JP6699238B2 - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
近年、電子写真方式の画像形成装置において、プリントスピードの高速化、環境負荷低減などを目的とした一層の省エネルギー化を図るために、より低い温度で熱定着可能な静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」という)が要求されている。このようなトナーにおいては、結着樹脂の溶融温度や溶融粘度を下げることが必要とされ、結晶性ポリエステル樹脂などの結晶性樹脂を添加することで低温定着性を向上させたトナーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、結晶性樹脂を含有するトナーにおいては、トナーの製造時に結晶性樹脂の融点以上に加熱した場合、製造時においても結晶性樹脂が非結晶性樹脂に相溶してしまうため、耐熱保管性が悪化するという問題がある。
このような構成のトナーの耐熱保管性を向上させる手段として、アニーリング(以下、加熱処理ともいう)が知られている。例えば、非結晶性樹脂のガラス転移点以上、結晶性樹脂の融点−10℃以下の温度で長時間加熱処理を行うことにより、相溶している結晶性樹脂の再結晶化が起こり、耐熱保管性を向上させることができることが報告されている(例えば、特許文献2参照)。
また、結晶性樹脂としてブロックポリマーを使用し、当該結晶性樹脂の水系分散液を加熱して所定の温度に保持することが知られている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3には、上記の温度制御により、結晶性樹脂の再結晶化時においても結晶性樹脂のドメインを制御することができるため、結晶性樹脂のドメインを微分散することができ、定着性の悪化が抑制されることが報告されている。
さらに、結晶性ポリエステルを含む結着樹脂を含有するトナー組成物を所定の条件で加熱および保持することにより、トナーの低温定着性と耐熱保管性とを長期に持続できることが報告されている(例えば、特許文献4参照)。また、結晶性ポリエステル樹脂の示差走査熱量計で測定した示差熱量曲線における吸熱ピークのオンセット温度±5℃で加熱処理を行うことが知られている(例えば、特許文献5参照)。さらに、結晶性樹脂と非結晶性樹脂とを含むトナー粒子を、当該結晶性樹脂のガラス転移点以上であって再結晶温度±10℃の温度で加熱処理することが知られている(例えば、特許文献6参照)。
特開2001−222138号公報 特開2009−063992号公報 特開2014−211632号公報 特開2012−42508号公報 特開2012−98697号公報 米国特許第7494757号明細書
しかしながら、乾式で加熱処理を行うと、トナー中の水分吸着状態の変化によるガラス転移点の増大や結晶性樹脂のドメイン径の増大などにより、近年求められるレベルの低温定着性能を発現することが困難である。また、水系媒体中で加熱処理を行う場合、結晶性樹脂がトナー表面に露出することがある。結晶性樹脂がトナー表面に露出してしまうと、トナーの表面抵抗が低下したり、トナーの帯電特性が悪化することに起因して、画像濃度ムラなどの画像ノイズ生じることがある。
このように、従来のトナーの製造方法には、トナーの低温定着性能を図り、かつ、得られる画像における濃度ムラを抑制するという観点から検討の余地が残されている。
よって、本発明は、結晶性樹脂を含有する場合であっても、低温定着性に優れ、かつ、得られる画像の濃度ムラを抑制することが可能なトナーを提供することを目的とする。
本発明者らは、低温定着性に優れ、かつ、画像濃度ムラを抑制することが可能なトナーを得るためには、トナー中における結晶性樹脂のドメイン径や存在状態を適切に制御することが重要であることを見出した。そして、トナー中における結晶性樹脂の存在状態およびドメイン径は、結晶性樹脂を含む結着樹脂の微粒子を金属イオンの存在下で凝集、融着させてトナー母体粒子を製造する乳化凝集法によるトナーの製造において、当該トナー母体粒子を含む分散液の熱処理スキームと、熱処理中の当該分散液のpHとを制御することと、により緻密に制御可能であることを見出した。本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明は、結晶性樹脂を含む結着樹脂の微粒子を金属イオンの存在下で凝集、融着させて生成したトナー母体粒子と水系媒体とを含む分散液を、前記結晶性樹脂の融点以上の温度に加熱する第1の工程と、前記分散液のpHを5.5以上、9.0以下に維持した状態で、下記式を満たす前記分散液の温度T(℃)を30分間以上維持する第2の工程と、を含む、トナーの製造方法を提供する。下記式中、Rcは前記結晶性樹脂の再結晶化温度(℃)である。
Rc−25≦T≦Rc−5
本発明のトナーの製造方法によれば、熱処理時においても、トナー中における結晶性樹脂の存在状態およびドメイン径を緻密に制御でき、その結果、トナーの低温定着性と画像濃度ムラの抑制とが両立される。
図1Aは、本発明における第1の工程終了後から第2の工程終了までの分散液の温度変化の第1の例を示すグラフであり;図1Bは、本発明における第1の工程終了後から第2の工程終了までの分散液の温度変化の第2の例を示すグラフであり;図1Cは、本発明における第1の工程終了後から第2の工程終了までの温度変化の第3の例を示すグラフであり;図1Dは、本発明における第1の工程終了後から第2の工程終了までの分散液の温度変化の第4の例を示すグラフであり;図1Eは、本発明における第1の工程終了後から第2の工程終了までの分散液の温度変化の第5の例を示すグラフであり;図1Fは、本発明における第1の工程終了後から第2の工程終了までの分散液の温度変化の第6の例を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を説明する。
本実施形態のトナーの製造方法は、1)結晶性樹脂を含む結着樹脂の微粒子を金属イオンの存在下で凝集、融着させて生成したトナー母体粒子と水系媒体とを含む分散液を、前記結晶性樹脂の融点以上の温度に加熱する第1の工程と、2)前記分散液のpHを5.5以上、9.0以下に維持した状態で、下記式を満たす前記分散液の温度T(℃)を30分間以上維持する第2の工程と、を含む。下記式中、Rcは前記結晶性樹脂の再結晶化温度(℃)である。
Rc−25≦T≦Rc−5
以下、各工程を説明する。
[第1の工程]
上記第1の工程は、トナー母体粒子と水系媒体とを含む分散液を、トナー母体粒子中の結晶性樹脂の融点(Tm)以上の温度に加熱する工程である。第1の工程における分散液の温度は上記結晶性樹脂の融点以上であれば特に限定されず、その上限値は、当該水系媒体の沸点(例えば、水の沸点)である。分散液の加熱には、ヒーターなどの公知の加熱装置を使用することができる。また、結晶性樹脂の融点は、後述する示差走査熱量測定(以下、単に「DSC」ともいう)により測定することができる。
[水系媒体]
水系媒体とは、水の含有量が50質量%以上の媒体をいう。水以外の成分としては、水に溶解する有機溶媒が挙げられ、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらのうち、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどの樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒が特に好ましい。
[トナー母体粒子]
上記トナー母体粒子は、結晶性樹脂を含む結着樹脂の微粒子を金属イオンの存在下で凝集、融着させて生成される。例えば、結晶性樹脂を含む結着樹脂の微粒子と下記凝集剤とを水系媒体に分散させて調製した分散液を加熱することにより、当該結着樹脂の微粒子を凝集、融着させることができる。
[凝集剤]
本実施形態のトナーの製造方法では、上記結着樹脂の微粒子を凝集させるために凝集剤が使用される。凝集剤は、電荷中和反応と架橋作用とにより粒子を成長させる観点から、金属塩から選択される。
上記金属塩の例には、例えばナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の塩などの一価の金属塩;カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅などの二価の金属塩;鉄、アルミニウムなどの三価の金属塩が含まれる。具体的な金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガンなどを挙げることができ、これらの中で、より少量で凝集を進めることができることから、二価の金属塩を用いることが特に好ましい。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記凝集剤を添加することにより、結着樹脂微粒子同士は水系媒体中においてイオン架橋により結合されるため、後述の熱処理時において結晶性樹脂の存在状態をより有利に制御することができる。
凝集粒子の成長は、水系媒体中の塩濃度を高めることによって実質的に停止させることができる。例えば塩化ナトリウム、多価有機酸またはその塩、アミノ酸、ポリホスホン酸またはこれらの塩を凝集停止剤として使用することができる。また系内のpHを変化させることによって凝集作用を緩和させることができる。pHを調整するためにはフマル酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、塩酸などを用いることができる。さらにはpHを調整するとともにキレート剤を併用し金属イオンによる架橋作用を緩和させることも有効である。上記キレート剤の例には、HIDA(ヒドロキシエチルイミノ二酢酸)、HEDTA(ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸)、HEDP(ヒドロキシエチリデンジホスホン酸)、HIDS(3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸)が含まれる。
得られるトナー母体粒子の平均円形度は、トナー母体粒子を熟成する熟成工程により調節することができる。熟成工程では、トナー母体粒子の分散液を加熱し、目的の平均円形度のトナー母体粒子が得られるまでトナー母体粒子を熟成させる。
また、上記トナー母体粒子はコア・シェル構造でもよい。コア・シェル構造のトナー母体粒子を形成する場合、トナー母体粒子をコア粒子として、コア粒子の表面にシェル層を形成する。具体的には、シェル層を構成する樹脂を水系媒体中に分散させた樹脂粒子分散液を調製し、トナー母体粒子の形成工程または熟成工程により得られたトナー母体粒子の分散液に添加して、トナー母体粒子の表面にシェル層の樹脂粒子を凝集、融着させる。これにより、コア・シェル構造を有するトナー母体粒子の分散液を得ることができる。コア粒子にシェル層の樹脂粒子をより強固に凝集、融着させるため、シェル化工程に続いて加熱処理を行うことができる。加熱処理は、目的の平均円形度のトナー母体粒子が得られるまで行えばよい。
