JP6732851B2 - トナーバインダー及びトナー組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、トナーバインダー及びトナー組成物に関する。
近年、複写機、プリンター等に対する環境負荷低減(省エネ)のニーズがますます強くなっており、このニーズを満たすトナーとして、低温定着性と耐熱保存安定性の両立が可能なトナーの開発が求められている。
トナーの低温定着性を向上させる手段の一つとして、ワックスを用いる方法が挙げられる。しかしワックスとポリエステル樹脂の相溶性が悪いために、ワックスがトナー中に均一に分散せず、ワックスの塊がトナー表面にブリードアウトしてしまい、その結果、トナーの耐熱保存性が悪化する、低温定着性の向上効果が小さくなる等の問題があった。
ワックスの分散性向上への対応として、特許文献1には、ポリエステル樹脂のモノマーとして炭素数及び構造が限定されたアルキルコハク酸又は/及びアルケニルコハク酸を含むトナーが開示されており、低温定着性と耐熱保存安定性の両立についてはある程度の効果は得られているものの、連続複写時の画質安定性が十分ではなく、さらなる性能の向上が望まれている。
特開2016−38449号公報
本発明の目的は、低温定着性と耐熱保存安定性の両立が可能であり、連続複写時の画質安定性に優れたトナーバインダー及びトナー組成物を提供することである。
本発明者らは、これらの課題を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、下記2発明である。
ポリオール成分(x)とポリカルボン酸成分(y)との反応物であるポリエステル樹脂(A)を含むトナーバインダーであって、ポリカルボン酸成分(y)は、分岐アルキル基(r1)を有し、(r1)の炭素数が15〜32のアルキルコハク酸(y10)、分岐アルキル基(r2)を有し、(r2)の炭素数が15〜32のアルキルコハク酸無水物(y11)、分岐アルケニル基(r3)を有し、(r3)の炭素数が15〜32のアルケニルコハク酸(y20)及び分岐アルケニル基(r4)を有し、(r4)の炭素数が15〜32のアルケニルコハク酸無水物(y21)、前記(y10)と炭素数1〜4の脂肪族モノアルコールとのモノ又はジエステル、及び前記(y20)と炭素数1〜4の脂肪族モノアルコールとのモノ又はジエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、(r1)、(r2)、(r3)及び(r4)がそれぞれメチル基を2つ以上有し、(y10)、(y11)、(y20)及び(y21)の合計モル数が前記(y)の合計モル数に基づいて3〜50モル%であるトナーバインダー及び前記トナーバインダーと着色剤とを含有するトナー組成物である。
本発明により、低温定着性と耐熱保存安定性の両立が可能であり、連続複写時の画質安定性に優れたトナーバインダー及びトナー組成物を提供することが可能となる。
以下、本発明を詳述する。
本発明に用いるポリエステル樹脂(A)は、ポリオール成分(x)とポリカルボン酸成分(y)との反応物である。
ポリオール成分(x)としては、ジオール及び3〜8価又は9価以上のポリオールが挙げられる。
ジオールとしては、炭素数2〜36のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,22−ドコサンジオール、1,30−トリアコンタンジオール等)、炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等)、炭素数6〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール及び水素添加ビスフェノールA等)、上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物(好ましくは付加モル数1〜30)、芳香族ジオール〔単環2価フェノール(ハイドロキノン等)及びビスフェノール類等〕及び上記芳香族ジオールのアルキレンオキサイド付加物(好ましくは付加モル数2〜30)等が挙げられる。
これらのうち、低温定着性及び耐熱保存性の観点から、炭素数2〜36のアルキレングリコール及び芳香族ジオールが好ましく、炭素数2〜12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物がさらに好ましい。
アルキレンオキサイドにおいて、アルキレン基の炭素数は好ましくは2〜4であり、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、1,2−又は1,3−プロピレンオキサイド、1,2−、2,3−、1,3−又はiso−ブチレンオキサイド及びテトラヒドロフラン等が好ましい。
ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物は、ビスフェノール類にアルキレンオキサイド(以下、「アルキレンオキサイド」をAOと略記することがある)を付加して得られる。ビスフェノール類としては、下記一般式(1)で示されるものが挙げられる。
HO−Ar−P−Ar−OH (1)
[式中、Pは炭素数1〜3のアルキレン基、−SO−、−O−、−S−又は直接結合を表し、Arは、水素原子がハロゲン又は炭素数1〜30のアルキル基で置換されていてもよいフェニレン基を表す。]
ビスフェノール類として具体的には、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、トリクロロビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、ジブロモビスフェノールF、2−メチルビスフェノールA、2,6−ジメチルビスフェノールA及び2,2’−ジエチルビスフェノールF等が挙げられ、これらは2種以上を併用することもできる。
これらのビスフェノール類に付加するアルキレンオキサイドとしては、炭素数が2〜4のアルキレンオキサイドが好ましく、具体的には、エチレンオキサイド(以下、「エチレンオキサイド」をEOと略記することがある)、プロピレンオキサイド(以下、「プロピレンオキサイド」をPOと略記することがある)、1,2−、2,3−、1,3−又はiso−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン(以下、THFと記載することがある)及びこれらの2種以上の併用が挙げられる。これらの中で好ましくはEO及び/又はPOである。AOの付加モル数は、好ましくは2〜30モル、さらに好ましくは2〜10モルである。
ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物のうち、トナーの定着性の観点から好ましいものは、ビスフェノールAのEO及び/又はPO付加物(平均付加モル数2〜4が好ましく、さらに好ましくは2〜3)である。
3〜8価のポリオールとしては、炭素数3〜36の3〜8価の脂肪族多価アルコール(アルカンポリオール及びその分子内又は分子間脱水物[グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン及びジペンタエリスリトール等])、糖類及びその誘導体(ショ糖及びメチルグルコシド等)、上記脂肪族多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物(AOの付加モル数として好ましくは1〜30)、トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のアルキレンオキサイド付加物(AOの付加モル数として好ましくは2〜30)、ノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等が含まれ、平均重合度としては3〜60)のアルキレンオキサイド付加物(AOの付加モル数として好ましくは2〜30)等が挙げられる。
9価以上のポリオールとしては、炭素数3〜36の9価以上の脂肪族多価アルコール(アルカンポリオール及びその分子内又は分子間脱水物[グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン及びジペンタエリスリトール等])、糖類及びその誘導体(ショ糖及びメチルグルコシド等)、上記脂肪族多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物(AOの付加モル数として好ましくは1〜30)、トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のアルキレンオキサイド付加物(AOの付加モル数として好ましくは2〜30)、ノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等が含まれ、平均重合度としては3〜60)のアルキレンオキサイド付加物(AOの付加モル数として好ましくは2〜30)等が挙げられる。
ポリオール成分(x)のうち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物(AOの付加モル数2〜30)、3〜8価又は9価以上の脂肪族多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物(AOの付加モル数2〜30)及びノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物(AOの付加モル数2〜30)であり、さらに好ましいものは、炭素数2〜10のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物(AOの付加モル数2〜5)、3〜8価の脂肪族多価アルコール及びノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物(AOの付加モル数2〜30)であり、とくに好ましくは、炭素数2〜6のアルキレングリコール、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物(AOの付加モル数2〜5)及び3価の脂肪族多価アルコールであり、最も好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物(AOの付加モル数2〜3)及びトリメチロールプロパンである。
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)のポリカルボン酸成分(y)は、
分岐アルキル基(r1)を有し、(r1)の炭素数が15〜32のアルキルコハク酸(y10)、分岐アルキル基(r2)を有し、(r2)の炭素数が15〜32のアルキルコハク酸無水物(y11)、分岐アルケニル基(r3)を有し、(r3)の炭素数が15〜32のアルケニルコハク酸(y20)及び分岐アルケニル基(r4)を有し、(r4)の炭素数が15〜32のアルケニルコハク酸無水物(y21)、前記(y10)と炭素数1〜4の脂肪族モノアルコールとのモノ又はジエステル、及び前記(y20)と炭素数1〜4の脂肪族モノアルコールとのモノ又はジエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、(r1)、(r2)、(r3)及び(r4)がそれぞれメチル基を2つ以上有し、 前記(y10)、(y11)、(y20)及び(y21)の合計モル数が前記(y)の合計モル数に基づいて3〜50モル%である。
前記(y10)及び前記(y20)としては、例えば、下記一般式(2)で表される化合物等が挙げられ、前記(y11)及び前記(y21)としては、例えば、下記一般式(3)で表される化合物等が挙げられる。前記一般式(2)及び(3)中のRはメチル基を2つ以上含む炭素数15〜32のアルキル基又はアルケニル基である。
Figure 0006732851
前記(y10)と炭素数1〜4の脂肪族モノアルコールとのモノ又はジエステル、及び前記(y20)と炭素数1〜4の脂肪族モノアルコールとのモノ又はジエステルとしては、例えば、下記一般式(4)で表される化合物等が挙げられる。前記(y10)及び(y20)のモノ又はジエステルはポリオール成分(x)とのエステル交換反応後、炭素数1〜4の脂肪族モノアルコールを除去することにより(y10)及び(y20)を使用した場合と同様のポリエステル樹脂(A)を得ることができ、同様の効果が得られる。一般式(4)中のRはメチル基を2つ以上含む炭素数15〜32のアルキル基又はアルケニル基であり、一般式(4)のR、Rは、炭素数1〜4のアルキル基である。
Figure 0006732851
