以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付す。
(実施の形態1)
<空調システムの構成>
図1に、本発明の実施の形態1に係る空調システム1を示す。空調システム1は、空調対象の空間である空調エリア4を空調する設備である。空調とは、空調対象の空間の空気の温度、湿度、清浄度又は気流等を調整することであって、具体的には、暖房、冷房、除湿、加湿、空気清浄等を含む。空調システム1は、例えば戸建て住宅、集合住宅、オフィスビル、工場等に設置されており、図示しない商用電源、発電設備又は蓄電設備から電力の供給を得て動作する。
空調システム1は、例えばCO2(二酸化炭素)又はHFC(ハイドロフルオロカーボン)等を冷媒として用いたヒートポンプ式の空調設備である。図1に示すように、空調システム1は、室外に設置される室外機2と、室内に設置される室内機3と、空調エリア4内の人によって操作される操作端末40と、を備える。室外機2と室内機3とは、冷媒が流れる冷媒回路10及び通信線5を介して接続されている。なお、室外機2と室内機3とを合わせて、空調機又は空調装置と呼ぶ。
室外機2は、圧縮機11と、四方弁12と、室外熱交換器13と、膨張弁14と、室外送風機16と、室外機制御部20と、を備える。室内機3は、室内熱交換器15と、室内送風機17と、撮像部19と、制御装置30と、を備える。冷媒回路10は、圧縮機11と、四方弁12と、室外熱交換器13と、膨張弁14と、室内熱交換器15と、を環状に接続している。これにより、ヒートポンプが構成されている。ヒートポンプは、冷凍サイクルともいう。
圧縮機11は、冷媒回路10を流れる冷媒を圧縮して、冷媒の温度及び圧力を上昇させる。圧縮機11は、圧縮した冷媒を四方弁12に吐出することで、冷媒回路10を循環させる。圧縮機11は、駆動周波数に応じて、単位当たりの送り出し量を変化させることができるインバータ回路を備える。圧縮機11は、室外機制御部20から指示される制御値に従って容量を変更する。
四方弁12は、圧縮機11の吐出側に設置されている。四方弁12は、空調システム1が冷房運転する場合には、圧縮機11から吐出された冷媒が室外熱交換器13に流入し、空調システム1が暖房運転する場合には、圧縮機11から吐出された冷媒が室内熱交換器15に流入するように、冷媒回路10中の冷媒の流れる方向を切り換える。
室外熱交換器13は、冷媒回路10を流れる冷媒により供給される冷温熱と、屋外の空気と、の間で熱交換を行う。室外送風機16は、送風動作を開始すると、室外機2の内部に負圧が生じて屋外の空気を吸い込む。吸い込まれた空気は、室外熱交換器13に供給され、室外熱交換器13で熱交換された後、屋外に吹き出される。膨張弁14は、室内熱交換器15と室外熱交換器13との間に設置されている。膨張弁14は、その開度が調整されることで、冷媒を減圧して膨張させる。膨張弁14は、一例として、開度が可変に制御可能な電子式膨張弁である。
室内熱交換器15は、冷媒回路10を流れる冷媒より供給される冷温熱と、空調エリア4内の空気と、の間で熱交換を行う。室内熱交換器15で熱交換された空気は、空調空気として空調エリア4に供給される。これにより、空調エリア4が冷暖房される。室内送風機17は、送風動作を開始すると、室内機3の内部に負圧が生じて空調エリア4の空気を吸い込む。吸い込まれた空気は、室内熱交換器15に供給され、室内熱交換器15で熱交換された後、空調エリア4に吹き出される。室内熱交換器15における冷媒と空気との熱交換量が高いほど、空調システム1の冷却能力又は加熱能力は上がる。冷却能力及び加熱能力は、圧縮機11の周波数を変えることによって調整される。
室外機2における圧縮機11、四方弁12、室外熱交換器13、膨張弁14及び室外送風機16、並びに、室内機3における室内熱交換器15及び室内送風機17は、空調エリア4を空調する空調手段として機能する。
撮像部19は、空調エリア4を撮像して、空調エリア4内の様子を表す画像を取得する。撮像部19は、被写体から射出された光束を集光するレンズと、レンズによる集光位置に配置され、光電変換によって被写体の光学像を電気信号として取得する画像センサと、画像センサによって得られた電気信号をデジタルデータに変換するA/D(Analog/Digital)変換器と、を備える。画像センサは、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子である。
撮像部19は、空調エリア4内を撮像することによって、空調エリア4内にユーザが存在しているか否かを検知する。また、撮像部19は、空調エリア4内にユーザが存在している場合に、ユーザを撮像することによって、空調エリア4内におけるユーザの位置を検知することもできる。撮像部19は、制御装置30と図示しない通信線によって接続されており、撮像画像を制御装置30に送信する。
室外機制御部20は、いずれも図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、通信インタフェース、及び、読み書き可能な不揮発性の半導体メモリを備える。室外機制御部20において、CPUがRAMをワークメモリとして用いながらROMに格納された制御プログラムを実行することにより、室外機2の動作を制御する。
制御装置30は、室内機3の動作を制御する室内機制御部である。図2に示すように、制御装置30は、制御部31と、記憶部32と、計時部33と、画像処理部34と、通信部38と、を備える。これら各部はバス39を介して接続されている。
制御部31は、CPU、ROM及びRAMを備える。CPUは、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)等ともいう。制御部31において、CPUは、ROMに格納されたプログラム及びデータを読み出し、RAMをワークエリアとして用いて、制御装置30を統括制御する。
記憶部32は、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の不揮発性の半導体メモリであって、いわゆる二次記憶装置又は補助記憶装置としての役割を担う。記憶部32は、制御部31が各種処理を行うために使用するプログラム及びデータ、並びに、制御部31が各種処理を行うことにより生成又は取得するデータを記憶する。
記憶部32は、複数のユーザのそれぞれから過去に受け付けられた操作の履歴に関する履歴情報50を記憶している。記憶部32は、記憶手段として機能する。履歴情報50の詳細については、後述する。
計時部33は、RTC(Real Time Clock)を備えており、制御装置30の電源がオフの間も計時を継続する計時デバイスである。
画像処理部34は、DSP、GPU(Graphics Processing Unit)等の画像処理用のプロセッサと、処理される画像を一時的に保存するバッファメモリと、を備える。画像処理部34は、撮像部19によって撮像された画像を加工する加工処理、画像に含まれる人を認識する人認識処理、画像に含まれる物体を認識する物体認識処理等を実行する。
