JP6728851B2 - 分散組成物、電池用分散組成物、電池 - Google Patents

分散組成物、電池用分散組成物、電池 Download PDF

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Description

本発明は、電極膜の剥離強度を向上させ密着性を改良した炭素材料分散組成物および炭素材料分散ワニス組成物に関する。また、該分散組成物を使用した電池用分散組成物、電極およびリチウムイオン二次電池に関する。
電池分野において炭素材料は導電助剤として広く用いられているが、電極を製造する際に生産プロセスを効率化して短縮するためには、炭素材料を溶剤中にいかに高濃度かつ均一に分散して、容易に塗工可能とするかが重要である。
近年、特に環境や生産コストへの配慮から、従来よりも、より高濃度かつ均一に分散された炭素材料分散液を作製することによって、溶剤使用量を低減することや乾燥時の使用エネルギーを低減することが求められている。
これらの要求は、溶剤のコストや乾燥時の使用エネルギーに大きな影響があることから、使用する溶剤が高価であるほど、または、使用する溶剤が高沸点であるほど重要になる。
多量の炭素材料を溶剤中に分散するためには、炭素材料の表面に分散剤を吸着処理して分散安定な状態にすることが特に有効な方法であり、様々な分散剤を用いた炭素材料分散液が提案されている。
一方、リチウムイオン二次電池は、自動車用等での利用が広がっており、高容量化のニーズがますます高まっている。高容量化に向けては、塗膜中の活物質量を増やしバインダー量を削減する、電極を厚膜化する等の対応が必要になるが、それらに伴い、電極は剥離しやすくなるという問題が発生する。
例えば、特許文献1〜特許文献3には、トリアジン誘導体にアミンを添加した分散剤を使用した電池用分散組成物が開示されている。しかしながら、これらの特許文献で開示されている分散組成物では、電極膜を作製した際に、膜の剥離強度が不十分で電極加工工程における膜の剥離や、繰り返し充放電による膜の密着性低下に起因した放電容量維持率の低下が起こるという問題点があった。
国際公開公報第WO2008/108360号 特開2010−061932号公報 特開2011−162698号公報
以上の状況を鑑み、本発明では、従来の分散組成物と比較して、電極膜の剥離強度を向上させ密着性の高い分散組成物を提供することが課題である。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、トリアジン誘導体とフッ素を含有するアミンを含む分散剤を使用した分散組成物が、電極膜の剥離強度を向上させ、密着性の改良に非常に効果があることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
すなわち本発明は、下記一般式(1)で表されるトリアジン誘導体およびフッ素を含有するアミンを含む分散剤と、炭素材料と、溶剤とを含んでなる分散組成物に関する。
Figure 0006728851
[一般式(1)中、Rは、−X−Yで表される基を表す。Xは置換基を有してもよいアリーレン基を表し、Yはスルホ基またはカルボキシル基を表す。
は−OHまたは−NH−Rを表す。Qは−OHまたは−NH−Rを表す。RおよびRは、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、有機色素残基、−X−Yで表される基、または−X−Y−Xで表される基を表す。Xは置換基を有してもよいアリーレン基を表す。Xは置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基または有機色素残基を表す。Yは−NHSO−または−N=N−CH(−COCH)−CONH−を表す。但し、RおよびRは、同時に−X−Yになることはない。]
また、本発明は、さらに、バインダーを含んでなる前記分散組成物に関する。
また、本発明は、前記分散組成物と正極活物質とを含んでなる電池用分散組成物に関する。
また、本発明は、集電体上に正極合剤層を有する正極と、集電体上に負極合剤層を有する負極と、電解質とを具備してなる電池であって、正極合剤層が前記電池用分散組成物より形成されてなる電池に関する。
本発明により、従来公知の分散組成物を用いた場合よりも、電極膜の剥離強度を向上させ密着性を改良した分散組成物を得ることが可能となる。その結果、電池容量や充放電サイクル特性等の電池特性に優れた電池を提供することが可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<分散剤>
本発明の一態様は、一般式(1)で表わされるトリアジン誘導体およびフッ素を含有するアミンを含む分散剤と、炭素材料と、溶剤とを含んでなる分散組成物である。
一般式(1)中、Rは、−X−Yで表される基を表す。Xは置換基を有してもよいアリーレン基を表し、Yはスルホ基またはカルボキシル基を表す。
の置換基を有してもよいアリーレン基の「置換基」は、同一でも異なっても良く、その具体例としては、ヒドロキシル基、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン基、ニトロ基、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基等を挙げることができる。また、これらの置換基は、複数あっても良い。
