JP6721404B2 - 運転技量判定装置 - Google Patents
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Description
特許文献1の技術によれば、特に、熟練した運転者の運転技量の推定精度を向上させる結果、当該運転者に違和感を覚えさせる虞を確実に抑制することができる。
このように、直線路及び円弧曲線路間の曲率が緩やかに変化する走行軌跡の形状を「緩和曲線」と呼ぶ。緩和曲線が採用されている道路を「緩和曲線路」と呼ぶ。緩和曲線路の区間を「緩和曲線区間」と呼ぶ。
そこで判定部は、緩和曲線区間を道路に沿って車両が道なりに走行する際の基準となる積分値である基準積分値と、緩和曲線走行区間を当該車両が実際に走行した際の積分値である実走積分値との対比結果に基づいて、当該車両の運転技量を判定する。
ここで、基準積分値とは、緩和曲線区間を道路に沿って車両が道なりに走行する際の基準(例えば、道路構造令の規定に基づく)となる緩和曲線走行区間の長さに相関する。また、実走積分値とは、緩和曲線走行区間を実際に走行した際の緩和曲線走行区間の長さに相関する。しかも、前記したように、緩和曲線走行区間の長短は、車両の運転技量を判定する際の指標として有効である。
なお、本発明に係る車両としては、運転者によるハンドルの手動操作により操縦される手動操縦に係る車両と、運転者による手動操作の一部又は全部が省略された自動操縦に係る車両と、の両者を想定している。
また、本発明に係る運転技量判定装置(3)は、本発明に係る運転技量判定装置(1)であって、前記判定部は、前記道路が緩和曲線を描く緩和曲線区間を当該道路に係る中央線に沿って前記車両が道なりに走行する際の基準となる積分値である基準積分値と、脱出側の前記緩和曲線走行区間を前記車両が実際に走行した際の積分値である脱出側の実走積分値との対比結果に基づいて、当該車両の運転技量を判定することを特徴とする。
また、本発明に係る運転技量判定装置(3)では、緩和曲線区間を道路に係る中央線に沿って道なりに走行する際の基準となる基準積分値と、脱出側の緩和曲線走行区間を実際に走行した際の積分値である脱出側の実走積分値との対比結果に基づいて、当該車両の運転技量を判定することとした。
本発明に係る運転技量判定装置(4)によれば、車両の運転技量を判定する際の指標の取り扱いを明確にしたため、運転技量の判定精度の向上を期待することができる。
ここで、基準−極大積分値に係る領域に相対する実走積分値の位置付けとして、基準−極大積分値に係る領域内に実走積分値が位置付けられるケースと、基準−極大積分値に係る領域外に実走積分値が位置付けられるケースとが想定される。前者のケースでは、車両の運転技量が高い旨の判定が下される一方、後者のケースでは、車両の運転技量が低い旨の判定が下される。
なお、以下に示す図において、道路の長さ・幅や車両の大きさ・形状は、説明の便宜のため、変形又は誇張して模式的に表している。
初めに、本発明の実施形態に係る運転技量判定装置の詳細な説明に先立って、運転技量判定装置の概要及び背景技術について、図1(a),(b)を参照して説明する。図1(a)は、本発明の実施形態に係る運転技量判定装置を搭載した車両がXY平面上に展開された道路を走行する様子を俯瞰した平面図、(b)は、緩和曲線走行区間では車両の走行が進むに連れて旋回曲率が変位する様子を模式的に表す図である。
図1(a)に示す例において、運転技量判定装置を搭載した車両CAは、図1(a)及び(b)を対比して表すように、直線路R1に対応する直線走行区間では、実線で示す線形状の走行軌跡(旋回曲率はゼロ)を描くように走行する。また、円弧曲線路R2に対応する円弧曲線走行区間では、車両CAは、点線で示す円弧状の走行軌跡(旋回曲率は円弧曲線路R2の曲率に従う所定値)を描くように走行する。さらに、緩和曲線路R3に対応する緩和曲線走行区間では、車両CAは、一点鎖線で示す緩和曲線状の走行軌跡(旋回曲率は車両の走行が進むに連れて変位)を描くように走行する。