通信部38は、室外機制御部20及び操作端末40と通信するための通信インタフェースを備える。通信部38は、ユーザから受け付けられた操作情報を、操作端末40から受信し、ユーザに報知するための報知情報を操作端末40に送信する。また、通信部38は、室外機2の運転指令を室外機制御部20に送信し、室外機2の状態を示す状態情報を室外機制御部20から受信する。
制御装置30は、有線、無線又は他の通信媒体である通信線5によって室外機制御部20と接続されている。制御装置30は、室外機制御部20と通信線5を介して各種信号を授受することにより協調動作し、空調システム1全体を制御する。具体的に説明すると、室外機制御部20は、圧縮機11の駆動周波数、四方弁12の切り換え、室外送風機16の回転速度、及び、膨張弁14の開度を制御する。また、制御装置30は、室内送風機17の回転速度を制御する。このように、制御装置30と室外機制御部20とは、空調システム1に与えられた運転指令に応じて、各装置に動作指令を出力する。
図1に示した空調システム1の構成の説明に戻る。操作端末40は、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話、パーソナルコンピュータ等、ユーザによって操作される端末装置である。図3に示すように、操作端末40は、制御部41と、記憶部42と、ユーザインタフェース44と、通信部48と、を備える。これら各部はバス49を介して接続されている。
制御部41は、CPU、ROM及びRAMを備える。CPUは、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP等ともいう。制御部41において、CPUは、ROMに格納されたプログラム及びデータを読み出し、RAMをワークエリアとして用いて、操作端末40を統括制御する。
記憶部42は、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の不揮発性の半導体メモリであって、いわゆる二次記憶装置又は補助記憶装置としての役割を担う。記憶部42は、制御部41が各種処理を行うために使用するプログラム及びデータ、並びに、制御部41が各種処理を行うことにより生成又は取得するデータを記憶する。
ユーザインタフェース44は、表示部45と入力部46とを備える。表示部45は、LCD(Liquid Crystal Display)パネル、有機EL、LED(Light Emitting Diode)等の表示デバイスである。入力部46は、タッチパネル、タッチパッド、スイッチ、押圧ボタン等の入力デバイスである。ユーザインタフェース44は、入力部46を介してユーザから操作を受け付け、また、表示部45を介して表示画像を表示する。なお、表示部45と入力部46とは、これらが互いに重ねられて配置されたタッチパネル又はタッチスクリーンとして構成されるものであっても良い。また、ユーザインタフェース44は、音声を出力するスピーカを備えていても良い。
ユーザは、入力部46を操作することで、空調システム1に運転指令を入力する。運転指令として、例えば、運転と停止との切換指令、冷房、暖房、除湿、加湿、空気清浄、送風等の運転モードの切換指令、目標温度の切換指令、目標湿度の切換指令、風量の切換指令、風向の切換指令、又はタイマーの切換指令等が挙げられる。空調システム1は、入力された運転指令に従って運転を開始する。
通信部48は、制御装置30と通信するための通信インタフェースを備える。通信部48は、制御装置30との間で、Wi−Fi(登録商標)、Wi−SUN(登録商標)、有線LAN(Local Area Network)等の周知の通信規格に則って通信する。具体的に説明すると、通信部48は、入力部46を介してユーザから受け付けた操作の内容を示す操作情報を、制御装置30に送信する。また、通信部48は、表示部45又はスピーカを介してユーザに報知するための報知情報を、制御装置30から受信する。
次に、図4を参照して、空調システム1の機能的な構成について説明する。
図4に示すように、制御装置30は、機能的に、識別部310と、判定部320と、推奨情報送信部330と、操作情報取得部340と、空調制御部350と、更新部360と、を備える。また、操作端末40は、機能的に、推奨情報受信部410と、報知部420と、操作受付部430と、操作情報送信部440と、を備える。
これらの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、制御装置30のROM又は記憶部32、及び、操作端末40のROM又は記憶部42に格納される。そして、制御装置30の制御部31において、CPUが、ROM又は記憶部32に記憶されたプログラムを実行することによって、制御装置30の各機能を実現する。また、操作端末40の制御部41において、CPUが、ROM又は記憶部42に記憶されたプログラムを実行することによって、操作端末40の各機能を実現する。
制御装置30において、識別部310は、ユーザを識別する。ユーザとは、空調エリア4において空調システム1を使用する人である。ユーザが空調エリア4に居る場合、ユーザは、撮像部19によって撮像される。識別部310は、撮像部19によって撮像された画像を取得し、取得した画像を画像処理部34によって解析することで、空調エリア4に居るユーザを識別する。
具体的に説明すると、識別部310は、撮像部19によって撮像された画像に、周知の人認識の手法を用いて、人が写っているか否かを判定する。そして、識別部310は、撮像画像に人が写っている場合、撮像画像中の人の顔、体格等から、その人が誰であるかを特定する。記憶部32は、空調エリア4に存在する可能性がある複数のユーザのそれぞれについて、顔、体格等の個人の特徴を示す情報を記憶している。識別部310は、記憶部32に記憶された情報を参照して、撮像部19によって撮像された画像に写っているユーザを識別する。
識別部310は、空調エリア4に複数のユーザが存在している場合には、このような識別処理を複数のユーザのそれぞれについて実行して、複数のユーザのそれぞれを識別する。識別部310は、制御部31が記憶部32及び画像処理部34と協働することによって実現される。識別部310は、識別手段として機能する。
制御装置30において、判定部320は、識別部310によって識別されたユーザから過去に受け付けられた操作の傾向が、特定の条件を満たしているか否かを判定する。操作の傾向とは、空調システム1に対する空調操作の傾向である。例えば、暑がりのユーザは、暑がりで無いユーザに比べて、夏期に冷房の設定温度を下げる傾向がある。また、寒がりのユーザは、寒がりで無いユーザに比べて、冬期に暖房の設定温度を上げる傾向がある。このように、空調操作の傾向は、複数のユーザのそれぞれの嗜好によって異なる。