置換基を有してもよいアリーレン基の「アリーレン基」は、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
は−OHまたは−NH−Rを表す。Qは−OHまたは−NH−Rを表す。R、およびRは、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、有機色素残基、−X−Yで表される基、または−X−Y−Xで表される基を表す。Xは置換基を有してもよいアリーレン基を表す。Xは置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基または有機色素残基を表す。Yは−NHSO−または−N=N−CH(−COCH)−CONH−を表す。但し、RおよびRは、同時に−X−Yになることはない。
およびRの置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基の「置換基」は、Xの置換基と同義である。
およびRの置換基を有してもよいアリール基の「アリール基」は、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基等が挙げられる。
およびRの置換基を有してもよい複素環基の「複素環基」は、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、芳香族あるいは脂肪族の複素環が挙げられ、具体的には、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、ピロリル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、チオキサントリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、等が挙げられる。とりわけ、少なくとも窒素原子、酸素原子のいずれかを含む複素環基が分散性に優れるため好ましく、中でもカルバゾリル基、ベンゾイミダゾリル基がより好ましい。
およびRの有機色素残基の「有機色素」は、例えば、ジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、無金属フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ぺリノン系色素、ぺリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素等が挙げられる。中でもアゾ系色素、アントラキノン系色素、無金属フタロシアニン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素が分散性に優れるため好ましい。さらに好ましくはアゾ系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素である。
の置換基を有してもよいアリーレン基は、Xの置換基を有してもよいアリーレン基と同義である。
の置換基を有してもよいアリール基は、RおよびRの置換基を有してもよいアリール基と同義である。
の置換基を有してもよい複素環基の「置換基」は、Xの置換基と同義である。
の置換基を有してもよい複素環基の「複素環基」は、R、Rの複素環基と同義である。
の有機色素残基は、RおよびRの有機色素残基と同義である。
の−NHSO−または−N=N−CH(−COCH)−CONH−は、左側がXとの結合位置を、右側がXとの結合位置を表す。
およびRの組み合わせとしては、−OH、置換基をもたない複素環基、有機色素残基、または−X−Y−Xで表される基のうち、置換基をもたない複素環基または有機色素残基を有するものから選ばれることが好ましく、さらには上記の複素環基がカルバゾリル基またはベンゾイミダゾリル基であるもの、有機色素残基がアゾ系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素であるものから選ばれることが好ましい。
また、トリアジン誘導体の含有量としては、後に説明する炭素材料に対して質量%で0.5〜20%が好ましく、0.5〜10%がより好ましく、0.5〜5%がさらに好ましい。
フッ素を含有するアミンとしては、炭素数1〜40の1級、2級、3級アルキルアミン、炭素数1〜40の1級、2級、3級アリールアミンが挙げられる。
フッ素を含有する炭素数1〜40の1級アルキルアミンとしては、2、2−ジフルオロエチルアミン、1H、1H−ヘプタフルオロブチルアミン、1H、1H−ウンデカフルオロヘキシルアミン、4−フルオロベンジルアミン、3,4−ジフルオロベンジルアミン、3−クロロ−4−フルオロベンジルアミン、2−(4−フルオロフェニル)エチルアミン等が挙げられる。
フッ素を含有する炭素数1〜40の2級アルキルアミンとしては、4−フルオロ−N−メチルベンジルアミン、1−(2−フルオロフェニル)ピペラジン等が挙げられる。
フッ素を含有する炭素数1〜40の3級アルキルアミンとしては、ペンタデカフルオロトリエチルアミン、ペルフルオロトリアミルアミン、ヘプタコサフルオロトリブチルアミン等が挙げられる。
フッ素を含有する炭素数1〜40の1級アリールアミンとしては、4−フルオロアニリン、2,4−ジフルオロアニリン、2,4,6,−トリフルオロアニリン、3−クロロ−4−フルオロアニリン、ペンタフルオロアニリン、4−フルオロ−2−メチルアニリン、2−アミノ−5−フルオロフェノール、2−アミノ−5−クロロ−2’−フルオロベンゾフェノン、4−アミノノナフルオロビフェニル、4−アミノベンゾトリフルオリド、4−アミノ−2,3,5,6−テトラフルオロピリジン等が挙げられる。