前記(y10)及び前記(y11)が有するアルキル基並びに前記(y20)及び前記(y21)が有するアルケニル基の有するメチル基の数は、耐熱保存性の観点から 2以上であり、好ましくは3〜4である。また、低温定着性及び耐熱保存性の観点から、前記一般式(2)(3)及び(4)中のRは、炭素数15〜25のアルキル基又はアルケニル基であることが好ましく、炭素数15〜18のアルキル基又はアルケニル基であることがより好ましい。前記(y10)及び前記(y11)が有するアルキル基並びに前記(y20)及び前記(y21)が有するアルケニル基の炭素数が15未満であると低温定着性が悪化し、32を超えると耐熱保存性が悪化する。
この効果の理由は明らかではないが、本発明のポリエステル(A)にモノマーとして用いられるアルキルコハク酸(y10)、アルキルコハク酸無水物(y11)、アルケニルコハク酸(y20)又はアルケニルコハク酸無水物(y21)の脂肪族炭素鎖に由来すると推定される。請求項1に記載の炭素鎖を有する前記(y10)、(y11)、(y20)及び(y21)はその炭素鎖の嵩高く立体障害性の高い構造によってポリエステル(A)とワックスの親和性を高めることができる。そのため、ワックスのブリードアウトを防ぐことができ、低温定着性、耐熱保存性及び連続複写時の画質安定性が向上すると考えられる。
前記一般式(2)、(3)及び(4)中のRが有する平均のメチル基の数は、前記(y10)、(y11)、(y20)、(y21)のそれぞれを以下の条件でNMRを測定し、メチル基以外(メチレン基及びメチン基)由来の合計ピーク面積に対するメチル基由来のピーク(δ=0.8〜0.9)面積の比を計算し、下記のメチル基数の計算方法に記載の方法で求めることが出来る。
H−NMR測定条件>
装置:ブルカー・バイオスピン社製「AVANCE300」
積算回数:16回
試料量:10mg
溶媒:DMSO−d6
<メチル基数の計算方法>
(1)上記条件でH−NMR測定を行い、測定結果から測定積分強度比[(メチル基由来ピーク面積)/(メチル基以外の合計ピーク面積)]を求める。
(2)得られた測定積分強度比とメチル基数がX及びX+1である時の理論積分強度比とを比較して、下記の不等式1の関係を満たすメチル基数Xを決定する。なお、Xは整数である。
メチル基数Xの場合の理論積分強度比 < 測定積分強度比 < メチル基数X+1の場合の理論積分強度比 (不等式1)
(3)測定積分強度比とメチル基数Xを下記計算式(1)に代入して、メチル基数を求める。
メチル基数=(測定積分強度比−メチル基数Xの場合の理論積分強度比)/(メチル基数X+1の場合の理論積分強度比−メチル基数Xの場合の理論積分強度比)+ X (計算式1)
前記(y10)、(y11)、(y20)及び前記(y21)は、立体障害等の観点から、マレイン酸及びフマル酸から選ばれる少なくとも1種とアルキレン化合物との反応物であるものが好ましい。前記アルキレン化合物としては、メチル基を2つ以上有する炭素数15〜32のものであって、エチレン、プロピレン、イソブチレン及びノルマルブチレン等から合成して得られるものが挙げられ、好ましくはこれらのテトラマー、ペンタマー、ヘキサマー等を用いることができる。これらアルキレン化合物の合成方法としては特開2015−34294、特開2005−15383及び特開1994−65110に記載の方法が用いることができる。
特開2015−34294、特開2005−15383及び特開1994−65110に記載の方法で得られたアルキレン化合物はメチル基を2つ以上有し、これらのアルキレン化合物とマレイン酸又はフマル酸とを反応させることでメチル基を2つ以上有する分岐アルキレンコハク酸又はその無水物が得られる。
マレイン酸及びフマル酸から選ばれる少なくとも1種とアルキレン化合物とを反応させる方法は、特に制限されず公知の方法を使用できる。製造の容易性の観点から、前記アルキレン化合物と、マレイン酸又はフマル酸とを混合し、加熱して得られる方法が好ましい。その反応条件は特開2004−175804等を参照することができる。
前記(y10)として好ましいのは、プロピレンペンタマー、プロピレンヘキサマー、ブチレンペンタマー、ヘキセンペンタマー又はヘキセントリマーと無水マレイン酸との反応物に水素を添加したものであり、前記(y11)として好ましいのは、前記(y10)として好ましいものの無水物である。前記(y20)として好ましいのは、プロピレンペンタマー、プロピレンヘキサマー、ブチレンペンタマー、ヘキセンペンタマー又はヘキセントリマーと無水マレイン酸との反応物であり、前記(y21)として好ましいのは、前記(y20)として好ましいものの無水物である。
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)のポリカルボン酸成分(y)は、前記(y10)、(y11)、(y20)及び前記(y21)以外のポリカルボン酸成分を含む。前記(y10)、(y11)、(y20)及び前記(y21)以外のポリカルボン酸成分としては、ジカルボン酸及び3〜6価又は7価以上のポリカルボン酸が挙げられる。ポリカルボン酸成分(y)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ジカルボン酸としては、炭素数2〜50のアルカンジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、レパルギン酸及びセバシン酸等)、炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸及びグルタコン酸等)、炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等)及び不飽和カルボン酸のビニル重合体(数平均分子量が450〜10,000のα−オレフィン/マレイン酸共重合体等)等が挙げられる。
3〜6価又は7価以上のポリカルボン酸としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)、炭素数6〜36の脂肪族トリカルボン酸(ヘキサントリカルボン酸等)、不飽和カルボン酸のビニル重合体(数平均分子量が450〜10,000のスチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸共重合体及びスチレン/フマル酸共重合体等)等が挙げられる。