特定の条件とは、識別部310によって識別されたユーザが電力を浪費する傾向にあるか否かを判定するための条件である。特定の条件は、識別部310によって識別されたユーザから過去に受け付けられた操作によって消費された電力が、閾値より大きい場合に、満たされる。例えば、冷房の設定温度を下げる傾向にあるユーザは、夏期に多くの電力を消費する。また、暖房の設定温度を上げる傾向にあるユーザは、冬期に多くの電力を消費する。
判定部320は、記憶部32に記憶された履歴情報50に基づいて、識別部310によって識別されたユーザから過去に受け付けられた操作の傾向が、特定の条件を満たしているか否かを判定する。記憶部32は、履歴情報50として、図5に示す操作履歴テーブル51と、図6に示す操作傾向情報52と、を記憶している。
図5に示すように、操作履歴テーブル51は、操作端末40の操作受付部430によっていずれかのユーザから受け付けられた操作毎に、操作を受け付けた日時と、操作者と、操作内容と、その操作による消費電力と、を対応付けて時系列順に記録したテーブルである。操作内容は、操作によって指示された冷房、暖房、除湿、送風、空気清浄等の空調の運転モードの情報と、その操作によって設定された設定温度、設定湿度、設定風量等の設定値の情報と、を含んでいる。
図5に示す操作履歴テーブル51において、消費電力は、その操作によって空調システム1が空調した場合に消費された電力である。例えば、冷房の場合には、設定温度が低いほど、消費電力は大きくなり、暖房の場合には、設定温度が高いほど、消費電力は大きくなる。このように、記憶部32は、操作端末40の操作受付部430によって受け付けられた操作の履歴を、識別部310によって識別されたユーザに対応付けて記憶している。
図6に示すように、操作傾向情報52は、ユーザ毎に、消費電力の平均値と、操作傾向と、を対応付けて記録している。消費電力の平均値は、操作履歴テーブル51に記録された消費電力を、ユーザ毎に過去の規定の期間に亘って平均した値である。規定の期間は、直近1ヶ月間、直近10日間、直近1週間等、任意の長さの期間に設定することができる。
図6に示す操作傾向情報52において、操作傾向は、複数のユーザのそれぞれが、電力を浪費する傾向か電力を節約する傾向かを表している。具体的に説明すると、判定部320は、消費電力の平均値が予め定められた閾値より大きい場合に、そのユーザが電力を浪費する傾向であると判定し、消費電力の平均値が予め定められた閾値より小さい場合に、そのユーザが電力を節約する傾向であると判定する。
ここで、閾値は、複数のユーザから過去に受け付けられた操作によって消費された電力の平均値である。複数のユーザとは、ユーザA,B,C,Dを含む、履歴情報50に操作の履歴が記録されたユーザである。例えば、ユーザAは、消費電力の平均値が他のユーザに比べて小さいため、電力を節約する傾向であると判定される。これに対して、ユーザBは、消費電力の平均値が他のユーザに比べて大きいため、電力を浪費する傾向であると判定される。
判定部320は、識別部310によって識別されたユーザのこのような電力の消費の傾向を、記憶部32に記憶された過去の操作の履歴を参照して、判定する。判定部320は、制御部31が記憶部32と協働することによって実現される。判定部320は、判定手段として機能する。
図4に示した空調システム1の機能構成の説明に戻る。制御装置30において、推奨情報送信部330は、判定部320による判定の結果、識別部310によって識別されたユーザから過去に受け付けられた操作の傾向が特定の条件を満たしていると判定された場合に、推奨情報を操作端末40に送信する。
推奨情報とは、空調システム1における消費電力を節約するために、識別部310によって識別されたユーザに推奨する空調の設定を示す情報である。ユーザに推奨する空調の設定とは、このユーザの過去の設定よりも消費電力が小さくなる設定であって、例えば夏期であれば、省エネになる冷房の設定温度であり、冬期であれば、省エネになる暖房の設定温度である。推奨情報送信部330は、識別部310によって識別されたユーザが電力を浪費する傾向にある場合、消費電力を節約するための設定を示す推奨情報を、操作端末40に送信する。
推奨情報送信部330は、通信部38を介して操作端末40と通信することによって、推奨情報を操作端末40に送信する。推奨情報送信部330は、制御部31が通信部38と協働することによって実現される。推奨情報送信部330は、推奨情報送信手段として機能する。
操作端末40において、推奨情報受信部410は、通信部48を介して制御装置30と通信することによって、制御装置30から送信された推奨情報を受信する。推奨情報受信部410は、制御部41が通信部48と協働することによって実現される。推奨情報受信部410は、推奨情報受信手段として機能する。
操作端末40において、報知部420は、推奨情報受信部410によって受信された推奨情報を報知する。言い換えると、報知部420は、推奨情報受信部410によって受信された推奨情報に示される、識別部310によって識別されたユーザに推奨する空調の設定を報知する。
図7に、ユーザが冷房の設定を入力する場合における報知画像の例を示す。報知部420は、推奨情報受信部410が推奨情報を受信した場合、図7に示す報知画像を、表示部45に表示する。具体的に説明すると、報知部420は、電力を浪費する傾向にあるユーザに対して、電力を節約するように警告を報知する。また、報知部420は、電力を節約するためのアドバイスとして、推奨する設定温度を、設定温度の初期値として報知する。
このように、報知部420は、識別部310によって識別されたユーザが電力を浪費する傾向にある場合、電力を節約する操作へとユーザを誘導するための情報を報知する。なお、報知部420は、表示部45による表示に限らず、スピーカから音声を出力することで、推奨情報を報知しても良い。報知部420は、制御部41が表示部45又はスピーカと協働することによって実現される。報知部420は、報知手段として機能する。
操作端末40において、操作受付部430は、ユーザからの操作を受け付ける。ユーザは、入力部46を操作して、操作端末40に所望の指示を入力することができる。例えば、ユーザは、空調システム1に空調を開始又は停止させる指示、空調の設定を変更する指示等を入力することができる。
操作受付部430は、このようにしてユーザから入力された指示を受け付ける。操作受付部430は、制御部41が入力部46と協働することによって実現される。操作受付部430は、操作受付手段として機能する。
操作端末40において、操作情報送信部440は、操作受付部430によって操作が受け付けられると、通信部38を介して操作端末40と通信することによって、受け付けられた操作を示す操作情報を、制御装置30に送信する。操作情報送信部440は、制御部41が通信部48と協働することによって実現される。操作情報送信部440は、操作情報送信手段として機能する。
制御装置30において、操作情報取得部340は、通信部38を介して操作端末40と通信することによって、操作端末40から送信された操作情報を取得する。操作情報取得部340は、制御部31が通信部38と協働することによって実現される。操作情報取得部340は、操作情報取得手段として機能する。
