JP6696513B2 - インク、インクと基材のセット、インクジェット印刷方法、インクジェット印刷装置、及び印刷物 - Google Patents
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Description
そこで、環境負荷が少なく、非浸透性基材に直接記録できる水性インクが提案されている(例えば、特許文献1〜2参照)。
前記インクが、水、有機溶剤、色材、及び樹脂粒子を含有し、
前記有機溶剤として、沸点が170℃以上でありかつ下記数式1で表される比率Fhと、前記基材における前記樹脂の下記数式1で表される比率Fhとの差の絶対値が5%以下である化合物と、炭素数3〜4のジオール化合物及び2−エチルヘキシルアルコールとを含む。
<数式1>
Fh(%)=[δH/(δD+δP+δH)]×100
ただし、前記数式1中、前記δHはハンセンの溶解パラメータの水素結合項を表す。前記δDは、ハンセンの溶解パラメータの分散項を表す。前記δPは、ハンセンの溶解パラメータの極性項を表す。
本発明のインクは、樹脂を有する基材にインクを付与して印刷する印刷方法に用いるインクであって、
前記インクが、水、有機溶剤、色材、及び樹脂粒子を含有し、
前記有機溶剤として、沸点が170℃以上でありかつ下記数式1で表される比率Fhと、前記基材における前記樹脂の下記数式1で表される比率Fhとの差の絶対値が5%以下である化合物と、炭素数3〜4のジオール化合物及び2−エチルヘキシルアルコールとを含み、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
<数式1>
Fh(%)=[δH/(δD+δP+δH)]×100
ただし、前記数式1中、前記δHはハンセンの溶解パラメータの水素結合項を表す。前記δDは、ハンセンの溶解パラメータの分散項を表す。前記δPは、ハンセンの溶解パラメータの極性項を表す。
更に、前記有機溶剤が比較的高沸点であることにより、インクジェット印刷装置のノズル先端近傍での目詰まりを抑制することが可能となり、高い吐出信頼性が得られることも見出した。更に、驚くべきことに前記有機溶剤を所定量添加することにより印刷後に形成される塗膜の堅牢性にも大きく向上することを知見した。
前記有機溶剤として、沸点が170℃以上でありかつ下記数式1で表される比率Fhと、印刷に用いる基材における樹脂の下記数式1で表される比率Fhとの差の絶対値が5%以下である化合物と、炭素数3〜4のジオール化合物及び2−エチルヘキシルアルコールとを含むことが必要である。
<数式1>
Fh(%)=[δH/(δD+δP+δH)]×100
ただし、前記数式1中、前記δHはハンセンの溶解パラメータの水素結合項を表す。前記δDは、ハンセンの溶解パラメータの分散項を表す。前記δPは、ハンセンの溶解パラメータの極性項を表す。
)によって導入された溶解度パラメータを、分散項δD、極性項δP、水素結合項δHの3成分に分割し、三次元空間に表したものである。前記分散項δDは分散力による効果、前記極性項δPは双極子間力による効果、前記水素結合項δHは水素結合力による効果をそれぞれ示す。
Charles M.Hansen著、Hansen Solubility Parameters:A Users Handbook(CRCプレス、2007年)。
B, John著、Solubility parameters: theory and application, The Book and paper group annual Vol.3(1984年)。
溶剤の溶解パラメータ(HSP)[δD、δP、δH]は、例えば、コンピュータソフトウエア Hansen Solubility Parameters in Practice(HSPiP)を用いることによって、その化学構造から簡便に推算できる。本発明においては、HSPiPバージョン3.0.38のデータベースに登録されている溶剤に関してはその値を使用し、データベースに無い溶剤に関しては、HSPiPバージョン3.0.38により推算される値を使用する。
<数式1>
Fd(%)=δD/(δD+δP+δH)×100
Fp(%)=δP/(δD+δP+δH)×100
Fh(%)=δH/(δD+δP+δH)×100
<数式2>
Fd+Fp+Fh=100%
前記有機溶剤の前記数式1で表される比率Fhと、印刷に用いる基材における樹脂の前記数式1で表される比率Fhとの差の絶対値は、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましい。前記Fhの差の絶対値が5%以下であると、より基材との親和性に優れ、インクの定着速度を更に高めることができるという利点がある。
前記有機溶剤として、炭素数3〜4のジオール化合物を含有することにより、耐擦過性、定着性、及び非転写性が向上する。
前記炭素数3〜4のジオール化合物としては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオールなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記炭素数3〜4のジオール化合物の含有量は、有機溶剤の総含有量に対して、5質量%以上40質量%以下が好ましく、10質量%以上27質量%以下がより好ましい。
前記有機溶剤は、2−エチルヘキシルアルコールを含有する。
前記有機溶剤として、2−エチルヘキシルアルコールを含有することにより、樹脂や顔料の相溶性が向上するためインク中に分散された樹脂や顔料が凝集することなく存在することができ、インクの吐出信頼性が向上する。
前記2−エチルヘキシルアルコールの含有量は、有機溶剤の総含有量に対して、1質量%以上が好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましく、3質量%以上5質量%以下が更に好ましい。
前記他の有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネイト、炭酸エチレンなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記沸点が170℃以上250℃未満であると、高い吐出信頼性が得られ、また、形成された画像の乾燥性も良好となる。
前記樹脂粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子、エポキシ樹脂粒子、ポリアミド樹脂粒子、ポリエーテル樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、アクリル−シリコーン樹脂粒子、フッ素系樹脂等の縮合系合成樹脂粒子、ポリオレフィン樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂粒子、ポリビニルアルコール樹脂粒子、ポリビニルエステル樹脂粒子、ポリアクリル酸樹脂粒子、不飽和カルボン酸系樹脂等の付加系合成樹脂粒子、セルロース類、ロジン類、天然ゴム等の天然ポリマーなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記ポリウレタン樹脂粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるポリウレタン樹脂粒子などが挙げられる。
