄板部32,32と、薄板部32,32の先端近傍の各内側に設けられた保持部(可動部)33,33と、少なくとも薄板部32,32の各外側の平面上に形成された層状の電極と圧電/電歪層とが交互に積層された圧電/電歪素子34,34とを備えている。これらの構成の概略は、例えば、特開2001−320103に開示されている。
この圧電/電歪デバイス30は、例えば、一対の保持部33,33の間に対象物(図示せず)を接着材により接着させることで同対象物を保持し、圧電/電歪素子34,34が発生する力によって薄板部32,32を変形せしめ、これにより保持部33,33を変位させて対象物の位置を制御し得るアクチュエータとして使用されるようになっている。この対象物は、磁気ヘッド、光ヘッド、或いは、センサとしての感度調整用重り等である。
図7に示した個体21のうち図8に示した固定部31、薄板部32,32、及び保持部33,33から構成された部分(これらは「基体部」とも総称される。)に対応する部分は、例えば、セラミックグリーンシートの積層体を焼成により一体化したセラミック積層体により構成されている。また、図7に示した個体21のうち図8に示した圧電/電歪素子34,34に対応する部分は、例えば、膜形成方法(例えば、スクリーン印刷手法)により上記基体部に対応する部分に一体的に形成されている。
このように、被加工物20の総切断長さが侵入深さに応じて変化すると、切断中における加工負荷も総切断長さの変化に応じて変化し、これに起因して切断中における切断用ワイヤーWの最大たわみ量Dも変化する。従って、切断中における総切断長さの変化の程度(例えば、変化速度等)を小さくすることが好ましい。
以下、本発明によるワイヤーソー加工方法の第3実施形態の効果を説明するための準備として、先ず、図9に示した比較例を参照しながら説明を続ける。この比較例では、図7に示した9つの個体21のそれぞれが、ワークホルダ16上にて、長手方向がY軸方向に沿うように互いに平行に、X軸方向に一定の隙間をもって配置されている。この比較例では、直方体状のワークホルダ16が使用されている。
これにより、9つの個体21から構成される被加工物20を載置するための載置面(即ち、ワークホルダ16の上面)は、張架方向(X軸方向)に対して傾いていない(X−Y平面に平行となっている)。即ち、被加工物20も張架方向(X軸方向)に対して傾いていない。なお、図9に示した値R5,L3,R6はそれぞれ、図5に示した値R2,L1,R3に対応する値であって、この比較例でも、第1実施形態と同様、上記(1)式に対応する「R6/(M−L3) ≦ 0.4」の関係が成立している。
図10は、図9の比較例に示したように配置された被加工物20を上述したワイヤーソー装置を用いて切断していく場合における、(被加工物20に対する)切断用ワイヤーWの両端位置(Z軸方向の位置)と、最大たわみ量Dとの関係を示したグラフである。
図10に示したように、この場合、最大たわみ量Dは、切断用ワイヤーWの両端位置が被加工物20の切断開始前に対応する範囲Aから図8の「固定部31及び圧電/電歪素子34,34」に対応する範囲Bに移行した直後において「0」から急激に増大する。その後、最大たわみ量Dは、切断用ワイヤーWの両端位置が図8の「薄板部32,32及び圧電/電歪素子34,34」に対応する範囲C、図8の「薄板部32,32のみ」に対応する範囲D、被加工物20の切断終了後に対応する範囲Eと移行するにつれて、ステップ状に小さくなっていく。
換言すれば、切断用ワイヤーWの両端位置が、範囲Aから範囲B、範囲Bから範囲C、範囲Cから範囲D、範囲Dから範囲Eに切り換わるそれぞれの過程において最大たわみ量Dは急激に変化する。これは、上記それぞれの過程において、被加工物20の総切断長さ(従って、加工負荷)が急激に変化することに基づく。
これに対し、図11に示した本発明によるワイヤーソー加工方法の第3実施形態は、図9に示した比較例に対して、ワークホルダ16の上面(被加工物20の載置面)が、X軸正方向に移動するほどZ軸正方向に移動するように張架方向(X軸方向)に対して傾いている点のみが異なる。