また、本発明の効果を奏する範囲において、上記結着樹脂以外のその他のトナー材料を上記結着樹脂の微粒子の分散液にさらに添加して、凝集、融着反応を行ってもよい。結着樹脂以外のトナー材料の例には、後述の着色剤、離型剤、帯電制御剤、界面活性剤などが含まれる。当該その他の成分は、一種でもそれ以上含まれていてもよい。その他のトナー材料を添加する場合、上記凝集、融着反応は、着色剤などのその他のトナー材料の微粒子を含む分散液を別途調製しておき、これを上記結着樹脂の微粒子を含む分散液と混合して行ってもよい。
上記のように製造したトナー母体粒子は、上記分散液から一旦取り出してから第1の工程に供されてもよいが、上記分散液に含まれている状態で第1の工程に供されることが好ましい。
[結着樹脂の微粒子]
上記結着樹脂の微粒子は、樹脂の単量体を重合開始剤とともに水系媒体中に添加し、当該単量体を重合反応させて、樹脂粒子の分散液を得る乳化重合法によって製造できる。乳化重合法は、重合反応を多段階で行うこともできる。例えば、3段階で重合反応させる場合、第1段目の重合により樹脂粒子の分散液を調製し、この分散液中にさらに樹脂の単量体と重合開始剤を添加して、第2段目の重合をさせる。第2段目の重合により調製した分散液中にさらに樹脂の単量体と重合開始剤を添加して第3段目の重合をさせる。第2段目および第3段目の重合時には、先の重合により生成された分散液中の樹脂粒子をシード(種)として、この樹脂粒子に新たに添加した単量体をさらに重合させることができ、樹脂粒子の粒径などの均一化を図ることができる。また、各段階の重合反応の際、異なる単量体を用いることにより、樹脂粒子の構造も多層構造とすることができ、目的の特性を有する樹脂粒子を得やすい。
(重合開始剤)
重合反応に使用できる重合開始剤としては、公知の重合開始剤を使用することができ、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビス−(2−アミノジプロパン)硝酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸、ポリ(テトラエチレングリコール−2,2’−アゾビスイソブチレート)などのアゾ化合物、過酸化水素などの過酸化物等が挙げられる。重合開始剤の添加量は、目的の分子量や分子量分布によって異なるが、具体的には重合性単量体の添加量に対して、0.1〜5.0質量%の範囲内とすることができる。
(連鎖移動剤)
重合反応時には、樹脂粒子の分子量を制御する観点から、連鎖移動剤を添加することができる。使用できる連鎖移動剤としては、例えばオクチルメルカプタンなどのメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネートなどのメルカプトプロピオン酸等が挙げられる。連鎖移動剤の添加量は、目的の分子量や分子量分布によって異なるが、重合性単量体の添加量に対して、0.1〜5.0質量%の範囲内とすることができる。
(界面活性剤)
重合反応時には、分散液中の上記樹脂微粒子の凝集などを防ぎ、良好な分散状態を維持する観点から、界面活性剤を添加することができる。界面活性剤としては、例えばドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイドなどのカチオン性界面活性剤、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム(ドデシル硫酸ナトリウム)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ドデシルポリオキシエチレンエーテル、ヘキサデシルポリオキシエチレンエーテルなどのノニオン性界面活性剤などの公知の界面活性剤を用いることができる。これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
[第2の工程]
第2の工程は、上記第1の工程で得られた分散液のpHを5.5以上、9.0以下に維持した状態で、下記式を満たす前記分散液の温度T(℃)を30分間以上維持する工程である(以下、単に「熱処理」ともいう)。下記式中、Rcは結晶性樹脂の再結晶化温度(℃)である。
Rc−25≦T≦Rc−5
つまり、第2の工程では、上記分散液のpHを5.5以上、9.0以下に維持した状態で、上記分散液の温度をRc−25℃以上、Rc−5℃以下の温度に30分間以上維持する。
上記Rcは、結晶性樹脂の結晶化が最も進行しやすい温度であって、DSCにより、結晶性樹脂を10℃/分の昇温速度で室温から100℃まで昇温し、1分間保持し、0.1℃/分の降温速度で0℃まで降温し、降温時に得られた測定曲線における発熱ピークのピークトップの温度として求められる値である。このとき降温速度を0.1℃/分とする理由は、できるだけ降温速度を遅くして得られた結晶化温度と本発明のトナーの製造方法で得られるトナーの性能との相関が高く、降温速度が0.1℃/分であると、十分な相関が得られるからである。
上記熱処理の間、上記分散液の温度T(℃)がRc−25≦T≦Rc−5を満たせばよく、上記熱処理開始から終了までの上記分散液の温度の変化の態様は限定されない。例えば、上記分散液の温度は、上記熱処理の間、一定に保持されていても、一定の速度で上昇または降下し続けてもよく、あるいは、上昇と降下を繰り返す等、絶えず変化していてもよい。
上記熱処理における上記分散液のpHが5.5未満であると、凝集した結着樹脂微粒子間のイオン架橋量が少ないためトナー母体粒子表面近傍への結晶性樹脂のブリードアウトが起こり、トナーの帯電特性などが悪化し、得られる画像に濃度ムラが発生する。一方、上記熱処理における上記分散液のpHが9.0を超えると、凝集した結着樹脂微粒子間のイオン架橋量が過度に増大し、トナーの低温定着性が悪化する。
トナーの低温定着性を向上させ、かつ、画像濃度ムラを抑制する観点からは、上記熱処理における上記分散液のpHは6.0〜8.0の範囲であることが好ましい。
上記第1の工程が完了した時点で上記分散液のpHが5.5以上、9.0以下の範囲であれば、上記分散液のpHを調節する必要はない。一方、上記分散液のpHが5.5未満である場合は、水酸化ナトリウム溶液を添加するなど、公知の方法でpHを5.5以上、9.0以下の範囲に調節すればよい。上記分散液のpHが9.0超である場合は、塩酸溶液を添加するなど、公知の方法でpHを5.5以上、9.0以下の範囲に調節すればよい。
上記分散液のpHは、例えば、ガラス電極式水素イオン濃度指示計(東亜ディーケーケー株式会社製)を用い、熱処理工程前温度において測定する。
また、上記熱処理の温度Tは、Rc−25≦T≦Rc−10を満たすことが低温定着性の向上および画像濃度ムラの抑制の観点から好ましい。また、上記熱処理の時間は30分間以上であればよく、上限は特に限定されないが、製造効率の観点から熱処理時間の上限は180分間程度であることが好ましい。また、水系媒体中で熱処理工程が行われることにより、トナー中の水分子の吸着状態が変化することを抑制することができ、その結果、結着樹脂のガラス転移温度の上昇を抑制することができる。
[冷却工程]
上記第1の工程で得られたRcよりも高温に加熱された分散液は、例えば放冷により任意の降温速度でRc未満の温度(熱処理工程前温度)に調節されればよいが、上記分散液はRc−25℃未満の温度まで冷却されることが画像濃度ムラを抑制する観点からより好ましい。
上記冷却工程では、Rcよりも高温に加熱された上記分散液を、1℃/分以上の降温速度(冷却速度)でRc未満の温度まで急冷することが好ましい。このとき、上記分散液は、Rcにおける降温速度が1℃/分以上となるように冷却されればよい。上記第2の工程を行う前に、Rcよりも高温に加熱された上記分散液をRcにおける降温速度が1℃/分以上となるように冷却することにより、トナーにおける結晶性樹脂のドメイン径および存在状態をより良好に制御することができる。そのため、得られるトナーの低温定着性がより向上し、さらに画像濃度ムラを抑制することができる。
上記「Rcよりも高温に加熱された分散液の温度」は、第1の工程の終点の温度でもよいし、第1の工程の終点の温度から所定のRc超の温度まで上記分散液を冷却したときの温度でもよい。よって、上記第1の工程で加熱された分散液を直ちに降温速度1℃/分以上でRc未満の温度まで冷却してもよいし、当該分散液をRc超の所定の温度まで任意の冷却温度で冷却し、その後、1℃/分以上の降温速度でRc未満の温度まで冷却してもよい。また、Rc通過後の冷却速度も限定されない。例えば、上記分散液をRc未満の所定の温度まで1℃/分以上の降温速度で冷却後、冷却速度を1℃/分未満としてもよい。
上記分散液は、上記の冷却速度を実現可能な公知の冷却装置を用いて冷却することができる。例えば、反応容器の外浴を急速に冷却してもよいし、分散液を熱交換器に通してもよいし、分散液中に冷却されたイオン交換水を投入してもよい。生産効率の観点からは、熱交換器が好ましい。
また、Rcにおける上記分散液の冷却速度は2℃/分以上であることが、トナーの低温定着性を一層向上させる観点からより好ましい。トナーの低温定着性を一層向上させる観点からは、冷却速度は速い程好ましく、5℃/分以上がさらに好ましい。ただし、冷却速度が速すぎると、冷却時の結晶核形成が少なく、結晶化の進行が遅くなるため、生産性の観点からは冷却速度の上限として25℃/分以下が好ましい。
[第1の工程終了後から第2の工程終了までの分散液の温度変化の説明]
以下、図1A〜Fを参照して、本発明おける第1の工程終了後から第2の工程終了までの分散液の温度変化の例を説明する。図中、TはRc−25℃以上、Rc−5℃以下の温度域を示し、tは30分間以上の時間を示し、Aは冷却速度が1℃/分以上である冷却工程の区間を示し、斜線部分は第2の工程の時間と温度範囲を示す。なお、当該斜線部分において、分散液のpHは上述のとおり5.5以上、9.0以下の範囲内とする。
第1の例では、図1Aに示されるように、(1)第1の工程でRcよりも高温に加熱された分散液を1℃/分以上の冷却速度でRc未満の所定の温度(熱処理前温度)まで冷却し、(2)次いで、1℃/分未満の冷却速度で分散液を温度域T内の熱処理開始温度まで冷却し、(3)最後に、分散液の温度を当該熱処理開始温度に保持したまま時間t維持する(第2の工程)。
第2の例では、図1Bに示されるように、(1)第1の工程でRcよりも高温に加熱された分散液を1℃/分以上の冷却速度でRc未満の所定の温度(熱処理前温度)まで冷却し、(2)次いで、1℃/分未満の冷却速度で分散液を冷却し続け、分散液の温度が温度域T内で時間t維持する(第2の工程)。第2の例では、第1の例と異なり、第2の工程中、分散液の温度を一定の速度で下降させる。
第3の例では、図1Cに示されるように、(1)第1の工程でRcよりも高温に加熱された分散液を1℃/分以上の冷却速度でRc未満の所定の温度(熱処理前温度)まで冷却し、(2)次いで1℃/分未満の冷却速度で分散液を温度域T内の熱処理開始温度まで冷却し、(3)最後に、分散液の温度が温度域T内に時間t維持されるように、分散液の加熱および冷却を繰り返して分散液の温度を繰り返し上昇および下降させる(第2の工程)。第1の例および第2の例と異なり、第2の工程中、分散液の温度を繰り返し上昇および下降させる。