制御装置30において、空調制御部350は、操作情報取得部340によって取得された操作情報によって示される操作に従って、空調エリア4を空調する。空調制御部350は、通信部38を介して室外機制御部20と通信し、室外機制御部20と協働することによって、空調手段に空調させる。具体的に説明すると、空調制御部350は、運転モードに応じて四方弁12の流路を切り換え、膨張弁14の開度を調整し、圧縮機11、室外送風機16及び室内送風機17を駆動させる。空調制御部350は、制御部31が通信部38と協働することによって実現される。空調制御部350は、空調制御手段として機能する。
具体的に説明すると、空調制御部350は、識別部310によって識別されたユーザから過去に受け付けられた操作の傾向が特定の条件を満たしていない場合、操作受付部430によって新たに受け付けられた操作に従って空調エリア4を空調する。例えば、操作受付部430によって28℃で冷房する指示を受け付けた場合、或いは、操作受付部430によって23℃で暖房する指示を受け付けた場合、空調制御部350は、受け付けた指示の通りの設定温度で冷房又は暖房を開始する。
より詳細に説明すると、ユーザの過去の操作の傾向が特定の条件を満たしてない場合には、そのユーザは電力を浪費する傾向には無いため、多くの電力を消費しないことが期待される。そのため、空調制御部350は、ユーザから受け付けられた操作の通りに空調し、消費電力の抑制よりもユーザの快適性を優先させる。
これに対して、空調制御部350は、識別部310によって識別されたユーザから過去に受け付けられた操作の傾向が特定の条件を満たしている場合、操作受付部430によって新たに受け付けられた操作に従った場合よりも小さい消費電力で、空調エリア4を空調する。ユーザの過去の操作の傾向が特定の条件を満たしている場合には、そのユーザは電力を浪費する傾向にあるため、消費電力を抑制して省エネを図る。
例えば、冷房時には、空調制御部350は、冷房の設定温度を、操作受付部430によって受け付けられた操作によって指示された温度よりも高い温度に設定する。或いは、暖房時には、空調制御部350は、暖房の設定温度を、操作受付部430によって受け付けられた操作によって指示された温度よりも低い温度に設定する。このように、空調制御部350は、ユーザが電力を浪費する傾向にある場合には、ユーザから受け付けられた操作の通りには空調せず、ユーザの快適性よりも消費電力の抑制を優先させる。
より詳細に説明すると、空調制御部350は、操作受付部430によって新たに受け付けられた操作が、報知部420によって報知された設定で空調エリア4を空調した場合よりも大きく電力を消費する操作であった場合、操作受付部430によって新たに受け付けられた操作に従った場合よりも小さい消費電力で、空調エリア4を空調する。この場合は、電力を浪費する傾向にあるユーザが、報知部420を介して推奨された空調の設定に従わずに、大きな消費電力での空調を指示した場合を意味する。そのため、空調制御部350は、ユーザから受け付けられた操作よりも消費電力を抑制させて、省エネを図る。
これに対して、操作受付部430によって新たに受け付けられた操作が、報知部420によって報知された設定で空調エリア4を空調した場合よりも消費電力が小さい操作であった場合は、電力を浪費する傾向にあるユーザが、報知部420を介して推奨された空調の設定に従って操作した場合を意味する。そのため、この場合、空調制御部350は、新たに受け付けた操作に従って空調エリア4を空調する。
制御装置30において、更新部360は、操作情報取得部340によって取得された操作情報によって、記憶部32に記憶された履歴情報50を更新する。具体的に説明すると、更新部360は、操作情報取得部340によって操作端末40から操作情報が取得されると、取得された操作情報を、識別部310によって識別されたユーザに対応付けて、操作履歴テーブル51に追加する。そして、更新部360は、新たな操作情報が追加された操作履歴テーブル51によって、操作傾向情報52を更新する。
このように、更新部360は、操作受付部430によって新たな操作が受け付けられる度に、新たな操作によって、操作を受け付けたユーザの操作の傾向を更新する。これにより、更新部360は、ユーザの操作の傾向を学習する。更新部360は、制御部31が記憶部32と協働することによって実現される。更新部360は、更新手段として機能する。
以上のように構成される空調システム1において実行される処理の流れについて、図8及び図9を参照して、説明する。
図8は、制御装置30と操作端末40との間で実行される処理の流れを示すシーケンス図である。図8に示す処理は、制御装置30が空調エリア4内にユーザを検知したか否かを判定し(ステップS101)、ユーザを検知した場合に、開始する。
具体的に説明すると、制御部31は、撮像部19による空調エリア4の撮像画像を解析して、撮像画像にユーザが写っているか否かを判定する。そして、制御部31は、撮像画像にユーザが写っている場合に、ユーザを検知したと判定する。制御部31は、撮像部19から定期的に撮像画像を取得して、取得した撮像画像にユーザが写っているか否かを判定する。ユーザを検知していない場合(ステップS101;NO)、制御部31は、処理をステップS101に留めて、ユーザを検知するまで待機する。
これに対して、ユーザを検知した場合(ステップS101;YES)、制御部31は、検知したユーザを識別する(ステップS102)。具体的に説明すると、制御部31は、撮像画像中のユーザの顔、体格等の特徴を、記憶部32に記憶された複数のユーザの特徴と照合して、検知したユーザが誰であるかを特定する。ステップS101,S102において、制御部31は、識別部310として機能する。
ユーザを識別すると、制御部31は、記憶部32に記憶された操作傾向情報52を参照して、識別したユーザの操作傾向を抽出する(ステップS103)。そして、制御部31は、そのユーザの操作傾向が、電力を浪費する傾向であるか否かを判定する(ステップS104)。
具体的に説明すると、制御部31は、識別したユーザから過去に受け付けられた操作によって空調システム1において消費された電力が、閾値より大きいか否かを判定する。そして、制御部31は、空調システム1において消費された電力が閾値より大きい場合に、そのユーザの操作傾向が電力を浪費する傾向であると判定する。ステップS103,S104において、制御部31は、判定部320として機能する。
識別したユーザの操作傾向が電力を浪費する傾向である場合(ステップS104;YES)、制御部31は、識別したユーザに推奨する空調の設定を示す推奨情報を、操作端末40に送信する(ステップS105)。これに対して、識別したユーザの操作傾向が電力を浪費する傾向でない場合(ステップS104;NO)、制御部31は、推奨情報を操作端末40に送信しない。ステップS105において、制御部31は、推奨情報送信部330として機能する。