次に、本発明の実施形態に係る運転技量判定装置11の構成について、図2〜図7を参照して説明する。図2は、本発明の実施形態に係る運転技量判定装置11の構成を模式的に表す図である。図3は、運転技量判定装置11に係る内部構成の一部を表すブロック図である。図4は、抽出部23による車両CAの緩和曲線走行区間を抽出する手法の説明図である。図5(a)は、車両CAに係る緩和曲線走行区間の長短と、円弧曲線路R2における車両CAに係る旋回半径の大小との関係を表す説明図、図5(b)は、図5(a)において、車両CAに係る緩和曲線走行区間の長短を拡大して表す説明図である。図6は、車両CAに係る緩和曲線走行区間の長短と、円弧曲線路R2における車両CAに係る旋回半径の大小との関係を表す説明図である。図7は、基準−極大積分値に係る領域に相対する実走積分値の位置付けを明示する際に用いるランク領域図である。
取得部21は、図3に示すように、走行距離算出部33及び旋回曲率算出部35を備える。走行距離算出部33は、車速Vに対して所定の周期(サンプリング時間)を乗算することにより、時々刻々と変化する車両CAの走行距離dを逐次算出する。旋回曲率算出部35は、車速V、操舵角STA、車両CAのホィールベース長L、ステアリングギアレシオGr、操縦安定性のポテンシャルを表す指標であるスタビリティファクタAを変数として、下記式(1)に前記変数の値をそれぞれ代入することにより、所定の周期(サンプリング時間)毎に旋回曲率kを逐次算出する。
k=|STA|/{Gr・L(1+A・V 2)} 式(1)
また、取得部21は、操舵角センサ15により検出される操舵角STAを時間微分することにより、操舵角速度STVを逐次算出する。さらに、取得部21は、操舵角センサ15により検出される操舵角STAの変位方向に基づいて操舵方向STDを逐次取得する。
図4に示す例では、操舵角STAに係る信号は、ハンドルの中点位置(原点位置)を基準として、正の方向(左旋回方向)又は負の方向(右旋回方向)に向かって交互に現われている。操舵角STAに係る信号が原点位置に沿う区間は、車両CAの直線走行区間に対応する。操舵角STAに係る信号が正の方向(左旋回方向)又は負の方向(右旋回方向)に突出する区間は、車両CAの円弧曲線走行区間に対応する。
操舵角速度STVに係る信号が正の方向(左旋回方向)又は負の方向(右旋回方向)に突出する区間は、車両CAの緩和曲線走行区間に対応する。
次に、積分部27による旋回曲率kを走行距離dで積分する手法について、図2、図3、図5(a)、(b)、図6〜図7に基づき説明する。
第1の戦略に係る走行軌跡TR1では、緩和曲線走行区間を短くとる(図6に示す走行距離dに対する旋回曲率kの関係を表す第1の特性線図d−k1参照)ため、円弧曲線走行区間(第1の特性線図d−k1が描く台形の頂辺の長さ参照)が相対的に長くなる。具体的には、第1の戦略では、図5(a)に例示するように、地点TR1A(図5(b)参照)で円弧曲線走行区間に進入し、地点TR1Bで円弧曲線走行区間から脱出する。
これに対し、第2の戦略に係る走行軌跡TR2では、緩和曲線走行区間を長くとる(図6に示す走行距離dに対する旋回曲率kの関係を表す第2の特性線図d−k2参照)ため、円弧曲線走行区間(第2の特性線図d−k2が描く台形の頂辺の長さ参照)が相対的に短くなる。具体的には、第2の戦略では、図5(a)に例示するように、地点TR2A(図5(b)参照)で円弧曲線走行区間に進入し、地点TR2Bで円弧曲線走行区間から脱出する。
本発明者の研究によると、積分部27による積分値KDの大きさは、運転技量と密接に関係することがわかっている。具体的には、積分部27による積分値KDが大きいほど、運転技量が高いことがわかっている。
ところで、積分部27による積分値KDの大きさを運転技量のランクに対応付けるには、何らかの基準となる値を設定するのが好ましい。
基準積分値KD1は、運転技量に係る3段階の判定レベル「とてもうまい(SランクRK_S)」/「うまい(AランクRK_A)」/「ふつう(BランクRK_B)」のうち、AランクRK_A−BランクRK_B間の境界ラインを規定(図7参照)する。
極大積分値KD2は、実際の走行を要することなく、例えば、地図データベースに登録された道路RDに係る形状データに基づいて、計算により予め求めておけばよい。
極大積分値KD2は、運転技量に係る前記4段階の判定レベルのうちSランクRK_Sの上限ラインを規定(図7参照)する。
KD=Σ[k=1...n][d=1...n]kd (式2)