前記ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオールなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、活性水素原子を2個以上有する化合物の少なくとも1種を出発原料として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものなどが挙げられる。
また、前記ポリウレタン樹脂粒子の製造に使用できるポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭酸エステルとポリオールとを反応させて得られるもの、ホスゲンとビスフェノールA等とを反応させて得られるものなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子量のポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応して得られるもの、ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステル、これらの共重合ポリエステルなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記ポリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、これらの無水物又はエステル形成性誘導体などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタ
ンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、本発明のインクは、ポスターや看板などの屋外向けの用途としても用いられるため、非常に高い長期耐候性を持つ塗膜を必要としており、前記長期耐候性の点から、脂肪族又は脂環式ジイソシアネートが好ましい。
前記脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが挙げられる。
前記脂環式ジイソシアネートの含有量としては、イソシアネート化合物全量に対して、60質量%以上が好ましい。
本発明のインクに用いるポリウレタン樹脂粒子は、従来一般的に用いられている製造方法により得ることができ、例えば、次の方法などが挙げられる。
まず、無溶剤下又は有機溶剤の存在下で、前記ポリオールと前記ポリイソシアネートを、イソシアネート基が過剰になる当量比で反応させて、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを製造する。
次いで、前記イソシアネート末端ウレタンプレポリマー中のアニオン性基を必要に応じて中和剤により中和し、その後、鎖延長剤と反応させて、最後に必要に応じて系内の有機溶剤を除去することによって得ることができる。
前記鎖延長剤としては、例えば、ポリアミンやその他の活性水素基含有化合物などが挙げられる。
前記塩化ビニル樹脂粒子としては、インク中に含まれる顔料や他の樹脂粒子との混和性を確保する点から、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−アクリル共重合体が好ましく、非極性基材に対する密着性に特に優れる点から、塩化ビニル−エチレン共重合体がより好ましい。
前記市販の塩化ビニル−アクリル共重合体のエマルションとしては、例えば、日信化学工業株式会社製のビニブラン(登録商標)シリーズのうち品番278(固形分濃度:43質量%、アニオン性)、700(固形分濃度:30質量%、アニオン性)、701(固形分濃度:30質量%、アニオン性)、711(固形分濃度:50質量%、アニオン性)、721(固形分濃度:30質量%、アニオン性)、700FS(固形分濃度:30質量%、アニオン性)、701RL35(固形分濃度:30質量%、アニオン性)、701RL(固形分濃度:30質量%、アニオン性)、701RL65(固形分濃度:30質量%、アニオン性)などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記市販の塩化ビニル−エチレン共重合体のエマルションとしては、例えば、住化ケムテックス株式会社製のスミエリート(登録商標)シリーズのうち品番1010(固形分濃度:50±1質量%、アニオン性)、1210(固形分濃度:50±1質量%、アニオン性)、1320(固形分濃度:50±1質量%、アニオン性)などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
その他の市販品としては、塩化ビニル樹脂にヒドロキシル成分を導入したWacker Chemie AG社製のVINNOLシリーズのうち品番E15/48A(固形分濃度:50質量%、アニオン性)、E22/48A(固形分濃度:30質量%、アニオン性)などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記ポリエステル樹脂粒子としては、画像の耐水性を得るために、乳化剤やスルホン酸塩など乾燥後の被膜に残存する親水性成分を含有しないものが好ましい。
前記自己乳化型の樹脂粒子のアニオン性基の酸価としては、水分散性、耐擦性、及び耐薬品性の点から、5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下が好ましく、5mgKOH/mg以上50mgKOH/mg以下が好ましい。
前記塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、モルホリンなどの有機アミン;モノエタノールアミンなどのアルカノールアミン;Na、K、Li、Caなどを含む金属塩基化合物などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記強制乳化型の樹脂粒子を用いて水分散体を製造する方法としては、例えば、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤などの界面活性剤を用いることができる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐水性の点から、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
前記体積平均粒径が10nm以上1,000nm以下の樹脂粒子を用いることで、水溶性有機溶剤と樹脂粒子表面との接触部位が増加し、樹脂粒子の造膜性が高まり、強靭な樹脂の連続被膜が形成されるため、高い画像硬度を得ることができる。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(マイクロトラック MODEL UPA9340、日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