操作端末40において、制御部41は、制御装置30から推奨情報が送信された場合、送信された推奨情報を受信する。このとき、制御部41は、推奨情報受信部410として機能する。
推奨情報を受信すると、制御部41は、受信した推奨情報を報知する(ステップS106)。具体的に説明すると、制御部41は、図7に示したように、電力を浪費する傾向にあるユーザに省エネを促す報知画像を表示部45に表示する。なお、制御装置30から推奨情報が送信されていない場合には、制御部41は、推奨情報を報知せず、現在設定されている空調の設定を初期値として報知する。ステップS106において、制御部41は、報知部420として機能する。
続いて、制御部41は、ユーザから入力部46を介して操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS107)。操作を受け付けていない場合(ステップS107;NO)、制御部41は、処理をステップS107に留めて、操作を受け付けるまで待機する。ステップS107において、制御部41は、操作受付部430として機能する。
操作を受け付けた場合(ステップS107;YES)、制御部41は、受け付けた操作の内容を示す操作情報を、制御装置30に送信する(ステップS108)。ステップS108において、制御部41は、操作情報送信部440として機能する。
制御装置30において、制御部31は、操作端末40から操作情報が送信された場合、送信された操作情報を取得する。このとき、制御部31は、操作情報取得部340として機能する。
操作情報を取得すると、制御部31は、取得した操作情報に従って、空調制御処理を実行する(ステップS109)。ステップS109における空調制御処理の詳細については、図9に示すフローチャートを参照して説明する。
図9に示す空調制御処理を開始すると、制御部31は、ステップS102において識別したユーザの操作傾向が、電力を浪費する傾向であるか否かを判定する(ステップS151)。ステップS151における判定処理は、ステップS104における判定処理と同様である。
識別したユーザの操作傾向が電力を浪費する傾向である場合(ステップS151;YES)、制御部31は、更に、新たに受け付けた操作が推奨の通りの操作であるか否かを判定する(ステップS152)。具体的に説明すると、制御部31は、新たに受け付けた操作が、ステップS106において報知した推奨する空調の設定よりも大きく電力を消費する操作であるか否かを判定する。
新たに受け付けた操作が推奨の通りの操作でない場合(ステップS152;NO)、制御部31は、取得した操作情報に従った場合よりも消費電力を低下させて、空調エリア4を空調する(ステップS153)。言い換えると、制御部31は、ユーザが推奨に従わずに電力を浪費することが見込まれる場合には、ユーザから受け付けられた操作の通りには空調せず、ユーザの快適性よりも消費電力の抑制を優先させる。
これに対して、識別したユーザの操作傾向が電力を浪費する傾向でない場合(ステップS151;NO)、及び、新たに受け付けた操作が推奨の通りの操作である場合(ステップS152;YES)、制御部31は、新たに受け付けた操作に従って空調エリア4を空調する(ステップS154)。言い換えると、制御部31は、ユーザが電力を浪費しないことが見込まれる場合には、ユーザから受け付けられた操作の通りに空調し、ユーザの快適性を優先させる。ステップS153,S154において、制御部31は、空調制御部350として機能する。以上によって図9に示した空調制御処理は終了する。
図8に示すシーケンス図に戻って、空調制御処理を実行した後、制御部31は、履歴情報50を更新する(ステップS110)。具体的に説明すると、制御部31は、ステップS108において取得した操作情報を、ステップS102において識別したユーザに対応付けて、記憶部32に記憶された操作履歴テーブル51に追加する。そして、制御部31は、更新した操作履歴テーブル51に基づいて、操作傾向情報52に含まれる識別したユーザの操作傾向を更新する。ステップS110において、制御部31は、更新部360として機能する。以上によって、図8に示した空調システム1における処理は終了する。
以上説明したように、実施の形態1に係る空調システム1は、ユーザを識別し、識別したユーザから過去に受け付けられた操作の傾向に基づいて、識別したユーザが電力を浪費する傾向にあるか否かを判定する。そして、空調システム1は、識別したユーザが電力を浪費する傾向にある場合に、推奨する空調の設定を報知する。これにより、電力を浪費する傾向にあることをユーザに気付かせることができるため、ユーザに自発的に消費電力を抑制させることができる。
また、実施の形態1に係る空調システム1は、ユーザから新たに操作を受け付けた場合において、そのユーザが電力を浪費する傾向にあり、且つ、新たに受け付けられた操作が報知された空調の設定に従ったものでなければ、新たに受け付けられた操作に従って空調した場合よりも小さい消費電力で、空調エリア4を空調する。一方で、これ以外の場合には、空調システム1は、新たに受け付けられた操作に従って空調エリア4を空調する。そのため、ユーザの快適性の低下を抑制しつつ、消費電力を抑制して空調することができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
図10に、実施の形態2に係る空調システム1aの機能的な構成を示す。実施の形態2に係る空調システム1aは、制御装置30aと、操作端末40aと、を備える。なお、制御装置30a及び操作端末40aのハードウェア構成は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
図10に示すように、制御装置30aは、機能的に、判定部320と、操作情報取得部340と、空調制御部350と、更新部360と、位置検知部370と、を備える。また、操作端末40aは、機能的に、操作受付部430と、操作情報送信部440と、識別部450と、を備える。
これらの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、制御装置30aのROM又は記憶部32、及び、操作端末40aのROM又は記憶部42に格納される。そして、制御装置30aの制御部31において、CPUが、ROM又は記憶部32に記憶されたプログラムを実行することによって、制御装置30aの各機能を実現する。また、操作端末40aの制御部41において、CPUが、ROM又は記憶部42に記憶されたプログラムを実行することによって、操作端末40aの各機能を実現する。
操作端末40aにおいて、識別部450は、ユーザを識別する。ユーザとは、空調エリア4において空調システム1を使用する人である。識別部450は、ユーザの指紋に基づいて、操作端末40aを操作しているユーザを識別する。