第4の例では、図1Dに示されるように、(1)第1の工程でRcよりも高温に加熱された分散液を1℃/分以上の冷却速度でRc−25℃未満の温度(熱処理前温度)まで冷却し、(2)次いで、温度域T内の熱処理開始温度まで分散液を加熱し、(3)最後に、分散液の温度を当該熱処理開始温度に保持したまま時間t維持する(第2の工程)。第1の例と異なり、Rcよりも高温の分散液を1℃/分以上の冷却速度でRc−25℃未満の温度まで冷却し、その後熱処理開始温度まで加熱する。
第5の例は、図1Eに示されるように、(1)第1の工程でRcよりも高温に加熱された分散液を1℃/分以上の冷却速度でRc−25℃未満の温度(熱処理前温度)まで冷却し、(2)次いで、Rc−5℃の熱処理開始温度まで分散液を加熱し、(3)最後に、分散液の温度が温度域T内で時間t維持されるように、分散液を冷却し続ける(第2の工程)。第2の例と異なり、Rcよりも高温の分散液を1℃/分以上の冷却速度でRc−25℃未満の温度まで冷却し、その後処理開始温度まで加熱する。
第6の例は、図1Fに示されるように、(1)第1の工程でRcよりも高温に加熱された分散液をRc−25℃未満の温度(熱処理前温度)まで冷却し、(2)次いで、温度域T内の熱処理開始温度まで分散液を加熱し、(3)最後に、分散液の温度が温度域T内に時間t維持されるように、分散液の加熱および冷却を繰り返して分散液の温度を繰り返し上昇および下降せる(第2の工程)。第3の例と異なり、Rcよりも高温の分散液を1℃/分以上の冷却速度でRc−25℃未満の温度まで冷却し、その後処理開始温度まで加熱する。
このように、本実施形態に係るトナーの製造方法では、金属イオン存在下で乳化凝集法により製造したトナー母体粒子と水系媒体とを含む分散液の温度が、当該分散液のpHを5.5以上、9.0以下に維持した状態で、Rc−25℃以上、Rc−5℃以下の範囲内に30分間以上維持される。
本実施形態に係るトナーの製造方法は、本実施の形態の効果を奏する範囲において、前述した第1、2の工程以外の他の工程をさらに含んでいてもよい。当該他の工程の例には、得られたトナー母体粒子に外添剤を混合、付着させてトナー粒子を得る工程、および得られたトナー粒子をキャリア粒子に混合して二成分現像剤としてのトナーを得る工程、が含まれる。
[トナー]
本実施形態に係る製造方法で製造されるトナーは、上述のとおり、少なくとも結着樹脂を含有するトナー母体粒子を含有し、当該トナー母体粒子は、結着樹脂によって主に構成され、必要に応じて着色剤、離型剤、帯電制御剤、界面活性剤などの種々の添加剤を含有する粒子である。まず、結着樹脂について説明する。
[結着樹脂]
上記結着樹脂は、結晶性樹脂と非結晶性樹脂とを含む。本明細書において「結着樹脂が結晶性樹脂を含む」とは、結着樹脂が結晶性樹脂そのものを含む態様であってもよいし、後述のハイブリッド結晶性樹脂における結晶性ポリエステル重合セグメントのように、他の樹脂中に含まれるセグメントを含む態様であってもよい。また本明細書において、「結着樹脂が非結晶性樹脂を含む」とは、結着樹脂が、非結晶性樹脂そのものを含む態様であってもよいし、後述のハイブリッド結晶性樹脂における非結晶性樹脂セグメントのように、他の樹脂中に含まれるセグメントを含む態様であってもよい。
(結晶性樹脂)
上記結晶性樹脂は、トナーのDSCにおいて、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、DSCにおいて、昇温速度10℃/分で測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。このような結晶性樹脂の含有量としては、トナーに対して3〜30質量%の範囲内であることが好ましい。これにより、結着樹脂のシャープメルト性を向上させて、トナーの低温定着性を向上させるという効果を得つつ、結晶性樹脂を含有させることによる耐熱性の低下を抑制することができる。
上記結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリアミド樹脂、結晶性ポリウレタン樹脂、結晶性ポリアセタール樹脂、結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂、結晶性ポリブチレンテレフタレート樹脂、結晶性ポリフェニレンサルファイド樹脂、結晶性ポリエーテルエーテルケトン樹脂、結晶性ポリテトラフルオロエチレン樹脂等が挙げられる。なかでも、結晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。熱定着時に結晶性ポリエステル樹脂が融解して非結晶性樹脂の可塑化剤として働くために低温定着性を向上させることができるからである。当該結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの脱水縮合反応による公知の合成法により得ることができる。上記結晶性ポリエステル樹脂は、一種でもそれ以上の種類を用いてもよい。
上記多価カルボン酸の例には、コハク酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸;それらの酸無水物;およびそれらの炭素数1〜3のアルキルエステル;が含まれる。上記多価カルボン酸は、脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。
上記多価アルコールの例には、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、1,7−へプタンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオールなどの脂肪族ジオール;および、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどの3価以上のアルコール;が含まれる。上記多価アルコールは、脂肪族ジオールであることが好ましい。
上記結晶性ポリエステル樹脂は、スチレン−アクリル樹脂により変性されたハイブリッド結晶性樹脂(以下、単に「ハイブリッド結晶性樹脂」ともいう)であることが好ましい。ハイブリッド結晶性樹脂は、スチレン−アクリル樹脂部分が非結晶性樹脂との相溶性が高く、トナー母体粒子中に結晶性ポリエステル樹脂を均一に分散させることができるからである。また、トナー母体粒子が後述のコア・シェル構造を有し、シェル層がハイブリッド結晶性樹脂を含有する場合、スチレン−アクリル樹脂部分が非結晶性樹脂を含有するコア粒子の表面に凝集しやすく、コア粒子の表面全体を被覆しやすくなるからである。
本発明において「結晶性ポリエステル樹脂がスチレン−アクリル樹脂により変性された」とは、結晶性ポリエステル樹脂のセグメントとスチレン−アクリル樹脂のセグメントが化学結合していることをいう。結晶性ポリエステル樹脂のセグメントとは、ハイブリッド結晶性樹脂のうち、結晶性ポエリステル樹脂に由来する樹脂部分、すなわち結晶性ポリエステル樹脂と化学構造が同じ分子鎖をいう。スチレン−アクリル樹脂のセグメントとは、ハイブリッド結晶性樹脂のうち、スチレン−アクリル樹脂に由来する樹脂部分、すなわちスチレン−アクリル樹脂と化学構造が同じ分子鎖をいう。
上記スチレン−アクリル樹脂は、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体の重合体である。
上記スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン、これらの誘導体等が挙げられる。これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記(メタ)アクリル酸系単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、6−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記スチレン系単量体および(メタ)アクリル酸系単量体に加えて、他の単量体を使用することもできる。使用できる他の単量体としては、例えばマレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等が挙げられる。
上記スチレン−アクリル樹脂は、上述した単量体の重合に過酸化物、過硫化物、アゾ化合物などの通常用いられる任意の重合開始剤を添加し、塊状重合、溶液重合、乳化重合法、ミニエマルション法、懸濁重合法、分散重合法などの公知の重合手法により重合することにより得ることができる。重合時、分子量を調整することを目的として、アルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステルなどの通常用いられる連鎖移動剤を用いることができる。
上記ハイブリッド結晶性樹脂中のスチレン−アクリル樹脂のセグメントの含有量は、10質量%以下であることが低温定着性の観点から好ましい。
上記ハイブリッド結晶性樹脂は、それぞれ個別に用意した結晶性ポリエステル樹脂とスチレン−アクリル樹脂とを反応させて化学結合させることにより得ることができる。結合を容易にする観点からは、結晶性ポリエステル樹脂かスチレン−アクリル樹脂に、結晶性ポリエステル樹脂とスチレン−アクリル樹脂の両方と反応可能な置換基を組み込むことが好ましい。例えば、スチレン−アクリル樹脂の生成時、原料であるスチレン系単量体および(メタ)アクリル酸系単量体とともに、結晶性ポリエステル樹脂が有するカルボキシ基[COOH]またはヒドロキシ基[OH]と反応可能な置換基と、スチレン−アクリル樹脂と反応可能な置換基とを有する化合物を添加する。これにより、結晶性ポリエステル樹脂中のカルボキシ基またはヒドロキシ基と反応可能な置換基を有するスチレン−アクリル樹脂を得ることができる。
また、上記ハイブリッド結晶性樹脂は、あらかじめ用意した結晶性ポリエステル樹脂の存在下でスチレン−アクリル樹脂を生成する重合反応を行うか、あらかじめ用意したスチレン−アクリル樹脂の存在下で結晶性ポリエステル樹脂を生成する重合反応を行うことによっても得ることができる。いずれの場合も重合反応時に、上述したような非結晶性ポリエステル樹脂およびスチレン−アクリル樹脂の両方と反応可能な置換基を有する化合物を添加すればよい。
上記ハイブリッド結晶性樹脂の数平均分子量(Mn)は2000〜10000の範囲内にあることが、定着性の観点からより好ましい。
本実施形態に係る結晶性樹脂の融点は、十分な低温定着性と耐熱保管性を得る観点から、50〜90℃の範囲内にあることが好ましく、60〜80℃の範囲内にあることが好ましい。
上記結晶性樹脂の融点は、DSCにより測定することができる。具体的には、結晶性樹脂の試料をアルミニウム製パンKITNO.B0143013に封入し、熱分析装置Diamond DSC(パーキンエルマー社製)のサンプルホルダーにセットして、加熱、冷却、加熱の順に温度を変動させる。1回目と2回目の加熱時には、10℃/分の昇温速度で室温(25℃)から150℃まで昇温して150℃を5分間保持し、冷却時には、10℃/分の降温速度で150℃から0℃まで降温して0℃の温度を5分間保持する。2回目の加熱時に得られる吸熱曲線における吸熱ピークのピークトップの温度を融点として測定する。