また、樹脂の粒子径の制御によっても変化するため、これらの制御因子により樹脂の最低造膜温度を狙いの値とすることが可能である。
前記色材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、顔料、染料などが挙げられる。これらの中でも、顔料が好ましい。
前記顔料としては、例えば、無機顔料、有機顔料などが挙げられる。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料(例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料等)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
これらの顔料のうち、溶剤と親和性の良いものが好ましく用いられる。
また、カラー用としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155;C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51;C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219;C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63;C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、前記顔料をマイクロカプセルに包含させ、前記顔料を水中に分散可能なもの、すなわち、顔料粒子を含有させた樹脂粒子であってもよい。
この場合、インクに含有される顔料としては、すべて樹脂粒子に封入又は吸着されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、前記顔料がインク中に分散していてもよい。
前記数平均粒径は、例えば、粒度分析装置(マイクロトラック MODEL UPA9
340、日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分としては、例えば、界面活性剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤、ヒンダードフエノールやヒンダードフエノールアミンのようなゴム及びプラスチックス用無色老化防止剤などが挙げられる。
前記界面活性剤は、基材への濡れ性を確保するために含有することができる。
また、組成によってはフッ素系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤を併用又は単独使用することできる。
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
前記インクの製造方法としては、例えば、前記水、前記有機溶剤、前記樹脂粒子、前記色材、及び必要に応じて、前記その他の成分を、撹拌混合することにより製造することができる。前記撹拌混合としては、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシェイカー、超音波分散機、通常の撹拌羽を用いた撹拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機などを用いることができる。
本発明のインクと基材のセットは、水、有機溶剤、色材、及び樹脂粒子を含有するインクと、樹脂を有する基材とのインクと基材のセットであって、
前記インクが、有機溶剤として、沸点が170℃以上でありかつ下記数式1で表される比率Fhと、前記基材における前記樹脂の下記数式1で表される比率Fhとの差の絶対値が5%以下である化合物と、炭素数3〜4のジオール化合物及び2−エチルヘキシルアルコールとを含む。
<数式1>
Fh(%)=[δH/(δD+δP+δH)]×100
ただし、前記数式1中、前記δHはハンセンの溶解パラメータの水素結合項を表す。前記δDは、ハンセンの溶解パラメータの分散項を表す。前記δPは、ハンセンの溶解パラメータの極性項を表す。
前記インクとしては、本発明のインクが用いられる。
前記基材としては、樹脂を有し、表面に樹脂を有することが好ましく、例えば、浸透性基材、非浸透性基材などが挙げられる。これらの中でも、非浸透性基材が好ましい。
前記浸透性基材としては、例えば、普通紙、合成紙、布などが挙げられる。これらの浸透性基材を用いる場合には、例えば、前記普通紙上に樹脂を含む層を積層した基材を用いることができる。
前記非浸透性基材とは、水透過性、吸収性、及び吸着性の少なくともいずれかが低い表面を有する基材をいい、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれ、より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である基材を意味する。
前記非浸透性基材としては、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、塩素化ポリプロピレンフィルム、不飽和ポリエステルフィルム、ポリエチルメタクリレートフィルム、ポリビニルアセテートフィルム、ポリイソブチレンフィルム、ポリビニルブチラールフィルムなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記非浸透性基材としては、市販品を使用してもよいし、例えば、溶融押出成型法にて樹脂からフィルムを形成したものを用いてもよい。
また、前記非浸透性基材の表面に樹脂層を有するものであってもよい。
前記基材としては、前記浸透性基材、前記非浸透性基材や、一般的な記録媒体として用いられるものに限られず、壁紙や床材等の建材、衣料用等の布、テキスタイル、皮革等を適宜使用することができる。また、前記基材を搬送する経路の構成を調整することにより、セラミックスやガラス、金属などを使用することもできる。この場合、必要に応じて、樹脂を含む層を積層した基材として用いることができる。
本発明においては、前記インク中の有機溶剤の前記数式1で表される比率Fhと、印刷に用いる基材における樹脂の前記数式1で表される比率Fhとの差の絶対値は、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましい。このように、インク中の有機溶剤のFhと基材における樹脂のFhとが近い値を持つことにより、非浸透性基材に対する定着性が向上する。
ここで、前記基材における樹脂とは、基材の最表面層の樹脂を指す。例えば、樹脂フィルム上に、別の種類の樹脂層を設けた非浸透性基材である場合には最も外側の樹脂層のFh値を指す。
前記基材の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.3mm以上0.8mm以下が好ましい。
本発明で用いられるインク収容容器は、本発明のインク、又は本発明のインクと基材のセットにおけるインクを容器に収容してなる。
前記インクカートリッジとしては、前記インクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材などを有してなる。
