JP6728766B2 - 易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シート - Google Patents

易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シート Download PDF

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Description

本発明は、引き裂きやすく、人の手でも容易に切ることのできるポリオレフィン系樹脂積層発泡シートに関する。
従来からポリオレフィン系樹脂発泡シートは、以下のようにして製造されている。押出機内に熱可塑性のポリオレフィン系樹脂を導入し、発泡剤や気泡調整剤等と共に高温高圧条件下で混練する。混練後、溶融軟化した樹脂を、押出機の先端部に接続されたサーキュラーダイの出口から円筒状に押し出し、大気中でエアー冷却して発泡制御しながら冷却マンドレルに送り出す。冷却マンドレルで冷却された円筒状のシートは、冷却後カッターにて切断され、平面状の一枚のシートとして紙管などの巻芯に巻き取られる。
ポリオレフィン系樹脂発泡シートは、通常、長尺に製造したものを巻き取ったコイルの形で提供される場合もある。使用に当たっては、この巻き取りから樹脂発泡シートを繰り出して、打ち抜きとか、折り畳みとかの加工を行なう装置に供給するのが通常である。
一方、引っ越し荷物の緩衝包装、引っ越しを含めて屋内の模様替えや工事に当たっての養生等の場合、樹脂発泡シートの巻き取りを展開しながら、ハサミやカッターナイフなどで必要な分だけ切り取って使用する。この切り取り作業において、カッターナイフの取り扱いに気を付けないと、思いがけない危険がある。
樹脂発泡シートを巻き取りから必要なだけ切り取るような使用態様においては、樹脂発泡シートの緩衝性能が損なわれないという前提が満たされる限り、手で幅方向に、つまり長手方向に直角の方向に引き裂くことができれば好都合である。
ところが、現在製造販売されている樹脂発泡シートは、手で幅方向に引き裂こうとすると、引き裂けるが、比較的まっすぐに引き裂けるものではない。
押し出し方向に一軸延伸されていて、流れに沿った方向にはある程度引き裂き可能であるが、幅方向には引き裂きにくい。
このような欠点を改善するため、ポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくとも片面に延伸フィルムが積層されたポリオレフィン系樹脂積層発泡シートが提案されている。(特許文献1参照)当該ポリオレフィン系樹脂発泡シートにおいて、長尺巻回状態における長手方向であるMD方向の引裂強度はそれと直交するTD方向の引裂強度よりも小さい。
特開2005−131952号公報
しかし、上記特許文献1に開示されるポリオレフィン系樹脂積層発泡シートは、積層された延伸フィルムの延伸方向にしか引き裂くことができないという問題があった。また、延伸フィルムが積層された側のヒートシール適性が劣るという問題があった。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、長手方向及び長手方向に垂直な方向において引裂性が良好であり、容易に手で引き裂くことができる易引裂性ポリオレフィン系樹脂発泡シートを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリオレフィン系樹脂層、環状オレフィン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とを含有する混合樹脂層及びポリオレフィン系樹脂層を積層してなる積層体を、ポリオレフィン系樹脂発泡シートに重ねることにより、上記課題を解決することができることを見出し、これらの知見を基に、さらに検討を重ね、本発明を完成するに至った。
すなわち、本願の第1の発明は、ポリオレフィン系樹脂発泡シート(Y)の少なくとも片面に、下記の層(A)、層(B)、層(C)をこの順に有する積層体(X)が積層された易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シートに存する。
層(A):ポリオレフィン系樹脂層
層(B):環状オレフィン系樹脂(b1)とポリオレフィン系樹脂を含有する混合樹脂層
層(C):ポリオレフィン系樹脂層
第2の発明は、前記積層体(X)は、
前記層(A)が、エチレン・α−オレフィン共重合体(a1)0〜100重量%及び高圧法低密度ポリエチレン(a2)0〜100重量%[ただし、(a1)及び(a2)の合計量を100重量%とする。]を含有する樹脂層であり、
前記層(B)が、環状オレフィン系樹脂(b1)10〜90重量%及びエチレン・α−オレフィン共重合体(b2)10〜90重量%[ただし、(b1)及び(b2)の合計量を100重量%とする。]を含有する樹脂層であり、
前記層(C)が、エチレン・α−オレフィン共重合体(c1)0〜100重量%及び高圧法低密度ポリエチレン(c2)0〜100重量%[ただし、(c1)及び(c2)の合計量を100重量%とする。]を含有する樹脂層である
ことを特徴とする第1の発明に記載の易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シートに存する。
第3の発明は、前記積層体(X)は、
前記層(A)が、エチレン・α−オレフィン共重合体(a1)0〜100重量%及び高圧法低密度ポリエチレン(a2)0〜100重量%[ただし、(a1)及び(a2)の合計量を100重量%とする。]を含有する樹脂層であり、
前記層(B)が、環状オレフィン系樹脂(b1)10〜90重量%、エチレン・α−オレフィン共重合体(b2)10〜90重量%及び高圧法低密度ポリエチレン(b3)0〜30重量%[ただし、(b1)、(b2)及び(b3)の合計量を100重量%とする。]を含有する樹脂層であり、
前記層(C)が、エチレン・α−オレフィン共重合体(c1)0〜100重量%及び高圧法低密度ポリエチレン(c2)0〜100重量%[ただし、(c1)及び(c2)の合計量を100重量%とする。]を含有する樹脂層である
ことを特徴とする第1の発明又は第2の発明に記載の易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シートに存する。