上記結着樹脂中の結晶性ポリエステル樹脂の含有量は5〜50質量%であることが好ましい。結着樹脂中の結晶性ポリエステル樹脂の含有量が5質量%未満であると、低温定着の効果が小さくなることがあり、50質量%を超えると耐熱保管性が悪化することがある。また、トナー母体粒子中の結晶性樹脂の含有量は、十分な低温定着性および耐熱保管性を得る観点から、1〜20質量%の範囲内にあることが好ましく、5〜15質量%の範囲内にあることがより好ましい。後述する非結晶性ビニル樹脂により、含有量がこの範囲内にある結晶性樹脂をトナー粒子中で均一に分散させ、結晶化を十分に抑えることができる。
本実施形態に係る結晶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000〜50000の範囲内にあり、数平均分子量は2000〜10000の範囲内にあることが、低温定着性および光沢度安定性の観点から好ましい。
上記重量平均分子量および数平均分子量は、以下のようにゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した分子量分布から求めることができる。
試料を濃度1mg/mLとなるようにテトラヒドロフラン中に添加し、室温において超音波分散機を用いて5分間分散処理した後、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して、試料液を調製する。GPC装置HLC−8120GPC(東ソー株式会社製)およびカラムTSKguardcolum+TSKgelSuperHZ−33連(東ソー株式会社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフランを流速0.2mL/分で流す。キャリア溶媒とともに、調製した試料液10μLをGPC装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて試料を検出し、単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて、試料の分子量分布を算出する。検量線測定用のポリスチレンとしては10点用いる。
(非結晶性樹脂)
非結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定により得られる吸熱曲線において、ガラス転移点Tgを有するが、融点すなわち昇温時の前述の明確な吸熱ピークがない非結晶性を示す樹脂をいう。
上記非結晶性樹脂は、上記結晶性樹脂とともに結着樹脂として用いられ、上記トナー母体粒子を構成する。上記非結晶性樹脂は、一種でもそれ以上でもよい。上記非結晶性樹脂はビニル系樹脂であってよく、あるいは、ウレタン系樹脂、ウレア系樹脂、非結晶性ポリエステル樹脂、および、その一部が変性された変性ポリエステル樹脂であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。上記非結晶性樹脂も、例えば公知の合成法によって入手可能である。上記非結晶性樹脂は、ビニル系樹脂であることが、低温安定性および高温保管性を高める観点から好ましい。
(非結晶性ビニル樹脂)
上記非結晶性ビニル樹脂としては、ビニル化合物を重合した非結晶性ビニル樹脂であれば特に制限されないが、例えば、アクリル酸エステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、熱定着時の可塑性を考慮すると、スチレン−アクリル酸エステル樹脂(スチレン−アクリル樹脂)が好ましい。
上記非結晶性ビニル樹脂の重量平均分子量は、20000〜150000の範囲内にあり、数平均分子量は、5000〜20000の範囲内にあることが、定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から好ましい。重量平均分子量および数平均分子量は、上記結晶性樹脂の場合と同様に測定することができる。
上記非結晶性ビニル樹脂のガラス転移点は、定着性と耐熱保管性の両立の観点から、20〜70℃の範囲内にあることが好ましい。ガラス転移点は、ASTM(米国材料試験協会規格)D3418−82に規定された方法(DSC法)にしたがって測定することができる。測定には、DSC−7示差走査カロリメーター(パーキンエルマー社製)、TAC7/DX熱分析装置コントローラー(パーキンエルマー社製)などを用いることができる。
上記非結晶性ビニル樹脂は、単量体のみの重合体であってもよいし、当該単量体と他の単量体との共重合体であってもよい。他の単量体としては、スチレン、スチレンの誘導体などのスチレン系単量体などを使用できる。
(非結晶性ポリエステル樹脂)
上記非結晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られるポリエステル樹脂のうち、非結晶性を示すポリエステル樹脂である。コア・シェル構造のトナーを形成する場合、シェル層の材料として非結晶性ポリエステル樹脂を使用することもできる。
上記多価カルボン酸および多価アルコールとしては、上述した結晶性ポリエステル樹脂と同様の材料を使用することができる。
多価カルボン酸と多価アルコールの比率は、多価アルコールのヒドロキシ基と多価カルボン酸のカルボキシ基との当量比[OH]/[COOH]が、1.5/1〜1/1.5の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは1.2/1〜1/1.2の範囲内である。
上記非結晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量は、2000〜10000の範囲内にあることが好ましい。数平均分子量は、上記非結晶性ビニル樹脂の場合と同様にして測定することができる。
上記非結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点は、20〜70℃の範囲内にあることが好ましい。ガラス転移点は、上記非結晶性ビニル樹脂の場合と同様にして測定することができる。
上記非結晶性ポリエステル樹脂は、上述の結晶性ポリエステル樹脂と同様、スチレン−アクリル樹脂により変性されたハイブリッド非結晶性ポリエステル樹脂と同様(以下、単に「ハイブリッド非結晶性樹脂」ともいう)であることができる。
上記非結晶性ポリエステル樹脂は、スチレン−アクリル樹脂部分が非結晶性ビニル樹脂との相溶性が高く、トナー母体粒子中に非結晶性ポリエステル樹脂を均一に分散させることができる。トナー母体粒子がコア・シェル構造を有し、シェル層が非結晶性ポリエステル樹脂を含有する場合は、非結晶性ビニル樹脂を含有するコア粒子の表面に凝集しやすく、表面全体を被覆しやすくなる。
本発明において「非結晶性ポリエステル樹脂がスチレン−アクリル樹脂により変性された」とは、非結晶性ポリエステル樹脂のセグメントとスチレン−アクリル樹脂のセグメントが化学結合していることをいう。非結晶性ポリエステル樹脂のセグメントとは、ハイブリッド樹脂のうち、非結晶性ポエリステル樹脂に由来する樹脂部分、すなわち非結晶性ポリエステル樹脂と化学構造が同じ分子鎖をいう。スチレン−アクリル樹脂のセグメントとは、ハイブリッド樹脂のうち、スチレン−アクリル樹脂に由来する樹脂部分、すなわちスチレン−アクリル樹脂と化学構造が同じ分子鎖をいう。上記スチレン−アクリル樹脂は、上述のハイブリッド結晶性樹脂と同様の材料を用いて同様に製造することができる。
上記ハイブリッド非結晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量は2000〜10000の範囲内にあることが、定着性の観点からより好ましい。
トナー母体粒子中の非結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、定着性と帯電の環境安定性の観点から、1〜50質量%の範囲内にあることが好ましい。
[着色剤]
上記着色剤には、カラートナーの着色剤に用いられる公知の無機または有機着色剤が用いられる。当該着色剤の例には、カーボンブラック、磁性体、顔料および染料が含まれる。上記着色剤は一種でもそれ以上でもよい。
上記カーボンブラックの例には、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラックおよびランプブラックが含まれる。上記磁性体の例には、鉄やニッケル、コバルトなどの強磁性金属、これらの金属を含む合金、および、フェライトやマグネタイトなどの強磁性金属の化合物、が含まれる。
上記顔料の例には、C.I.ピグメントレッド2、同3、同5、同7、同15、同16、同48:1、同48:3、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同123、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同208、同209、同222、同238、同269、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー3、同9、同14、同17、同35、同36、同65、同74、同83、同93、同94、同98、同110、同111、同138、同139、同153、同155、同180、同181、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同15:4、同60、および、中心金属が亜鉛やチタン、マグネシウムなどであるフタロシアニン顔料、が含まれる。
上記染料の例には、C.I.ソルベントレッド1、同3、同14、同17、同18、同22、同23、同49、同51、同52、同58、同63、同87、同111、同122、同127、同128、同131、同145、同146、同149、同150、同151、同152、同153、同154、同155、同156、同157、同158、同176、同179、ピラゾロトリアゾールアゾ染料、ピラゾロトリアゾールアゾメチン染料、ピラゾロンアゾ染料、ピラゾロンアゾメチン染料、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93および同95が含まれる。
[離型剤]
上記離型剤(ワックス)の例には、炭化水素系ワックスおよびエステルワックスが含まれる。当該炭化水素系ワックスの例には、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックスおよびパラフィンワックスが含まれる。また、上記エステルワックスの例には、カルナウバワックス、ペンタエリスリトールベヘン酸エステル、ベヘン酸ベヘニルおよびクエン酸ベヘニルが含まれる。上記離型剤は1種でもそれ以上でもよい。
[帯電制御剤]
上記帯電制御剤の例には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、および、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体が含まれる。上記帯電制御剤は1種でもそれ以上でもよい。
[界面活性剤]
上記界面活性剤の例には、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系などのアニオン系界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型などのカチオン系界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系などの非イオン系界面活性剤が含まれる。上記界面活性剤は、一種でもそれ以上でもよい。