フッ素を含有する炭素数1〜40の2級アリールアミンとしては、4−フルオロジフェニルアミン等が挙げられる。
フッ素を含有する炭素数1〜40の3級アリールアミンとしては、4−フルオロ−N,N−ジメチルアニリン等が挙げられる。
この内、炭素数2〜30の1級、2級または3級アルキルアミン、炭素数6〜30の1級、2級または3級アリールアミンが好ましく、炭素数2〜30の1級アルキルアミンがさらに好ましい。
さらに、上記のフッ素を含有するアミンは、フッ素を含有しない炭素数1〜40の1級、2級、3級アルキルアミンアミンと併用してもよい。
炭素数1〜40の1級アルキルアミンとしては、プロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、オクチルアミン、2ーエチルヘキシルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、3−エトキシプロピルアミン、3−ラウリルオキシプロピルアミン等が挙げられる。
炭素数1〜40の2級アルキルアミンとしては、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、N−メチルヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジステアリルアミン、2−メチルアミノエタノール等が挙げられる。
炭素数1〜40の3級アルキルアミンとしては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルオクチルアミン、トリオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジラウリルモノメチルアミン、トリエタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノール等が挙げられる。
この内、炭素数5〜30の1級、2級または3級アルキルアミンが好ましく、炭素数5〜20の1級、2級または3級アルキルアミンがさらに好ましい。
本発明で使用されるフッ素を含有するアミンの添加量は、特に限定されるものではないが、一般式(1)で表わされるトリアジン誘導体1モル当量に対して、0.1モル当量以上、10モル当量以下が好ましく、0.5モル当量以上、5モル当量以下がより好ましい。
また、併用するフッ素を含有しないアミンの添加量は、特に限定されるものではないが、一般式(1)で表わされるトリアジン誘導体1モル当量に対して、0モル当量以上、5モル当量以下が好ましく、0モル当量以上、2モル当量以下がより好ましい。
フッ素を含有するアミンおよびフッ素を含有しないアミンは、分散剤製造時および/または分散組成物製造時に添加することができる。
以上に記載の一般式(1)で表されるトリアジン誘導体およびフッ素を含有するアミンを含む分散剤を使用することで、本発明の効果が現れる。
<炭素材料>
本発明で使用される炭素材料は、特に限定されるものではないが、電池用の炭素材料として使用する場合、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンファイバー、グラフェン、フラーレン等を単独で、もしくは2種類以上併せて使用することが好ましい。炭素材料として用いる場合、導電性、入手の容易さ、およびコスト面から、カーボンブラックの使用が好ましい。
本発明に用いられるカーボンブラックとしては、市販のファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなど各種のものを単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。また、通常行われている酸化処理されたカーボンブラックや、中空カーボン等も使用できる。また、カーボンブラクの粒径は、0.01〜1μmが好ましく、0.01〜0.2μmがより好ましい。ここでいう粒径とは、電子顕微鏡で測定された平均一次粒子径を示し、この物性値は一般にカーボンブラックの物理的特性を表すのに用いられている。
本発明に用いられるカーボンナノチューブは、グラファイトを筒状に巻いた形状を有する炭素材料であり、電子顕微鏡で観察して求めた直径は数nmから100nm程度で、長さは数nmから1mm程度である。半導体特性、塗膜の透明性等を発揮するには、直径50nm以下、特に20nm以下が好ましい。長さは100nmから1mmが好ましく、特に500nmから1mmが好ましい。カーボンナノチューブには単層のものや多層構造になったものがあるが、いずれの構造であってもよい。また、カーボンナノファイバーとして分類される、電子顕微鏡で観察して求めた繊維径が100nmから1μm程度のものについても使用可能である。
本発明に用いられるグラフェンは、グラファイトを構成する単原子薄膜で、炭素原子が平面上で蜂の巣格子(六角形)状に並んだ炭素材料であり、これが積層化した多層グラフェンを含む。多層グラフェンとしては、グラフェン層数1から10層のものが使用可能である。
<溶剤>
本発明に使用する溶剤としては、非プロトン性の極性溶剤であることが好ましい。特に電池用途で使用する場合には、アミド系溶剤が好ましく、特に、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド系非プロトン性溶剤の使用が好ましい。