第4の発明は、前記ポリオレフィン系樹脂発泡シート(Y)が、下記の成分(D)からなることを特徴とする第1〜3のいずれかの発明に記載の易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シートに存する。
成分(D):MFR0.1〜5(g/10分)である高圧法低密度ポリエチレン
第5の発明は、前記環状オレフィン系樹脂(b1)が、エチレン・環状オレフィン共重合体であることを特徴とする第1〜4のいずれかの発明に記載の易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シートに存する。
第6の発明は、前記エチレン・環状オレフィン共重合体中のエチレン/環状オレフィンの含有割合は、エチレンと環状オレフィンとの合計重量を100とした場合、重量比で15〜40/85〜60であることを特徴とする第5の発明に記載の易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シートに存する。
第7の発明は前記エチレン・環状オレフィン共重合体は、ガラス転移点が60℃以上であることを特徴とする第5又は6の発明に記載の易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シートに存する。
第8の発明は、前記積層体(X)において、前記環状オレフィン系樹脂(b1)は、前記積層体(X)全体の重量を基準として、3〜60重量%含まれることを特徴とする第1〜7のいずれかの発明に記載の易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シートに存する。
第9の発明は、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(a1)、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(b2)及び前記エチレン・α−オレフィン共重合体(c1)のいずれかは、190℃におけるメルトインデックスが0.1〜30g/10分であることを特徴とする第3の発明に記載の易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シートに存する。
第10の発明は、前記積層体(X)において、JIS K7128−2に準拠して測定したエルメンドルフ引裂強度が、MD方向(縦方向)及びTD方向(横方向)において、それぞれ11N/mm以下であることを特徴とする第1〜9のいずれかの発明に記載の易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シートに存する。
第11の発明は、前記層(B)の厚さは、前記積層体(X)の全体の厚さを基準として、20〜70%であることを特徴とする第1〜10のいずれかの発明に記載の易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シートに存する。
本発明の易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シートは、長手方向及び長手方向に垂直な方向における、引裂性が良好であり、容易に手で引き裂くことができる。
図1は、本発明の易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シートの層構成を示す概略図である。
本発明の易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シートは、ポリオレフィン系樹脂発泡シート(Y)の少なくとも片面に特定の積層体(X)を積層したことを特徴とする。
すなわち、図1に示すとおり、ポリオレフィン系樹脂発泡シート2(Y)の少なくとも片面に、4(A層)、5(B層)、6(C層)をこの順に有する積層体3(X)を積層してなる易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シート1が本願発明の対象物である。
以下、本発明について、項目ごとに詳細に説明する。
1.積層体(X)
本発明の易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シート1は、発泡シート2の少なくとも片面に、下記の層(A)、層(B)、層(C)をこの順に有してなる積層体(X)を積層してなる。
層(A):ポリオレフィン系樹脂層
層(B):環状オレフィン系樹脂とポリオレフィン系樹脂を含有する混合樹脂層
層(C):ポリオレフィン系樹脂層
以下、各層について、詳細を説明する。
(1)層(A)
本発明に用いられる積層体(X)における層(A)は、ポリオレフィン系樹脂を含有するポリオレフィン系樹脂層である。該ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂などを挙げることができ、好ましくは、ポリエチレン系樹脂である。
層(A)は、より好ましくは、エチレン・α−オレフィン共重合体(a1)0〜100重量%及び高圧法低密度ポリエチレン(a2)0〜100重量%[ただし、(a1)及び(a2)の合計重量を100重量%とする。]を含有する樹脂層であり、さらに好ましくは、エチレン・α−オレフィン共重合体(a1)70〜100重量%及び高圧法低密度ポリエチレン(a2)0〜30重量%[ただし、(a1)及び(a2)の合計重量を100重量%とする。]を含有する樹脂層である。
(I)エチレン・α−オレフィン共重合体(a1)
層(A)に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(a1)は、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であって、メタロセン触媒、Ziegler触媒、Phillips触媒等により重合されたもののいずれであっても良く、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)であることが好ましい。密度は、0.890〜0.960g/cmであることが好ましく、より好ましくは0.910〜0.940g/cmである。密度が0.890g/cmを下回る場合は十分な剛性が得られず、積層体(X)がブロッキングしてしまう等、加工性に劣る恐れがある。一方、密度が0.960g/cmを超える場合は、ポリオレフィン系樹脂発泡シート(Y)との十分な融着が得られない恐れがある。