上記アニオン系界面活性剤の具体例には、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムが含まれる。上記カチオン系界面活性剤の具体例には、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドが含まれる。非イオン系界面活性剤の例には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルが含まれる。
[トナー粒子の構造]
本実施形態のトナー粒子の構造は、上述したトナー粒子のみの単層構造であってもよいし、上述したトナー粒子をコア粒子として当該コア粒子とその表面を被覆するシェル層とを備えるコア・シェル構造のような多層構造であってもよい。シェル層は、コア粒子の全表面を被覆していなくてもよく、部分的にコア粒子が露出していてもよい。コア・シェル構造の断面は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型プローブ顕微鏡(SPM)などの公知の観察手段によって、確認することができる。
コア・シェル構造の場合は、コア粒子とシェル層でガラス転移点、融点、硬度などの特性を異ならせることができ、目的に応じたトナー粒子の設計が可能である。例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤などを含有し、ガラス転移点が比較的低いコア粒子の表面に、ガラス転移点が比較的高い樹脂を凝集、融着させて、シェル層を形成することができる。シェル層としては、上述したように非結晶性ポリエステル樹脂を使用することができ、なかでもスチレン−アクリル樹脂により変性された非結晶性ポリエステル樹脂を好ましく使用することができる。
[融点]
本実施形態に係るトナー粒子は、融点が60〜90℃の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは65〜80℃の範囲内である。融点が上記範囲内にあれば、十分な低温定着性および耐熱保管性を両立させることができる。また、トナーの良好な耐熱性(熱的強度)も維持することができ、十分な耐熱保管性を得ることができる。融点は、上記結晶性ポリエステル樹脂と同様にして測定することができる。
[トナー粒子の粒径]
本実施形態に係るトナー粒子の体積基準のメジアン径は3〜8μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは5〜8μmの範囲内である。体積基準のメジアン径が上記範囲内にあれば、1200dpiレベルの高解像度のドットを正確に再現することができる。なお、体積基準のメジアン径は、製造時において使用する凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、結着樹脂の組成等によって制御することができる。
体積基準のメジアン径は、マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフトSoftware V3.51を搭載したコンピューターシステムを接続した測定装置を用いて測定することができる。具体的には、試料(トナー)0.02gを、20mLの界面活性剤溶液(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加してなじませた後、1分間の超音波分散処理を行い、トナーの分散液を調製する。このトナーの分散液を、サンプルスタンド内のISOTON II(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。この濃度にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。
そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャー径を100μmにし、測定範囲である2〜60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径を体積基準のメジアン径として求める。
[トナー粒子の平均円形度]
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子の平均円形度が、0.930〜1.000の範囲内であることが好ましく、0.950〜0.995の範囲内であることがより好ましい。平均円形度が上記範囲内にあれば、トナー粒子の破砕を抑えることができ、摩擦帯電付与部材の汚染を抑制してトナーの帯電性を安定させることができる。また、トナーにより形成される画像が高画質となる。
上記平均円形度は、次のようにして測定することができる。メジアン径を測定する場合と同様にして、トナーの分散液を調製する。FPIA−2100、FPIA−3000(いずれもシスメックス株式会社製)等によって、HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の適正濃度範囲でトナーの分散液の撮影を行い、個々のトナー粒子の円形度を下記式(y)によって算出する。各トナー粒子の円形度を加算し、円形度の和を各トナー粒子の数で除することにより、平均円形度を算出する。HPF検出数が上記適正濃度範囲であれば、十分な再現性が得られる。下記式(y)中、L1は、粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長(μm)を表し、L2は、粒子投影像の周囲長(μm)を表す。
式(y)円形度=L1/L2
[外添剤]
本実施形態に係るトナー粒子は、例えば、上記トナー母体粒子と、その表面に存在する外添剤とを有してもよい。トナー粒子が外添剤を含有することは、トナー粒子の流動性や帯電性などを制御する観点から好ましい。当該外添剤は、一種でもそれ以上でもよい。当該外添剤の例には、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、酸化亜鉛粒子、酸化クロム粒子、酸化セリウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化タングステン粒子、酸化スズ粒子、酸化テルル粒子、酸化マンガン粒子および酸化ホウ素粒子が含まれる。
上記外添剤は、ゾル−ゲル法で作製されたシリカ粒子を含むことがより好ましい。ゾル−ゲル法で作製されたシリカ粒子は、粒子径分布が狭いという特徴を有しているので、トナー母体粒子に対する外添剤の付着強度のバラツキを抑制する観点から好ましい。
また、上記シリカ粒子の個数平均一次粒子径は、70〜200nmであることが好ましい。個数平均一次粒子径が上記範囲内にあるシリカ粒子は、他の外添剤に比べて大きい。したがって、二成分現像剤においてスペーサーとしての役割を有する。よって、二成分現像剤が現像装置中で撹拌されているときに、より小さな他の外添剤がトナー母体粒子に埋め込まれることを防止する観点から好ましい。また、トナー母体粒子同士の融着を防止する観点からも好ましい。
上記外添剤の個数平均一次粒子径は、例えば、透過型電子顕微鏡で撮影した画像の画像処理によって求めることが可能であり、例えば、分級や分級品の混合などによって調整することが可能である。
上記外添剤は、その表面が疎水化処理されていることが好ましい。当該疎水化処理には、公知の表面処理剤が用いられる。当該表面処理剤は、一種でもそれ以上でもよく、その例には、シランカップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、脂肪酸、脂肪酸金属塩、そのエステル化物およびロジン酸が含まれる。
上記シランカップリング剤の例には、ジメチルジメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、メチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシランおよびデシルトリメトキシシランが含まれる。上記シリコーンオイルの例には、環状化合物や、直鎖状あるいは分岐状のオルガノシロキサンなどが含まれ、より具体的には、オルガノシロキサンオリゴマー、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、および、テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、が含まれる。
また、上記シリコーンオイルの例には、側鎖または片末端や両末端、側鎖片末端、側鎖両末端などに変性基を導入した反応性の高い、少なくとも末端を変性したシリコーンオイルが含まれる。上記変性基の種類は、一種でもそれ以上でもよく、その例には、アルコキシ、カルボキシル、カルビノール、高級脂肪酸変性、フェノール、エポキシ、メタクリルおよびアミノが含まれる。
上記外添剤の添加量は、トナー粒子全体に対して0.1〜10.0質量%が好ましい。より好ましくは1.0〜3.0質量%である。
[現像剤]
上記トナーは、一成分現像剤であれば上記トナー粒子そのものにより構成され、二成分現像剤であれば上記トナー粒子およびキャリア粒子により構成される。当該二成分現像剤におけるトナー粒子の含有量(トナー濃度)は、通常の二成分現像剤と同様でよく、例えば4.0〜8.0質量%である。
上記キャリア粒子は、磁性体により構成される。当該キャリア粒子の例には、当該磁性体からなる芯材粒子と、その表面を被覆する被覆材の層とを有する被覆型キャリア粒子、および、樹脂中に磁性体の微粉末が分散されてなる樹脂分散型のキャリア粒子、が含まれる。上記キャリア粒子は、感光体へのキャリア粒子の付着を抑制する観点から、上記被覆型キャリア粒子であることが好ましい。
上記芯材粒子は、磁性体、例えば、磁場によってその方向に強く磁化する物質、によって構成される。当該磁性体は、一種でもそれ以上でもよく、その例には、鉄、ニッケルおよびコバルトなどの強磁性を示す金属、これらの金属を含む合金もしくは化合物、および、熱処理することにより強磁性を示す合金、が含まれる。
上記強磁性を示す金属またはそれを含む化合物の例には、鉄、下記式(a)で表されるフェライト、および、下記式(b)で表されるマグネタイト、が含まれる。式(a)、式(b)中のMは、Mn、Fe、Ni、Co、Cu、Mg、Zn、CdおよびLiの群から選ばれる一以上の1価または2価の金属を表す。
式(a):MO・Fe
式(b):MFe
また、上記熱処理することにより強磁性を示す合金または金属酸化物の例には、マンガン−銅−アルミニウムおよびマンガン−銅−錫などのホイスラー合金、および、二酸化クロム、が含まれる。
上記芯材粒子は、上記フェライトであることが好ましい。これは、被覆型キャリア粒子の比重は、芯材粒子を構成する金属の比重よりも小さくなることから、現像装置内における撹拌の衝撃力をより小さくすることができるためである。