具体的に説明すると、入力部46は、指紋センサを備えており、入力部46を操作するユーザの指紋を読み取る。また、記憶部42は、空調エリア4に存在する可能性がある複数のユーザのそれぞれについて、指紋の情報を記憶している。識別部450は、入力部46が指紋を読み取ると、記憶部42に記憶された情報を参照して、読み取った指紋に合致するユーザを、操作端末40aを操作しているユーザとして識別する。識別部450は、制御部41が記憶部42及び入力部46と協働することによって実現される。識別部450は、識別手段として機能する。
操作端末40aにおいて、操作受付部430は、ユーザからの操作を受け付ける。操作受付部430の機能は、実施の形態1と同様である。
操作端末40aにおいて、操作情報送信部440は、操作受付部430によって受け付けられた操作を示す操作情報と、識別部450によって識別されたユーザを示す識別情報とを、制御装置30aに送信する。操作情報送信部440は、制御部41が通信部48と協働することによって実現される。操作情報送信部440は、操作情報送信手段として機能する。
制御装置30aにおいて、操作情報取得部340は、操作端末40aから送信された操作情報と識別情報とを取得する。操作情報取得部340は、制御部31が通信部38と協働することによって実現される。操作情報取得部340は、操作情報取得手段として機能する。
制御装置30aにおいて、判定部320は、操作情報取得部340によって取得された識別情報によって示されるユーザから過去に受け付けられた操作の傾向が、特定の条件を満たしているか否かを判定する。識別情報によって示されるユーザから過去に受け付けられた操作とは、この識別情報と共に操作情報取得部340によって取得された操作情報によって示される操作より以前に、操作受付部430によってこのユーザから受け付けられた操作である。言い換えると、判定部320は、操作受付部430によって新たに受け付けられた操作より以前に、同じユーザから受け付けられた操作の傾向が、特定の条件を満たしているか否かを判定する。
判定部320は、記憶部32に記憶された履歴情報50に基づいて、識別部450によって識別されたユーザから過去に受け付けられた操作の傾向が、特定の条件を満たしているか否かを判定する。判定部320の判定処理については、実施の形態1と同様である。判定部320は、制御部31が記憶部32と協働することによって実現される。判定部320は、判定手段として機能する。
制御装置30aにおいて、空調制御部350は、操作情報取得部340によって取得された操作情報によって示される操作に従って、空調エリア4を空調する。空調制御部350は、通信部38を介して室外機制御部20と通信し、室外機制御部20と協働することによって、空調手段に空調させる。空調制御部350は、制御部31が通信部38と協働することによって実現される。空調制御部350は、空調制御手段として機能する。
具体的に説明すると、空調制御部350は、識別部450によって識別されたユーザから過去に受け付けられた操作の傾向が特定の条件を満たしていない場合、操作受付部430によって新たに受け付けられた操作に従って空調エリア4を空調する。言い換えると、空調制御部350は、ユーザが電力を浪費する傾向には無い場合には、ユーザから受け付けられた操作の通りに空調し、消費電力の抑制よりもユーザの快適性を優先させる。
これに対して、空調制御部350は、識別部450によって識別されたユーザから過去に受け付けられた操作の傾向が特定の条件を満たしている場合、操作受付部430によって新たに受け付けられた操作に従った場合よりも小さい消費電力で、空調エリア4を空調する。言い換えると、空調制御部350は、ユーザが電力を浪費する傾向にある場合には、ユーザから受け付けられた操作の通りには空調せず、ユーザの快適性よりも消費電力の抑制を優先させる。
制御装置30aにおいて、位置検知部370は、識別部450によって識別されたユーザの位置を検知する。位置検知部370は、撮像部19によって撮像された画像を取得し、取得した画像を画像処理部34によって解析することで、空調エリア4に居るユーザの位置を検知する。
具体的に説明すると、位置検知部370は、撮像部19によって撮像された画像に、周知の人認識の手法を用いて、人が写っているか否かを判定する。そして、位置検知部370は、撮像画像に人が写っている場合、撮像画像中の人の位置を、ユーザの位置として検知する。
位置検知部370は、空調エリア4に複数のユーザが存在している場合には、このような位置検知処理を複数のユーザのそれぞれについて実行して、複数のユーザのそれぞれの位置を検知する。位置検知部370は、制御部31が画像処理部34と協働することによって実現される。位置検知部370は、位置検知手段として機能する。
空調制御部350は、識別部450によって識別されたユーザから過去に受け付けられた操作の傾向が特定の条件を満たしている場合、位置検知部370によって検知された位置に向けて送風する。言い換えると、空調制御部350は、ユーザが電力を浪費する傾向にある場合、室内送風機17の向きを空調エリア4内におけるユーザの位置に向けて、空調された空気をユーザに送る。
上述したように、ユーザが電力を浪費する傾向にある場合には、空調制御部350は、消費電力を低下させて空調するため、ユーザの快適性が低下する。しかしながら、この場合において、ユーザの位置に向けて空調された空気を送ることで、ユーザに対する空調の効果を高めることができる。そのため、ユーザの快適性の低下を抑制することができる。
制御装置30aにおいて、更新部360は、操作情報取得部340によって取得された操作情報によって、記憶部32に記憶された履歴情報50を更新する。具体的に説明すると、更新部360は、操作情報取得部340によって操作端末40aから操作情報と識別情報とが取得されると、取得された操作情報を、取得された識別情報によって示されるユーザに対応付けて、操作履歴テーブル51に追加する。そして、更新部360は、新たな操作情報が追加された操作履歴テーブル51によって、操作傾向情報52を更新する。
このように、更新部360は、操作受付部430によって新たな操作が受け付けられる度に、新たな操作によって、操作を受け付けたユーザの操作の傾向を更新する。これにより、更新部360は、ユーザの操作の傾向を学習する。更新部360は、制御部31が記憶部32と協働することによって実現される。更新部360は、更新手段として機能する。
以上のように構成される空調システム1aにおいて実行される処理の流れについて、図11を参照して、説明する。
図11は、制御装置30aと操作端末40aとの間で実行される処理の流れを示すシーケンス図である。図11に示す処理は、操作端末40aが空調エリア4内にユーザを検知したか否かを判定し(ステップS201)、ユーザを検知した場合に、開始する。
具体的に説明すると、制御部41は、操作端末40aを操作するユーザの指紋を入力部46によって読み取ったか否かを判定する。そして、制御部41は、指紋を読み取った場合に、ユーザを検知したと判定する。ユーザを検知していない場合(ステップS201;NO)、制御部41は、処理をステップS201に留めて、ユーザを検知するまで待機する。