なお、緩和曲線走行区間を車両CAが走行中に、例えば障害物を避ける等の目的で操舵方向STDが逆転するケースが想定される。こうしたケースでは、抽出部23において操舵角速度STVに係る信号レベルがSTVth1以上、STVth2以下となる時間があるため、実走積分値kd3はキャンセルされる。
次に、判定部29による車両CAに係る運転技量を判定する手法について、図7を参照して説明する。
図7に示す例では、運転技量に相関する実走積分値KD3が位置付けられるランク領域を3つのランク(S/A/B)に区分している。そのため、AランクRK_A−BランクRK_B間の境界を規定する基準積分値KD1のライン、SランクRK_Sの上限を規定する極大積分値KD2のラインの他に、SランクRK_S−AランクRK_A間の境界を規定するSA境界ラインKD4を設定している。
このように、SA境界ラインKD4等の区分ラインを設定するに際しては、基準積分値KD1のライン及び極大積分値KD2のライン間の領域を区切る数や重みづけ(例えば、SランクRK_S領域を狭めることでSランクRK_Sへのランク付けを厳しくする等)を考慮して、それぞれのランク毎に相応しい幅の領域を適宜設定すればよい。
次に、車両CAに係る運転技量判定結果の表示態様について、図8、図9を参照して説明する。図8は、モニタ装置19による運転技量判定結果の表示態様を表す説明図である。図9は、図8に示す運転技量判定結果の表示態様において、車両CAの走行が進むにつれて表示内容が推移してゆく様子を表す説明図である。
すなわち、第1コーナーCN1における表示態様では、現在のコーナーでの運転技量ランクはAランク、1つ前のコーナーでの運転技量ランクはBランク、2つ前のコーナーでの運転技量ランクはSランクである旨が表示されている。
第2コーナーCN2における表示態様では、現在のコーナーでの運転技量ランクはSランク、1つ前のコーナーでの運転技量ランクはAランク、2つ前のコーナーでの運転技量ランクはBランクである旨が表示されている。
第3コーナーCN3における表示態様では、現在のコーナー・1つ前のコーナーでの運転技量ランクはSランク、2つ前のコーナーでの運転技量ランクはAランクである旨が表示されている。
第4コーナーCN4における表示態様では、現在のコーナー・1つ前のコーナー・2つ前のコーナーでの運転技量ランクは全てSランクである旨が表示されている。
第5コーナーCN5における表示態様では、現在のコーナーでの運転技量ランクはBランク、1つ前のコーナー・2つ前のコーナーでの運転技量ランクはSランクである旨が表示されている。
(1)に係る発明は、線形状の直線路R1と、円弧状の円弧曲線路R2と、直線路R1及び円弧曲線路R2間に存して緩やかに曲率が変化する緩和曲線を描く緩和曲線路R3とを連ねてなる道路RDを走行する車両CAの運転技量を判定する運転技量判定装置11である。
(1)に係る運転技量判定装置11は、車両CAが道路RDを走行する際の走行距離d及び旋回曲率kを取得する取得部21と、取得部21により取得した旋回曲率kを、緩和曲線路R3を含む所定の走行区間(緩和曲線走行区間)において走行距離dで積分する積分部27と、積分部27による積分値(基準積分値KD1、極大積分値KD2、実走積分値KD3)に基づいて車両CAの運転技量を判定する判定部29と、を備える。
そこで、判定部29は、道路RDが緩和曲線を描く緩和曲線区間を道路RDに沿って道なりに走行する際の基準となる積分値である基準積分値KD1と、緩和曲線走行区間を車両RDが実際に走行した際の積分値である実走積分値KD3との対比結果に基づいて、車両CAの運転技量を判定することとした。
ここで、基準積分値KD1とは、緩和曲線区間を道路RDに沿って道なりに走行する際の基準(例えば、道路構造令の規定に基づく)となる緩和曲線走行区間の長さに相関する。また、実走積分値KD3とは、緩和曲線走行区間を実際に走行した際の緩和曲線走行区間の長さに相関する。しかも、前記したように、緩和曲線走行区間の長短は、車両の運転技量を判定する際の指標として有効である。
また、(3)に係る発明は、(1)に係る発明に記載の運転技量判定装置11であって、判定部29は、道路RDが緩和曲線を描く緩和曲線区間を道路RDに係る中央線に沿って道なりに走行する際の基準となる積分値である基準積分値KD1と、脱出側の緩和曲線走行区間を実際に走行した際の積分値である脱出側の実走積分値KD3との対比結果に基づいて、車両CAの運転技量を判定する。