上記被覆材は、一種でもそれ以上でもよい。被覆材には、キャリア粒子の芯材粒子の被覆に利用される公知の樹脂を用いることができる。当該被覆材は、シクロアルキル基を有する樹脂であることが、キャリア粒子の水分吸着性を低減させる観点、および、被覆層の芯材粒子との密着性を高める観点、から好ましい。当該シクロアルキル基の例には、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基およびシクロデシル基が含まれる。中でも、シクロヘキシル基またはシクロペンチル基が好ましく、被覆層とフェライト粒子との密着性の観点からシクロへキシル基がより好ましい。
上記シクロアルキル基を有する樹脂の重量平均分子量は、例えば10,000〜800,000であり、より好ましくは100,000〜750,000である。当該樹脂における上記シクロアルキル基の含有量は、例えば10〜90質量%である。上記樹脂中の当該シクロアルキル基の含有量は、例えば、P−GC/MSやH−NMRなどの公知の機器分析法を利用して求めることが可能である。
上記二成分現像剤は、上記トナー粒子と上記キャリア粒子とを適量混合することによって製造することができる。当該混合に用いられる混合装置の例には、ナウターミキサー、WコーンおよびV型混合機が含まれる。
上記トナー粒子の大きさおよび形状は、本実施形態の効果が得られる範囲において適宜に決めることが可能である。たとえば、上記トナー粒子の体積平均粒径は、3.0〜8.0μmであり、上記トナー粒子の平均円形度は、0.920〜1.000である。
また、上記キャリア粒子の大きさおよび形状も、本実施形態の効果が得られる範囲において適宜に決めることが可能である。たとえば、上記キャリア粒子の体積平均粒径は、15〜100μmである。当該キャリア粒子の体積平均粒径は、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置「HELOS KA」(日本レーザー株式会社製)を用いて湿式にて測定することができる。また、上記キャリア粒子の体積平均粒径は、例えば、芯材粒子の製造条件による芯材粒子の粒径を制御する方法や、キャリア粒子の分級、キャリア粒子の分級品の混合などによって調整することが可能である。
以上の説明したとおり、本実施形態のトナーの製造方法は、結晶性樹脂を含む結着樹脂の微粒子を金属イオンの存在下で凝集、融着させて生成したトナー母体粒子と水系媒体とを含む分散液を、前記結晶性樹脂の融点以上の温度に加熱する第1の工程と、前記分散液のpHを5.5以上、9.0以下に維持した状態で、下記式を満たす前記分散液の温度T(℃)を30分間以上維持する第2の工程と、を含む。下記式中、Rcは前記結晶性樹脂の再結晶化温度(℃)である。
Rc−25≦T≦Rc−5
上記トナーの製造方法の特徴の1つは、低温定着性に優れ、かつ、得られる画像の濃度ムラが少ないトナーが得られることであり、その理由は、定かではないが、以下のように考えられる。
上述のとおり、本発明では、結着樹脂微粒子を凝集剤である金属イオンの存在下で凝集させる乳化凝集法によりトナー母体粒子を製造する。当該トナー母体粒子を含む分散液が特定の熱処理スキームで熱処理されるため、結晶性樹脂のドメインはトナー母体粒子中の表面近傍に存在せず、トナー母体粒子内に微分散されると考えられる。また、上記熱処理中、上記分散液のpHが5.5以上に維持されるため、結着樹脂中の酸基が電離しない。そのため、結着樹脂微粒子同士を凝集させている上記金属イオンによる架橋量が低減せず、その結果、結晶性樹脂のドメイン径の増大や、トナー母体粒子表面近傍への結晶性樹脂のブリードが抑制されると考えられる。また上記熱処理中、上記分散液のpHが9.0以下に維持されるため、上記金属イオンによる架橋量が過度に増大せず結着樹脂微粒子同士が過剰に強固に凝集しないため、低温定着性の悪化が抑制されるものと考えられる。
このように、本発明の製造方法で製造されるトナーでは、結晶性樹脂のドメイン径が増大せず、かつ、結晶性樹脂のドメインがトナー母体粒子内に微分散された状態が維持される。そのため、トナーの表面抵抗、帯電特性などの悪化が抑制され、トナーの低温定着性能と画像濃度ムラの抑制とが図られるものと考えられる。
上記Tが式:Rc−25≦T≦Rc−10を満たすことは、トナーの低温定着性の向上および画像濃度ムラを抑制する観点からより一層効果的である。
上記第1の工程で加熱されたRcよりも高温の分散液をRc−25℃未満の温度まで冷却する工程を更に含むことは、画像濃度ムラを抑制する観点からより一層効果的である。
上記第1の工程で加熱されたRcよりも高温の分散液を1℃/分以上の降温速度でRc未満の温度まで冷却する工程を更に含むことは、低温定着性を向上させる観点からより一層効果的である。
前記結晶性樹脂は結晶性ポリエステル樹脂であることが、低温定着性の向上の観点からより一層効果的である。
上記トナーは、通常の電子写真方式の画像形成方法に適用され、静電潜像の現像に供される。
以下、本発明を実施例および比較例を用いてさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されない。
[結晶性ポリエステル樹脂の合成およびその分散液の調製]
(結晶性ポリエステル樹脂1の合成)
両反応性モノマーを含む、下記の付加重合系樹脂(スチレン−アクリル樹脂:StAc)セグメントの原料モノマーおよびラジカル重合開始剤を滴下ロートに入れた。
スチレン 36.0質量部
n−ブチルアクリレート 13.0質量部
アクリル酸 2.0質量部
重合開始剤(ジ−t−ブチルパーオキサイド) 7.0質量部
また、下記の重縮合系樹脂(結晶性ポリエステル樹脂:CPEs)セグメントの原料モノマーを、窒素導入管、脱水管、攪拌器および熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し溶解させた。
テトラデカン二酸 440質量部
1,4−ブタンジオール 153質量部
次いで、攪拌下で付加重合系樹脂(StAc)の原料モノマーを90分かけて滴下し、60分間熟成を行ったのち、減圧下(8kPa)にて未反応の付加重合モノマーを除去した。なお、このとき除去されたモノマー量は、上記の樹脂の原料モノマー比に対してごく微量であった。その後、エステル化触媒としてTi(OBu)を0.8質量部投入し、235℃まで昇温、常圧下(101.3kPa)にて5時間、更に減圧下(8kPa)にて1時間反応を行った。
次いで、200℃まで冷却した後、減圧下(20kPa)にて1時間反応させることにより、結晶性ポリエステル樹脂1を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂1は、重量平均分子量が24500、融点が75.5℃、再結晶化温度Rcが70.6℃であった。
(結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1の調製)
結晶性ポリエステル樹脂100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学株式会社製)に溶解し、あらかじめ調製しておいた0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合した。混合液を撹拌しながら、超音波ホモジナイザーUS−150T(株式会社日本精機製作所製)によりV−LEVEL 300μAで30分間の超音波分散処理を行った。その後、40℃に加温した状態で、ダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1を調製した。分散液中の結晶性ポリエステル樹脂粒子は、体積基準のメジアン径が160nmであった。
(結晶性ポリエステル樹脂2の合成)
撹拌機、温度計、冷却管および窒素ガス導入管を備えた反応容器に、テトラデカン二酸315質量部、1,4−ブタンジオール252質量部を入れた。この反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、チタンテトラブトキサイド0.1質量部を添加し、窒素ガス気流下において180℃で撹拌しながら8時間重合反応を行った。さらに、チタンテトラブトキサイド0.2質量部を添加し、温度を220℃に上げて撹拌しながら6時間重合反応を行った。その後、反応容器内を10mmHg(13.3hPa)まで減圧し、減圧下で反応を行うことにより、結晶性ポリエステル樹脂2を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂2は、重量平均分子量が22000、融点が75.0℃、再結晶化温度Rcが70.8℃であった。
(結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液2の調製)
結晶性ポリエステル樹脂2 100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学株式会社製)に溶解し、あらかじめ調製しておいた0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合した。混合液を撹拌しながら、超音波ホモジナイザーUS−150T(株式会社日本精機製作所製)によりV−LEVEL 300μAで30分間の超音波分散処理を行った。その後、40℃に加温した状態で、ダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液2を調製した。当該分散液中の結晶性ポリエステル樹脂粒子は、体積基準のメジアン径が160nmであった。
(結晶性ポリエステル樹脂3の合成)
撹拌装置、窒素導入管、温度センサーおよび精留塔を備えた反応容器に、ドデカン二酸200質量部、1,6−ヘキサンジオール102質量部を仕込み、反応系の温度を1時間かけて190℃に上昇させ、反応系内が均一に撹拌されていることを確認した後、触媒としてTi(OBu)を0.3質量部投入し、更に、生成される水を留去しながら反応系の温度を190℃から6時間かけて240℃に上昇させ、更に、240℃に維持した状態で6時間脱水縮合反応を継続して重合反応を行うことにより、結晶性ポリエステル樹脂3を得た。
得られた結晶性ポリエステル樹脂3は、重量平均分子量が14500、融点が70℃、再結晶化温度Rcが65.8℃であった。
(結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液3の調製)
結晶性ポリエステル樹脂3 100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学株式会社製)に溶解し、あらかじめ調製しておいた0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合した。混合液を撹拌しながら、超音波ホモジナイザーUS−150T(株式会社日本精機製作所製)によりV−LEVEL 300μAで30分間の超音波分散処理を行った。その後、40℃に加温した状態で、ダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液3を調製した。当該分散液中の結晶性ポリエステル樹脂粒子は、体積基準のメジアン径が160nmであった。
(着色剤粒子分散液の調製)