即ち、第3実施形態でのワークホルダ16は、図9に示した比較例でのワークホルダ16の上面をY軸周りに所定角度だけ回動させて得られる形状を呈している。なお、図11に示した値R5’,L3’,R6’はそれぞれ、図9の比較例に示した値R5,L3,R6と略等しいから、この第3実施形態でも、第1実施形態と同様、上記(1)式に対応する「R6’/(M−L3’) ≦ 0.4」の関係が成立している。
このように、被加工物20を張架方向(X軸方向)に対して傾けてテーブル14に載置すると、切断中における被加工物20の総切断長さの変化の程度(例えば、変化速度等)を小さくすることができる。以下、この点について説明する。
図12は、図11の第3実施形態に示したように配置された被加工物20を上述したワイヤーソー装置を用いて切断していく場合における、切断用ワイヤーWの両端位置と、最大たわみ量Dとの関係を示したグラフである。図12中の範囲A〜Eはそれぞれ、図10中の範囲A〜Eに対応している。
図12に示したように、この場合、図10に示した場合に比して、切断用ワイヤーWの両端位置が範囲Aから範囲B、範囲Bから範囲C、範囲Cから範囲D、範囲Dから範囲Eに切り換わるそれぞれの過程における最大たわみ量Dの変化勾配(変化速度)が小さくなっている。これは、上記それぞれの過程における被加工物20の総切断長さ(従って、加工負荷)の変化速度が図9に示した比較例に比して小さくなることに基づく。
以上のように、第3実施形態では、図9に示した比較例に比して、総切断長さの変化に起因する切断中における最大たわみ量Dの変化の程度を小さくすることができる。即ち、第3実施形態によれば、図9に示した比較例に比して、被加工物20の切断面をより良好な平坦面とすることができる。この結果、上述したように、被加工物20の切断後に得られる図8に示した圧電/電歪デバイス30の圧電/電歪素子34,34の側端面からの脱粒を抑制することができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係るワイヤーソー加工方法について説明する。第4実施形態に係るワイヤーソー加工方法は、図13に示したように、第3実施形態における被加工物20を構成する9つの個体21(図7を参照)を3つの個体21をそれぞれが含む3つの個体群に分け、それぞれの個体群の載置面が張架方向(X軸方向)に対して独立して傾くように被加工物20がテーブル14上に載置されている点が第3実施形態に係るワイヤーソー加工方法と相違している。
具体的に述べると、図13に示したように、第4実施形態では、上記個体群毎にワークホルダ16がそれぞれ準備されていて、それぞれのワークホルダ16の上面(被加工物20の載置面)が、X軸正方向に移動するほどZ軸正方向に移動するように張架方向(X軸方向)に対して傾いている。なお、図13に示した値R7,L4,R8はそれぞれ、図11に示したおける値R5’,L3’,R6’に対応する値であって、この第4実施形態でも、第1実施形態と同様、上記(1)式に対応する「R8/(M−L4) ≦ 0.4」の関係が成立している。
上述した第3実施形態では、9つの個体21が一体として扱われるから、図11に示したように9つの個体21からなる被加工物20を張架方向(X軸方向)に対して傾けると、被加工物20におけるZ軸方向の最上点(Z軸方向の座標値が最大となる点)と最下点(Z軸方向の座標値が最小となる点)とのZ軸方向の距離Z2(図11を参照)が、加工物20を張架方向(X軸方向)に対して傾けない図9に示した比較例の場合での値Z1(図9を参照)に比して相当程度大きくなる。
この結果、被加工物20における切断開始から終了までに要するテーブル14の上昇距離が大きくなる。このことは、第3実施形態では、図9に示した比較例に比してワイヤーソー加工時間が相当程度長くなることを意味する。
これに対し、第4実施形態では、9つの個体21が3つの個体群に分けて扱われるから、被加工物20におけるZ軸方向の最上点と最下点とのZ軸方向の距離Z3(図13を参照)が、図9に示した比較例の場合での値Z1(図9を参照)よりは大きくなるものの、図11に示した第3実施形態の場合での値Z2(図11を参照)よりは小さくなる。