なお、本発明において、密度は、JIS K 6922−2に基づいて測定する値である。
エチレン・α−オレフィン共重合体(a1)のメルトフローレート(MFR)は、190℃において0.1〜30g/10分であることが好ましい。より好ましくは0.5〜4.0g/10分である。MFRが0.1g/10分未満の場合は、溶融流れ性が悪く、積層体(X)のフィルム加工が困難になり、また、モーター負荷が大きくなるといった問題が生じる恐れがあり好ましくない。一方、30g/10分を超える場合は、溶融粘度が低すぎて、積層体(X)のフィルム加工時の製膜安定性が低下する恐れがあり好ましくない。
なお、本発明において、メルトフローレート(MFR)は、JIS−K−7210により測定したメルトフローレート値である。
また、エチレン・α−オレフィン共重合体(a1)において、エチレンと共重合するα−オレフィンの含量としては、0.1〜15モル%、好ましくは0.5〜10モル%、特に好ましくは0.5〜5モル%であり、α−オレフィンの種類としては、通常は炭素数3〜8のα−オレフィンであり、具体的にはプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1を挙げることができる。
(II)高圧法低密度ポリエチレン(a2)
本発明に用いられる高圧法低密度ポリエチレン(a2)(LDPEとも称される)は、ホモのポリエチレンであって、有機過酸化物により重合されたものである。
高圧法低密度ポリエチレン(a2)の密度は0.915〜0.935g/cmの範囲から選ばれるが、好ましくは、0.920〜0.930g/cmであり、更に好ましくは0.922〜0.929g/cmである。密度が0.915g/cm未満である場合、積層体(X)成形時に穴あきが発生しやすくなり、外観が良好なフィルムが得られない恐れがある。一方、密度が0.935g/cmを超える場合は、積層体(X)の加工安定性が得られない恐れがある。
なお、本発明において、密度は、JIS K 6922−2に基づいて測定する値である。
(2)層(B)
本発明に用いられる積層体(X)における層(B)は、環状オレフィン系樹脂(b1)とポリオレフィン系樹脂とを含有する混合樹脂層である。
より好ましくは、層(B)は、環状オレフィン系樹脂(b1)と、エチレン・α−オレフィン共重合体を含む樹脂層であり、さらに好ましくは、層(B)は、環状オレフィン系樹脂(b1)10〜90重量%と、エチレン・α−オレフィン共重合体(b2)10〜90重量%と、高圧法低密度ポリエチレン(b3)0〜30重量%を含有する樹脂層[(b1)、(b2)、(b3)の合計量は100重量%]であることを特徴とする。
環状オレフィン系樹脂が10重量%未満であると十分な易引裂性が得られない恐れがあり好ましくない。
(I)環状オレフィン系樹脂(b1)
本発明層(B)で用いる環状オレフィン系樹脂(b1)としては、例えば、ノルボルネン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、環状共役ジエン重合体等が挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系重合体が好ましい。また、ノルボルネン系重合体としては、ノルボルネン系単量体の開環重合体(以下、「COP」ともいう。)、ノルボルネン系単量体とエチレン等のα−オレフィンを共重合したノルボルネン系共重合体(以下、「COC」ともいう。)等が挙げられる。また、COP及びCOCの水素添加物も用いることができる。
COCとしては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等のα−オレフィンなどの直鎖状モノマーとテトラシクロドデセン、ノルボルネンなどの環状モノマーとから得られた環状オレフィン共重合体が挙げられる。さらに具体的には上記直鎖状モノマーと炭素数が3〜20のモノシクロアルケンやビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(ノルボルネン)及びこの誘導体、トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン及びその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.1.2,5.17,10]−3−ドデセン及びこの誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン及びこの誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセン及びこの誘導体、ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン及びこの誘導体、ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン及びこの誘導体、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン及びこの誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセン等およびこの誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセン及びこの誘導体、ヘプタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン及びこの誘導体、オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン及びこの誘導体、ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.02,10.03,8.012,21.014,19]−5−ペンタコセン及びこの誘導体等の環状オレフィンとの共重合体からなる環状オレフィン共重合体などが挙げられる。直鎖状モノマー及び環状モノマーは、それぞれ単独でも、2種類以上を併用することもできる。また、このような環状オレフィン共重合体は単独であるいは組み合わせて使用することができる。また、環状オレフィン系樹脂(b1)に、前記COPとCOCを併用することもできる。その場合は、COPとCOCのそれぞれの異なった性能を付与することができる。