本発明におけるインクジェット印刷装置は、インク飛翔手段を少なくとも有してなり、加熱手段を有することが好ましく、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段を有してなる。
本発明のインクジェット印刷方法は、インク飛翔工程を少なくとも含んでなり、加熱工程を有することが好ましく、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程を含んでなる。
本発明のインクジェット印刷方法は、本発明のインクジェット印刷装置により好適に実施することができ、前記インク飛翔工程は前記インク飛翔手段により好適に行うことができる。前記加熱工程は前記加熱手段により好適に行うことができる。前記その他の工程は前記その他の手段により好適に行うことができる。
前記インク飛翔工程は、本発明のインク、又は本発明のインクと基材のセットにおけるインクに、刺激を印加し、前記インクを飛翔させて基材上にインクを付与する工程であり、インク飛翔手段により実施することができる。
前記インク飛翔手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インクジェットヘッド、などが挙げられる。
前記加熱工程は、インクを付与した基材を加熱する工程であり、加熱手段により実施することができる。
前記インクジェット印刷方法としては、前記基材としての非浸透性基材に高画像品質な印刷ができるが、より一層高画質で耐擦性、及び密着性の高い画像の形成、並びに高速の印刷条件にも対応できるようにするために、印刷後に前記非浸透性基材を加熱することが好ましい。印刷後に加熱工程を有すると、インク中に含有される樹脂の造膜が促進されるため、印刷物の画像硬度を向上させることができる。
前記加熱温度としては、インク中に含まれる水溶性有機溶剤の種類や量、及び添加する樹脂エマルジョンの最低造膜温度に応じて変更することができ、更に印刷する基材の種類に応じても変更することができる。
前記加熱温度としては、乾燥性、及び造膜温度の点から、高いことが好ましく、40℃以上120℃以下がより好ましく、50℃以上90℃以下が特に好ましい。前記加熱温度が、40℃以上120℃以下であると、非浸透性基材の熱によるダメージを防止し、インクヘッドが温まることによる不吐出が生じることを抑制することができる。
前記その他の工程としては、例えば、刺激発生工程、制御工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、例えば、刺激発生手段、制御手段などが挙げられる。
前記刺激発生手段としては、例えば、加熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライトなどが挙げられ、具体的には、例えば、圧電素子等の圧電アクチュエーター、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエーター、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエーター、静電力を用いる静電アクチュエーターなどが挙げられる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
別の実施態様として、ホワイトインクを用いた印刷も、ホワイト以外の色のインクを用いた印刷も、インクジェット印刷方法で印刷する態様が可能である。
ホワイトインクの代わりにクリアインクを用いた場合も同様である。
本発明のインクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
記録装置、記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有しても良い。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
また、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
記録装置の一例について図1乃至図2を参照して説明する。図1は同装置の斜視説明図である。図2はメインタンクの斜視説明図である。記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
前処理装置、後処理装置の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などのインクの場合と同様に、前処理液や、後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前処理液や、後処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
前処理装置、後処理装置の他の態様として、インクジェット記録方式以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法による前処理装置、後処理装置を設ける態様がある。
なお、搬送ベルト151の基材142と反対側には、ヒーター群203が設けられており、インクが付与された基材142を加熱可能である。図3中157、158は搬送手段としての搬送ローラである。210の矢印は搬送方向を示す。
本発明の印刷物は、樹脂を有する基材と、前記基材上に、本発明のインク、又は本発明のインクと基材のセットにおけるインクを付与することで得られ、基材上に、本発明で用いられる前記インクにより印刷された画像を有する印刷物としてもよく、基材にインクを付与し、壁紙や、フローリング等の床材を含む建材とすることもできる。印刷物の形成は、文字や図形等の意味を持つ画像を基材に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を基材に付与する(単に液滴を吐出する)ことをも意味する。
本発明の印刷物は、基材上に、本発明の前記インクと基材のセットにおけるインクにより印刷された画像を有する。
前記基材としては、前記インクと基材のセットと同様の基材を用いることができるが、本発明の前記インクと基材のセットにおけるインクは、非透過性基材に適用されるときにも良好な発色を備えた画像を提供することができる。
また、カラー印刷の際にカラーインクより前に、ホワイトインクを塗布することによって基材が着色されたもの(着色基材)であっても基材の色を白に揃えることができ、カラーインクの発色を向上させることができる。
前記着色基材としては、例えば、着色された紙や前記フィルム、生地、衣服、セラミックなどが挙げられる。
前記インクは、平滑な基材の少なくとも一方の面に塗布するだけでなく、立体物の表面に対して塗布してもよい。
<ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンの調製>
攪拌機、還流冷却管、及び温度計を挿入した反応容器に、ポリカーボネートジオール(1,6−ヘキサンジオールとジメチルカーボネートの反応生成物(数平均分子量(Mn):1,200)1,500g、2,2−ジメチロールプロピオン酸(以下、「DMPA」と称することもある)220g、及びN−メチルピロリドン(以下、「NMP」と称することもある)1,347gを窒素気流下で仕込み、60℃に加熱してDMPAを溶解させた。