これに対して、ユーザを検知した場合(ステップS201;YES)、制御部41は、検知したユーザを識別する(ステップS202)。具体的に説明すると、制御部41は、読み取った指紋を、記憶部32に記憶された複数のユーザの指紋と照合して、検知したユーザが誰であるかを特定する。ステップS201,S202において、制御部41は、識別部450として機能する。
ユーザを識別すると、制御部41は、ユーザから入力部46を介して操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS203)。操作を受け付けていない場合(ステップS203;NO)、制御部41は、処理をステップS203に留めて、操作を受け付けるまで待機する。ステップS203において、制御部41は、操作受付部430として機能する。
操作を受け付けた場合(ステップS203;YES)、制御部41は、受け付けた操作の内容を示す操作情報と、ステップS202において識別したユーザを示す識別情報とを、制御装置30aに送信する(ステップS204)。ステップS204において、制御部41は、操作情報送信部440として機能する。
制御装置30aにおいて、制御部31は、操作端末40aから操作情報と識別情報とが送信された場合、送信された操作情報と識別情報とを取得する。このとき、制御部31は、操作情報取得部340として機能する。
操作情報と識別情報とを取得すると、制御部31は、取得した操作情報と識別情報とに従って、空調制御処理を実行する(ステップS205)。ステップS205における空調制御処理の詳細については、図12に示すフローチャートを参照して説明する。
図12に示す空調制御処理を開始すると、制御部31は、記憶部32に記憶された操作傾向情報52を参照して、取得した識別情報によって示されるユーザの操作傾向を抽出する(ステップS251)。そして、制御部31は、そのユーザの操作傾向が、電力を浪費する傾向であるか否かを判定する(ステップS252)。
具体的に説明すると、制御部31は、識別情報によって示されるユーザから過去に受け付けられた操作によって空調システム1aにおいて消費された電力が、閾値より大きいか否かを判定する。そして、制御部31は、空調システム1aにおいて消費された電力が閾値より大きい場合に、そのユーザの操作傾向が電力を浪費する傾向であると判定する。ステップS251,S252において、制御部31は、判定部320として機能する。
識別情報によって示されるユーザの操作傾向が電力を浪費する傾向である場合(ステップS252;YES)、制御部31は、取得した操作情報に従った場合よりも消費電力を低下させて、空調エリア4を空調する(ステップS253)。言い換えると、制御部31は、ユーザが電力を浪費することが見込まれる場合には、ユーザから受け付けられた操作の通りには空調せず、ユーザの快適性よりも消費電力の抑制を優先させる。
続いて、制御部31は、空調エリア4内におけるユーザの位置を検知する(ステップS254)。具体的に説明すると、制御部31は、撮像部19によって撮像された画像を取得し、取得した画像に写っている人の位置を、ユーザの位置として検知する。ステップS254において、制御部31は、位置検知部370として機能する。
ユーザの位置を検知すると、制御部31は、検知した位置に向けて送風する(ステップS255)。具体的に説明すると、制御部31は、室内送風機17の向きをユーザの位置に向けて、空調された空気をユーザに送る。これにより、電力を浪費する傾向にあるユーザの快適性の低下を抑制する。
これに対して、識別情報によって示されるユーザの操作傾向が電力を浪費する傾向でない場合(ステップS252;NO)、制御部31は、取得した操作情報に従って空調エリア4を空調する(ステップS256)。言い換えると、制御部31は、ユーザが電力を浪費しないことが見込まれる場合には、ユーザから受け付けられた操作の通りに空調し、ユーザの快適性を優先させる。ステップS253,S255,S256において、制御部31は、空調制御部350として機能する。以上によって図12に示した空調制御処理は終了する。
図11に示すシーケンス図に戻って、空調制御処理を実行した後、制御部31は、履歴情報50を更新する(ステップS206)。具体的に説明すると、制御部31は、ステップS204において取得した操作情報を、同じくステップS204において取得した識別情報によって示されるユーザに対応付けて、記憶部32に記憶された操作履歴テーブル51に追加する。そして、制御部31は、更新した操作履歴テーブル51に基づいて、操作傾向情報52に含まれる識別したユーザの操作傾向を更新する。ステップS206において、制御部31は、更新部360として機能する。以上によって、図11に示した空調システム1aにおける処理は終了する。
以上説明したように、実施の形態2に係る空調システム1aは、操作端末40aによってユーザを識別し、識別したユーザから過去に受け付けられた操作の傾向に基づいて、識別したユーザが電力を浪費する傾向にあるか否かを判定する。そして、空調システム1aは、識別したユーザから新たに操作を受け付けた場合において、そのユーザが電力を浪費する傾向ではなければ、新たに受け付けられた操作に従って空調エリア4を空調し、そのユーザが電力を浪費する傾向にあれば、新たに受け付けられた操作に従って空調した場合よりも小さい消費電力で、空調エリア4を空調する。
言い換えると、空調システム1aは、電力を節約する傾向にあるユーザによって操作された場合には消費電力を抑制せず、電力を浪費する傾向にあるユーザによって操作された場合に限って消費電力を抑制する。そのため、ユーザの快適性の低下を抑制しつつ、消費電力を抑制して空調することができる。
(変形例)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能である。
例えば、上記実施の形態1では、室内機3は、撮像部19を備えており、識別部310は、撮像部19によって取得された画像を解析することによって、ユーザを識別した。しかしながら、室内機3は、撮像部19の代わりに、赤外線を検知することによって空調エリア4内の温度分布を示す熱画像を取得する赤外線センサを備えていても良い。この場合、識別部310は、赤外線センサによって取得された熱画像を解析することによって、ユーザを識別する。或いは、室内機3は、撮像部19の代わりに、音声の入力を受け付けるマイクロフォンを備えていても良い。この場合、識別部310は、マイクロフォンによって受け付けたユーザの音声を識別することによって、ユーザを識別する。
上記実施の形態2では、識別部450は、入力部46によって読み取られた指紋に基づいて、ユーザを識別した。しかしながら、識別部310は、指紋以外の情報によってユーザを識別しても良い。例えば、識別部310は、操作端末40aの把持位置、操作端末40aの把持力、ボタンの押圧力、音声等によってユーザを識別しても良い。或いは、ユーザが自身の識別情報を、入力部46を介して直接入力しても良い。
