以下、図1〜図12に基づき、本発明の実施形態を説明する。以下では、複合機100を画像形成装置として例に挙げて説明する。複合機100は、インクジェット方式のものである。
(複合機100の概要)
まず、図1及び図2を用いて、実施形態に係る複合機100の概要を説明する。図1、図2は、実施形態に係る複合機100の一例を示す図である。
複合機100は制御部1を含む。制御部1は複合機100の各部を制御する。制御部1は、CPU11と画像処理部12を含む。CPU11は、記憶部2に記憶される制御プログラムや制御データに基づき演算、処理を行う。記憶部2は、ROM、HDD、フラッシュROMのような不揮発性の記憶装置と、RAMのような揮発性の記憶装置を含む。画像処理部12は、印刷に用いる画像データに対し、画像処理を行う。
複合機100は操作パネル3を含む。操作パネル3は、表示パネル31、タッチパネル32を含む。表示パネル31は設定画面や情報を表示する。表示パネル31は、キー、ボタン、タブのような操作用画像を表示する。タッチパネル32は、表示パネル31へのタッチ操作を検知する。タッチパネル32の出力に基づき、制御部1は、操作された操作用画像を認識する。制御部1は、使用者が行った設定操作を認識する。
複合機100は給紙部4、用紙搬送部5及び記録部6を含む。給紙部4は複数設けられる。各給紙部4は用紙束を収容する。各給紙部4は、給紙ローラー41を含む。印刷ジョブのとき、制御部1は、何れか1つの給紙部4を選択する。制御部1は、操作パネル3への入力で選択された給紙部4を選択する。また、制御部1は、印刷ジョブで用いるサイズの用紙を収容する給紙部4を自動で選択する。印刷ジョブのとき、制御部1は、選択した給紙部4の給紙ローラー41を回転させる。給紙ローラー41の回転により、選択された給紙部4から用紙が供給される。
用紙搬送部5は用紙を搬送する。図2において、用紙搬送経路を太線で示している。搬送経路に沿ってと複数の搬送ローラー対が設けられる。用紙搬送部5は、搬送ユニット51を含む。搬送ユニット51は、駆動ローラー52と複数の従動ローラー53を含む。また、搬送ユニット51は、駆動ローラー52と各従動ローラー53に架け回される搬送ベルト54を含む。用紙搬送部5は、各搬送ローラー対と駆動ローラー52を回転させる搬送モーター56を1又は複数含む。印刷時、制御部1は、搬送モーター56を回転させる。これにより、各搬送ローラー対が回転する。また、搬送ベルト54が周回する。その結果、給紙部4から供給された用紙は記録部6に向けて搬送される。また、記録済(印刷済)の用紙は機外に排出される。排出先には、排出トレイ55と後処理装置7がある。
排出トレイ55は、複合機100の右側面上部に取り付けられる。後処理装置7は、複合機100の左側面に取り付けられる。図2において、後処理装置7の一部を破線で図示している。制御部1は、記録部6を通過した用紙を排出トレイ55、又は、後処理装置7に向けて搬送させる。操作パネル3で後処理を行う設定がなされたとき、又は、後処理装置7を排出先とする設定がなされたとき、制御部1は、後処理装置7に向けて、用紙を用紙搬送部5に搬送させる。操作パネル3で排出トレイ55を排出先とする設定がなされたとき、制御部1は、排出トレイ55に向けて、記録部6を通過した用紙を用紙搬送部5に搬送させる。
また、用紙搬送部5は吸着部57を含む。吸着部57は用紙を搬送ベルト54に吸着させる。用紙の位置及び各ノズル62と用紙の距離が固定される。印刷時、制御部1は吸着部57を動作させる。例えば、吸着部57は従動ローラー53に電圧を印加する。これにより、搬送ベルト54は用紙を静電吸着する。静電吸着を解除するとき、制御部1は、搬送ベルト54の接地を吸着部57に行わせる。