本発明においては、ポリエチレンに対する分散性の観点から、環状オレフィン系樹脂(b1)はCOCであることが好ましい。また、COCとしては、直鎖状モノマーがエチレンである、エチレン・環状オレフィン共重合体であることが好ましい。さらには、環状モノマーは、ノルボルネン等であることが好ましい。
また、本発明においては、エチレン・環状オレフィン共重合体は、エチレンと環状オレフィンとの合計重量を100とした場合、エチレン/環状オレフィンの含有割合が重量比で15〜40/85〜60であることが好ましく、より好ましくは30〜40/70〜60である。エチレンが15重量%未満であると、剛性が高くなりすぎ、インフレーション成形性および製袋適正を悪化させるため好ましくない。一方、エチレンが40重量%以上であると、十分な易引裂性、剛性が得られないため好ましくない。含有比率がこの範囲にあれば、フィルムの剛性、引き裂き性、加工安定性、衝撃強度が向上するため好ましい。
さらにまた、エチレン・環状オレフィン共重合体は、ガラス転移点が60℃以上であることが好ましい。より好ましくは70℃以上のものである。環状オレフィンの含有量が上記範囲を下回ると、ガラス転移点が前記範囲を下回るようになり、例えば、芳香成分のバリアー性が低下するようになる、十分な剛性が得られず、高速包装機械適正に劣る等の恐れがある。一方、環状オレフィンの含有量が上記範囲を上回ると、ガラス転移点が高くなりすぎ、共重合体の溶融成形性やオレフィン系樹脂との接着性が低下する恐れがあり好ましくない。
また、環状オレフィン系樹脂(b1)の重量平均分子量は、5,000〜500,000が好ましく、より好ましくは7,000〜300,000である。
環状オレフィン系樹脂(b1)は、樹脂層(B)中に、10〜90重量%含まれることが好ましく、更には20〜80重量%含まれることが好ましい。更に、積層体(X)全体の重量を基準として、3〜60重量%含まれることが好ましい。より好ましくは、5〜50重量%、さらに好ましくは、6〜40重量%である。含有量が少ないと、十分な易引裂性が得られないので好ましくない。一方、含有量が多いと、剛性が高くなりすぎ、インフレーション成形性および製袋適正を悪化させるため好ましくない。
環状オレフィン系樹脂(b1)として用いることができる市販品として、ノルボルネン系モノマーの開環重合体(COP)としては、例えば、日本ゼオン株式会社製「ゼオノア(ZEONOR)」等が挙げられ、ノルボルネン系共重合体(COC)としては、例えば、三井化学株式会社製「アペル」、チコナ(TICONA)社製「トパス(TOPAS)」等が挙げられる。本発明においては、ノルボルネン系単量体の含有比率が、前述の範囲にあること、加工性等の理由から、TOPASのグレード8007が好ましい。
(II)ポリオレフィン系樹脂
層(B)に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂等を用いることができ、好ましくは、ポリエチレン系樹脂である。
(III)エチレン・α−オレフィン共重合体(b2)
層(B)に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(b2)は、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であって、メタロセン触媒、Ziegler触媒、Phillips触媒等により重合されたもののいずれであっても良く、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)であることが好ましい。密度は、0.870〜0.935g/cmであることが好ましく、より好ましくは0.910〜0.933g/cmである。密度が0.870g/cmを下回る場合は十分な剛性が得られず、積層体(X)を下フィルム(III)として用いた場合に、ロールに巻きつく等の加工性に劣る恐れがある。一方、密度が0.935g/cmを超える場合は、隣接するフィルムとの十分な融着が得られない恐れがあり、二次加工性に欠ける可能性がある。
なお、本発明において、密度は、JIS K 6922−2に基づいて測定する値である。
また、エチレン・α−オレフィン共重合体(b2)のメルトフローレート(MFR)は、190℃において0.1〜30g/10分であることが好ましい。より好ましくは0.5〜4.0g/10分である。MFRが0.1g/10分未満の場合は、溶融流れ性が悪く、積層体(X)のフィルム加工が困難になる、モーター負荷が大きくなりといった問題が生じる恐れがあり好ましくない。一方、30g/10分を超える場合は、溶融粘度が低すぎて、積層体(X)のフィルム加工時の製膜安定性が低下する恐れがあり好ましくない。
なお、本発明において、メルトフローレート(MFR)は、JIS−K−7210により測定したメルトフローレート値である。
本発明に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(b2)は、具体的には以下のようなものである。すなわち、エチレンと共重合するα−オレフィンは、0.1〜15モル%、好ましくは0.5〜10モル%、特に好ましくは0.5〜5モル%の量で共重合しているものであり、α−オレフィンの種類としては、通常は炭素数3〜8のα−オレフィンであり、具体的にはプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1を挙げることができる。
(IV)高圧法低密度ポリエチレン(b3)
本発明に用いられる高圧法低密度ポリエチレン(b3)は、LDPEとも称される、ホモのポリエチレンであって、有機過酸化物により重合されたものである。
密度は0.915〜0.935g/cmの範囲から選ばれることが好ましく、より好ましくは、0.920〜0.930g/cmであり、更に好ましくは0.922〜0.929g/cmである。密度が0.915g/cm未満の高圧法低密度ポリエチレンを層(B)に用いると、積層体(X)成形時に穴あきが発生しやすくなり、外観が良好なフィルムが得られない恐れがある。一方、密度が0.935g/cmを超える場合は、積層体(X)の加工安定性が得られない恐れがある。
なお、本発明において、密度は、JIS K 6922−2に基づいて測定する値である。
(3)層(C)
本発明に用いられる積層体(X)における層(C)は、ポリオレフィン系樹脂を含有するポリオレフィン系樹脂層である。