次に、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート1,445g、ジブチルスズジラウリレート(触媒)2.6gを加えて90℃まで加熱し、5時間かけてウレタン化反応を行い、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。この反応混合物を80℃まで冷却し、これにトリエチルアミン149gを添加し、混合したものの中から4,340gを抜き出して、強攪拌下、水5,400g、及びトリエチルアミン15gの混合溶液の中に加えた。
次に、氷1,500gを投入し、35質量%の2−メチル−1,5−ペンタンジアミン水溶液626gを加えて鎖延長反応を行い、固形分濃度が30質量%となるように溶剤を留去し、ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョン1を得た。
得られたポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョン1について、「造膜温度試験装置」(株式会社井元製作所製)で測定したところ、最低造膜温度は55℃であった。
<ポリエーテル系ウレタン樹脂エマルジョンの調製>
温度計、窒素ガス導入管、及び攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリエーテルポリオール(「PTMG1000」、三菱化学株式会社製、重量平均分子量:1,000)100.2質量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸15.7質量部、イソホロンジイソシアネート48.0質量部、及び有機溶剤としてメチルエチルケトン77.1質量部を、触媒としてジブチルスズジレウレート(以下、「DMTDL」と称することもある)0.06質量部を使用し、反応させた。
前記反応を4時間継続した後、希釈溶剤としてメチルエチルケトン30.7質量部を供給し、更に反応を継続した。
前記反応物の重量平均分子量が20,000以上60,000以下の範囲に達した時点で、メタノール1.4質量部を投入し、前記反応を終了することによって、ウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。
前記ウレタン樹脂の有機溶剤溶液に48質量%水酸化カリウム水溶液を13.4質量部加えることで前記ウレタン樹脂が有するカルボキシル基を中和した。次いで、水715.3質量部を加え十分に攪拌した後、エージング及び脱溶剤することによって、固形分濃度30質量%のポリエーテル系ウレタン樹脂エマルジョン2を得た。
得られたポリエーテル系ウレタン樹脂エマルジョン2について、前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンの調製例1と同様にして測定した最低造膜温度は43℃であった。
<ポリエステル系ウレタン樹脂エマルジョンの調製>
前記樹脂粒子の調製例2において、ポリエーテルポリオール(「PTMG1000」、三菱化学株式会社製、重量平均分子量:1,000)を、ポリエステルポリオール(「ポリライトOD−X−2251」、DIC株式会社製、重量平均分子量:2,000)に変更した以外は、前記樹脂粒子の調製例2と同様にして、固形分濃度30質量%のポリエステル系ウレタン樹脂エマルジョン3を得た。
得られたポリエステル系ウレタン樹脂エマルジョン3について、前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンの調製例1と同様にして測定した最低造膜温度は74℃であった。
<ブラック顔料分散液の調製>
以下の処方混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製KDL型、メディア:直径0.3mmジルコニアボール使用)で7時間循環分散してブラック顔料分散液(顔料固形分濃度15質量%)を得た。
・カーボンブラック顔料(商品名:Monarch800、キャボット社製)・・・15質量部
・アニオン性界面活性剤(パイオニンA−51−B、竹本油脂株式会社製)・・・2質量部
・イオン交換水・・・83質量部
<シアン顔料分散液の調製>
前記顔料分散液の調製例1において、カーボンブラック顔料を、ピグメントブルー15:3(商品名:LIONOL BLUE FG−7351、東洋インキ株式会社製)に変更した以外は、前記顔料分散液の調製例1と同様にして、シアン顔料分散液(顔料固形分濃度15質量%)を得た。
<マゼンタ顔料分散液の調製>
前記顔料分散液の調製例1において、カーボンブラック顔料を、ピグメントレッド122(商品名:トナーマゼンタEO02、クラリアントジャパン株式会社製)に変更した以外は、前記顔料分散液の調製例1と同様にして、マゼンタ顔料分散液(顔料固形分濃度15質量%)を得た。
<イエロー顔料分散液の調製>
前記顔料分散液の調製例1において、カーボンブラック顔料を、ピグメントイエロー74(商品名:ファーストイエロー531、大日精化工業株式会社製)に変更した以外は、前記顔料分散液の調製例1と同様にして、イエロー顔料分散液(顔料固形分濃度15質量%)を得た。
<樹脂分散ブラック顔料分散液の調製>
−ポリマー溶液Aの調製−
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6)4.0g、及びメルカプトエタノール0.4gを混合し、65℃に昇温した。次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60.0g、前記スチレンマクロマー36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g、及びメチルエチルケトン18.0gの混合溶液を、2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18.0gの混合溶液を、0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内にメチルエチルケトン364.0gを添加し、固形分濃度が50質量%のポリマー溶液Aを800g得た。
前記ポリマー溶液Aを28gと、カーボンブラック(デグサ社製、FW100)42g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、及び水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータでメチルエチルケトン及び水を留去し、更に粗大粒子を除くために、得られた分散液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターで加圧濾過し、顔料固形分濃度15質量%、固形分濃度20質量%のブラック顔料含有ポリマー粒子分散体を得た。
下記表1に示す樹脂を用いて、溶融押出成型法により平均厚み0.5mmの樹脂フィルムを形成したものを印刷する基材として用いた。