記録部6は、搬送用紙にインクを吐出して画像を記録する。言い換えると、記録部6は印刷する。図1、図2に示すように、記録部6は、複数のラインヘッド60を含む。複合機100は、4本のラインヘッド60(60Bk、60C、60M、60Y)を含む。各ラインヘッド60は固定される。搬送ベルト54の上方に各ラインヘッド60が設けられる。各ラインヘッド60と搬送ベルト54の間に一定の隙間が設けられる。ラインヘッド60Bkはブラックのインクを吐出する。ラインヘッド60Cはシアンのインクを吐出する。ラインヘッド60Mはマゼンタのインクを吐出する。ラインヘッド60Yはイエローのインクを吐出する。
ラインヘッド60ごとに、インクを供給するインクタンク61(61Bk、61C、61M、61Y)が設けられる。ブラックのインクを収容するインクタンク61Bkは、ラインヘッド60Bkにインクを供給する。シアンのインクを収容するインクタンク61Cは、ラインヘッド60Cにインクを供給する。マゼンタのインクを収容するインクタンク61Mは、ラインヘッド60Mにインクを供給する。イエローのインクを収容するインクタンク61Yは、ラインヘッド60Yにインクを供給する。
各ラインヘッド60は、複数のノズル62を含む(図3参照)。各ノズル62の開口は搬送ベルト54と向かい合う。各ノズル62からインクが吐出される。インクは搬送用紙に着弾する。これにより、画像が記録(形成)される。ノズル62は主走査方向(用紙搬送方向と直交方向、図2の紙面垂直方向)に並べられる。主走査方向でのノズル62の間隔が1画素のピッチとなる。
複合機100は読取ユニット9を含む。読取ユニット9は、原稿搬送部91と画像読取部92を含む。原稿搬送部91は読み取り位置に原稿を搬送する。画像読取部92は、搬送される原稿を読み取る。なお、原稿搬送部91は、複合機100の手前側を持ち上げて開閉することができる。原稿搬送部91を開閉して1枚の原稿を画像読取部92にセットすることかできる。画像読取部92は原稿搬送部91を開閉してセットされた原稿を読み取ることもできる。画像読取部92は読み取った原稿の画像データを生成する。
又、制御部1は通信部13と接続される。通信部13は通信用のハードウェア(コネクタ、回路)とソフトウェアを含む。通信部13はコンピューター200と通信する。コンピューター200は、例えば、PCやサーバーである。制御部1は、コンピューター200から印刷用データを受信する。印刷用データは印刷設定や印刷内容を含む。例えば、印刷用データはページ記述言語で記述されたデータを含む。制御部1(画像処理部12)は、受信した(入力された)印刷用データを解析する。受信した印刷用データに基づき、制御部1は、記録部6での画像形成に用いる画像データ(ラスターデータ)を生成する。
(インクの吐出制御)
次に、図3を用いて、実施形態に係る複合機100でのインクの吐出制御の一例を説明する。図3は、実施形態に係るインク吐出の制御機構の一例を示す図である。
図3に示すように、各ラインヘッド60は、複数のドライバー63を含む。また、各ラインヘッド60は複数のノズル62を含む。各ノズル62は、主走査方向の間隔が均等になるように形成される。例えば、エッチングや金属板への穿孔により各ノズル62が形成される。
1つのノズル62に対して1つの駆動素子64(圧電素子)が設けられる。駆動素子64は、例えば、ピエゾ素子やPZNである。ドライバー63は各駆動素子64への電圧印加のON/OFFを行う。例えば、各ドライバー63は、インクを吐出すべきノズル62に対応する駆動素子64にパルス状の電圧を印加する。駆動素子64は電圧印加により形状が変形する。形状変化の圧力がノズル62にインクを供給する流路(不図示)に加わる。流路への圧力により、ノズル62からインクが吐出される。各ドライバー63は、インクを吐出させない画素に対応する駆動素子64に電圧を印加しない。このように、ドライバー63はインクの吐出を実際に制御する。なお、図3では、便宜上、複数のラインヘッド60のうち、1つのラインヘッド60Cのみ、内部の一部を図示している。ラインヘッド60の構成は各色同様である。