好ましくは、層(C)は、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂などを用いることができ、より好ましくは、ポリエチレン系樹脂である。より好ましくは、層(C)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(c1)0〜100重量%と高圧法低密度ポリエチレン(c2)0〜100重量%[ただし、(c1)及び(c2)の合計量を100重量%とする。]を含有する樹脂層である。さらに好ましくは、層(C)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(c1)70〜100重量%と高圧法低密度ポリエチレン(c2)0〜30重量%[ただし、(c1)及び(c2)の合計量を100重量%とする。]を含有する樹脂層である。
(c)エチレン・α−オレフィン共重合体(c1)
層(C)を形成するのに用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(c1)は、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であって、メタロセン触媒、Ziegler触媒、Phillips触媒等により重合されたもののいずれであっても良く、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)であることが好ましい。密度は、0.890〜0.960g/cmであることが好ましく、より好ましくは0.910〜0.940g/cmである。密度が0.890g/cmを下回る場合は十分な剛性が得られず、積層体(X)がブロッキングしてしまう等、加工性に劣る恐れがある。一方、密度が0.960g/cmを超える場合は、隣接するフィルムとの十分な融着が得られず、二次加工性に欠ける恐れがある。
なお、本発明において、密度は、JIS K 6922−2に基づいて測定する値である。
また、エチレン・α−オレフィン共重合体(c1)のメルトフローレート(MFR)は、190℃において0.1〜30g/10分であることが好ましい。より好ましくは0.5〜4.0g/10分である。MFRが0.1g/10分未満の場合は、溶融流れ性が悪く、積層体(X)のフィルム加工が困難になる、モーター負荷が大きくなり、といった問題が生じる恐れがあり好ましくない。一方、30g/10分を超える場合は、溶融粘度が低すぎて、積層体(X)のフィルム加工時の製膜安定性が低下する恐れがあり好ましくない。
なお、本発明において、メルトフローレート(MFR)は、JIS−K−7210により測定したメルトフローレート値である。
本発明において用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(c1)は、具体的には以下のようなものである。すなわち、エチレンと共重合するα−オレフィンは、0.1〜15モル%、好ましくは0.5〜10モル%、特に好ましくは0.5〜5モル%の量で共重合しているものであり、α−オレフィンの種類としては、通常は炭素数3〜8のα−オレフィンであり、具体的にはプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1を挙げることができる。
(b)高圧法低密度ポリエチレン(c2)
本発明において用いる高圧法低密度ポリエチレン(c2、以下、「LDPE(c2)」ともいう。)は、ホモのポリエチレンであって、有機過酸化物により重合されたものである。密度は0.915〜0.935g/cmの範囲から選ばれるが、好ましくは、0.920〜0.930g/cmであり、更に好ましくは0.922〜0.929g/cmである。層(C)へ密度が0.915g/cm未満の高圧法低密度ポリエチレンを用いると、積層体(X)成形時に穴あきが発生しやすくなり、外観が良好なフィルムが得られない恐れがある。
一方、密度が0.935g/cmを超える場合は、積層体(X)の加工安定性が得られない恐れがある。
なお、本発明において、密度は、JIS K 6922−2に基づいて測定する値である。
本発明において、層(A)、層(B)及び層(C)には、防曇剤、帯電防止剤、熱安定剤、造核剤、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、離型剤、紫外線吸収剤、着色剤等の成分を本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。特に、フィルム成形時の加工適性、充填機の包装適性を付与するため、層(A)及び層(C)の摩擦係数を1.5以下、中でも1.2以下にすることが好ましいので、層(A)及び層(C)には、滑剤やアンチブロッキング剤を適宜添加することが好ましい。
(4)積層体(X)
本発明に用いられる積層体(X)は、前述したように、特定の層(A)/特定の層(B)/特定の層(C)との構成からなるものである。図1に、本発明に用いられる積層体(X)を含むフィルムの一例の断面の概略図を示す。(A)層側が発泡シート(Y)の片面に積層する側となる。
積層体(X)の全体の厚さとしては、30〜150μmのものが好ましい。積層体(X)の厚さが30μm以上であれば、優れた二次加工性が得られる。
また、本発明に用いられる積層体(X)中の層(B)の厚さは、積層体(X)全体を基準として、20〜70%であることが好ましい。より好ましくは20〜50%である。すなわち、層(A)/層(B)/層(C)が1:0.5:1の厚さ〜1:4:1程度の厚さをとることができる。層(B)が20%より薄いと、十分な易引裂性が得られないので好ましくない。一方、70%より厚いと、剛性が高くなりすぎ、インフレーション成形性および製袋適正を悪化させるため好ましくない。層(B)がこの範囲であれば、易引裂性に優れる上に、コスト的に有利であり、積層体(X)の引き裂き性、耐ピンホール性が向上するため、好ましい。