従って、第4実施形態では、第3実施形態に比して、被加工物20を張架方向(X軸方向)に対して傾けることに起因するワイヤーソー加工時間の増大を抑制することができる。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係るワイヤーソー加工方法について説明する。第5実施形態に係るワイヤーソー加工方法は、図14に示したように、被加工物20としての複数の個体21のX軸方向における配置が第2実施形態に係るワイヤーソー加工方法と相違している。
具体的に述べると、図14に示したように、第5実施形態では、被加工物20は、中実の同一の直方体形状を有する31個の個体21から構成されている。31個の個体21は、「被加工物20の両端」の間の距離L2’を33ピッチで表した場合、33個のピッチのうち図14に示した特定の31個の各ピッチ上にそれぞれ互いに平行に配置されている。
これにより、「被加工物20の両端」の間の距離L2’(=33ピッチ)が、X軸方向に連続する31個の各ピッチ上に31個の個体21をそれぞれ配置した場合(以下、「密集配置した場合」と称呼する。)での「被加工物20の両端」の間の距離(=31ピッチ)よりも大きくなる。従って、第5実施形態での上記短側長さは、上記密集配置した場合での短側長さよりも小さくなる。
加えて、X軸方向における或る範囲内の被加工物20の切断部分の「密集度合い」を「(個体21が存在するピッチ数)/(或る範囲内のピッチ総数)」で定義するものとすると、第5実施形態では、切断用ワイヤーWの中央位置を含む3ピッチに対応する範囲(低密集度範囲)の「密集度合い」が「1/3≒33%」となり、低密集度範囲に対してX軸方向両側の各15ピッチにそれぞれ対応する範囲(高密集度範囲)の「密集度合い」が、「15/15=100%」となる。即ち、低密集度範囲の「密集度合い」が高密集度範囲の「密集度合い」の0.5以下となっている。
更には、第5実施形態では、上記低密集度範囲のX軸方向の長さN’(=3ピッチ)は十分に大きく、「被加工物20の両端」の間の距離L2’(=33ピッチ)との間において、下記(3)式の関係が成立している。これにより、第5実施形態での短側長さは上記密集配置した場合での短側長さよりも十分に小さくなっている。
N’/L2’ ≧ 0.08 ・・・(3)
従って、第5実施形態においても、上記密集配置した場合に比して、最大たわみ量Dが十分に小さくなる。従って、第5実施形態によっても、上記密集配置した場合に比して、被加工物20の切断面をより良好な平坦面とすることができる。
以上、説明したように、本発明によるワイヤーソー加工方法の各実施形態によれば、切断中における切断用ワイヤーWの最大たわみ量Dの変化の程度(例えば、変化量、変化速度等)を小さくしてすることができる。被加工物20の切断面を良好な平坦面とすることができる。
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記各実施形態は、9本の切断用ワイヤーWが同一面内に張架されたワイヤーソー装置であったが、切断用ワイヤーWの本数及びそれらの間隔は特に限定されない。
また、上記各実施形態においては、テーブル14が上方に移動せしめられていたが、テーブル14(従って、被加工物20)を固定し、切断用ワイヤーWを下方に移動せしめて、被加工物20を切断してもよい。即ち、上記各実施形態に係るワイヤーソー加工方法に適用されるワイヤーソー装置は、被加工物20が載置されたテーブル14と複数のワイヤーWとの少なくとも一方を押し付け方向(Z軸方向)に相対移動させることにより、被加工物20を複数の切断用ワイヤーWに押し付けて切断するように構成されていてもよい。
また、上記各実施形態においては、複数の個体21から構成される被加工物20が使用されていたが、上記第1、第3実施形態においては、1つの個体からなる被加工物20が使用されてもよい。