具体的に、制御部1(画像処理部12)は、各ラインヘッド60への送信用の画像データを生成する。制御部1は、各画素について、インクの吐出、不吐出を指示する画像データを生成する。制御部1は、生成した画像データを各ラインヘッド60に送信する。つまり、制御部1から各ドライバー63に送信される画像データは、インクの吐出、不吐出を指示するデータ(2値的なデータ)である。例えば、制御部1(画像処理部12)は、主走査方向の1ライン単位で画像データを各ドライバー63に送信する。
また、制御部1は、各ドライバー63にクロック信号を供給する。クロック信号に基づき、インクの吐出周期(周波数)が定まる。印刷ジョブのとき、各ドライバー63が各駆動素子64に電圧を印加する周期は一定である。用紙搬送速度は、1吐出周期の間に、用紙が1ドット(1ライン)分移動する速度とされる。制御部1は、所定の用紙搬送速度で用紙搬送部5(搬送ユニット51)に用紙を搬送させる。画像データに基づき、ドライバー63は、インクを吐出すべき画素(ノズル62)の駆動素子64に電圧を印加する。この処理をページの最初から最後まで、用紙搬送方向(副走査方向)で繰り返すことで、1ページが印刷される。
(後処理装置7)
次に、図4〜図8を用いて実施形態に係る後処理装置7の概要を説明する。図4、図5は、実施形態に係る後処理装置7の一例を示す図である。図6、図7は実施形態に係るパンチ部8の一例を示す斜視図である。図8は実施形態に係るカム84を拡大した図ある。
後処理装置7は、印刷済用紙に各種の後処理を施すための装置である。後処理装置7を複合機100に取り付けることができる。記録部6を通過した印刷済用紙は、排出ローラー対58(排出口)から吐き出される。後処理装置7は、搬入口7aを含む。印刷済用紙は、搬入口7aから後処理装置7内に送り込まれる。
図4に示すように、後処理装置7は後処理制御部70を含む。図5に示すように、後処理装置7は、上部排出トレイ71、第1排出トレイ72、第2排出トレイ73、パンチ部8、ステープル部74、処理トレイ部75を含む。
後処理制御部70は後処理装置7の各部の動作を制御する。後処理制御部70は、メモリーと、CPUやマイコンのような処理回路を含む基板である。制御部1は、後処理制御部70に指示を与える。後処理装置7は制御部1の指示に基づき後処理装置7の動作を制御する。
後処理装置7内には、複数の用紙搬送用のローラー対76が設けられる。各ローラー対76はモーター(不図示)の駆動力を受けて回転する。後処理制御部70は、各ローラー対76を回転させて後処理装置7の内部で用紙を搬送させる。
上部排出トレイ71は、後処理装置7の上面に設けられる。第1排出トレイ72は、第2排出トレイ73の上方に設けられる。排出先(使用する排出トレイ)を操作パネル3で設定することができる。パンチ部8は、用紙に穿孔処理を行う部分である。操作パネル3で穿孔処理する設定がなされているとき、後処理制御部70は、用紙への穿孔処理をパンチ部8に行わせる。操作パネル3で穿孔処理する設定がなされていないとき、後処理制御部70は、パンチ部8に用紙への穿孔処理を行わせない。処理トレイ部75は、部数単位で用紙束をスタックする部分である。ステープル部74は、処理トレイ部75にスタックされた用紙束にステープル処理を行う部分である。
後処理装置7での用紙の搬送先の仕分けのため、第1仕分けガイド77と第2仕分けガイド78が設けられる。第1仕分けガイド77は、搬入口7a近傍に設けられる。第2仕分けガイド78は、搬入口7aと処理トレイ部75の間に設けられる。第1仕分けガイド77と第2仕分けガイド78に対しそれぞれモーター(不図示)が設けられる。各仕分けガイドはそれぞれ回動する。排出先の設定に応じ、後処理制御部70は、第1仕分けガイド77と第2仕分けガイド78を回動させる。