上記実施の形態では、判定部320は、識別部310によって識別されたユーザから過去に受け付けられた操作によって消費された電力が閾値より大きい場合に、このユーザが電力を浪費する傾向にあると判定した。しかしながら、判定部320は、冷房又は暖房の場合における設定温度、除湿又は加湿における設定湿度、送風における設定風量に基づいて、識別部310によって識別されたユーザが電力を浪費する傾向にあると判定しても良い。例えば、判定部320は、識別部310によって識別されたユーザから過去に受け付けられた操作によって設定された冷房の温度が閾値より小さい場合に、このユーザが電力を浪費する傾向にあると判定する。また、判定部320は、識別部310によって識別されたユーザから過去に受け付けられた操作によって設定された暖房の温度が閾値より大きい場合に、このユーザが電力を浪費する傾向にあると判定する。
また、ユーザが電力を浪費する傾向にあるか否かを判定部320が判定するための閾値は、消費電力、設定温度、設定湿度、設定風量等の複数のユーザ間での平均値であっても良い。或いは、閾値は、複数のユーザ間での平均値に限らず、予め設定された値であっても良い。
上記実施の形態では、空調制御部350は、識別部310によって識別されたユーザから過去に受け付けられた操作の傾向が特定の条件を満たしている場合、操作受付部430によって新たに受け付けられた操作に従った場合よりも小さい消費電力で、空調エリア4を空調した。このとき、空調制御部350は、操作受付部430によって新たに受け付けられた操作に従って空調エリア4を空調した後、規定の時間が経過してから、消費電力を低下させても良い。言い換えると、空調制御部350は、電力を浪費する傾向のユーザから操作を受け付けた場合、操作に従わない空調をすぐには実行せず、一旦はユーザの操作通りに空調し、その後、規定の時間が経過してから、消費電力を低下させて空調する。規定の時間は、5分、10分、30分等、適宜の長さの時間に設定することができる。このように、一旦はユーザの操作通りに空調するため、快適性の低下を抑制することができる。
また、空調エリア4に複数のユーザが居る場合、空調制御部350は、以下のように空調を制御しても良い。具体的に説明すると、空調エリア4に第1のユーザと第2のユーザとが居る場合、識別部310,450は、第1のユーザと第2のユーザとを識別し、判定部320は、第1のユーザの操作の傾向と第2のユーザの操作の傾向とを判定する。判定部320による判定の結果、第1のユーザから過去に受け付けられた操作の傾向が特定の条件を満たしており、且つ、第2のユーザから過去に受け付けられた操作の傾向が特定の条件を満たしていない場合、空調制御部350は、操作受付部430によって第1のユーザから新たに操作が受け付けられても、第2のユーザから過去に受け付けられた操作に従って、空調エリア4を空調する。
言い換えると、空調エリア4に電力を浪費する傾向にあるユーザと電力を節約する傾向にあるユーザとが同時に存在している場合、空調制御部350は、電力を節約する傾向にあるユーザの嗜好に合わせて空調する。これにより、消費電力を抑制することができる。このとき、空調制御部350は、第1のユーザに対する空調の効果を高めるため、第1のユーザの位置に向けて送風しても良い。
上記実施の形態では、ユーザが電力を浪費する傾向にあるか否かを判定する判定部320の機能を制御装置30,30aが備えていた。しかしながら、操作端末40,40aが判定部320の機能を備えていても良い。また、上記実施の形態では、報知部420及び操作受付部430の機能を操作端末40,40aが備えていた。しかしながら、制御装置30,30aが報知部420の機能を備えていても良いし、操作受付部430の機能を備えていても良い。
上記実施の形態では、制御装置30,30aは、室内機3に備えられていた。しかしながら、本発明において、制御装置30,30aは、室内機3に備えられていなくても良い。例えば、室外機2に備えられた室外機制御部20が、制御装置30,30aとして機能しても良い。或いは、室外機2及び室外機2以外の外部の装置が、制御装置30,30aとして機能しても良い。例えば、空調システム1,1aが設置された住宅全体の電力を管理するHEMS(Home Energy Management System)コントローラ、又は、住宅の外部に設置されたサーバが、制御装置30,30aとして機能することができる。
上記実施の形態では、制御装置30,30aの制御部31において、CPUがROM又は記憶部42に記憶されたプログラムを実行することによって、識別部310、判定部320、推奨情報送信部330、操作情報取得部340、空調制御部350及び更新部360の各部として機能した。また、操作端末40,40aの制御部41において、CPUがROM又は記憶部42に記憶されたプログラムを実行することによって、推奨情報受信部410、報知部420、操作受付部430、操作情報送信部440及び識別部450の各部として機能した。しかしながら、本発明において、制御部31,41は、専用のハードウェアであってもよい。専用のハードウェアとは、例えば単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又は、これらの組み合わせ等である。制御部31,41が専用のハードウェアである場合、各部の機能それぞれを個別のハードウェアで実現してもよいし、各部の機能をまとめて単一のハードウェアで実現してもよい。
また、各部の機能のうち、一部を専用のハードウェアによって実現し、他の一部をソフトウェア又はファームウェアによって実現してもよい。このように、制御部31,41は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又は、これらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
本発明に係る制御装置30,30a又は操作端末40,40aの動作を規定する動作プログラムを既存のパーソナルコンピュータ又は情報端末装置等のコンピュータに適用することで、当該コンピュータを、本発明に係る制御装置30,30a又は操作端末40,40aとして機能させることも可能である。
また、このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD−ROM(Compact Disk ROM)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)、又は、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネット等の通信ネットワークを介して配布してもよい。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。