前記(y10)、(y11)、(y20)及び前記(y21)以外のポリカルボン酸成分(y)として、これらのポリカルボン酸の、無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル及びイソプロピルエステル等)を用いてもよい。
前記(y10)、(y11)、(y20)及び前記(y21)以外のポリカルボン酸成分のうち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から好ましいものは、炭素数2〜50のアルカンジカルボン酸、炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸及び炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸であり、さらに好ましくは、アジピン酸、炭素数16〜50のアルケニルコハク酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの併用であり、とくに好ましくは、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸及びこれらの併用である。これらの酸の無水物や低級アルキルエステルも、同様に好ましい。
ポリカルボン酸成分(y)中に含まれる前記(y10)、(y11)、(y20)及び前記(y21)の合計モル数は、前記(y)の総モル数に基づいて3〜50モル%であり、好ましくは8〜40モル%であり、より好ましくは13〜30モル%である。前記(y10)、(y11)、(y20)及び前記(y21)の合計モル数が、前記(y)の総モル数に基づいて3モル%未満であると、低温定着性が悪化し、50モル%を超えるとホットオフセット性が悪化する。
本発明において、ポリエステル樹脂(A)は、ポリオール成分(x)とポリカルボン酸成分(y)とを重縮合することで得られる。前記(A)の製造方法としては、特に制限されず公知のポリエステル製造法を用いることができる。
例えば、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、反応温度が好ましくは150〜240℃、さらに好ましくは160〜225℃、とくに好ましくは170〜220℃で反応させることにより行うことができる。
ポリエステル樹脂製造時には必要に応じてエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒としては、スズ含有触媒(ジブチルスズオキシド等)、三酸化アンチモン、チタン含有触媒〔チタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、テレフタル酸チタンアルコキシド、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、チタニルビス(トリエタノールアミネート)、タントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート及びチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)]、ジルコニウム含有触媒(酢酸ジルコニル等)及び酢酸亜鉛等が挙げられる。これらの中で好ましくはチタン含有触媒である。反応末期の反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
ポリオール成分(x)とポリカルボン酸成分(y)との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、さらに好ましくは1.4/1〜1/1.2である。
本発明に用いるポリエステル樹脂(A)の軟化点(以下、Tmと記載することがある)は、耐ホットオフセット性及び低温定着性の観点から90〜150℃であることが好ましく、より好ましくは100〜140℃、さらに好ましくは110〜130℃である。
前記(A)のTmは、前記(A)の分子量で調整することができ、下記のTHF可溶分のピークトップ分子量を好ましい範囲に調整することで前記の好ましい範囲にすることができる。
本発明において、ポリエステル樹脂(A)のTmは、以下の方法で測定することができる。
<ポリエステル樹脂(A)のTmの測定方法>
高化式フローテスター{例えば(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)をTmとする。
ポリエステル樹脂(A)の酸価は、好ましくは7〜21mgKOH/g、さらに好ましくは8〜13mgKOH/gである。酸価が7〜21mgKOH/gのとき、前記(A)をケミカルトナーの材料として用いた場合に乳化性がより良好となる。
前記(A)の酸価は、原料の仕込み比[ポリオール成分(x)とポリカルボン酸成分(y)との反応比率]及び反応時間で調整することができる。例えば、酸価を上げたい場合は、ポリカルボン酸成分(y)の仕込み比を増やすこと又は反応時間を短くする。
(A)の酸価は、JIS K0070(1992年版)に規定の方法で測定する。
ポリエステル樹脂(A)の水酸基価は、好ましくは0〜50mgKOH/g、さらに好ましくは5〜40mgKOH/g、とくに好ましくは10〜30mgKOH/gである。 (A)の水酸基価は、JIS K0070(1992年版)に規定の方法で測定することができる。
ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温(以下、Tgと記載することがある)は、好ましくは45〜75℃である。(A)のTgが75℃以下であると低温定着性がより向上し、45℃以上であると保存性がより向上する。
なお、Tgはセイコーインスツル(株)製DSC20、SSC/580を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定することができる。
ポリエステル樹脂(A)のTHF可溶分のピークトップ分子量(以下、Mpと記載することがある)は、トナーの耐久性と低温定着性の両立の観点から、2,000〜15,000が好ましく、さらに好ましくは6,000〜12,000である。