<インクの作製>
前記調製例1のブラック顔料分散液(顔料固形分濃度15質量%)20質量%、前記調製例1のポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョン(固形分濃度30質量%)25質量%、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド(商品名:エクアミドM−100、出光興産株式会社製)12質量%、1,2−プロパンジオール(東京化成工業株式会社製)2質量%、1,2−ブタンジオール(東京化成工業株式会社製)10質量%、2,3−ブタンジオール(東京化成工業株式会社製)12質量%及び2−エチルヘキシルアルコール(東京化成工業株式会社製)3質量%、防腐剤として商品名:プロキセルLV(アーチ・ケミカルズ・ジャパン株式会社製)0.1質量%、フッ素系界面活性剤(商品名:ユニダイン DSN−403N、ダイキン工業株式会社製)0.01質量%、及び高純水を残量となるように添加し、混合攪拌して、平均孔径0.2μmのポリプロピレンフィルターにて濾過することにより、インクNo.1を作製した。
<インクの作製>
実施例1において、表2〜表4に記載の組成、及びに含有量に変更した以外は、実施例1と同様にして、インクNo.2〜12を作製した。
*ポリエステル樹脂エマルジョン(ペスレジンA−124GP、高松油脂株式会社製、固形分濃度30質量%)
*エチレン−塩化ビニル系共重合体エマルジョン(スミエリート1210、住化ケムテックス株式会社製、固形分濃度50質量%)
有機溶剤Aの詳細については、下記表5に示した。
*1,2−プロパンジオール(東京化成工業株式会社製、δH:13.8MPa1/2、Fh:35%、沸点:188℃)
*1,3−プロパンジオール(東京化成工業株式会社製、δH:14.0MPa1/2、Fh:38%、沸点:211℃)
*1,2−ブタンジオール(東京化成工業株式会社製、δH:19.2MPa1/2、Fh:43%、沸点:191℃)
*2,3−ブタンジオール(東京化成工業株式会社製、δH:18.3MPa1/2、Fh:43%、沸点:178℃)
*2−エチルヘキシルアルコール(東京化成工業株式会社製、δH:10.3MPa1/2、Fh:34%、沸点:185℃)
*2−メチル−2,4−ペンタンジオール(東京化成工業株式会社製、δH:15.0MPa1/2、Fh:39%、沸点:197℃)
*ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(東京化成工業株式会社製、δH:10.8MPa1/2、Fh:31%、沸点:190℃)
*防腐剤(プロキセルLV、アーチ・ケミカルズ・ジャパン株式会社製)
得られたNo.1〜12のインクをインクジェットプリンター(装置名:IPSiO GXe5500改造機、株式会社リコー製)に充填し、表6に示す組み合わせの基材に対してそれぞれベタ画像を印刷した。印刷後、前記ベタ画像を表6に示す乾燥温度に設定したホットプレート(NINOS ND−1、アズワン社製)上で1時間乾燥させた。
なお、前記IPSiO GXe5500改造機は、IPSiO GXe5500機を、150cmの印刷幅で30m2/hrの印刷速度相当の印刷をA4サイズで再現できるように改造した。また、前記ホットプレートを設置し、印刷後の加熱条件(加熱温度、加熱時間)を変えることができるように改造した。
なお、屋外用途への利用を考慮して、前記「定着性(ビーディング)」、前記「非転写性」、及び前記「耐擦過性」の評価については、一般の紙に印刷する場合と比べてかなり厳しい評価基準を採用している。
前記インクジェットプリンター(IPSiO GXe5500改造機、株式会社リコー製)を用いて吐出信頼性を評価した。
まず、得られたNo.1〜12のインクをインクジェットプリンター(装置名:IPSiO GXe5500改造機、株式会社リコー製)に充填し、表6に示す組み合わせの基材に対して、ノズルチェックパターンを印刷し「ノズル抜け」が発生していないことを確認した後に12時間インクジェットプリンターを放置した。12時間放置後、クリーニングメンテナンスを行わないでノズルチェックパターンを印刷し、発生した「ノズル抜け」をカウントし、下記評価基準に基づき、「吐出信頼性」を評価した。前記評価がB以上であることが実使用上望ましい。なお、前記「ノズル抜け」とは、インクが吐出されず正常にインク画像が描画されないことを意味する。
[評価基準]
A:ノズル抜けが1箇所以内
B:ノズル抜けが2箇所以内
C:ノズル抜けが4箇所以内
D:ノズル抜けが5箇所以上
作成した各ベタ画像の印刷ムラを目視により観察し、下記評価基準に基づいて、「定着性(ビーディング)」を評価した。前記評価がB以上であることが実使用上望ましい。
[評価基準]
A:非常に良好(ビーディングが全くなかった)
B:良好(わずかにビーディングが観察された)
C:普通(ビーディングがあった)
D:不良(著しいビーディングがあった)
作成した各ベタ画像2枚を3cm×3cmのサイズに切り取り、2枚のベタ画像同士が接するように重ね、その上からプレス機で1.0MPaの圧力を10秒間かけた。その後、前記2枚の評価サンプルを剥がし、このときの剥がれやすさ及び剥がした後の画像の損傷の有無を目視で観察し、下記評価基準に基づいて、「非転写性」を評価した。前記評価がB以上であることが実使用上望ましい。
[評価基準]
A:2枚のベタ画像を剥がすときに、貼り付き感が無く自然に剥がれ、互いの基材への色移りも見られなかった
B:2枚のベタ画像を剥がすときに、わずかな貼り付き感があるものの、画像の損傷は見られなかった
C:2枚のベタ画像を剥がすときに、貼り付き感があり、画像の損傷がわずかに見られた
D:2枚のベタ画像を剥がすときの貼り付き感が強く、画像の損傷が顕著であった
作成した各ベタ画像を乾いた木綿(カナキン3号)で400gの荷重をかけて擦過し、画像の状態を目視で観察し、下記評価基準に基づき、「耐擦過性」を評価した。前記評価がB以上であることが実使用上望ましい。
[評価基準]
AA:50回以上擦っても画像が変化しなかった
A:50回擦った段階で多少の傷が残るが画像濃度には影響しなかった
B:31回以上50回以下擦過する間に画像濃度が低下した
C:30回以下の擦過で画像濃度が低下した
実施例2は、定着性向上のために添加した有機溶剤Aと基材の樹脂のFhの差が若干大きいため、実施例1に比べて定着性が劣る結果となった。
実施例4は、定着性向上のために添加した有機溶剤Aの沸点がやや高いため、実施例1に比べて非転写性が劣る結果となった。
実施例5は、定着性向上のために添加した有機溶剤Aの添加量がやや少なかった例であり、実施例1に比べて若干定着性が劣る結果となった。
実施例6は、2−エチルヘキシルアルコールの添加量がやや少なかった例であり、実施例1に比べて吐出信頼性が若干劣る結果となった。
実施例7は、ポリエステル樹脂粒子を用いた例であり、ポリウレタン樹脂粒子を用いた実施例1に比べて若干耐擦過性が劣る結果となった。
実施例8は、エチレン−塩化ビニル系共重合樹脂粒子を用いた例であり、ポリウレタン樹脂粒子を用いた実施例1に比べて若干耐擦過性が劣る結果となった。