また、上記第3実施形態においては、被加工物20を張架方向(X軸方向)に対して傾けてテーブル14上に載置するため、テーブル14と被加工物20との間に介装されるワークホルダ16の上面が張架方向(X軸方向)に対して傾けられていたが、テーブル14の上面に被加工物20が直接載置される場合、テーブル14そのものを傾けてもよい。テーブルのY軸周りの回動機構が備えられているワイヤーソー装置としては、例えば、タカトリ(株)製の「MWS−45SN」が挙げられる。
また、上記第1、第2実施形態においては、被加工物20を載置するためのワークホルダ16として直方体状の1つの個体が使用されていたが、図15に示すように、テーブル14の上面に載置されるスペーサ17と、スペーサ17の上面に載置されるプレート19とからなるワークホルダ16を使用してもよい。このスペーサ17は、中実の同一の直方体形状を有する複数(この例では、3つ)の個体から構成されていて、複数の個体のそれぞれは、テーブル14上にて、長手方向がY軸方向に沿うように互いに平行に、且つ、X軸方向に一定の隙間をもって配置されている。このプレート19は、直方体状の1つの個体から構成されている。
更には、上記第1、第2実施形態においては、ワークホルダ16として、図16に示すように、テーブル14の上面に載置されるスペーサ17と、スペーサ17の上面に載置されるスペーサ18と、スペーサ18の上面に載置されるプレート19とからなるワークホルダ16を使用してもよい。このスペーサ17は、中実の同一の直方体形状を有する複数(この例では、3つ)の個体から構成されていて、複数の個体のそれぞれは、テーブル14上にて、長手方向がX軸方向に沿うように互いに平行に、且つ、Y軸方向に一定の隙間をもって配置されている。このスペーサ18は、中実の同一の直方体形状を有する複数(この例では、3つ)の個体から構成されていて、複数の個体のそれぞれは、スペーサ17上にて、長手方向がY軸方向に沿うように互いに平行に、且つ、X軸方向に一定の隙間をもって配置されている。このプレート19は、直方体状の1つの個体から構成されている。
加えて、上記第4実施形態においては、1つの個体群のワークホルダ16として上面が傾斜した1つの個体が使用されていたが、1つの個体群のワークホルダ16として、図17に示すように、テーブル14の上面に載置される上面が傾斜したスペーサ17と、スペーサ17の上面に載置されるスペーサ18と、スペーサ18の上面に載置されるプレート19とからなるワークホルダ16を使用してもよい。このスペーサ17は、1つの個体から構成されている。このスペーサ18は、中実の同一の直方体形状を有する複数(この例では、3つ)の個体から構成されていて、複数の個体のそれぞれは、スペーサ17上にて、長手方向がY軸方向に沿うように互いに平行に、且つ、X軸方向に一定の隙間をもって配置されている。このプレート19は、直方体状の1つの個体から構成されている。
本発明の各実施形態に係るワイヤーソー加工方法に適用されるワイヤーソー装置の斜視図である。 図1に示したワイヤーソー装置の正面図である。 図1に示したワイヤーソー装置を用いて被加工物を切断していく場合に発生する切断用ワイヤーのたわみの様子を示した図である。 本発明の第1実施形態に対する比較例に係るワイヤーソー加工方法を用いて被加工物をテーブルに載置した場合におけるワイヤーソー装置の正面図である。 本発明の第1実施形態に係るワイヤーソー加工方法を用いて被加工物をテーブルに載置した場合におけるワイヤーソー装置の正面図である。 本発明の第2実施形態に係るワイヤーソー加工方法を用いて被加工物をテーブルに載置した場合におけるワイヤーソー装置の正面図である。 本発明の第3実施形態に係るワイヤーソー加工方法で使用される被加工物を構成する同一形状の複数の個体の1つを示した斜視図である。 図7に示した個体を図1に示したワイヤーソー装置で切断した後に得られる圧電/電歪デバイスの斜視図である。 本発明の第3実施形態に対する比較例に係るワイヤーソー加工方法を用いて被加工物をテーブルに載置した場合におけるワイヤーソー装置の正面図である。 