本発明に用いられる積層体(X)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、層(A)に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(a1)及び/又は高圧法低密度ポリエチレン(a2)と、層(B)に用いる環状オレフィン系樹脂(b1)及び/又はエチレン・α−オレフィン共重合体(b2)及び/又は高圧法低密度ポリエチレン(b3)と、層(C)に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(c1)及び/又は高圧法低密度ポリエチレン(c2)とを、それぞれ別の押出機で加熱溶融させ、共押出多層ダイス法やフィードブロック法等の方法により溶融状態で(A)/(B)/(C)の順で積層した後、インフレーションやTダイ・チルロール法等によりフィルム状に成形する共押出法が挙げられる。この共押出法は、各層の厚さの比率を比較的自由に調整することが可能で、衛生性に優れ、コストパフォーマンスにも優れた多層フィルムが得られるので好ましい。さらに、本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(b2)及び高圧法低密度ポリエチレン(b3)と環状オレフィン系樹脂(b1)との軟化点(融点)の差が大きいため、相分離やゲルを生じることがある。このような相分離やゲルの発生を抑制するためには、比較的高温で溶融押出を行うことができるTダイ・チルロール法が好ましい。
また、本発明に用いられる積層体(X)は、上記の製造方法によって、実質的に無延伸の多層フィルムとして得られるため、真空成形による深絞り成形等の二次成形が可能となる。
本発明に用いられる積層体(X)は、JIS K7128−2に準拠して測定したエルメンドルフ引裂強度が、縦方向(MD)及び横方向(TD)において、それぞれ11N/mm以下であることが好ましく、より好ましくは、8〜1N/mm、さらに好ましくは、5〜1N/mmである。エルメンドルフ引裂強度が11N/mmを超えると、気泡緩衝材を手により容易に引裂くことが困難となる。
2.ポリオレフィン系樹脂発泡シート(Y)
本発明のポリオレフィン系樹脂積層発泡シート1(以下、単に「積層発泡シート」という場合がある)は、ポリオレフィン系樹脂発泡シート(以下、単に「発泡シート」という場合がある)の少なくとも片面に前記積層体(X)が積層されたものである。
ポリオレフィン系樹脂発泡シート(Y)は、ポリオレフィン系樹脂で形成されたシート状の発泡体である。この発泡シートの元になるポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などが、単独であるいは2種以上混合して、使用できる。
ポリエチレン系樹脂としては、例えばエチレンの単独重合体が挙げられる他、エチレンと他の単量体との共重合体などが、単独で或いは2種以上混合して、使用できる。エチレンの単独重合体としては、例えば低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等が挙げられる。また、エチレンと共重合体を形成する他の単量体としては、例えば酢酸ビニル、プロピレン、α‐オレフィン(1−ブテンなど)、スチレン、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、塩化ビニル等が挙げられる。共重合体としては、上記他の単量体成分の割合が30質量%以下のものが、好適に使用される。またポリエチレン系樹脂には、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の樹脂を混合しても良い。当該他の樹脂としては、例えばポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、α−オレフィン共重合ポリエチレン、アクリル酸エステル等が挙げられる。他の樹脂は、樹脂の総量中、30質量%以下の割合で混合するのが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えばプロピレンの単独重合体やエチレン−プロピレン共重合体などの汎用のポリプロピレン系樹脂が挙げられる他、プロピレンと他の単量体との共重合体などが、単独であるいは2種以上混合して、使用できる。
上記ポリオレフィン系樹脂を発泡させるための発泡剤としては、揮発性発泡剤、分解型発泡剤のいずれを使用してもよい。揮発性発泡剤としては、例えば不活性ガス、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、ケトン等の多岐にわたり、このうち不活性ガスとしては、例えば炭酸ガス、窒素等が挙げられる。また脂肪族炭化水素としては、例えばプロパン、ブタン(ノルマルブタン、イソブタン)、ペンタン(ノルマルペンタン、イソペンタンなど)等が挙げられ、脂環族炭化水素としては、例えばシクロペンタン、シクロへキサン等が挙げられる。ハロゲン化炭化水素としては、例えばトリクロロフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、テトラフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、ジフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素などの1種または2種以上が挙げられる。さらにエーテルとしては、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル等が挙げられ、ケトンとしては、例えばアセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
また分解型発泡剤としては、例えば重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、アジド化合物、ホウ水素化ナトリウムなどの無機系発泡剤、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸バリウム、ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどの有機系発泡剤が挙げられる。
上記発泡剤は、単独で用いても良く、2種以上を混合して用いてもよい。
揮発性発泡剤を用いる一般的な押出発泡方法は、低密度ポリエチレンを加圧加熱下の押出機中で混練し、次いで揮発性発泡剤を圧入しつつ、大気中等の低圧域に連続的に押出して発泡させるものである。この場合、押出発泡時に、揮発性発泡剤の蒸発潜熱による溶融樹脂の冷却効果が期待でき、発泡時の気泡膜形成維持が容易となる。そのため外観が良好で連続気泡が少ない低密度の発泡体をつくることが可能となる。