<バインダー>
使用するバインダーとしては特に限定されないが、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルピロリドン等を構成単位として含む重合体または共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、カルボキシメチルセルロースのようなセルロース樹脂、スチレン−ブタジエンゴム、フッ素ゴムのようなゴム類、ポリアニリン、ポリアセチレンのような導電性樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂の変性体および共重合体でも良い。特に、電池用途で使用する場合には、耐性面から分子内にフッ素原子を含む高分子化合物、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン等の使用が好ましい。これらバインダーは、1種または複数を組み合わせて使用することもできる。
<活物質>
活物質は、電池内において、電子を送り出し、または受け取り、酸化または還元反応を行う物質である。正極に用いられる正極活物質と、負極に用いられる負極活物質が挙げられる。
<正極活物質>
使用する正極活物質は、電池用活物質として機能するものであれば、特に限定はされない。例えば、リチウムイオン二次電池に使用する場合には、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能な金属酸化物、金属硫化物等の金属化合物、および導電性高分子等を使用することができる。
具体的には、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLiMnまたはLiMnO)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト複合酸化物(LiCo)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLiNi1−yCo)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLiMnCo1−y)、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物(例えばLiNiCoMn1−y−z)、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLiMn2−yNi)等のリチウムと遷移金属との複合酸化物粉末、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物粉末(例えばLiFePO、LiFe1−yMnPO、LiCoPOなど)、酸化マンガン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、バナジウム酸化物(例えばV、V13)、酸化チタン等の遷移金属酸化物粉末、硫酸鉄(Fe(SO)、TiS、およびFeS等の遷移金属硫化物粉末等が挙げられる。ただし、x、y、zは数であり、0<x<1、0<y<1、0<z<1、0<y+z<1である。また、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性ポリマーを使用することもできる。これら正極活物質は、1種または複数を組み合わせて使用することもできる。
<負極活物質>
使用する負極活物質としては特に限定はされないが、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能な金属Li、またはその合金、スズ合金、シリコン合金負極、LiFe、LiFe、LiWO等の金属酸化物系、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン等の導電性高分子、ソフトカーボンやハードカーボンといったアモルファス系炭素質材料や、高黒鉛化炭素材料等の人造黒鉛、あるいは天然黒鉛等の炭素質粉末、カーボンブラック、メソフェーズカーボンブラック、樹脂焼成炭素材料、気層成長炭素繊維、炭素繊維などの炭素系材料が用いられる。ただし、xは数であり、0<x<1である。これら負極活物質は、1種または複数を組み合わせて使用することもできる。
<分散組成物>
以上述べた通り、本発明の分散組成物は、上記分散剤、炭素材料、溶剤を含む炭素材料分散液、または、さらにバインダーを含む炭素材料分散ワニスであり、均質で良好な塗膜物性が求められる印刷インキ、塗料、プラスチック、トナー、カラーフィルタレジストインキ、電池等の分野に使用することができる。特に、均質で良好な塗膜物性と、表面抵抗の低い電極層に適した塗膜を提供することができるため、電池の電極を形成する用途で好適に使用することができる。
<分散組成物の製造方法>
本発明の分散組成物である炭素材料分散液は、上記分散剤と、炭素材料と、溶剤とを混合することにより製造することができる。また、炭素材料分散ワニスは、上記分散剤と、炭素材料と、溶剤と、バインダーとを混合することにより製造することができる。各成分の添加順序などについては限定されるものではなく、例えば、炭素材料分散液は、(1)全成分を一括に混合・分散する方法、(2)予め分散剤を分散・溶解した溶剤に炭素材料を分散させる方法等が挙げられる。また、炭素材料分散ワニスは、(1)全成分を一括に混合・分散・溶解する方法、(2)予め炭素材料分散液を作成した後に、バインダー粉を混合・溶解する方法、(3)予め炭素材料分散液を作成した後に、バインダー溶液を混合する方法等が挙げられる。また、必要に応じて上記に記載の溶剤を更に追加しても良い。