また、(3)に係る発明では、基準積分値KD1と、脱出側の緩和曲線走行区間を実際に走行した際の積分値である脱出側の実走積分値KD3との対比結果に基づいて、車両CAの運転技量を判定することとした。
以上説明した実施形態は、本発明の具現化の例を示したものである。従って、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。本発明はその要旨又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施することができるからである。
なお、こうした読み替え適用を行うケースでは、基準ゲインに対し、実走ゲインの方が小さい場合に車両CAの運転技量が高い旨の判定を下す一方、実走ゲインの方が大きい場合に車両CAの運転技量が低い旨の判定を下すこととになる。
21 取得部
27 積分部
29 判定部
d 走行距離
k 旋回曲率
CA 車両
KD1 基準積分値
KD2 極大積分値
KD3 実走積分値
RD 道路
Claims (6)
- 線形状の直線路と、円弧状の円弧曲線路と、前記直線路及び前記円弧曲線路間に存して緩やかに曲率が変化する緩和曲線を描く緩和曲線路とを連ねてなる道路を走行する車両の運転技量を判定する運転技量判定装置であって、
前記車両が前記道路を走行する際の走行距離及び旋回曲率を取得する取得部と、
前記取得部により取得した旋回曲率を所定の走行区間において走行距離で積分する積分部と、
前記積分部による積分値に基づいて前記車両の運転技量を判定する判定部と、を備え、
前記所定の走行区間とは、前記車両の走行軌跡が緩和曲線を描く緩和曲線走行区間であり、
前記判定部は、前記道路が緩和曲線を描く緩和曲線区間を当該道路に沿って前記車両が道なりに走行する際の基準となる積分値である基準積分値と、前記緩和曲線走行区間を前記車両が実際に走行した際の積分値である実走積分値との対比結果に基づいて、当該車両の運転技量を判定する
ことを特徴とする運転技量判定装置。 - 請求項1に記載の運転技量判定装置であって、
前記判定部は、前記道路が緩和曲線を描く緩和曲線区間を当該道路に係る中央線に沿って前記車両が道なりに走行する際の基準となる積分値である基準積分値と、進入側の前記緩和曲線走行区間を前記車両が実際に走行した際の積分値である進入側の実走積分値との対比結果に基づいて、当該車両の運転技量を判定する
ことを特徴とする運転技量判定装置。 - 請求項1に記載の運転技量判定装置であって、
前記判定部は、前記道路が緩和曲線を描く緩和曲線区間を当該道路に係る中央線に沿って前記車両が道なりに走行する際の基準となる積分値である基準積分値と、脱出側の前記緩和曲線走行区間を前記車両が実際に走行した際の積分値である脱出側の実走積分値との対比結果に基づいて、当該車両の運転技量を判定する
ことを特徴とする運転技量判定装置。 - 請求項1に記載の運転技量判定装置であって、
前記判定部は、前記基準積分値に対し、前記実走積分値の方が大きい場合に当該車両の運転技量が高い旨の判定を下す一方、前記実走積分値の方が小さい場合に当該車両の運転技量が低い旨の判定を下す
ことを特徴とする運転技量判定装置。 - 請求項2又は3に記載の運転技量判定装置であって、
前記判定部は、前記基準積分値に対し、進入側及び脱出側の前記実走積分値の少なくともいずれかの方が大きい場合に当該車両の運転技量が高い旨の判定を下す一方、進入側及び脱出側の前記実走積分値の少なくともいずれかの方が小さい場合に当該車両の運転技量が低い旨の判定を下す
ことを特徴とする運転技量判定装置。 - 請求項1に記載の運転技量判定装置であって、
前記判定部は、前記道路が緩和曲線を描く緩和曲線区間を前記車両が当該道路に沿って道なりに走行する際の基準となる積分値である基準積分値と、前記直線路及び曲率半径が極小の円弧曲線路間に存して緩やかに曲率が変化する前記緩和曲線区間を前記車両が前記道路に沿って道なりに走行する際の極大となる積分値である極大積分値と、で定義される基準−極大積分値に係る領域に相対する、前記緩和曲線走行区間を前記車両が実際に走行した際の積分値である実走積分値の位置付けに基づいて、当該車両の運転技量を判定する
ことを特徴とする運転技量判定装置。
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