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に添加した溶液を撹拌しながら、銅フタロシアニン(C.I.ピグメントブルー15:3)420質量部を徐々に添加した。撹拌装置クレアミックス(エム・テクニック株式会社製、「クレアミックス」は同社の登録商標)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子分散液を調製した。分散液中の着色剤粒子は、体積基準のメジアン径が110nmであった。
[コア用非結晶性ビニル樹脂粒子分散液の調製]
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部およびイオン交換水3000質量部を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加し、再度液温を80℃として、下記単量体の混合液を1時間かけて滴下した。
スチレン 480.0質量部
n−ブチルアクリレート 250.0質量部
メタクリル酸 68.0質量部
上記混合液の滴下後、80℃にて2時間加熱、撹拌することにより単量体の重合を行い、コア用非結晶性ビニル樹脂粒子分散液を調製した。
(第2段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、98℃に加熱した。加熱後、上記第1段重合により調製した非結晶性ビニル樹脂粒子分散液を固形分換算で80質量部と、下記単量体、連鎖移動剤および離型剤を90℃にて溶解させた混合液と、を添加した。
スチレン(St) 285.0質量部
n−ブチルアクリレート(BA) 95.0質量部
メタクリル酸(MAA) 20.0質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート(連鎖移動剤) 1.5質量部
ベヘン酸ベヘネート(離型剤、融点73℃) 190.0質量部
循環経路を有する機械式分散機CLEARMIX(エム・テクニック株式会社製)により、1時間の混合分散処理を行い、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。この分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤の溶液を添加し、この系を84℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行って、非結晶性ビニル樹脂粒子分散液を調製した。
(第3段重合)
上記第2段重合により得られた非結晶性ビニル樹脂粒子分散液にさらにイオン交換水400質量部を添加し、よく混合した後、過硫酸カリウム11質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた溶液を添加した。さらに、82℃の温度条件下で、下記単量体および連鎖移動剤の混合液を1時間かけて滴下した。
スチレン(St) 454.8質量部
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA) 143.2質量部
メタクリル酸(MAA) 52.0質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8.0質量部
滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し、コア用非結晶性ビニル樹脂分散液を調製した。
[シェル層用非結晶性ポリエステル樹脂]
下記スチレン−アクリル樹脂の単量体、非結晶性ポリエステル樹脂とスチレン−アクリル樹脂のいずれとも反応する置換基を有する単量体および重合開始剤の混合液を滴下ロートに入れた。
スチレン 80.0質量部
n−ブチルアクリレート 20.0質量部
アクリル酸 10.0質量部
ジ−t−ブチルパーオキサイド(重合開始剤) 16.0質量部
また、下記非結晶性ポリエステル樹脂の単量体を、窒素導入管、脱水管、撹拌器および熱電対を備えた四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し溶解させた。
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 285.7質量部
テレフタル酸 66.9質量部
フマル酸 47.4質量部
撹拌下で、滴下ロートに入れた混合液を四つ口フラスコへ90分かけて滴下し、60分間熟成を行った後、減圧下(8kPa)にて未反応の単量体を除去した。その後、エステル化触媒としてTi(OBu)を0.4質量部投入し、235℃まで昇温して、常圧下(101.3kPa)にて5時間、さらに減圧下(8kPa)にて1時間、反応を行った。次いで200℃まで冷却し、減圧下(20kPa)にて反応を行った後、脱溶剤を行い、スチレン−アクリル樹脂により変性された非結晶性ポリエステル樹脂を得た。得られた非結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は25000であり、ガラス転移点は60℃であった。重量平均分子量は上述した結晶性ポリエステル樹脂と同様にして測定し、ガラス転移点は非結晶性ビニル樹脂と同様にして測定した。
[シェル層用非結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液の調製]
上記非結晶性ポリエステル樹脂100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学株式会社製)に溶解し、あらかじめ調製しておいた0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合した。混合液を撹拌しながら、超音波ホモジナイザーUS−150T(株式会社日本精機製作所製)によりV−LEVEL 300μAで30分間の超音波分散処理を行った。その後、40℃に加温した状態で、ダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、固形分量が13.5質量%の非結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を調製した。分散液中の非結晶性ポリエステル樹脂粒子は、体積基準のメジアン径が160nmであった。
比較例A:トナー1の製造]
撹拌装置、温度センサーおよび冷却管を取り付けた反応容器に、コア用非結晶性ビニル樹脂粒子分散液285質量部(固形分換算)、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1 40質量部(固形分換算)、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩を樹脂比で1質量%(固形分換算)およびイオン交換水2000質量部を投入した。室温下(25℃)下で、5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。さらに、着色剤粒子分散液30質量部(固形分換算)を投入し、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解させた溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。3分間放置した後、60分間かけて80℃まで昇温し、80℃に到達後、粒子径の成長速度が0.01μm/分となるように撹拌速度を調整して、コールターマルチサイザー3(コールター・ベックマン社製)により測定した体積基準のメジアン径が6.0μmになるまで成長させた。
次いで、シェル用非結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液37質量部(固形分換算)を30分間かけて投入し、反応液の上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解させた水溶液を添加して、粒子径の成長を停止させた。次いで、昇温して80℃の状態で撹拌し、トナー粒子の平均円形度が0.970になるまで粒子の融着を進行させ、下記の冷却/熱処理工程を行った(表1のスキーム1を参照)。
1)分散液の温度を65℃(熱処理工程前温度)まで降下させた。その際、Rcにおける降温速度(冷却速度)が1.0℃/分になるように調整した。2)次いで、5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加して分散液のpHを7に調整した。3)その後、分散液を65℃(熱処理工程開始温度)から61℃(熱処理工程終了温度)まで30分間かけて冷却した(第2の工程)。最後に、得られた分散液を30℃まで冷却した。
次いで、固液分離を行い、脱水したトナーケーキをイオン交換水に再分散し、固液分離する操作を3回繰り返して洗浄した。洗浄後、40℃で24時間乾燥させることにより、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子100質量部に、疎水性シリカ粒子(個数平均一次粒径:12nm、疎水化度:68)0.6質量部、疎水性酸化チタン粒子(個数平均一次粒径:20nm、疎水化度:63)1.0質量部およびゾルゲルシリカ(数平均一次粒子径=110nm、)1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)により回転翼周速35mm/秒、32℃で20分間混合した。混合後、45μmの目開きのふるいを用いて粗大粒子を除去し、トナー1を得た。
比較例B〜D、実施例5〜6:トナー2〜6の製造]
熱処理工程を表1に記載のスキーム2〜6にそれぞれ変更した以外は、比較例Aと同様にトナー2〜6を製造した。
[実施例7:トナー7の製造]
熱処理工程を表1に記載のスキーム6に変更し、かつ、Rcにおける冷却速度を2℃/分とした以外は、比較例Aと同様にトナー7を製造した。
[実施例8:トナー8の製造]
熱処理工程を表1に記載のスキーム6に変更し、かつ、Rcにおける冷却速度を5℃/分とした以外は、比較例Aと同様にトナー8を製造した。
[実施例9:トナー9の製造]
熱処理工程を表1に記載のスキーム6に変更し、Rcにおける冷却速度を0.5℃/分とし、かつ、熱処理工程における分散液のpHを7とした以外は、比較例Aと同様にトナー9を製造した。
[実施例10:トナー10の製造]
熱処理工程を表1に記載のスキーム6に変更し、Rcにおける冷却速度を2℃/分とし、かつ、熱処理工程における分散液のpHを8とした以外は、比較例Aと同様にトナー10を製造した。
[実施例11:トナー11の製造]
熱処理工程を表1に記載のスキーム6に変更し、Rcにおける冷却速度を2℃/分とし、かつ、熱処理工程における分散液のpHを9とした以外は、比較例Aと同様にトナー11を製造した。
[実施例12:トナー12の製造]
熱処理工程を表1に記載のスキーム6に変更し、Rcにおける冷却速度を2℃/分とし、かつ、熱処理工程における分散液のpHを6とした以外は、比較例Aと同様にトナー12を製造した。
[実施例13:トナー13の製造]
熱処理工程を表1に記載のスキーム6に変更し、Rcにおける冷却速度を2℃/分とし、かつ、熱処理工程における分散液のpHを5.5とした以外は、比較例Aと同様にトナー13を製造した。
[実施例14〜16:トナー14〜16の製造]