混合・分散・溶解装置としては、顔料分散等に通常用いられている分散機を使用することができる。例えば、ディスパー、ホモミキサー、プラネタリーミキサー等のミキサー類、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」、PRIMIX社「フィルミックス」等、シルバーソン社製「アブラミックス」等)類、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、コロイドミル(PUC社製「PUCコロイドミル」、IKA社製「コロイドミルMK」)類、コーンミル(IKA社製「コーンミルMKO」等)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル等のメディア型分散機、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、分散機としては、分散機からの金属混入防止処理を施したものを用いることが好ましい。金属混入防止処理としては、例えばメディア型分散機を使用する場合は、アジテーターおよびベッセルがセラミック製または樹脂製の分散機を使用する方法や、金属製アジテーターおよびベッセル表面をタングステンカーバイド溶射や樹脂コーティング等の処理をした分散機を用いることが好ましい。メディアとしては、ガラスビーズまたはジルコニアビーズもしくはアルミナビーズ等のセラミックビーズを用いることが好ましい。また、ロールミルを使用する場合についても、セラミック製ロールを用いることが好ましい。分散機は、1種のみを使用しても良いし、複数種の装置を組み合わせて使用しても良い。
<電池用分散組成物>
本発明の電池用分散組成物は、上記分散剤、炭素材料、溶剤、バインダーを含む分散組成物に、正極活物質を含有させた電池用組成物(以下、「正極合剤ペースト」と云う)として使用することが好ましい。
この正極合剤ペーストは、上記分散剤と、炭素材料と、溶剤と、バインダーと、活物質とを混合することにより製造することができる。各成分の添加順序などについては限定されるものではなく、例えば、全成分を一括に混合する方法、上述の方法で予め作成した炭素材料分散液に残りの成分を投入して混合する方法、上述の方法で予め作成した炭素材料分散ワニスに活物質を投入して混合する方法等が挙げられる。また、必要に応じて上記に記載の溶剤を更に追加しても良い。
合剤ペーストを製造するための装置としては、上述した本発明の分散組成物を作製する際に用いられるものと同様のものを使用することができる。
<電池>
次に、本発明の組成物を用いた電池について説明する。本発明の組成物は、特にリチウムイオン二次電池に好適に使用することができる。以下ではリチウムイオン二次電池について説明するが、本発明の組成物を用いた電池はリチウムイオン二次電池に限定されるものではない。
リチウムイオン二次電池は、集電体上に正極合剤層を有する正極と、集電体上に負極合剤層を有する負極と、リチウムを含む電解質とを具備する。
電極について、使用する集電体の材質や形状は特に限定されず、材質としては、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、ステンレス等の金属や合金が用いられるが、特に正極材料としてはアルミニウムが、負極材料としては銅の使用が好ましい。また、形状としては、一般的には平板上の箔が用いられるが、表面を粗面化したものや、穴あき箔状のもの、およびメッシュ状のものも使用できる。また、集電体には、集電体と合剤層との接触抵抗や密着性を向上させる目的で、導電性の下地層を設けても良い。
電極合剤層は、集電体上に上記の電極合剤ペーストを直接塗布し、乾燥することで形成できる。電極合剤層の厚みとしては、一般的には1μm以上、500μm以下であり、好ましくは10μm以上、300μm以下である。塗布方法については特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。具体的には、ダイコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、スプレーコティング法、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法、静電塗装法等が挙げられる。また、塗布後に平版プレスやカレンダーロール等による圧延処理を行っても良い。
リチウムイオン二次電池を構成する電解液としては、リチウムを含んだ電解質を非水系の溶剤に溶解したものを用いる。電解質としては、LiBF、LiClO、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、Li(CFSON、LiCSO、Li(CFSOC、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF、LiSCN、LiBPh(ただし、Phはフェニル基である。)等が挙げられるがこれらに限定されない。