これに対し、分解型発泡剤を用いる場合の押出発泡方法は、低密度ポリエチレンと分解型発泡剤とを押出機に供給し、押出機中で溶融混練しつつ、分解型発泡剤の分解温度以上に加圧加熱し、次いで低圧域に押出して発泡させるものである。この方法では、揮発性発泡剤のような発泡時の蒸発潜熱が期待できないため、発泡時の気泡膜形成維持が困難となる。したがって低密度の発泡体を得ようとして分解型発泡剤の添加量を多くしても、連続気泡が多く、外観が悪い発泡体しか得られないおそれがある。
しかし分解型発泡剤の中でも有機系発泡剤は、脂肪族炭化水素等の揮発性発泡剤と併用した際に気泡核剤として機能して、例えば平均気泡径が2.5mm以下といった緻密な、しかも気泡径の揃った均一な発泡体を形成するために機能する。したがって特に好適な発泡剤としては、脂肪族炭化水素と有機系分解型発泡剤との併用系が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂には、発泡性を阻害しない範囲で、必要に応じて発泡助剤、滑剤、収縮防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤、着色剤、無機気泡核剤、無機充填剤等の各種添加剤を添加してもよい。
ポリオレフィン系樹脂発泡シート(Y)を製造する方法としては、従来同様に押出発泡法が用いられる。押出発泡に用いる押出機としては、単軸押出機や二軸押出機、あるいはこれらの押出機が複数個連結された押出機を用いることができる。何れの押出機においてもバレルの途中に発泡剤の圧入口を設けておき、揮発性発泡剤を使用する場合はこれを圧入口から圧入して無架橋ポリエチレン系樹脂と混練することが望ましい。押出機の先端に付設されるダイスとしては、サーキュラーダイ、およびT ダイのいずれも使用できるが、幅方向の肉厚均一性を考えるとサーキュラーダイを用いた工程を採用するのが好ましい。
まずポリオレフィン系樹脂と発泡剤とを押出機に供給し、溶融混練したのち、上記サーキュラーダイを通して筒状に押し出して発泡させる。次にこの筒状発泡体を円環状のマンドレルの外周に沿わせて引き取って冷却する。詳しくは、発泡体内側をマンドレルから空気を吹き付けるとともに、マンドレル自体を水冷して冷却し、また発泡体の外側には空気を吹き付け冷却する。そして冷却された円筒状発泡体を回転刃等でシート状に切り開くと、発泡シートが連続的に、効率よく製造される。マンドレルの内部に通水される冷却水の温度は20〜35℃の範囲で管理することが好ましい。
3.ポリオレフィン系樹脂積層発泡シート
本発明のポリオレフィン系積層発泡シートは、前記ポリオレフィン系樹脂発泡シート(Y)を、前記積層体(X)と積層一体化することにより製造できる。積層の方法としては、例えばサーマルラミネート法、ホットメルト接着剤によるラミネート法等の、従来公知の一般的な積層法を採用することができる。
本発明のポリオレフィン系樹脂積層発泡シートは、上述した構成により、人の手で容易にMD,TD 方向に裂くことができるようにしたので、包装作業の能率を向上させることができる。また、当該積層発泡シートを分断する際に、カッター等を用いる必要がないので、作業時の危険性を軽減することができる。
以下に実施例を用いて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその趣旨を逸脱しない限り、これによって限定されるものではない。
なお、実施例に於ける各種物性の測定は、下記要領に従った。
[測定方法]
(1)手による引裂性評価
気泡緩衝材をゆっくりと間断的に、長手方向及び長手方向に垂直な方向へ引き裂いた。
間断的に引き裂いても常に引き裂けるものを○、引き裂けなくなってしまうものを×とした。
[インフレーションフィルムの成形条件および成形性評価法]
以下のインフレーションフィルム製膜機(成形装置)を用いて、下記の成形条件で、積層体(X)を成形し、評価した。
(3種3層インフレーション成形機)
装置:インフレーション成形装置(プラコー(株)製)
押出機スクリュー径:50mmφ×2、55mmφ×1
ダイ径:200mmφ
押出量:25kg/hr
ダイリップギャップ:3mm
引取速度:23m/分
ブローアップ比:2.0
成形樹脂温度:180℃
フィルム厚み:30μm
冷却リング:2段式風冷リング
[使用原料]
実施例で使用した原料は、下記の通りである。
(1)エチレン・α−オレフィン共重合体(a1)(c1)
日本ポリエチレン社製ノバテックLL「UF421」
密度0.924g/cm、MFR0.9g/10分のエチレン・1−ブテン共重合体
(2)エチレン・α−オレフィン共重合体(b2)
日本ポリエチレン社製ノバテックLL「UF320」
密度0.922g/cm、MFR0.9g/10分のエチレン・1−ブテン共重合体
(3)環状オレフィン系樹脂(b1):COC
商品名TOPAS「8007」を使用。
ノルボルネン含有量 36mol%
[ポリオレフィン系樹脂発泡シート(Y)]
厚み約1mmの酒井化学工業製の高発泡ポリエチレンシート#210×1200を用いた。
[ポリオレフィン系樹脂積層発泡シートの形成]
[実施例及び比較例]
<実施例1>
表1の通り、積層体(X)として、層(A)をエチレン・α−オレフィン共重合体(a1)UF421、層(C)をエチレン・α−オレフィン共重合体(c1)UF421、層(B)をエチレン・α−オレフィン共重合体(b2)UF320、環状オレフィン系樹脂(b1)COCを用い、層比1:1:1の30μmインフレーションフィルムを得た。
ポリオレフィン系樹脂発泡シート(Y)に積層体(X)を重ね合わせ、400φ誘電加熱ロールの温度を140℃ 、融着スピードを45m/minに設定して融着してポリオレフィン系樹脂積層発泡シートを得た。
評価結果を表1に示す。
得られたポリオレフィン系樹脂積層発泡シートについて、手による引裂性評価を行った。その結果、長手方向、長手方向に垂直な方向へ引き裂くことができた。
<比較例1>
ポリオレフィン系樹脂発泡シートのみを用いて、手による引裂性評価を行った。
評価結果を表1に示す。このものは、長手方向には、引き裂けるが、長手方向に垂直な方向への引き裂きは困難であった。
<比較例2>
層(B)にUF320を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリオレフィン系樹脂発泡シートを得た。
評価結果を表1に示す。
長手方向に引き裂くことはできるが、長手方向に垂直な方向へ引き裂くことはできなかった。
Figure 0006728766