本発明において、ポリエステル樹脂等の樹脂のピークトップ分子量、数平均分子量(以下、Mnと記載することがある)、重量平均分子量(以下、Mwと記載することがある)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定することができる。
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー(株)製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1,050 2,800 5,970 9,100 18,100 37,900 96,400 190,000 355,000 1,090,000 2,890,000)
分子量の測定は、ポリエステル樹脂をTHFに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液とする。
本発明のトナー組成物は、ポリエステル樹脂(A)を含有するトナーバインダーと着色剤とを含有する。
着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料、顔料等のすべてを使用することができる。具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトロアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB及びオイルピンクOP等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末若しくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
着色剤の含有量は、本発明のトナーバインダー100重量部に対して、好ましくは1〜40重量部、さらに好ましくは3〜10重量部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150重量部、さらに好ましくは40〜120重量部である。
本発明のトナー組成物は、低温定着性を向上させるためにワックスを添加することができる。
添加するワックスとしては、融点60〜120℃の炭化水素ワックス(w)、融点が120〜170℃のポリオレフィンワックスを使用でき、融点60〜120℃の炭化水素ワックス(w)が好ましい。
融点が60〜120℃の炭化水素ワックス(w)としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、カルナウバワックス、モンタンワックス、ライスワックス、低分子量ポリエチレン等が挙げられる。
トナーバインダー中のワックスの含有量は、好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは0.5〜20重量%、さらに好ましくは1〜10重量%である。
本発明のトナー組成物には、さらに荷電制御剤、流動化剤等の添加剤を含有させることができる。
荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸金属塩、ベンジル酸のホウ素錯体、スルホン酸基含有ポリマー、含フッ素系ポリマー及びハロゲン置換芳香環含有ポリマー等が挙げられる。
トナーバインダー中の荷電制御剤の含有量は、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜7.5重量%である。
流動化剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、炭酸カルシウム粉末等が挙げられる。
トナーバインダー中の流動化剤の含有量は、好ましくは0〜10重量%、より好ましくは0〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜4重量%である。
本発明のトナー組成物の製造方法としては、特に制限はなく、公知の製造方法を使用することができる。例えば、流動化剤を除く上記のトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、コンティニアスニーダー等を用いて溶融混練することで得ることができる。
本発明のトナー組成物は、それを粗粉砕し、ジェットミル粉砕機等を用いて微粒化後に分級し、流動化剤を混合することでトナーにすることができる。トナーの体積平均粒径(D50)は、好ましくは5〜20μmである。トナーの体積平均粒径(D50)はコールターカウンター[商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)]等を用いて測定することができる。
得られたトナーは、必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト及び樹脂(アクリル樹脂及びシリコーン樹脂等)により表面をコーティングしたフェライト等のキャリアー粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。トナーとキャリアー粒子との重量比は、好ましくは1/99〜100/0である。また、キャリアー粒子の代わりに帯電ブレード等の部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
本発明のトナー組成物は、複写機、プリンター等により支持体(紙、ポリエステルフィルム等、好ましくは紙)に定着して記録材料とされる。支持体に定着する方法としては、公知の熱ロール定着方法、フラッシュ定着方法等が適用できる
以下実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例10は参考例1、実施例11は参考例2である。
<製造例1、アルケニルコハク酸に用いるオクテンオリゴマーの合成に用いるフッ化ゼオライト活性剤担体の調製>
アルキレン化合物の合成時に用いるフッ化ゼオライト活性剤担体の調製を行った。まずゼオライト「SYLOBEAD(R)[W.R.Grace]の10重量%に相当するフッ化アンモニウム[和光純薬工業]を用いてインシピエントウェットネス法によって含浸させることによってフッ素化した。この含浸材料を、真空炉にて100℃で8時間乾燥させた。乾燥させたフッ素化したゼオライト10gを、焼結石英ディスクの底部に取り付けた4.45センチの石英ガラス管に入れ、ディスクに乾風を約1.6〜1.8scf/時で吹き込んだ。石英ガラス管の温度を、電気炉を用いて約400℃/時の速度で最終温度約450℃まで上昇させて、ゼオライトを乾風中で3時間フッ素化しながら副生されるアンモニアを除去した。その後、ゼオライトを回収し、乾燥窒素下で貯蔵し、大気に曝さずに用いた。