実施例10は、定着性向上のために添加した有機溶剤と基材の樹脂のFhの差が若干大きく、かつ2−エチルヘキシルアルコールの添加量がやや少なかった例であり、実施例1に比べて定着性、耐擦過性、及び吐出信頼性が若干劣る結果となった。
更に、屋外用途を想定した場合、印刷物の耐擦過性についても、屋内向けとは比べ物にならない強靭な耐擦過性、耐溶剤性、画像硬度などの性質が求められている。しかし、前記水性インクでは溶剤系インクに匹敵する十分な前記性質が得られていないという問題がある。
また更に、画像同士を重ね合せた際の画像の色移りや損傷を防止する非転写性についても改良が必要である。
<加熱条件の影響>
実施例1のインクと基材Aとの組み合わせにおいて、下記表8のNo.1〜No.8に示すように印刷後の加熱条件(加熱温度、加熱時間)を変えた以外は、実施例1と同様にして、定着性、非転写性、及び耐擦過性を評価した。結果を表8に示した。
なお、No.8は、実施例1のインクと基材Aとの組み合わせを用い、実施例1と同様にしてベタ画像の印刷を行い、印刷後の加熱なし、25℃で24時間放置により乾燥させた。
<1> 樹脂を有する基材にインクを付与して印刷する印刷方法に用いるインクであって、
前記インクが、水、有機溶剤、色材、及び樹脂粒子を含有し、
前記有機溶剤として、沸点が170℃以上でありかつ下記数式1で表される比率Fhと、前記基材における前記樹脂の下記数式1で表される比率Fhとの差の絶対値が5%以下である化合物と、炭素数3〜4のジオール化合物及び2−エチルヘキシルアルコールとを含むことを特徴とするインクである。
<数式1>
Fh(%)=[δH/(δD+δP+δH)]×100
ただし、前記数式1中、前記δHはハンセンの溶解パラメータの水素結合項を表す。前記δDは、ハンセンの溶解パラメータの分散項を表す。前記δPは、ハンセンの溶解パラメータの極性項を表す。
<2> 前記炭素数3〜4のジオール化合物が、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、及び2,3−ブタンジオールから選択される少なくとも1種である前記<1>に記載のインクである。
<3> 前記沸点が170℃以上でありかつ前記数式1で表される比率Fhと、前記基材における樹脂の前記数式1で表される比率Fhとの差の絶対値が5%以下である化合物の含有量が、有機溶剤の総含有量に対して、10質量%以上である前記<1>から<2>のいずれかに記載のインクである。
<4> 前記沸点が170℃以上でありかつ前記数式1で表される比率Fhと、前記基材における樹脂の前記数式1で表される比率Fhとの差の絶対値が5%以下である化合物の含有量が、有機溶剤の総含有量に対して、30質量%以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載のインクである。
<5> 前記2−エチルヘキシルアルコールの含有量が、有機溶剤の総含有量に対して、1質量%以上である前記<1>から<4>のいずれかに記載のインクである。
<6> 前記有機溶剤の沸点が、170℃以上250℃未満である前記<1>から<5>のいずれかに記載のインクである。
<7> 前記有機溶剤の総含有量が、20質量%以上70質量%以下である前記<1>から<6>のいずれかに記載のインクである。
<8> 前記樹脂粒子が、ポリウレタン樹脂粒子を含む前記<1>から<7>のいずれかに記載のインクである。
<9> 前記樹脂粒子の含有量が、1質量%以上15質量%以下である前記<1>から<8>のいずれかに記載のインクである。
<10> 前記樹脂粒子の体積平均粒径が、10nm以上1,000nmである前記<1>から<9>のいずれかに記載のインクである。
<11> 前記色材が、顔料である前記<1>から<10>のいずれかに記載のインクである。
<12> 前記基材が、表面に樹脂を有する非浸透性基材である前記<1>から<11>のいずれかに記載のインクである。
<13> 前記<1>から<12>のいずれかに記載のインクに、刺激を印加し、前記インクを吐出させて樹脂を有する基材上にインクを付与するインク吐出工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット印刷方法である。
<14> 更に、画像を印刷した基材を加熱する加熱工程を含む前記<13>に記載のインクジェット印刷方法である。
<15> 前記<1>から<12>のいずれかに記載のインクに、刺激を印加し、前記インクを吐出させて樹脂を有する基材上にインクを付与するインク吐出手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット印刷装置である。
<16> 更に、画像を印刷した基材を加熱する加熱手段を有する前記<15>に記載のインクジェット印刷装置である。
<17> 樹脂を有する基材と、前記基材上に印刷層を有する印刷物であって、
前記印刷層が、有機溶剤、色材、及び樹脂を含有し、前記有機溶剤として、沸点が170℃以上でありかつ下記数式1で表される比率Fhと、前記基材における前記樹脂の下記数式1で表される比率Fhとの差の絶対値が5%以下である化合物と、炭素数3〜4のジオール化合物及び2−エチルヘキシルアルコールとを含むことを特徴とする印刷物である。
<数式1>
Fh(%)=[δH/(δD+δP+δH)]×100
ただし、前記数式1中、前記δHはハンセンの溶解パラメータの水素結合項を表す。前記δDは、ハンセンの溶解パラメータの分散項を表す。前記δPは、ハンセンの溶解パラメータの極性項を表す。
<18> 水、有機溶剤、色材、及び樹脂粒子を含有するインクと、樹脂を有する基材とのインクと基材のセットであって、
前記インクが、有機溶剤として、沸点が170℃以上でありかつ下記数式1で表される比率Fhと、前記基材における前記樹脂の下記数式1で表される比率Fhとの差の絶対値が5%以下である化合物と、炭素数3〜4のジオール化合物及び2−エチルヘキシルアルコールとを含むことを特徴とするインクと基材のセットである。
<数式1>
Fh(%)=[δH/(δD+δP+δH)]×100
ただし、前記数式1中、前記δHはハンセンの溶解パラメータの水素結合項を表す。前記δDは、ハンセンの溶解パラメータの分散項を表す。前記δPは、ハンセンの溶解パラメータの極性項を表す。
<19> 前記炭素数3〜4のジオール化合物が、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、及び2,3−ブタンジオールから選択される少なくとも1種である前記<18>に記載のインクと基材のセットである。
<20> 前記沸点が170℃以上でありかつ前記数式1で表される比率Fhと、前記基材における樹脂の前記数式1で表される比率Fhとの差の絶対値が5%以下である化合物の含有量が、有機溶剤の総含有量に対して、10質量%以上である前記<18>から<19>のいずれかに記載のインクと基材のセットである。
<21> 前記沸点が170℃以上でありかつ前記数式1で表される比率Fhと、前記基材における樹脂の前記数式1で表される比率Fhとの差の絶対値が5%以下である化合物の含有量が、有機溶剤の総含有量に対して、30質量%以上である前記<18>から<20>のいずれかに記載のインクと基材のセットである。