表1の結果から、本発明の要件を満たしている実施例1は、長手方向及び長手方向に垂直な方向の引裂性が良好である。一方、積層体(X)を用いなかった比較例1、積層体(X)に環状オレフィン系樹脂(b1)を用いなかった比較例2では、長手方向に垂直な方向における引裂性に劣った。
したがって、本発明のポリオレフィン系樹脂発泡積層シートは、手で容易に引き裂くことのできる易引裂性を備えたポリオレフィン系樹脂積層発泡シートであり、大きな技術的意義を持つことが明らかである。
本発明によれば、長手方向及び長手方向に垂直な方向の引裂性に優れた易引裂性ポリオレフィン系樹脂発泡積層シートが提供される。したがって、本発明の易引裂性ポリオレフィン系樹脂発泡積層シートは、食品、薬品、医療器具、工業部品、雑貨、雑誌等の用途に用いる緩衝材として、好適に用いることができ、産業上大いに有用である。
1・・・易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シート
2・・・ポリオレフィン系樹脂発泡シート(Y)
3・・・積層体(X)
4・・・層(A)
5・・・層(B)
6・・・層(C)

Claims (11)

  1. ポリオレフィン系樹脂発泡シート(Y)の少なくとも片面に、下記の層(A)、層(B)、層(C)をこの順に有する積層体(X)が積層された、長手方向及び長手方向に垂直な方向において引裂性を有する、易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シート。
    層(A):ポリオレフィン系樹脂層
    層(B):環状オレフィン系樹脂(b1)とポリオレフィン系樹脂を含有する混合樹脂層
    層(C):ポリオレフィン系樹脂層
  2. 前記積層体(X)は、
    前記層(A)が、エチレン・α−オレフィン共重合体(a1)0〜100重量%及び高圧法低密度ポリエチレン(a2)0〜100重量%[ただし、(a1)及び(a2)の合計量を100重量%とする。]を含有する樹脂層であり、
    前記層(B)が、環状オレフィン系樹脂(b1)10〜90重量%及びエチレン・α−オレフィン共重合体(b2)10〜90重量%[ただし、(b1)及び(b2)の合計量を100重量%とする。]を含有する樹脂層であり、
    前記層(C)が、エチレン・α−オレフィン共重合体(c1)0〜100重量%及び高圧法低密度ポリエチレン(c2)0〜100重量%[ただし、(c1)及び(c2)の合計量を100重量%とする。]を含有する樹脂層である
    ことを特徴とする請求項1に記載の易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シート。
  3. 前記積層体(X)は、
    前記層(A)が、エチレン・α−オレフィン共重合体(a1)0〜100重量%及び高圧法低密度ポリエチレン(a2)0〜100重量%[ただし、(a1)及び(a2)の合計量を100重量%とする。]を含有する樹脂層であり、
    前記層(B)が、環状オレフィン系樹脂(b1)10〜90重量%、エチレン・α−オレフィン共重合体(b2)10〜90重量%及び高圧法低密度ポリエチレン(b3)0〜30重量%[ただし、(b1)、(b2)及び(b3)の合計量を100重量%とする。]を含有する樹脂層であり、
    前記層(C)が、エチレン・α−オレフィン共重合体(c1)0〜100重量%及び高圧法低密度ポリエチレン(c2)0〜100重量%[ただし、(c1)及び(c2)の合計量を100重量%とする。]を含有する樹脂層である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シート。
  4. 前記ポリオレフィン系樹脂発泡シート(Y)が、下記の成分(D)からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シート。
    成分(D):MFR0.1〜5(g/10分)である高圧法低密度ポリエチレン
  5. 前記環状オレフィン系樹脂(b1)が、エチレン・環状オレフィン共重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シート。
  6. 前記エチレン・環状オレフィン共重合体中のエチレン/環状オレフィンの含有割合は、エチレンと環状オレフィンとの合計重量を100とした場合、重量比で15〜40/85〜60であることを特徴とする請求項5に記載の易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シート。
  7. 前記エチレン・環状オレフィン共重合体は、ガラス転移点が60℃以上であることを特徴とする請求項5又は6に記載の易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シート。
  8. 前記積層体(X)において、前記環状オレフィン系樹脂(b1)は、前記積層体(X)全体の重量を基準として、3〜60重量%含まれることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シート。
  9. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(a1)、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(b2)及び前記エチレン・α−オレフィン共重合体(c1)のいずれかは、190℃におけるメルトインデックスが0.1〜30g/10分であることを特徴とする請求項3に記載の易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シート。
  10. 前記積層体(X)において、JIS K7128−2に準拠して測定したエルメンドルフ引裂強度が、MD方向(縦方向)及びTD方向(横方向)において、それぞれ11N/mm以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シート。
  11. 前記層(B)の厚さは、前記積層体(X)の全体の厚さを基準として、20〜70%であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の易引裂性ポリオレフィン系樹脂積層発泡シート。
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