<製造例2、アルケニルコハク酸に用いるアルキレン化合物(オクテンオリゴマー)の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽(以下の製造例に用いる反応槽も同様)に、製造例1で得られたフッ化ゼオライト活性剤担体29.5gを充填した固体添加漏斗を取り付けた。次に、この反応槽を窒素でパージし、トリ−イソブチルアルミニウム16重量%ヘキサン溶液(TIBA)[東京化成工業]で洗浄することによって十分に乾燥させた。洗浄TIBAを除去した後、カニューレを通して1−オクテン[和光純薬工業]1.1kgを反応槽に導入した。次に、この1−オクテンを95℃まで加熱した。その後、反応槽にTIBA16重量%ヘキサン溶液40.0g、次いで、最少量の1−オクテンに溶かした1,1’−ジブチルジルコノセンジクロリド[東京化成工業]230mgを加えた。その後、攪拌しながらフッ化ゼオライト活性剤担体全量を加えたところ、反応熱が生じた。次に、この反応混合物を95℃まで加熱し、6時間反応させた。その後、TIBAを水1.74gで中和した。次に、この生成物を濾過し、空の反応槽に仕込み、減圧分留を行った。反応槽を150℃まで加熱し、撹拌を開始し、減圧度を0.7kPaまで突沸しないように徐々に下げた。その後徐々に昇温し、180〜200℃の留分をオクテントリマー、220〜240℃の留分をオクテンテトラマーとして回収した。
<製造例3、アルケニルコハク酸(y2−1)の合成>
反応槽に、無水マレイン酸[三井化学]163重量部、製造例2で得られたオクテントリマー837重量部を仕込み、0.2MPaまで加圧窒素置換を2回繰り返した。60℃まで昇温後、撹拌を開始し、215℃まで3時間かけて昇温したのち、7時間反応を行った。反応終了後、150℃まで冷却し、減圧度を0.7kPaまで突沸しないように徐々に下げた。その後徐々に昇温し、0.7kPaにて減圧分留を行った。200℃以下までの留分をアルキレン化合物として回収し、215℃以上を(y2−1)として回収し、測定したそのメチル基数、炭素鎖長を表1に示した。
<製造例4、アルケニルコハク酸(y2−2)の合成>
反応槽に、無水マレイン酸127重量部、製造例2で得られたオクテンテトラマー873重量部を仕込み、0.2MPaまで加圧窒素置換を2回繰り返した。60℃まで昇温後、撹拌を開始し、215℃まで3時間かけて昇温したのち、7時間反応を行った。反応終了後、150℃まで冷却し、減圧度を0.7kPaまで突沸しないように徐々に下げた。その後徐々に昇温し、0.7kPaにて減圧分留を行った。210℃以下までの留分をアルキレン化合物として回収し、215℃以上を(y2−2)として回収した。
<製造例5、アルケニルコハク酸(y2−3)の合成>
反応槽に、無水マレイン酸237重量部、プロピレンペンタマー[Parchem Fine&Chemicals]763重量部を仕込み、0.2MPaまで加圧窒素置換を2回繰り返した。60℃まで昇温後、撹拌を開始し、215℃まで3時間かけて昇温したのち、7時間反応を行った。反応終了後、150℃まで冷却し、減圧度を0.7kPaまで突沸しないように徐々に下げた。その後徐々に昇温し、0.7kPaにて減圧分留を行った。195℃以下までの留分をアルキレン化合物として回収し、195〜210℃までの留分を(y2−3)として回収した。
<製造例6、アルキルコハク酸(y1−1)の合成>
反応層に、製造例5で得られたアルケニルコハク酸(y2−3)250重量部、アセトン750重量部を仕込み、ラネーニッケル(川研ファインケミカル社製:NDHT−90)を12.5重量部加えて、そこへ0.3MPaまで水素ガスを吹き込んだ。撹拌しながら70℃まで昇温し、4時間反応を行った。反応終了後、室温まで冷却し、減圧度を0.7kPaまで突沸しないように徐々に下げ、0.7kPaにて4時間以上減圧することでアセトンを留去し、アルキルコハク酸(y1−1)を得た。
<製造例7、アルケニルコハク酸(y2−5)の合成>
反応層に、マレイン酸[三井化学]237重量部、プロピレンペンタマー763重量部を仕込み、0.2MPaまで加圧窒素置換を2回繰り返した。60℃まで昇温後、撹拌を開始し、215℃まで3時間かけて昇温したのち、7時間反応を行った。反応終了後、150℃まで冷却し、減圧度を0.7kPaまで突沸しないように徐々に下げた。その後徐々に昇温し、0.7kPaにて減圧分留を行った。195℃以下までの留分をアルキレン化合物として回収し、195〜210℃までの留分を(y2−5)として回収した。
<製造例8、アルキルコハク酸(y1−2)の合成>
反応層に、製造例7で得られたアルケニルコハク酸(y2−5)250重量部、アセトン750重量部を仕込み、ラネーニッケル(川研ファインケミカル社製:NDHT−90)を12.5重量部加えて、そこへ0.3MPaまで水素ガスを吹き込んだ。撹拌しながら70℃まで昇温し、4時間反応を行った。反応終了後、室温まで冷却し、減圧度を0.7kPaまで突沸しないように徐々に下げ、0.7kPaにて4時間以上減圧することでアセトンを留去し、アルキルコハク酸(y1−2)を得た。
製造例で得られたアルケニルコハク酸(y2―1)〜(y2−3)、(y2−5)及びアルキルコハク酸(y1−1)〜(y1−2)並びに実施例で用いる下記の化合物のメチル基数、炭素鎖長を表1に示した。
・イソオクタデセニルコハク酸無水物(y2−4)[東京化成工業]
・リカシッド DDSA(y2’−1)[新日本理化、3−ドデセニルコハク酸無水物]
・リカシッド OSA(y2’−2)[新日本理化、オクテニルコハク酸無水物]
Figure 0006732851