第1排出トレイ72に排出する設定のとき、後処理制御部70は、パンチ部8の通過後、用紙が第1排出トレイ72に向かうように(図5の矢印A)、第1仕分けガイド77と第2仕分けガイド78を回動させる。上部排出トレイ71に排出する設定のとき、後処理制御部70は、搬入口7aから搬入された用紙が上方に向かうように第1仕分けガイド77を回動させる(図5の方向B)。その結果、用紙は上部排出トレイ71に排出される。ステープル処理をする設定のとき、後処理制御部70は、処理トレイ部75の方向(図5の方向C)に用紙が導かれるように、第1仕分けガイド77と第2仕分けガイド78を回動させる。後処理制御部70は、ステープル部74によるステープル処理後の用紙束を、逆送させる。その結果、用紙束は第2排出トレイ73に排出される(図5の方向D)。
次に、図4、図6〜図8を用いて、実施形態に係るパンチ部8の一例を説明する。図6〜図8には、方向を示す矢印を付す。矢印で示す方向は、パンチ部8(複合機100100、後処理装置7)の前後、上下、左右と対応する。
図4に示すように、パンチ部8は、パンチモーター81、シャフト82、モーター駆動部83(モータードライバー)、カム84、上下動部85を含む。上下動部85は、当接部材86、穿孔刃87、弾性部材88を含む。図4の白抜矢印は、パンチモーター81の力の伝達経路である。
パンチモーター81は、穿孔刃87を往復運動させる。例えば、パンチモーター81には、DCブラシモーターを用いることができる。モーター駆動部83は、パンチモーター81への電流の供給のON/OFFを行う。後処理制御部70は、モーター駆動部83を制御する。後処理制御部70は、パンチモーター81の回転、停止を制御する。
図6、図7に示すように、パンチ部8は、上ガイド部89、下ガイド部810を含む。上ガイド部89と下ガイド部810は用紙を案内する。用紙は、上ガイド部89と下ガイド部810の間に進入し、通過する。上ガイド部89の上方に上下動部85が設けられる。当接部材86の上方にシャフト82とカム84が設けられる。パンチモーター81はシャフト82を回転させる。カム84はシャフト82に取り付けられる。
上下動部85(当接部材86、穿孔刃87、弾性部材88の組み合わせ)は、複数設けられる。穿孔刃87は用紙に孔をあける。穿孔刃87の上方に当接部材86が設けられる。穿孔刃87の上端は当接部材86の下面と接する。穿孔刃87は、例えば、金属製のパイプである。刃が下方先端に設けられる。上ガイド部89と下ガイド部810には、穿孔刃87に対応する位置に孔(不図示)が開いている。穿孔刃87が下方に移動し、穿孔刃87の下方の先端が用紙に突き当たる。さらに穿孔刃87が下方に移動することにより、用紙に穴があけられる。次に来る用紙の妨げにならないように、穿孔後、後処理制御部70は、穿孔刃87を退避させる。なお、穿孔で生じた屑(パンチ屑)は、下ガイド部810の下方に設けられた屑タンク(不図示)に落下する。
シャフト82は、各上下動部85の上方に設けられる。シャフト82はパンチモーター81の回転軸に取り付けられる。パンチモーター81を回転させることにより、シャフト82が回転する。例えば、パンチモーター81を1回転させると、シャフト82が1回転する。シャフト82は支軸部材82aに支持される。カム84がシャフト82の上下動部85に対応する位置に取り付けられる。図6、図7は、シャフト82に4つのカム84を取り付ける例を示す。各カム84の取り付け角度は同じである。図6はカムカバー84aを取り付けた状態を示す。図7はカムカバー84aを取り外した状態を示す。
シャフト82(カム84)の下方に当接部材86が設けられる。カム84はシャフト82の軸方向からみて楕円(卵)形状である。カム84と当接部材86の上面が接する。シャフト82の回転角度に応じ、当接部材86と接する部分のカム84の肉厚が変化する。つまり、シャフト82の回転角度に応じ、カム84が当接部材86を下側に(穿孔刃87の方向に)押す量が変化する。これにより、カム84の回転に応じ、穿孔刃87が往復運動する。シャフト82とカム84は、パンチモーター81の駆動力を利用して、穿孔刃87を上下動させる。