図9に示したように配置された被加工物を図1に示したワイヤーソー装置を用いて切断していく場合における、切断用ワイヤーの両端位置と、最大たわみ量との関係を示したグラフである。 本発明の第3実施形態に係るワイヤーソー加工方法を用いて被加工物をテーブルに載置した場合におけるワイヤーソー装置の正面図である。 図11に示したように配置された被加工物を図1に示したワイヤーソー装置を用いて切断していく場合における、切断用ワイヤーの両端位置と、最大たわみ量との関係を示したグラフである。 本発明の第4実施形態に係るワイヤーソー加工方法を用いて被加工物をテーブルに載置した場合におけるワイヤーソー装置の正面図である。 本発明の第5実施形態に係るワイヤーソー加工方法を用いて被加工物をテーブルに載置した場合における被加工物の配置の様子を示した図である。 (a)は、被加工物とテーブルとの間に介装される変形例に係るワークホルダの正面図であり、(b)は、そのワークホルダの右側面図である。 (a)は、被加工物とテーブルとの間に介装される他の変形例に係るワークホルダの正面図であり、(b)は、そのワークホルダの右側面図である。 被加工物とテーブルとの間に介装される他の変形例に係るワークホルダの正面図である。
符号の説明
10…ワイヤー、11,12…円筒形ローラ、13…モータ、14…テーブル、15…テーブル移動装置、16…ワークホルダ、20…被加工物、21…個体、W…切断用ワイヤー

Claims (7)

  1. それぞれの回転軸が互いに平行となるように配設された円筒状の2本のローラと、
    前記2本のローラに巻き付けられて同2本のローラの間に張架された切断用ワイヤーと、
    前記切断用ワイヤーをその張架方向に走行させる走行手段と、
    被加工物を載置するテーブルと、
    前記被加工物が載置されたテーブルと前記切断用ワイヤーとの少なくとも一方を所定の押し付け方向に相対移動させることにより同被加工物を同切断用ワイヤーに押し付ける移動手段と、
    を備えたワイヤーソー装置に適用され、
    前記被加工物を前記テーブルに載置し、
    前記移動手段により前記被加工物を前記走行させられている切断用ワイヤーに押し付けることによって同被加工物を切断するワイヤーソー加工方法において、
    前記被加工物における前記切断用ワイヤーにより切断される部分である切断部分の前記張架方向における両端の間の中央位置が同切断用ワイヤーの前記張架方向における中央位置に対してずれるように、同被加工物を前記テーブルに載置することを特徴とするワイヤーソー加工方法。
  2. 請求項1に記載のワイヤーソー加工方法において、
    前記2本のローラの間に張架された前記切断用ワイヤーの両端の間の距離(M)から前記切断部分の前記両端の間の距離(L1)を減じた値(M−L1)に対する、前記切断用ワイヤーの全体から前記切断部分の前記両端の間に対応する部分を除くことで得られる同切断用ワイヤーの2つの部分の前記張架方向の長さ(R2とR3)のうち短い方(R3)の割合(R3/(M−L1))が0.4以下となるように、前記被加工物を前記テーブルに載置することを特徴とするワイヤーソー加工方法。
  3. それぞれの回転軸が互いに平行となるように配設された円筒状の2本のローラと、
    前記2本のローラに巻き付けられて同2本のローラの間に張架された切断用ワイヤーと、
    前記切断用ワイヤーをその張架方向に走行させる走行手段と、
    被加工物を載置するテーブルと、
    前記被加工物が載置されたテーブルと前記切断用ワイヤーとの少なくとも一方を所定の押し付け方向に相対移動させることにより同被加工物を同切断用ワイヤーに押し付ける移動手段と、
    を備えたワイヤーソー装置に適用され、
    前記被加工物を前記テーブルに載置し、
    前記移動手段により前記被加工物を前記走行させられている切断用ワイヤーに押し付けることによって同被加工物を切断するワイヤーソー加工方法において、