<実施例1>[ポリエステルA1の合成]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽(以下の製造例に用いる反応槽も同様)中に、表2の実施例1に記載の配合比で原料を仕込み、180℃まで昇温し、1時間常圧で反応させた。その後215℃まで昇温しながら0.5〜2.5kPaの減圧下で反応させた。215℃に到達後、そのまま減圧下で反応させ、Tmが目的の値に達した時点で取り出し、ポリエステルA1を得た。得られたポリエステルのTm、酸価、水酸基価、Tg、Mw及びMpを後述の方法で測定し、その値を表2に記載した。
<実施例2>[ポリエステルA2の合成]
表2の実施例2に記載の原料を用いた以外は<ポリエステル製造実施例1>と同様にしてポリエステルA2を得た。得られたポリエステルのTm、酸価、水酸基価、Tg、Mw、Mpを表2に記載した。
<実施例3>[ポリエステルA3の合成]
表2の実施例3に記載の原料を用いた以外は<ポリエステル製造実施例1>と同様にしてポリエステルA3を得た。得られたポリエステルのTm、酸価、水酸基価、Tg、Mw、Mpを表2に記載した。
<実施例4>[ポリエステルA4の合成]
表2の実施例4に記載の原料を用いた以外は<ポリエステル製造実施例1>と同様にしてポリエステルA4を得た。得られたポリエステルのTm、酸価、水酸基価、Tg、Mw、Mpを表2に記載した。
<実施例5>[ポリエステルA5の合成]
表2の実施例5に記載の原料を用いた以外は<ポリエステル製造実施例1>と同様にしてポリエステルA5を得た。得られたポリエステルのTm、酸価、水酸基価、Tg、Mw、Mpを表2に記載した。
<実施例6>[ポリエステルA6の合成]
表2の実施例6に記載の原料を用いた以外は<ポリエステル製造実施例1>と同様にしてポリエステルA6を得た。得られたポリエステルのTm、酸価、水酸基価、Tg、Mw、Mpを表2に記載した。
<実施例7>[ポリエステルA7の合成]
表2の実施例7に記載の原料を用いた以外は<ポリエステル製造実施例1>と同様にしてポリエステルA7を得た。得られたポリエステルのTm、酸価、水酸基価、Tg、Mw、Mpを表2に記載した。
<実施例8>[ポリエステルA8の合成]
表2の実施例8に記載の原料を用いた以外は<ポリエステル製造実施例1>と同様にしてポリエステルA8を得た。得られたポリエステルのTm、酸価、水酸基価、Tg、Mw、Mpを表2に記載した。
<実施例9>[ポリエステルA9の合成]
表2の実施例9に記載の原料を用いた以外は<ポリエステル製造実施例1>と同様にしてポリエステルA9を得た。得られたポリエステルのTm、酸価、水酸基価、Tg、Mw、Mpを表2に記載した。
<実施例10>[ポリエステルA10の合成]
表2の実施例10に記載の原料を用いた以外は<ポリエステル製造実施例1>と同様にしてポリエステルA10を得た。得られたポリエステルのTm、酸価、水酸基価、Tg、Mw、Mpを表2に記載した。
<実施例11>[ポリエステルA11の合成]
表2の実施例11に記載の原料を用いた以外は<ポリエステル製造実施例1>と同様にしてポリエステルA11を得た。得られたポリエステルのTm、酸価、水酸基価、Tg、Mw、Mpを表2に記載した。
<実施例12>[ポリエステルA12の合成]
表2の実施例12に記載の原料を用いた以外は<ポリエステル製造実施例1>と同様にしてポリエステルA12を得た。得られたポリエステルのTm、酸価、水酸基価、Tg、Mw、Mpを表2に記載した。
<実施例13>[ポリエステルA13の合成]
表2の実施例13に記載の原料を用いた以外は<ポリエステル製造実施例1>と同様にしてポリエステルA13を得た。得られたポリエステルのTm、酸価、水酸基価、Tg、Mw、Mpを表2に記載した。
<実施例14>[ポリエステルA14の合成]
表2の実施例14に記載の原料を用いた以外は<ポリエステル製造実施例1>と同様にしてポリエステルA14を得た。得られたポリエステルのTm、酸価、水酸基価、Tg、Mw、Mpを表2に記載した。
<実施例15>[ポリエステルA15の合成]
表2の実施例15に記載の原料を用いた以外は<ポリエステル製造実施例1>と同様にしてポリエステルA15を得た。得られたポリエステルのTm、酸価、水酸基価、Tg、Mw、Mpを表2に記載した。
<比較例1>[ポリエステルA’1の合成]
表2の比較例1に記載の原料を用いた以外は<ポリエステル製造実施例1>と同様にしてポリエステルA’1を得た。得られたポリエステルのTm、酸価、水酸基価、Tg、Mw、Mpを表2に記載した。
<比較例2>[ポリエステルA’2の合成]
表2の比較例2に記載の原料を用いた以外は<ポリエステル製造実施例1>と同様にしてポリエステルA’2を得た。得られたポリエステルのTm、酸価、水酸基価、Tg、Mw、Mpを表2に記載した。
<比較例3>[ポリエステルA’3の合成]
表2の比較例3に記載の原料を用いた以外は<ポリエステル製造実施例1>と同様にしてポリエステルA’3を得た。得られたポリエステルのTm、酸価、水酸基価、Tg、Mw、Mpを表2に記載した。
なお、ポリエステルの製造に用いた原料は以下の通りである。
・ビスフェノールA・PO2モル付加物(BP−2P)[三洋化成工業]
・ビスフェノールA・PO3モル付加物(BP−3P)[三洋化成工業]
・ビスフェノールA・EO2モル付加物(BPE−20)[三洋化成工業]
・トリメチロールプロパン(TMP)[三菱ガス化学]
・テレフタル酸[三井化学]
・イソフタル酸[三菱ガス化学]
・無水トリメリット酸[百川化工有限公司]
・チタンジイソプロポキシビストリエタノールアミネート[マツモトファインケミカル製オルガチックス TC−400]
<ポリエステル樹脂(A)のTmの測定方法>
高化式フローテスター[(株)島津製作所製、CFT−500D]を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)をTmとした。
<ポリエステル樹脂(A)の酸価、水酸基価の測定方法>
JIS K0070(1992年版)に規定の方法で測定した。
<ポリエステル樹脂(A)のTgの測定方法>
セイコーインスツル(株)製DSC20、SSC/580を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定した。
<ポリエステル樹脂(A)のMp、Mwの測定方法>
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー(株)製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1,050 2,800 5,970 9,100 18,100 37,900 96,400 190,000 355,000 1,090,000 2,890,000)