図6、図7では、4つの上下動部85を設ける例を示している(4穴方式に対応)。ここで、2穴の穿孔と4穴の穿孔を切り替えられるように、パンチ部8は、シャフト82を前後方向でシフトさせるシフト機構811を含む。図7に示すように、内側の2つの上下動部85に対応するカム84は2列(2枚)とされる。カム84が2枚なので、シャフト82を前後のどちらにシフトさせても、内側の2つのカム84は、対応する当接部材86と接する。つまり、2穴、4穴のいずれの場合でも、内側の2つの穿孔刃87は、穿孔する。図7に示すように、外側の2つの上下動部85に対応するカム84は1列(1枚)とされる。シャフト82のシフトにより、外側の2つのカム84と、これに対応する当接部材86との接触、非接触を選択することができる。
操作パネル3で2穴での穿孔処理が選択されたとき、後処理制御部70は、外側の2つのカム84と、これに対応する当接部材86を接触させない。非接触状態ではカム84が空振りする。そのため、外側2つの穿孔刃87は上下動しない。図6は、非接触状態の一例を示す。操作パネル3で4穴での穿孔処理が選択されたとき、後処理制御部70は、外側の2つのカム84と、これに対応する当接部材86を接触させる。接触状態のとき、外側2つの穿孔刃87は上下動する。
ここで、搬送される用紙と穿孔刃87が接しないシャフト82の回転角度範囲のうち、何れかの角度が基準角度とされる。シャフト82の回転角度を認識するためのセンサー(不図示)が設けられる。後処理制御部70は、センサーの出力に基づき、シャフト82の回転角度を認識する。後処理装置7では、穿孔刃87を最も上方に持ち上げたときのシャフト82の回転角度が基準角度とされる。1枚の用紙の穿孔処理のとき、シャフト82は基準角度から回転を開始する。穿孔後、後処理制御部70は、シャフト82の回転角度を基準角度に戻す。
(穿孔処理時の不吐出制御)
次に、図9〜図12を用いて、実施形態に係る複合機100での穿孔処理時の不吐出制御の一例を説明する。図9は、実施形態に係る複合機100での穿孔処理時の不吐出制御の一例を示すフローチャートである。図10は、実施形態に係る不吐出領域設定画面3aの一例を示す図である。図11は、実施形態に係る不吐出領域F1の一例を示す図である。図12は、実施形態に係る不吐出領域設定用データD1の一例を示す図である。
複合機100では、穿孔処理のとき、制御部1は、画像データ内の不吐出領域F1を決定する。制御部1は、穿孔に対応する画素を含み穿孔よりも広い領域を不吐出領域F1と決定する。制御部1は不吐出領域F1に含まれる画素でのインクの吐出を記録部6に行わせない。これにより、穿孔及び穿孔の周辺での用紙の剛性低下を防ぐ。従って、穿孔不良が生じにくくなる。
図9のスタートは、穿孔処理を行って印刷ジョブを開始する時点である。複合機100では、印刷ジョブとして、コピージョブ、ボックス印刷ジョブ、プリンタージョブがある。コピージョブのとき、読取ユニット9に原稿がセットされる。読取ユニット9は原稿を読み取る。制御部1は、原稿で読み取られた画像データに基づき、記録部6に画像を記録させる。ボックス印刷ジョブのとき、記録部6に不揮発的に記憶されている画像データが読み出される。制御部1は、読み出した画像データに基づき、記録部6に画像を記録させる。プリンタージョブのとき、通信部13がコンピューター200から印刷用データを受信する。制御部1は、印刷用データに基づき、印刷ジョブに用いる画像データを生成する。制御部1は、生成した画像データと、印刷用データに含まれる設定に基づき、記録部6に画像を記録させる。
まず、制御部1は、印刷ジョブでの穿孔パターンを認識する(ステップ♯1)。具体的に、制御部1は、穿孔の個数を認識する。制御部1は、2穴で穿孔するか、4穴で穿孔するかを確認する。