非水系の溶剤としては特に限定はされないが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−オクタノイックラクトン等のラクトン類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,2−メトキシエタン、1,2−エトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等のグライム類、メチルフォルメート、メチルアセテート、メチルプロピオネート等のエステル類、ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド類、アセトニトリル等のニトリル類、1−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。またこれらの溶剤は、それぞれ単独で使用しても良いが、2種以上を混合して使用しても良い。
更に上記電解液を、ポリマーマトリクスに保持しゲル状とした高分子電解質とすることもできる。ポリマーマトリクスとしては、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するアクリレート系樹脂、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するポリホスファゼン系樹脂、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するポリシロキサン等が挙げられるがこれらに限定されない。
本発明の組成物を用いた電池の構造については特に限定されないが、通常、正極および負極と、必要に応じて設けられるセパレーターとから構成され、ペーパー型、円筒型、ボタン型、積層型など、使用する目的に応じた種々の形状とすることができる。
本発明の分散組成物は、特に電池やコンデンサー、キャパシター用途で使用されるカーボンブラック等の炭素材料の分散剤として好適に使用することができるが、各種インキ、塗料、カラーフィルターレジスト等の着色組成物に使用される顔料の分散剤としても使用可能である。
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、個々の組成物の違いを明確にするために、分散剤、炭素材料、溶剤からなる分散組成物を「炭素材料分散液」、分散剤、炭素材料、溶剤、バインダーからなる分散組成物を「炭素材料分散ワニス」、分散剤、炭素材料、溶剤、バインダー、活物質からなる電池用分散組成物を「合剤ペースト」と呼称することとする。また、特に断わりの無い限り、溶剤として使用したN−メチル−2−ピロリドンを「NMP」、質量%を「%」と略記する。
<分散剤>
以下に本発明の一般式(1)で表わされるトリアジン誘導体A〜Mの構造を示す。本発明に用いる一般式(1)で表わされるトリアジン誘導体A〜Mの製造方法としては、特に限定されるものではなく、周知の方法を適用することができる。例えば、特開2004−217842号公報等に記載されている方法を適用することができる。上記公報による開示を参照することにより、本明細書の一部に組み込むものとする。
Figure 0006728851
Figure 0006728851
Figure 0006728851
<トリアジン誘導体とフッ素を含有するアミンからなる分散剤の製造方法>
以下の実施例に記載した方法で表1記載の分散剤a〜amを製造した。
Figure 0006728851
[実施例1−1]
(分散剤aの製造)
水200gに トリアジン誘導体Aを0.040モル加えた。これに1H,1H−ヘプタフルオロブチルアミンを0.040モル加え、60℃で2時間撹拌した。室温まで冷却後、ろ過精製を行った。得られた残渣を90℃で48時間乾燥することにより、分散剤aを得た。
[実施例1−2]〜[実施例1−13]
(分散剤b〜分散剤mの製造)
分散剤aの製造においてトリアジン誘導体Aの代わりに表1の実施例1−2〜実施例1−13に記載のトリアジン誘導体B〜トリアジン誘導体Mを添加した以外は、実施例1−1と同様な方法で製造し、分散剤b〜分散剤mを得た。
[実施例1−14]〜[実施例1−34]
(分散剤n〜分散剤ahの製造)
分散剤eの製造において1H,1H−ヘプタフルオロブチルアミンの代わりに表1の実施例1−14〜実施例1−34に記載のアミンを添加した以外は、実施例1−5と同様な方法で製造し、分散剤n〜分散剤ahを得た。
[実施例1−35〜分散剤1−39]
(分散剤ai〜分散剤amの製造)
分散剤eの製造において1H,1H−ヘプタフルオロブチルアミンの添加量を表1の実施例1−35〜実施例1−39に記載の添加量に変更した以外は実施例1−5と同様な方法で製造し、分散剤ai〜分散剤amを得た。
<トリアジン誘導体とフッ素を含有しないアミンからなる分散剤の製造方法>
以下の比較例に記載した方法で表2記載の分散剤an〜aoを製造した。
Figure 0006728851
[比較例1−1]
(分散剤anの製造)
分散剤eの製造において1H,1H−ヘプタフルオロブチルアミンの代わりにブチルアミンを添加した以外は実施例1−5と同様な方法で製造し、分散剤anを得た。
[比較例1−2]
(分散剤aoの製造)
分散剤fの製造において1H,1H−ヘプタフルオロブチルアミンの代わりにオクチルアミンを添加した以外は実施例1−6と同様な方法で製造し、分散剤aoを得た。
<炭素材料分散液の製造および評価>
以下の実施例、比較例に記載した方法で炭素材料分散液を製造した。