<22> 前記2−エチルヘキシルアルコールの含有量が、有機溶剤の総含有量に対して、1質量%以上である前記<18>から<21>のいずれかに記載のインクと基材のセットである。
<23> 前記有機溶剤の沸点が、170℃以上250℃未満である前記<18>から<22>のいずれかに記載のインクと基材のセットである。
<24> 前記有機溶剤の総含有量が、20質量%以上70質量%以下である前記<18>から<23>のいずれかに記載のインクと基材のセットである。
<25> 前記樹脂粒子が、ポリウレタン樹脂粒子を含む前記<18>から<24>のいずれかに記載のインクと基材のセットである。
<26> 前記樹脂粒子の含有量が、1質量%以上15質量%以下である前記<18>から<25>のいずれかに記載のインクと基材のセットである。
<27> 前記樹脂粒子の体積平均粒径が、10nm以上1,000nmである前記<18>から<26>のいずれかに記載のインクと基材のセットである。
<28> 前記色材が、顔料である前記<18>から<27>のいずれかに記載のインクと基材のセットである。
<29> 前記基材が、表面に樹脂を有する非浸透性基材である前記<18>から<27>のいずれかに記載のインクと基材のセットである。
<30> 前記<1>から<12>のいずれかに記載のインク、又は前記<18>から<29>のいずれかに記載のインクと基材のセットにおけるインクを容器に収容してなるインク収容容器である。
401 記録装置の外装
401c 装置本体のカバー
404 カートリッジホルダ
410 メインタンク
410k、410c、410m、410y ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク
411 インク収容部
413 インク排出口
414 収容容器ケース
420 機構部
434 吐出ヘッド
436 供給チューブ
Claims (11)
- 樹脂を有する基材にインクを付与して印刷する印刷方法に用いるインクであって、
前記インクが、水、有機溶剤、色材、及び樹脂粒子を含有し、
前記有機溶剤として、沸点が170℃以上でありかつ下記数式1で表される比率Fhと、前記基材における前記樹脂の下記数式1で表される比率Fhとの差の絶対値が5%以下である化合物と、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、及び2,3−ブタンジオールから選択される少なくとも1種である炭素数3〜4のジオール化合物及び2−エチルヘキシルアルコールとを含むことを特徴とするインク。
<数式1>
Fh(%)=[δH/(δD+δP+δH)]×100
ただし、前記数式1中、前記δHはハンセンの溶解パラメータの水素結合項を表す。前記δDは、ハンセンの溶解パラメータの分散項を表す。前記δPは、ハンセンの溶解パラメータの極性項を表す。 - 沸点が170℃以上でありかつ前記数式1で表される比率Fhと、前記基材における樹脂の上記数式1で表される比率Fhとの差の絶対値が5%以下である化合物が、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジベンジルエーテル、テトラメチルウレア、2−ピロリドン、1−n−オクチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、プロピレン1,2カーボネート、ジメチルスルホキシド、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルから選択される少なくとも1種である請求項1に記載のインク。
- 前記沸点が170℃以上でありかつ前記数式1で表される比率Fhと、前記基材における樹脂の前記数式1で表される比率Fhとの差の絶対値が5%以下である化合物の含有量が、有機溶剤の総含有量に対して、10質量%以上である請求項1から2のいずれかに記載のインク。
- 前記沸点が170℃以上でありかつ前記数式1で表される比率Fhと、前記基材における樹脂の前記数式1で表される比率Fhとの差の絶対値が5%以下である化合物の含有量が、有機溶剤の総含有量に対して、30質量%以上である請求項1から3のいずれかに記載のインク。
- 前記2−エチルヘキシルアルコールの含有量が、有機溶剤の総含有量に対して、1質量%以上である請求項1から4のいずれかに記載のインク。
- 前記有機溶剤の沸点が、170℃以上250℃未満である請求項1から5のいずれかに記載のインク。
- 前記樹脂粒子が、ポリウレタン樹脂粒子を含む請求項1から6のいずれかに記載のインク。
- 請求項1から7のいずれかに記載のインクに、刺激を印加し、前記インクを吐出させて樹脂を有する基材上にインクを付与するインク吐出工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット印刷方法。
- 請求項1から7のいずれかに記載のインクに、刺激を印加し、前記インクを吐出させて樹脂を有する基材上にインクを付与するインク吐出手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット印刷装置。
- 樹脂を有する基材と、前記基材上に印刷層を有する印刷物であって、
前記印刷層が、有機溶剤、色材、及び樹脂を含有し、前記有機溶剤として、沸点が170℃以上でありかつ下記数式1で表される比率Fhと、前記基材における前記樹脂の下記数式1で表される比率Fhとの差の絶対値が5%以下である化合物と、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、及び2,3−ブタンジオールから選択される少なくとも1種である炭素数3〜4のジオール化合物及び2−エチルヘキシルアルコールとを含むことを特徴とする印刷物。
<数式1>
Fh(%)=[δH/(δD+δP+δH)]×100
ただし、前記数式1中、前記δHはハンセンの溶解パラメータの水素結合項を表す。前記δDは、ハンセンの溶解パラメータの分散項を表す。前記δPは、ハンセンの溶解パラメータの極性項を表す。 - 水、有機溶剤、色材、及び樹脂粒子を含有するインクと、樹脂を有する基材とのインクと基材のセットであって、
前記インクが、有機溶剤として、沸点が170℃以上でありかつ下記数式1で表される比率Fhと、前記基材における前記樹脂の下記数式1で表される比率Fhとの差の絶対値が5%以下である化合物と、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、及び2,3−ブタンジオールから選択される少なくとも1種である炭素数3〜4のジオール化合物及び2−エチルヘキシルアルコールとを含むことを特徴とするインクと基材のセット。
<数式1>
Fh(%)=[δH/(δD+δP+δH)]×100
ただし、前記数式1中、前記δHはハンセンの溶解パラメータの水素結合項を表す。前記δDは、ハンセンの溶解パラメータの分散項を表す。前記δPは、ハンセンの溶解パラメータの極性項を表す。
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