コピージョブやボックス印刷ジョブの場合、使用者は、操作パネル3で穿孔の個数を設定できる。プリンタージョブのとき、使用者は、コンピューター200で穿孔の個数を設定できる。コンピューター200は、穿孔の個数を示す情報を印刷用データに含める。通信部13は、印刷用データを受信する。制御部1は、受信した印刷用データに基づき、穿孔の個数を認識する。このように、操作パネル3でなされた設定、又は、通信部13が受信したデータに基づき、制御部1は、穿孔パターンを認識できる。
制御部1は、1ページに含める不吐出領域F1の個数を決定する(ステップ♯2)。制御部1は、不吐出領域F1の個数と穿孔の個数(穿孔パターン)を同数とする。2穴の場合、制御部1は、不吐出領域F1の個数を2とする。4穴の場合、制御部1は不吐出領域F1の個数を4とする。このように、制御部1は、穿孔パターンに応じて、不吐出領域F1の個数を変える。
次に、制御部1は、不吐出領域F1の大きさを決定する(ステップ♯3)。なお、制御部1は、それぞれの不吐出領域F1の大きさは同じとする。2穴の場合、制御部1は、2つの不吐出領域F1の大きさを同じにする。4穴の場合、制御部1は4つの不吐出領域F1の大きさを同じにする。
ここで、操作パネル3では、不吐出領域F1の大きさの決定手法を選択することができる。決定手法の選択について、図10を用いて説明する。図10は、不吐出領域設定画面3aの一例を示す。操作パネル3に所定の操作がなされたとき、制御部1は不吐出領域設定画面3aを表示パネル31に表示させる。なお、穿孔処理を行う印刷ジョブの実行開始後、給紙開始前に、制御部1は不吐出領域設定画面3aを表示パネル31に表示させてもよい。
不吐出領域設定画面3aには、デフォルトボタンB1、サイズ指定ボタンB2、用紙厚ボタンB3が設けられる。各不吐出領域F1の大きさをデフォルト値とする場合、使用者はデフォルトボタンB1を操作する。各不吐出領域F1のデフォルトの直径(幅)は、例えば、11mmである。なお、穿孔刃87の直径は、6〜7mm程度である。デフォルト値は一例であり、11mmよりも小さくてもよい。デフォルト値は11mmよりも大きくてもよい。操作パネル3は、不吐出領域F1をデフォルトのサイズにする選択を受け付ける。デフォルトのサイズが選択されたとき、制御部1は、各不吐出領域F1の大きさをデフォルトのサイズに決定する。
各不吐出領域F1の大きさを所望の大きさとする場合、使用者はサイズ指定ボタンB2を操作する。サイズ指定ボタンB2の下方に、サイズ入力欄C1が設けられる。サイズ入力欄C1が操作されたとき、制御部1は、数字入力可能なソフトウェアキーボードを表示パネル31に表示させる。ソフトウェアキーボードを用いて、使用者は、所望の直径(幅)を入力する。制御部1は、入力された直径をサイズ入力欄C1内に表示させる。制御部1は、入力された直径を各不吐出領域F1の大きさと決定する。つまり、操作パネル3は、不吐出領域F1の大きさの設定を受け付ける。制御部1は、操作パネル3で設定された大きさの不吐出領域F1を設定する。
各不吐出領域F1の大きさを用紙の厚さに応じた大きさとする場合、使用者は用紙厚ボタンB3を操作する。ここで、操作パネル3は、給紙部4ごとに、収容された用紙のサイズ、厚さ(用紙の種類)の設定を受け付ける。例えば、厚紙、普通紙、薄紙の中から用紙の種類を設定することができる。印刷ジョブのとき、制御部1は用いる給紙部4を選択する。予めなされた用紙の厚さの設定に基づき、制御部1は選択した給紙部4に収容される用紙の厚さを認識する。制御部1は、認識した用紙の厚さに基づき、各不吐出領域F1の大きさを決定する。制御部1は、用紙が厚いほど不吐出領域F1を小さくする。用紙が薄いほど不吐出領域F1を大きくする。
次に、制御部1は、画像データにおける不吐出領域F1を決定する(ステップ♯4)。言い換えると、制御部1は、画像データ中、不吐出領域F1と扱う画素の範囲を決定する。制御部1は、ステップ♯2に基づき決定した個数の不吐出領域F1を設定する。制御部1は、ステップ♯3に基づき決定した大きさの不吐出領域F1を決定する。