炭素材料分散液の製造には、分散剤a〜分散剤am、またはトリアジン誘導体Eに分散時にフッ素を含有するアミンを添加した分散剤、または分散剤anに分散時にフッ素を含有するアミンを添加した分散剤と、N−メチル−2−ピロリドン、および以下の炭素材料を使用した。
#30(三菱化学社製):ファーネスブラック、電子顕微鏡で観察して求めた平均一次粒子径が30nm、窒素吸着量からS−BET式で求めた比表面積が74m/g。
モナーク800(キャボット社製):ファーネスブラック、電子顕微鏡で観察して求めた平均一次粒子径が17nm、窒素吸着量からS−BET式で求めた比表面積が210m/g、以下「M800」と略記する。
デンカブラックHS100(電気化学工業社製):アセチレンブラック、電子顕微鏡で観察して求めた平均一次粒子径が48nm、窒素吸着量からS−BET式で求めた比表面積が39m/g、以下「HS100」と略記する。
EC−300J(アクゾ社製):ケッチェンブラック、電子顕微鏡で観察して求めた平均一次粒子径が40nm、窒素吸着量からS−BET式で求めた比表面積が800m/g。
カーボンナノチューブ:多層カーボンナノチューブ、電子顕微鏡で観察して求めた繊維径10〜20nm、繊維長2〜5μm、以下CNTと略記する。
VGCF(昭和電工社製):カーボンナノファイバー、電子顕微鏡で観察して求めた繊維径150nm、繊維長10〜20μm。
表3中でPFTAはペンタデカフルオロトリエチルアミンを、HFBAは1H、1H−ヘプタフルオロブチルアミンを示す。
[実施例2−1〜実施例2−39、実施例2−54〜実施例2−58]
表3に示す組成に従い、ガラス瓶にN−メチル−2−ピロリドンと各分散剤を仕込み、混合溶解した後、各炭素材料を加え、ジルコニアビーズをメディアとして、ペイントコンディショナーで2時間分散し、炭素材料分散液を得た。
[実施例2−40〜実施例2−53]
表3に示す組成に従い、ガラス瓶にN−メチル−2−ピロリドンとトリアジン誘導体または分散剤、フッ素を含有するアミンを仕込み、混合溶解した後、各炭素材料を加え、ジルコニアビーズをメディアとして、ペイントコンディショナーで2時間分散し、炭素材料分散液を得た。
[比較例2−1〜比較例2−7]
表4に示す組成に従い、ガラス瓶にN−メチル−2−ピロリドンと各分散剤を仕込み、混合溶解した後、各炭素材料を加え、ジルコニアビーズをメディアとして、ペイントコンディショナーで2時間分散し、炭素材料分散液を得た。
Figure 0006728851
Figure 0006728851
<炭素材料分散ワニスの製造および評価>
以下の実施例、比較例に記載した方法で炭素材料分散ワニスを製造した。
炭素材料分散ワニスの製造には、実施例2−1〜実施例2−58、比較例2−1〜比較例2−7に記載の炭素材料分散液と、N−メチル−2−ピロリドン、および以下のバインダーを使用した。
KFポリマーW1100(クレハ社製):ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、以下PVDFと略記する。
表5中でPFTAはペンタデカフルオロトリエチルアミンを、HFBAは1H、1H−ヘプタフルオロブチルアミンを示す。
[実施例3−1〜実施例3−58]
表5に示す組成に従い、実施例2−1〜実施例2−58で調整した各種炭素材料分散液とバインダー、N−メチル−2−ピロリドンをディスパーにて混合し、各種炭素材料分散ワニスを得た。
[比較例3−1〜比較例3−7]
表6に示す組成に従い、比較例2−1〜比較例2−7で調整した各種炭素材料分散液とバインダー、N−メチル−2−ピロリドンをディスパーにて混合し、各種炭素材料分散ワニスを得た。
Figure 0006728851
Figure 0006728851
<合剤ペーストの製造および評価>
以下の実施例、比較例に記載した方法で合剤ペーストを調製した。
合剤ペーストの製造には、実施例3−1〜実施例3−58、比較例3−1〜比較例3−7に記載の炭素材料分散ワニスと、N−メチル−2−ピロリドン、および以下の活物質を使用した。
HLC−22(本荘ケミカル社製):正極活物質、コバルト酸リチウム(LiCoO)、電子顕微鏡で観察して求めた平均一次粒子径が6.6μm、窒素吸着量からS−BET式で求めた比表面積が0.62m/g、以下LCOと略記する。
表7中でPFTAはペンタデカフルオロトリエチルアミンを、HFBAは1H、1H−ヘプタフルオロブチルアミンを示す。
[実施例4−1〜実施例4−58]
表7に示す組成に従い、実施例3−1〜実施例3−58で調整した各種炭素材料分散ワニスと活物質、N−メチル−2−ピロリドンをディスパーにて混合し、各種合剤ペーストを得た。
[比較例4−1〜比較例4−7]
表8に示す組成に従い、比較例3−1〜比較例3−7で調整した各種炭素材料分散ワニスと活物質、N−メチル−2−ピロリドンをディスパーにて混合し、各種合剤ペーストを得た。
Figure 0006728851
Figure 0006728851
<電極の製造および評価>
以下の実施例、比較例に記載した方法で電極を製造し、密着性(剥離強度)を測定することにより評価した。