    前記被加工物における前記切断用ワイヤーにより切断される部分である切断部分が、同切断用ワイヤーの前記張架方向における中央位置に対する同張架方向両側において存在するとともに同切断用ワイヤーの同張架方向における中央位置を含む同張架方向の所定の不存在範囲に亘って存在しないように、且つ、前記切断部分の前記張架方向における両端の間の距離(L2)に対する前記不存在範囲の前記張架方向の長さ(N)の割合(N/L2)が0.08以上となるように、前記被加工物を前記テーブルに載置することを特徴とするワイヤーソー加工方法。
  4. それぞれの回転軸が互いに平行となるように配設された円筒状の2本のローラと、
    前記2本のローラに巻き付けられて同2本のローラの間に張架された切断用ワイヤーと、
    前記切断用ワイヤーをその張架方向に走行させる走行手段と、
    被加工物を載置するテーブルと、
    前記被加工物が載置されたテーブルと前記切断用ワイヤーとの少なくとも一方を所定の押し付け方向に相対移動させることにより同被加工物を同切断用ワイヤーに押し付ける移動手段と、
    を備えたワイヤーソー装置に適用され、
    前記被加工物を前記テーブルに載置し、
    前記移動手段により前記被加工物を前記走行させられている切断用ワイヤーに押し付けることによって同被加工物を切断するワイヤーソー加工方法において、
    前記被加工物が複数の個体から構成されていて、
    前記被加工物における前記切断用ワイヤーにより切断される部分である切断部分のうち同切断用ワイヤーの前記張架方向における中央位置を含む所定の低密集度範囲に含まれる部分の同張架方向における密集度合いが、前記切断部分のうち前記低密集度範囲に含まれる部分に対して前記張架方向両側に存在する部分の同張架方向における密集度合いの0.5以下となるように、且つ、前記切断部分の前記張架方向における両端の間の距離(L2’)に対する前記低密集度範囲の前記張架方向の長さ(N’)の割合(N’/L2’)が0.08以上となるように、前記被加工物を前記テーブルに載置することを特徴とするワイヤーソー加工方法。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載のワイヤーソー加工方法において、
    前記被加工物が、同被加工物における前記切断用ワイヤーにより切断される部分の前記張架方向の長さの合計が同切断用ワイヤーの同被加工物への前記押し付け方向における侵入深さに応じて変化する形状を有していて、
    前記テーブル上における前記被加工物の載置面が前記張架方向に対して傾くように同被加工物を前記テーブルに載置することを特徴とするワイヤーソー加工方法。
  6. 請求項5に記載のワイヤーソー加工方法において、
    前記被加工物が複数の個体から構成されていて、
    前記被加工物が少なくとも1つの前記個体をそれぞれが含む複数の個体群に分けられ、前記テーブル上におけるそれぞれの個体群の載置面が前記張架方向に対して独立して傾くように同被加工物を前記テーブルに載置することを特徴とするワイヤーソー加工方法。
  7. 請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載のワイヤーソー加工方法において、
    前記被加工物は、前記切断用ワイヤーによる切断後において、
    薄板部と、
    前記薄板部を支持する固定部と、
    少なくとも前記薄板部の平面上に形成されるとともに複数の電極と複数の圧電/電歪層とが交互に積層されてなり、同複数の電極の各側端面と同複数の圧電/電歪層の各側端面とにより形成された外部に露呈する側端面を有する圧電/電歪素子と、
    を備えた圧電/電歪デバイスであって、少なくとも前記圧電/電歪素子の外部に露呈した側端面が前記切断用ワイヤーによる切断により形成される圧電/電歪デバイスを構成するものであることを特徴とするワイヤーソー加工方法。
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