まず、制御部1は、不吐出領域F1を円状とする。また、制御部1は、穿孔の中心と不吐出領域F1の中心を一致させる。また、制御部1は、不吐出領域F1の直径(幅)を、穿孔の直径よりも大きくする。不吐出領域F1が大きいと、失われる画像の面積が大きくなる。そこで、制御部1は、不吐出領域F1の直径を穿孔の直径の2倍よりも小さくする。そのため、サイズ入力欄C1に入力可能な数値には、下限と上限が定められてもよい。例えば、穿孔の直径が7mmの場合、下限は8mm、上限は14mmとされる。
ここで、図11に基づき、不吐出領域F1の設定例を説明する。図11は、4つ穴を設ける場合の画像データの一例を示す。図11は、1色または複数色でのベタ塗り画像の画像データの一例を示す。図11の上側の図は、不吐出領域F1の設定前の状態の画像データの一例を示す。図11の下側の図は、不吐出領域F1の設定後の画像データの一例を示す。制御部1は、図11の下側の図の状態の画像データを記録部6に送信する。
図11の下図では、不吐出領域F1を拡大して示している。拡大した図のうち、破線が穿孔に相当する領域の端縁である。実線が不吐出領域F1の外周である。このように、制御部1は、穿孔を囲うように不吐出領域F1を定める。図11の例では、穿孔の中心と不吐出領域F1の中心が一致する。
主走査方向での隣接する各穿孔の中心の間隔は、規格で決まっている。穿孔後の用紙をファイルで綴じられるように、各穿孔刃87の間隔は規格に沿っている。図11では、規格に沿った穿孔の間隔をL1で示している。また、副走査方向において、用紙の端から穿孔の中心までの距離も規格で決まっている。
そして、複合機100、後処理装置7では、用紙は中央通紙方式で搬送される。中央通紙方式は、用紙の主走査方向(搬送方向と垂直な方向)の中心と、搬送路の幅方向(主走査方向)の中心を一致させる方式である。図11では、用紙の主走査方向の中心に相当するラインを破線で図示している。中央2つの穿孔の間隔の中間点が中心ラインと重なる。
制御部1は、画像データのうち、規格に沿った穿孔の位置に対応する画素と、それらの画素の周辺を不吐出領域F1と定める。例えば、制御部1は、不吐出領域設定用データD1を参照して、不吐出領域F1を設定する。不吐出領域設定用データD1は、記憶部2に記憶される。
不吐出領域設定用データD1は、穿孔の数、用紙サイズ、不吐出領域F1の大きさ(直径、幅)ごとに、画像データ内で不吐出領域F1と扱う画素の範囲(座標)が定義したデータである。図12は、不吐出領域設定用データD1(データテーブル)の一例を示す。制御部1は、不吐出領域設定用データD1のうち、決定した穿孔の数(穿孔パターン)、決定した不吐出領域F1の大きさ、印刷に用いる用紙サイズに対応する部分を参照する。そして、制御部1は、参照部分で定義された画素を不吐出領域F1の画素とする。
制御部1は、画像データのうち、不吐出領域F1に含まれる画素の画素値を変換しつつ、記録部6に画像データを送信する(ステップ♯5)。制御部1は、不吐出領域F1に含まれる画素でインクが吐出されないようにする。言い換えると、制御部1は、不吐出領域F1に含まれる画素の画素値をインク不吐出の値に変更する。つまり、制御部1は、不吐出領域F1に含まれる画素にのみ、マスク処理を行う。
各ラインヘッド60に与える画像データにおいて、「1」の値がインク吐出、「0」の値がインク不吐出を意味する場合、制御部1は不吐出領域F1に含まれる全ての画素の画素値を「0」にする。この処理のため、制御部1(画像処理部12)は、マスク処理部12aを含む。マスク処理部12aは、ハードウェアとして設けられてもよい。また、プログラム及び制御部1(画像処理部12)内の回路により、ソフトウェア的に実現されてもよい。各ラインヘッド60に画像データとして与える信号において、マスク処理部12aは、不吐出領域F1に含まれる画素の信号値を一定の値(不吐出を示す値)で固定する。