熱処理工程を表1に記載のスキーム7〜9にそれぞれ変更し、かつ、Rcにおける冷却速度を2℃/分とした以外は、比較例Aと同様にトナー14〜16を製造した。
[実施例17:トナー17の製造]
熱処理工程を表1に記載のスキーム6に変更し、Rcにおける冷却速度を2℃/分とし、かつ、結晶性樹脂1を結晶性樹脂2とした以外は、比較例Aと同様にトナー17を製造した。
[実施例18:トナー18の製造]
熱処理工程を表1に記載のスキーム10に変更し、Rcにおける冷却速度を2℃/分とし、かつ、結晶性樹脂1を結晶性樹脂2とした以外は、比較例Aと同様にトナー18を製造した。
[実施例19:トナー19の製造]
熱処理工程を表1に記載のスキーム11に変更し、Rcにおける冷却速度を2℃/分とし、かつ、結晶性樹脂1を結晶性樹脂3とした以外は、比較例Aと同様にトナー19を製造した。
[実施例20:トナー20の製造]
熱処理工程を表1に記載のスキーム12に変更し、Rcにおける冷却速度を2℃/分とし、かつ、結晶性樹脂1を結晶性樹脂3とした以外は、比較例Aと同様にトナー20を製造した。
[比較例1:トナー21の製造]
熱処理工程を表1に記載のスキーム6に変更し、Rcにおける冷却速度を2℃/分とし、かつ、熱処理工程における分散液のpHを10.0とした以外は、比較例Aと同様にトナー21を製造した。
[比較例2:トナー22の製造]
熱処理工程における分散液のpHを4.0とした以外は、比較例1と同様にトナー22を製造した。
[比較例3:トナー23の製造]
熱処理工程を表1に記載のスキーム13に変更し、かつ、Rcにおける冷却速度を2℃/分とした以外は、比較例Aと同様にトナー23を製造した。
[比較例4:トナー24の製造]
熱処理工程を表1に記載のスキーム14に変更した以外は、比較例3と同様にトナー24を製造した。
[比較例5:トナー25の製造]
トナー1の製造方法において、熱処理工程を行わずに冷却した後、固液分離し、脱水したトナーケーキをイオン交換水に再分散し、固液分離する操作を3回繰り返して洗浄後、40℃で24時間乾燥させることにより、得られたトナー粒子を、60℃、50%RH環境下で60分間放置した。得られたトナー粒子100質量部に、疎水性シリカ粒子(個数平均一次粒径:12nm、疎水化度:68)0.6質量部、疎水性酸化チタン粒子(個数平均一次粒径:20nm、疎水化度:63)1.0質量部およびゾルゲルシリカ(数平均一次粒子径=110nm、)1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)により回転翼周速35mm/秒、32℃で20分間混合した。混合後、45μmの目開きのふるいを用いて粗大粒子を除去し、トナー25を得た。
[比較例6:トナー26の製造]
スチレン(St) 50.0質量部
n−ブチルアクリレート(BA) 16.7質量部
メタクリル酸(MAA) 3.5質量部
ベヘン酸ベヘネート(離型剤、融点73℃) 7.0質量部
結晶性ポリステル樹脂1 8.0部
上記の処方を混合し、それに15mmのセラミックビーズを入れ、アトライター(日本コークス工業株式会社製)を用いて2時間分散して、重合性単量体組成物を得た。高速撹拌装置TK−ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を備えた容器に、イオン交換水800部とリン酸三カルシウム15.5部を添加し、回転数を15000回転/分に調整し、70℃に加温して水系分散媒体とした。上記重合性単量体組成物に重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート4.0部を添加し、これを上記水系分散媒体に投入した。上記高速撹拌装置にて15000回転/分を維持しつつ、3分間分散させて造粒を行った。その後、高速撹拌装置からプロペラ撹拌羽根に撹拌機を代え、150回転/分で攪拌しながら70℃を保持して8.0時間重合を行い、80℃に昇温して4時間加熱した後、トナー7と同様のスキームで熱処理を行った。
次いで、固液分離し、脱水したトナーケーキをイオン交換水に再分散し、固液分離する操作を3回繰り返して洗浄した。洗浄後、40℃で24時間乾燥させることにより、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子100質量部に、疎水性シリカ粒子(個数平均一次粒径:12nm、疎水化度:68)0.6質量部、疎水性酸化チタン粒子(個数平均一次粒径:20nm、疎水化度:63)1.0質量部およびゾルゲルシリカ(数平均一次粒子径=110nm、)1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)により回転翼周速35mm/秒、32℃で20分間混合した。混合後、45μmの目開きのふるいを用いて粗大粒子を除去し、トナー26を得た。
Figure 0006699238
[トナーの評価]
(低温定着性(アンダーオフセット)の評価〉
アンダーオフセットとは、定着装置を通過する際に与えられた熱によるトナー層の溶融が不十分であるために記録紙などの転写材から剥離してしまう画像欠陥をいう。低温定着性の評価は、画像形成装置に上記で作製した各トナーを順次装填し、常温・常湿(20℃・50%RH)環境下で、画像形成装置でA4サイズのmondi Color Copy 90g/m(mondi社製)に未定着ベタ画像(付着量11.3g/m)を形成した。次に、定着装置の加圧ローラーの表面温度を100℃に設定し、加熱ローラーの表面温度を2℃刻みで130〜170℃の範囲で変更して、定着をした。このとき、アンダーオフセットが発生しない定着上ベルトの定着下限温度を計測した。
下記評価基準によって、低温定着性の評価を行い、定着下限温度150℃未満を合格とした。結果を表2、表3に示す。
(画像濃度ムラ)
常温常湿(20℃、55%RH)の環境下において、A4サイズの上質紙(64g/m)上に、原稿画像濃度1.30の全面ベタ画像を100枚形成した。その後、画像の四隅と中央部の合計5ヶ所に原稿反射濃度1.30のベタ画像を設定した原稿を複写し、白紙に対する出力画像の相対反射濃度を5ヶ所について測定した。上記の方法にて求めた5ヶ所の画像反射濃度の最大値と最小値の差分ΔGを画像濃度ムラとした。画像濃度ムラ0.10未満を合格とした。結果を表2、表3に示す。
表2、表3中、「NPC」は、乳化重合凝集法(乳化凝集法)を表し、「SP」は、懸濁重合法を表し、「Tm」は結晶性樹脂の融点を表し、分散液における「温度」は、第1の工程における分散液の温度を表し、「冷却速度」は、Rc通過時の冷却温度を表し、「pH」は、熱処理前温度における分散液のpHを表し、「スキーム」は熱処理のスキームを表す。
Figure 0006699238
Figure 0006699238
表2、表3から、トナー母体粒子を含む分散液のpHを5.5以上、9.0以下に維持した状態で、当該分散液の温度(℃)をRc−25℃以上、Rc−5℃以下に30分間以上維持して製造された比較例A〜D、実施例〜20のトナーは、低温定着性が良好であり、かつ、画像濃度ムラが抑制されていることがわかる。
上記のように低温定着性が向上し、かつ、画像濃度ムラが抑制された理由は定かではないが、金属イオンの存在下で乳化凝集法により製造したトナー母体粒子を含む分散液を特定の温度域で熱処理する際に当該分散液のpHが特定の範囲内に制御されているため、結着樹脂微粒子や着色剤微粒子を凝集させているイオン架橋の量が適切な範囲に制御され、その結果、結晶性樹脂のドメイン径の過度な増大や、結晶性樹脂のトナー表面のブリードアウトが発生しなかったため、と考えられる。
また、比較例A〜C比較例D、実施例5との比較から、熱処理における分散液の温度がRc−25℃以上、Rc−10℃以下であると、低温定着性および画像濃度ムラの抑制がより良好であることがわかる。また、実施例6と実施例7との比較から、Rcにおける分散液の冷却速度を2℃/分以上とすると、低温定着性がより向上し、かつ、画像濃度ムラがより少ないことがわかる。さらに、実施例7と実施例9〜12との比較から、熱処理における分散液のpHが6〜8であると、低温定着性および画像濃度ムラの抑制がより良好であることがわかる。
これに対して、熱処理における分散液のpHが10である比較例1では、画像濃度ムラの抑制は良好であるものの、低温定着性が悪いことがわかる。これは、pHが高すぎるため結着樹脂微粒子間のイオン架橋量が増大したため、と考えられる。また、熱処理時の分散液のpHが4である比較例1では、画像濃度ムラの抑制は良好であるものの、低温定着性が悪いことがわかる。これは、pHが低すぎるため結着樹脂中の酸基が電離してしまい、結着樹脂微粒子間のイオン架橋量が低減したため、と考えられる。
また、第2の工程の熱処理の温度がRc−25℃以上、Rc−5℃以下の範囲外である比較例3、4では、低温定着性および画像濃度ムラの抑制のいずれもが悪いことがわかる。これは、熱処理の温度が当該温度範囲を外れたため結晶性樹脂のドメイン径が増大し、また、結晶性樹脂がトナー表面近傍にブリードアウトしたため、と考えられる。
また、熱処理を行わなかった比較例5では低温定着性および画像濃度ムラの抑制のいずれも悪かった。同様に比較例6では画像濃度ムラが発生した。これは、本発明の熱処理を行ったものの、トナー母体粒子の製造を乳化重合凝集法ではなく懸濁重合法で行っているため、熱処理時に結晶性樹脂のトナー中で存在状態を制御できなかったためと考えられる。
本発明によれば、結晶性樹脂を含有する場合であっても、低温定着性に優れ、かつ、得られる画像の濃度ムラが少ないトナーを提供することができる。また本発明によれば、電子写真方式の画像形成技術におけるさらなる高性能化、高速化および省エネルギー化とともにトナーの汎用性の向上が期待され、当該画像形成技術のさらなる普及が期待される。

Claims (4)

  1. 結晶性樹脂を含む結着樹脂の微粒子を金属イオンの存在下で凝集、融着させて粒子径を成長させて生成したトナー母体粒子と水系媒体とを含む分散液を、前記結晶性樹脂の融点以上の温度に加熱する第1の工程と、
    前記第1の工程で加熱された、前記結晶性樹脂の再結晶化温度Rc(℃)よりも高温の前記分散液をRc−25(℃)未満の温度まで冷却する工程と、
    前記冷却する工程でRc−25(℃)未満の温度まで冷却された、前記分散液のpHは5.5未満であり、塩基性溶液の添加により、前記pHを5.5以上、9.0以下に調整し、かつ、前記pHを5.5以上、9.0以下に維持した状態で、下記式を満たす前記分散液の温度T(℃)を30分間以上維持する第2の工程と、を含む、トナーの製造方法。
    Rc−25≦T≦Rc−5
    (式中、Rcは前記結晶性樹脂の再結晶化温度(℃)である)
  2. 前記Tが下記式を満たす、請求項1に記載のトナーの製造方法。
    Rc−25≦T≦Rc−10
  3. 前記冷却する工程は、前記Rcよりも高温の前記分散液を1℃/分以上の降温速度で前記Rc−25(℃)未満の温度まで冷却する工程である、請求項1または2に記載のトナーの製造方法。
  4. 前記結晶性樹脂に結晶性ポリエステル樹脂を用いる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
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