なお、密着性は卓上型引張試験機(東洋精機製作所社製、ストログラフE3)を用い、180度剥離試験法により評価した。具体的には、100mm×20mmサイズの両面テープ(No.5000NS、ニトムズ(株)製)をアクリル板上に貼り付け、同じく100mm×20mmサイズに切り出した電極を、アルミ箔を外側にして、合剤層が両面テープのもう一方の面と重なるように接着させた。続いて、電極の短辺が上下になるようにアクリル板を垂直に固定し、アルミ箔の下方側の短辺を、電極に対して180度方向(上方)に一定速度(50mm/分)で引っ張り、合剤層から剥離させた。このときの力(剥離強度)を密着性とした。密着性は、◎:比較例に対して剥離強度が140%以上向上し非常に優れている、○:比較例に対して剥離強度が120%以上140%未満向上しとても良い、△:比較例に対して剥離強度が100%以上120%未満向上し良い、×:強度が弱く、剥がれやすいため改善が必要、とした。
[実施例5−1〜実施例5−58]
実施例4−1〜実施例4−58で調整した合剤ペーストを、アルミ箔上にドクターブレードを用いて塗工した後、減圧下120℃で30分間乾燥し、乾燥後膜厚100μmの電極を作製した。表9より、トリアジン誘導体とフッ素を含有するアミンよりなる分散剤を使用した場合、密着性が向上することを確認した。
[比較例5−1〜比較例5−7]
比較例4−1〜比較例4−7で調整した合剤ペーストを、アルミ箔上にドクターブレードを用いて塗工した後、減圧下120℃で30分間乾燥し、乾燥後膜厚100μmの電極を作製した。表10より、トリアジン誘導体とフッ素を含有しないアミンよりなる分散剤を使用した場合、密着性が不十分であることを確認した。
Figure 0006728851
Figure 0006728851
<リチウムイオン二次電池正極評価用セルの組み立ておよび特性評価>
[実施例6−1〜実施例6−58]
先に調製した合剤ペースト(実施例4−1〜実施例4−58)を、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧下120℃で加熱乾燥し、ローラープレス機にて圧延処理し、塗布量20mg/cm、密度3.0g/cmの正極を作製した。これを直径16mmに打ち抜き作用極とし、金属リチウム箔(厚さ0.15mm)を対極として、作用極および対極の間に多孔質ポリプロピレンフィルムからなるセパレーター(厚さ20μm、空孔率50%)を挿入積層し、電解液(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを体積比1:1に混合した混合溶媒にLiPFを1Mの濃度で溶解させた非水電解液)を満たして二極密閉式金属セル(宝泉社製HSフラットセル)を組み立てた。セルの組み立てはアルゴンガス置換したグローブボックス内で行った。
作製した電池評価用セルを室温(25℃)で、充電レート1.0Cの定電流定電圧充電(上限電圧4.2V)で満充電とし、充電時と同じレートの定電流で放電下限電圧3.0Vまで放電を行う充放電を1サイクル(充放電間隔休止時間30分)とし、このサイクルを合計50サイクル行い、容量維持率(1サイクル目の放電容量に対する50サイクル目の放電容量の百分率)を求めて、充放電サイクル特性評価(評価装置:北斗電工社製SM−8)を行った。充放電サイクル特性評価の結果は、○:容量維持率85%以上95%未満で非常に優れている、△:容量維持率75%以上85%未満で良い、×:容量維持率75%未満で改善が必要とした。その結果、表11より、本発明の電極を使用した電池は、50サイクル容量維持率において良好な結果が得られた。
[比較例6−1〜比較例6−7]
比較例4−1〜比較例4−7で調製した合剤ペーストを使用して、実施例6−1〜実施例6−58と同様に電池評価用セルを組み立て、充放電サイクル特性評価を行った。その結果、表12より、比較例6−1〜比較例6−7では容量維持率の低下が見られた。
Figure 0006728851
Figure 0006728851

Claims (4)

  1. 予め、下記一般式(1)で表されるトリアジン誘導体およびフッ素を含有するアミンを撹拌してなる分散剤と、炭素材料と、溶剤とを含み、
    前記フッ素を含有するアミンは、炭素数2〜30の1級、2級もしくは3級アルキルアミン、または炭素数6〜30の1級、2級もしくは3級アリールアミンを含む、分散組成物。
    Figure 0006728851

    [一般式(1)中、Rは、−X−Yで表される基を表す。Xは置換基を有してもよいアリーレン基を表し、Yはスルホ基またはカルボキシル基を表す。
    は−OHまたは−NH−Rを表す。Qは−OHまたは−NH−Rを表す。RおよびRは、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、有機色素残基、−X−Yで表される基、または−X−Y−Xで表される基を表す。Xは置換基を有してもよいアリーレン基を表す。Xは置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基または有機色素残基を表す。Yは−NHSO−または−N=N−CH(−COCH)−CONH−を表す。但し、RおよびRは、同時に−X−Yになることはない。]
  2. さらに、バインダーを含んでなる請求項1記載の分散組成物。
  3. 請求項2記載の分散組成物と正極活物質とを含んでなる電池用分散組成物。
  4. 集電体上に正極合剤層を有する正極と、集電体上に負極合剤層を有する負極と、電解質とを具備してなる電池であって、正極合剤層が請求項3に記載の電池用分散組成物より形成されてなる電池。
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