穿孔処理のとき、特定の画素にマスク処理を施しつつ、制御部1は記録部6(各ラインヘッド60)に画像データを送信する。複数ページを含む印刷ジョブのとき、各ページで不吐出領域F1の画素の画素値が変換される。やがて、印刷ジョブに含まれる全ページの画像データが送信される(ステップ♯6)。これにより、本フローは終了する。
このようにして、実施形態に係る画像形成装置は、用紙搬送部5、記録部6、パンチ部8、制御部1を含む。用紙搬送部5は用紙を搬送する。記録部6は画像データに基づき、搬送される用紙にインクを吐出して画像を記録する。パンチ部8は画像記録済の用紙を穿孔する。制御部1は、画像データのうち、穿孔に対応する画素を含み穿孔よりも広い領域である不吐出領域F1に含まれる画素でのインクの吐出を記録部6に行わせない。
これにより、画像データにおいて、穿孔と穿孔周辺の領域をインク不吐出の領域に設定することができる。その結果、用紙のうち、穿孔と穿孔周辺の領域には、インクが吐出されない。穿孔される部分及び穿孔周辺の剛性低下を抑えることができる。従って、インクの印刷物での穿孔不良を防ぐことができる。また、大量の画像メモリーを搭載する必要がない。そのため、画像形成装置の大型化、高コスト化を抑えることができる。プレビュー画像での画像位置の調整のような複雑な操作、制御は必要がない。使いやすく、操作が容易な画像形成装置を提供することができる。
また、パンチ部8は、複数の穿孔パターンを有する。制御部1は、穿孔パターンに応じて、不吐出領域F1の個数を変える。これにより、穿孔パターンに応じて、適切な不吐出領域F1を設定することができる。全ての穿孔で不良が生じない。
また、制御部1は、穿孔の中心と不吐出領域F1の中心を一致させ、不吐出領域F1を円状とする。これにより、穿孔を覆うように不吐出領域F1を設定することができる。また、穿孔を偏り無く不吐出領域F1で囲うことができる。
また、不吐出領域F1の直径は、穿孔の直径よりも大きく、穿孔の直径の2倍よりも小さい。これにより、小さすぎず、かつ、大きすぎない領域を不吐出領域F1とすることができる。
また、不吐出領域F1の大きさの設定を受け付ける操作部を含む。制御部1は、操作部で設定された大きさの不吐出領域F1を設定する。これにより、使用者は不吐出領域F1の大きさを設定することができる。使用者が希望する大きさの不吐出領域F1を設定することができる。
用紙が厚いほど、一面に吐出されたインクは他面側まで到達しにくい。そのため、用紙が厚いほど、用紙の剛性は低下しにくい傾向がある。反対に、用紙が薄いほど、吐出されたインクによって剛性が低下しやすい傾向がある。そこで、制御部1は用紙の厚さを認識する。制御部1は用紙が厚いほど不吐出領域F1を小さくする。制御部1は用紙が薄いほど不吐出領域F1を大きくする。これにより、用紙の厚さに応じた大きさの不吐出領域F1を設定することができる。用紙が厚い場合、できるだけ不吐出領域F1を小さくすることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
図13、図14を用いて、変形例を説明する。図13は第1変形例に係る不吐出領域F1の一例を示す図である。図14は第2変形例に係る不吐出領域F1の一例を示す図である。
(第1変形例)
上述の実施形態では、円状の不吐出領域F1を定める例を説明した。しかし、不吐出領域F1の形状は、円に限られない。図13に示すように、四角形でもよい。不吐出領域F1は、長方形でもよいし、正方形でもよい。また、四角形以外の多角形でもよい。
(第2変形例)
上述の実施形態では、穿孔ごとに1つの不吐出領域F1を定める例を説明した。しかし、図14に示すように、制御部1は、全ての穿孔を覆うように1つの不吐出領域F1を定めてもよい。これにより、インクの付着による用紙の剛性低下の影響を受けにくくなる。インクの印刷物での穿孔不良を防ぐことができる。また、不吐出領域F1の設定処理が容易である。例えば、薄紙のように、用紙の剛性が元々小さい用紙に印刷するとき、制御部1は、全ての穿孔を覆うように1つの不吐出領域F1を定めてもよい。