分子量の測定は、ポリエステル樹脂をTHFに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液とした。
Figure 0006732851
実施例で得られたポリエステルA1〜A15及 び比較例で得られたA’1〜A’3を用いて以下の手順でトナー化し、評価を行った。
まず、サンプルミルを用いてポリエステル100部、着色剤6部、ワックス7部、ワックス分散剤3部を予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、粒径D50が7μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100重量部にコロイダルシリカ[アエロジルR972:日本アエロジル(株)製]0.5重量部をサンプルミルにて混合して、各ポリエステルの評価用トナー組成物を得た。
なお、トナー組成物の作製に使用した着色剤、ワックス、ワックス分散剤は以下の通りである。
着色剤:「カーボンブラックMA−100」[三菱化学]
ワックス:「FNP0090」[日本精蝋]
ワックス分散剤:「ハイマーWDA−1BE」[三洋化成工業]
前記方法で得られたトナー組成物について、下記の方法で、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、連続複写時の画質安定性を評価した。評価結果を表2に示した。
[評価方法]
〔1〕低温定着性
上記のトナー組成物を用いて、市販複写機(AR5030;シャープ製)を用いて現像した未定着画像を、市販複写機(AR5030;シャープ製)の定着機を用いて評価した。定着画像をパットで擦った後の、マクベス反射濃度計RD−191(マクベス社製)を用いて測定した画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって最低定着温度とした。最低定着温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。
[判定基準]
○:最低定着温度120℃以下
△:最低定着温度120℃〜130℃
×:最低定着温度130℃以上
〔2〕耐ホットオフセット性
上記の低温定着性の評価方法と同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有
無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセッ
ト発生温度とした。ホットオフセット発生温度が高いほど、耐ホットオフセット性に優れ
ることを意味する。
[判定基準]
○:ホットオフセット発生温度180℃以上
△:ホットオフセット発生温度160℃〜180℃
×:ホットオフセット発生温度160℃以下
〔3〕耐熱保存性
トナーを45℃の雰囲気で24時間静置し、ブロッキングの程度を目視で判断し、下記
判定基準で耐熱保存性を評価した。
[判定基準]
○:ブロッキングが発生していない。
△:一部にブロッキングが発生している。
×:全体にブロッキングが発生している。
〔3〕連続複写時の画質安定性
トナー組成物30gとフェライトキャリア(パウダーテック(株)製、f−150)800gを均一に混合し2成分現像剤とした。この現像剤を用いて、市販複写機[AR5030、シャープ(株)製]を用いて現像した未定着画像を、市販フルカラー複写機[LBP−2160、キヤノン(株)製]の定着ユニットを用いて、プロセススピード80mm/secで定着した。
[評価基準]
○:8,000枚連続複写後も画像良好のもの
△:8,000枚連続複写後、画質低下(白地汚れ)がわずかにみられるもの
×:8,000枚連続複写後、白地汚れに加え、画像に白スジが入るなど画質低下が明らかにみられるもの
表2の評価結果から明らかなように、本発明の実施例のトナーはいずれもすべての性能評価が優れた結果が得られた。一方で、炭素鎖長が12のアルケニルコハク酸を用いた比較例1のポリエステル(A’1)では低温定着性が不良であり、分岐数が1のアルケニルコハク酸を用いた比較例2のポリエステル(A’2)では低温定着性、耐熱保存性、連続複写時の画質安定性が不良であり、カルボン酸中のアルケニルコハク酸のモル比が55%である比較例3のポリエステル(A’3)ではホットオフセット性、耐熱保存性、連続複写時の画質安定性が不良であった。
本発明のトナーバインダー及びトナー組成物は、低温定着性と耐熱保存安定性の両立が可能であり、連続複写時の画質安定性に優れた電子写真トナー、静電記録トナー及び静電印刷トナー等を提供することができる。

Claims (3)

  1. ポリオール成分(x)とポリカルボン酸成分(y)との反応物であるポリエステル樹脂(A)を含むトナーバインダーであって、
    ポリカルボン酸成分(y)は、分岐アルキル基(r1)を有し、(r1)の炭素数が15〜32のアルキルコハク酸(y10)、分岐アルキル基(r2)を有し、(r2)の炭素数が15〜32のアルキルコハク酸無水物(y11)、分岐アルケニル基(r3)を有し、(r3)の炭素数が15〜32のアルケニルコハク酸(y20)及び分岐アルケニル基(r4)を有し、(r4)の炭素数が15〜32のアルケニルコハク酸無水物(y21)、前記(y10)と炭素数1〜4の脂肪族モノアルコールとのモノ又はジエステル、及び前記(y20)と炭素数1〜4の脂肪族モノアルコールとのモノ又はジエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、(r1)、(r2)、(r3)及び(r4)がそれぞれメチル基を3つ以上有し、
    (y10)、(y11)、(y20)及び(y21)の合計モル数が前記(y)の合計モル数に基づいて3〜50モル%であるトナーバインダー。
  2. 前記ポリエステル樹脂(A)の軟化点が90〜150℃であり、酸価が7〜21mgKOH/gである請求項1に記載のトナーバインダー。
  3. 請求項1又は2に記載のトナーバインダーと着色剤とを含有するトナー組成物。
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